(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022078028
(43)【公開日】2022-05-24
(54)【発明の名称】医療処置で使用するための医療装置の選択
(51)【国際特許分類】
A61B 34/10 20160101AFI20220517BHJP
【FI】
A61B34/10
【審査請求】有
【請求項の数】12
【出願形態】OL
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2022014847
(22)【出願日】2022-02-02
(62)【分割の表示】P 2019523790の分割
【原出願日】2017-11-08
(31)【優先権主張番号】62/419,072
(32)【優先日】2016-11-08
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(71)【出願人】
【識別番号】515111130
【氏名又は名称】ヘンリー フォード ヘルス システム
(74)【代理人】
【識別番号】110001195
【氏名又は名称】特許業務法人深見特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】ワン,ディー・ディー
(72)【発明者】
【氏名】フォーブズ,マイケル
(72)【発明者】
【氏名】マイアーズ,エリック
(72)【発明者】
【氏名】オニール,ウィリアム
(57)【要約】 (修正有)
【課題】医療処置の実行時に使用するための医療装置を選択するための方法を提供する。
【解決手段】この方法は、患者の身体の、対象となる解剖学的領域に関する画像データを取得するステップと、取得された画像データを使用して、対象となる解剖学的領域の多次元描写を生成するステップとを含む。この方法はさらに、多次元描写に対して複数の点を規定するステップと、規定された複数の点に基づいて、1つ以上の測定値を決定するステップと、決定された測定値に基づいて、使用すべき医療装置を選択するステップとを含む。
【選択図】
図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
医療処置の実行時に使用するための医療装置を選択するための方法であって、
患者の身体の、対象となる解剖学的領域に関する画像データを取得するステップと、
取得された前記画像データを使用して、前記対象となる解剖学的領域の多次元描写を生成するステップと、
前記多次元描写に対して複数の点を規定するステップと、
規定された前記複数の点に基づいて、1つ以上の測定値を決定するステップと、
決定された前記測定値に基づいて、使用すべき医療装置を選択するステップとを含む、方法。
【請求項2】
前記医療処置は、前記患者の心臓の左心耳(LAA)に関わる処置であり、前記医療装置は、前記患者の心臓の前記LAAにLAA閉塞装置を送達するために使用されるカテーテルである、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記規定するステップで規定された前記複数の点は、
前記LAAの真の口を含む平面(真の口の平面)の原点、
前記真の口の平面の複製であって前記真の口の平面から偏位した平面(偏位した真の口の平面)の原点、
前記患者の心臓の卵円窩を含む平面(卵円窩平面)の原点、または、
前記患者の心臓の下大静脈(IVC)口を含む平面(IVC口の平面)の原点、
という個々の点のうちの2つ以上を含む、請求項2に記載の方法。
【請求項4】
前記決定するステップで決定された前記測定値は、
前記IVC口の平面の前記原点と前記卵円窩平面の前記原点との間の距離、
前記卵円窩平面の前記原点と前記真の口の平面の前記原点との間の距離、
前記IVC口の平面の前記原点と、前記卵円窩平面の前記原点と、前記真の口の平面の前記原点とによって規定される角度、または、
前記卵円窩平面の前記原点と、前記真の口の平面の前記原点と、前記偏位した真の口の平面の前記原点とによって規定される角度、
のうちの少なくとも1つを含む、請求項3に記載の方法。
【請求項5】
前記測定値は、第1の平面と第2の平面との間の距離をさらに含み、前記第1の平面は、前記患者の心臓の僧帽弁輪を含む平面の複製であって前記平面から偏位しており、かつ、前記真の口の平面の前記原点と整列されており、前記第2の平面は、前記僧帽弁輪を含む前記平面の複製であって前記平面から偏位しており、かつ、前記卵円窩平面の前記原点と整列されている、請求項4に記載の方法。
【請求項6】
前記規定するステップで規定された前記複数の点は、
前記患者の心臓の僧帽弁輪を含む平面(僧帽弁平面)の原点、
前記僧帽弁平面の複製であって前記僧帽弁平面から偏位した平面(偏位僧帽弁平面)の原点、または、
前記偏位僧帽弁平面と、卵円窩平面から偏位した平面(偏位卵円窩平面)との交点、
という個々の点のうちの2つ以上を含む、請求項2に記載の方法。
【請求項7】
前記決定するステップで決定された前記測定値は、
前記僧帽弁平面の前記原点と前記偏位僧帽弁平面の前記原点との間の距離、
前記僧帽弁平面の前記原点と、前記偏位僧帽弁平面と偏位卵円窩平面との前記交点との間の距離、
前記偏位僧帽弁平面と、前記偏位僧帽弁平面と偏位卵円窩平面との前記交点との間の距
離、
前記偏位僧帽弁平面の前記原点と、前記僧帽弁平面の前記原点と、前記偏位僧帽弁平面と偏位卵円窩平面との前記交点とによって形成される角度、
前記僧帽弁平面の前記原点と、前記偏位僧帽弁平面の前記原点と、前記偏位僧帽弁平面と偏位卵円窩平面との前記交点とによって形成される角度、
前記僧帽弁平面の前記原点と、前記偏位僧帽弁平面と偏位卵円窩平面との前記交点と、前記偏位僧帽弁平面の前記原点とによって形成される角度、
IVC口の平面の原点と、前記卵円窩平面の前記原点と、前記僧帽弁平面の前記原点とによって形成される角度、または、
前記卵円窩平面の前記原点と、前記僧帽弁平面の前記原点と、前記偏位僧帽弁平面の前記原点とによって形成される角度、
のうちの少なくとも1つを含む、請求項6に記載の方法。
【請求項8】
前記描写において、心房中隔に沿った挿入点を識別するステップと、
前記医療処置の実行中に前記心房中隔を通過する医療装置を表わすモデルを選択するステップと、
前記医療装置の前記モデルを前記描写に取込むステップとをさらに含み、前記モデルは、前記描写内で、識別された前記挿入点に対して位置付けられ、前記方法はさらに、
前記描写内の前記医療装置の前記モデルの軌道に基づいて、前記挿入点、前記医療装置、または双方の適切性を評価するステップを含む、請求項2に記載の方法。
【請求項9】
少なくとも1つのユーザ入力を受信するステップをさらに含み、その少なくとも1つのユーザ入力に応答して、前記方法は、
前記描写において、心房中隔に沿った挿入点を識別するステップと、
前記医療処置の実行中に前記心房中隔を通過する医療装置を表わすモデルを選択するステップと、
前記医療装置の前記モデルを前記描写に取込むステップとをさらに含み、前記モデルは、前記描写内で、識別された前記挿入点に対して位置付けられる、請求項2に記載の方法。
【請求項10】
1つ以上の電子プロセッサによって実行されると、前記1つ以上のプロセッサに方法を実行させる命令が格納された、非一時的コンピュータ読取可能記憶媒体であって、前記方法は、
患者の身体の、対象となる解剖学的領域に関する画像データを取得するステップと、
取得された前記画像データを使用して、前記対象となる解剖学的領域の多次元描写を生成するステップと、
前記多次元描写に対して複数の点を規定するステップと、
規定された前記複数の点に基づいて、1つ以上の測定値を決定するステップと、
決定された前記測定値に基づいて、使用すべき医療装置を選択するステップとを含む、記憶媒体。
【請求項11】
前記医療処置は、前記患者の心臓の左心耳(LAA)に関わる処置であり、前記医療装置は、前記患者の心臓の前記LAAにLAA閉塞装置を送達するために使用されるカテーテルである、請求項10に記載の記憶媒体。
【請求項12】
前記複数の点は、
前記LAAの真の口を含む平面(真の口の平面)の原点、
前記真の口の平面の複製であって前記真の口の平面から偏位した平面(偏位した真の口の平面)の原点、
前記患者の心臓の卵円窩を含む平面(卵円窩平面)の原点、または、
前記患者の心臓の下大静脈(IVC)口を含む平面(IVC口の平面)の原点、
という個々の点のうちの2つ以上を含む、請求項11に記載の記憶媒体。
【請求項13】
前記測定値は、
前記IVC口の平面の前記原点と前記卵円窩平面の前記原点との間の距離、
前記卵円窩平面の前記原点と前記真の口の平面の前記原点との間の距離、
前記IVC口の平面の前記原点と、前記卵円窩平面の前記原点と、前記真の口の平面の前記原点とによって規定される角度、または、
前記卵円窩平面の前記原点と、前記真の口の平面の前記原点と、前記偏位した真の口の平面の前記原点とによって規定される角度、
のうちの少なくとも1つを含む、請求項12に記載の記憶媒体。
【請求項14】
前記複数の点は、
前記患者の心臓の僧帽弁輪を含む平面(僧帽弁平面)の原点、
前記僧帽弁平面の複製であって前記僧帽弁平面から偏位した平面(偏位僧帽弁平面)の原点、または、
前記偏位僧帽弁平面と、卵円窩平面から偏位した平面(偏位卵円窩平面)との交点、
という個々の点のうちの2つ以上を含む、請求項11に記載の記憶媒体。
【請求項15】
前記測定値は、
前記僧帽弁平面の前記原点と前記偏位僧帽弁平面の前記原点との間の距離、
前記僧帽弁平面の前記原点と、前記偏位僧帽弁平面と偏位卵円窩平面との前記交点との間の距離、
前記偏位僧帽弁平面と、前記偏位僧帽弁平面と偏位卵円窩平面との前記交点との間の距離、
前記偏位僧帽弁平面の前記原点と、前記僧帽弁平面の前記原点と、前記偏位僧帽弁平面と偏位卵円窩平面との前記交点とによって形成される角度、
前記僧帽弁平面の前記原点と、前記偏位僧帽弁平面の前記原点と、前記偏位僧帽弁平面と偏位卵円窩平面との前記交点とによって形成される角度、
前記僧帽弁平面の前記原点と、前記偏位僧帽弁平面と偏位卵円窩平面との前記交点と、前記偏位僧帽弁平面の前記原点とによって形成される角度、
IVC口の平面の原点と、前記卵円窩平面の前記原点と、前記僧帽弁平面の前記原点とによって形成される角度、または、
前記卵円窩平面の前記原点と、前記僧帽弁平面の前記原点と、前記偏位僧帽弁平面の前記原点とによって形成される角度、
のうちの少なくとも1つを含む、請求項14に記載の記憶媒体。
【請求項16】
前記1つ以上のプロセッサによって実行される前記方法は、
前記描写において、心房中隔に沿った挿入点を識別するステップと、
前記医療処置の実行中に前記心房中隔を通過する医療装置を表わすモデルを選択するステップと、
前記医療装置の前記モデルを前記描写に取込むステップとをさらに含み、前記モデルは、前記描写内で、識別された前記挿入点に対して位置付けられ、前記方法はさらに、
前記描写内の前記医療装置の前記モデルの軌道に基づいて、前記挿入点、前記医療装置、または双方の適切性を評価するステップを含む、請求項11に記載の方法。
【請求項17】
前記1つ以上のプロセッサによって実行される前記方法は、少なくとも1つのユーザ入力を受信するステップをさらに含み、その少なくとも1つのユーザ入力に応答して、前記方法は、
前記描写において、心房中隔に沿った挿入点を識別するステップと、
前記医療処置の実行中に前記心房中隔を通過する医療装置を表わすモデルを選択するステップと、
前記医療装置の前記モデルを前記描写に取込むステップとをさらに含み、前記モデルは、前記描写内で、識別された前記挿入点に対して位置付けられる、請求項11に記載の方法。
【請求項18】
医療処置で使用する医療装置を選択するためのシステムであって、
電子プロセッサと、
前記電子プロセッサに電気的に結合され、命令が格納されている、電子メモリ装置とを含み、
前記プロセッサは、
患者の身体の、対象となる解剖学的領域に関する画像データを取得し、
取得された前記画像データを使用して、前記対象となる解剖学的領域の多次元描写を生成し、
前記多次元描写に対して複数の点を規定し、
規定された前記複数の点に基づいて、1つ以上の測定値を決定し、
決定された前記測定値に基づいて、使用すべき医療装置を選択する
よう動作可能であるように、前記メモリ装置にアクセスし、前記メモリ装置に格納された前記命令を実行するように構成されている、システム。
【請求項19】
前記医療処置は、前記患者の心臓の左心耳(LAA)に関わる処置であり、前記医療装置は、前記患者の心臓の前記LAAにLAA閉塞装置を送達するために使用されるカテーテルである、請求項18に記載のシステム。
【請求項20】
前記複数の点は、
前記LAAの真の口を含む平面(真の口の平面)の原点、
前記真の口の平面の複製であって前記真の口の平面から偏位した平面(偏位した真の口の平面)の原点、
前記患者の心臓の卵円窩を含む平面(卵円窩平面)の原点、または、
前記患者の心臓の下大静脈(IVC)口を含む平面(IVC口の平面)の原点、
という個々の点のうちの2つ以上を含む、請求項19に記載のシステム。
【請求項21】
前記測定値は、
前記IVC口の平面の前記原点と前記卵円窩平面の前記原点との間の距離、
前記卵円窩平面の前記原点と前記真の口の平面の前記原点との間の距離、
前記IVC口の平面の前記原点と、前記卵円窩平面の前記原点と、前記真の口の平面の前記原点とによって規定される角度、または、
前記卵円窩平面の前記原点と、前記真の口の平面の前記原点と、前記偏位した真の口の平面の前記原点とによって規定される角度、
のうちの少なくとも1つを含む、請求項20に記載のシステム。
【請求項22】
前記測定値は、第1の平面と第2の平面との間の距離をさらに含み、前記第1の平面は、前記患者の心臓の僧帽弁輪を含む平面の複製であって前記平面から偏位しており、かつ、前記真の口の平面の前記原点と整列されており、前記第2の平面は、前記僧帽弁輪を含む前記平面の複製であって前記平面から偏位しており、かつ、前記卵円窩平面の前記原点と整列されている、請求項21に記載のシステム。
【請求項23】
前記複数の点は、
前記患者の心臓の僧帽弁輪を含む平面(僧帽弁平面)の原点、
前記僧帽弁平面の複製であって前記僧帽弁平面から偏位した平面(偏位僧帽弁平面)の
原点、または、
前記偏位僧帽弁平面と、卵円窩平面から偏位した平面(偏位卵円窩平面)との交点、
という個々の点のうちの2つ以上を含む、請求項19に記載のシステム。
【請求項24】
前記測定値は、
前記僧帽弁平面の前記原点と前記偏位僧帽弁平面の前記原点との間の距離、
前記僧帽弁平面の前記原点と、前記偏位僧帽弁平面と偏位卵円窩平面との前記交点との間の距離、
前記偏位僧帽弁平面と、前記偏位僧帽弁平面と偏位卵円窩平面との前記交点との間の距離、
前記偏位僧帽弁平面の前記原点と、前記僧帽弁平面の前記原点と、前記偏位僧帽弁平面と偏位卵円窩平面との前記交点とによって形成される角度、
前記僧帽弁平面の前記原点と、前記偏位僧帽弁平面の前記原点と、前記偏位僧帽弁平面と偏位卵円窩平面との前記交点とによって形成される角度、
前記僧帽弁平面の前記原点と、前記偏位僧帽弁平面と偏位卵円窩平面との前記交点と、前記偏位僧帽弁平面の前記原点とによって形成される角度、
IVC口の平面の原点と、前記卵円窩平面の前記原点と、前記僧帽弁平面の前記原点とによって形成される角度、または、
前記卵円窩平面の前記原点と、前記僧帽弁平面の前記原点と、前記偏位僧帽弁平面の前記原点とによって形成される角度、
のうちの少なくとも1つを含む、請求項23に記載のシステム。
【請求項25】
前記プロセッサはさらに、
前記描写において、心房中隔に沿った挿入点を識別し、
前記医療処置の実行中に前記心房中隔を通過する医療装置を表わすモデルを選択し、
前記医療装置の前記モデルを前記描写に取込むよう動作可能であり、前記モデルは、前記描写内で、識別された前記挿入点に対して位置付けられ、前記プロセッサはさらに、
前記描写内の前記医療装置の前記モデルの軌道に基づいて、前記挿入点、前記医療装置、または双方の適切性を評価するよう動作可能である、請求項19に記載のシステム。
【請求項26】
1つ以上のユーザ入力に応答して、前記プロセッサはさらに、
前記描写において、心房中隔に沿った挿入点を識別し、
前記医療処置の実行中に前記心房中隔を通過する医療装置を表わすモデルを選択し、
前記医療装置の前記モデルを前記描写に取込むよう動作可能であり、前記モデルは、前記描写内で、識別された前記挿入点に対して位置付けられる、請求項19に記載のシステム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願との相互参照
本願は、2016年11月8日に出願された米国仮出願第62/419,072号の利益を主張する。当該仮出願の内容全体はここに引用により援用される。
【0002】
技術分野
この開示は概して、医療処置のための周術期計画に関し、より特定的には、心臓に関わる非侵襲性医療処置のための周術期計画に関し、そのような処置で使用すべき医療装置の選択を含む。
【背景技術】
【0003】
背景
心臓装置の非侵襲性の経皮的移植は、ある難題を医師に突きつける。たとえば心臓切開手術といった侵襲性の外科的処置とは対照的に、非侵襲性の心臓移植処置を行なう医師は、視野が制限されており、また、処置中、概して、2次元(2D)画像診断法(たとえば超音波、透視検査など)によって生成された画像を使用する誘導に制限されている。医師は典型的には、処置の実行中、2D画像化に制限されているので、たとえば、ある解剖学的構造のサイズと、処置中に使用すべき装置(たとえばカテーテル)のタイプおよび/またはサイズとを正確に評価して決定するために、適切な周術期計画および評価が必要とされる。
【0004】
しかしながら、処置中の誘導と同様に、従来の周術期計画技術は概して、2D画像化を採用する画像化プラットフォームおよび画像診断法に基づいてきた。したがって、移植処置自体と同様に、そのような処置のための周術期計画は、使用される従来の2D画像化の固有の限界により、難題を医師に突きつける。
【0005】
したがって、従来の周術期計画方法論/手法における上述の不備のうちの1つ以上を最小化および/または排除する周術期計画方法およびシステムに対する要望が存在する。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0006】
概要
一実施形態によれば、医療処置の実行時に使用するための医療装置を選択するための方法が提供される。この方法は、患者の身体の、対象となる解剖学的領域に関する画像データを取得するステップと、取得された画像データを使用して、対象となる解剖学的領域の多次元描写(depiction)を生成するステップと、多次元描写に対して複数の点を規定す
るステップと、規定された複数の点に基づいて、1つ以上の測定値を決定するステップと、決定された測定値に基づいて、使用すべき医療装置を選択するステップとを含む。
【0007】
別の実施形態によれば、命令が格納された非一時的コンピュータ読取可能記憶媒体が提供される。格納された命令は、それらが1つ以上の電子プロセッサによって実行されると、その1つ以上のプロセッサに方法を実行させるようになっており、方法は、患者の身体の、対象となる解剖学的領域に関する画像データを取得するステップと、取得された画像データを使用して、対象となる解剖学的領域の多次元描写を生成するステップと、多次元描写に対して複数の点を規定するステップと、規定された複数の点に基づいて、1つ以上の測定値を決定するステップと、決定された測定値に基づいて、使用すべき医療装置を選択するステップとを含む。
【0008】
さらに別の実施形態によれば、医療処置で使用する医療装置を選択するためのシステムが提供される。このシステムは、電子プロセッサと、電子プロセッサに電気的に結合され、命令が格納されている、電子メモリ装置とを含む。プロセッサは、患者の身体の、対象となる解剖学的領域に関する画像データを取得し、取得された画像データを使用して、対象となる解剖学的領域の多次元描写を生成し、多次元描写に対して複数の点を規定し、規定された複数の点に基づいて、1つ以上の測定値を決定し、決定された測定値に基づいて、使用すべき医療装置を選択するよう動作可能であるように、メモリ装置にアクセスし、メモリ装置に格納された命令を実行するように構成されている。
【0009】
図面の簡単な説明
この発明の1つ以上の実施形態を、添付図面とともに以下に説明する。同じ名称は同じ要素を示す。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【
図2】ここに説明される方法論の1つ以上の実施形態を行なうためのシステムの例示的な一実施形態の概略ブロック図である。
【
図3】医療処置で使用すべき医療装置を選択または決定するために使用され得る方法の例示的な一実施形態のフローチャートである。
【
図4a】たとえば、
図3に示す方法の1つ以上のステップの実行時に使用され得る、患者の心臓の一部のコンピュータ断層撮影(computed tomography:CT)画像である。
【
図4b】たとえば、
図3に示す方法の1つ以上のステップの実行時に使用され得る、患者の心臓の一部のコンピュータ断層撮影(CT)画像である。
【
図4c】たとえば、
図3に示す方法の1つ以上のステップの実行時に使用され得る、患者の心臓の一部のコンピュータ断層撮影(CT)画像である。
【
図5】
図3に示す方法の1つ以上のステップの実行時に使用され得るモデルの描写であって、
図3に示す方法がどのように遂行され得るかについての例示的な一実施形態を示す図である。
【
図6】
図3に示す方法の1つ以上のステップの実行時に使用され得るモデルの描写であって、
図3に示す方法がどのように遂行され得るかについての例示的な一実施形態を示す図である。
【
図7】
図3に示す方法の1つ以上のステップの実行時に使用され得るモデルの描写であって、
図3に示す方法がどのように遂行され得るかについての例示的な一実施形態を示す図である。
【
図8】
図3に示す方法の1つ以上のステップの実行時に使用され得るモデルの描写であって、
図3に示す方法がどのように遂行され得るかについての例示的な一実施形態を示す図である。
【
図9】
図3に示す方法の1つ以上のステップの実行時に使用され得るモデルの描写であって、
図3に示す方法がどのように遂行され得るかについての例示的な一実施形態を示す図である。
【
図10】
図3に示す方法の1つ以上のステップの実行時に使用され得るモデルの描写であって、
図3に示す方法がどのように遂行され得るかについての例示的な一実施形態を示す図である。
【
図11】
図3に示す方法の1つ以上のステップの実行時に使用され得るモデルの描写であって、
図3に示す方法がどのように遂行され得るかについての例示的な一実施形態を示す図である。
【
図12】
図3に示す方法の1つ以上のステップの実行時に使用され得るモデルの描写であって、
図3に示す方法がどのように遂行され得るかについての例示的な一実施形態を示す図である。
【
図13】
図3に示す方法の1つ以上のステップの実行時に使用され得るモデルの描写であって、
図3に示す方法がどのように遂行され得るかについての例示的な一実施形態を示す図である。
【
図14】
図3に示す方法の1つ以上のステップで使用され得る、
図3に示す方法の1つ以上のステップで決定され得るさまざまな測定値の模式概略図である。図に示すどの特定の測定値も例示的な目的のためにのみ提供されており、限定的という意図はまったくない、ということが理解されるであろう。
【
図15】
図3に示す方法の1つ以上のステップで使用され得る、
図3に示す方法の1つ以上のステップで決定され得るさまざまな測定値の模式概略図である。図に示すどの特定の測定値も例示的な目的のためにのみ提供されており、限定的という意図はまったくない、ということが理解されるであろう。
【
図16】
図3に示す方法の1つ以上のステップで使用され得る、
図3に示す方法の1つ以上のステップで決定され得るさまざまな測定値の模式概略図である。図に示すどの特定の測定値も例示的な目的のためにのみ提供されており、限定的という意図はまったくない、ということが理解されるであろう。
【
図17】
図3に示す方法の1つ以上のステップで使用され得る、
図3に示す方法の1つ以上のステップで決定され得るさまざまな測定値の模式概略図である。図に示すどの特定の測定値も例示的な目的のためにのみ提供されており、限定的という意図はまったくない、ということが理解されるであろう。
【
図18】たとえば医療装置の適切性を評価するために使用される方法の1つ以上のステップを実行する際に使用するために取込まれた医療装置のモデルを有する解剖学的構造の描写を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
詳細な説明
ここに説明されるシステムおよび方法は、たとえば、人工心臓弁、左心耳(left atrial appendage:LAA)閉塞装置などといった医療装置の移植を伴う処置を何ら限定され
ることなく含む経皮的処置の術前計画(「周術期計画」とも呼ばれる)において、医師を支援することができる。一般に、ここに説明されるシステムおよび方法は、対象となるさまざまな解剖学的構造の位置およびサイズを正確に評価するために、ならびに、医療処置(たとえば移植処置)の実行時に使用すべき、当該処置が行なわれる特定の患者に特有である医療装置(たとえばカテーテル)の理想的なまたは最適なタイプおよびサイズを決定または選択するために、進化した画像化およびモデル化方策を使用する。このシステムおよび方法はさまざまな処置について計画し、それらを評価することに適用可能であり得るが、特に適用可能であるのは、LAAに関わる処置、特にLAAを閉塞するための装置の移植である。したがって、以下の説明は主として、閉塞装置をLAAに送達するために使用されるカテーテルの形をした医療装置の選択に関するものである。しかしながら、ここに述べられるさまざまな教示は、心臓に関する処置およびその他の処置を含む任意の数の他の処置にも適用され得る、ということが理解されるであろう。たとえば、教示は、患者の心臓の僧帽弁輪に人工僧帽弁を送達するためのカテーテルの選択に適用されてもよい。このため、本開示は、ここに説明されるシステムおよび方法を任意の特定のタイプの処置のために使用することに限定されるよう意図されていない、ということが理解されるであろう。
【0012】
文脈のために、
図1は、LAA12、左心房14、左心室16、右心室18、右心房20、心房間壁22、および下大静脈(inferior vena cava:IVC)24を含む、人間の心臓10の一部を示す。LAAは、左心房から血液を受け、左心房に血液を流出させる、一種のポケットである。LAAは心臓の動作に寄与せず、または心臓の動作において重要な機能を果たさないが、それは心血栓症に関係するため、懸念される部位である。より具
体的には、LAAは、血液が集まるか溜まって凝固し、血塊を形成し得る、心臓内の区域を提供する。患者の血流を通って移動する血塊および他の塞栓が悪影響を有するおそれがあることは、よく知られている。LAA内の血塊が、LAAから左心房へと移動し、僧帽弁を通って左心室に入り、大動脈弁を通って大動脈へと移動し、患者の血流に入るかもしれず、そこでそれは、たとえば心臓、肺、または脳への血流を妨げるかもしれず、心臓発作、脳卒中、または他の望ましくない発症をもたらす可能性がある。
【0013】
LAAからの血塊の移動を緩和するために、LAAを閉塞するための処置を行なうことができる。例として、たとえばボストン・サイエンティフィック(Boston Scientific)
から商業的に入手可能なワッチマン(Watchman)(登録商標)装置といった閉塞装置を、LAAの口(ostium)に、またはその近くに配置して固定してもよい。当該技術分野において公知であるように、そのような閉塞装置を適切な位置に送達するために、特別の細長い医療装置(たとえばカテーテル)を使用してもよい。ここに説明されるシステムおよび方法論の少なくとも1つの実施形態では、このシステムおよび方法は、たとえば、LAAへの閉塞装置の送達時に使用されるカテーテルの理想的なまたは最適なタイプおよびサイズを決定または選択するために使用され得る。
【0014】
図2は、患者の身体の、対象となる解剖学的領域への医療装置の送達時に使用すべき医療装置を決定または選択するためのシステム26の例示的な一実施形態を示す。一実施形態では、医療装置は、人工心臓弁(たとえば人工僧帽弁)、または閉塞装置(たとえばLAA閉塞装置)といった移植可能装置を含んでいてもよく、対象となる解剖学的領域は、患者の心臓の少なくとも一領域である。例示的な実施形態では、システム26はとりわけ、電子制御装置(electronic control unit:ECU)28と、ディスプレイ装置30と
、1つ以上のユーザインターフェイス装置32とを含む。
【0015】
ECU28は、1つ以上の電気的入力と1つ以上の電気的出力と有する、1つ以上の電子プロセッサ34を含んでいてもよい。電子プロセッサ34は、電子命令を実行するように構成された、当該技術分野において公知の任意の好適な電子プロセッサ(たとえば、マイクロプロセッサ、マイクロコントローラ、ASICなど)を含んでいてもよい。
【0016】
ECU28はさらに、電子メモリ装置36を含んでいてもよく、または、電子メモリ装置36に電気的に接続されてもよく、および/または、電子メモリ装置36にアクセスするように構成されてもよい。メモリ装置36は、プロセッサ34の一部であってもよく、または、プロセッサ34に電気的に接続されてもよく、および/または、プロセッサ34によってアクセス可能であってもよい。電子メモリ装置36は、当該技術分野において公知の任意の好適なメモリ装置を含んでいてもよく、さまざまなデータ、情報、および/または命令をそこに格納してもよい。一実施形態では、メモリ装置36は、そこに格納された、ここに説明される方法論のすべてまたは一部を管理および/または促進し得る、ソフトウェア、ファームウェア、プログラム、アルゴリズム、スクリプト、アプリケーション、データ構造(たとえばルックアップテーブル)などのうちの1つ以上についての情報および命令を有する。少なくともいくつかの実施形態では、メモリ装置36は、マシンまたは電子プロセッサ/計算装置(たとえばプロセッサ34)によって読取可能な形で情報を格納するための任意のメカニズムを含み得るコンピュータ読取可能記憶媒体(たとえば、非一時的または非一過性記憶媒体)を含んでいてもよく、磁気記憶媒体(たとえばフロッピー(登録商標)ディスク)、光記憶媒体(たとえばCD-ROM)、光磁気記憶媒体、読出専用メモリ(read only memory:ROM)、ランダムアクセスメモリ(random access memory:RAM)、消去可能プログラマブルメモリ(たとえばEPROMおよびEEPROM)、フラッシュメモリ、もしくは、そのような情報/命令を格納するための電気的媒体または他のタイプの媒体を何ら限定されることなく含む。加えて、プログラム命令は、光信号、音響信号、または他の形の伝搬信号(たとえば、搬送波、赤外線信号、デジタ
ル信号、または他のタイプの信号または媒体)を使用して通信されてもよい。
【0017】
いずれにせよ、一実施形態では、プロセッサ34は、メモリ装置36にアクセスし、当該命令および情報を実行および/または使用して、ここに説明される機能性および方法論のうちの一部またはすべてを遂行または実行してもよい。
【0018】
ディスプレイ装置30は、たとえば、液晶ディスプレイ(liquid crystal display:LCD)、陰極線管(cathode ray tube:CRT)、プラズマ、または発光ダイオード(light emitting diodeLED)モニタまたはディスプレイを何ら限定されることなく含む、当該技術分野において公知のディスプレイ装置を任意の数含んでいてもよい。ディスプレイ装置30はECU28に電気的に接続または結合されており、たとえば、ECU28によって生成、獲得、または取得された解剖学的構造の画像、モデル、または描写(以下に説明される方法を行なう際に使用されるものを含む)がそこに表示されて、ここに説明される目的のために使用され得るよう、ECU28によって制御されるように構成される。加えて、ECU28が、たとえば、医師がディスプレイ装置上に表示された画像またはモデルを操作すること(たとえば、モデルを回転させる/動かすこと、モデルを区分すること、モデルの一部を隠すこと、モデル/描写に対して点または平面を規定することなど)、測定値決定を容易にすることなどを可能にする対話型グラフィカルユーザインターフェイス(graphical user interface:GUI)を生成するように構成され得る一実施形態では、ディスプレイ装置30はまた、そのようなGUIを表示してもよい。いずれにせよ、ディスプレイ装置30は、ECU28から電気信号を受信し、受信した信号によって表わされる内容を表示するように構成されており、その内容は、たとえば医師によって見られ得る。
【0019】
ユーザインターフェイス装置32は、当該技術分野において公知の好適な装置を任意の数含んでいてもよい。たとえば、何ら限定されることなく、ユーザ入力装置32は、いくつかの可能性を挙げると、タッチスクリーン(たとえば、LCDタッチスクリーン)、キーパッド、キーボード、コンピュータマウスまたはローラーボール、および/またはジョイスティックのうちの1つまたはそれらの組合せを含んでいてもよい。ある実現化例では、ディスプレイ装置30およびユーザ入力装置32は、それらが同じ1つのものとなるように、単一の装置になるよう、ともに組合されてもよい。ユーザインターフェイス装置が取る特定の形にかかわらず、ユーザ入力装置32は(たとえば有線または無線接続を介して)ECU28に電気的に接続または結合されてもよく、ユーザ(たとえば医師)とシステム26(特にそのECU28)との間の通信を容易にするように構成される。より特定的には、ユーザインターフェイス装置32は、医師がディスプレイ装置30上に表示された画像またはモデル/描写を操作すること(たとえば、モデル/描写の一部を隠すこと、モデル/描写に対して点または平面を規定すること、モデル/描写を回転させる/動かすことなど)、ディスプレイ装置30上に表示されたモデル/描写に表わされた解剖学的構造に関する測定値の決定を選択または指令することなどを可能にしてもよい。
【0020】
システム26のあるコンポーネントが上述されたが、実現化例によっては、システム26は、上述の構成に含まれるものよりも多い、または少ないコンポーネントを含んでいてもよい、ということが理解されるであろう。したがって、本開示は、システム26の任意の特定の実現化例または構成に限定されるよう意図されていない。
【0021】
ここで
図3を参照して、医療処置の実行時に使用すべき医療装置を決定または選択するための方法(方法100)の例示的な一実施形態が示される。より特定的には、
図3は、患者の身体の特定の解剖学的領域に位置する対象構造に医療装置が送達されて内部に移植される処置の実行時に使用すべき細長い医療装置(たとえばカテーテル)を選択する方法を示す。特定の例示的な一実施形態では、移植される装置はLAA閉塞装置であり、この
ため、対象構造(すなわちLAA)が位置する解剖学的領域は、患者の心臓の少なくとも一部を含む。例示のために、以下の説明は主として、LAA閉塞装置の送達および配置時に使用するためのカテーテルの選択に関するものである。しかしながら、ここに説明される方法論は、他の装置(それらの一部が以下に説明され得る)の配置を評価するために使用されてもよい、ということが理解されるであろう。
【0022】
少なくともいくつかの実施形態では、方法100のステップのすべては、たとえば上述のシステム26を何ら限定されることなく含む、適切にまたは好適に構成されたシステムによって、当該システム単独で、またはユーザ(たとえば医師)からの入力とともに実行または遂行されてもよい。しかしながら、他の実施形態では、ステップのすべてではないものの、ステップのいくつかは、別々のシステムによって実行または遂行されてもよく、あるステップはあるシステム(たとえばシステム26)によって実行されてもよく、他のステップは1つ以上の他の好適なシステムによって実行されてもよい。例示のために、以下の説明は主として、方法100がシステム26によって当該システム単独で、またはユーザ入力とともに実行される(および、方法100のステップのいくつかまたはすべての実行が、たとえばシステム26のメモリ装置36に格納されたソフトウェアによって少なくとも部分的に容易にされる)一実施形態に関するものである。しかしながら、本開示はそのような実施形態に限定されないということが理解されるであろう。加えて、特に断りのない限り、方法100の実行は、任意のある特定の順序または順番のステップに、もしくは、ステップを行なうための任意の特定のコンポーネントに限定されるよう意図されていない、ということが理解されるであろう。
【0023】
一実施形態では、方法100は、医療装置が移植されることになっている構造の少なくとも一部を含み得る、患者の心臓の解剖学的領域に関する画像データを取得するステップ102を含む。例として、LAA閉塞装置が患者の心臓のLAAに移植されることになっている一実施形態では、ステップ102で取得された画像データは、患者の心臓のLAA、左心房、右心房、および下大静脈(IVC)の少なくとも一部に関していてもよい。
【0024】
例示的な一実施形態では、画像データは、コンピュータ断層撮影(CT)画像データ、より特定的には2次元(2D)のCTデータを含む。しかしながら、他の実施形態では、画像データは、CT以外の画像診断法、たとえば、磁気共鳴画像診断法(magnetic resonance imaging:MRI)、心エコー画像診断法、または別の好適な画像診断法を使用して取得されたデータを含んでいてもよい、ということが理解されるであろう。したがって、本開示は、任意の特定のタイプの画像データに限定されるよう意図されていない。しかしながら、例示および明確性のために、以下の説明は主として、CT画像データが使用される一実施形態に関するものである。加えて、一実施形態では、画像データは患者の心周期の拡張期中に取得されてもよい。しかしながら、他の実施形態では、それに加えて、またはそれに代えて、画像データは心周期の収縮期中に取得されてもよい、ということが理解されるであろう。いずれにせよ、ステップ102で取得された画像データが対応している解剖学的領域の1つ以上の2D画像またはビューが、取得された画像データから生成または作成されてもよい。
図4a~4cは、患者の心臓の異なる平面に沿って取られたそのような画像の例を示しており、
図4aは冠状面に沿って取られた画像であり、
図4bは軸平面に沿って取られた画像であり、
図4cは矢状面に沿って取られた画像である。
【0025】
ステップ104で、当該2D画像は、そこに示された1つ以上の解剖学的構造を識別して規定するために使用されてもよい。たとえば、
図4a~4cに示す2D画像のうちの1つ以上を使用して、患者の心臓の卵円窩が位置特定/識別されてもよく、卵円窩の境界が規定されてもよい。
図4A~4Cに示すように、卵円窩の境界は、画像上の左心房と右心房との間に配置された心房中隔に沿った点に対応する位置に、1つ以上のマーカー38を配置することによって規定されてもよい。卵円窩を規定することに加えて、これらのマー
カーは、方法100を使用して選択されている医療装置のための、心房中隔を通る潜在的挿入点も表わす(なぜなら、ある処置(たとえばLAA関連処置)中、医療装置は、右心房から左心房へと心房中隔を横切らなければならないためである)。一実施形態では、
図4a~4cに示すように、ある解剖学的領域の1つのビューまたは画像にマーカー38が一旦配置されると、マーカー38に対応する位置がその解剖学的領域の他のビュー/画像において見えるならば、マーカー38は当該他のビューに自動的に現われる。
【0026】
解剖学的構造(たとえば卵円窩)は、1つ以上のマーカー38の配置によって、多くのやり方で規定されてもよい。たとえば、1つ以上のマーカー38は、たとえば好適な画像処理ソフトウェア/手法を使用して、システム26のECU28によって(たとえばECU28のプロセッサ34によって)自動的に配置されてもよい。他の実施形態では、1つ以上のマーカー38は、ユーザ(たとえば医師)によって配置されてもよい。より具体的には、2D画像がディスプレイ装置30上に表示されてもよく、ユーザはその上に、システム26のユーザインターフェイス装置32を使用して、1つ以上のマーカー38を配置してもよい。たとえば、ユーザはコンピュータマウスを操作して、表示された画像における所望の位置までカーソルを動かし、マウスを「クリック」してマーカー38を配置してもよい。
【0027】
対象となる解剖学的構造を規定するためのある手法または実現化例が上述されたが、そうするための任意の好適な手法が使用されてもよいということが理解されるであろう。したがって、本開示は、そうするための任意の特定の手法に限定されるよう意図されていない。
【0028】
いずれにせよ、ステップ102および104の実行は、たとえばシステム26のメモリ装置36に格納されたソフトウェアによって、少なくとも部分的に容易にされてもよい。一実施形態では、このソフトウェアは、マテリアライズNV(Materialise NV)からミミックス(Mimics)(登録商標)という名前で商業的に入手可能なソフトウェアプログラムを含んでいてもよいが、代わりに、任意の他の好適なソフトウェアももちろん使用されてもよい。
【0029】
ステップ102に続き、また、少なくともいくつかの実施形態ではステップ102およびステップ104の双方に続き、方法100は、患者の身体の、対象となる解剖学的領域の1つ以上の描写/モデルを取得するステップ106に進んでもよい。したがって、
図5に示すように、一実施形態では、ステップ106は、とりわけ、LAA12、左心房16、および右心房20を含む、患者の心臓の少なくとも一部の1つ以上の描写またはモデル40を取得することを含む。ステップ106で取得されたモデルまたは描写40も、1つ以上の対象構造(たとえば、卵円窩の境界)を規定するためにステップ104で使用されたマーカーを含んでいてもよい。したがって、
図5に示す描写は、患者の心臓の卵円窩を規定するためにステップ104で配置されたマーカー38のうちの少なくともいくつかを含む。一実施形態では、描写40は、対象となる解剖学的領域の1つ以上のコンピュータ生成モデル、たとえば、1つ以上の多次元モデル(たとえば、1つ以上の3次元(3D)モデル)を含む。例示および明確性のために、以下の説明は、取得された描写40が対象となる解剖学的領域の3Dモデルを含む一実施形態に関するものである。しかしながら、他の実施形態では、異なるタイプの描写(たとえば、3Dモデル以外のコンピュータ生成モデル)が使用されてもよい、ということが理解されるであろう。
【0030】
ステップ106で3Dモデルが取得される一実施形態では、そのモデルは多くのやり方で取得されてもよい。1つのやり方は、メモリ装置、たとえばシステム26のメモリ装置36から、以前に生成されたモデルを得ることによる。別のやり方は、画像データ、たとえば2D画像データからモデルを生成することによる。後者の場合、画像データはステッ
プ102で取得された画像データと同じであってもよく、またはそれに代えて、ステップ106の一部として取得された他の画像データ(たとえば、2DのCT画像データ)であってもよい。いずれの場合も、モデルは、たとえば、2015年8月7日に出願された米国特許公報第2016/0038246号に記載された手法といった、当該技術分野において周知の手法を使用して生成されてもよい。当該特許公報の内容全体はここに引用により援用される。また、一実施形態では、モデルは、たとえばシステム26のECU28によって、特にそのプロセッサ34によって生成されてもよい。したがって、本開示は、ステップ106で1つ以上の描写を取得する任意の特定のやり方に限定されるよう意図されていない、ということが理解されるであろう。
【0031】
ステップ106で1つ以上の描写/モデル40がどのように取得されるかにかかわらず、一実施形態では、取得された描写40(たとえば、単一の3Dモデル)は、以下のステップを行なうための好適なソフトウェアプログラムによって生成されてもよく、および/または、当該ソフトウェアプログラム内にコピーされてもよく、または、当該ソフトウェアプログラムによって使用されてもよい。そのようなソフトウェアの一例は、マテリアライズNVから3-マチックSTL(3-Matic STL)という名前で商業的に入手可能なもの
である。簡単に上述されたように、適用可能であれば、1つ以上の解剖学的構造の局面(たとえば境界)を規定するためにステップ104で配置された1つ以上のマーカー38の表現が、ステップ106で取得されたモデル/描写40にも取込まれてもよい。
【0032】
少なくともいくつかの実施形態では、ステップ106で取得された描写40は、異なる解剖学的構造を表わす描写の一部が、たとえば他の解剖学的構造のより良好なまたはより明瞭なビューを提供するように、選択的に隠され得るようになっていてもよい。たとえば、
図5に示す描写は、LAA12、左心房16、および右心房20を含む。しかしながら、たとえば
図6に示す描写では、右心房は、LAA12および左心房16のより良好でより明瞭なビューを提供するように隠されている。したがって、本開示は、ステップ106における任意の特定のタイプの描写(たとえば、静的または動的な描写)の取得に限定されるよう意図されていない。
【0033】
対象となる解剖学的領域の描写がステップ106で一旦取得されると、方法100は、取得された描写40を使用して、取得された描写40に示される1つ以上の解剖学的構造に対応する1つ以上の平面を規定するステップ108へと進む。たとえば、
図6に示すような一実施形態では、ステップ108は、LAA12の口を含む平面を規定することを含む。一実施形態では、規定されている平面は、左心房のすぐ隣にあるLAAの開口部であって、当業者によってLAAの口であると従来考えられてきたもの(以下に「偽の口」と呼ばれる)に対応しておらず、またはそれを含まない。むしろ、本開示の目的のためのLAAの「口」(以下に「真の口」と呼ばれる)は、最大円周/外周を有し、LAAの従来の「口」の遠位にあり(すなわち、従来の口よりも、さらにLAA内に入り、左心房から離れている)、かつ、LAAの重心に垂直な平面を有する、LAAの一部または点を含んでいてもよい。例示のために、
図7は、偽の口を含む平面42と、真の口を含む平面44とを示す(真の口を含む平面44は、
図6にも示されている)。
【0034】
真の口の平面44は、多くのやり方で規定されてもよい。1つのやり方は、LAA12の外周をその最大点でトレースすることによる。別のやり方は、描写40における所望の位置に断面平面を配置して位置付けることによる。いずれの場合も、平面44は、たとえば好適な画像処理ソフトウェア/手法を使用して、システム26のECU28によって(たとえばECU28のプロセッサ34によって)自動的に規定されてもよい。それに代えて、平面44は、システム26のユーザインターフェイス装置32を操作するユーザ(たとえば医師)によって規定されてもよい。より具体的には、ステップ106で取得された描写40はディスプレイ装置30上に表示されてもよく、ユーザは、ユーザインターフェ
イス装置32を使用して、LAA12の外周をトレースするか、または描写40上に断面平面を配置してもよい。たとえば、ユーザはコンピュータマウスを操作して、表示された描写40における所望の位置までカーソルを動かし、マウスを「クリック」してその位置に断面平面を配置してもよい。平面44がどのように規定されるかにかかわらず、一実施形態では、
図6および
図7に示すように、規定された平面44の表現が、ユーザが見るために描写40上に表示されてもよい。
【0035】
LAA12の真の口の平面44を規定するためのある手法または実現化例が上述されたが、そうするための任意の好適な手法が使用されてもよいということが理解されるであろう。したがって、本開示は、そうするための任意の特定の手法に限定されるよう意図されていない。
【0036】
ステップ108で規定され得る別の平面は、患者の心臓の僧帽弁輪を含む平面であり、その平面はここに「僧帽弁平面」と呼ばれる。それに代えて、僧帽弁平面は、ステップ108の前または後に行なわる方法100のあるステップで規定されてもよく、もしくは、まったく規定されなくてもよい。僧帽弁平面が規定される場合、それは、当該技術分野において公知の手法を任意の数使用して、多くのやり方でそのように行なわれてもよい。たとえば、一実施形態では、ステップ108は、たとえば患者の心臓の左心室、左心房、および大動脈を含む、患者の心臓の解剖学的領域に関する画像データを取得することを含んでいてもよい。画像データは、ステップ102で取得された画像データと同じであってもよく、または、異なる画像データを含んでいてもよい。いずれの場合も、画像データは、CT画像データ、より特定的には2DのCT画像データを含んでいてもよい。しかしながら、他の実施形態では、画像データは、CT以外の好適な画像診断法、たとえば、本明細書の他の箇所で識別された画像診断法のうちの1つ以上を使用して取得されたデータを含んでいてもよい、ということが理解されるであろう。したがって、本開示は、任意の特定のタイプの画像データに限定されるよう意図されていない。しかしながら、例示および明確性のために、以下の説明は、CT画像データの使用に関するものである。加えて、一実施形態では、画像データは、心周期の拡張期および収縮期の双方について取得されてもよく、そのような実施形態では、僧帽弁平面は各々の期ごとに規定されてもよい。それに代えて、拡張期および収縮期の一方のみについて、データが取得され、僧帽弁平面が規定されてもよい。
【0037】
一実施形態では、取得されたCT画像データから生成された1つ以上の2D画像は、僧帽弁平面を規定するために使用されてもよい。より特定的には、2D画像は、僧帽弁平面を規定するために使用され得るある数の点(たとえば3つの点)を規定するために使用されてもよい。一実施形態では、平面規定点を識別/規定するために、予め定められた1つ以上の目印(たとえば解剖学的目印)が使用されてもよい。使用される特定の目印は、僧帽弁輪の近傍の構造の性質に少なくとも部分的に依存し得る。たとえば、構造が生来の僧帽弁である場合、目印は、いくつかの可能性を挙げると、生来の弁の僧帽弁輪での石灰化区域および/または弁尖先端および/または挿入点を含んでいてもよい。構造が、以前に移植された装置または物体、たとえば僧帽弁リングを含む場合、目印は、その装置、またはその装置の少なくともある一部を含んでいてもよい。最後に、構造が、以前に移植された人工僧帽弁を含む場合、目印は、以前に移植された弁の一部、たとえば以前に移植された弁の支柱の先端を含んでいてもよい。いずれにせよ、平面規定点は、多くのやり方で規定または識別されてもよい。
【0038】
一実施形態では、これらの点は、たとえば好適な画像処理ソフトウェア/手法を使用して、システム26のECU28によって(たとえばECU28のプロセッサ34によって)自動的に規定されてもよい。他の実施形態では、これらの点は、ユーザ(たとえば医師)によって規定されてもよい。より具体的には、2D画像はディスプレイ装置30上に表
示されてもよく、ユーザは、システム26のユーザインターフェイス装置32を使用して平面規定点を規定してもよい。たとえば、ユーザはコンピュータマウスを操作して、画像上の所望の位置までカーソルを動かし、マウスを「クリック」して点を規定してもよい。いずれにせよ、平面規定点が一旦規定されると、規定された点をすべて含む平面が僧帽弁平面として規定され得る。少なくともいくつかの実施形態では、僧帽弁平面は、たとえばスプラインによって2D画像上に表わされ得る。僧帽弁平面を規定する点を規定し、ひいては僧帽弁平面自体を規定するためのある手法または実現化例が上述されたが、そうするための任意の好適な手法が使用されてもよいということが理解されるであろう。したがって、本開示は、そうするための任意の特定の手法に限定されるよう意図されていない。
【0039】
別の実施形態では、僧帽弁平面を規定するために2D画像を使用するのではなく、ステップ106で取得された描写40が使用されてもよい。たとえば、描写40における所望の位置に断面平面が位置付けられてもよい。そのような実施形態では、僧帽弁平面は、たとえば好適な画像処理ソフトウェア/手法を使用して、システム26のECU28によって(たとえばECU28のプロセッサ34によって)自動的に規定されてもよい。それに代えて、平面は、システム26のユーザインターフェイス装置32を操作するユーザ(たとえば医師)によって規定されてもよい。より具体的には、ステップ106で取得された描写40はディスプレイ装置30上に表示されてもよく、ユーザはコンピュータマウスを操作して、表示された描写40における所望の位置までカーソルを動かし、マウスを「クリック」してその位置に断面平面を配置してもよい。そのような場合、ステップ106で取得された描写40の一部が隠され得る一実施形態では、以前に方法100の他のステップの実行中に隠された構造(たとえば、左心室、僧帽弁、僧帽弁輪など)が、ステップ108の実行を容易にするために表示されてもよい。
【0040】
僧帽弁平面がどのように規定されるかにかかわらず、一実施形態では、たとえば
図12に示すように、規定された僧帽弁平面の表現が描写40上に表示されてもよく、図中、参照番号46は、規定された僧帽弁平面に対応している。僧帽弁平面46を規定するためのある手法または実現化例が上述されたが、そうするための任意の好適な手法が使用されてもよいということが理解されるであろう。したがって、本開示は、そうするための任意の特定の手法に限定されるよう意図されていない。加えて、ステップ108の実行は、たとえばシステム26のメモリ装置36に格納されたソフトウェアによって、少なくとも部分的に容易にされてもよい。一実施形態では、このソフトウェアは、マテリアライズNVから3マチックSTLまたはミミックス(登録商標)という名前で商業的に入手可能なソフトウェアプログラムを含んでいてもよいが、代わりに、任意の他の好適なソフトウェアももちろん使用されてもよい。
【0041】
これまでのところ、ステップ108の説明は、ある特定の解剖学的構造を含む、またはそれらに対応する平面の規定に関するものであったが、他の実施形態では、追加のまたは代替的な平面が規定されてもよいということが理解されるであろう。したがって、本開示はステップ108での任意の特定の平面の規定に必ずしも限定されず、むしろ、任意の数の好適な平面がステップ108で規定されてもよい。
【0042】
図3に戻って、一実施形態では、方法100はさらに、平面44の原点がLAA12の真の口の中心になるまで、ステップ108で規定された真の口の平面44を物体座標系(XおよびY)に沿って動かすオプションのステップ110を含んでいてもよい。一実施形態では、このステップを行なうために、中空体血液量モデルが使用されてもよい。一実施形態では、ステップ110は、たとえば好適な画像処理ソフトウェア/手法を使用して、システム26のECU28によって(たとえばECU28のプロセッサ34によって)自動的に行なわれてもよい。それに代えて、ステップ110は、システム26のユーザインターフェイス装置32を操作するユーザ(たとえば医師)によって行なわれてもよい。よ
り具体的には、ユーザはコンピュータマウスを操作して、表示された描写におけるLAAの真の口の中心に対応する所望の点または位置まで平面44を動かしてもよい。
【0043】
方法100がステップ110を含むか否かにかかわらず、ならびに
図3および
図8を参照して、一実施形態では、方法100は、真の口の平面44を複製して複製平面48を作成し、複製平面48を、平面44に垂直な物体座標系に沿って(たとえばZ方向に)、描写40におけるLAA12の外側のまたはLAA12を越えた点まで動かすステップ112を含む。平面48は以下に、垂直偏位平面48、または偏位した真の口の平面48と呼ばれてもよい。一実施形態では、LAA12とLAA12の外側のまたはLAA12を越えた点との間の距離は約数センチメートルであり得るが、本開示は、任意の特定の距離に限定されるよう意図されていない。一実施形態では、ステップ112は、たとえば好適な画像処理ソフトウェア/手法を使用して、システム26のECU28によって(たとえばECU28のプロセッサ34によって)自動的に行なわれてもよい。それに代えて、ステップ112は、システム26のユーザインターフェイス装置32を操作するユーザ(たとえば医師)によって行なわれてもよい。より具体的には、ユーザはコンピュータマウスを操作して、平面44が複製されるようにし、次に複製平面48を、表示された描写40におけるLAA12を越えた所望の点または位置まで動かし、それによって垂直偏位平面48を確立してもよい。
【0044】
一実施形態では、方法100はさらに、描写40に対して(すなわち、描写40に、またはその近傍に)複数の点を規定するステップ114を含んでいてもよい。複数の点のうちの2つ以上は、1つ以上の解剖学的構造に対する1つ以上の測定値を決定または計算するために使用され、1つ以上の測定値は次に、医療処置の実行時に使用すべき医療装置の選択時に使用されるであろう。
【0045】
図9に示すような一実施形態では、ステップ114は、1つ以上の平面の原点を識別して規定することを含む、複数のサブステップを含む。たとえば、例示的な一実施形態では、ステップ114は、真の口の平面44および垂直偏位平面48の一方または双方の原点を識別して規定するサブステップを含む。ステップ114はまた、
図9に参照番号50および52によってそれぞれ識別された、卵円窩を含む平面の原点(すなわち、卵円窩の重心(卵円窩平面の原点とも呼ばれる))、および/または、IVC口を含む平面の原点(すなわち、IVC口の重心(IVC口の平面の原点とも呼ばれる))を識別して規定するサブステップを含んでいてもよい。他の実施形態では、上述のものに追加される、または上述のもの以外の1つ以上の平面の原点が識別され規定されてもよい。いずれにせよ、ステップ114のサブステップの各々は、多くのやり方で行なわれてもよい。
【0046】
1つのやり方は、
図10に示すように、対象となる平面/構造の原点/重心に、点またはマーカー54を配置することによる。図中、マーカー54aは卵円窩の原点/重心に対応し、マーカー54bはIVC口の原点/重心に対応している。一実施形態では、サブステップのうちの1つ以上は、たとえば好適な画像処理ソフトウェア/手法を使用して、システム26のECU28によって(たとえばECU28のプロセッサ34によって)自動的に行なわれてもよい。それに代えて、サブステップのうちの1つ以上は、システム26のユーザインターフェイス装置32を操作するユーザ(たとえば医師)によって行なわれてもよい。
【0047】
より具体的には、ユーザはコンピュータマウスを操作して、ディスプレイ30上に表示された描写40を回転させるかまたは動かし、および/または、所望の原点/重心に対応する、表示された描写40における所望の位置までカーソルを動かし、マウスを「クリック」してその位置に点またはマーカーを配置してもよい。それは、卵円窩を含む平面の原点の識別/規定に関するため、
図10に示すような一実施形態では、たとえばステップ1
04で規定された卵円窩の境界に対応するマーカー38が、原点/重心54aの識別および規定を誘導するために使用されてもよい。
図11に示すような別の実施形態では、卵円窩の原点/重心54aを識別/規定するために、厚さ解析ツールが使用されてもよい。より具体的には、そのようなツールは、卵円窩の最も薄いまたは最も狭い区域を識別するために使用されてもよい。たとえば、ツールは、異なる色が異なる厚さを表わす(たとえば、赤が最も薄い厚さを表わし、緑が最も厚い厚さを表わす)カラーマップを生成してもよい。このマップを使用して、最も薄い点を識別して卵円窩の原点/重心54aであると考えることができ、その原点/重心54aを含む平面を規定することができる。別の実施形態では、平面は、画像データ、たとえばCTデータを使用して規定されてもよい。より特定的には、2DのCT画像を使用して、左心房と右心房とが接する点を画像において識別することができ、その点を含む平面を規定することができる。したがって、任意の数の手法が使用されてもよいということが理解されるであろう。
【0048】
したがって、本開示は、ステップ114を行なう任意の特定のやり方または手法に限定されるよう意図されていない、ということが理解されるであろう。加えて、たとえば
図5、
図6、および
図8に鑑みて、ステップ106で取得された描写40の一部が隠され得るいくつかの実施形態では、以前に方法100の他のステップの実行中に隠された構造が、ステップ114の実行を容易にするために表示されてもよい、ということが理解されるであろう。
【0049】
少なくともいくつかの実施形態では、識別/規定された原点/重心に対応するマーカー54は、原点/重心がどのように識別/規定されるかにかかわらず、ユーザが見るために描写上に表示されてもよい。
【0050】
上述の説明は、ある特定の構造/平面の原点/重心の識別/定義に関するものであるが、たとえば以下に説明されるような他の実施形態では、追加のまたは代替的な構造/平面の原点/重心が識別/規定されてもよいということが理解されるであろう。したがって、本開示は、ステップ114での任意の特定の構造/平面の原点/重心の識別/定義に限定されるよう意図されていない。
【0051】
図3に示すように、および
図12を参照して、一実施形態では、方法100はさらに、
図12に示すように、ステップ112で規定された僧帽弁平面46を複製し、(
図12に参照番号56によって表わされる)平面46の複製平面または表現を、平面46に垂直な物体座標系に沿って(たとえばZ方向に)、平面46の表現56が僧帽弁平面46から偏位し、かつ(
図12に参照番号57によって表わされる)真の口の平面44の原点と整列されるか同じ高さとなるような点まで動かすステップ116を含む。表現56は、偏位僧帽弁平面を含む。
【0052】
少なくともいくつかの実施形態では、方法100はさらに、
図13に示すように、僧帽弁平面46を再度複製し、(
図13に参照番号58によって表わされる)平面46の第2の複製平面または表現を、平面46に垂直な物体座標系に沿って(たとえばZ方向に)、平面46の表現58が僧帽弁平面46および平面46の表現56の双方から偏位し、かつ、卵円窩の原点/重心54aと整列されるか同じ高さとなるような点まで動かすステップ118を含んでいてもよい。表現58も、偏位僧帽弁平面を含む。
【0053】
方法100がステップ116、118の一方または双方を含むかどうかにかかわらず、それらのステップの一方または双方は、たとえば好適な画像処理ソフトウェア/手法を使用して、システム26のECU28によって(たとえばECU28のプロセッサ34によって)自動的に行なわれてもよい。それに代えて、ステップ116、118の一方または双方は、システム26のユーザインターフェイス装置32を操作するユーザ(たとえば医
師)によって行なわれてもよい。より具体的には、ユーザはコンピュータマウスを操作して、システム26のディスプレイ30上に表示された描写40上に示された僧帽弁平面46が1回以上複製されるようにし、次に、複製僧帽弁平面(すなわち、表現56および/または58)を所望の点または位置まで動かして(たとえばドラッグして)、1つ以上の偏位僧帽弁平面を確立してもよい。加えて、ステップ106で取得された描写の一部が隠され得るいくつかの実施形態では、以前に方法100の他のステップの実行中に隠された構造が、ステップ116、118の実行を容易にするために表示されてもよい、ということが理解されるであろう。
【0054】
ステップ114で識別または規定された点を少なくとも部分的に使用して、方法100は、たとえば、規定された点の2つ以上の間の距離、および/または、点の組合せによって規定される角度といった、さまざまな測定値を決定または計算するステップ120を含む。例として、および
図14を参照して、(たとえばLAA閉塞装置を送達して配置するための)LAA関連処置で使用すべき医療装置(たとえばカテーテル)を決定または選択するために方法100が使用されている一実施形態では、以下の5つの測定値のうちの1つ以上が決定されてもよく、決定された測定値のうちの1つ以上が、医療装置を決定または選択するために使用されてもよい。
【0055】
図14に測定値「1」として識別された第1の測定値は、IVC口の原点/重心(すなわち、IVC口を含む平面の原点)に対応する点54bと、卵円窩の原点/重心(すなわち、卵円窩を含む平面の原点)に対応する点54aとの間の距離である。
【0056】
図14に測定値「2」として識別された第2の測定値は、卵円窩の原点/重心に対応する点54aと、真の口の平面44の原点に対応する点57との間の距離である。
【0057】
図14に測定値「3」として識別された第3の測定値は、IVC口の原点/重心に対応する点54bと、卵円窩の原点/重心に対応する点54aと、真のLAA口の平面44の原点に対応する点57とによって形成される角度である。
【0058】
図14に測定値「4」として識別された第4の測定値は、卵円窩の原点/重心に対応する点54aと、真のLAA口の平面44の原点に対応する点57と、偏位したLAAの真の口の平面48(偏位した真の口の平面48とも呼ばれる)の原点に対応する点59とによって形成される角度である。
【0059】
そして、
図14に測定値「5」として識別された第5の測定値は、真の口の平面44と交差する第1の偏位僧帽弁平面56と、卵円窩の原点/重心54aと交差する第2の偏位僧帽弁平面58との間の距離である。
【0060】
ある特定の測定値が上に識別され述べられてきたが、他の実施形態では、上述のものに追加される、または上述のものの代わりとなる1つ以上の測定値が、以下に説明されるように決定され使用されてもよい、ということが理解されるであろう。
【0061】
たとえば、および
図15を参照して、僧帽弁に関する処置で使用するための医療装置を選択するために方法100が使用される一実施形態では、方法100は、
図15および
図16に参照番号60として表わされる、卵円窩の原点/重心54aを含む平面(すなわち卵円窩平面)を複製し、(
図15および
図16に参照番号62として表わされる)平面60の複製平面または表現を、その原点に沿って、それが僧帽弁平面46の原点の軸64と交差するまで動かし、または偏位させることを含む、ステップ120の前に行なわれるステップ(図示せず)を含んでいてもよい。僧帽弁平面46は次に、さらにもう一度複製され、(
図15および
図16に参照番号66として表わされる)平面46の複製平面または
表現が、偏位卵円窩平面62が軸64と交差する点まで動かされ、または偏位される。
【0062】
図15に示すように、少なくともいくつかの実施形態では、このステップは、僧帽弁平面の縁および卵円窩平面の縁がすべて整列されたビューを使用して行なわれてもよい。いずれにせよ、上述のステップは、たとえば好適な画像処理ソフトウェア/手法を使用して、システム26のECU28によって(たとえばECU28のプロセッサ34によって)自動的に行なわれてもよい。それに代えて、このステップは、システム26のユーザインターフェイス装置32を操作するユーザ(たとえば医師)によって行なわれてもよい。より具体的には、ユーザはコンピュータマウスを操作して、システム26のディスプレイ30上に表示された僧帽弁平面46および卵円窩平面60が1回以上複製されるようにし、次に、複製偏位平面を所望の点または位置まで動かして(たとえばドラッグして)もよい。加えて、ステップ106で取得された描写の一部が隠され得るいくつかの実施形態では、以前に方法100の他のステップの実行中に隠された構造が、このステップの実行を容易にするために表示されてもよい、ということが理解されるであろう。
【0063】
方法100が上述のステップを含む一実施形態では、ステップ120は、さまざまな測定値を決定または計算するために、ステップ114で識別された点と、1つ以上のステップ116、118で規定された平面と、上述の交点とを使用することを含む。たとえば、ならびに
図16および
図17を参照して、医療装置を決定または選択するために、以下の8つの異なる測定値のうちの1つ以上が決定され使用されてもよい。
【0064】
第1の測定値は、僧帽弁平面46の原点と偏位僧帽弁平面66の原点との間の距離(すなわち、
図16における点「A」と点「B」との間の距離)である。
【0065】
第2の測定値は、僧帽弁平面46の原点と、偏位僧帽弁平面66と偏位卵円窩平面62との交点との間の距離(すなわち、
図16における点「A」と点「C」との間の距離)である。
【0066】
第3の測定値は、偏位僧帽弁平面66の原点と、偏位僧帽弁平面66と偏位卵円窩平面62との交点との間の距離(すなわち、
図16における点「B」と点「C」との間の距離)である。
【0067】
第4の測定値は、偏位僧帽弁平面66の原点と、僧帽弁平面46の原点と、偏位僧帽弁平面66と偏位卵円窩平面62との交点とに対応する点によって形成される角度(すなわち、
図16における角度「BAC」)である。
【0068】
第5の測定値は、僧帽弁平面46の原点と、偏位僧帽弁平面66の原点と、偏位僧帽弁平面66と偏位卵円窩平面62との交点とに対応する点によって形成される角度(すなわち、
図16における角度「ABC」)である。
【0069】
第6の測定値は、僧帽弁平面46の原点と、偏位僧帽弁平面66と偏位卵円窩平面62との交点と、偏位僧帽弁平面66の原点とに対応する点によって形成される角度(すなわち、
図16における角度「ACB」)である。
【0070】
第7の測定値は、IVC口の原点/重心54bと、卵円窩の原点/重心54aと、僧帽弁平面46の原点とに対応する点によって形成される角度(すなわち、
図16における点「D」の角度)である。
【0071】
そして、第8の測定値は、卵円窩の原点/重心54aと、僧帽弁平面46の原点と、偏位僧帽弁平面66の原点とに対応する点によって形成される角度(すなわち、
図16にお
ける角度「DAB」、および、
図17に角度「E」として示された角度)である。
【0072】
ここでも、ある特定の測定値が上に識別され述べられてきたが、他の実施形態では、上述のものに追加される、または上述のものの代わりとなる1つ以上の測定値が決定されてもよい、ということが理解されるであろう。加えて、
図14および
図15~17に示すように、少なくともいくつかの実施形態では、ステップ120で決定されている測定値の明瞭なビューを提供するために、ステップ106で取得された描写40のうちの一部またはすべてが隠されてもよい。
【0073】
ステップ120で決定された特定の測定値にかかわらず、一実施形態では、ステップ120は、たとえば好適なソフトウェア/手法を使用して、システム26のECU28によって(たとえばECU28のプロセッサ34によって)自動的に行なわれてもよい。それに代えて、ステップ120は、ECU28とユーザ入力との組合せによって行なわれてもよい。より特定的には、ユーザ(たとえば医師)はユーザインターフェイス装置32を操作して、決定すべき測定値を選択してもよく(たとえば、その間の距離を決定すべき2点を選択する、決定すべき角度を規定する3点を選択するなど)、次に、ECU28は、選択された適切な測定値を決定/計算してもよい。したがって、本開示は、ステップ120を行なう任意の特定のやり方に限定されるよう意図されていない。
【0074】
図3に示すように、ステップ120で適切な測定値が一旦決定されると、方法100は、ステップ120で決定された測定値に基づいて医療装置を選択または決定するステップ122に進む。一実施形態では、たとえば、ステップ120で決定された測定値(入力)を異なるタイプ(たとえばサイズ、形状など)の医療装置(出力)と相関させるように構成された、経験的に導き出されたルックアップテーブル(たとえば多次元ルックアップテーブル)といったデータ構造が、適切な医療装置を選択/決定するために使用される。一実施形態では、データ構造はシステム26のメモリ(たとえばECU28のメモリ36)に格納されてもよく、ECU28のプロセッサ34は、使用すべき適切な医療装置を選択または決定するために、データ構造内のステップ120で決定された測定値を調べるように構成されてもよい。しかしながら、代わりに、医療装置を選択するための他の好適なやり方/手法ももちろん使用されてもよいということが理解されるであろう。
【0075】
前述の事項に加えて、少なくともいくつかの実施形態では、解剖学的構造を通る1つ以上の挿入点、および/または、医療処置を行なうために使用される1つ以上の医療装置の適切性または適合性が評価されてもよい。一実施形態では、この評価は方法100の一部を含んでいてもよく、このため、評価プロセスのステップは、方法100の上述のステップのうちの1つ以上の後に(たとえば、ステップ106~122のうちの1つ以上の後に)行なわれてもよい。しかしながら、評価プロセスのステップはまた、方法100から独立して行なわれてもよく、または、方法100のステップのうちの一部しか必要としなくてもよいということが理解されるであろう。例示のみのために、以下の説明は、心房中隔、特に卵円窩を通る挿入点と、カテーテル(たとえば、LAA閉塞装置の移植に関する処置で使用されるカテーテル)を含む医療装置とに関するものである。しかしながら、他の解剖学的構造を通る挿入点、および/または、カテーテル以外の装置の適切性が、以下に説明される態様で評価されてもよいということが理解されるであろう。
【0076】
少なくともいくつかの実施形態では、評価プロセスは、心房中隔を通る1つ以上の挿入点を識別または選択するステップを含む。ステップ106で取得された描写40、または、ステップ106に説明されたものと似た態様で取得された異なる描写が、可能性のある1つ以上の挿入点を識別または選択するために使用されてもよい。可能性のある挿入点は、たとえばマーカー38の識別に関して他の箇所で説明された態様を何ら限定されることなく含む任意の数のやり方で識別または選択されてもよい。
図18は、マーカー38によ
って表わされた単一の挿入点を有する描写40を示すが、2つ以上の挿入点ももちろん識別されてもよいということが理解されるであろう。
【0077】
1つ以上の挿入点が一旦識別されると、1つ以上の医療装置(たとえばカテーテル)の1つ以上のモデルが選択され、描写40に取込まれてもよい。例示的な一実施形態では、所与の挿入点について1つ以上の選択されたモデルが描写に取込まれた状態で、識別された挿入点が一度に1つずつ個々に評価される。しかしながら、他の実施形態では、挿入点ごとに1つ以上のモデルが取込まれた状態で、複数の挿入点が同時に評価されてもよい。
【0078】
装置のモデルの選択は、多くのやり方で遂行されてもよい。少なくともいくつかの実施形態では、ある特定の医療装置のモデルの選択は、異なる特性を有する多くの異なるモデルから行なわれてもよい。たとえば、例示的な一実施形態では、異なるメーカーからの装置、異なる材料特性が割当てられた装置、ならびに/もしくは、異なる形状、サイズ、形状寸法(たとえば、長さ、直径、湾曲(湾曲の数と程度の双方)、最小/最大曲げ半径、および/または他の特性)を有する装置を表わす一連のモデルから、ある特定のモデルが選択されてもよい。選択はまた、異なる処置に使用された装置のモデルからであってもよい。したがって、モデル(または複数のモデル)の選択は、上に識別されたものを含むもののそれらに限定されない多くの要因/特性に基づいていてもよい、ということが理解されるであろう。
【0079】
一実施形態では、選択が行なわれる対象となるモデルは、システム26の好適なコンポーネントに、またはシステム26によってアクセス可能なコンポーネントに格納され得るデジタルライブラリまたはデータベースに含まれていてもよい。例示的な一実施形態では、モデルを含むライブラリまたはデータベースは、システム26のECU28のメモリ装置36に格納される。モデル選択は、システム26(すなわちプロセッサ34)によって自動的に行なわれてもよく、もしくは、たとえばユーザインターフェイス装置32、ディスプレイ装置30、またはユーザインターフェイス装置32とディスプレイ30との組合せを介して、ユーザによって手動で行なわれてもよい。後者の場合、可能性のあるモデルのリストがディスプレイ装置30上に表示されてもよく、ユーザはユーザインターフェイス装置32(またはディスプレイ装置自体)を操作して所望のモデルを選択してもよい。リスト内のモデルは、モデルおよび/または装置を説明する単語(たとえば、メーカー名、装置名、装置モデル番号など)によって識別されてもよく、モデルおよび/または装置は当該単語によって表わされる。それに加えて、またはそれに代えて、モデル自体の視覚的描写(たとえば、モデル/装置のサムネイル画像)が表示されてもよい。
【0080】
例示的な一実施形態では、選択が行なわれる対象となるモデルの母集団を狭くするためにシステム26が使用できるある情報をユーザが提供できるようにするために、1つ以上のユーザ入力可能フィールドまたはユーザ選択可能フィールド(たとえば、無線ボタン、ドロップダウンメニュー、情報を入力するためのテキストボックスなど)が表示されてもよい。これは、たとえば、好ましい装置メーカーの名前、行なわれるべき処置の名前などを含んでいてもよい。ユーザ入力に応答して、システム26は、使用すべきモデルを自動的に選択してもよく、または、ユーザによって選択が行なわれ得る対象となるモデルのリストを提示してもよい。
【0081】
前述の事項に鑑みて、1つ以上の医療装置の1つ以上のモデルの選択は、上述されたものを含むもののそれらにまったく限定されない多くのやり方で行なわれ得る、ということが理解されるであろう。
【0082】
いくつかの実施形態では、モデルの選択により、選択されたモデルは描写40に取込まれ、または、少なくとも描写40とともに表示される。しかしながら、他の実施形態では
、ユーザは、たとえば、ディスプレイ30またはユーザインターフェイス32上に表示または配置され得る「取込む」ボタンを操作することによって、選択されたモデルの取込みを肯定的に指令しなければならない。例示的な一実施形態では、取込まれたモデルは、描写40が、モデルによって表わされた装置が医療処置の実行時に実際に使用される場合にどのように配置されるかを示す(すなわち、装置の着地位置におけるモデルを示す)ように、描写40内に自動的に配置されて位置付けられる。たとえば、医療処置がLAA閉塞装置の移植に関わるものであり、モデルがそのような処置の実行時に使用されるカテーテルのモデルである場合、カテーテルのモデルは、カテーテルモデルの遠位先端がLAA口の近傍に(すなわち、LAA口に、またはその近くに)位置するように配置されてもよい。ユーザは次に、たとえばユーザインターフェイス装置32を使用して、モデルを並進および/または回転させることによって、モデルの位置を微調整することができてもよい。システム26は、たとえば心房中隔を通る識別された挿入点を含む、描写40内のまたは描写40に対する予め規定されたいくつかの点に基づいて、モデルを自動的に位置付けるように構成されてもよい。これらの点は、上述の方法100のステップ114で規定された点のうちの一部またはすべてを含んでいてもよい。たとえば、
図18では、描写40内のモデル68の位置付けは、ステップ114で規定された複数の点、すなわち、IVC口を含む平面の原点と、卵円窩を含む平面の原点と、LAAの真の口を含む平面の原点とによって規定または指示される。他の実施形態では、モデルの自動配置/位置付けで使用される点は、ユーザによって手動で、またはシステム26によって自動的に規定された、ステップ114で規定された点と比べて、追加のおよび/または異なる点を含んでいてもよい。
【0083】
他の実施形態では、上述のようにモデルが自動的に配置されるのではなく、ユーザが、たとえばユーザインターフェイス装置32を使用して、1つ以上の所望の位置にモデルを手動で配置することができてもよい。たとえば、ユーザは、描写40内でモデルを「クリック」して所望の位置まで「ドラッグ」してもよい。それに代えて、ユーザは、「並進」および/または「回転」ツールを使用して、モデルを所望の位置まで動かしてもよい。そのような実施形態では、ユーザはまた、描写40内の異なる所望の位置にモデルを位置付け直してもよい。
【0084】
1つ以上の挿入点について1つ以上の装置モデルが一旦取込まれると、各それぞれの挿入点についての取込まれた各モデルの軌道を見ることまたは判断することができ、各装置および/またはそれぞれの挿入点の適切性について判断を下すことができる。より特定的には、
図18は、挿入点38に対する、描写40に取込まれたモデル68を示す。モデル68は、それが、モデル68によって表わされる装置の所望の着地点に対応する位置に位置付けられるように配置される。ユーザは次に、描写40に示されまたは表わされたさまざまな解剖学的構造に対して装置が有するであろう軌道を見てもよく、次に、軌道に少なくとも部分的に基づいて、モデル68によって表わされた装置および/または挿入点38が適切であるかどうかを判断してもよい。
【0085】
それに加えて、またはそれに代えて、システム26、特にそのECU28は、装置および/または挿入点の適切性について自動的に判断を下すように構成されてもよい。より具体的には、モデル68によって表わされる装置に関する情報(すなわち、最小曲げ半径、最大直径など)は、たとえば、メモリ装置36に、もしくは、システム26の一部であるかまたはシステム26によってアクセス可能である別の好適なメモリ装置に格納されてもよい。システム26のECU28のプロセッサ34、またはシステム26の別の好適なコンポーネントなどは、装置および/または所与の挿入点の適切性を格付けまたは判断するために、装置情報にアクセスしてそれを使用するように構成されてもよい。この情報とともに、たとえばステップ114で規定された点も、装置および/または所与の挿入点の適切性を判断するために使用されてもよい。
【0086】
装置の適切性のみが評価されていて、装置は適切であると判断された場合、ユーザはその装置を、処置を行なう際に使用するために選択してもよい。装置は適切であると判断されなかった場合、異なる装置について上述のプロセスが繰り返されてもよく、または、複数の装置が同時に評価されていた場合には、ユーザは最も適切であると考えられる装置を選択してもよい。挿入点の適切性のみが評価されていて、挿入点は適切であると判断された場合、ユーザはその挿入点を、処置のための目標挿入点として選択してもよい。挿入点は適切であると判断されなかった場合、異なる挿入点について上述のプロセスが繰り返されてもよく、または、複数の挿入点が同時に評価されていた場合には、ユーザは最も適切であると考えられる挿入点を選択してもよい。最後に、装置および挿入点の適切性が評価されていて、所与の挿入点および所与の装置の双方が適切であると判断された場合、ユーザはその装置および挿入点を、処置を行なう際に使用するために選択してもよい。装置および挿入点の双方が適切であると判断されなかった場合、異なる装置/挿入点の組合せについて上述のプロセスが繰り返されてもよく、または、複数の装置および/または複数の挿入点が同時に評価されていた場合には、ユーザは最も適切であると考えられる装置/挿入点の組合せを選択してもよい。
【0087】
したがって、医療装置および/または解剖学的構造を通る挿入点の適切性または適合性が、上述のものを含むもののそれらに限定されないさまざまなやり方で判断されてもよい、ということが理解されるであろう。
【0088】
前述の事項はこの発明の1つ以上の実施形態の説明であるということが理解されるべきである。この発明は、ここに開示された特定の実施形態に限定されず、むしろ、請求項のみによって定義される。さらに、前述の説明に含まれる記載は特定の実施形態に関するものであり、用語または句が明らかに上で定義されている場合を除き、発明の範囲に対する、または請求項で使用される用語の定義に対する限定として解釈されるべきではない。さまざまな他の実施形態、ならびに、開示された実施形態へのさまざまな変更および修正は、当業者には明らかであろう。そのような他の実施形態、変更、および修正はすべて、請求の範囲に入るよう意図されている。
【0089】
本明細書および請求項で使用されるように、「たとえば」、「例として」、「などの」、「といった」という用語、ならびに、「備える」、「有する」、「含む」という動詞およびそれらの他の動詞形は、1つ以上の構成要素または他の項目の列挙とともに使用される場合、各々、オープンエンドのものとして解釈されるべきである。つまり、列挙は、他の追加の構成要素または項目を排除するものとして考えられるべきではない。他の用語は、それらが異なる解釈を必要とする文脈で使用されない限り、それらの最も広範な妥当な意味を使用して解釈されるべきである。
【手続補正書】
【提出日】2022-03-03
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
医療処置の実行時に使用するための医療装置を選択するためにコンピュータによって実現される方法であって、
患者の身体の、対象となる解剖学的領域に関する画像データを、前記コンピュータによって取得するステップと、
取得された前記画像データを使用して、前記対象となる解剖学的領域の多次元描写を、前記コンピュータによって生成するステップと、
前記多次元描写に対して複数の点を前記コンピュータによって規定するステップとを含み、前記複数の点のうちの少なくとも1つは、前記患者の身体の解剖学的構造の重心に対応し、前記方法はさらに、
規定された前記複数の点に基づいて、1つ以上の測定値を、前記コンピュータによって決定するステップと、
決定された前記測定値に基づいて、使用すべき医療装置を、前記コンピュータによって選択するステップとを含む、方法。
【請求項2】
前記医療処置は、前記患者の心臓の左心耳(LAA)に関わる処置であり、前記医療装置は、前記患者の心臓の前記LAAにLAA閉塞装置を送達するために使用されるカテーテルである、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記規定するステップで規定された前記複数の点は、
前記患者の心臓の僧帽弁輪を含む僧帽弁平面内にあり、前記僧帽弁輪の重心に対応する点、
前記僧帽弁平面の複製であって前記僧帽弁平面から偏位した偏位僧帽弁平面内にあり、前記僧帽弁平面内の前記点から偏位して前記僧帽弁輪の前記重心に対応する点、
前記患者の心臓の卵円窩を含む卵円窩平面内にあり、前記卵円窩の重心に対応する点、および、
前記患者の心臓の下大静脈(IVC)口を含むIVC口平面内にあり、IVCの口の重心に対応する点、
という個々の点のうちの2つ以上を含む、請求項1に記載の方法。
【請求項4】
前記決定するステップで決定された前記測定値は、
前記僧帽弁輪の前記重心に対応する前記僧帽弁平面内の前記点と前記僧帽弁輪の前記重心に対応する前記偏位僧帽弁平面内の前記点との間の距離、
前記IVCの前記口の前記重心に対応する前記IVC口平面内の前記点と、前記卵円窩の前記重心に対応する前記卵円窩平面内の前記点と、前記僧帽弁輪の前記重心に対応する前記僧帽弁平面内の前記点とによって形成される角度(前記卵円窩の前記重心に対応する前記卵円窩平面内の前記点は、前記角度の頂点である)、または、
前記卵円窩の前記重心に対応する前記卵円窩平面内の前記点と、前記僧帽弁輪の前記重心に対応する前記僧帽弁平面内の前記点と、前記僧帽弁輪の前記重心に対応する前記偏位僧帽弁平面内の前記点とによって形成される角度(前記僧帽弁輪の前記重心に対応する前記僧帽弁平面内の前記点は、前記角度の頂点である)、
のうちの少なくとも1つを含む、請求項3に記載の方法。
【請求項5】
1つ以上の電子プロセッサによって実行されると、前記1つ以上のプロセッサに方法を実行させる命令が格納された、非一時的コンピュータ読取可能記憶媒体であって、前記方法は、
患者の身体の、対象となる解剖学的領域に関する画像データを取得するステップと、
取得された前記画像データを使用して、前記対象となる解剖学的領域の多次元描写を生成するステップと、
前記多次元描写に対して複数の点を規定するステップとを含み、前記複数の点のうちの少なくとも1つは、前記患者の身体の解剖学的構造の重心に対応し、前記方法はさらに、
規定された前記複数の点に基づいて、1つ以上の測定値を決定するステップと、
決定された前記測定値に基づいて、使用すべき医療装置を選択するステップとを含む、記憶媒体。
【請求項6】
前記医療処置は、前記患者の心臓の左心耳(LAA)に関わる処置であり、前記医療装置は、前記患者の心臓の前記LAAにLAA閉塞装置を送達するために使用されるカテーテルである、請求項5に記載の記憶媒体。
【請求項7】
前記規定するステップで規定された前記複数の点は、
前記患者の心臓の僧帽弁輪を含む僧帽弁平面内にあり、前記僧帽弁輪の重心に対応する点、
前記僧帽弁平面の複製であって前記僧帽弁平面から偏位した偏位僧帽弁平面内にあり、前記僧帽弁平面内の前記点から偏位して前記僧帽弁輪の前記重心に対応する点、
前記患者の心臓の卵円窩を含む卵円窩平面内にあり、前記卵円窩の重心に対応する点、および、
前記患者の心臓の下大静脈(IVC)口を含むIVC口平面内にあり、IVCの口の重心に対応する点、
という個々の点のうちの2つ以上を含む、請求項5に記載の記憶媒体。
【請求項8】
前記決定するステップで決定された前記測定値は、
前記僧帽弁輪の前記重心に対応する前記僧帽弁平面内の前記点と前記僧帽弁輪の前記重心に対応する前記偏位僧帽弁平面内の前記点との間の距離、
前記IVCの前記口の前記重心に対応する前記IVC口平面内の前記点と、前記卵円窩の前記重心に対応する前記卵円窩平面内の前記点と、前記僧帽弁輪の前記重心に対応する前記僧帽弁平面内の前記点とによって形成される角度(前記卵円窩の前記重心に対応する前記卵円窩平面内の前記点は、前記角度の頂点である)、または、
前記卵円窩の前記重心に対応する前記卵円窩平面内の前記点と、前記僧帽弁輪の前記重心に対応する前記僧帽弁平面内の前記点と、前記僧帽弁輪の前記重心に対応する前記偏位僧帽弁平面内の前記点とによって形成される角度(前記僧帽弁輪の前記重心に対応する前記僧帽弁平面内の前記点は、前記角度の頂点である)、
のうちの少なくとも1つを含む、請求項7に記載の記憶媒体。
【請求項9】
医療処置で使用する医療装置を選択するためのシステムであって、
電子プロセッサと、
前記電子プロセッサに電気的に結合され、命令が格納されている、電子メモリとを含み、
前記プロセッサは、
患者の身体の、対象となる解剖学的領域に関する画像データを取得し、
取得された前記画像データを使用して、前記対象となる解剖学的領域の多次元描写を生成し、
前記多次元描写に対して複数の点を規定し(前記複数の点のうちの少なくとも1つは、前記患者の身体の解剖学的構造の重心に対応する)、
規定された前記複数の点に基づいて、1つ以上の測定値を決定し、
決定された前記測定値に基づいて、使用すべき医療装置を選択する
よう動作可能であるように、前記メモリにアクセスし、前記メモリに格納された前記命令を実行するように構成されている、システム。
【請求項10】
前記医療処置は、前記患者の心臓の左心耳(LAA)に関わる処置であり、前記医療装置は、前記患者の心臓の前記LAAにLAA閉塞装置を送達するために使用されるカテーテルである、請求項9に記載のシステム。
【請求項11】
前記複数の点は、
前記患者の心臓の僧帽弁輪を含む僧帽弁平面内にあり、前記僧帽弁輪の重心に対応する点、
前記僧帽弁平面の複製であって前記僧帽弁平面から偏位した偏位僧帽弁平面内にあり、前記僧帽弁平面内の前記点から偏位して前記僧帽弁輪の前記重心に対応する点、
前記患者の心臓の卵円窩を含む卵円窩平面内にあり、前記卵円窩の重心に対応する点、および、
前記患者の心臓の下大静脈(IVC)口を含むIVC口平面内にあり、IVCの口の重心に対応する点、
という個々の点のうちの2つ以上を含む、請求項9に記載のシステム。
【請求項12】
前記測定値は、
前記僧帽弁輪の前記重心に対応する前記僧帽弁平面内の前記点と前記僧帽弁輪の前記重心に対応する前記偏位僧帽弁平面内の前記点との間の距離、
前記IVCの前記口の前記重心に対応する前記IVC口平面内の前記点と、前記卵円窩の前記重心に対応する前記卵円窩平面内の前記点と、前記僧帽弁輪の前記重心に対応する前記僧帽弁平面内の前記点とによって形成される角度(前記卵円窩の前記重心に対応する前記卵円窩平面内の前記点は、前記角度の頂点である)、または、
前記卵円窩の前記重心に対応する前記卵円窩平面内の前記点と、前記僧帽弁輪の前記重心に対応する前記僧帽弁平面内の前記点と、前記僧帽弁輪の前記重心に対応する前記偏位僧帽弁平面内の前記点とによって形成される角度(前記僧帽弁輪の前記重心に対応する前記僧帽弁平面内の前記点は、前記角度の頂点である)、
のうちの少なくとも1つを含む、請求項11に記載のシステム。
【手続補正2】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0089
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0089】
本明細書および請求項で使用されるように、「たとえば」、「例として」、「などの」、「といった」という用語、ならびに、「備える」、「有する」、「含む」という動詞およびそれらの他の動詞形は、1つ以上の構成要素または他の項目の列挙とともに使用される場合、各々、オープンエンドのものとして解釈されるべきである。つまり、列挙は、他の追加の構成要素または項目を排除するものとして考えられるべきではない。他の用語は、それらが異なる解釈を必要とする文脈で使用されない限り、それらの最も広範な妥当な意味を使用して解釈されるべきである。
[付記1]
医療処置の実行時に使用するための医療装置を選択するための方法であって、
患者の身体の、対象となる解剖学的領域に関する画像データを取得するステップと、
取得された前記画像データを使用して、前記対象となる解剖学的領域の多次元描写を生成するステップと、
前記多次元描写に対して複数の点を規定するステップと、
規定された前記複数の点に基づいて、1つ以上の測定値を決定するステップと、
決定された前記測定値に基づいて、使用すべき医療装置を選択するステップとを含む、方法。
[付記2]
前記医療処置は、前記患者の心臓の左心耳(LAA)に関わる処置であり、前記医療装置は、前記患者の心臓の前記LAAにLAA閉塞装置を送達するために使用されるカテーテルである、付記1に記載の方法。
[付記3]
前記規定するステップで規定された前記複数の点は、
前記LAAの真の口を含む平面(真の口の平面)の原点、
前記真の口の平面の複製であって前記真の口の平面から偏位した平面(偏位した真の口の平面)の原点、
前記患者の心臓の卵円窩を含む平面(卵円窩平面)の原点、または、
前記患者の心臓の下大静脈(IVC)口を含む平面(IVC口の平面)の原点、
という個々の点のうちの2つ以上を含む、付記2に記載の方法。
[付記4]
前記決定するステップで決定された前記測定値は、
前記IVC口の平面の前記原点と前記卵円窩平面の前記原点との間の距離、
前記卵円窩平面の前記原点と前記真の口の平面の前記原点との間の距離、
前記IVC口の平面の前記原点と、前記卵円窩平面の前記原点と、前記真の口の平面の前記原点とによって規定される角度、または、
前記卵円窩平面の前記原点と、前記真の口の平面の前記原点と、前記偏位した真の口の平面の前記原点とによって規定される角度、
のうちの少なくとも1つを含む、付記3に記載の方法。
[付記5]
前記測定値は、第1の平面と第2の平面との間の距離をさらに含み、前記第1の平面は、前記患者の心臓の僧帽弁輪を含む平面の複製であって前記平面から偏位しており、かつ、前記真の口の平面の前記原点と整列されており、前記第2の平面は、前記僧帽弁輪を含む前記平面の複製であって前記平面から偏位しており、かつ、前記卵円窩平面の前記原点と整列されている、付記4に記載の方法。
[付記6]
前記規定するステップで規定された前記複数の点は、
前記患者の心臓の僧帽弁輪を含む平面(僧帽弁平面)の原点、
前記僧帽弁平面の複製であって前記僧帽弁平面から偏位した平面(偏位僧帽弁平面)の原点、または、
前記偏位僧帽弁平面と、卵円窩平面から偏位した平面(偏位卵円窩平面)との交点、
という個々の点のうちの2つ以上を含む、付記2に記載の方法。
[付記7]
前記決定するステップで決定された前記測定値は、
前記僧帽弁平面の前記原点と前記偏位僧帽弁平面の前記原点との間の距離、
前記僧帽弁平面の前記原点と、前記偏位僧帽弁平面と偏位卵円窩平面との前記交点との間の距離、
前記偏位僧帽弁平面と、前記偏位僧帽弁平面と偏位卵円窩平面との前記交点との間の距離、
前記偏位僧帽弁平面の前記原点と、前記僧帽弁平面の前記原点と、前記偏位僧帽弁平面と偏位卵円窩平面との前記交点とによって形成される角度、
前記僧帽弁平面の前記原点と、前記偏位僧帽弁平面の前記原点と、前記偏位僧帽弁平面と偏位卵円窩平面との前記交点とによって形成される角度、
前記僧帽弁平面の前記原点と、前記偏位僧帽弁平面と偏位卵円窩平面との前記交点と、前記偏位僧帽弁平面の前記原点とによって形成される角度、
IVC口の平面の原点と、前記卵円窩平面の前記原点と、前記僧帽弁平面の前記原点とによって形成される角度、または、
前記卵円窩平面の前記原点と、前記僧帽弁平面の前記原点と、前記偏位僧帽弁平面の前記原点とによって形成される角度、
のうちの少なくとも1つを含む、付記6に記載の方法。
[付記8]
前記描写において、心房中隔に沿った挿入点を識別するステップと、
前記医療処置の実行中に前記心房中隔を通過する医療装置を表わすモデルを選択するステップと、
前記医療装置の前記モデルを前記描写に取込むステップとをさらに含み、前記モデルは、前記描写内で、識別された前記挿入点に対して位置付けられ、前記方法はさらに、
前記描写内の前記医療装置の前記モデルの軌道に基づいて、前記挿入点、前記医療装置、または双方の適切性を評価するステップを含む、付記2に記載の方法。
[付記9]
少なくとも1つのユーザ入力を受信するステップをさらに含み、その少なくとも1つのユーザ入力に応答して、前記方法は、
前記描写において、心房中隔に沿った挿入点を識別するステップと、
前記医療処置の実行中に前記心房中隔を通過する医療装置を表わすモデルを選択するステップと、
前記医療装置の前記モデルを前記描写に取込むステップとをさらに含み、前記モデルは、前記描写内で、識別された前記挿入点に対して位置付けられる、付記2に記載の方法。
[付記10]
1つ以上の電子プロセッサによって実行されると、前記1つ以上のプロセッサに方法を実行させる命令が格納された、非一時的コンピュータ読取可能記憶媒体であって、前記方法は、
患者の身体の、対象となる解剖学的領域に関する画像データを取得するステップと、
取得された前記画像データを使用して、前記対象となる解剖学的領域の多次元描写を生成するステップと、
前記多次元描写に対して複数の点を規定するステップと、
規定された前記複数の点に基づいて、1つ以上の測定値を決定するステップと、
決定された前記測定値に基づいて、使用すべき医療装置を選択するステップとを含む、記憶媒体。
[付記11]
前記医療処置は、前記患者の心臓の左心耳(LAA)に関わる処置であり、前記医療装置は、前記患者の心臓の前記LAAにLAA閉塞装置を送達するために使用されるカテーテルである、付記10に記載の記憶媒体。
[付記12]
前記複数の点は、
前記LAAの真の口を含む平面(真の口の平面)の原点、
前記真の口の平面の複製であって前記真の口の平面から偏位した平面(偏位した真の口の平面)の原点、
前記患者の心臓の卵円窩を含む平面(卵円窩平面)の原点、または、
前記患者の心臓の下大静脈(IVC)口を含む平面(IVC口の平面)の原点、
という個々の点のうちの2つ以上を含む、付記11に記載の記憶媒体。
[付記13]
前記測定値は、
前記IVC口の平面の前記原点と前記卵円窩平面の前記原点との間の距離、
前記卵円窩平面の前記原点と前記真の口の平面の前記原点との間の距離、
前記IVC口の平面の前記原点と、前記卵円窩平面の前記原点と、前記真の口の平面の前記原点とによって規定される角度、または、
前記卵円窩平面の前記原点と、前記真の口の平面の前記原点と、前記偏位した真の口の平面の前記原点とによって規定される角度、
のうちの少なくとも1つを含む、付記12に記載の記憶媒体。
[付記14]
前記複数の点は、
前記患者の心臓の僧帽弁輪を含む平面(僧帽弁平面)の原点、
前記僧帽弁平面の複製であって前記僧帽弁平面から偏位した平面(偏位僧帽弁平面)の原点、または、
前記偏位僧帽弁平面と、卵円窩平面から偏位した平面(偏位卵円窩平面)との交点、
という個々の点のうちの2つ以上を含む、付記11に記載の記憶媒体。
[付記15]
前記測定値は、
前記僧帽弁平面の前記原点と前記偏位僧帽弁平面の前記原点との間の距離、
前記僧帽弁平面の前記原点と、前記偏位僧帽弁平面と偏位卵円窩平面との前記交点との間の距離、
前記偏位僧帽弁平面と、前記偏位僧帽弁平面と偏位卵円窩平面との前記交点との間の距離、
前記偏位僧帽弁平面の前記原点と、前記僧帽弁平面の前記原点と、前記偏位僧帽弁平面と偏位卵円窩平面との前記交点とによって形成される角度、
前記僧帽弁平面の前記原点と、前記偏位僧帽弁平面の前記原点と、前記偏位僧帽弁平面と偏位卵円窩平面との前記交点とによって形成される角度、
前記僧帽弁平面の前記原点と、前記偏位僧帽弁平面と偏位卵円窩平面との前記交点と、前記偏位僧帽弁平面の前記原点とによって形成される角度、
IVC口の平面の原点と、前記卵円窩平面の前記原点と、前記僧帽弁平面の前記原点とによって形成される角度、または、
前記卵円窩平面の前記原点と、前記僧帽弁平面の前記原点と、前記偏位僧帽弁平面の前記原点とによって形成される角度、
のうちの少なくとも1つを含む、付記14に記載の記憶媒体。
[付記16]
前記1つ以上のプロセッサによって実行される前記方法は、
前記描写において、心房中隔に沿った挿入点を識別するステップと、
前記医療処置の実行中に前記心房中隔を通過する医療装置を表わすモデルを選択するステップと、
前記医療装置の前記モデルを前記描写に取込むステップとをさらに含み、前記モデルは、前記描写内で、識別された前記挿入点に対して位置付けられ、前記方法はさらに、
前記描写内の前記医療装置の前記モデルの軌道に基づいて、前記挿入点、前記医療装置、または双方の適切性を評価するステップを含む、付記11に記載の方法。
[付記17]
前記1つ以上のプロセッサによって実行される前記方法は、少なくとも1つのユーザ入力を受信するステップをさらに含み、その少なくとも1つのユーザ入力に応答して、前記方法は、
前記描写において、心房中隔に沿った挿入点を識別するステップと、
前記医療処置の実行中に前記心房中隔を通過する医療装置を表わすモデルを選択するステップと、
前記医療装置の前記モデルを前記描写に取込むステップとをさらに含み、前記モデルは、前記描写内で、識別された前記挿入点に対して位置付けられる、付記11に記載の方法。
[付記18]
医療処置で使用する医療装置を選択するためのシステムであって、
電子プロセッサと、
前記電子プロセッサに電気的に結合され、命令が格納されている、電子メモリ装置とを含み、
前記プロセッサは、
患者の身体の、対象となる解剖学的領域に関する画像データを取得し、
取得された前記画像データを使用して、前記対象となる解剖学的領域の多次元描写を生成し、
前記多次元描写に対して複数の点を規定し、
規定された前記複数の点に基づいて、1つ以上の測定値を決定し、
決定された前記測定値に基づいて、使用すべき医療装置を選択する
よう動作可能であるように、前記メモリ装置にアクセスし、前記メモリ装置に格納された前記命令を実行するように構成されている、システム。
[付記19]
前記医療処置は、前記患者の心臓の左心耳(LAA)に関わる処置であり、前記医療装置は、前記患者の心臓の前記LAAにLAA閉塞装置を送達するために使用されるカテーテルである、付記18に記載のシステム。
[付記20]
前記複数の点は、
前記LAAの真の口を含む平面(真の口の平面)の原点、
前記真の口の平面の複製であって前記真の口の平面から偏位した平面(偏位した真の口の平面)の原点、
前記患者の心臓の卵円窩を含む平面(卵円窩平面)の原点、または、
前記患者の心臓の下大静脈(IVC)口を含む平面(IVC口の平面)の原点、
という個々の点のうちの2つ以上を含む、付記19に記載のシステム。
[付記21]
前記測定値は、
前記IVC口の平面の前記原点と前記卵円窩平面の前記原点との間の距離、
前記卵円窩平面の前記原点と前記真の口の平面の前記原点との間の距離、
前記IVC口の平面の前記原点と、前記卵円窩平面の前記原点と、前記真の口の平面の前記原点とによって規定される角度、または、
前記卵円窩平面の前記原点と、前記真の口の平面の前記原点と、前記偏位した真の口の平面の前記原点とによって規定される角度、
のうちの少なくとも1つを含む、付記20に記載のシステム。
[付記22]
前記測定値は、第1の平面と第2の平面との間の距離をさらに含み、前記第1の平面は、前記患者の心臓の僧帽弁輪を含む平面の複製であって前記平面から偏位しており、かつ、前記真の口の平面の前記原点と整列されており、前記第2の平面は、前記僧帽弁輪を含む前記平面の複製であって前記平面から偏位しており、かつ、前記卵円窩平面の前記原点と整列されている、付記21に記載のシステム。
[付記23]
前記複数の点は、
前記患者の心臓の僧帽弁輪を含む平面(僧帽弁平面)の原点、
前記僧帽弁平面の複製であって前記僧帽弁平面から偏位した平面(偏位僧帽弁平面)の原点、または、
前記偏位僧帽弁平面と、卵円窩平面から偏位した平面(偏位卵円窩平面)との交点、
という個々の点のうちの2つ以上を含む、付記19に記載のシステム。
[付記24]
前記測定値は、
前記僧帽弁平面の前記原点と前記偏位僧帽弁平面の前記原点との間の距離、
前記僧帽弁平面の前記原点と、前記偏位僧帽弁平面と偏位卵円窩平面との前記交点との間の距離、
前記偏位僧帽弁平面と、前記偏位僧帽弁平面と偏位卵円窩平面との前記交点との間の距離、
前記偏位僧帽弁平面の前記原点と、前記僧帽弁平面の前記原点と、前記偏位僧帽弁平面と偏位卵円窩平面との前記交点とによって形成される角度、
前記僧帽弁平面の前記原点と、前記偏位僧帽弁平面の前記原点と、前記偏位僧帽弁平面と偏位卵円窩平面との前記交点とによって形成される角度、
前記僧帽弁平面の前記原点と、前記偏位僧帽弁平面と偏位卵円窩平面との前記交点と、前記偏位僧帽弁平面の前記原点とによって形成される角度、
IVC口の平面の原点と、前記卵円窩平面の前記原点と、前記僧帽弁平面の前記原点とによって形成される角度、または、
前記卵円窩平面の前記原点と、前記僧帽弁平面の前記原点と、前記偏位僧帽弁平面の前記原点とによって形成される角度、
のうちの少なくとも1つを含む、付記23に記載のシステム。
[付記25]
前記プロセッサはさらに、
前記描写において、心房中隔に沿った挿入点を識別し、
前記医療処置の実行中に前記心房中隔を通過する医療装置を表わすモデルを選択し、
前記医療装置の前記モデルを前記描写に取込むよう動作可能であり、前記モデルは、前記描写内で、識別された前記挿入点に対して位置付けられ、前記プロセッサはさらに、
前記描写内の前記医療装置の前記モデルの軌道に基づいて、前記挿入点、前記医療装置、または双方の適切性を評価するよう動作可能である、付記19に記載のシステム。
[付記26]
1つ以上のユーザ入力に応答して、前記プロセッサはさらに、
前記描写において、心房中隔に沿った挿入点を識別し、
前記医療処置の実行中に前記心房中隔を通過する医療装置を表わすモデルを選択し、
前記医療装置の前記モデルを前記描写に取込むよう動作可能であり、前記モデルは、前記描写内で、識別された前記挿入点に対して位置付けられる、付記19に記載のシステム。
【外国語明細書】