(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022078072
(43)【公開日】2022-05-24
(54)【発明の名称】ヒトのセレブロンを発現するトランスジェニックマウス
(51)【国際特許分類】
A01K 67/027 20060101AFI20220517BHJP
C12N 5/10 20060101ALI20220517BHJP
C12Q 1/02 20060101ALI20220517BHJP
G01N 33/48 20060101ALI20220517BHJP
G01N 33/68 20060101ALI20220517BHJP
C12N 15/12 20060101ALN20220517BHJP
【FI】
A01K67/027 ZNA
C12N5/10
C12Q1/02
G01N33/48 N
G01N33/68
C12N15/12
【審査請求】有
【請求項の数】15
【出願形態】OL
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2022020184
(22)【出願日】2022-02-14
(62)【分割の表示】P 2018555851の分割
【原出願日】2017-01-18
(31)【優先権主張番号】62/280,633
(32)【優先日】2016-01-19
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(71)【出願人】
【識別番号】509307635
【氏名又は名称】セルジーン コーポレイション
(74)【代理人】
【識別番号】100097456
【弁理士】
【氏名又は名称】石川 徹
(72)【発明者】
【氏名】ラジェシュ チョプラ
(72)【発明者】
【氏名】アンケ クリッペル
(57)【要約】 (修正有)
【課題】ヒトセレブロン(CRBN)とCRBN E3ユビキチンリガーゼ調節化合物(CMC)との間の相互作用、ならびにそのような化合物の安全性及び有効性を研究するのに適した動物モデルを提供する。
【解決手段】トランスジェニックマウスであって、そのゲノムが、ヒトCRBNまたはその断片をコードする核酸配列を含み、トランスジェニックマウスにおいて内因性マウスCRBNが発現しない、トランスジェニックマウスが提供される。また、トランスジェニックマウス由来の細胞、細胞株、組織及び器官、ならびにこのようなマウスを作製及び使用する方法もまた提供される。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
トランスジェニックマウスであって、そのゲノムが、ヒトセレブロン(CRBN)また
はその断片をコードする核酸を含み、ここで内因性マウスCRBNが、前記トランスジェ
ニックマウスで発現されない、前記トランスジェニックマウス。
【請求項2】
前記核酸が全長ヒトCRBNタンパク質をコードする、請求項1に記載のトランスジェ
ニックマウス。
【請求項3】
全長ヒトCRBNタンパク質をコードする前記核酸が、配列番号5または配列番号6を
含む、請求項2に記載のトランスジェニックマウス。
【請求項4】
前記核酸が、マウス-ヒトキメラCRBN遺伝子を含む、請求項1に記載のトランスジ
ェニックマウス。
【請求項5】
前記核酸が、ヒトCRBNアイソフォーム1のコドン24のグルタミン酸で開始し、ヒ
トCRBNアイソフォーム1の最終コドンで終わるポリペプチドを含む、ヒトCRBNタ
ンパク質の断片をコードする、請求項1または4に記載のトランスジェニックマウス。
【請求項6】
前記核酸が、ヒトCRBNアイソフォーム2のコドン23のグルタミン酸で開始し、ヒ
トCRBNアイソフォーム2の最終コドンで終わるポリペプチドを含む、ヒトCRBNタ
ンパク質の断片をコードする、請求項1または4に記載のトランスジェニックマウス。
【請求項7】
ヒトCRBNの断片をコードする前記核酸が配列番号7を含む、請求項1、4、5また
は6のいずれか1項に記載のトランスジェニックマウス。
【請求項8】
ヒトCRBNの発現が、相同なマウスプロモーターによって制御される、請求項1~7
のいずれか1項に記載のトランスジェニックマウス。
【請求項9】
前記核酸が、染色体に安定に組み込まれている、請求項1~8のいずれか1項に記載の
トランスジェニックマウス。
【請求項10】
ヒトCRBNまたはその断片をコードする核酸配列を含む、請求項1~9のいずれか1
項に記載のトランスジェニックマウスから得られた単離された細胞。
【請求項11】
ヒトCRBNまたはその断片をコードする核酸配列を含む、請求項1~9のいずれか1
項に記載のトランスジェニックマウスに由来する形質転換細胞株。
【請求項12】
ヒトCRBNまたはその断片をコードする核酸配列を含む、請求項1~9のいずれか1
項に記載のトランスジェニックマウスから得られた単離された組織。
【請求項13】
ヒトCRBNまたはその断片をコードする核酸配列を含む、請求項1~9のいずれか1
項に記載のトランスジェニックマウスから得られた単離器官。
【請求項14】
ヒトCRBNを発現するトランスジェニックマウスを作製する方法であって、
(a)ヒトCRBNまたはその断片をコードする核酸を含むポリヌクレオチド構築物をマ
ウス卵、胚または胚性幹(ES)細胞に導入すること;及び
(b)ヒトCRBNまたはその断片をコードする核酸配列を有するマウス卵、胚またはE
S細胞を雌性マウスに移入することを包含する、前記方法。
【請求項15】
前記核酸が、請求項2~7のいずれか1項に記載のものである、請求項14に記載の方
法。
【請求項16】
前記ポリヌクレオチド構築物が、配列番号8の核酸配列を含む、請求項14または15
に記載の方法。
【請求項17】
雌性マウスを育種すること、ヒトCRBNまたはその断片を発現する子孫を選択するこ
とをさらに包含する、請求項14~16のいずれか1項に記載の方法。
【請求項18】
ヒトCRBNまたはその断片を発現する子孫と遺伝的背景のマウスとを育種することを
さらに包含する、請求項17に記載の方法。
【請求項19】
前記遺伝的背景のマウスが、NSG/NOGマウスモデル、Vk*myc多発性骨髄腫
マウスモデル、Eu-v-abl/Eu-c-Myc多発性骨髄腫マウスモデル、Eu-
c-Mycリンパ腫マウスモデル、ヒトIKZF1トランスジェニックマウスモデル、及
びヒトIKZF3トランスジェニックマウスモデルからなる群より選択される、請求項1
8に記載の方法。
【請求項20】
遺伝的背景においてヒトCRBNを発現するトランスジェニックマウスを作製する方法
であって、請求項1~9のいずれか1項に記載のトランスジェニックマウスと前記遺伝的
背景のマウスとを育種することを包含する、前記方法。
【請求項21】
前記遺伝的背景のマウスが、NSG/NOGマウスモデル、Vk*myc多発性骨髄腫
マウスモデル、Eu-v-abl/Eu-c-Myc多発性骨髄腫マウスモデル、Eu-
c-Mycリンパ腫マウスモデル、ヒトIKZF1トランスジェニックマウスモデル、及
びヒトIKZF3トランスジェニックマウスモデルからなる群より選択される、請求項2
0に記載の方法。
【請求項22】
請求項14~21のいずれか1項に記載の方法によって作製されたトランスジェニック
マウス。
【請求項23】
ヒトCRBNまたはその断片を発現するトランスジェニックマウスにおいて、化合物の
投与量及び/またはスケジュールを最適化する方法であって、
(a)前記化合物を前記トランスジェニックマウスに投与すること;
(b)前記トランスジェニックマウスから試料を得ること;
(c)前記試料中のバイオマーカーのレベルを測定すること;ならびに
(d)前記バイオマーカーのレベルに基づいて前記化合物の投与量及び/またはスケジュ
ールを調節すること;を包含し、
ここで、前記バイオマーカーはCRBN関連タンパク質(CAP)である、前記方法。
【請求項24】
前記トランスジェニックマウスが、請求項1~9または22のいずれか1項に記載のト
ランスジェニックマウスである、請求項23に記載の方法。
【請求項25】
前記バイオマーカーのレベルが前記バイオマーカーのベースレベルよりも高い場合、前
記化合物の投与量及び/またはスケジュールが調整される、請求項23または24に記載
の方法。
【請求項26】
前記バイオマーカーのレベルが前記バイオマーカーのベースレベルより低い場合、前記
化合物の投与量及び/またはスケジュールが調整される、請求項23または24に記載の
方法。
【請求項27】
前記バイオマーカーが、eRF3a、eRF3b、eRF3c、IKZF1、IKZF
3、CK1a、PABP1、eRF1、BIP、eEF1α、PERK、GCN2、eI
F2a、ATF4、ATF3、DDIT3、PPP1R15A、TNFRSF10B、G
ADD45A、TNFRSF1A、TNFRSF1B、FAS、FADD、IRE1、X
BP1、SEC24D、DNAJB9、EDEM1、EDEM2、HYOU1、ATF6
、HSPA5、カスパーゼ8、BID、カスパーゼ9、カスパーゼ7、カスパーゼ3、P
ARP、Mcl-1、BAD、CDKN1A、Myc、IRF4、IRF7、IFIT1
、IFIT3、RIG-I、MDA-5、TBK1、IKKe、ZFP91、ZNF19
8、MVP、Parp4、Ron、PDE6D、TLR3、STAT1、STAT2、S
TAT3、IFNa、IFNb、OAS1、OAS2、OAS3、IFIT2、ISG1
5、ISG20、、IFI21、IFI35、IFI6、IFITM3、IFITM2W
IZ、GBP2、GBP4、SELL、SNX20、KLF13、GBP1、MARCK
S、SLAMF1、及びSASH1からなる群より選択される、請求項23~26のいず
れか1項に記載の方法。
【請求項28】
ヒトCRBNまたはその断片を発現するトランスジェニックマウスにおける化合物の効
果を評価するための方法であって、
(a)前記化合物を前記トランスジェニックマウスに投与すること;
(b)前記トランスジェニックマウスから試料を得ること;
(c)前記試料中のバイオマーカーのレベルを測定すること;及び
(d)前記バイオマーカーのレベルをバイオマーカーのベースレベルと比較すること;を
包含し、前記バイオマーカーはCAPである、前記方法。
【請求項29】
前記トランスジェニックマウスが、請求項1~9または22のいずれか1項に記載のト
ランスジェニックマウスである、請求項28に記載の方法。
【請求項30】
前記バイオマーカーのベースレベルが、
(i)化合物が前記トランスジェニックマウスに投与されていない場合;または(ii)
前記トランスジェニックマウスに対照化合物を投与する場合の前記バイオマーカーのレベ
ルである、請求項28または29に記載の方法。
【請求項31】
ヒトCRBNまたはその断片を発現するトランスジェニックマウスにおける化合物の組
み合せの効果を評価するための方法であって:
(a)前記トランスジェニックマウスに第1の化合物及び第2の化合物を投与すること;
(b)前記トランスジェニックマウスから試料を得ること;
(c)前記試料中のバイオマーカーのレベルを測定すること;ならびに
(d)前記バイオマーカーのレベルを前記バイオマーカーのベースレベルと比較すること
;
を包含し、ここで前記バイオマーカーはCAPである、前記方法。
【請求項32】
前記トランスジェニックマウスが、請求項1~9または22のいずれか1項に記載のト
ランスジェニックマウスである、請求項31に記載の方法。
【請求項33】
前記バイオマーカーのベースレベルが、(i)化合物が前記トランスジェニックマウス
に投与されていない場合;(ii)前記トランスジェニックマウスに前記第1の化合物の
みを投与する場合;(iii)前記トランスジェニックマウスに前記第2の化合物のみを
投与する場合;(iv)対照化合物を前記トランスジェニックマウスに投与する場合;(
v)前記第1の化合物と別の化合物との組み合せを前記トランスジェニックマウスに投与
する場合;(vi)前記トランスジェニックマウスに前記第2の化合物と別の化合物との
組み合わせを投与する場合;または(vii)2種以上の他の化合物の組み合わせを前記
トランスジェニックマウスに投与する場合の前記バイオマーカーのレベルである、請求項
31または32に記載の方法。
【請求項34】
前記化合物が、同時または連続してのいずれかで投与される、請求項31~33のいず
れか1項に記載の方法。
【請求項35】
前記化合物が免疫調節化合物である、請求項23~34のいずれか1項に記載の方法。
【請求項36】
前記免疫調節化合物が、サリドマイド、レナリドマイド及びポマリドマイドからなる群
より選択される、請求項35に記載の方法。
【請求項37】
前記免疫調節化合物がサリドマイドである、請求項36に記載の方法。
【請求項38】
前記免疫調節化合物がレナリドマイドである、請求項36に記載の方法。
【請求項39】
前記免疫調節化合物がポマリドマイドである、請求項36に記載の方法。
【請求項40】
前記化合物が、パターン認識受容体(PRR)アゴニストである、請求項23~34の
いずれか1項に記載の方法。
【請求項41】
前記PRRアゴニストが、TLR3アゴニスト、TLR7アゴニスト、TLR8アゴニ
スト、TLR9アゴニスト、RIG-1アゴニスト、MDA5アゴニスト及びAIM2ア
ゴニストからなる群より選択される、請求項40に記載の方法。
【請求項42】
前記PRRアゴニストがTLR3アゴニストである、請求項41に記載の方法。
【請求項43】
前記PRRアゴニストがTLR7アゴニストである、請求項41に記載の方法。
【請求項44】
前記PRRアゴニストがTLR8アゴニストである、請求項41に記載の方法。
【請求項45】
前記PRRアゴニストがTLR9アゴニストである、請求項41に記載の方法。
【請求項46】
前記PRRアゴニストがRIG-1アゴニストである、請求項41に記載の方法。
【請求項47】
前記PRRアゴニストがMDA5アゴニストである、請求項41に記載の方法。
【請求項48】
前記PRRアゴニストがAIM2アゴニストである、請求項41に記載の方法。
【請求項49】
前記化合物が抗体である、請求項23~34のいずれか1項に記載の方法。
【請求項50】
前記抗体が、PD-1抗体、PD-L1抗体、PD-L2抗体、CTLA-4抗体、C
D38抗体、及びSLAMF7抗体からなる群より選択される、請求項49に記載の方法
。
【請求項51】
前記抗体がPD-1抗体である、請求項50に記載の方法。
【請求項52】
前記抗体がPD-L1抗体である、請求項50に記載の方法。
【請求項53】
前記抗体がPD-L2抗体である、請求項50に記載の方法。
【請求項54】
前記抗体がCTLA-4抗体である、請求項50に記載の方法。
【請求項55】
前記抗体がCD38抗体である、請求項50に記載の方法。
【請求項56】
前記抗体がSLAMF7抗体である、請求項50に記載の方法。
【請求項57】
前記抗体が、ニボルマブ(すなわち、BMS-936558、MDX-1106、ON
O-4538)、MK-3475(すなわち、ペムブロリズマブ、ランブロリズマブ)、
ピジリズマブ(すなわち、CT-011)、MEDI-0680(すなわち、AMP-5
14)、PDR-001、デュルバルマブ(すなわち、MEDI-4736)、BMS-
936559(すなわち、MDX-1105)、アベルマブ(すなわち、MSB0010
718C)、アテゾリズマブ(すなわち、MPDL-3280A)、イピリムマブ、ダラ
ツムマブ、及びエロツズマブからなる群より選択される、請求項49に記載の方法。
【請求項58】
前記抗体がニボルルマブである、請求項57に記載の方法。
【請求項59】
前記抗体がデュルバルマブである、請求項57に記載の方法。
【請求項60】
前記抗体がイピリムマブである、請求項57に記載の方法。
【請求項61】
前記抗体がダラツムマブである、請求項57に記載の方法。
【請求項62】
前記抗体がエロツズマブである、請求項57に記載の方法。
【請求項63】
前記化合物が分子模倣物である、請求項23~34のいずれか1項に記載の方法。
【請求項64】
前記分子模倣物が、アザシチジン、ロミデプシン、ATRA、シクロホスファミド、及
びセレブレックス(登録商標)からなる群より選択される、請求項63に記載の方法。
【請求項65】
前記分子模倣物がアザシチジンである、請求項64に記載の方法。
【請求項66】
分子模倣物がロミデプシンである、請求項64に記載の方法。
【請求項67】
前記分子模倣物がATRAである、請求項64に記載の方法。
【請求項68】
前記分子模倣物がシクロホスファミドである、請求項64に記載の方法。
【請求項69】
前記分子模倣物がCelebrex(登録商標)である、請求項64に記載の方法。
【請求項70】
ステップ(a)が、前記トランスジェニックマウスに第3の化合物を投与することをさ
らに含む、請求項31または32に記載の方法。
【請求項71】
前記第1の化合物がデキサメタゾンである、請求項31、32、または70のいずれか
1項に記載の方法。
【請求項72】
前記第2の化合物が、CRBN E3ユビキチンリガーゼ調節化合物(CMC)または
免疫調節化合物である、請求項31、32、70、または71のいずれか1項に記載の方
法。
【請求項73】
前記免疫調節化合物が、サリドマイド、レナリドマイド及びポマリドマイドからなる群
より選択される、請求項72に記載の方法。
【請求項74】
前記第3の化合物が、イキサゾミブ、カルフィルゾミブ、エロツズマブ、ダラツムマブ
、アザシチジン、ACY-241、シクロホスファミド、デュルバルマブ、アブラキサン
及びニボルマブからなる群より選択される、請求項70~73のいずれか1項に記載の方
法。
【請求項75】
前記化合物の組み合わせが、デキサメタゾン及びCMCを含む、請求項31または32
に記載の方法。
【請求項76】
前記化合物の組み合わせが、デキサメタゾン及び免疫調節化合物を含む、請求項31ま
たは32に記載の方法。
【請求項77】
前記免疫調節化合物が、サリドマイド、レナリドマイド及びポマリドマイドからなる群
より選択される、請求項76に記載の方法。
【請求項78】
前記化合物の組み合わせが、
(a)デキサメタゾン;
(b)CMC;ならびに
(c)イキサゾミブ、カルフィルゾミブ、エロツズマブ、ダラツムマブ、アザシチジン、
ACY-241、シクロホスファミド、デュルバルマブ、アブラキサン及びニボルマブか
らなる群より選択される化合物、を含む、請求項70に記載の方法。
【請求項79】
前記化合物の組み合わせが、
(a)デキサメタゾン;
(b)免疫調節化合物;ならびに
(c)イキサゾミブ、カルフィルゾミブ、エロツズマブ、ダラツムマブ、アザシチジン、
ACY-241、シクロホスファミド、デュルバルマブ、アブラキサン及びニボルマブか
らなる群より選択される化合物を含む、請求項70に記載の方法。
【請求項80】
前記免疫調節化合物が、サリドマイド、レナリドマイド、及びポマリドマイドからなる
群より選択される、請求項79に記載の方法。
【請求項81】
化合物または化合物の組み合わせの効果が、抗原特異的T細胞殺傷に対する効果である
、請求項28~80のいずれか1項に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願の相互参照
本出願は、2016年1月19日に出願された米国仮特許出願第62/280,633
号に対する優先権を主張し、その全体が参照により本明細書に組み込まれる。
1.分野
本明細書において、そのゲノムがヒトセレブロン(CRBN)またはその断片をコード
する核酸配列を含むトランスジェニックマウスが提供される。このようなトランスジェニ
ックマウスを作製するための方法も本明細書で提供される。さらに、これらのトランスジ
ェニックマウスを、例えば、様々な疾患(がんなど)の治療における特定の化合物の有効
性、特異性、毒性、薬物動態、薬力学、作用機序の評価;これらの化合物の投与レジメン
の最適化;ならびに、そのような疾患のための他の治療薬との併用療法を研究することに
用いる方法が提供される。
【背景技術】
【0002】
2.背景
がんは、所与の正常組織に由来する異常細胞の数の増大、これらの異常細胞による隣接
組織の浸潤、またはリンパ管もしくは血液媒介性の悪性細胞の局所リンパ節及び遠隔部位
への伝播(転移)によって主に特徴付けられる。がん患者の治療に使用され得る新しい方
法、治療法、及び組成物には大きな需要がある。
【0003】
過去10年間、サリドマイド、レナリドマイド、及びポマリドマイドを含む一群の免疫
調節化合物は、多発性骨髄腫、リンパ腫及び骨髄異形成症候群のような他の血液疾患を有
する患者において顕著な反応を引き出すことが示されている。Galustian et
al.、Expert Opin.Pharmacother.2009、10:12
5-133を参照のこと。これらの処置化合物は、抗血管新生特性、炎症誘発性サイトカ
インの調節、T細胞の共刺激、NK細胞毒性の増大、直接的抗腫瘍効果、及び幹細胞分化
の調節を含む広範囲の活性を示す。
【0004】
最近、サリドマイドに結合することが確認された重要な分子標的はCRBNである。I
to et al.、Science 2010,327:1345-1350を参照の
こと。少なくとも2つのヒトCRBNアイソフォームである、アイソフォーム1(442
アミノ酸)及びアイソフォーム2(441アミノ酸)が同定されている。ヒトアイソフォ
ーム2は、アイソフォーム1との違いはアミノ酸23アラニンがアイソフォーム1から欠
失しているだけである。CRBN及びその関連タンパク質は、E3ユビキチンリガーゼ複
合体を形成し、これが標的タンパク質のユビキチン化及びその後のプロテアソーム分解を
媒介する。サリドマイドは、インビトロでCRBNの自己ユビキチン化を阻害することが
判明しており、これによって、サリドマイドがE3ユビキチンリガーゼ阻害剤であること
が示唆された(同上)。重要なことに、CRBNの自己ユビキチン化は、野生型細胞にお
いてサリドマイドによって阻害されたが、サリドマイド結合を妨げるCRBN突然変異を
有する細胞では阻害されなかった(同上)。サリドマイド結合部位は、CRBN中の高度
に保存されたC末端の104アミノ酸領域にマッピングされた(同上)。CRBNアイソ
フォーム1、Y384A及びW386Aの個々の点突然変異体は、サリドマイド結合に欠
陥があり、サリドマイド結合活性が最も低い二重変異体であった(同上)。
【0005】
これらの化合物とCRBNまたはCRBN関連タンパク質との間の相互作用を理解する
ことは、薬物有効性及び/または毒性の分子機構を解明するのを容易にし、改善された有
効性及び毒性プロファイルを有する新薬の開発につながる可能性がある。
【0006】
CRBNとCRBN E3ユビキチンリガーゼ調節化合物(CMC)との間の相互作用
ならびにそのような化合物の安全性及び有効性を研究するのに適した動物モデルが不可欠
である。本開示は、これら及び他の必要性を満たす。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0007】
3.本発明の要旨
1つの態様では、そのゲノムが、ヒトCRBNまたはその断片をコードする核酸配列を
含み、内因性マウスCRBNがトランスジェニックマウスにおいて発現されないトランス
ジェニックマウスが本明細書において提供される。一実施形態では、トランスジェニック
マウスのゲノムは、ヒトCRBNをコードする核酸配列を含む。特定の実施形態では、ヒ
トCRBNをコードする核酸配列は、安定に染色体に組み込まれる。別の実施形態では、
トランスジェニックマウスのゲノムは、ヒトCRBNの断片をコードする核酸配列を含む
。特定の実施形態では、ヒトCRBNの断片をコードする核酸配列は、安定して染色体に
組み込まれる。いくつかの実施形態では、核酸は、マウス-ヒトキメラCRBN遺伝子を
含む。特定の実施形態では、核酸配列は、ヒトCRBNアイソフォーム1のコドン24の
グルタミン酸で開始し、ヒトCRBNアイソフォーム1の最終コドンで終わるポリペプチ
ドを含むヒトCRBNの断片をコードする。他の実施形態では、核酸配列は、ヒトCRB
Nアイソフォーム2のコドン23のグルタミン酸で開始し、ヒトCRBNアイソフォーム
2の最終コドンで終わるポリペプチドを含むヒトCRBNの断片をコードする。一実施形
態では、全長ヒトCRBNタンパク質をコードする核酸配列は、配列番号5を含む。別の
実施形態では、全長ヒトCRBNタンパク質をコードする核酸配列は、配列番号6を含む
。一実施形態では、ヒトCRBNタンパク質の断片をコードする核酸配列は、配列番号7
を含む。別の実施形態では、ヒトCRBNまたはその断片をコードする核酸配列を包含す
る標的化構築物は、配列番号8を含む。一実施形態では、トランスジェニックマウスは、
全長ヒトCRBNを発現する。さらに別の実施形態では、トランスジェニックマウスは、
ヒトCRBNの断片を発現する。
【0008】
別の態様では、本明細書で提供されるトランスジェニックマウスに由来する細胞が提供
され、ここでこの細胞は、ヒトCRBNまたはその断片をコードする核酸配列を含む。特
定の実施形態では、この細胞はトランスジェニックマウスから得られる。一実施形態では
、細胞は単離された細胞である。一実施形態では、核酸配列は、ヒトCRBNをコードす
る。特定の実施形態では、ヒトCRBNをコードする核酸配列は、トランスジェニックマ
ウスの染色体に安定に組み込まれる。別の実施形態では、核酸配列は、ヒトCRBNの断
片をコードする。特定の実施形態では、ヒトCRBNの断片をコードする核酸配列は、ト
ランスジェニックマウスの染色体に安定に組み込まれる。いくつかの実施形態では、核酸
は、マウス-ヒトキメラCRBN遺伝子を含む。特定の実施形態では、核酸配列は、ヒト
CRBNアイソフォーム1のコドン24のグルタミン酸で開始し、ヒトCRBNアイソフ
ォーム1の最終コドンで終わるポリペプチドを含むヒトCRBNの断片をコードする。他
の実施形態では、核酸配列は、ヒトCRBNアイソフォーム2のコドン23のグルタミン
酸で開始し、ヒトCRBNアイソフォーム2の最終コドンで終わるポリペプチドを含むヒ
トCRBNの断片をコードする。一実施形態では、全長ヒトCRBNタンパク質をコード
する核酸配列は、配列番号5を含む。別の実施形態では、全長ヒトCRBNタンパク質を
コードする核酸配列は、配列番号6を含む。一実施形態では、ヒトCRBNタンパク質の
断片をコードする核酸配列は、配列番号7を含む。別の実施形態では、ヒトCRBNまた
はその断片をコードする核酸配列を包含する標的化構築物は、配列番号8を含む。一実施
形態では、細胞は、全長ヒトCRBNを発現する。さらに別の実施形態では、細胞はヒト
CRBNの断片を発現する。
【0009】
別の態様では、本明細書で提供されるトランスジェニックマウスに由来する細胞株であ
って、ヒトCRBNまたはその断片をコードする核酸配列を含む、細胞株が提供される。
一実施形態では、細胞株は単離された細胞株である。一実施形態では、核酸配列は、ヒト
CRBNをコードする。特定の実施形態では、ヒトCRBNをコードする核酸配列は、ト
ランスジェニックマウスの染色体に安定に組み込まれる。別の実施形態では、核酸配列は
、ヒトCRBNの断片をコードする。特定の実施形態では、ヒトCRBNの断片をコード
する核酸配列は、トランスジェニックマウスの染色体に安定に組み込まれる。いくつかの
実施形態では、核酸は、マウス-ヒトキメラCRBN遺伝子を含む。特定の実施形態では
、核酸配列は、ヒトCRBNアイソフォーム1のコドン24のグルタミン酸で開始し、ヒ
トCRBNアイソフォーム1の最終コドンで終わるポリペプチドを含むヒトCRBNの断
片をコードする。他の実施形態では、核酸配列は、ヒトCRBNアイソフォーム2のコド
ン23のグルタミン酸で開始し、ヒトCRBNアイソフォーム2の最終コドンで終わるポ
リペプチドを含むヒトCRBNの断片をコードする。一実施形態では、全長ヒトCRBN
タンパク質をコードする核酸配列は、配列番号5を含む。別の実施形態では、全長ヒトC
RBNタンパク質をコードする核酸配列は、配列番号6を含む。一実施形態では、ヒトC
RBNタンパク質の断片をコードする核酸配列は、配列番号7を含む。別の実施形態では
、ヒトCRBNまたはその断片をコードする核酸配列を包含する標的化構築物は、配列番
号8を含む。一実施形態では、細胞株は形質転換細胞株である。別の実施形態では、この
形質転換された細胞株は、全長ヒトCRBNを発現する。さらに別の実施形態では、形質
転換された細胞株は、ヒトCRBNの断片を発現する。
【0010】
別の態様では、ヒトCRBNまたはその断片をコードする核酸配列を含む、本明細書で
提供されるトランスジェニックマウスに由来する組織が提供される。特定の実施形態では
、組織はトランスジェニックマウスから得られる。一実施形態では、組織は単離された組
織である。一実施形態では、核酸配列は、ヒトCRBNをコードする。特定の実施形態で
は、ヒトCRBNをコードする核酸配列は、トランスジェニックマウスの染色体に安定に
組み込まれる。別の実施形態では、核酸配列は、ヒトCRBNの断片をコードする。特定
の実施形態では、ヒトCRBNの断片をコードする核酸配列は、トランスジェニックマウ
スの染色体に安定に組み込まれる。いくつかの実施形態では、核酸は、マウス-ヒトキメ
ラCRBN遺伝子を含む。特定の実施形態では、核酸配列は、ヒトCRBNアイソフォー
ム1のコドン24のグルタミン酸で開始し、ヒトCRBNアイソフォーム1の最終コドン
で終わるポリペプチドを含むヒトCRBNの断片をコードする。他の実施形態では、核酸
配列は、ヒトCRBNアイソフォーム2のコドン23のグルタミン酸で開始し、ヒトCR
BNアイソフォーム2の最終コドンで終わるポリペプチドを含むヒトCRBNの断片をコ
ードする。一実施形態では、全長ヒトCRBNタンパク質をコードする核酸配列は、配列
番号5を含む。別の実施形態では、全長ヒトCRBNタンパク質をコードする核酸配列は
、配列番号6を含む。一実施形態では、ヒトCRBNタンパク質の断片をコードする核酸
配列は、配列番号7を含む。別の実施形態では、ヒトCRBNまたはその断片をコードす
る核酸配列を包含する標的化構築物は、配列番号8を含む。一実施形態では、組織は全長
ヒトCRBNを発現する。さらに別の実施形態では、組織は、ヒトCRBNの断片を発現
する。
【0011】
別の態様では、本明細書で提供されるトランスジェニックマウスに由来する器官が提供
され、この器官は、ヒトCRBNまたはその断片をコードする核酸配列を含む。特定の実
施形態では、この器官はトランスジェニックマウスから得られる。一実施形態では、器官
は単離器官である。一実施形態では、核酸配列はヒトCRBNをコードする。特定の実施
形態では、ヒトCRBNをコードする核酸配列は、トランスジェニックマウスの染色体に
安定に組み込まれる。別の実施形態では、核酸配列は、ヒトCRBNの断片をコードする
。特定の実施形態では、ヒトCRBNの断片をコードする核酸配列は、トランスジェニッ
クマウスの染色体に安定に組み込まれる。いくつかの実施形態では、この核酸は、マウス
-ヒトキメラCRBN遺伝子を含む。特定の実施形態では、この核酸配列は、ヒトCRB
Nアイソフォーム1のコドン24のグルタミン酸で開始し、ヒトCRBNアイソフォーム
1の最終コドンで終わるポリペプチドを含むヒトCRBNの断片をコードする。他の実施
形態では、核酸配列は、ヒトCRBNアイソフォーム2のコドン23のグルタミン酸で開
始し、ヒトCRBNアイソフォーム2の最終コドンで終わるポリペプチドを含むヒトCR
BNの断片をコードする。一実施形態では、全長ヒトCRBNタンパク質をコードする核
酸配列は、配列番号5を含む。別の実施形態では、全長ヒトCRBNタンパク質をコード
する核酸配列は、配列番号6を含む。一実施形態では、ヒトCRBNタンパク質の断片を
コードする核酸配列は、配列番号7を含む。別の実施形態では、ヒトCRBNまたはその
断片をコードする核酸配列を包含する標的化構築物は、配列番号8を含む。一実施形態で
は、器官は全長ヒトCRBNを発現する。さらに別の実施形態では、器官はヒトCRBN
の断片を発現する。
【0012】
特定の態様では、本明細書において、ヒトCRBNまたはその断片を発現するトランス
ジェニックマウスが提供される。特定の実施形態では、トランスジェニックマウスは全長
ヒトCRBNを発現する。他の実施形態では、トランスジェニックマウスは、ヒトCRB
Nの断片を発現する。
【0013】
特定の実施形態では、ヒトCRBNは、マウス-ヒトキメラCRBN遺伝子から発現さ
れる。特定の実施形態では、核酸配列は、ヒトCRBNアイソフォーム1のコドン24の
グルタミン酸で開始し、ヒトCRBNアイソフォーム1の最終コドンで終わるポリペプチ
ドを含むヒトCRBNの断片をコードする。他の実施形態では、核酸配列は、ヒトCRB
Nアイソフォーム2のコドン23のグルタミン酸で開始し、ヒトCRBNアイソフォーム
2の最終コドンで終わるポリペプチドを含むヒトCRBNの断片をコードする。一実施形
態では、全長ヒトCRBNタンパク質をコードする核酸配列は、配列番号5を含む。別の
実施形態では、全長ヒトCRBNタンパク質をコードする核酸配列は、配列番号6を含む
。一実施形態では、ヒトCRBNタンパク質の断片をコードする核酸配列は、配列番号7
を含む。別の実施形態では、ヒトCRBNまたはその断片をコードする核酸配列を包含す
る標的化構築物は、配列番号8を含む。特定の実施形態では、ヒトCRBNの発現は、相
同なマウスプロモーターによって制御される。特定の実施形態では、ヒトCRBNの発現
は、相同マウスCRBNプロモーターによって制御される。
【0014】
別の態様では、本明細書で提供されるのは:(a)ヒトCRBNまたはその断片をコー
ドする核酸配列を含むポリヌクレオチド構築物をマウス卵に導入すること;及び(b)こ
のマウス卵を雌性マウスに移入することを包含する、ヒトCRBNを発現するトランスジ
ェニックマウスを産生する方法である。また本明細書では:(a)ヒトCRBNまたはそ
の断片をコードする核酸配列を含むポリヌクレオチド構築物をマウス胚に導入すること;
及び(b)このマウス胚を雌性マウスに移入することを包含する、ヒトCRBNを発現す
るトランスジェニックマウスを産生する方法も提供される。本明細書ではまた:(a)ヒ
トCRBNまたはその断片をコードする核酸配列を含むポリヌクレオチド構築物を、マウ
ス胚性幹(ES)細胞に導入すること;及び(b)このマウスES細胞を雌性マウスに移
入することを包含する、ヒトCRBNを発現するトランスジェニックマウスを作製する方
法も提供する。特定の実施形態では、核酸配列は、ヒトCRBNをコードする。特定の実
施形態では、ヒトCRBNをコードする核酸配列は、卵、胚またはES細胞の染色体に安
定に組み込まれる。他の実施形態では、核酸配列は、ヒトCRBNの断片をコードする。
特定の実施形態では、ヒトCRBNの断片をコードする核酸配列は、卵、胚またはES細
胞の染色体に安定に組み込まれる。一実施形態では、全長ヒトCRBNタンパク質をコー
ドする核酸配列は、配列番号5を含む。別の実施形態では、全長ヒトCRBNタンパク質
をコードする核酸配列は、配列番号6を含む。一実施形態では、ヒトCRBNタンパク質
の断片をコードする核酸配列は、配列番号7を含む。別の実施形態では、ヒトCRBNま
たはその断片をコードする核酸配列を包含する標的化構築物は、配列番号8を含む。
【0015】
特定の実施形態では、本方法は、雌性マウスを育種することをさらに包含する。他の実
施形態では、この方法は、ヒトCRBNまたはその断片をコードする核酸配列を有する子
孫を選択することをさらに包含する。いくつかの実施形態では、この方法は、雌性マウス
を育種し、ヒトCRBNまたはその断片をコードする核酸配列を有する子孫を選択するこ
とをさらに包含する。したがって、本明細書にさらに提供されるのは、(a)ヒトCRB
Nまたはその断片をコードする核酸配列を含むポリヌクレオチド構築物をマウス卵に導入
すること;(b)このマウス卵を雌性マウスに移入すること;及び(c)この雌性マウス
を育種し、そしてヒトCRBNまたはその断片を発現する子孫トランスジェニックマウス
を選択することを包含する、ヒトCRBNを発現するトランスジェニックマウスを産生す
るための方法である。また本明細書では:(a)ヒトCRBNまたはその断片をコードす
る核酸配列を含むポリヌクレオチド構築物をマウス胚に導入すること;(b)このマウス
胚を雌性マウスに移入すること;及び(c)この雌性マウスを育種し、そしてヒトCRB
Nまたはその断片を発現する子孫トランスジェニックマウスを選択すること、を包含する
ヒトCRBNを発現するトランスジェニックマウスを産生するための方法も提供される。
本明細書ではまた:(a)ヒトCRBNまたはその断片をコードする核酸配列を含むポリ
ヌクレオチド構築物をマウスES細胞に導入すること;(b)このマウスES細胞を雌性
マウスに移入すること;及び(c)この雌性マウスを育種すること、及びヒトCRBNま
たはその断片を発現する子孫トランスジェニックマウスを選択することを包含する、ヒト
CRBNを発現するトランスジェニックマウスを産生するための方法も提供される。
【0016】
さらに別の態様では、本明細書では:(a)、ヒトCRBNまたはその断片をコードす
る核酸配列を含むポリヌクレオチド構築物を、マウス卵に導入すること;及び(b)この
マウス卵を雌性マウスに移入することを包含する方法によって産生される、ヒトCRBN
またはその断片を発現するトランスジェニックマウスが提供される。本明細書ではまた:
(a)ヒトCRBNまたはその断片をコードする核酸配列を含むポリヌクレオチド構築物
をマウス胚に導入すること;及び(b)このマウス胚を雌性マウスに移入すること包含す
る方法によって産生される、ヒトCRBNまたはその断片を発現するトランスジェニック
マウスも提供される。また本明細書では:(a)、ヒトCRBNまたはその断片をコード
する核酸配列を含むポリヌクレオチド構築物を、マウスES細胞に導入すること;及び(
b)このマウスES細胞を雌性マウスに移入することを包含する方法によって産生される
、ヒトCRBNまたはその断片を発現するトランスジェニックマウスが提供される。さら
に本明細書では:(a)ヒトCRBNまたはその断片をコードする核酸配列を含むポリヌ
クレオチド構築物をマウス卵に導入すること;(b)このマウス卵を雌性マウスに移入す
ること;及び(c)この雌性マウスを育種し、ヒトCRBNまたはその断片を発現する子
孫トランスジェニックマウスを選択することを包含する方法によって産生される、ヒトC
RBNまたはその断片を発現するトランスジェニックマウスが提供される。また本明細書
では:(a)、ヒトCRBNまたはその断片をコードする核酸配列を含むポリヌクレオチ
ド構築物を、マウス胚に導入すること;(b)このマウス胚を雌性マウスに移入すること
;ならびに(c)この雌性マウスを育種すること、及びヒトCRBNまたはその断片を発
現する子孫トランスジェニックマウスを選択することを包含する方法によって産生される
、ヒトCRBNまたはその断片を発現するトランスジェニックマウスも提供される。また
本明細書では:(a)ヒトCRBNまたはその断片をコードする核酸配列を含むポリヌク
レオチド構築物をマウスES細胞に導入すること;(b)このマウスES細胞を雌性マウ
スに移入すること;ならびに(c)この雌性マウスを育種すること、及びヒトCRBNま
たはその断片を発現する子孫トランスジェニックマウスを選択することを包含する方法に
よって産生される、ヒトCRBNまたはその断片を発現するトランスジェニックマウスも
提供される。特定の実施形態では、核酸配列はヒトCRBNをコードする。特定の実施形
態では、ヒトCRBNをコードする核酸配列は、卵、胚またはES細胞の染色体に安定に
組み込まれる。他の実施形態では、核酸配列は、ヒトCRBNの断片をコードする。特定
の実施形態では、ヒトCRBNの断片をコードする核酸配列は、卵、胚またはES細胞の
染色体に安定に組み込まれる。一実施形態では、全長ヒトCRBNタンパク質をコードす
る核酸配列は、配列番号5を含む。別の実施形態では、全長ヒトCRBNタンパク質をコ
ードする核酸配列は、配列番号6を含む。一実施形態では、ヒトCRBNタンパク質の断
片をコードする核酸配列は、配列番号7を含む。別の実施形態では、ヒトCRBNまたは
その断片をコードする核酸配列を包含する標的化構築物は、配列番号8を含む。
【0017】
本明細書の特定の実施形態では、「ヒトCRBN」への言及は、全長ヒトCRBNを指
す。
【0018】
さらに別の態様では、特定の遺伝的背景においてヒトCRBNを発現するトランスジェ
ニックマウスを作製するための方法であって、本明細書で提供されるヒトCRBNまたは
その断片を発現するトランスジェニックマウスを、その遺伝的背景のマウスと育種するこ
とを包含する方法が提供される。本明細書ではまた、本明細書で提供されるヒトCRBN
またはその断片を発現するトランスジェニックマウスを、その遺伝的背景のマウスと育種
することを包含する方法によって産生される、特定の遺伝的背景においてヒトCRBNを
発現するトランスジェニックマウスも提供される。特定の実施形態では、ある遺伝的背景
のマウスは、NSG/NOGマウスモデルである。他の実施形態では、遺伝的背景のマウ
スは、Vk*myc多発性骨髄腫マウスモデルである。さらに他の実施形態では、遺伝的
背景のマウスは、Eu-v-abl/Eu-c-Myc多発性骨髄腫マウスモデルである
。さらに他の実施形態では、遺伝的背景のマウスは、Eu-c-Mycリンパ腫マウスモ
デルである。一実施形態では、遺伝的背景のマウスは、ヒトIKZF1トランスジェニッ
クマウスモデルである。別の実施形態では、遺伝的背景のマウスは、ヒトIKZF3トラ
ンスジェニックマウスモデルである。
【0019】
他の態様では、本明細書で提供されるヒトCRBNまたはその断片を発現するトランス
ジェニックマウスを使用するための方法が提供される。
【0020】
さらに別の態様では、ヒトCRBNまたはその断片を発現するトランスジェニックマウ
スにおける化合物の効果を評価するための方法であって、
(a)この化合物をトランスジェニックマウスに投与すること;
(b)このトランスジェニックマウスから試料を得ること;
(c)この試料中のバイオマーカーのレベルを測定すること;及び
(d)このバイオマーカーのレベルをバイオマーカーのベースレベルと比較すること;
を包含し、ここで
このバイオマーカーはCRBN関連タンパク質(CAP)である方法が提供される。
【0021】
さらに別の態様では、本明細書では、ヒトCRBNまたはその断片を発現するトランス
ジェニックマウスにおける化合物の組み合わせの効果を評価するための方法であって:
(a)このトランスジェニックマウスに第1の化合物及び第2の化合物を投与すること
;
(b)このトランスジェニックマウスから試料を得ること;
(c)この試料中のバイオマーカーのレベルを測定すること;ならびに
(d)このバイオマーカーのレベルをバイオマーカーのベースレベルと比較すること;
を包含し、ここでこのバイオマーカーはCAPである方法が提供される。
【0022】
いくつかの実施形態では、化合物の組み合わせの効果を評価する方法は、第1の化合物
、第2の化合物、及び第3の化合物を組み合わせて投与することを包含する。他の実施形
態では、この方法は、4つ以上の化合物を組み合わせて投与することを包含する。特定の
実施形態では、この化合物は同時に投与される。他の実施形態では、化合物は連続的に投
与される。
【0023】
特定の実施形態では、本明細書で使用される様々なトランスジェニックマウスは、ヒト
CRBNをコードする核酸配列を含む。特定の実施形態では、ヒトCRBNをコードする
核酸配列は、マウス染色体に安定して組み込まれる。他の実施形態では、核酸配列は、ヒ
トCRBNの断片をコードする。特定の実施形態では、ヒトCRBNの断片をコードする
核酸配列は、マウス染色体に安定に組み込まれる。一実施形態では、全長ヒトCRBNタ
ンパク質をコードする核酸配列は、配列番号5を含む。別の実施形態では、全長ヒトCR
BNタンパク質をコードする核酸配列は、配列番号6を含む。一実施形態では、ヒトCR
BNタンパク質の断片をコードする核酸配列は、配列番号7を含む。別の実施形態では、
ヒトCRBNまたはその断片をコードする核酸配列を包含する標的化構築物は、配列番号
8を含む。
【0024】
特定の実施形態では、バイオマーカーのベースレベルは、化合物がトランスジェニック
マウスに投与されていない場合のバイオマーカーのレベルである。いくつかの実施形態で
は、バイオマーカーのベースレベルは、トランスジェニックマウスに1つの化合物のみが
投与された場合のバイオマーカーのレベルである。特定の実施形態では、唯一の化合物は
、第1の化合物である。他の実施形態では、唯一の化合物は、第2の化合物である。さら
に他の実施形態では、唯一の化合物は、第3の化合物である。さらに他の実施形態では、
唯一の化合物は、対照化合物である。いくつかの実施形態では、バイオマーカーのベース
レベルは、2つの化合物の基準の組み合わせがトランスジェニックマウスに投与された場
合のバイオマーカーのレベルである。特定の実施形態では、基準の組み合わせは、第1の
化合物及び別の化合物を含む。他の実施形態では、基準の組み合わせは、第2の化合物と
別の化合物とを含む。さらに他の実施形態では、基準の組み合わせは、第3の化合物及び
別の化合物を含む。さらに他の実施形態では、基準の組み合わせは、第1の化合物及び第
2の化合物を含む。特定の実施形態では、基準の組み合わせは、2つ以上の他の化合物(
すなわち、第1の化合物または第2の化合物ではない)を含む。
【0025】
特定の実施形態では、化合物(または化合物の組み合せ)の効果は、抗原特異的T細胞
殺傷に対する効果である。
【0026】
別の態様では、本明細書においてヒトCRBNまたはその断片を発現するトランスジェ
ニックマウスにおいて、化合物の投与量及び/またはスケジュールを最適化するための方
法であって:
(a)この化合物をトランスジェニックマウスに投与すること;
(b)このトランスジェニックマウスから試料を得ること;
(c)この試料中のバイオマーカーのレベルを測定すること;及び
(d)このバイオマーカーのレベルに基づいて化合物の投与量及び/またはスケジュー
ルを調節すること;を包含し、
ここで、このバイオマーカーがCAPである、方法が提供される。
【0027】
特定の実施形態では、この方法は、投与量を最適化するための方法である。他の実施形
態では、この方法は、投与スケジュールを最適化するための方法である。特定の実施形態
では、この方法は、投与スケジュール及び投与量を最適化するための方法である。特定の
実施形態では、トランスジェニックマウスは、ヒトCRBNをコードする核酸配列を含む
。特定の実施形態では、ヒトCRBNをコードする核酸配列は、マウス染色体に安定して
組み込まれる。他の実施形態では、核酸配列は、ヒトCRBNの断片をコードする。特定
の実施形態では、ヒトCRBNの断片をコードする核酸配列は、マウス染色体に安定に組
み込まれる。一実施形態では、全長ヒトCRBNタンパク質をコードする核酸配列は、配
列番号5を含む。別の実施形態では、全長ヒトCRBNタンパク質をコードする核酸配列
は、配列番号6を含む。一実施形態では、ヒトCRBNタンパク質の断片をコードする核
酸配列は、配列番号7を含む。別の実施形態では、ヒトCRBNまたはその断片をコード
する核酸配列を包含する標的化構築物は、配列番号8を含む。
【0028】
本明細書で提供される様々な方法のいくつかの実施形態では、バイオマーカーは、1つ
以上のバイオマーカーを含む。特定の実施形態では、化合物の投与量は、バイオマーカー
のレベルがバイオマーカーのベースレベルよりも高い場合に調整される。他の実施形態で
は、化合物の投与スケジュールは、バイオマーカーのレベルがバイオマーカーのベースレ
ベルよりも高い場合に調整される。他の実施形態では、バイオマーカーのレベルがバイオ
マーカーのベースレベルより高い場合、化合物の投与量及び投与スケジュールの両方が調
整される。特定の実施形態では、化合物の投与量は、バイオマーカーのレベルがバイオマ
ーカーのベースレベルよりも低い場合に調整される。他の実施形態では、化合物の投与ス
ケジュールは、バイオマーカーのレベルがバイオマーカーのベースレベルよりも低い場合
に調整される。他の実施形態では、バイオマーカーのレベルがバイオマーカーのベースレ
ベルより低い場合、化合物の投与量及び投与スケジュールの両方が調整される。
【0029】
本明細書で提供される様々な方法のいくつかの実施形態では、バイオマーカーは、eR
F3a、eRF3b、eRF3c、IKZF1、IKZF3、CK1a、PABP1、e
RF1、BIP、eEF1α、PERK、GCN2、eIF2a、ATF4、ATF3、
DDIT3、PPP1R15A、TNFRSF10B、GADD45A、TNFRSF1
A、TNFRSF1B、FAS、FADD、IRE1、XBP1、SEC24D、DNA
JB9、EDEM1、EDEM2、HYOU1、ATF6、HSPA5、カスパーゼ8、
BID、カスパーゼ9、カスパーゼ7、カスパーゼ3、PARP、Mcl-1、またはB
ADである。本明細書で提供される様々な方法の他の実施形態では、バイオマーカーは、
CDKN1A、Myc、IRF4、IRF7、IFIT1、IFIT3、RIG-I、M
DA-5、TBK1、IKKe、ZFP91、ZNF198、MVP、Parp4、Ro
n、PDE6D、TLR3、STAT1、STAT2、STAT3、IFNa、IFNb
、OAS1、OAS2、OAS3、IFIT2、ISG15、ISG20、、IFI21
、IFI35、IFI6、IFITM3、IFITM2WIZ、GBP2、GBP4、S
ELL、SNX20、KLF13、GBP1、MARCKS、SLAMF1、またはSA
SH1である。本明細書で提供されるバイオマーカーの各々は、様々なアイソフォーム、
リン酸化形態、切断形態、修飾形態、及びそれらのスプライシングバリアントを含む。こ
れらのバイオマーカーの組み合わせも考えられる。
【0030】
本明細書で提供される様々な方法のいくつかの実施形態では、化合物は免疫調節化合物
である。特定の実施形態では、免疫調節化合物は、サリドマイド、レナリドマイド、及び
ポマリドマイドからなる群より選択される。一実施形態では、免疫調節化合物はサリドマ
イドである。別の実施形態では、免疫調節化合物はレナリドマイドである。さらに別の実
施形態では、免疫調節化合物はポマリドマイドである。
【0031】
本明細書で提供される様々な方法の特定の実施形態では、化合物は、パターン認識受容
体(PRR)アゴニストである。いくつかの実施形態では、PRRアゴニストは、TLR
3アゴニスト、TLR7アゴニスト、TLR8アゴニスト、TLR9アゴニスト、RIG
-1アゴニスト、MDA5アゴニスト及びAIM2アゴニストからなる群より選択される
。一実施形態では、PRRアゴニストは、TLR3アゴニストである。別の実施形態では
、PRRアゴニストは、TLR7アゴニストである。さらに別の実施形態では、PRRア
ゴニストは、TLR8アゴニストである。さらに別の実施形態では、PRRアゴニストは
、TLR9アゴニストである。一実施形態では、PRRアゴニストは、RIG-1アゴニ
ストである。別の実施形態では、PRRアゴニストは、MDA5アゴニストである。さら
に別の実施形態では、PRRアゴニストはAIM2アゴニストである。
【0032】
本明細書で提供される様々な方法の他の実施形態では、化合物は抗体である。いくつか
の実施形態では、抗体は、PD-1抗体、PD-L1抗体、PD-L2抗体、CTLA-
4抗体、CD38抗体、及びSLAMF7抗体からなる群より選択される。一実施形態で
は、抗体は、PD-1抗体である。別の実施形態では、抗体はPD-L1抗体である。さ
らに別の実施形態では、抗体は、PD-L2抗体である。さらに別の実施形態では、抗体
はCTLA-4抗体である。一実施形態では、抗体はCD38抗体である。別の実施形態
では、抗体はSLAMF7抗体である。
【0033】
いくつかの実施形態では、抗体は、ニボルマブ(すなわち、BMS-936558、M
DX-1106、ONO-4538)、MK-3475(すなわち、ペムブロリズマブ、
ランブロリズマブ)、ピジリズマブ(すなわち、CT-011)、MEDI-0680(
すなわちAMP-514)、PDR-001、デュルバルマブ(MEDI-4736)、
BMS-936559(すなわちMDX-1105)、アベルマブ(すなわち、MSB0
010718C)、アテゾリズマブ(すなわち、MPDL-3280A)、イピリムマブ
、ダラツムマブ、及びエロツズマブからなる群より選択される。一実施形態では、抗体は
ニボルマブである。別の実施形態では、抗体はMK-3475である。さらに別の実施形
態では、抗体はピジリズマブである。さらに別の実施形態では、抗体は、MEDI-06
80である。一実施形態では、抗体は、PDR-001である。別の実施形態では、抗体
はデュルバルマブである。さらに別の実施形態では、抗体は、BMS-936559であ
る。さらに別の実施形態では、抗体は、アベルマブである。一実施形態では、抗体は、ア
テゾリズマブである。別の実施形態では、抗体はイピリムマブである。さらに別の実施形
態では、抗体は、ダラツムマブである。さらに別の実施形態では、抗体はエロツズマブで
ある。
【0034】
本明細書で提供される様々な方法のさらに他の実施形態では、化合物は分子模倣物であ
る。いくつかの実施形態では、分子模倣物は、アザシチジン、ロミデプシン、ATRA、
シクロホスファミド及びCelebrex(セレブレックス)(登録商標)からなる群よ
り選択される。一実施形態では、分子模倣体はアザシチジンである。別の実施形態では、
分子模倣物は、ロミデプシンである。さらに別の実施形態では、分子模倣物は、ATRA
である。さらに別の実施形態では、分子模倣物は、シクロホスファミドである。一実施形
態では、分子模倣物は、Celebrex(登録商標)である。
【0035】
本明細書で提供される様々な方法のさらに他の実施形態では、化合物は、酵素(例えば
ヒストンデアセチラーゼ(HDAC))またはタンパク質分解系(例えばプロテアソーム
)の阻害剤である。いくつかの実施形態では、化合物はHDACの阻害剤である。特定の
実施形態では、化合物は、HADC6の阻害剤である。特定の実施形態では、化合物はA
CY-241である。他の実施形態では、化合物は、プロテアソームの阻害剤である。一
実施形態では、化合物はカルフィルゾミブである。別の実施形態では、化合物はイキサゾ
ミブである。
【0036】
いくつかの実施形態では、化合物は、抗がん化合物である。特定の実施形態では、化合
物はアントラサイクリンである。
【0037】
一実施形態では、組み合わせの化合物の1つはデキサメタゾンである。別の実施形態で
は、組み合わせの化合物の1つはCMCである。さらに別の実施形態では、組み合わせの
化合物の1つは、免疫調節化合物である。さらに別の実施形態では、組み合わせの化合物
の1つは、サリドマイド、レナリドマイド、及びポマリドマイドからなる群より選択され
る免疫調節化合物である。一実施形態では、組み合わせの化合物の1つはサリドマイドで
ある。別の実施形態では、組み合わせの化合物の1つはレナリドマイドである。さらに別
の実施形態では、組み合わせの化合物の1つはポマリドマイドである。
【0038】
特定の実施形態では、組み合わせの化合物の1つは、イキサゾミブ、カルフィルゾミブ
、エロツズマブ、ダラツムマブ、アザシチジン、ACY-241、シクロホスファミド、
デュルバルマブ、アブラキサン及びニボルマブからなる群より選択される。一実施形態で
は、組み合わせの化合物の1つは、イキサゾミブである。別の実施形態では、組み合わせ
の化合物の1つは、カルフィルゾミブである。さらに別の実施形態では、組み合わせの化
合物の1つは、エロツズマブである。さらに別の実施形態では、組み合わせの化合物の1
つは、ダラツムマブである。一実施形態では、組み合わせの化合物の1つはアザシチジン
である。別の実施形態では、組み合わせの化合物の1つは、ACY-241である。さら
に別の実施形態では、組み合わせの化合物の1つは、シクロホスファミドである。さらに
別の実施形態では、組み合わせの化合物の1つは、デュルバルマブである。一実施形態で
は、組み合わせの化合物の1つはアブラキサンである。別の実施形態では、組み合わせの
化合物の1つはニボルマブである。
【0039】
一実施形態では、化合物の組み合わせは、デキサメタゾン及びCMCを含む。別の実施
形態では、化合物の組み合わせは、デキサメタゾン及び免疫調節化合物を含む。さらに別
の実施形態では、化合物の組み合わせは、デキサメタゾン、ならびにサリドマイド、レナ
リドマイド及びポマリドマイドからなる群より選択される免疫調節化合物を含む。一実施
形態では、化合物の組み合わせは、デキサメタゾン及びサリドマイドを含む。別の実施形
態では、化合物の組み合わせは、デキサメタゾン及びレナリドマイドを含む。さらに別の
実施形態では、化合物の組み合わせは、デキサメタゾン及びポマリドマイドを含む。
【0040】
一実施形態では、化合物の組み合わせは、デキサメタゾン、CMC、ならびにイキサゾ
ミブ、カルフィルゾミブ、エロツズマブ、ダラツムマブ、アザシチジン、ACY-241
、シクロホスファミド、デュルバルマブ、アブラキサン及びニボルマブからなる群より選
択される化合物を含む。別の実施形態では、化合物の組み合わせは、デキサメタゾン、免
疫調節化合物、ならびにイキサゾミブ、カルフィルゾミブ、エロツズマブ、ダラツムマブ
、アザシチジン、ACY-241、シクロホスファミド、デュルバルマブ、アブラキサン
及びニボルマブからなる群より選択される化合物を含む。さらに別の実施形態では、化合
物の組み合わせは、デキサメタゾン、サリドマイド、ならびにイキサゾミブ、カルフィル
ゾミブ、エロツズマブ、ダラツムマブ、アザシチジン、ACY-241、シクロホスファ
ミド、デュルバルマブ、アブラキサン及びニボルマブからなる群より選択される化合物を
含む。さらに別の実施形態では、化合物の組み合わせは、デキサメタゾン、レナリドマイ
ド、ならびにイキサゾミブ、カルフィルゾミブ、エロツズマブ、ダラツムマブ、アザシチ
ジン、ACY-241、シクロホスファミド、デュルバルマブ、アブラキサン及びニボル
マブからなる群より選択される化合物を含む。さらに別の実施形態では、化合物の組み合
わせは、デキサメタゾン、ポマリドマイド、ならびにイキサゾミブ、カルフィルゾミブ、
エロツズマブ、ダラツムマブ、アザシチジン、ACY-241、シクロホスファミド、デ
ュルバルマブ、アブラキサン及びニボルマブからなる群より選択される化合物を含む。
【0041】
一実施形態では、化合物の組み合わせは、デキサメタゾン、CMC、及びイザゾミブを
含む。別の実施形態では、化合物の組み合わせは、デキサメタゾン、CMC、及びカルフ
ィルゾミブを含む。さらに別の実施形態では、化合物の組み合わせは、デキサメタゾン、
CMC及びエロツズマブを含む。さらに別の実施形態では、化合物の組み合わせは、デキ
サメタゾン、CMC、及びダラツムマブを含む。一実施形態では、化合物の組み合わせは
、デキサメタゾン、CMC、及びアザシチジンを含む。別の実施形態では、化合物の組み
合わせは、デキサメタゾン、CMC、及びACY-241を含む。さらに別の実施形態で
は、化合物の組み合わせは、デキサメタゾン、CMC、及びシクロホスファミドを含む。
さらに別の実施形態では、化合物の組み合わせは、デキサメタゾン、CMC、及びデュル
バルマブを含む。一実施形態では、化合物の組み合わせは、デキサメタゾン、CMC、及
びアブラキサンを含む。別の実施形態では、化合物の組み合わせは、デキサメタゾン、C
MC、及びニボルマブを含む。
【0042】
一実施形態では、化合物の組み合わせは、デキサメタゾン、免疫調節化合物、及びイキ
サゾミブを含む。別の実施形態では、化合物の組み合わせは、デキサメタゾン、免疫調節
化合物、及びカルフィルゾミブを含む。さらに別の実施形態では、化合物の組み合わせは
、デキサメタゾン、免疫調節化合物、及びエロツズマブを含む。さらに別の実施形態では
、化合物の組み合わせは、デキサメタゾン、免疫調節化合物、及びダラツムマブを含む。
一実施形態では、化合物の組み合わせは、デキサメタゾン、免疫調節化合物、及びアザシ
チジンを含む。別の実施形態では、化合物の組み合わせは、デキサメタゾン、免疫調節化
合物、及びACY-241を含む。さらに別の実施形態では、化合物の組み合わせは、デ
キサメタゾン、免疫調節化合物、及びシクロホスファミドを含む。さらに別の実施形態で
は、化合物の組み合わせは、デキサメタゾン、免疫調節化合物、及びデュルバルマブを含
む。一実施形態では、化合物の組み合わせは、デキサメタゾン、免疫調節化合物、及びア
ブラキサンを含む。別の実施形態では、化合物の組み合わせは、デキサメタゾン、免疫調
節化合物、及びニボルマブを含む。
【0043】
一実施形態では、化合物の組み合わせは、デキサメタゾン、サリドマイド及びイキサゾ
ミブを含む。別の実施形態では、化合物の組み合わせは、デキサメタゾン、サリドマイド
及びカルフィルゾミブを含む。さらに別の実施形態では、化合物の組み合わせは、デキサ
メタゾン、サリドマイド及びエロツズマブを含む。さらに別の実施形態では、化合物の組
み合わせは、デキサメタゾン、サリドマイド及びダラツムマブを含む。一実施形態では、
化合物の組み合わせは、デキサメタゾン、サリドマイド及びアザシチジンを含む。別の実
施形態では、化合物の組み合わせは、デキサメタゾン、サリドマイド、及びACY-24
1を含む。さらに別の実施形態では、化合物の組み合わせは、デキサメタゾン、サリドマ
イド及びシクロホスファミドを含む。さらに別の実施形態では、化合物の組み合わせは、
デキサメタゾン、サリドマイド及びデュルバルマブを含む。一実施形態では、化合物の組
み合わせは、デキサメタゾン、サリドマイド及びアブラキサンを含む。別の実施形態では
、化合物の組み合わせは、デキサメタゾン、サリドマイド及びニボルマブを含む。
【0044】
一実施形態では、化合物の組み合わせは、デキサメタゾン、レナリドマイド及びイキサ
ゾミブを含む。別の実施形態では、化合物の組み合わせは、デキサメタゾン、レナリドマ
イド及びカルフィルゾミブを含む。さらに別の実施形態では、化合物の組み合わせは、デ
キサメタゾン、レナリドマイド及びエロツズマブを含む。さらに別の実施形態では、化合
物の組み合わせは、デキサメタゾン、レナリドマイド、及びダラツムマブを含む。一実施
形態では、化合物の組み合わせは、デキサメタゾン、レナリドマイド及びアザシチジンを
含む。別の実施形態では、化合物の組み合わせは、デキサメタゾン、レナリドマイド、及
びACY-241を含む。さらに別の実施形態では、化合物の組み合わせは、デキサメタ
ゾン、レナリドマイド、及びシクロホスファミドを含む。さらに別の実施形態では、化合
物の組み合わせは、デキサメタゾン、レナリドマイド及びデュルバルマブを含む。一実施
形態では、化合物の組み合わせは、デキサメタゾン、レナリドマイド及びアブラキサンを
含む。別の実施形態では、化合物の組み合わせは、デキサメタゾン、レナリドマイド及び
ニボルマブを含む。
【0045】
一実施形態では、化合物の組み合わせは、デキサメタゾン、ポマリドマイド、及びイキ
サゾミブを含む。別の実施形態では、化合物の組み合わせは、デキサメタゾン、ポマリド
マイド、及びカルフィルゾミブを含む。さらに別の実施形態では、化合物の組み合わせは
、デキサメタゾン、ポマリドマイド及びエロツズマブを含む。さらに別の実施形態では、
化合物の組み合わせは、デキサメタゾン、ポマリドマイド及びダラツムマブを含む。一実
施形態では、化合物の組み合わせは、デキサメタゾン、ポマリドマイド及びアザシチジン
を含む。別の実施形態では、化合物の組み合わせは、デキサメタゾン、ポマリドマイド、
及びACY-241を含む。さらに別の実施形態では、化合物の組み合わせは、デキサメ
タゾン、ポマリドマイド、及びシクロホスファミドを含む。さらに別の実施形態では、化
合物の組み合わせは、デキサメタゾン、ポマリドマイド及びデュルバルマブを含む。一実
施形態では、化合物の組み合わせは、デキサメタゾン、ポマリドマイド、及びアブラキサ
ンを含む。別の実施形態では、化合物の組み合わせは、デキサメタゾン、ポマリドマイド
及びニボルマブを含む。
【図面の簡単な説明】
【0046】
【
図1】
図1は、ヒトCRBNノックイントランスジェニックマウスを作製するフローチャートを示す。
【0047】
【
図2】
図2は、マウスゲノム中のヒトCRBNにおけるノッキングの設計を示す:(A)マウスゲノム中のマウスCRBN遺伝子の一部(エキソン2及びエキソン3を含む);(B)ヒトCRBNのcDNAの一部(ヒトCRBNアイソフォーム1のコドン24から開始)、bGH pA、及び2つのloxP部位が隣接するネオマイシン選択カセットを含む標的化構築物;(C)ヒトCRBNノックイン後の標的ゲノム;(D)ネオマイシン選択カセットのCre切除後の標的ゲノム。
【0048】
【
図3A-3C】
図3A~3Cは、ドナーベクターCRBN KIベクターV2-pUCの一例のクローニング戦略を示す。
図3Aは、ネオマイシン選択カセットを欠く、合成されたCRBN KI標的化構築物を示す。Kpn I及びXho I制限部位は、ネオマイシン選択カセットの挿入部位である。
図3Bは、PB-MV1Neoのマップを示しているが、これは、Kpn I及びXho Iによって切り出され、次にCRBN KI標的化構築物に挿入される1637bp断片であるネオマイシン選択カセットを含む。
図3Cは、CRBN KIベクターV2-pUCのマップを示しており、これは(1)pUC57-Simpleクローニングベクターの骨格、(2)CRBNの断片をコードするヒトcDNA配列(コドン24、グルタミン酸から開始し、終止コドンで終わる)に続いて、組換えポリ(A)配列(例えば、bGHpA)及びネオマイシン選択カセット(PGK-EM7プロモーターに制御され、2つのloxP部位が隣接する)、ならびに(3)5kbの5’相同性アーム及び2.8kb 3’相動性アームを含む。
【0049】
【
図4】
図4は、3つのXTN(商標)TALENの試薬活性試験を示す。Cel-1アッセイは、XTN(商標)TALEN2が最も活性が高いことを示す。
【0050】
【
図5】
図5は、正しい5’及び3’標的を有し、PCRによって確認された3つのマウスESクローンのうちの2つ、D3及びE1を示す。
【0051】
【
図6】
図6は、5’標的化PCRによって確認された生殖系列伝達を有する3つのヒトCRBNトランスジェニックマウスを示す。
【0052】
【
図7】
図7は、ヒトcDNA PCRによって確認された、生殖細胞系伝達を有する3つのヒトCRBNトランスジェニックマウスを示す。
【0053】
【
図8A-8B】
図8A及び8Bは、野生型マウス、ヘテロ接合性ヒトCRBNトランスジェニックマウスまたはホモ接合性ヒトCRBNトランスジェニックマウスから単離された脾細胞におけるAiolosの分解を、化合物Bの1μMまたは10μMで24時間のエキソビボ処理後に示す。
図8Aはウエスタンブロットを示す。
図8Bは、積分強度(Aiolos対内部対照GAPDH)の比を示す。
【0054】
【
図9A-9B】
図9A及び9Bは、野生型マウス、ヘテロ接合性ヒトCRBNトランスジェニックマウスまたはホモ接合性ヒトCRBNトランスジェニックマウスから単離された脾細胞におけるIkarosの分解を、化合物Bの1μMまたは10μMで24時間のエキソビボ処理後に示す。
図9Aはウエスタンブロットを示す。
図9Bは、積分強度(Ikaros対、内部対照GAPDH)の比を示す。
【0055】
【
図10A-10B】
図10A及び10Bによって、Aiolosの分解が、0.001μM、0.01μM、0.1μM、または1μMの化合物Bで6時間エキソビボ処理した後、野生型マウス、ヘテロ接合ヒトCRBNトランスジェニックマウスまたはホモ接合ヒトCRBNトランスジェニックマウスから単離された脾細胞における化合物Bの濃度に依存性であったことが示される。
図10Aは、ウエスタンブロットを示す。
図10Bは、積分強度(Aiolos対内部対照GAPDH)の比を示す。
【0056】
【
図11A-11B】
図11A及び11Bによって、Ikarosの分解が、0.001μM、0.01μM、0.1μM、または1μMの化合物Bで6時間エキソビボ処理した後、野生型マウス、ヘテロ接合性ヒトCRBNトランスジェニックマウス、またはホモ合性ヒトCRBNトランスジェニックマウスから単離された、脾細胞における化合物Bの濃度に依存性であったことが示される。
図11Aはウエスタンブロットを示す。
図11Bは、積分強度(Ikaros対、内部対照GAPDH)の比を示す。
【0057】
【
図12A-12B】
図12A及び
図12Bは、野生型マウスまたはホモ接合性ヒトCRBNトランスジェニックマウスから単離した脾細胞におけるGSPT1の分解を、1nMまたは100nMでの化合物Cの4時間のエキソビボ処理後に示す。
図12Aはウエスタンブロットを示す。
図12Bは、積分強度の比(GSPT1対内部対照GAPDH)を示す。
【0058】
【
図13A-13B】
図13A及び13Bは、野生型マウスまたはホモ接合性ヒトCRBNトランスジェニックマウスから単離した脾細胞におけるGSPT1の分解を、100nMまたは10μMでの化合物Eの4時間のエキソビボ処理後に示す。
図13Aはウエスタンブロットを示す。
図13Bは、積分強度の比(GSPT1対内部対照GAPDH)を示す。
【発明を実施するための形態】
【0059】
5.本発明の詳細な説明
本明細書で提供される方法は、部分的に、マウスE3ユビキチンリガーゼ複合体が、複
合体の他のヒト化サブユニットを必要とすることなくヒトCRBNによって活性化され得
るという発見に基づく。
【0060】
本明細書において、ヒトCRBNトランスジェニック動物、及びヒトCRBNを発現す
るそれらの動物からの細胞、細胞株、組織、または器官が提供される。また、ヒトCRB
Nトランスジェニック動物を作製するための方法及びそのようなトランスジェニック動物
を使用する方法も提供される。
【0061】
CRBNとCMCとの間の相互作用ならびにCMCの安全性及び有効性を研究するのに
適した動物モデルを、本明細書で提供する。マウスは有用な動物モデルである;しかしな
がら、マウスCRBNは、ヒトCRBNに結合する特定の化合物(例えば、サリドマイド
)と適切に関与しない。結果として、そのような化合物に関する多くの本質的な疑問は、
マウスモデルでは適切に答えることができない。したがって、本明細書で提供されるヒト
CRBNを発現するトランスジェニックマウスは、有効性、毒性、特異性、作用機序など
のCRBNを標的とする新薬の開発に関する重要な問題に取り組む上で有用である。また
、このトランスジェニックマウスを、他の疾患モデルマウスと育種して、さらなる研究の
ためのより広いスペクトルの遺伝的背景を作製してもよい。
【0062】
本開示をさらに説明する前に、本開示は本明細書に記載の特定の実施形態に限定されず
、本明細書で使用される用語は特定の実施形態を説明する目的に過ぎず、これに限定され
るものではないことも理解されるべきである。
【0063】
5.1定義
「ヒトセレブロン」、「ヒトCRBN」または「hCRBN」という用語は、ポリペプ
チド(「ポリペプチド」、「ペプチド」及び「タンパク質」は本明細書では互換的に使用
される)であって、ヒトCRBNタンパク質のアミノ酸配列(例えば、以下のアミノ酸配
列を有するヒトCRBNアイソフォーム1、GenBankアクセッション番号NP_0
57386:MAGEGDQQDAAHNMGNHLPLLPAESEEEDEMEVE
DQDSKEAKKPNIINFDTSLPTSHTYLGADMEEFHGRTLHD
DDSCQVIPVLPQVMMILIPGQTLPLQLFHPQEVSMVRNLI
QKDRTFAVLAYSNVQEREAQFGTTAEIYAYREEQDFGIEI
VKVKAIGRQRFKVLELRTQSDGIQQAKVQILPECVLPSTM
SAVQLESLNKCQIFPSKPVSREDQCSYKWWQKYQKRKFHC
ANLTSWPRWLYSLYDAETLMDRIKKQLREWDENLKDDSLP
SNPIDFSYRVAACLPIDDVLRIQLLKIGSAIQRLRCELDI
MNKCTSLCCKQCQETEITTKNEIFSLSLCGPMAAYVNPHG
YVHETLTVYKACNLNLIGRPSTEHSWFPGYAWTVAQCKIC
ASHIGWKFTATKKDMSPQKFWGLTRSALLPTIPDTEDEIS
PDKVILCL(配列番号1);または以下のアミノ酸配列を有する、ヒトCRBNア
イソフォーム2、GenBankアクセッション番号NP_001166953:MAG
EGDQQDAAHNMGNHLPLLPESEEEDEMEVEDQDSKEAKKP
NIINFDTSLPTSHTYLGADMEEFHGRTLHDDDSCQVIPVL
PQVMMILIPGQTLPLQLFHPQEVSMVRNLIQKDRTFAVLA
YSNVQEREAQFGTTAEIYAYREEQDFGIEIVKVKAIGRQR
FKVLELRTQSDGIQQAKVQILPECVLPSTMSAVQLESLNK
CQIFPSKPVSREDQCSYKWWQKYQKRKFHCANLTSWPRWL
YSLYDAETLMDRIKKQLREWDENLKDDSLPSNPIDFSYRV
AACLPIDDVLRIQLLKIGSAIQRLRCELDIMNKCTSLCCK
QCQETEITTKNEIFSLSLCGPMAAYVNPHGYVHETLTVYK
ACNLNLIGRPSTEHSWFPGYAWTVAQCKICASHIGWKFTA
TKKDMSPQKFWGLTRSALLPTIPDTEDEISPDKVILCL(配
列番号2)、その各々は、その全体が参照によって本明細書に援用される)、及び関連の
ポリペプチド、例としては、そのSNPバリアントを含むポリペプチドを指す。関連のヒ
トCRBNポリペプチドとしては、対立遺伝子バリアント(例えば、SNPバリアント)
、スプライスバリアント、断片、誘導体、置換バリアント、欠失バリアント、挿入バリア
ント、融合ポリペプチド、及び種間相同体が挙げられ、これは特定の実施形態では、ヒト
CRBN活性を保持するか、及び/または抗hCRBN免疫応答を生成するに十分である
。
【0064】
「マウスセレブロン」、「マウスCRBN」または「mCRBN」という用語は、ポリ
ペプチド(「ポリペプチド」、「ペプチド」及び「タンパク質」は本明細書では互換的に
使用される)であって、マウスCRBNタンパク質のアミノ酸配列(例えば、以下のアミ
ノ酸配列を有するマウスCRBNアイソフォーム1、GenBankアクセッション番号
NP_067424.2:
MAGEGDQQDAAHNMGNHLPLLPDSEDEDDEIEMEVEDQDS
KEARKPNIINFDTSLPTSHTYLGADMEEFHGRTLHDDDSC
QVIPVLPEVLMILIPGQTLPLQLSHPQEVSMVRNLIQKDR
TFAVLAYSNVQEREAQFGTTAEIYAYREEQEFGIEVVKVK
AIGRQRFKVLELRTQSDGIQQAKVQILPECVLPSTMSAVQ
LESLNKCQVFPSKPISWEDQYSCKWWQKYQKRKFHCANLT
SWPRWLYSLYDAETLMDRIKKQLREWDENLKDDSLPENPI
DFSYRVAACLPIDDVLRIQLLKIGSAIQRLRCELDIMNKC
TSLCCKQCQETEITTKNEIFSLSLCGPMAAYVNPHGYVHE
TLTVYKASNLNLIGRPSTVHSWFPGYAWTIAQCKICASHI
GWKFTATKKDMSPQKFWGLTRSALLPTIPETEDEISPDKV
ILCL(配列番号3);または以下のアミノ酸配列を有するマウスCRBNアイソフォ
ーム2、GenBankアクセッション番号NP_780566.1:MAGEGDQQ
DAAHNMGNHLPLLPADSEDEDDEIEMEVEDQDSKEARKPN
IINFDTSLPTSHTYLGADMEEFHGRTLHDDDSCQVIPVLP
EVLMILIPGQTLPLQLSHPQEVSMVRNLIQKDRTFAVLAY
SNVQEREAQFGTTAEIYAYREEQEFGIEVVKVKAIGRQRF
KVLELRTQSDGIQQAKVQILPECVLPSTMSAVQLESLNKC
QVFPSKPISWEDQYSCKWWQKYQKRKFHCANLTSWPRWLY
SLYDAETLMDRIKKQLREWDENLKDDSLPENPIDFSYRVA
ACLPIDDVLRIQLLKIGSAIQRLRCELDIMNKCTSLCCKQ
CQETEITTKNEIFSLSLCGPMAAYVNPHGYVHETLTVYKA
SNLNLIGRPSTVHSWFPGYAWTIAQCKICASHIGWKFTAT
KKDMSPQKFWGLTRSALLPTIPETEDEISPDKVILCL(配列
番号4)、これらの各々は、その全体が参照により本明細書に組み込まれる)、及び関連
ポリペプチド(そのSNPバリアントを含む)を含む、ポリペプチドを指す。関連するマ
ウスCRBNポリペプチドとしては、特定の実施形態では、マウスCRBN活性を保持す
るか、及び/または抗mCRBN免疫応答を生成するのに十分である、対立遺伝子バリア
ント(例えば、SNPバリアント)、スプライスバリアント、断片、誘導体、置換バリア
ント、欠失バリアント、挿入バリアント、融合ポリペプチド及び種間相同体が挙げられる
。
【0065】
本明細書中で使用される場合、「セレブロン関連タンパク質」、「CRBN関連タンパ
ク質」または「CAP」という用語は、任意の種(例えば、hCRBNまたはmCRBN
)由来のCRBNタンパク質と、直接的または間接的に相互作用するか、または結合する
タンパク質を指す。例えば、この用語は、セレブロンに直接結合する任意のタンパク質、
ならびにセレブロン経路の間接的下流エフェクターである任意のタンパク質を指す。特定
の実施形態では、「CAP」は、CRBNの基質、例えば、CRBNを含むE3ユビキチ
ンリガーゼ複合体のタンパク質基質、またはその下流の基質である。
【0066】
本明細書で使用する「動物」という用語には、ヒト以外の全ての脊椎動物及び無脊椎動
物が含まれる。また、胚及び胎児期を含む、発達の全ての段階における個々の動物も含ま
れる。
【0067】
「トランスジェニック動物」という用語は、その細胞の一部もしくは全部において染色
体外要素として非内因性(すなわち外因性)核酸配列を有するか、またはその生殖系列D
NA(すなわち、その細胞の大部分または全部のゲノム配列中に)安定して組み込まれて
いる、動物(例えば、マウス、ラット、ハムスター、ブタ、ウシなど)を指す。異種核酸
は、例えば、宿主動物の卵、胚または胚性幹細胞の遺伝子操作、及び遺伝子操作された卵
、胚または胚性幹細胞から生成される子孫動物のその後の育種によって、そのようなトラ
ンスジェニック動物の生殖系列に導入される。
【0068】
「生殖系列伝達」を有するトランスジェニック動物とは、遺伝情報が生殖系列細胞に導
入され、それによって遺伝子情報を子孫に伝達する能力を付与するトランスジェニック動
物を指す。そのような子孫が実際にその遺伝情報の一部または全部を所有している場合、
その子孫もトランスジェニック動物である。
【0069】
「トランスフェクション」という用語は、細胞による非内因性(すなわち、外因性また
は外来性)DNAの取り込みを指す。トランスフェクションは、一過性トランスフェクシ
ョン(すなわち、導入されたDNAは、染色体外に残っており、細胞分裂中に希釈される
)であっても、または安定なトランスフェクション(すなわち、導入されたDNAが細胞
ゲノムに組み込まれるかまたは安定したエピソーム要素として維持される)であってもよ
い。
【0070】
本明細書においてヒトCRBNの修飾因子として使用される場合、「生物学的に活性な
」または「機能的」という用語は、天然のヒトCRBNに起因する機能的特徴の少なくと
も1つを示すポリペプチド、例えば、E3ユビキチン-リガーゼ複合体を形成し、標的タ
ンパク質のユビキチン化及びその後のプロテアソーム分解を媒介する能力を示すポリペプ
チドを指す。
【0071】
遺伝子の「ノックアウト」という用語は、標的遺伝子の発現及び/または機能の低下を
もたらす遺伝子配列の改変を意味し、好ましくは、標的遺伝子発現は、検出できないかま
たは有意ではない。内因性遺伝子のノックアウトとは、遺伝子の発現及び/または機能が
実質的に低下して、その結果、それが検出できないか、またはわずかしか存在しないこと
を意味する。「ノックアウト」トランスジェニックとは、遺伝子のヘテロ接合性ノックア
ウトまたは遺伝子のホモ接合性ノックアウトを有するトランスジェニック動物であり得る
。「ノックアウト」としてはまた、標的遺伝子の改変を促進する物質への動物の曝露、標
的遺伝子部位での組換えを促進する酵素の導入などの特定の条件が満たされたときに標的
遺伝子の改変が起こり得る、条件付きノックアウト(例えば、Cre-lox系のCre
)、または標的遺伝子改変を出生後に指示する他の条件が挙げられる。
【0072】
標的遺伝子の「ノックイン」という用語は、例えば、標的遺伝子の1つ以上のコピーの
導入によって、または標的遺伝子の発現を増強する調節配列を機能的に挿入することによ
って、標的遺伝子の変化した(例えば、増大した(異所性を含む))発現をもたらす宿主
細胞ゲノムにおける改変を意味する。標的遺伝子は、内因性であっても非内因性でもよい
。本発明の目的の「ノックイン」トランスジェニック動物は、ヒトまたはヒト化CRBN
またはその断片のノックインを有するトランスジェニック動物である。そのようなトラン
スジェニック動物は、ヒトもしくはヒト化CRBN遺伝子のためのヘテロ接合性ノックイ
ンであってもよく、またはヒトもしくはヒト化CRBN遺伝子のノックインのためのホモ
接合性であってもよい。条件付き「ノックアウト」と同様に、「ノックイン」はまた、条
件付きノックインを包含し、ここで標的遺伝子の変化した発現は、特定の条件を満たすと
起こり得る。
【0073】
「構築物」という用語は、特定のヌクレオチド配列の発現の目的ために生成されるか、
または他の組換えヌクレオチド配列の構築に使用される、組換え核酸、一般に組換えDN
Aを指す。
【0074】
「ベクター」という用語は、遺伝子配列を標的細胞(例えば、ウイルスベクター、非ウ
イルスベクター、微粒子担体、及びリポソーム)に移すことができる核酸アセンブリを指
す。「発現ベクター」という用語は、細胞中の目的の配列または遺伝子の発現を指令し得
るプロモーターを含む核酸アセンブリを指す。本明細書において互換的に使用される場合
、「ベクター構築物」、「発現ベクター」、「発現構築物」及び「遺伝子導入ベクター」
は、遺伝子配列を標的細胞に移入し得、その標的細胞中で遺伝子の発現を指令し得る任意
の核酸構築物を指す。したがって、この用語は、クローニング及び発現ビヒクル、ならび
にウイルスベクターを包含する。
【0075】
本明細書において交換可能に使用される「プロモーターエレメント」及び「プロモータ
ー」という用語は、細胞内で(例えば、直接的にまたは他のプロモーターに結合したタン
パク質または物質を介して)RNAポリメラーゼに結合し得、コード配列の転写を開始し
得るDNA調節性配列を指す。プロモーターは、エンハンサー及びリプレッサー配列を含
む他の発現制御配列と機能的に関連していてもよい。
【0076】
「作動可能に連結された」という用語は、標的遺伝子をコードするDNA配列及びDN
A調節配列(例えば、プロモーター)が、適切な分子(例えば、転写因子)が調節配列に
結合するとき、標的遺伝子の発現を可能にするように接続されることを意味する。
【0077】
「~に相当する、~に対応する」または「~に相当している、~に対応している」とい
う用語は、指定された配列と相同、実質的に等価または機能的に等価であることを指す。
【0078】
「トランスジェニック構築物」、「トランスジェニック遺伝子構築物」または「標的化
構築物」という用語は、宿主細胞に導入され得、かつその宿主細胞中でポリヌクレオチド
を発現し得る、対象ポリヌクレオチド、例えばヒトCRBNポリヌクレオチドまたはその
断片を含有する核酸分子を指す。
【0079】
「核酸」、「オリゴヌクレオチド」及び「ポリヌクレオチド」という用語は、本明細書
中で互換的に使用されて、ヌクレオチドからなる任意の長さのポリマー、例えば、デオキ
シリボヌクレオチドもしくはリボヌクレオチド、または合成的に生じる化合物(これは、
2つの天然に存在する核酸のものと類似の配列特異的方式で天然に存在する核酸とハイブ
リダイズし得、例えば、ワトソン-クリック塩基対形成相互作用に関与し得る)を述べる
。本明細書においてポリヌクレオチド配列の文脈で使用される場合、「塩基」(または「
塩基(複数)」)という用語は、「ヌクレオチド」(または「ヌクレオチド(複数)」)
、すなわち、ポリヌクレオチドのモノマーサブユニットと同義である。「ヌクレオシド」
及び「ヌクレオチド」という用語は、既知のプリン及びピリミジン塩基だけでなく、改変
された他の複素環塩基も含む部分も含むことが意図される。このような修飾には、メチル
化プリンまたはピリミジン、アシル化プリンまたはピリミジン、アルキル化リボースまた
は他の複素環が挙げられる。さらに、「ヌクレオシド」及び「ヌクレオチド」という用語
には、従来のリボース及びデオキシリボース糖だけでなく他の糖も含む部分が含まれる。
改変されたヌクレオシドまたはヌクレオチドはまた、例えば、ヒドロキシル基の1つ以上
がハロゲン原子もしくは脂肪族基で置換されているか、またはエーテル、アミンなどとし
て官能化されている糖部分の修飾を含む。「類似体」とは、模倣物、誘導体、類似の構造
または他の同様の用語であるとして文献で認識されている構造的特徴を有する分子を指し
、これには、例えば、非天然ヌクレオチドを組み込むポリヌクレオチド、ヌクレオチド模
倣物、例えば、2’-修飾ヌクレオシド、ペプチド核酸、オリゴマーヌクレオシドホスホ
ネート、及び保護基または連結部分のような置換基を付加した任意のポリヌクレオチドが
挙げられる。
【0080】
本明細書において交換可能に使用される「ペプチド」、「ポリペプチド」及び「タンパ
ク質」という用語は、ペプチド結合を介して連結された直列アレイ中の3つ以上のアミノ
酸のポリマーを指す。「ポリペプチド」という用語は、タンパク質、タンパク質断片、タ
ンパク質類似体、オリゴペプチドなどを包含する。本明細書で使用する「ポリペプチド」
という用語は、ペプチドを指す場合もある。ポリペプチドを構成するアミノ酸は、天然由
来であってもよいし、合成されていてもよい。ポリペプチドは、生物学的試料から精製し
てもよい。ポリペプチド、タンパク質、またはペプチドはまた、修飾ポリペプチド、タン
パク質、及びペプチド、例えば、グリコポリペプチド、糖タンパク質、もしくは糖ペプチ
ド;またはリポポリペプチド、リポタンパク質もしくはリポペプチドを包含する。
【0081】
「細胞」または「細胞(複数)」という用語は、特定の対象細胞だけでなく、そのよう
な細胞(複数可)の子孫または可能性のある子孫をも指す。本明細書中で使用される用語
の範囲は、突然変異または環境の影響に起因して、後の世代において特定の改変が起こり
得るため、実際には親細胞と同一ではない場合もある子孫を包含する。
【0082】
本明細書中で使用される場合、「がん」及び「がん性」という用語は、典型的には調節
されていない細胞増殖を特徴とする哺乳動物における生理学的状態を指すか、または記載
する。がんの例としては、限定するものではないが、血液媒介癌(例えば、多発性骨髄腫
、リンパ腫及び白血病)及び固形癌が挙げられる。「がん」という用語は、限定するもの
ではないが、膀胱、骨、血液、脳、乳房、子宮頸部、胸部、結腸、子宮内膜、食道、眼、
頭部、腎臓、肝臓、リンパ節、肺、口、頸部、卵巣、膵臓、前立腺、直腸、皮膚、胃、精
巣、咽喉及び子宮のがんを含む組織または器官の疾患を指す。特定のがんとしては、限定
するものではないが、進行悪性腫瘍、アミロイドーシス、神経芽腫、髄膜腫、血管周囲細
胞腫、多形性脳芽細胞腫、多形膠芽腫、膠芽腫、脳幹神経膠腫、予後不良悪性脳腫瘍、悪
性神経膠腫、再発性悪性神経膠腫、未分化星状細胞腫、未分化希突起グリオーマ、神経内
分泌腫瘍、直腸腺癌、デュークスC&D結腸直腸癌、切除不能結腸直腸癌、転移性肝細胞
癌、カポジ肉腫、カロトタイプ急性骨髄芽球性白血病、ホジキンリンパ腫、非ホジキンリ
ンパ腫、皮膚T細胞リンパ腫、皮膚B細胞リンパ腫、びまん性大細胞B細胞リンパ腫、低
悪性度濾胞性リンパ腫、悪性黒色腫、悪性中皮腫、悪性胸水浸潤中皮腫症候群、腹膜癌、
乳頭状漿液癌、婦人科肉腫、軟部組織肉腫、強皮症、皮膚血管炎、ランゲルハンス細胞組
織球症、平滑筋肉腫、進行性骨化性線維形成異常症、ホルモン抵抗性前立腺癌、切除高リ
スク軟部組織肉腫、切除不能肝細胞癌、ワルデンストレームマクログロブリン血症、くす
ぶり型骨髄腫、無痛性骨髄腫、卵管癌、アンドロゲン非依存性前立腺癌、アンドロゲン依
存性ステージIV非転移性前立腺癌、ホルモン非感受性前立腺癌、化学療法非感受性前立
腺癌、乳頭状甲状腺癌、濾胞性甲状腺癌、髄様甲状腺癌及び平滑筋腫が挙げられる。
【0083】
本明細書中で使用されているように、他に特定しない限り、「治療する」、「治療する
こと」及び「治療」という用語は、患者が特定の疾患に罹患している間に起こる作用であ
って、その疾患の重篤度を低下するか、またはその疾患の進行を遅らせるか、もしくは遅
延させる作用を指す。
【0084】
本明細書において交換可能に使用される場合、「化合物」及び「処置化合物」という用
語は、任意の薬学的に許容可能な形態の分子を包含し、これにはその立体異性体または立
体異性体の混合物、互変異性体、薬学的に許容される塩、溶媒和物、同位体置換体、プロ
ドラッグ、水和物、共結晶、包接体、または多形体を含む。特に、化合物が光学活性であ
る場合、化合物への言及は、化合物のエナンチオマーのそれぞれ、ならびにエナンチオマ
ーのラセミ混合物を包含し得る。
【0085】
「CRBN E3ユビキチンリガーゼ調節化合物」または「CMC」という用語は、C
RBN E3ユビキチンリガーゼ複合体を直接または間接的に調節する分子を指す。いく
つかの実施形態では、CMCは、CRBNに直接結合し、CRBNタンパク質の構造変化
を誘導し得る。他の実施形態では、CMCは、CRBN E3ユビキチンリガーゼ複合体
の他のサブユニットに直接結合し得る。
【0086】
「免疫調節化合物」という用語は、インビトロ(例えば、単離された細胞、細胞株、組
織、または器官)またはインビボ(例えば、動物中)で免疫調節活性を有する、すなわち
、免疫または炎症性応答を調節する分子を指す。免疫調節化合物の非限定的な例としては
、サリドマイド、レナリドマイド、ポマリドマイドが挙げられる。
【0087】
「生物学的マーカー」または「バイオマーカー」とは、その検出が特定の生物学的状態
、例えば、ある疾患の存在を示す物質である。いくつかの実施形態では、バイオマーカー
は個々に決定することができる。他の実施形態では、いくつかのバイオマーカーを同時に
測定することができる。いくつかの実施形態では、「バイオマーカー」は、疾患のリスク
もしくは進行、または所与の処置に対する疾患の感受性と相関し得るmRNA発現のレベ
ルの変化を示す。いくつかの実施形態では、バイオマーカーは、mRNAまたはcDNA
などの核酸である。核酸の相対的なレベルは、当該分野で公知の方法によって決定するこ
とができる。例えば、ノーザンブロット、RT-PCR、または他の方法を用いてもよい
。さらなる実施形態では、「バイオマーカー」は、疾患のリスクもしくは進行または処置
に対する患者の感受性と相関し得る、ポリペプチドまたはタンパク質発現のレベルの変化
を示す。いくつかの実施形態では、バイオマーカーは、ポリペプチドもしくはタンパク質
、またはその断片であってもよい。特異的タンパク質の相対的レベルは、当技術分野で公
知の方法によって決定してもよい。例えば、抗体ベースの方法、例えば、イムノブロット
、酵素結合免疫吸着アッセイ(ELISA)、または他の方法を使用してもよい。
【0088】
本明細書において交換可能に使用される「抗体」、「免疫グロブリン」または「Ig」
という用語は、抗原に特異的に結合する能力を保持する完全にアセンブルした抗体及び抗
体断片を包含する。本明細書に提供される抗体としては、限定するものではないが、合成
抗体、モノクローナル抗体、ポリクローナル抗体、組換え産生抗体、多重特異性抗体(二
重特異性抗体を含む)、ヒト抗体、ヒト化抗体、キメラ抗体、イントラボディ、一本鎖F
v(scFv)(例えば、単一特異的、二価特異的など)、ラクダ化抗体、Fab断片、
F(ab’)断片、ジスルフィド結合Fv(sdFv)、抗イディオタイプ(抗Id)抗
体、及び上記のいずれかのエピトープ結合断片が挙げられる。具体的には、本明細書で提
供される抗体としては、免疫グロブリン分子及び免疫グロブリン分子の免疫学的に活性な
部分、すなわち、抗原結合ドメインまたはCRBN抗原に免疫特異的に結合する抗原結合
部位を含む分子(例えば、抗CRBN抗体の1つ以上の相補性決定領域(CDR))が挙
げられる。本明細書で提供される抗体は、免疫グロブリン分子の任意のクラス(例えば、
IgG、IgE、IgM、IgD及びIgA)または任意のサブクラス(例えば、IgG
1、IgG2、IgG3、IgG4、IgA1及びIgA2)であってもよい。いくつか
の実施形態では、抗CRBN抗体は、完全ヒト型モノクローナルCRBN抗体などの完全
ヒト抗体である。特定の実施形態では、本明細書で提供される抗体は、IgG抗体、また
はそのサブクラス(例えば、ヒトIgG1またはIgG4)である。
【0089】
本明細書で使用される「発現する」または「発現」という用語は、遺伝子の2つの核酸
鎖のうちの1つの領域に対して、少なくとも部分的に相補的なメッセンジャーRNA(m
RNA)分子を産生する遺伝子(例えば、遺伝子をコードするDNA配列)からの転写を
指す。本明細書で使用する「発現した」または「発現」という用語はまた、タンパク質、
ポリペプチド、またはその一部を産生するmRNA分子からの翻訳を指す。
【0090】
「レベル」という用語は、バイオマーカー分子の量、蓄積または速度を指す。レベルは
、例えば、ある遺伝子によってコードされるmRNAの量もしくは合成速度、ある遺伝子
によってコードされるポリペプチドもしくはタンパク質の量もしくは合成速度、またはあ
る細胞もしくは生物学的液体中に蓄積された生物学的分子の量もしくは合成速度によって
提示され得る。「レベル」という用語は、定常状態または非定常状態条件下で決定される
、試料中の分子の絶対量または分子の相対量を指す。
【0091】
本明細書で使用する「決定する」、「測定する」、「推定する」、「評価する」及び「
アッセイする」という用語は、一般に、任意の形態の測定を指し、ある要素が存在するか
否かを決定することを包含する。これらの用語には、定量的及び/または定性的な決定が
含まれる。評価は、相対的であっても、または絶対的なものであってもよい。「存在の評
価」は、存在するものの量を決定すること、及びそれが存在するか否かを決定することを
包含し得る。
【0092】
「相補的」という用語は、ポリヌクレオチドの配列に基づくポリヌクレオチド間の特異
的結合を指す。本明細書中で使用される場合、第1のポリヌクレオチド及び第2のポリヌ
クレオチドは、それらがストリンジェントな条件下でハイブリダイゼーションアッセイに
おいて互いに結合する場合、例えば、ハイブリダイゼーションアッセイにおいて所定レベ
ルまたは検出可能なレベルのシグナルを生成する場合に、相補的である。ポリヌクレオチ
ドの部分は、ミスマッチ、挿入、または欠損した配列の小さな領域(例えば、約3塩基未
満)が存在してもよいが、AとT(またはU)との対及びGとCとの対のような従来の塩
基対形成規則に従う場合、互いに対して相補的である。
2つの核酸配列の文脈における「配列同一性」または「同一性」とは、特定の比較ウィ
ンドウにわたって最大の対応のために整列される場合に同じであり、付加、欠失及び置換
を考慮し得る2つの配列中の残基を指す。当業者は、比較される配列の全長にわたって最
大のアラインメントを達成するために必要な任意のアルゴリズムを含む、配列を整列させ
るための適切なパラメーターを決定し得る。
【0093】
ポリヌクレオチドの文脈におけるそれらの様々な文法的形態における「実質的同一性」
または「相同」という用語は、一般に、あるポリヌクレオチドが、所望の同一性、例えば
少なくとも60%の同一性、少なくとも70%の同一性、少なくとも80%の同一性、少
なくとも90%の同一性、少なくとも95%の同一性、または少なくとも99%の同一性
を参照配列と比較して有する配列を含むことを意味する。ヌクレオチド配列が実質的に同
一であるという別の指標は、2つの分子がストリンジェントな条件下で互いにハイブリダ
イズするかどうかである。
【0094】
「単離された」及び「精製された」という用語は、物質(例えば、mRNA、DNA、
またはタンパク質)とともに使用される場合、その物質(例えば、mRNA、DNAまた
はタンパク質)の単離であって、それが存在する試料の実質的な部分、すなわち典型的に
は天然または非単離状態で見出される物質の部分よりも大きい部分をその物質が含むよう
な物質の単離を指す。典型的には、試料の実質的な部分は、例えば試料の1%以上、2%
以上、5%以上、10%以上、20%以上、50%以上、通常は、最大約90%~100
%を含む。例えば、単離されたmRNAの試料は、典型的には、少なくとも約1%の総m
RNAを含んでもよい。ポリヌクレオチドを精製する技術は、当該技術分野において周知
であり、例えば、ゲル電気泳動、イオン交換クロマトグラフィー、アフィニティークロマ
トグラフィー、フローソーティング、及び密度による沈降が挙げられる。
【0095】
本明細書中で使用される場合、「結合」という用語は、直接的または間接的な結合を示
す。化学構造の文脈において、「結合した」(または「結合された」)とは、2つの部分
を直接結合するか、または2つの部分を間接的に結合する(例えば、連結基または分子の
他の任意の介在部分を介する)化学結合の存在を指す場合がある。化学結合は、共有結合
、イオン結合、配位錯体、水素結合、ファンデルワールス相互作用、もしくは疎水性スタ
ッキングであってもよく、または複数のタイプの化学結合の特性を示す場合もある。特定
の例において、「結合された」には、その結合が直接的である実施形態及びその結合が間
接的である実施形態が含まれる。
【0096】
本明細書で使用される「試料」という用語は、典型的には必ずしもそうではないが、流
体型の材料または材料の混合物に関し、これには、目的の1つ以上の成分を含む。「試料
」とは、生物学的な組織または流体起源の試料を含む生物学的対象から得られた生物学的
試料であってもよく、インビボまたはインサイチュで得られても、到達されても、または
収集されてもよい。生物学的試料としてはまた、前がん細胞またはがん細胞または組織を
含有する生物学的対象の領域由来の試料も含む。そのような試料は、限定するものではな
いが、哺乳動物から単離された器官、組織、及び細胞であってもよい。例示的な生物学的
試料としては、限定するものではないが、細胞溶解物、細胞培養物、細胞株、組織、口腔
組織、胃腸組織、器官、オルガネラ、生物学的液体、血液試料、尿試料、皮膚試料などが
挙げられる。好ましい生物学的試料としては、限定するものではないが、全血、部分精製
血液、PBMC、組織生検などが挙げられる。
【0097】
本明細書中で使用される「ポリメラーゼ連鎖反応」または「PCR」という用語は、一
般に、例えば、米国特許第4,683,195号に記載されているように、少量の核酸、
RNA及び/またはDNAが増幅される手順を指す。一般には、オリゴヌクレオチドプラ
イマーを設計することができるように、目的の領域の末端または範囲外からの配列情報が
利用可能である必要がある;これらのプライマーは、増幅されるべき鋳型の反対側の鎖と
配列が同一または類似するであろう。2つのプライマーの5’末端ヌクレオチドは、増幅
された物質の末端と一致し得る。PCRは、特定のRNA配列、全ゲノムDNA由来の特
定のDNA配列、及び全細胞RNAから転写されたcDNA、バクテリオファージ、また
はプラスミド配列などを増幅するために使用され得る。一般的には、Mullis et
al.,Cold Spring Harbor Symp.Quant.Biol.
1987,51:263-273;PCR Technology(Stockton
Press,NY,Erlich,ed.,1989)を参照のこと。
【0098】
「互変異性体」は、本明細書中で使用される場合、互いの平衡状態にある化合物の異性
体型を指す。異性体型の濃度は、その化合物が見出される環境に依存し、例えば、その化
合物が固体であるか、または有機もしくは水溶液中にあるかによって異なる場合がある。
例えば、水溶液中で、ピラゾールは、互いの互変異性体と呼ばれる以下の異性体型を呈す
る場合がある:
【化1】
。
【0099】
本明細書中で使用され、かつ他に示されない限り、「薬学的に許容される塩」という用
語は、その用語が指す化合物の非毒性の酸及び塩基付加塩を包含する。許容される非毒性
酸付加塩としては、例えば、塩酸、臭化水素酸、リン酸、硫酸、メタンスルホン酸、酢酸
、酒石酸、乳酸、コハク酸、クエン酸、リンゴ酸、マレイン酸、ソルビン酸、アコニット
酸、サリチル酸、フタル酸、エンボリック酸(embolic acid)、エナント酸
などを含む当業界で公知の有機及び無機酸から誘導される塩が挙げられる。性質が酸性で
ある化合物は、様々な薬学的に許容される塩基と塩を形成し得る。このような酸性化合物
の薬学的に許容される塩基付加塩を製造するために使用することができる塩基は、非毒性
の塩基付加塩、すなわち薬理学的に許容されるカチオン、例えば、限定するものではない
が、アルカリ金属またはアルカリ土類金属塩(特に、カルシウム塩、マグネシウム塩、ナ
トリウム塩、またはカリウム塩)を含む塩を形成する塩基である。適切な有機塩基として
は、限定するものではないが、N,N-ジベンジルエチレンジアミン、クロロプロカイン
、コリン、ジエタノールアミン、エチレンジアミン、メグルマイン(N-メチルグルカミ
ン)、リジン及びプロカインが挙げられる。
【0100】
本明細書中で使用される場合、他に示されない限り、「溶媒和物」という用語は、非共
有結合分子間力によって結合された化学量論量または非化学量論量の溶媒をさらに含む本
明細書に提供される化合物またはその塩を意味する。溶媒が水である場合、溶媒和物は水
和物である。
【0101】
本明細書中で使用される場合、他に示されない限り、用語「共結晶」は、結晶格子中に
2つ以上の化合物を含む結晶形を意味する。共結晶は、非イオン性相互作用を介して結晶
格子中に一緒に結合した2つ以上の不揮発性化合物の結晶性分子複合体を含む。本明細書
で使用される場合、共結晶は、治療用化合物及び1つ以上の追加の不揮発性化合物(複数
可)(本明細書では対抗分子(複数可)と呼ばれる)を含む結晶性分子複合体を含む医薬
用共結晶を含む。医薬用共結晶中の対向分子は、典型的には、例えば、食品添加物、防腐
剤、薬学的賦形剤、または他の活性医薬成分(API)などの非毒性の薬学的に受容可能
な分子である。いくつかの実施形態では、医薬品共結晶は、APIの化学構造的完全性を
損なうことなく、薬物製品の特定の物理化学的特性(例えば、溶解度、溶解速度、バイオ
アベイラビリティ及び/または安定性)を高める。例えば、Jones et al.,
MRS Bulletin 2006,31,875-879;Trask,Mol.P
harmaceutics 2007,4(3):301-309;Schulthei
ss & Newman,Crystal Growth & Design 2009
,9(6):2950-2967;Shan & Zaworotko,Drug Di
scovery Today 2008,13(9/10):440-446;ならびに
Vishweshwar et al.,J.Pharm.Sci.2006,95(3
):499-516を参照のこと。
【0102】
本明細書中で使用される場合、及び他に特定しない限り、「立体異性体」という用語は
、本発明の全ての鏡像異性/立体異性的に純粋で、及び鏡像異性/立体異性的に濃縮され
た化合物を包含する。
【0103】
本明細書中で使用される場合、他に示されない限り、「立体異性的に純粋な」という用
語は、化合物の1つの立体異性体を含み、その化合物の他の立体異性体を実質的に含まな
い組成物を意味する。例えば、1つのキラル中心を有する化合物の立体異性的に純粋な組
成物は、その化合物の反対のエナンチオマーを実質的に含まない。2つのキラル中心を有
する化合物の立体異性的に純粋な組成物は、その化合物の他のジアステレオマーを実質的
に含まない。典型的な立体異性的に純粋な化合物は、測定誤差内で、約80重量%超の化
合物の1つの立体異性体、約20重量%未満の化合物の他の立体異性体、より好ましくは
約90重量%超の化合物の1つの立体異性体及び約10重量%未満の化合物の他の立体異
性体、さらにより好ましくは約95重量%超の化合物の1つの立体異性体、及び約5重量
%未満の化合物の他の立体異性体、さらにより好ましくは約97重量%超の化合物の1つ
の立体異性体、及び約3重量%未満の化合物の他の立体異性体、さらにより好ましくは約
99重量%超の化合物の1つの立体異性体、及び約1重量%未満の化合物の他の立体異性
体、さらにより好ましくは約99.9重量%超の化合物の1つの立体異性体、及び約0.
1重量%未満の化合物の他の立体異性体、及び最も好ましくは約100重量%の化合物の
1つの立体異性体及び約0重量%の化合物の他の立体異性体を含む。
【0104】
本明細書中で使用される場合、他に示されない限り、「立体異性的に濃縮された」とい
う用語は、約60重量%超の化合物の1つの立体異性体、好ましくは約70重量%超、さ
らに好ましくは80重量%超の化合物の1つの立体異性体を含む組成物を意味する。本明
細書中で使用されるように、他に示されない限り、「エナンチオマー的に純粋な」という
用語は、1つのキラル中心を有する化合物の立体異性的に純粋な組成物を意味する。同様
に、「立体異性的に濃縮された」という用語は、1つのキラル中心を有する化合物の立体
的に濃縮された組成物を意味する。
【0105】
本明細書中で使用される場合、他に特定しない限り、「プロドラッグ」という用語は、
化合物を提供するために生物学的条件下(インビトロまたはインビボ)で加水分解、酸化
またはその他の方法で反応することができる化合物の誘導体を意味する。プロドラッグの
例としては、限定するものではないが、生加水分解性アミド、生加水分解性エステル、生
加水分解性カルバメート、生加水分解性カーボネート、生加水分解性ウレイド、及び生加
水分解性リン酸類似体などの生加水分解性部分を含む化合物が挙げられる。プロドラッグ
の他の例としては、-NO、-NO2、-ONOまたは-ONO2部分を含む化合物が挙
げられる。プロドラッグは、典型的には、Burger’s Medicinal Ch
emistry and Drug Discovery,172-178,949-9
82(Manfred E.Wolff,ed.,5th ed.1995)、及びDe
sign of Prodrugs(H.Bundgaard,ed.,Elselvi
er,New York 1985)に記載の方法などの周知の方法を用いて調製され得
る。
【0106】
化合物は、1つ以上の原子で原子同位体の自然でない部分を含んでもよいことも注目さ
れるべきである。例えば、この化合物は、例えば、トリチウム(3H)、ヨウ素-125
(125I)、イオウ-35(35S)、もしくは炭素-14(14C)などの放射性同
位体で放射性標識されてもよいし、または重水素(2H)、炭素-13(13C)、もし
くは窒素-15(15N)などで同位体的に濃縮されてもよい。本明細書中で使用される
場合、「同位体置換体」は、同位体濃縮化合物である。「同位体的に濃縮された」という
用語は、その原子の天然の同位体組成以外の同位体組成を有する原子を指す。「同位体的
に濃縮された」とはまた、その原子の天然の同位体組成以外の同位体組成を有する少なく
とも1つの原子を含む化合物を指してもよい。「同位体組成物」という用語は、所与の原
子に存在する各同位体の量を指す。放射標識及び同位体濃縮化合物は、治療剤、例えばが
ん及び炎症治療薬、研究試薬、例えば結合アッセイ試薬、及び診断剤、例えばインビボ造
影剤として有用である。放射性であろうとなかろうと、本明細書に記載される化合物の全
ての同位体の変動は、本明細書で提供される実施形態の範囲内に包含されることが意図さ
れる。いくつかの実施形態では、化合物の同位体置換体が提供され、例えば、同位体置換
体は、重水素、炭素-13、または窒素-15濃縮化合物である。いくつかの実施形態で
は、本明細書で提供される同位体置換体は、重水素濃縮化合物である。いくつかの実施形
態において、本明細書で提供される同位体置換体は、重水素濃縮化合物であり、ここで重
水素化はキラル中心で生じる。いくつかの実施形態では、本明細書で提供されるのは、重
水素がキラル中心で生じる式Iの化合物の同位体置換体である。いくつかの実施形態では
、キラル中心で重水素化が起こる化合物Cの同位体置換体が本明細書で提供される。
【0107】
「約」または「およそ」という用語は、その値がどのように測定または決定されるかに
部分的に依存する、当業者によって決定されるような特定の値に対する許容誤差を意味す
る。特定の実施形態では、「約」または「およそ」という用語は、1、2、3または4標
準偏差以内を意味する。ある実施形態では、「約」または「およそ」という用語は、所定
の値または範囲の50%、20%、15%、10%、9%、8%、7%、6%、5%、4
%、3%、2%、1%、0.5%、または0.05%内を意味する。
【0108】
描写された構造とその構造に与えられた名称との間に相違がある場合、描写された構造
の方が重視されるべきであることに留意すべきである。さらに、構造または構造の一部の
立体化学が、例えば太線または点線で示されていない場合、構造または構造の部分は、そ
の全ての立体異性体を包含するものとして解釈されるべきである。
【0109】
本明細書で提供される実施形態の実施は、他に示されない限り、当業者の技術範囲内の
分子生物学、微生物学、及び免疫学の従来技術を採用する。このような技術は文献に十分
に説明されている。参照に特に適したテキストの例としては、以下が挙げられる:
Sambrook et al.,Molecular Cloning:A Labo
ratory Manual(2d ed.1989);Glover,ed.,DNA
Cloning,Volumes I and II(1985);Gait,ed.
,Oligonucleotide Synthesis(1984);Hames &
Higgins,eds.,Nucleic Acid Hybridization
(1984);Hames & Higgins,eds.,Transcriptio
n and Translation(1984);Freshney,ed.,Ani
mal Cell Culture:Immobilized Cells and E
nzymes(IRL Press,1986);Immunochemical Me
thods in Cell and Molecular Biology(Acad
emic Press,London);Scopes,Protein Purifi
cation:Principles and Practice(Springer
Verlag,N.Y.,2d ed.1987);及びWeir & Blackwe
ll,eds.,Handbook of Experimental Immunol
ogy,Volumes I-IV(1986)。
【0110】
5.2ヒトCRBNを発現するトランスジェニックマウス
特定の実施形態では、トランスジェニック動物は、トランスジェニック非ヒト哺乳動物
、例えば、ウシ、ブタ、ヤギ、ウマ、げっ歯類(例えば、ラット、マウス、またはハムス
ター)などである。いくつかの実施形態では、トランスジェニック動物は、トランスジェ
ニック齧歯類、例えば、ラット、マウス、ハムスターなどである。特定の実施形態では、
トランスジェニック動物は、トランスジェニックマウスである。
【0111】
トランスジェニック動物は、染色体外要素として、またはその細胞の全部もしくは一部
(例えば、体細胞及び/または生殖細胞)に安定に組み込まれた外因性核酸配列を含む。
特定の実施形態では、外因性核酸配列は、トランスジェニック動物中の染色体外要素(例
えば、ミニ染色体、細菌人工染色体(BAC)、酵母人工染色体(YAC))として存在
する。他の実施形態では、外因性核酸配列は、トランスジェニック動物のゲノムに安定に
組み込まれる。いくつかの実施形態では、外因性核酸配列は、体細胞及び生殖細胞を含む
トランスジェニック動物の全ての細胞に存在する。他の実施形態では、外因性核酸配列は
、体細胞の一部及び/または生殖細胞の一部を含む、トランスジェニック動物の細胞の一
部に存在する。特定の実施形態では、トランスジェニック動物は、生殖系列配列、すなわ
ち生殖細胞のゲノムに安定に組み込まれた外因性核酸配列に対する安定な変化を含む。
【0112】
トランスジェニック動物の初期構築の間、細胞のサブセットのみが変化したゲノムを有
するトランスジェニック動物、「キメラ」または「キメラ動物」が生成される。キメラは
、生殖系列伝達を有するトランスジェニック動物、すなわち生殖細胞のゲノムに安定に組
み込まれた外因性核酸配列を有するトランスジェニック動物を作製するための育種のため
に主に使用される。生殖細胞系ヘテロ接合性変化を有する動物は、キメラの繁殖によって
産生される。次いで、生殖系列伝達を有する雄性及び雌性のヘテロ接合体を交配させて、
ホモ接合性トランスジェニック動物を産生する。ホモ接合性トランスジェニック動物は、
特定の遺伝的背景を有するトランスジェニック動物を作製するために、異なる遺伝的背景
の動物(例えば、異種移植動物モデル、様々な疾患動物モデル、または異なる導入遺伝子
を有するトランスジェニック動物)とさらに育種させてもよい。したがって、いくつかの
実施形態では、トランスジェニック動物は、キメラトランスジェニック動物である。特定
の実施形態では、トランスジェニック動物は、ヘテロ接合性トランスジェニック動物であ
る。他の実施形態では、トランスジェニック動物は、ホモ接合性トランスジェニック動物
である。さらに他の実施形態では、トランスジェニック動物は、特定の遺伝的背景を有す
るホモ接合性トランスジェニック動物(例えば、異種移植片動物モデル、種々の疾患動物
モデル、または異なる導入遺伝子を有するトランスジェニック動物)である。
【0113】
特定の実施形態では、トランスジェニック動物は、ヒトCRBN遺伝子またはその断片
を非ヒト動物(例えば、マウス)の生殖系列に導入することによって産生される。いくつ
かの実施形態では、トランスジェニック動物は、マウスの生殖系列にヒトCRBN遺伝子
またはその断片を導入することによって産生されるトランスジェニックマウスである。一
実施形態では、ヒトCRBN遺伝子は、天然起源であっても、または人工起源であっても
よい。別の実施形態では、ヒトCRBN遺伝子は、ゲノムDNA、相補DNA(cDNA
)、ハイブリッド配列、合成配列、または半合成配列であってもよい。
【0114】
特定の実施形態では、トランスジェニックマウスは、ヒトCRBNのcDNAまたはそ
の断片をマウスの生殖系列に導入することによって産生される。さらに他の実施形態では
、トランスジェニックマウスは、全長ヒトCRBNのcDNA(例えば、ヒトCRBNア
イソフォーム1またはヒトCRBNアイソフォーム2)をトランスジェニックマウスの生
殖系列に導入することによって産生される。一実施形態では、トランスジェニックマウス
は、全長ヒトCRBNアイソフォーム1のcDNAをトランスジェニックマウスの生殖細
胞系に導入することによって産生され、ここで、この全長ヒトCRBNアイソフォーム1
のcDNAは以下のような核酸配列を有する:
atggccggcg aaggagatca gcaggacgct gcgcaca
aca tgggcaacca cctgccgctc ctgcctgcag aga
gtgagga agaagatgaa atggaagttg aagaccagga
tagtaaagaa gccaaaaaac caaacatcat aaattt
tgac accagtctgc cgacatcaca tacataccta gg
tgctgata tggaagaatt tcatggcagg actttgcac
g atgacgacag ctgtcaggtg attccagttc ttcca
caagt gatgatgatc ctgattcccg gacagacatt a
cctcttcag ctttttcacc ctcaagaagt cagtatgg
tg cggaatttaa ttcagaaaga tagaaccttt gctg
ttcttg catacagcaa tgtacaggaa agggaagcac
agtttggaac aacagcagag atatatgcct atcgaga
aga acaggatttt ggaattgaga tagtgaaagt gaa
agcaatt ggaagacaaa ggttcaaagt ccttgagcta
agaacacagt cagatggaat ccagcaagct aaagtg
caaa ttcttcccga atgtgtgttg ccttcaacca tg
tctgcagt tcaattagaa tccctcaata agtgccaga
t atttccttca aaacctgtct caagagaaga ccaat
gttca tataaatggt ggcagaaata ccagaagaga a
agtttcatt gtgcaaatct aacttcatgg cctcgctg
gc tgtattcctt atatgatgct gagaccttaa tgga
cagaat caagaaacag ctacgtgaat gggatgaaaa
tctaaaagat gattctcttc cttcaaatcc aatagat
ttt tcttacagag tagctgcttg tcttcctatt gat
gatgtat tgagaattca gctccttaaa attggcagtg
ctatccagcg acttcgctgt gaattagaca ttatga
ataa atgtacttcc ctttgctgta aacaatgtca ag
aaacagaa ataacaacca aaaatgaaat attcagttt
a tccttatgtg ggccgatggc agcttatgtg aatcc
tcatg gatatgtgca tgagacactt actgtgtata a
ggcttgcaa cttgaatctg ataggccggc cttctaca
ga acacagctgg tttcctgggt atgcctggac tgtt
gcccag tgtaagatct gtgcaagcca tattggatgg
aagtttacgg ccaccaaaaa agacatgtca cctcaaa
aat tttggggctt aacgcgatct gctctgttgc cca
cgatccc agacactgaa gatgaaataa gtccagacaa
agtaatactt tgcttgtaa(配列番号5)。いくつかの実施形態では
、この全長ヒトCRBNアイソフォーム1のcDNAは、マウス染色体に安定に組み込ま
れる。
【0115】
別の実施形態では、トランスジェニックマウスは、全長ヒトCRBNアイソフォーム2
のcDNAをトランスジェニックマウスの生殖細胞系に導入することにより産生され、こ
こで、この全長ヒトCRBNアイソフォーム2のcDNAは、以下のような核酸配列を有
する:
atggccggcg aaggagatca gcaggacgct gcgcaca
aca tgggcaacca cctgccgctc ctgcctgaga gtg
aggaaga agatgaaatg gaagttgaag accaggatag
taaagaagcc aaaaaaccaa acatcataaa ttttga
cacc agtctgccga catcacatac atacctaggt gc
tgatatgg aagaatttca tggcaggact ttgcacgat
g acgacagctg tcaggtgatt ccagttcttc cacaa
gtgat gatgatcctg attcccggac agacattacc t
cttcagctt tttcaccctc aagaagtcag tatggtgc
gg aatttaattc agaaagatag aacctttgct gttc
ttgcat acagcaatgt acaggaaagg gaagcacagt
ttggaacaac agcagagata tatgcctatc gagaaga
aca ggattttgga attgagatag tgaaagtgaa agc
aattgga agacaaaggt tcaaagtcct tgagctaaga
acacagtcag atggaatcca gcaagctaaa gtgcaa
attc ttcccgaatg tgtgttgcct tcaaccatgt ct
gcagttca attagaatcc ctcaataagt gccagatat
t tccttcaaaa cctgtctcaa gagaagacca atgtt
catat aaatggtggc agaaatacca gaagagaaag t
ttcattgtg caaatctaac ttcatggcct cgctggct
gt attccttata tgatgctgag accttaatgg acag
aatcaa gaaacagcta cgtgaatggg atgaaaatct
aaaagatgat tctcttcctt caaatccaat agatttt
tct tacagagtag ctgcttgtct tcctattgat gat
gtattga gaattcagct ccttaaaatt ggcagtgcta
tccagcgact tcgctgtgaa ttagacatta tgaata
aatg tacttccctt tgctgtaaac aatgtcaaga aa
cagaaata acaaccaaaa atgaaatatt cagtttatc
c ttatgtgggc cgatggcagc ttatgtgaat cctca
tggat atgtgcatga gacacttact gtgtataagg c
ttgcaactt gaatctgata ggccggcctt ctacagaa
ca cagctggttt cctgggtatg cctggactgt tgcc
cagtgt aagatctgtg caagccatat tggatggaag
tttacggcca ccaaaaaaga catgtcacct caaaaat
ttt ggggcttaac gcgatctgct ctgttgccca cga
tcccaga cactgaagat gaaataagtc cagacaaagt
aatactttgc ttgtaa(配列番号6)。いくつかの実施形態では、全長
ヒトCRBNアイソフォーム2のcDNAは、マウス染色体に安定に組み込まれる。
【0116】
他の実施形態では、トランスジェニックマウスは、ヒトCRBNのcDNAの断片(例
えば、ヒトCRBNアイソフォーム1の断片またはヒトCRBNアイソフォーム2の断片
)を、トランスジェニックマウスの生殖系列に導入することによって産生される。特定の
実施形態では、トランスジェニックマウスは、ヒトCRBNアイソフォーム1のcDNA
の断片を、トランスジェニックマウスの生殖細胞系に導入することによって産生される。
別の特定の実施形態では、トランスジェニックマウスは、ヒトCRBNアイソフォーム2
のcDNAの断片を、トランスジェニックマウスの生殖系列に導入することによって産生
される。いくつかの実施形態では、トランスジェニックマウスは、ヒトCRBNアイソフ
ォーム1の一部をコードする核酸配列を含むヒトCRBNのcDNAの断片を、トランス
ジェニックマウスの生殖系列に導入することによって産生される。別の実施形態では、ト
ランスジェニックマウスは、ヒトCRBNアイソフォーム2の一部をコードする核酸配列
を含むヒトCRBNのcDNAの断片を、トランスジェニックマウスの生殖細胞系に導入
することによって産生される。他の実施形態では、トランスジェニックマウスは、ヒトC
RBNアイソフォーム1のコドン24(グルタミン酸)をコードする核酸配列で始まり、
ヒトCRBNアイソフォーム1の終止コドンで終わる核酸配列を含むヒトCRBNアイソ
フォーム1のcDNAの断片を、トランスジェニックマウスの生殖系列に導入することに
よって産生される。さらに他の実施形態では、トランスジェニックマウスは、ヒトCRB
Nアイソフォーム2のコドン23(グルタミン酸)をコードする核酸配列で開始し、ヒト
CRBNアイソフォーム2の終止コドンで終わる、核酸配列を含むヒトCRBNアイソフ
ォーム2のcDNAの断片を、トランスジェニックマウスの生殖細胞系に、導入すること
により産生される。さらに他の実施形態では、トランスジェニックマウスは、以下のよう
な核酸配列を含むヒトCRBNのcDNAの断片(例えば、ヒトCRBNアイソフォーム
1の断片またはヒトCRBNアイソフォーム2の断片)を、そのトランスジェニックマウ
スの生殖系列に導入することによって産生される:
ag agagtgagga agaagatgaa atggaag
ttg aagaccagga tagtaaagaa gccaaaaaac caa
acatcat aaattttgac accagtctgc cgacatcaca
tacataccta ggtgctgata tggaagaatt tcatgg
cagg actttgcacg atgacgacag ctgtcaggtg at
tccagttc ttccacaagt gatgatgatc ctgattccc
g gacagacatt acctcttcag ctttttcacc ctcaa
gaagt cagtatggtg cggaatttaa ttcagaaaga t
agaaccttt gctgttcttg catacagcaa tgtacagg
aa agggaagcac agtttggaac aacagcagag atat
atgcct atcgagaaga acaggatttt ggaattgaga
tagtgaaagt gaaagcaatt ggaagacaaa ggttcaa
agt ccttgagcta agaacacagt cagatggaat cca
gcaagct aaagtgcaaa ttcttcccga atgtgtgttg
ccttcaacca tgtctgcagt tcaattagaa tccctc
aata agtgccagat atttccttca aaacctgtct ca
agagaaga ccaatgttca tataaatggt ggcagaaat
a ccagaagaga aagtttcatt gtgcaaatct aactt
catgg cctcgctggc tgtattcctt atatgatgct g
agaccttaa tggacagaat caagaaacag ctacgtga
at gggatgaaaa tctaaaagat gattctcttc cttc
aaatcc aatagatttt tcttacagag tagctgcttg
tcttcctatt gatgatgtat tgagaattca gctcctt
aaa attggcagtg ctatccagcg acttcgctgt gaa
ttagaca ttatgaataa atgtacttcc ctttgctgta
aacaatgtca agaaacagaa ataacaacca aaaatg
aaat attcagttta tccttatgtg ggccgatggc ag
cttatgtg aatcctcatg gatatgtgca tgagacact
t actgtgtata aggcttgcaa cttgaatctg atagg
ccggc cttctacaga acacagctgg tttcctgggt a
tgcctggac tgttgcccag tgtaagatct gtgcaagc
ca tattggatgg aagtttacgg ccaccaaaaa agac
atgtca cctcaaaaat tttggggctt aacgcgatct
gctctgttgc ccacgatccc agacactgaa gatgaaa
taa gtccagacaa agtaatactt tgcttgtaa(配列番号
7)。いくつかの実施形態では、ヒトCRBNアイソフォーム1のcDNAの断片は、マ
ウス染色体に安定に組み込まれる。他の実施形態では、ヒトCRBNアイソフォーム2の
cDNAの断片は、マウス染色体に安定に組み込まれる。
【0117】
さらに別の実施形態では、トランスジェニックマウスは、ヒトCRBNのcDNAの断
片(例えば、ヒトCRBNアイソフォーム1の断片またはヒトCRBNアイソフォーム2
の断片)を、マウスCRBNゲノムDNAと、ヒトCRBNのcDNAの断片(例えば、
ヒトCRBNアイソフォーム1の断片またはヒトCRBNアイソフォーム2の断片)を含
む標的化構築物との間の相同組換えを通じて、トランスジェニックマウスの生殖系列に導
入することによって産生される。特定の実施形態では、標的化構築物は、以下のような核
酸配列を含む:
aagaacagctcacacttgatagaataccacttctagaaag
tagcgttgtgttttgtttcttcagactttcatctctgccc
ttggcagcatcatgttatcaggtggatcagcttagctttc
atttcatttcaaaaaaaaaagtgcaggtagagttcttaag
atatctccttttgccaggcagtggtggcgcactcctttaa
tcccagcacttgggaggcagaggcaggcagatttctgagt
tcgaggccagcctggtctacagagtgagttccaggacagc
cagggctacatagagaaaccctgtctccaaaaactcgaaa
aacagaaaagaaaagaaaaaaaaaaaagacatctccttta
aaatgtattttctttgggccaactttatttttaaattgag
aatgacaaagcgatgttttatgaaaaataattgcaaacat
ttcacgtttaaatatgacggtgagccaggttttaatggta
ttttttttcccagtttcattaacagacctttcttgcctgc
ttgtgttttccttgctttctttttcacagagaaactttgt
agctaaagtctgaaagaacctcatagattactttgttcaa
gccttcattgttttttttttcaaatgaaaaaacagcttta
atcaattggaattcattgtgtaaggtgtcaggattagtag
tgatggagaagataagactcatccatgcaggagatgggcc
taattcagccacgtcagtcgttaggctggacctagtgatc
tgctttccaaccgtgtacggtgtaactgcggggcaggggc
gagggggtttacagagaaggaagctggcggctgtttctga
ccagaaatcaaggggaacatcagcccctgggtcaggctga
ctgtacgtacccttgatgtgcggtgaggaataggcgttgt
ccctagcagaactctaatagagaatgacatctattcccta
ttgagggatgctgtgtaaagtcctgataaggaagacagaa
catccagcatgcgtgtaccacaggcagcaaaggagccata
cctaaatatagcatggtgtcctggaggggtaacaggaaat
ggagaatagctgaaaatcaaaggcaatccaaataagataa
ggcatttagttaacagtaatgtgccaatatcgacgactta
gttgtcacaagaataccagatgcatggaccatgctaacaa
tggaggaagatagtcttggcatgctagaattctatttttc
caacattccaggaaatcttaaagtgtcctaagatagttga
ttgttaaaaacagggaaaaaagaaaggaaaggaaaagaaa
ggaaaaggcgccatgacagaaagagcacagacccagcctc
tgccgctgtctctgcacagctttccttttaagagtgtctt
tcttcaattcagggtgtgtgaatggaaccagaactgactt
gcttttttcttttctttttttttttttttaatgaatctca
ttttttccctctattattctccttcagcagagagtgagga
agaagatgaaatggaagttgaagaccaggatagtaaagaa
gccaaaaaaccaaacatcataaattttgacaccagtctgc
cgacatcacatacatacctaggtgctgatatggaagaatt
tcatggcaggactttgcacgatgacgacagctgtcaggtg
attccagttcttccacaagtgatgatgatcctgattcccg
gacagacattacctcttcagctttttcaccctcaagaagt
cagtatggtgcggaatttaattcagaaagatagaaccttt
gctgttcttgcatacagcaatgtacaggaaagggaagcac
agtttggaacaacagcagagatatatgcctatcgagaaga
acaggattttggaattgagatagtgaaagtgaaagcaatt
ggaagacaaaggttcaaagtccttgagctaagaacacagt
cagatggaatccagcaagctaaagtgcaaattcttcccga
atgtgtgttgccttcaaccatgtctgcagttcaattagaa
tccctcaataagtgccagatatttccttcaaaacctgtct
caagagaagaccaatgttcatataaatggtggcagaaata
ccagaagagaaagtttcattgtgcaaatctaacttcatgg
cctcgctggctgtattccttatatgatgctgagaccttaa
tggacagaatcaagaaacagctacgtgaatgggatgaaaa
tctaaaagatgattctcttccttcaaatccaatagatttt
tcttacagagtagctgcttgtcttcctattgatgatgtat
tgagaattcagctccttaaaattggcagtgctatccagcg
acttcgctgtgaattagacattatgaataaatgtacttcc
ctttgctgtaaacaatgtcaagaaacagaaataacaacca
aaaatgaaatattcagtttatccttatgtgggccgatggc
agcttatgtgaatcctcatggatatgtgcatgagacactt
actgtgtataaggcttgcaacttgaatctgataggccggc
cttctacagaacacagctggtttcctgggtatgcctggac
tgttgcccagtgtaagatctgtgcaagccatattggatgg
aagtttacggccaccaaaaaagacatgtcacctcaaaaat
tttggggcttaacgcgatctgctctgttgcccacgatccc
agacactgaagatgaaataagtccagacaaagtaatactt
tgcttgtaagtgcacctagagctcgctgatcagcctcgac
tgtgccttctagttgccagccatctgttgtttgcccctcc
cccgtgccttccttgaccctggaaggtgccactcccactg
tcctttcctaataaaatgaggaaattgcatcgcattgtct
gagtaggtgtcattctattctggggggtggggtggggcag
gacagcaagggggaggattgggaagacaatagcaggcatg
ctggggatgcggtgggctctatggcttctgaggcggaaag
aaccagctggggctcgactagagcttgcggaacccttcgt
atgtggtttagtcattgagcaaatgcagtatgcggacctt
tatctatggctggaatttggtaccttttgctagcataact
tcgtatagcatacattatacgaagttatcctaggtaattc
taccgggtaggggaggcgcttttcccaaggcagtctggag
catgcgctttagcagccccgctgggcacttggcgctacac
aagtggcctctggcctcgcacacattccacatccaccggt
aggcgccaaccggctccgttctttggtggccccttcgcgc
caccttctactcctcccctagtcaggaagttcccccccgc
cccgcagctcgcgtcgtgcaggacgtgacaaatggaagta
gcacgtctcactagtctcgtgcagatggacagcaccgctg
agcaatggaagcgggtaggcctttggggcagcggccaata
gcagctttgctccttcgctttctgggctcagaggctggga
aggggtgggtccgggggcgggctcaggggcgggctcaggg
gcggggcgggcgcccgaaggtcctccggaggcccggcatt
ctgcacgcttcaaaagcgcacgtctgccgcgctgttctcc
tcttcctcatctccgggcctttcgacctgcagcctgttga
caattaatcatcggcatagtatatcggcatagtataatac
gacaaggtgaggaactaaaccagatctgccaccatgattg
aacaagatggattgcacgcaggttctccggccgcttgggt
ggagaggctattcggctatgactgggcacaacagacaatc
ggctgctctgatgccgccgtgttccggctgtcagcgcagg
ggcgcccggttctttttgtcaagaccgacctgtccggtgc
cctgaatgaactgcaggacgaggcagcgcggctatcgtgg
ctggccacgacgggcgttccttgcgcagctgtgctcgacg
ttgtcactgaagcgggaagggactggctgctattgggcga
agtgccggggcaggatctcctgtcatctcaccttgctcct
gccgagaaagtatccatcatggctgatgcaatgcggcggc
tgcatacgcttgatccggctacctgcccattcgaccacca
agcgaaacatcgcatcgagcgagcacgtactcggatggaa
gccggtcttgtcgatcaggatgatctggacgaagagcatc
aggggctcgcgccagccgaactgttcgccaggctcaaggc
gcgcatgcccgacggcgaggatctcgtcgtgacccatggc
gatgcctgcttgccgaatatcatggtggaaaatggccgct
tttctggattcatcgactgtggccggctgggtgtggcgga
ccgctatcaggacatagcgttggctacccgtgatattgct
gaagagcttggcggcgaatgggctgaccgcttcctcgtgc
tttacggtatcgccgctcccgattcgcagcgcatcgcctt
ctatcgccttcttgacgagttcttctgacttaagaacttg
tttattgcagcttataatggttacaaataaagcaatagca
tcacaaatttcacaaataaagcatttttttcactgcattc
tagttgtggtttgtccaaactcatcaatgtatcttatcat
gtctgcaattgataacttcgtatagcatacattatacgaa
gttatgaattcttttctcgagcctaagtgcagggagccac
actaggggactagtgcaggggactgactagagggttcctg
catattcgctgaccctagaatccgtgcatgagaacagact
tattttccagtgcatagcatgtaattttagaaatggaagc
cgtgtcgtactatatcctcatgtgattcttgactattttc
taatatgtaagctgatatgtaaacattaaagctaacatat
agctttatgtttaaacttatcttgggagggactctttgag
gaattgtcttcctctgaagggttctgctagtaactgagcc
attaagtgttcttaatgttgtttcagaactgctgggatgt
g
gggcggtattataggtactaaaattctgtcctatgctttg
tcagttttggacatagaggagttttggtgaaaatattttg
aattacaaaataatgatcgattcttgataaaaattgggag
ttctaataggaaatactagatcaaaaattagagtttgatg
gaggcatgcttatataacagattatttaaataaacatgtg
ctctgtttagtgttttcctctgctttattctttagtaggt
tgacgtgtagtaagtgtgtgtcttgactctgtgctcttga
gtagtacctgggagctgatatggaggagttccacgggaga
actttgcatgacgacgacagctgccaggtgatcccagtcc
ttcctgaggtgctgatgatcctgattcctgggcagacact
cccactgcagctctctcacccacaggaagtcagcatggtg
cggaacttaatccagaaagacaggacctttgcagtccttg
catacaggtaagagattagacagatctgcttaccaccctg
ccaaagtcagtgcgacagctaaagccaacggggatttgca
gatactggacaggagtgtgaagcaaacggtcttgtgtcac
attttcagtgtttcgctgtttttacagtgtagctgtgttt
ggctcttgaaaaacttccactcacttaatggaaaacctcc
ctgttcagaactgtctttatttaaaaatagctaagtttta
aaattttcaataaaggttacttttctaaagtgaagctgtt
cttcagtagcctgtggcaaatgagggaaccgtggtggagg
caggaaatggaaacaggaaacctcccatcacccccgctga
ccctcccctcagacagtcacagtgctgccagttagtgcga
ccatcattgcctgccaaagtgaaaggatgctcattttgtg
aaataacgatttaaaacttcttagcactggttatctcagt
gaagcctaaaagtctacctttattctaaaatatgctgttt
gccttccggggccttgtgtgtcagcttcctagtgagggtt
agctgctgtaattgtcacagtgtttgcccgatctgtgtcg
cttttgccacctttacataattatgagccagagctgaaaa
ctctgtccatttttgtctttgaagtaatgtgcaagaaagg
g(配列番号8)。いくつかの実施形態では、標的化構築物は、マウス染色体に安定に組
み込まれる。
【0118】
いくつかの実施形態では、トランスジェニックマウスは、ヒトCRBN遺伝子またはそ
の断片のバリアント(例えば、突然変異、欠失または挿入)をマウスの生殖系列に導入す
ることによって産生される。一実施形態では、トランスジェニックマウスは、変異を含む
ヒトCRBN遺伝子またはその断片を、マウスの生殖系列に導入することによって産生さ
れる。別の実施形態では、トランスジェニックマウスは、欠損を含むヒトCRBN遺伝子
またはその断片を、マウスの生殖系列に導入することによって産生される。さらに別の実
施形態では、トランスジェニックマウスは、挿入を含むヒトCRBN遺伝子またはその断
片を、マウスの生殖系列に導入することによって産生される。さらに別の実施形態では、
トランスジェニックマウスは、変異、欠失及び/または挿入を含むヒトCRBN遺伝子ま
たはその断片を、マウスの生殖系列に導入することによって産生される。いくつかの実施
形態では、トランスジェニックマウスは、変異及び欠失を含むヒトCRBN遺伝子または
その断片を、マウスの生殖系列に導入することによって産生される。特定の実施形態では
、トランスジェニックマウスは、変異及び挿入を含むヒトCRBN遺伝子またはその断片
を、マウスの生殖細胞系に導入することによって産生される。他の実施形態では、トラン
スジェニックマウスは、欠失及び挿入を含むヒトCRBN遺伝子またはその断片を、マウ
スの生殖系列に導入することによって産生される。さらに他の実施形態において、トラン
スジェニックマウスは、変異、欠失、及び挿入を含むヒトCRBN遺伝子またはその断片
を、マウスの生殖細胞系に導入することによって産生される。
【0119】
特定の実施形態では、トランスジェニックマウスは、野生型ヒトCRBN遺伝子と少な
くとも約50、60、70、80、90、または95%の同一性を有するヒトCRBN遺
伝子またはその断片のバリアント(例えば、突然変異、欠失、または挿入)を、マウスの
生殖系列に導入することによって産生される。特定の実施形態では、トランスジェニック
マウスは、野生型ヒトCRBN遺伝子と少なくとも約90、91、92、93、94、9
5、96、97、98または99%の同一性を有するヒトCRBN遺伝子またはその断片
のバリアント(例えば、突然変異、欠失、または挿入)を、マウスの生殖系列に導入する
ことによって産生される。特定の実施形態では、トランスジェニックマウスは、野生型ヒ
トCRBN遺伝子と約90、91、92、93、94、95、96、97、98または9
9%の同一性を有するヒトCRBN遺伝子またはその断片のバリアント(例えば、突然変
異、欠失、または挿入)を、マウスの生殖系列に導入することによって産生される。
【0120】
ヒトCRBN遺伝子またはその断片のバリアントは、hCRBNの全長またはその断片
にまたがって配列同一性の必要なレベルが達成される限り、1つの以上の突然変異、欠失
、及び/または挿入を有する相同hCRBNのアミノ酸配列を含む。配列同一性は、標準
パラメーターを用いてBLAST、ALIGN、及びCLUSTALなどの既知のプログ
ラムを使用して決定してもよい。例えば、Altschul et al.,J.Mol
.Biol.1990,215:403-410;Henikoff et al.,P
roc.Natl.Acad.Sci.USA 1989,89:10915;Kari
n et al.,Proc.Natl.Acad.Sci.USA 1993,90:
5873;Higgins et al.,Gene 1988,73:237-244
を参照のこと。BLAST分析を実行するためのソフトウェアは、National C
enter for Biotechnology Informationを通じて公
に入手可能である。FASTAを使用してデータベースを検索してもよい。Pearso
n et al.,Proc.Natl.Acad.Sci.USA 1988,85:
2444-2448を参照のこと。
【0121】
特定の実施形態では、hCRBNトランスジェニック動物は、ヒトCRBNまたはその
断片をコードするヌクレオチド配列の1つ以上のコピーを含む。いくつかの実施形態では
、hCRBNトランスジェニック動物は、ヒトCRBNまたはその断片をコードするヌク
レオチド配列の約1超、約2超、約3超、約4超、約5超、約6超、約7超、約8超、約
9超、約10超、約11超、約12超、約13超、約14超、または約15超のコピーを
含む。他の実施形態では、hCRBNトランスジェニック動物は、ヒトCRBNまたはそ
の断片をコードするヌクレオチド配列の約1、約2、約3、約4、約5、約6、約7、約
8、約9、約10、約11、約12、約13、約14、または約15コピーを含む。例え
ば、本明細書で提供されるのは、ヒトCRBNまたはその断片をコードするヌクレオチド
配列を含むトランスジェニック動物であって、ヒトCRBNがこのトランスジェニック動
物で発現され、ここでこのhCRBNトランスジェニック動物が、ヒトCRBNをコード
するヌクレオチド配列の約1~約2コピーを含む、トランスジェニック動物である。
【0122】
特定の実施形態では、hCRBNトランスジェニック動物は、異なるレベルのヒトCR
BNを発現する。いくつかの実施形態では、ヒトCRBN発現のレベルは、hCRBN遺
伝子のコピー数、hCRBNをコードする核酸配列が組み込まれているゲノム部位、なら
びに/またはhCRBNをコードする核酸配列に作動可能に連結されたプロモーター及び
/もしくは調節領域によって直接的または間接的に決定される。特定の実施形態では、h
CRBNをコードする核酸配列は、内因性CRBN遺伝子が位置する染色体または座とは
異なる染色体または座に組み込まれる。他の実施形態では、hCRBNをコードする核酸
配列は、内因性CRBN遺伝子が位置するのと同じ染色体または同じ座である染色体また
は座に組み込まれる。いくつかの実施形態では、hCRBNをコードする核酸配列は、内
因性CRBN遺伝子に組み込まれ、内因性CRBN遺伝子の発現を破壊する。
【0123】
特定の実施形態では、プロモーター及び/または調節領域は相同である(例えば、トラ
ンスジェニックマウスのマウスプロモーター及び/または調節領域)。一実施形態では、
プロモーターは相同である。別の実施形態では、調節領域は相同である。さらに別の実施
形態では、プロモーター及び調節領域は相同である。1つの特定の実施形態では、プロモ
ーターは、相同マウスCRBNプロモーターである。別の実施形態では、調節領域は、相
同マウスCRBN調節領域である。さらに別の実施形態では、プロモーター及び調節領域
は、相同マウスCRBNプロモーター及び調節領域である。いくつかの実施形態では、プ
ロモーター及び/または調節領域は、異種(例えば、トランスジェニックマウスの非マウ
ス真核生物、細菌またはウイルスプロモーター及び/または調節領域)である。一実施形
態では、プロモーターは異種である。別の実施形態では、調節領域は、異種である。さら
に別の実施形態では、プロモーター及び調節領域は異種である。一般に使用されるウイル
スプロモーターの非限定的な例としては、アデノウイルスEIAプロモーター、アデノウ
イルス主要後期プロモーター(MLP)、ヒトサイトメガロウイルス(HCMV)プロモ
ーター、及びラウス肉腫ウイルス(RSV)プロモーターなどが挙げられる。プロモータ
ーは、構成的であってもまたは調節性であってもよい(例えば、誘発されるか、または抑
制される)。調節領域は、CRBNの発現レベルを調節する(例えば、増加または減少さ
せる)ために、または特定の組織もしくは発達の特定の段階に対するCRBNの発現を指
定するために使用され得る。いくつかの実施形態では、調節領域はCRBNの発現を増大
させる。他の実施形態では、調節領域はCRBNの発現を減少させる。さらに他の実施形
態では、調節領域は、CRBNの発現を特定の組織または特定の発達段階に指定する。特
定の実施形態では、調節領域は、目的の遺伝子の機能的転写のための5’領域、ならびに
転写の終結のためのシグナル及びポリ(A)部位を特定する目的遺伝子の3’に位置する
領域を含む。
【0124】
トランスジェニックマウスのいくつかの実施形態では、ヒトCRBNの発現は、異種(
例えば、非マウス真核生物、細菌またはウイルス)プロモーター及び/または調節領域に
よって制御される。一実施形態では、ヒトCRBNの発現は、異種プロモーターによって
制御される。一実施形態では、ヒトCRBNの発現は、異種調節領域によって制御される
。さらに一実施形態では、ヒトCRBNの発現は、異種のプロモーター及び調節領域によ
って制御される。特定の実施形態では、ヒトCRBNの発現は、非マウス真核生物(例え
ば、ヒト、サル、ラットなど)プロモーター及び/または調節領域によって制御される。
一実施形態では、ヒトCRBNの発現は、非マウス真核生物プロモーターによって制御さ
れる。別の実施形態では、ヒトCRBNの発現は、非マウス真核生物調節領域によって制
御される。さらに別の実施形態では、ヒトCRBNの発現は、非マウス真核生物プロモー
ター及び調節領域によって制御される。いくつかの実施形態では、ヒトCRBNの発現は
、細菌プロモーター及び/または調節領域によって制御される。一実施形態では、ヒトC
RBNの発現は、細菌プロモーターによって制御される。別の実施形態では、ヒトCRB
Nの発現は、細菌の調節領域によって制御される。さらに別の実施形態では、ヒトCRB
Nの発現は、細菌プロモーター及び調節領域によって制御される。いくつかの実施形態で
は、ヒトCRBNの発現は、ウイルス(例えば、EIA、MLP、HCMV、RSVなど
)プロモーター及び/または調節領域によって制御される。一実施形態では、ヒトCRB
Nの発現は、ウイルスプロモーターによって制御される。別の実施形態では、ヒトCRB
Nの発現は、ウイルス調節領域によって制御される。さらに別の実施形態では、ヒトCR
BNの発現は、ウイルスプロモーター及び調節領域によって制御される。さらに他の実施
形態では、ヒトCRBNの発現は、相同な(例えば、マウス)プロモーター及び/または
調節領域によって制御される。一実施形態では、ヒトCRBNの発現は、マウスプロモー
ターによって制御される。別の実施形態では、ヒトCRBNの発現は、マウス調節領域に
よって制御される。さらに別の実施形態では、ヒトCRBNの発現は、マウスプロモータ
ー及び調節領域によって制御される。トランスジェニックマウスの特定の実施形態では、
ヒトCRBNの発現は、マウスCRBNプロモーター及び/または調節領域によって制御
される。一実施形態では、ヒトCRBNの発現は、マウスCRBNプロモーターによって
制御される。別の実施形態では、ヒトCRBNの発現は、マウスCRBN調節領域によっ
て制御される。さらに別の実施形態では、ヒトCRBNの発現は、マウスCRBNプロモ
ーター及び調節領域によって制御される。
【0125】
別の実施形態では、テトラサイクリン誘導性の系を用いてトランスジェニックマウスを
作製してもよく、ここでは目的の遺伝子の発現をテトラサイクリンまたはその誘導体(例
えばドキシサイクリン)の存在または非存在によって制御してもよい。Hickman-
Davis et al.,Pediatric Respiratory Revie
ws 2006,7:49を参照のこと。これらの系では、テトラサイクリン制御された
トランスアクチベーターが発現されるトランスアクチベーターマウス、及び目的の遺伝子
(例えば、CRBN)の発現が、テトラサイクリン依存性プロモーターの制御下にあるレ
スポンダーマウスという2つの別々のトランスジェニックマウス系統が生成される。トラ
ンスアクチベーターマウス及びレスポンダーマウスの繁殖によって、目的の遺伝子(例え
ば、CRBN)の発現がテトラサイクリンまたはその誘導体(例えば、ドキシサイクリン
)に応答する二重トランスジェニックマウスが産生される。いくつかの実施形態では、テ
トラサイクリンまたはその誘導体(例えば、ドキシサイクリン)の不在は導入遺伝子の転
写を可能にし、テトラサイクリンまたはその誘導体(例えばドキシサイクリン)の存在は
、転写のダウンレギュレーションを引き起こす(tet-OFF)。他の実施形態におい
て、テトラサイクリンまたはその誘導体(例えばドキシサイクリン)の存在は、導入遺伝
子の転写を可能にし、テトラサイクリンまたはその誘導体(例えばドキシサイクリン)の
除去は、転写ダウンレギュレーション(tet-ON)を生じる。
【0126】
特定の実施形態では、マウスCRBNがマウスにおいて発現されるように、ヒトCRB
Nは、トランスジェニックマウスにおいて同様の発現パターンで発現される。他の実施形
態では、ヒトCRBNは、ヒトCRBNがヒトにおいて発現されるように、トランスジェ
ニックマウスにおいて同様の発現パターンで発現される。いくつかの実施形態では、トラ
ンスジェニックマウスにおけるヒトCRBNの発現レベルは、マウスにおけるマウスCR
BNの発現レベルと同様である。他の実施形態では、トランスジェニックマウスにおける
ヒトCRBNの発現レベルは、ヒトにおけるヒトCRBNの発現レベルと同様である。さ
らに他の実施形態では、トランスジェニックマウスにおけるヒトCRBNの発現レベルは
、マウスにおけるマウスCRBNの発現レベルとは異なる。さらに他の実施形態では、ト
ランスジェニックマウスにおけるヒトCRBNの発現レベルは、ヒトにおけるヒトCRB
Nの発現レベルとは異なる。一実施形態では、トランスジェニックマウスにおけるヒトC
RBNの発現レベルは、マウスにおけるマウスCRBNの発現レベルよりも高い。別の実
施形態では、トランスジェニックマウスにおけるヒトCRBNの発現レベルは、マウスに
おけるマウスCRBNの発現レベルよりも低い。さらに別の実施形態では、トランスジェ
ニックマウスにおけるヒトCRBNの発現レベルは、ヒトにおけるヒトCRBNの発現レ
ベルよりも高い。さらに別の実施形態では、トランスジェニックマウスにおけるヒトCR
BNの発現レベルは、ヒトにおけるヒトCRBNの発現レベルよりも低い。特定の実施形
態では、トランスジェニックマウスにおけるヒトCRBNの発現レベルは、マウスにおけ
るマウスCRBNの発現レベルの約1倍、約2倍、約3倍、約4倍、または約5倍である
。特定の実施形態では、トランスジェニックマウスにおけるヒトCRBNの発現レベルは
、ヒトにおけるヒトCRBNの発現レベルの約1倍、約2倍、約3倍、約4倍または約5
倍である。
【0127】
ヒトCRBNまたはマウスCRBNの発現パターンは、限定するものではないが、イン
サイチュハイブリダイゼーション、免疫組織化学染色(IHM)などを含む、当技術分野
で周知の方法によって測定され得る。ヒトCRBNまたはマウスCRBNの発現のレベル
は、限定するものではないが、ノーザンブロット、ウエスタンブロット、RT-PCR、
または定量的RT-PCRを含む、当該分野で周知の方法によって測定してもよい。同様
の方法を用いて、種々のハウスキーピング遺伝子(例えば、GADPH、β-アクチン、
ユビキチン、またはhsp90)の発現レベルを測定してもよい。同じ試料由来のハウス
キーピング遺伝子の発現レベルに基づいて標準化されている、ヒトCRBNまたはマウス
CRBNの相対発現レベルを比較してもよい。
【0128】
特定の実施形態では、トランスジェニック動物は、導入された遺伝子改変(例えば、ヒ
トCRBN遺伝子)と同様に、内因性遺伝子(例えば、マウスCRBN遺伝子)に対する
改変を含む。例えば、宿主動物は、標的遺伝子(例えば、CRBN)について「ノックア
ウト」及び/または「ノックイン」のいずれであってもよい。すなわち、宿主動物の内因
性CRBN遺伝子(例えば、マウスCRBN)を「ノックアウト」してもよいし、及び/
またはヒトCRBN遺伝子を「ノックイン」してもよい。ノックアウトは、内因性遺伝子
(例えば、マウスCRBN)の一方または両方の対立遺伝子において、機能の部分的また
は完全な喪失を有する。ノックインは、内因性遺伝子(例えば、マウスCRBN)とは異
なる配列及び/または機能を有する導入された遺伝子改変(例えば、ヒトCRBN)を有
する。ノックアウト及びノックインは、内因性遺伝子が無効にされ、変化した形態が導入
されるように組み合わせてもよい。例えば、特定の実施形態では、宿主動物の内因性CR
BN遺伝子をノックアウトし、一方でヒトCRBN遺伝子を導入することが好ましい。一
実施形態では、マウスCRBN遺伝子がノックアウトされ、一方、ヒトCRBN遺伝子が
ノックインされる。
【0129】
特定の実施形態では、標的遺伝子発現は、ノックアウト動物において検出されないか、
または有意ではない。例えば、CRBN遺伝子のノックアウトは、CRBN遺伝子の発現
が検出できないか、または有意でないレベルでしか存在しないことを意味する;その結果
、CRBN遺伝子の機能は実質的に低下した。ノックアウトは、限定されるものではない
が、コード配列の破壊の導入、例えば、1つ以上の終止コドンの挿入、DNA断片などの
挿入、コード配列の一部の欠失、コード配列の終止コドン置換などを含む当技術分野で周
知の様々な機構によって達成され得る。いくつかの実施形態では、標的遺伝子(例えば、
CRBN)の全部または一部の染色体欠失は、コード領域の全部もしくは一部の欠失によ
って達成されてもよいし、または非コード配列(プロモーター領域、3’調節配列、及び
/またはエンハンサーなどを含む)の欠失によって達成されてもよい。いくつかの実施形
態では、標的遺伝子(例えば、CRBN)のノックアウトは、標的遺伝子(例えば、CR
BN)の発現を活性化するために必要とされる遺伝子の欠失によって達成され得る。他の
実施形態では、機能的ノックアウトは、標的遺伝子(例えば、CRBN)の発現をブロッ
クするアンチセンス構築物を導入することによって達成され得る。Li及びCohen、
Cell 1996、85:319-329を参照のこと。特定の実施形態では、「ノッ
クアウト」はまた、例えば、限定されるものではないが、標的遺伝子改変を促進する物質
への動物の曝露、標的遺伝子部位(例えばCre-lox系のCre)での組換えを促進
する酵素の導入、または標的遺伝子改変を出生後に指示するための他の方法を含む特定の
条件が満たされたときに標的遺伝子(例えば、CRBN)の改変が起こる条件付きノック
アウトも含む。
【0130】
遺伝子(例えば、ヒトCRBN)の「ノックイン」とは、遺伝子(例えば、ヒトCRB
N)の発現及び/または機能をもたらす宿主(例えば、マウス)細胞ゲノムにおける改変
を意味する。特定の実施形態では、遺伝子(例えば、ヒトCRBN)の増大(異所性を含
む)発現は、遺伝子(例えば、ヒトCRBN)のさらなるコピーの導入によって、または
、遺伝子(例えば、ヒトCRBN)の発現を増強する調節性配列を作動的に挿入すること
によって、達成され得る。いくつかの実施形態では、ノックインは構成的であり、すなわ
ち遺伝子(例えば、ヒトCRBN)の発現は構成的である。他の実施形態では、ノックイ
ンは条件的であり、すなわち、遺伝子(例えば、ヒトCRBN)の発現は、アクチベータ
ーまたはリプレッサーの存在に依存する。さらに他の実施形態では、遺伝子のノックイン
は、宿主(例えば、マウス)における内因性遺伝子(例えば、マウスCRBN)のノック
インであってもよい。これは、内因性遺伝子(例えば、マウスCRBN)の追加コピーの
導入によって、または内因性遺伝子(例えば、マウスCRBN)の発現を増強する調節配
列を作動的に挿入することによって達成され得る。
【0131】
特定の実施形態では、hCRBNトランスジェニックマウスは、ヒトCRBN遺伝子(
全長、その断片、野生型、バリアントなどを含むが、これに限定されない)のノックイン
を有する。一実施形態では、hCRBNトランスジェニックマウスは、全長ヒトCRBN
遺伝子のノックインを有する。別の実施形態では、hCRBNトランスジェニックマウス
は、ヒトCRBN遺伝子の断片のノックインを有する。いくつかの実施形態では、hCR
BNトランスジェニックマウスは、マウスCRBN遺伝子のノックアウトを有する。他の
実施形態では、hCRBNトランスジェニックマウスは、ヒトCRBN遺伝子(全長、そ
の断片、野生型、バリアントなどを含むが、これらに限定されない)のノックイン及びマ
ウスCRBN遺伝子のノックアウトを有する。一実施形態では、hCRBNトランスジェ
ニックマウスは、全長ヒトCRBN遺伝子のノックイン及びマウスCRBN遺伝子のノッ
クアウトを有する。別の実施形態では、hCRBNトランスジェニックマウスは、ヒトC
RBN遺伝子の断片のノックイン及びマウスCRBN遺伝子のノックアウトを有する。
【0132】
特定の実施形態では、hCRBNトランスジェニックマウスは、ヒトCRBN(全長、
その断片、野生型、バリアントなどを含むが、これに限定されない)を発現する。一実施
形態では、hCRBNトランスジェニックマウスは、全長ヒトCRBN遺伝子を発現する
。別の実施形態では、hCRBNトランスジェニックマウスは、ヒトCRBN遺伝子の断
片を発現する。いくつかの実施形態では、hCRBNトランスジェニックマウスは、内因
性マウスCRBNを発現しない。他の実施形態では、hCRBNトランスジェニックマウ
スは、ヒトCRBN(全長、その断片、野生型、バリアントなどを含むが、これらに限定
されない)を発現するが、内因性マウスCRBNを発現しない。一実施形態では、hCR
BNトランスジェニックマウスは全長ヒトCRBN遺伝子を発現するが、内因性マウスC
RBNを発現しない。別の実施形態では、hCRBNトランスジェニックマウスは、ヒト
CRBN遺伝子の断片を発現するが、内因性マウスCRBNを発現しない。
【0133】
いくつかの実施形態では、hCRBNトランスジェニックマウスは、ヒトCRBNアイ
ソフォーム1を発現する。他の実施形態では、hCRBNトランスジェニックマウスは、
ヒトCRBNアイソフォーム2を発現する。特定の実施形態では、hCRBNトランスジ
ェニックマウスは、ヒトCRBNアイソフォーム1及びアイソフォーム2を発現する。い
くつかの実施形態では、hCRBNトランスジェニックマウスは、全長ヒトCRBNアイ
ソフォーム1を発現する。他の実施形態では、hCRBNトランスジェニックマウスは、
全長ヒトCRBNアイソフォーム2を発現する。特定の実施形態では、hCRBNトラン
スジェニックマウスは、全長ヒトCRBNアイソフォーム1及び全長アイソフォーム2を
発現する。いくつかの実施形態では、hCRBNトランスジェニックマウスは、ヒトCR
BNアイソフォーム1の断片を発現する。他の実施形態では、hCRBNトランスジェニ
ックマウスは、ヒトCRBNアイソフォーム2の断片を発現する。特定の実施形態では、
hCRBNトランスジェニックマウスは、ヒトCRBNアイソフォーム1の断片及びアイ
ソフォーム2の断片を発現する。
【0134】
特定の実施形態では、ヒトCRBNタンパク質は、全長ヒトCRBN遺伝子から発現さ
れる。いくつかの実施形態では、ヒトCRBNタンパク質は、全長ヒトCRBNのcDN
Aから発現される。他の実施形態では、ヒトCRBNタンパク質は、全長ヒトCRBNの
cDNAから発現され、ヒトCRBNのcDNAは、配列番号5の核酸配列を含む。さら
に他の実施形態では、ヒトCRBNタンパク質は、全長ヒトCRBNのcDNAから発現
され、ヒトCRBNのcDNAは、配列番号6の核酸配列を含む。いくつかの実施形態で
は、ヒトCRBNタンパク質は、マウス-ヒトキメラCRBN遺伝子から発現される。さ
らに他の実施形態では、ヒトCRBNタンパク質は、マウスCRBNのcDNAの一部及
びヒトCRBNのcDNAの一部を含むマウス-ヒトキメラCRBN遺伝子から発現され
る。さらに他の実施形態では、ヒトCRBNタンパク質は、マウスCRBNゲノムDNA
の一部及びヒトCRBNゲノムDNAの一部を含むマウス-ヒトキメラCRBN遺伝子か
ら発現される。一実施形態では、ヒトCRBNタンパク質は、マウスCRBNのcDNA
の一部及びヒトCRBNゲノムDNAの一部を含むマウス-ヒトキメラCRBN遺伝子か
ら発現される。特定の実施形態では、ヒトCRBNタンパク質は、マウスCRBNゲノム
DNAの一部及びヒトCRBNのcDNAの一部を含むマウス-ヒトキメラCRBN遺伝
子から発現される。1つの特定の実施形態では、ヒトCRBNタンパク質は、マウスCR
BNゲノムDNAの一部及びヒトCRBNのcDNAの一部を含むマウス-ヒトキメラC
RBN遺伝子から発現され、ここで、ヒトCRBNcDNAの一部は、配列番号7の核酸
配列を含む。別の特定の実施形態では、ヒトCRBNタンパク質は、マウスCRBNゲノ
ムDNAとヒトCRBNのcDNAの一部を含む標的化構築物との間の相同組換えによっ
て生成されるマウス-ヒトキメラCRBN遺伝子から発現され、ここで標的化構築物は、
配列番号8の核酸配列を含む。
【0135】
特定の実施形態では、ヒトCRBNタンパク質の断片は、ヒトCRBN遺伝子の断片か
ら発現される。いくつかの実施形態では、ヒトCRBNタンパク質の断片は、ヒトCRB
NのcDNAの断片から発現される。一実施形態では、ヒトCRBNタンパク質の断片は
、ヒトCRBNアイソフォーム1のcDNAの断片から発現される。別の実施形態では、
ヒトCRBNタンパク質の断片は、ヒトCRBNアイソフォーム2のcDNAの断片から
発現される。いくつかの実施形態では、ヒトCRBNタンパク質の断片は、ヒトCRBN
のcDNAの断片から発現され、ヒトCRBNのcDNAは配列番号5の核酸配列を含む
。他の実施形態では、ヒトCRBNタンパク質の断片は、ヒトCRBNのcDNAの断片
から発現され、ここで、ヒトCRBNのcDNAは、配列番号6の核酸配列を含む。いく
つかの実施形態では、ヒトCRBNタンパク質の断片は、マウス-ヒトキメラCRBN遺
伝子の断片から発現される。さらに他の実施形態では、ヒトCRBNタンパク質の断片は
、マウスCRBNのcDNAの一部及びヒトCRBNのcDNAの一部を含むマウス-ヒ
トキメラCRBN遺伝子の断片から発現される。さらに他の実施形態では、ヒトCRBN
タンパク質の断片は、マウスCRBNゲノムDNAの一部及びヒトCRBNゲノムDNA
の一部を含むマウス-ヒトキメラCRBN遺伝子の断片から発現される。一実施形態では
、ヒトCRBNタンパク質の断片は、マウスCRBNのcDNAの一部及びヒトCRBN
ゲノムDNAの一部を含むマウス-ヒトキメラCRBN遺伝子の断片から発現される。特
定の実施形態では、ヒトCRBNタンパク質の断片は、マウスCRBNゲノムDNAの一
部及びヒトCRBNのcDNAの一部を含むマウス-ヒトキメラCRBN遺伝子の断片か
ら発現される。1つの特定の実施形態では、ヒトCRBNタンパク質の断片は、マウスC
RBNゲノムDNAの一部及びヒトCRBNのcDNAの一部を含むマウス-ヒトキメラ
CRBN遺伝子の断片から発現され、ここで、ヒトCRBNのcDNAの一部は、配列番
号7の核酸配列を含む。別の特定の実施形態では、ヒトCRBNタンパク質の断片は、マ
ウスCRBNゲノムDNAとヒトCRBNのcDNAの一部を含む標的化構築物との間の
相同組換えによって生成されるマウス-ヒトキメラCRBN遺伝子の断片から発現され、
標的化構築物は、配列番号8の核酸配列を含む。
【0136】
本明細書ではまた、トランスジェニック動物から得られるか、またはトランスジェニッ
ク動物に由来する単離された細胞、細胞株、組織または器官も提供される。特定の実施形
態では、トランスジェニック動物から得られた単離細胞が提供される。いくつかの実施形
態では、トランスジェニック動物に由来する単離細胞株が提供される。他の実施形態では
、トランスジェニック動物から得られた単離された組織が提供される。さらに他の実施形
態では、トランスジェニック動物から得られた単離器官が提供される。
【0137】
一態様では、本明細書で提供されるトランスジェニックマウスに由来する細胞が提供さ
れ、この細胞は、ヒトCRBNまたはその断片をコードする核酸配列を含む。特定の実施
形態では、この細胞はトランスジェニックマウスから得られる。一実施形態では、この細
胞は単離された細胞である。一実施形態では、核酸配列はヒトCRBNをコードする。特
定の実施形態では、ヒトCRBNをコードする核酸配列は、トランスジェニックマウスの
染色体に安定に組み込まれる。別の実施形態では、核酸配列は、ヒトCRBNの断片をコ
ードする。特定の実施形態では、ヒトCRBNの断片をコードする核酸配列は、トランス
ジェニックマウスの染色体に安定に組み込まれる。特定の実施形態では、核酸配列は、ヒ
トCRBNアイソフォーム1のコドン24のグルタミン酸で開始し、ヒトCRBNアイソ
フォーム1の最終コドンで終わるポリペプチドを含む、ヒトCRBNの断片をコードする
。特定の実施形態では、この核酸配列は、ヒトCRBNアイソフォーム2のコドン23の
グルタミン酸で開始し、ヒトCRBNアイソフォーム2の最終コドンで終わるポリペプチ
ドを含むヒトCRBNの断片をコードする。1つの実施形態では、全長ヒトCRBNタン
パク質をコードする核酸配列は、配列番号5を含む。別の実施形態では、全長ヒトCRB
Nタンパク質をコードする核酸配列は、配列番号6を含む。一実施形態では、ヒトCRB
Nタンパク質の断片をコードする核酸配列は、配列番号7を含む。別の実施形態では、ヒ
トCRBNまたはその断片をコードする核酸配列を包含する標的化構築物は、配列番号8
を含む。いくつかの実施形態では、全長ヒトCRBNが発現される。他の実施形態では、
ヒトCRBNの断片が発現される。さらに他の実施形態では、マウスCRBNは、発現さ
れない。さらに他の実施形態では、全長ヒトCRBNが発現されるが、マウスCRBNは
発現されない。さらに他の実施形態では、ヒトCRBNの断片が発現されるが、マウスC
RBNは発現されない。
【0138】
別の態様では、本明細書で提供されるトランスジェニックマウスに由来する細胞株であ
って、ヒトCRBNまたはその断片をコードする核酸配列を含むものが提供される。一実
施形態では、細胞株は単離された細胞株である。一実施形態では、核酸配列は、ヒトCR
BNをコードする。特定の実施形態では、ヒトCRBNをコードする核酸配列は、トラン
スジェニックマウスの染色体に安定に組み込まれる。別の実施形態では、核酸配列は、ヒ
トCRBNの断片をコードする。特定の実施形態では、ヒトCRBNの断片をコードする
核酸配列は、トランスジェニックマウスの染色体に安定に組み込まれる。特定の実施形態
では、核酸配列は、ヒトCRBNアイソフォーム1のコドン24のグルタミン酸で開始し
、ヒトCRBNアイソフォーム1の最終コドンで終わるポリペプチドを含むヒトCRBN
の断片をコードする。特定の実施形態では、核酸配列は、ヒトCRBNアイソフォーム2
のコドン23のグルタミン酸で開始し、ヒトCRBNアイソフォーム2の最終コドンで終
わるポリペプチドを含むヒトCRBNの断片をコードする。1つの実施形態では、全長ヒ
トCRBNタンパク質をコードする核酸配列は、配列番号5を含む。別の実施形態では、
全長ヒトCRBNタンパク質をコードする核酸配列は、配列番号6を含む。一実施形態で
は、ヒトCRBNタンパク質の断片をコードする核酸配列は、配列番号7を含む。別の実
施形態では、ヒトCRBNまたはその断片をコードする核酸配列を包含する標的化構築物
は、配列番号8を含む。特定の実施形態では、細胞株は形質転換細胞株である。いくつか
の実施形態では、全長ヒトCRBNが発現される。他の実施形態では、ヒトCRBNの断
片が発現される。さらに他の実施形態では、マウスCRBNは発現されない。さらに他の
実施形態では、全長ヒトCRBNが発現されるが、マウスCRBNは発現されない。さら
に他の実施形態では、ヒトCRBNの断片が発現されるが、マウスCRBNは発現されな
い。
【0139】
別の態様では、ヒトCRBNまたはその断片をコードする核酸配列を含む、本明細書で
提供されるトランスジェニックマウスに由来する組織が提供される。特定の実施形態では
、組織はトランスジェニックマウスから得られる。一実施形態では、組織は単離された組
織である。一実施形態では、核酸配列はヒトCRBNをコードする。特定の実施形態では
、ヒトCRBNをコードする核酸配列は、トランスジェニックマウスの染色体に安定に組
み込まれる。別の実施形態では、核酸配列は、ヒトCRBNの断片をコードする。特定の
実施形態では、ヒトCRBNの断片をコードする核酸配列は、トランスジェニックマウス
の染色体に安定に組み込まれる。特定の実施形態では、核酸配列は、ヒトCRBNアイソ
フォーム1のコドン24のグルタミン酸で開始し、ヒトCRBNアイソフォーム1の最終
コドンで終わるポリペプチドを含むヒトCRBNの断片をコードする。特定の実施形態で
は、核酸配列は、ヒトCRBNアイソフォーム2のコドン23のグルタミン酸で開始し、
ヒトCRBNアイソフォーム2の最終コドンで終わるポリペプチドを含むヒトCRBNの
断片をコードする。1つの実施形態では、全長ヒトCRBNタンパク質をコードする核酸
配列は、配列番号5を含む。別の実施形態では、全長ヒトCRBNタンパク質をコードす
る核酸配列は、配列番号6を含む。一実施形態では、ヒトCRBNタンパク質の断片をコ
ードする核酸配列は、配列番号7を含む。別の実施形態では、ヒトCRBNまたはその断
片をコードする核酸配列を包含する標的化構築物は、配列番号8を含む。いくつかの実施
形態では、全長ヒトCRBNが発現される。他の実施形態では、ヒトCRBNの断片が発
現される。さらに他の実施形態では、マウスCRBNは発現されない。さらに他の実施形
態では、全長ヒトCRBNが発現されるが、マウスCRBNは発現されない。さらに他の
実施形態では、ヒトCRBNの断片が発現されるが、マウスCRBNは発現されない。
【0140】
別の態様では、本明細書で提供されるトランスジェニックマウスに由来する器官であっ
て、その器官がヒトCRBNまたはその断片をコードする核酸配列を含む器官が提供され
る。特定の実施形態では、この器官はトランスジェニックマウスから得られる。一実施形
態では、器官は単離器官である。一実施形態では、核酸配列はヒトCRBNをコードする
。特定の実施形態では、ヒトCRBNをコードする核酸配列は、トランスジェニックマウ
スの染色体に安定に組み込まれる。別の実施形態では、核酸配列は、ヒトCRBNの断片
をコードする。特定の実施形態では、ヒトCRBNの断片をコードする核酸配列は、トラ
ンスジェニックマウスの染色体に安定に組み込まれる。特定の実施形態では、核酸配列は
、ヒトCRBNアイソフォーム1のコドン24のグルタミン酸で開始し、ヒトCRBNア
イソフォーム1の最終コドンで終わるポリペプチドを含むヒトCRBNの断片をコードす
る。特定の実施形態では、核酸配列は、ヒトCRBNアイソフォーム2のコドン23のグ
ルタミン酸で開始し、ヒトCRBNアイソフォーム2の最終コドンで終わるポリペプチド
を含むヒトCRBNの断片をコードする。1つの実施形態では、全長ヒトCRBNタンパ
ク質をコードする核酸配列は、配列番号5を含む。別の実施形態では、全長ヒトCRBN
タンパク質をコードする核酸配列は、配列番号6を含む。一実施形態では、ヒトCRBN
タンパク質の断片をコードする核酸配列は、配列番号7を含む。別の実施形態では、ヒト
CRBNまたはその断片をコードする核酸配列を包含する標的化構築物は、配列番号8を
含む。いくつかの実施形態では、全長ヒトCRBNが発現される。他の実施形態では、ヒ
トCRBNの断片が発現される。さらに他の実施形態では、マウスCRBNは発現されな
い。さらに他の実施形態では、全長ヒトCRBNが発現されるが、マウスCRBNは発現
されない。さらに他の実施形態では、ヒトCRBNの断片が発現されるが、マウスCRB
Nは発現されない。
【0141】
5.3ヒトCRBNを発現するトランスジェニックマウスの作製方法
別の態様では、(a)ヒトCRBNまたはその断片をコードする核酸配列を含むポリヌ
クレオチド構築物をマウス卵に導入すること、及び;(b)このマウス卵を雌性マウスに
移入することを包含する、ヒトCRBNを発現するトランスジェニックマウスを作製する
ための方法が本明細書で提供される。本明細書では、また、(a)ヒトCRBNまたはそ
の断片をコードする核酸配列を含むポリヌクレオチド構築物をマウス胚に導入すること;
及び(b)このマウス胚を雌性マウスに移入すること、を包含する、ヒトCRBNを発現
するトランスジェニックマウスを産生するための方法も提供される。本明細書ではまた、
(a)ヒトCRBNまたはその断片をコードする核酸配列を含むポリヌクレオチド構築物
をマウス胚性幹(ES)細胞に導入すること;及び(b)このマウスES細胞を雌性マウ
スに移入することを包含する、ヒトCRBNを発現するトランスジェニックマウスを作製
する方法も提供される。特定の実施形態では、核酸配列は、ヒトCRBNをコードする。
特定の実施形態では、ヒトCRBNをコードする核酸配列は、卵、胚またはES細胞の染
色体に安定に組み込まれる。他の実施形態では、核酸配列は、ヒトCRBNの断片をコー
ドする。特定の実施形態では、ヒトCRBNの断片をコードする核酸配列は、卵、胚また
はES細胞の染色体に安定に組み込まれる。特定の実施形態では、核酸配列は、ヒトCR
BNアイソフォーム1のコドン24のグルタミン酸で開始し、ヒトCRBNアイソフォー
ム1の最終コドンで終わるポリペプチドを含むヒトCRBNの断片をコードする。特定の
実施形態では、核酸配列は、ヒトCRBNアイソフォーム2のコドン23のグルタミン酸
で開始し、ヒトCRBNアイソフォーム2の最終コドンで終わるポリペプチドを含むヒト
CRBNの断片をコードする。1つの実施形態では、全長ヒトCRBNタンパク質をコー
ドする核酸配列は、配列番号5を含む。別の実施形態では、全長ヒトCRBNタンパク質
をコードする核酸配列は、配列番号6を含む。一実施形態では、ヒトCRBNタンパク質
の断片をコードする核酸配列は、配列番号7を含む。別の実施形態では、ヒトCRBNま
たはその断片をコードする核酸配列を包含する標的化構築物は、配列番号8を含む。
【0142】
特定の実施形態では、本方法は、雌性マウスを育種することをさらに含む。他の実施形
態では、本方法は、ヒトCRBNまたはその断片をコードする核酸配列を有する子孫を選
択することをさらに包含する。いくつかの実施形態では、この方法は、雌性マウスを育種
し、ヒトCRBNまたはその断片をコードする核酸配列を有する子孫を選択することをさ
らに包含する。したがって、本明細書にさらに提供されるのは、(a)ヒトCRBNまた
はその断片をコードする核酸配列を含むポリヌクレオチド構築物をマウス卵に導入するこ
と;(b)マウス卵を雌性マウスに移入すること、ならびに(c)この雌性マウスを育種
すること、及びヒトCRBNまたはその断片を発現する子孫トランスジェニックマウスを
選択することを包含する、ヒトCRBNを発現するトランスジェニックマウスを産生する
ための方法である。本明細書ではまた、(a)ヒトCRBNまたはその断片をコードする
核酸配列を含むポリヌクレオチド構築物をマウス胚に導入すること;(b)このマウス胚
を雌性マウスに移入すること、ならびに(c)この雌性マウスを育種すること、及びヒト
CRBNまたはその断片を発現する子孫トランスジェニックマウスを選択することを包含
する、ヒトCRBNを発現するトランスジェニックマウスを産生するための方法も提供さ
れる。本明細書ではまた、(a)ヒトCRBNまたはその断片をコードする核酸配列を含
むポリヌクレオチド構築物をマウスES細胞に導入すること;(b)このマウスES細胞
を雌性マウスに移入すること、ならびに(c)この雌性マウスを育種すること、及びヒト
CRBNまたはその断片を発現する子孫トランスジェニックマウスを選択すること、を包
含する、ヒトCRBNを発現するトランスジェニックマウスを産生するための方法も提供
される。
【0143】
さらに別の態様では、本明細書において、ヒトCRBNまたはその断片を発現するトラ
ンスジェニックマウスであって:(a)ヒトCRBN、またはその断片をコードする核酸
配列を含むポリヌクレオチド構築物をマウス卵に導入すること;及び(b)このマウス卵
を雌性マウスに移入すること、を包含する方法によって産生されるトランスジェニックマ
ウスが提供される。本明細書ではまた、ヒトCRBNまたはその断片を発現するトランス
ジェニックマウスであって:(a)ヒトCRBNまたはその断片をコードする核酸配列を
含むポリヌクレオチド構築物をマウス胚に導入すること;及び(b)このマウス胚を雌性
マウスに移入すること、を包含する方法によって産生されるトランスジェニックマウスが
提供される。本明細書ではまた、ヒトCRBNまたはその断片を発現するトランスジェニ
ックマウスであって:(a)ヒトCRBNまたはその断片をコードする核酸配列を含むポ
リヌクレオチド構築物をマウスES細胞に導入すること;及び(b)このマウスES細胞
を雌性マウスに移入すること、を包含する方法によって産生されるトランスジェニックマ
ウスが提供される。さらに、本明細書では、ヒトCRBNまたはその断片を発現するトラ
ンスジェニックマウスであって:(a)ヒトCRBNまたはその断片をコードする核酸配
列を含むポリヌクレオチド構築物をマウス卵に導入すること;(b)このマウス卵を雌性
マウスに移入すること;ならびに(c)この雌性マウスを育種すること、及びヒトCRB
Nまたはその断片を発現する子孫トランスジェニックマウスを選択することを包含する、
方法によって産生されるトランスジェニックマウスが提供される。また、本明細書では:
(a)ヒトCRBNまたはその断片をコードする核酸配列を含むポリヌクレオチド構築物
をマウス胚に導入すること;(b)このマウス胚を雌性マウスに移入すること、ならびに
(c)この雌性マウスを育種すること、及びヒトCRBNまたはその断片を発現する子孫
トランスジェニックマウスを選択することを包含する、方法によって産生される、ヒトC
RBNまたはその断片を発現するトランスジェニックマウスも提供される。また、本明細
書では:(a)ヒトCRBNまたはその断片をコードする核酸配列を含むポリヌクレオチ
ド構築物をマウスES細胞に導入すること;(b)このマウスES細胞を雌性マウスに移
入すること、ならびに(c)この雌性マウスを育種すること、及びヒトCRBNまたはそ
の断片を発現する子孫トランスジェニックマウスを選択することを包含する、方法によっ
て産生される、ヒトCRBNまたはその断片を発現するトランスジェニックマウスが提供
される。特定の実施形態では、この核酸配列は、ヒトCRBNをコードする。特定の実施
形態では、ヒトCRBNをコードする核酸配列は、卵、胚またはES細胞の染色体に安定
に組み込まれる。他の実施形態では、この核酸配列は、ヒトCRBNの断片をコードする
。特定の実施形態では、ヒトCRBNの断片をコードする核酸配列は、卵、胚またはES
細胞の染色体に安定に組み込まれる。特定の実施形態では、この核酸配列は、ヒトCRB
Nアイソフォーム1のコドン24のグルタミン酸で開始し、ヒトCRBNアイソフォーム
1の最終コドンで終わるポリペプチドを含むヒトCRBNの断片をコードする。特定の実
施形態では、核酸配列は、ヒトCRBNアイソフォーム2のコドン23のグルタミン酸で
開始し、ヒトCRBNアイソフォーム2の最終コドンで終わるポリペプチドを含むヒトC
RBNの断片をコードする。1つの実施形態では、全長ヒトCRBNタンパク質をコード
する核酸配列は、配列番号5を含む。別の実施形態では、全長ヒトCRBNタンパク質を
コードする核酸配列は、配列番号6を含む。一実施形態では、ヒトCRBNタンパク質の
断片をコードする核酸配列は、配列番号7を含む。別の実施形態では、ヒトCRBNまた
はその断片をコードする核酸配列を包含する標的化構築物は、配列番号8を含む。
【0144】
本明細書の特定の実施形態では、「ヒトCRBN」への言及は全長ヒトCRBNを指す
。
【0145】
さらに別の態様では、特定の遺伝的背景においてヒトCRBNを発現するトランスジェ
ニックマウスを産生するための方法であって、本明細書で提供されるヒトCRBNまたは
その断片を発現するトランスジェニックマウスを、遺伝的背景のマウスと育種することを
包含する方法が本明細書で提供される。また本明細書で提供されるヒトCRBNまたはそ
の断片を発現するトランスジェニックマウスを、遺伝的背景のマウスと育種することを包
含する、方法によって産生される、特定の遺伝的背景においてヒトCRBNを発現するト
ランスジェニックマウスも本明細書に提供される。特定の実施形態では、ある遺伝的背景
のマウスは、NSG/NOGマウスモデルである。他の実施形態では、ある遺伝的背景の
マウスは、Vk*myc多発性骨髄腫マウスモデルである。さらに他の実施形態では、あ
る遺伝的背景のマウスは、Eu-v-abl/Eu-c-Myc多発性骨髄腫マウスモデ
ルである。さらに他の実施形態では、ある遺伝的背景のマウスは、Eu-c-Mycリン
パ腫マウスモデルである。一実施形態では、ある遺伝的背景のマウスは、ヒトIKZF1
トランスジェニックマウスモデルである。別の実施形態では、ある遺伝的背景のマウスは
、ヒトIKZF3トランスジェニックマウスモデルである。
【0146】
さらに別の態様では、特定の遺伝的背景においてヒトCRBNを発現するトランスジェ
ニックマウスを作製するための方法であって、セクション5.2に示されるように、その
ゲノムがヒトCRBNまたはその断片をコードする核酸を含むトランスジェニックマウス
を、遺伝的背景のあるマウスと育種することを包含する方法が本明細書において提供され
る。本明細書ではまた、セクション5.2に示されるように、そのゲノムがヒトCRBN
またはその断片をコードする核酸を含むトランスジェニックマウスを、遺伝的背景のある
マウスと育種することを包含する方法によって産生される、特定の遺伝的背景においてヒ
トCRBNを発現するトランスジェニックマウスも提供される。特定の実施形態では、あ
る遺伝的背景のマウスは、NSG/NOGマウスモデルである。他の実施形態では、ある
遺伝的背景のマウスは、Vk*myc多発性骨髄腫マウスモデルである。さらに他の実施
形態では、ある遺伝的背景のマウスは、Eu-v-abl/Eu-c-Myc多発性骨髄
腫マウスモデルである。さらに他の実施形態では、遺伝的背景のマウスは、Eu-c-M
ycリンパ腫マウスモデルである。一実施形態では、遺伝的背景のマウスは、ヒトIKZ
F1トランスジェニックマウスモデルである。別の実施形態では、ある遺伝的背景のマウ
スは、ヒトIKZF3トランスジェニックマウスモデルである。
【0147】
トランスジェニック動物を産生するための技術は当該分野で周知である。例えば、Ho
udebine,Transgenic animals-Generation an
d Use(Harwood Academic,1997);Hogan et al
.,Manipulating the Mouse Embryo:A Labora
tory Manual Cold Spring Harbor Laborator
y,2d ed.,(Cold Spring Harbor Laboratory,
1994);Krimpenfort et al.,Bio/Technology
1991,9:844;Palmiter et al.,Cell 1985,41:
343;Hammer et al.,Nature 1985,315:680;米国
特許第号5,602,299号;同第5,175,384号;同第6,066,778号
;及び同第6,037,521号(その全体が本明細書において組み込まれる)を参照の
こと。トランスジェニック動物を生成するのに用いられる技術としては、限定するもので
はないが、前核注入(Gordon,Proc.Nat.Acad.Sci.USA 1
980,77:7380-7384;米国特許第4,873,191号)、エレクトロポ
レーション(Lo,Mol.Cell.Biol.1983,3:1803-1814)
、相同組換え(Thompson et al.,Cell 1989,56:313-
321;Hanks et al.,Science 1995,269:679-68
2)生殖系列へのレトロウイルス遺伝子移入(Van der Putten et a
l.,Proc.Nat.Acad.Sci.USA 1985,82:6148-61
52)、及び精子による遺伝子移入(Lavitrano et al.,Cell 1
989,57:717-723)が挙げられる。
【0148】
特定の実施形態では、トランスジェニック動物は、前核注射によって産生される。接合
体は、通常、前核注射のための最良の標的である。例えば、雄性マウスの前核は、直径約
20μmであり、DNA溶液1~2pLを注入するのに適している。前核注射の標的とし
て接合体を用いることは大きな利点がある。注入されたDNAは、ほとんどの場合、最初
の細胞分裂の前に宿主遺伝子に組み込まれる。結果として、トランスジェニック動物のほ
ぼ全ての細胞が、取り込まれた導入遺伝子を保持する。生殖細胞のほぼ50%が導入遺伝
子を含むので、導入遺伝子の創始動物の子孫への伝達は非常に効率的である。特定の実施
形態では、目的の遺伝子を含むベクター(例えば、hCRBN)を、前核(すなわち、前
核状態のマウス受精卵)に注入する。注入された前核は、その後、偽妊娠した雌性マウス
の子宮に植え付けられる。生成された子孫は、導入遺伝子の1つ以上のコピーを有する場
合がある。
【0149】
いくつかの実施形態では、トランスジェニック動物は、目的の遺伝子を胚性幹(ES)
細胞に導入することによって産生される。ES細胞は、適切な条件下で、インビトロで培
養された移植前の胚から得られる。Evans et al.,Nature 1981
,292:154-156;Bradley et al.,Nature 1984,
309:255-258;Gossler et al.,Proc.Natl.Aca
d.Sci U.S.A.1986,83:9065-9069;Robertson
et al.,Nature 1986,322:445-448を参照のこと。特定の
実施形態では、導入遺伝子は、エレクトロポレーション、リン酸カルシウム共沈殿、プロ
トプラストまたはスフェロプラスト融合、リポフェクション及びDEAE-デキストラン
媒介トランスフェクションを含むがこれらに限定されない当技術分野で公知の様々な方法
を用いたDNAトランスフェクションによって、ES細胞中に効率的に導入される。いく
つかの実施形態では、導入遺伝子は、レトロウイルス媒介形質導入によってES細胞に導
入される。他の実施形態では、導入遺伝子は、マイクロインジェクションによってES細
胞に導入される。次いで、導入遺伝子を保持する形質転換されたES細胞は、非ヒト動物
(例えば、マウス)由来の胚盤胞と組み合わされる。その後、ES細胞は、胚をコロニー
形成し、得られたキメラ動物の生殖系列に寄与する。概説については、Jaenisch
、Science 1988、240:1468-1474を参照のこと。形質転換され
たES細胞を胚軸に導入する前に、形質転換されたES細胞を様々な選択プロトコールに
供して、導入遺伝子を組み込んだES細胞を富化してもよい(もし導入遺伝子がそのよう
な選択のための手段を提供する(例えば、導入遺伝子構築物が、ネオマイシン選択カセッ
トを含む)場合)。得られた子孫は、ES及び宿主細胞に関してキメラである。排他的に
ES子孫を含む非キメラ株は、交配によって得てもよい。この技術は、例えばWO91/
10741に記載されている。
【0150】
他の実施形態では、トランスジェニック動物は、レトロウイルス感染によって産生され
る。発生中の非ヒト(例えば、マウス)胚は、インビトロで胚盤胞期にまで培養すること
ができる。割球は、レトロウイルス感染の適切な標的である。感染の効率を高めるために
、透明帯を除去するための割球の酵素処理が好ましい。使用されるウイルスベクターは、
通常、導入遺伝子を保持する複製欠損レトロウイルスである。割球は、ウイルス産生細胞
の単層上で培養され、感染を容易かつ効率的に達成し得る。あるいは、後の段階で感染を
行ってもよく、例えばウイルスまたはウイルス産生細胞を、胞胚腔内に注入してもよい。
レトロウイルス感染によって産生される創始動物は、トランスジェニック動物を形成する
細胞の一部にのみ取り込みが起こるため、導入遺伝子についてはほとんどがキメラである
。いくつかの実施形態では、創始動物は、ゲノム中の様々な位置に導入遺伝子のレトロウ
イルス挿入を有してもよい。別の実施形態では、導入遺伝子は、効率ははるかに低いが、
妊娠中期胚の子宮内レトロウイルス感染によって生殖系列に導入してもよい。
【0151】
さらに他の実施形態では、トランスジェニック動物は、Schnieke et al
.、Science 1997,278:2130及びCibelli et al.、
Science 1998,280:1256に記載されている核移植技術によって産生
してもよい。この方法を用いて、ドナー動物(例えば、マウス)由来の体細胞(例えば、
初代胎児線維芽細胞)を目的の遺伝子(例えば、ヒトCRBN)のコード配列を含む構築
物で安定にトランスフェクトする。次いで、安定にトランスフェクトされた線維芽細胞を
、脱核した卵母細胞に融合させ、培養し、雌性マウスに移入してトランスジェニックマウ
スを作製する。
【0152】
外因性DNAを導入するためのベクターとしては、限定するものではないが、プラスミ
ド、レトロウイルス及び他の動物ウイルス、BAC、YACなどが挙げられる。限定する
ものではないが、構築、分子クローニング、増幅、産生、トランスフェクション、形質転
換、形質導入、感染、エレクトロポレーションなどを含む、これらのベクターを操作する
ための方法は、当技術分野で周知である。
【0153】
トランスジェニック遺伝子構築物または標的化構築物は、従来の分子生物学的技術を用
いて、目的の遺伝子(例えば、hCRBN)またはその断片を適切なベクター(例えば、
プラスミド、レトロウイルス及び他の動物ウイルス、BAC、YAC)に挿入することに
よって作製してもよい。いくつかの実施形態では、標的化構築物は、全長hCRBN遺伝
子を含む。特定の実施形態では、標的化構築物は、全長hCRBNのcDNAを含む。他
の実施形態では、標的化構築物は、hCRBN遺伝子の断片を含む。さらに他の実施形態
では、標的化構築物は、hCRBNのcDNAの断片を含む。標的化構築物はまた、目的
の遺伝子(例えば、hCRBN)の後にポリ(A)配列(例えば、bGH pA)を含ん
でもよい。さらに、標的化構築物は、形質転換された宿主細胞(例えば、ES細胞)が導
入遺伝子を組み込んだ形質転換細胞を豊富にするために様々な選択プロトコールに供され
るように、選択マーカー(例えばネオマイシン選択カセット)を含んでもよい。
【0154】
特定の他の実施形態では、標的化構築物は、目的の遺伝子(例えば、hCRBN)に隣
接するマウス相同アーム、ポリ(A)配列(例えば、bGH pA)、及び選択マーカー
(例えば、ネオマイシン選択カセット)をさらに含む。一実施形態では、隣接するマウス
相同アームは、5’相同性アーム及び3’相同性アームを含む。特定の実施形態では、隣
接するマウス相同アームはマウスゲノムDNAであり、目的の遺伝子(例えば、hCRB
N)がマウスゲノムのどこに安定して組み込まれるかを決定する。別の実施形態では、目
的の遺伝子(例えば、hCRBN)のマウスゲノムへの安定した組込みは、相同組換えに
よるものである。
【0155】
特定の実施形態では、標的化構築物は、目的の遺伝子、ポリ(A)配列、選択マーカー
、5’相同性アーム、及び3’相同性アームを含む。一実施形態では、標的化構築物は、
hCRBNのcDNAまたはその断片、bGHpA配列、ネオマイシン選択カセット、5
’相同性アーム、及び3’相同性アームを含む。別の実施形態では、標的化構築物は、全
長hCRBNのcDNA、bGHpA配列、ネオマイシン選択カセット、5’相同性アー
ム、及び3’相同性アームを含む。さらに別の実施形態では、標的化構築物は、hCRB
NのcDNAの断片、bGH pA配列、ネオマイシン選択カセット、5’相同性アーム
、及び3’相同性アームを含む。さらに別の実施形態では、標的化構築物は、ヒトCRB
Nアイソフォーム1のコドン24で開始し、ヒトCRBNアイソフォーム1の最終コドン
で終わるポリペプチドをコードするhCRBNのcDNAの断片、bGHpA配列、ネオ
マイシン選択カセット、5’相同性アーム、及び3’相同性アームを含む。さらに別の実
施形態では、標的化構築物は、ヒトCRBNアイソフォーム2のコドン23で開始し、ヒ
トCRBNアイソフォーム2の最終コドンで終わるポリペプチドをコードするhCRBN
のcDNAの断片、bGHpA配列、ネオマイシン選択カセット、5’相同性アーム、及
び3’相同性アームを含む。一実施形態では、標的化構築物は、配列番号5の核酸配列を
有するhCRBNアイソフォーム1のcDNA、bGHpA配列、ネオマイシン選択カセ
ット、5’相同性アーム、及び3’相同性アームを含む。別の実施形態では、標的化構築
物は、配列番号6の核酸配列を有するhCRBNアイソフォーム2のcDNA、bGHp
A配列、ネオマイシン選択カセット、5’相同性アーム、及び3’相同性アームを含む。
1つの特定の実施形態では、標的化構築物は、配列番号7の核酸配列を有するhCRBN
のcDNAの断片、bGHpA配列、ネオマイシン選択カセット、5’相同性アーム、及
び3’相同性アームを含む。別の特定の実施形態では、標的化構築物は、配列番号8の核
酸配列を含む。いくつかの実施形態では、標的化構築物は、マウス染色体に安定に組み込
まれる。
【0156】
選択マーカーをゲノムDNAに残すことは、多くの予期しない問題を引き起こす場合が
あることが示されている。例えば、ネオマイシンカセットの存在は、隣接する遺伝子座の
発現を変化し得る。影響を受ける隣接する遺伝子が、類似または同一の機能を有する場合
があるので、隣接する遺伝子が同じファミリーにある遺伝子クラスターでは、これは特に
問題となり得る。その場合、標的化構築物のわずかな相違が表現型の顕著な差につながる
場合がある。したがって、標的化構築物は、通常、ネオマイシン選択カセットに隣接する
2つのloxP部位を含むので、ネオマイシンカセットは、Creリコンビナーゼの一過
性発現によって標的化した後に除去してもよい。これにより、1つのloxP部位がゲノ
ムDNAに残る。理論的には、小さなloxP部位であっても、隣接する遺伝子の発現に
変化を引き起こす可能性があるが、そのような症例はまだ報告されていない。
【0157】
様々な遺伝子編集方法を用いて、宿主細胞における導入遺伝子の標的化を増強してもよ
い。遺伝子編集方法の非限定的な例としては、転写アクチベーター様エフェクターヌクレ
アーゼ(TALEN)、クラスター化された規則的に間隔を置いた短いパリンドローム反
復(CRISPR/Cas9)、及びジンクフィンガーヌクレアーゼ(ZFN)遺伝子編
集手順が挙げられる。TALENは、転写アクチベーター様エフェクターDNA結合ドメ
インをDNA切断ドメインに融合させることによって生成される人工制限酵素である。こ
のような操作された転写アクチベーター様エフェクターを(DNA鎖を切断する)DNA
切断ドメインと組み合わせることにより、任意の所望のDNA配列に特異的な制限酵素を
操作し得る。これらの制限酵素が細胞に導入されると、インサイチュでのゲノム編集に使
用可能である。CRISPR/Cas9システムは、遺伝子編集(特定の遺伝子の配列の
付加、分裂、または変化)に一般的に使用される別のシステムである。CRISPR/C
as9システムは、プラスミド及びファージなどの外来遺伝子エレメントに対して耐性を
付与する原核生物の免疫系である。CRISPRスペーサーは、真核生物におけるRNA
iに類似した様式でこれらの外因性遺伝子エレメントを認識し切断する。Cas9タンパ
ク質及び適切なガイドRNAを細胞に送達することにより、宿主ゲノムを任意の所望の位
置で切断することができる。ジンクフィンガーヌクレアーゼ(ZFN)は、ジンクフィン
ガーDNA結合ドメインをDNA切断ドメインに融合させることによって生成される人工
制限酵素である。ジンクフィンガードメインは、特定の所望のDNA配列を標的とするよ
うに操作してもよい。これによってジンクフィンガーヌクレアーゼが、ゲノム内の固有の
配列を標的とすることが可能になる。
【0158】
様々な遺伝子編集手順は、異なる長所及び短所を有する。CRISPR/Cas9ベー
スの遺伝子操作が最新であり、その落とし穴がちょうど発見されており、例えば、非特異
的なサイト選択が報告されている。標的領域が数百塩基対より大きい場合、CRISPR
/Cas9システムはまた、あまり効果的ではない傾向がある。一般に、遺伝子操作マウ
スは、どの遺伝子編集方法が機能するか、または他の方法よりも、ある1つの方法がうま
くいく理由に関して、予測不可能である。
【0159】
いくつかの実施形態では、TALEN遺伝子編集手順が使用される。特定の実施形態で
は、様々なTALEN及び対応するTALEN標的部位は、最も活性の高いTALENを
選択するように設計される。次に、最も活性の高いTALENとTALEN標的部位の対
を、その後の遺伝子標的化のために使用する。他の実施形態では、CRISPR/Cas
9遺伝子編集手順を使用する。特定の実施形態では、様々なガイドRNA及び対応するC
RISPR標的部位を、最も活性の高いガイドRNAを選択するように設計する。続いて
、最も活性の高い一対のガイドRNA及びCRISP標的部位を、その後の遺伝子標的化
に使用する。さらに他の実施形態では、ZFN遺伝子編集手順を使用する。特定の実施形
態では、様々なZFN及び対応するZFN標的部位を、最も活性の高いZFNを選択する
ように設計する。次に、最も高い活性を有するZFN及びZFN標的部位の対をその後の
遺伝子標的化に使用する。1つの特定の実施形態では、CRISPR/Cas9遺伝子編
集手順は、所望の遺伝子標的化を生成しなかった。驚くべきことに、別の特定の実施形態
では、TALEN遺伝子編集手順は、所望の遺伝子標的化を生じた。
【0160】
一実施形態では、エレクトロポレーションによって所望のDNAをES細胞にトランス
フェクトし、トランスフェクトされたES細胞からトランスジェニック動物を産生する。
別の実施形態では、適切なDNAを、好ましくは単一細胞段階で、胚の前核または細胞質
に同時注射し、その胚を成熟トランスジェニック動物に発生させる。
【0161】
特定の実施形態では、TALEN遺伝子編集手順を、ES細胞のトランスフェクション
と組み合わせて使用して、トランスジェニックマウスを作製する。別の特定の実施形態で
は、TALEN遺伝子編集手順を、前核注射と組み合わせて使用してトランスジェニック
マウスを作製する。さらに別の特定の実施形態では、CRISPR/Cas9遺伝子編集
手順を、ES細胞のトランスフェクションと組み合わせて使用して、トランスジェニック
マウスを作製する。さらに別の特定の実施形態では、CRISPR/Cas9遺伝子編集
手順を、前核注射と組み合わせて使用して、トランスジェニックマウスを作製する。特定
の実施形態では、ZFN遺伝子編集手順を、ES細胞のトランスフェクションと組み合わ
せて使用して、トランスジェニックマウスを作製する。別の特定の実施形態では、ZFN
遺伝子編集手順を、前核注射と組み合わせて使用して、トランスジェニックマウスを作製
する。一実施形態では、ES細胞のトランスフェクションまたは前核注射と組み合わせた
CRISPR/Cas9遺伝子編集手順では、所望のトランスジェニックマウスの産生に
成功しなかった。驚くべきことに、別の実施形態では、ES細胞のトランスフェクション
と組み合わせたTALEN遺伝子編集手順で、所望のトランスジェニックマウスが産生さ
れた。
【0162】
トランスジェニック動物は、当技術分野で公知の任意の適切な方法によって導入遺伝子
の存在及び/または発現についてスクリーニングしてもよい。特定の実施形態では、スク
リーニングは、導入遺伝子のDNAまたはRNAの少なくとも一部に相補的なオリゴヌク
レオチドプローブを用いて、サザンブロットまたはノーザンブロット分析によって達成さ
れる。他の実施形態では、スクリーニングは、導入遺伝子によりコードされるタンパク質
に対する抗体特異的結合を用いたウエスタンブロット分析によって達成される。いくつか
の実施形態では、トランスジェニック動物(例えば、トランスジェニックマウス)の尾組
織からDNAを調製し、導入遺伝子についてのサザンブロット分析またはPCRによって
分析する。他の実施形態では、最高レベルで導入遺伝子を発現すると考えられる細胞、組
織または器官を、PCRまたはサザンブロット、ノーザンブロットまたはウエスタンブロ
ット分析を用いて導入遺伝子の存在及び発現について試験する。さらに他の実施形態では
、導入遺伝子を発現する任意の細胞、組織または器官を、そのような方法を用いて導入遺
伝子の存在及び発現について試験してもよい。
【0163】
創始動物を育種、同系交配、異系交配、または異種交配させて、所望のトランスジェニ
ック動物のコロニーを産生してもよい。そのような育種戦略の非限定的な例としては、以
下が挙げられる:別々の系統を確立するための2つ以上の組込み部位を有する創始動物の
異種交配;各導入遺伝子の相加効果のおかげで導入遺伝子をより高いレベルで発現する複
合導入遺伝子を産生するための別個の系統の同系交配;導入遺伝子の発現を増大させるか
、及び/または所与の組込み部位についてホモ接合性のマウスを産生するためにヘテロ接
合性トランスジェニックマウスを交配すること;別個のホモ接合性株を交配して複合ヘテ
ロ接合性またはホモ接合性株を産生すること;導入遺伝子の発現及び導入遺伝子の発現の
生理学的効果に対する対立遺伝子を改変する効果を研究するために、異なる同系交配の遺
伝的背景へ動物を育種すること。
【0164】
トランスジェニックマウスを作製するために使用され得るマウス株としては、限定する
ものではないが、CD-1(登録商標)ヌードマウス、CD-1マウス、NU/NUマウ
ス、BALB/Cヌードマウス、BALB/Cマウス、NIH-IIIマウス、SCID
(商標)マウス、非近交系SCID(商標)マウス、SCID(商標)ベージュマウス、
C3Hマウス、C57BL/6マウス、DBA/2マウス、FVBマウス、CB17マウ
ス、129マウス、SJLマウス、B6C3F1マウス、BDF1マウス、CDF1マウ
ス、CB6F1マウス、CF-1マウス、Swiss Websterマウス、SKH1
マウス、PGPマウス、及びB6SJLマウスが挙げられる。さらに、各マウス株内の様
々な亜株(例えば、JまたはN亜株)を使用してもよい。特定の実施形態では、アルビノ
B6Nマウスを使用する。いくつかの実施形態では、C57BL/6Jマウスを使用する
。他の実施形態では、C57BL/6Nマウスを使用する。特定の実施形態では、C57
BL/6NTacマウスを使用する。
【0165】
5.4 ヒトCRBNを発現するトランスジェニックマウスの使用方法
ヒトCRBNを発現するトランスジェニックマウスは、限定するものではないが、有効
性、特異性、毒性、薬物動態学、薬力学、作用機序、投与レジメンの最適化、及びそのよ
うな疾患のための他の治療薬との併用療法の研究を含む、様々な疾患(例えば、がん)の
処置における化合物の評価などの様々な研究のために使用してもよい。
【0166】
5.4.1 トランスジェニックマウスを使用する方法における読み取りのためのバイ
オマーカー
ヒトCRBNを発現するトランスジェニックマウスを用いるこれらの研究の多くにおい
て、バイオマーカーは研究者にとって重要な情報を提供し、安全かつ有効な治療法の設計
及び開発においてそれらを導く。特定のバイオマーカーの検出可能な増減は、所与の治療
(例えば、化合物、またはその立体異性体もしくは立体異性体の混合物、互変異性体、薬
学的に許容される塩、溶媒和物、同位体置換体、プロドラッグ、水和物、共結晶、包接体
またはその多形体)に応答する特定の疾患(例えば、がん)を有する対象において観察さ
れ、これらのバイオマーカーのレベルは、処置に対する対象の反応性をモニターするため
に使用され得る。
【0167】
「生物学的マーカー」または「バイオマーカー」とは、その変化及び/または検出が特
定の生物学的状態を示す物質である。いくつかの実施形態では、所定の処置(例えば、化
合物、または薬学的に許容される塩、溶媒和物、立体異性体、同位体置換体、プロドラッ
グ、水和物、共結晶、包接体、またはその多形体)に対する疾患(例えば、がん)の応答
性が示される。
【0168】
本明細書で提供される様々な方法の特定の実施形態では、バイオマーカーとは、セレブ
ロン(CRBN)によって、例えば、タンパク質間の相互作用(例えば、特定のCRBN
基質またはその下流のエフェクター)を通じるか、または種々の細胞経路(例えば、シグ
ナル伝達経路)を通じて、直接的または間接的に影響されるタンパク質である。特定の実
施形態では、バイオマーカーは、CRBN関連タンパク質(CAP)である。いくつかの
実施形態では、バイオマーカーは、CRBNによって直接的または間接的に影響を受ける
タンパク質のmRNAである。他の実施形態では、バイオマーカーは、CRBNによって
直接的または間接的に影響を受けるタンパク質のcDNAである。特定の実施形態では、
バイオマーカーは、CRBNの1つ以上のアイソフォームによって直接的または間接的に
影響を受ける。いくつかの実施形態では、バイオマーカーは、直接的または間接的にCR
BNの1つのアイソフォームによって影響を受けるが、他のアイソフォームによって影響
を受けない。
【0169】
本明細書で提供されるバイオマーカーの各々としては、様々なアイソフォーム、リン酸
化型、切断型、修飾(改変)型、及びそれらのスプライシングバリアントが挙げられる。
【0170】
いくつかの実施形態では、本明細書に提供されるバイオマーカーは、eRF3a(GS
PT-1)、eRF3b、eRF3c、IKZF1(Ikaros)、IKZF3(Ai
olos)、CK1a、PABP1、eRF1、BIP、eEF1α、PERK、GCN
2、eIF2a、ATF4、ATF3、DDIT3、PPP1R15A、TNFRSF1
0B、GADD45A、TNFRSF1A、TNFRSF1B、FAS、FADD、IR
E1、XBP1、SEC24D、DNAJB9、EDEM1、EDEM2、HYOU1、
ATF6、HSPA5、カスパーゼ8、BID、カスパーゼ9、カスパーゼ7、カスパー
ゼ3、PARP、Mcl-1、及びBADからなる群より選択される。
【0171】
特定の実施形態では、バイオマーカーは、CDKN1A、Myc、IRF4、IRF7
、IFIT1、IFIT3、RIG-I、MDA-5、TBK1、IKKe、ZFP91
、ZNF198、MVP、Parp4、Ron、PDE6D、TLR3、STAT1、S
TAT2、STAT3、IFNa、IFNb、OAS1、OAS2、OAS3、IFIT
2、ISG15、ISG20、、IFI21、IFI35、IFI6、IFITM3、I
FITM2WIZ、GBP2、GBP4、SELL、SNX20、KLF13、GBP1
、MARCKS、SLAMF1、SASH1、またはそれらの任意の組み合わせである。
【0172】
他の実施形態では、このバイオマーカーは、ABCE1、ACLY、ACTB、ALD
OA、ARID1A、C7ORF42、COPS6、CPSF6、CSNK1A1、CS
NK2A1、CTPS、CRBN、DDB1、DDIT4、DDX17、DDX21、D
DX58、DDX58、DDX60、DDX60L、DHX9、DNAJC1、DUT、
EEF1A1、EEF1AL3、EEF1G、EIF2S1、EIF2S2、EIF3J
、EIF4A1、EWSR1、FASN、FBXO21、FERMT3、FUBP1、G
3BP1、G3BP2、GBE1、GBP1、GNAS、GNB2L1、GNB3、H2
AFJ、H2AFX、H2AFZ、HIST1H1A、HIST1H1B、HIST1H
1C、HIST1H1D、HIST1H1E、HIST1H2AA、HNRNPA2B1
、HNRNPC、HNRNPH2、HNRNPR、HSPA1A、HSPA1B、HSP
A8、HSPA9、IFI16、IFI27、IFI27L2、IFI35、IFI44
、IFI44L、IFI6、IFIH1、IFIT1、IFIT2、IFIT3、IFI
T5、IFITM2、IFITM3、IFN、IFNA16、IFNA5、IFNG、I
FNGR1、IGF2BP2、IKKE、IKZF1(Ikaros)、IKZF3(A
iolos)、ILF3、IPO5、IRF1、IRF2、IRF3、IRF4、IRF
7、IRF8、IRF9、ISG15、ISG20、KCNAB2、MACF1、MCM
2、MCM7、MX1、MX2、MYH10、NACA、NAP1L2、NCL、NED
D8、NUP88、OAS1、OAS2、OAS3、OASL、PABPC1、PABP
C4、PCM1、PDXK、PPAT、PRKDC、PTPRC、PTRH2、RPL1
0A、RPL11、RPL12、RPL13A、RPL14、RPL15、RPL18A
、RPL19、RPL21、RPL3、RPL30、RPL4、RPL7、RPL7A、
RPL9、RPLP1、RPLP2、RPS13、RPS16、RPS19、RPS2、
RPS6、SEC23B、SEC24A、SEC24C、SMC4、SND1、STAT
、STAT-PO4、STAT3、SYNCRIP、TBK1、TBK1-PO4、TB
L1XR1、TLR1、TLR3、TLR4、TLR7、TLR8、TPD52、TUB
A1A、TUBA1B、TUBA1C、UAP1、UBA52、UBAP2L,UBB、
UBE2O、UBE2Q1、USP15、VAPA、XAF1、XRCC6、YWHAE
、ZFP91、またはそれらの任意の組み合わせである。
【0173】
さらに他の実施形態では、このバイオマーカーは、ARHGAP18、CASS4、C
CNA2、CORO1B、CSNK1A1、CYTL1、DAB2、HSPB1、IKZ
F1、ITM2C、PPFIBP1、SERPINH1、YEATS2、ZFP91、ま
たはそれらの任意の組み合わせである。
【0174】
さらに他の実施形態では、このバイオマーカーは、ARHGAP18、CALM1、C
ASS4、CCNA2、CORO1B、CSNK1A1、DAB2、HSPB1、IKZ
F1、ITM2C、PPFIBP1、SERPINH1、ZFP91、またはそれらの任
意の組み合わせである。
【0175】
いくつかの実施形態では、バイオマーカーは、AHNAK、ALOX5、AMPD3、
ANXA4、ANXA6、ATP2B4、BMF、BST2、C10orf76、C19
orf66、CD36、CLN3、CNN3、CORO1B、CPNE2、CSRP2、
CTNND1、CTSH、DAPK2、DDX58、DHX58、DLG2、DTX3L
、EIF2AK2、EPB41L1、ETV6、EXTL2、F13A1、FAM65B
、FCGR2B、FES、FMNL3、GBP1、GMFG、GMPR、HIP1、HL
A-B、HLA-DMA、HPSE、ID3、IFI35、IFIH1、IFIT1、I
FIT3、IFIT5、IFITM2、IL4I1、IRF7、IRF9、ISG15、
ISG20、ITGB7、JAK3、LAP3、LGALS1、LGALS3BP、LI
MD1、MAN2A2、MARCKS、MFI2、MGARP、MOV10、MPP7、
MUC1、MX1、MX2、MYO1G、NCF2、NME3、NMI、NT5C3A、
OAS1、OAS2、OAS3、PARP14、PARP9、PBXIP1、PLD4、
PLEKHO1、PLSCR1、PLXNB2、POMP、PPFIBP1、PTMS、
QPRT、RAB13、RCN1、RGCC、RNF213、S100A13、SAMD
9L、SAMHD1、SERPINH1、SLFN11、SLFN13、SLFN5、S
P110、SP140、SPN、SPR、STAP1、STAT1、STAT2、TAP
1、TAX1BP3、THEMIS2、THTPA、TNFAIP8L2、TNFSF8
、TP53I3、TREX1、TRIM22、TTC39C、TXNIP、UBA7、U
BE2L6、USP41、VCL、VNN2、ZBTB38、ARHGAP19、ASN
S、ASPM、B4GALT3、BANK1、BCDIN3D、BLZF1、CA2、C
A8、CAMSAP3、CCDC69、CCNB1、CDC7、CDCA3、CENPF
、CSNK1A1、DHPS、DLGAP5、DOK3、ECT2、EFCAB4B、E
HMT1、EHMT2、EPCAM、ESRP1、FAM195A、FBRSL1、FH
OD1、FIGNL1、GPT2、GRAMD1A、GRAMD1B、GRPEL2、H
JURP、HMCES、HMMR、HOXC4、ICAM2、IKZF1、IKZF3、
IRS2、KIF18B、KIF22、KIF2C、LIPG、LPXN、MINA、M
IS18BP1、NEIL1、NFKBID、NPIPB5、OMA1、ORC6、PA
RVB、PBK、PDE6D、PKMYT1、PLK1、PODXL、PODXL2、P
OLE2、PRDM15、PRNP、PTAFR、PTTG1、PYROXD1、RAS
A4B、RASSF6、RGS1、RGS2、SEC14L1、SGOL1、SGOL2
、SLCO3A1、SLCO4A1、TACC3、TIMM8B、TOP2A、TPX2
、TRIB3、WIZ、WSB1、WWC1、ZFP91、ZMYM2、ZNF385B
、ZNF581、ZNF644、またはそれらの任意の組み合わせである。
【0176】
一実施形態では、このバイオマーカーは、ADAM19、AIF1、ALDH1A1、
ALDH2、ALOX5、AMPD3、APOBEC3G、APOE、APOH、ARH
GAP10、ATP2B4、BST2、C4A、C4BPA、C4orf33、バイオマ
ーカーN2、CASP4、CCR7、CD1D、CD63、CD86、CDR2、COR
O1B、CPNE2、CYTH4、DAPK2、DDX58、DDX60、DDX60L
、DHX58、DNASE1L3、DTX3L、EIF2AK2、ELOVL7、EPB
41L1、F13A1、FAM129A、FBLN1、FCRLA、FERMT3、FG
D6、FLNA、GALNT7、GBP1、GBP2、GBP4、GIPC1、GPD1
、GPX3、HABP2、HBA1、HBD、HERC3、HERC6、HGF、HIG
D1A、HMOX1、HSPA8、HSPB1、IFI35、IFI44、IFI44L
、IFIH1、IFIT1、IFIT2、IFIT3、IFIT5、IFITM3、IL
3RA、IRF7、IRF9、ISG15、ISG20、ITGA1、ITGB3、IT
GB7、ITPKB、KIAA1618、L1TD1、LAP3、LDB3、LGALS
1、LGALS3BP、LGALS9、LGALS9B、LMNA、LPIN1、MAP
3K11、MCAM、MCM8、MGLL、MPP7、MUC1、MX1、MX2、MY
L4、NCF4、NMI、NQO1、NUB1、OAS1、OAS2、OAS3、OAS
L、ORMDL2、OTOF、P2RY6、PAPSS2、PARP14、PARP9、
PBXIP1、PHF11、PHF15、PLG、PLSCR1、PREX1、PREX
2、PRIC285、PRKCI、PSAP、PTMS、RAB13、RASSF4、R
CN1、RGL1、RGS13、RNF213、RTN2、RTP4、RUNX3、S1
00A13、SAMD9、SAMD9L、SAMHD1、SERPINA7、SERPI
NF2、SERPINH1、SIPA1L3、SLAMF1、SLC1A3、SLC23
A2、SLC27A3、SLFN5、SOD2、SPN、SPR、SRC、STAT1、
STAT2、SYNJ2BP、TAX1BP3、TBC1D13、TDRD7、TGOL
N2、TLR7、TMEM87A、TMOD2、TNFAIP2、TNFAIP8L2、
TRANK1、TRIM14、TRPC4、TRPM4、TSPAN14、TSPAN3
、UBA7、UBE2L6、USP18、USP41、VNN2、VTN、XAF1、Z
CCHC2、ZER1、ZNF385A、ZNF480、ZNF770、3-Sep、A
DIPOR2、AHR、ALCAM、ALDOC、ALKBH6、ALPL、AP1S3
、APBB1IP、ARHGAP24、ARHGAP27、ARNT、BCL11A、B
CL2A1、BCL2L1、BCLAF1、BNIP3L、C19orf22、C9or
f40、CANX、CD22、CD44、CD5、CDC42SE2、CENPJ、CE
P97、CFLAR、CLDN23、CLEC17A、COX17、CROCC、CRY
M、CSNK1A1、DBN1、DENND1C、DNM2、DOK3、DTWD1、E
HD1、EIF4H、ENO2、EPHA4、EPHA7、EPHB1、ERCC6、E
TS1、EVI2B、EVL、FAR1、FCRL2、FCRL3、FCRL5、GAB
PB1、GAMT、GAPT、GAS7、GATM、GLRX、GNG2、GRPEL2
、GYPC、GZMB、HK2、HLTF、HTRA3、IFNAR2、IKZF1、I
KZF3、IL16、INF2、IQSEC1、IRF4、ISYNA1、ITGAL、
ITGB2、KDM5B、KHK、L1CAM、LAT2、LBH、LNX1、LRRC
25、LUC7L、LYSMD2、MEF2B、MEF2D、MICAL3、MYH11
、NARF、NBR1、NEDD9、NEFL、OMA1、PARVB、PDK1、PF
KFB4、PGM1、PIR、PLEKHG1、PMS2CL、PODXL2、POU2
AF1、PPP1R2、PTPR、PTPRE、PTPRF、PTPRO、PTTG1、
PVRL1、RAB33A、RANBP3、RASGRP3、RASSF6、RBBP5
、RHOF、RPS29、RPS4Y2、SAMD1、SC5DL、SEC14L1、S
EMA7A、SERPINB9、SETD8、SH2D3C、SIT1、SLAMF7、
SLC16A3、SLC19A2、SNAP23、SNX11、SP140、SPIB、
SPTAN1、SPTB、SSBIP1、STK17B、SYNCRIP、TCP11L
1、TGM2、TJAP1、TNFAIP3、TNFRSF13B、TNFRSF1B、
TOM1、TOR1AIP1、TP53I11、TSTD1、TUBB2B、UBE2J
1、VAT1、VIM、WIPF1、WIZ、ZBTB32、ZFP91、ZMYM2、
ZNF316、ZNF644、ZNF805、またはそれらの任意の組み合わせである。
【0177】
いくつかの実施形態では、このバイオマーカーは、ACSS1、ACY3、ADAM1
9、ADCY7、AIF1、ALDH2、AMPD3、ANK3、ANXA4、ANXA
6、ANXA6、APOBEC3G、APOBR、B2M、BCL9L、BST2、C1
9orf66、CASP10、CCDC28B、CD40、CD59、CD83、CGN
、CLSTN1、CMPK2、COL23A1、CORO1B、CORO1C、CTNN
D1、CTSH、CTTNBP2NL、CYTH1、CYTH4、DDX58、DDX6
0、DTX3L、EIF2AK2、ETHE1、F11R、FADS2、FAM76A、
FDFT1、FGD4、FLNA、FLNB、FRRS1、FSCN1、GCH1、GM
FG、GNB4、GNG2、H1F0、HECTD1、HELZ2、HGF、HGSNA
T、HLA-A、HLA-B、HLA-G、HSPB1、HYI、IFI35、IFIT
1、IFIT3、IFIT5、IL4I1、IPCEF1、IRF9、ISG15、IS
G20、JADE2、KIAA0101、LAT2、LGALS1、LGALS3BP、
LGALS9、LGALS9B、LMCD1、LMNA、LY75、LYSMD2、MA
GED4、MAPK10、MBD1、MEA1、MT2A、MX1、MX2、MYBPC
2、NCOA7、NCOA7、NEXN、NT5C3A、OAS1、OAS2、OAS3
、OSBPL10、PARP10、PARP14、PARP9、PCDHGC3、PLG
、PLSCR1、PRCP、PTTG1IP、PYGO2、QPCT、S100A13、
SAMHD1、SERPINH1、SIRPB1、SLC23A2、SLC25A33、
SLC7A7、SLFN5、SOWAHD、SP110、SP140、SPR、STAT
1、STAT2、STK3、SYBU、TAP1、TAP2、TDRD7、THEMIS
2、TNFAIP8L2、TNFSF9、TRIM14、TRIM21、TRIM22、
TYMP、UBE2L6、USP40、VPREB1、ADIPOR2、ATF5、BA
CH2、BANK1、BCDIN3D、CD320、CSNK1A1、DEPTOR、E
TS1、GLIPR1L1、GNG7、GPT2、HSBP1、ICAM2、IKZF1
、IKZF3、KRT1、KRT14、KRT2、KRT6B、KRT9、MED12L
、NEIL1、NUGGC、OMA1、PDE6D、PDZRN3、PODXL、SYN
GR3、SYTL1、WIZ、ZFP91、ZMYM2、またはそれらの任意の組み合わ
せである。
【0178】
他の実施形態では、このバイオマーカーは、ADIPOR2、ATF5、BACH2、
BANK1、BCDIN3D、CD320、CSNK1A1、DEPTOR、ETS1、
GLIPR1L1、GNG7、GPT2、HSBP1、ICAM2、IKZF1、IKZ
F3、KRT1、KRT14、KRT2、KRT6B、KRT9、MED12L、NEI
L1、NUGGC、OMA1、PDE6D、PDZRN3、PODXL、SYNGR3、
SYTL1、WIZ、ZFP91、ZMYM2、またはそれらの任意の組み合わせである
。
【0179】
特定の実施形態では、このバイオマーカーは、AMPK、CUL4A、CUL4B、D
DB1、DDB2、DUS3L、FAS1、GSK3B、IRF4、NFkB、PHGD
H、RANBP6、XBP-1、またはそれらの任意の組み合わせである。
【0180】
いくつかの実施形態では、バイオマーカーは、任意の上述のバイオマーカーのマウス等
価物である。
【0181】
いくつかの実施形態では、測定されるバイオマーカーは、1つのバイオマーカーを含む
。特定の実施形態では、測定されるバイオマーカーは、2つのバイオマーカーを含む。他
の実施形態では、測定されるバイオマーカーは、3つのバイオマーカーを含む。特定の実
施形態では、測定されるバイオマーカーは、4つのバイオマーカーを含む。いくつかの実
施形態では、測定されるバイオマーカーは、5つのバイオマーカーを含む。他の実施形態
では、測定されるバイオマーカーは、6つのバイオマーカーを含む。さらに他の実施形態
では、測定されるバイオマーカーは、7つのバイオマーカーを含む。特定の実施形態では
、測定されるバイオマーカーは、8つのバイオマーカーを含む。他の実施形態では、測定
されるバイオマーカーは、9つのバイオマーカーを含む。別の実施形態では、測定される
バイオマーカーは、10以上のバイオマーカーを含む。
【0182】
特定の実施形態では、生物学的試料由来のバイオマーカー、例えば、CRBNまたはC
RBNによって直接または間接的に影響を受けるバイオマーカーのタンパク質レベルを検
出及び定量する方法であって、この試料内のタンパク質と、バイオマーカータンパク質と
免疫特異的に結合する第1の抗体とを接触させることを包含する、方法が提供される。い
くつかの実施形態では、本明細書で提供される方法は、(i)第1の抗体に結合したバイ
オマーカータンパク質を、バイオマーカータンパク質に免疫特異的に結合する、検出可能
な標識を有する第2の抗体と接触させ、ここでこの第2の抗体が第1の抗体よりもバイオ
マーカータンパク質上の異なるエピトープに免疫特異的に結合すること;(ii)このバ
イオマーカータンパク質に結合した第2の抗体の存在を検出すること;及び(iii)こ
の第2抗体中の検出可能な標識の量に基づいてバイオマーカータンパク質の量を決定する
ことをさらに包含する。他の実施形態では、本明細書で提供される方法は、(i)第1の
抗体に結合したバイオマーカータンパク質と、この第1の抗体に免疫特異的に結合する検
出可能な標識を有する第2の抗体と接触させること;(ii)この第1の抗体に結合した
第2の抗体の存在を検出すること;ならびに(iii)この第2抗体中の検出可能な標識
の量に基づいてバイオマーカータンパク質の量を決定することをさらに包含する。
【0183】
本明細書で提供される様々な方法のいくつかの実施形態では、この方法は、二重染色免
疫組織化学を使用して、CRBNまたはCRBNによって直接的または間接的に影響を受
けるタンパク質などのバイオマーカーのレベルを決定することを包含する。二重染色免疫
組織化学アッセイでは、本明細書で提供されるバイオマーカー及び別の疾患特異的バイオ
マーカー(例えば、がんバイオマーカー)が、本明細書で提供されるバイオマーカーを標
的とする第1の標識抗体及びがんバイオマーカーを標的とする第2の標識抗体を用いて同
時に検出される。そのようなアッセイは、本明細書で提供されるバイオマーカーを検出及
び測定するための特異性、精度及び感度を改善し得る。特定の実施形態では、がんバイオ
マーカーは、固形がんバイオマーカーである。他の実施形態では、がんバイオマーカーは
、血液がんバイオマーカーである。いくつかの実施形態では、がんバイオマーカーは、リ
ンパ腫バイオマーカーである。他の実施形態では、がんバイオマーカーは、白血病バイオ
マーカーである。さらに他の実施形態では、がんバイオマーカーは多発性骨髄腫バイオマ
ーカーである。
【0184】
したがって、いくつかの実施形態では、本明細書に提供される方法は、(i)試料内の
タンパク質と、本明細書に提供されるバイオマーカーに免疫特異的に結合する第1の抗体
とを接触させることであって、この第1の抗体が、第1の検出可能な標識とカップリング
される、接触させること;(ii)試料内のタンパク質を、がんバイオマーカーに免疫特
異的に結合する第2の抗体と接触させることであって、この第2の抗体は、第2の検出可
能な標識とカップリングされている、接触させることと;(iii)タンパク質に結合し
た第1の抗体及び第2の抗体の存在を検出すること;ならびに(iv)この第1抗体中の
検出可能な標識の量に基づいて本明細書で提供されるバイオマーカーのレベルを決定する
こと、及び第2抗体中の検出可能な標識の量に基づいてがんバイオマーカーのレベルを決
定することを包含する。特定の実施形態では、がんバイオマーカーは、固形がんバイオマ
ーカーである。他の実施形態では、がんバイオマーカーは、血液がんバイオマーカーであ
る。いくつかの実施形態では、がんバイオマーカーは、リンパ腫バイオマーカーである。
他の実施形態では、がんバイオマーカーは、白血病バイオマーカーである。さらに他の実
施形態では、がんバイオマーカーは多発性骨髄腫バイオマーカーである。
【0185】
特定の実施形態では、本明細書において、生物学的試料からの、本明細書で提供される
CRBNまたはバイオマーカーなどのバイオマーカーのRNA(例えばmRNA)レベル
を検出及び定量する方法であって:(a)試料からRNAを得ること;(b)このRNA
を、RNA中の配列に特異的に結合するプライマーと接触させて、このRNAに相補的な
配列を有する第1のDNA分子を生成すること;(c)バイオマーカーをコードする遺伝
子のセグメントに対応するDNAを増幅すること;及び(d)増幅されたDNAの量に基
づいてバイオマーカーのRNAレベルを決定すること、を包含する方法が提供される。
【0186】
いくつかの実施形態では、バイオマーカー(複数可)は、CRBN、eRF3a、eR
F3b、eRF3c、ATF4、ATF3及びDDIT3のような、本明細書で提供され
る他のバイオマーカー(複数可)と組み合わせて評価される。
【0187】
本明細書で提供される様々な方法の特定の実施形態では、2つ以上のステップが連続し
て実施される。本明細書で提供される方法の他の実施形態では、2つ以上のステップが並
行して(例えば、同時に)実行される。
【0188】
eRF3a、eRF3b、eRF3c、IKZF1、IKZF3、CK1a、PABP
1、eRF1、BIP、eEF1α、PERK、GCN2、eIF2a、ATF4、AT
F3、DDIT3、PPP1R15A、TNFRSF10B、GADD45A、TNFR
SF1A、TNFRSF1B、FAS、FADD、IRE1、XBP1、SEC24D、
DNAJB9、EDEM1、EDEM2、HYOU1、ATF6、HSPA5、カスパー
ゼ8、BID、カスパーゼ9、カスパーゼ7、カスパーゼ3、PARP、Mcl-1、B
AD、CDKN1A、Myc、IRF4、IRF7、IFIT1、IFIT3、RIG-
I、MDA-5、TBK1、IKKe、ZFP91、ZNF198、MVP、Parp4
、Ron、PDE6D、TLR3、STAT1、STAT2、STAT3、IFNa、I
FNb、OAS1、OAS2、OAS3、IFIT2、ISG15、ISG20、、IF
I21、IFI35、IFI6、IFITM3、IFITM2WIZ、GBP2、GBP
4、SELL、SNX20、KLF13、GBP1、MARCKS、SLAMF1、SA
SH1、またはそれらの組み合わせのようなバイオマーカーのタンパク質レベルを検出及
び定量する方法について本明細書で提供される例示的なアッセイは、イムノアッセイ、例
えば、ウエスタンブロット解析及び酵素連結免疫吸着アッセイ(ELISA)(例えば、
サンドウィッチELISA)である。eRF3a、eRF3b、eRF3c、IKZF1
、IKZF3、CK1a、PABP1、eRF1、BIP、eEF1α、PERK、GC
N2、eIF2a、ATF4、ATF3、DDIT3、PPP1R15A、TNFRSF
10B、GADD45A、TNFRSF1A、TNFRSF1B、FAS、FADD、I
RE1、XBP1、SEC24D、DNAJB9、EDEM1、EDEM2、HYOU1
、ATF6、HSPA5、カスパーゼ8、BID、カスパーゼ9、カスパーゼ7、カスパ
ーゼ3、PARP、Mcl-1、及びBAD、CDKN1A、Myc、IRF4、IRF
7、IFIT1、IFIT3、RIG-I、MDA-5、TBK1、IKKe、ZFP9
1、ZNF198、MVP、Parp4、Ron、PDE6D、TLR3、STAT1、
STAT2、STAT3、IFNa、IFNb、OAS1、OAS2、OAS3、IFI
T2、ISG15、ISG20、、IFI21、IFI35、IFI6、IFITM3、
IFITM2WIZ、GBP2、GBP4、SELL、SNX20、KLF13、GBP
1、MARCKS、SLAMF1、SASH1、またはそれらの組み合わせなどのバイオ
マーカーのRNAレベルを検出及び定量する方法のための本明細書で提供される例示的な
アッセイは、逆転写ポリメラーゼ連鎖反応(RT-PCR)、例えば、定量的なRT-P
CR(qRT PCR)である。
【0189】
5.4.2処置化合物
本明細書で提供される様々な化合物は、1つ以上のキラル中心を含み、エナンチオマー
の混合物(例えば、ラセミ混合物)またはジアステレオマーの混合物として存在し得る。
本明細書で提供される方法は、そのような化合物の立体異性的に純粋な形態ならびにそれ
らの形態の混合物の使用を包含する。例えば、特定の化合物のエナンチオマーの等量また
は不等量を含む混合物は、本明細書で提供される方法において使用され得る。これらの異
性体は、キラルカラムまたはキラル分割剤などの標準的技術を使用して、非対称的に合成
されても、または分割されてもよい。Jacques et al.,Enantiom
ers,Racemates and Resolutions(Wiley-Inte
rscience,New York,1981);Wilen et al.,Tet
rahedron 1977,33:2725-2736;Eliel,Stereoc
hemistry of Carbon Compounds(McGraw-Hill
,NY,1962);Wilen,Tables of Resolving Agen
ts and Optical Resolutions,p.268(Eliel,e
d.,Univ.of Notre Dame Press,Notre Dame,I
N,1972)を参照のこと。
【0190】
特定の実施形態では、本明細書で提供される化合物は、CRBN E3ユビキチンリガ
ーゼ複合体を直接的または間接的に調節するCRBN E3ユビキチンリガーゼ調節化合
物(CMC)である。いくつかの実施形態では、CMCは、CRBNに直接結合し得る。
他の実施形態では、CMCは、CRBNタンパク質の構造変化を誘導し得る。さらに他の
実施形態では、CMCは、CRBNに直接結合し、CRBNタンパク質の構造変化を誘導
し得る。さらに他の実施形態では、CMCは、CRBN E3ユビキチンリガーゼ複合体
中の他のサブユニットに直接結合し得る。
【0191】
いくつかの実施形態では、本明細書で提供される化合物は、免疫調節化合物(例えば、
サリドマイド、レナリドマイド、またはポマリドマイド)である。一実施形態では、本明
細書で提供される化合物は、サリドマイドである。別の実施形態では、本明細書で提供さ
れる化合物は、レナリドマイドである。さらに別の実施形態では、本明細書で提供される
化合物はポマリドマイドである。
【0192】
特定の実施形態では、本明細書で提供されるCMCは、免疫調節化合物である。他の実
施形態では、本明細書で提供されるCMCは、免疫調節化合物ではない。いくつかの実施
形態では、本明細書で提供される免疫調節化合物はCMCである。他の実施形態では、本
明細書で提供される免疫調節化合物はCMCではない。
【0193】
本明細書中で使用される場合、他に示されない限り、「免疫調節化合物」という用語は
、LPS誘導単球TNF-α、IL-1β、IL-12、IL-6、MIP-1α、MC
P-1、GM-CSF、G-CSF、及びCox-2産生を阻害する特定の有機低分子を
包含し得る。
【0194】
特定の理論に限定されることはないが、本明細書に開示される免疫調節化合物によって
及ぼされる生物学的効果の1つは、骨髄性細胞TNF-α産生の減少である。本明細書に
開示される免疫調節化合物は、TNF-αmRNAの分解を増強し得る。
【0195】
さらに、理論に限定されることはないが、本明細書に開示される免疫調節化合物はまた
、T細胞の強力な共刺激因子であり得、用量依存性の方式で細胞増殖を劇的に増大し得る
。本明細書中に開示される免疫調節化合物はまた、CD4+T細胞サブセットよりもCD
8+T細胞サブセットに対してより大きな共刺激効果を有し得る。さらに、この化合物は
、骨髄性細胞応答に対する抗炎症特性を有するが、T細胞をより効率的に共刺激してより
大量のIL-2、IFN-γを生成し、T細胞増殖及びCD8+T細胞細胞傷害活性を増
強し得る。さらに、特定の理論に制限されることはないが、本明細書中に開示される免疫
調節化合物は、サイトカイン活性化を介して間接的に、及びナチュラルキラー(「NK」
)細胞及びナチュラルキラーT(「NKT」)細胞上で直接作用し得、NK細胞が、限定
するものではないが、IFN-γなどの有益なサイトカインを産生する能力、ならびにN
K及びNKT細胞の細胞傷害活性を増強する能力を増大し得る。
【0196】
他の実施形態では、本明細書で提供される化合物は、
以下の構造を有する、3-(5-アミノ-2-メチル-4-オキソ-4H-キナゾリン-
3-イル)-ピペリジン-2,6-ジオン(「化合物A」):
【化2】
、
以下の構造を有する、3-(4-((4-(モルホリノメチル)ベンジル)オキシ)-1
-オキソイソインドリン-2-イル)ピペリジン-2,6-ジオン(「化合物B」):
【化3】
、
以下の構造を有する、1-(3-クロロ-4-メチルフェニル)-3-((2-(2,6
-ジオキソピペリジン-3-イル)-1-オキソイソインドリン-5-イル)メチル)尿
素(」化合物C」):
【化4】
、
以下の構造を有する、2-(4-クロロフェニル)-N-((2-(2,6-ジオキソピ
ペリジン-3-イル)-1-オキソイソインドリン-5-イル)メチル)-2,2-ジフ
ルオロアセトアミド(「化合物D」):
【化5】
、及び
以下の構造を有する、2-(4-フルオロフェニル)-N-((2-(2,6-ジオキソ
ピペリジン-3-イル)-1-オキソイソインドリン-5-イル)メチル)-2,2-ジ
フルオロアセトアミド(「化合物E」):
【化6】
、
またはその立体異性体もしくは立体異性体の混合物、互変異性体、薬学的に許容される塩
、溶媒和物、同位体置換体、プロドラッグ、水和物、共結晶、包接体もしくは多形体、か
らなる群より選択される。
【0197】
化合物Aは、その開示が全体として参照によって本明細書に組み込まれる、米国特許第
7,635,700号に記載のとおり調製されてもよい。その化合物はまた、本明細書の
教示に基づいて当業者に明らかな他の方法に従って合成することもできる。特定の実施形
態では、化合物Aは、その全体が参照により本明細書に組み込まれる、米国特許第8,8
02,685号に記載の結晶型である。いくつかの実施形態では、化合物Aの塩酸塩は、
本明細書で提供される方法において使用される。化合物Aを用いてがん及び他の疾患を処
置、予防及び/または管理する方法は、その全体が参照により本明細書に組み込まれる、
米国特許第8,906,932号に記載されている。
【0198】
化合物B及びその調製方法は、参照によりその全体が本明細書に組み込まれる米国特許
第8,518,972号に記載されている。
【0199】
化合物C及びその調製方法は、参照によりその全体が本明細書に組み込まれる米国特許
第8,877,780号に記載されている。
【0200】
化合物D及びEならびにそれらを調製する方法は、参照によりその全体が本明細書に組
み込まれる米国特許第9,499,514号に記載されている。
【0201】
一実施形態では、本明細書で提供される化合物は、化合物A、またはその立体異性体も
しくは立体異性体の混合物、互変異性体、薬学的に許容される塩、溶媒和物、同位体置換
体、プロドラッグ、水和物、共結晶、包接体もしくは多形体である。別の実施形態では、
本明細書で提供される化合物は、化合物B、またはその立体異性体もしくは立体異性体の
混合物、互変異性体、薬学的に許容される塩、溶媒和物、同位体置換体、プロドラッグ、
水和物、共結晶、包接体もしくは多形体である。さらに別の実施形態では、本明細書で提
供される化合物は、化合物C、またはその立体異性体もしくは立体異性体の混合物、互変
異性体、薬学的に許容される塩、溶媒和物、同位体置換体、プロドラッグ、水和物、共結
晶、包接体もしくは多形体である。さらに別の実施形態では、本明細書で提供される化合
物は、化合物D、またはその立体異性体もしくは立体異性体の混合物、互変異性体、薬学
的に許容される塩、溶媒和物、同位体置換体、プロドラッグ、水和物、共結晶、包接体も
しくは多形体である。さらにもう1つの実施形態では、本明細書で提供される化合物は、
化合物E、またはその立体異性体もしくは立体異性体の混合物、互変異性体、薬学的に許
容される塩、溶媒和物、同位体置換体、プロドラッグ、水和物、共結晶、包接体もしくは
多形体である。
【0202】
特定の実施形態では、本明細書で提供される化合物は、増大した抗多発性骨髄腫活性、
増大した抗B細胞悪性腫瘍活性、または増強された免疫調節活性を有する化合物である。
いくつかの実施形態では、この化合物は、増大した抗多発性骨髄腫活性を有する。他の実
施形態では、この化合物は、増大した抗B細胞悪性腫瘍活性を有する。さらに他の実施形
態では、この化合物は、免疫調節活性が増強されている。さらに他の実施形態では、この
化合物は、増大した抗多発性骨髄腫活性及び増大した抗B細胞悪性腫瘍活性を有する。特
定の実施形態では、この化合物は、増大した抗多発性骨髄腫活性及び増強された免疫調節
活性を有する。いくつかの実施形態では、この化合物は、増大した抗B細胞悪性腫瘍活性
及び増強された免疫調節活性を有する。他の実施形態では、この化合物は、増大した抗多
発性骨髄腫活性、増大した抗B細胞悪性腫瘍活性、及び増強された免疫調節活性を有する
。
【0203】
いくつかの実施形態では、本明細書で提供される化合物はまた、抗体またはその断片で
あってもよい。特定の実施形態では、本明細書で提供される化合物は、モノクローナル抗
体である。他の実施形態では、本明細書で提供される化合物は、ポリクローナル抗体であ
る。さらに他の実施形態では、本明細書で提供される化合物は、ヒト化抗体、ヒト抗体、
またはキメラ抗体である。一実施形態では、本明細書で提供される化合物は、ヒト化抗体
である。別の実施形態では、本明細書で提供される化合物は、ヒト抗体である。さらに別
の実施形態では、本明細書で提供される化合物は、キメラ抗体である。さらに別の実施形
態では、本明細書で提供される化合物は、脱免疫化された抗体である。一実施形態では、
本明細書で提供される化合物は、複合ヒト抗体である。
【0204】
特定の実施形態では、本明細書で提供される化合物は、抗体断片から形成された、Fa
b、Fab’、F(ab’)2、Fv、scFv、dsFv、ダイアボディ、トリアボデ
ィ、テトラボディまたは多価特異的抗体である。
【0205】
いくつかの実施形態では、本明細書で提供される化合物は、薬剤にコンジュゲートされ
た抗体である。他の実施形態では、本明細書で提供される化合物は、放射性同位元素、金
属キレート剤、酵素、蛍光化合物、生物発光化合物、及び化学発光化合物からなる群より
選択される薬剤にコンジュゲートした抗体である。
【0206】
本明細書で提供される様々な方法の他の実施形態では、化合物は抗体である。いくつか
の実施形態では、抗体は、PD-1抗体、PD-L1抗体、PD-L2抗体、CTLA-
4抗体、CD38抗体、及びSLAMF7抗体からなる群より選択される。一実施形態で
は、抗体は、PD-1抗体である。別の実施形態では、抗体はPD-L1抗体である。さ
らに別の実施形態では、抗体はPD-L2抗体である。さらに別の実施形態では、抗体は
CTLA-4抗体である。一実施形態では、抗体はCD38抗体である。別の実施形態で
は、抗体はSLAMF7抗体である。
【0207】
いくつかの実施形態では、抗体は、ニボルマブ(すなわち、BMS-936558、M
DX-1106、ONO-4538)、MK-3475(すなわち、ペムブロリズマブ、
ラムブロリズマブ)、ピジリズマブ(すなわち、CT-011)、MEDI-0680(
すなわち、AMP-514)、PDR-001、デュルバルマブ(すなわち、MEDI-
4736)、BMS-936559(すなわち、MDX-1105)、アベルマブ(すな
わち、MSB0010718C)、アテロリズマブ(すなわち、MPDL-3280A)
、イピリムマブ、ダラツムマブ、及びエロツズマブからなる群より選択される。一実施形
態では、抗体はニボルマブである。別の実施形態では、抗体はMK-3475である。さ
らに別の実施形態では、抗体はピジリズマブである。さらに別の実施形態では、抗体は、
MEDI-0680である。一実施形態では、抗体は、PDR-001である。別の実施
形態では、抗体はデュルバルマブである。さらに別の実施形態では、抗体はBMS-93
6559である。さらに別の実施形態では、抗体は、アベルマブである。一実施形態では
、抗体はアテゾリズマブである。別の実施形態では、抗体はイピリムマブである。さらに
別の実施形態では、抗体は、ダラツムマブである。さらに別の実施形態では、抗体はエロ
ツズマブである。
【0208】
本明細書で提供される様々な方法の特定の実施形態では、化合物は、パターン認識受容
体(PRR)アゴニストである。いくつかの実施形態では、PRRアゴニストは、TLR
3アゴニスト、TLR7アゴニスト、TLR8アゴニスト、TLR9アゴニスト、RIG
-1アゴニスト、MDA5アゴニスト及びAIM2アゴニストからなる群より選択される
。一実施形態では、PRRアゴニストは、TLR3アゴニストである。別の実施形態では
、PRRアゴニストは、TLR7アゴニストである。さらに別の実施形態では、PRRア
ゴニストは、TLR8アゴニストである。さらに別の実施形態では、PRRアゴニストは
、TLR9アゴニストである。一実施形態では、PRRアゴニストは、RIG-1アゴニ
ストである。別の実施形態では、PRRアゴニストは、MDA5アゴニストである。さら
に別の実施形態では、PRRアゴニストはAIM2アゴニストである。
【0209】
本明細書で提供される様々な方法のさらに他の実施形態では、化合物は分子模倣物であ
る。いくつかの実施形態では、分子模倣物は、アザシチジン、ロミデプシン、ATRA、
シクロホスファミド及びCelebrex(登録商標)からなる群より選択される。一実
施形態では、分子模倣体は、アザシチジンである。別の実施形態では、分子模倣物は、ロ
ミデプシンである。さらに別の実施形態では、分子模倣物はATRAである。さらに別の
実施形態では、分子模倣物は、シクロホスファミドである。一実施形態では、分子模倣物
はCelebrex(登録商標)である。
【0210】
本明細書で提供される様々な方法のさらに他の実施形態では、化合物は酵素(例えば、
ヒストンデアセチラーゼ(HDAC))またはタンパク質分解系(例えば、プロテアソー
ム)の阻害剤である。いくつかの実施形態では、化合物は、HDACの阻害剤である。特
定の実施形態では、化合物は、HADC6の阻害剤である。特定の実施形態では、化合物
は、ACY-241である。他の実施形態では、化合物はプロテアソームの阻害剤である
。一実施形態では、化合物は、カルフィルゾミブである。別の実施形態では、化合物は、
イキサゾミブである。
【0211】
いくつかの実施形態では、化合物は、抗がん化合物である。特定の実施形態では、化合
物はアントラサイクリンである。
【0212】
本明細書で提供される様々な化合物は、本明細書で提供される方法のいずれかにおいて
、個々に使用されてもよいし、または組み合わせて使用されてもよい。特定の実施形態で
は、本明細書で提供される様々な化合物は、本明細書で提供される任意の方法において個
々に使用される。他の実施形態では、本明細書で提供される様々な化合物は、本明細書で
提供される任意の方法と組み合わせて使用される。いくつかの実施形態では、本明細書で
提供される2つの化合物を組み合わせて使用する。特定の実施形態では、本明細書で提供
される3つの化合物を組み合わせて使用する。他の実施形態では、本明細書で提供される
4つの化合物を組み合わせて使用する。さらに他の実施形態では、本明細書で提供される
5つの化合物を組み合わせて使用する。さらに他の実施形態では、本明細書で提供される
6つ以上の化合物を組み合わせて使用する。
【0213】
本明細書で提供される方法のいくつかの実施形態では、処置化合物の投与は、インビト
ロで実施される(例えば、トランスジェニックマウス由来の単離細胞、細胞株、組織また
は器官に化合物を投与する)。他の実施形態では、処置化合物の投与をインビボで行う(
例えば、化合物をトランスジェニックマウスに投与する)。一実施形態では、単離された
細胞、細胞株、組織または器官は、ある期間、例えば、5、10、15、20、25、3
0、35、40、45、50もしくは55分、または1、2、3、4、5、6、7、8、
9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20、21、22
、23もしくは24時間、または2、3もしくはそれ以上の日数の間、化合物と接触され
る。
【0214】
5.4.3 処置化合物の投与量及び/またはスケジュールを最適化するための方法
別の態様では、本明細書において、ヒトCRBNまたはその断片を発現するトランスジ
ェニックマウスにおいて、化合物の投与量及び/またはスケジュールを最適化するための
方法であって:
(a)この化合物をトランスジェニックマウスに投与すること;
(b)このトランスジェニックマウスから試料を得ること;
(c)この試料中のバイオマーカーのレベルを測定すること;及び
(d)このバイオマーカーのレベルに基づいて化合物の投与量及び/またはスケジュー
ルを調節すること;
を包含し、ここでこのバイオマーカーがCRBN関連タンパク質(CAP)である方法が
提供される。
【0215】
特定の実施形態では、この方法は、投与量を最適化するための方法である。他の実施形
態では、この方法は、投与スケジュールを最適化するための方法である。特定の実施形態
では、この方法は、投与スケジュール及び投与量を最適化するための方法である。特定の
実施形態では、本明細書で使用されるトランスジェニックマウスは、ヒトCRBNをコー
ドする核酸配列を含む。特定の実施形態では、ヒトCRBNをコードする核酸配列は、マ
ウス染色体に安定して組み込まれる。他の実施形態では、核酸配列は、ヒトCRBNの断
片をコードする。特定の実施形態では、ヒトCRBNの断片をコードする核酸配列は、マ
ウス染色体に安定に組み込まれる。一実施形態では、全長ヒトCRBNタンパク質をコー
ドする核酸配列は、配列番号5を含む。別の実施形態では、全長ヒトCRBNタンパク質
をコードする核酸配列は、配列番号6を含む。一実施形態では、ヒトCRBNタンパク質
の断片をコードする核酸配列は、配列番号7を含む。別の実施形態では、ヒトCRBNま
たはその断片をコードする核酸配列を包含する標的化構築物は、配列番号8を含む。
【0216】
本明細書で提供される様々な方法のいくつかの実施形態では、バイオマーカーは、セク
ション5.4.1で提供されるバイオマーカーを含む。特定の実施形態では、化合物の投
与量は、バイオマーカーのレベルがバイオマーカーのベースレベルよりも高い場合に調整
される。他の実施形態では、化合物の投与スケジュールは、バイオマーカーのレベルがバ
イオマーカーのベースレベルよりも高い場合に調整される。他の実施形態では、バイオマ
ーカーのレベルがバイオマーカーのベースレベルより高い場合、化合物の投与量及び投与
スケジュールの両方が調整される。特定の実施形態では、化合物の投与量は、バイオマー
カーのレベルがバイオマーカーのベースレベルよりも低い場合に調整される。他の実施形
態では、化合物の投与スケジュールは、バイオマーカーのレベルがバイオマーカーのベー
スレベルよりも低い場合に調整される。他の実施形態では、バイオマーカーのレベルがバ
イオマーカーのベースレベルより低い場合、化合物の投与量及び投与スケジュールの両方
が調整される。
【0217】
いくつかの実施形態では、バイオマーカーのベースレベルは、科学者によって決定され
た任意のレベルである。他の実施形態では、バイオマーカーのベースレベルは、以前の測
定に基づく経験的レベルである。特定の実施形態では、バイオマーカーのベースレベルは
、2つ以上の以前の測定値に基づく標準レベルまたは平均レベルである。いくつかの実施
形態では、バイオマーカーのベースレベルは、ヒトCRBN導入遺伝子を保有していない
マウス由来の試料中のバイオマーカーのレベルである。他の実施形態では、バイオマーカ
ーのベースレベルは、ヒトCRBN導入遺伝子を発現するマウス由来の試料中のバイオマ
ーカーのレベルである。さらに他の実施形態では、バイオマーカーのベースレベルは、化
合物によって処理されていないヒトCRBNを発現するトランスジェニックマウス由来の
試料中のバイオマーカーのレベルである。さらに他の実施形態では、バイオマーカーのベ
ースレベルは、化合物によって処置されたヒトCRBNを発現するトランスジェニックマ
ウス由来の試料中のバイオマーカーのレベルである。
【0218】
いくつかの実施形態では、測定されるバイオマーカーは、1つのバイオマーカーを含む
。特定の実施形態では、測定されるバイオマーカーは、2つ以上のバイオマーカーを含む
。いくつかの実施形態では、バイオマーカーのレベルは、バイオマーカーのタンパク質レ
ベルを検出及び定量することによって測定される。他の実施形態では、バイオマーカーの
レベルは、バイオマーカーの核酸レベルを検出及び定量することによって測定される。一
実施形態では、バイオマーカーのcDNAレベルを検出及び定量することによって、バイ
オマーカーのレベルを測定する。別の実施形態では、バイオマーカーのレベルは、バイオ
マーカーのmRNAレベルを検出及び定量することによって測定される。本明細書で提供
され、または当該分野で周知のバイオマーカーを測定する任意の適切な方法を使用して、
バイオマーカーのレベルを検出及び定量してもよい。
【0219】
トランスジェニックマウスに、本明細書で提供される処置化合物、またはその立体異性
体もしくは立体異性体の混合物、互変異性体、薬学的に許容される塩、溶媒和物、同位体
置換体、プロドラッグ、水和物、共結晶、包接体もしくは多形体を、経口、非経口(例え
ば、筋肉内、腹腔内、静脈内、CIV、嚢内の注射もしくは注入、皮下注射またはインプ
ラント)、吸入、鼻、膣、直腸、舌下、または局所(例えば、経皮または局所)経路の投
与によって投与してもよい。処置化合物、またはその立体異性体もしくは立体異性体の混
合物、互変異性体、薬学的に許容される塩、溶媒和物、同位体置換体、プロドラッグ、水
和物、共結晶、包接体もしく多形体は、単独で配合されてもよく、または各投与経路に適
した、医薬上許容される賦形剤、担体、アジュバント、及びビヒクルと適切な投与単位で
、一緒に配合されてもよい。
【0220】
一実施形態では、処置化合物、またはその立体異性体もしくは立体異性体の混合物、互
変異性体、薬学的に許容される塩、溶媒和物、同位体置換体、プロドラッグ、水和物、共
結晶、包接体もしくは多形体を経口投与する。別の実施形態では、処置化合物、またはそ
の立体異性体もしくは立体異性体の混合物、互変異性体、薬学的に許容される塩、溶媒和
物、同位体置換体、プロドラッグ、水和物、共結晶、包接体もしくは多形体は非経口的に
投与される。さらに別の実施形態では、処置化合物、またはその立体異性体もしくは立体
異性体の混合物、互変異性体、薬学的に許容される塩、溶媒和物、同位体置換体、プロド
ラッグ、水和物、共結晶、包接体もしくは多形体は、静脈内で投与される。
【0221】
本明細書で使用される処置化合物は、セクション5.4.2に開示されている任意の化
合物である。
【0222】
特定の実施形態では、使用される化合物は、CRBN E3ユビキチンリガーゼ複合体
を直接的または間接的に調節するCMCである。いくつかの実施形態では、CMCはCR
BNに直接結合し得る。他の実施形態では、CMCは、CRBNタンパク質の構造変化を
誘導し得る。さらに他の実施形態では、CMCはCRBNに直接結合し、CRBNタンパ
ク質の構造変化を誘導し得る。さらに他の実施形態では、CMCは、CRBN E3ユビ
キチンリガーゼ複合体中の他のサブユニットに直接結合し得る。
【0223】
いくつかの実施形態では、使用される化合物は、免疫調節化合物(例えば、サリドマイ
ド、レナリドマイド、またはポマリドマイド)である。一実施形態では、本明細書で提供
される化合物は、サリドマイドである。別の実施形態では、本明細書で提供される化合物
はレナリドマイドである。さらに別の実施形態では、本明細書で提供される化合物はポマ
リドマイドである。
【0224】
他の実施形態では、使用される化合物は、以下の構造を有する、3-(5-アミノ-2
-メチル-4-オキソ-4H-キナゾリン-3-イル)-ピペリジン-2,6-ジオン(
「化合物A」):
【化7】
、
以下の構造を有する3-(4-((4-(モルホリノメチル)ベンジル)オキシ)-1-
オキソイソインドリン-2-イル)ピペリジン-2,6-ジオン(「化合物B」):
【化8】
、
以下の構造を有する、1-(3-クロロ-4-メチルフェニル)-3-((2-(2,6
-ジオキソピペリジン-3-イル)-1-オキソイソインドリン-5-イル)メチル)尿
素(「化合物C」):
【化9】
、
以下の構造を有する、2-(4-クロロフェニル)-N-((2-(2,6-ジオキソピ
ペリジン-3-イル)-1-オキソイソインドリン-5-イル)メチル)-2,2-ジフ
ルオロアセトアミド(「化合物D」):
【化10】
、及び
以下の構造を有する、2-(4-フルオロフェニル)-N-((2-(2,6-ジオキソ
ピペリジン-3-イル)-1-オキソイソインドリン-5-イル)メチル)-2,2-ジ
フルオロアセトアミド(「化合物E」):
【化11】
、
またはその立体異性体もしくは立体異性体の混合物、互変異性体、薬学的に許容される塩
、溶媒和物、同位体置換体、プロドラッグ、水和物、共結晶、包接体もしくは多形体、か
らなる群より選択される化合物である。
【0225】
一実施形態では、使用される化合物は、化合物A、またはその立体異性体もしくは立体
異性体の混合物、互変異性体、薬学的に許容される塩、溶媒和物、同位体置換体、プロド
ラッグ、水和物、共結晶、包接体もしくは多形体である。別の実施形態では、使用される
化合物は、化合物B、またはその立体異性体もしくは立体異性体の混合物、互変異性体、
薬学的に許容される塩、溶媒和物、同位体置換体、プロドラッグ、水和物、共結晶、包接
体もしくは多形体である。さらに別の実施形態では、使用される化合物は、化合物C、ま
たはその立体異性体もしくは立体異性体の混合物、互変異性体、薬学的に許容される塩、
溶媒和物、同位体置換体、プロドラッグ、水和物、共結晶、包接体もしくは多形体である
。さらに別の実施形態では、使用される化合物は、化合物D、またはその立体異性体もし
くは立体異性体の混合物、互変異性体、薬学的に許容される塩、溶媒和物、同位体置換体
、プロドラッグ、水和物、共結晶、包接体もしくは多形体である。さらにもう1つの実施
形態では、使用される化合物は、化合物E、またはその立体異性体もしくは立体異性体の
混合物、互変異性体、薬学的に許容される塩、溶媒和物、同位体置換体、プロドラッグ、
水和物、共結晶、包接体もしくは多形体である。
【0226】
一実施形態では、処置化合物は、化合物Aまたはその立体異性体もしくは立体異性体の
混合物、互変異性体、薬学的に許容される塩、溶媒和物、同位体置換体、プロドラッグ、
水和物、共結晶、包接体もしくは多形体であり、バイオマーカーは、Aiolos、Ik
aros、及びGSPT1からなる群より選択される1つ以上のバイオマーカーである。
別の実施形態では、処置化合物は、化合物Bまたはその立体異性体もしくは立体異性体の
混合物、互変異性体、薬学的に許容される塩、溶媒和物、同位体置換体、プロドラッグ、
水和物、共結晶、包接体もしくは多形体であり、バイオマーカーは、Aiolos、Ik
aros、及びGSPT1からなる群より選択されるより1つ以上のバイオマーカーであ
る。さらに別の実施形態では、処置化合物は、化合物Cまたはその立体異性体もしくは立
体異性体の混合物、互変異性体、薬学的に許容される塩、溶媒和物、同位体置換体、プロ
ドラッグ、水和物、共結晶、包接体もしくは多形体であり、バイオマーカーは、Aiol
os、Ikaros、及びGSPT1からなる群より選択される1つ以上のバイオマーカ
ーである。さらに別の実施形態では、処置化合物は、化合物D、またはその立体異性体も
しくは立体異性体の混合物、互変異性体、薬学的に許容される塩、溶媒和物、同位体置換
体、プロドラッグ、水和物、共結晶、包接体もしくは多形体であり、バイオマーカーは、
Aiolos、Ikaros、及びGSPT1からなる群より選択される少なくとも1つ
以上のバイオマーカーである。一実施形態では、処置化合物は、化合物E、またはその立
体異性体もしくは立体異性体の混合物、互変異性体、薬学的に許容される塩、溶媒和物、
同位体置換体、プロドラッグ、水和物、共結晶、包接体もしくは多形体であり、バイオマ
ーカーは、Aiolos、Ikaros、及びGSPT1からなる群より選択される1つ
以上のバイオマーカーである。
【0227】
特定の実施形態では、化合物の量は、約0.005~約1,000mg/日、約0.0
1~約500mg/日、約0.01~約250mg/日、約0.01~約100mg/日
、約0.1~約100mg/日、約0.5~約100mg/日、約1~約100mg/日
、約0.01~約50mg/日、約0.1~約50mg/日、約0.5~約50mg/日
、約1~約50mg/日、約0.02~約25mg/日、または約0.05~約10mg
/日である。
【0228】
特定の実施形態では、化合物の量は、約0.005~約1,000mg/日、約0.0
1~約500mg/日、約0.01~約250mg/日、約0.01~約100mg/日
、約0.1~約100mg/日、約0.5~約100mg/日、約1~約100mg/日
、約0.01~約50mg/日、約0.1~約50mg/日、約0.5~約50mg/日
、約1~約50mg/日、約0.02~約25mg/日、または1日おきに約0.05~
約10mgである。
【0229】
特定の実施形態では、化合物の量は、1日あたり、約0.1、約0.2、約0.5、約
1、約2、約5、約10、約15、約20、約25、約30、約40、約45、約50、
約60、約70、約80、約90、約100、または約150mgである。
【0230】
1つの実施形態では、化合物、またはその立体異性体もしくは立体異性体の混合物、互
変異性体、薬学的に許容される塩、溶媒和物、同位体置換体、プロドラッグ、水和物、共
結晶、包接体もしくは多形体の、本明細書に記載の状態での毎日の投与範囲は、例えば、
1日1回の単回投与として、または1日を通して分割した投与として、1日あたり約0.
5mg~約50mgの範囲内にある。いくつかの実施形態では、投与量は、1日あたり約
1mg~約50mgの範囲である。他の実施形態では、投与量は、1日あたり約0.5m
g~約5mgの範囲である。1日あたりの特定の用量としては、1日あたり0.1、0.
2、0.5、1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、1
5、16、17、18、19、20、21、22、23、24、25、26、27、28
、29、30、31、32、33、34、35、36、37、38、39、40、41、
42、43、44、45、46、47、48、49、または50mgが挙げられる。
【0231】
特定の実施形態では、推奨される開始投与量は、1日あたり0.5、1、2、3、4、
5、10、15、20、25または50mgであり得る。別の実施形態では、推奨される
開始投与量は、1日あたり0.5、1、2、3、4または5mgであり得る。用量は、1
5、20、25、30、35、40、45、または50mg/日に段階的に増大させても
よい。
【0232】
特定の実施形態では、化合物の量は、約0.001~約100mg/kg/日、約0.
01~約50mg/kg/日、約0.01~約25mg/kg/日、約0.01~約10
mg/kg/日、約0.01~約9mg/kg/日、0.01~約8mg/kg/日、約
0.01~約7mg/kg/日、約0.01~約6mg/kg/日、約0.01~約5m
g/kg/日、約0.01~約4mg/kg/日、約0.01~約3mg/kg/日、約
0.01~約2mg/kg/日、または約0.01~約1mg/kg/日である。
【0233】
投与量はまた、mg/kg/日以外の単位で表してもよい。例えば、非経口投与のため
の用量は、mg/m2/日として表してもよい。当業者は、対象の身長もしくは重量のい
ずれかまたはその両方を考慮して、用量をmg/kg/日からmg/m2/日に変換する
方法を容易に知ることになる(www.fda.gov/cder/cancer/an
imalframe.htmを参照のこと)。
【0234】
特定の実施形態では、投与される化合物の量は、約0.001~約500μM、約0.
002~約200μM、約0.005~約100μM、約0.01~約50μM、約1~
約50μM、約0.02~約25μM、約0.05~約20μM、約0.1~約20μM
、約0.5~約20μM、または約1μM~約20μMの範囲の定常状態で、化合物の血
漿濃度を提供するのに十分である。
【0235】
他の実施形態では、投与される化合物の量は、約5~約100nM、約5~約50nM
、約10~約100nM、約10~約50nM、または約50~約100nMの範囲の定
常状態で化合物の血漿濃度を提供するのに十分である。
【0236】
本明細書中で使用される場合、「定常状態での血漿濃度」という用語は、本明細書で提
供される化合物、またはその立体異性体もしくは立体異性体の混合物、互変異性体、薬学
的に許容される塩、溶媒和物、同位体置換体、プロドラッグ、水和物、共結晶、包接体も
しくは多形体の投与の期間後に達した濃度である。一旦、定常状態に達すると、化合物の
血漿濃度の時間依存曲線上に小さなピーク及びトラフが存在する。
【0237】
特定の実施形態では、投与される化合物の量は、化合物の最大血漿濃度(ピーク濃度)
を提供するのに十分であり、約0.001~約500μM、約0.002~約200μM
、約0.005~約100μM、約0.01~約50μM、約1~約50μM、約0.0
2~約25μM、約0.05~約20μM、約0.1~約20μM、約0.5~約20μ
M、または約1~約20μMの範囲である。
【0238】
特定の実施形態では、投与される化合物の量は、化合物の最小血漿濃度(トラフ濃度)
を提供するのに十分であり、約0.001~約500μM、約0.002~約200μM
、約0.005~約100μM、約0.01~約50μM、約1~約50μM、約0.0
1~約25μM、約0.01~約20μM、約0.02~約20μM、約0.02~約2
0μM、または約0.01~約20μMの範囲である。
【0239】
特定の実施形態では、投与される化合物の量は、化合物の曲線下面積(AUC)を提供
するのに十分であり、約100~約100,000ng*hr/mL、約1,000~約
50,000ng*hr/mL、約5,000~約25,000ng*hr/mL、また
は約5,000~約10,000ng*hr/mLの範囲である。
【0240】
処置化合物、またはその立体異性体もしくは立体異性体の混合物、互変異性体、薬学的
に許容される塩、溶媒和物、同位体置換体、プロドラッグ、水和物、共結晶、包接体もし
くは多形体は、単回投与(例えば、単回ボーラス注射)として投与されてもよく、または
経時的に(例えば、経時的に分割されたボーラス用量)投与されてもよい。化合物は、例
えば、マウスが何らかの検出可能な安定した生物学的効果を経験するまで、またはマウス
が疾患の進行もしくは容認できない毒性を経験するまで、必要に応じて繰り返し投与され
てもよい。安定な疾患またはその欠如は、マウスの症状の評価、バイオマーカーの測定、
及びX線、CAT、PET、MRIスキャン、または他の一般に受け入れられている評価
様式を用いて画像化された腫瘍の可視化などの当技術分野で公知の方法によって決定され
る。
【0241】
処置化合物、またはその立体異性体もしくは立体異性体の混合物、互変異性体、薬学的
に許容される塩、溶媒和物、同位体置換体、プロドラッグ、水和物、共結晶、包接体もし
くは多形体は、1日1回(QD)投与されてもよいし、または1日2回(BID)、1日
3回(TID)、1日4回(QID)などの毎日複数回用量に分けられてもよい。さらに
、投与は、連続的(すなわち、連続して毎日または毎日)または断続的、例えばサイクル
(すなわち、薬物なしの休薬の日、週、または月を含む)であってもよい。本明細書で使
用される場合、「毎日」という用語は、処置化合物、またはその立体異性体もしくは立体
異性体の混合物、互変異性体、薬学的に許容される塩、溶媒和物、同位体置換体、プロド
ラッグ、水和物、共結晶、包接体もしくは多形体が、例えば、ある期間、1日に1回また
は1回を超えて投与されることを意味するものとする。「連続的」という用語は、治療用
化合物、またはその立体異性体もしくは立体異性体の混合物、互変異性体、薬学的に許容
される塩、溶媒和物、同位体置換体、プロドラッグ、水和物、共結晶、包接体もしくは多
形体を、少なくとも10日から52週間の中断しない期間の間毎日投与することを意味す
るものとする。本明細書で使用される「間欠的」または「断続的に」という用語は、規則
的または不規則のいずれかの間隔で停止及び開始を意味するものとする。例えば、処置化
合物、またはその立体異性体もしくは立体異性体の混合物、互変異性体、薬学的に許容さ
れる塩、溶媒和物、同位体置換体、プロドラッグ、水和物、共結晶、包接体もしくは多形
体の間欠的投与は、1週あたり1~6回の投与、サイクルの投与(例えば、2~8週間連
続して毎日投与し、次いで、最大で1週間投与しない休薬期間)、または隔日投与である
。本明細書で使用する「サイクリング」という用語は、処置化合物、またはその立体異性
体もしくは立体異性体の混合物、互変異性体、薬学的に許容される塩、溶媒和物、同位体
置換体、プロドラッグ、水和物、共結晶、包接体もしくは多形体が、毎日または連続的に
投与されるが、休薬期間があることを意味するものとする。特定の実施形態では、休薬期
間は、治療期間と同じ長さである。他の実施形態では、休薬期間は、治療期間とは異なる
長さを有する。
【0242】
いくつかの実施形態では、投与頻度は、ほぼ毎日の投与~ほぼ毎月の投与の範囲である
。特定の実施形態では、投与は1日1回、1日2回、1日3回、1日4回、1日おき1回
、週2回、毎週1回、2週間に1回、3週間に1回、または4週間に1回である。一実施
形態では、処置化合物、またはその立体異性体もしくは立体異性体の混合物、互変異性体
、薬学的に許容される塩、溶媒和物、同位体置換体、プロドラッグ、水和物、共結晶、包
接体もしくは多形体を1日1回投与する。別の実施形態では、処置化合物、またはその立
体異性体もしくは立体異性体の混合物、互変異性体、薬学的に許容される塩、溶媒和物、
同位体置換体、プロドラッグ、水和物、共結晶、包接体もしくは多形体を1日2回投与す
る。さらに別の実施形態では、処置化合物、またはその立体異性体もしくは立体異性体の
混合物、互変異性体、薬学的に許容される塩、溶媒和物、同位体置換体、プロドラッグ、
水和物、共結晶、包接体もしくは多形体を1日3回投与する。さらに別の実施形態では、
処置化合物、またはその立体異性体もしくは立体異性体の混合物、互変異性体、薬学的に
許容される塩、溶媒和物、同位体置換体、プロドラッグ、水和物、共結晶、包接体もしく
は多形体を1日4回投与する。
【0243】
特定の実施形態では、処置化合物、またはその立体異性体もしくは立体異性体の混合物
、互変異性体、薬学的に許容される塩、溶媒和物、同位体置換体、プロドラッグ、水和物
、共結晶、包接体もしくは多形体は、1日~6か月、1週間~3ヶ月、1週間~4週間、
1週間~3週間、または1週間~2週間にわたって1日1回投与される。特定の実施形態
では、処置化合物、またはその立体異性体もしくは立体異性体の混合物、互変異性体、薬
学的に許容される塩、溶媒和物、同位体置換体、プロドラッグ、水和物、共結晶、包接体
もしくは多形体は、1週間、2週間、3週間、または4週間の間、1日1回投与される。
一実施形態では、処置化合物、またはその立体異性体もしくは立体異性体の混合物、互変
異性体、薬学的に許容される塩、溶媒和物、同位体置換体、プロドラッグ、水和物、共結
晶、包接体もしくは多形体は、1週間の間、1日1回投与される。別の実施形態では、処
置化合物、またはその立体異性体もしくは立体異性体の混合物、互変異性体、薬学的に許
容される塩、溶媒和物、同位体置換体、プロドラッグ、水和物、共結晶、包接体もしくは
多形体は、2週間の間1日1回投与される。さらに別の実施形態では、処置化合物または
その立体異性体もしくは立体異性体の混合物、互変異性体、薬学的に許容される塩、溶媒
和物、同位体置換体、プロドラッグ、水和物、共結晶、包接体もしくは多形体は、3週間
の間、1日1回投与される。さらに別の実施形態では、処置化合物またはその立体異性体
もしくは立体異性体の混合物、互変異性体、薬学的に許容される塩、溶媒和物、同位体置
換体、プロドラッグ、水和物、共結晶、包接体もしくは多形体は、4週間の間、1日1回
投与される。
【0244】
本明細書においてはまた、ヒトCRBNを発現するトランスジェニックマウスにおいて
処置化合物の投与量及び/またはスケジュールを最適化するための方法であって:
(a)ヒトCRBNを発現するトランスジェニックマウスに化合物を投与すること;
(b)トランスジェニックマウスの身体的外観を観察すること;及び
(c)ヒトCRBNを発現するトランスジェニックマウスの身体的外観が標準を満たす
かまたは満たさない場合、化合物の投与量及び/またはスケジュールを調節すること、を
包含する方法も提供される。
【0245】
本明細書で提供される様々な方法の特定の実施形態では、2つ以上のステップが連続的
に実施される。本明細書で提供される方法の他の実施形態では、2つ以上のステップが並
行して(例えば、同時に)実行される。
【0246】
特定の実施形態では、化合物の投与量は、トランスジェニックマウスの身体的外観が標
準を満たす場合に調整される。いくつかの実施形態では、化合物の投与スケジュールは、
トランスジェニックマウスの身体的外観が標準を満たす場合に調整される。他の実施形態
では、トランスジェニックマウスの身体的外観が標準を満たす場合、化合物の投与量及び
スケジュールを調整する。特定の実施形態では、トランスジェニックマウスの身体的外観
が標準を満たさない場合、化合物の投与量を調整する。いくつかの実施形態では、トラン
スジェニックマウスの身体的外観が標準を満たさない場合、化合物の投与スケジュールを
調整する。他の実施形態では、トランスジェニックマウスの身体的外観が標準を満たさな
い場合、化合物の投与量及びスケジュールを調整する。
【0247】
さらに本明細書においては、ヒトCRBNを発現するトランスジェニックマウスにおい
て処置化合物の投与量及び/またはスケジュールを最適化する方法であって、
(a)この化合物をトランスジェニックマウスに投与すること;
(b)このトランスジェニックマウスの生物学的パラメーターを測定すること;ならび
に
(c)CRBNを発現するトランスジェニックマウスの生物学的パラメーターが標準を
満たすかまたは満たさない場合、化合物の投与量及び/またはスケジュールを調節するこ
と、を包含する方法が提供される。
【0248】
本明細書で提供される様々な方法の特定の実施形態では、2つ以上のステップが連続的
に実施される。本明細書で提供される方法の他の実施形態では、2つ以上のステップが並
行して(例えば、同時に)実行される。
【0249】
特定の実施形態では、トランスジェニックマウスの生物学的パラメーターが標準を満た
す場合、化合物の投与量を調整する。いくつかの実施形態では、トランスジェニックマウ
スの生物学的パラメーターが標準を満たす場合、化合物の投与スケジュールを調整する。
他の実施形態では、トランスジェニックマウスの生物学的パラメーターが標準を満たす場
合、化合物の投与量及びスケジュールを調整する。特定の実施形態では、トランスジェニ
ックマウスの生物学的パラメーターが標準を満たさない場合、化合物の投与量を調整する
。いくつかの実施形態では、トランスジェニックマウスの生物学的パラメーターが標準を
満たさない場合、化合物の投与スケジュールを調整する。他の実施形態では、トランスジ
ェニックマウスの生物学的パラメーターが基準を満たさない場合、化合物の投与量及びス
ケジュールを調整する。
【0250】
トランスジェニックマウスの生物学的パラメーターの非限定的な例としては、代謝パラ
メーター、神経学的パラメーター、認知パラメーター、行動パラメーター、遺伝子及びタ
ンパク質発現/修飾、エピジェネティックパラメーター、腫瘍増殖、免疫学的パラメータ
ー、組織学的パラメーター、血液パラメーター及び組織パラメーターが挙げられる。
【0251】
5.4.4 化合物または化合物の組み合わせの効果を評価するための方法
別の態様では、本明細書において、ヒトCRBNまたはその断片を発現するトランスジ
ェニックマウスにおける化合物の効果を評価するための方法であって、
(a)この化合物をトランスジェニックマウスに投与すること;
(b)このトランスジェニックマウスから試料を得ること;
(c)この試料中のバイオマーカーのレベルを測定すること;及び
(d)このバイオマーカーのレベルをバイオマーカーのベースレベルと比較することを
包含し、ここでバイオマーカーがCAPである方法が提供される。
【0252】
さらに別の態様では、本明細書において、ヒトCRBNまたはその断片を発現するトラ
ンスジェニックマウスにおける化合物の組み合わせの効果を評価するための方法であって
、
(a)このトランスジェニックマウスに第1の化合物及び第2の化合物を投与すること
;
(b)このトランスジェニックマウスから試料を得ること;
(c)この試料中のバイオマーカーのレベルを測定すること;及び
(d)このバイオマーカーのレベルをバイオマーカーのベースレベルと比較すること;
を包含し、ここでこのバイオマーカーがCAPである方法が提供される。
【0253】
いくつかの実施形態では、化合物の組み合わせの効果を評価する方法は、第1の化合物
、第2の化合物、及び第3の化合物を組み合わせて投与することを包含する。他の実施形
態では、本方法は、4つ以上の化合物を組み合わせて投与することを包含する。特定の実
施形態では、この化合物は同時に投与される。他の実施形態では、化合物は連続的に投与
される。
【0254】
特定の実施形態では、本明細書で使用される様々なトランスジェニックマウスは、ヒト
CRBNをコードする核酸配列を含む。特定の実施形態では、ヒトCRBNをコードする
核酸配列は、マウス染色体に安定して組み込まれる。他の実施形態では、核酸配列は、ヒ
トCRBNの断片をコードする。特定の実施形態では、ヒトCRBNの断片をコードする
核酸配列は、マウス染色体に安定に組み込まれる。一実施形態では、全長ヒトCRBNタ
ンパク質をコードする核酸配列は、配列番号5を含む。別の実施形態では、全長ヒトCR
BNタンパク質をコードする核酸配列は、配列番号6を含む。一実施形態では、ヒトCR
BNタンパク質の断片をコードする核酸配列は、配列番号7を含む。別の実施形態では、
ヒトCRBNまたはその断片をコードする核酸配列を包含する標的化構築物は、配列番号
8を含む。
【0255】
いくつかの実施形態では、バイオマーカーのベースレベルは、科学者によって決定され
る任意のレベルである。他の実施形態では、バイオマーカーのベースレベルは、以前の測
定に基づく経験的レベルである。特定の実施形態では、バイオマーカーのベースレベルは
、2つ以上の以前の測定値に基づく標準レベルまたは平均レベルである。いくつかの実施
形態では、バイオマーカーのベースレベルは、ヒトCRBN導入遺伝子を保有していない
マウス由来の試料中のバイオマーカーのレベルである。他の実施形態では、バイオマーカ
ーのベースレベルは、ヒトCRBN導入遺伝子を発現するマウス由来の試料中のバイオマ
ーカーのレベルである。さらに他の実施形態では、バイオマーカーのベースレベルは、い
ずれの化合物によっても処理されていない、ヒトCRBNを発現するトランスジェニック
マウス由来の試料中のバイオマーカーのレベルである。さらに他の実施形態では、バイオ
マーカーのベースレベルは、1つ以上の化合物によって処理された、ヒトCRBNを発現
するトランスジェニックマウス由来の試料中のバイオマーカーのレベルである。
【0256】
特定の実施形態では、バイオマーカーのベースレベルは、化合物がトランスジェニック
マウスに投与されない場合のバイオマーカーのレベルである。いくつかの実施形態では、
バイオマーカーのベースレベルは、トランスジェニックマウスに1つの化合物のみが投与
された場合のバイオマーカーのレベルである。特定の実施形態では、唯一の化合物は第1
の化合物である。他の実施形態では、唯一の化合物は第2の化合物である。さらに他の実
施形態では、唯一の化合物は、第3の化合物である。さらに他の実施形態では、唯一の化
合物は対照化合物である。いくつかの実施形態では、バイオマーカーのベースレベルは、
2つの化合物の基準の組み合せがトランスジェニックマウスに投与された場合のバイオマ
ーカーのレベルである。特定の実施形態では、この基準の組み合せは、第1の化合物及び
別の化合物を含む。他の実施形態では、この基準の組み合わせは、第2の化合物及び別の
化合物を含む。さらに他の実施形態では、この基準の組み合わせは、第3の化合物及び別
の化合物を含む。さらに他の実施形態では、この基準の組み合せは、第1の化合物及び第
2の化合物を含む。特定の実施形態では、この基準の組み合せは、2つ以上の他の化合物
(すなわち、第1の化合物でも第2の化合物でもない)を含む。
【0257】
特定の実施形態では、化合物(または化合物の組み合わせ)の効果は、抗原特異的T細
胞殺傷に対する効果である。
【0258】
いくつかの実施形態では、組み合わせの化合物は、同時または連続してのいずれかで投
与される。特定の実施形態では、この化合物は同時に投与される。他の実施形態では、こ
の化合物は連続的に投与される。本方法のさらに別の実施形態では、この化合物は特定の
順序で投与される。さらに別の実施形態では、この化合物は異なる順序で投与される。特
定の実施形態では、この化合物は、特定の順序とは逆の順序で投与される。
【0259】
いくつかの実施形態では、処置化合物は、セクション5.4.2に提供される化合物を
含む。
【0260】
化合物の組み合わせの効果を評価するための任意の1つの方法において、化合物は、同
一または異なるタイプの分子(例えば、低分子化学物質、または生物製剤、例えば、タン
パク質、ペプチド、核酸、またはオリゴヌクレオチド)から選択してもよい。いくつかの
実施形態では、化合物は、同じタイプの分子から選択される。他の実施形態では、化合物
は、異なるタイプの分子から選択される。特定の実施形態では、化合物は、免疫調節化合
物、抗体、PRRアゴニスト、分子模倣物、酵素の阻害剤、タンパク質分解系の阻害剤、
及び任意のタイプの抗がん剤から選択してもよい。いくつかの実施形態では、この化合物
は、任意の2つのタイプの免疫調節化合物、抗体、PRRアゴニスト、分子模倣物、酵素
の阻害剤、タンパク質分解系の阻害剤、及び任意のタイプの抗がん剤から選択してもよい
。他の実施形態では、この化合物は、任意の3つのタイプの免疫調節化合物、抗体、PR
Rアゴニスト、分子模倣物、酵素の阻害剤、タンパク質分解系の阻害剤、及び任意のタイ
プの抗がん剤から選択してもよい。さらに他の実施形態では、この化合物は、任意の4つ
のタイプの免疫調節化合物、抗体、PRRアゴニスト、分子模倣物、酵素の阻害剤、タン
パク質分解系の阻害剤、及び任意のタイプの抗がん剤から選択してもよい。さらに他の実
施形態では、この化合物は、任意の5つのタイプの免疫調節化合物、抗体、PRRアゴニ
スト、分子模倣物、酵素の阻害剤、タンパク質分解系の阻害剤、及び任意のタイプの抗が
ん剤から選択してもよい。さらに他の実施形態では、この化合物は、任意の6つのタイプ
の免疫調節化合物、抗体、PRRアゴニスト、分子模倣物、酵素の阻害剤、タンパク質分
解系の阻害剤、及び任意のタイプの抗がん剤から選択してもよい。さらに他の実施形態で
は、この化合物は、全ての7種類の免疫調節化合物、抗体、PRRアゴニスト、分子模倣
物、酵素の阻害剤、タンパク質分解系の阻害剤、及び任意のタイプの抗がん剤から選択し
てもよい。
【0261】
特定の実施形態では、使用される化合物は、CRBN E3ユビキチンリガーゼを直接
的または間接的に調節するCMCである。いくつかの実施形態では、CMCは、CRBN
に直接結合し得る。他の実施形態では、CMCは、CRBNタンパク質の構造変化を誘導
し得る。さらに他の実施形態では、CMCは、CRBNに直接結合し、CRBNタンパク
質の構造変化を誘導し得る。さらに他の実施形態では、CMCは、CRBN E3ユビキ
チンリガーゼ複合体中の他のサブユニットに直接結合し得る。
【0262】
いくつかの実施形態では、使用される化合物は、免疫調節化合物(例えば、サリドマイ
ド、レナリドマイド、またはポマリドマイド)である。一実施形態では、本明細書で提供
される化合物は、サリドマイドである。別の実施形態では、本明細書で提供される化合物
はレナリドマイドである。さらに別の実施形態では、本明細書で提供される化合物はポマ
リドマイドである。
【0263】
他の実施形態では、使用される化合物は、以下の構造を有する、3-(5-アミノ-2
-メチル-4-オキソ-4H-キナゾリン-3-イル)-ピペリジン-2,6-ジオン(
「化合物A」):
【化12】
、
以下の構造を有する、3-(4-((4-(モルホリノメチル)ベンジル)オキシ)-1
-オキソイソインドリン-2-イル)ピペリジン-2,6-ジオン(「化合物B」):
【化13】
、
以下の構造を有する、1-(3-クロロ-4-メチルフェニル)-3-((2-(2,6
-ジオキソピペリジン-3-イル)-1-オキソイソインドリン-5-イル)メチル)尿
素(「化合物C」):
:
【化14】
、
以下の構造を有する、2-(4-クロロフェニル)-N-((2-(2,6-ジオキソピ
ペリジン-3-イル)-1-オキソイソインドリン-5-イル)メチル)-2,2-ジフ
ルオロアセトアミド(「化合物D」):
【化15】
、及び
以下の構造を有する、2-(4-フルオロフェニル)-N-((2-(2,6-ジオキソ
ピペリジン-3-イル)-1-オキソイソインドリン-5-イル)メチル)-2,2-ジ
フルオロアセトアミド(「化合物E」):
【化16】
、
またはそれらの薬学的に許容される塩、溶媒和物、立体異性体、同位体置換体、プロドラ
ッグ、水和物、共結晶、包接体もしくは多形体からなる群より選択される化合物である。
【0264】
一実施形態では、使用される化合物は、化合物A、またはその立体異性体もしくは立体
異性体の混合物、互変異性体、薬学的に許容される塩、溶媒和物、同位体置換体、プロド
ラッグ、水和物、共結晶、包接体もしくは多形体である。別の実施形態では、使用される
化合物は、化合物B、またはその立体異性体もしくは立体異性体の混合物、互変異性体、
薬学的に許容される塩、溶媒和物、同位体置換体、プロドラッグ、水和物、共結晶、包接
体もしくは多形体である。さらに別の実施形態では、使用される化合物は、化合物C、ま
たはその立体異性体もしくは立体異性体の混合物、互変異性体、薬学的に許容される塩、
溶媒和物、同位体置換体、プロドラッグ、水和物、共結晶、包接体もしくは多形体である
。さらに別の実施形態では、使用される化合物は、化合物D、またはその立体異性体もし
くは立体異性体の混合物、互変異性体、薬学的に許容される塩、溶媒和物、同位体置換体
、プロドラッグ、水和物、共結晶、包接体もしくは多形体である。さらにもう1つの実施
形態では、使用される化合物は、化合物E、またはその立体異性体もしくは立体異性体の
混合物、互変異性体、薬学的に許容される塩、溶媒和物、同位体置換体、プロドラッグ、
水和物、共結晶、包接体もしくは多形体である。
【0265】
化合物の組み合わせの効果を評価するための方法の特定の実施形態では、化合物の組み
合わせは2つの化合物を含む。いくつかの実施形態では、化合物の組み合わせは3つの化
合物を含む。他の実施形態では、化合物の組み合わせは4つの化合物を含む。さらに他の
実施形態では、化合物の組み合わせは5つの化合物を含む。さらに他の実施形態では、化
合物の組み合わせは、6つ以上の化合物を含む。
【0266】
一実施形態では、組み合わせの化合物の1つはデキサメタゾンである。別の実施形態で
は、組み合わせの化合物の1つはCMCである。さらに別の実施形態では、組み合わせの
化合物の1つは、免疫調節化合物である。さらに別の実施形態では、組み合わせの化合物
の1つは、サリドマイド、レナリドマイド、及びポマリドマイドからなる群より選択され
る免疫調節化合物である。一実施形態では、組み合わせの化合物の1つはサリドマイドで
ある。別の実施形態では、組み合わせの化合物の1つはレナリドマイドである。さらに別
の実施形態では、組み合わせの化合物の1つはポマリドマイドである。一実施形態では、
組み合わせの化合物の1つは、抗B細胞悪性腫瘍活性を有する化合物である。別の実施形
態では、組み合わせの化合物の1つは、抗多発性骨髄腫活性を有する化合物である。
【0267】
特定の実施形態では、組み合わせの化合物の1つは、イキサゾミブ、カルフィルゾミブ
、エロツズマブ、ダラツムマブ、アザシチジン、ACY-241、シクロホスファミド、
デュルバルマブ、アブラキサン及びニボルマブからなる群より選択される。一実施形態で
は、組み合わせの化合物の1つはイキサゾミブである。別の実施形態では、組み合わせの
化合物の1つはカルフィルゾミブである。さらに別の実施形態では、組み合わせの化合物
の1つはエロツズマブである。さらに別の実施形態では、組み合わせの化合物の1つは、
ダラツムマブである。一実施形態では、組み合わせの化合物の1つはアザシチジンである
。別の実施形態では、組み合わせの化合物の1つはACY-241である。さらに別の実
施形態では、組み合わせの化合物の1つはシクロホスファミドである。さらに別の実施形
態では、組み合わせの化合物の1つはデュルバルマブである。一実施形態では、組み合わ
せの化合物の1つはアブラキサンである。別の実施形態では、組み合わせの化合物の1つ
はニボルマブである。
【0268】
特定の実施形態では、化合物の組み合わせには、CMC及びデキサメタゾンが含まれる
。いくつかの実施形態では、化合物の組み合わせには、免疫調節化合物及びデキサメタゾ
ンが含まれる。他の実施形態では、化合物の組み合わせには、サリドマイド、レナリドマ
イド、及びポマリドマイド、及びデキサメタゾンからなる群より選択される免疫調節化合
物が含まれる。さらに他の実施形態では、化合物の組み合わせには、抗B細胞悪性腫瘍活
性を有する化合物及びデキサメタゾンが含まれる。さらに他の実施形態では、化合物の組
み合わせには、抗多発性骨髄腫活性を有する化合物及びデキサメタゾンが含まれる。一実
施形態では、化合物の組み合わせには、サリドマイド及びデキサメタゾンが含まれる。別
の実施形態では、化合物の組み合わせには、レナリドマイド及びデキサメタゾンが含まれ
る。さらに別の実施形態では、化合物の組み合わせには、ポマリドマイド及びデキサメタ
ゾンが含まれる。
【0269】
特定の実施形態では、化合物の組み合わせには、CMC、デキサメタゾン、ならびにイ
キサゾミブ、カルフィルゾミブ、エロツズマブ、ダラツムマブ、アザシチジン、ACY-
241、シクロホスファミド、デュルバルマブ、アブラキサン及びニボルマブからなる群
より選択される化合物が含まれる。いくつかの実施形態では、化合物の組み合わせには、
免疫調節化合物、デキサメタゾン、ならびにイキサゾミブ、カルフィルゾミブ、エロツズ
マブ、ダラツムマブ、アザシチジン、ACY-241、シクロホスファミド、デュルバル
マブ、アブラキサン及びニボルマブからなる群より選択される化合物が含まれる。他の実
施形態では、化合物の組み合わせには、デキサメタゾン、サリドマイド、レナリドマイド
及びポマリドマイドからなる群より選択される免疫調節化合物、ならびにイキサゾミブ、
カルフィルゾミブ、エロツズマブ、ダラツムマブ、アザシチジン、ACY-241、シク
ロホスファミド、デュルバルマブ、アブラキサン、及びニボルマブからなる群より選択さ
れる化合物が含まれる。さらに他の実施形態では、化合物の組み合わせには、抗B細胞悪
性腫瘍活性を有する化合物、デキサメタゾン、ならびにイキサゾミブ、カルフィルゾミブ
、エロツズマブ、ダラツムマブ、アザシチジン、ACY-241、シクロホスファミド、
デュルバルマブ、アブラキサン、及びニボルマブからなる群より選択される化合物が含ま
れる。さらに他の実施形態では、化合物の組み合わせには、抗多発性骨髄腫活性を有する
化合物、デキサメタゾン、ならびにイキサゾミブ、カルフィルゾミブ、エロツズマブ、ダ
ラツムマブ、アザシチジン、ACY-241、シクロホスファミド、デュルバルマブ、ア
ブラキサン、及びニボルマブからなる群より選択される化合物が含まれる。一実施形態で
は、化合物の組み合わせには、サリドマイド、デキサメタゾン、ならびにイキサゾミブ、
カルフィルゾミブ、エロツズマブ、ダラツムマブ、アザシチジン、ACY-241、シク
ロホスファミド、デュルバルマブ、アブラキサン及びニボルマブからなる群より選択され
る化合物が含まれる。別の実施形態では、化合物の組み合わせには、レナリドマイド、デ
キサメタゾン、ならびにイキサゾミブ、カルフィルゾミブ、エロツズマブ、ダラツムマブ
、アザシチジン、ACY-241、シクロホスファミド、デュルバルマブ、アブラキサン
及びニボルマブからなる群より選択される化合物が含まれる。さらに別の実施形態では、
化合物の組み合わせには、ポマリドマイド、デキサメタゾン、ならびにイキサゾミブ、カ
ルフィルゾミブ、エロツズマブ、ダラツムマブ、アザシチジン、ACY-241、シクロ
ホスファミド、デュルバルマブ、アブラキサン及びニボルマブからなる群より選択される
化合物が含まれる。
【0270】
一実施形態では、化合物の組み合わせには、デキサメタゾン、CMC、及びイキサゾミ
ブが含まれる。別の実施形態では、化合物の組み合わせには、デキサメタゾン、CMC、
及びカルフィルゾミブが含まれる。さらに別の実施形態では、化合物の組み合わせには、
デキサメタゾン、CMC及びエロツズマブが含まれる。さらに別の実施形態では、化合物
の組み合わせには、デキサメタゾン、CMC、及びダラツムマブが含まれる。一実施形態
では、化合物の組み合わせは、デキサメタゾン、CMC、及びアザシチジンが含まれる。
別の実施形態では、化合物の組み合わせには、デキサメタゾン、CMC、及びACY-2
41が含まれる。さらに別の実施形態では、化合物の組み合わせには、デキサメタゾン、
CMC、及びシクロホスファミドが含まれる。さらに別の実施形態では、化合物の組み合
わせには、デキサメタゾン、CMC、及びデュルバルマブが含まれる。一実施形態では、
化合物の組み合わせには、デキサメタゾン、CMC、及びアブラキサンが含まれる。別の
実施形態では、化合物の組み合わせは、デキサメタゾン、CMC、及びニボルマブが含ま
れる。
【0271】
一実施形態では、化合物の組み合わせには、デキサメタゾン、免疫調節化合物、及びイ
キサゾミブが含まれる。別の実施形態では、化合物の組み合わせには、デキサメタゾン、
免疫調節化合物、及びカルフィルゾミブが含まれる。さらに別の実施形態では、化合物の
組み合わせには、デキサメタゾン、免疫調節化合物、及びエロツズマブが含まれる。さら
に別の実施形態では、化合物の組み合わせには、デキサメタゾン、免疫調節化合物、及び
ダラツムマブが含まれる。一実施形態では、化合物の組み合わせには、デキサメタゾン、
免疫調節化合物、及びアザシチジンが含まれる。別の実施形態では、化合物の組み合わせ
には、デキサメタゾン、免疫調節化合物、及びACY-241が含まれる。さらに別の実
施形態では、化合物の組み合わせには、デキサメタゾン、免疫調節化合物、及びシクロホ
スファミドが含まれる。さらに別の実施形態では、化合物の組み合わせには、デキサメタ
ゾン、免疫調節化合物、及びデュルバルマブが含まれる。一実施形態では、化合物の組み
合わせには、デキサメタゾン、免疫調節化合物、及びアブラキサンが含まれる。別の実施
形態では、化合物の組み合わせには、デキサメタゾン、免疫調節化合物、及びニボルマブ
が含まれる。
【0272】
一実施形態では、化合物の組み合わせには、デキサメタゾン、レナリドマイド及びイキ
サゾミブが含まれる。別の実施形態では、化合物の組み合わせには、デキサメタゾン、レ
ナリドマイド及びカルフィルゾミブが含まれる。さらに別の実施形態では、化合物の組み
合わせには、デキサメタゾン、レナリドマイド及びエロツズマブが含まれる。さらに別の
実施形態では、化合物の組み合わせには、デキサメタゾン、レナリドマイド、及びダラツ
ムマブが含まれる。一実施形態では、化合物の組み合わせには、デキサメタゾン、レナリ
ドマイド及びアザシチジンが含まれる。別の実施形態では、化合物の組み合わせには、デ
キサメタゾン、レナリドマイド、及びACY-241が含まれる。さらに別の実施形態で
は、化合物の組み合わせには、デキサメタゾン、レナリドマイド、及びシクロホスファミ
ドが含まれる。さらに別の実施形態では、化合物の組み合わせには、デキサメタゾン、レ
ナリドマイド及びデュルバルマブが含まれる。一実施形態では、化合物の組み合わせには
、デキサメタゾン、レナリドマイド及びアブラキサンが含まれる。別の実施形態では、化
合物の組み合わせには、デキサメタゾン、レナリドマイド及びニボルマブが含まれる。
【0273】
一実施形態では、化合物の組み合わせには、デキサメタゾン、サリドマイド及びイキサ
ゾミブが含まれる。別の実施形態では、化合物の組み合わせには、デキサメタゾン、サリ
ドマイド及びカルフィルゾミブが含まれる。さらに別の実施形態では、化合物の組み合わ
せには、デキサメタゾン、サリドマイド及びエロツズマブが含まれる。さらに別の実施形
態では、化合物の組み合わせには、デキサメタゾン、サリドマイド及びダラツムマブが含
まれる。一実施形態では、化合物の組み合わせには、デキサメタゾン、サリドマイド及び
アザシチジンが含まれる。別の実施形態では、化合物の組み合わせには、デキサメタゾン
、サリドマイド、及びACY-241が含まれる。さらに別の実施形態では、化合物の組
み合わせには、デキサメタゾン、サリドマイド及びシクロホスファミドが含まれる。さら
に別の実施形態では、化合物の組み合わせには、デキサメタゾン、サリドマイド及びデュ
ルバルマブが含まれる。一実施形態では、化合物の組み合わせには、デキサメタゾン、サ
リドマイド及びアブラキサンが含まれる。別の実施形態では、化合物の組み合わせには、
デキサメタゾン、サリドマイド及びニボルマブが含まれる。
【0274】
一実施形態では、化合物の組み合わせには、デキサメタゾン、ポマリドマイド、及びイ
キサゾミブが含まれる。別の実施形態では、化合物の組み合わせには、デキサメタゾン、
ポマリドマイド、及びカルフィルゾミブが含まれる。さらに別の実施形態では、化合物の
組み合わせには、デキサメタゾン、ポマリドマイド及びエロツズマブが含まれる。さらに
別の実施形態では、化合物の組み合わせには、デキサメタゾン、ポマリドマイド及びダラ
ツムマブが含まれる。一実施形態では、化合物の組み合わせには、デキサメタゾン、ポマ
リドマイド及びアザシチジンが含まれる。別の実施形態では、化合物の組み合わせには、
デキサメタゾン、ポマリドマイド、及びACY-241が含まれる。さらに別の実施形態
では、化合物の組み合わせには、デキサメタゾン、ポマリドマイド、及びシクロホスファ
ミドが含まれる。さらに別の実施形態では、化合物の組み合わせには、デキサメタゾン、
ポマリドマイド及びデュルバルマブが含まれる。一実施形態では、化合物の組み合わせに
は、デキサメタゾン、ポマリドマイド、及びアブラキサンが含まれる。別の実施形態では
、化合物の組み合わせには、デキサメタゾン、ポマリドマイド及びニボルマブが含まれる
。
【0275】
一実施形態では、化合物の組み合わせには、デキサメタゾン、抗B細胞悪性腫瘍活性を
有する化合物、及びイキサゾミブが含まれる。別の実施形態では、化合物の組み合わせに
は、デキサメタゾン、抗B細胞悪性腫瘍活性を有する化合物、及びカルフィルゾミブが含
まれる。さらに別の実施形態では、化合物の組み合わせには、デキサメタゾン、抗B細胞
悪性腫瘍活性を有する化合物、及びエロツズマブが含まれる。さらに別の実施形態では、
化合物の組み合わせには、デキサメタゾン、抗B細胞悪性腫瘍活性を有する化合物、及び
ダラツムマブが含まれる。一実施形態では、化合物の組み合わせには、デキサメタゾン、
抗B細胞悪性腫瘍活性を有する化合物、及びアザシチジンが含まれる。別の実施形態では
、化合物の組み合わせには、デキサメタゾン、抗B細胞悪性腫瘍活性を有する化合物、及
びACY-241が含まれる。さらに別の実施形態では、化合物の組み合わせには、デキ
サメタゾン、抗B細胞悪性腫瘍活性を有する化合物、及びシクロホスファミドが含まれる
。さらに別の実施形態では、化合物の組み合わせには、デキサメタゾン、抗B細胞悪性腫
瘍活性を有する化合物、及びデュルバルマブが含まれる。一実施形態では、化合物の組み
合わせには、デキサメタゾン、抗B細胞悪性腫瘍活性を有する化合物、及びアブラキサン
が含まれる。別の実施形態では、化合物の組み合わせには、デキサメタゾン、抗B細胞悪
性腫瘍活性を有する化合物、及びニボルマブが含まれる。
【0276】
一実施形態では、化合物の組み合わせには、デキサメタゾン、抗多発性骨髄腫活性を有
する化合物、及びイキサゾミブが含まれる。別の実施形態では、化合物の組み合わせには
、デキサメタゾン、抗多発性骨髄腫活性を有する化合物、及びカルフィルゾミブが含まれ
る。さらに別の実施形態では、化合物の組み合わせには、デキサメタゾン、抗多発性骨髄
腫活性を有する化合物、及びエロツズマブが含まれる。さらに別の実施形態では、化合物
の組み合わせには、デキサメタゾン、抗多発性骨髄腫活性を有する化合物、及びダラツム
マブが含まれる。一実施形態では、化合物の組み合わせには、デキサメタゾン、抗多発性
骨髄腫活性を有する化合物、及びアザシチジンが含まれる。別の実施形態では、化合物の
組み合わせには、デキサメタゾン、抗多発性骨髄腫活性を有する化合物、及びACY-2
41が含まれる。さらに別の実施形態では、化合物の組み合わせには、デキサメタゾン、
抗多発性骨髄腫活性を有する化合物、及びシクロホスファミドが含まれる。さらに別の実
施形態では、化合物の組み合わせには、デキサメタゾン、抗多発性骨髄腫活性を有する化
合物、及びデュルバルマブが含まれる。一実施形態では、化合物の組み合わせには、デキ
サメタゾン、抗多発性骨髄腫活性を有する化合物、及びアブラキサンが含まれる。別の実
施形態では、化合物の組み合わせには、デキサメタゾン、抗多発性骨髄腫活性を有する化
合物、及びニボルマブが含まれる。
【0277】
いくつかの実施形態では、測定されるバイオマーカーは、セクション5.4.1で提供
されるバイオマーカーを含む。
【0278】
本明細書で提供される様々な方法の特定の実施形態では、バイオマーカーとは、CRB
Nによって、例えばタンパク質間の相互作用(例えば、特定のCRBN基質またはその下
流のエフェクター)を通じて、または様々な細胞経路(例えば、シグナル伝達経路)を通
じて直接または間接的に影響されるタンパク質である。特定の実施形態では、バイオマー
カーは、CAPである。いくつかの実施形態では、バイオマーカーは、CRBNによって
直接的または間接的に影響を受けるタンパク質のmRNAである。他の実施形態では、バ
イオマーカーは、CRBNによって直接的または間接的に影響を受けるタンパク質のcD
NAである。特定の実施形態では、バイオマーカーは、CRBNの1つ以上のアイソフォ
ームによって直接的または間接的に影響を受ける。いくつかの実施形態では、バイオマー
カーは、CRBNの1つのアイソフォームによって直接的または間接的に影響を受けるが
、他のアイソフォームによっては影響を受けない。
【0279】
いくつかの実施形態では、測定されるバイオマーカーは、1つのバイオマーカーを含む
。特定の実施形態では、測定されるバイオマーカーは、2つ以上のバイオマーカーを含む
。いくつかの実施形態では、バイオマーカーのレベルは、バイオマーカーのタンパク質レ
ベルを検出及び定量することによって測定される。他の実施形態では、バイオマーカーの
レベルは、バイオマーカーの核酸レベルを検出及び定量することによって測定される。一
実施形態では、バイオマーカーのレベルは、バイオマーカーのcDNAレベルを検出及び
定量することによって測定される。別の実施形態では、バイオマーカーのレベルは、バイ
オマーカーのmRNAレベルを検出及び定量することによって測定される。本明細書で提
供されるか、または当該分野で周知のバイオマーカーを測定する任意の適切な方法を使用
して、バイオマーカーのレベルを検出及び定量してもよい。
【0280】
一実施形態では、処置化合物は、化合物A、またはその立体異性体もしくは立体異性体
の混合物、互変異性体、薬学的に許容される塩、溶媒和物、同位体置換体、プロドラッグ
、水和物、共結晶、包接体もしくは多形体であり、バイオマーカーは、Aiolos、I
karos、及びGSPT1からなる群より選択される1つ以上のバイオマーカーである
。別の実施形態では、処置化合物は、化合物B、またはその立体異性体もしくは立体異性
体の混合物、互変異性体、薬学的に許容される塩、溶媒和物、同位体置換体、プロドラッ
グ、水和物、共結晶、包接体もしくは多形体であり、バイオマーカーは、Aiolos、
Ikaros、及びGSPT1からなる群より選択される1つ以上のバイオマーカーであ
る。さらに別の実施形態では、処置化合物は、化合物C、またはその立体異性体もしくは
立体異性体の混合物、互変異性体、薬学的に許容される塩、溶媒和物、同位体置換体、プ
ロドラッグ、水和物、共結晶、包接体もしくは多形体であり、バイオマーカーは、Aio
los、Ikaros、及びGSPT1からなる群より選択される1つ以上のバイオマー
カーである。さらに別の実施形態では、処置化合物は、化合物D、またはその立体異性体
もしくは立体異性体の混合物、互変異性体、薬学的に許容される塩、溶媒和物、同位体置
換体、プロドラッグ、水和物、共結晶、包接体もしくは多形体であり、バイオマーカーは
、Aiolos、Ikaros、及びGSPT1からなる群より選択される1つ以上のバ
イオマーカーである。一実施形態では、処置化合物は、化合物E、またはその立体異性体
もしくは立体異性体の混合物、互変異性体、薬学的に許容される塩、溶媒和物、同位体置
換体、プロドラッグ、水和物、共結晶、包接体もしくは多形体であり、バイオマーカーは
、Aiolos、Ikaros、及びGSPT1からなる群より選択される1つ以上のバ
イオマーカーである。
【0281】
5.4.5 抗原特異的T細胞殺傷に対する化合物の効果の評価方法
本明細書で提供される様々な方法の特定の実施形態では、化合物または化合物の組み合
わせの効果は、抗原特異的T細胞殺傷に対する効果である。T細胞媒介細胞傷害性は、ナ
イーブT細胞に種々の特異的抗原をもたらす抗原提示細胞(APC)によって誘導され得
る。APCの非限定的な例としては、樹状細胞(DC)、マクロファージ、特定のB細胞
、及び特定の活性化上皮細胞が挙げられる。次いで、活性化された細胞傷害性T細胞は、
その表面に特異的抗原(例えば、腫瘍抗原)を有する標的細胞(例えば、腫瘍細胞)を殺
傷する。インビボまたはインビトロでの抗原特異的T細胞殺傷を評価するための様々な方
法は、科学文献に開示されている(例えば、自己樹状細胞でパルスされた乳房腫瘍細胞溶
解物により誘導されるT細胞応答のインビトロ分析(in vitro analysi
s of T-cell responses induced by breast
tumor cell lysate pulsed with autologous
dendritic cells))。Delirezh et al.、Advan
ces in Biosci.Biotechnol.2012、3:126-136を
参照のこと。
【0282】
方法の特定の実施形態では、APCはDCである。いくつかの実施形態では、APCは
マクロファージである。特定の実施形態では、APCは動物から単離される。他の実施形
態では、APCは、動物由来の単離末梢血単核細胞(PBMC)からインビトロで誘導さ
れる。さらに他の実施形態では、APCは、動物由来の単離されたプログラム可能な単球
由来細胞(PCMO)からインビトロで誘導される。
【0283】
APC(例えば、DC)の成熟は、種々の因子(例えば、TNF-α)及び/または馴
化培地(例えば、単球馴化培地(MCM)、線維芽細胞馴化培地(FCM)、PHA活性
化T細胞順化培地(TCM)、または線維芽細胞及びT細胞馴化培地(FCM-TCM)
によって誘発され得る。未分画の腫瘍由来抗原、例えば、腫瘍細胞溶解物、腫瘍細胞膜か
ら溶出したペプチド、アポトーシス腫瘍細胞、腫瘍ペプチドパルス化DC由来エキソソー
ム、腫瘍とDCとの融合体、及び腫瘍細胞RNAを、DCのパルス化に用いてもよい。種
々の実施形態では、腫瘍細胞は、固形腫瘍細胞または血液癌細胞のような任意の種類の腫
瘍細胞であってもよい。いくつかの実施形態では、腫瘍細胞は多発性骨髄腫細胞である。
他の実施形態では、腫瘍細胞はB細胞悪性腫瘍細胞である。
【0284】
次いで、パルス化DCは、増殖、細胞毒性、自己腫瘍細胞に対するサイトカイン放出に
おいてT細胞応答を誘発し得る。したがって、T細胞増殖、T細胞細胞毒性、及びサイト
カイン放出は、文献に開示された周知のアッセイを用いて測定することができる。Del
irezh et al.、Advances in Biosci、Biotechn
ol.2012、3:126-136を参照のこと。
【0285】
前述の詳細な説明及び添付の実施例は単なる例示であり、主題の範囲を限定するものと
解釈すべきではないことが理解される。開示された実施形態に対する様々な変更及び改変
は、当業者には明らかであろう。化学構造、置換基、誘導体、中間体、合成物、処方物、
トランスジェニックマウスの作製方法及び/または本明細書で提供される使用方法に関連
するものを含むが、これらに限定されない、このような変更及び改変は、その趣旨及び範
囲から逸脱することなくなされ得る。本明細書中で参照される米国特許及び刊行物は、参
照として援用される。
【0286】
例えば、1つ以上の試薬(例えば、TALEN、CRISPR/Cas9、ZFN、核
酸プライマーなど)、1つ以上の手順(例えば、トランスフェクション、エレクトロポレ
ーションなど)、または1つ以上のステップ(例えば、本明細書中に提供される様々な方
法におけるステップ(a)、ステップ(b)、ステップ(c)、ステップ(d))に関す
る上記で列挙された実施形態の任意の組み合わせはまた、本明細書中に提供される任意の
様々な方法と関係して考慮される。
【0287】
本発明の特定の実施形態は、以下の非限定的な実施例によって例示される。
【実施例0288】
6.実施例
以下の実施例は、他に詳細に記載されている場合を除いて、当業者に周知であり日常的
な標準的な技術を用いて行われる。この実施例は単なる例示であることが意図される。
【0289】
6.1 ヒトCRBNトランスジェニックマウスの作製のための標的化構築物の生成
ヒトCRBNアイソフォーム1及びマウスCRBNアイソフォーム2(ヒトCRBNア
イソフォーム1に対応する)の最初の23アミノ酸は同一である。これらの23個のアミ
ノ酸は、ヒトまたはマウスCRBN遺伝子のエキソン1によってコードされる。別のスプ
ライシング機構は、第23番目のアミノ酸を除去して、ヒトCRBNアイソフォーム2ま
たはマウスCRBNアイソフォーム1を生成する(これはそれぞれヒトCRBNアイソフ
ォーム1またはマウスCRBNアイソフォーム2よりも1アミノ酸短い)。従って、マウ
スエキソン1/イントロン1/エキソン2スプライシングが維持され得る。ノックインの
戦略は、エキソン2で開始する、CRBNをコードするヒトcDNAを挿入することであ
る。これは、cDNAのインビボ発現に重要なイントロンを含むことにより、内因性マウ
スプロモーターからのヒトcDNAの十分な発現を確実にする助けとなるはずである。ヒ
トCRBNのcDNAコード配列の後のポリ(A)配列は、転写産物を終結させ、マウス
遺伝子の任意のさらなるスプライシングまたは発現を破壊する。宿主マウスにおける選択
的スプライシング機構は、トランスジェニックマウスにおいてヒトCRBNアイソフォー
ム1及びヒトCRBNアイソフォーム2を生成することができるであろう。エキソン3は
、エキソン1とはフレーム外であり、そのため異常なスプライシングは機能的CRBNタ
ンパク質を生じないであろう。
【0290】
図1は、標的化構築物の生成、ES細胞または胚への標的化構築物の導入、キメラの産
生、及び生殖系列伝達を含む、ヒトCRBNノックイントランスジェニックマウスの作製
のフローチャートを示す。
【0291】
図2は、マウスゲノム中のヒトCRBNにおけるノッキングの設計を示す。
図2のパー
トAは、マウスゲノム中のマウスCRBN遺伝子の一部(エキソン2及びエキソン3を含
む)を示す。
図2のパートBは、標的化構築物を示しており、これは、ヒトCRBNアイ
ソフォーム1のcDNAの一部(コドン24、グルタミン酸から開始し、終止コドンで終
わる)、その後に組換えポリ(A)配列(例えば、bGH pA)及び2つのloxP部
位が隣接するネオマイシン選択カセット、ならびに5’相同性アーム及び3’相同性アー
ムを含む。パートAとパートBとの間の点線は、ヒトCRBNのcDNA、bGH pA
、loxに隣接するネオマイシン選択カセット、ならびに5’相同アーム及び3’相同ア
ームを含む標的化構築物による、マウスゲノムの一部(マウスCRBN遺伝子のエキソン
2を含む)の置換を示す。パートCは、標的化構築物配列がマウスゲノムに安定に組み込
まれている、ヒトCRBNノックイン後の標的化されたゲノムを示す。パートDは、ネオ
マイシン選択カセットのCre切除後の標的ゲノムを示す。
【0292】
図3A~3Cは、ドナーベクターの一例CRBN KIベクターV2-pUCのクロー
ニング戦略を示す。
図3Cでは、CRBN KIベクターV2-pUCが、(1)pUC
57-Simpleクローニングベクターの骨格、(2)CRBNの断片(コドン24、
グルタミン酸塩から開始し、停止コドンで終わる)、続いて組換えポリ(A)配列(例え
ば、bGHpA)ならびにPGK-EM7プロモーターによって制御され、2つのlox
P部位が隣接するネオマイシン選択カセットをコードするヒトcDNA配列、ならびに(
3)5kbの5’相同アーム、及び2.8kbの3’相同性アームを、それぞれ、(2)
の5’末端及び3’末端に含むことが示される。相同性アームは、マウスCRBN遺伝子
のエキソン2に隣接するイントロン配列と一致し、マウスゲノムとの相同組換えを促進す
る。構成要素(2)及び(3)を含むCRBN KIベクターV2-pUCの領域は、図
2Bに示される標的化構築物に対応する。この標的化構築物の核酸配列は、配列番号8に
明記されている。
【0293】
CRBN KIベクターV2-pUCは、以下のようにして作製した:(1)合成DN
Aであって、1.5kbのマウスCRBNイントロン1及びマウスCRBNエキソン2の
開始点、続いてコドン24グルタミンで開始し終止コドンまでのヒトCRBNアイソフォ
ーム1、ウシ成長ホルモンポリ(A)シグナル、及び1.5kbのマウスCRBNイント
ロン3を包含する合成DNA(
図3A)を、Genscript、Inc.(Pisca
taway、NJ)によって合成し、Kpn I及びXho I制限部位を、イントロン
3の開始に含めて、ネオマイシン選択カセットのクローニングを可能にした;(2)CR
BN KI標的化構築物を、EcoRV制限部位のプラスミドpUC57-Simple
にクローニングして、プラスミドCRBN-pUCを作製した(マップは示さず);(3
)次に、PGKプロモーター、ネオマイシン選択カセット、及びSV40ポリ(A)を含
む1637bpのKpnI/XhoI断片のPB-MV1Neo(
図3B)を、KpnI
及びXhoI制限部位でCRBN-pUC中にクローニングして、ドナーベクターCRB
N KI Vector-V2-pUCを生成した(
図3C)。次いで、ドナーベクター
CRBN KI Vector-V2-pUCをマウスES細胞にエレクトロポレーショ
ンした。
【0294】
6.2 XTN(商標)TALENの設計及びそれらの活性の試験
3つのXTN(商標)TALENを、ネオマイシンカセット挿入部位を標的化して標的
化を増強するように設計した。XTN(商標)TALEN 1は、
TATGCGGACCTTTATCTAtggctggaatttcctaAGTGCA
GGGAGCCACA(配列番号9)という核酸配列を標的する。
XTN(商標)TALEN 2は、TGCAGTATGCGGACCTTtatctat
ggctggaatTTCCTAAGTGCAGGGA(配列番号10)という核酸配列
を標的とする。XTN(商標)TALEN 3は、TCTGCCAACCTCACATa
cagtatgtggtttaGTCATTGAGCAAATGCA(配列番号11)の
核酸配列を標的とする。
【0295】
図4は、Cel-1アッセイを用いた3つのXTN(商標)TALENの試薬活性試験
を示す。予想されるバンドサイズは、XTN(商標)TALEN1及び2では170bp
及び160bpであり、XTN(商標)TALEN3では200bp及び130bpであ
る。この結果、XTN(商標)TALEN1が5%の活性を有し、XTN(商標)TAL
EN2が9%の活性を有し、XTN(商標)TALEN 3が3%の活性を有したことが
示される。従って、XTN(商標)TALEN 2は最も活性が高く、ドナーベクターC
RBN KI Vector-V2-pUCとともにマウスES細胞にエレクトロポレー
ションされた。
【0296】
6.3 マウスES細胞のエレクトロポレーション及びヒトCRBN遺伝子を含むクロ
ーンの同定
C57BL/6NTac JM8 ES細胞を、ドナーベクターCRBN KI Ve
ctor-V2-pUC及びXTN(商標)TALEN 2を用いてエレクトロポレーシ
ョンした。正確な5’及び3’標的化を検出するために、プライマーを用いた標的化のた
めに24のESクローンをスクリーニングした。5’及び3’標的を検出するためのPC
Rプライマーを表1に列挙する。
表1.5’及び3’標的を検出するためのPCRプライマー
【表1】
【0297】
3つのESクローンを、5’末端及び3’末端の両方で正確な標的化で同定した。2つ
のクローン(D3及びE1)についての結果を
図5に示す。ゲルの左半分は、ESクロー
ンD3のPCR産物を示し、ゲルの右半分はESクローンE1のPCR産物を示す。5’
PCR産物は、約1968bpという予想サイズを有し、3’PCR産物は約1939b
pという予想サイズを有する。
【0298】
PCR産物の配列は、クローンE1、D2、及びD3について5’及び3’末端を標的
とすることが確認された。例えば、5’標的化のPCR産物は、標的化アームと、ゲノム
配列との5’末端での、及びヒトCRBNのcDNAとの3’末端での接合部を示した。
これらのESクローンを核型決定して、増殖した。
【0299】
6.4 ES細胞の移植及びキメラの作製
2つのESクローン(D2及びE1)を、C57BL/6NTac芽球に注入した。3
.5日齢のマウス胚(胚盤胞)を、クローンD2及びE1由来のES細胞の標準的な注入
方法に用いた。次いで、注入された胚盤胞を、偽妊娠雌性マウスに移植した。キメラは、
Nnt遺伝子型またはコート色によって生まれ、確認された。クローンE1は、最高レベ
ルのキメラ現象をもたらした。これらのキメラは、生殖系列伝達のために繁殖するように
選択した。
【0300】
6.5 ヒトCRBN遺伝子の生殖細胞系伝達
ネオマイシン耐性カセットの欠失を達成し、生殖系列伝達を決定するために、クローン
E1由来のキメラを、Creリコンビナーゼデレター(deleter)マウス(ROS
A26座から発現されたCre)に交配させた。子孫は、ヒトcDNA挿入物に特異的な
PCRプライマーを用いて評価した。3匹の仔(2匹の雌及び1匹の雄)をPCRによっ
て同定し、ヒトcDNA-bGH pA、1つのloxP部位を含み、かつネオマイシン
カセットを含まないことを配列で確認した。
【0301】
図6は、3つの生殖系列動物の5’標的化PCR確認を示す。レーン1は、分子量マー
カーである。レーン2~4は、クローンE1キメラから生成された3つの生殖系列動物由
来のPCR産物である。レーン2は、CRBN623由来のPCR産物であり;レーン3
は、3由来のPCR産物であり;レーン4は、CRBN+Cre4由来のPCR産物であ
る。レーン5及び6は、それぞれ陰性対照及び陽性対照である。
【0302】
図7は、遺伝子型決定プライマーを用いた3つの生殖系列動物のhu-cDNA-pA
PCR確認を示す。レーン1は、分子量マーカーである。レーン2~4は、クローンE
1キメラから生成された3つの生殖系列動物由来のPCR産物である。レーン2は、CR
BN623由来のPCR産物であり;レーン3は、3由来のPCR産物であり;レーン4
は、CRBN+Cre4由来のPCR産物である。レーン5及び6は、それぞれ陰性対照
及び陽性対照である。
【0303】
使用される遺伝子型決定プライマーは、以下のとおりである:フォワードプライマーは
、TGTGTTGCCTTCAACCATGT(配列番号16)の核酸配列を含むCRB
Nhu-cDNA-F1である。リバースプライマーは、CAGCATGCCTGCTA
TTGTCT(配列番号17)の核酸配列を含むbGHpA-R1である。
【0304】
6.6 ヒトCRBN遺伝子についてホモ接合性のマウスの育種及び同定
ヒトCRBN遺伝子の生殖系列伝達を有する上記の2つのヘテロ接合性雌性マウスを、
増殖育種のために使用した。これは、ヒトCRBN遺伝子を発現する安定した系統のマウ
スを確保し確立することであった。目標は、ヒトCRBN遺伝子とホモ接合マウスのコホ
ートを確立すること、及びCreリコンビナーゼ対立遺伝子を削除することであった。雌
性マウスを、非Cre C57BL/6NTacマウスと育種してCre遺伝子を除去し
、ヘテロ接合性のヒトCRBNノックインマウスを作製した。ヘテロ接合ヒトCRBNノ
ックインマウス間の交配によって、ホモ接合ヒトCRBNノックインマウスを産生した。
【0305】
6.7 ヒトCRBN遺伝子についてホモ接合性のマウス及び他の遺伝的背景を有する
マウスの育種
ヒトCRBN遺伝子についてホモ接合性のマウスを、他の遺伝的背景のマウス、例えば
NSG/NOGマウス、Vk*myc多発性骨髄性モデル、Eu-v-abl/Eu-c
-Myc(ウイルス接種+プリスチン)多発性骨髄腫モデル、Eu-c-Mycリンパ腫
モデル、ヒトIKZF1/3トランスジェニックマウスなどと育種してもよい。これらの
育種されたマウスは、限定するものではないが、異種移植の分析、抗腫瘍効果、及び免疫
細胞効果を含むさらなる研究に有用である。
【0306】
6.8 免疫調節化合物の研究におけるヒトCRBNトランスジェニックマウスの使用
ヒトCRBNトランスジェニックマウスに由来する細胞、細胞株、組織または器官を使
用して、化合物(例えば、サリドマイド、レナリドマイド、ポマリドマイド及びセクショ
ン5.4.2で提供される他の化合物などの免疫調節化合物)をインビトロまたはエキソ
ビボで研究してもよい。ヒトCRBNトランスジェニックマウスを使用して、化合物(例
えば、サリドマイド、レナリドマイド、ポマリドマイド、及びセクション5.4.2で提
供される他の化合物などの免疫調節化合物)をインビボで研究してもよい。これらの研究
には、限定するものではないが、結合アッセイ(例えば、CRBN結合アッセイ、CAP
結合アッセイ)、標的タンパク質分解アッセイ、下流機能アッセイ、バイオマーカーアッ
セイ、プロテオミクス研究、毒性、薬物動態、薬力学、様々な疾患の処置の有効性、投与
レジメン最適化、処置の特異性、併用療法、作用機序などが挙げられる。
【0307】
例えば、CRBN基質(例えば、Aiolos、Ikaros、またはGSPT1)の
分解を、ヒトCRBNトランスジェニックマウスから単離した脾臓細胞のエキソビボ化合
物処理によって評価した。野生型(WT)、ヘテロ接合体(HET)、及びホモ接合性ヒ
トCRBNノックインマウス(HOM)由来の脾臓を収集し、gentleMACS(商
標)Dissociator(Miltenyi Biotec、San Diego、
CA)を用いて、5mLのPBS中で解離させた。脾臓ホモジネートを、70μmの予備
分離フィルター(#130-095-823、Miltenyi Biotec)を用い
て15mLのコニカルチューブに濾過し、1200rpmで5分間遠心分離した。デカン
トした後、脾細胞を、1mLのACK Lysing Buffer(Gibco#A1
0492-01、Thermo Fisher Scientific、Waltham
、MA)中に2分間再懸濁して赤血球を溶解した。10mLの冷PBSを各コニカルチュ
ーブに添加して溶解を停止させ、脾細胞を再び1200rpmで5分間遠心分離した。デ
カントした後、脾細胞を1mLのPBSに再懸濁し、再び濾過して、各マウス表現型につ
いてプールし、Vi-Cell(商標)XR細胞カウンター(Beckman Coul
ter、Indianapolis、IN)を用いてカウントして生存率を判定した。カ
ウント及び生存率の確認の後、プールされた脾細胞を有するチューブを、1200rpm
で5分間遠心分離し、デカントし、濃度5.5×106脾細胞/mL(脾細胞の数次第で
20~30mL)の10%FBSを補充した暖かいRPMI 1640培地に再懸濁した
。
【0308】
15×106個のWT、HET、またはHOM脾細胞を、別々の6ウェルプレートのウ
ェルにプレートした。DMSO(最終濃度0.2%)/RPMI 1640培地で希釈し
た化合物を、10μM~1nMの範囲の濃度でウェルに分注した。0.2%のDMSOも
陰性対照として各プレートの1つのウェルに分注した。脾細胞を37℃のインキュベータ
ー内で4~24時間、化合物で処理した。次いで、化合物で処置した脾細胞を、15mL
コニカルチューブに集め、1500rpmで6分間遠心分離し、培地を吸引除去し、5m
LのPBSで1回洗浄した。洗浄後、脾細胞を再び遠心分離し、PBSを吸引除去し、脾
細胞ペレットをドライアイス上で急速凍結した。
【0309】
脾細胞ペレットを、cOmplete ULTRAプロテアーゼ阻害剤の錠剤(#05
892920001、Roche Diagnostics Corporation、
Indianapolis、IN)及びホスファターゼ阻害剤(Pierce#7844
2、Thermo Fisher Scientific、Waltham、MA)を補
充した冷1X細胞溶解緩衝液(#9803、Cell Signaling Techn
ology、Danvers、MA)を用いて溶解した。溶解物のタンパク質濃度を、B
CAタンパク質アッセイキット(Pierce#A10492-01、Thermo F
isher Scientific、Waltham、MA)を用いて測定し、ウエスタ
ンブロットを実施して、エキソビボ化合物処理から生じる基質分解を評価した。各脾臓溶
解物20μgを、4~12%のCriterion XT Bis Trisゲル(Bi
o-Rad#3450124、Bio-Rad Laboratries、Hercul
es、CA)にロードし、130Vで1.5時間泳動させ、次いでTrans-Blot
Turbo Transfer System(Bio-Rad Laborator
ies)を用いてニトロセルロース膜上に転写した。Odyssey(登録商標)ブロッ
キング緩衝液(#927-40100、LI-COR Biotechnology、L
incoln、NE)で1時間ブロッキングした後、膜を、Aiolos(ポリクローナ
ルヤギ#sc-18683、Santa Cruz Biotechnology、Da
llas、TX)、Ikaros(モノクローナルウサギ、#14859、Cell S
ignaling Technology)、GSPT-1(ポリクローナルウサギ、#
ab49878、Abcam PLC、Cambridge、United Kingd
om)、GAPDH(モノクローナルマウス、#AM4300、Thermo Fish
er Scientific)の一次抗体とともに4℃で一晩インキュベートした。PB
STで洗浄した後、膜を、蛍光二次抗体、Alexa Fluor 680(登録商標)
ヤギ抗ウサギIgG(Invitrogen#A-21076、Thermo Fish
er Scientific)またはIRDye(登録商標)800CWヤギ抗マウスI
gG(#926-32210、LI-COR Biotechnology)を用いて、
室温で1時間プローブした。二次抗体とのインキュベーション後、膜を、PBST中で再
び洗浄した。Odyssey(登録商標)CLx画像化システム(LI-COR Bio
technology)を用いて膜を走査し、Image Studio(商標)ソフト
ウェアを用いて定量した。
【0310】
最初のパイロット実験では、化合物Bと、1μMまたは10μMで、24時間エキソビ
ボでインキュベーションした結果、HET及びHOM脾細胞におけるAiolos(
図8
A及び8B)及びIkaros(
図9A及び9B)の有意な分解、ならびにWT脾細胞に
おける最小限の分解が生じた。
【0311】
図8A及び
図8Bによって、10μMの化合物Bの処理が、HOM脾細胞で84%の分
解、HET脾細胞で77%の分解、及びWT脾細胞で27%の分解をもたらしたこと、な
らびに1μMの化合物Bの処理が、HOM脾細胞で81%の分解、HET脾細胞で76%
の分解、及びWT脾細胞での28%の分解が生じたことが示される。
【0312】
図9A及び
図9Bによって、化合物Bでの24時間のエキソビボ処理後、Ikaros
について分解の同様の傾向が示される。10μMの化合物Bでは、Ikarosの分解は
、HOM脾細胞では82%、HET脾細胞では68%、そしてWT脾細胞ではわずか20
%の分解が観察された。同様に、化合物Bの1μM処理は、HOM脾細胞では76%のI
karos分解、HET脾細胞では60%の分解、及びWT脾細胞では23%の分解をも
たらした。
【0313】
WT、HET、及びHOMマウス由来の脾細胞を用いた第2のエキソビボ実験を、化合
物B濃度の範囲に応じたAiolosまたはIkaros分解の用量依存性を研究するた
めに行った。これらの用量としては、1、0.1、0.01、及び0.001μMの化合
物Bが含まれ、インキュベーション時間は6時間に短縮された。
【0314】
HOM脾臓細胞におけるエキソビボ処理後、Aiolosの78%、66%、54%、
及び28%の分解が、それぞれ化合物Bの1、0.1、0.01及び0.001μMで観
察された(
図10Aの右のパネル及び
図10B)。HET脾細胞では、Aiolosの4
1%、32%、13%、及び0%の分解が、それぞれ1、0.1、0.01及び0.00
1μMの化合物Bで観察された(
図10Aの中央パネル及び
図10B)。WT脾臓細胞で
は、この実験では化合物Bのいずれの濃度でも、Aiolosの分解は観察されなかった
(
図10Aの左パネル及び
図10B)。
【0315】
同様の用量依存性応答が、HOM及びHET脾臓細胞におけるIkaros分解につい
て観察された。HOM脾臓細胞では、Ikarosの59%、55%、41%及び14%
の分解が、それぞれ1、1.0、0.01及び0.001μMの化合物Bで観察された(
図11Aの右パネル及び
図11B)。HET脾臓細胞では、Ikarosの49%、45
%、8%及び0%の分解が、それぞれ、1、1.0、0.01及び0.001μMの化合
物Bで観察された(
図11Aの中央パネル及び
図11B)。Aiolos分解について観
察されたものと同様に、いずれの濃度の化合物BでもWT脾細胞においてIkarosの
分解は観察されなかった(
図11Aの左パネル及び
図11B)。
【0316】
WT及びHOMマウス由来の脾臓細胞を用いた追加のエキソビボ実験を行い、化合物C
及び化合物Eを用いたGSPT1分解を評価した。化合物Bを用いたこれまでのエキソビ
ボ実験と同様に、10%FBSを補充した、RPMI 1640培地中の15×106個
のWT及びHOM脾細胞を、6ウェルプレートにプレートした。WT及びHOM脾細胞を
、化合物Cを用いて100nMまたは1nMで、化合物Eを用いて10μMまたは100
nMで、37℃で4時間処理した。脾細胞を収集し、15mLのコニカルチューブに移し
、1500rpmで6分間遠心分離し、培地を吸引除去し、5mLのPBSで1回洗浄し
た。洗浄後、脾細胞を再び遠心分離し、PBSを吸引除去し、脾細胞ペレットをドライア
イス上で急速凍結した。上記の溶解緩衝液を用いて脾細胞を溶解し、タンパク質濃度を測
定した。GSPT1分解を決定するために、20μgのタンパク質を用いたウエスタンブ
ロットを行った。
【0317】
ウエスタンブロット分析によって、化合物Cによるエキソビボ処理後のHOM脾細胞に
おけるGSPT1の有意な分解及びWT脾細胞におけるGSPT1の最小限の分解のみが
示された。HOM脾細胞では、GSPT1の65%及び89%の分解が、それぞれ、1n
M及び100nMの化合物Cで観察された(
図12Aの右パネル及び
図12B)。対照的
に、WT脾細胞では、それぞれ、1nM及び100nMの化合物CでGSPT1のわずか
11%及び7%の分解が観察された(
図12Aの左パネル及び
図12B)。
【0318】
同様に、エキソビボで他の化合物である化合物Eで処理した脾細胞のウエスタンブロッ
ト分析では、HOM脾細胞ではGSPT1の有意な分解を示したが、WT脾細胞では示さ
なかった。10μM及び100nMの化合物Eでは、GSPT1の74%及び70%の分
解がそれぞれHOM脾細胞で観察された(
図13A右パネル及び13B)。しかし、WT
脾臓細胞では、10μM及び100nMの化合物Eでは、それぞれ、GSPT1の6%及
び0%の分解が観察された(
図13A左パネル及び13B)。
【0319】
これらの例示的なエキソビボ結果によって、ヒトCRBNトランスジェニックマウスが
、例えば、種々の疾患(例えば、がん)の処置における、特定の化合物(例えば、免疫調
節化合物、例えばサリドマイド、レナリドマイド、ポマリドマイド、及びセクション5.
4.2で提供される他の化合物)の有効性、特異性、毒性、薬物動態、薬力学、作用機序
を評価すること;これらの化合物の投与レジメンの最適化;ならびに、そのような疾患の
ための他の治療薬との併用療法を研究することにおいて用いられ得ることが示される。
*****
【0320】
前述から、特定の実施形態が例示の目的のために本明細書に記載されているが、本明細
書で提供されるものの趣旨及び範囲から逸脱することなく様々な改変がなされ得ることが
理解される。上記で引用された全ての参考文献は、その全体が参照により本明細書に組み
込まれる。
【0321】
7.配列表
本明細書は、コンピュータ可読形式(CRF)の配列表のコピーとともに提出されてい
る。2017年1月12日に作成され、サイズが31,899バイトである12827-
974-228_SEQLIST.txtと名付けられたCRFは、配列表の紙のコピー
と同一であり、その全体が参照により本明細書に組み込まれる。
トランスジェニックマウスであって、そのゲノムが、ヒトセレブロン(CRBN)またはその機能性断片をコードする核酸を含む、前記トランスジェニックマウスにおいて、化合物の投与量及び/または投与スケジュールを最適化するための方法であって、前記機能性断片は、天然のヒトCRBNの、E3ユビキチン-リガーゼ複合体を形成する能力を示し、かつ、標的タンパク質のユビキチン化及びその後のプロテアソーム分解を媒介し、前記マウスは、前記ヒトCRBNまたはその機能性断片を発現し、かつ、内因性マウスCRBNを発現せず、前記方法は、
(a)前記化合物を前記トランスジェニックマウスに投与するステップ、
(b)前記トランスジェニックマウスから試料を得るステップ、
(c)前記試料中のバイオマーカーのレベルを測定するステップ、及び
(d)前記バイオマーカーのレベルに基づいて前記化合物の投与量及び/または投与スケジュールを調節するステップ
を含み、前記バイオマーカーは、CRBN関連タンパク質(CAP)である、前記方法。
トランスジェニックマウスであって、そのゲノムが、ヒトCRBNまたはその機能性断片をコードする核酸を含む、前記トランスジェニックマウスにおける化合物の効果を評価するための方法であって、前記機能性断片は、天然のヒトCRBNの、E3ユビキチン-リガーゼ複合体を形成する能力を示し、かつ、標的タンパク質のユビキチン化及びその後のプロテアソーム分解を媒介し、前記マウスは、前記ヒトCRBNまたはその機能性断片を発現し、かつ、内因性マウスCRBNを発現せず、前記方法は、
(a)前記化合物を前記トランスジェニックマウスに投与するステップ、
(b)前記トランスジェニックマウスから試料を得るステップ、
(c)前記試料中のバイオマーカーのレベルを測定するステップ、及び
(d)前記バイオマーカーのレベルを前記バイオマーカーのベースレベルと比較するステップ
を含み、前記バイオマーカーは、CRBN関連タンパク質(CAP)であり、かつ、前記化合物の効果は、抗原特異的T細胞殺傷に対する効果である、前記方法。
トランスジェニックマウスであって、そのゲノムが、ヒトセレブロン(CRBN)またはその機能性断片をコードする核酸を含む、前記トランスジェニックマウスにおける化合物の組み合わせの効果を評価するための方法であって、前記機能性断片は、天然のヒトCRBNの、E3ユビキチン-リガーゼ複合体を形成する能力を示し、かつ、標的タンパク質のユビキチン化及びその後のプロテアソーム分解を媒介し、前記マウスは、前記ヒトCRBNまたはその機能性断片を発現し、かつ、内因性マウスCRBNを発現せず、前記方法は、
(a)前記トランスジェニックマウスに第1の化合物及び第2の化合物を投与するステップ、
(b)前記トランスジェニックマウスから試料を得るステップ、
(c)前記試料中のバイオマーカーのレベルを測定するステップ、及び
(d)前記バイオマーカーのレベルを前記バイオマーカーのベースレベルと比較するステップ
を含み、前記バイオマーカーは、CRBN関連タンパク質(CAP)であり、かつ、前記化合物の組み合わせの効果は、抗原特異的T細胞殺傷に対する効果である、前記方法。
前記バイオマーカーが、eRF3a、eRF3b、eRF3c、IKZF1、IKZF3、CK1a、PABP1、eRF1、BIP、eEF1α、PERK、GCN2、eIF2a、ATF4、ATF3、DDIT3、PPP1R15A、TNFRSF10B、GADD45A、TNFRSF1A、TNFRSF1B、FAS、FADD、IRE1、XBP1、SEC24D、DNAJB9、EDEM1、EDEM2、HYOU1、ATF6、HSPA5、カスパーゼ8、BID、カスパーゼ9、カスパーゼ7、カスパーゼ3、PARP、Mcl-1、BAD、CDKN1A、Myc、IRF4、IRF7、IFIT1、IFIT3、RIG-I、MDA-5、TBK1、IKKe、ZFP91、ZNF198、MVP、Parp4、Ron、PDE6D、TLR3、STAT1、STAT2、STAT3、IFNa、IFNb、OAS1、OAS2、OAS3、IFIT2、ISG15、ISG20、IFI21、IFI35、IFI6、IFITM3、IFITM2WIZ、GBP2、GBP4、SELL、SNX20、KLF13、GBP1、MARCKS、SLAMF1、またはSASH15からなる群から選択される、請求項1~11のいずれか記載の方法。