(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022078158
(43)【公開日】2022-05-24
(54)【発明の名称】安全運転管理システム、睡眠不足判定装置、睡眠データ測定装置、ユーザ識別情報入力装置、制御方法及びプログラム
(51)【国際特許分類】
G08G 1/16 20060101AFI20220517BHJP
A61B 5/18 20060101ALI20220517BHJP
【FI】
G08G1/16 F
A61B5/18
【審査請求】有
【請求項の数】4
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022029913
(22)【出願日】2022-02-28
(62)【分割の表示】P 2020204553の分割
【原出願日】2014-12-26
(71)【出願人】
【識別番号】000133179
【氏名又は名称】株式会社タニタ
(74)【代理人】
【識別番号】100115808
【弁理士】
【氏名又は名称】加藤 真司
(74)【代理人】
【識別番号】100169199
【弁理士】
【氏名又は名称】石本 貴幸
(72)【発明者】
【氏名】望月 計
(57)【要約】
【課題】 ユーザが車両を運転する前に、睡眠不足を判定することができる測定装置を提供する。
【解決手段】 睡眠データ測定装置と、睡眠不足判定装置と、ユーザ識別情報入力装置とを有する安全運転管理システムであって、前記睡眠不足判定装置は、運転者の睡眠が充分である場合の睡眠データと、前記運転者の車両の運転開始のため搭乗した時から過去の一定時間内に測定した前記睡眠データと同一のデータを含む一定時間内取得データとを比較し、前記睡眠データと前記一定時間内取得データとの差が所定の差以上である場合に、前記運転者が睡眠不足であると判定する睡眠不足判定部、を備える。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
睡眠データ測定装置と、睡眠不足判定装置と、ユーザ識別情報入力装置とを有する安全運転管理システムであって、
前記睡眠不足判定装置は、
運転者の睡眠が充分である場合の睡眠データと、前記運転者の車両の運転開始のため搭乗した時から過去の一定時間内に測定した前記睡眠データと同一のデータを含む一定時間内取得データとを比較し、前記睡眠データと前記一定時間内取得データとの差が所定の差以上である場合に、前記運転者が睡眠不足であると判定する睡眠不足判定部、
を備える、安全運転管理システム。
【請求項2】
前記睡眠データ測定装置は、
前記運転者の睡眠データを取得する際に、身体の測定情報に基づいて前記運転者を識別する睡眠時ユーザ識別情報取得部、
を備え、
前記ユーザ識別情報入力装置は、
前記運転者が車両を運転する際に、前記身体の測定情報と同種の身体の測定情報に基づいて前記運転者を識別する運転時ユーザ識別情報取得部、
を備える請求項1に記載の安全運転管理システム。
【請求項3】
前記ユーザ識別情報入力装置は、
前記睡眠不足判定部が前記運転者が睡眠不足であると判定した場合に、前記運転者が前記車両を運転できないよう前記車両を制御する制御部、
を備える、請求項1または請求項2に記載の安全運転管理システム。
【請求項4】
前記ユーザ識別情報入力装置は、前記睡眠不足判定部を備える、
請求項1から請求項3の何れか一項に記載の安全運転管理システム。
【請求項5】
運転者の睡眠が充分である場合の睡眠データと、前記運転者の車両の運転開始のため搭乗した時から過去の一定時間内に測定した前記睡眠データと同一のデータを含む一定時間内取得データとを比較し、前記睡眠データと前記一定時間内取得データとの差が所定の差以上である場合に、前記運転者が睡眠不足であると判定する睡眠不足判定部、
を備える、睡眠不足判定装置。
【請求項6】
運転者の睡眠データを取得する際に、身体の測定情報に基づいて前記運転者を識別する睡眠時ユーザ識別情報取得部、
を備える睡眠データ測定装置。
【請求項7】
運転者が車両を運転する際に、身体の測定情報と同種の身体の測定情報に基づいて前記運転者を識別する運転時ユーザ識別情報取得部、
を備えるユーザ識別情報入力装置。
【請求項8】
睡眠データ測定装置と、睡眠不足判定装置と、ユーザ識別情報入力装置とを有する安全運転管理システムの制御方法であって、
前記睡眠不足判定装置において、
睡眠不足判定部は、運転者の睡眠が充分である場合の睡眠データと、前記運転者の車両の運転開始のため搭乗した時から過去の一定時間内に測定した前記睡眠データと同一のデータを含む一定時間内取得データとを比較し、前記睡眠データと前記一定時間内取得データとの差が所定の差以上である場合に、前記運転者が睡眠不足であると判定する、制御方法。
【請求項9】
睡眠不足判定部は、運転者の睡眠が充分である場合の睡眠データと、前記運転者の車両の運転開始のため搭乗した時から過去の一定時間内に測定した前記睡眠データと同一のデータを含む一定時間内取得データとを比較し、前記睡眠データと前記一定時間内取得データとの差が所定の差以上である場合に、前記運転者が睡眠不足であると判定する、制御方法。
【請求項10】
睡眠時ユーザ識別情報取得部は、運転者の睡眠データを取得する際に、身体の測定情報に基づいて前記運転者を識別する、制御方法。
【請求項11】
運転時ユーザ識別情報取得部は、運転者が車両を運転する際に、身体の測定情報と同種の身体の測定情報に基づいて前記運転者を識別する、制御方法。
【請求項12】
コンピュータを、
運転者の睡眠が充分である場合の睡眠データと、前記運転者の車両の運転開始のため搭乗した時から過去の一定時間内に測定した前記睡眠データと同一のデータを含む一定時間内取得データとを比較し、前記睡眠データと前記一定時間内取得データとの差が所定の差以上である場合に、前記運転者が睡眠不足であると判定する睡眠不足判定手段、
として機能させるプログラム。
【請求項13】
コンピュータを、
運転者の睡眠データを取得する際に、身体の測定情報に基づいて前記運転者を識別する睡眠時ユーザ識別情報取得手段、
として機能させるプログラム。
【請求項14】
コンピュータを、
運転者が車両を運転する際に、身体の測定情報と同種の身体の測定情報に基づいて前記運転者を識別する運転時ユーザ識別情報入力手段、
として機能させるプログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、安全運転管理システム、睡眠不足判定装置、睡眠データ測定装置、ユーザ識別情報入力装置、制御方法及びプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
運転者は、充分な睡眠をとっていない状態で自動車などの車両を運転する場合、集中力不足や居眠り運転などにより大きな事故を起こしてしまう可能性がある。
特許文献1には、関連する技術として、作業者自身の意志によって作動し得るスイッチを数秒間隔のクリックの繰り返しにて、作業者の覚醒状態を確認、クリックが途絶えた事をもって居眠り状態に突入したと判定し警報を発するようにした居眠り警報装置に関する技術が記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、特許文献1に記載の技術では、睡眠不足である場合にも車両を運転できてしまう。また、運転中に居眠り検出のための運転とは別の操作が必要となる。
そのため、ユーザが車両を運転する前に、睡眠不足を判定することのできる技術が求められていた。
【0005】
そこで、この発明は、上記の課題を解決することのできる安全運転管理システム、睡眠不足判定装置、睡眠データ測定装置、ユーザ識別情報入力装置、制御方法及びプログラムを提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記目的を達成するために、第1の態様は、睡眠データ測定装置と、睡眠不足判定装置と、ユーザ識別情報入力装置とを有する安全運転管理システムであって、前記睡眠不足判定装置は、運転者の睡眠が充分である場合の睡眠データと、前記運転者の車両の運転開始のため搭乗した時から過去の一定時間内に測定した前記睡眠データと同一のデータを含む一定時間内取得データとを比較し、前記睡眠データと前記一定時間内取得データとの差が所定の差以上である場合に、前記運転者が睡眠不足であると判定する睡眠不足判定部、を備える、安全運転管理システムである。
【0007】
また、第2の態様は、上述の安全運転管理システムにおいて、前記睡眠データ測定装置は、前記運転者の睡眠データを取得する際に、身体の測定情報に基づいて前記運転者を識別する睡眠時ユーザ識別情報取得部、を備え、前記ユーザ識別情報入力装置は、前記運転者が車両を運転する際に、前記身体の測定情報と同種の身体の測定情報に基づいて前記運転者を識別する運転時ユーザ識別情報取得部、を備える。
【0008】
また、第3の態様は、上述の安全運転管理システムにおいて、前記ユーザ識別情報入力装置は、前記睡眠不足判定部が前記運転者が睡眠不足であると判定した場合に、前記運転者が前記車両を運転できないよう前記車両を制御する制御部、を備える。
【0009】
また、第4の態様は、上述の安全運転管理システムにおいて、前記ユーザ識別情報入力装置は、前記睡眠不足判定部を備える。
【0010】
また、第5の態様は、運転者の睡眠が充分である場合の睡眠データと、前記運転者の車両の運転開始のため搭乗した時から過去の一定時間内に測定した前記睡眠データと同一のデータを含む一定時間内取得データとを比較し、前記睡眠データと前記一定時間内取得データとの差が所定の差以上である場合に、前記運転者が睡眠不足であると判定する睡眠不足判定部、を備えるである。
【0011】
また、第6の態様は、運転者の睡眠データを取得する際に、身体の測定情報に基づいて前記運転者を識別する睡眠時ユーザ識別情報取得部、を備える睡眠データ測定装置である。
【0012】
また、第7の態様は、運転者が車両を運転する際に、身体の測定情報と同種の身体の測定情報に基づいて前記運転者を識別する運転時ユーザ識別情報取得部、を備えるユーザ識別情報入力装置である。
【0013】
また、第8の態様は、睡眠データ測定装置と、睡眠不足判定装置と、ユーザ識別情報入力装置とを有する安全運転管理システムの制御方法であって、前記睡眠不足判定装置において、睡眠不足判定部は、運転者の睡眠が充分である場合の睡眠データと、前記運転者の車両の運転開始のため搭乗した時から過去の一定時間内に測定した前記睡眠データと同一のデータを含む一定時間内取得データとを比較し、前記睡眠データと前記一定時間内取得データとの差が所定の差以上である場合に、前記運転者が睡眠不足であると判定する、制御方法である。
【0014】
また、第9の態様は、睡眠不足判定部は、運転者の睡眠が充分である場合の睡眠データと、前記運転者の車両の運転開始のため搭乗した時から過去の一定時間内に測定した前記睡眠データと同一のデータを含む一定時間内取得データとを比較し、前記睡眠データと前記一定時間内取得データとの差が所定の差以上である場合に、前記運転者が睡眠不足であると判定する、制御方法である。
【0015】
また、第10の態様は、睡眠時ユーザ識別情報取得部は、運転者の睡眠データを取得する際に、身体の測定情報に基づいて前記運転者を識別する、制御方法である。
【0016】
また、第11の態様は、運転時ユーザ識別情報取得部は、運転者が車両を運転する際に、身体の測定情報と同種の身体の測定情報に基づいて前記運転者を識別する、制御方法である。
【0017】
また、第12の態様は、コンピュータを、運転者の睡眠が充分である場合の睡眠データと、前記運転者の車両の運転開始のため搭乗した時から過去の一定時間内に測定した前記睡眠データと同一のデータを含む一定時間内取得データとを比較し、前記睡眠データと前記一定時間内取得データとの差が所定の差以上である場合に、前記運転者が睡眠不足であると判定する睡眠不足判定手段、として機能させるプログラムである。
【0018】
また、第13の態様は、コンピュータを、運転者の睡眠データを取得する際に、身体の測定情報に基づいて前記運転者を識別する睡眠時ユーザ識別情報取得手段、として機能させるプログラムである。
【0019】
また、第14の態様は、コンピュータを、運転者が車両を運転する際に、身体の測定情報と同種の身体の測定情報に基づいて前記運転者を識別する運転時ユーザ識別情報入力手段、として機能させるプログラムである。
【発明の効果】
【0020】
本発明によれば、ユーザが車両を運転する前に、睡眠不足を判定することができる。
【図面の簡単な説明】
【0021】
【
図1】本実施形態による安全運転管理システムの構成の一例を示す図である。
【
図2】本実施形態による睡眠データ測定装置の構成の一例を示す図である。
【
図3】本実施形態による車両の構成の一例を示す図である。
【
図4】本実施形態によるサーバの構成の一例を示す図である。
【
図5】本実施形態によるサーバが備える記憶部が記憶するデータの一例を示す図である。
【
図6】本実施形態による女性と男性の血圧の違いの一例を示す図である。
【
図7】本実施形態による年配者と若者の血圧の違いの一例を示す図である。
【
図8】本実施形態による安全運転管理システムの処理フローの一例を示す図である。
【
図9】本実施形態による安全運転管理システムの処理フローの一例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0022】
まず、本発明の一実施形態による安全運転管理システムの構成について説明する。
図1は、本実施形態による安全運転管理システム1の構成の一例を示す図である。
安全運転管理システム1は、睡眠データ測定装置2と、車両3と、サーバ4と、ネットワークNWと、を備える。
【0023】
安全運転管理システム1が備える睡眠データ測定装置2は、ユーザの睡眠時の脈拍、呼吸、体動などのデータ(以下、睡眠データ)を測定する。また、睡眠データ測定装置2は、ユーザの睡眠データを測定する際に、そのユーザを特定するための睡眠時ユーザ識別情報として、例えば、血圧、体温、体重、体組成(体脂肪、内臓脂肪、皮下脂肪、筋肉、骨、体水分、その他の体内成分)、体格指数、生体インピーダンス、呼気ガス中のアセトン濃度などを測定する。
【0024】
車両3は、ユーザが車両3を運転する前に、ユーザが車両3を運転できる状態であるか否かをサーバ4に問い合わせる。
サーバ4は、ユーザの睡眠が車両3を運転するのに充分である最初の睡眠データと睡眠時ユーザ識別情報とを関連付けて、睡眠充分データを示す睡眠充分フラグと、睡眠状態を解析する際の判定基準として使用することを示す判定フラグとともにデータテーブルに記憶する。睡眠データは、例えば、呼吸回数、脈拍及び脈拍の強さを示すデータである。
また、サーバ4は、ユーザの睡眠データと睡眠時ユーザ識別情報とをネットワークNWを介して受信する度に、判定フラグとともに記憶されている睡眠充分データと、睡眠データ測定装置2が測定したユーザの睡眠データとを比較して、睡眠データ測定装置2が測定したユーザの睡眠状態を解析する。例えば、サーバ4は、判定フラグとともに記憶されている睡眠充分データが含む単位時間当たりの呼吸回数、単位時間当たりの脈拍数及び脈拍の強さと、ユーザの睡眠毎の睡眠データが含む単位時間当たりの呼吸回数、単位時間当たりの脈拍数及び脈拍の強さのそれぞれを比較する。そして、サーバ4は、睡眠充分データが含む単位時間当たりの呼吸回数、単位時間当たりの脈拍数及び脈拍の強さと、ユーザの睡眠毎の睡眠データが含む単位時間当たりの呼吸回数、単位時間当たりの脈拍数及び脈拍の強さのそれぞれが同一であると判定した場合に、ユーザの睡眠が充分であると判定する。具体的には、サーバ4は、睡眠充分データが含む単位時間当たりの呼吸回数からユーザの睡眠毎の睡眠データが含む単位時間当たりの呼吸回数を減算する。サーバ4は、当該呼吸回数の減算結果である呼吸回数減算結果と、睡眠充分データが含む単位時間当たりの呼吸回数とユーザの睡眠毎の睡眠データが含む単位時間当たりの呼吸回数とが同一であると判定するために設定した呼吸回数しきい値とを比較し、呼吸回数減算結果が呼吸回数しきい値よりも小さい場合に、睡眠データが含む単位時間当たりの呼吸回数は睡眠充分データが含む単位時間当たりの呼吸回数と同一であると判定する。また、サーバ4は、睡眠充分データが含む単位時間当たりの脈拍数からユーザの睡眠毎の睡眠データが含む単位時間当たりの脈拍数を減算する。サーバ4は、当該脈拍数の減算結果である脈拍数減算結果と、睡眠充分データが含む単位時間当たりの脈拍数とユーザの睡眠毎の睡眠データが含む単位時間当たりの脈拍数とが同一であると判定するために設定した脈拍数しきい値とを比較し、脈拍数減算結果が脈拍数しきい値よりも小さい場合に、睡眠データが含む単位時間当たりの脈拍数は睡眠充分データが含む単位時間当たりの脈拍数と同一であると判定する。また、サーバ4は、睡眠充分データが含む脈拍の強さからユーザの睡眠毎の睡眠データが含む脈拍の強さを減算する。サーバ4は、当該脈拍の強さの減算結果である脈拍強度減算結果と、睡眠充分データが含む脈拍の強さとユーザの睡眠毎の睡眠データが含む脈拍の強さとが同一であると判定するために設定した脈拍強度しきい値とを比較し、脈拍強度減算結果が脈拍強度しきい値よりも小さい場合に、睡眠データが含む脈拍の強さは睡眠充分データが含む脈拍の強さと同一であると判定する。そして、サーバ4は、睡眠充分データが含む単位時間当たりの呼吸回数、単位時間当たりの脈拍数及び脈拍の強さと、ユーザの睡眠毎の睡眠データが含む単位時間当たりの呼吸回数、単位時間当たりの脈拍数及び脈拍の強さのそれぞれがすべて同一であると判定した場合に、ユーザの睡眠が充分であると判定する。また、サーバ4は、睡眠充分データが含む単位時間当たりの呼吸回数、単位時間当たりの脈拍数及び脈拍の強さと、ユーザの睡眠毎の睡眠データが含む単位時間当たりの呼吸回数、単位時間当たりの脈拍数及び脈拍の強さのそれぞれが1つでも同一ではないと判定した場合、ユーザの睡眠は充分ではないと判定する。なお、サーバ4は、体動に基づく単位時間当たりの寝返り回数をユーザの睡眠が充分であるか否かの判定に用いるものであってもよい。その場合、サーバ4は、単位時間当たりの寝返り回数が少ない場合にユーザの睡眠が充分であると判定する。また、サーバ4は、単位時間当たりの寝返り回数が多い場合にユーザの睡眠が充分ではないと判定する。
サーバ4は、ユーザの睡眠が充分であると判定した睡眠データを睡眠充分フラグとともにデータテーブルに記憶する。
さらに、サーバ4は、判定フラグを有する睡眠データを判定基準として、ユーザの車両3を運転する直前の睡眠が車両3を運転するのに充分であるか否かを判定する。サーバ4は、ユーザの睡眠が車両3を運転するのに充分であるか否かの判定結果をネットワークNWを介して車両3に送信する。
【0025】
次に、本発明の一実施形態による安全運転管理システム1の処理の概要を説明する。
安全運転管理システム1において、睡眠データ測定装置2は、ユーザの睡眠データを測定する。また、睡眠データ測定装置2は、ユーザの睡眠データを測定する際に、そのユーザを特定するための睡眠時ユーザ識別情報を測定する。そして、睡眠データ測定装置2は、測定したユーザの睡眠データと睡眠時ユーザ識別情報とをネットワークNWを介してサーバ4に送信する。
【0026】
サーバ4は、睡眠データ測定装置2からネットワークNWを介してユーザの睡眠データと睡眠時ユーザ識別情報とを受信すると、判定フラグと睡眠充分フラグとともにデータテーブルに記憶しているユーザの睡眠充分データと比較して、ユーザの睡眠が充分であるか否かを解析する。サーバ4は、睡眠データ測定装置2からネットワークNWを介してユーザの睡眠データと睡眠時ユーザ識別情報とを受信する度に、ユーザの睡眠が充分であるか否かを解析する。そして、サーバ4は、睡眠状態を解析した結果、睡眠が充分であった場合には、ユーザの睡眠データと睡眠時ユーザ識別情報とを睡眠充分フラグとともに記憶する。
【0027】
その後、ユーザが運転者として車両3の運転席に着座(車両3に搭乗)する。すると、車両3は、ユーザが車両3を運転する際に、睡眠時ユーザ識別情報と同種のユーザ識別情報である運転時ユーザ識別情報を測定する。そして、車両3は、その運転時ユーザ識別情報をネットワークNWを介してサーバ4に送信する。
【0028】
サーバ4は、車両3からネットワークNWを介して運転時ユーザ識別情報を受信すると、受信した運転時ユーザ識別情報と、ユーザ毎に記憶しているデータテーブルにおける睡眠時ユーザ識別情報とを比較する。そして、サーバ4は、運転時ユーザ識別情報と同一の睡眠時ユーザ識別情報を特定する。例えば、サーバ4は、運転時ユーザ識別情報が含む血圧と、記憶部303が記憶している各睡眠時ユーザ識別情報が含む血圧とを順に比較し、運転時ユーザ識別情報が含む血圧に最も近い血圧を含む睡眠時ユーザ識別情報を特定する。サーバ4は、この特定により車両3に搭乗したユーザに対応する睡眠データを含むデータテーブルを特定したことになる。
サーバ4は、特定した睡眠時ユーザ識別情報と関連付けて記憶しているデータの中から現在から過去の一定時間内のユーザの睡眠データを特定する。例えば、サーバ4は、睡眠時ユーザ識別情報と関連付けて記憶しているデータの中から現在から過去24時間以内の睡眠データを一定時間内取得データとして特定する。
サーバ4は、一定時間内取得データの中から睡眠充分フラグとともに記憶している睡眠データを特定する。そして、サーバ4は、現在から過去の一定時間内にユーザの睡眠が車両3を運転するのに充分であるか否かを判定する。例えば、サーバ4は、一定時間内取得データの中から睡眠充分フラグを有する睡眠データの睡眠時間の合計が8時間以上である場合に、ユーザの睡眠が車両3を運転するのに充分であると判定する。また、サーバ4は、一定時間内取得データの中から睡眠充分フラグを有する睡眠データの睡眠時間の合計が8時間未満である場合に、ユーザの睡眠が車両3を運転するには不充分であると判定する。
サーバ4は、ユーザの睡眠が車両3を運転するのに充分であるか否かの判定結果をネットワークNWを介して車両3に送信する。
【0029】
車両3は、サーバ4からネットワークNWを介してユーザが睡眠不足であるか否かの判定結果を受信すると、受信した判定結果に基づいて、ユーザを運転者として運転させるか否かを制御する。例えば、車両3は、サーバ4からネットワークNWを介してユーザが睡眠不足であることを示す判定結果を受信した場合、エンジンが掛からないように制御する。また、車両3は、表示部、振動装置、スピーカなどを有する報知装置からユーザに仮眠を取るように促す。
【0030】
次に、本実施形態による安全運転管理システム1が備える睡眠データ測定装置2と、車両3と、サーバ4と、ネットワークNWのそれぞれの構成について説明する。
まず、本実施形態による睡眠データ測定装置2の構成について説明する。
図2は、本実施形態による睡眠データ測定装置2の構成の一例を示す図である。
睡眠データ測定装置2は、通信部101と、睡眠状態測定部102と、睡眠時ユーザ識別情報取得部103と、制御部104と、記憶部105と、ユーザ情報入力部106と、を備える。
【0031】
睡眠データ測定装置2が備える通信部101は、ネットワークNWを介してサーバ4と通信を行う。
睡眠状態測定部102は、ユーザの睡眠時の脈拍、呼吸、体動などの睡眠データを測定する。
【0032】
睡眠時ユーザ識別情報取得部103は、睡眠状態測定部102がユーザの睡眠データを測定する際に、そのユーザを特定するためのユーザの身体の測定情報を睡眠時ユーザ識別情報として取得する。なお、睡眠時ユーザ識別情報取得部103は、適切にユーザを識別できる情報である限り、ユーザのどのような身体の測定情報を取得するものであってよい。
睡眠時ユーザ識別情報取得部103は、例えば、以下のように睡眠時ユーザ識別情報を取得する。睡眠時ユーザ識別情報取得部103は、血圧測定部103aと、体温測定部103bと、体重測定部103cと、体組成測定部103dと、体格指数測定部103eと、生体インピーダンス測定部103fと、アセトン濃度測定部103gと、を備える。
血圧測定部103aは、睡眠状態測定部102がユーザの睡眠データを測定する際に、ユーザの血圧を測定する。例えば、血圧測定部103aは、ユーザの血管に当たる位置にマイクを備え、血管の音の変化を読み取ることで血圧を測定する自動血圧計である。
体温測定部103bは、睡眠状態測定部102がユーザの睡眠データを測定する際に、ユーザの体温を測定する。例えば、体温測定部103bは、耳式体温計、赤外線体温計、白金測温抵抗体を用いた温度計などである。
体重測定部103cは、睡眠状態測定部102がユーザの睡眠データを測定する際に、ユーザの体重を測定する。例えば、体重測定部103cは、体重計であり、測定台に備えられた荷重センサ(例えば、ロードセル)が検出した荷重に基づいて、体重を算出する。
体組成測定部103dは、生体インピーダンス測定部103fが測定するユーザの生体インピーダンス、体重測定部103cが測定するユーザの体重及びユーザ情報入力部106で入力されるユーザ情報に基づき、体組成を算出することで測定が行われる。例えば、体組成測定部103dは、生体電気インピーダンス法によって、筋肉や体脂肪を測定する。この際、体組成測定部103dは、マルチ周波数測定やリアクタンステクノロジを用いることにより、高精度に体組成を計測する。
なお、マルチ周波数測定とは、生体組織において、電流がその周波数によって流れる経路が異なるという特性に基づいて、複数の周波数の電流を使い分けることにより生体組織の細胞の詳しい情報を得る測定である。また、リアクタンステクノロジとは、生体組織を構成する細胞内液及び細胞外液を抵抗成分、細胞膜を容量成分として、生体組織を電気的等価回路に表し、その抵抗成分と容量成分とを測定することにより、細胞内液及び細胞外液の情報と、細胞膜の情報とを得る技術である。
体格指数測定部103eは、ユーザの体重と身長とに基づいて、ユーザの体格指数を算出する。体格指数は、BMI(Body Mass Index)と呼ばれる体重と身長のバランスから肥満度を判定する基準である。例えば、体格指数測定部103eは、ユーザがユーザ情報入力部106から睡眠データ測定装置2に入力した身長と、体重測定部103cが測定した体重とを用いて、「体重(kg)÷身長(m)÷身長(m)」を算出する。
生体インピーダンス測定部103fは、ユーザの生体インピーダンスを測定する。例えば、生体インピーダンス測定部103fは、2つの通電用電極と2つの測定用電極とを備え、2つの通電用電極を介してユーザの体内に微弱な交流電流を印加し、2つの測定用電極を介して電圧(電位差)を検出し、これらに基づいて、ユーザの生体インピーダンスを求めることで測定する。
アセトン濃度測定部103gは、ユーザの呼気ガス中に含まれるアセトン濃度を測定する。例えば、アセトン濃度測定部103gは、第1のガスセンサによって呼気中におけるアセトン成分を含んだガスを検出し、第2のガスセンサによって呼気中におけるアセトン成分以外のガス成分を検出し、これら検出したガス成分の差分に基づいてアセトン濃度を求めることで測定する。
なお、睡眠時ユーザ識別情報取得部103は、血圧測定部103aと、体温測定部103bと、体重測定部103cと、体組成測定部103dと、体格指数測定部103eと、生体インピーダンス測定部103fと、アセトン濃度測定部103gと、のすべてを備えるものに限定するものではない。睡眠時ユーザ識別情報取得部103は、血圧測定部103aと、体温測定部103bと、体重測定部103cと、体組成測定部103dと、体格指数測定部103eと、生体インピーダンス測定部103fと、アセトン濃度測定部103gのうち少なくとも1つを備えれば睡眠時ユーザ識別情報を取得することができ、好ましくは、複数備えるとよい。
【0033】
制御部104は、睡眠データ測定装置2における種々の制御を行う。例えば、制御部104は、通信部101が行う通信を制御する。
記憶部105は、睡眠データ測定装置2における処理に必要な種々のデータを記憶する。例えば、記憶部105は、睡眠時ユーザ識別情報取得部103が取得した睡眠時ユーザ識別情報を記憶する。
【0034】
ユーザ情報入力部106は、ユーザが睡眠データ測定装置2を使用する初回の初期登録時にユーザによる操作に基づいてユーザの識別に使用する情報を取得する。例えば、ユーザ情報入力部106は、ユーザが睡眠データ測定装置2を使用する初回の初期登録時にユーザによる操作に基づいて入力される氏名や年齢などの情報を取得する。また、例えば、ユーザ情報入力部106は、ユーザが睡眠データ測定装置2を使用する初回の初期登録時にユーザによる操作に基づいて血圧によるユーザの識別の精度を向上させるために使用する性別の情報を取得する。また、例えば、ユーザ情報入力部106は、体格指数を算出する際に使用する身長の情報を取得する。ユーザ情報入力部106は、例えば、タッチパネルやキーボードなどである。
【0035】
次に、本実施形態による車両3の構成について説明する。
図3は、本実施形態による車両3の構成の一例を示す図である。
安全運転管理システム1が備える車両3は、ユーザ識別情報入力装置30を備える。
ユーザ識別情報入力装置30は、通信部201と、運転時ユーザ識別情報取得部202と、制御部203と、ユーザ情報入力部204とを備える。
【0036】
車両3が備える通信部201は、ネットワークNWを介してサーバ4と通信を行う。
運転時ユーザ識別情報取得部202は、ユーザが車両3を運転する際に、そのユーザを特定するためのユーザの身体の測定情報を運転時ユーザ識別情報として取得する。なお、運転時ユーザ識別情報取得部202は、睡眠時ユーザ識別情報取得部103と同種のユーザ識別情報を適切に取得するものであればどのようなものであってよい。
運転時ユーザ識別情報取得部202は、例えば、以下のように運転時ユーザ識別情報を取得する。運転時ユーザ識別情報取得部202は、血圧測定部202aと、体温測定部202bと、体重測定部202cと、体組成測定部202dと、体格指数測定部202eと、生体インピーダンス測定部202fと、アセトン濃度測定部202gと、を備える。
血圧測定部202aは、ユーザが車両3を運転する際に、ユーザの血圧を測定する。例えば、血圧測定部202aは、マイクを備え、血管の音の変化を読み取ることで血圧を測定する自動血圧計である。
体温測定部202bは、ユーザが車両3を運転する際に、ユーザの体温を測定する。例えば、体温測定部202bは、耳式体温計、赤外線体温計、白金測温抵抗体を用いた温度計などである。
体重測定部202cは、ユーザが車両3を運転する際に、ユーザの体重を測定する。例えば、体重測定部202cは、シートの座面に備えられた荷重センサ(例えば、ロードセル)が検出した荷重に基づいて、体重を算出する。なお、運転者の足が床に接地することで床に運転者の体重の一部が掛かりシートの座面に運転者の全体重が掛からない場合、事前に実験などで求めた荷重センサが検出した荷重と運転者の全体重との相関関係に基づいてユーザの全体重を予測する。
体組成測定部202dは、生体インピーダンス測定部202fが測定するユーザの生体インピーダンス、体重測定部202cが測定するユーザの体重及びユーザ情報入力部204で入力されるユーザ情報に基づき、体組成を測定することで測定が行われる。例えば、体組成測定部202dは、生体電気インピーダンス法によって、筋肉や体脂肪を測定する。この際、体組成測定部202dは、マルチ周波数測定やリアクタンステクノロジを用いることにより、高精度に体組成を計測する。
体格指数測定部202eは、ユーザの体重と身長とに基づいて、ユーザの体格指数を算出する。例えば、体格指数測定部202eは、ユーザがユーザ情報入力部204から車両3に入力した身長と、体重測定部202cが測定した体重とを用いて、「体重(kg)÷身長(m)÷身長(m)」を算出する。
生体インピーダンス測定部202fは、ユーザの生体インピーダンスを測定する。例えば、生体インピーダンス測定部202fは、2つの通電用電極と2つの測定用電極とをハンドルに備え、ユーザがハンドルを握った際に、2つの通電用電極を介してユーザの体内に微弱な交流電流を印加し、2つの測定用電極を介して電圧(電位差)を検出し、これらに基づいて、ユーザの生体インピーダンスを求めることで測定する。
アセトン濃度測定部202gは、ユーザの呼気ガス中に含まれるアセトン濃度を測定する。例えば、アセトン濃度測定部202gは、第1のガスセンサによって呼気中におけるアセトン成分を含んだガスを検出し、第2のガスセンサによって呼気中におけるアセトン成分以外のガス成分を検出し、これら検出したガス成分の差分に基づいてアセトン濃度を求めることで測定する。
なお、運転時ユーザ識別情報取得部202は、血圧測定部202aと、体温測定部202bと、体重測定部202cと、体組成測定部202dと、体格指数測定部202eと、生体インピーダンス測定部202fと、アセトン濃度測定部202gと、に限定するものではない。運転時ユーザ識別情報取得部202は、血圧測定部202aと、体温測定部202bと、体重測定部202cと、体組成測定部202dと、体格指数測定部202eと、生体インピーダンス測定部202fと、アセトン濃度測定部202gのうち少なくとも1つを備えれば運転時ユーザ識別情報を取得することができ、好ましくは、複数備えるとよい。
【0037】
制御部203は、車両3における種々の制御を行う。例えば、制御部203は、通信部201が行う通信を制御する。また、制御部203は、サーバ4から受信するユーザが運転する際に睡眠不足であるか否かの判定結果に基づいて、ユーザに車両3を運転させるか否かを制御する。
【0038】
ユーザ情報入力部204は、ユーザがユーザ識別情報入力装置30を使用する初回の初期登録時にユーザによる操作に基づいてユーザの識別に使用する情報を取得する。例えば、ユーザ情報入力部204は、ユーザがユーザ識別情報入力装置30を使用する初回の初期登録時にユーザによる操作に基づいて入力される氏名や年齢などの情報を取得する。また、例えば、ユーザ情報入力部204は、ユーザがユーザ識別情報入力装置30を使用する初回の初期登録時にユーザによる操作に基づいて血圧によるユーザの識別の精度を向上させるために使用する性別の情報を取得する。また、例えば、ユーザ情報入力部204は、体格指数を算出する際に使用する身長の情報を取得する。ユーザ情報入力部106は、例えば、タッチパネルやキーボードなどである。
【0039】
次に、本実施形態によるサーバ4の構成について説明する。
図4は、本実施形態によるサーバ4の構成の一例を示す図である。
安全運転管理システム1が備えるサーバ4は、通信部301と、睡眠データ解析部302と、記憶部303と、一定時間内取得データ特定部304と、睡眠不足判定装置5と、制御部306と、を備える。なお、睡眠不足判定装置5は、睡眠不足判定部305を備える。
【0040】
サーバ4が備える通信部301は、ネットワークNWを介して睡眠データ測定装置2及び車両3と通信を行う。
【0041】
睡眠データ解析部302は、通信部301を介して、睡眠状態測定部102からユーザの睡眠データと睡眠時ユーザ識別情報取得部103から睡眠時ユーザ識別情報とを取得する。そして、睡眠データ解析部302は、判定フラグを有する睡眠充分データと取得した睡眠充分データとを比較して、ユーザの睡眠が充分であるか否かを判定する。
睡眠データ解析部302は、睡眠データ測定装置2からユーザの睡眠データと睡眠時ユーザ識別情報とをネットワークNWを介して受信する度に、ユーザの睡眠が充分であるか否かを判定し、当該判定結果をユーザの睡眠データと睡眠時ユーザ識別情報とを関連付けて記憶部303に記憶させる。具体的には、睡眠データ解析部302は、判定結果が、睡眠が充分であった場合には、睡眠充分フラグを睡眠データと睡眠時ユーザ識別情報とを関連付けて睡眠充分データとして記憶部303に記憶させる。
【0042】
記憶部303は、サーバ4の処理に必要な種々の情報を記憶する。記憶部303は、例えば、睡眠データ解析部302によりユーザの睡眠が充分であるか否かの判定結果に関連付けられたユーザの睡眠データと睡眠時ユーザ識別情報を記憶する。記憶部303は、睡眠データ解析部302がユーザの睡眠が充分であると判定した場合、ユーザの睡眠が充分であることを示す睡眠充分フラグとともに睡眠データと睡眠時ユーザ識別情報とを記憶する。
【0043】
一定時間内取得データ特定部304は、ユーザが車両3を運転する際に、車両3が測定した運転時ユーザ識別情報と、記憶部303が記憶しているデータテーブルにおける睡眠時ユーザ識別情報のそれぞれを比較する。例えば、一定時間内取得データ特定部304は、ユーザが車両3を運転する際に、運転時ユーザ識別情報取得部202の血圧測定部202aが取得した運転時ユーザ識別情報が含む血圧と、記憶部303が記憶しているユーザ毎に記憶されているデータテーブルにおける睡眠時ユーザ識別情報が含む血圧とを比較する。
そして、一定時間内取得データ特定部304は、運転時ユーザ識別情報と同一の睡眠時ユーザ識別情報を特定する。例えば、一定時間内取得データ特定部304は、運転時ユーザ識別情報が含む血圧と、記憶部303が記憶している各睡眠時ユーザ識別情報が含む血圧とを順に比較し、運転時ユーザ識別情報が含む血圧に最も近い血圧を含む睡眠時ユーザ識別情報を特定する。ここで、一定時間内取得データ特定部304が特定した睡眠時ユーザ識別情報を含むデータテーブルが車両3に搭乗したユーザに対応するデータテーブルであると特定したことになる。
一定時間内取得データ特定部304は、特定した睡眠時ユーザ識別情報と関連付けて記憶部303が記憶している睡眠データの中から過去の一定時間内の睡眠データを特定する。例えば、一定時間内取得データ特定部304は、特定した睡眠時ユーザ識別情報と関連付けて記憶している睡眠データの中から現在から過去24時間以内の睡眠データを特定し、特定した睡眠データを一定時間内取得データとして特定する。
【0044】
睡眠不足判定部305は、特定したデータテーブルにおける一定時間内取得データから、ユーザが運転する際に睡眠が車両3を運転するのに充分であるか否かを判定する。例えば、サーバ4は、一定時間内取得データの中から睡眠充分フラグを有する睡眠データの睡眠時間の合計が8時間以上である場合に、ユーザの睡眠が車両3を運転するのに充分であると判定する。また、サーバ4は、一定時間内取得データの中から睡眠充分フラグを有する睡眠データの睡眠時間の合計が8時間未満である場合に、ユーザの睡眠が車両3を運転するには不充分であると判定する。
そして、睡眠不足判定部305は、ユーザの睡眠が車両3を運転するのに充分であるか否かの判定結果を車両3に送信する。
【0045】
制御部306は、サーバ4における種々の制御を行う。例えば、制御部306は、通信部301が行う通信を制御する。
【0046】
次に、本実施形態によるサーバ4が備える記憶部303が記憶するデータについて説明する。
図5は、本実施形態によるサーバ4が備える記憶部303が記憶するデータの一例を示す図である。
【0047】
記憶部303は、睡眠毎に寝具のマット上にいる状態で測定したユーザの血圧、体温、体重、体組成(体脂肪、内臓脂肪、皮下脂肪、筋肉、骨、体水分、その他の体内成分)、体格指数、生体インピーダンス、呼気ガス中のアセトン濃度などの睡眠時ユーザ識別情報と、時刻、呼吸、脈拍などの睡眠データとを関連付けて
図5に示すデータテーブルTBL1のように記憶する。
記憶部303は、ユーザの睡眠が車両3を運転するのに充分である最初の睡眠データと睡眠時ユーザ識別情報とを関連付けて、睡眠充分データを示す睡眠充分フラグと、睡眠状態を解析する際の判定基準として使用することを示す判定フラグとともにデータテーブルに記憶する。
図5に示すデータテーブルTBL1の場合、データ1がユーザの睡眠が車両3を運転するのに充分である最初の睡眠データであり、記憶部303は、睡眠データと睡眠時ユーザ識別情報とを関連付けて、睡眠充分データを示す睡眠充分フラグ“1”と、睡眠状態を解析する際の判定基準として使用することを示す判定フラグ“1”とともにデータテーブルTBL1に記憶する。
サーバ4において、睡眠データ解析部302は、ユーザの睡眠データと睡眠時ユーザ識別情報とをネットワークNWを介して受信する度に、判定フラグとともに記憶されている睡眠充分データと、睡眠データ測定装置2が測定したユーザの睡眠データとを比較して、睡眠データ測定装置2が測定したユーザの睡眠状態を解析する。例えば、睡眠データ解析部302は、
図5に示すデータテーブルTBL1において判定フラグ“1”と睡眠充分フラグ“1”とともに記憶されているデータ1の睡眠充分データが含む単位時間当たりの呼吸回数、単位時間当たりの脈拍数及び脈拍の強さと、ユーザの睡眠毎の睡眠データが含む単位時間当たりの呼吸回数、単位時間当たりの脈拍数及び脈拍の強さのそれぞれを比較する。そして、睡眠データ解析部302は、データ1の睡眠データが含む単位時間当たりの呼吸回数、単位時間当たりの脈拍数及び脈拍の強さと、ユーザの睡眠毎の睡眠データが含む単位時間当たりの呼吸回数、単位時間当たりの脈拍数及び脈拍の強さのそれぞれが同一であると判定した場合に、ユーザの睡眠が充分であると判定する。具体的には、睡眠データ解析部302、判定フラグ“1”と睡眠充分フラグ“1”とともに記憶されているデー
タ1の睡眠データが含む単位時間当たりの呼吸回数からユーザの睡眠毎の睡眠データが含む単位時間当たりの呼吸回数を減算する。睡眠データ解析部302は、当該呼吸回数の減算結果である呼吸回数減算結果と、データ1の睡眠データが含む単位時間当たりの呼吸回数とユーザの睡眠毎の睡眠データが含む単位時間当たりの呼吸回数とが同一であると判定するために設定した呼吸回数しきい値とを比較し、呼吸回数減算結果が呼吸回数しきい値よりも小さい場合に、睡眠データが含む単位時間当たりの呼吸回数はデータ1の睡眠データが含む単位時間当たりの呼吸回数と同一であると判定する。また、睡眠データ解析部302は、データ1の睡眠データが含む単位時間当たりの脈拍数からユーザの睡眠毎の睡眠データが含む単位時間当たりの脈拍数を減算する。睡眠データ解析部302は、当該脈拍数の減算結果である脈拍数減算結果と、データ1の睡眠データが含む単位時間当たりの脈拍数とユーザの睡眠毎の睡眠データが含む単位時間当たりの脈拍数とが同一であると判定するために設定した脈拍数しきい値とを比較し、脈拍数減算結果が脈拍数しきい値よりも小さい場合に、睡眠データが含む単位時間当たりの脈拍数はデータ1の睡眠データが含む単位時間当たりの脈拍数と同一であると判定する。また、睡眠データ解析部302は、データ1の睡眠データが含む脈拍の強さからユーザの睡眠毎の睡眠データが含む脈拍の強さを減算する。睡眠データ解析部302は、当該脈拍の強さの減算結果である脈拍強度減算結果と、データ1の睡眠データが含む脈拍の強さとユーザの睡眠毎の睡眠データが含む脈拍の強さとが同一であると判定するために設定した脈拍強度しきい値とを比較し、脈拍強度減算結果が脈拍強度しきい値よりも小さい場合に、睡眠データが含む脈拍の強さはデータ1の睡眠データが含む脈拍の強さと同一であると判定する。そして、睡眠データ解析部302は、データ1の睡眠データが含む単位時間当たりの呼吸回数、単位時間当たりの脈拍数及び脈拍の強さと、ユーザの睡眠毎の睡眠データが含む単位時間当たりの呼吸回数、単位時間当たりの脈拍数及び脈拍の強さのそれぞれがすべて同一であると判定した場合に、ユーザの睡眠が充分であると判定する。
睡眠データ解析部302は、ユーザの睡眠が充分であると判定したユーザの睡眠データと対応する睡眠時ユーザ識別情報とを睡眠充分フラグとともに記憶部303のユーザに対応するデータテーブルTBL1に記憶する。例えば、睡眠データ解析部302は、ユーザの睡眠が充分であると判定したユーザの睡眠データと対応する睡眠時ユーザ識別情報とを、
図5に示すデータテーブルTBL1におけるデータ3と4のように、睡眠充分フラグ“1”とともに記憶部303に記憶させる。
また、睡眠データ解析部302は、データ1の睡眠データが含む単位時間当たりの呼吸回数、単位時間当たりの脈拍数及び脈拍の強さと、ユーザの睡眠毎の睡眠データが含む単位時間当たりの呼吸回数、単位時間当たりの脈拍数及び脈拍の強さのそれぞれが1つでも同一ではないと判定した場合、ユーザの睡眠は充分ではないと判定する。
なお、睡眠データ解析部302は、睡眠充分フラグ“1”とともに記憶部303に記憶されている最新の睡眠データを睡眠状態を解析する際の判定基準として使用する睡眠データとしてもよい。例えば、
図5に示すデータテーブルTBL1における時刻が時刻データ1、2、3、・・・と時系列となっている場合、睡眠データ解析部302は、データ4の睡眠データを睡眠状態を解析する際の判定基準として使用する睡眠データとし、判定フラグ“1”とともに記憶部303に記憶させてもよい。
【0048】
次に、ユーザの身体の測定情報の一種である血圧(その際の脈波も含む)を例にして、ユーザ識別情報に成り得ることについて、
図6及び
図7を用いて説明する。
図6は、女性と男性の血圧の違いの一例を示す図である。
図6において、縦軸は血圧を示している。
通常、血圧は本人の活動状態によって1日のうちでは変動する。しかしながら、1日において規則的な安定した条件で血圧を測定した場合、毎日の血圧の変動はそれ程大きくはない。
図6は、安定した条件で測定した最高血圧と最低血圧を示している。
図6に示すように、女性の最高血圧と最低血圧の範囲と、男性の最高血圧と最低血圧の範囲には違いがある。女性の最高血圧と最低血圧の範囲は、男性の最高血圧と最低血圧の範囲に対して、相対的に低い傾向を示す。
したがって、女性の最高血圧から男性の最高血圧の間の血圧を示した場合、その人は男性である可能性が高い。また、女性の最低血圧から男性の最低血圧の間の血圧を示した場合、その人は女性である可能性が高い。よって、血圧は、ユーザ識別情報に成り得る。
【0049】
図7は、年配者と若者の血圧の違いの一例を示す図である。
図7において、横軸は時間を示している。また、縦軸は血圧と脈波とを示している。
図7は、最高血圧と最低血圧の測定値と共に、最高血圧と最低血圧を測定する間の脈波の生データを示している。
図7に示すように、年配者の脈波の生データのピーク値は、若者の脈波の生データのピーク値よりも低い傾向を示す。
したがって、年配者の脈波の生データのピーク値と若者の脈波の生データのピーク値との間にしきい値を設定する。そして、脈波の生データのピーク値がしきい値よりも低い場合、その人は年配者であると判定し、脈波の生データのピーク値がしきい値よりも高い場合、その人は若者であると判定することで、年配者と若者とを判定することができる。よって、血圧と脈波は、ユーザ識別情報に成り得る。
【0050】
したがって、血圧計が測定した最高血圧、最低血圧、脈波の生データのピーク値、脈波の生データの面積などの情報を用いることで、ユーザ認証の精度を高めることができる。
【0051】
次に、本実施形態による安全運転管理システム1の処理について説明する。
図8及び
図9は、本実施形態による安全運転管理システム1の処理フローの一例を示す図である。
なお、安全運転管理システム1において、睡眠データ測定装置2、車両3及びサーバ4は、実際にはネットワークNWを介して通信を行っているが、
図8及び
図9に示す処理フローでは、ネットワークNWを省略している。また、睡眠データ測定装置2、車両3及びサーバ4が行う通信は、実際にはそれぞれの制御部が通信を制御しているが、以下の説明では通信において制御部が制御を行っているものとし、その制御自体の説明は省略する。
【0052】
まず、ユーザが睡眠する際に、睡眠データ測定装置2がユーザの睡眠データを測定する処理について説明する。
ユーザは、睡眠時に睡眠時ユーザ識別情報取得部103の機能を有する装置を身に着けたり、睡眠時ユーザ識別情報取得部103の機能を有する寝具のマット上に乗るなどして、睡眠データ測定装置2が睡眠データを測定する準備をする。なお、ユーザは、ユーザが睡眠データ測定装置2を使用する初回の初期登録時にユーザによる操作に基づいてユーザの識別に使用する情報をユーザ情報入力部106に入力する。例えば、ユーザは、ユーザが睡眠データ測定装置2を使用する初回の初期登録時にユーザによる操作に基づいて入力される氏名や年齢などの情報をユーザ情報入力部106に入力する。また、例えば、ユーザは、ユーザが睡眠データ測定装置2を使用する初回の初期登録時にユーザによる操作に基づいて血圧によるユーザの識別の精度を向上させるために使用する性別の情報をユーザ情報入力部106に入力する。また、例えば、ユーザは、ユーザが睡眠データ測定装置2を使用する初回の初期登録時にユーザによる操作に基づいて体格指数を算出する際に使用する身長の情報をユーザ情報入力部106に入力する。
ユーザが睡眠データ測定装置2を使用する初回の初期登録が完了すると、睡眠データ測定装置2が備える睡眠時ユーザ識別情報取得部103は、睡眠状態測定部102がユーザの睡眠データを測定する際に、睡眠時ユーザ識別情報を取得する(ステップS1)。例えば、睡眠状態測定部102がユーザの睡眠データを測定する直前に、血圧測定部103aは、睡眠時ユーザ識別情報としてユーザの身体的特徴の1つであるユーザの血圧を測定する。また、例えば、体温測定部103bは、睡眠状態測定部102がユーザの睡眠データを測定する際に、ユーザの体温を測定する。また、例えば、体重測定部103cは、ユーザの身体的特徴の1つである睡眠時ユーザ識別情報としてユーザの体重を測定する。また、例えば、体組成測定部103dは、生体インピーダンス測定部103fが測定するユーザの生体インピーダンス、体重測定部103cが測定するユーザの体重及びユーザ情報入力部106で入力されるユーザ情報に基づき、睡眠時ユーザ識別情報としてユーザの身体的特徴の1つである体組成を測定する。また、例えば、体格指数測定部103eは、ユーザの体重と身長とに基づいて、睡眠時ユーザ識別情報としてユーザの身体的特徴の1つであるユーザの体格指数を算出する。また、例えば、アセトン濃度測定部103gは、睡眠時ユーザ識別情報としてユーザの身体的特徴の1つであるユーザの呼気ガス中に含まれるアセトン濃度を測定する。
睡眠時ユーザ識別情報取得部103は、取得した睡眠時ユーザ識別情報を記憶部105に記憶させる。
睡眠時ユーザ識別情報取得部103は、睡眠時ユーザ識別情報を取得すると、睡眠時ユーザ識別情報の取得完了を示す睡眠時ユーザ識別情報取得完了信号を睡眠状態測定部102に出力する。
なお、睡眠時ユーザ識別情報取得部103は、身体的特徴の1つであるユーザの指紋や声紋などを睡眠時ユーザ識別情報として使用してもよい。
【0053】
睡眠状態測定部102は、睡眠時ユーザ識別情報取得部103から睡眠時ユーザ識別情報取得完了信号を入力すると、ユーザの睡眠時の脈拍、呼吸、体動などのデータである睡眠データを測定する。(ステップS2)。
睡眠状態測定部102は、睡眠時ユーザ識別情報取得部103が記憶部105に記憶させた睡眠時ユーザ識別情報を記憶部105から読み出す。そして、睡眠状態測定部102は、測定したユーザの睡眠データと読み出した睡眠時ユーザ識別情報とを通信部101を介してサーバ4に送信する(ステップS3)。なお、睡眠状態測定部102は、ユーザによるユーザ情報の登録があった場合、そのユーザ情報を睡眠データと睡眠時ユーザ識別情報と共にサーバ4に送信する。すると、サーバ4では、そのユーザ情報が示すユーザに対して
図5で示したようなデータテーブルTBL1が作成される。
【0054】
なお、睡眠時ユーザ識別情報取得部103が睡眠時ユーザ識別情報を取得した際のユーザと、睡眠状態測定部102が睡眠データを測定した際のユーザとが異なることも考えられる。そのため、睡眠時ユーザ識別情報取得部103は、睡眠状態測定部102が睡眠データを測定中に、並行して睡眠時ユーザ識別情報を取得することが望ましい。例えば、睡眠時ユーザ識別情報取得部103は、ユーザが体重計の機能を有する寝具のマット上にいる状態で睡眠時ユーザ識別情報を取得する。そして、睡眠時ユーザ識別情報取得部103がマット上のユーザの体重が変化しないことを検出しながら、睡眠状態測定部102がその状態で睡眠データを取得する。睡眠時ユーザ識別情報取得部103がマット上のユーザの体重変化を検出した場合、ユーザが異なると判定する。そして、睡眠状態測定部102は、睡眠データの取得を停止する。こうすることで、同一ユーザの睡眠データを測定することができる。
【0055】
次に、サーバ4がユーザ毎に睡眠データと睡眠時ユーザ識別情報と関連付けて記憶する処理について説明する。
サーバ4において睡眠状態測定部102は、ユーザの睡眠が車両3を運転するのに充分である最初の睡眠データと睡眠時ユーザ識別情報とを関連付けて、睡眠充分データを示す睡眠充分フラグ“1”と、睡眠状態を解析する際の判定基準として使用することを示す判定フラグ“1”とともにユーザ毎のデータテーブルTBL1に記憶する(ステップS4)。
サーバ4が備える睡眠データ解析部302は、睡眠データ測定装置2からネットワークNWを介してユーザの睡眠データと睡眠時ユーザ識別情報とを受信する度に、受信した睡眠時ユーザ識別情報と各ユーザのデータテーブルTBL1における睡眠時ユーザ識別情報とを比較する。そして、睡眠データ解析部302は、受信した睡眠時ユーザ識別情報と同一の睡眠時ユーザ識別情報とを有するデータテーブルTBL1を特定する(ステップS5)。例えば、受信した睡眠時ユーザ識別情報が血圧である場合、睡眠データ解析部302は、受信した血圧と、各ユーザに対応するデータテーブルTBL1における判定フラグ“1”を有するデータの血圧とを比較する。そして、睡眠データ解析部302は、受信した血圧と、各ユーザに対応するデータテーブルTBL1における判定フラグ“1”を有するデータの血圧との差が設定した差に収まる場合に、受信した睡眠時ユーザ識別情報に対応するユーザのデータテーブルTBL1であると特定する。
そして、睡眠データ解析部302は、特定したデータテーブルTBL1において判定フラグとともに記憶されている睡眠充分データと、睡眠データ測定装置2から受信したユーザの睡眠データとを比較して、睡眠データ測定装置2が測定したユーザの睡眠が充分であるか否かを判定する(ステップS6)。例えば、睡眠データ解析部302は、
図5に示すデータテーブルTBL1において判定フラグ“1”と睡眠充分フラグ“1”とともに記憶
されているデータ1の睡眠充分データが含む単位時間当たりの呼吸回数、単位時間当たりの脈拍数及び脈拍の強さと、ユーザの睡眠毎の睡眠データが含む単位時間当たりの呼吸回数、単位時間当たりの脈拍数及び脈拍の強さのそれぞれを比較する。そして、睡眠データ解析部302は、データ1の睡眠データが含む単位時間当たりの呼吸回数、単位時間当たりの脈拍数及び脈拍の強さと、ユーザの睡眠毎の睡眠データが含む単位時間当たりの呼吸回数、単位時間当たりの脈拍数及び脈拍の強さのそれぞれが同一であると判定した場合、ユーザの睡眠が充分であると判定する(ステップS6、YES)。この場合、睡眠データ解析部302は、睡眠データに対応する睡眠充分フラグを“1”にして(ステップS7)、睡眠データを睡眠時ユーザ識別情報とともに記憶部303に記憶させる(ステップS8)。
また、睡眠データ解析部302は、データ1の睡眠データが含む単位時間当たりの呼吸回数、単位時間当たりの脈拍数及び脈拍の強さと、ユーザの睡眠毎の睡眠データが含む単位時間当たりの呼吸回数、単位時間当たりの脈拍数及び脈拍の強さのそれぞれが1つでも同一ではないと判定した場合、ステップS6の処理をユーザの睡眠は充分ではないと判定する(ステップS6、NO)。この場合、睡眠データ解析部302は、ステップS7の処理を行わずに睡眠時ユーザ識別情報とともに記憶部303に記憶させる(ステップS8)。
このように、記憶部303は、ユーザ毎に過去の睡眠データを蓄積する。
【0056】
なお、ダイエット中のユーザによる呼気ガス中のアセトン濃度は高くなる。そのため、睡眠データ解析部302は、睡眠データ測定装置2から受信した睡眠時ユーザ識別情報と過去の睡眠時ユーザ識別情報との比較結果が呼気ガス中のアセトン濃度に設定した差以上となった場合、アセトン濃度が所定のしきい値よりも高いか否かを判定する。睡眠データ解析部302は、所定にしきい値よりも高いと判定した場合、そのアセトン濃度はユーザがダイエット中のデータであると判定し、アセトン濃度の判定に関しては、判定基準を変更して判定するものであってもよい。例えば、呼気ガス中のアセトン濃度のしきい値を5パーセントに設定して、5パーセントを超えるとユーザはダイエット中であっても本人と認証する。
【0057】
次に、ユーザが車両3を運転する際に車両3が運転時ユーザ識別情報を取得する処理について説明する。
ユーザ情報入力部204は、ユーザがユーザ識別情報入力装置30を使用する初回の初期登録時にユーザによる操作に基づいてユーザの識別に使用する情報を取得する。例えば、ユーザ情報入力部204は、ユーザがユーザ識別情報入力装置30を使用する初回の初期登録時にユーザによる操作に基づいて入力される氏名や年齢などの情報を取得する。また、例えば、ユーザ情報入力部204は、ユーザがユーザ識別情報入力装置30を使用する初回の初期登録時にユーザによる操作に基づいて血圧によるユーザの識別の精度を向上させるために使用する性別の情報を取得する。また、例えば、ユーザ情報入力部204は、体格指数を算出する際に使用する身長の情報を取得する。ユーザ情報入力部204は、例えば、タッチパネルやキーボードなどである。
ユーザが睡眠データ測定装置2を使用する初回の初期登録が完了すると、ユーザは、車両3を運転する際に、運転時ユーザ識別情報取得部202のそれぞれを身に着けたり、運転時ユーザ識別情報取得部202を備えるシートに座るなどして、車両3が運転時ユーザ識別情報を取得する準備をする。
そして、車両3が備える運転時ユーザ識別情報取得部202は、ユーザが車両3を運転する際に、運転時ユーザ識別情報を取得する(ステップS9)。例えば、ユーザが車両3を運転する直前に、血圧測定部202aは、運転時ユーザ識別情報としてユーザの身体的特徴の1つであるユーザの血圧を測定する。また、体温測定部202bは、ユーザが車両3を運転する際に、ユーザの体温を測定する。また、体重測定部202cは、ユーザの身体的特徴の1つである運転時ユーザ識別情報としてユーザの体重を測定する。また、体組成測定部202dは、生体インピーダンス測定部202fが測定するユーザの生体インピーダンスに基づき、運転時ユーザ識別情報としてユーザの身体的特徴の1つである体組成を測定する。また、体格指数測定部202eは、ユーザの体重と身長とに基づいて、運転時ユーザ識別情報としてユーザの身体的特徴の1つであるユーザの体格指数を算出する。また、アセトン濃度測定部202gは、運転時ユーザ識別情報としてユーザの身体的特徴の1つであるユーザの呼気ガス中に含まれるアセトン濃度を測定する。
運転時ユーザ識別情報取得部202は、運転時ユーザ識別情報を取得すると、取得した運転時ユーザ識別情報を通信部301を介してサーバ4に送信する(ステップS10)。
なお、運転時ユーザ識別情報取得部202は、身体的特徴の1つであるユーザの指紋や声紋などを運転時ユーザ識別情報として使用してもよい。
【0058】
次に、ユーザが車両3を運転する際に、サーバ4がユーザが運転するのに充分な睡眠であるか否かを判定する処理について説明する。
サーバ4が備える一定時間内取得データ特定部304は、ステップS10の処理により、車両3から通信部301を介して、運転時ユーザ識別情報を受信する(ステップS11)。一定時間内取得データ特定部304は、記憶部303から各ユーザに対応するデータテーブルTBL1における睡眠時ユーザ識別情報を読み出す。そして、一定時間内取得データ特定部304は、受信した運転時ユーザ識別情報と、読み出したデータテーブルTBL1における睡眠時ユーザ識別情報のそれぞれとを比較する。そして、一定時間内取得データ特定部304は、運転時ユーザ識別情報と睡眠時ユーザ識別情報との比較結果が、血圧、体温、体重、体組成(体脂肪、内臓脂肪、皮下脂肪、筋肉、骨、体水分、その他の体内成分)、体格指数、生体インピーダンス、呼気ガス中のアセトン濃度のそれぞれに設定した差に収まるか否かを判定する(ステップS12)。
【0059】
また、一定時間内取得データ特定部304は、運転時ユーザ識別情報と睡眠時ユーザ識別情報との比較結果が、血圧、体温、体重、体組成(体脂肪、内臓脂肪、皮下脂肪、筋肉、骨、体水分、その他の体内成分)、体格指数、生体インピーダンス、呼気ガス中のアセトン濃度のそれぞれに設定した差に収まらないと判定した場合(ステップS12、NO)、同一ユーザのデータテーブルTBL1はないと判定する。そして、サーバ4は、睡眠データ測定装置2及び車両3から次のデータを受信するのを待つ(ステップS13)。
【0060】
また、一定時間内取得データ特定部304は、運転時ユーザ識別情報と睡眠時ユーザ識別情報との比較結果が、血圧、体温、体重、体組成(体脂肪、内臓脂肪、皮下脂肪、筋肉、骨、体水分、その他の体内成分)、体格指数、生体インピーダンス、呼気ガス中のアセトン濃度のそれぞれに設定した差に収まると判定した場合(ステップS12、YES)、その判定に使用したデータテーブルTBL1におけるに対応するユーザが、同一ユーザであると判定する。そして、一定時間内取得データ特定部304は、同一であると判定したユーザのデータテーブルTBL1における睡眠データのうち過去の一定時間内の睡眠データを睡眠データが有する時刻データに基づいて一定時間内取得データと特定する(ステップS14)。例えば、一定時間内取得データ特定部304は、同一であると判定したユーザの
図5で示したデータテーブルTBL1における睡眠データのうち現在から過去24時間以内の睡眠データである睡眠データ3、4、5を一定時間内取得データと特定する。
一定時間内取得データ特定部304は、特定した一定時間内取得データを示す一定時間内取得報知情報を睡眠不足判定部305に出力する。
【0061】
睡眠不足判定部305は、一定時間内取得データ特定部304から一定時間内取得報知情報を入力すると、入力した一定時間内取得報知情報が示すデータを記憶部303から読み出す。そして、睡眠不足判定部305は、読み出したデータのうち睡眠充分フラグを有する睡眠データの睡眠時間の合計を算出する(ステップS15)。例えば、睡眠不足判定部305は、入力した一定時間内取得報知情報が示すデータとして記憶部303からデータ3、4、5と読み出した場合、睡眠充分フラグを有する睡眠データ3、4の睡眠時間の合計を算出する。
【0062】
そして、睡眠不足判定部305は、算出した睡眠時間の合計がユーザの睡眠は充分でありユーザは運転してよいと判定する所定時間以上であるか否かを判定する(ステップS16)。睡眠不足判定部305は、算出した睡眠時間の合計が所定時間以上であると判定した場合(ステップS16、YES)、ユーザは車両3を運転してよいと判定する。そして、睡眠不足判定部305は、ユーザの睡眠は充分でありユーザは運転してよいことを示す運転許可情報を通信部301を介して、車両3に送信する(ステップS17)。
【0063】
また、睡眠不足判定部305は、算出した睡眠時間の合計が所定時間よりも短いと判定した場合(ステップS16、NO)、ユーザの睡眠不足は不充分でありユーザは運転してはいけないと判定する。そして、睡眠不足判定部305は、ユーザの睡眠は不充分でありユーザは運転してはいけないことを示す運転不許可情報を通信部301を介して、車両3に送信する(ステップS18)。
【0064】
次に、ユーザの睡眠は充分である場合とユーザの睡眠が不充分である場合に車両3が行う処理について説明する。
サーバ4がステップS17の処理を行った場合、車両3が備える制御部203は、サーバ4から通信部201を介して運転許可情報を受信する。この場合、制御部203は、ユーザが車両3を運転できるように制御する(ステップS19)。例えば、制御部203は、車両3におけるすべての操作を受け付けるように制御する。
【0065】
また、サーバ4がステップS18の処理を行った場合、制御部203は、サーバ4から通信部201を介して運転不許可情報を受信する。この場合、制御部203は、ユーザが車両3を運転できないように制御する(ステップS20)。例えば、制御部203は、車両3の動力源が動作しないように制御したり、車両3におけるすべての操作を受け付けないように制御する。
【0066】
以上、本発明の一実施形態による安全運転管理システム1の処理について説明した。上述の睡眠不足判定装置5と車両3とを有する安全運転管理システム1によれば、睡眠不足判定装置5は、睡眠不足判定部305を備える。睡眠不足判定部305は、運転者の睡眠が充分である場合の少なくとも呼吸または脈拍の一方を含む睡眠充分データと、運転者の車両3の運転開始のため搭乗した時から過去の一定時間内に測定した睡眠充分データと同一の少なくとも呼吸または脈拍の一方を含む一定時間内取得データとを比較する。そして、睡眠不足判定部305は、睡眠充分データと一定時間内取得データとの差が所定の差以上である場合に、運転者が睡眠不足であると判定する。
このようにすれば、安全運転管理システム1は、ユーザが車両3を運転する前に、睡眠不足を判定することができる。
【0067】
また、一定時間内取得データ特定部304は、睡眠充分データが含む少なくとも呼吸または脈拍の一方に関連付けられた当該少なくとも呼吸または脈拍の一方を測定した際に測定した運転者の身体の測定情報と、運転者の車両3の運転開始のため搭乗した時に測定した運転者の身体の測定情報とに基づいて、運転者の一定時間内取得データを特定する。
このようにすれば、安全運転管理システム1は、ユーザが車両3を運転する前に、ユーザを認証することができ、睡眠不足のユーザが運転することを禁止することができる。
【0068】
また、一定時間内取得データ特定部304は、身体的特徴として、ユーザの血圧、体温、体重、体組成(体脂肪、内臓脂肪、皮下脂肪、筋肉、骨、体水分、その他の体内成分)、体格指数、生体インピーダンス、呼気ガス中のアセトン濃度などを用いる。
このようにすれば、安全運転管理システム1は、身体的特徴の種類を増やせばユーザ認証の確度が向上する。
【0069】
また、制御部203は、睡眠不足判定部305が運転者の睡眠が不充分であると判定した場合に、運転者が車両3を運転できないよう車両3を制御する。
このようにすれば、安全運転管理システム1は、ユーザが車両3を運転する際の睡眠が不充分である場合、ユーザが車両3を運転することを禁止することができる。
【0070】
また、睡眠データ測定装置2において、運転者の睡眠データを取得する際に、睡眠時ユーザ識別情報取得部103が身体の測定情報に基づいて運転者を識別し、車両3が備えるユーザ識別情報入力装置30において、運転時ユーザ識別情報取得部202が運転者が車両3を運転する際に、睡眠時ユーザ識別情報取得部103が用いた身体の測定情報と同種の身体の測定情報に基づいて運転者を識別する。
このようにすれば、運転者が睡眠する場所と運転する場所の異なる場所で認証を行う必要があり、同一人物が異なる場所にいなければならないということによりなりすましを防止することができる。
【0071】
なお、本発明の一実施形態による安全運転管理システム1の処理について説明したが、睡眠不足判定装置5は、サーバ4が備えるものに限定するものではない。睡眠不足判定装置5は、適切な処理と通信を行える限り安全運転管理システム1が備えるどの装置に備えられていてもよい。
また、安全運転管理システム1は、身体的特徴として、ユーザの血圧、体温、体重、体組成(体脂肪、内臓脂肪、皮下脂肪、筋肉、骨、体水分、その他の体内成分)、体格指数、生体インピーダンス、呼気ガス中のアセトン濃度のすべてを用いるものに限定するものではない。安全運転管理システム1は、適切な判定処理が行われる限りどのような身体的特徴を用いてもよい。
また、睡眠時ユーザ識別情報取得部103は、睡眠データ測定装置2に備えられるものに限定するものではない。例えば、睡眠時ユーザ識別情報取得部103は、睡眠データ測定装置2とは別の装置であってもよい。
また、睡眠時ユーザ識別情報取得部103は、別の装置が測定したユーザの身体の測定情報を入力デバイスを介して取得するものであってもよい。例えば、睡眠時ユーザ識別情報取得部103は、ユーザの身体の測定情報をキーボードを介して情報を入力されることにより取得するものであってもよい。
また、運転時ユーザ識別情報取得部202は、別の装置が測定したユーザの身体の測定情報を入力デバイスを介して取得するものであってもよい。例えば、運転時ユーザ識別情報取得部202は、ユーザの身体の測定情報をキーボードを介して情報を入力されることにより取得するものであってもよい。
【0072】
なお、本発明における記憶部は、適切な情報の送受信が行われる範囲においてどこに備えられていてもよい。また、記憶部は、適切な情報の送受信が行われる範囲において複数存在しデータを分散して記憶していてもよい。
【0073】
なお、本発明の実施形態における処理フローは、適切な処理が行われる範囲において、処理の順番が入れ替わってもよい。
【0074】
なお、本発明の実施形態について説明したが、上述の安全運転管理システム1が備える睡眠データ測定装置2、車両3及びサーバ4は内部に、コンピュータシステムを有している。そして、上述した処理の過程は、プログラムの形式でコンピュータ読み取り可能な記録媒体に記憶されており、このプログラムをコンピュータが読み出して実行することによって、上記処理が行われる。ここでコンピュータ読み取り可能な記録媒体とは、磁気ディスク、光磁気ディスク、CD-ROM、DVD-ROM、半導体メモリ等をいう。また、このコンピュータプログラムを通信回線によってコンピュータに配信し、この配信を受けたコンピュータが当該プログラムを実行するようにしても良い。
【0075】
また、上記プログラムは、前述した機能の一部を実現するためのものであっても良い。更に、前述した機能をコンピュータシステムにすでに記録されているプログラムとの組み合わせで実現できるもの、いわゆる差分ファイル(差分プログラム)であっても良い。
【0076】
本発明のいくつかの実施形態を説明したが、これらの実施形態は、例として提示したものであり、発明の範囲を限定するものではない。また、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行うことができるものである。
【符号の説明】
【0077】
1・・・安全運転管理システム
2・・・睡眠データ測定装置
3・・・車両
4・・・サーバ
5・・・睡眠不足判定装置
30・・・ユーザ識別情報入力装置
101、201、301・・・通信部
102・・・睡眠状態測定部
103・・・睡眠時ユーザ識別情報取得部
103a、202a・・・血圧測定部
103b、202b・・・体温測定部
103c、202c・・・体重測定部
103d、202d・・・体組成測定部
103e、202e・・・体格指数測定部
103f、202f・・・生体インピーダンス測定部
103g、202g・・・アセトン濃度測定部
104、203、306・・・制御部
105、303・・・記憶部
106、204・・・ユーザ情報入力部
302・・・睡眠データ解析部
304・・・一定時間内取得データ特定部
305・・・睡眠不足判定部
NW・・・ネットワーク
【手続補正書】
【提出日】2022-02-28
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ユーザの睡眠時に測定される睡眠データを取得する睡眠データ取得部と、
前記ユーザによる車両の運転の可否を判定する睡眠不足判定部と、を備える睡眠不足判定装置において行われる方法であって、
前記睡眠不足判定部が、前記睡眠データ取得部によって取得された睡眠データのうち前記ユーザの車両の運転開始のための搭乗時点から過去の一定時間遡った時点以降に測定された前記睡眠データである一定時間内睡眠データを特定し、前記一定時間内睡眠データの中から前記車両を運転するための基準を満たす睡眠状態となっている時間の合計に基づいて、前記ユーザによる前記車両の運転の可否を判定する方法。
【請求項2】
前記ユーザの前記睡眠データを取得する際に、身体の測定情報に基づいて前記ユーザを識別する睡眠時ユーザ識別情報取得部をさらに備える睡眠不足判定装置において行われる方法であって、
前記睡眠不足判定部が、前記睡眠データ取得部が取得した睡眠データのうち、睡眠時ユーザ識別情報取得部によって前記ユーザであることが識別された前記睡眠データを、前記一定時間内睡眠データとして特定する、
請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記睡眠不足判定部が前記ユーザによる前記車両の運転が不可であると判定した場合に、前記ユーザが前記車両を運転できないよう前記車両を制御する、
を備える、請求項1または請求項2に記載の方法。
【請求項4】
前記睡眠不足判定部が、前記ユーザが車両を運転する際に、前記一定時間内睡眠データの中から前記車両を運転するための基準を満たす睡眠状態となっている時間の合計に基づいて、前記ユーザによる前記車両の運転の可否を判定する、請求項1から3の何れか1項に記載の方法。