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▶ ジーエヌ リザウンド エー/エスの特許一覧

(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022077994
(43)【公開日】2022-05-24
(54)【発明の名称】聴覚装置のイヤピースための保持部材
(51)【国際特許分類】
   H04R 1/10 20060101AFI20220517BHJP
   H04R 25/02 20060101ALI20220517BHJP
【FI】
H04R1/10 104A
H04R25/02 C
【審査請求】未請求
【請求項の数】10
【出願形態】OL
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2021182845
(22)【出願日】2021-11-09
(31)【優先権主張番号】PA202070746
(32)【優先日】2020-11-12
(33)【優先権主張国・地域又は機関】DK
(71)【出願人】
【識別番号】503021401
【氏名又は名称】ジーエヌ ヒアリング エー/エス
【氏名又は名称原語表記】GN Hearing A/S
【住所又は居所原語表記】Lautrupbjerg 7, 2750 Ballerup, Denmark
(74)【代理人】
【識別番号】110000110
【氏名又は名称】特許業務法人快友国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】ジャン ジョハンセン
【テーマコード(参考)】
5D005
【Fターム(参考)】
5D005BE03
(57)【要約】      (修正有)
【課題】イヤピース及びイヤピースのための保持部材を提供する。
【解決手段】ユーザの耳の外耳道の少なくとも一部に挿入されるイヤピース4のための保持部材2は、イヤピースに取り付けられる本体部6を含む。保持部材は、保持部材がイヤピースに取り付けられ、イヤピースがユーザの耳内の所定の位置に挿入されたときに、ユーザの耳甲介の少なくとも一部に当接する延在部8を備える。これにより、イヤピースが外耳道に保持される。本体部は、イヤピースの突起に配置される開口/スリット10/ギャップを備える。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
イヤピースのための保持部材であって、
前記イヤピースは、ユーザの耳の外耳道の少なくとも一部に挿入されるように構成され、
前記保持部材は、
前記イヤピースに取り付けられるように構成される本体部と、
前記保持部材が前記イヤピースに取り付けられ、前記イヤピースが前記ユーザの耳内の所定の位置に挿入されたときに、前記ユーザの耳の耳甲介の少なくとも一部に当接するように構成される延在部であって、それにより前記イヤピースを前記外耳道に保持する前記延在部と、を備え、
前記本体部は、前記イヤピースの突起に配置されるように構成されるスリットを備える、
保持部材。
【請求項2】
前記保持部材の前記本体部は、前記イヤピースの外側端から内側端まで延びる長手方向軸に沿って、前記イヤピースに取り付けられるように構成される、
請求項1に記載の保持部材。
【請求項3】
前記保持部材の前記本体部の前記スリットは、前記長手方向軸に直交する第1の横軸に沿って設けられる、
請求項1または2に記載の保持部材。
【請求項4】
前記本体部は、前記イヤピースを、前記イヤピースの横方向で包み込むように構成される、
請求項1から3のいずれか一項に記載の保持部材。
【請求項5】
前記保持部材は、前記イヤピースの前記外側端に取り付けられるように構成される、請求項1から4のいずれか一項に記載の保持部材。
【請求項6】
前記保持部材の前記延在部は、前記本体部の前記スリットと反対側で前記本体部に配置される、請求項1から5のいずれか一項に記載の保持部材。
【請求項7】
前記延在部の長さは、前記本体部のどの方向/寸法よりも長い、
請求項1から6のいずれか一項に記載の保持部材。
【請求項8】
保持部材を取り付けるように構成されるイヤピースであって、
前記イヤピースは、ユーザの耳の外耳道の少なくとも一部に挿入されるように構成されるとともに突起を備え、
前記保持部材は、
前記イヤピースに取り付けられるように構成される本体部と、
前記保持部材が前記イヤピースに取り付けられ、前記イヤピースが前記ユーザの耳内の所定の位置に挿入されたときに、前記ユーザの耳の耳甲介の少なくとも一部に当接するように構成される延在部であって、それにより前記イヤピースを前記外耳道に保持する前記延在部と、を備え、
前記本体部は、前記イヤピースの前記突起に配置されるように構成される開口/スリット/ギャップを備える、イヤピース。
【請求項9】
前記イヤピースは、聴覚装置のレシーバ/出力トランスデューサ/ラウドスピーカであるとともに、前記聴覚装置の耳掛け型(behind-the-ear)ハウジングに接続されるように構成される、請求項8に記載のイヤピース。
【請求項10】
聴覚装置用のスポーツロックとしての、請求項8に記載のイヤピースのための請求項1に記載の保持部材の使用。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、イヤピース、イヤピースのための保持部材、および聴覚装置用のスポーツロックとしてのイヤピースにおける保持部材の使用に関する。イヤピースは、ユーザの耳の外耳道の少なくとも一部に挿入されるように構成される。保持部材は、イヤピースに取り付けられるように構成される本体部を備える。保持部材は、保持部材がイヤピースに取り付けられ、イヤピースがユーザの耳内の所定の位置に挿入されたときに、ユーザの耳甲介の少なくとも一部と当接するように構成される延在部を備える。それにより、イヤピースが外耳道内に保持される。
【背景技術】
【0002】
スポーツロックなどの聴覚装置用の保持部材は、聴覚装置を装着するユーザの耳内(例えば、外耳道内)に、聴覚装置のイヤピースを固定するために使用される。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
しかしながら、現在のスポーツロックは、スポーツロックをイヤピースに取り付ける際、スポーツロックがイヤピースに対して完全に押し込まれていないと、スポーツロックがユーザの皮膚に違和感を与え、かつ/またはイヤピースのドームと干渉してしまうような取り付け方をされてしまう場合があり、ドームがユーザの外耳道内で外れる危険性が増大するという問題を有する。
【0004】
したがって、本開示の目的は、これらの問題を解決することである。
【課題を解決するための手段】
【0005】
イヤピースのための保持部材が開示される。イヤピースは、ユーザの耳の外耳道の少なくとも一部に挿入されるように構成される。保持部材は、イヤピースに取り付けられるように構成される本体部を備える。保持部材は、保持部材がイヤピースに取り付けられ、イヤピースがユーザの耳内の所定の位置に挿入されたときに、ユーザの耳甲介の少なくとも一部と当接するように構成される延在部を備える。これにより、イヤピースが耳道内に保持される。本体部は、イヤピースの突起に配置されるように構成される開口/スリット/ギャップを備える。
【0006】
保持部材は、イヤピース用のロックまたはスポーツロックであってもよい。イヤピースは、聴覚装置のハウジングであってもよい。保持部材の目的は、例えば、スポーツをするときなどユーザが激しく動く際、イヤピースをユーザの耳内の所定の位置に固定または保持することによって、イヤピースがユーザの耳の内部で動くこと、およびイヤピースがユーザの耳から外れること、を回避することである。
【0007】
保持部材(すなわち、スポーツロック)が、ハウジング内の突起に固定されるベリーバンドと同様に、イヤピース又はハウジングに取り付けられるように構成されていることは、有益である。この突起は、保持部材がイヤピースの長さ方向で固定されるように、保持部材に形成されたスリットの内側に嵌合される。
【0008】
これにより、保持部材はイヤピースに固定され、保持部材がイヤピースから外れないことが保証される。
【0009】
保持部材は、聴覚装置のユーザがイヤピースに使うかどうかを選択することができる追加部品である。したがって、通常、聴覚装置は保持部材と共にユーザに届けられない。例えば、スポーツをするときなど特定の状況において、ユーザが保持部材を取り付けることを望むかどうかに応じて、保持部材はイヤピースに着脱可能である。したがって、ユーザが毎日、毎日数回、毎週、または毎月数回、保持部材を着脱することがあり得るため、保持部材をイヤピースに容易に着脱可能であることは、有益である。
【0010】
イヤピースの突起に嵌合する保持部材の本体部の開口/スリット/ギャップによって、保持部材の本体部がイヤピースの長手方向に動かないことは、有益である。
【0011】
イヤピースの突起に嵌合する保持部材の本体部の開口/スリット/ギャップによって、保持部材の本体部がイヤピースの周りを回転しないことは、有益である。
【0012】
このように、保持部材は、イヤピース上の所定の位置に固定され、それによって、保持部材がイヤピースから外れないこと、および保持部材がイヤピース上で回転しないことが保証される。
【0013】
イヤピースの外側端及び内側端のいずれにおいても、保持部材がイヤピースから外れないことは、有益である。イヤピースの外側端は、イヤピースの後端、すなわち、イヤピースがユーザの耳内の所定の位置に配置されたときに、周囲環境の方を向くイヤピースの端である。イヤピースの内側端は、イヤピースの前端、すなわち、イヤピースがユーザの耳内の所定の位置に配置されたときに、外耳道の鼓膜の方を向くイヤピースの端である。
【0014】
仮に、外側端において、保持部材がイヤピースから外れたとすると、保持部材は、ユーザの耳から脱落し、なくなってしてしまう可能性がある。したがって、ユーザが保持部材を紛失しないことは有益である。
【0015】
仮に、内側端において、保持部材がイヤピースから外れるか、またはイヤピースに沿って動くと、保持部材が、イヤピースの内側端に取り付けられたドームを押してしまう可能性がある。したがって、ドームがイヤピースから外れてユーザの外耳道に脱落することが回避されるので、保持部材がドームを押さないことは有益である。
【0016】
このように、保持部材は、ドームとの干渉の問題を解決する。
【0017】
保持部材のさらなる利点は、保持部材がイヤピースの外側端に取り付けられるように構成されることである。これにより、内側端に保持部材が存在しないため、イヤピースの内側端を可能な限り小さくすることができ、イヤピースが内側端で可能な限り小さいことによって、外耳道におけるイヤピースの適切なフィットが保証される。
【0018】
保持部材は、ユーザの耳内または外耳道内にイヤピースを保持または固定するためのスポーツロックまたはロックであってもよい。
【0019】
イヤピースは、聴覚装置ハウジング、レシーバ、レシーバハウジング、ラウドスピーカハウジング、スピーカハウジング、耳内レシーバ(receiver-in-ear)(RIE)部品、耳内レシーバ(receiver-in-the-ear)(RITE)部品、耳内(in-the-ear)(ITE)部品、完全外耳道内(completely-in-canal)(CIC)部品などであってもよい。
【0020】
様々なレシーバが、聴覚装置のために利用可能であってもよい。例えば、低出力レシーバ、中出力レシーバ、高出力レシーバ、及び/又は超出力レシーバが利用されてもよい。レシーバの出力タイプは、ユーザの聴力損失に対応するように選択されてもよく、すなわち、ユーザが軽度の聴力損失を有する場合、低出力レシーバで十分であり得る。ユーザが中程度の聴力損失を有する場合、中出力レシーバが適切であり得る。ユーザが深刻な聴力損失を有する場合、高出力レシーバが必要とされ得る。しかしながら、中出力および/または高出力レシーバは、出力エネルギーを個々人の聴力損失のニーズに応じて制限可能であるため、軽度の聴力損失に使用されてもよい。
【0021】
イヤピースは、補聴器(例えば、耳掛け型(behind-the-ear)(BTE)補聴器、店頭販売の(over-the-counter)(OTC)補聴器)などの聴覚装置用であってもよい。
【0022】
イヤピースは、ユーザの耳の外耳道の少なくとも一部に挿入されるように構成される。したがって、イヤピースは、ユーザの外耳道および耳甲介の両方に配置されるなど、外耳道に部分的に挿入されるように構成されてもよい。イヤピースは、外耳道に完全に挿入されるように構成されてもよい。
【0023】
保持部材は、イヤピースに取り付けられるように構成される本体部を備える。本体部は、ベリーバンドのように、イヤピースの周りに取り付けられるか、または配置されてもよい。本体部は、イヤピースが少なくとも部分的に嵌合可能な中空のカバーのようなものであってもよい。
【0024】
保持部材は、延在部を備える。延在部は、保持部材がイヤピースに取り付けられ、イヤピースがユーザの耳内の所定の位置に挿入されたときに、ユーザの耳の耳甲介の少なくとも一部に当接するように構成され、これにより、イヤピースは外耳道に保持される。延在部は、可撓性、曲げ性、または弾性を有してもよい。延在部は、イヤピースを外耳道に固定するために、外耳の部分に当接してもよい。このように、保持部材の延在部は、イヤピースをユーザの外耳道内または耳内に保持するためのものである。延在部がユーザの耳甲介の少なくとも一部に当接することによって、保持が提供される。耳甲介は、丸く窪んでいることがある。このため、保持部材の延在部は、耳甲介の丸い窪みに当接してもよく、これにより、イヤピースが、耳内または外耳道内に保持される。延在部は、細長いため、耳甲介にフィットするように曲げることができる。
【0025】
本体部は、イヤピース上の突起に配置されるように構成される開口、スリット、穴、貫通孔、スロット、またはギャップを備える。このように、本体部はスリットを備え、このスリットは、イヤピースの突起上、突起の周り、または突起に亘って配置されるように構成されてよい。このように、スリットは、イヤピース上の突起に対して取り外し可能に、配置され、固定され、または取り付けられるように構成されてもよい。このように、保持部材の本体部は、イヤピースの突起に亘って嵌合するスリットを備えることによって、イヤピース上で本体部の位置を固定する。本体部の材料の厚さは、保持部材がイヤピースに配置されたときに、突起が本体部と面一になるように、突起の高さに対応してもよい。これにより、突起が、スリットから突出しない。
【0026】
保持部材を取り付けるように構成されるイヤピースも開示される。イヤピースは、ユーザの耳の外耳道の少なくとも一部に挿入されるように構成される。イヤピースは、突起を備える。保持部材は、イヤピースに取り付けられるように構成される本体部を備える。保持部材は、保持部材がイヤピースに取り付けられ、イヤピースがユーザの耳内の所定の位置に挿入されたときに、ユーザの耳甲介の少なくとも一部に当接するように構成される延在部を備える。それにより、イヤピースが外耳道に保持される。本体部は、イヤピース上の突起に配置されるように構成される開口/スリット/ギャップを備える。
【0027】
イヤピース上の突起は、イヤピース上で保持部材の本体部の位置を固定するために、イヤピースの側面に配置されてもよい。
【0028】
聴覚装置用のスポーツロックとしての、イヤピースのための保持部材の使用も開示される。
【0029】
保持部材およびイヤピースは、聴覚装置用であってもよい。
【0030】
聴覚装置は、ヘッドセットまたは補聴器であってもよい。聴覚装置は、耳掛け型(behind-the-ear)(BTE)ユニットと、イヤピース、例えば、レシーバ、または耳内レシーバ(receiver-in-ear)(RIE)ユニットまたは耳内マイクロフォンアンドレシーバ(microphone-and-receiver-in-ear)(MaRIE)ユニットを備えてもよい。BTEユニットは、通常、レシーバ以外の聴覚装置の電子機器の大半を備える。一方、MaRIEユニットでは、イヤピース上にマイクロフォンとレシーバの両方がある。聴覚装置は、受信したオーディオ信号に基づいて1つまたは複数のマイクロフォン出力信号を生成するために、第1の入力トランスデューサ(例えば、マイクロフォン)を備えてもよい。オーディオ信号は、アナログ信号であってもよい。マイクロフォン出力信号は、デジタル信号であってもよい。従って、第1の入力トランスデューサ(例えば、マイクロフォン)、またはアナログ-デジタル変換器は、アナログオーディオ信号をデジタルマイクロフォン出力信号に変換してもよい。全ての信号は、音信号であっても、音に関する情報を含む信号であってもよい。聴覚装置は、信号プロセッサを備えてもよい。1つまたは複数のマイクロフォン出力信号は、1つまたは複数のマイクロフォン出力信号を処理するための信号プロセッサに提供されてもよい。これらの信号は、ユーザの聴力損失または聴力障害を補償するように処理されてもよい。信号プロセッサは、修正された信号を提供してもよい。これらの全ての要素は、BTEユニットのハウジング内に備えられてもよい。聴覚装置は、レシーバまたは出力トランスデューサ、またはスピーカまたはラウドスピーカを備えてもよい。レシーバは、信号プロセッサの出力に接続されてもよい。レシーバは、修正された信号をユーザの耳に出力してもよい。レシーバ、またはデジタル-アナログ変換器は、プロセッサからのデジタル信号である修正された信号をアナログ信号に変換してもよい。レシーバは、イヤピース(例えば、RIEユニットまたはMaRIEユニット)に備えられてもよい。聴覚装置は、2つ以上のマイクロフォンを備えてもよく、BTEユニットは、少なくとも1つのマイクロフォンを備えてもよく、RIEユニットも、少なくとも1つのマイクロフォンを備えてもよい。
【0031】
聴覚装置の信号プロセッサは、増幅器、コンプレッサ、および/またはノイズ低減システムなどの要素を備えてもよい。信号プロセッサは、信号処理チップまたはプリント回路基板(PCB)により実現されてもよい。聴覚装置はさらに、出力信号を最適化するための補償フィルタのようなフィルタ機能を有してもよい。
【0032】
聴覚装置はさらに、電磁場の放射および受信のためのアンテナ(例えば、無線周波数(RF)アンテナや磁気誘導アンテナ)と相互接続された無線データ通信のための無線通信ユニット(例えば、無線通信回路)を備えてもよい。無線機またはトランシーバを含む無線通信ユニットは、1つまたは複数の外部装置(例えば、少なくとも1つのスマートフォン、少なくとも1つのタブレット、少なくとも1つのスパウス(spоse)マイクロフォン、リモートコントローラ、オーディオ試験装置などを含む少なくとも1つの聴覚アクセサリ装置を含む1つまたは複数の外部電子装置)と通信するために、聴覚装置の信号プロセッサおよびアンテナに接続してもよい。また、いくつかの実施形態では、無線機またはトランシーバを含む無線通信ユニットは、通常、バイノーラル聴覚装置システムにおいて別の聴覚装置(例えば、別の耳に位置する別の聴覚装置)と通信するために、聴覚装置の信号プロセッサおよびアンテナに接続してもよい。
【0033】
聴覚装置は、例えば、聴覚装置の着用者の聴力損失を補償するあらゆる聴覚装置、または着用者に音を提供するあらゆる聴覚装置、またはノイズキャンセルを提供する聴覚装置、または耳鳴り低減/マスキングを提供する聴覚装置などのいかなる聴覚装置であってもよい。当業者であれば、聴覚装置に様々な種類が存在すること、および聴覚装置の着用者の耳内および/または耳に聴覚装置を配置するために様々なオプションが存在することをよく知っている。
【0034】
例えば、聴覚装置は、例えば耳内ユニットの一部としてレシーバが使用中に着用者の耳内(例えば、外耳道内)に配置される外耳道内レシーバ(Receiver-In-Canal)(RIC)タイプ、耳内レシーバ(Receiver-In-the-Ear)(RIEまたはRITE)タイプ、または耳内マイクロフォンアンドレシーバ(Microphone-and-Receiver-In-the-Ear)(MaRIE)タイプの聴覚装置であってもよく、プロセッサ、無線通信ユニット、バッテリなどの他の聴覚装置の要素は、アセンブリとして提供され、耳掛け型(Behind-The-Ear)(BTE)ユニットのハウジング内に搭載される。プラグ-ソケットコネクタが、BTEユニットとイヤピース(RIEユニットやMaRIEユニットなど)を接続してもよい。
【0035】
聴覚装置は、RIEユニットを備えてもよい。RIEユニットは、通常、ハウジングなどのイヤピースと、プラグコネクタと、プラグコネクタとイヤピースとを接続する電気ワイヤ/チューブと、を備える。イヤピースは、耳内(in-the-ear)ハウジングと、レシーバ(例えば、ユーザの耳内に設けられるように構成されるレシーバ、および/またはユーザの外耳道内に設けられるように構成されるレシーバ)と、オープンタイプのドームまたはクローズタイプのドームと、を備えてもよい。ドームは、ユーザの耳内でのイヤピースの正確な配置を支持してもよい。RIEユニットは、マイクロフォン、レシーバ、1つまたは複数のセンサ、および/または他の電子機器を備えてもよい。いくつかの電子部品がイヤピースに配置されてもよく、一方で、他の電子部品がプラグコネクタに配置されてもよい。レシーバは、様々な強度、すなわち、低出力、中出力、または高出力を有してもよい。電気ワイヤ/チューブは、RIEユニットのイヤピースに設けられる電子部品と、BTEユニットに設けられる電子部品と、を電気的に接続する。電気ワイヤ/チューブならびにRIEユニット自体は、様々な長さを有してもよい。
【0036】
いくつかの実施形態では、保持部材の本体部は、イヤピースの外側端から内側端まで延びる長手方向軸に沿ってイヤピースに取り付けられるように構成される。イヤピースの外側端は、イヤピースの周囲環境の方を向く後端であってもよい。イヤピースの内側端は、耳内の鼓膜の方を向くイヤピースの前端であってもよい。ユーザが保持部材をイヤピースに着脱するので、保持部材の本体部は、長手方向軸に沿ってイヤピースに着脱可能に取り付けられるように構成される。
【0037】
いくつかの実施形態では、保持部材の本体部のスリットは、長手方向軸に直交する第1の横軸に沿って設けられる。イヤピースは円筒形状であってもよく、したがって、中心長手方向軸に沿って1つの長手方向が存在し得る。横方向は、複数存在してもよいが、全ての横方向は、長手方向に直交する。長手方向は、x方向と記載されることがある。横方向は、y方向およびz方向と記載されることがある。
【0038】
いくつかの実施形態では、保持部材の本体部のスリットは、長手方向軸に直交する第2の横軸に沿って設けられる。第2の横軸はさらに、第1の横軸に直交してもよい。
【0039】
いくつかの実施形態では、本体部は、イヤピースの横方向でイヤピースを包み込む/囲むように構成される。このように、本体部は、ベリーバンドのようにイヤピースの周りに配置されてもよい。
【0040】
いくつかの実施形態では、本体部は、イヤピースに隣接するように構成された内周/円周を有するリング状である。本体部が丸いリング状の形状を有する場合、本体部の内周は、イヤピースの外形/外周に隣接する(例えば、嵌合する)ように構成される。この場合、イヤピースも、丸い形状を有してもよい。丸いリング形状を有する代わりに、本体部は長方形に形成されてもよい。本体部が長方形のリング形状を有する場合、本体部の内周は、イヤピースの外形/外周に隣接する(例えば、嵌合する)ように構成される。この場合、イヤピースも、長方形の形状を有してもよい。本体部は、リング状、円形形状、長方形形状等を有してもよい。イヤピースが長方形の場合、イヤピースの角は、丸められてもよいし、尖っていてもよい。長方形の本体部および長方形のイヤピースを有すると、本体部がイヤピースの周りで回転するのを防止することができるので、有益である。
【0041】
いくつかの実施形態では、本体部は、長手方向軸に沿って長方形形状を有する。このため、本体部は、4つの表面を備える。4つの表面のうちの第1の表面と第3の表面は互いに反対側にあり、4つの表面のうちの第2の表面と第4の表面は互いに反対側にある。第1の表面および第3の表面は、第2の表面および第4の表面に直交する。本体部は、代替的におよび/または追加的に、第2の横方向において長方形で形成されてもよい。いくつかの実施形態では、本体部は、長手方向軸に沿って円形形状を有する。
【0042】
いくつかの実施形態では、本体部は、長手方向軸に沿って多角形形状を有する。本体部は、4つの一次表面を備えてもよい。4つの一次表面のうちの第1の一次表面と第3の一次表面は互いに反対側にあり、4つの表面のうちの第2の一次表面と第4の一次表面は互いに反対側にある。第1の一次表面と第3の一次表面は、第2の一次表面と第4の一次表面に直交する。本体部は、4つの二次表面を備えてもよい。各二次表面は、2つの一次表面の間に設けられる。本体部は、2つの二次表面を備えてもよい。各二次表面は、2つの一次表面の間に設けられる。
【0043】
したがって、保持部材が固定される部分に沿ったイヤピースの断面、または突起付近のイヤピースの断面は、特定の形状(例えば、長方形または丸みを帯びた形状)を有してもよい。
【0044】
いくつかの実施形態では、本体部の開口/スリット/ギャップは、4つの表面のうちの1つに設けられる。
【0045】
いくつかの実施形態では、第1の表面は、保持部材がイヤピースに取り付けられ、イヤピースがユーザの耳内の所定の位置に挿入されたときに、上方を向くように構成される。この場合、本体部の開口/スリット/ギャップは、第1の表面に設けられる。例えば、低出力レシーバおよび中出力レシーバを有するイヤピースでは、スリットは、本体部の第1の表面に設けられてもよい。このような構成となる原因は、イヤピースのレシーバの製造工程である。
【0046】
いくつかの実施形態では、第2の表面は、保持部材がイヤピースに取り付けられ、イヤピースがユーザの耳内の所定の位置に挿入されたときに、側方を向くように構成される。この場合、本体部の開口/スリット/ギャップは、第2の表面に設けられる。例えば、高出力レシーバを有するイヤピースでは、スリットは、本体部の第2の表面に設けられてもよい。このような構成となる原因は、イヤピースのレシーバの製造工程である。
【0047】
いくつかの実施形態では、保持部材は、イヤピースの外側端に取り付けられるように構成される。外側端は、周囲環境の方を向くイヤピースの後端である。これにより、保持部材がドームと干渉しないということが保証できる。さらに、保持部材が外耳道の近くにあるとユーザの快適さを損なう可能性があるので、保持部材が外耳道に近接しないように、イヤピースのできるだけ後ろの方に保持部材を配置することは、有益である。外耳道に多くの部品または大きな部品があると、ユーザにとって非常に不快となり得る。
【0048】
いくつかの実施形態では、本体部の開口/スリット/ギャップは、横方向に第1の長さを有し、長手方向に第2の長さを有する。これらの方向は、イヤピースの第1の横方向または第2の横方向に対応してもよい。第1の長さと第2の長さとは、異なる長さであってもよいし、同じ長さであってもよい。長さが異なる場合、スリットは長方形であってもよい。
【0049】
いくつかの実施形態では、本体部の開口/スリット/ギャップは、長方形、円形、円筒形、長円形、多角形等のような形状を有する。スリットが丸みを帯びた形状を有する場合、保持部材をイヤピースへ嵌合し易くなる可能性がある。このため、スリットは、角を丸めるなど、丸みを帯びた形状を有していてもよい。
【0050】
いくつかの実施形態では、本体部の開口/スリット/ギャップは、イヤピースの突起よりも大きい。このようにすることで、部品間に多少の余分なスペースまたは公差があり、本体部のスリットをイヤピースの突起に亘ってスライドさせることがより容易となり得るため、有益である。保持部材をイヤピースに配置したときに、突起が本体部と面一となるように、本体部の材料厚は、突起の高さに対応する。これにより、突起がスリットから突出しない。
【0051】
いくつかの実施形態では、保持部材の延在部は、保持部材がイヤピースに取り付けられ、イヤピースがユーザの耳内の所定の位置に挿入された際に下方を向く本体部の表面に接続される。使用時に下方を向く表面は、本体部の第3の表面であってもよい。保持部材の本体部および延在部は、1つの部品として製造されてもよいし、2つの部品として製造されてもよい。保持部材は、射出成形によって製造されてもよい。射出成形機のインレットの先端は、本体部と延在部との接続部に位置してもよく、これら2つの部品の接続部には、射出成形工程からの小さな残留材料が存在する場合がある。この残留物は、ユーザの皮膚に不快感を与えるおそれがある。接続部およびこの起こりうる残留物が、使用中に下方を向く保持部材の表面にあると、本体部と延在部との間の接続部において保持部材がユーザの皮膚に接触しにくいため、残留物が皮膚に与える不快感を最小限にすることができる。
【0052】
いくつかの実施形態では、保持部材の延在部は、保持部材がイヤピースに取り付けられ、イヤピースがユーザの耳内の所定の位置に挿入されたときに、下から上に向かって耳甲介の形状に沿って曲げられるよう構成される。したがって、延在部は、外耳道開口付近の耳甲介の底部から曲がり、次いで、ユーザの耳の三角窩/耳輪に向かって対耳輪に追従しながら耳甲介に沿って上方に曲がってもよい。
【0053】
いくつかの実施形態では、保持部材の延在部は、本体部の開口/スリット/ギャップと反対側で本体部に配置される。この構成は、低出力レシーバおよび中出力レシーバに適用してもよい。
【0054】
いくつかの実施形態では、保持部材は、医療用プラスチックなどのプラスチック材料から製造される。
【0055】
いくつかの実施形態では、プラスチック材料は、約25~70のショアA硬度値を有する可撓性によって定義される。ショアA硬度値は、50~70(例えば、55~62)であってもよい。この保持部材の柔軟性により、突起が本体部のスリット/開口/ギャップにあるときに、本体部をイヤピースの「ロック」位置まで突起を超えて押し込むことができる。
【0056】
いくつかの実施形態では、延在部は、可撓性を提供するセグメントを含む。
【0057】
いくつかの実施形態では、延在部の長さは、本体部のどの方向/寸法よりも長い。したがって、延在部は、本体部の最大寸法の2倍の長さであってもよい。延在部は、本体部の最大寸法の3倍の長さであってもよい。延在部は、本体部の最大寸法の4倍の長さであってもよい。延在部は、本体部の最大寸法の5倍の長さであってもよい。延在部は、本体部の最大寸法等の6倍の長さであってもよい。
【0058】
いくつかの実施形態では、保持部材の延在部は、約2.5cm~4.5cmの長さを有し、保持部材の本体部は、各寸法/方向で約0.2cm~0.6cmのサイズを有する。
【0059】
いくつかの実施形態では、イヤピースは、聴覚装置のレシーバ/出力トランスデューサ/ラウドスピーカであり、イヤピースは、聴覚装置の耳掛け型ハウジングに接続されるように構成される。
【0060】
いくつかの実施形態では、ドームは、内側端においてイヤピースに取り付けられるように構成される。内側端は、耳の鼓膜に向かって内方に向くイヤピースの端である。したがって、イヤピースの外側端の保持部材がドームと干渉しないので、ドームが外耳道内においてイヤピースから外れるリスクが低減されることは、有益である。
【0061】
本発明は、上記および以下に記載される保持部材、ならびに対応するイヤピース、聴覚装置、システム、システム部品、方法、装置、キット、使用および/または製造手段を含む、様々な態様に関する。これらはそれぞれ、記載される第1の態様に関連して説明される利益および利点のうちの1つまたは複数をもたらす。さらに、これらはそれぞれ、記載される第1の態様に関連して記載される実施形態、および/または、添付の特許請求の範囲に開示される実施形態に対応する1つまたは複数の実施形態を有する。
【0062】
上記および他の特徴および利点は、添付の図面を参照した例示的な実施形態の以下の詳細な説明によって、当業者に容易に明らかになるであろう。
【図面の簡単な説明】
【0063】
図1a】イヤピース4のための保持部材2の一例を概略的に示す。
図1b】イヤピース4のための保持部材2の一例を概略的に示す。
図1c】イヤピース4のための保持部材2の一例を概略的に示す。
図1d】イヤピース4のための保持部材2の一例を概略的に示す。
図1e】イヤピース4のための保持部材2の一例を概略的に示す。
図1f】イヤピース4のための保持部材2の一例を概略的に示す。
図2a】イヤピース4のための保持部材2の一例を概略的に示す。
図2b】イヤピース4のための保持部材2の一例を概略的に示す。
図2c】イヤピース4のための保持部材2の一例を概略的に示す。
図2d】イヤピース4のための保持部材2の一例を概略的に示す。
図2e】イヤピース4のための保持部材2の一例を概略的に示す。
図2f】イヤピース4のための保持部材2の一例を概略的に示す。
図2g】イヤピース4のための保持部材2の一例を概略的に示す。
図2h】イヤピース4のための保持部材2の一例を概略的に示す。
図2i】イヤピース4のための保持部材2の一例を概略的に示す。
図3】延在部8と本体部6とを備える保持部材2を概略的に示す。
図4】ユーザの耳に配置されたイヤピース4の一例を概略的に示す。
図5】イヤピース4とBTEユニット42とを備える聴覚装置40を概略的に示す。
【発明を実施するための形態】
【0064】
様々な実施形態が、図面を参照して以下に記載される。全体を通して、同様の参照番号は同様の要素を指す。したがって、同様の要素については、各図の説明に関して詳細には説明しない。また、図面は、実施形態の説明を容易にすることのみを意図していることにも留意されたい。図面は、特許請求の範囲に記載された発明の網羅的な説明としても、特許請求の範囲に記載された発明の範囲に対する限定としても意図されていない。さらに、図示された実施形態は、図示された態様または利点のすべてを有する必要はない。特定の実施形態に関連して説明される態様または利点は、必ずしもその実施形態に限定されず、そのように図示されていなくても、またはそのように明示的に説明されていなくても、任意の他の実施形態で実施することができる。
【0065】
全体を通して、同じ参照番号は、同一または対応する部品に使用される。
【0066】
図1a~図1fは、イヤピース4のための保持部材2の一例を概略的に示している。イヤピース4は、ユーザの耳の外耳道の少なくとも一部に挿入されるように構成されている。保持部材2は、イヤピース4に取り付けられるように構成される本体部6を備える。保持部材2は、保持部材2がイヤピース4に取り付けられ、イヤピース4がユーザの耳内の所定の位置に挿入されたときに、ユーザの耳甲介の少なくとも一部に当接するように構成される延在部8を備える。これにより、イヤピース4が外耳道に保持される。本体部6は、イヤピース4の突起12に配置されるように構成される開口/スリット/ギャップ10を備える。
【0067】
保持部材2およびイヤピース4は、側面図で表されている。
【0068】
ワイヤ/ケーブル14が、イヤピース4を耳掛け型(behind-the-ear)ユニット(図示省略)に接続する。
【0069】
図1aおよび図1bに、低出力レシーバの例を示す。図1aでは、保持部材2は、イヤピース4に取り付けられている。図1bでは、保持部材2とイヤピース4は、互いから取り外されている。
【0070】
図1cおよび図1dに、中出力レシーバの例を示す。図1cでは、保持部材2は、イヤピース4に取り付けられている。図1dでは、保持部材2とイヤピース4は、互いから取り外されている。
【0071】
図1eおよび図1fに、高出力レシーバの例を示す。図1eでは、保持部材2は、イヤピース4に取り付けられている。図1fでは、保持部材2とイヤピース4は、互いから取り外されている。
【0072】
保持部材2は、イヤピース4の外側端20に取り付けられるように構成されている。
【0073】
本体部6のスリット10は、横方向に第1の長さを有し、長手方向に第2の長さを有する。
【0074】
本体部6のスリット10は、長方形、円形、円筒形、長円形、多角形等の形状を有する。
【0075】
本体部6のスリット10は、イヤピース4の突起12よりも大きい。
【0076】
延在部8の長さは、本体部6のどの方向/寸法よりも長い。
【0077】
図1a~図1dは、本体部6が、長手方向軸に沿って長方形形状を有することを示す。本体部6は、4つの表面16a、16b、16c、16d(図3参照)を備える。4つの表面のうちの第1の表面16aと第3の表面16cは互いに反対側にあり、4つの表面のうちの第2の表面16bと第4の表面16dは互いに反対側にある。第1の表面16aと第3の表面16cは、第2の表面16bと第4の表面16dに直交する。
【0078】
本体部6の開口/スリット/ギャップ10は、4つの表面16のうちの1つに設けられる。
【0079】
第1の表面16aは、保持部材2がイヤピース4に取り付けられ、イヤピース4がユーザの耳内の所定の位置に挿入されたときに、上方を向くように構成される。
【0080】
図1a~図1dでは、本体部6のスリット10は、第1の表面16aに設けられている。
【0081】
図1a~図1dでは、保持部材2の延在部8は、本体部6のスリット10と反対側で、本体部6に配置されている。
【0082】
図1e~図1fは、本体部6が、長手方向軸に沿って多角形形状を有することを示す。本体部6は、4つの一次表面16a、16b、16c、16d(図3参照)を備える。4つの表面のうちの第1の表面16aと第3の表面16cは互いに反対側にあり、4つの表面のうちの第2の表面16bと第4の表面16dは互いに反対側にある。第1の表面16aと第3の表面16cは、第2の表面16bと第4の表面16dに直交する。本体部6は、例えば、2つの二次表面または4つの二次表面を備えてもよい。各二次表面は、2つの一次表面16の間に設けられる。
【0083】
本体部6の開口/スリット/ギャップ10は、4つの一次表面16のうちの1つに設けられる。
【0084】
第2の表面16bは、保持部材2がイヤピース4に取り付けられ、イヤピース4がユーザの耳内の所定の位置に挿入されたときに、側方を向くように構成される。
【0085】
図1e~図1fでは、第2表面16bに、本体部6のスリット10が設けられている。
【0086】
全ての図1において、保持部材2の延在部8は、保持部材2がイヤピース4に取り付けられ、イヤピース4がユーザの耳内の所定の位置に挿入されたときに下方を向く表面16cにおいて本体部6に接続されている。
【0087】
図2a~図2iは、イヤピース4のための保持部材2の一例を概略的に示す。イヤピース4は、ユーザの耳の外耳道の少なくとも一部に挿入されるように構成される。保持部材2は、イヤピース4に取り付けられるように構成される本体部6を備える。保持部材2は、保持部材2がイヤピース4に取り付けられ、イヤピース4がユーザの耳内の所定の位置に挿入されたときに、ユーザの耳甲介の少なくとも一部に当接するように構成される延在部8を備える。これにより、イヤピース4が外耳道に保持される。本体部6は、イヤピース4の突起12に配置されるように構成される開口/スリット/ギャップ10を備える。
【0088】
ワイヤ/ケーブル14が、イヤピース4と耳掛け型ユニット24とを接続している。
【0089】
図2a~図2cは、低出力レシーバの例を示す。図2aでは、保持部材2とイヤピース4は、互いから取り外されている。図2bでは、保持部材2はイヤピース4に取り付けられている。図2cでは、イヤピース4には、保持部材2とドーム26が取り付けられている。
【0090】
図2d~図2fは、中出力レシーバの例を示す。図2dでは、保持部材2とイヤピース4は、互いから取り外されている。図2eでは、保持部材2はイヤピース4に取り付けられている。図2fでは、イヤピース4には、保持部材2とドーム26が取り付けられている。
【0091】
図2g~図2iは、高出力レシーバの例を示す。図2gでは、保持部材2とイヤピース4は、互いから取り外されている。図2hでは、保持部材2はイヤピース4に取り付けられている。図2iでは、イヤピース4には、保持部材2とドーム26が取り付けられている。
【0092】
延在部8は、イヤピース4の外側端20に配置されている。ドーム26は、イヤピースの内側端22に配置されている。
【0093】
図3は、延在部8と本体部6とを備える保持部材2を概略的に示す。
【0094】
保持部材2の本体部6は、イヤピース4の外側端20から内側端22まで延在する長手方向軸30に沿ってイヤピース4に取り付けられるように構成される。
【0095】
保持部材2の本体部6のスリット10は、長手方向軸30に直交する第1の横軸32に沿って設けられる。このような構成は、図1a~図1dに示される低出力レシーバおよび中出力レシーバに適用されてもよい。
【0096】
あるいは、保持部材2の本体部6のスリット10は、長手方向軸30と第1の横軸32に直交する第2の横軸34に沿って設けられる。このような構成は、図1e~図1fに示される高出力レシーバに適用されてもよい。
【0097】
本体部6は、イヤピース4の横方向32、34でイヤピース4を包み込むか、または囲むように構成される。
【0098】
本体部6は、イヤピース4に隣接するように構成された内周/円周を有するリング状であってもよい。
【0099】
本体部6は、長手方向軸30に沿って長方形形状を有してもよい。このため、本体部6は、4つの表面16a、16b、16c、16dを備える。4つの表面のうちの第1の表面16aと第3の表面16cは互いに反対側にあり、4つの表面のうちの第2の表面16bと第4の表面16dは互いに反対側にある。第1の表面16aおよび第3の表面16cは、第2の表面16bおよび第4の表面16dに直交する。
【0100】
本体部6のスリット10は、4つの表面16のうちの1つに設けられている。
【0101】
図4は、ユーザの耳に配置されたイヤピース4の一例を概略的に示す。イヤピース4は、保持部材を取付け可能に構成されている。イヤピース4は、ユーザの耳の外耳道の少なくとも一部に挿入されるように構成されている。イヤピースは、突起(図示省略)を備える。保持部材は、イヤピース4に取り付けられるように構成される本体部を備える。保持部材は、保持部材がイヤピース4に取り付けられ、イヤピース4がユーザの耳内の所定の位置に挿入されたときに、ユーザの耳の耳甲介28の少なくとも一部に当接するように構成される延在部8を備える。これにより、イヤピース4が、外耳道に保持される。
【0102】
延在部8は、外耳道開口付近の耳甲介28の底部から曲がり、次いで、ユーザの耳の三角窩/耳輪に向かって対耳輪に追従しながら耳甲介28に沿って上方に曲がってもよい。
【0103】
イヤピース4は、聴覚装置40のレシーバ/出力トランスデューサ/ラウドスピーカであってもよい。イヤピース4は、ケーブル/ワイヤ14を介して聴覚装置40の耳掛け型ハウジング42に接続されるように構成される。
【0104】
図5は、イヤピース4とBTEユニット42とを備える聴覚装置40を概略的に示す。BTEユニット42はハウジング44を備える。BTEユニット42は、受信したオーディオ信号に基づいて1つまたは複数のマイクロフォン出力信号を生成するために、第1のトランスデューサ(例えば、マイクロフォン46)を備えてもよい。1つまたは複数のマイクロフォン出力信号は、1つまたは複数のマイクロフォン出力信号を処理するための信号プロセッサ48に提供されてよい。BTEユニット42は、電磁場の放射および受信のためのアンテナ52(例えば、無線周波数アンテナや磁気誘導アンテナ)と相互接続された無線データ通信のための無線通信ユニット50(例えば、無線通信回路)をさらに備えてもよい。無線機又はトランシーバを含む無線通信ユニット50は、1つまたは複数の外部装置(例えば、少なくとも1つのスマートフォン、少なくとも1つのタブレット、少なくとも1つのスパウス(spouse)マイクロフォン、リモートコントローラ、オーディオ試験装置等を含む少なくとも1つの聴覚アクセサリ装置を含む1つまたは複数の外部電子装置)と通信するために、聴覚装置の信号プロセッサ48及びアンテナ52に接続してもよい。また、いくつかの実施形態では、無線機又はトランシーバを含む無線通信ユニット50は、通常、バイノーラル聴覚装置システムにおける別の聴覚装置(例えば、別の耳に位置する別の聴覚装置)と通信するために、聴覚装置の信号プロセッサ48及びアンテナ52に接続してもよい。
【0105】
イヤピース4は、プラグコネクタ54と、電気ワイヤ/チューブ14と、ハウジング56とを備えてもよい。プラグコネクタ54及び電気ワイヤ/チューブ14は、イヤピース4をBTEユニット42に機械的及び電気的に接続するように構成される。イヤピース4は、レシーバ出力信号をユーザの外耳道に供給するためのレシーバまたはスピーカ58を備えてもよい。レシーバまたはスピーカ58は、信号プロセッサ48の出力に接続されてもよい。信号プロセッサの出力信号は、ユーザの聴覚障害を補償するように修正されてもよく、信号プロセッサ48は、修正された信号をスピーカ58に供給してもよい。この接続は、プラグコネクタ54を介して確立されてよい。
【0106】
特定の特徴が図示され、説明されてきたが、それらは、特許請求の範囲に記載された発明を限定することを意図していないことが理解されるべきであり、特許請求の範囲に記載された発明の範囲から逸脱することなく、様々な変更および改良がなされ得ることが、当業者にとって明らかである。したがって、本明細書および図面は、限定的な意味ではなく例示的な意味で見なされるべきである。特許請求の範囲に記載された発明は、全ての代替物、変更物、および均等物を包含することが意図される。
【0107】
(項目1)
イヤピースのための保持部材であって、前記イヤピースは、ユーザの耳の外耳道の少なくとも一部に挿入されるように構成され、前記保持部材は、前記イヤピースに取り付けられるように構成される本体部と、前記保持部材が前記イヤピースに取り付けられ、前記イヤピースが前記ユーザの耳内の所定の位置に挿入されたときに、前記ユーザの耳の耳甲介の少なくとも一部に当接するように構成される延在部であって、それにより前記イヤピースを前記外耳道に保持する前記延在部と、を備え、前記本体部は、前記イヤピースの突起に配置されるように構成されるスリットを備える、保持部材。
【0108】
(項目2)
前記保持部材の前記本体部は、前記イヤピースの外側端から内側端まで延びる長手方向軸に沿って、前記イヤピースに取り付けられるように構成される、項目1に記載の保持部材。
【0109】
(項目3)
前記保持部材の前記本体部の前記スリットは、前記長手方向軸に直行する第1の横軸に沿って設けられる、項目1または2に記載の保持部材。
【0110】
(項目4)
前記保持部材の前記本体部の前記スリットは、前記長手方向軸に直交する第2の横軸に沿って設けられる、項目1から3のいずれか一項に記載の保持部材。
【0111】
(項目5)
前記本体部は、前記イヤピースを前記イヤピースの前記横方向で取り囲むように構成される、項目1から4のいずれか一項に記載の保持部材。
【0112】
(項目6)
前記本体部は、前記イヤピースに隣接するように構成された内周/円周を有するリング状である、項目1から5のいずれか一項に記載の保持部材。
【0113】
(項目7)
前記本体部は、前記長手方向軸に沿って長方形形状を有するとともに、4つの表面を備え、前記4つの表面のうちの第1の表面と第3の表面が互いに反対側にあり、前記4つの表面のうちの第2の表面と第4の表面が互いに反対側にあり、前記第1の表面および前記第3の表面は、前記第2の表面および前記第4の表面に直交する、項目1から6のいずれか一項に記載の保持部材。
【0114】
(項目8)
前記本体部の開口/スリット/ギャップが前記4つの表面のうちの1つに設けられる、項目1から7のいずれか一項に記載の保持部材。
【0115】
(項目9)
前記第1の表面は、前記イヤピースに前記保持部材が取り付けられ、前記イヤピースが前記ユーザの耳内の所定の位置に挿入されたときに、上方を向くように構成され、前記第1の表面には、前記本体部の前記スリットが設けられる、項目1から8のいずれか一項に記載の保持部材。
【0116】
(項目10)
前記第2の表面は、前記保持部材が前記イヤピースに取り付けられ、前記イヤピースが前記ユーザの耳内の所定の位置に挿入されたときに、側方を向くように構成され、前記第2の表面に、前記本体部の前記スリットが設けられる、項目1から9のいずれか一項に記載の保持部材。
【0117】
(項目11)
前記保持部材は、前記イヤピースの外側端に取り付けられるように構成される、項目1から10のいずれか一項に記載の保持部材。
【0118】
(項目12)
前記本体部の前記スリットは、横方向に第1の長さを有し、長手方向に第2の長さを有する、項目1から11のいずれか一項に記載の保持部材。
【0119】
(項目13)
前記本体部の前記スリットは、長方形、円形、円筒形、長円形、多角形等の形状を有する、項目1から12のいずれか一項に記載の保持部材。
【0120】
(項目14)
前記本体部の前記スリットは、前記イヤピースの突起よりも大きい、項目1から13のいずれか一項に記載の保持部材。
【0121】
(項目15)
前記保持部材の前記延在部は、前記保持部材が前記イヤピースに取り付けられ、前記イヤピースが前記ユーザの耳内の所定の位置に挿入されたときに下方を向く前記本体部の面に接続される、項目1から14のいずれか一項に記載の保持部材。
【0122】
(項目16)
前記保持部材の前記延在部は、前記保持部材が前記イヤピースに取り付けられ、前記イヤピースが前記ユーザの耳内の所定の位置に挿入されたときに、下方から上方に向かって前記耳甲介の形状に沿って曲がるように構成される、項目1から15のいずれか一項に記載の保持部材。
【0123】
(項目17)
前記保持部材の前記延在部は、前記本体部の開口/スリット/ギャップと反対側で前記本体部に配置される、項目1から16のいずれか一項に記載の保持部材。
【0124】
(項目18)
前記保持部材は、医療用プラスチック等のプラスチック材料で構成される、項目1から17のいずれか一項に記載の保持部材。
【0125】
(項目19)
前記プラスチック材料は、約25~70のショアA硬度値を有する可撓性によって定義される、項目18に記載の保持部材。
【0126】
(項目20)
前記延在部は、可撓性を提供するセグメントを備える、項目1から19のいずれか一項に記載の保持部材。
【0127】
(項目21)
前記延在部の長さは、前記本体部のどの方向/寸法よりも長い、項目1から20のいずれか一項に記載の保持部材。
【0128】
(項目22)
前記保持部材の前記延在部は、約2.5cm~4.5cmの長さを有し、前記保持部材の前記本体部は、各寸法/方向で約0.2cm~0.6cmの大きさを有する、項目1から21のいずれか一項に記載の保持部材。
【0129】
(項目23)
保持部材を取り付けるように構成されるイヤピースであって、前記イヤピースは、ユーザの耳の外耳道の少なくとも一部に挿入されるように構成されるとともに、突起を備え、前記保持部材は、前記イヤピースに取り付けられるように構成される本体部と、前記保持部材が前記イヤピースに取り付けられ、前記イヤピースが前記ユーザの耳内の所定の位置に挿入されたときに、前記ユーザの耳の耳甲介の少なくとも一部に当接するように構成される延在部であって、それにより前記イヤピースを前記外耳道に保持する前記延在部と、を備え、前記本体部は、前記イヤピースの前記突起に配置されるように構成された開口/スリット/ギャップを備える、イヤピース。
【0130】
(項目24)
前記イヤピースは、聴覚装置のレシーバ/出力トランスデューサ/ラウドスピーカであるとともに、前記聴覚装置の耳掛け型(behind-the-ear)ハウジングに接続されるように構成される、項目23に記載のイヤピース。
【0131】
(項目25)
ドームが、前記イヤピースの内側端に取り付けられるように構成される、項目23または24に記載のイヤピース。
【0132】
(項目26)
聴覚装置用のスポーツロックとしての、項目23に記載のイヤピースのための項目1に記載の保持部材の使用。
【符号の説明】
【0133】
2:保持部材、4:イヤピース、6:保持部材の本体部、8:保持部材の延在部、10:本体部のスリット、12:イヤピースの突起、14:ワイヤ/ケーブル、16:本体部の表面/一次表面、16a:第1の表面/第1の一次表面、16b:第2の表面/第2の一次表面、16c:第3の表面/第3の一次表面、16d:第4の表面/第4の一次表面、20:イヤピースの外側端、22:イヤピースの内側端、24、42:耳掛け型ユニット、26:ドーム、28:耳甲介、29:対耳輪、30:長手方向軸、32:第1の横軸、34:第2の横軸、40:聴覚装置、44:耳掛け型ハウジング、46:第1のトランスデューサ/マイクロフォン、48:信号プロセッサ、50:無線通信ユニット、52:アンテナ、54:プラグコネクタ、56:イヤピースハウジング、58:イヤピース内のレシーバ/ラウドスピーカ/スピーカ
図1a
図1b
図1c
図1d
図1e
図1f
図2a
図2b
図2c
図2d
図2e
図2f
図2g
図2h
図2i
図3
図4
図5
【外国語明細書】