(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022007799
(43)【公開日】2022-01-13
(54)【発明の名称】飛行型ロボット、飛行型ロボットの制御プログラムおよび飛行型ロボットの制御方法
(51)【国際特許分類】
B64C 13/18 20060101AFI20220105BHJP
B64C 39/02 20060101ALI20220105BHJP
B64C 27/04 20060101ALI20220105BHJP
B64D 47/08 20060101ALI20220105BHJP
G06T 7/00 20170101ALI20220105BHJP
G08B 21/10 20060101ALI20220105BHJP
【FI】
B64C13/18 Z
B64C39/02
B64C27/04
B64D47/08
G06T7/00 660A
G08B21/10
【審査請求】未請求
【請求項の数】40
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2020110979
(22)【出願日】2020-06-26
(71)【出願人】
【識別番号】516385310
【氏名又は名称】合同会社酒井総合研究所
(74)【代理人】
【識別番号】100104190
【弁理士】
【氏名又は名称】酒井 昭徳
(72)【発明者】
【氏名】岸田 郁子
【テーマコード(参考)】
5C086
5L096
【Fターム(参考)】
5C086AA11
5C086AA12
5C086AA13
5C086BA24
5C086CA05
5C086CA10
5C086CA12
5C086CA16
5C086CA21
5C086CA22
5C086CA25
5C086CB16
5C086DA40
5C086FA01
5C086FA06
5C086FA17
5L096AA02
5L096AA06
5L096BA05
5L096CA04
5L096FA09
5L096FA52
5L096JA11
(57)【要約】
【課題】ユーザーの心を癒やし、ユーザーに充足感を与えること。
【解決手段】飛行型ロボット100は、自動操縦により飛行するドローン101と、ドローン101に搭載されたカメラ103と、を備え、カメラ103によって撮影された画像に基づいて特定のユーザー600を認識し、当該特定のユーザー600の周囲を飛行する。これにより、特定のユーザー600を飼い主としてコミュニケーションを要求するというペットを模した動作をすることができ、ユーザー600の心を癒やし、ユーザー600に充足感を与えることができる。
【選択図】
図6A
【特許請求の範囲】
【請求項1】
自動操縦により飛行する無人航空機と、
前記無人航空機に搭載されたカメラと、
を備え、
前記カメラによって撮影された画像に基づいて特定のユーザーを認識し、当該特定のユーザーの周囲を飛行することを特徴とする飛行型ロボット。
【請求項2】
前記特定のユーザーは、前記カメラによって所定時間以上または所定回数以上撮影された人物であることを特徴とする請求項1に記載の飛行型ロボット。
【請求項3】
前記特定のユーザーは、特定の範囲内において、前記カメラによって撮影された人物であることを特徴とする請求項1または2に記載の飛行型ロボット。
【請求項4】
前記特定のユーザーの周囲を飛行中に、当該特定のユーザーの少なくとも一部が前記無人航空機に接近した場合、当該特定のユーザーから離れるように飛行することを特徴とする請求項1~3のいずれか一つに記載の飛行型ロボット。
【請求項5】
前記特定のユーザーの周囲を飛行中に、当該特定のユーザーが前記無人航空機を目視しない場合、当該特定のユーザーに接近するように飛行することを特徴とする請求項1~3のいずれか一つに記載の飛行型ロボット。
【請求項6】
前記特定のユーザーの周囲を所定回数飛行した後、当該特定のユーザーから離れるように飛行することを特徴とする請求項1~3のいずれか一つに記載の飛行型ロボット。
【請求項7】
前記無人航空機に搭載された無線通信インターフェースを備え、
前記無線通信インタフェースを介して、所定の情報を取得した場合、前記特定のユーザーの周囲を飛行することを特徴とする請求項1~6のいずれか一つに記載の飛行型ロボット。
【請求項8】
前記所定の情報は、特定の端末装置から出力された通知情報であることを特徴とする請求項7に記載の飛行型ロボット。
【請求項9】
前記所定の情報は、現時点以降の所定時間内に災害、地震、津波、発雷、降雨、強風、急激な天候の変化が発生する可能性があることを示す情報であることを特徴とする請求項7に記載の飛行型ロボット。
【請求項10】
前記無人航空機に搭載されたスピーカーを備え、
前記特定のユーザーに向けて前記スピーカーから音声を出力するとともに、当該特定のユーザーの周囲を飛行することを特徴とする請求項1~9のいずれか一つに記載の飛行型ロボット。
【請求項11】
前記無人航空機に搭載されたマイクを備え、
前記マイクによって所定の音声が集音された場合、前記特定のユーザーの周囲を飛行することを特徴とする請求項1~10のいずれか一つに記載の飛行型ロボット。
【請求項12】
前記所定の音声は、電話機に電話および電子メールの少なくとも一方が着信していることを通知する着信音であることを特徴とする請求項11に記載の飛行型ロボット。
【請求項13】
前記所定の音声は、前記特定のユーザーの声であることを特徴とする請求項11に記載の飛行型ロボット。
【請求項14】
前記無人航空機に搭載されたスピーカーを備え、
前記マイクによって所定の音声が集音された場合、前記特定のユーザーに向けて前記スピーカーから音声を出力するとともに、当該特定のユーザーの周囲を飛行することを特徴とする請求項11~13のいずれか一つに記載の飛行型ロボット。
【請求項15】
前記スピーカーから出力する音声は、動物の鳴き声を模した音声であることを特徴とする請求項10または14に記載の飛行型ロボット。
【請求項16】
カメラが搭載され、自動操縦により飛行する無人航空機が備えるコンピュータに、
前記カメラによって撮影された画像に基づいて特定のユーザーを認識させ、
認識された前記特定のユーザーの周囲を飛行させる、
処理を実行させることを特徴とする飛行型ロボットの制御プログラム。
【請求項17】
前記特定のユーザーの周囲を飛行中に、当該特定のユーザーの少なくとも一部が前記無人航空機に接近した場合、当該特定のユーザーから離れるように飛行させる、
処理を実行させることを特徴とする請求項16に記載の飛行型ロボットの制御プログラム。
【請求項18】
前記特定のユーザーの周囲を飛行中に、当該特定のユーザーが前記無人航空機を目視しない場合、当該特定のユーザーに接近するように飛行させる、
処理を実行させることを特徴とする請求項16に記載の飛行型ロボットの制御プログラム。
【請求項19】
前記特定のユーザーの周囲を所定回数飛行した後、当該特定のユーザーから離れるように飛行させる、
処理を実行させることを特徴とする請求項16に記載の飛行型ロボットの制御プログラム。
【請求項20】
カメラが搭載され、自動操縦により飛行する無人航空機を備える飛行型ロボットに、
前記カメラによって撮影された画像に基づいて特定のユーザーを認識させ、
認識された前記特定のユーザーの周囲を飛行させる、
ことを特徴とする飛行型ロボットの制御方法。
【請求項21】
前記特定のユーザーの周囲を飛行中に、当該特定のユーザーの少なくとも一部が前記無人航空機に接近した場合、当該特定のユーザーから離れるように飛行させる、
ことを特徴とする請求項20に記載の飛行型ロボットの制御方法。
【請求項22】
前記特定のユーザーの周囲を飛行中に、当該特定のユーザーが前記無人航空機を目視しない場合、当該特定のユーザーに接近するように飛行させる、
ことを特徴とする請求項20に記載の飛行型ロボットの制御方法。
【請求項23】
前記特定のユーザーの周囲を所定回数飛行した後、当該特定のユーザーから離れるように飛行させる、
ことを特徴とする請求項20に記載の飛行型ロボットの制御方法。
【請求項24】
自動操縦により飛行する無人航空機と、
前記無人航空機に搭載されたカメラと、
前記無人航空機に搭載されたマイクと、
を備え、
前記カメラによって撮影された画像に基づいて特定のユーザーを認識し、
前記マイクによって所定の音声が集音された場合に、当該所定の音声に応じて、認識した前記特定のユーザーの近傍と所定の音声の発生源との間を飛行することを特徴とする飛行型ロボット。
【請求項25】
前記マイクによって所定の音声が集音された場合に、当該所定の音声に応じて、認識した前記特定のユーザーの周囲を周回してから、当該特定のユーザーの近傍と所定の音声の発生源との間を飛行することを特徴とする請求項24に記載の飛行型ロボット。
【請求項26】
前記所定の音声は、電話機に電話および電子メールの少なくとも一方が着信していることを通知する着信音であることを特徴とする請求項24または25に記載の飛行型ロボット。
【請求項27】
前記所定の音声は、建物または敷地の入り口に、当該建物または敷地への訪問者が当該建物または敷地の居住者または管理者を呼び出すために設けられた呼び鈴の呼出音であることを特徴とする請求項請求項24または25に記載の飛行型ロボット。
【請求項28】
前記所定の音声は、所定の閾値以上の音圧の音声であることを特徴とする請求項24または25に記載の飛行型ロボット。
【請求項29】
前記所定の音声は、前記特定のユーザーから所定範囲内において発生する音声であることを特徴とする請求項24または25に記載の飛行型ロボット。
【請求項30】
前記所定の音声に応じて、当該所定の音声に対応する飛行態様で、認識した前記特定のユーザーの周囲を飛行することを特徴とする請求項24~29のいずれか一つに記載の飛行型ロボット。
【請求項31】
前記無人航空機に搭載されたプロジェクターを備え、
前記マイクによって所定の音声が集音された場合に、認識した前記特定のユーザーの前方に、当該所定の音声に応じた画像を前記プロジェクターから投影することを特徴とする請求項24~30のいずれか一つに記載の飛行型ロボット。
【請求項32】
前記無人航空機に搭載された無線通信インターフェースを備え、
前記無線通信インタフェースを介して、前記プロジェクターから投影する画像にかかる画像データを取得することを特徴とする請求項31に記載の飛行型ロボット。
【請求項33】
前記マイクによって所定の音声が集音された場合に、認識した前記特定のユーザーの前方に、当該所定の音声に応じた文字を前記プロジェクターから投影することを特徴とする請求項24~32のいずれか一つに記載の飛行型ロボット。
【請求項34】
カメラおよびマイクが搭載されて自動操縦により飛行する無人航空機を備えた飛行型ロボットが備えるコンピュータに、
前記カメラによって撮影された画像に基づいて特定のユーザーを認識し、
前記マイクによって所定の音声が集音された場合に、当該所定の音声に応じて、認識した前記特定のユーザーの近傍と所定の音声の発生源との間を飛行させる、
処理を実行させることを特徴とする飛行型ロボットの制御プログラム。
【請求項35】
カメラおよびマイクが搭載され、自動操縦により飛行する無人航空機を備える飛行型ロボットに、
前記カメラによって撮影された画像に基づいて特定のユーザーを認識させ、
前記マイクによって所定の音声が集音された場合に、当該所定の音声に応じて、認識した前記特定のユーザーの近傍と所定の音声の発生源との間を飛行させる、
ことを特徴とする飛行型ロボットの制御方法。
【請求項36】
カメラ、マイクおよびプロジェクターが搭載されて自動操縦により飛行する無人航空機を備える飛行型ロボットが備えるコンピュータに、
前記カメラによって撮影された画像に基づいて特定のユーザーを認識し、
前記マイクによって所定の音声が集音された場合に、当該所定の音声に応じて、認識した前記特定のユーザーの近傍と所定の音声の発生源との間を飛行させるとともに、認識した前記特定のユーザーの前方に、当該所定の音声に応じた画像を前記プロジェクターから投影させる、
処理を実行させることを特徴とする飛行型ロボットの制御プログラム。
【請求項37】
カメラ、マイクおよびプロジェクターが搭載され、自動操縦により飛行する無人航空機を備える飛行型ロボットに、
前記カメラによって撮影された画像に基づいて特定のユーザーを認識させ、
前記マイクによって所定の音声が集音された場合に、当該所定の音声に応じて、認識した前記特定のユーザーの近傍と所定の音声の発生源との間を飛行させるとともに、認識した前記特定のユーザーの前方に、当該所定の音声に応じた画像を前記プロジェクターから投影させる、
ことを特徴とする飛行型ロボットの制御方法。
【請求項38】
自動操縦により飛行する無人航空機と、
前記無人航空機に搭載されたカメラと、
前記無人航空機に搭載された無線通信インターフェースを備え、
を備え、
前記カメラによって撮影された画像に基づいて特定のユーザーを認識し、
前記無線通信インタフェースを介して、現時点以降の所定時間内に災害、地震、津波、発雷、降雨、強風、急激な天候の変化が発生する可能性があることを示す情報を取得した場合に、当該所定の音声に応じて、認識した前記特定のユーザーの近傍と所定の音声の発生源との間を飛行することを特徴とする飛行型ロボット。
【請求項39】
カメラおよび無線通信インターフェースが搭載されて自動操縦により飛行する無人航空機を備える飛行型ロボットが備えるコンピュータに、
前記カメラによって撮影された画像に基づいて特定のユーザーを認識し、
前記無線通信インタフェースを介して、現時点以降の所定時間内に災害、地震、津波、発雷、降雨、強風、急激な天候の変化が発生する可能性があることを示す情報を取得した場合に、当該所定の音声に応じて、認識した前記特定のユーザーの近傍と所定の音声の発生源との間を飛行させる、
処理を実行させることを特徴とする飛行型ロボットの制御プログラム。
【請求項40】
カメラおよび無線通信インターフェースが搭載され、自動操縦により飛行する無人航空機を備える飛行型ロボットに、
前記カメラによって撮影された画像に基づいて特定のユーザーを認識し、
前記無線通信インタフェースを介して、現時点以降の所定時間内に災害、地震、津波、発雷、降雨、強風、急激な天候の変化が発生する可能性があることを示す情報を取得した場合に、当該所定の音声に応じて、認識した前記特定のユーザーの近傍と所定の音声の発生源との間を飛行させる、
ことを特徴とする飛行型ロボットの制御方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、ペットを模した動作をする飛行型ロボット、飛行型ロボットの制御プログラムおよび飛行型ロボットの制御方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、犬や猫などの動物の形状をなし、自ら移動したり鳴き声を発したりという動物の動作を模した動作をするペット型ロボットがある。このようなペット型ロボットは、利便性を求めた実用的な機能ではなく、主に、その外観や動作によって利用者の心を癒やし楽しませることを目的として設計されている。
【0003】
具体的には、従来、たとえば、学習対象物を特定し、特定した学習対象物の情報を連想想起記憶部に記憶し、新たに検出した物と連想想起記憶部に記憶した学習対象物の情報とに基づいて行動させることにより、学習対象物の共有(共同注意)を可能として、適切に学習対象物を特定できるようにした技術があった(たとえば、下記特許文献1を参照。)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、動物であれば自らの意思をもち、必ずしも飼い主の動作のみに応じて動作するものではなく、時には飼い主の指示を聞かなかったり飼い主がいなくても自由に動き回ったりするが、上述した従来の技術は、一様にユーザーとのコミュニケーションに応じて動作するものであって、自律性に劣る。
【0006】
この発明は、上述した従来技術による問題点を解消するため、ユーザーの心を癒やし、ユーザーに充足感を与えることができる飛行型ロボット、飛行型ロボットの制御プログラムおよび飛行型ロボットの制御方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上述した課題を解決し、目的を達成するため、この発明にかかる飛行型ロボットは、自動操縦により飛行する無人航空機と、前記無人航空機に搭載されたカメラと、を備え、前記カメラによって撮影された画像に基づいて特定のユーザーを認識し、当該特定のユーザーの周囲を飛行することを特徴とする。
【0008】
また、この発明にかかる飛行型ロボットは、上記の発明において、前記特定のユーザーが、前記カメラによって所定時間以上または所定回数以上撮影された人物であることを特徴とする。
【0009】
また、この発明にかかる飛行型ロボットは、上記の発明において、前記特定のユーザーが、特定の範囲内において、前記カメラによって撮影された人物であることを特徴とする。
【0010】
また、この発明にかかる飛行型ロボットは、上記の発明において、前記特定のユーザーの周囲を飛行中に、当該特定のユーザーの少なくとも一部が前記無人航空機に接近した場合、当該特定のユーザーから離れるように飛行することを特徴とする。
【0011】
また、この発明にかかる飛行型ロボットは、上記の発明において、前記特定のユーザーの周囲を飛行中に、当該特定のユーザーが前記無人航空機を目視しない場合、当該特定のユーザーに接近するように飛行することを特徴とする。
【0012】
また、この発明にかかる飛行型ロボットは、上記の発明において、前記特定のユーザーの周囲を所定回数飛行した後、当該特定のユーザーから離れるように飛行することを特徴とする。
【0013】
また、この発明にかかる飛行型ロボットは、上記の発明において、前記無人航空機に搭載された無線通信インターフェースを備え、前記無線通信インタフェースを介して、所定の情報を取得した場合、前記特定のユーザーの周囲を飛行することを特徴とする。
【0014】
また、この発明にかかる飛行型ロボットは、上記の発明において、前記所定の情報が、特定の端末装置から出力された通知情報であることを特徴とする。
【0015】
また、この発明にかかる飛行型ロボットは、上記の発明において、前記所定の情報が、現時点以降の所定時間内に災害、地震、津波、発雷、降雨、強風、急激な天候の変化が発生する可能性があることを示す情報であることを特徴とする。
【0016】
また、この発明にかかる飛行型ロボットは、上記の発明において、前記無人航空機に搭載されたスピーカーを備え、前記特定のユーザーに向けて前記スピーカーから音声を出力するとともに、当該特定のユーザーの周囲を飛行することを特徴とする。
【0017】
また、この発明にかかる飛行型ロボットは、上記の発明において、前記無人航空機に搭載されたマイクを備え、前記マイクによって所定の音声が集音された場合、前記特定のユーザーの周囲を飛行することを特徴とする。
【0018】
また、この発明にかかる飛行型ロボットは、上記の発明において、前記所定の音声が、電話機に電話および電子メールの少なくとも一方が着信していることを通知する着信音であることを特徴とする。
【0019】
また、この発明にかかる飛行型ロボットは、上記の発明において、前記所定の音声が、前記特定のユーザーの声であることを特徴とする。
【0020】
また、この発明にかかる飛行型ロボットは、上記の発明において、前記無人航空機に搭載されたスピーカーを備え、前記マイクによって所定の音声が集音された場合、前記特定のユーザーに向けて前記スピーカーから音声を出力するとともに、当該特定のユーザーの周囲を飛行することを特徴とする。
【0021】
また、この発明にかかる飛行型ロボットは、上記の発明において、前記スピーカーから出力する音声が、動物の鳴き声を模した音声であることを特徴とする。
【0022】
また、この発明にかかる飛行型ロボットの制御プログラムは、カメラが搭載され、自動操縦により飛行する無人航空機が備えるコンピュータに、前記カメラによって撮影された画像に基づいて特定のユーザーを認識させ、認識された前記特定のユーザーの周囲を飛行させる、処理を実行させることを特徴とする。
【0023】
また、この発明にかかる飛行型ロボットの制御プログラムは、上記の発明において、前記特定のユーザーの周囲を飛行中に、当該特定のユーザーの少なくとも一部が前記無人航空機に接近した場合、当該特定のユーザーから離れるように飛行させる、処理を実行させることを特徴とする。
【0024】
また、この発明にかかる飛行型ロボットの制御プログラムは、上記の発明において、前記特定のユーザーの周囲を飛行中に、当該特定のユーザーが前記無人航空機を目視しない場合、当該特定のユーザーに接近するように飛行させる、処理を実行させることを特徴とする。
【0025】
また、この発明にかかる飛行型ロボットの制御プログラムは、上記の発明において、前記特定のユーザーの周囲を所定回数飛行した後、当該特定のユーザーから離れるように飛行させる、処理を実行させることを特徴とする。
【0026】
また、この発明にかかる飛行型ロボットの制御方法は、カメラが搭載され、自動操縦により飛行する無人航空機を備える飛行型ロボットに、前記カメラによって撮影された画像に基づいて特定のユーザーを認識させ、認識された前記特定のユーザーの周囲を飛行させる、ことを特徴とする。
【0027】
また、この発明にかかる飛行型ロボットの制御方法は、上記の発明において、前記特定のユーザーの周囲を飛行中に、当該特定のユーザーの少なくとも一部が前記無人航空機に接近した場合、当該特定のユーザーから離れるように飛行させる、ことを特徴とする。
【0028】
また、この発明にかかる飛行型ロボットの制御方法は、上記の発明において、前記特定のユーザーの周囲を飛行中に、当該特定のユーザーが前記無人航空機を目視しない場合、当該特定のユーザーに接近するように飛行させる、ことを特徴とする。
【0029】
また、この発明にかかる飛行型ロボットの制御方法は、上記の発明において、前記特定のユーザーの周囲を所定回数飛行した後、当該特定のユーザーから離れるように飛行させる、ことを特徴とする。
【0030】
また、この発明にかかる飛行型ロボットは、自動操縦により飛行する無人航空機と、前記無人航空機に搭載されたカメラと、前記無人航空機に搭載されたマイクと、を備え、前記カメラによって撮影された画像に基づいて特定のユーザーを認識し、前記マイクによって所定の音声が集音された場合に、当該所定の音声に応じて、認識した前記特定のユーザーの近傍と所定の音声の発生源との間を飛行することを特徴とする。
【0031】
前記マイクによって所定の音声が集音された場合に、当該所定の音声に応じて、認識した前記特定のユーザーの周囲を周回してから、当該特定のユーザーの近傍と所定の音声の発生源との間を飛行することを特徴とする請求項24に記載の飛行型ロボット。
【0032】
また、この発明にかかる飛行型ロボットは、上記の発明において、前記所定の音声が、電話機に電話および電子メールの少なくとも一方が着信していることを通知する着信音で
【0033】
また、この発明にかかる飛行型ロボットは、上記の発明において、前記所定の音声が、建物または敷地の入り口に、当該建物または敷地への訪問者が当該建物または敷地の居住者または管理者を呼び出すために設けられた呼び鈴の呼出音であることを特徴とする。
【0034】
また、この発明にかかる飛行型ロボットは、上記の発明において、前記所定の音声が、所定の閾値以上の音圧の音声であることを特徴とする。
【0035】
また、この発明にかかる飛行型ロボットは、上記の発明において、前記所定の音声が、前記特定のユーザーから所定範囲内において発生する音声であることを特徴とする。
【0036】
また、この発明にかかる飛行型ロボットは、上記の発明において、前記所定の音声に応じて、当該所定の音声に対応する飛行態様で、認識した前記特定のユーザーの周囲を飛行することを特徴とする。
【0037】
また、この発明にかかる飛行型ロボットは、上記の発明において、前記無人航空機に搭載されたプロジェクターを備え、前記マイクによって所定の音声が集音された場合に、認識した前記特定のユーザーの前方に、当該所定の音声に応じた画像を前記プロジェクターから投影することを特徴とする。
【0038】
また、この発明にかかる飛行型ロボットは、上記の発明において、前記無人航空機に搭載された無線通信インターフェースを備え、前記無線通信インタフェースを介して、前記プロジェクターから投影する画像にかかる画像データを取得することを特徴とする。
【0039】
また、この発明にかかる飛行型ロボットは、上記の発明において、前記マイクによって所定の音声が集音された場合に、認識した前記特定のユーザーの前方に、当該所定の音声に応じた文字を前記プロジェクターから投影することを特徴とする。
【0040】
また、この発明にかかる飛行型ロボットの制御プログラムは、カメラおよびマイクが搭載されて自動操縦により飛行する無人航空機を備えた飛行型ロボットが備えるコンピュータに、前記カメラによって撮影された画像に基づいて特定のユーザーを認識し、前記マイクによって所定の音声が集音された場合に、当該所定の音声に応じて、認識した前記特定のユーザーの近傍と所定の音声の発生源との間を飛行させる、処理を実行させることを特徴とする。
【0041】
また、この発明にかかる飛行型ロボットの制御方法は、カメラおよびマイクが搭載され、自動操縦により飛行する無人航空機を備える飛行型ロボットに、前記カメラによって撮影された画像に基づいて特定のユーザーを認識させ、前記マイクによって所定の音声が集音された場合に、当該所定の音声に応じて、認識した前記特定のユーザーの近傍と所定の音声の発生源との間を飛行させる、ことを特徴とする。
【0042】
また、この発明にかかる飛行型ロボットの制御プログラムは、カメラ、マイクおよびプロジェクターが搭載されて自動操縦により飛行する無人航空機を備える飛行型ロボットが備えるコンピュータに、前記カメラによって撮影された画像に基づいて特定のユーザーを認識し、前記マイクによって所定の音声が集音された場合に、当該所定の音声に応じて、認識した前記特定のユーザーの近傍と所定の音声の発生源との間を飛行させるとともに、認識した前記特定のユーザーの前方に、当該所定の音声に応じた画像を前記プロジェクターから投影させる、処理を実行させることを特徴とする。
【0043】
また、この発明にかかる飛行型ロボットの制御方法は、カメラ、マイクおよびプロジェクターが搭載され、自動操縦により飛行する無人航空機を備える飛行型ロボットに、前記カメラによって撮影された画像に基づいて特定のユーザーを認識させ、前記マイクによって所定の音声が集音された場合に、当該所定の音声に応じて、認識した前記特定のユーザーの近傍と所定の音声の発生源との間を飛行させるとともに、認識した前記特定のユーザーの前方に、当該所定の音声に応じた画像を前記プロジェクターから投影させる、ことを特徴とする。
【0044】
また、この発明にかかる飛行型ロボットは、自動操縦により飛行する無人航空機と、前記無人航空機に搭載されたカメラと、前記無人航空機に搭載された無線通信インターフェースを備え、を備え、前記カメラによって撮影された画像に基づいて特定のユーザーを認識し、前記無線通信インタフェースを介して、現時点以降の所定時間内に災害、地震、津波、発雷、降雨、強風、急激な天候の変化が発生する可能性があることを示す情報を取得した場合に、当該所定の音声に応じて、認識した前記特定のユーザーの近傍と所定の音声の発生源との間を飛行することを特徴とする。
【0045】
また、この発明にかかる飛行型ロボットの制御プログラムは、カメラおよび無線通信インターフェースが搭載されて自動操縦により飛行する無人航空機を備える飛行型ロボットが備えるコンピュータに、前記カメラによって撮影された画像に基づいて特定のユーザーを認識し、前記無線通信インタフェースを介して、現時点以降の所定時間内に災害、地震、津波、発雷、降雨、強風、急激な天候の変化が発生する可能性があることを示す情報を取得した場合に、当該所定の音声に応じて、認識した前記特定のユーザーの近傍と所定の音声の発生源との間を飛行させる、処理を実行させることを特徴とする。
【0046】
また、この発明にかかる飛行型ロボットの制御方法は、カメラおよび無線通信インターフェースが搭載され、自動操縦により飛行する無人航空機を備える飛行型ロボットに、前記カメラによって撮影された画像に基づいて特定のユーザーを認識し、前記無線通信インタフェースを介して、現時点以降の所定時間内に災害、地震、津波、発雷、降雨、強風、急激な天候の変化が発生する可能性があることを示す情報を取得した場合に、当該所定の音声に応じて、認識した前記特定のユーザーの近傍と所定の音声の発生源との間を飛行させる、ことを特徴とする。
【発明の効果】
【0047】
この発明にかかる飛行型ロボット、飛行型ロボットの制御プログラムおよび飛行型ロボットの制御方法によれば、ユーザーの心を癒やし、ユーザーに充足感を与えることができるという効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【0048】
【
図1A】この発明にかかる実施の形態1の飛行型ロボットの外観の一例を示す説明図(その1)である。
【
図1B】この発明にかかる実施の形態1の飛行型ロボットの外観の一例を示す説明図(その2)である。
【
図2】この発明にかかる実施の形態1の飛行型ロボットのハードウエア構成を示す説明図である。
【
図3】この発明にかかる実施の形態1の飛行型ロボットの機能的構成を示す説明図である。
【
図4A】充電スポットの一例を示す説明図(その1)である。
【
図4B】充電スポットの一例を示す説明図(その2)である。
【
図5】この発明にかかる実施の形態1の飛行型ロボットの処理手順の一例を示すフローチャートである。
【
図6A】この発明にかかる実施の形態1の飛行型ロボットの利用態様の一例を示す説明図(その1)である。
【
図6B】この発明にかかる実施の形態1の飛行型ロボットの利用態様の一例を示す説明図(その2)である。
【
図6C】この発明にかかる実施の形態1の飛行型ロボットの利用態様の一例を示す説明図(その3)である。
【
図7】この発明にかかる実施の形態2の飛行型ロボットの外観の一例を示す説明図である。
【
図8】この発明にかかる実施の形態2の飛行型ロボットのハードウエア構成を示す説明図である。
【
図9】この発明にかかる実施の形態2の飛行型ロボットの処理手順の一例を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0049】
以下に添付図面を参照して、この発明にかかる飛行型ロボット、飛行型ロボットの制御プログラムおよび飛行型ロボットの制御方法の好適な実施の形態を詳細に説明する。
【0050】
<実施の形態1>
(飛行型ロボットの外観の一例)
まず、この発明にかかる実施の形態1の飛行型ロボットの外観の一例について説明する。
図1Aおよび
図1Bは、この発明にかかる実施の形態1の飛行型ロボットの外観の一例を示す説明図である。
図1Aおよび
図1Bに示すように、飛行型ロボット100は、ドローン(無人航空機)101を備えている。
【0051】
ドローン101は、具体的には、たとえば、4つのプロペラ102を備えたクアッドコプターを採用することができる。ドローン101は、クアッドコプターに限るものではなく、6つのプロペラを備えたヘキサコプター、8つのプロペラを備えたオクトコプターなど、各種のマルチコプターを採用することができる。
【0052】
また、飛行型ロボット100は、カメラ103を備えている。
図1Aや
図1Bに示すように、動物のような形状の飛行型ロボット100において、カメラ103は、たとえば、目に相当する部分に設けることができる。あるいは、カメラ103は、ドローン101の筐体の下側に設けてもよい。
【0053】
カメラ103は、飛行型ロボット100の周囲の画像を撮影する。飛行型ロボット100は、たとえば、カメラ103によって撮影された画像に基づいて、特定のユーザーを認識する。カメラ103は、たとえば、汎用的なデジタルカメラによって実現することができる。
【0054】
特定のユーザーは、たとえば、カメラ103によって所定時間以上または所定回数以上撮影された人物、すなわち、飛行型ロボット100と相応に接する機会をもった人物とすることができる。また、特定のユーザーは、たとえば、特定の範囲内において撮影された人物、すなわち、自宅内、学校の敷地内、店舗内などのような特定の範囲内にいる機会が相応にあるために、カメラ103によって撮影される可能性の高い人物とすることができる。特定の範囲は、充電スポット(
図4Aおよび
図4Bを参照)から所定範囲内としてもよい。
【0055】
あるいは、特定のユーザーは、たとえば、特定の範囲内において、カメラ103によって所定時間以上または所定回数以上撮影された人物としてもよい。このような人物は、自宅内、学校の敷地内、店舗内などのような特定の範囲内にいる機会が相応にあり、かつ、飛行型ロボットと相応に接する機会をもった人物であると見なせるため、特定の範囲内において飛行型ロボットと長時間・高頻度で接する機会をもった人物を、特定のユーザーとすることができる。
【0056】
特定のユーザーは、1人であってもよく、複数人であってもよい。特定のユーザーとする人物の数は、所定の数に制限してもよく、無制限であってもよい。特定のユーザーとする人物の数を所定の数に制限することにより、メモリ(
図2を参照)の容量を抑えることができる。
【0057】
また、特定のユーザーは、現在時点から所定期間遡った時点までの間に、特定の範囲内において、カメラ103によって所定時間以上または所定回数以上撮影された人物としてもよい。これにより、特定のユーザーとする人物の数を所定の数に制限する運用において、先に特定のユーザーとされた人物から別の人物に飛行型ロボット100が譲渡されたり、学校や保育園における進級や卒業・卒園などにより特定の範囲内に立ち入る人物が変わったりした場合にも、直近に飛行型ロボット100と相応に接する機会をもった人物を特定のユーザーとすることができ、現状に即した運用を実現することができる。
【0058】
カメラ103は、汎用的なデジタルカメラに代えて、光に対して感度を増幅させることによって暗い場所を撮影する暗視カメラ、赤外線に感度を有する赤外線カメラ、赤外線カメラが撮影した画像における白黒の濃淡を解析してカラー画像を撮影する赤外線カラー暗視カメラなどによって実現してもよい。暗視カメラ、赤外線カメラ、赤外線カラー暗視カメラなどを用いて画像を撮影することにより、夜間や照度の低い室内などにおいても、特定のユーザーを精度よく認識することができる。
【0059】
飛行型ロボット100が備えるカメラ103は、1台であってもよく、複数台であってもよい。複数台のカメラ103を備える飛行型ロボット100においては、1種類のカメラ103に限るものではなく、異なる複数種類のカメラ103を備えていてもよい。
【0060】
カメラ103は、ドローン101に対して、姿勢の調整が可能な状態で連結されていてもよい。カメラ103は、具体的には、たとえば、ドローン101の底面部にボールジョイントなどの自在継手を介して連結することができる。カメラ103を、ボールジョイントなどの自在継手を介してドローン101に連結することにより、カメラ103の姿勢の調整にかかる高い自由度を確保することができる。
【0061】
さらに、飛行型ロボット100は、ドローン101に対するカメラ103の姿勢を変化させる駆動機構を備えていてもよい。これにより、人手を介さずに、ドローン101に対するカメラ103の姿勢を調整することができる。駆動機構は、たとえば、モーターやギア列などによって構成することができる。ドローン101に対するカメラ103の姿勢を人手を介さずに調整可能とすることにより、ドローン101の姿勢にかかわらず、飛行型ロボット100の飛行中に、撮影方向を任意に調整することができる。カメラ103は、ズーム機能の備えていてもよい。
【0062】
飛行型ロボット100は、ドローン101の筐体内に、ワイヤレス電力伝送(Wireless Power Transfer、Contactless Power Transmission)における受電コイルを備えている。ワイヤレス給電は、バッテリー(
図2を参照)に対して、充電用接点を介することなく電力を受電する技術であって、非接触給電あるいは無線給電などとも称される。
【0063】
受電コイルは、ドローン101の筐体の外装面よりも内側に設けられている。これにより、飲料や雨露などの水滴による飛行型ロボット100の劣化や故障を回避することができる。飛行型ロボット100は、受電コイルに代えて、あるいは、加えて、バッテリーの充電のための充電用接点を備えていてもよい。
【0064】
また、
図1Aや
図1Bに示すように、動物のような形状の飛行型ロボット100においては、たとえば、目に相当する部分にLEDランプ104を備えていてもよい。LEDランプ104は、たとえば、目玉に相当する部分や、目玉に相当する部分にカメラ103のレンズがある場合には当該レンズを縁取るように設けることができる。このような飛行型ロボット100においては、尻尾、耳、翼、足(脚、肢)、角、牙、髭など、鳥獣類が備える特徴的な部位に相当する部材105を備えていてもよい。
【0065】
鳥獣類が備える特徴的な部位に相当する部材105は、現代において実在している鳥獣類が備える部位に相当する部材に限らず、恐竜などのように絶滅した動物が備える部位や、竜やユニコーンのような幻獣が備える部位に相当する部材であってもよい。また、これらの部材は、可動式とし、動作させるためのモーターなどの駆動機構を備えていてもよい。これにより、飛行型ロボット100は、尻尾を振ったり、耳を動かしたりする動作を模すことができる。
【0066】
飛行型ロボット100は、さらに、太陽光などの外光によって発電するソーラーセル(太陽電池)106を備えていてもよい。ソーラーセル106は、たとえば、ドローン101の筐体における上側の面に設ける。これにより、飛行中に確実に外光を取り入れて効率よく発電することができる。また、ソーラーセル106を備えることにより、飛行中も充電することができるため、1回当たりの飛行時間を長く確保することができる。
【0067】
(飛行型ロボット100のハードウエア構成)
つぎに、飛行型ロボット100のハードウエア構成について説明する。
図2は、この発明にかかる実施の形態1の飛行型ロボット100のハードウエア構成を示す説明図である。
図2に示すように、飛行型ロボット100のハードウエアは、バッテリー201、モーター202、カメラ103、マイク203、スピーカー204、GPSセンサー205、対物センサー206、制御回路207、通信I/F208、LEDランプ104、ソーラーセル106などによって構成される。飛行型ロボット100が備える各部103、104、106、201~208は、バス200によって接続されている。
【0068】
バッテリー201は、飛行型ロボット100が備える各部の動作に要する電源を供給する。バッテリー201は、たとえば、リチウム電池などの二次電池(充電式電池、蓄電池)によって実現することができる。二次電池によって実現されるバッテリー201は、ドローン101に対して着脱可能であってもよい。
【0069】
モーター202は、制御回路207によって制御され、回転することによってプロペラ102を回転させる。モーター202は、具体的には、たとえば、回転子が永久磁石であって、固定子がコイルによって構成されるブラシレスモータを使用することができる。モーター202は、プロペラ102の数と同数設けることにより、各プロペラ102をそれぞれ独立して回転させ、飛行型ロボット100を前進させたり、後進させたり左右方向に旋回させたりすることができる。
【0070】
飛行型ロボット100が、カメラ103の姿勢を調整する駆動機構を備えている場合、制御回路207は、当該駆動機構を構成するモーターの動作も制御する。これにより、飛行型ロボット100は移動しながら、人手を介することなく、カメラ103の姿勢を調整し、任意の範囲や広範囲を撮影することができる。
【0071】
カメラ103は、撮像素子を備え、撮影レンズを通過したレンズを撮像素子に受光させることにより画像を撮影する。また、カメラ103は、撮影した画像、すなわち撮像素子に受光した光信号を電気信号に変換した画像情報(撮影データ)を、制御回路207に出力する。
【0072】
カメラ103は、静止画を撮影するものであってもよく、動画を撮影するものであってもよい。動画は、所定時間間隔で撮影された静止画を連続して再生するものを含む。画像情報は、所定の動画・音声データの圧縮方式の標準規格(たとえば、MPEG(Moving Picture Experts Group)など)によって圧縮されたものであってもよい。
【0073】
マイク203は、飛行型ロボット100の周囲の音声を集音する。マイク203は、アナログデータとして入力された音声を電気信号に変換する。具体的に、マイク203は、アナログデータとして入力されたアナログの音声信号を、アナログ/デジタル変換し、デジタル形式の音声データを生成する。
【0074】
スピーカー204は、音声信号である電気信号によって振動板を振動させて音を発生させる。また、スピーカー204は、音声信号を出力する出力端子であってもよく、当該出力端子に外部スピーカー204を接続して、音を発生させるようにしてもよい。
【0075】
GPSセンサー205は、飛行型ロボット100の現在位置を特定する。GPSセンサー205は、具体的には、たとえば、GPSアンテナ、RF(Radio Frequency)部、ベースバンド部などを備えている。GPSアンテナは、GPS衛星が放送する電波を受信する。RF部は、GPSアンテナが受信した変調前の信号をベースバンド信号に復調する。ベースバンド部は、RF部が復調したベースバンド信号に基づいて飛行型ロボット100の現在位置を算出する。GPSセンサー205は、さらに、不要成分を除去するフィルタや、LNA(Low Noise Amplifier)やパワーアンプPA(Power Amplifier)などの増幅器を備えていてもよい。
【0076】
飛行型ロボット100の現在位置は、複数のGPS衛星から送信される電波に基づく測位によって特定することができる。ベースバンド部は、4機のGPS衛星との距離をそれぞれ算出し、それぞれの距離が一つに交わる位置を算出することによって測位をおこなう。GPS衛星から受信した電波に基づいて、GPS衛星と飛行型ロボット100との幾何学的位置を求めるGPSに代えて、みちびき、グローナス(GLONASS)、ガリレオ(Galileo)などの衛星測位システムを用いて飛行型ロボット100の現在位置を特定してもよい。
【0077】
対物センサー206は、飛行型ロボット100から所定範囲内に存在する障害物の有無を検出する。障害物は、飛行型ロボット100の飛行の支障になる物体であって、具体的には、たとえば、壁、天井、家具、人物などが該当する。飛行型ロボット100を屋外で飛行させる場合、たとえば、車両、自装置以外の飛行型ロボット100、樹木、建物など、飛行型ロボット100の飛行の支障になるすべての物体が障害物に該当する。
【0078】
対物センサー206は、具体的には、たとえば、赤外線センサー、静電容量センサー、超音波センサーなどの非接触センサーによって実現することができる。対物センサー206は、赤外線センサー、静電容量センサー、超音波センサーなどの非接触センサーのうち少なくともいずれかによって実現することができる。飛行型ロボット100は、複数種類の非接触センサーを対物センサー206として搭載していてもよい。また、飛行型ロボット100は、カメラ103によって撮影した画像に基づいて、飛行型ロボット100から所定範囲内に存在する障害物の有無を検出してもよい。
【0079】
ソーラーセル106は、プラスを帯びやすいP型シリコン半導体とマイナスを帯びやすいN型シリコン半導体とを、PN接合面を介して張り合わせることによって構成されている。ソーラーセル106においては、太陽光などの外光による光エネルギーがPN接合面に加わると、P型シリコン半導体はプラスを帯び、N型シリコン半導体はマイナスを帯びる。ソーラーセル106において、P型シリコン半導体およびN型シリコン半導体にはそれぞれ電極が接続されており、当該電極にそれぞれ接続された電線を介して発電した電力を取り出すことができる。
【0080】
制御回路207は、飛行型ロボット100が備える各部を駆動制御する。制御回路207は、CPUやメモリなどによって構成されるマイコンによって実現することができる。制御回路207は、具体的には、たとえば、LSI(Large Scale Integration)やFPGA(Field-Programmable Gate Array)などによって実現することができる。
【0081】
CPUは、メモリに記憶されたプログラムを実行することによって、飛行型ロボット100の全体の制御をつかさどる。メモリは、たとえば、CPUが実行するプログラムや、飛行型ロボット100の動作に関する各種条件に関する情報、カメラ103が撮影した画像に関する情報などの各種の情報を記憶する。
【0082】
メモリは、具体的には、たとえば、ICメモリやSSD(Solid State Drive)などによって実現することができる。また、メモリは、飛行型ロボット100に対して、飛行型ロボット100に設けられたカードスロットを介して着脱可能なメモリカードであってもよい。メモリカードは、たとえば、SD(Secure Digital)メモリカードなどのICカードによってその機能を実現することができる。メモリは、外付けのUSBメモリなどによって、その機能を実現するようにしてもよい。
【0083】
制御回路207は、ソーラーセル106によって発電された電力をバッテリー201に充電する充電回路などを備える。充電回路は、ソーラーセル106が発電した電力における電圧を調整するDC/DCコンバータなどを含む。
【0084】
また、制御回路207は、IMU(Inertial Measurement Unit)、ESC(Electronic Speed Controller)や、BEC(Battery Elimination Circuit)あるいはUBEC(Universal BEC)などの回路を含んでいる。
【0085】
IMUは、ドローン101が外部の情報を取得するために必要なセンサー類であって、たとえば、ジャイロセンサー、加速度センサー、気圧センサー、超音波センサー、磁気方位センサー(コンパス)などによって構成される。また、上記のGPSセンサー205も、IMUに含まれる。
【0086】
ジャイロセンサーは、ドローン101の角度の変化量を検出する。ジャイロセンサーは、たとえば、コリオリ力を利用して角速度を計測することによって、ドローン101の角度の変化量を検出する。ジャイロセンサーにより、ドローン101を安定して飛行させることができる。
【0087】
加速度センサーは、ドローン101の速度の変化量を検出する。ジャイロセンサーおよび加速度センサーにより、ドローン101の傾き具合とドローン101の速度との両方の変化量を計算することができるので、ドローン101が傾いたままであっても、飛行し続けることができる。
【0088】
気圧センサーは、ドローン101の高度を検出する。気圧センサーは、たとえば、気圧の変化を検出することによって、ドローン101の高度を検出する。気圧センサーによってドローン101の高度を測定することにより、ドローン101の高度を維持することができる。
【0089】
超音波センサーは、ドローン101の下方に位置する物体(床面、障害物など)からの距離を検出する。超音波センサーは、たとえば、ドローン101の下面に設けられ、ドローン101の下方に発した超音波の跳ね返りを利用して、ドローン101の下方に位置する物体からの距離を検出する。これにより、ドローン101の地上(床面、地面など)追跡や、着陸を安定しておこなうことができる。対物センサー206として超音波センサーを用いる場合、ドローン101の全方位に超音波を発し、当該超音波センサーによって、対物センサー206としての機能と、IMUの一部としての機能と、を両立させてもよい。
【0090】
磁気方位センサーは、ドローン101が東西南北のいずれの方角に向いているかを検出する。飛行型ロボット100は、飛行させる場所によって磁気の影響を受けるため、運用上、飛行させる場所の変更に際しては、コンパスキャリブレーションをおこない、磁気方位センサーの調整をおこなうことが好ましい。
【0091】
IMUは、上記のマイコンとともにフライトコントローラを構成する。フライトコントローラは、モーター202の回転制御にかかる演算をおこない、ESCに対して、プロペラ(プロペラのモーター202)の回転方向や回転数を制御する制御信号を出力する。ESCは、フライトコントローラから出力された制御信号に基づきモーター202を回転制御する。フライトコントローラは、飛行型ロボット100の飛行中、飛行型ロボット100の傾きなどを検知して演算を繰り返しおこない、モーター202に対する制御信号を再帰的に出力する。
【0092】
フライトコントローラは、具体的には、たとえば、隣り合うプロペラどうしを逆回転させるように制御する制御信号を出力することによって飛行型ロボット100の回転を防止する。また、たとえば、進行方向前方のプロペラを進行方向後方のプロペラよりも遅く回転させるように制御することによって飛行型ロボット100を前進させる。また、たとえば、進行方向右側のプロペラを進行方向左側のプロペラよりも遅く回転させるように制御することによって飛行型ロボット100を右方向に旋回させる。
【0093】
また、制御回路207は、バッテリー201の残量を計測する残量計測回路を含んでいる。残量計測回路は、たとえば、インピーダンス・トラック方式、電圧測定方式、クーロン・カウンタ方式、あるいは、電池セル・モデリング方式など、公知の各種の方式を用いてバッテリー201の残量を計測する。
【0094】
通信I/F208は、通信回線を通じて飛行型ロボット100とネットワークNとを接続する無線通信インタフェースであって、ネットワークNと飛行型ロボット100の内部とのインタフェースをつかさどり、ネットワークNを介して接続されている外部装置からのデータの入力および外部装置へのデータの出力を制御する。ネットワークNは、たとえば、インターネット、LAN(Local Area Network)、WAN(Wide Area Network)などによって実現される。
【0095】
通信I/F208は、たとえば、Wi-Fi(登録商標)による無線インタフェースである。また、通信I/F208は、携帯電話回線(たとえばLTE(Long Term Evolution)、PHS(Personal Handy-phone System)などの無線通信のインタフェースであってもよい。
【0096】
通信I/F208を介した通信は、所定の時刻、所定時間ごとなど定期的におこなってもよく、通信回線の状況などに応じて任意のタイミングでおこなってもよい。上記のメモリは、通信I/F208を介した通信によって取得した情報を記憶してもよい。また、メモリは、飛行型ロボット100のユーザなどによってあらかじめ入力された情報を記憶してもよい。
【0097】
目に相当する部分に設けられたLEDランプ104は、制御回路207によって制御され、飛行型ロボット100の飛行動作と連動して点灯したり消灯したり点滅したりする。また、LEDランプ104は、飛行型ロボット100の状態を案内してもよい。具体的には、たとえば、充電残量が所定の閾値を下回った場合に、所定のパターンで点滅する。LEDランプ104の発光色は1色に限るものではなく、複数色であってもよい。
【0098】
飛行型ロボット100は、その他、図示は省略するが、飛行型ロボット100に対する入力指示をおこなうキーまたはボタンなどの入出力デバイスや、飛行型ロボット100の電源のON/OFFを切り替える電源スイッチ、および、目に相当する部分以外の位置に設けられたLEDランプなどを備えていてもよい。入出力デバイスは、他の情報処理装置を接続可能な接続端子などによって実現されるものであってもよい。
【0099】
(飛行型ロボット100の機能的構成)
つぎに、飛行型ロボット100の機能的構成について説明する。
図3は、この発明にかかる実施の形態1の飛行型ロボット100の機能的構成を示す説明図である。
図3に示すように、飛行型ロボット100の機能は、記憶部301と、検出部302と、撮影部303と、取得部304と、駆動部305と、出力部306と、制御部307と、によって実現される。
【0100】
記憶部301は、制御部307による制御にかかる各種プログラムや、プログラムの実行に用いる閾値などを含む各種情報を記憶する。また、記憶部301は、撮影部303が撮影した画像情報や、取得部304が取得した情報などを記憶する。記憶部301は、バッテリーの充電スポットに関する情報などを記憶してもよい。記憶部301302は、具体的には、たとえば、
図2に示した制御回路207におけるメモリなどによって、その機能を実現することができる。
【0101】
検出部302は、飛行型ロボット100から所定範囲内に存在する障害物の有無を検出する。検出部302は、具体的には、たとえば、
図2に示した対物センサー206などによって、その機能を実現することができる。また、検出部302は、具体的には、たとえば、対物センサー206に代えて、あるいは、対物センサー206に加えて、
図2に示したカメラ103などによって、その機能を実現してもよい。
【0102】
カメラ103による障害物の有無の検出は、たとえば、飛行型ロボット100が移動することにより得られる、異なる複数の位置において撮影された各画像における視差(各画像どうしの差分)に基づき、障害物までの距離を求める移動ステレオ方法を用いることによって実現することができる。移動ステレオ方法を用いることにより、単眼のカメラを用いて、飛行型ロボット100から所定範囲内に存在する障害物の有無を検出することができる。
【0103】
撮影部303は、飛行型ロボット100の周囲の画像を撮影する。撮影部303は、具体的には、たとえば、
図2に示したカメラ103などによって、その機能を実現することができる。上記の記憶部301は、撮影部303が撮影した画像にかかる画像情報を記憶する。
【0104】
また、記憶部301は、画像情報に加えて、当該画像情報にかかる画像を撮影した場所に関する情報を、当該画像情報に関連付けて記憶してもよい。画像を撮影した場所に関する情報は、たとえば、GPSセンサー205を用いて特定することができる。
【0105】
取得部304は、飛行型ロボット100の外部の情報を取得する。具体的には、取得部304は、たとえば、飛行型ロボット100の周囲の画像を取得する。この場合、取得部304は、具体的には、たとえば、
図2に示したカメラ103などによって、その機能を実現することができる。上記の記憶部301は、取得部304が取得した情報のうち、少なくとも、撮影した画像に含まれる人物、あるいは、当該人物の特徴に関する情報を記憶する。
【0106】
また、具体的には、取得部304は、たとえば、ネットワークNを介して、外部装置から所定の情報を取得してもよい。この場合、取得部304は、具体的には、たとえば、
図2に示した通信I/F208などによって、その機能を実現することができる。
【0107】
この場合の取得部304は、たとえば、特定の端末装置から出力された通知情報を、所定の情報として取得する。特定の端末装置は、たとえば、あらかじめ記憶部301に識別情報を記憶した端末装置であって、具体的には、特定のユーザーが所有するスマートフォンなどによって実現することができる。
【0108】
また、この場合の取得部304は、たとえば、現時点以降の所定時間内に、災害などのような特定のユーザーに影響を与える可能性がある事象が発生する可能性があることを示す情報を、所定の情報として取得してもよい。所定の情報は、たとえば、現時点以降の所定時間内に災害、地震、津波、発雷、降雨、強風、急激な天候の変化が発生する可能性があることを示す情報であってもよい。取得部304は、ネットワークNを介して、たとえば、常時、あるいは所定間隔ごとに通信をおこなってこのような所定の情報を取得する。
【0109】
また、取得部304は、たとえば、特定のユーザーの嗜好に合致した音楽やニュース、物品の販売情報などの各種の情報を、所定の情報として取得してもよい。この場合、取得部304は、具体的には、たとえば、
図2に示したカメラ103やマイク203などによって、その機能を実現することができる。特定のユーザーの嗜好に合致した音楽・ニュース・物品の販売情報などは、たとえば、マイク203によって特定のユーザーの周囲において集音された音声、特定のユーザーの使用頻度が高い物品、特定のユーザーの視界に入る頻度が高い物品、などに基づいて判断することができる。
【0110】
特定のユーザーの視界に入る頻度が高い物品は、たとえば、映画、ニュース、バラエティなどのテレビ番組、園芸品や食器などの趣味性の高い物品などであって、特定のユーザーの使用頻度が高い物品と同様に、撮影部303が撮影した画像などに基づいて判断することができる。上記の記憶部301は、取得部304が取得した情報のうち、少なくとも、特定のユーザーの嗜好に関する情報を記憶することができる。
【0111】
また、取得部304は、たとえば、特定のユーザーの声を取得してもよい。特定のユーザーの声は、たとえば、マイク203によって集音された音声や、マイク203によって集音された音声および同時期にカメラによって撮影された画像などに基づいて判断することができる。この場合、取得部304は、具体的には、たとえば、
図2に示したカメラ103やマイク203などによって、その機能を実現することができる。上記の記憶部301は、取得部304が取得した情報のうち、特定のユーザーの声に関する情報を記憶することができる。
【0112】
また、取得部304は、たとえば、別の飛行型ロボット100が学習した情報を、所定の情報として取得してもよい。これにより、単機の飛行型ロボット100の学習により得られた情報を、別の複数の飛行型ロボット100が共有することができ、飛行型ロボット100に、特定のユーザーの嗜好により一層合致した行動をさせることができる。
【0113】
駆動部305は、ドローン101の飛行を制御する。駆動部305は、具体的には、たとえば、
図1に示したドローン101によって、その機能を実現することができる。駆動部305は、より具体的には、たとえば、
図1に示したプロペラ102や
図2に示した制御回路207におけるフライトコントローラ、ESC、BEC(UBEC)、および、モーター202、対物センサー206などによって、その機能を実現することができる。
【0114】
出力部306は、飛行型ロボット100の飛行動作と連動して動作する。また、出力部306は、飛行型ロボット100の状態に応じて動作する。出力部306は、たとえば、飛行型ロボット100が特定のユーザーの周辺を飛行する飛行動作に連動して動作したり、飛行型ロボット100が特定のユーザーの周辺を飛行している状態におけるバッテリーの残量に応じて動作する。
【0115】
具体的に、出力部306は、たとえば、飛行型ロボット100が特定のユーザーの周辺を飛行する際に、目に相当する部分に設けられたLEDランプ104を点灯させたり、点滅させたりする。この場合、出力部306は、具体的には、たとえば、
図1や
図2に示したLEDランプ104などによって、その機能を実現することができる。
【0116】
また、出力部306は、たとえば、飛行型ロボット100が特定のユーザーの周辺を飛行する際に、スピーカー204から音声を出力してもよい。出力部306が出力する音声は、たとえば、動物の鳴き声を模した音声であってもよく、特定のユーザーへ語りかける声であってもよく、音楽であってもよい。この場合、出力部306は、具体的には、たとえば、
図2に示したスピーカー204などによって、その機能を実現することができる。
【0117】
また、出力部306は、たとえば、災害、地震、津波、発雷、降雨、強風、急激な天候の変化など、特定のユーザーに影響を与える可能性がある事象が発生する可能性があることを示す情報が取得されたことに応じて、飛行型ロボット100が特定のユーザーの周辺に近づいた際に、当該事象が発生する可能性があることを案内する音声を出力したり、特定のパターンや発光色でLEDランプ104を発光させたり点滅させたりしてもよい。
【0118】
制御部307は、飛行型ロボット100の全体を制御する。制御部307は、具体的には、たとえば、
図2に示した制御回路207によって、その機能を実現することができる。制御部307は、より具体的には、たとえば、
図2に示した制御回路207におけるCPUによって、メモリなどに記憶されたプログラムを実行することによって、その機能を実現することができる。
【0119】
制御部307は、たとえば、駆動部305を制御することによって、ドローン101を飛行させる。具体的に、制御部307は、バッテリーがフル充電された場合に、ドローン101の飛行を開始する。また、制御部307は、たとえば、特定のユーザーの呼び声を検出した場合に、飛行を開始する。また、制御部307は、たとえば、通信I/F208を介して取得した情報に基づいて、所定の情報を取得した場合に、飛行を開始する。
【0120】
また、制御部307は、たとえば、撮影部303によって撮影された画像に基づいて特定のユーザーを認識する。特定のユーザーの認識に際し、制御部307は、たとえば、撮影部303によって撮影された画像のノイズや歪みなどを取り除き、当該画像に含まれるオブジェクトの輪郭を強調したり、当該画像の明るさや色合いを調整したりすることによって人物を抽出しやすくする。
【0121】
また、特定のユーザーの認識に際し、制御部307は、たとえば、撮影部303によって撮影された画像から当該画像を構成する最小要素であるピクセル単位で、目・口・鼻などの特徴を抽出し、ピクセルに付与されている色や明るさなどの各種の情報に基づいて、当該画像に撮影されている人物を認識する。
【0122】
また、特定のユーザーの認識に際し、制御部307は、たとえば、抽出した人物に関する情報を、記憶部301に記憶する。抽出した人物に関する情報は、たとえば、当該人物が撮影された累積の時間、当該人物が撮影された累積の回数のうちの少なくとも一方を含む。抽出した人物に関する情報は、たとえば、当該人物が撮影された累積の時間、および、当該人物が撮影された累積の回数の両方を含んでいてもよい。
【0123】
また、特定のユーザーの認識に際し、制御部307は、たとえば、撮影部303によって撮影された画像と、記憶部301に記憶されている抽出した人物に関する情報とに基づいて、撮影部303によって撮影された画像から認識された人物が、撮影部303によって所定時間以上または所定回数以上撮影された人物であるか否かを判断する。そして、撮影部303によって撮影された画像から抽出された人物が、所定時間以上または所定回数以上撮影された人物である場合に、当該画像から認識された人物が特定のユーザーであると認識する。
【0124】
制御部307は、特定の範囲内において撮影部303によって撮影された人物であるか否かを判断することにより、特定のユーザーを認識してもよい。具体的には、たとえば、自宅内、学校の敷地内、店舗内などのような特定の範囲内にいる機会が相応にある人物を、特定のユーザーであると認識することができる。
【0125】
制御部307は、さらに、特定の範囲内において、撮影部303によって撮影された画像から認識された人物が、撮影部303によって所定時間以上または所定回数以上撮影された人物であるか否かを判断することによって、特定のユーザーを認識してもよい。具体的には、たとえば、自宅内、学校の敷地内、店舗内などのような特定の範囲内において、撮影部303によって撮影された画像から認識された人物が、所定時間以上または所定回数以上撮影された人物である場合に、当該画像から認識された人物が特定のユーザーであると認識する。
【0126】
また、制御部307は、たとえば、特定のユーザーを認識した場合に、駆動部305を制御することによって、当該特定のユーザーの周囲において飛行型ロボット100を飛行させる。制御部307は、具体的には、たとえば、特定のユーザーが手を伸ばしても飛行型ロボット100に触れることができない程度に、当該特定のユーザーに近い位置において飛行型ロボット100を飛行させる。
【0127】
制御部307は、より具体的には、たとえば、特定のユーザーの頭上において飛行型ロボット100を旋回させたり、特定のユーザーの正面において飛行型ロボット100をホバリングさせたり、特定のユーザーにじゃれるように当該特定のユーザーに対して飛行型ロボット100を近づけたり遠のけたりするように、飛行型ロボット100を飛行させる。制御部307は、特定のユーザーが飛行型ロボット100を視認したことを検出した場合、当該特定のユーザーから離れて充電スポットに戻るように、飛行型ロボット100を飛行させてもよい。このように、飛行型ロボット100が、巣の周囲を巡回して状況を確認して巣に戻るという、いわば、充電スポットを巣に見立てた「縄張り行動」を模すことにより、特定のユーザーを含む周囲の人物に、あたかも、飛行型ロボット100が自らの意思をもった生物であるような印象を与えることができる。
【0128】
制御部307は、駆動部305を制御することによって、飛行型ロボット100に特定のユーザーの周囲を飛行させるだけでもよく、駆動部305と出力部306とを連動させて、飛行型ロボット100に特定のユーザーの周囲を飛行させながら、LEDランプ104を発光(点滅)させたり、スピーカー204から音声を出力させたりしてもよい。
【0129】
(充電スポットの外観の一例)
つぎに、充電スポットの外観の一例について説明する。
図4Aおよび
図4Bは、充電スポットの一例を示す説明図である。
図4Aにおいては、充電スポットの外観の一例を示している。
図4Bにおいては、
図4AにおけるA-A断面を示している。
図4Aおよび
図4Bに示すように、充電スポット400は、充電パッド401と、外装部402と、を備えている。
【0130】
充電パッド401は、送電コイル401aを備えている。送電コイル401aは、ABS樹脂やシリコンゴムなどを用いて形成されたカバー401bに内包されている。また、充電パッド401(送電コイル401a)には、先端にコンセントプラグが設けられた電源ケーブル401cが接続されている。電源ケーブル401cの先端に設けられたコンセントプラグを商用電源に接続し、送電コイル401aに電気を流すことによって、送電コイル401aに磁界を発生させることができる。
【0131】
充電パッド401は、電源ケーブル401cに代えて、メス型USB端子などのような、充電ケーブルを接続可能な端子を備えていてもよい。この場合、オス型USB端子を備える電源ケーブルや、商用電源とUSB電源との変換用アダプターを用いて、送電コイル401aに電気を流すことによって、送電コイル401aに磁界を発生させることができる。これにより、充電スポット400の設置場所などに応じた任意の長さの電源ケーブルを用いることができる。
【0132】
外装部402は、たとえば、鳥獣類の巣を模した外観をなし、充電パッド401を覆うように設置される。外装部402は、充電パッド401に対する飛行型ロボット100の発着を許容する開口部を備えている。外装部402は、たとえば、
図4Aや
図4Bに示すように充電スポット400の上方に開口を備えた形状であってもよく、充電スポット400の真上を覆い側方を開放する開口を備えた洞穴のような形状であってもよい。飛行型ロボット100は、充電パッド401の上方に開口が設けられている場合、充電パッド401に対して、充電パッド401の上側から接近し、充電パッド401の上側へ飛び立つ。飛行型ロボット100は、洞穴のような形状の外装部402を備えている場合、充電パッド401の上側側方から接近し、充電パッド401の上側側方へ飛び立つ。
【0133】
充電スポット400は、Wi-Fiルーターなどの無線ルーターを備えていてもよい。これにより、充電スポット400を通信スポットとして機能させることができ、飛行型ロボット100は、充電スポット400を介して通信をおこなうことができる。自宅などに引き込まれているインターネット回線に充電スポット400を接続し、飛行型ロボット100が充電スポット400を介して通信をおこなうことにより、1台の充電スポット400を設置して、複数台の飛行型ロボット100を利用することができる。
【0134】
(飛行型ロボット100の処理手順の一例)
つぎに、飛行型ロボット100の処理手順の一例について説明する。
図5は、この発明にかかる実施の形態1の飛行型ロボット100の処理手順の一例を示すフローチャートである。
図5のフローチャートにおいて、まず、飛行を開始するか否かを判断する(ステップS501)。ステップS501においては、たとえば、バッテリーの残量に基づいて、バッテリーがフル充電された場合に、飛行を開始すると判断する。また、ステップS501においては、たとえば、マイク203を介して集音される音声に基づいて、特定のユーザーの呼び声を検出した場合に、飛行を開始すると判断してもよい。また、ステップS501においては、たとえば、通信I/F208を介して取得した情報に基づいて、所定の情報を取得した場合に、飛行を開始すると判断してもよい。
【0135】
ステップS501においては、飛行を開始すると判断するまで待機する(ステップS501:No)。一方、ステップS501において、飛行を開始すると判断した場合(ステップS501:Yes)、飛行を開始する(ステップS502)。ステップS502においては、たとえば、ドローン101を駆動し、充電スポット400から飛び立ち、障害物を回避しながら所定の範囲内を飛行する。所定の範囲は、たとえば、自宅内、学校の敷地内、店舗内などのような特定の範囲を含む任意の範囲とすることができる。
【0136】
つぎに、飛行中にカメラによって撮影した画像に基づいて、特定のユーザーを検出したか否かを判断する(ステップS503)。ステップS503においては、たとえば、上記のように、所定の画像処理をおこなって抽出された人物が、撮影部303によって所定時間以上または所定回数以上撮影された人物であるか否かを判断することによって、特定のユーザーを検出したか否かを判断することができる。また、ステップS503においては、たとえば、上記のように、特定の範囲内において、撮影部303によって撮影された画像から認識された人物が、撮影部303によって所定時間以上または所定回数以上撮影された人物であるか否かを判断することによって、特定のユーザーを検出したか否かを判断してもよい。
【0137】
ステップS503において、特定のユーザーを検出していない場合(ステップS503:No)、ステップS505へ移行する。一方、ステップS503において、特定のユーザーを検出したと判断した場合(ステップS503:Yes)、所定のプロセスの実行を開始する(ステップS504)。ステップS504においては、たとえば、あらかじめ設定された複数のプロセスの中から、任意に選択したプロセスの実行を開始する。
【0138】
ステップS504において実行を開始するプロセスは、たとえば、バッテリーの残量、飛行型ロボットの現在位置、ステップS503:Yesにおいて検出した特定のユーザーなどに基づいて選択することができる。また、ステップS504においては、たとえば、特定のユーザーの周囲を任意の回数旋回した後に、充電スポット400に帰還するプロセスの実行を開始してもよい。
【0139】
具体的に、ステップS504においては、たとえば、特定のユーザーの周辺に近づいたり、目に相当する部分に設けられたLEDランプ104を点灯あるいは点滅させたり、動物の鳴き声を模した音声を出力したりするプロセスの実行を開始する。これによって、ペットなどの生物がもつ愛嬌を模した動作を実現することができる。
【0140】
また、特定のユーザーが移動している場合は、ステップS504において、当該特定のユーザーを追いかけるプロセスの実行を開始してもよい。ステップS504において実行を開始するプロセスは、1つであってもよく、複数であってもよい。複数のプロセスの実行を開始する場合、同時に複数のプロセスの実行を開始してもよく、開始時期をずらしてもよい。
【0141】
また、ステップS504においては、たとえば、特定のユーザーの嗜好に合致した音楽を出力したり、ニュースを報知したりしてもよい。また、ステップS504においては、たとえば、特定のユーザーの過去の行動や嗜好などのプロファイルに基づいて、当該特定のユーザーの行動や嗜好などが類似する別のユーザーが利用する飛行型ロボット100のアクションパターンなどの情報を、ネットワークNを介して取得し、取得した情報に基づいて実行するプロセスを決定してもよい。
【0142】
つぎに、バッテリーの残量が、あらかじめ設定された第1の閾値を下回ったか否かを判断する(ステップS505)。第1の閾値は、たとえば、飛行型ロボット100が飛行しうる所定の範囲のうちもっとも充電スポット400から遠い位置から、飛行型ロボット100が充電スポット400に帰還するために要するバッテリー量に設定することができる。
【0143】
ステップS505において、バッテリーの残量が第1の閾値を下回っていない場合(ステップS505:No)、ステップS503へ移行して、特定のユーザーを検出しながらプロセスを実行する。一方、ステップS505において、バッテリーの残量が第1の閾値を下回った場合(ステップS505:Yes)、ステップS504において開始したプロセスが実行中であるか否かを判断する(ステップS506)。ステップS506において、プロセスが実行中ではない場合(ステップS506:No)、ステップS511へ移行する。
【0144】
一方、ステップS506において、プロセスが実行中である場合(ステップS506:Yes)、警告を出力する(ステップS507)。ステップS507においては、たとえば、目に相当する部分に設けられたLEDランプ104を赤色などの特定の色で点灯あるいは点滅させたり、スピーカー204から警告音を出力したりする。あるいは、ステップS507においては、たとえば、「バッテリーがなくなりそう」、「お腹が空いた」などのように、特定のユーザーに飛行型ロボット100の状態を言葉で知らせる音声を出力してもよい。また、あるいは、ステップS507においては、たとえば、ヨロヨロとふらつくような動作を模した飛行動作をおこなってもよい。
【0145】
つぎに、ステップS506:Yesにおいて実行中と判断されたプロセスが完了したか否かを判断し(ステップS508)、当該プロセスが完了した場合(ステップS508:Yes)、ステップS511へ移行する。ステップS508において、プロセスが完了していない場合(ステップS508:No)、バッテリーの残量が、あらかじめ設定された第2の閾値を下回ったか否かを判断する(ステップS509)。第2の閾値は、第1の閾値よりも少ない量に設定されており、飛行型ロボット100が充電スポット400への飛行に要するバッテリー量に設定することができる。第2の閾値は、たとえば、飛行型ロボット100の現在位置や充電スポット400の位置などに基づいて設定することができる。
【0146】
ステップS509において、バッテリーの残量が第2の閾値を下回っていない場合(ステップS509:No)、ステップS508へ移行して、ステップS506:Yesにおいて実行中と判断されたプロセスが完了したか否かを判断する。一方、ステップS509において、バッテリーの残量が第2の閾値を下回った場合(ステップS509:Yes)、実行中のプロセスを強制終了して(ステップS510)、充電スポット400への帰還処理を実行して(ステップS511)、一連の処理を終了する。
【0147】
ステップS510において、複数のプロセスを実行している場合は、実行中のすべてのプロセスを強制終了する。ステップS511においては、ドローン101のフェールセーフ機能のうちのRTH(Return To Home)を発動させることによって、充電スポット400への帰還処理を実行することができる。RTHの発動中は、カメラ103によって撮影された画像や対物センサー206の検出結果に基づいて障害物を回避する。
【0148】
上述した実施の形態1においては、バッテリーの残量が、第1の閾値を下回った場合に警告を出力し、第1の閾値より低い第2の閾値を下回った場合に帰還処理をおこなうようにしたが、これに限るものではない。バッテリーの残量に基づく判断に代えて、あるいは、当該判断に加えて、飛行を開始してからの経過時間に基づいて、警告を出力したり、実行中のプロセスを強制終了して帰還処理をおこなうようにしてもよい。
【0149】
ステップS502において飛行を開始してから第1の閾値や第2の閾値に達するまでの時間は、ステップS502において飛行を開始した時点におけるバッテリーの残量に応じて異なる。このため、飛行を開始した時点におけるバッテリーの残量に応じて、ステップS504において実行を開始するプロセスの種類や数を決定してもよい。
【0150】
(飛行型ロボット100の利用態様の一例)
つぎに、実施の形態1の飛行型ロボット100の利用態様の一例について説明する。
図6A、
図6Bおよび
図6Cは、飛行型ロボット100の利用態様の一例を示す説明図である。
【0151】
飛行型ロボット100は、たとえば、任意のタイミングで飛行を開始し、特定のユーザー600を認識すると、特定のユーザー600に接近し、当該特定のユーザー600の周囲を飛行する(
図6Aを参照)。そして、たとえば、特定のユーザー600の周囲を任意の回数周回した後、あるいは、特定のユーザー600が飛行型ロボット100から目を離した際などに、充電スポット400へ帰還する。
【0152】
このように、飛行型ロボット100が特定のユーザー600の意思とは無関係に動作することにより、あたかも、飛行型ロボット100が自らの意思をもって、不意に巣からやってきて、いつの間にか巣に戻っているような感覚を、特定のユーザー600に抱かせることができる。また、飛行型ロボット100がユーザーの意思とは無関係に動作することにより、あたかも、退屈した飛行型ロボット100が、何の目的もなくやってきて、何の目的もなく飛び回っているかのような感覚を、特定のユーザー600に抱かせることができる。
【0153】
そして、飛行型ロボット100が特定のユーザー600の意思とは無関係に予測のできない動作をすることにより、飛行型ロボット100が自らの意思で動作し、自らの意思で特定のユーザー600を探し出してコミュニケーションを取ろうとしているような感覚を、特定のユーザー600に抱かせることができる。これにより、ペットを飼っている状況と近似した状況を作り出すことができ、飛行型ロボット100を愛玩することで特定のユーザー600の寂しさや孤独感を和らげたり、ストレスを低下させたりすることができる。また、特定のユーザー600を精神的に充足させたり、気持ちを穏やかにさせたりすることができる。
【0154】
また、特定のユーザー600の意思とは無関係な、飛行型ロボット100の予測のできない動作に対して、特定のユーザー600に、飛行型ロボット100の動作の意図を考えさせることができる。これによって、特定のユーザー600に、飛行型ロボット100が無機質・無機的なロボットではなく、命あり心ある生物と触れ合うような感覚を抱かせることができる。そして、これによって、特定のユーザー600の、寂しさや孤独感を和らげたり、ストレスを低下させたり、精神的な充足を高めたり、気持ちを穏やかにさせたりすることができる。
【0155】
飛行型ロボット100は、特定のユーザー600が特定の動作をした場合、その特定の動作に応じて、別のプロセスを実行するようにしてもよい。具体的には、たとえば、特定のユーザー600が飛行型ロボット100に手を近づけるなど、飛行型ロボット100に対して何らかの行動をおこなった場合に、当該特定のユーザー600から離れるように飛行してもよい(
図6Bを参照)。このように、飛行型ロボット100が、敢えて、特定のユーザー600の意に反する動作をおこなうことにより、あたかも、飛行型ロボット100が、特定のユーザー600には媚びない、まるで気まぐれな猫のような態度をとっているような感覚を、特定のユーザー600に抱かせることができる。
【0156】
あるいは、具体的には、たとえば、特定のユーザー600の周囲を周回しても、当該特定のユーザー600が無反応(「飛行型ロボット100に顔を向けない」という動作、など)である場合に、特定のユーザー600に一層接近するように飛行してもよい(
図6Cを参照)。飛行型ロボット100がこのような動作をおこなうことにより、あたかも、飛行型ロボット100が構ってもらいたくて特定のユーザー600に接近している(絡んでくる)ような感覚を、特定のユーザー600に抱かせることができる。
【0157】
このように、飛行型ロボット100が、特定のユーザー600を監視(モニタリング)し、モニタリングの結果に基づいて特定のユーザー600に対する所定の動作をおこない、当該動作に応じた特定のユーザー600の行動に基づいてつぎの動作をおこなうことにより、特定のユーザー600に対して、無機質・無機的なロボットではなく、命あり心あるペットなどの生物と触れ合うような感覚を抱かせることができる。
【0158】
飛行型ロボット100は、特定のユーザー600の同一の行動に対して、常に同じ動作をおこなうものではなくてもよい。たとえば、前回、特定のユーザー600が飛行型ロボット100に手を近づけたことに応じて、当該特定のユーザー600に一層接近した動作をおこなった場合にも、次回、特定のユーザー600が同じ行動をおこなった場合には、当該特定のユーザー600から離れるように飛行してもよい。このように、特定のユーザー600に、飛行型ロボット100の動作の意図を明確に分からせないようにしてもよい。これによって、生物どうしの触れ合いにおいて往々にして発生する不可解さを模すことができる。
【0159】
特定のユーザー600は、飛行型ロボット100の動作の意図が明確に分からない場合があっても、飛行型ロボット100の動作自体を楽しむことができ、生物どうしの触れ合いにおいて往々にして発生する不可解さを楽しむことができる。このようにして、ペットなどの生物との関係性を再現することにより、特定のユーザー600は、正解の不明な(正解があるともないとも不明な)飛行型ロボット100の動作の意図を考えること自体を楽しむことができる。
【0160】
また、飛行型ロボット100が暗視カメラや赤外線カメラを搭載している場合、夜間であっても、撮像補助用の光源を用いることなく、飛行型ロボット100の周囲の画像を鮮明に撮影することができる。これによって、暗闇において人物(泥棒など)を検出した場合は、大きな音を出力したり、通信I/F208を介して警備会社などの外部と連絡をとったりすることができる。
【0161】
上述した実施の形態1においては、利用者(特定のユーザー600)に癒やしを提供する飛行型ロボット100について説明したが、飛行型ロボット100の利用方法はこれに限るものではない。飛行型ロボット100は、たとえば、ボクシングや空手などの格闘技における実戦や試合のシミュレーションの支援をおこなうファイティングシミュレーターとして利用することができる。
【0162】
ファイティングシミュレーターとして利用される飛行型ロボット100は、具体的には、たとえば、ボクシングや空手などの格闘技において、打ち込みをおこなうに適した場所を案内するように飛行する。この場合、利用者は、飛行型ロボット100をめがけて打ち込みをおこなうことにより、実戦形式や試合形式を模した練習(いわゆるスパーリング)をおこなうことができる。
【0163】
スパーリングに際しては、LEDライトの点灯や点滅、発光色の調整、あるいは、音声の出力などによって、打ち込むタイミングを案内してもよい。具体的に、スパーリングに際しては、たとえば、手(拳)で打ち込む場所を、LEDライトを赤色に発光させることによって案内し、足で打ち込む(蹴る)場所を、LEDライトを緑色に発光させることによって案内する。また、スパーリングに際しては、ネットワークNを介して、著名な選手の動きに関する情報を取得し、当該情報に基づいて、著名な選手の動きを模した飛行動作をおこなってもよい。
【0164】
また、飛行型ロボット100は、たとえば、オーケストラや吹奏楽などにおける演奏の指揮をおこなうフライングコンダクターとして利用することができる。フライングコンダクターとして利用される飛行型ロボット100は、具体的には、たとえば、指揮棒(タクト、バトン)の先端の動きを模した飛行動作をおこなう。また、演奏の途中でパートが切り替わる際に、該当するパート(楽器)の近くに飛行するようにしてもよい。これにより、各パートにおける演奏を確実に支援することができる。
【0165】
また、飛行型ロボット100は、たとえば、カラオケなどにおいて、楽曲の進行などにあわせて合いの手を入れたり、楽曲に合わせて踊るように飛行したりするフライングパフォーマーとして利用することができる。フライングパフォーマーとして利用される飛行型ロボット100は、さらに、カラオケにおける演奏楽曲をスピーカー204から出力してもよい。これにより、利用者は、屋外など電源を確保することが難しい場所であっても、任意の場所においてカラオケを楽しむことができる。
【0166】
以上説明したように、この発明にかかる実施の形態の飛行型ロボット100は、自動操縦により飛行するドローン(無人航空機)101と、ドローン101に搭載されたカメラ103と、を備え、カメラ103によって撮影された画像に基づいて特定のユーザー600を認識し、当該特定のユーザー600の周囲を飛行するようにしたことを特徴としている。
【0167】
この発明にかかる実施の形態1の飛行型ロボット100によれば、カメラ103によって撮影された画像に基づいて認識した特定のユーザー600の周囲を自動操縦によって飛行することにより、特定のユーザー600を飼い主として認識し、飼い主にコミュニケーションを要求するという、動物のペットと同様な動作をすることができる。これにより、特定のユーザー600の心を癒やし、特定のユーザー600に充足感を与えることができる。
【0168】
また、飛行型ロボット100によれば、清潔な状態を保つことができるため、生物を飼育する場合と比較して、衛生面における問題をなくすことができる。また、飛行型ロボット100によれば、動物アレルギーの問題が生じないため、特定のユーザー600の体質にかかわらず、ペットとのコミュニケーションを体験することができる。
【0169】
また、飛行型ロボット100によれば、衛生面や動物アレルギーの問題が生じないことに加えて、空中を飛行することにより、床などから細菌やウイルス、汚れなどが付着することがないため、病院や介護施設のような場所においても使用することができる。これにより、病院や介護施設の利用者に対するセラピー効果を期待することができる。
【0170】
また、この発明にかかる実施の形態1の飛行型ロボット100は、カメラ103によって所定時間以上または所定回数以上撮影された人物を、特定のユーザー600として認識することを特徴としている。
【0171】
この発明にかかる実施の形態1の飛行型ロボット100によれば、飛行型ロボット100と相応に接する機会をもった特定のユーザー600の周囲を自動操縦によって飛行することにより、相応に接することでユーザーに馴れるというペットを模した動作をすることができる。これにより、特定のユーザー600に、長期にわたって飛行型ロボットに対する関心をもたせ、特定のユーザー600の心を癒やし、特定のユーザー600に充足感を与えることができる。
【0172】
また、この発明にかかる実施の形態1の飛行型ロボット100は、特定の範囲内において、カメラ103によって撮影された人物を、特定のユーザー600として認識することを特徴としている。
【0173】
この発明にかかる実施の形態1の飛行型ロボット100によれば、たとえば、自宅内、学校の敷地内、店舗内などのような特定の範囲内にいる機会が相応にあるために、カメラによって撮影される可能性の高い特定のユーザー600の周囲を自動操縦によって飛行することにより、特定の範囲内において相応に接した特定のユーザー600に馴れるというペットを模した動作をすることができる。これにより、特定のユーザー600に、長期にわたって飛行型ロボット100に対する関心や親近感や愛着をもたせ、特定のユーザー600の心を癒やし、特定のユーザー600に充足感を与えることができる。
【0174】
このような動作をする飛行型ロボット100は、たとえば、自宅内において飛行型ロボット100と相応に接する機会をもった特定のユーザー600と、自宅外において飛行型ロボット100と相応に接する機会をもった特定のユーザー600の友人と、で異なる動作をするため、特定のユーザー600が飛行型ロボットに対して親近感や愛着をもちやすくなり、より確実に特定のユーザー600の心を癒やし、特定のユーザー600に充足感を与えることができる。
【0175】
また、この発明にかかる実施の形態1の飛行型ロボット100は、前記特定のユーザーの周囲を飛行中に、当該特定のユーザーの少なくとも一部が前記無人航空機に接近した場合、当該特定のユーザーから離れるように飛行することを特徴としている。
【0176】
この発明にかかる実施の形態1の飛行型ロボット100によれば、「飼い主(特定のユーザー600)に近寄ってきたものの、触れられるのは避けたい」という、室内飼いの犬や猫によく見られる「飼い主の行動をチェックしにくる」ような動作を飛行型ロボット100におこなわせることができ、あたかも、飛行型ロボット100が自らの意思をもった生物のような印象を与えることができる。
【0177】
また、この発明にかかる実施の形態1の飛行型ロボット100は、前記特定のユーザーの周囲を飛行中に、当該特定のユーザーが前記無人航空機を目視しない場合、当該特定のユーザーに接近するように飛行することを特徴としている。
【0178】
この発明にかかる実施の形態1の飛行型ロボット100によれば、「飼い主(特定のユーザー600)が構ってくれないのでちょっかいをだす」という、甘えたい性格のペットによく見られる愛情表現動作を飛行型ロボット100におこなわせることができ、あたかも、飛行型ロボット100が自らの意思をもった生物のような印象を与えることができる。
【0179】
また、この発明にかかる実施の形態1の飛行型ロボット100は、前記特定のユーザーの周囲を所定回数飛行した後、当該特定のユーザーから離れるように飛行することを特徴としている。
【0180】
この発明にかかる実施の形態1の飛行型ロボット100によれば、室内飼いの犬や猫によく見られる「飼い主の行動をチェックしにくる」ような動作を飛行型ロボット100におこなわせることができ、あたかも、飛行型ロボット100が自らの意思をもった生物のような印象を与えることができる。
【0181】
また、この発明にかかる実施の形態1の飛行型ロボット100は、ドローン101に搭載された通信I/F208を備え、通信I/F208を介して、所定の情報を取得した場合、特定のユーザー600の周囲を飛行することを特徴としている。
【0182】
この発明にかかる実施の形態1の飛行型ロボット100によれば、通信I/F208を介して、所定の情報を取得した場合に特定のユーザー600の周囲を自動操縦によって飛行することにより、特定のユーザー600が意識していなくても、当該特定のユーザー600に有用な情報を伝達することができる。
【0183】
また、この発明にかかる実施の形態1の飛行型ロボット100によれば、通信I/F208を介して別の飛行型ロボット100と通信をおこなうことにより、当該別の飛行型ロボット100の学習により得られた情報を共有することができるので、飛行型ロボット100に、特定のユーザー600の嗜好により一層合致した行動をさせることができる。
【0184】
また、この発明にかかる実施の形態1の飛行型ロボット100は、通信I/F208を介して、特定の端末装置から出力された通知情報を取得した場合、特定のユーザー600の周囲を飛行することを特徴としている。
【0185】
この発明にかかる実施の形態1の飛行型ロボット100によれば、たとえば、特定のユーザー600の所有するスマートフォンなどを特定の端末装置とし、着信があったスマートフォンから飛行型ロボット100に対して出力された通知情報を取得した場合に特定のユーザー600の周囲を自動操縦によって飛行することにより、スマートフォンを常時携帯していなくても、また、スマートフォンをマナーモードに設定していても、当該スマートフォンに通知があったことを迅速に知ることができる。
【0186】
また、この発明にかかる実施の形態1の飛行型ロボット100は、たとえば、現時点以降の所定時間内に災害、地震、津波、発雷、降雨、強風、急激な天候の変化が発生する可能性があることを示す情報を取得した場合、特定のユーザー600の周囲を飛行することを特徴としている。
【0187】
この発明にかかる実施の形態1の飛行型ロボット100によれば、特定のユーザー600が意識して情報を収集しなくても、現時点以降の所定時間内に災害、地震、津波、発雷、降雨、強風、急激な天候の変化が発生する可能性があることを迅速に知ることができる。これにより、安心して生活することができる。
【0188】
また、この発明にかかる実施の形態1の飛行型ロボット100は、ドローン101に搭載されたスピーカー204を備え、特定のユーザー600に向けてスピーカー204から音声を出力するとともに、当該特定のユーザー600の周囲を飛行することを特徴としている。
【0189】
この発明にかかる実施の形態1の飛行型ロボット100によれば、特定のユーザー600の周囲を自動操縦によって飛行しながらスピーカー204から音声を出力することにより、特定のユーザー600を飼い主として鳴き声である音声を発しながらコミュニケーションを要求するというペットを模した動作をすることができる。これにより、特定のユーザー600の関心をより確実に惹き付け、特定のユーザー600の心を癒やし、特定のユーザー600に充足感を与えることができる。
【0190】
また、この発明にかかる実施の形態1の飛行型ロボット100は、ドローン101に搭載されたマイク203を備え、マイク203によって所定の音声が集音された場合、特定のユーザー600の周囲を飛行することを特徴としている。
【0191】
この発明にかかる実施の形態1の飛行型ロボット100によれば、特定のユーザー600の声、住宅の玄関や門に設置された呼び鈴の音、スマートフォンへの着信音などの所定の音声が集音された場合に、特定のユーザー600の周囲を自動操縦によって飛行することにより、所定の音声を契機として、特定のユーザー600とのコミュニケーションに応じたり、第三者の来訪やスマートフォンへの着信を特定のユーザー600に伝達したりすることができる。
【0192】
また、この発明にかかる実施の形態1の飛行型ロボット100は、特定のユーザー600の声が集音された場合に、特定のユーザー600の周囲を自動操縦によって飛行することにより、特定のユーザー600に「自分が呼んだらやってきた」という気持ちを持たせることができ、嬉しくさせ、ペットとのコミュニケーションを体験させることができる。
【0193】
これにより、特定のユーザー600の心を癒やすのみならず、必要な状況において必要な情報を特定のユーザー600に伝達することができる。特に、聴覚が不自由なユーザーに対して必要な状況において必要な情報をユーザーに伝達することにより、入手が難しく飼育に負担がかかる聴導犬による補助を受ける場合と比較して、当該ユーザーの生活を容易かつ安価に支援することができる。
【0194】
また、この発明にかかる実施の形態1の飛行型ロボット100は、ドローン101に搭載されたスピーカー204を備え、マイク203によって所定の音声が集音された場合、特定のユーザー600に向けてスピーカー204から音声を出力するとともに、当該特定のユーザー600の周囲を飛行することを特徴としている。
【0195】
この発明にかかる実施の形態1の飛行型ロボット100によれば、特定のユーザー600の声、住宅の玄関や門に設置された呼び鈴の音、スマートフォンへの着信音などの所定の音声が集音された場合に、特定のユーザー600の周囲を自動操縦によって飛行しながらスピーカー204から音声を出力することにより、特定のユーザー600を飼い主として鳴き声である音声を発しながらコミュニケーションを要求するというペットを模した動作をしたり、呼び鈴の音やスマートフォンへの着信に気づいていない特定のユーザー600に対して、第三者の来訪やスマートフォンへの着信を特定のユーザー600に伝達したりすることができる。
【0196】
これにより、特定のユーザー600の関心をより確実に惹き付け、特定のユーザー600の心を癒やし、特定のユーザー600に充足感を与えたり、必要な状況において必要な情報を特定のユーザー600に伝達したりすることができる。そして、これによって、特定のユーザー600の心理状態や生活をより豊かにすることができる。
【0197】
また、この発明にかかる実施の形態1の飛行型ロボット100は、スピーカー204から出力する音声が、動物の鳴き声を模した音声であることを特徴としている。
【0198】
この発明にかかる実施の形態1の飛行型ロボット100によれば、動物の鳴き声を模した音声を出力することにより、特定のユーザー600の関心をより確実に惹き付けることができる。これにより、特定のユーザー600に対して、ペットとのコミュニケーションをとっている実感を強く持たせ、特定のユーザー600の心を癒やし、特定のユーザー600に充足感を与えることができる。
【0199】
また、この発明にかかる実施の形態1の飛行型ロボット100は、所定の音声が、前記特定のユーザー600の声であることを特徴とする。
【0200】
この発明にかかる実施の形態1の飛行型ロボット100によれば、マイク203によって特定のユーザー600の声が集音された場合に、特定のユーザー600の周囲を自動操縦によって飛行する。これにより、あたかも、特定のユーザー600の呼び声に応じてやってきたような動作を模し、特定のユーザー600の心を癒やし、特定のユーザー600に充足感を与えることができる。また、特定のユーザー600以外の人物の呼び声には反応しないことから、飛行型ロボット100に対する親近感や愛着をもたせ、特定のユーザー600に充足感を与えることができる。
【0201】
このように、この発明にかかる実施の形態1の飛行型ロボット100は、ペットのように自律的に移動して、人物に愛玩されることを主眼とし、ペットを模した自然な動作をおこなって特定のユーザーとのコミュニケーションをとることにより、当該特定のユーザーのストレスを下げ、癒やしを与えることができる。そして、これにより、たとえば、一人暮らしの人や高齢の人の寂しさや孤独感を和らげることができ、精神的に充足した、穏やかな生活の一助とすることができる。
【0202】
<実施の形態2>
つぎに、この発明にかかる実施の形態2の飛行型ロボットの一例について説明する。実施の形態2の飛行型ロボットは、特定の目的を達成するために動作する。具体的に、実施の形態2の飛行型ロボットは、聴覚に障害をもつ人を特定のユーザーとして認識し、当該特定のユーザーの生活において必要な音を知らせ、当該特定のユーザーを音源まで誘導する、いわゆる聴導犬と同様の目的を達成するために動作する。
【0203】
聴導犬は、盲導犬と比較して歴史が浅く、聴覚に障害をもつ人の数に対して聴導犬の数が圧倒的に少ないという現状がある。また、聴覚に障害をもつ人に貸与できるまでに要する、聴導犬の訓練期間は最短でも1年8ヶ月を要し、聴導犬の訓練費用は100万円程度かかるとされている。このような背景からも、聴覚に障害をもつ人に聴導犬が十分に行き渡っていないという現状がある。
【0204】
実施の形態2の飛行型ロボットは、このような現状を鑑み、聴導犬の貸与を受けることができずにいる聴覚に障害をもつ人の、自立への意欲や生活における安心感を高めることを目的とする。
【0205】
(飛行型ロボットの外観の一例)
図7は、この発明にかかる実施の形態2の飛行型ロボットの外観の一例を示す説明図である。実施の形態2においては、上述した実施の形態1と同一部分は同一符号で示し、説明を省略する。
図7に示すように、飛行型ロボット700は、ドローン101に搭載されたカメラ103およびプロジェクター701を備えている。
【0206】
プロジェクター701は、プロジェクター光源、光学系、投影レンズなどを備えている(いずれも図示を省略する)。プロジェクター701は、プロジェクター光源から発した光を、光学系により所定経路に導き、投影レンズ701aを介してプロジェクター701の外部に照射することによって、光が照射された場所に画像を投影する。光学系は、プロジェクター光源から発した光の照度の均一性を高めるインテグレーターレンズ、非偏光光源から出射する光を所定の偏光方向に変換(偏光)する偏光変換素子、プロジェクター701光からの光をR・G・Bの三原色に分離するダイクロイック・ミラー、R・G・Bの各色の光に応じた画像を表示する液晶パネル、各液晶パネルが表示した各色の画像を合成するダイクロイック・プリズムなどによって構成される(いずれも図示を省略する)。
【0207】
プロジェクター701としては、たとえば、プロジェクター光源にレーザーを採用したレーザー方式のプロジェクターを用いることができる。レーザー方式のプロジェクターを用いることにより、プロジェクター701の小型化を図ることができる。具体的に、レーザー方式のプロジェクターは、プロジェクター光源に水銀ランプを採用した水銀ランプ方式のプロジェクターよりも発熱を低く抑えることができるため、冷却ファンなどの機構を省くことによる小型化および軽量化を図ることができる。
【0208】
また、レーザー方式のプロジェクターを用いることにより、迅速に起動して画像の投影を開始することができる。また、レーザー方式のプロジェクターを用いることにより、水銀ランプ方式のプロジェクターよりも、消費電力を抑えつつ、投影される画像の高輝度化を図ることができる。
【0209】
水銀ランプ方式のプロジェクターは、投影(光軸)方向が水平方向になる状態で使用することが推奨されているため投影方向の自由度が制限される一方で、レーザー方式のプロジェクターは、光軸を水平方向に対して傾けた状態で使用することができる。このため、レーザー方式のプロジェクターは、投影方向の高い自由度を確保することができ、壁面のみならず地面・床面にも画像を投影することができる。
【0210】
プロジェクター701は、ドローン101に固定されており、ドローン101の移動(飛行)にともなって移動する。プロジェクター701は、ドローン101に対して、姿勢調整が可能な状態で連結されていてもよい。具体的には、たとえば、プロジェクター701は、ドローン101の底面部にボールジョイントなどの自在継手を介して連結することができる。プロジェクター701を、ボールジョイントなどの自在継手を介してドローン101に連結することにより、プロジェクター701の姿勢の調整にかかる高い自由度を確保することができる。
【0211】
この場合、飛行型ロボット700は、ドローン101に対するプロジェクター701の姿勢を人手を介さずに調整するために、ドローン101に対するプロジェクター701の姿勢を変化させる駆動機構を備えていてもよい。駆動機構は、たとえば、モーターやギア列などによって構成することができる。ドローン101に対するプロジェクター701の姿勢を調整可能とすることにより、画像を投影する場所に応じた最適な角度で画像を投影することができる。
【0212】
(飛行型ロボット700のハードウエア構成)
つぎに、飛行型ロボット700のハードウエア構成について説明する。
図8は、この発明にかかる実施の形態2の飛行型ロボット700のハードウエア構成を示す説明図である。
図8に示すように、飛行型ロボット700のハードウエアは、バッテリー201、モーター202、カメラ103、マイク203、スピーカー204、GPSセンサー205、対物センサー206、制御回路207、通信I/F208、LEDランプ104、ソーラーセル106、プロジェクター701などによって構成される。
【0213】
上記のように、プロジェクター701は、プロジェクター光源から発した光を、光学系により所定経路に導き、投影レンズ701aを介してプロジェクター701の外部に照射することによって、光が照射された場所に画像を投影する。プロジェクター701は、画像を投影する位置からの距離に応じて、プロジェクター光源から発する光の強度を調整することにより、投影される画像の画質を調整するようにしてもよい。プロジェクター701と、画像を投影する位置との間の距離は、たとえば、距離センサーを用いて特定することができる。距離センサーは、たとえば、レーザ距離センサー、超音波センサー、赤外線センサーなど公知の各種のセンサーを用いることができる。
【0214】
(飛行型ロボット700の機能的構成)
つぎに、飛行型ロボット700の機能的構成について説明する。実施の形態2の飛行型ロボット700の機能は、上述した飛行型ロボット100と同様に、記憶部301と、検出部302と、撮影部303と、取得部304と、駆動部305と、出力部306と、制御部307と、によって実現される。
【0215】
飛行型ロボット700における制御部307は、たとえば、マイク203によって所定の音声が集音された場合に、駆動部305を制御することによってドローン101を飛行させ、当該所定の音声に応じて、認識した特定のユーザー600の周囲を飛行する。
【0216】
所定の音声は、たとえば、電話機(固定電話、スマートフォンなど)に電話および電子メールの少なくとも一方が着信していることを通知する着信音とすることができる。また、所定の音声は、たとえば、建物または敷地の入り口に、当該建物または敷地への訪問者が当該建物または敷地の居住者または管理者を呼び出すために設けられた呼び鈴の呼出音とすることができる。
【0217】
また、所定の音声は、たとえば、所定の閾値以上の音圧の音声とすることができる。具体的に、所定の音声は、たとえば、警報音・サイレンのように、不特定多数の者に周知することを目的として大音量で出力される音声とすることができる。より具体的には、たとえば、音圧レベル70dB以上の音声とすることができる。
【0218】
また、所定の音声は、たとえば、特定のユーザー600から所定範囲内において発生する音声であってもよい。具体的には、目覚まし時計、キッチンタイマー、スマートフォンなど、特定のユーザー600との位置関係が頻繁に変わりうるものが発する音声とすることができる。さらに、所定の音声は、沸騰しているヤカンの音、ガス漏れ検知ブザー、冷蔵後の扉の閉め忘れや半ドアを知らせるアラームなどであってもよい。
【0219】
所定の音声は、あらかじめ制御回路207におけるメモリに記憶した音声であってもよく、通信I/F208を介して取得した情報に基づき学習した音声であってもよい。所定の音声は、特定のユーザー600の声であってもよい。所定の音声は、降雨や発雷などの自然環境の変化にともなう音声であってもよい。
【0220】
制御部307は、マイク203によって所定の音声が集音された場合に、特定のユーザー600に対して、音声の発生源を案内するように、ドローン101を飛行させる。制御部307は、マイク203によって所定の音声が集音された場合に、たとえば、認識した特定のユーザー600の近傍と、所定の音声の発生源との間を飛行するように、ドローン101を飛行させる。より具体的には、たとえば、特定のユーザー600の周囲を飛行して当該特定のユーザー600の注意を引きつけてから、音声の発生源まで飛行する動作を繰り返しおこなう。
【0221】
制御部307は、所定の音声に応じて、当該所定の音声に対応する飛行態様で飛行するように、ドローン101を飛行させてもよい。具体的には、制御部307は、たとえば、電話の着信があった場合に、特定のユーザー600の前方においてドローン101をジグザグに飛行させる。また、具体的には、制御部307は、たとえば、呼び鈴が鳴った場合に、特定のユーザー600の周囲を飛行してから、音声の発生源(玄関)までドローン101を飛行させてもよい。
【0222】
飛行型ロボット700における出力部306は、飛行型ロボット700の状態に応じて、飛行型ロボット700の飛行動作と連動して動作する。出力部306は、たとえば、マイク203によって所定の音声が集音された場合に、当該所定の音声に応じて特定のユーザー600の周囲を飛行する動作に連動して、プロジェクター701から画像を投影する。画像は、特定のユーザー600の前方に投影することが好ましい。
【0223】
具体的には、たとえば、電話の着信があった場合は、電話の画像を投影する。また、具体的には、たとえば、呼び鈴が鳴った場合は、玄関や門の画像や、来客をあらわす画像を投影する。子供が泣いている場合は、泣いている子供の画像を投影してもよい。投影する画像の画像データは、たとえば、通信I/F208を介してネットワークN上から取得することができる。
【0224】
投影する画像は、カメラ103によって撮影した画像であってもよい。この場合、飛行型ロボット700は、たとえば、所定の音声が鳴っていることを検知するごとに、当該所定の音声の発生源を撮影し、撮影した画像を投影する。このように、実際の物品の画像を投影することにより、特定のユーザー600に対して、音声の発生源を確実に理解させることができる。また、これにより、複数の画像データを記憶しておくことなく、適切な画像を投影することができる。
【0225】
あるいは、出力部306は、たとえば、所定の音声に応じて特定のユーザー600の周囲を飛行する動作に連動して、プロジェクター701から文字を投影してもよい。具体的には、たとえば、「電子メールの着信がありました」、「玄関の呼び鈴が鳴っています」などの文字(メッセージ)を、特定のユーザー600の前方に投影する。特定のユーザー600の前方位置は、カメラ103によって撮影した画像に基づいて判断することができる。この場合、出力部306は、具体的には、たとえば、
図7や
図8に示したプロジェクター701などによって、その機能を実現することができる。
【0226】
また、出力部306は、たとえば、所定の音声に応じて特定のユーザー600の周囲を飛行する動作に連動して、LEDランプ104を点灯させたり点滅させたりしてもよい。この場合、出力部306は、具体的には、たとえば、
図8に示したLEDランプ104などによって、その機能を実現することができる。
【0227】
所定の音声に応じてLEDランプ104を点灯(点滅)させる場合、赤色や橙色など、波長が長く、特定のユーザー600が気づきやすい発光色としてもよい。また、照度を調整し、平時よりも高い照度で点灯(点滅)させてもよい。また、屋内あるいは屋外であっても夜間の照度よりも、屋外における昼間の照度をより高くなるように、LEDランプ104を点灯(点滅)させてもよい。さらに、LEDランプ104に代えて、プロジェクター701から光を発してもよい。
【0228】
(飛行型ロボット700の処理手順の一例)
つぎに、飛行型ロボット700の処理手順の一例について説明する。
図9は、この発明にかかる実施の形態2の飛行型ロボット700の処理手順の一例を示すフローチャートである。
図9のフローチャートにおいて、まず、マイク203を介して音声を取得し(ステップS901)、取得した音声を解析する(ステップS902)。ステップS902においては、たとえば、取得した音声の強さ(大きさ)、周波数、音と音の間隔など、音声の特徴量を示すデータを生成する。
【0229】
つぎに、ステップS902における解析結果に基づいて、取得した音声が所定の音声か否かを判断する(ステップS903)。ステップS903において、取得した音声が所定の音声ではない場合(ステップS903:No)、ステップS901へ移行して、音声を取得する。
【0230】
一方、ステップS903において、取得した音声が所定の音声である場合(ステップS903:Yes)、飛行を開始する(ステップS904)。ステップS904においては、たとえば、ドローン101を駆動し、充電スポット400から飛び立ち、障害物を回避しながら所定の範囲内を飛行する。
【0231】
つぎに、飛行中にカメラ103によって撮影した画像に基づいて、特定のユーザー600を検出したか否かを判断する(ステップS905)。ステップS905において検出する特定のユーザー600は、たとえば、上記のように、撮影部303によって所定時間以上または所定回数以上撮影された人物であってもよく、特徴量(画像や声など)をあらかじめメモリに記憶した人物であってもよい。特徴量をあらかじめメモリに記憶した人物を特定のユーザー600とすることにより、飛行型ロボット700の利用をはじめてすぐに、該当する人物を特定のユーザー600として認識することができる。
【0232】
ステップS905においては、バッテリー201の残量に応じて、特定のユーザー600を検出するまで(ステップS503:No)、飛行をおこなう。特定のユーザー600を検出しない状態で、充電スポット400に戻ることができる閾値までバッテリー201の残量が低下した場合、帰還処理をおこなう。
【0233】
ステップS905において、特定のユーザー600を検出した場合(ステップS905:Yes)、所定のプロセスの実行を開始する(ステップS906)。ステップS906においては、たとえば、特定のユーザー600の周囲を飛行して当該特定のユーザー600の注意を引きつけるような動作と、特定のユーザー600と音声の発生源との間を往復する動作を繰り返しおこなう。また、ステップS906においては、たとえば、音声が発生していることや音声の発生源、あるいは、発生した音声にかかる内容(事象)を案内する文字を、プロジェクター701から投影してもよい。
【0234】
ステップS906における処理は、特定のユーザー600が音声の発生源(発生原因)に気づくまで(ステップS907:No)、継続しておこなう。あるいは、ステップS906における処理は、バッテリー201の残量に応じて、飛行型ロボット700が充電スポット400まで帰還できる範囲でおこなってもよい。具体的には、たとえば、特定のユーザー600が音源に気づかない状態で、充電スポット400に戻ることができる閾値までバッテリー201の残量が低下した場合、帰還処理をおこなう。
【0235】
ステップS907において、特定のユーザー600が音源に気づいた場合(ステップS907:Yes)、帰還処理をおこなって(ステップS908)、一連の処理を終了する。ステップS907においては、たとえば、カメラ103によって撮影した画像に基づいて、特定のユーザー600が音声の発生源に近づく動作をおこなったかどうかを判断するなどして、特定のユーザー600が音声の発生源に気づいたか否かを判断することができる。
【0236】
以上説明したように、この発明にかかる実施の形態2の飛行型ロボット700は、自動操縦により飛行するドローン101と、ドローン101に搭載されたカメラ103と、ドローン101に搭載されたマイク203と、を備え、カメラ103によって撮影された画像に基づいて特定のユーザー600を認識し、マイク203によって所定の音声が集音された場合に、当該所定の音声に応じて、認識した特定のユーザー600の周囲を飛行することを特徴としている。
【0237】
この発明にかかる実施の形態2の飛行型ロボット700によれば、マイク203によって所定の音声が集音された場合に、カメラ103によって撮影された画像に基づいて認識した特定のユーザー600の周囲を飛行することにより、所定の音声が鳴っていることを飛行型ロボット700の動作によって視覚的に案内することができる。これにより、特定のユーザー600が聴覚に障害をもつ場合にも、所定の音声が鳴っていることを確実に伝達することができる。
【0238】
これにより、聴覚に障害をもつために自身の周囲の状況がわかりづらいという事態をなくし、自身の周囲の状況を把握するために常に意識を張り巡らせることによる疲労やストレスを緩和することができる。そして、格別意識をしていなくても自身の周囲の状況がわかりやすくなるため、音が聞こえないことによる生活の恐怖を軽減し、自立への意欲や生活における安心感を高めることができる。
【0239】
また、この発明にかかる実施の形態2の飛行型ロボット700は、所定の音声に応じて、当該所定の音声に対応する飛行態様で、認識した特定のユーザー600の周囲を飛行することを特徴としている。
【0240】
この発明にかかる実施の形態2の飛行型ロボット700によれば、飛行態様によって音声の種類や内容を視覚的に案内することができる。これにより、特定のユーザー600が聴覚に障害をもつ場合にも、特定のユーザー600に対して、所定の音声が鳴っていること、および、その音声の種類や内容を迅速かつ詳しく案内することができる。これによって、視覚に障害をもつ特定のユーザー600の生活の利便性を向上させることができる。
【0241】
また、この発明にかかる実施の形態2の飛行型ロボット700は、ドローン101に搭載されたプロジェクター701を備え、マイク203によって所定の音声が集音された場合に、認識した特定のユーザー600の前方に、当該所定の音声に応じた画像を前記プロジェクター701から投影することを特徴としている。
【0242】
この発明にかかる実施の形態2の飛行型ロボット700によれば、マイク203によって所定の音声が集音された場合に、カメラ103によって撮影された画像に基づいて認識した特定のユーザー600の周囲を飛行するとともに、認識した特定のユーザー600の前方に、当該所定の音声に応じた画像を前記プロジェクター701から投影することにより、飛行型ロボット700の動作、および、画像によって、所定の音声が鳴っていることを視覚的に案内することができる。これにより、特定のユーザー600が聴覚に障害をもつ場合にも、所定の音声が鳴っていることを確実にわかりやすく伝達することができる。
【0243】
また、この発明にかかる実施の形態2の飛行型ロボット700は、マイク203によって所定の音声が集音された場合に、認識した特定のユーザー600の前方に、当該所定の音声に応じた文字をプロジェクター701から投影することを特徴としている。
【0244】
この発明にかかる実施の形態2の飛行型ロボット700によれば、マイク203によって所定の音声が集音された場合に、カメラ103によって撮影された画像に基づいて認識した特定のユーザー600の周囲を飛行するとともに、認識した特定のユーザー600の前方に、当該所定の音声に応じた文字をプロジェクター701から投影することにより、飛行型ロボット700の動作、および、文字によって、所定の音声が鳴っていることを視覚的に案内することができる。これにより、特定のユーザー600が聴覚に障害をもつ場合にも、所定の音声が鳴っていることを確実にわかりやすく伝達することができる。
【0245】
なお、この実施の形態で説明した飛行型ロボットの制御方法は、あらかじめ用意されたプログラムをパーソナルコンピュータやワークステーションなどのコンピュータで実行することにより実現することができる。このプログラムは、ハードディスク、CD-ROM、MO、DVD、USBメモリ、SSDなどのコンピュータで読み取り可能な記録媒体に記録され、コンピュータによって記録媒体から読み出されることによって実行される。またこのプログラムは、インターネットなどのネットワークを介して配布することが可能な伝送媒体であってもよい。
【産業上の利用可能性】
【0246】
以上のように、この発明にかかる飛行型ロボット、飛行型ロボットの制御プログラムおよび飛行型ロボットの制御方法は、ペット型ロボットを求めるユーザーに有用であり、特に、容易な飼育を希望するユーザーに適している。
【符号の説明】
【0247】
100、700 飛行型ロボット
101 ドローン
103 カメラ
104 LEDランプ
106 ソーラーセル
201 バッテリー
202 モーター
203 マイク
204 スピーカー
205 GPSセンサー
206 対物センサー
207 制御回路
208 通信I/F
301 記憶部
302 検出部
303 撮影部
304 取得部
305 駆動部
306 出力部
307 制御部
400 充電スポット
401a 送電コイル
401b カバー
401c 電源ケーブル
402 外装部
600 特定のユーザー
701 プロジェクター
701a 投影レンズ