(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022078085
(43)【公開日】2022-05-24
(54)【発明の名称】改良された材料付着法および集束イオン・ビーム・システム
(51)【国際特許分類】
G01N 1/28 20060101AFI20220517BHJP
G01N 1/32 20060101ALI20220517BHJP
H01J 37/317 20060101ALI20220517BHJP
H01J 37/28 20060101ALI20220517BHJP
【FI】
G01N1/28 N
G01N1/28 G
G01N1/32 B
H01J37/317 D
H01J37/317 E
H01J37/28 B
【審査請求】有
【請求項の数】10
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022020992
(22)【出願日】2022-02-15
(62)【分割の表示】P 2016215336の分割
【原出願日】2016-11-02
(31)【優先権主張番号】62/252,308
(32)【優先日】2015-11-06
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(31)【優先権主張番号】15/087,968
(32)【優先日】2016-03-31
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(71)【出願人】
【識別番号】501419107
【氏名又は名称】エフ・イ-・アイ・カンパニー
(74)【代理人】
【識別番号】100103171
【弁理士】
【氏名又は名称】雨貝 正彦
(72)【発明者】
【氏名】ブライアン・ロバーツ・ルース・ジュニア
(72)【発明者】
【氏名】トーマス・ジー・ミラー
(72)【発明者】
【氏名】チャド・ルー
(72)【発明者】
【氏名】ノエル・トーマス・フランコ
(57)【要約】 (修正有)
【課題】観察のために関心のエリアを露出させる荷電粒子ビーム処理のための保護層を形成する改良された方法および装置の提供。
【解決手段】荷電粒子処理する方法および装置は、少なくとも2種類の材料からなる保護層1402を形成することを含む。それらの2種類の材料は一緒に混合することができ、または、試料の材料特性に従って調製および配列された別個の層として付着させることもできる。互層をなす薄い材料層を別々のガス・ケミストリを使用して付着させることによって、保護層材料のエッチング速度が「調整されて」おり、この保護層は、個々の成分のエッチング速度とエッチング速度の間のエッチング速度を有する交互に「パフェ状」のマクロ構造を形成する。
【選択図】
図24
【特許請求の範囲】
【請求項1】
観察のために関心の領域を露出させる基板の荷電粒子ビーム処理の方法であって、
前記基板の表面に少なくとも2種類の前駆体ガスを供給することと、
前記少なくとも2種類の前駆体ガスから前記関心の領域の上方への保護層の付着を誘起するために、前記基板に向かって荷電粒子ビームを導くことであって、前記保護層が、異なるスパッタリング速度を有する少なくとも2種類の材料からなり、前記少なくとも2種類の材料が、前記少なくとも2種類の異なる前駆体ガスの分解によって付着したものであることと、
前記保護層を貫通するようにミリングし、それによって前記保護層の下方の前記関心の領域を露出させるために、前記基板に向かって荷電粒子ビームを導くこと
を含み、前記保護層が、前記少なくとも2種類の材料のそれぞれの層を交互に積み重ねて互層をなす材料層を含み、前記保護層のスパッタリング速度が、前記少なくとも2種類の材料のそれぞれの層のスパッタリング速度の中間の値に設定されている方法。
【請求項2】
観察のために関心の領域を露出させる基板の荷電粒子ビーム処理の方法であって、
前記基板の表面に少なくとも2種類の前駆体ガスを供給することであって、前記基板の表面に第1および第2の前駆体ガスを供給することと、
前記少なくとも2種類の前駆体ガスから前記関心の領域の上方への保護層の付着を誘起するために、前記基板に向かって荷電粒子ビームを導くことであって、前記第1の前駆体ガスからの、第1のスパッタリング速度を有する第1の材料の付着を誘起するために、前記基板に向かって荷電粒子ビームを導くことと、前記第2の前駆体ガスからの、第2のスパッタリング速度を有する第2の材料の付着を誘起するために、前記基板に向かって前記荷電粒子ビームを導くことと、前記第1の材料の層および前記第2の材料の層を有する保護層を形成することとを含み、前記保護層が、異なるスパッタリング速度を有する少なくとも2種類の材料からなり、前記少なくとも2種類の材料が、前記少なくとも2種類の異なる前駆体ガスの分解によって付着したものであることと、
前記保護層を貫通するようにミリングし、それによって前記保護層の下方の前記関心の領域を露出させるために、前記基板に向かって荷電粒子ビームを導くこと
を含み、前記保護層が、前記少なくとも2種類の材料のそれぞれの層を交互に積み重ねた互層をなす材料層を含み、前記保護層のスパッタリング速度が、前記少なくとも2種類の材料のそれぞれの層のスパッタリング速度の中間の値に設定されている方法。
【請求項3】
前記保護層のスパッタリング速度が、前記互層に含まれる複数の層の個々の厚さおよび層数を調整することにより所定の値に設定される、請求項1または2に記載の方法。
【請求項4】
前記保護層のスパッタリング速度が前記基板のスパッタリング速度と一致する請求項1から3のいずれか一項に記載の方法。
【請求項5】
前記保護層を貫通するようにミリングして前記関心の領域が含まれる薄片を作製する際に、前記保護層の硬さを調整することにより、前記荷電粒子ビームのビーム後部による浸食に起因する前記薄片の破損防止、あるいは、断面切削アーチファクトの最小化を図る請求項1から3のいずれか一項に記載の方法。
【請求項6】
前記基板の表面に少なくとも2種類の前駆体ガスを供給することが、前記少なくとも2種類の前駆体ガスを逐次的に供給することを含む、請求項1から5のいずれか一項に記載の方法。
【請求項7】
前記第1の材料が酸化シリコンを含む、請求項2に記載の方法。
【請求項8】
前記第2の材料が、タングステン、炭素または白金を含む、請求項2または7に記載の方法。
【請求項9】
前記保護層を貫通するようにミリングして前記保護層の下方の前記関心の領域を露出させるために、前記基板に向かって荷電粒子ビームを導くことが、走査電子顕微鏡上で観察するために前記基板の一部分の断面を形成することを含む、請求項1から8のいずれか一項に記載の方法。
【請求項10】
基板を分析する集束イオン・ビーム・システムであって、
イオン・ビーム源を含むイオン・ビーム・システムと、
イオン・ビームを基板上に集束させるイオン光学カラムと、
前記基板の表面に前駆体ガスを供給するガス源と、
記憶された命令に従って前記集束イオン・ビーム・システムを制御するプロセッサと、
請求項1から9のいずれか一項に記載の方法を実行するためのコンピュータ命令を記憶したコンピュータ可読記憶装置と
を備える集束イオン・ビーム・システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、荷電粒子ビーム誘起付着に関し、より詳細には、FIBおよびSEMビーム・ケミストリ用の前駆体ガス組成に関する。
【背景技術】
【0002】
先行技術では、通常は集束イオン・ビーム(FIB)機器内で実行されるイオン・ビーム誘起付着(IBID)、および普通は走査電子顕微鏡(SEM)機器内で実行される電子ビーム誘起付着(EBID)によって、試料上に材料を付着させることが知られている。知られている方法によれば、荷電粒子ビーム装置、通常はFIBシステムまたはSEMシステムの排気可能な試験体室に試料を入れる。しばしば前駆体ガスと呼ばれる付着ガスの存在下で、試料の表面に荷電粒子(または他の)ビームを当てる。試料の表面に前駆体ガスの層が吸着する。この層の厚さは、試料表面におけるガス分子の吸着と脱離のバランスによって支配され、このバランスは、例えばガス分圧、基板温度および付着係数に依存する。その結果得られる層の厚さは用途によって変更することができる。
【0003】
材料付着は、用途に応じた異なるさまざまなガス前駆体を用いて実行することができる。例えば、タングステンヘキサカルボニル(W(CO)6)ガスを使用してタングステンを付着させることができ、ナフタレン・ガスを使用して炭素を付着させることができる。TEOS、TMCTSまたはHMCHSガスからなる前駆体ガスを、H2O、O2などの酸化剤と組み合わせて使用して、酸化シリコン(SiOX)を付着させることができる。白金(Pt)を付着させる目的には、(メチルシクロペンタジエニル)トリメチル白金ガスを使用することができる。
【0004】
これらの異なる前駆体から得られる材料付着物は異なる特性を有する。例えば、(メチルシクロペンタジエニル)トリメチル白金前駆体を使用して付着させたIBID Pt材料は、「より軟らかい」傾向を有する。すなわち、このようなより軟らかい材料は、ナフタレンまたはW(CO)6をそれぞれ用いて得られる「より硬い」IBID炭素層またはIBIDタングステン層よりも、後続のイオン・ビーム・スパッタリングの影響を受けやすい。TEOS、TMCTSまたはHMCHSガスからなる前駆体をH2O、O2などの酸化剤と組み合わせて使用して付着させた酸化シリコン層は、「中程度の」硬さを有する傾向を有する。材料の相対的な「硬さ」または「軟らかさ」はビームの入射角に依存する。いくつかの材料対では、「硬い方の」材料が、異なる入射角ではより軟かくなる。他の違いも存在する。例えば、(TEM試料の作製で実行されるものなどの)FIB断面切削の前に、犠牲キャップとして白金膜を使用すると、この膜の軟らかい性質によって、断面切削面はより滑らかになる傾向を有する。対照的に、炭素膜は極めて硬く、「カーテニング」として知られるアーチファクトを切削面に形成する傾向を有する。硬さ特性だけでなく、これらの異なる付着前駆体の成長速度も、さまざまな用途に対する重要な因子である。
【0005】
以下は、さまざまなクラスのガス前駆体の例である。例えば、クラスCエッチング剤には、酸素(O2)、亜酸化窒素(N2O)、水などが含まれる。金属エッチング剤には、ヨウ素(I2)、臭素(Br2)、塩素(Cl2)、二フッ化キセノン(XeF2)、二酸化窒素(NO2)などが含まれる。誘電性エッチング剤には、二フッ化キセノン(XeF2)、三フッ化窒素(NF3)、トリフルオロアセトアミド(TFA)、トリフルオロ酢酸(TFAA)などが含まれる。金属付着前駆体ガスには、(メチルシクロペンタジエニル)トリメチル白金、テトラキス(トリフェニルホスフィン)白金、タングステンヘキサカルボニル(W(CO)6)、六フッ化タングステン(WF6)、モリブデンヘキサカルボニル(Mo(CO)6)、ジメチル(アセチルアセトナート)金(III)、オルトケイ酸テトラエチル(TEOS)、オルトケイ酸テトラエチル(TEOS)+水(H2O)などが含まれる。誘電性付着前駆体には、オルトケイ酸テトラエチル(TEOS)、オルトケイ酸テトラエチル(TEOS)+水(H2O)、ヘキサメチルシクロヘキサシロキサン((HMCHS)+O2)、テトラメチルシクロテトラシロキサン((TMCTS)+O2)などが含まれる。炭素付着前駆体には、ナフタレン、ドデカン(C12H26)などが含まれ、プレーナ遅延剤にはメチルニトロアセタートなどが含まれる。これらは入手可能なガス前駆体の多くの例だが、入手可能なガス前駆体はこの他にも多く存在し、それらのガス前駆体も使用可能である。
【0006】
ビーム誘起付着は、半導体ウェーハなどの試料のターゲット表面に材料を付着させる多種多様な用途で使用されている。それらの材料を付着させる理由はさまざまであり、これには例えば、薄膜表面の形成、電気接続の形成、半導体の特徴部分の特性評価および分析のための保護コーティングの形成、および(バイアなどの)高アスペクト比構造体をミリングするためのキャッピング材料の形成などがある。しかしながら、試料の硬さと付着するキャッピング材料の硬さの間に重大な差があるときには、所望の構造、形状および表面特性を有する試料を作製することが難しいことがある。例えば、ミリングされた構造体の形成においては表面の勾配を制御することが難しいことがある。これは、材料のスパッタリング速度の差によって、それらの材料間の界面において勾配が変化することがあるためである。さらに、特徴部分の特性評価および分析用の試料を作製する断面切削プロセス中に、FIBミリングされた表面にアーチファクトが生じることもある。
【0007】
特徴部分の特性評価および分析用の極めて薄い試料を、FIBシステムを使用して作製する技法は知られている。それらの技法では、ミリング・プロセス中に導入される表面アーチファクトの発生を最小化することが重要である。
【0008】
半導体の幾何学的寸法は縮小し続けているため、製造業者は、製造プロセスを監視し、欠陥を分析し、界面層の形態を調べるのに、ますます透過電子顕微鏡(TEM)に依存するようになっている。透過電子顕微鏡では、数ナノメートル程度のサイズを有する特徴部分を観察することができる。材料の表面だけを画像化する走査電子顕微鏡(SEM)とは対照的に、TEMでは、試料の内部構造をも分析することができる。TEMでは、幅の広いビームを試料に衝突させ、試料を透過した電子を検出して、試料の画像を形成する。走査透過電子顕微鏡(STEM)は、TEMの原理とSEMの原理を組み合わせたものであり、どちらの機器上でも実行することができる。STEM技法では、非常に細く集束させた電子ビームで、試料を、ラスタ・パターンに従って走査する。1次ビーム中の電子の多くが試料を通り抜け、反対側へ出ることができるように、試料は十分に薄くなければならない。
【0009】
透過電子顕微鏡(TEMまたはSTEM)で観察するためには試料が非常に薄くなければならないため、試料の作製は繊細で時間のかかる作業である。本明細書で使用する用語「TEM」はTEMまたはSTEMを指し、TEM用の試料を作製すると言うときには、STEM上で観察するための試料を作製することも含まれると理解される。さらに、本明細書で使用する用語「STEM」はTEMとSTEMの両方を指す。
【0010】
TEMまたはSTEMで観察するための薄い試料を作製する方法はいくつかある。一部の方法は、そこから試料を抜き取る全体材料を破壊することなしに試料を抜き取ることを伴う。別の方法は、試料を抜き取るために材料を破壊することを必要とする。一部の方法は、薄片と呼ばれる薄い試料の抜取りを提供する。薄片は、TEMまたはSTEMで観察する前に薄くする必要があることがある。
【0011】
TEMで観察する薄片試料の厚さは通常100nm未満であるが、いくつかの用途では、試料をこれよりもかなり薄くしなければならない。設計ノードが30nm以下である先進の半導体製造プロセスでは、小規模な構造物間の重なりを防ぐために、試料の厚さを20nm未満にする必要がある。次世代ノードの半導体デバイスの分析などのいくつかの用途は、関心の特定のデバイスを分離するために、15nm以下の厚さを有する薄片を必要とする。薄片を薄くする現行の方法は難しく、堅牢でもない。試料の厚さに変動があると、その結果、試料に、屈曲もしくは湾曲、オーバミリング、または薄片を破壊する可能性がある他の致命的欠陥が生じる。このような薄い試料に関して、試料の作製は、最も小さく最も決定的に重要な構造物の構造特性評価および構造分析の質のかなりの部分を決定する、TEM分析の決定的に重要なステップである。
【0012】
試料上の関心の領域がイオン・ビームにさらされることを防ぎ、それによって屈曲または湾曲を防ぐため、薄くする前に、所望の薄片位置の上に保護層を付着させることが知られている。一般的に使用されている
図1~
図3に示す1つの作製技法では、最初に、
図1に示されているように、試料本体の上面23の関心のエリアの上に、タングステン、炭素、白金などの材料の保護層22を、電子ビーム付着またはイオン・ビーム付着を使用して付着させる。次に、
図2および
図3に示されているように、大きなビーム電流および対応する大きなビーム・サイズを使用する集束イオン・ビームを使用して、関心の領域の前部および後部から大量の材料をミリングにより除去する。ミリングされた2つのエリア24と25の間に残った材料が、関心のエリアを含む薄い垂直試料切片26を形成する。関心のエリアは通常、試料表面から200~300nmの範囲に含まれる。関心の領域の後ろ側にミリングされたエリア25は、前側のエリア24よりも小さく示されている。このより小さなミリングされたエリア25は基本的に時間を節約するためであるが、完成した試料が、より大きなミリングされたエリア24の中へ倒れ込むことを防ぐためでもある。試料が倒れると、試料本体から試料切片26を取り出すことが難しくなる。次いで、集束イオン・ビームを使用して試料切片26を試料本体から切り離し、次いで、これを、例えばマイクロマニピュレータをよく知られた方法で使用して、持ち上げ、取り出すことができる。次いで、通常は、試料切片26をTEMグリッドに移して薄くする。次いで、TEMまたは他の分析ツールを使用して試料切片26を分析することができる。
【0013】
極めて薄いTEM試料(厚さ<30nm)の作製では重大な問題が生じる。例えば、関心のエリアの上の白金の保護層は軟らかすぎて、薄片を薄くする間にしばしば破損し、薄片を薄くするプロセスが完了する前に、イオン・ビームの後部による周辺の侵食によって完全に消耗する。より硬い材料の層は、より軟らかい材料よりも侵食に抵抗することがあるが、薄片の断面切削面に望ましくないアーチファクトを生じさせることもある。
【0014】
図4および
図5は、極めて薄い試料を作製する際の問題の例を示す。
図4に示されているように、薄片試料30の断面は、硬いダイヤモンド基板34上に付着させた軟らかいPtキャップ32を有するように作製されている。必要な厚さまで薄くすることによって薄片30を作製すると、この硬さの不一致の結果、より軟らかいPtキャップ32の方が、より硬いダイヤモンド基板34よりも速く侵食される。基板34が十分に薄くなる前に保護キャップ32は完全に消耗すると思われるため、この組合せは、ユーザが、薄片を所望どおりに薄くすることを妨げるであろう。反対に、
図5に示されているように、薄片試料36の断面は、軟らかい銅基板40上に置かれた硬い炭素キャップ38を有するように作製されている。この例では、アンダーカッティング42が観察されることがある。より軟らかい基板40の方がより硬いキャップ38よりも速く消耗するためである。これによって薄片が早期に破損することがあり、「カーテニング」などの断面切削表面アーチファクトが生じることもある。
【0015】
カーテニングは、試料の表面をさざ波状にしまたはでこぼこにするアーチファクトである。カーテニングはさまざまな理由から生じる。試料が、均質でなく、異なるスパッタリング速度を有する異なる材料からなる場合には、より硬い材料が、断面切削面からわずかに突き出た抵抗性のエリアを形成することがある。それらの突出部は、それらの突出部の下方の領域を隠し、下方へ伝搬する垂直の筋を作る。
図6は、シリコン基板を有する試料44を示し、タングステン保護層がカーテニングを示している。「カーテン」ができるのは、タングステンがシリコン基板よりも硬く、イオン・ビームによるスパッタリングに対してより抵抗性があるためである。これによって、基板の断面切削面からわずかに突き出た特徴部分が生じる。このより硬い張り出したタングステンは基本的に、その直下の基板を隠し、タングステンの垂直な突出部を残す。あるいは、硬いいくつかのキャッピング材料は、たとえキャッピング材料自体が内部的に均質である場合でも、イオン・ビームにさらされたときに、さざ波のようなパターンまたは直線で構成されたパターンを形成する。
図7は、シリコン基板を有する試料46を示し、炭素保護層がカーテニングを示している。断面ミリングが実行されたとき、この炭素層の材料は徐々に、テクスチャが非常に粗い表面を示すようなる。このように、この例では炭素層の構造がカーテニングにつながる。これらのタイプの構造変動または密度変動を有する試料を上から下へ向かって薄くすることによって、垂直な隆起線または変動が、試料の最上部(最上部はイオン・ビーム源に最も近いと定義される)の近くのより高密度の材料(すなわち金属線)から、イオン・ビームの方向に対して平行な方向に走る断面切削面に沿って、下方へ伝搬する。カーテニングは、低いスパッタリング率を有する材料のパターン形成された多数の層がより高いスパッタリング率を有する材料を遮っている半導体材料中で最も頻繁に観察される。カーテニングは、スパッタリング率の変化がミリング入射角とともに変化する異なる構造領域を示す材料中でも観察されることがある。空隙を有する試料もカーテンを誘起する。カーテニング・アーチファクトは、TEM画像化の質を低下させ、最小有効供試体厚さを制限する。
【0016】
別のタイプのアーチファクトは「ゴルフ・ティー(golf tee)」と呼ばれている。例えば、試料上の関心の領域の上のタングステン層または炭素層であり、通常はシリコンなどの材料である。このキャッピング材料とシリコン基板は異なる「硬さ」(イオン・ビームによるスパッタリングに対する抵抗性)を有し、その結果、「ゴルフ・ティー」と呼ばれる最上部から最下部への厚さの変動が生じる。ゴルフ・ティーでは、試料の厚さが最上部でより大きく、それより下ではより薄い寸法になり、そのため、Y断面で観察したときに試料が「ゴルフ・ティー」の輪郭を有する。関心の領域は普通、薄片の上面の近くに含まれるため、より厚いこの寸法が、関心の領域を不明瞭にし、TEMで観察するのに決して望ましくない試料を生じさせることがある。
【0017】
「ゴルフ・ティー」現象の一例が
図8に示されている。
図8は、イオン・ビーム誘起付着(IBID)タングステン保護層52が上面に位置するTEM試料50を示す。この例では、薄くした後、保護層52の直下の試料50の幅が44nmであり、保護層52の下150nmのところではそれが25nmまで狭くなっている。この厚さの変動は、シリコン基板とタングステン保護層との間のエッチング速度の差の結果である。タングステンは、シリコンよりも硬く、シリコンよりも高密度の材料であり、かなり低いエッチング速度を有する。それによって、タングステン保護層52の幅が薄片本体の幅よりも広くなる。関心の領域は通常、関心の領域を不明瞭にしまたは関心の領域をTEMで観察することを妨げる「ゴルフ・ティー」が生じる一般的なエリアに位置する。
【0018】
表面アーチファクトおよび勾配変化のない制御された加工物表面を得るための改良された材料付着法が求められている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0019】
【特許文献1】特開2014-186896号公報
【特許文献2】特開2014-130145号公報
【特許文献3】特表2001-264220号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0020】
本発明の目的は、観察のために関心のエリアを露出させる荷電粒子ビーム処理のための保護層を形成する改良された方法および装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0021】
加工物を荷電粒子ビーム処理して、観察のために関心の領域を露出させるシステムは、加工物の表面に前駆体ガスを供給し、基板に向かって荷電粒子ビームを導いて、前駆体ガスから関心の領域の上で保護層の付着を誘起し、基板に向かって荷電粒子ビームを導いて、保護層を貫通するようにミリングし、それによって保護層の下方の関心の領域を露出させる方法および装置を含む。保護層は、異なるスパッタリング速度を有する少なくとも2種類の異なる材料からなる。
【0022】
以上では、以下の本発明の詳細な説明をより十分に理解できるように、本発明の特徴および技術上の利点をかなりおおまかに概説した。以下では、本発明の追加の特徴および追加の利点を説明する。開示される着想および特定の実施形態を、本発明の同じ目的を達成するために他の構造体を変更しまたは設計するためのベースとして容易に利用することができることを当業者は理解すべきである。さらに、このような等価の構造体は、添付の特許請求の範囲に記載された本発明の範囲を逸脱しないことを当業者は理解すべきである。
【0023】
本特許書類または出願書類は、カラーで作成された少なくとも1つの図面を含む。カラー図面を含む本特許または特許出願公開の複写物は、請求および必要な料金の支払いの後に特許庁によって提供される。次に、本発明および本発明の利点のより完全な理解のため、添付図面とともに読まれる以下の説明を参照する。
【図面の簡単な説明】
【0024】
【
図1】先行技術に基づく外位置試料作製技法の諸ステップを示す図である。
【
図2】先行技術に基づく外位置試料作製技法の諸ステップを示す図である。
【
図3】先行技術に基づく外位置試料作製技法の諸ステップを示す図である。
【
図4】硬いダイヤモンド基板および易消耗性の軟らかい白金最上層を有する先行技術の薄片の概要を示す図である。
【
図5】結果としてアンダーカッティングを生じた、軟らかい銅基板および硬い炭素最上層を有する先行技術の薄片の概要を示す図である。
【
図6】タングステン最上層がカーテニングを示している、先行技術に基づくFIB断面切削面の顕微鏡写真である。
【
図7】炭素最上層がカーテニングを示している、先行技術に基づく薄くされたTEM試料の顕微鏡写真である。
【
図8】「ゴルフ・ティー」アーチファクトを有する、薄くした後の先行技術に基づく薄片の画像を示す図である。
【
図9】多ガス注入システム(MGIS)を備える荷電粒子ビーム・システムを概略的に示す図である。
【
図10】垂直付着成長速度を、Pt前駆体に対する弁デューティ・サイクル(X軸)およびC前駆体に対する弁デューティ・サイクル(Y軸)の関数として示す等値線図である。
【
図11】付着させたC-Pt複合材料のスパッタリング速度を、Pt前駆体に対する弁デューティ・サイクル(X軸)およびC前駆体に対する弁デューティ・サイクル(Y軸)の関数として示す等値線図である。
【
図12】Cを多く含む複合保護層を含む薄片の概要を示す図である。
【
図13】Ptを多く含む複合保護層を含む薄片の概要を示す図である。
【
図14】C-Pt複合保護層を含む薄片の概要を示す図である。
【
図15】バイア構造が形成された、基板に対する複合材料付着の一実施形態を示す図である。
【
図16】バイア構造が形成された、基板に対する複合材料付着の他の実施形態を示す図である。
【
図17】バイア構造が形成された、基板に対する複合材料付着の他の実施形態を示す図である。
【
図18】
図17の複合材料付着の弁デューティ・サイクルを示す図である。
【
図19】バイア構造が形成された、基板に対する複合材料付着の他の実施形態を示す図である。
【
図20】
図19の複合材料付着の弁デューティ・サイクルを示す図である。
【
図21】本発明を実行するタイプのデュアル・ビーム・システムを使用する他の実施形態を示す図である。
【
図22】異なる材料からなる保護層を有する薄片の概要を示す図である。
【
図23】多数の異なる材料からなる保護層を有する薄片の概要を示す図である。
【
図24】交互に異なる材料からなる保護層を有する薄片の概要を示す図である。
【
図25】多数の保護層を有する薄片の好ましい一実施形態の画像である。
【
図26】多数の保護層を有する薄片の好ましい他の実施形態の顕微鏡写真である。
【発明を実施するための形態】
【0025】
本発明の実施形態は、異なる2種類の材料を使用して保護層を形成することにより、荷電粒子ビーム処理のための改良された保護層を提供する。
【0026】
一実施形態によれば、材料付着を実行して、基板材料のスパッタリング速度と実質的に一致したスパッタリング速度を有する保護材料層を提供する。FIBシステムの真空室内で基板に向かって荷電粒子ビームを導いて、前駆体ガス混合物からの材料付着を誘起する。ガス混合物成分の比率を変化させることによって、スパッタリングに対する保護層材料付着物の抵抗性を調節することができる。試料基板の材料に応じて保護層材料の硬さを変化させるため、前駆体の比率を幅広い範囲にわたって変化させることができる可変の流量制御能力および混合能力を有する多ガス注入システムを使用する。
【0027】
他の実施形態によれば、材料付着を実行して、異なるエッチング速度をそれぞれが有する複数の層として付着させた2種類以上の材料組成物を含む保護層を提供する。FIBシステムの真空室内で基板に向かって荷電粒子ビームを導いて、前駆体ガスから関心の領域の上方の試料基板上への第1の保護層の付着を誘起することが好ましい。次いで、試料基板に向かってイオン・ビームを導いて、前駆体ガスから第1の保護層の上への少なくとも1つの第2の保護層の付着を誘起する。第1の保護層が、試料のエッチング速度と厳密に一致したエッチング速度を有し、第2の保護層(および他の一切の層)が、試料のエッチング速度とは異なるエッチング速度を有することが好ましい。例えば、より軟らかい基板に対しては、最初に、より軟らかい保護材料を、基板と直接に接触するように付着させ、次いで、この第1の層の上に、より硬い第2の層を付着させることができる。より硬い層は、イオン・ビームによる侵食に抵抗し、より軟らかい最下層は、断面切削アーチファクトを防ぐ。基板のスパッタリング速度と厳密に一致したスパッタリング速度を有する最下層は、断面切削アーチファクトの危険を低下させる。ダイヤモンド、炭素、炭化シリコンなどのより硬い基板に対しては、最初に、より硬い保護層を、基板と直接に接触するように付着させ、この第1の層の上に、より軟らかい材料層を付着させることができる。
【0028】
他の実施形態では、材料付着を実行して、保護層を形成する、互層をなす複数の材料層を提供する。この保護層では、互層をなす薄い材料層を別々のガス・ケミストリを使用して付着させることによって、保護層材料のエッチング速度が「調整されて」おり、この保護層は、個々の成分のエッチング速度とエッチング速度の間のエッチング速度を有する交互に「パフェ状」のマクロ構造を形成する。個々の成分の厚さおよび層の総数を調節することによって、ユーザは、所望の膜特性を達成するある程度の調整可能性を達成することができる。互層をなす極めて薄い無数の層を限界まで付着させることができ、その結果、付着物は複合混合物に似たものになる。
【0029】
他の実施形態では、ガス前駆体の混合物を使用して材料を付着させるが、付着の進行中にガスの比率を徐々に調節して、複合キャッピング材料を形成する。この複合キャッピング材料は、保護層の最下部が主に1つの成分からなり、保護層の最上部が主に別の成分からなり、中間領域が中間の組成を有するような態様で形成される。このような調節は、保護材料内へミリングが進むにときに、硬から軟(または軟から硬)への緩やかな遷移を提供する。
【0030】
他の実施形態では、TEM薄片の作製で、ビームの後部による侵食に起因する薄片の破損を防ぐように犠牲保護キャップの硬さを調整するために、本明細書に記載された材料付着法を実行することができ、それらの材料付着法は、カーテニングや界面における側壁の勾配変化などの断面切削アーチファクトを最小化することができる。
【0031】
他の実施形態では、欠陥および勾配変化のない切削面を有する一般的な片面FIB断面を複合キャッピング層を使用して形成する用途で、本明細書に記載された材料付着法を実行することができる。
【0032】
他の実施形態では、複合付着膜を使用して、イオン・ビーム・ミリングを用いて形成された(バイアなどの)高アスペクト比構造体のミリング後の外形を制御することができる用途で、本明細書に記載された材料付着法を実行することができる。
【0033】
本発明の好ましい第1の実施形態によれば、FIBカラムとSEMカラムの両方を有するデュアル・ビームFIB/SEMシステム内に、半導体ウェーハなどの基板を装填する。デュアル・ビーム・システムについて論じるが、他のFIBシステムを使用して本発明を実施することもできることを理解すべきである。ウェーハは、手動で移送することができ、または、好ましくは、多ウェーハ・キャリアおよび自動装填ロボット(図示せず)によって移送する。
【0034】
薄片試料を作製する用途では、抜き取って分析する関心の特徴部分を含む試料上の領域の位置(すなわち薄片部位)を決定する。例えば、基板は、半導体ウェーハまたは半導体ウェーハの一部とすることができ、抜き取る試料は、TEMを使用して観察する集積回路の一部を含むことができる。通常は、ウェーハ上もしくはウェーハ片上の基準マークの位置をマシン・ビジョンを使用して突き止めることによって、または、パターンが形成されていないウェーハの縁および位置合せノッチもしくはフラットを使用することによって、粗く基板の位置合せをする。あるいは、画像認識ソフトウェアを使用して薄片部位の位置を自動的に突き止めてもよい。適当な画像認識ソフトウェアは、米マサチューセッツ州NatickのCognex Corporationから入手可能である。同様の特徴部分のサンプル画像を使用することによって、またはCADデータからの幾何学的情報を使用することによって所望の薄片位置を突き止めるように、画像認識ソフトウェアを「学習させる」ことができる。自動化されたFIBまたはSEM計測を使用して、薄片部位を識別し、または薄片部位の識別を支援することもできる。計測は、画像ベースのパターン認識、エッジ・ファインディング、ADR、質量中心計算またはブロブ解析からなることができる。所望ならば、精密で正確な位置検出マークとして、基板表面に基準マークをミリングすることができる。
【0035】
次いで、この薄片部位の上に、試料を保護する複合保護層を付着させる。好ましい第1の実施形態では、2種類以上の前駆体ガスが同時に流れる多ガス注入システムを使用して、IBIDまたはEBID付着を実行することができる。例えば、付着させた材料が2種類の個々の成分の中間の特性を有する付着を実行することができる。例えば、Pt前駆体とC前駆体の混合物を用いて達成されるIBID付着を実行して、Pt前駆体およびC前駆体を個々に用いて得られる特性の中間の特性を有する保護層を得ることができる。前駆体の混合は多くの方法で実行することができる。例えば、個々の化学前駆体を含む2つ以上の容器が単一のガス・ノズル出口を共用し、化学前駆体容器と出口の間に位置するパルス弁によって、個々の成分の相対流量を制御することができる。
【0036】
図9は、本発明の一実施形態を含むビーム・システム100の略図を示す。ビーム・システム100は試料真空室102を含み、試料真空室102は、ビーム110によって処理される加工物106を支持する試料ステージ104を含み、ビーム110は、レーザ、荷電粒子ビーム・カラムなどのビーム生成サブシステムによって生成される。例えば、荷電粒子ビーム・カラム112は、荷電粒子源113、1つまたは複数の集束レンズ114および偏向器116を含み、偏向器116は、指定されたパターンに従って加工物表面をビーム110で走査し、または、他の方法で、指定されたパターンに従って加工物表面でビーム110を導く。高真空ターボ・ポンプ120とバッキング・ポンプ122の組合せなどの排気システムが、処理の間、試料真空室102を、好ましくは10-3ミリバール未満、より好ましくは10-4ミリバール未満、よりいっそう好ましくは約10-5ミリバール以下の真空に維持する。バッキング・ポンプ122は排気出口124に排気する。
【0037】
多ガス注入システム(MGIS)弁132から延びる後退可能な針130によって、加工物表面の局所領域にガスが供給される。MGIS弁132については後により詳細に説明する。付着前駆体ガス、エッチング前駆体ガス、不活性パージ・ガスなどのガスがガス・リザーバ131に蓄えられている。用語「リザーバ」は、任意のガス源を含むように幅広く使用される。一部のリザーバ131は固体材料または液体材料を含むことができ、それらの固体材料または液体材料は例えばるつぼ(crucible)の中で加熱されて所望のガスを放出し、別のリザーバ131は圧縮ガスを含むことができる。リザーバ131はそれぞれ、対応する導管133によってMGIS弁132に接続されており、それぞれのリザーバ131とMGIS弁132の間の流路には調整弁134および停止弁136がある。
図9は、2つのリザーバおよび対応する導管を示しているが、本発明は、いかなる数のリザーバにも限定されない。本発明のいくつかの実施形態は6つ以上のリザーバを使用し、別の実施形態は単一のガス源を使用する。
【0038】
予めセットされたガスの配合が実行されると、MGIS弁132の針130が延ばされ、プロセス・ガスが、弁132から、針130を通って、加工物106の表面の荷電粒子ビーム110が集束する点の近くに流れる。
【0039】
荷電粒子ビーム110および針130の下に加工物を配置するために試料ステージ104が使用される。針130から注入された試料真空室内のガスは最終的に、ターボ・ポンプ120によって試料真空室から排出される。真空ポンプ138は、MGIS弁の内部に残ったガスを、MGIS真空導管140を通して除去する。MGIS真空導管140はMGIS真空弁142を備える。
【0040】
複合保護層用のこの特定の配合は、試料基板の材料に応じた特定の比率で前駆体を混合
することからなる。一方の前駆体が比較的に軟らかい付着材料を生成し、もう一方の前駆体が比較的に硬い付着材料を生成することが好ましい。したがって、ユーザは、付着層の硬さを、それぞれの個々の前駆体の特性間の任意の特性に調整することができる。十分に薄くすることを可能にするため、および界面アーチファクトを防ぐために、これらの前駆体は、保護層材料のスパッタリング速度が基板材料のスパッタリング速度と一致するような比率で混合される。このMGIS送達ハードウェア内の弁のデューティ・サイクルを0%から100%の間で連続的に変化させることができる。したがって、混合された個々の前駆体成分の特性間の中間の特性を有するように、付着材料を調節することができる。これによって、さまざまな基板材料およびさまざまな用途に合わせて付着をカスタマイズすることができる。
【0041】
一例では、炭素-白金(C-Pt)保護層を付着させる。C-Pt前駆体を、基板の材料に応じた特定の比率で混合する。これは、
図10および
図11に示された等値線図に示されているとおりにC-Pt比を調節することによって達成される。
図10には、垂直付着成長速度(nm/秒)を、Pt前駆体に対する弁デューティ・サイクル(X軸)およびC前駆体に対する弁デューティ・サイクル(Y軸)の関数として示す等値線
図150が示されている。最も高い成長速度が円152によって示されており、PtおよびCの標準単一前駆体材料の成長速度がそれぞれ円154および円156によって示されている。
図11には、付着させたC-Pt複合材料のスパッタリング速度を、Pt前駆体に対する弁デューティ・サイクル(X軸)およびC前駆体に対する弁デューティ・サイクル(Y軸)の関数として示す等値線
図160が示されている。PtおよびCの標準単一前駆体材料のスパッタリング速度がそれぞれ円162および円164によって示されている。主にCからなる付着物に少量のPtを加えることにより、例えば円166によって示された条件は、保護キャップ層としてどちらの個々の成分よりも優れた材料を付着させる。この層は、Pt単独よりもずっと硬いが、C単独のカーテニング現象を示さない。可変デューティ・サイクル弁制御またはパルス弁の「オン」時間の百分率、および多ガス噴射システムの混合能力が、このような調節を可能にする。このように、
図11の等値線
図160の左上から右下に移動することによって、所望の「硬さ」を達成することができる。したがって、ユーザは、試料に適合するように、特に試料基板の硬さと一致するように、付着する層の硬さをカスタマイズすることができる。
【0042】
例えば、
図12~
図14に示されているように、さまざまな硬さ特性を有するC-Pt複合材料を基板上に付着させる。例えば、Cを多く含む複合物を達成するように弁デューティ・サイクルを連続的に調節することによって(Cの弁デューティ・サイクル=80%、Ptの弁デューティ・サイクル<2%)、基板200上にC-Pt複合材料を形成することができ、その結果、
図12に示されているように、非常に硬い(しかしC単独の場合ほどには硬くない)保護層202を付着させることができる。
図13に示されているように、Ptを多く含む複合物を達成するように弁デューティ・サイクルを連続的に調節することによって(Cの弁デューティ・サイクル<2%、Ptの弁デューティ・サイクル=80%)、基板206上にC-Pt複合材料を形成することができ、その結果、非常に軟らかい(しかしPt単独ほどには軟らかくない)保護層208を付着させることができる。ダイヤモンドなどの硬い基板試料を使用する場合には、ダイヤモンド基板の硬さと厳密に一致した硬さを有するCを多く含む層を付着させることができる。
図14に示されている一例のように、80%-5%(C対Pt)のMGIS設定を用いて付着させたC-Pt材料の保護層212を有する基板210の方が、純粋なC前駆体または純粋なPt前駆体を用いて得られた層よりも好ましい。80%-5%の比率は、単独で使用された個々のCまたはPtよりも高い材料成長速度を有する。さらに、この比率は、Ptよりも高いスパッタリング抵抗性を有し、Cよりも少ないカーテニング・アーチファクトを有する。
【0043】
さまざまな硬さ特性を有する基板に対して他の付着物を得ることができる。例えば、中間のデューティ・サイクル(例えば炭素と白金の両方に対して40%)を用いた保護層は、両方の成分を個々に用いて得られる特性のほぼ中間の特性を有する。より軟らかい基板特性を有する有機樹脂などの試料に対しては、Ptに富むように付着前駆体を調節することができる。
【0044】
可能なデューティ・サイクルと試料の組合せには、中程度の硬さのシリコン基板と50%-50%(C対Pt)の弁デューティ・サイクルを使用した付着層との組合せ、硬いダイヤモンド基板と80%-1%(C対Pt)の弁デューティ・サイクルを使用した付着層との組合せ、および軟らかい樹脂基板と5%-80%(C対Pt)の弁デューティ・サイクルを使用した付着層との組合せなどがある。同様に、従来のMGISシステムを用いて前駆体を混合することもでき、そのようなシステムでは、それぞれの物質のるつぼ温度を制御することによって、前駆体の比率をおおまかに調節することができる。しかしながら、デューティ・サイクルの多くの組合せが可能であり、これらの例は、付着する材料の硬さを、基板材料の硬さと一致するように連続的に変化させることができることを例示するものである。
【0045】
上述のパルス弁混合手法だけでなく、他の前駆体送達方法を使用することもできる。例えば、質量流量制御弁、ニードル絞り弁を用いて、または、単純に、前駆体の容器の温度を調節してその成分の蒸気圧を調節することによって、個々の前駆体成分の相対流量を調節することもできる。さまざまなサイズのオリフィス(絞り)を使用することによって、またはさまざまな内径を有する管を使用することによって、流量に影響を及ぼすこともできる。最後に、単一の弁を開くと前駆体ガスの混合物が機器の真空室に入るような態様で、多数の前駆体化学物質を同じ容器内で混合することも可能である。多成分前駆体混合物を送達するのに使用する送達手法、および混合物を作るハードウェアまたはシステムに関係なく、前駆体混合物を使用して、付着する材料層の特性を調整することができる。
【0046】
異なるさまざまな用途に対して、前駆体混合物からの付着材料層を使用することができる。TEM薄片の作製では、犠牲保護キャップの硬さを調整することによって、ビームの後部による侵食に起因する薄片の破損を防ぐことができ、カーテニング、ゴルフ・ティー、界面における側壁の勾配変化などの断面切削アーチファクトを最小化することができる。複合材料付着の他の用途は、欠陥および勾配変化のない切削面を有する一般的な片面FIB断面の形成に使用する用途である。
【0047】
複合付着層を使用して、イオン・ビーム・ミリングを用いて形成された(バイアなどの)高アスペクト比構造体のミリング後の外形を制御することもできる。これは、FIBナノファブリケーションおよびFIBマイクロファブリケーションに対して、またはイオンビーム・リソグラフィ技法に対して有用であることがある。
図15に示されたこの用途では、加工物250が、基板254上に付着させた薄い複合付着キャッピング材料252を含む。基板254は、ユーザが、バイア256などの高アスペクト比構造体をその中に形成したいと思っている基板である。この複合付着物用の特定の配合は、その下のターゲット材料よりも「硬く」なるように選択すべきである。初めのうちは、ミリングが進むにつれて、イオン・ビームは、硬い付着層252にだんだんと深く入り込む。このミリングはついに、硬い付着物252とその下の軟らかい基板254の間の界面に到達する。この時点で、その下の基板254がミリングされ始めるが、ミリングされるのは、ミリング速度が最も大きかったイオン・ビームの外形の中心部分だけである。その下の基板254はキャッピング材料252よりも軟らかく、イオン・ビームの外形はほぼガウス分布に従うため、軟らかい材料254は、イオン・ビーム分布の強い中心によって迅速にミリングされるはずであり、一方、強さに劣るイオン・ビームの「後部」は、より硬いキャッピング材料252にまだ侵入していない。
【0048】
したがって、より軟らかいターゲット材料の上により硬いキャッピング膜があるこの配列は、イオン・ミリング・プローブの形状を鋭くする効果を有し、キャップのない基板を用いて達成することが可能であろう寸法よりも細い寸法を有するバイアを得ることが可能である。所望ならば、最終ステップで最上部のキャッピング膜を除去し、「鋭くされた」高アスペクト比ミリングを後に残すことができる。これは例えば、シリコン基板の上に硬い炭素膜を使用することによって達成することができる。この炭素膜は、酸素プラズマ洗浄ステップによって除去することができる。このようにして、比較的に細い寸法および平行な側壁を有する高アスペクト比構造体を形成することができる。
【0049】
他の例では、その下の基板よりも軟らかいキャッピング膜を付着させることによって、(最上部が朝顔形に開いた)面取りされた外形または次第に細くなる外形を有するバイアを形成することができる。
図16に示されたこの例では、その下の基板264よりも軟らかいキャッピング層262およびバイア266が形成された加工物260が示されている。軟らかいキャッピング層262に対するビームの後部の効果によってより大きな側方侵食が生じ、その結果、キャップなしでミリングされたバイアに比べて、バイア構造体の最上部が顕著に広がっている。
【0050】
図17は、FIBミリングされたバイア283がその中に形成された複合層282を有するシリコン基板281を含む加工物試料280の一実施形態を示す。複合層282は、層の最下部から最上部へと変化する「硬さ」を有する。このような複合層は、付着の進行中に個々の前駆体成分のデューティ・サイクルを調節することによって形成することができる。例えば、Ptに富む混合物を用いた付着から始め、付着物が成長するにつれてCに富む混合物へと徐々に移行することによって、軟から硬(最下部から最上部)へと変化するPt-C複合層を付着させることができる。このようなプロセスの弁デューティ・サイクルが、
図18のグラフ286によって示されている。
【0051】
図19は、FIBミリングされたバイア293がその中に形成された複合層292を有するシリコン基板291を含む加工物試料290を用いた逆プロセスを示す。複合層292は、層の最下部から最上部へと変化する「硬さ」を有する。このような複合層は、付着の進行中に個々の前駆体成分のデューティ・サイクルを調節することによって形成することができる。例えば、Cに富む混合物を用いた付着から始め、付着物が成長するにつれてPtに富む混合物に徐々に移行することによって、硬から軟(最下部から最上部)へと変化するPt-C複合層を付着させることができる。このようなプロセスの弁デューティ・サイクルが、
図20のグラフ296によって示されている。
【0052】
複合層の例としてPt-C混合物を論じたが、他の前駆体の組合せによっても、可変の材料特性を有する付着層を形成することができることを理解すべきである。例えば、ナフタレンからなる前駆体および(メチルシクロペンタジエニル)トリメチル白金からなる前駆体を用いて、炭素-白金複合物を得ることができる。前駆体ナフタレンおよび前駆体W(CO)6を使用して炭素-タングステン複合物を得ることができる。(メチルシクロペンタジエニル)トリメチル白金からなる前駆体およびW(CO)6からなる前駆体を使用して、白金-タングステン複合物を得ることができ、ナフタレンからなる前駆体およびTEOSまたはTMCTSまたはHMCHSからなる前駆体を用いて、炭素-SiOX複合物を得ることができる。
【0053】
誘電体付着の「硬さ」を調節することが可能であり、それらの付着は通常、シロキサン・ベースの前駆体および酸化剤を用いて実行することができる。酸化剤の濃度が高いと、完全に飽和したSiO2化学量論組成を有する付着層が得られ、酸化剤の量を減らして付着させた層は完全には飽和せず、X<2の化学量論組成SiOXを有する。このような調整には、シロキサン-酸化剤の以下の組合せのうちの任意の組合せが適している:TEOS(オルトケイ酸テトラエチル)とO2、TMCTS(テトラメチルシクロテトラシロキサン)とN2O、およびHMCHS(ヘキサメチルシクロヘキサシロキサン)と水。しかしながら、上記のシロキサンのうちの任意のシロキサンを、上記の酸化剤のうちの任意の酸化剤とともに使用することができる。
【0054】
潜在的には、以下の1次イオンのうちの任意の1次イオンを発生させるプラズマFIB機器を、前駆体シロキサンとともに使用して、可変の硬さを有する誘電層を付着させることができる:O+、O2
+、O3
+、N+、N2
+、H2O+、H2O2
+、N2O+、NO+、NO2
+。この場合には、これらの1次ビーム種自体が酸化剤である。したがって、付着プロセス中にビーム電流密度、前駆体流量および/またはイオン・ビーム・エネルギーを調節することによって、完全に飽和したSiO2化学量論組成から、より飽和度が低いSiOX(X<2)化学量論組成までの範囲にわたる付着層を形成することができる。
【0055】
上記の例では、材料の「硬さ」またはイオン・ビームによるスパッタリングに対する抵抗性を調整することを論じたが、同じ方法を使用して他の材料特性を調節することもできることを理解すべきである。例えば、誘電膜の抵抗率は、酸化剤の濃度が増大するにつれて増大する。したがって、シロキサン-酸化剤混合物を制御することによって、ユーザは、より大きな導電率を有する膜またはより小さな導電率を有する膜を付着させることができる。前駆体の混合によって調整されうる他の特性は、付着膜の光学的透明度である。さらに、レーザ支援前駆体分解によって、または加熱された表面での熱分解によって、開示された方法を使用した材料付着を達成することができる。
【0056】
本発明の好ましい第2の実施形態によれば、FIBカラムとSEMカラムの両方を有するデュアル・ビームFIB/SEMシステム内に、半導体ウェーハなどの基板を装填する。典型的なデュアル・ビーム・システム構成は、垂直軸を有する電子カラムと、垂直に対して(普通は約52度の傾きで)傾いた軸を有するイオン・カラムとを含む。そのような1つのシステムが、本発明の譲受人である米オレゴン州HillsboroのFEI Companyから市販されているDualBeam(商標)SystemのHeliosファミリーである。
【0057】
図21は、本発明を実施するのに適した典型的なデュアル・ビームFIB/SEMシステム2110を示す。システム2110は、上ネック部2112を有する排気されたエンベロープを含む。上ネック部2112には、液体金属イオン源2114または他のイオン源および集束カラム2116が位置する。マルチカスププラズマ源または他のプラズマ源などの他のタイプのイオン源、および整形ビーム・カラムなどの他の光学カラム、ならびに電子ビーム・システムおよびレーザ・システムを使用することもできる。
【0058】
液体金属イオン源2114を出たイオン・ビーム2118は、イオン・ビーム集束カラム2116内を通り、偏向板2120のところに概略的に示された静電偏向手段間を通り抜けて、下室2126内のステージ2124上に配置された例えば半導体デバイスを含む基板または加工物2122に向かって進む。ステージ2124はさらに、1つまたは複数のTEM試料ホルダを支持することができ、そのため、半導体デバイスから試料を抜き取り、それをTEM試料ホルダへ移動させることができる。ステージ2124は、水平面(X軸およびY軸)内で移動することができ、かつ垂直に(Z軸)移動することができることが好ましい。いくつかのシステムでは、ステージ2124がさらに約60度傾くことができ、Z軸を軸にして回転することができる。システム・コントローラ2119は、FIBシステム2110のさまざまな部分の動作を制御する。従来のユーザ・インタフェース(図示せず)にコマンドを入力することにより、ユーザは、システム・コントローラ2119を介して、イオン・ビーム2118で所望の通りに走査することができる。あるいは、システム・コントローラ2119は、RAM、ROM、磁気ディスク、光学ディスクなどのコンピュータ可読記憶装置に記憶されたプログラムされた命令に従って、FIBシステム2110を制御することができる。この記憶装置は、上述の方法を自動的にまたは半自動的に実行するための命令を記憶することができる。SEMからの画像をソフトウェアによって認識して、処理を継続すべきとき、処理を停止すべきとき、およびミリングのためにビームを配置する位置を決定することができる。
【0059】
例えば、ユーザが、ポインティング・デバイスを使用して表示画面上で関心の領域の輪郭を描き、次いで、システムが、後述するステップを自動的に実行して、試料を抜き取ることができる。関心の領域を自動的に識別するため、いくつかの実施形態では、FIBシステム2110が、米マサチューセッツ州NatickのCognex Corporationから市販されているソフトウェアなどの画像認識ソフトウェアを含む。システムは、次いで、本発明に従って試料を手動でまたは自動的に抜き取ることができる。例えば、システムは、多数のデバイスを含む半導体ウェーハ上で類似した特徴部分の位置を自動的に突き止め、異なる(または同じ)デバイス上でそれらの特徴部分の試料を採取することができる。
【0060】
上ネック部2112を排気するためにイオン・ポンプ2128が使用される。下室2126は、真空コントローラ2132の制御の下、ターボ分子および機械ポンピング・システム2130によって排気される。この真空システムは、下室2126に、約1×10-7トル(1.3×10-7ミリバール)から5×10-4トル(6.7×10-4ミリバール)の間の真空を提供する。付着前駆体ガスに関しては、またはエッチング支援ガスもしくはエッチング遅延ガスを使用する場合には、室のバックグラウンド圧力は典型的には約1×10-5トル(1.3×10-5ミリバール)まで上昇することがある。
【0061】
液体金属イオン源2114と、約1keVから60keVのイオン・ビーム2118を形成しそれを試料に向かって導くイオン・ビーム集束カラム2116内の適当な電極とに高電圧電源2134が接続されている。パターン発生器2138によって提供される所定のパターンに従って動作する偏向コントローラおよび増幅器2136が偏向板2120に結合されており、それによって、パターン発生器2138によって提供されたイオン・ビーム2118が偏向板2120に結合され、それによって、対応するパターンを加工物2122の上面に描くようにイオン・ビーム2118を手動または自動で制御することができる。いくつかのシステムでは、当技術分野ではよく知られているように、偏向板が、最後のレンズの前に置かれる。イオン・ビーム集束カラム2116内のビーム・ブランキング電極(図示せず)は、ブランキング・コントローラ(図示せず)がブランキング電極にブランキング電圧を印加したときに、イオン・ビーム2118を、ターゲット2122ではなくブランキング絞り(図示せず)に衝突させる。
【0062】
液体金属イオン源2114は通常、ガリウムの金属イオン・ビームを提供する。イオン・ミリング、強化されたエッチングもしくは材料付着によって加工物2122を改変するため、または加工物2122を画像化するために、この源を通常、加工物2122の位置における幅が1/10マイクロメートル未満のビームに集束させることができる。所望ならば、ビデオ回路2142に接続された荷電粒子検出器2140を使用して、2次イオンまたは電子の放出を検出することができる。ビデオ回路2142は、ビデオ・モニタ2144に駆動信号を供給し、コントローラ2119から偏向信号を受け取る。
【0063】
下室2126内における荷電粒子検出器2140の位置は実施形態によって変更することができる。例えば、荷電粒子検出器2140はイオン・ビームと同軸とすることができ、イオン・ビームが通り抜けることを可能にする穴を含むことができる。他の実施形態では、最終レンズを通過し、次いで軸から逸れた2次粒子を集めることができる。任意選択で、FIBシステム2110に、走査電子顕微鏡(SEM)2141およびその電源および制御装置2145が提供される。
【0064】
ガス蒸気を導入し加工物2122に向かって導くためにガス送達システム2146が下室2126内へ延びている。本発明の譲受人に譲渡されたCasella他の「Gas Delivery Systems for Particle Beam Processing」という名称の米国特許第5,851,413号明細書は適当なガス送達システム2146を記載している。別のガス送達システムが、やはり本発明の譲受人に譲渡されたRasmussenの「Gas Injection System」という名称の米国特許第5,435,850号明細書に記載されている。例えば、エッチングを強化するためにヨウ素を送達すること、または金属を付着させるために金属有機化合物を送達することができる。
【0065】
本発明の譲受人である米オレゴン州HillsboroのFEIのEasyLiftマイクロマニピュレータなどのマイクロマニピュレータ2147は、真空室内の物体を精確に移動させることができる。真空室内に配置された部分2149のX、Y、Zおよびθ制御を提供するため、マイクロマニピュレータ2147は、真空室の外側に配置された精密電動機2148を備えることができる。小さな物体を操作するため、マイクロマニピュレータ2147に別のエンド・エフェクタを取り付けることができる。後述する実施形態では、このエンド・エフェクタが細いプローブ2150である。この薄いプローブ2150をシステム・コントローラ2119に電気的に接続してプローブ2150に電荷を与え、それによって試料とプローブの間の引力を制御することができる。
【0066】
X-Yステージ2124上に加工物2122を挿入するため、および内部ガス供給リザーバが使用される場合にはリザーバの整備作業のために、扉2160が開かれる。X-Yステージ2124は加熱または冷却することができる。システムが真空状態にある場合に開かないように、この扉はインタロックされている。いくつかの実施形態では、大気圧ウェーハ・ハンドリング・システムが利用される。イオン・ビーム2118にエネルギーを与え集束させるため、高電圧電源が、イオン・ビーム集束カラム2116内の電極に適当な加速電圧を印加する。イオン・ビーム2118が加工物2122に当たると、材料がスパッタリングされる。すなわち試料から材料が物理的に追い出される。あるいは、イオン・ビーム2118が前駆体ガスを分解して、材料を付着させることもできる。集束イオン・ビーム・システムは例えば、本発明の譲受人である米オレゴン州HillsboroのFEI Companyから市販されている。適当なハードウェアの一例を上に示したが、本発明は、特定のタイプのハードウェアで実現されることだけに限定されない。
【0067】
この実施形態では、2つ以上の異なる層からなる保護キャッピング材料を形成することにより、材料付着を実行することができる。ユーザは、最初に「より軟らかい」材料を、その下の基板と直接に接触するように付着させることを選択することができ、次いで、この第1の層の上に「より硬い」第2の層を付着させることができる。より硬い最上層は、イオン・ビームによる侵食に抵抗し、より軟らかい最下層は、断面切削アーチファクトを防ぐ。具体的には、その下の材料のスパッタリング速度と一致するように最下層を選択することができる場合、断面切削アーチファクトの危険を最小化することができる。別のケースでは順序を逆にすることができる。すなわち、最初により硬い材料を付着させ、続いてより軟らかい材料を付着させることができる。ダイヤモンド、炭素、炭化シリコンなどの硬い材料をFIBミリングするときには、この配列の方が好ましいことがある。
【0068】
例えば、
図22に示されているように、薄片基板1200は保護材料層を有し、この保護材料層は、基板1200の上面の近くの、一般に関心の領域が位置する基板1200の上部領域に対する損傷を防ぐために、最初に、基板1200の上面に、好ましくは電子ビーム誘起付着(EBID)を使用して付着させた最下層1202を有する。代替法は、低エネルギー(<8keV)IBIDを使用する方法であり、この方法も、上面に対する損傷を非常に小さくする。プロセスによってはEBIDよりもむしろ低エネルギーFIB付着が使用される。この最初の最下層材料1202は、特に視射角の作動状態から10-45度外した5kV未満のFIBで、基板1200の材料のエッチング速度とできるだけ一致するように選択される。シリコン(Si)ベースの試料に対しては、この最下層1202が、TEOS(IDEP)、TEOS+H
2O(IDEP2)、TEOS+O
2、HMCHS、HMCHS+O
2(IDEP3)、HMCHS/H
2OおよびHMCHS/N
2O、TMCTS、TMCTS+O
2、および/またはTMCTS/H
2O、TMCTS/N
2Oなどの一種の酸化シリコン材料であることが好ましい。次いで、イオン・ビーム誘起付着(IBID)を使用して最下層1202の上に最上層材料1204を付着させる。薄片を薄くするプロセス中の保護を提供するため、および試料の外面にアーチファクトが形成されることを防ぐために、最上層材料1204は、基板1200の材料よりも低いエッチング速度を有するように選択される。
【0069】
所望ならば、2つ以上の最上層を付着させることができる。この1つまたは複数の最上層はタングステン、炭素または白金であることが好ましい。一例として、炭素は、低kVのFIBミリングに対する優れた抵抗性を有し、このことは保護に寄与するが、その一方で、薄片を反らせる可能性がある重大な内部応力を有する。したがって純粋な炭素層は望ましくない。しかしながら、
図23に示されているように、基板1300は、
図22に関して論じた層1202と同様の最下材料層1302を含む保護層を有する。厚いタングステン層1306(例えば400nm程度)の上の薄い炭素層1304(例えば30kV処理後の100nmのC層)は、タングステン単独よりも低kV FIB照射に耐え、タングステンは、薄片に剛性を与えると考えられる。薄片側壁に対するFIBビームの角度である35度のかすめ角範囲では、シリコン基板のエッチング速度がタングステンに比べて劇的に増大し、その結果、通常は、薄片の最上部を試料表面から数百nm下の領域よりもずっと厚くするゴルフ・ティー現象が生じる。シリコンおよびタングステンの角度依存スパッタリング速度の定性的な一覧を下表に示す。
【0070】
下表1および2は、5kVガリウム・イオンによるスパッタリング率および体積収率を示す。
図27Aおよび
図27Bには、表1および2のデータをグラフ化したものが示されている。
【0071】
【0072】
【表2】
多層付着手法の他の実施形態では、多数の層を交互構成で付着させることができる。異なる付着材料の多数の層を積み重ねると、それらの2つの個々の成分の中間の特性を平均として有する層が得られる。個々の成分の厚さおよび層の総数を調節することによって、ユーザは、層の所望の特性を達成するある程度の調整可能性を達成することができる。この所望の膜特性は通常、個々の成分の中間の特性である。例えば、特定の用途に対して白金が軟らかすぎ、炭素が硬すぎる場合には、個々のいずれかの成分の均質な層よりも、白金付着と炭素付着を交互に繰り返した多層付着の方が好ましいことがある。
【0073】
図24は、このような材料付着の一実施形態を示し、この実施形態では、基板1400が、互層をなす材料層1404、1406を含む保護層1402を含み、保護層材料1402のエッチング速度は、互層をなす薄い材料層1404、1406を、別々のガス・ケミストリを使用して付着させることによって「調整されて」おり、保護層1402は、個々の成分のエッチング速度の間のエッチング速度を有する交互に「パフェ状」のマクロ構造を形成する。
【0074】
図25は、犠牲保護層1502を有する基板1500の画像を示し、犠牲保護層1502は、基板1500の最上部と保護層1502の間の線引きを目視観察するためのタングステン層1504、SEMによって付着させた酸化シリコンの犠牲層1506、およびタングステンの最上層1508を含む別々の層からなる。見て分かるとおり、薄くした後、犠牲保護層1502内では「ゴルフ・ティー」現象が生じたが、基板1500内では生じなかった。
【0075】
図26は、EBID TEOS層、IBIDタングステン層およびIBID炭素層を含むシリコン薄片を示す。
【0076】
図12~
図16の実施形態では、基板試料と同様のエッチング速度を有する犠牲保護層が、ゴルフ・ティーを、上方の保護層内へ移動させ、観察および分析の対象である関心の領域を含む基板の最上部から遠ざける。
【0077】
図28に示されているように、本発明は材料付着法を提供する。この方法では、1600で、選択したビーム・システム内に試料を装填する。1602で材料付着のために少なくとも2種類の前駆体ガスを供給する。判断ブロック1604で、材料を異なる層として付着させるのかまたは複合層として付着させるのかを決定する。異なる層を付着させる場合には1606に進み、1608で試料上に第1の層を付着させ、1610で続いて別の層を付着させる。1612で2つの層だけを付着させる場合には、1616で終了すると判断し、1618でプロセスを終える。3つ以上の層を付着させる場合には、1614で終了しないと判断し、プロセスはブロック1608に戻り、1616で終了し、1618でプロセスを終えると決定されるまで、プロセスを続ける。複合層を付着させる場合には1620に進み、1622で決められたレシピに従って少なくとも2種類の前駆体ガスを混合し、1624で試料上に複合層を付着させ、1626でプロセスを終了させる。
【0078】
いくつかの実施形態は、観察のために関心の領域を露出させるために、加工物を荷電粒子ビーム処理する方法であって、
加工物の表面に少なくとも2種類の前駆体ガスを供給することと、
前記少なくとも2種類の前駆体ガスから関心の領域の上方への保護層の付着を誘起するために、基板に向かって荷電粒子ビームを導くこととを含み、保護層が、異なるスパッタリング速度を有する少なくとも2種類の材料からなり、少なくとも2種類の材料が、少なくとも2種類の異なる前駆体ガスの分解によって付着したものであり、この方法がさらに、
保護層を貫通するようにミリングして保護層の下方の関心の領域を露出させるために、基板に向かって荷電粒子ビームを導くこと
を含む方法を提供する。
【0079】
いくつかの実施形態では、加工物の表面に少なくとも2種類の前駆体ガスを供給することが、この少なくとも2種類の前駆体ガスを同時に供給することを含む。
【0080】
いくつかの実施形態では、加工物の表面に少なくとも2種類の前駆体ガスを供給することが、この少なくとも2種類の前駆体ガスを逐次的に供給することを含む。
【0081】
いくつかの実施形態では、少なくとも2種類の前駆体ガスからの保護層の付着を誘起するために、加工物の表面にこの少なくとも2種類の前駆体ガスを供給すること、ならびに基板に向かって荷電粒子ビームを導くことが、
加工物の表面に第1の前駆体ガスを供給すること、
第1の前駆体ガスからの、第1のスパッタリング速度を有する第1の材料の付着を誘起するために、基板に向かって荷電粒子ビームを導くこと、
加工物の表面に第2の前駆体ガスを供給すること、
第2の前駆体ガスからの、第2の前駆体ガスからの第2のスパッタリング速度を有する第2の材料の付着を誘起するために、基板に向かって荷電粒子ビームを導くこと、ならびに
それによって、第1の材料の層および第2の材料の層を有する保護層を形成すること
を含む。
【0082】
いくつかの実施形態では、第1の材料が酸化シリコンを含む。
【0083】
いくつかの実施形態では、第2の材料が、タングステン、炭素または白金を含む。
【0084】
いくつかの実施形態では、保護層が、互層をなす材料層を含む。
【0085】
いくつかの実施形態では、第1の材料のスパッタリング速度が加工物のスパッタリング速度と一致し、第2の材料のスパッタリング速度が第1の材料のスパッタリング速度よりも低い。
【0086】
いくつかの実施形態では、加工物の表面に少なくとも2種類の前駆体ガスを供給することが、多数のガス種の混合物を供給することを含む。
【0087】
いくつかの実施形態では、前記多数のガス種の混合物が、白金前駆体と炭素前駆体の混合物を含む。
【0088】
いくつかの実施形態では、前記多数のガス種の混合物が、白金前駆体と酸化シリコン前駆体の混合物を含む。
【0089】
いくつかの実施形態では、前記多数のガス種の混合物中の前記多数のガス種の相対量が保護層の付着中に変化し、それによって、異なる深さにおいて異なる組成を有する保護層を提供する。
【0090】
いくつかの実施形態では、加工物の表面における保護層の一部が、保護層の最上部よりも軟らかい。
【0091】
いくつかの実施形態では、保護層を貫通するようにミリングして保護層の下方の関心の領域を露出させるために、基板に向かって荷電粒子ビームを導くことが、200nm未満の厚さを有する薄片を形成することを含む。
【0092】
いくつかの実施形態では、保護層を貫通するようにミリングして保護層の下方の関心の領域を露出させるために、基板に向かって荷電粒子ビームを導くことが、走査電子顕微鏡上で観察するための加工物の一部分の断面を形成することを含む。
【0093】
いくつかの実施形態は、加工物を分析する集束イオン・ビーム・システムであって、
イオン・ビーム源を含むイオン・ビーム・システムと、
イオン・ビームを基板上に集束させるイオン光学カラムと、
加工物の表面に前駆体ガスを供給するガス源と、
記憶された命令に従って集束イオン・ビーム・システムを制御するプロセッサと、
上に記載した方法を実行するためのコンピュータ命令を記憶したコンピュータ可読記憶装置と
を備える集束イオン・ビーム・システムを提供する。
【0094】
以上の説明は主に保護層の付着を対象としているが、この方法は、堅牢で繰返し可能であり、したがって自動化に適しており、この方法の操作を実行する装置も本発明の範囲に含まれることを認識すべきである。本発明の材料付着法を、デュアル・ビーム・システムを用いて実行されるものとして説明したが、本明細書に記載された材料付着法は、独立型SEMシステムまたは任意のイオン極性の独立型FIBシステムによって実行することができることを理解すべきである。大部分のビーム付着は完全には純粋ではなく、スパッタリング硬さの理論モデルからの逸脱の原因となりうる、前駆体断片、炭化水素の取込み、ボイドおよび密度変動などの「不純物」を含むことがあることも理解すべきである。さらに、コンピュータ・ハードウェアもしくはソフトウェアによって、またはハードウェアとソフトウェアの組合せによって、本発明の実施形態を実現することができることも認識すべきである。本発明の方法は、標準プログラミング技法を使用し、本明細書に記載された方法および図に基づいて、コンピュータ・プログラムとして実現することができ、このコンピュータ・プログラムは、コンピュータ・プログラムを含むように構成されたコンピュータ可読の記憶媒体を含み、そのように構成された記憶媒体は、コンピュータを、予め決められた特定の方式で動作させる。コンピュータ・システムと通信するため、それぞれのプログラムは、高水準手続き型プログラミング言語またはオブジェクト指向プログラミング言語で実現することができる。しかしながら、所望ならば、それらのプログラムを、アセンブラ言語または機械語で実現することもできる。いずれにせよ、その言語は、コンパイルまたは解釈される言語とすることができる。さらに、そのプログラムは、そのプログラムを実行するようにプログラムされた専用集積回路上で実行することができる。
【0095】
本発明の好ましい方法または装置は多くの新規の態様を有する。本発明は、異なる目的のための異なる方法または装置として実施することができるため、全ての実施形態に全ての態様が存在する必要はない。さらに、記載された実施形態の態様の多くは別個に特許を受けることができる。本発明は幅広い適用可能性を有し、上記の例において説明し示した多くの利点を提供することができる。本発明の実施形態は、具体的な用途によって大きく異なり、全ての実施形態が、これらの全ての利点を提供するわけではなく、本発明によって達成可能な全ての目的を達成するわけではない。
【0096】
コンピュータ・ハードウェア、ハードウェアとソフトウェアの組合せ、またはコンピュータ可読の非一時的記憶装置に記憶されたコンピュータ命令によって、本発明の実施形態を実現することができることを認識すべきである。本発明の方法は、標準プログラミング技法を使用し、本明細書に記載された方法および図に基づいて、コンピュータ・プログラムとして実現することができ、このコンピュータ・プログラムは、コンピュータ・プログラムを含むように構成されたコンピュータ可読の非一時的記憶媒体を含み、そのように構成された記憶媒体は、コンピュータを、予め決められた特定の方式で動作させる。コンピュータ・システムと通信するため、それぞれのプログラムは、高水準手続き型プログラミング言語またはオブジェクト指向プログラミング言語で実現することができる。しかしながら、所望ならば、それらのプログラムを、アセンブラ言語または機械語で実現することもできる。いずれにせよ、その言語は、コンパイルまたは解釈される言語とすることができる。さらに、そのプログラムは、そのプログラムを実行するようにプログラムされた専用集積回路上で実行することができる。
【0097】
さらに、方法論は、限定はされないが、荷電粒子ツールもしくは他の画像化デバイスとは別個の、荷電粒子ツールもしくは他の画像化デバイスと一体の、または荷電粒子ツールもしくは他の画像化デバイスと通信するパーソナル・コンピュータ、ミニコンピュータ、メインフレーム、ワークステーション、ネットワーク化されたコンピューティング環境または分散コンピューティング環境、コンピュータ・プラットホームなどを含む、任意のタイプのコンピューティング・プラットホームで実現することができる。本発明の諸態様は、取外し可能であるか、またはコンピューティング・プラットホームと一体であるかを問わない、ハードディスク、光学式読取りおよび/または書込み記憶媒体、RAM、ROMなどの非一時的記憶媒体または記憶デバイス上に記憶された機械可読コードであって、プログラム可能なコンピュータが、本明細書に記載された手順を実行するために、その記憶媒体または記憶デバイスを読んだときに、そのコンピュータを構成し、動作させるために、そのコンピュータが読むことができるように記憶された機械可読コードとして実現することができる。さらに、機械可読コードまたは機械可読コードの一部を、有線または無線ネットワークを介して伝送することができる。本明細書に記載された発明は、マイクロプロセッサまたは他のデータ処理装置と連携して上述の諸ステップを実現する命令またはプログラムを含む、これらのさまざまなタイプの非一時的コンピュータ可読記憶媒体、およびその他のさまざまなタイプの非一時的コンピュータ可読記憶媒体を含む。本発明はさらに、本明細書に記載された方法および技法に従ってプログラムされたコンピュータを含む。
【0098】
特記しない限り、本出願では、用語「加工物」、「試料」、「基板」および「試験体」が相互に交換可能に使用されている。さらに、本明細書において用語「自動」、「自動化された」または同種の用語が使用されるときには常に、それらの用語が、自動プロセスもしくは自動ステップ、または自動化されたプロセスもしくは自動化されたステップの手動開始を含むことが理解される。
【0099】
以下の議論および特許請求の範囲では、用語「含む」および「備える」が、オープン・エンド型の用語として使用されており、したがって、これらの用語は、「...を含むが、それらだけに限定はされない」ことを意味すると解釈すべきである。ある用語が本明細書で特に定義されていない場合、その用語は、その通常の一般的な意味で使用されることが意図されている。添付図面は、本発明の理解を助けることが意図されており、特記しない限り、一定の比率では描かれていない。本発明を実施するのに適した粒子ビーム・システムは例えば、本出願の譲受人であるFEI Companyから市販されている。
【0100】
本発明および本発明の利点を詳細に説明したが、添付の特許請求の範囲によって定義された本発明の範囲から逸脱することなく、本明細書に記載された実施形態に、さまざまな変更、置換および改変を加えることができることを理解すべきである。さらに、本出願の範囲が、本明細書に記載されたプロセス、機械、製造、組成物、手段、方法およびステップの特定の実施形態に限定されることは意図されていない。当業者なら本発明の開示から容易に理解するように、本明細書に記載された対応する実施形態と実質的に同じ機能を実行し、または実質的に同じ結果を達成する既存のまたは今後開発されるプロセス、機械、製造、組成物、手段、方法またはステップを、本発明に従って利用することができる。したがって、添付の特許請求の範囲は、その範囲内に、このようなプロセス、機械、製造、組成物、手段、方法またはステップを含むことが意図されている。
【符号の説明】
【0101】
1200 薄片基板
1202 最下層
1204 最上層材料
2110 デュアル・ビームFIB/SEMシステム
2114 液体金属イオン源
2116 集束カラム
2118 イオン・ビーム
2119 システム・コントローラ
2122 加工物
2124 ステージ