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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022077997
(43)【公開日】2022-05-24
(54)【発明の名称】リンパ液排出装置
(51)【国際特許分類】
   A61M 1/00 20060101AFI20220517BHJP
【FI】
A61M1/00 140
【審査請求】有
【請求項の数】20
【出願形態】OL
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2021183274
(22)【出願日】2021-11-10
(31)【優先権主張番号】109139556
(32)【優先日】2020-11-12
(33)【優先権主張国・地域又は機関】TW
(71)【出願人】
【識別番号】521493318
【氏名又は名称】鄭 靖蓉
(74)【代理人】
【識別番号】100106404
【弁理士】
【氏名又は名称】江森 健二
(74)【代理人】
【識別番号】100112977
【弁理士】
【氏名又は名称】田中 有子
(72)【発明者】
【氏名】鄭 明輝
【テーマコード(参考)】
4C077
【Fターム(参考)】
4C077DD01
4C077DD21
4C077EE01
4C077EE04
4C077FF04
4C077JJ03
4C077JJ05
4C077NN02
(57)【要約】      (修正有)
【課題】静脈に対してリンパ液を排出し、リンパ浮腫を効果的に緩和するための、排液構造を有するリンパ液排出装置を提供する。
【解決手段】チャンバ21と、浸透膜22と、第1のカテーテル231と、第2のセンシング素子25と、ポンプと、を備えており、チャンバは、チャンバ空間211を形成するチャンバ壁21aを含み、当該チャンバ壁には第1の開口部31が形成され、浸透膜は、第1の開口部に配置され、第1のカテーテルの一端と他端は、チャンバ空間と静脈にそれぞれ接続され、第2のセンシング素子は、電源装置1の第1のセンシング素子11が放射する電波を受信して、電気信号を送信し、ポンプは、チャンバの内部に配置され、第2のセンシング素子に接続され、チャンバ空間の内部に負圧を発生させ、第1のカテーテルを介して静脈にリンパ液を排出する。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
排液構造を有するリンパ液排出装置であって、
前記排液構造が、
チャンバ空間を形成するチャンバ壁を含み、当該チャンバ壁に第1の開口部が形成されているチャンバと、
当該第1の開口部に配置され、前記チャンバの前記チャンバ空間の内部にリンパ液を浸透させる浸透膜と、
一端が前記チャンバの前記チャンバ空間に接続され、他端が静脈に接続され、前記チャンバの前記チャンバ空間が、前記静脈に接続される第1のカテーテルと、
電源装置の第1のセンシング素子から放射された電波を受信して電気信号を放射する第2のセンシング素子と、
前記チャンバの内部に配置され、前記第2のセンシング素子に接続され、前記第2のセンシング素子から放射された前記電気信号により駆動させて、前記チャンバ空間の内部に負圧を発生させ、前記チャンバ空間の内部圧力を、前記チャンバ空間の外部圧力よりも低くすることにより、前記チャンバ空間の外部から、前記チャンバ空間の内部にリンパ液を浸透させ、当該リンパ液を、前記第1のカテーテルを介して、前記静脈に対して排出するポンプと、を備えることを特徴とするリンパ液排出装置。
【請求項2】
前記電源装置が、前記第1のセンシング素子を備え、前記第1のセンシング素子が、前記電波を放射することを特徴とする請求項1に記載のリンパ液排出装置。
【請求項3】
前記電源装置が、前記第1のセンシング素子に電力を供給するために、前記第1のセンシング素子に対して、電気的に繋いだ電源素子を更に備えていることを特徴とする請求項2に記載のリンパ液排出装置。
【請求項4】
前記第1のセンシング素子及び前記第2のセンシング素子は、それぞれ誘導コイルであることを特徴とする請求項1に記載のリンパ液排出装置。
【請求項5】
前記ポンプが、入口端と出口端を有し、前記チャンバの前記チャンバ空間に浸透したリンパ液は、前記入口端から前記出口端へ排出されることを特徴とする請求項1に記載のリンパ液排出装置。
【請求項6】
前記ポンプが、前記チャンバの前記チャンバ空間に配置され、前記チャンバ壁に第2の開口部が更に形成され、前記出口端が、前記第2の開口部に接続されていることを特徴とする請求項5に記載のリンパ液排出装置。
【請求項7】
前記チャンバの外側に前記ポンプが配置され、前記チャンバの前記チャンバ壁に第2の開口部が更に形成され、前記入口端が、前記第2の開口部と接続され、前記出口端が、前記第1のカテーテルに対して接続されていることを特徴とする請求項5に記載のリンパ液排出装置。
【請求項8】
前記ポンプが、第2のカテーテルを更に含み、前記第2の開口部及び前記入口端が、前記第2のカテーテルで接続されていることを特徴とする請求項7に記載のリンパ液排出装置。
【請求項9】
前記ポンプが、着脱可能なポンプであることを特徴とする請求項7又は請求項8に記載のリンパ液排出装置。
【請求項10】
前記ポンプが、マイクロポンプ、蠕動式マイクロポンプ、及び、手動式マイクロポンプからなる群から選択される少なくとも一つであることを特徴とする請求項1に記載のリンパ液排出装置。
【請求項11】
前記排液構造において、前記第1のカテーテル内に逆止弁が、更に配置されていることを特徴とする請求項1に記載のリンパ液排出装置。
【請求項12】
前記排液構造が、皮下組織に埋め込まれていることを特徴とする請求項1に記載のリンパ液排出装置。
【請求項13】
前記排液構造が、周縁を生体適合性材料で覆われていることを特徴とする請求項1に記載のリンパ液排出装置。
【請求項14】
前記生体適合性材料が、シリコン、シリコンゴム、ポリエチレン、テトラフルオロエチレン、ポリアミノ酸エステル、ポリウレタン、ポリジメチルシロキサン、ポリ乳酸、ポリグリコール酸、ニオブ-チタン-ジルコニウムβ合金、チタン合金、金、銀、コバルト-クロム-モリブデン合金、及びポリ(ヒドロキシエチルメタクリレート)からなる群から選択される少なくとも一種であることを特徴とする請求項13に記載のリンパ液排出装置。
【請求項15】
前記第1のカテーテルの直径を1mm~5mmの範囲内の値とすることを特徴とする請求項1に記載のリンパ液排出装置。
【請求項16】
前記浸透膜の孔径を20mm~50mmの範囲内の値とすることを特徴とする請求項1に記載のリンパ液排出装置。
【請求項17】
前記浸透膜は、負の電荷を帯びた高分子材料から構成されていることを特徴とする請求項1に記載のリンパ液排出装置。
【請求項18】
前記ポンプによって発生する前記チャンバ空間の内部の負圧を10mmHg~100mmHgの範囲内の値とすることを特徴とする請求項1に記載のリンパ液排出装置。
【請求項19】
前記排液構造は、前記チャンバ上に配置された薬品注入用シリコン膜を備え、当該薬品注入用シリコン膜により、前記チャンバ空間の内部に薬品が注入できることを特徴とする請求項1に記載のリンパ液排出装置。
【請求項20】
前記排液構造が、前記チャンバの前記チャンバ壁の外壁に配置された固定リングを備えていることを特徴とする請求項1に記載のリンパ液排出装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、リンパ液排出装置に関する。
特に、静脈に対してリンパ液を排出し、リンパ浮腫を効果的に緩和するのに好適な新規なリンパ液排出装置に関する。
なお、本発明は、2020年11月12日に出願された台湾特許出願第109139556号に記載された発明内容の利益を主張するものであり、当該台湾特許出願の発明内容を参照することにより、本発明の内容に組み込むことができる。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0002】
従来、リンパ浮腫とは、体の組織にとって過剰なリンパ液(以下、単にリンパと称する場合がある。)が溜まることで起こる腫れのことである。
すなわち、正常状態では、毛細血管から滲み出た動脈血に、タンパク質を多く含むリンパ液が10%含まれており、当該リンパ液は、リンパ管を通ってリンパ節に流れ、最後に静脈へ戻ることになる。
しかしながら、外科的処置(以下、単に、手術と称する場合がある。)による近位リンパ節の切除、放射線治療によるリンパ節機能の低下、先天的なリンパ系の欠如、寄生虫によるリンパ系の破壊により、リンパ液の再循環が困難になると、リンパ液が、組織内に蓄積され、リンパ浮腫となることが判明している。
【0003】
一般的に、乳がん患者は、上肢のリンパ浮腫になりやすい傾向がある。医学的な統計によれば、乳がん患者の約6~30%がリンパ浮腫を発症している。
かかるリンパ浮腫の原因として、広く実施されている外科的処置や放射線治療等が挙げられる。
例えば、外科的処置では、腋窩リンパ系を切除し、放射線治療は残ったリンパ組織を線維化させる。そのため、乳がん患者の中には、外科的処置や放射線治療を受けた後、3年以内にリンパ浮腫を発症する人もいる。
【0004】
このようにリンパ浮腫は、皮下脂肪に浸透圧の高いタンパク質を含んだ過剰な組織液が溜まったものであるため、細菌が繁殖しやすく、見た目にも腫れ症状が現れる。
そして、重症化した場合、皮膚病変、線維化、蜂巣炎などを引き起こし、日常生活や外見に影響を与え、更には生命を脅かすこともある。
【0005】
そこで、現在、リンパ浮腫の臨床治療は、浮腫の程度を緩和するため、主に四肢の圧迫、マッサージ、リハビリテーション、又は圧迫衣の着用などが行われている。更に、蜂巣炎やリンパ管炎に対しては、薬品による予防及び治療が行われている。
又、重度のリンパ浮腫の患者に対しては、より積極的な治療として、外科的処置や皮下組織へのリンパ液排出装置の埋め込み処理が行われている。そして、従来のリンパ液排出装置は、いずれもかかる装置の内部に内蔵電池を有しており、リンパ液排出装置が動作するための電源としている。
しかしながら、かかる内蔵電池は、駆動源としての電池切れを起こすだけでなく、時間経過とともに内部の物質が漏れ出すことがある(以下、電池崩壊や、液漏れと称する場合がある。)。
そのため、患者は定期的に内蔵電池を交換する手術を受ける必要があり、生活の不便を強いられ、生活の質の低下等の影響を受けることになる。
【0006】
従って、上記問題を解決するために、改良型のリンパ液排出装置を開発することが急務となっている。
【0007】
そこで、本発明の所定排液構造を有する、静脈へのリンパ液排出装置によって、手術回数の低減、又は、内蔵電池の崩壊といった問題を解決できる、リンパ液排出装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記目的を達成するために、本発明によれば、所定の排液構造(以下、単に排液装置と称する場合もある。)を有する、静脈へのリンパ液排出装置を提供する。
すなわち、かかる排液構造は、チャンバ、浸透膜、第1のカテーテル、第2のセンシング素子、ポンプを備えている。
ここで、チャンバは、チャンバ空間を形成するチャンバ壁を有し、第1の開口部を備えている。
又、浸透膜は、第1の開口部に配置され、チャンバ空間へリンパ液を浸透させる機能を有している。
そして、かかる浸透膜は、生体適合性を有する高分子材料から構成されていることが好ましい。
又、本発明における浸透膜は、電気特性を持つ、原則、負の電荷を帯びている設計構造と、特定の電気特性を持たない設計構造とがあるが、二つの設計構造のうち、いずれか一方で設計されていても好ましい。
さらに言えば、本発明における浸透膜は、負の電荷を帯びている高分子で作成された、設計構造であることがより好ましい。
【0009】
又、第1のカテーテルの一端をチャンバのチャンバ空間に接続し、第1のカテーテルの他端は、静脈(直径約2~5mm)に接続することによって、チャンバのチャンバ空間は、静脈へ接続される。
又、第2のセンシング素子は、電源装置の第1のセンシング素子が放射する電波を受信して電気信号(以下、電力信号と称する場合がある。)を放射する構成である。
又、チャンバの内部に、ポンプを配置し、第2のセンシング素子と電気的に接続する構成である。
従って、かかる第2のセンシング素子から放射された電気信号によってポンプが駆動し、チャンバ空間の内部に10mmHg~100mmHgの負圧を発生させることが好ましい。
かかる負圧は、10mmHg~50mmHgの範囲内の値とすることがより好ましく、10mmHg~30mmHgの範囲内の値とすることが更に好ましく、10mmHg~15mmHgの範囲内の値、30mmHg~50mmHgの範囲内の値、又は、50mmHg~80mmHgの範囲内の値とすることが更に好ましい。
すなわち、チャンバ空間の内部圧力を、チャンバ空間の外部圧力(組織圧)よりも低くすることで、リンパ液は、チャンバ空間の外側からチャンバ空間の内部に浸透するように誘導する構成である。
そして、第1のカテーテルを介して、リンパ液を静脈に対して排出することにより、組織間のリンパ液を効率的に除去する効果を発揮することができる。
【0010】
前述の浸透膜は、負の電荷を帯びた高分子材料で作成されることが好ましい。
この理由は、電気的に中性の膜を使用する場合、線維芽細胞が浸透膜に付着して生体膜を形成し、浸透膜が目詰まりする可能性があるためである。
又、正の電荷を帯びた浸透膜を使用する場合、細菌が感染し膜に付着して、浸透膜が目詰まりする可能性があるためである。
但し、浸透膜を負の電荷を帯びた高分子材料で作成した場合は、浸透膜を交換するために、外科的処置が必要となる場合がある。
一方、浸透膜が、特定の電気特性を持たない設計構造の場合、上述の問題を解決する、いくつかの方法が考えられている。
例えば、適切な場所において、最小切開手術を行い、それにより浸透膜を交換する方法が典型的であるが、又は、表面のシリコン膜を利用して、浸透膜の目詰まりを防ぐことができる抗凝固剤、抗線維芽細胞抗体、抗生物質から選択される少なくとも一種以上の薬品を局所的に注入する方法もある。
【0011】
本発明のリンパ液排出装置は、第1のセンシング素子を備えた電源装置を更に備えることが好ましい。
すなわち、かかる第1のセンシング素子が、電波を放射し、排液構造における第2のセンシング素子が、当該電波を受信することによって、排液構造に必要な電力を無線で供給することができる。但し、本発明はこれに限定されるものではない。
【0012】
本発明のリンパ液排出装置の電源装置は、第1のセンシング素子に電力を供給するために、第1のセンシング素子と電気的に接続した電源素子(以下、電力供給素子と称する場合がある。)を更に備えることが好ましい。但し、本発明はこれに限定されない。
本発明において、電源素子は、例えば、コンデンサ、電池、又は、任意の適切な電力貯蔵装置とすることが好ましい。
又、電源素子は、第1のセンシング素子で必要な電力を供給できるものであれば、特に限定されない。電源素子は交換可能であるが、本発明はこれに限定されるものではない。
更に、本発明のリンパ液排出装置において、第1のセンシング素子及び第2のセンシング素子は、それぞれ誘導コイルであることが好ましい。但し、本発明はこれに限定されるものではない。
又、第1のセンシング素子と第2のセンシング素子は、任意の電磁誘導素子であることが好ましい。
【0013】
本発明のリンパ液排出装置において、ポンプは入口端と出口端を有していることが好ましい。
かかる構成とすることで、チャンバのチャンバ空間の内部に浸透したリンパ液は、入口端から出口端に排出され、第1のカテーテルを介してリンパ液を静脈に排出される。但し、本発明はこれに限定されるものではない。
【0014】
本発明の一実施形態において、ポンプを、チャンバのチャンバ空間の内部に配置させ、チャンバのチャンバ壁に第2の開口部を更に形成させ、出口端を第2の開口部と接続することが好ましい。
かかる構成とすることで、チャンバのチャンバ空間の内部にあるリンパ液を、ポンプの出口端から第2の開口部へと直接誘導することができる。
すなわち、リンパ液排出装置の外部から静脈へリンパ液を流すこともできる。但し、本発明はこれに限定されるものではない。
【0015】
一方、本発明の別の実施形態において、ポンプが、チャンバの外側に配置され、第2の開口部が、チャンバのチャンバ壁に更に形成され、ポンプの入口端が、第2の開口部と接続され、出口端が、第1のカテーテルと、接続されることが好ましい。
かかるポンプをチャンバの外側に配置する設計とすることで、ポンプが取り外し可能になることから、ポンプを取り外し式ポンプとすることも好ましい。そして、必要に応じて、リンパ液の排出効率をより高めるためにポンプを変更することが好ましい。但し、本発明はこれに限定されるものではない。
【0016】
又、本発明の更に別の実施形態において、ポンプが、第2のカテーテルを更に備え、チャンバのチャンバ壁に第2の開口部が、更に形成され、ポンプの入口端が、第2のカテーテルによって第2の開口部と、接続されることが好ましい。
かかるポンプの構成とすることにより、第2のカテーテルの一端が、第2の開口部に接続され、他端が、ポンプの入口端に接続されるため、ポンプを排液構造に隣接して配置する必要がない。
更に、ポンプとチャンバを分離することで、排液構造の体積を小さくすることができ、ひいては、埋め込み部位における患者の不快感を軽減することができる。但し、本発明はこれに限定されるものではない。
又、それぞれの組織での異なるリンパ液排出の状態に対応するために、本発明におけるポンプを、例えば圧力調整可能なポンプ、遠隔制御可能なポンプ、又は無線制御可能なポンプとして設計することが好ましい。
かかるポンプには、マイクロポンプ、蠕動式マイクロポンプ、又は手動式マイクロポンプを用いることが好ましい。但し、本発明はこれに限定されるものではない。
かかるポンプの圧力や速度を制御することで、リンパ液の排出を制御する効果を得ることができる。
【0017】
又、本発明のリンパ液排出装置において、排液構造は、逆止弁を更に備えることが好ましい。かかる逆止弁は、例えば、一枚の板からなる逆止弁、又は二枚の板からなる逆止弁であることが好ましいが、これらに限定されない。
更に、逆止弁は、第2の開口部、第1のカテーテル、及び第2のカテーテルのうち少なくとも1つに配置していることが好ましい。例えば、二枚の板からなる逆止弁は、カテーテルの内壁に二枚の半円状の弾性板から構成されることが好ましい。
かかる構成とすることで、リンパ液が静脈に流れるときには逆止弁を通過することができるのに対して、静脈血が静脈から逆流するときには逆止弁によって止められることになる。これにより、本発明のリンパ液排出装置は、排出過程での静脈血の逆流を防ぐことができるため、本発明のリンパ液排出装置のリンパ液排出効率を高めることができる。
【0018】
又、本発明において、リンパ液排出装置を、外科的処置や低侵襲手術などによって、リンパ浮腫組織に埋め込むことができる。
又、本発明のリンパ液排出装置が、体内で拒絶されないようにするため、かかるリンパ液排出装置の周縁を生体適合性材料で覆うか、又は、生体適合性材料で作成することが好ましい。但し、本発明はこれに限定されるものではない。
ここで、本発明のリンパ液排出装置には、米国食品医薬品局(Food and Drug Administration:FDA)によって承認されたすべての生体適合性材料を使用することが好ましい。
より具体的には、シリコン、シリコンゴム、ポリエチレン、テトラフルオロエチレン、ポリアミノ酸エステル、ポリウレタン、ポリジメチルシロキサン、ポリ乳酸、ポリグリコール酸、ニオブ-チタン-ジルコニウムβ合金、チタン合金、金、銀、コバルト-クロム-モリブデン合金、及びポリ(ヒドロキシエチルメタクリレート)からなる群から選択される少なくとも一種とすることが好ましい。但し、本発明はこれに限定されるものではない。
又、かかるリンパ液排出装置の第2のセンシング素子は、電源装置の第1のセンシング素子が放射する電波を受信して、ポンプの電源として電気を放射することができる。そのため、リンパ液排出装置を皮下組織に埋め込むことが好ましく、それによって、電源装置は、皮膚を介して電力を供給することができる。但し、本発明はこれに限定されるものではない。
【0019】
本発明のリンパ液排出装置において、主に、チャンバのチャンバ空間に負圧環境が発生することにより、組織間のリンパ液をチャンバのチャンバ空間へ浸透させることができる。
更に、チャンバ空間の内部にあるリンパ液が、ポンプにより、第1のカテーテルが、接続された静脈に排出されることで、リンパ液の静脈への排出が可能となる。
ここで、第1のカテーテルは静脈に接続するため、直径は静脈の直径よりも小さいことが好ましい。
従って、本発明では、第1のカテーテルの直径は、1mm~5mmの範囲内の値が好ましく、2mm~5mmの範囲内の値がより好ましく、3mm~5mmの範囲内の値が更に好ましい。但し、本発明はこれに限定されるものではない。
又、静脈は、非吸着性の外科用糸によって、第1のカテーテルと接続されることが好ましい。
【0020】
又、一般的にタンパク質の大きさは約20nm、ウイルスの大きさは約50nm~数百nm、細菌の大きさは約数千nmである。
しかしながら、リンパ浮腫に関係するアルブミンの大きさは約3.8nmであるため、本発明のリンパ液排出装置で使用する浸透膜の孔径は、リンパ浮腫の原因となるアルブミンは通過させるが、最小の病原体やウイルスは通過させない孔径であることが好ましい。
従って、本発明のリンパ液排出装置の浸透膜の孔径は、50nm以下の範囲内の値が好ましく、10nm~50nmの範囲内の値がより好ましく、20nm~50nmの範囲内の値が更に好ましい。但し、本発明はこれに限定されるものではない。
【0021】
又、本発明のリンパ液排出装置は、タンパク質、血球、血小板等のいずれか1つ以上が混入することで、目詰まりを起こすことがある。
従って、本発明の排液構造は、薬品をチャンバのチャンバ空間へ注入できるように、更にチャンバに薬品注入用シリコン膜を備えていることが好ましい。但し、本発明はこれに限定されるものではない。
ヘパリンといった皮下注射を行う抗凝固剤、抗線維芽細胞抗体の関連薬品、及び抗生物質からなる群から選択される少なくとも一種以上の薬品を薬品注入用シリコン膜へ注入することで、リンパ液排出装置において、血液凝固や目詰まりの軽減、又は感染症となる可能性を低減することができる。
【0022】
更に、本発明のリンパ液排出装置の埋め込みを容易にするために、本発明のリンパ液排出装置における排液構造に、チャンバのチャンバ壁の外壁に配置された固定リングを更に備えることが好ましい。
このような構成とすることで、外科用糸を用いて排液構造を体組織に固定することができる。但し、本発明はこれに限定されるものではない。
又、固定リングの数は、2~6個が好ましく、3~6個が更に好ましく、4~6個がより好ましい。但し、排液構造を体内に固定できる数であれば、特に限定されない。
又、固定リングの形状は、特に限定されず、通常、中空の半円状のリング構造とすることが好ましい。
本発明のリンパ液排出装置の形状は、特に限定されず、通常、円形、楕円等であることが好ましい。
更に、本発明の装置の大きさは、必要に応じて変更することができる。すなわち、リンパ液の排出が必要である患者にとっては、できるだけ体積の小さい装置を使用する方がよい。
そのため、排液構造の大きさは、直径5cm×高さ2cm以下の範囲内の値が好ましく、4cm×1.5cm以下の範囲内の値がより好ましく、3cm×1cm以下の範囲内の値が更に好ましい。但し、本発明はこれに限定されるものではない。
【0023】
なお、本発明の他の目的、利点、及び新規な特徴は、添付の図面と併せて、以下の詳細な説明から、より明らかになると考えられる。
【図面の簡単な説明】
【0024】
図1図1は、本発明の第1の実施形態におけるリンパ液排出装置を説明するための部分的概略図である。
図2図2は、本発明の第1の実施形態におけるリンパ液排出装置を埋め込んだ様子を説明するための模式図である。
図3図3は、本発明の第1の実施形態におけるリンパ液排出装置の概略図である。
図4図4は、本発明の第2の実施形態におけるリンパ液排出装置の概略図である。
図5図5は、本発明の第3の実施形態におけるリンパ液排出装置の概略図である。
図6図6は、本発明の第4の実施形態におけるリンパ液排出装置の概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0025】
本発明の実施形態について以下に説明する。
但し、これらの実施形態は、本発明の技術的内容を説明するためのものであり、本発明の範囲を限定するものではない。
その他、ある実施形態において説明した発明の特徴や構成は、適切な変更、置換、組み合わせ、又は分離により、他の実施形態に適用することもできる。
【0026】
又、本明細書では、部品が要素を有すると記載されている場合、その部品が1つ以上の要素を有する可能性があることを意味しており、特別の定めがある場合を除き、その部品が要素を1つだけ有することを意味していない。
【0027】
更に、本明細書では、「第1の」又は「第2の」などの序数は、同一名称を有する複数の要素を区別するために用いられており、特別の定めがない限り、要素間に本質的なレベル、ランク、実行順序、製造順序があることを意味するものではない。
又、「第1の」の要素と、「第2の」の要素は、同じコンポーネント内に一緒に存在していても、異なるコンポーネント内にそれぞれに存在していてもよい。
大きな序数で記載された要素の存在は、小さな序数で記載された他の要素の存在を本質的に意味するものではない。
【0028】
本明細書の理解にあたって、特別の定めがない限り、特徴A「又は」もしくは特徴B「及び/又は」という場合、Aのみ、Bのみ、又はAとBが同時に存在することを意味し、特徴A「及び」特徴Bとは、AとBが同時に存在することを意味する。又、「配置する」、「含む」、「もつ」、「含有する」という用語は、これらに限定されず、含むことを意味する。
【0029】
又、ここで使われている「上」、「下」、「間」などの用語は、複数の要素の相対的な位置を表すために使われているだけであり、解釈時の平行移動、回転、反射などを含むように拡張することができる。
【0030】
又、本明細書において、ある要素が他の要素の「上」に配置されていると記載されている場合、特に明記されている場合を除き、本質的にその要素が他の要素に接触していることを意味しない。このような解釈は、「上」の場合と同様の他の場合にも適用される。
【0031】
更に、本明細書にあって、「好ましい」や「有利に」などの用語は、任意の又は追加の要素や特徴を説明するために使用されており、言い換えれば、その要素や特徴は必須の要素ではなく、いくつかの実施形態では無視してもよい。
【0032】
[第1の実施形態]
図1は、本発明の第1の実施形態によるリンパ液排出装置100の部分的概略図である。図2は、本発明の第1の実施形態によるリンパ液排出装置100を埋め込んだ模式図である。図3は、本発明の第1の実施形態によるリンパ液排出装置100の概略図である。
【0033】
かかる図1図3に示すように、第1の実施形態において、リンパ液排出装置100は、電源装置1と、排液構造2と、を備えていることが好ましい。
又、電源装置1は、第1のセンシング素子11と、電源素子12と、を備えていることが好ましい。電源素子12は、第1のセンシング素子11に電力を供給する機能を有している。
この第1のセンシング素子11は、通常、誘導コイルであり、電波111を放射することに用いられる。ただし、電磁誘導が行えるものであれば、これに限定されない。
更に、第1の実施形態において、電源素子12は、通常、電池であるが、コンデンサ、及び任意のエネルギー貯蔵装置等とすることもできる。
【0034】
排液構造2は、皮下組織に埋め込まれるものであり、チャンバ21と、浸透膜22と、第1のカテーテル231と、ポンプ24と,第2のセンシング素子25と、薬品注入用シリコン膜27と、固定リング28と、を備えることが好ましい。
チャンバ21は、チャンバ空間211を形成するチャンバ壁21aを備えることが好ましい。かかるチャンバ壁21aには、第1の開口部31と、第2の開口部32とが形成され、第1の開口部31は、リンパ液の入口となり、第2の開口部32は、リンパ液の排出口となる。
又、第1の実施形態において、排液構造2の形状は、例えば楕円等の任意の適切な形状に変更することができる。
ある実施形態において、排液構造2の大きさ(直径)は3cmであるが、これに限られるものではない。かかる大きさは5cm以下の範囲内の値が好ましく、1~5cmの範囲内の値がより好ましく、1~3cmの範囲内の値が更に好ましい。
更に、排液構造2の周縁は、生体適合性材料で覆われるか、又は生体適合性材料で作成されることが好ましい。
例えば、ポリウレタンで覆われてもよいが、これに限定されない。生体適合性材料を、例えば、シリコン、シリコンゴム、ポリエチレン、テトラフルオロエチレン、ポリアミノ酸エステル、ポリウレタン、ポリジメチルシロキサン、ポリ乳酸、ポリグリコール酸、ニオブ-チタン-ジルコニウムβ合金、チタン合金、金、銀、コバルト-クロム-モリブデン合金、及びポリ(ヒドロキシエチルメタクリレート)からなる群から選択される少なくとも一種とすることができる。
【0035】
更に、浸透膜22は、チャンバ21のチャンバ空間211にリンパ液を浸透させるため、第1の開口部31に配置することが好ましい。
第1の実施形態において、浸透膜22は、孔径が20nm~50nmの生体適合性を有する高分子材料で作成されている。但し、特に限定されるものではない。
生体適合性を有する高分子材料、又は特定の電気特性を持たない生体適合性を有する高分子材料とすることができる。
又、浸透膜22の孔径は、50nm以下の範囲内の値が好ましいが、10nm~50nmの範囲内の値がより好ましく、20nm~50nmの範囲内の値が更に好ましい。
第1のカテーテル231の一端はチャンバ21のチャンバ空間211に接続し、他端は静脈4(直径約2~5mm)に接続することが好ましい。
第1の実施形態では、チャンバ21のチャンバ空間211は静脈4に接続するため、第1のカテーテル231の直径は静脈4の直径より小さくしており、1.5mmである。但し、この大きさに限定されない。
第1のカテーテル231の直径は、1mm~5mmの範囲内の値が好ましく、2~5mmの範囲内の値がより好ましく、3mm~5mmの範囲内の値が更に好ましい。
静脈は非吸着性の外科用糸によって第1のカテーテル231と結束し、接続されることが好ましい。
【0036】
又、第2のセンシング素子25は、排液構造2のチャンバ21に配置されることが好ましい。更に、第2のセンシング素子25は、通常、誘導コイル(但し、これに限定されない)であり、電源装置1の第1のセンシング素子11が放射する電波111を受信し、ポンプ24に電気信号を放射する機能を有している。
又、ポンプ24は、入口端241と、出口端242とを有しており、かかるポンプ24は、チャンバ21のチャンバ空間211の内部に配置され、第2のセンシング素子25に接続されることが好ましい。
そして、ポンプ24は、かかる第2のセンシング素子25が放射する電気信号によって駆動し、チャンバ空間211の内部に負圧を発生させる機能を有している。
すなわち、かかる負圧として、チャンバ空間211の内部圧力を、チャンバ空間211の外部圧力よりも低い負圧とすることで、リンパ液はチャンバ空間211の外部より浸透膜22へ浸透し、チャンバ空間211の内部へと効率的に浸透させる。
又、チャンバ21のチャンバ空間211に浸透したリンパ液は、ポンプ24の入口端241から出口端242に向かって排出される。
ポンプ24の出口端242は、チャンバ壁21aに形成された第2の開口部32と結合しているため、リンパ液を第1のカテーテル231を介して静脈4に排出することができる。
第1の実施形態において、チャンバ空間211の内部のポンプ24により発生する負圧を25mmHgとしたが、この値に限定されない。
かかる負圧の範囲は、通常、10mmHg~100mmHgの範囲内の値であることが好ましいが、10mmHg~50mmHgの範囲内の値がより好ましく、10mmHg~30mmHgの範囲内の値が更に好ましく、10mmHg~15mmHg、30mmHg~50mmHg以下、又は50mmHg~80mmHgの範囲内の値が更に好ましい。
又、ポンプ24は、マイクロポンプとすることが好ましいが、蠕動式マイクロポンプや手動式マイクロポンプとすることもできる。但し、特に理由なく、これらのポンプに限定されるものではない。
【0037】
排液構造2の薬品注入用シリコン膜27は、チャンバ21のチャンバ空間211に薬品を注入できるように配置することが好ましい。但し、本発明は、特に理由なく、このような配置に限定されるものではない。
又、固定リング28は、排液構造2のチャンバ21のチャンバ壁21aの外壁21bに配置することが好ましく、手術糸による体内への固定を容易にすることができる。
第1の実施形態では、固定リング28の数は、2つであり、固定リング28は、中空の半円状のリング構造を有することが好ましい。但し、本発明はこれらに限定されるものではない。
そして、固定リング28の数は2~6個とすることが好ましく、3~6個がより好ましく、4~6個が更に好ましい。
逆止弁26は、これに限定されるものではないが、通常、第1のカテーテル231に配置することが好ましい。
すなわち、第1の実施形態において逆止弁26は、チャンバ壁21aに形成された第2の開口部32に配置したり、図6に示すように第4の実施形態において第2のカテーテル232に配置したりすることもできる。
逆止弁26の機能は、心臓弁の機能と同様である。例えば、二枚の板からなる逆止弁26は、カテーテルの内壁に半円状の弾性板2枚から形成される。リンパ液が静脈に排出されるときには逆止弁26を通過することができるのに対し、静脈血が静脈から逆流するときには逆止弁26によって止められてしまう。
すなわち、排出されたリンパ液が、チャンバ空間211に逆流することを防ぐことができ、リンパ液の排出に影響を与える場合があるためである。
ここでいう、逆止弁26の構造は特に制限されるものではないが、例えば、二枚の板、又は三枚の板からなる逆止弁であって、材質は生体適合性を有するシリコン弾性体であることが好ましい。
【0038】
上記に加え、第1の実施形態において、第1のカテーテル231と、静脈4との接続方法は、第1のカテーテル231の他端に設けた溝230を介して第1のカテーテル231と静脈4とを接続することが好ましい。
又、手術糸により第1のカテーテル231と静脈4とを固定することで、リンパ液排出装置を介して、リンパ液を静脈4に排出することができる。
【0039】
次いで、第1の実施形態のリンパ液排出装置100の動作を以下に説明する。
初めに、電源装置1の電源素子12が第1のセンシング素子11に電力を供給することで、第1のセンシング素子11が、電波111を放射する。
放射された電波111は、排液構造2の第2のセンシング素子25が受信し、変換後電気信号が放射される。
第2のセンシング素子25にはポンプ24が接続しているので、変換された電気信号は、排液構造2のポンプ24を駆動する。
従って、第1の実施形態のリンパ液排出装置100は、排液構造2に追加の電源を配置することなく、無線で駆動することができる。
又、ポンプ24は、チャンバ21のチャンバ空間211に負圧を発生させることができる。かかる負圧によれば、チャンバ空間211の内部圧力を、チャンバ空間211の外部圧力よりも低くすることが好ましい。
つまり、チャンバ空間211の圧力を、外部の組織圧の圧力よりも低くすることで、外部からチャンバ21のチャンバ空間211にリンパ液を浸透させることができる。
更に、チャンバ21のチャンバ空間211は、ポンプ24と、第1のカテーテル231とを介して静脈4と接続しているため、リンパ液が静脈4に戻ることで、リンパ浮腫を改善し、組織間のリンパ液を除去する効果が実現できる。
又、必要に応じて、抗凝固剤、抗体、又は抗生物質を、薬品注入用シリコン膜27を介してチャンバ空間211に注入することができる。
【0040】
[第2の実施形態]
図4は、本発明の第2の実施形態による、リンパ液排出装置の概略図である。
【0041】
図4に示すように、第2の実施形態の構成は、第1の実施形態の構成と類似しているため、第1の実施形態と同様の特徴及び効果を有するものである。
従って、第2の実施形態の特徴及び効果の説明は、適宜省略するものとするが、第1の実施形態との相違点は、第1のカテーテル231がチャンバ21の側方に配置している点にある。
又、リンパ液排出装置100は、図3に示している薬品注入用シリコン膜27を備えていない。合理的である限り、実施形態の詳細な特徴を任意に組み合わせることも可能である。
【0042】
[第3の実施形態]
図5は、本発明の第3の実施形態による、リンパ液排出装置100の概略図である。
【0043】
図1及び図5に示すように、第3の実施形態の構成は、第1の実施形態と類似しているため、第1の実施形態と同様の特徴及び効果を有するものである。
従って、第3の実施形態の特徴及び効果の説明は、適宜省略するものとするが、第1の実施形態との相違点は、図3に示している逆止弁26がないことと、ポンプ24と第2のセンシング素子25の位置関係と、である。
すなわち、第1の実施形態において、ポンプ24は、チャンバ21の内部に配置し、第2のセンシング素子25もチャンバ21の内部に直接配置している。
しかしながら、第3の実施形態において、ポンプ24はチャンバ21の外側でチャンバ21に隣接して配置している。第3の実施形態において、ポンプ24は、マイクロポンプである。但し、これに限定されない。
ポンプ24の入口端241が、チャンバ壁21aに形成された第2の開口部32と接続され、かかるポンプ24の出口端242が第1のカテーテル231と接続されていることが好ましい。
更に、第2のセンシング素子25と、ポンプ24との間の接続線を省くために、第2のセンシング素子25が、ポンプ24の内部に直接配置していることが好ましい。
上述したように、ポンプ24をチャンバ21の外に配置する設計により、ポンプ24がつけ外し能となり、ポンプ24を状況に応じて変更することができる。例えば、ポンプ24は、取り外し可能なポンプの設計や、無線制御に対応した設計とすることもできる。
又、図4に示すようにポンプ24の出力や速度を調整することで、組織から静脈4へのリンパ液の排出速度を調整することができる。但し、本発明はこれに限定されるものではない。又、合理的である限り、各実施形態の詳細な特徴を任意に組み合わせることも可能である。
【0044】
[第4の実施形態]
図6は、本発明の第4の実施形態によるリンパ液排出装置100の概略図である。
【0045】
図1及び図6に示すように、第4の実施形態の構成は、第3の実施形態と同様の構成であるため、第3の実施形態と同様の特徴及び効果を有するものである。
従って、第4の実施形態の特徴及び効果の説明は、適宜省略するものとするが、第3の実施形態との相違点は、図3に示している逆止弁26がないことと、ポンプ24、第1のカテーテル231、第2のカテーテル232、第2のセンシング素子25の配置である。
すなわち、第3の実施形態のポンプ24は、チャンバ21の外部に隣接して配置している。
しかしながら、第4の実施形態のポンプ24は、第2のカテーテル232の一端はチャンバ壁21aに形成された第2の開口部32と接続され、他端はポンプ24の入口端241と接続されている。
よって、図5に示すようにポンプ24の入口端241は、第2のカテーテル232を介してチャンバ壁21aに形成された第2の開口部32と接続されていることが好ましい。
又、第1のカテーテル231は、ポンプ24の出口端242と、接続して、第1のカテーテル231は、静脈4と、接続されていることが好ましい。
又、ポンプ24とチャンバ21の分離式の設計とすることで、ポンプ24が取り外し可能となる。
【0046】
第4の実施形態において、ポンプ24を分離式に設計することで、多様な状況に応じて接続することができる。それにより、チャンバ21のチャンバ空間211が必要とする負圧を実現し、リンパ液排出を容易に行うことができる。
更に、分離式のポンプを手動式マイクロポンプへと置き換えることで、ポンプ24には手動でも電力を供給することができる。
次に、第2のセンシング素子25は、ポンプ24の外壁24aに配置されており、電源装置1の第1のセンシング素子11からの電波111を受信する。
更に、第4の実施形態の第2のカテーテル232は、チャンバ21の側方に配置しているので、本発明のリンパ液排出装置100を埋め込む際に、患者のリンパ浮腫患部の不快感を軽減する。又、合理的である限り、各実施形態の詳細な特徴を任意に組み合わせることも可能である。
【0047】
以上、本発明の好ましい実施形態に関して説明してきた。
しかしながら、特許請求の範囲に記載する本発明の範囲から逸脱せずに、多くの他の可能な修正及び変形がなされ得ると理解されるべきである。
【符号の説明】
【0048】
1:電源装置
2:排液構造
4:静脈
11:第1のセンシング素子
12:電源素子
21:チャンバ
21a:チャンバ壁
21b:チャンバ外壁
22:浸透膜
24:ポンプ
24a:ポンプの外壁
25:第2のセンシング素子
26:逆止弁
27:薬品注入用シリコン膜
28:固定リング
31:第1の開口部
32:第2の開口部
100:リンパ液排出装置
111:電波
211、チャンバ空間
230:溝
231:第1のカテーテル
232:第2のカテーテル
241:入口端
242:出口端
図1
図2
図3
図4
図5
図6
【外国語明細書】