(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022078025
(43)【公開日】2022-05-24
(54)【発明の名称】注入ポリマーを用いた固定子スロット封入のためのシステムおよび方法
(51)【国際特許分類】
H02K 15/12 20060101AFI20220517BHJP
H02K 3/487 20060101ALI20220517BHJP
H02K 15/10 20060101ALI20220517BHJP
H02K 3/34 20060101ALI20220517BHJP
【FI】
H02K15/12 D
H02K3/487 Z
H02K15/10
H02K3/34 C
【審査請求】有
【請求項の数】21
【出願形態】OL
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2022014680
(22)【出願日】2022-02-02
(62)【分割の表示】P 2019531899の分割
【原出願日】2017-12-13
(31)【優先権主張番号】15/378,743
(32)【優先日】2016-12-14
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(71)【出願人】
【識別番号】501090308
【氏名又は名称】アメリカン アクスル アンド マニュファクチャリング,インコーポレイテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100108855
【弁理士】
【氏名又は名称】蔵田 昌俊
(74)【代理人】
【識別番号】100179062
【弁理士】
【氏名又は名称】井上 正
(74)【代理人】
【識別番号】100199565
【弁理士】
【氏名又は名称】飯野 茂
(74)【代理人】
【識別番号】100153051
【弁理士】
【氏名又は名称】河野 直樹
(74)【代理人】
【識別番号】100162570
【弁理士】
【氏名又は名称】金子 早苗
(72)【発明者】
【氏名】ジェフリー・ジェイ.・ロニング
(57)【要約】 (修正有)
【課題】電気モータの固定子の冷却特性を改善するためのシステムおよび方法を提供する。
【解決手段】固定子の複数の歯14の隣接する対間に形成された複数のギャップ内に電気伝導性巻線102が巻回された固定子内の、熱伝導を改善するための方法。電気伝導性巻線102を歯14に巻回する間に、ギャップの各々内に複数の隙間空間が形成される。スロット開口を閉鎖するために、ギャップのそれぞれ内に栓116が配置される。各ギャップに、各ギャップ内の隙間空間を少なくとも実質的に充填するとともに電気伝導性巻線102を少なくとも実質的に封入するのに十分な圧力下で、熱伝導性フィラー化合物104が注入される。熱伝導性フィラー化合物104が次いで、凝固させられる。
【選択図】
図4
【特許請求の範囲】
【請求項1】
固定子の複数の歯の隣接する対間に形成された複数のギャップ内に電気伝導性巻線が巻回された前記固定子内の、熱伝導を改善するための方法であって、前記電気伝導性巻線を前記歯に巻回する間に、前記ギャップの各々内に複数の隙間空間が形成される、方法において、
前記歯の隣接する対間の開口を閉鎖するために、前記ギャップのそれぞれ内に栓を配置することと、
各前記ギャップに、各前記ギャップ内の前記隙間空間を少なくとも実質的に充填するとともに前記電気伝導性巻線を少なくとも実質的に封入するのに十分な圧力下で、熱伝導性フィラー化合物を注入することと、
前記熱伝導性フィラー化合物を凝固させることと
を含む、方法。
【請求項2】
前記ギャップのそれぞれ内に栓を前記配置することが、熱伝導性材料から作製された栓を配置することを備える、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記ギャップのそれぞれ内に栓を前記配置することが、弾性の熱伝導性材料から作製された栓を配置することを備え、前記栓が前記ギャップに圧力嵌合される、請求項1に記載の方法。
【請求項4】
前記ギャップのそれぞれ内に栓を前記配置することが、前記ギャップを閉鎖するために、前記複数の歯の隣接する対の遠位端部上に前記固定子の一方の軸方向端からスライド可能に挿入される熱伝導性栓を配置することを備える、請求項1に記載の方法。
【請求項5】
各前記ギャップに熱伝導性フィラー化合物を前記注入することが、各前記ギャップに前記固定子の両軸方向端において熱伝導性の流動可能なフィラー化合物を注入することを備える、請求項1に記載の方法。
【請求項6】
前記固定子の前記両軸方向端において前記熱伝導性フィラー化合物を前記注入することが、同時に達成される、請求項5に記載の方法。
【請求項7】
前記ギャップの各々に前記熱伝導性フィラー化合物を前記注入することが、前記固定子の一方の軸方向端から前記熱伝導性フィラー化合物を注入することによって達成され、
熱伝導性フィラー化合物を前記注入することが、流動可能状態にある熱伝導性ポリマーを注入することを備える、
請求項1に記載の方法。
【請求項8】
前記固定子を、前記固定子の軸方向長さに沿った中間点に配設されるマニホールドプレートを用いて形成することと、前記マニホールドプレートが、複数のポートと、前記ポートおよび前記ギャップと連通する複数の通路とを含む、
前記ギャップを充填するために、前記ポートを通じて前記熱伝導性フィラー化合物を注入することと
をさらに備える、請求項1に記載の方法。
【請求項9】
前記ポートが前記マニホールドプレートの内周に沿って配設される、請求項8に記載の方法。
【請求項10】
前記ポートが前記マニホールドプレートの外周に沿って配設される、請求項8に記載の方法。
【請求項11】
熱伝導性フィラー化合物を前記注入することが、それぞれがノズルを有する1対の注入ガンを使用することを備え、前記ノズルが、前記ギャップ内に一回につき1つずつ、前記固定子の両軸方向端から延在される、請求項1に記載の方法。
【請求項12】
前記歯の隣接する対間の開口を閉鎖するために、前記ギャップのそれぞれ内に栓を前記配置することが、前記固定子内の概して連続した円周方向内面を成すために、歯の隣接する対の遠位端部と同一平面上にある栓を配置することを備える、請求項1に記載の方法。
【請求項13】
固定子の複数の歯の隣接する対間に形成された複数のギャップ内に電気伝導性巻線が巻回された前記固定子内の、熱伝導を改善するための方法であって、前記電気伝導性巻線を前記固定子歯に巻回する間に、前記ギャップの各々内に複数の隙間空間が形成される、方法において、
前記固定子歯の隣接する対間の開口を閉鎖するために、前記ギャップのそれぞれ内に熱伝導性栓を配置することと、
各前記ギャップに、前記固定子の両軸方向端から、前記電気伝導性巻線を少なくとも実質的に封入するとともに各前記ギャップ内の前記隙間空間を少なくとも実質的に充填するのに十分な圧力下で、流動可能な熱伝導性フィラー化合物を注入することと
を含む、方法。
【請求項14】
前記熱伝導性フィラー化合物を凝固させることをさらに備える、請求項13に記載の方法。
【請求項15】
流動可能な熱伝導性フィラーを前記注入することが、流動可能なポリマーを注入することを備える、請求項13に記載の方法。
【請求項16】
前記ギャップのそれぞれ内に熱伝導性栓を配置することが、
前記ギャップに弾性栓を圧力嵌合すること、および
前記ギャップの各々を閉鎖するために、前記固定子の一方の軸方向端から前記固定子歯の遠位端に係合する前記栓をスライド可能に挿入すること
のうちの一方を備える、請求項13に記載の方法。
【請求項17】
流動可能な熱伝導性フィラー化合物を前記注入することが、前記流動可能な熱伝導性フィラー化合物を、前記固定子の前記両軸方向端において同時に注入することを備える、請求項13に記載の方法。
【請求項18】
固定子であって、
円周方向本体部と、
前記円周方向本体部から径方向内側に突出する複数の歯と、前記歯の隣接する対がそれらの間にギャップを形成する、
複数の熱伝導性栓と、前記熱伝導性栓のそれぞれが、歯の各前記隣接する対間の前記ギャップのうちの関連するギャップ内に取り付けられ、前記熱伝導性栓が、前記固定子の、概して平滑な、突出がない円周方向内面を生み出すような様式で取り付けられる、
前記歯に巻き付けられた複数の電気伝導性巻線と、各前記ギャップには、その中に複数の隙間空間が、前記電気伝導性巻線のそれぞれ、および前記歯によって形成された壁部に隣接して形成される、
前記電気伝導性巻線から前記固定子歯への熱の伝導を高めるために前記ギャップの各々内の前記隙間空間を充填するとともに前記電気伝導性巻線を少なくとも実質的に封入する、熱伝導性フィラー化合物と、
を備える、固定子。
【請求項19】
前記熱伝導性フィラー化合物が熱伝導性ポリマーを備える、請求項18に記載の固定子。
【請求項20】
前記栓がそれぞれ、
前記溝のうちの1つに部分的に圧力嵌合されることの可能な弾性栓、および
前記固定子にその一方の軸方向端からスライド可能に挿入されることの可能な栓
のうちの少なくとも一方を備える、請求項18に記載の固定子。
【請求項21】
前記固定子が、複数のポートと、前記複数のポートおよび前記ギャップと連通する複数の通路とを有する環状マニホールドプレートを含み、前記ギャップを充填するために、前記ポートを通じて前記熱伝導性フィラー化合物が注入可能である、請求項18に記載の固定子。
【請求項22】
前記環状マニホールドプレートの前記ポートが前記環状マニホールドプレートの内周に沿って配置される、請求項21に記載の固定子。
【請求項23】
前記環状マニホールドプレートの前記ポートが前記環状マニホールドプレートの外周に沿って配置される、請求項18に記載の固定子。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願の相互参照
[0001]本出願は、その開示が、本明細書に詳細に完全に記載されているのと同様に参照により組み込まれる、2016年12月14日に出願された米国特許出願第15/378,743号の優先権を主張する。
【0002】
[0002]本開示は、電気モータに関し、より詳細には、隣接する固定子歯間のコイル巻線によって生み出された空隙を、固定子巻線を完全にまたは実質的に封入し、したがって、コイル巻線から外に固定子に熱を伝導する助けとなる材料で埋めることによって、電気モータの固定子の冷却特性を改善するためのシステムおよび方法に関する。
【背景技術】
【0003】
[0003]本セクションにおける言明は、単に本開示に関係する背景情報を提供するものであり、従来技術を構成することはできない。
【0004】
[0004]今日の電気モータでは、固定子の歯に、典型的には、絶縁材料をその上に有する電気伝導性ワイヤが巻回されている。電気伝導性ワイヤは典型的には、固定子の各歯に数回巻き付けられる。丸い断面形状を有するワイヤが使用されることもあれば、リボンの形態をとるワイヤが使用されることもある。しかし、いずれにしても、巻回プロセスは典型的には、導電性ワイヤの隣接する部分間に複数の空隙を残す。空隙は、熱の導電性巻線から外に固定子材料に至る熱伝導をそれらが妨げるという観点から、望ましくない。これは、固定子内の許容できない熱の蓄積を招くおそれがある。
【発明の概要】
【0005】
[0005]一態様では、本開示は、固定子内の熱伝導を改善するための方法に関する。固定子には、固定子の複数の歯の隣接する対間に形成された複数のギャップ内に電気伝導性巻線が巻回されてよい。電気伝導性巻線を歯に巻回する間に、ギャップの各々内に複数の隙間空間が形成される。方法は、歯の隣接する対間の開口を閉鎖するために、ギャップのそれぞれ内に栓を配置することを含んでよい。各ギャップに、各ギャップ内の隙間空間を少なくとも実質的に充填するのに十分な圧力下で、熱伝導性フィラー化合物が注入されてよい。熱伝導性フィラー化合物は次いで、凝固させられてよい。
【0006】
[0006]別の態様では、本開示は、固定子内の熱伝導を改善するための方法に関する。固定子には、固定子の複数の歯の隣接する対間に形成された複数のギャップ内に電気伝導性巻線が巻回されてよい。電気伝導性巻線を固定子歯に巻回する間に、ギャップの各々内に複数の隙間空間が形成されてよい。方法は、固定子歯の隣接する対間の開口を閉鎖するために、ギャップのそれぞれ内に熱伝導性栓を配置することを含んでよい。方法は、各ギャップに、固定子の両軸方向端から、前記ギャップ内の隙間空間を少なくとも実質的に充填するのに十分な圧力下で、流動可能な熱伝導性フィラー化合物を注入することをさらに含んでよい。
【0007】
[0007]さらに別の態様では、本開示は、円周方向本体部と、円周方向本体部から径方向内側に突出する複数の歯とを備える固定子に関する。歯の隣接する対がそれらの間にギャップを形成する。固定子はさらに、複数の熱伝導性栓を含んでよく、熱伝導性栓のそれぞれが、歯の各前記隣接する対間のギャップのうちの関連するギャップ内に取り付けられる。熱伝導性栓は、固定子の、概して平滑な、突出のない円周方向内面を生み出すような様式で取り付けられてよい。固定子は、歯に巻き付けられた複数の電気伝導性巻線も含んでよく、その場合、各ギャップには、その中に複数の隙間空間が、電気伝導性巻線のそれぞれ、および歯によって形成された壁部に隣接して形成される。固定子は、電気伝導性巻線から固定子歯への熱の伝導を高めるためにギャップの各々内の隙間空間を充填する、熱伝導性フィラー化合物も含んでよい。
【0008】
[0008]適用可能性のさらなる範囲は、本明細書において行われる説明から明らかとなろう。説明および具体例は、単に例示を目的として意図されたものであり、本開示の範囲を限定するようには意図されていない、ということが理解されるべきである。
【0009】
[0009]本明細書において説明される図面は、単に例示を目的としたものであり、いかなる形であれ本開示の範囲を限定するようには意図されていない。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【
図1】[0010]固定子の円周方向に隔置された歯を示す、従来技術の固定子の平面図。
【
図2】[0011]
図1の固定子の2つの隣接する歯の部分であるが、リボン巻線が2つの歯を隔てるギャップ内に巻回されている部分の、簡略化された端面断面図であって、ギャップを密閉するためにギャップに部分的に嵌合されたキャップと、巻線間および巻線と2つの隣接する歯によって画定された内壁面との間の隙間空間と空隙とを充填するために、流動可能なスロットフィラー化合物がギャップを画定する容積に注入されてよい場所を示す円とを示す図。
【
図3】[0012]適切な注入ツールを用いて、各ギャップに、固定子の両軸方向端から同時に、流動可能なスロットフィラー化合物がどのように注入され得るかを示す、簡略化された側面図。
【
図4】[0013]注入プロセスが完了した後に、どのように隙間空間が熱伝導性フィラー化合物で充填されたかを示す、1対の固定子歯の拡大断面図。
【
図5】[0014]
図1の固定子の、歯の隣接する対間の全てのギャップが熱伝導性フィラー化合物で充填された後の端面断面図。
【
図6】[0015]流動可能なスロットフィラー化合物が円筒形本体部の外部表面上の固定子の中心点のところに開いている複数のポートを通じて注入されることを可能にするために、固定子の中心円筒形本体部内にフローパスが形成されるとともにフローパスが固定子歯のそれぞれの中を延在する、本開示による固定子の別の実施形態の部分断面斜視図。
【
図8】[0017]流動可能なスロットフィラー化合物が円筒形本体部の外面内に形成されたポートを通じて固定子歯の各々に隣接したギャップに注入されることを可能にするマニホールドを形成するために、1対の対面マニホールドプレートが使用される、本開示による固定子の別の実施形態の部分断面斜視図。
【
図9】[0018]
図8のマニホールドを組み込んだ固定子の簡略化された斜視図。
【
図10】[0019]本開示の別の実施形態によるマニホールドであって、円周方向リングがマニホールドと一体に形成され、マニホールドがオーバーサイズの固定子スロットを使用しており、それが、フィラー化合物が隙間空隙の方々を流れて隙間空隙をさらに最適に充填するための追加の場所を提供する、マニホールドの斜視図。
【発明を実施するための形態】
【0011】
[0020]以下の説明は、本質的に例にすぎず、本開示、用途、または使用法を限定するようには意図されていない。図面全体を通して、対応する参照番号は同様のまたは対応する部分と特徴物とを示す、ということが理解されるべきである。
【0012】
[0021]
図1を参照すると、従来技術の固定子10が示されている。固定子10は円筒形本体部12を含み、そこから、内側に径方向に向けられた複数の歯14が突出している。各歯14は、径方向内側に延在する壁部16と、壁部16からわずかにフレア状に広がり、断面的に言うと壁部16の厚さよりも大きい、ヘッド部18とを含む。協同して、2つの隣接する歯14がそれぞれ、それらの間に固定子10の軸方向長さ全体に延びる細長いギャップ20を形成する。円筒形本体部12の内壁面22の部分が、各壁部16の表面部24とともに、ギャップ20のそれぞれの画定を助けている。
【0013】
[0022]
図2および
図3を参照すると、固定子歯14の各隣接する対間のギャップ20に、流動可能な熱伝導性スロットフィラー化合物を注入するためのシステム100が示されている。例として、
図2は、ギャップ20内に位置付けられた複数の電気伝導性リボン巻線102を示す。あるいは、円形断面形状を有する複数の電気伝導性巻線が使用されてもよく、したがって、本システム100および方法は、いずれか1つのタイプの巻線との使用に限定されない。しかし、空隙と隙間空間とを最小限に抑えるためには、
図2に示されるように、改善された熱伝導性が得られるように、ギャップ20内にリボン巻線が使用され、配向されることが好ましい。使用される巻線のタイプに関わらず、2つの隣接する歯14に巻線材料を巻き付けるプロセスの結果、巻線の部分間、および巻線102と各ギャップ20を成す内面22および24との間に、空隙または隙間空間26が形成される。隙間空間26は、熱が巻線102から固定子歯14に熱移動するのを妨げ、したがって、固定子10を、その固定子が使用されるモータの動作中に、許容可能な温度に維持することを困難にする一因となることがある。長期の許容できないほど高い巻線温度は、最終的には巻線102上の絶縁性材料の劣化を招くとともに最終的には固定子10が使用されているモータの故障を招くおそれがある。
【0014】
[0023]
図3を参照すると、システム100は、隙間空間26の上記の問題に、固定子歯14の各隣接する対間のギャップ20に熱伝導性の流動可能なフィラー化合物104を、巻線102を完全に、または実質的に完全に封入するように注入することによって対処する。フィラー化合物104はまた、各ギャップ20内の隙間空間を充填し、巻線102から固定子歯14に熱を伝導するのを助け、固定子歯14では、熱が、より効果的に(すなわち外部固定子冷却構成要素を通じて受動的または能動的に)放散されることが可能である。
【0015】
[0024]フィラー化合物104は、優れた熱コンダクタンス特性を有するポリマー材料であってよく、それは、容易に流動可能な状態でリザーバ106内に維持される。封入に使用される一般的な材料は、典型的には、通常のポリマーの値の10倍程度の熱伝導性を有し、またそれらは、高い絶縁耐力特性を維持する。最も一般的には、これらの材料は、混合された数分後に硬化し始める二液性樹脂である。例えば、フィラー化合物104は、注入ガン108に関連付けられた外部ポンピング機構(図示せず)を用いてポンプ排出され得るように、液体またはゲル様の状態で維持されてよい。注入ガン108の各々は、引かれると内部弁を開いて、フィラー化合物104がリザーバ106からノズル112を通ってギャップ20内にポンプ排出されることを可能にする、トリガ110を有してよい。この点に関して、この例における注入ガン108は固定子10の両軸方向端に位置付けられる、ということが理解されよう。
図2を簡潔に参照すると、ノズル112はフィラー化合物104を、ギャップ20の径方向最内側領域付近の位置114に注入する。フィラー化合物104がギャップ20からあふれ出て固定子10の内部領域に入るのを防ぐために、栓116が、ギャップ20の開放端に栓をするように挿入されてよい。栓116は、任意の適切な熱伝導性材料から、例えば、特性がフィラー化合物104に類似しているか、またはフィラー化合物104と全く同じですらある、ポリマーから作製されてよい。いずれにしても、栓116について選択される特定の材料は、優れた熱コンダクタンス特性を有すべきである。
【0016】
[0025]一実装形態では、栓116は、わずかな程度の弾性または変形性を有するポリマーから作製されてよく、また2つの隣接する歯14の2つの隣接するヘッド部18間のギャップ20にそれが摩擦嵌合型様式で圧力嵌合されることを可能にする寸法を有してよい。これにより、接着剤または同様の形態の接着の必要なく栓116が所定の位置に固定されることが可能になる。あるいは、各歯14の各ヘッド部18が、
図2に示されるような小さな切り欠きセクション18aを含み、栓116が、切り欠き18aと係合して栓を所定の位置に確実に固定する突出セクションを伴って形成されてもよい。いずれにしても、全てのギャップ20を充填するために全ての栓116が装着された後、ヘッド部118と栓116が協同して、一部が
図2に示された、平滑な、概して連続した円周方向表面を成し、その円周方向表面には、そうでない場合は固定子10内の回転子の嵌合(または回転)に影響を及ぼすおそれのある突出がない。
【0017】
[0026]あるいは、栓116が、弾性でも変形可能でもない熱伝導性材料から形成されてもよい。その場合、栓116は、ギャップ20を閉鎖するために、固定子10の一方の軸方向端または他方の軸方向端からスライド可能に挿入されてよい。この点に関して、ヘッド部18に切り欠き18aを設け、栓116を、それが固定子10の隣接する歯14の対上に全体的にスライドされるときに所定の位置に保持されることを可能にする断面形状を伴って形成することが、やはり有用となり得る。
【0018】
[0027]フィラー化合物104は、ギャップ20を充填するためにこれらの注入ガン108から同時に注入されてよい。あるいは、フィラー化合物104は、固定子110の一方の軸方向端において最初に注入され、次いで反対側の軸方向端において注入されてもよく、またはフィラー化合物は、注入ガン108の一方から、次いで他方から、交互する形ですら注入されてもよい。固定子110の両軸方向端からフィラー化合物104を同時に注入することが、特に好ましいであろうことが想定される。
【0019】
[0028]全ての隙間空間を完全に、または実質的に完全に充填するとともに巻線102を完全に、または少なくとも実質的に完全に(例えば90%以上)封入するように、フィラー化合物104が注入ガン108によってギャップ20の内側のさまざまな隙間空間26に押し込まれることを可能にするのに適した量の圧力が与えられる。
図4は、ギャップ20がフィラー化合物104で充填された状態の固定子10の一部分を示す。フィラー化合物104は、巻線102から外に固定子歯14に熱を伝導するのを大いに助け、したがって、巻線102を、固定子10が使用されているモータの動作中に、許容可能な温度に維持するのを助ける。
【0020】
[0029]本開示による方法を実施する際には、固定子10は、任意の適切な固定具内に配置されてよい。栓116が次いで、ギャップ20のうちの1つに挿入されてよい。あるいは、フィラー化合物104を注入し始める前に全てのギャップ20が閉鎖されるように、栓116の別々のものがギャップ20の各々に挿入されてもよい。全てのギャップ20が栓116の別々のもので閉鎖される場合、ギャップ20のうちの第1のものにフィラー化合物を注入するために、注入ガンが(すなわちロボットにより、または手動により)適所に位置付けられてよい。フィラー化合物104は、リザーバ106から注入ガン108に容易にポンプ排出され得るように、液体またはゲル様のコンディションなど、フィラー化合物を流動可能にする加熱状態で、リザーバ106内に維持されてよい。注入ガン108は、流動可能なフィラー化合物104をギャップ20に一回につき1つずつ、固定子10の両軸方向端から同時に注入するために使用されてよく、そうすることにより、各ギャップ20内の隙間空間が少なくとも実質的に充填されるとともに巻線102が完全に、または少なくとも実質的に完全に封入される。ギャップ20のうちの1つの充填が完了されると、ノズル112が次の隣接するギャップ20内に位置付けられるように、注入ガン108が位置付けし直されるか、あるいは固定子10が所定の量だけ回転されて、上記のプロセスが反復されてよい。この点に関して、各注入動作が完了された後に、ノズル112が引っ込められ、すなわち軸方向に固定子10の端部からわずかな距離だけ遠ざけられ、次いで、新たな注入サイクルを始める前に、軸方向に互いに近づけられて、固定子10上の位置114に入ることが可能であるように、注入ガン108を割り送りするのに適した機構が有用となり得る、ということも理解されよう。
【0021】
[0030]各ギャップ20を充填するための上記されたこのプロセスは、全てのギャップがフィラー化合物104で充填されるまで反復される。あるいは、全てのギャップ20が固定子10の両方の軸方向端から同時に充填されるように、十分な数の注入ガン108が設けられてもよい。これはかなりの追加数の注入ガン108、実際には固定子10のギャップ20ごとに2つの注入ガンを必要とするが、この構成は、製造プロセス中に全てのギャップ20を充填するのに必要となる時間を大いに低減させる。
【0022】
[0031]
図5は、上記の方法に従って形成された固定子10’を示す。フィラー化合物104が、ギャップ20の各々内の全ての隙間空間を充填している。
【0023】
[0032]
図6および
図7は、固定子の構築を助けるのに使用されてよい単一環状マニホールドプレート200の一部分を示す。マニホールドプレート200は、固定子の両端のところの軸方向に配置された最終マニホールドプレート間のどの点に配置されてもよいが、一実施形態では、固定子の個々のプレートが組み立てられて完成固定子を成したときの固定子の、軸方向のほぼ中心点に配置される。したがって、マニホールドプレート200の各側には少なくとも1つの追加プレートがあることになるが、より典型的には、マニホールドプレート200の各側には、所望の軸方向長さを有する固定子を成すのに十分なより多くの複数のプレートがあってよい。
【0024】
[0033]
図7を参照すると、マニホールドプレート200は、マニホールドプレートの円筒形本体部204の外部表面上に開いているように形成されたポート202を含む。ポート202は、フローチャネル206と連通し、フローチャネル206は、マニホールドプレート200の各歯210のくり抜き部208に通じている。各歯210は、その径方向長さに沿って1つ、またはより好ましくは複数の位置に形成された、切り欠き212を有する。ポート202、フローチャネル206、くり抜き部208、および切り欠き212は、流動可能なギャップフィラー化合物、例えば流動可能な熱伝導性ポリマーが、ポート202に注入され、切り欠き212に押し込まれ、切り欠き212を通ってそこから押し出されて、各歯210の両側のギャップ214に入ることを可能にする。流動可能なフィラー化合物は、全ての固定子プレートが一緒に組み立てられた後に、固定子巻線が所定の位置にある状態で、ギャップ214の軸方向長さ全体を通じて押し進められることが可能である。マニホールドプレート200の場合、全てのギャップ214を閉鎖するために、116などの栓がやはり使用されてよい、ということが理解されよう。
【0025】
[0034]
図9および
図10は、2つのミラーイメージ部300aおよび300bから形成される環状マニホールドプレート300の別の実施形態を示す。ミラーイメージ部300aおよび300bはそれぞれ、フローチャネル部302aおよび302bを含み、それらは、2つの部分300aおよび300bが一緒に組み立てられると、円筒形本体部304内のフローパッセージ302を成す。マニホールドプレート300の各歯306は、フローパッセージ302のうちの1つと連通する内部中空領域を形成するようにくり抜かれる。各歯306はさらに、両側に形成された少なくとも1つの開口308、より好ましくは複数の径方向に隔置された開口308を含み、開口308は、各歯のくり抜き部と連通する。したがって、フローパッセージ302から各歯306を通って出て、歯306の各隣接する対を隔てるギャップ310に入る、完全なフローパスが形成される。
【0026】
[0035]
図9は、マニホールドプレート300が固定子セクション312および314とともに使用されて、完全な固定子300’を成している様子を示す。マニホールドプレート300は、この例では、固定子300’の軸方向のほぼ中心点に配置されているが、それは、その軸方向の両表面が別々の固定子プレートまたは固定子セクションによって覆われていれば、どんな軸方向位置に配置されてもよい。流動可能なフィラー化合物、例えば熱伝導性ポリマーが次いで、フローパッセージ302および各歯306の内部領域に注入されてよい。流動可能なフィラー化合物は、開口308を通って流れ出し、固定子300’の軸方向長さ全体に沿って、ギャップ310に押し込まれ、巻線102(
図9には図示せず)の周りに押し進められる。固定子セクション312、300、および314は、任意の適切な手段、例えば適切な接着剤を介して、一緒に固定されてよい。この場合も、ギャップ310を閉鎖するために、栓116などの栓が使用されてよい。
【0027】
[0036]
図10は、本開示の別の実施形態による環状マニホールドプレート400を示す。マニホールドプレート400は、少なくとも1対の固定子セクション間、例えば
図9の固定子セクション312と314との間に組み立てられてよい。マニホールドプレート400は、外周本体部402と、径方向内側に延在する複数の歯404と、複数の径方向に延在するポート408を有する内側円周方向リング様部406とを含む。ポート408は、歯404の隣接する対間に形成されたギャップ410と円周方向に位置整合される。ポート408は、特定の製造動作において好ましい場合のある、フィラー化合物104がマニホールド400の外径からではなくその内径から注入されることを可能にする。マニホールドプレート400は、熱伝導性フィラー化合物104がギャップの各々によって形成される容積に流れ込んでその容積全体にわたって流れるのを促進する助けとなるように、わずかにオーバーサイズの形態をとるギャップ410も提供しており、そのことが、ギャップ内の隙間空間をさらに完全に充填するとともに巻線102(
図10には図示せず)をさらに完全に封入する助けとなることができる。周辺本体部402、歯404、およびリング様部406は、単一部片構成要素として一体に形成されるか、あるいは別の実施形態では、それらは2つ以上の独立した構成要素として形成され、任意の適切な固着技法(例えば機械式締結具、溶接、接着剤など)によって一緒に固定されてよい。マニホールド400は、高温定格プラスチックか、あるいは低電気伝導性とモータ固定子アセンブリの肝要な部分として使用するのに適した強度とを有する他の任意の材料から構築されてよい。マニホールドプレート400の場合、マニホールドの残りの部分を形成するのに使用されるプレート内のギャップを充填するために、栓116などの別々の栓がマニホールドプレート400の両側で使用される必要がある、ということが理解されよう。
【0028】
[0037]マニホールドプレート400の特定の利点は、マニホールドプレート400の内径上にあるポート408に単一のリザーバからフィラー化合物104が供給され得るということである。例えば、リザーバは、マニホールドプレート400の内径壁に対して、すなわち、リング様部406の内面412に対してシールするとともに、ポート408のうちの1つまたは複数のポート408の周りの領域とわずかに重なる、円筒形リザーバまたは「フィーダ(feeder)」を成してよい。フィラー化合物104の注入は、一回につき1つのギャップ410において実施されてよく、充填すべき次のギャップをもたらすために、固定子(またはリザーバ)が必要に応じて回転される。あるいは、リザーバは、フィラー化合物104が2つ以上のギャップ410に同時に注入され得、次いで、ギャップのうちの2つ以上の異なるものを充填するために、リザーバ(か、あるいは固定子)が回転式に割り送りされ得るように、構築されてもよい。任意選択で、リザーバは、一回の製造動作において全てのギャップ410が同時にフィラー化合物104で充填されるように構築されることも可能である。
【0029】
[0038]したがって、本開示のさまざまなシステムおよび方法は、隣接する固定子歯の対間のギャップの各々内の隙間空間が、熱伝導性フィラー化合物104で埋められることを可能にし、そのことが、熱の固定子歯上の巻線から外への熱コンダクタンスを改善する大きな助けとなっている。本明細書において開示された方法は、固定子の中心において隙間空間の100%の充填を達成するとともに固定子の最も外側の軸方向端において90%を上回る充填を達成することができる。本開示のシステムおよび方法は、固定子10を構築する全体コストをそれほど増大させず、固定子を製造する様式の大きな変更も必要としない。
【0030】
[0039]以上、さまざまな実施形態について説明されてきたが、本開示から逸脱することなく行われてよい修正または変形を、当業者なら認識するであろう。例はさまざまな実施形態を示しており、本開示を限定するようには意図されていない。したがって、説明および特許請求の範囲は、関連する従来技術に鑑みて必要な限定のみを伴って寛容に解釈されるべきである。
【手続補正書】
【提出日】2022-03-01
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
方法であって、
固定子コアに内部円周方向表面を設け、複数の巻線スロットを画定することと、前記巻線スロットの各々は、前記固定子コアを通って長手方向に、ならびに前記内部円周方向表面と交差するように径方向に延在し、前記巻線スロットは、複数の歯を形成するように互いから円周方向に離間され、前記歯の各々は、前記巻線スロットの隣接する対間に配設される、
前記固定子コアに複数の巻線を装着することと、前記巻線の各々は、ワイヤから形成され、前記巻線の各々は、前記巻線スロットの所定のセット中に受け入れられる、
前記固定子コアに複数の栓を装着することと、前記栓の各々は、前記歯の隣接する対間に受け入れられ、前記巻線スロットのうちの関連する巻線スロットの径方向内側端を閉鎖する、
前記巻線スロットの各々中にフィラーを注入することと、前記フィラーは、所定の温度範囲にわたって空気よりも熱伝導性が高い、
前記固定子コア中の前記フィラーを硬化することと
を備える、方法。
【請求項2】
前記栓の各々は、前記歯の関連する対に圧力嵌合される、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記固定子コアに複数の栓を装着することは、前記栓のそれぞれを前記固定子コアの軸方向端を通って前記巻線スロットのうちの対応する巻線スロット中に挿入し、歯の前記隣接する対間に前記栓を取り付けるために外側に前記栓を付勢することを備える、請求項1に記載の方法。
【請求項4】
前記巻線スロットの各々中に前記フィラーを注入することは、前記巻線スロットの各々中にノズルを挿入し、前記ノズルから前記フィラーを分配することを備える、請求項1に記載の方法。
【請求項5】
前記固定子コアは、1対のコアセグメントを備え、前記固定子コアは、前記固定子コアのセグメント間に配設された環状マニホールドプレートをさらに備え、前記コアセグメントの各々は、前記巻線スロットの各々の一部分を画定し、前記環状マニホールドプレートは、複数の円周方向に離間されたマニホールドスロットを画定し、前記マニホールドスロットの各々は、前記巻線スロットのうちの対応する巻線スロットの一部分を形成し、前記巻線スロットの各々中に前記フィラーを注入することは、前記環状マニホールドプレート中の前記マニホールドスロットの各々中に径方向に前記フィラーを注入することを備える、請求項1に記載の方法。
【請求項6】
前記環状マニホールドプレートは、複数の円周方向に離間されたポートを画定し、前記ポートの各々は、前記環状マニホールドプレートの内部表面から径方向外側に延在し、前記マニホールドスロットのうちの関連するマニホールドスロットと交差する、請求項5に記載の方法。
【請求項7】
前記環状マニホールドプレートは、複数の円周方向に離間されたポートを画定し、前記ポートの各々は、前記環状マニホールドプレートの外部表面から径方向内側に延在し、前記マニホールドスロットのうちの関連するマニホールドスロットと交差する、請求項5に記載の方法。
【請求項8】
隙間空間が、前記巻線スロットの各々中の前記ワイヤのセグメント間に形成され、前記フィラーは、前記隙間空間を少なくとも実質的に完全に充填する、請求項1に記載の方法。
【請求項9】
前記フィラーは、二液性樹脂である、請求項1に記載の方法。
【請求項10】
前記巻線の各々を形成する前記ワイヤは、リボンとして成形される、請求項1に記載の方法。
【請求項11】
前記巻線の各々を形成する前記ワイヤは、円形断面を有する、請求項1に記載の方法。
【請求項12】
電気モータであって、
内部円周方向表面を有する固定子コアを有する固定子と、前記固定子コアは、複数の巻線スロットを画定し、前記巻線スロットの各々は、前記固定子コアを通って長手方向に、ならびに前記内部円周方向表面と交差するように径方向に延在し、前記巻線スロットは、複数の歯を形成するように互いから円周方向に離間され、前記歯の各々は、前記巻線スロットの隣接する対間に配設される、
複数の巻線と、前記巻線の各々は、ワイヤから形成され、前記巻線の各々は、前記巻線スロットの所定のセット中に受け入れられる、
前記固定子コアに据え付けられた複数の栓と、前記栓の各々は、前記歯の隣接する対間に受け入れられ、前記巻線スロットのうちの関連する巻線スロットの径方向内側端を閉鎖する、
前記巻線スロットの各々中に受け入れられるフィラー化合物と、前記フィラー化合物は、所定の温度範囲にわたって空気よりも熱伝導性が高い、
を備える、電気モータ。
【請求項13】
前記栓の各々は、前記歯の関連する対に圧力嵌合される、請求項12に記載の電気モータ。
【請求項14】
栓の各々は、歯の前記関連する対に対して当接及びシールする、請求項12に記載の電気モータ。
【請求項15】
前記固定子コアは、1対のコアセグメントと、前記固定子コアのセグメント間に配設された環状マニホールドプレートとを備え、前記コアセグメントの各々は、前記巻線スロットの各々の一部分を画定し、前記環状マニホールドプレートは、複数の円周方向に離間されたマニホールドスロットを画定し、前記マニホールドスロットの各々は、前記巻線スロットのうちの対応する巻線スロットの一部分を形成し、前記フィラー化合物は、前記環状マニホールドプレートを通って径方向に延在する、請求項12に記載の電気モータ。
【請求項16】
前記環状マニホールドプレートは、複数の円周方向に離間されたポートを画定し、前記ポートの各々は、前記環状マニホールドプレートの内部表面から径方向外側に延在し、前記マニホールドスロットのうちの関連するマニホールドスロットと交差する、請求項14に記載の電気モータ。
【請求項17】
前記環状マニホールドプレートは、複数の円周方向に離間されたポートを画定し、前記ポートの各々は、前記環状マニホールドプレートの外部表面から径方向内側に延在し、前記マニホールドスロットのうちの関連するマニホールドスロットと交差する、請求項14に記載の電気モータ。
【請求項18】
隙間空間が、前記巻線スロットの各々中の前記ワイヤのセグメント間に形成され、前記フィラー化合物は、前記隙間空間を少なくとも実質的に完全に充填する、請求項12に記載の電気モータ。
【請求項19】
前記フィラー化合物は、二液性樹脂である、請求項12に記載の電気モータ。
【請求項20】
前記巻線の各々を形成する前記ワイヤは、リボンとして成形される、請求項12に記載の電気モータ。
【請求項21】
前記巻線の各々を形成する前記ワイヤは、円形断面を有する、請求項12に記載の電気モータ。
【手続補正2】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0030
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0030】
[0039]以上、さまざまな実施形態について説明されてきたが、本開示から逸脱することなく行われてよい修正または変形を、当業者なら認識するであろう。例はさまざまな実施形態を示しており、本開示を限定するようには意図されていない。したがって、説明および特許請求の範囲は、関連する従来技術に鑑みて必要な限定のみを伴って寛容に解釈されるべきである。
以下に、出願当初の特許請求の範囲に記載の事項を、そのまま、付記しておく。
[C1]
固定子の複数の歯の隣接する対間に形成された複数のギャップ内に電気伝導性巻線が巻回された前記固定子内の、熱伝導を改善するための方法であって、前記電気伝導性巻線を前記歯に巻回する間に、前記ギャップの各々内に複数の隙間空間が形成される、方法において、
前記歯の隣接する対間の開口を閉鎖するために、前記ギャップのそれぞれ内に栓を配置することと、
各前記ギャップに、各前記ギャップ内の前記隙間空間を少なくとも実質的に充填するとともに前記電気伝導性巻線を少なくとも実質的に封入するのに十分な圧力下で、熱伝導性フィラー化合物を注入することと、
前記熱伝導性フィラー化合物を凝固させることと
を含む、方法。
[C2]
前記ギャップのそれぞれ内に栓を前記配置することが、熱伝導性材料から作製された栓を配置することを備える、C1に記載の方法。
[C3]
前記ギャップのそれぞれ内に栓を前記配置することが、弾性の熱伝導性材料から作製された栓を配置することを備え、前記栓が前記ギャップに圧力嵌合される、C1に記載の方法。
[C4]
前記ギャップのそれぞれ内に栓を前記配置することが、前記ギャップを閉鎖するために、前記複数の歯の隣接する対の遠位端部上に前記固定子の一方の軸方向端からスライド可能に挿入される熱伝導性栓を配置することを備える、C1に記載の方法。
[C5]
各前記ギャップに熱伝導性フィラー化合物を前記注入することが、各前記ギャップに前記固定子の両軸方向端において熱伝導性の流動可能なフィラー化合物を注入することを備える、C1に記載の方法。
[C6]
前記固定子の前記両軸方向端において前記熱伝導性フィラー化合物を前記注入することが、同時に達成される、C5に記載の方法。
[C7]
前記ギャップの各々に前記熱伝導性フィラー化合物を前記注入することが、前記固定子の一方の軸方向端から前記熱伝導性フィラー化合物を注入することによって達成され、
熱伝導性フィラー化合物を前記注入することが、流動可能状態にある熱伝導性ポリマーを注入することを備える、
C1に記載の方法。
[C8]
前記固定子を、前記固定子の軸方向長さに沿った中間点に配設されるマニホールドプレートを用いて形成することと、前記マニホールドプレートが、複数のポートと、前記ポートおよび前記ギャップと連通する複数の通路とを含む、
前記ギャップを充填するために、前記ポートを通じて前記熱伝導性フィラー化合物を注入することと
をさらに備える、C1に記載の方法。
[C9]
前記ポートが前記マニホールドプレートの内周に沿って配設される、C8に記載の方法。
[C10]
前記ポートが前記マニホールドプレートの外周に沿って配設される、C8に記載の方法。
[C11]
熱伝導性フィラー化合物を前記注入することが、それぞれがノズルを有する1対の注入ガンを使用することを備え、前記ノズルが、前記ギャップ内に一回につき1つずつ、前記固定子の両軸方向端から延在される、C1に記載の方法。
[C12]
前記歯の隣接する対間の開口を閉鎖するために、前記ギャップのそれぞれ内に栓を前記配置することが、前記固定子内の概して連続した円周方向内面を成すために、歯の隣接する対の遠位端部と同一平面上にある栓を配置することを備える、C1に記載の方法。
[C13]
固定子の複数の歯の隣接する対間に形成された複数のギャップ内に電気伝導性巻線が巻回された前記固定子内の、熱伝導を改善するための方法であって、前記電気伝導性巻線を前記固定子歯に巻回する間に、前記ギャップの各々内に複数の隙間空間が形成される、方法において、
前記固定子歯の隣接する対間の開口を閉鎖するために、前記ギャップのそれぞれ内に熱伝導性栓を配置することと、
各前記ギャップに、前記固定子の両軸方向端から、前記電気伝導性巻線を少なくとも実質的に封入するとともに各前記ギャップ内の前記隙間空間を少なくとも実質的に充填するのに十分な圧力下で、流動可能な熱伝導性フィラー化合物を注入することと
を含む、方法。
[C14]
前記熱伝導性フィラー化合物を凝固させることをさらに備える、C13に記載の方法。
[C15]
流動可能な熱伝導性フィラーを前記注入することが、流動可能なポリマーを注入することを備える、C13に記載の方法。
[C16]
前記ギャップのそれぞれ内に熱伝導性栓を配置することが、
前記ギャップに弾性栓を圧力嵌合すること、および
前記ギャップの各々を閉鎖するために、前記固定子の一方の軸方向端から前記固定子歯の遠位端に係合する前記栓をスライド可能に挿入すること
のうちの一方を備える、C13に記載の方法。
[C17]
流動可能な熱伝導性フィラー化合物を前記注入することが、前記流動可能な熱伝導性フィラー化合物を、前記固定子の前記両軸方向端において同時に注入することを備える、C13に記載の方法。
[C18]
固定子であって、
円周方向本体部と、
前記円周方向本体部から径方向内側に突出する複数の歯と、前記歯の隣接する対がそれらの間にギャップを形成する、
複数の熱伝導性栓と、前記熱伝導性栓のそれぞれが、歯の各前記隣接する対間の前記ギャップのうちの関連するギャップ内に取り付けられ、前記熱伝導性栓が、前記固定子の、概して平滑な、突出がない円周方向内面を生み出すような様式で取り付けられる、
前記歯に巻き付けられた複数の電気伝導性巻線と、各前記ギャップには、その中に複数の隙間空間が、前記電気伝導性巻線のそれぞれ、および前記歯によって形成された壁部に隣接して形成される、
前記電気伝導性巻線から前記固定子歯への熱の伝導を高めるために前記ギャップの各々内の前記隙間空間を充填するとともに前記電気伝導性巻線を少なくとも実質的に封入する、熱伝導性フィラー化合物と、
を備える、固定子。
[C19]
前記熱伝導性フィラー化合物が熱伝導性ポリマーを備える、C18に記載の固定子。
[C20]
前記栓がそれぞれ、
前記溝のうちの1つに部分的に圧力嵌合されることの可能な弾性栓、および
前記固定子にその一方の軸方向端からスライド可能に挿入されることの可能な栓
のうちの少なくとも一方を備える、C18に記載の固定子。
[C21]
前記固定子が、複数のポートと、前記複数のポートおよび前記ギャップと連通する複数の通路とを有する環状マニホールドプレートを含み、前記ギャップを充填するために、前記ポートを通じて前記熱伝導性フィラー化合物が注入可能である、C18に記載の固定子。
[C22]
前記環状マニホールドプレートの前記ポートが前記環状マニホールドプレートの内周に沿って配置される、C21に記載の固定子。
[C23]
前記環状マニホールドプレートの前記ポートが前記環状マニホールドプレートの外周に沿って配置される、C18に記載の固定子。
【外国語明細書】