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特開2022-77946データ処理装置、データ処理方法及びプログラム
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022077946
(43)【公開日】2022-05-24
(54)【発明の名称】データ処理装置、データ処理方法及びプログラム
(51)【国際特許分類】
   G06Q 20/14 20120101AFI20220517BHJP
【FI】
G06Q20/14
【審査請求】未請求
【請求項の数】13
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021033350
(22)【出願日】2021-03-03
(62)【分割の表示】P 2020564023の分割
【原出願日】2020-11-12
(71)【出願人】
【識別番号】516380407
【氏名又は名称】ファーストアカウンティング株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100166006
【弁理士】
【氏名又は名称】泉 通博
(74)【代理人】
【識別番号】100154070
【弁理士】
【氏名又は名称】久恒 京範
(74)【代理人】
【識別番号】100153280
【弁理士】
【氏名又は名称】寺川 賢祐
(72)【発明者】
【氏名】葛 鴻鵬
(72)【発明者】
【氏名】松田 顕
(72)【発明者】
【氏名】小俣 智
(72)【発明者】
【氏名】森 啓太郎
(72)【発明者】
【氏名】佐藤 貴亮
【テーマコード(参考)】
5L055
【Fターム(参考)】
5L055AA32
(57)【要約】
【課題】外部システム側における取込エラーが発生しないように明細データを生成する。
【解決手段】データ処理装置1は、請求書を示す請求書データを取得するデータ取得部151と、請求書データから、請求書の明細を示し、複数の項目のそれぞれに対応する複数の項目データを含む明細データを抽出する抽出部152と、複数の項目データのうち、所定の項目データを抽出部152が抽出できなかった場合に、当該所定の項目データを補完する補完部153と、補完部153により項目データが補完された後の明細データを出力する出力部156と、を有する。
【選択図】図3

【特許請求の範囲】
【請求項1】
請求書を示す請求書データを取得するデータ取得部と、
前記請求書データから、前記請求書の明細を示し、複数の項目のそれぞれに対応する複数の項目データを含む明細データを抽出する抽出部と、
複数の項目データのうち、所定の項目データを前記抽出部が抽出できなかった場合に、当該所定の項目データを補完する補完部と、
前記補完部により項目データが補完された後の前記明細データを出力する出力部と、
を有するデータ処理装置。
【請求項2】
複数の項目データには、商品の単価、数量及び小計が含まれており、
前記補完部は、複数の項目データのうち、商品の数量及び小計を示す項目データを前記抽出部が抽出し、前記単価を抽出できなかった場合に、前記数量及び小計に基づいて前記単価を補完する、
請求項1に記載のデータ処理装置。
【請求項3】
複数の項目データには、商品の単価、数量及び小計が含まれており、
前記補完部は、複数の項目データのうち、前記小計を示す項目データを前記抽出部が抽出し、商品の単価及び数量を示す項目データを前記抽出部が抽出できなかった場合に、前記単価を前記小計が示す金額に補完し、前記数量を1に補完する、
請求項1に記載のデータ処理装置。
【請求項4】
複数の項目データには、商品の名称、数量が含まれており、
前記補完部は、複数の項目データのうち、商品の数量を示す項目データを前記抽出部が抽出できなかった場合において、前記商品の名称に前記商品の数量を示す情報が含まれている場合には、当該商品の数量を示す情報に基づいて前記数量を補完する、
請求項1に記載のデータ処理装置。
【請求項5】
複数の項目データには、商品の小計及び前記商品に対して課される税額が含まれており、
前記補完部は、複数の項目データのうち、商品の小計を示す項目データを前記抽出部が抽出し、前記税額を抽出できなかった場合に、前記小計に基づいて前記税額を補完する、
請求項1から4のいずれか一項に記載のデータ処理装置。
【請求項6】
前記請求書に対応する注文書の有無を特定する特定部をさらに有し、
前記出力部は、前記特定部により特定された前記注文書の有無を示す情報を出力する、
請求項1から5のいずれか一項に記載のデータ処理装置。
【請求項7】
前記抽出部は、前記請求書データから、前記請求書に対応する注文書番号を抽出し、
前記特定部は、前記抽出部が前記注文書番号を抽出できたか否かに基づいて前記請求書に対応する注文書の有無を特定する、
請求項6に記載のデータ処理装置。
【請求項8】
前記注文書に含まれている注文書番号と、前記注文書の明細を示す注文書明細データとを関連付けて記憶する記憶部をさらに有し、
前記特定部は、前記抽出部が抽出した明細データに対応する注文書明細データが、一つの注文書番号に関連付けられて前記記憶部に記憶されているか否かに基づいて前記請求書に対応する注文書の有無を特定する、
請求項6に記載のデータ処理装置。
【請求項9】
前記請求書に対応する取引先が属する国及び前記請求書に対応する通貨の種別の少なくともいずれかを特定する特定部をさらに有し、
前記出力部は、前記特定部により特定された前記国及び前記通貨の種別の少なくともいずれかを示す情報を出力する、
請求項1から8のいずれか一項に記載のデータ処理装置。
【請求項10】
前記請求書に対応する取引先の名称と、前記取引先が提供する商品の正式名称とを関連付けて記憶する記憶部をさらに有し、
前記抽出部は、前記請求書データから前記取引先の名称と、商品の名称とを抽出し、
前記抽出部が抽出した前記商品の名称と前記取引先の名称とに対応する、前記記憶部に記憶されている前記商品の正式名称に基づいて、前記商品の名称に対応する摘要を生成する生成部をさらに有し、
前記出力部は、前記生成部が生成した摘要を含む明細データを出力する、
請求項1から9のいずれか一項に記載のデータ処理装置。
【請求項11】
前記抽出部は、前記請求書データから前記請求書に対応する取引先の名称と、商品の名称とを抽出し、
前記抽出部が抽出した前記商品の名称と、前記取引先の名称とに対応する、過去に出力部が出力した過去明細データに含まれる摘要に基づいて、前記抽出部が抽出した前記商品の名称に対応する摘要を生成する生成部をさらに有し、
前記出力部は、前記生成部が生成した摘要を含む明細データを出力する、
請求項1から9のいずれか一項に記載のデータ処理装置。
【請求項12】
コンピュータが実行する、
請求書を示す請求書データを取得するステップと、
前記請求書データから、前記請求書の明細を示し、複数の項目のそれぞれに対応する複数の項目データを含む明細データを抽出するステップと、
複数の項目データのうち、所定の項目データを抽出できなかった場合に、当該所定の項目データを補完するステップと、
項目データが補完された後の前記明細データを出力するステップと、
を有するデータ処理方法。
【請求項13】
コンピュータを、
請求書を示す請求書データを取得するデータ取得部、
前記請求書データから、前記請求書の明細を示し、複数の項目のそれぞれに対応する複数の項目データを含む明細データを抽出する抽出部、
複数の項目データのうち、所定の項目データを前記抽出部が抽出できなかった場合に、当該所定の項目データを補完する補完部、及び、
前記補完部により項目データが補完された後の前記明細データを出力する出力部、
として機能させるプログラム。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、証憑データを処理するデータ処理装置、データ処理方法及びプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
請求書の画像データから商品名及び金額等を含む明細を読み取り、読み取った明細を示す明細データに基づいて仕訳データを作成する会計処理システムが知られている(例えば、特許文献1を参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2018-173935号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
複数の取引先から受領する複数の請求書の中には、商品の単価や個数が記載されていない請求書が存在する。会計システム側で、商品の単価、個数、小計等を含む明細データを取り込むように規定されている場合において、商品の単価や個数が記載されていない請求書を読み取ると、商品の単価や個数が明細データに含まれず取込エラーになるという問題がある。このため、取込エラーが発生しないように明細データを生成することが求められる。
【0005】
そこで、本発明はこれらの点に鑑みてなされたものであり、外部システム側における取込エラーが発生しないように明細データを生成することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の第1の態様に係るデータ処理装置は、請求書を示す請求書データを取得するデータ取得部と、前記請求書データから、前記請求書の明細を示し、複数の項目のそれぞれに対応する複数の項目データを含む明細データを抽出する抽出部と、複数の項目データのうち、所定の項目データを前記抽出部が抽出できなかった場合に、当該所定の項目データを補完する補完部と、前記補完部により項目データが補完された後の前記明細データを出力する出力部と、を有する。
【0007】
複数の項目データには、商品の単価、数量及び小計が含まれており、前記補完部は、複数の項目データのうち、商品の数量及び小計を示す項目データを前記抽出部が抽出し、前記単価を抽出できなかった場合に、前記数量及び小計に基づいて前記単価を補完してもよい。
【0008】
複数の項目データには、商品の単価、数量及び小計が含まれており、前記補完部は、複数の項目データのうち、前記小計を示す項目データを前記抽出部が抽出し、商品の単価及び数量を示す項目データを前記抽出部が抽出できなかった場合に、前記単価を前記小計が示す金額に補完し、前記数量を1に補完してもよい。
【0009】
複数の項目データには、商品の名称、数量が含まれており、前記補完部は、複数の項目データのうち、商品の数量を示す項目データを前記抽出部が抽出できなかった場合において、前記商品の名称に前記商品の数量を示す情報が含まれている場合には、当該商品の数量を示す情報に基づいて前記数量を補完してもよい。
【0010】
複数の項目データには、商品の小計及び前記商品に対して課される税額が含まれており、前記補完部は、複数の項目データのうち、商品の小計を示す項目データを前記抽出部が抽出し、前記税額を抽出できなかった場合に、前記小計に基づいて前記税額を補完してもよい。
【0011】
前記データ処理装置は、前記請求書に対応する注文書の有無を特定する特定部をさらに有し、前記出力部は、前記特定部により特定された前記注文書の有無を示す情報を出力してもよい。
【0012】
前記抽出部は、前記請求書データから、前記請求書に対応する注文書番号を抽出し、前記特定部は、前記抽出部が前記注文書番号を抽出できたか否かに基づいて前記請求書に対応する注文書の有無を特定してもよい。
【0013】
前記データ処理装置は、前記注文書に含まれている注文書番号と、前記注文書の明細を示す注文書明細データとを関連付けて記憶する記憶部をさらに有し、前記特定部は、前記抽出部が抽出した明細データに対応する注文書明細データが、一つの注文書番号に関連付けられて前記記憶部に記憶されているか否かに基づいて前記請求書に対応する注文書の有無を特定してもよい。
【0014】
前記データ処理装置は、前記請求書に対応する取引先が属する国及び前記請求書に対応する通貨の種別の少なくともいずれかを特定する特定部をさらに有し、前記出力部は、前記特定部により特定された前記国及び前記通貨の種別の少なくともいずれかを示す情報を出力してもよい。
【0015】
前記データ処理装置は、前記請求書に対応する取引先の名称と、前記取引先が提供する商品の正式名称とを関連付けて記憶する記憶部をさらに有し、前記抽出部は、前記請求書データから前記取引先の名称と、商品の名称とを抽出し、前記データ処理装置は、前記抽出部が抽出した前記商品の名称と前記取引先の名称とに対応する、前記記憶部に記憶されている前記商品の正式名称に基づいて、前記商品の名称に対応する摘要を生成する生成部をさらに有し、前記出力部は、前記生成部が生成した摘要を含む明細データを出力してもよい。
【0016】
前記抽出部は、前記請求書データから前記請求書に対応する取引先の名称と、商品の名称とを抽出し、前記データ処理装置は、前記抽出部が抽出した前記商品の名称と、前記取引先の名称とに対応する、過去に出力部が出力した過去明細データに含まれる摘要に基づいて、前記抽出部が抽出した前記商品の名称に対応する摘要を生成する生成部をさらに有し、前記出力部は、前記生成部が生成した摘要を含む明細データを出力してもよい。
【0017】
本発明の第2の態様に係るデータ処理方法は、コンピュータが実行する、請求書を示す請求書データを取得するステップと、前記請求書データから、前記請求書の明細を示し、複数の項目のそれぞれに対応する複数の項目データを含む明細データを抽出するステップと、複数の項目データのうち、所定の項目データを抽出できなかった場合に、当該所定の項目データを補完するステップと、項目データが補完された後の前記明細データを出力するステップと、を有する。
【0018】
本発明の第3の態様に係るプログラムは、コンピュータを、請求書を示す請求書データを取得するデータ取得部、前記請求書データから、前記請求書の明細を示し、複数の項目のそれぞれに対応する複数の項目データを含む明細データを抽出する抽出部、複数の項目データのうち、所定の項目データを前記抽出部が抽出できなかった場合に、当該所定の項目データを補完する補完部、及び、前記補完部により項目データが補完された後の前記明細データを出力する出力部、として機能させる。
【発明の効果】
【0019】
本発明によれば、外部システム側における取込エラーが発生しないように明細データを生成することができるという効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【0020】
図1】本実施形態に係るデータ処理装置の概要を説明するための図である。
図2】被請求者が受領する請求書の一例を示す図である。
図3】本実施形態に係るデータ処理装置の機能構成を示す図である。
図4】請求書情報データベースの一例を示す図である。
図5】読取結果画面の一例を示す図である。
図6図5に示す請求書の拡大図である。
図7】本実施形態に係るデータ処理装置における基本的な処理の流れを示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0021】
[データ処理装置1の概要]
図1は、本実施形態に係るデータ処理装置1の概要を説明するための図である。データ処理装置1は、スキャナ又はデジタルカメラ等の読取装置2が請求書を読み取ることによって生成された請求書の画像データである請求書データを取得し、請求書データに含まれる文字列を解析した結果を用いて請求書を管理するための装置であり、例えばコンピュータである。データ処理装置1は、1台のコンピュータにより構成されていてもよく、複数のコンピュータにより構成されていてもよい。
【0022】
図2は、被請求者が受領する請求書の一例を示す図である。請求書には、複数の項目それぞれに対応する文字列が記載されている。例えば、図2に示す請求書には、請求書の鑑に対応する項目データとして、請求書を発行した事業者、すなわち取引における代金を請求する請求者の名称、住所、連絡先が記載されている。また、請求書には、件名(図2に示す2020年1月分)、請求書の明細に対応する項目データとして、請求の対象となる商品の品名、単価、個数及び商品の合計金額(すなわち小計)と、複数の商品の合計金額(すなわち請求額)が記載されている。データ処理装置1は、読取装置2がこれら請求書に記載された情報を読み取ることによって生成された請求書データを取得する。
【0023】
データ処理装置1は、請求書データを取得すると、当該請求書データから請求書の明細を示し、複数の項目のそれぞれに対応する複数の項目データを含む明細データを抽出する。データ処理装置1は、複数の項目データのうち、所定の項目データを抽出できなかった場合に、当該所定の項目データを補完し、項目データが補完された後の明細データを出力する。このようにすることで、データ処理装置1は、明細データに含まれる情報に不足が発生しないようにし、会計システム等の他のシステムに明細データが取り込まれる際に取込エラーが発生しないようにすることができる。
【0024】
[データ処理装置1の機能構成及び動作]
図3は、本実施形態に係るデータ処理装置1の機能構成を示す図である。データ処理装置1は、通信部11と、操作部12と、表示部13と、記憶部14と、制御部15とを有する。制御部15は、データ取得部151と、抽出部152と、補完部153と、特定部154と、生成部155と、出力部156と、登録部157とを有する。
【0025】
通信部11は、ネットワーク(例えばイントラネット又はインターネット)に接続するための通信インターフェースであり、読取装置2からデータを受信したり、他のコンピュータとの間でデータを送受信したりするための通信コントローラを有する。
【0026】
操作部12は、請求書から読み取った文字列や数値を訂正したりするためのキーボード、マウス及びディスプレイ等のデバイスを有する。
表示部13は、情報を表示するディスプレイである。表示部13は、制御部15の指示に基づいて情報を表示する。
【0027】
記憶部14は、例えばROM(Read Only Memory)、RAM(Random Access Memory)及びハードディスク等の記憶媒体を有する。記憶部14は、制御部15が実行するプログラムを記憶する。また、記憶部14は、読取装置2が請求書を読み取ることによって生成された請求書データを記憶する。記憶部14は、さらに、請求書データから抽出された情報を管理する請求書情報データベースを記憶する。
【0028】
図4は、請求書情報データベースの一例を示す図である。請求書情報データベースは、図4(a)に示す鑑データと、図4(b)に示す明細データとを含んでいる。鑑データは、請求書を識別するための請求書IDと、請求書を発行した取引先を識別する取引先名と、請求書の発行日と、請求書データが取得された取得日と、代金の支払期日と、請求金額と、請求書の件名とを関連付けたデータである。明細データは、請求書IDと、複数の商品それぞれの品名と、複数の商品それぞれの単価、購入数、及び購入金額とを関連付けたデータである。鑑データ及び明細データは、ユーザの操作に応じて会計システム等の他のシステムに取り込まれる。
【0029】
制御部15は、例えばCPU(Central Processing Unit)である。制御部15は、記憶部14に記憶されたプログラムを実行することにより、データ取得部151、抽出部152、補完部153、特定部154、生成部155、出力部156、及び登録部157として機能する。
【0030】
データ取得部151は、請求書を示す請求書データを取得する。データ取得部151は、読取装置2が請求書を読み取ることによって生成した請求書データを取得する。データ取得部151は、読取装置2から請求書データを直接取得してもよいし、データ処理装置1と通信可能に接続されている端末から請求書データを取得してもよい。
【0031】
抽出部152は、請求書データから、請求書の鑑を示し、複数の項目のそれぞれに対応する複数の項目データを含む鑑データを抽出する。抽出部152は、請求書データから、請求書の明細を示し、複数の項目のそれぞれに対応する複数の項目データを含む明細データを抽出する。抽出部152は、請求書に含まれる一以上の明細のそれぞれに対応して一以上の明細データを抽出する。
【0032】
具体的には、まず、抽出部152は、データ取得部151が取得した請求書データからテキスト情報を抽出する。抽出部152は、例えばOCR処理を実行することにより、請求書データが示す請求書に含まれている複数のテキスト情報を抽出する。抽出部152は、請求書データが示す請求書に含まれているテキスト情報を、複数の項目データのいずれかに分類することにより、複数の項目それぞれに対応する項目データを抽出する。
【0033】
項目データには、請求書の鑑に対応する項目データとして、取引先名、請求書発行日、費用計上日、支払金額、請求書番号、請求書に対応する注文書の注文書番号、請求書の発行先の住所、請求書の発行先の物件の名称が含まれている。また、項目データには、請求書の明細に対応する項目データとして、取引された商品の名称、商品の単価、数量、小計、及び商品に対して課される税額が含まれている。抽出部152は、請求書の鑑に対応する項目データをまとめた鑑データを抽出するとともに、請求書の明細に対応する項目データを明細毎にまとめた明細データを一以上抽出する。
【0034】
補完部153は、明細データに含まれる複数の項目データのうち、所定の項目データを抽出部152が抽出できなかった場合に、当該所定の項目データを補完する。補完部153は、請求書データから抽出した一以上の明細データのそれぞれにおいて、明細データに含まれる複数の項目データのうち、所定の項目データを抽出部152が抽出できなかった場合に、当該所定の項目データを補完する。
【0035】
例えば、補完部153は、明細データに含まれる複数の項目データのうち、商品の数量及び小計を示す項目データを抽出部152が抽出し、単価を抽出できなかった場合に、数量及び小計に基づいて単価を補完する。補完部153は、例えば、商品の数量が5、小計が550であった場合、550を5で除算して得られる値である110を単価とすることにより、単価を補完する。
【0036】
また、補完部153は、明細データに含まれる複数の項目データのうち、小計を示す項目データを抽出部152が抽出し、商品の単価及び数量を示す項目データを抽出部152が抽出できなかった場合に、単価を小計が示す金額に補完し、数量を1に補完する。補完部153は、例えば、商品の小計が550であり、商品の単価及び数量を示す項目データを抽出できなかった場合、単価を550、数量を1とすることにより、単価及び数量を補完する。
【0037】
補完部153は、抽出部152が小計を示す項目データを抽出し、商品の単価及び数量を示す項目データを抽出できなかった場合に、単価を小計が示す金額に補完し、数量を1に補完したが、これに限らない。補完部153は、複数の項目データのうち、商品の数量を示す項目データを抽出部152が抽出できなかった場合において、商品の名称に商品の数量を示す情報が含まれている場合には、当該商品の数量を示す情報に基づいて数量を補完してもよい。例えば、商品の名称が「商品A 10セット」である場合、補完部153は、商品の名称から、商品の単位を示す「セット」に関連付けられている数量として「10」を特定する。そして、補完部153は、商品の数量を、特定した数量「10」に補完する。
【0038】
また、補完部153は、複数の項目データのうち、商品の小計を示す項目データを前記抽出部152が抽出し、当該商品に対して課される税額を抽出できなかった場合に、小計に基づいて税額を補完する。例えば、補完部153は、商品の小計を示す項目データを前記抽出部152が抽出し、当該商品に対して課される税額を抽出できなかった場合に、小計に税額が含まれているものとみなし、税率に基づいて小計から税額を算出する。
【0039】
特定部154は、データ取得部151が取得した請求書データが示す請求書に対応する注文書の有無を特定する。特定部154は、抽出部152が請求書データから注文書番号を抽出できたか否かに基づいて請求書に対応する注文書の有無を特定する。なお、特定部154は、抽出部152が請求書データから注文書番号を抽出できたか否かに基づいて請求書に対応する注文書の有無を特定したが、これに限らない。
【0040】
この場合、例えば、記憶部14に、注文書の注文書番号と、当該注文書の明細を示す注文書明細データとを関連付けた注文書情報データベースが記憶されていてもよい。そして、特定部154は、抽出部152が抽出した一以上の明細データに対応する注文書明細データが、一つの注文書番号に関連付けられて注文書情報データベースに記憶されているか否かに基づいて、請求書に対応する注文書の有無を特定する。抽出部152が抽出した一以上の明細データと注文書明細データとが対応するというのは、抽出部152が抽出した一以上の明細データと注文書明細データとが一致することをいう。このようにすることで、特定部154は、請求書に注文書番号が表示されていない場合であっても、請求書から抽出した明細データと、注文書明細データとの照合を行うことにより、注文書の有無を特定することができる。
【0041】
また、特定部154は、請求書に対応する取引先が属する国及び請求書に対応する通貨の種別の少なくともいずれかを特定する。例えば、特定部154は、抽出部152が抽出した項目情報に基づいて、請求書に記載された文字列が示す言語を特定し、当該言語に基づいて請求書に対応する取引先が属する国及び通貨の種別を特定する。また、特定部154は、抽出部152が抽出した単価に、「円」や「¥」等の通貨の種別を示す文字列又は記号が含まれている場合、当該文字列又は記号に基づいて通貨の種別を特定してもよい。
【0042】
生成部155は、明細データとして、請求書の明細に対応し、明細それぞれの内容を示す情報である摘要を生成する。例えば、記憶部14に、取引先を識別する取引先識別情報と、当該取引先が提供する商品の正式名称とを関連付けて記憶する商品マスターを記憶する。取引先識別情報は、例えば取引先の名称である。生成部155は、抽出部152が抽出した商品の名称と、取引先の名称とに対応する、記憶部14に記憶されている商品の正式名称に基づいて、明細データに含まれる摘要を生成する。例えば、生成部155は、抽出部152が抽出した取引先名の名称に関連付けられているとともに、抽出部152が抽出した商品の名称の少なくとも一部と一致又は類似する商品の正式名称を特定し、特定した正式名称を含む摘要を生成する。
【0043】
なお、生成部155は、商品マスターを参照して摘要を生成したが、これに限らない。生成部155は、抽出部152が抽出した商品の名称と、取引先の名称とに対応する、出力部156が出力し、過去に登録された過去明細データに含まれる摘要に基づいて、当該商品の名称に対応する摘要を生成してもよい。このようにすることで、生成部155は、商品の名称に変化がある場合であっても、摘要に含まれる商品の名称を統一することができる。
【0044】
出力部156は、抽出部152が抽出した鑑データを出力する。例えば、出力部156は、特定部154により特定された請求書に対応する取引先が属する国及び請求書に対応する通貨の種別を含む鑑データを表示部13に出力する。また、出力部156は、補完部153により項目データが補完された後の明細データを表示部13に出力する。また、出力部156は、特定部154により特定された注文書の有無を示す情報を出力する。
【0045】
例えば、出力部156は、鑑データと、明細データとを少なくとも含む読取結果画面を表示部13に出力する。図5は、読取結果画面の一例を示す図である。図5に示す例では、画面の右側に請求書データが表示されているとともに、画面の左側に、請求書データから抽出された鑑データと明細データとが表示されていることが確認できる。図6は、図5に示す請求書の拡大図である。
【0046】
図6に示す例では、請求書データにおける商品の単価が不鮮明であることにより、抽出部152が商品の単価を読み取れない。これに対し、補完部153が、商品の小計と商品の個数とに基づいて単価を補完することにより、図5に示す明細データでは単価が表示されていることが確認できる。また、図5に示す例では、注文書の有無を示す情報として、「対応する注文書:有」と表示されているとともに、注文書を確認するための確認ボタンが表示されていることが確認できる。
【0047】
登録部157は、ユーザの操作に応じて、抽出部152が抽出した鑑データ及び補完部153により項目データが補完された後の明細データを請求書情報データベースに登録する。図5に示す例では、請求書情報データベースへの登録を受け付ける登録ボタンが表示されている。登録部157は、登録ボタンが押下されると、読取結果画面に表示されている鑑データと明細データとを請求書情報データベースに登録する。なお、登録部157は、鑑データ及び明細データの登録前に、ユーザから鑑データ及び明細データの少なくともいずれかの訂正を受け付けてもよい。
【0048】
[データ処理装置1における処理の流れ]
図7は、本実施形態に係るデータ処理装置1における基本的な処理の流れを示すフローチャートである。
まず、データ取得部151は、読取装置2が請求書を読み取ることによって生成した請求書データを取得する(S1)。
続いて、抽出部152は、請求書データから複数の項目情報を抽出し、複数の項目情報に基づいて鑑データ及び明細データを抽出する(S2)。
【0049】
続いて、補完部153は、S2において抽出された鑑データ及び明細データに不足している項目情報があるか否かを判定する(S3)。補完部153は、不足している項目情報があると判定すると、S4に処理を移し、不足している項目情報を補完する。補完部153は、不足している項目情報がないと判定すると、S5に処理を移す。
【0050】
続いて、特定部154は、請求書に対応する注文書の有無を特定するとともに、請求書に対応する取引先が属する国及び請求書に対応する通貨の種別を特定する(S5)。
続いて、生成部155は、請求書の一以上の明細のそれぞれに対応する摘要を生成する(S6)。
【0051】
続いて、出力部156は、鑑データと、明細データと、注文書の有無を示す情報とを含む読取結果画面を表示部13に出力する(S7)。
その後、登録部157はユーザの操作に応じて、読取結果画面に表示されている鑑データ及び明細データを請求書情報データベースに登録する(S8)。
【0052】
[データ処理装置1による効果]
以上説明したように、本実施形態に係るデータ処理装置1は、請求書データから、請求書の明細を示し、複数の項目のそれぞれに対応する複数の項目データを含む明細データを抽出し、明細データに対応する複数の項目データのうち、所定の項目データを抽出できなかった場合に、当該所定の項目データを補完し、項目データが補完された後の明細データを出力する。このようにすることで、データ処理装置1は、明細データに含まれる情報に不足が発生しないようにし、会計システム等の外部システムに明細データが取り込まれる際に取込エラーが発生しないようにすることができる。
【0053】
以上、本発明を実施の形態を用いて説明したが、本発明の技術的範囲は上記実施の形態に記載の範囲には限定されず、その要旨の範囲内で種々の変形及び変更が可能である。例えば、請求書データは、読取装置2が読み取ることにより作成されたデータであることとしたが、これに限らず、コンピュータが作成したpdfファイル等の電子データであってもよい。また、装置の全部又は一部は、任意の単位で機能的又は物理的に分散・統合して構成することができる。また、複数の実施の形態の任意の組み合わせによって生じる新たな実施の形態も、本発明の実施の形態に含まれる。組み合わせによって生じる新たな実施の形態の効果は、もとの実施の形態の効果を併せ持つ。
【符号の説明】
【0054】
1 データ処理装置
2 読取装置
11 通信部
12 操作部
13 表示部
14 記憶部
15 制御部
151 データ取得部
152 抽出部
153 補完部
154 特定部
155 生成部
156 出力部
157 登録部


図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7