(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022078176
(43)【公開日】2022-05-24
(54)【発明の名称】注射デバイスに取り付けるためのデータ収集装置
(51)【国際特許分類】
A61M 5/315 20060101AFI20220517BHJP
【FI】
A61M5/315 550Z
A61M5/315 550P
【審査請求】有
【請求項の数】18
【出願形態】OL
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2022031372
(22)【出願日】2022-03-02
(62)【分割の表示】P 2019513446の分割
【原出願日】2017-09-08
(31)【優先権主張番号】16188182.6
(32)【優先日】2016-09-09
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
(71)【出願人】
【識別番号】397056695
【氏名又は名称】サノフィ-アベンティス・ドイチュラント・ゲゼルシャフト・ミット・ベシュレンクテル・ハフツング
(74)【代理人】
【識別番号】100127926
【弁理士】
【氏名又は名称】結田 純次
(74)【代理人】
【識別番号】100140132
【弁理士】
【氏名又は名称】竹林 則幸
(72)【発明者】
【氏名】クリスティアン・リーバイン
(72)【発明者】
【氏名】スヴェン・ハーゲブッシュ
(72)【発明者】
【氏名】クリス・クノール
(72)【発明者】
【氏名】マウリス・トーポレク
(72)【発明者】
【氏名】マティーアス・フェルバー
(72)【発明者】
【氏名】アレクサンダー・ハインリヒ
(57)【要約】 (修正有)
【課題】注射デバイスに取り付けて注射デバイスから薬剤投与量情報を収集するためのデータ収集デバイスを提供する。
【解決手段】データ収集デバイス20は、データ収集デバイスを薬剤投与デバイスの用量設定ダイヤル12に取り付けるための取付けアセンブリ23と、薬剤投与デバイスの内部構成要素の表面のうち、内部構成要素70の表面に形成された比較的反射性の領域および無反射領域のパターンを含む部分を照明するように構成された光源32と、少なくとも比較的反射性の領域によって反射された光を受けるように構成された光センサ34とを含む。
【選択図】
図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
データ収集デバイスであって:
該データ収集デバイスを薬剤投与デバイスの用量設定ダイヤルに取り付けるための取付けアセンブリと;
薬剤投与デバイスの内部構成要素の表面のうち、該内部構成要素の表面に形成された比較的反射性の領域および無反射領域のパターンを含む部分を照明するように構成された光源と;
少なくとも比較的反射性の領域によって反射された光を受けるように構成された光センサとを含む前記データ収集デバイス。
【請求項2】
光源および光センサは、薬物送達デバイスの用量設定ダイヤルに当接するデータ収集デバイスの側に支持される、請求項1に記載のデータ収集デバイス。
【請求項3】
取付けアセンブリは、薬剤投与デバイスの用量設定ダイヤルが光源と、内部構成要素の表面の部分と、光センサとの間の光路内に配置されるように、データ収集デバイスを薬剤投与デバイスの用量設定ダイヤルに解放可能に取り付けるように構成される、請求項1または2に記載のデータ収集デバイス。
【請求項4】
光源および光センサは、データ収集デバイスが用量設定ダイヤルに取り付けられているとき、光源と、内部構成要素と、光センサとの間の光路が用量設定ダイヤルの近位端面を通るように、用量設定ダイヤルの近位に位置する、請求項3に記載のデータ収集デバイス。
【請求項5】
光源および光センサは、データ収集デバイスが用量設定ダイヤルに取り付けられているとき、光源と、内部構成要素と、光センサとの間の光路が用量設定ダイヤルの側面を通るように、取付けアセンブリと用量設定ダイヤルとの間に位置する、請求項3に記載のデータ収集デバイス。
【請求項6】
薬剤投与デバイスの用量設定ダイヤルは、光源によって放出される電磁放射を少なくとも部分的に透過する、請求項1~5のいずれか1項に記載のデータ収集デバイス。
【請求項7】
電磁放射は赤外光である、請求項6に記載のデータ収集デバイス。
【請求項8】
データ収集デバイスは、光源および光センサを含むエレクトロニクスアセンブリを含む、請求項1~7のいずれか1項に記載のデータ収集デバイス。
【請求項9】
エレクトロニクスアセンブリは、取付けアセンブリに対して長手方向に動くように構成される、請求項8に記載のデータ収集デバイス。
【請求項10】
エレクトロニクスアセンブリは、データ収集デバイスが用量設定ダイヤルに取り付けられたときは用量設定ダイヤルの用量送達ボタンに当接し、エレクトロニクスアセンブリが取付けアセンブリに対して遠位方向へ長手方向に動かされたときは用量送達ボタンを押し下げるように構成され、光源と、内部構成要素と、光センサとの間の光路は、用量送達ボタンを通る、請求項9に記載のデータ収集デバイス。
【請求項11】
エレクトロニクスアセンブリおよび取付けアセンブリは、ともにしっかりと連結される、請求項8に記載のデータ収集デバイス。
【請求項12】
エレクトロニクスアセンブリは、データ収集デバイスが用量設定ダイヤルに取り付けら
れているとき、用量設定ダイヤルの近位端面に当接するように構成される、請求項11に記載のデータ収集デバイス。
【請求項13】
データ収集デバイスは、光センサからの信号を受けて薬剤投与デバイスからの薬剤送達の発生を検出するように構成されたプロセッサ配置を含む、請求項1~12のいずれか1項に記載のデータ収集デバイス。
【請求項14】
プロセッサ配置は、2回の別個の薬剤送達の発生を検出し、2回の送達が互いに所定の時間内に発生したと判定したときは2回の薬剤送達を融合するように構成される、請求項13に記載のデータ収集デバイス。
【請求項15】
プロセッサ配置は、光センサから受けた信号から、内部構成要素の回転量を判定するように構成される、請求項13または14に記載のデータ収集デバイス。
【請求項16】
データ収集デバイスは、データ収集デバイスの近位端への力の印加によってトリガされるように構成されたスイッチをさらに含み、該スイッチのトリガは、少なくとも光源、光センサ、およびプロセッサ配置の起動を引き起こすように構成される、請求項13~15のいずれか1項に記載のデータ収集デバイス。
【請求項17】
スイッチは、薬剤投与デバイスの下にある構成要素の反射および/または色を感知し、反射および/または色の変化が検出されたときはウェークアップ信号を提供するように構成された光ウェークアップセンサである、請求項16に記載のデータ収集デバイス。
【請求項18】
データ収集デバイスは、タイマをさらに含み、スイッチは、タイマの起動をトリガするように構成され、データ収集デバイスは、タイマが最後にトリガされてからの経過時間を判定し、経過時間が閾値条件に一致しない場合は警報を生成するようにさらに構成される、請求項16または17に記載のデータ収集デバイス。
【請求項19】
プロセッサ配置は:
前記タイマを使用して薬剤投与量を投与するためのタイムスタンプを判定し、判定した薬剤投与量および前記タイムスタンプを記憶し、
判定した内部構成要素の回転角およびタイムスタンプ情報のログを別のデバイスへ伝送するように構成される、請求項16~18のいずれか1項に記載のデータ収集デバイス。
【請求項20】
システムであって:
薬剤投与デバイスであり:
用量設定ダイヤル;ならびに
該デバイスから薬剤の用量が送達されるときに該デバイスの長手方向軸の周りで回転する内部構成要素を含み、該内部構成要素が、該内部構成要素の表面に形成された比較的反射性の領域および無反射領域のパターンを含む、薬剤投与デバイスと、
請求項1~19のいずれか1項に記載のデータ収集デバイスとを含む前記システム。
【請求項21】
システムであって:
薬剤投与デバイスであり:
用量設定ダイヤル;ならびに
該デバイスから薬剤の用量が送達されるときに該デバイスの長手方向軸の周りで回転する内部構成要素を含み、該内部構成要素が、該内部構成要素の表面に形成された比較的反射性の領域および無反射領域のパターンを含む、薬剤投与デバイスと、
データ収集デバイスであり:
該データ収集デバイスを用量設定ダイヤルに取り付けるための取付けアセンブリ;
内部構成要素の表面のうち、比較的反射性の領域および無反射領域のパターンを含む部分を照明するように構成された光源;ならびに
少なくとも比較的反射性の領域によって反射された光を受けるように構成された光センサを含むデータ収集デバイスとを含む前記システム。
【請求項22】
光源および光センサは、薬物送達デバイスの用量設定ダイヤルに当接するデータ収集デバイスの側に支持される、請求項21に記載のシステム。
【請求項23】
比較的反射性の領域および無反射領域のパターンは、内部構成要素の近位端面に形成された均等に隔置されている比較的反射性の領域および無反射領域を含む、請求項21または22に記載のシステム。
【請求項24】
光源および光センサは、データ収集デバイスが用量設定ダイヤルに取り付けられているとき、光源と、内部構成要素と、光センサとの間の光路が用量設定ダイヤルを通るように、取付けアセンブリと用量設定ダイヤルとの間に位置する、請求項21~23のいずれか1項に記載のシステム。
【請求項25】
光源と、内部構成要素と、光センサとの間の光路はまた、用量送達ボタンの一部を通る、請求項24に記載のシステム。
【請求項26】
比較的反射性の領域および無反射領域のパターンは、内部構成要素の外周面に形成された均等に隔置されている比較的反射性の領域および無反射領域を含む、請求項24または25に記載のシステム。
【請求項27】
薬剤投与デバイスは、ハウジングを含み、用量設定ダイヤルは、デバイスから薬剤の用量が送達されるとき、ハウジングに対して回転しない、請求項21~26のいずれか1項に記載のシステム。
【請求項28】
内部構成要素は、等しく隔置されている複数の鋸歯状物を含み、比較的反射性の領域は、鋸歯状物の上面に形成される、請求項21~27のいずれか1項に記載のシステム。
【請求項29】
データ収集デバイスであって:
データ収集デバイスを薬剤投与デバイスの用量設定ダイヤルに取り付けるための取付けアセンブリと;
薬剤投与デバイスの内部構成要素の回転を検出するように構成された非接触センサを含むエレクトロニクスアセンブリとを含み、内部構成要素は、薬剤投与デバイスから用量が送達されるときに回転するように構成される前記データ収集デバイス。
【請求項30】
薬剤投与デバイスの内部構成要素は、1つまたはそれ以上の磁石または磁性区域を含み、非接触センサは、内部構成要素が回転したときに磁場の変化を検出するように構成された磁気センサである、請求項29に記載のデータ収集デバイス。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、注射デバイスに取り付けて注射デバイスから薬剤投与量情報を収集するためのデータ収集デバイスに関する。
【背景技術】
【0002】
薬剤の注射による定期的な治療を必要とする様々な疾病が存在する。そのような注射は、医療従事者または患者自身によって適用される注射デバイスを使用することによって実行することができる。一例として、1型および2型の糖尿病は、たとえば1日1回または数回のインスリン用量の注射によって、患者自身が治療することができる。たとえば、充填済みの使い捨てインスリンペンを、注射デバイスとして使用することができる。別法として、再利用可能なペンを使用することもできる。再利用可能なペンでは、空の薬剤カートリッジを新しいものに交換することが可能である。どちらのペンにも、1組の使い捨ての針が付属しており、これらの針は、使用前に毎回交換される。次いで、投与量ノブ(dosage knob)を回し、インスリンペンの用量窓またはディスプレイから実際の用量を観察することによって、注射予定のインスリン用量をたとえばインスリンペンにおいて手動で選択することができる。次いで、好適な皮膚部分に針を挿入し、インスリンペンの投与量ノブまたは注射ボタンを押下することによって、用量が注射される。インスリン注射を監視すること、たとえばインスリンペンの誤った取扱いを防止すること、またはすでに施された用量を追跡することができるように、たとえば注射されたインスリン用量に関する情報など、注射デバイスの条件および/または使用に関係する情報を測定することが望ましい。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0003】
第1の態様は、データ収集デバイスであって:
データ収集デバイスを薬剤投与デバイスの用量設定ダイヤルに取り付けるための取付けアセンブリと;
薬剤投与デバイスの内部構成要素の表面のうち、内部構成要素の表面に形成された比較的反射性の領域および無反射領域のパターンを含む部分を照明するように構成された光源と;
少なくとも比較的反射性の領域によって反射された光を受けるように構成された光センサとを含むデータ収集デバイスを提供する。
【0004】
第2の態様は、システムであって:
薬剤投与デバイスであり:
用量設定ダイヤル;ならびに
デバイスから薬剤の用量が送達されるときにデバイスの長手方向軸の周りで回転する内部構成要素を含み、内部構成要素が、内部構成要素の表面に形成された比較的反射性の領域および無反射領域のパターンを含む、薬剤投与デバイスと、
第1の態様によるデータ収集デバイスとを含むシステムを提供する。
【0005】
第3の態様は、システムであって:
薬剤投与デバイスであり:
用量設定ダイヤル;ならびに
デバイスから薬剤の用量が送達されるときにデバイスの長手方向軸の周りで回転する内部構成要素を含み、内部構成要素が、内部構成要素の表面に形成された比較的反射性の領域および無反射領域のパターンを含む、薬剤投与デバイスと、
データ収集デバイスであり:
データ収集デバイスを用量設定ダイヤルに取り付けるための取付けアセンブリ;
内部構成要素の表面のうち、比較的反射性の領域および無反射領域のパターンを含む部分を照明するように構成された光源;ならびに
少なくとも比較的反射性の領域によって反射された光を受けるように構成された光センサを含むデータ収集デバイスとを含むシステムを提供する。
【0006】
光源および光センサは、薬物送達デバイスの用量設定ダイヤルに当接するデータ収集デバイスの側に支持することができる。取付けアセンブリは、薬剤投与デバイスの用量設定ダイヤルが光源と、内部構成要素の表面の部分と、光センサとの間の光路内に配置されるように、データ収集デバイスを薬剤投与デバイスの用量設定ダイヤルに解放可能に取り付けるように構成することができる。
【0007】
光源および光センサは、データ収集デバイスが用量設定ダイヤルに取り付けられているとき、光源と、内部構成要素と、光センサとの間の光路が用量設定ダイヤルの近位端面を通るように、用量設定ダイヤルの近位に位置することができる。別法として、光源および光センサは、データ収集デバイスが用量設定ダイヤルに取り付けられているとき、光源と、内部構成要素と、光センサとの間の光路が用量設定ダイヤルの側面を通るように、取付けアセンブリと用量設定ダイヤルとの間に位置することができる。
【0008】
薬剤投与デバイスの用量設定ダイヤルは、光源によって放出される電磁放射を少なくとも部分的に透過することができる。電磁放射は、赤外光とすることができる。
【0009】
第1または第2の態様のデータ収集デバイスは、光源および光センサを含むエレクトロニクスアセンブリを含むことができる。エレクトロニクスアセンブリは、取付けアセンブリに対して長手方向に動くように構成することができる。薬剤投与デバイスの用量設定ダイヤルは、用量送達ボタンをさらに含むことができる。エレクトロニクスアセンブリは、データ収集デバイスが用量設定ダイヤルに取り付けられたときは用量送達ボタンに当接し、エレクトロニクスアセンブリが取付けアセンブリに対して遠位方向へ長手方向に動かされたときは用量送達ボタンを押し下げるように構成することができる。
【0010】
光源および光センサは、データ収集デバイスが用量設定ダイヤルに取り付けられているとき、光源と、内部構成要素と、光センサとの間の光路が用量送達ボタンを通るように、用量送達ボタンの近位に位置することができる。光源および光センサは、エレクトロニクスアセンブリの下面に位置することができる。
【0011】
比較的反射性の領域および無反射領域のパターンは、内部構成要素の近位端面に形成された均等に隔置されている比較的反射性の領域および無反射領域を含むことができる。
【0012】
光源および光センサは、データ収集デバイスが用量設定ダイヤルに取り付けられているとき、光源と、内部構成要素と、光センサとの間の光路が用量設定ダイヤルを通るように、取付けアセンブリと用量設定ダイヤルとの間に位置することができる。光源と、内部構成要素と、光センサとの間の光路はまた、用量送達ボタンの一部を通ることができる。
【0013】
比較的反射性の領域および無反射領域のパターンは、内部構成要素の外周面に形成された均等に隔置されている比較的反射性の領域および無反射領域を含むことができる。
【0014】
第1または第2の態様のデータ収集デバイスは、光源および光センサを含むエレクトロニクスアセンブリを含むことができる。エレクトロニクスアセンブリおよび取付けアセンブリは、ともにしっかりと連結することができる。エレクトロニクスアセンブリは、デー
タ収集デバイスが用量設定ダイヤルに取り付けられているとき、用量設定ダイヤルの近位端面に当接するように構成することができる。別法または追加として、エレクトロニクスアセンブリは、データ収集デバイスが用量設定ダイヤルに取り付けられているとき、用量設定ダイヤルの円周面に当接するように構成することができる。
【0015】
光源および光センサは、データ収集デバイスが用量設定ダイヤルに取り付けられているとき、光源と、内部構成要素と、光センサとの間の光路が用量設定ダイヤルを通るように、用量設定ダイヤルの近位に位置することができる。光源および光センサは、エレクトロニクスアセンブリの下面に位置することができる。
【0016】
別法として、光源および光センサは、データ収集デバイスが用量設定ダイヤルに取り付けられているとき、光源と、内部構成要素と、光センサとの間の光路が用量設定ダイヤルを通るように、取付けアセンブリと用量設定ダイヤルとの間に位置することができる。
【0017】
第1または第2の態様のデータ収集デバイスは、光センサからの信号を受けて薬剤投与デバイスからの薬剤送達の発生を検出するように構成されたプロセッサ配置を含むことができる。プロセッサ配置は、光センサから受けた信号から、内部構成要素の回転量を判定するように構成することができる。
【0018】
第1または第2の態様のデータ収集デバイスは、データ収集デバイスの近位端への力の印加によってトリガされるように構成されたスイッチをさらに含むことができ、スイッチのトリガは、少なくとも光源、光センサ、およびプロセッサ配置の起動を引き起こすように構成することができる。スイッチは、機械スイッチとすることができる。別法として、スイッチは、薬剤投与デバイスの下にある構成要素の反射および/または色を感知し、反射および/または色の変化が検出されたときはウェークアップ信号を提供するように構成された光ウェークアップセンサとすることができる。
【0019】
第1または第2の態様のデータ収集デバイスは、タイマをさらに含むことができ、スイッチは、タイマの起動をトリガするようにさらに構成することができる。第1または第2の態様のデータ収集デバイスは、タイマが最後にトリガされてからの経過時間を判定し、経過時間が閾値条件に一致しない場合は警報を生成するようにさらに構成することができる。
【0020】
プロセッサ配置は、前記タイマを使用して薬剤投与量を投与するためのタイムスタンプを判定し、判定した薬剤投与量および前記タイムスタンプを記憶するように構成することができる。プロセッサ配置は、判定した内部構成要素の回転角およびタイムスタンプ情報のログを別のデバイスへ伝送するように構成することができる。
【0021】
薬剤投与デバイスは、ハウジングを含むことができ、用量設定ダイヤルは、デバイスから薬剤の用量が送達されるとき、ハウジングに対して回転しない。内部構成要素は、等しく隔置されている複数の鋸歯状物を含むことができ、比較的反射性の領域は、鋸歯状物の上面に形成することができる。光源は赤外光源とすることができ、光源と光センサとの間の光路内に配置された薬剤投与デバイスの構成要素は、赤外光を完全または部分的に透過することができる。プロセッサ配置は、2回の別個の薬剤送達の発生を検出し、2回の送達が互いに所定の時間内に発生したと判定したときは2回の薬剤送達を融合するように構成することができる。
【0022】
第4の態様は、薬剤投与デバイスに解放可能に取付け可能なデータ収集デバイスであって:
前記薬剤投与デバイスからの用量ダイヤル設定および/または用量放出中に生成された
用量に関係する信号を検出するように適用されたセンサ配置と;
検出された信号に基づいて用量または回転角を判定するように適用されたプロセッサとを含み;
ここで、データ収集デバイスは、前記薬剤投与デバイスの用量選択要素に取付け可能になるように設計され、センサ配置は、前記薬剤投与デバイスに取り付けられたときに用量選択要素の方を向いている前記データ収集デバイスの取付け構成要素の内面に支持される、データ収集デバイスを提供する。
【0023】
概して、用量設定ダイヤルに近接して位置し、注射デバイスから用量が投薬されるときに回転する任意の構成要素を内部構成要素として使用することができ、内部構成要素は、内部構成要素の表面に形成された比較的反射性の領域および無反射性領域のパターンを有する。特定の実施形態は、注射デバイスに取り付けられているとき、用量ダイヤル(存在する場合は解放ボタンを含む)に当接するように構成された光源およびセンサ配置を有するデータ収集デバイスについて説明する。光源およびセンサは、切取り、アパーチャなどを必要とすることなく、材料を通過することができる放射を放出および検出するように構成され、したがって汚れの侵入を防止する。好適な放射の一例は赤外光である。
【0024】
第5の態様は、データ収集デバイスであって:
データ収集デバイスを薬剤投与デバイスの用量設定ダイヤルに取り付けるための取付けアセンブリと;
薬剤投与デバイスの内部構成要素の回転を検出するように構成された非接触センサを含むエレクトロニクスアセンブリとを含み、内部構成要素は、薬剤投与デバイスから用量が送達されるときに回転するように構成される、データ収集デバイスを提供する。
【0025】
薬剤投与デバイスの内部構成要素は、1つまたはそれ以上の磁石または磁性区域を含むことができ、非接触センサは、内部構成要素が回転したときに磁場の変化を検出するように構成された磁気センサとすることができる。
【0026】
例示的な実施形態について、添付の図を参照して次に説明する。
【図面の簡単な説明】
【0027】
【
図1】データ収集デバイスとともに使用するための注射デバイスの分解図である。
【
図2】
図1の注射デバイスに取り付けられたデータ収集デバイスを示す図である。
【
図3】第1のタイプの注射デバイスに取り付けられたときのデータ収集デバイスの横断面図である。
【
図4】データ収集デバイスの構成要素に対する代替配置を示す図である。
【
図5】データ収集デバイスの構成要素に対するさらなる代替配置を示す図である。
【
図6】データ収集デバイスを取り付けることができる第2のタイプの注射デバイスの切欠図である。
【
図7】
図6の注射デバイスに取り付けられたときのデータ収集デバイスの横断面図である。
【
図9】データ収集デバイスがパーソナルコンピュータなどの別のデバイスに接続されたシステムを示す図である。
【
図10】データ収集デバイスの構成要素に対するさらなる代替配置を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0028】
以下の開示では、実施形態についてインスリン注射デバイスを参照して説明する。しかし本開示は、そのような応用例に限定されるものではなく、他の薬剤を放出する注射デバ
イスにも等しく適当に利用することができる。
【0029】
図1は、薬剤投与デバイスの分解図である。この例では、薬剤投与デバイスは、SanofiのAllStar(登録商標)インスリン注射ペンなどの注射デバイス1であるが、本発明はまた、後述するような他のタイプおよびメーカーの注射ペンにも適合している。
【0030】
図1の注射デバイス1は、ハウジング10を含み、インスリン容器14を収容する充填済み注射ペンであり、インスリン容器14に針15を取り付けることができる。注射デバイス1は、使い捨てであっても再利用可能であってもよい。針は、内側ニードルキャップ16および外側ニードルキャップ17または代替キャップ18によって保護される。注射デバイス1から放出予定のインスリン用量は、投与量ノブ12(本明細書では、用量選択要素12とも呼ぶ)を回すことによって、プログラムまたは「ダイヤル設定」することができ、次いで、現在プログラムされている用量が投与量窓13を介して、たとえば単位の倍数で表示される。たとえば、注射デバイス1がヒトインスリンを投与するように構成されているとき、投与量はいわゆる国際単位(IU)で表示することができ、1IUは、約45.5マイクログラムの純結晶インスリン(1/22mg)と生物学的に同等である。類似のインスリンまたは他の薬剤を送達する注射デバイスでは、他の単位を用いることもできる。選択された用量は、
図1の投与量窓13に示すものとは異なる形で、等しく適当に表示することができることに留意されたい。
【0031】
投与量窓13は、ハウジング10内のアパーチャの形態とすることができ、現在プログラムされている用量の視覚インジケーションを提供するために、投与量ノブ12が回されたときに動くように構成された数字スリーブ70の制限された部分を使用者が見ることを可能にする。別法として、数字スリーブ70は、用量ダイヤル設定段階中に静止したままとすることができ、用量がダイヤル設定されるとき、ダイヤル設定された用量に対応する数字を見せるように、投与量窓13が動くことができる。いずれの場合も、数字スリーブ70は、注射デバイス1から用量が投薬されているときに回転する構成要素とすることができる。
【0032】
この例では、投与量ノブ12は、使用者が投与量ノブ12を握ったときに感じるグリップを改善するのでプログラミングを容易にする1つまたはそれ以上の形成部71a、71b、71cを含む。別の例(図示せず)では、投与量ノブは形成部を含まない。
【0033】
データ収集デバイスを取り付けるのに、投与量ノブが形成部を有する必要はない。データ収集デバイスと注射デバイスとの間の接触面で締まり嵌めを有することおよび/またはゴム状の材料を使用することで、一方では2つのデバイスが互いに取り付けられたままになる意味で安定した連結を容易にし、他方では意図されるときは2つのデバイスを分離することを可能にする取付けが提供されるはずである。ゴム状の材料は、平滑な表面、たとえば平滑な表面を有する投与量ノブでも、適切な嵌合を確実にするはずであり、したがってデータ収集デバイスが回転すると投与量ノブも回転し、逆も同様である。
【0034】
注射デバイス1は、投与量ノブ12を回すことで機械的なクリック音を生じさせて、音響フィードバックを使用者に提供するように構成することができる。数字スリーブ70は、インスリン容器14内のピストンと機械的に相互作用する。針15が患者の皮膚部分へ刺されて、次いで注射ボタン11が押されたとき、表示窓13に表示されているインスリン用量が、注射デバイス1から放出される。注射ボタン11が押された後、注射デバイス1の針15が特定の時間にわたって皮膚部分内にとどまったとき、実際には用量の大部分が患者の体内へ注射されている。また、インスリン用量の放出によって機械的なクリック音を生じさせることができるが、ただしこれは、投与量ノブ12を使用するときに生じる
音とは異なる。いくつかの他の実施形態では、注射デバイス1は、別個の注射ボタン11を有しておらず、使用者は投与量ノブ12全体を押し下げ、それにより投与量ノブ12をハウジング10に対して長手方向に動かして、薬剤を投薬する。
【0035】
様々な実施形態では、インスリン用量の送達中、投与量ノブ12は、軸方向運動において、すなわち回転なしで、その初期位置へ戻り、数字スリーブ70は、回転してその初期位置へ戻り、たとえばゼロ単位の用量を表示する。
【0036】
注射デバイス1は、インスリン容器14が空になるか、それとも注射デバイス1内の薬剤の有効期日(たとえば最初の使用から28日後)に到達するまで、数回の注射プロセスで使用することができる。
【0037】
さらに、注射デバイス1を最初に使用する前、たとえばインスリンの2単位を選択し、針15を上向きにして注射デバイス1を保持しながら注射ボタン11を押下することによって、いわゆる「プライムショット」を実行し、インスリン容器14および針15から空気を除去する必要がある。説明を簡単にするために、以下、放出された量は、注射された用量に実質上対応し、したがってたとえば注射デバイス1から放出された薬剤の量は、使用者が受ける用量に等しいものと仮定する。それにもかかわらず、放出された量と注射された用量との間の差(たとえば損失)を考慮に入れることが必要になることもある。
【0038】
図2は、例示的な実施形態によるデータ収集デバイス20が取り付けられたときの注射デバイス1の一方の端部の斜視図である。データ収集デバイス20はハウジング21を含み、端板22が使用者相互作用面を形成する。ハウジング21は、1つまたはそれ以上のLED(図示せず)などの光ユーザフィードバックを支持することができる。いくつかの任意選択の実施形態では、データ収集デバイス20は、ディスプレイ(図示せず)を含む。
【0039】
データ収集デバイス20は、複数の既存の注射デバイス1に適合している。データ収集デバイス20は、別個の用量送達ボタンまたは一体型のダイヤルを有する注射デバイスに適合している。データ収集デバイス20は、用量設定ダイヤルは用量投与中に回転しないが、用量設定ダイヤルに近接している内部構成要素が用量投与中に回転する注射デバイスに適合している。データ収集デバイス20により、この内部構成要素の回転を検出および測定することが可能になる。
【0040】
図3は、第1のタイプの注射デバイス1に取り付けられたときのいくつかの実施形態によるデータ収集デバイス20の横断面図である。
【0041】
これらの実施形態では、注射デバイス1は、押し下げられる用量送達ボタン11を備えた用量設定ダイヤル12を有するタイプのものであり、使用者は通常、用量送達ボタン11を押し下げて投薬機構を起動するはずである。用量設定ダイヤル12は、用量を設定するために回転するように構成される。いくつかの注射デバイスでは、用量設定ダイヤル12の回転により内部ばねに張力がかかるようになっており、またはデバイスは、事前に張力がかけられたばねを有することもできる。用量設定ダイヤル12は、用量設定中は長手方向に動かない。用量設定ダイヤル12は、用量投薬中は静止したままである。また、いくつかの他の注射デバイスの場合、用量設定ダイヤル12の回転により、用量設定ダイヤルがハウジング10から近位に動かされる。注射デバイス1から用量が投薬されたとき、用量設定ダイヤルは、ハウジング内へ(遠位に)戻るが回転しない。いずれの場合も、数字スリーブ70などの内部構成要素70が用量投薬中に回転する。データ収集デバイス20は、注射デバイス1に取り付けられているとき、この内部構成要素70の回転を検出および測定するように構成される。
【0042】
データ収集デバイス20は、ハウジング21と、ハウジング21内に配置されたエレクトロニクスアセンブリ24と、ハウジング21の近位端から突出しており、ハウジング21に対して長手方向に可動であるボタン26とを含む。ハウジング21は、データ収集デバイス20を用量設定ダイヤル12に固定するように構成された取付けアセンブリ23を含む。用量設定ダイヤル12上の形成部71a、71b、71cは、データ収集デバイス20の取付けを容易にするために使用することができる。
【0043】
この特定の例では、取付けアセンブリ23は、図示されていない形成部を通って用量設定ダイヤル12を覆うように位置するスリーブであり、投与量のプログラミング中に用量設定ダイヤル12が回転するときにデータ収集デバイス20も回転するように、用量設定ダイヤル12上の形成部71a、71b、71cと協働する。別法または追加として、取付けアセンブリ23上の形成部内にフォームラバーパッド44などの弾性の詰め物を提供して、取付けアセンブリ23上の形成部および用量設定ダイヤル12上の形成部71a、71b、71cの寸法の公差を許容することができ、かつ/または取付けアセンブリ23と用量設定ダイヤル12との間の係合を提供することができ、したがって取付けアセンブリ23が回転すると用量設定ダイヤル12も回転し、逆も同様である。さらに別法として、取付けアセンブリ23は、用量設定ダイヤル上の形成部71a、71b、および71cと協働する形成部になるのに十分な厚さの弾性の詰め物を含む。この詰め物は、用量設定ダイヤル12の表面と共形となるのに十分に柔らかい。たとえば、詰め物は、用量設定ダイヤル12の表面の形成部と共形となるのに十分に柔らかい。
【0044】
エレクトロニクスアセンブリ24は、ハウジングに対して長手方向に動くことができるように、ハウジング21内に保持される。エレクトロニクスアセンブリ24の遠位側は、データ収集デバイス20が注射デバイスに取り付けられているとき、用量送達ボタン11に当接するように構成される。エレクトロニクスアセンブリ24の近位側は、ボタン26に当接し、またはボタン26と一体化される。ボタン26およびエレクトロニクスアセンブリ24は、単一のサブアセンブリを形成することができる。取付けアセンブリ23は、別のサブアセンブリを形成することができる。この実施形態では、2つのサブアセンブリが、互いに対して長手方向に動くことが可能であるが、互いに対して回転することはできない。ボタン26は、使用者のためのフィンガーレストと、押圧力を注射デバイスの用量送達ボタン11へ伝送するための押圧面とを提供する。この構成の結果、データ収集デバイス20のボタン26が押し下げられたとき、力はエレクトロニクスアセンブリ24を通って用量送達ボタン11へ伝達され、用量送達ボタン11を押し下げる。
【0045】
エレクトロニクスアセンブリ24は、PCB28と、たとえばボタン電池の形態の電池30とを含む。PCB28は、プロセッサ配置50、光源32、および光センサ34を含む複数の構成要素を支持することができる。これらの実施形態では、光源32は赤外光源であり、光センサ34は赤外光センサである。
図3に示すように、いくつかの実施形態では、光源32および光センサ34は、PCBのうち用量送達ボタン11に当接する側に支持される。用量送達ボタン11は、赤外放射に対して透明または実質上透明である。したがって、光源32によって放出される光は、用量送達ボタン11を通過し、内部構成要素を照明する。特に、数字スリーブ70は、ハウジング10の近位端へ延びる中空の円筒であり、用量設定ダイヤル12に解放可能に固定されている。したがって、数字スリーブ70の環状端面は、用量送達ボタン11の下に位置し、赤外光によって照明される。数字スリーブ70は、環状端面に比較的反射性の領域および無反射性領域のパターンを備える。たとえば、等しく隔置されかつ等しくサイズ設定されている反射性セクションおよび無反射性セクションを交互に配置することができる。
【0046】
用量投薬動作中、光源32は、数字スリーブ70のうち比較的反射性の領域および無反
射領域のパターンを含む部分を照明し;光センサ34は、少なくとも比較的反射性の領域によって反射された光を受ける。用量送達ボタン11が用量投薬中にエレクトロニクスアセンブリ24によって押し下げられると、光源32と光センサ34との間の距離(光路)が、ダイヤル設定中より短くなる。光センサ34の出力はプロセッサ50へ中継され、プロセッサ50は、用量投薬動作中の数字スリーブ70の回転量を計算する。この回転量から、送達済み用量を計算することができる。これは、データ収集デバイス20または別の計算デバイスによって行うことができる。概して、用量設定ダイヤルに近接して位置し、注射デバイス1から用量が投薬されるときに回転する任意の構成要素を内部構成要素として使用することができ、内部構成要素は、内部構成要素の表面に形成された比較的反射性の領域および無反射性領域のパターンを有する。
【0047】
図4は、データ収集デバイス20の構成要素に対する代替配置を示す。この実施形態では、エレクトロニクスアセンブリは、取付けアセンブリ23と一体化され、または取付けアセンブリ23の内面に支持されており、取付けアセンブリに対して実質上静止したままになるように構成される。データ収集デバイス20のボタン26は、データ収集デバイスの近位端面内のアパーチャ29を通って延びる細長い部分27を有する。細長い部分27は、注射デバイス1の用量送達ボタン11に接触し、ボタン26から用量送達ボタン11へ力を伝達するように構成される。前述した実施形態と同様に、光源32および光センサ34は、用量送達ボタン11に対向するように配置されており、用量送達ボタン11は、赤外放射に対して部分的または完全に透明である。この実施形態では、光源32と、数字スリーブ70の反射性の領域と、光センサ34との間の光路を延ばすことができ、好適な光学素子を用いて光を集束させることができる。
【0048】
図4の実施形態の利点は、機械的設計および構造が簡単であり、注射するための押圧力を伝送するサブアセンブリ(ボタン26)が最小化されることである。これにより、摩擦が低減され、使用者が動かす必要のある質量がより小さくなるので、使用者の快適さが増大する。その結果、注射をトリガするために使用者が必要とされる追加の力は比較的少量になる。
【0049】
図3の実施形態の利点は、エレクトロニクスアセンブリ24が用量送達ボタン11に直接当接するので、用量検出が実行されているときの光路(optical path)が最小化されることである。
図3の光路は、
図4の光路より低減させることができる(エレクトロニクスアセンブリは、取付けアセンブリ23と一体化され、または取付けアセンブリ23の内面に支持される)。
図4の実施形態では、特定のエンハンサを使用すると、光源と、センサと、反射性表面との間の光路がより長くなるので、信号対雑音比を改善することができる。たとえば、より強い光源32またはより高感度の光センサ34を使用することができる。別法または追加として、これらのエンハンサは、光ビームを集束させるための1つもしくはそれ以上の集光レンズ、および/または散乱光/放射を隠すためのセンサ34のバッフルとして実施することができる。ただし、エンハンサは任意選択である。
【0050】
図5は、データ収集デバイス20の構成要素に対する別の代替配置を示す。この実施形態では、光源32および光センサ34は、用量設定ダイヤル12と取付けアセンブリ23の内面との間の凹部内に支持されている。たとえば、光源32および光センサ34は、エレクトロニクスアセンブリ24の突起に支持することができる。取付けアセンブリ23は、この突起のための空間をとっておくために凹部を有することができる。この実施形態では、比較的反射性の領域および無反射性領域は、数字スリーブ70の外面に円周に配置される。そのような配置は、数字スリーブ70のこの表面でより大きい空間が利用可能であるとき、反射性の領域および無反射性領域をより大きくすること、またはさらに離れて隔置することを可能にすることができる。この実施形態では、光源32と、数字スリーブ70の反射性の領域と、光センサ34との間の光路は、用量設定ダイヤル12を通る。した
がって、少なくとも用量設定ダイヤル12の環状側壁は、赤外放射に対して部分的または完全に透明である。
図5から理解することができるように、用量送達ボタン11は用量設定ダイヤル12内へ延びて注射デバイス1の投薬機構に連結することができるので、この光路はまた、用量送達ボタン11の一部分を通ることができる。したがって、用量送達ボタン11のこの部分もまた、IR放射に対して透明とすることができる。
【0051】
この実施形態は、光路を最小化し、用量送達ボタン11が押し下げられているときにそのままであることを可能にすることができる。これにより、用量検出の信頼性が増大する。この実施形態はまた、簡単な機械的設計および構造を有する。この実施形態の取付けアセンブリ23は、光源32および光センサ34に対する場所をとっておくために、
図3および
図4のものと比較するとより広い直径を有することができる。これにより、用量ダイヤル設定中に用量設定ダイヤル12を回転させるために使用者が必要とされる力を低減させることができ、したがって、器用さが低下した使用者にとって使用の容易さを改善することができる。
【0052】
図10を参照すると、代替実施形態が示されている。この実施形態では、光源および光センサを有する代わりに、エレクトロニクスアセンブリは、非接触磁気センサ80、たとえばホールセンサを含む。この実施形態では、回転可能な構成要素70が、回転可能な構成要素70の円周に交互に隔置されている一連の磁性領域82および非磁性領域84を含む。磁性領域82は、磁性粒子または磁性インクを含む領域などの永久磁石とすることができる。磁性および非磁性領域82、84が用量投薬中に磁気センサ80を越えて回転すると、磁気センサ80は、磁場の強度、および場合により方向の周期的な変化を検出する。次いで、この情報を使用して、回転可能な構成要素70の回転量(角)を判定することができる。用量設定ダイヤル12は、磁性領域82によって生成される磁場を透過または部分的に透過し、用量設定ダイヤル12内に切取りまたはアパーチャを必要とすることなく、磁気センサ80が回転可能な構成要素70の回転を遠隔で検出することを可能にする。
図10は、用量設定ダイヤル12に対して径方向に配置された磁気センサ80を示すが、磁気センサ80は代わりに、
図3および
図4に示すのと同じように、用量設定ダイヤル12の近位に位置することができる。
【0053】
図6は、データ収集デバイス20を取り付けることができる第2のタイプの注射デバイス1の切欠図である。この実施形態では、注射デバイス1は、用量設定ダイヤル12(本明細書では、用量選択要素12とも呼ぶ)を有するが、別個の用量送達ボタンを有しておらず、たとえば用量設定ダイヤルは、押し下げられたときに用量送達手段としても機能することができる。
【0054】
用量設定ダイヤル12は、用量を設定するために回転するように構成される。これにより、用量設定ダイヤル12は、ハウジング10から近位に動く。注射デバイス1から用量が投薬されたとき、用量設定ダイヤル12は、ハウジング内へ(遠位に)戻るが回転しない。
図3~5に関して説明した実施形態と同様に、数字スリーブ70などの内部構成要素70が用量投薬中に回転する。データ収集デバイス20は、注射デバイス1に取り付けられているとき、この内部構成要素70の回転を検出および測定するように構成される。
図6に示す注射デバイス1はまた、駆動スリーブ72など、用量が投薬されたときに回転する他の構成要素を有することができる。図示の実施形態では、駆動スリーブ72は、一連の鋸歯状物をその近位端に有する。これらの鋸歯状物の上面へ直接、比較的反射性の領域を印刷しまたは他の形で堆積させることができる。概して、用量設定ダイヤルに近接して位置し、注射デバイス1から用量が投薬されるときに回転する任意の構成要素を内部構成要素として使用することができ、内部構成要素は、内部構成要素の表面に形成された比較的反射性の領域および無反射性領域のパターンを有する。
【0055】
図7は、
図6の注射デバイス1に取り付けられたときのいくつかの実施形態によるデータ収集デバイス20の横断面図を示す。データ収集デバイス20は、取付けアセンブリ23およびエレクトロニクスアセンブリ24を含み、これらはともに一体化することができ、または他の形でしっかりと固定することができる。たとえば、取付けアセンブリ23は、データ収集デバイス20のハウジング21の一部分を形成することができ、ハウジング21はまた、エレクトロニクスアセンブリ24を保持することができる。
【0056】
取付けアセンブリ23は、データ収集デバイス20を用量設定ダイヤル12に固定するように構成される。前述したように、データ収集デバイス20は、簡単な摩擦嵌めを用いて、データ収集デバイス20を用量設定ダイヤル12に解放可能に固定することができ、用量設定ダイヤル12上の形成部71a、71b、71cを使用して、取付けまたは角度的な位置合わせを容易にすることができる。
【0057】
データ収集デバイス20および注射デバイス1がともに固定されたとき、エレクトロニクスアセンブリ24は、用量設定ダイヤル12に当接するように構成される。使用者は、薬剤の用量を設定および送達するために用量設定ダイヤルと相互作用した場合と同じように、データ収集デバイス20と直接相互作用するので、データ収集デバイス20は用量設定ダイヤルに実際上取って代わる。
【0058】
エレクトロニクスアセンブリ24は、PCB28、光源32、光センサ34、プロセッサ配置、および電池30を含む多数の構成要素を含む。
図7に示す実施形態では、光源32および光センサ34は、用量設定ダイヤル12の近位端面に隣接するように、エレクトロニクスアセンブリ24の遠位側に支持されている。したがって、光源32およびセンサ34は、薬物送達デバイスに取り付けられたときに薬物送達デバイスの用量ダイヤルに当接するデータ収集デバイスの側に支持される。
【0059】
これらの実施形態では、光源32は赤外光源であり、光センサ34は赤外光センサである。用量設定ダイヤルは、赤外放射に対して透明または実質上透明である。したがって、光源32によって放出される光は、用量設定ダイヤルを通過し、内部構成要素を照明する。特に、数字スリーブ70は、ハウジング10の近位端へ延びる中空の円筒であり、用量が設定されると用量設定ダイヤル12とともに長手方向に動く。数字スリーブは、用量設定ダイヤル12に解放可能に固定することができ、したがって数字スリーブ70の環状端面が、用量送達ボタン11の下に位置し、光源32の赤外光によって照明される。数字スリーブ70は、環状端面に比較的反射性の領域および無反射性領域のパターンを備える。たとえば、等しく隔置されかつ等しくサイズ設定されている反射性セクションおよび無反射性セクションを交互に配置することができる。別法として、駆動スリーブ72または別の内部構成要素が、比較的反射性の領域および無反射性領域のパターンを備えることができる。
【0060】
用量投薬動作中、光源32は、数字スリーブ70のうち比較的反射性の領域および無反射領域のパターンの一部分を含む部分を照明し;光センサ34は、比較的反射性の領域が下を通るとき、少なくとも比較的反射性の領域によって反射された光を受ける。光センサ34の出力はプロセッサ50へ中継され、プロセッサ50は、用量投薬動作中の数字スリーブ70の回転量を計算する。この回転量から、送達済み用量を計算することができる。これは、データ収集デバイスまたは別の計算デバイスによって行うことができる。
【0061】
概して、投薬された薬剤の用量を判定するために、データ収集デバイス20が取り付けられた注射デバイス1のタイプを知っていることが必要である。したがって、いくつかの実施形態では、データ収集デバイス20は、内部構成要素の回転量のみを度単位で測定する。この情報は、データ収集デバイス20のメモリ内に保存され、データ収集デバイス2
0によって外部の計算デバイスへ通信することができ、外部の計算デバイスでは、注射デバイス1のタイプに関する情報と組み合わせて、送達済み薬剤用量を記録する。
【0062】
図5を参照して上述した実施形態と同様に、光源32および光センサ34は代わりに、用量設定ダイヤル12と取付けアセンブリ23の内面との間の凹部内に支持することができる。たとえば、光源32および光センサ34は、エレクトロニクスアセンブリ24の突起に支持することができる。取付けアセンブリ23は、この突起のための空間をとっておくために凹部を有することができる。そのような実施形態では、比較的反射性の領域および無反射性領域は、数字スリーブ70の外面に円周に配置される。これは、数字スリーブ70のこの表面でより大きい空間が利用可能になるように反射性の領域および無反射性領域をより大きくすること、またはさらに離れて隔置することを可能にする前述した実施形態に対して、利点を有することができる。これらの実施形態では、光源と、数字スリーブの反射性の領域と、光センサとの間の光路は、用量設定ダイヤル12の環状側壁を通り、用量設定ダイヤル12は、赤外放射に対して部分的または完全に透明である。これらの実施形態すべてにおいて、光源32および光センサ34は、薬物送達デバイス1に取り付けられたときに薬物送達デバイス1の用量ダイヤル12(用量送達ボタン11を含むことができる)に径方向または近位に当接するデータ収集デバイスの部分に支持される。
【0063】
さらなる代替実施形態(図示せず)では、エレクトロニクスアセンブリは、取付けアセンブリ23と一体化され、または取付けアセンブリ23の内面に支持されており、取付けアセンブリに対して動かないように構成される。これは、
図4に示す実施形態と同様である。しかし、この代替実施形態では、光源32および光センサ34は代わりに、エレクトロニクスアセンブリ24のうち用量設定ダイヤル12の径方向端面に隣接する側に支持することができる。この実施形態により、簡単な機械的設計を有し、径方向コードの読取りを有効にするという利益が提供される。
【0064】
図7のデータ収集デバイス20の実施形態の固定構造および設計には、機械的構造が簡単であり(たとえば、相対運動を最小化することによる)、この実施形態による注射デバイスハウジングならびに比較的反射性の領域および無反射領域のパターンを含む内部構成要素(たとえば、用量ダイヤル12)に対する光センサ34の正確に画成された位置決めが提供されるという利点がある。
【0065】
さらなる代替実施形態(図示せず)は、
図7に示す実施形態の修正形態であるが、光源32および光センサ34は代わりに、エレクトロニクスアセンブリ24のうち用量設定ダイヤル12の径方向端面に隣接する側に支持されている。この実施形態もまた、簡単な機械的設計を提供し、径方向コードの読取りを有効にする。
【0066】
本開示のデータ収集デバイスは、薬剤投与デバイスの用量設定ダイヤルに直接取り付けられる。前述のデータ収集デバイスは、薬剤投与デバイスの主ハウジングに取り付けられていた。これにより、使用者による薬剤投与デバイスの使用が妨げられる可能性がある。多くのそのようなデバイスは、薬剤投与デバイスのハウジング内の用量標示窓の上に取り付けられる。これにより用量標示窓が隠され、使用者は、ダイヤル設定された用量を示すためにデータ収集デバイスに完全に依拠するようになり、薬剤投与デバイスに対する使用者の信用が低減する可能性がある。いくつかの他のそのようなデバイスは、内部の可動構成要素を観察または連結するために、薬剤投与デバイスのハウジング内に追加の切取りまたはアパーチャを必要とする。薬剤投与デバイスのハウジング内の一部を切り取ることで、送達機構内に塵および汚れが侵入しやすくなる。これはまた、薬剤投与デバイスの滅菌性に関係する問題を呈することがある。
【0067】
本開示のデータ収集デバイスは、薬剤投与デバイスの主ハウジングに接触または固定さ
れることなく、薬剤投与デバイスから投薬された薬剤の量を遠隔で監視することが可能である。データ収集デバイスは、薬剤投与デバイスのうち使用者が通常相互作用するはずの部分に取り付けられ、実際上それに取って代わるように構成される。使用者が用量をダイヤル設定したいと考えたとき、使用者は、データ収集デバイス20のハウジング21を握って回転させ、それにより用量設定ダイヤル12も回転する。使用者は、薬剤投与デバイスの機械的用量標示窓13を引き続き観察することができる。使用者が用量を注射したいと考えたとき、使用者は、データ収集デバイスの近位端に力をかける。これにより、用量設定ダイヤルに力が伝えられる。薬剤投与デバイスが用量送達ボタン11を有する場合、データ収集デバイスのボタン26は、ハウジング21に対して押し下げられ、したがって用量送達ボタン11を押し下げるように構成される。したがって、使用者は、本発明によるデータ収集デバイスを追加しても薬剤投与デバイスを動作させる方法に関して大きな違いに気付かないはずである。
【0068】
本開示のデータ収集デバイスは、照明源として赤外光を使用することができる。これにより、光波長に対して不透明であるが赤外波長に対して透明または部分的に透明であるプラスチックまたは他の材料から、薬剤投与デバイスの外部構成要素を作ることが可能になる。追加の切取り、アパーチャなどは必要ないが、薬剤投与デバイスの適当な区域は、実際上赤外「窓」を形成するIR透過材料から作ることができる。
【0069】
パターンの比較的反射性の領域および無反射性領域は、その構成要素の製造中に、数字スリーブ70または他の好適な内部構成要素上へ直接、印刷、堆積、エッチング、または他の形で作成することができる。いくつかの例では、内部構成要素は、用量設定ダイヤルに密接して位置する。次いで、薬剤投与デバイスは、前述したものと同じ方法で、同じ組立て方法および器具を使用して組み立てることができる。したがって、本発明を実施するために必要とされる薬剤投与デバイスの設計および作成に関する修正はごくわずかにすぎない。
【0070】
図10に関連して上記で論じたように、
図7の光源32および光センサ34は代わりに、磁気センサ80に置き換えることができる。回転可能な構成要素70上のパターンの比較的反射性の領域および無反射性領域は、用量投薬動作中に回転可能な構成要素70が回転させられたときに磁場の周期的な変化が磁気センサ80によって検出されるように、磁性領域82および非磁性領域84を交互に配置することによって置き換えることができる。
【0071】
図8は、データ収集デバイス20のブロック図である。データ収集デバイス20は、マイクロプロセッサ、デジタル信号プロセッサ(DSP)、特定用途向け集積回路(ASIC)、フィールドプログラマブルゲートアレイ(FPGA)などの1つまたはそれ以上のプロセッサを含むプロセッサ配置50を、プロセッサ配置50によって実行するためのソフトウェアを記憶することができるプログラムメモリ52aおよび主メモリ52bを含むメモリユニット52a、52bとともに含む。データ収集デバイスは、赤外光源32および赤外光センサ34を含む。プロセッサ配置50は、光源32および光センサ34の動作を制御し、光センサ34からの信号を受ける。
【0072】
データ収集デバイス20は電源54を有し、電源54は、電池、たとえばボタン電池とすることができる。データ収集デバイス20は、場合により、用量が投薬されるときまたはその直前にトリガされるように構成されたスイッチ53を含むことができる。この目的で、スイッチ53は、データ収集デバイス20の端板22またはボタン26内に感圧性または接触性の区域、たとえば圧電スイッチを含むことができる。スイッチ53は、電源54からプロセッサ配置50およびデータ収集デバイス20の他の構成要素への電力の印加を制御することができる。エレクトロニクスアセンブリ24および取付けアセンブリ23
が互いに対して長手方向に動くように構成された実施形態では、スイッチ53を機械的に実施することができる。たとえば、取付けアセンブリ23の内面に電極を配置することができ、ボタン26が押し下げられたとき、エレクトロニクスアセンブリ24の対応する電極が接触する(したがって、回路を完成させる)ことができる。次いでこれにより、光源および光センサを含む他のエレクトロニクスのウェークアップをトリガすることができる。
【0073】
別法として、ウェークアップスイッチは、「光ウェークアップセンサ」として光学的に実施することができる。特に、注射デバイス1の用量送達ボタン11に色、たとえば緑色を付けることができ、下にある回転可能な構成要素70を白色(または黒色)にすることができる。用量送達ボタン11が押し下げられたとき、用量送達ボタン11は光ウェークアップセンサの前に動き、反射および/または色の変化を検出し、他のエレクトロニクスに対するウェークアップ信号を提供することができる。また、この反射または色の変化を使用して、注射プロセスの開始および終了時間を判定することもできる。この場合、前述したスイッチは、光源および光センサを含むエレクトロニクスをウェークアップするように機能することができ、光スイッチは、反射または色の変化を使用して、注射プロセスの開始および終了時間を判定することができる。これは、注射プロセスが発生したのか、それともプライミングプロセスが発生したしたのかを判定するのに役立つこともできる。さらに、色/反射スイッチを使用して、ボタンがどのくらいの時間にわたって押下されているかを判定することもでき、これを使用して、休止時間が使用者によって守られているかどうかを確認することもできる。
【0074】
また、タイマ55が含まれる。プロセッサ配置50は、タイマ55を使用して、スイッチ53を使用して判定される注射が完了してから経過した時間の長さを監視することができる。また場合により、プロセッサ配置50は、経過時間を所定の閾値と比較して、使用者が前の注射から早すぎる時点で別の注射を投与しようとしている可能性があるかどうかを判定し、またその場合、可聴信号などの警報を生成し、かつ/または1つもしくはそれ以上のLEDの明滅などの光信号を生成することができる。データ収集デバイス20は、光フィードバックを使用者に提供するために、複数のLEDまたは他の光源を含むことができる。たとえば、LEDは、異なる色および/または一定もしくは可変の周期の明滅などの照明パターンを使用することができる。他方では、経過時間が非常に短い場合、使用者が薬剤量を「分割用量」として投与していることを示すことができ、プロセッサ配置50は、投与量がそのように送達されたことを示す情報を記憶することができる。そのようなシナリオでは、経過時間は、数秒、たとえば10秒から最大数分、たとえば5分の範囲内で、所定の閾値と比較される。一例によれば、所定の閾値は2分に設定される。最後の注射から経過した時間が2分以下である場合、プロセッサ配置50は、投与量が「分割用量」として送達されたことを示す情報を記憶する。プロセッサ配置50によって経過時間を監視する別の任意選択の目的は、経過時間が所定の閾値をいつ超えたかを判定し、使用者が別の注射を投与するのを忘れている可能性があることを示唆し、その場合は警報を生成することである。
【0075】
プロセッサは、日時情報に関係するデータ、光センサ34からの情報に関係するデータ、またはこれらの組合せを記憶するようにさらに構成される。特に、メモリは、日時情報と光センサ34の出力データから取り出した内部構成要素の回転情報との組合せを記憶するように構成される。このようにして、メモリは、数字スリーブ70(または他の内部構成要素)の回転に関する情報の履歴を提供するログを記憶することが可能である。データは、たとえば主メモリ52b内に記憶することができる。別法として、データは、メモリの別個のデータ記憶セクション(図示せず)内に記憶することができる。
【0076】
注射デバイス1から薬剤が放出されるとき、数字スリーブまたは他の内部構成要素が回
転するので、光センサ34によって測定される回転角は、放出された薬剤量に比例する。注射デバイス1内に収容されている薬剤のゼロレベルまたは絶対量を判定する必要はない。このようにして、センサ配置は、絶対位置検出のために構成されたセンサ配置と比較すると、それほど複雑ではなくなる。さらに、投与量窓13を通して表示される数字スリーブ70の数字または目盛りマークを監視する必要がないので、データ収集デバイス20は、投与量窓13を隠さないように設計することができる。
【0077】
出力57が設けられ、出力57は、wi-fi、Bluetooth(登録商標)、もしくはNFCなどの無線ネットワークを介して別のデバイスと通信する無線通信インターフェース、またはユニバーサルシリアルバス(USB)、ミニUSB、もしくはマイクロUSBコネクタを受け入れるソケットなどの有線通信リンクのためのインターフェースとすることができる。
図9は、データ収集デバイス20がデータ転送のために無線通信61を介してパーソナルコンピュータ60などの別のデバイスに接続されているシステムの一例を示す。別法または追加として、データ収集デバイス20は、有線接続を介して別のデバイスに接続することができる。たとえば、プロセッサ配置50は、注射が使用者によって投与されるとき、それらの注射に対する判定された数字スリーブ70の回転角およびタイムスタンプ(日時を含む)を記憶し、その記憶したデータをコンピュータ60へ後に転送することができる。コンピュータ60は、使用者または医療従事者によって入力された注射デバイスのタイプおよび薬剤のタイプに関するさらなる情報に基づいて、投与済み用量を計算するように構成することができる。コンピュータ60は、たとえば医療従事者が再検討できるように、治療ログを維持し、かつ/または治療履歴情報を遠隔地へ送る。
【0078】
いくつかの実施形態によれば、データ収集デバイス20は、最大35回の注射事象までの数字スリーブ70の回転角およびタイムスタンプなどのデータを記憶するように構成することができる。毎日1回の注射治療によれば、これは、約1カ月の治療履歴を記憶するのに十分なはずである。データ記憶は、先入れ先出し方式で編成され、最近の注射事象が常にデータ収集デバイス20のメモリ内に存在することを確実にする。コンピュータ60へ転送された後、データ収集デバイス20内の注射事象履歴は削除される。別法として、データはデータ収集デバイス20内に留まり、新しいデータが記憶されると、最も古いデータが自動的に削除される。このようにして、データ収集デバイス内のログは使用中に時間とともに蓄積され、常に最近の注射事象を含むことになる。別法として、他の構成は、治療要件および/または使用者の好みに応じて、70(毎日2回)、100(3カ月)、または任意の他の好適な数の注射事象の記憶容量を含むことができる。
【0079】
別の実施形態では、出力57は、無線通信リンクを使用して情報を伝送するように構成することができ、かつ/またはプロセッサ配置50は、そのような情報をコンピュータ60へ周期的に伝送するように構成することができる。
【0080】
上記で詳細に説明した特有の実施形態は、本発明をどのように実施することができるかに関する例示にすぎないことが意図される。データ収集デバイス20および/または注射デバイス1の構成について多くの変形形態を考えることができる。
【0081】
特に、上記の実施形態について、インスリン注射器ペンからデータを収集することに関連して説明したが、本開示の実施形態は、他の薬剤の注射の監視などの他の目的で使用することもできることに留意されたい。データ収集デバイスについて、単一の赤外光源32を含むものとして主に説明したが、データ収集デバイスは、複数の光源32を含むこともできる。複数の光源32は、エレクトロニクスアセンブリ24および/または取付けアセンブリ23の異なる位置に支持することができ、データ収集デバイスが用量設定ダイヤルに取り付けられたとき、内部構成要素70の特定の部分を特定の角度から照明するように傾斜および/または集束させることができる。
【0082】
データ収集デバイス20は、場合により、ディスプレイ(図示せず)を含むことができ、ディスプレイは、たとえばデータ収集デバイス20の端板22を占有することができる。注射が完了してから経過した時間の長さ、および使用者が前の注射から早すぎる時点で別の注射を投与しようとしているという警告メッセージなど、様々な情報を表示することができる。
【手続補正書】
【提出日】2022-03-02
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
データ収集デバイスであって:
該データ収集デバイスを薬剤投与デバイスの用量設定ダイヤルに取り付けるための取付けアセンブリと;
薬剤投与デバイスの内部構成要素の回転を検出するように構成された非接触センサを含むエレクトロニクスアセンブリとを含み、内部構成要素は、薬剤投与デバイスから用量が送達されるときに回転するように構成されるデータ収集デバイス。
【請求項2】
薬剤投与デバイスの内部構成要素は、1つまたはそれ以上の磁石または磁性区域を含み、非接触センサは、内部構成要素が回転したときに磁場の変化を検出するように構成された磁気センサ(80)である、請求項1に記載のデータ収集デバイス。
【請求項3】
非接触磁気センサ(80)はホールセンサである、請求項2に記載のデータ収集デバイス。
【請求項4】
薬剤投与デバイスの内部構成要素は、回転可能な構成要素(70)の円周に交互に隔置されている一連の磁性領域(82)および非磁性領域(84)を含む回転可能な構成要素(70)である、請求項1~3のいずれか1項に記載のデータ収集デバイス。
【請求項5】
磁性領域(82)は、磁性粒子または磁性インクを含む、請求項4に記載のデータ収集デバイス。
【請求項6】
磁性および非磁性領域(82、84)が用量投薬中に磁気センサ(80)を越えて回転するように構成され、磁気センサ(80)は、磁場の強度を検出する、請求項4または5に記載のデータ収集デバイス。
【請求項7】
用量設定ダイヤル(12)は、磁性領域(82)によって生成される磁場を透過または部分的に透過し、磁気センサ(80)が回転可能な構成要素(70)の回転を遠隔で検出することを可能にする、請求項4~6のいずれか1項に記載のデータ収集デバイス。
【請求項8】
磁気センサ(80)は、薬剤投与デバイスの用量設定ダイヤルに対して径方向にあるいは近位に配置されるように構成される、請求項2~7のいずれか1項に記載のデータ収集デバイス。
【請求項9】
取付けアセンブリ(23)およびエレクトロニクスアセンブリ(24)を含む、請求項1~8のいずれか1項に記載のデータ収集デバイス。
【請求項10】
取付けアセンブリ(23)およびエレクトロニクスアセンブリ(24)は、ともに一体化されるか、しっかりと固定される、請求項9に記載のデータ収集デバイス。
【請求項11】
取付けアセンブリ(23)は、データ収集デバイスのハウジング(21)の一部分を形成し、ハウジングは、エレクトロニクスアセンブリ(24)を保持する、請求項9または10に記載のデータ収集デバイス。
【請求項12】
エレクトロニクスアセンブリは、取付けアセンブリに対して動かないように構成される、請求項9~11のいずれか1項に記載のデータ収集デバイス。
【請求項13】
エレクトロニクスアセンブリは、取付けアセンブリに対して長手方向に動くように構成される、請求項9に記載のデータ収集デバイス。
【請求項14】
エレクトロニクスアセンブリ(24)は、PCB、センサ、プロセッサ配置、および電池を含む、請求項9~13のいずれか1項に記載のデータ収集デバイス。
【請求項15】
データ収集デバイスは、内部構成要素の回転量を度単位で測定し、回転量に関連する情報をメモリ内に保存し、該情報を外部の計算デバイスへ通信するように構成される、請求項1~14のいずれか1項に記載のデータ収集デバイス。
【請求項16】
システムであって:
用量設定ダイヤルと内部構成要素(70)とを含む薬剤投与デバイス(1)、該内部構成要素(70)は、該デバイスから薬剤の用量が送達されるときに該デバイスの長手方向軸の周りで回転し、ここで、該内部構成要素が一連の磁性領域(82)および非磁性領域(84)を含む、と、
用量設定ダイヤルに取り付けられている、請求項1~15のいずれか1項に記載のデータ収集デバイス(20)を含む前記システム。
【請求項17】
データ収集デバイス(20)は、摩擦嵌めを用いて、用量設定ダイヤル(12)に解放可能に固定される、請求項16に記載のシステム。
【請求項18】
用量設定ダイヤル(12)は、薬物送達デバイスの取付けまたは角度的な位置合わせを容易にする形成部(71a、71b、71c)を備える、請求項16に記載のシステム。
【外国語明細書】