(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022078149
(43)【公開日】2022-05-24
(54)【発明の名称】チオフェノン化合物及び香料組成物
(51)【国際特許分類】
C11B 9/00 20060101AFI20220517BHJP
A23L 27/12 20160101ALI20220517BHJP
A23L 2/00 20060101ALI20220517BHJP
C07D 333/32 20060101ALI20220517BHJP
A23L 2/52 20060101ALN20220517BHJP
A23L 2/56 20060101ALN20220517BHJP
C12C 5/02 20060101ALN20220517BHJP
C12G 3/06 20060101ALN20220517BHJP
A23F 3/16 20060101ALN20220517BHJP
【FI】
C11B9/00 W
A23L27/12
A23L2/00 B
C07D333/32 CSP
A23L2/52 101
A23L2/56
C12C5/02
C12G3/06
A23F3/16
【審査請求】未請求
【請求項の数】6
【出願形態】OL
【公開請求】
(21)【出願番号】P 2022028010
(22)【出願日】2022-02-25
(71)【出願人】
【識別番号】000169466
【氏名又は名称】高砂香料工業株式会社
(72)【発明者】
【氏名】木嶋 恭子
(72)【発明者】
【氏名】瓦谷 明宏
(72)【発明者】
【氏名】千葉 真吾
(72)【発明者】
【氏名】稲葉 昭彦
(57)【要約】
【課題】調合香料原料などとして有用な新規なチオフェノン化合物、およびそれを含有する香料組成物の提供。
【解決手段】4-(4-メチル-3-ペンテニル)-2(5H)-チオフェノン。
【選択図】 なし
【特許請求の範囲】
【請求項1】
4-(4-メチル-3-ペンテニル)-2(5H)-チオフェノン。
【請求項2】
4-(4-メチル-3-ペンテニル)-2(5H)-チオフェノンを含有する香料組成物。
【請求項3】
香料組成物が飲食品香料組成物である請求項2に記載の香料組成物。
【請求項4】
飲食品が飲料類である請求項3に記載の香料組成物。
【請求項5】
飲料類が柑橘系飲料である請求項4に記載の香料組成物。
【請求項6】
4-(4-メチル-3-ペンテニル)-2(5H)-チオフェノンを含有する消費財。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、調合香料原料などとして有用な4-(4-メチル-3-ペンテニル)-2(5H)-チオフェノン、及びそれを含有する香料組成物に関する。
【背景技術】
【0002】
チオフェノン化合物の中には、香料として有用なものがあることが知られている。例えば、2-メチルテトラヒドロチオフェン-3-オンはブラックベリーチオフェンとして知られており、テトラヒドロチオフェン-3-オンは飲料や肉製品に使用されるフレーバーとして知られている。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
本発明の目的は、調合香料原料などとして有用な新規なチオフェノン化合物、およびそれを含有する香料組成物を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0004】
本発明者等は、上記課題を解決するために検討した結果、グレープフルーツオイル中に構造不明の香気貢献化合物を見出し、種々のスペクトルデータから、4-(4-メチル-3-ペンテニル)-2(5H)-チオフェノンと同定された。当該化合物は特徴的なシトラス様オイリー、フローラルな香気を有し、飲食品等へ添加することで本物らしい果汁感、瑞々しさ、甘さ、フレッシュさが付与されることを確認した。
【0005】
本発明は以下の内容を含むものである。
[1]4-(4-メチル-3-ペンテニル)-2(5H)-チオフェノン。
[2]前記[1]に記載の4-(4-メチル-3-ペンテニル)-2(5H)-チオフェノンを含有する香料組成物。
[3]香料組成物が飲食品香料組成物である前記[2]に記載の香料組成物。
[4]飲食品が飲料類である前記[3]に記載の香料組成物。
[5]飲料類が柑橘系飲料である前記[4]に記載の香料組成物。
[6] 4-(4-メチル-3-ペンテニル)-2(5H)-チオフェノンを含有する消費財。
【発明の効果】
【0006】
本発明により、調合香料原料などとして有用な香気を持つチオフェノン化合物、及びそれを含有する香料組成物及び消費財が提供できる。
【発明を実施するための形態】
【0007】
以下に本発明を詳細に説明する。
<グレープフルーツオイルからの取得>
グレープフルーツオイルは、グレープフルーツ果実を圧搾して得られた果汁の加熱濃縮、または果実を溶剤抽出することなどで得ることができる。また、市販品の使用も可能である。抽出溶剤としては例えば、メタノール、エタノール、プロパノール等のアルコール類;塩化メチレン、クロロホルム等のハロゲン化炭化水素類;ペンタン、ヘキサン、ベンゼン、トルエン等の炭化水素類;ジエチルエーテル、テトラヒドロフラン(THF)等のエーテル類;酢酸メチル、酢酸エチル等のエステル類;アセトニトリル、N,N-ジメチルホルムアミド(DMF)、アセトン、ジメチルスルホキシド(DMSO)、水等が挙げられる。また、これらの溶剤を混合した混合溶剤を使用してもよい。さらに、抽出時に、攪拌、浸漬等の物理的手法およびpH調整等の化学的手法を用いてもよい。
抽出後、抽出液を蒸留し、得られた画分をフラッシュ精製装置、シリカゲルカラムクロマトグラフィー等の各種クロマトグラフィー、及びHPLC分取などにより分画し、ターゲットとする香りのある画分及び本発明の化合物を取り出すことができる。
【0008】
<化学合成による製造>
4-(4-メチル-3-ペンテニル)-2(5H)-チオフェノンはComprehensive Heterocyclic Chemistry,Volume4,p741-861(1984年発行 Alan R. Katritzky and Charles W.Rees編集 Elsevier Science社)に記載の方法に従って合成できる。
4-(4-メチル-3-ペンテニル)-2(5H)-チオフェンをリチオ誘導体とし、ホウ酸エステルと反応させ、続いて過酸化水素で酸化を行うことにより目的物が得られる。
【0009】
本発明の4-(4-メチル-3-ペンテニル)-2(5H)-チオフェノンは、優れた香気を有しており、単独でまたは他の成分と組み合わせて、香料化合物として、飲食品、口腔用組成物、たばこ製品、香粧品、トイレタリー製品等の消費財に配合することができる。
【0010】
本発明に係る化合物を配合できる飲食品としては、例えば、炭酸飲料、清涼飲料、果汁飲料類、乳飲料類、乳酸菌飲料類、ドリンク剤類、豆乳、茶飲料などの飲料類;チューハイ、カクテルドリンク、発泡酒、果実酒、薬味酒などのアルコール飲料類;アイスクリーム、アイスミルク、ラクトアイス、氷菓、ヨーグルト、プリン、ゼリー、デイリーデザートなどのデザート類;キャラメル、キャンディー、錠菓、クラッカー、ビスケット、クッキー、パイ、チョコレート、スナック、チューインガムなどの菓子類;和風スープ、洋風スープなどのスープ類;ジャム類;風味調味料類;各種インスタント飲料類;各種インスタント食品類などを挙げることができる。本発明に係る化合物の飲食品における含有量は、飲食品の全重量に対して、好ましくは0.01~1000ppb、より好ましくは0.1~100ppbとすることができる。
【0011】
本発明に係る化合物を配合できる口腔用組成物としては、例えば、歯磨き剤、口腔洗浄料、マウスウオッシュ、トローチ等があげられる。本発明に係る化合物の口腔用組成物における含有量は、口腔用組成物の全重量に対して、好ましくは0.1~10000ppb、より好ましくは1~1000ppbとすることができる。
本発明に係る化合物を配合できるたばこ製品としては、例えば、紙巻きたばこ、電子たばこ等があげられる。本発明に係る化合物のたばこ製品における含有量は、たばこ製品の全重量に対して、好ましくは0.1~10000ppb、より好ましくは1~1000ppbとすることができる。
【0012】
本発明に係る化合物を配合できる香粧品としては、例えば、香水、オードパルファム、オードトワレ、オーデコロン等のフレグランス製品;乳液、化粧水、美容液、パック、クリーム等のスキンケア製品;ヘアスプレー、ヘアーワックス、ポマード、ヘアクリーム、セットローション等のスタイリング剤;ファンデーション、粉おしろい、口紅、リップクリーム、アイシャドウ等の化粧品;衣類用洗剤、漂白剤、芳香剤、制汗剤、ボディースプレー、等が挙げられる。本発明に係る化合物の香粧品における含有量は、香粧品の全重量に対して、好ましくは0.001~10000ppb、より好ましくは 0.01~1000ppbとすることができる。
【0013】
本発明に係る化合物を配合できるトイレタリー品としては、例えば、シャンプー、コンディショナー、育毛剤、洗顔クリーム、ボディーソープ、石鹸、入浴剤等があげられる。本発明に係る化合物のトイレタリー品における含有量は、トイレタリー品の全重量に対して、好ましくは0.001~10000ppb、より好ましくは0.01~1000ppbとすることができる。
【0014】
本発明に係る化合物は、他の香料成分と共に香料組成物とすることができる。本発明に係る化合物と共に含有し得る他の香料成分としては、例えばエステル類、アルコール類、アルデヒド類、ケトン類、ラクトン類等の各種の合成香料や、精油、オレオレジン、エキストラクト等の天然由来の香料をあげることができる。
【0015】
また、例えば、「合成香料 増補新版」(2016年2月13日発行 合成香料編集委員会 化学工業日報社)、「Perfume and Flavor Chemicals (Aroma Chemicals)1,2」(Steffen Arctender(1969))などに記載の香料成分を使用することができる。香料組成物中の本発明に係る化合物の含有量は、香料組成物の種類や目的に応じて適宜決定すればよく、特に限定されないが、通常香料組成物全体の0.00001~1重量%、好ましくは0.0001~0.1重量%とするとよい。
【0016】
本発明の香料組成物には、上記香料成分に加えて、通常使用される保留剤や溶剤を配合することもできる。保留剤としては、例えば、グリセリン、グリセリド、アルキレングリコール、アルキルシトレート、ベンジルベンゾエート等が挙げられる。溶剤としては、例えば、エタノール等のアルコール、水、プロピレングリコール、グリセリン、トリアセチン、中鎖脂肪酸トリグリセライド等があげられる。
【0017】
本発明の香料組成物は、飲食品、口腔用組成物、たばこ製品、香粧品、トイレタリー製品等の消費財に配合することができ、消費財としては、例えば上記に記載したものが挙げられる。本発明に係る香料組成物の、飲食品における含有量は0.01~5重量%が好ましく、口腔用組成物における含有量は0.1~3重量%が好ましく、たばこ製品における含有量は0.0001~50重量%が好ましく、香粧品における含有量は0.1~25重量%が好ましく、トイレタリー製品における含有量は0.1~25重量%が好ましい。
【実施例0018】
以下、実施例を用いて本発明をより具体的に説明するが、本発明はこれらにより何ら限定されるものではない。
[機器]
実施例の実施および得られた化合物の物性の測定には次の機器を用いた。
フラッシュ精製装置:Isolera(商標登録)spektra(バイオタージ社製)
高性能液体クロマトグラフ
ポンプ:LC-20A(島津製作所社製)
検出器:SPD-M20A(島津製作所社製)
ガスクロマトグラフ質量分析計:GCMS-QP2010(島津製作所社製)
におい嗅ぎガスクロマトグラフ:HP-6890(Agilent technologies:アジレント・テクノロジー社製)
NMR測定装置:AVANCEIII 500(ブルカーバイオスピン社製)
ガスクロマトグラフ‐オービトラップ型質量分析計:TRACE1310(GC)+ Exactive GC(質量分析計)(サーモフィッシャーサイエンティフィック社製)
【0019】
(実施例1)4-(4-メチル-3-ペンテニル)-2(5H)-チオフェノンの同定
1kgのグレープフルーツエッセンスオイルを、フラッシュ精製装置を用い、シリカゲルカラムクロマトグラフィー(ユニバーサルカラム(山善社))と溶出溶剤(ヘキサンおよび酢酸エチル)を用いて分画し、それぞれの画分をにおい嗅ぎガスクロマトグラフィーで解析しターゲットとする香りのある画分154gを得た。 この画分をさらにODSカラム(ユニバーサルカラム(山善社))と溶出溶剤(水およびアセトニトリル)を用いて分画し、それぞれの画分をにおい嗅ぎガスクロマトグラフィーで解析しターゲットとする香りのある画分34gを得た。この画分を高性能液体クロマトグラフィーを用い、シリカゲルカラム(Inertsil(登録商標)SIL-150A(ジーエルサイエンス社製))と溶出溶媒(ヘキサンおよび酢酸エチル)を用いて分画し、それぞれの画分をにおい嗅ぎガスクロマトグラフィーで解析しターゲットとする香りのある画分6.8gを得た。この画分を高性能液体クロマトグラフィーを用い、ODSカラム(Inertsil(登録商標)ODS-3(ジーエルサイエンス社製))と溶出溶媒(水およびアセトニトリル)を用いて分画し、それぞれの画分をにおい嗅ぎガスクロマトグラフィーで解析しターゲットとする香りのある画分23mgを取り出した。このようにして得られた画分からGC-MS測定によりマススペクトルを得た。マススペクトルから得られた組成情報および開裂パターンから、ターゲット成分が4-(4-メチル-3-ペンテニル)-2(5H)-チオフェノンであると推定された。
【0020】
4-(4-メチル-3-ペンテニル)-2(5H)-チオフェノンはComprehensive Heterocyclic Chemistry,Volume4, p741-861(1984年発行 Alan R. Katritzky and Charles W.Rees編集 Elsevier Science社)に記載の方法に従って合成した。
4-(4-メチル-3-ペンテニル)-2(5H)-チオフェンをリチオ誘導体とし、ホウ酸エステルと反応させ、続いて過酸化水素水で酸化を行うことにより合成した。反応後の試料をフラッシュカラムクロマトグラフィー(シリカゲル)にて精製することで、4-(4-メチル-3-ペンテニル)-2(5H)-チオフェノンを得た。
【0021】
【0022】
上述の反応によって合成された標品を用いて、ターゲット成分が4-(4-メチル-3-ペンテニル)-2(5H)-チオフェノンであると同定した。
<4-(4-メチル-3-ペンテニル)-2(5H)-チオフェンの物理的データ>
1H NMR(500MHz, CDCl3) δ:
1.62(s,3H),1.70(s,3H),2.30(q,J=7.4Hz,2H),2.50(t,J=7.4Hz,2H),3.97(s,2H),5.08(t,J=7.0Hz,1H)6.11(s,1H)
13C NMR(125MHz,CDCl3)δ:
199.94,171.65,133.75,128.52,122.08,39.87,33.27,26.39,25.65,17.77
HRMS(EI+):calcd C10H14S([M]+)182.07560;found,182.0759
【0023】
(実施例2)オレンジ香料組成物の製造
実施例1で製造した4-(4-メチル-3-ペンテニル)-2(5H)-チオフェノンを用いて、下記処方に従って、オレンジ香料組成物(1)を調製した。比較として、下記処方に従いオレンジ香料組成物(2)を調製した。
【0024】
【0025】
上記処方で調製したオレンジ食品用香料組成物(1)および(2)をそれぞれ水に0.1%添加し、11名の専門パネラーによる官能試験を行ったところ、香料組成物(1)の方が、香料組成物(2)よりも、本物らしい果汁感、瑞々しさ、フレッシュさが付与され、格段に優れていると全員が指摘した。
【0026】
(実施例3)オレンジ香料組成物の製造
実施例2と同様に、下記処方に従って、オレンジ香料組成物(3)を調製した。比較として、下記処方に従いオレンジ香料組成物(4)を調製した。
【0027】
【0028】
上記処方で調製したオレンジ香料組成物(3)および(4)をそれぞれ水に0.1%添加し、11名の専門パネラーによる官能試験を行ったところ、香料組成物(3)の方が、香料組成物(4)よりも、本物らしい果汁感、瑞々しさ、フレッシュさが付与され、格段に優れていると全員が指摘した。
【0029】
(実施例4)レモン香料組成物の製造
実施例2と同様に、下記処方に従って、レモン香料組成物(5)を調製した。比較として、下記処方に従いレモン香料組成物(6)を調製した。
【0030】
【0031】
上記処方で調製したレモン香料組成物(5)および(6)をそれぞれ水に0.1%添加し、11名の専門パネラーによる官能試験を行ったところ、香料組成物(5)の方が、香料組成物(6)よりも、フレッシュさ、瑞々しい甘い香りが付与され、格段に優れていると全員が指摘した。
【0032】
(実施例5)レモン香料組成物の製造
実施例2と同様に、下記処方に従って、レモン香料組成物(7)を調製した。比較として、下記処方に従いレモン香料組成物(8)を調製した。
【0033】
【0034】
上記処方で調製したレモン香料組成物(7)および(8)をそれぞれ水に0.1%添加し、11名の専門パネラーによる官能試験を行ったところ、香料組成物(7)の方が、香料組成物(8)よりも、フレッシュさ、瑞々しい甘い香りが付与され、格段に優れていると全員が指摘した。
【0035】
(実施例6)グレープフルーツ香料組成物の製造
実施例2と同様に、下記処方に従って、グレープフルーツ香料組成物(9)を調製した。比較として、下記処方に従いグレープフルーツ香料組成物(10)を調製した。
【0036】
【0037】
上記処方で調製したグレープフルーツ香料組成物(9)および(10)をそれぞれ水に0.1%添加し、11名の専門パネラーによる官能試験を行ったところ、香料組成物(9)の方が、香料組成物(10)よりも、本物らしい果汁感、さのう感が強化され厚みが増し、格段に優れていると全員が指摘した。
【0038】
(実施例7)グレープフルーツ香料組成物の製造
実施例2と同様に、下記処方に従って、グレープフルーツ香料組成物(11)を調製した。比較として、下記処方に従いグレープフルーツ香料組成物(12)を調製した。
【0039】
【0040】
上記処方で調製したグレープフルーツ香料組成物(11)および(12)をそれぞれ水に0.1%添加し、11名の専門パネラーによる官能試験を行ったところ、香料組成物(11)の方が、香料組成物(12)よりも、本物らしい果汁感、さのう感が強化され厚みが増し、格段に優れていると全員が指摘した。
【0041】
(実施例8)ライム香料組成物の製造
実施例2と同様に、下記処方に従って、ライム香料組成物(13)を調製した。比較として、下記処方に従いライム香料組成物(14)を調製した。
【0042】
【0043】
上記処方で調製したライム香料組成物(13)および(14)をそれぞれ水に0.1%添加し、11名の専門パネラーによる官能試験を行ったところ、香料組成物(13)の方が、香料組成物(14)よりも、瑞々しい甘い香りが付与され、格段に優れていると全員が指摘した。
【0044】
(実施例9)ライム香料組成物の製造
実施例2と同様に、下記処方に従って、ライム香料組成物(15)を調製した。比較として、下記処方に従いライム香料組成物(16)を調製した。
【0045】
【0046】
上記処方で調製したライム香料組成物(15)および(16)をそれぞれ水に0.1%添加し、11名の専門パネラーによる官能試験を行ったところ、香料組成物(15)の方が、香料組成物(16)よりも、瑞々しい甘い香りが付与され、格段に優れていると全員が指摘した。
【0047】
(実施例10)ユズ香料組成物の製造
実施例2と同様に、下記処方に従って、ユズ香料組成物(17)を調製した。比較として、下記処方に従いユズ香料組成物(18)を調製した。
【0048】
【0049】
上記処方で調製したユズ香料組成物(17)および(18)をそれぞれ水に0.1%添加し、11名の専門パネラーによる官能試験を行ったところ、香料組成物(17)の方が、香料組成物(18)よりも、瑞々しい甘い香りが付与され、格段に優れていると全員が指摘した。
【0050】
(実施例11)ユズ香料組成物の製造
実施例2と同様に、下記処方に従って、ユズ香料組成物(19)を調製した。比較として、下記処方に従いユズ香料組成物(20)を調製した。
【0051】
上記処方で調製したユズ香料組成物(19)および(20)をそれぞれ水に0.1%添加し、11名の専門パネラーによる官能試験を行ったところ、香料組成物(19)の方が、香料組成物(20)よりも、瑞々しい甘い香りが付与され、格段に優れていると全員が指摘した。
【0052】
(実施例12)サイダー香料組成物の製造
実施例2と同様に、下記処方に従って、サイダー香料組成物(21)を調製した。比較として、下記処方に従いサイダー香料組成物(22)を調製した。
【0053】
【0054】
上記処方で調製したサイダー香料組成物(21)および(22)をそれぞれ水に0.1%添加し、11名の専門パネラーによる官能試験を行ったところ、香料組成物(21)の方が、香料組成物(22)よりも、シトラス様の瑞々しい甘さ、炭酸感が付与され、格段に優れていると全員が指摘した。
(実施例13)アップル香料組成物の製造
実施例2と同様に、下記処方に従って、アップル香料組成物(23)を調製した。比較として、下記処方に従いアップル香料組成物(24)を調製した。
【0055】
【0056】
上記処方で調製したアップル香料組成物(23)および(24)をそれぞれ水に0.1%添加し、11名の専門パネラーによる官能試験を行ったところ、香料組成物(23)の方が、香料組成物(24)よりも、自然な果汁感が付与され、格段に優れていると全員が指摘した。
【0057】
(実施例14)グレープ香料組成物の製造
実施例2と同様に、下記処方に従って、グレープ香料組成物(25)を調製した。比較として、下記処方に従いグレープ香料組成物(26)を調製した。
【0058】
【0059】
上記処方で調製したグレープ香料組成物(25)および(26)をそれぞれ水に0.1%添加し、11名の専門パネラーによる官能試験を行ったところ、香料組成物(25)の方が、香料組成物(26)よりも、自然な果汁感が付与され、格段に優れていると全員が指摘した。
【0060】
(実施例15)ピーチ香料組成物の製造
実施例2と同様に、下記処方に従って、ピーチ香料組成物(27)を調製した。比較として、下記処方に従いピーチ香料組成物(28)を調製した。
【0061】
【0062】
上記処方で調製したピーチ香料組成物(27)および(28)をそれぞれ水に0.1%添加し、11名の専門パネラーによる官能試験を行ったところ、香料組成物(27)の方が、香料組成物(28)よりも、自然な果汁感が付与され、格段に優れていると全員が指摘した。
【0063】
(実施例16)パイナップル香料組成物の製造
実施例2と同様に、下記処方に従って、パイナップル香料組成物(29)を調製した。比較として、下記処方に従いパイナップル香料組成物(30)を調製した。
【0064】
【0065】
上記処方で調製したパイナップル香料組成物(29)および(30)をそれぞれ水に0.1%添加し、11名の専門パネラーによる官能試験を行ったところ、香料組成物(29)の方が、香料組成物(30)よりも、自然な果汁感が付与され、格段に優れていると全員が指摘した。
【0066】
(実施例17)バナナ香料組成物の製造
実施例2と同様に、下記処方に従って、バナナ香料組成物(31)を調製した。比較として、下記処方に従いバナナ香料組成物(32)を調製した。
【0067】
【0068】
上記処方で調製したバナナ香料組成物(31)および(32)をそれぞれ水に0.1%添加し、11名の専門パネラーによる官能試験を行ったところ、香料組成物(31)の方が、香料組成物(32)よりも、自然な果汁感が付与され、格段に優れていると全員が指摘した。
【0069】
(実施例18)ストロベリー香料組成物の製造
実施例2と同様に、下記処方に従って、ストロベリー香料組成物(33)を調製した。比較として、下記処方に従いストロベリー香料組成物(34)を調製した。
【0070】
【0071】
上記処方で調製したストロベリー香料組成物(33)および(34)をそれぞれ水に0.1%添加し、11名の専門パネラーによる官能試験を行ったところ、香料組成物(33)の方が、香料組成物(34)よりも、自然な果汁感が付与され、格段に優れていると全員が指摘した。
【0072】
(実施例19)ラズベリー香料組成物の製造
実施例2と同様に、下記処方に従って、ラズベリー香料組成物(35)を調製した。比較として、下記処方に従いラズベリー香料組成物(36)を調製した。
【0073】
【0074】
上記処方で調製したラズベリー香料組成物(35)および(36)をそれぞれ水に0.1%添加し、11名の専門パネラーによる官能試験を行ったところ、香料組成物(35)の方が、香料組成物(36)よりも、自然な果汁感が付与され、格段に優れていると全員が指摘した。
【0075】
(実施例20)ブルーベリー香料組成物の製造
実施例2と同様に、下記処方に従って、ブルーベリー香料組成物(37)を調製した。比較として、下記処方に従いブルーベリー香料組成物(38)を調製した。
【0076】
【0077】
上記処方で調製したブルーベリー香料組成物(37)および(38)をそれぞれ水に0.1%添加し、11名の専門パネラーによる官能試験を行ったところ、香料組成物(37)の方が、香料組成物(38)よりも、自然な果汁感が付与され、格段に優れていると全員が指摘した。
【0078】
(実施例21)スパークリングワイン香料組成物の製造
実施例2と同様に、下記処方に従って、スパークリングワイン香料組成物(39)を調製した。比較として、下記処方に従いスパークリングワイン香料組成物(40)を調製した。
【0079】
【0080】
上記処方で調製したスパークリングワイン香料組成物(39)および(40)をそれぞれ水に0.1%添加し、11名の専門パネラーによる官能試験を行ったところ、香料組成物(39)の方が、香料組成物(40)よりも、発泡感を伴う軽やかなアルコール感が付与され、格段に優れていると全員が指摘した。
【0081】
(実施例22)ビール香料組成物の製造
実施例2と同様に、下記処方に従って、ビール香料組成物(41)を調製した。比較として、下記処方に従いビール香料組成物(42)を調製した。
【0082】
【0083】
上記処方で調製したビール香料組成物(41)および(42)をそれぞれ水に0.1%添加し、11名の専門パネラーによる官能試験を行ったところ、香料組成物(41)の方が、香料組成物(42)よりも、発泡感を伴う軽やかなアルコール感が付与され、格段に優れていると全員が指摘した。
【0084】
(実施例23)グリーンティー香料組成物の製造
実施例2と同様に、下記処方に従って、グリーンティー香料組成物(43)を調製した。比較として、下記処方に従いグリーンティー香料組成物(44)を調製した。
【0085】
【0086】
上記処方で調製したグリーンティー香料組成物(43)および(44)をそれぞれ水に0.1%添加し、11名の専門パネラーによる官能試験を行ったところ、香料組成物(43)の方が、香料組成物(44)よりも、広がりのある自然な甘い香りが付与され、格段に優れていると全員が指摘した。
【0087】
(実施例24)ブラックティー香料組成物の製造
実施例2と同様に、下記処方に従って、ブラックティー香料組成物(45)を調製した。比較として、下記処方に従いブラックティー香料組成物(46)を調製した。
【0088】
【0089】
上記処方で調製したブラックティー香料組成物(45)および(46)をそれぞれ水に0.1%添加し、11名の専門パネラーによる官能試験を行ったところ、香料組成物(45)の方が、香料組成物(46)よりも、広がりのある自然な甘い香りが付与され、格段に優れていると全員が指摘した。
【0090】
(実施例25)市販オレンジ果汁飲料への添加
市販オレンジ果汁飲料に4-(4-メチル-3-ペンテニル)-2(5H)-チオフェノンを0.01ppm添加し、11名の専門パネラーによる官能試験を行ったところ、4-(4-メチル-3-ペンテニル)-2(5H)-チオフェノンを添加することにより、本物らしい果汁感、瑞々しさ、フレッシュさが付与され、格段に優れていると全員が指摘した。
【0091】
(実施例26)市販レモン果汁飲料への添加
市販レモン果汁飲料に4-(4-メチル-3-ペンテニル)-2(5H)-チオフェノンを0.01ppm添加し、11名の専門パネラーによる官能試験を行ったところ、4-(4-メチル-3-ペンテニル)-2(5H)-チオフェノンを添加することにより、本物らしい果汁感、瑞々しさ、フレッシュさが付与され、格段に優れていると全員が指摘した。
【0092】
(実施例27)市販グレープフルーツ果汁飲料への添加
市販グレープフルーツ果汁飲料に4-(4-メチル-3-ペンテニル)-2(5H)-チオフェノンを0.01ppm添加し、11名の専門パネラーによる官能試験を行ったところ、4-(4-メチル-3-ペンテニル)-2(5H)-チオフェノンを添加することにより、本物らしい果汁感、さのう感が強化され厚みが増し、格段に優れていると全員が指摘した。
【0093】
(実施例28)市販ライム果汁飲料への添加
市販ライム果汁飲料に4-(4-メチル-3-ペンテニル)-2(5H)-チオフェノンを0.01ppm添加し、11名の専門パネラーによる官能試験を行ったところ、4-(4-メチル-3-ペンテニル)-2(5H)-チオフェノンを添加することにより、瑞々しい甘い香りが付与され、格段に優れていると全員が指摘した。
【0094】
(実施例29)市販ユズ果汁飲料への添加
市販ユズ果汁飲料に4-(4-メチル-3-ペンテニル)-2(5H)-チオフェノンを0.01ppm添加し、11名の専門パネラーによる官能試験を行ったところ、4-(4-メチル-3-ペンテニル)-2(5H)-チオフェノンを添加することにより、瑞々しい甘い香りが付与され、格段に優れていると全員が指摘した。
【0095】
(実施例30)市販サイダー飲料への添加
市販サイダー飲料に4-(4-メチル-3-ペンテニル)-2(5H)-チオフェノンを0.1ppm添加し、11名の専門パネラーによる官能試験を行ったところ、4-(4-メチル-3-ペンテニル)-2(5H)-チオフェノンを添加することにより、シトラス様の瑞々しい甘さ、炭酸感が付与され、格段に優れていると全員が指摘した。
【0096】
(実施例31)市販アップル果汁飲料への添加
市販アップル果汁飲料に4-(4-メチル-3-ペンテニル)-2(5H)-チオフェノンを0.1ppm添加し、11名の専門パネラーによる官能試験を行ったところ、4-(4-メチル-3-ペンテニル)-2(5H)-チオフェノンを添加することにより、自然な果汁感が付与され、格段に優れていると全員が指摘した。
【0097】
(実施例32)市販グレープ果汁飲料への添加
市販グレープ果汁飲料に4-(4-メチル-3-ペンテニル)-2(5H)-チオフェノンを0.1ppm添加し、11名の専門パネラーによる官能試験を行ったところ、4-(4-メチル-3-ペンテニル)-2(5H)-チオフェノンを添加することにより、自然な果汁感が付与され、格段に優れていると全員が指摘した。
【0098】
(実施例33)市販ピーチ果汁飲料への添加
市販ピーチ果汁飲料に4-(4-メチル-3-ペンテニル)-2(5H)-チオフェノンを0.1ppm添加し、11名の専門パネラーによる官能試験を行ったところ、4-(4-メチル-3-ペンテニル)-2(5H)-チオフェノンを添加することにより、自然な果汁感が付与され、格段に優れていると全員が指摘した。
【0099】
(実施例34)市販スパークリングワインテイスト飲料への添加
市販スパークリングワインテイスト飲料に4-(4-メチル-3-ペンテニル)-2(5H)-チオフェノンを0.01ppm添加し、11名の専門パネラーによる官能試験を行ったところ、4-(4-メチル-3-ペンテニル)-2(5H)-チオフェノンを添加することにより、発泡感を伴う軽やかなアルコール感が付与され、格段に優れていると全員が指摘した。
【0100】
(実施例35)市販ビールテイスト飲料への添加
市販ビールテイスト飲料に4-(4-メチル-3-ペンテニル)-2(5H)-チオフェノンを0.01ppm添加し、11名の専門パネラーによる官能試験を行ったところ、4-(4-メチル-3-ペンテニル)-2(5H)-チオフェノンを添加することにより、発泡感を伴う軽やかなアルコール感が付与され、格段に優れていると全員が指摘した。
【0101】
(実施例36)市販緑茶飲料への添加
市販緑茶飲料に4-(4-メチル-3-ペンテニル)-2(5H)-チオフェノンを0.01ppm添加し、11名の専門パネラーによる官能試験を行ったところ、4-(4-メチル-3-ペンテニル)-2(5H)-チオフェノンを添加することにより、広がりのある自然な甘い香りが付与され、格段に優れていると全員が指摘した。
【0102】
(実施例37)市販紅茶飲料への添加
市販紅茶飲料に4-(4-メチル-3-ペンテニル)-2(5H)-チオフェノンを0.01ppm添加し、11名の専門パネラーによる官能試験を行ったところ、4-(4-メチル-3-ペンテニル)-2(5H)-チオフェノンを添加することにより、広がりのある自然な甘い香りが付与され、格段に優れていると全員が指摘した。
【0103】
(実施例38)歯磨き粉賦香評価
実施例2と同様に、下記処方に従って、歯磨き粉向けグレープフルーツ様香料組成物(47)を調製した。比較として、下記処方に従い歯磨き粉向けグレープフルーツ様香料組成物(48)を調製した。
【0104】
【0105】
また、歯磨き粉基材の処方は以下の通りである。
【0106】
【0107】
上記処方で調製した香料組成物および歯磨き用基材を用い、下記歯磨き粉(49)、(50)を調整し、官能評価を行った。
(49)歯磨き粉基材990g + 香料組成物(47) 10g
(50)歯磨き粉基材990g + 香料組成物(48) 10g
これらについて11名の専門パネラーによる官能試験を行ったところ、香料組成物(47)を使用した歯磨き粉(49)の方が、香料組成物(48)を使用した歯磨き粉(50)よりも、本物らしい果汁感、瑞々しさ、フレッシュさが付与され、格段に優れていると全員が指摘した。
【0108】
(実施例39)高甘味度甘味料(レバウディオサイドA)水溶液への添加
0.028質量%レバウディオサイドA水溶液に4-(4-メチル-3-ペンテニル)-2(5H)-チオフェノンを0.0001ppm添加し、11名の専門パネラーによる官能試験を行ったところ、4-(4-メチル-3-ペンテニル)-2(5H)-チオフェノンを添加することにより、不快な風味が弱まり、格段に優れていると全員が指摘した。
【0109】
(実施例40)高甘味度甘味料(アスパルテーム)水溶液への添加
0.4質量%アスパルテーム水溶液に4-(4-メチル-3-ペンテニル)-2(5H)-チオフェノンを0.0001ppm添加し、11名の専門パネラーによる官能試験を行ったところ、4-(4-メチル-3-ペンテニル)-2(5H)-チオフェノンを添加することにより、不快な風味が弱まり、格段に優れていると全員が指摘した。
【0110】
(実施例41)高甘味度甘味料(スクラロース)水溶液への添加
0.13質量%スクラロース水溶液に4-(4-メチル-3-ペンテニル)-2(5H)-チオフェノンを0.0001ppm添加し、11名の専門パネラーによる官能試験を行ったところ、4-(4-メチル-3-ペンテニル)-2(5H)-チオフェノンを添加することにより、不快な風味が弱まり、甘味の膨らみが付与され、格段に優れていると全員が指摘した。
【0111】
(実施例42)高甘味度甘味料(アセスルファムK)水溶液への添加
0.04質量%アセスルファムK水溶液に4-(4-メチル-3-ペンテニル)-2(5H)-チオフェノンを0.0001ppm添加し、11名の専門パネラーによる官能試験を行ったところ、4-(4-メチル-3-ペンテニル)-2(5H)-チオフェノンを添加することにより、不快な風味が弱まり、甘味の膨らみが付与され、格段に優れていると全員が指摘した。