(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022078277
(43)【公開日】2022-05-24
(54)【発明の名称】低い環境影響を有する蒸発作用性材料
(51)【国際特許分類】
C09D 201/00 20060101AFI20220517BHJP
C09D 7/63 20180101ALI20220517BHJP
C09K 3/30 20060101ALI20220517BHJP
A01P 13/00 20060101ALI20220517BHJP
A01P 7/04 20060101ALI20220517BHJP
A01N 25/00 20060101ALI20220517BHJP
【FI】
C09D201/00
C09D7/63
C09K3/30 J
A01P13/00
A01P7/04
A01N25/00 101
【審査請求】有
【請求項の数】1
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022038845
(22)【出願日】2022-03-14
(62)【分割の表示】P 2020105791の分割
【原出願日】2012-08-24
(31)【優先権主張番号】61/526,859
(32)【優先日】2011-08-24
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(31)【優先権主張番号】13/593,391
(32)【優先日】2012-08-23
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(71)【出願人】
【識別番号】500575824
【氏名又は名称】ハネウェル・インターナショナル・インコーポレーテッド
【氏名又は名称原語表記】Honeywell International Inc.
(74)【代理人】
【識別番号】100118902
【弁理士】
【氏名又は名称】山本 修
(74)【代理人】
【識別番号】100106208
【弁理士】
【氏名又は名称】宮前 徹
(74)【代理人】
【識別番号】100196508
【弁理士】
【氏名又は名称】松尾 淳一
(74)【代理人】
【識別番号】100120754
【弁理士】
【氏名又は名称】松田 豊治
(72)【発明者】
【氏名】ハルス,ライアン
(72)【発明者】
【氏名】マーシャー,ダイアナ
(72)【発明者】
【氏名】クック,ケーン・ディー
(72)【発明者】
【氏名】バス,ラジャト・エス
(72)【発明者】
【氏名】パオネッサ,マーティン・アール
(57)【要約】 (修正有)
【課題】好ましく低いGWP、低いODP、及び/又は低いVOCなどの非常に好ましく望ましい環境特性を与える組成物を提供する。
【解決手段】(a)少なくとも1種類の活性成分;及び(b)活性成分を少なくとも部分的に溶媒和するか又は少なくとも部分的に乳化するのに有効な量の、モノクロロトリフルオロプロペンを含むキャリア;を含む組成物。
【選択図】なし
【特許請求の範囲】
【請求項1】
(a)被覆剤、結合剤、シール剤、潤滑剤、殺虫剤、及び除草剤からなる群から選択される少なくとも1種類の活性成分;及び
(b)活性成分を少なくとも部分的に溶媒和するか又は少なくとも部分的に乳化するのに有効な量の、少なくとも1種類のモノクロロトリフルオロプロペンを含むキャリア;
を含む組成物。
【請求項2】
モノクロロトリフルオロプロペンが1-クロロ-3,3,3-トリフルオロプロペン(HCFO-1233zd)を含む、請求項1に記載の組成物。
【請求項3】
1-クロロ-3,3,3-トリフルオロプロペンがトランス-1-クロロ-3,3,3-トリフルオロプロペン(トランス-HCFO-1233zd)を含む、請求項2に記載の組成物。
【請求項4】
1-クロロ-3,3,3-トリフルオロプロペンがシス-1-クロロ-3,3,3-トリフルオロプロペン(シス-HCFO-1233zd)を含む、請求項2に記載の組成物。
【請求項5】
請求項2に記載の噴霧可能な組成物。
【請求項6】
1-クロロ-3,3,3-トリフルオロプロペンがトランス-1-クロロ-3,3,3-トリフルオロプロペン(トランス-HCFO-1233zd)を含む、請求項5に記載の噴霧可能な組成物。
【請求項7】
1-クロロ-3,3,3-トリフルオロプロペンがトランス-1-クロロ-3,3,3-トリフルオロプロペン(トランス-HCFO-1233zd)から実質的に構成される、請求項5に記載の噴霧可能な組成物。
【請求項8】
1-クロロ-3,3,3-トリフルオロプロペンがトランス-1-クロロ-3,3,3-トリフルオロプロペン(トランス-HCFO-1233zd)から構成される、請求項5に記載の噴霧可能な組成物。
【請求項9】
被覆剤、結合剤、シール剤、潤滑剤、殺虫剤、及び除草剤からなる群から選択される少なくとも1種類の活性成分;及び、活性成分を少なくとも部分的に溶媒和するか又は少なくとも部分的に乳化するのに有効な量の、1-クロロ-3,3,3-トリフルオロプロペンを含むキャリア;を含む組成物を与え;
組成物を基材の表面に適用し;そして
活性成分からキャリアを除去する;
ことを含む、活性成分を表面に適用する方法。
【請求項10】
1-クロロ-3,3,3-トリフルオロプロペンが、トランス-1-クロロ-3,3,3-トリフルオロプロペン(トランス-HCFO-1233zd)、シス-1-クロロ-3,3,3-トリフルオロプロペン(シス-HCFO-1233zd)、及びこれらの組み合わせからなる群から選択される、請求項9に記載の方法。
【請求項11】
キャリアを蒸発によって除去する、請求項9に記載の方法。
【請求項12】
組成物をスプレー塗布によって基材に適用する、請求項9に記載の方法。
【請求項13】
1-クロロ-3,3,3-トリフルオロプロペンがシス-1-クロロ-3,3,3-トリフルオロプロペン(シス-HCFO-1233zd)を含む、請求項9に記載の方法。
【請求項14】
1-クロロ-3,3,3-トリフルオロプロペンがシス-1-クロロ-3,3,3-トリフルオロプロペン(シス-HCFO-1233zd)から実質的に構成される、請求項9に記載の方法。
【請求項15】
1-クロロ-3,3,3-トリフルオロプロペンがシス-1-クロロ-3,3,3-トリフルオロプロペン(シス-HCFO-1233zd)から構成される、請求項9に記載の方法。
【請求項16】
1-クロロ-3,3,3-トリフルオロプロペンがトランス-1-クロロ-3,3,3-トリフルオロプロペン(トランス-HCFO-1233zd)及び1種類以上の共溶媒を含む、請求項9に記載の方法。
【請求項17】
適用工程が、浸し塗り、注入、ブラシ塗布、及び浸漬からなる群から選択される、請求項13に記載の方法。
【請求項18】
キャリアが30より大きいKB値を有する、請求項1に記載の組成物。
【請求項19】
1-クロロ-3,3,3-トリフルオロプロペンが、トランス-1-クロロ-3,3,3-トリフルオロプロペン(トランス-HCFO-1233zd)、シス-1-クロロ-3,3,3-トリフルオロプロペン(シス-HCFO-1233zd)、及びこれらの組み合わせからなる群から選択される、請求項18に記載の組成物。
【請求項20】
請求項18に記載の組成物を与え;
組成物を基材の表面に適用し;そして
活性成分からキャリアを除去する;
ことを含む、活性成分を表面に適用する方法。
【請求項21】
キャリアを蒸発によって除去する、請求項20に記載の方法。
【請求項22】
組成物をスプレー塗布によって基材に適用する、請求項20に記載の方法。
【請求項23】
1-クロロ-3,3,3-トリフルオロプロペンがシス-1-クロロ-3,3,3-トリフルオロプロペン(シス-HCFO-1233zd)を含む、請求項20に記載の方法。
【請求項24】
1-クロロ-3,3,3-トリフルオロプロペンがシス-1-クロロ-3,3,3-トリフルオロプロペン(シス-HCFO-1233zd)から実質的に構成される、請求項20に記載の方法。
【請求項25】
1-クロロ-3,3,3-トリフルオロプロペンがシス-1-クロロ-3,3,3-トリフルオロプロペン(シス-HCFO-1233zd)から構成される、請求項20に記載の方法。
【請求項26】
モノクロロトリフルオロプロペンがトランス-1-クロロ-3,3,3-トリフルオロプロペン(トランス-HCFO-1233zd)及び1種類以上の共溶媒を含む、請求項20に記載の方法。
【請求項27】
適用工程が、浸し塗り、注入、ブラシ塗布、及び浸漬からなる群から選択される、請求項23に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
[0001]本出願は、2011年8月24日出願の米国仮出願61/526,859(その内容はその全部を参照として本明細書中に包含する)に対する優先権を主張する。
[0002]本発明は、活性成分、及び活性成分のための溶媒又はキャリアを含む組成物、方法、及び系に関する。この組成物を所期の方法で適用する結果として、活性成分は、通常は溶媒又はキャリアの蒸発によって除去することによってか又はそれに関連して作用性になる。
【背景技術】
【0002】
[0003]多くの用途は、1種類又は複数の活性成分のためのキャリア、分散剤、希釈剤、加工助剤、及び/又は溶媒として作用する材料を使用することを伴う。キャリア/分散剤/希釈剤/加工助剤/溶媒(以下において時には便宜上「キャリア」と呼ぶ)は、所期の使用場所における活性成分の少なくとも1つを配し及び/又は作用させることを少なくとも促進し、好ましくは向上させることができなければならず、同時にかかるキャリアは活性成分の作用を妨げるものであってはならない。キャリアはかかる状況においてしばしば使用することによって開放雰囲気中に放出されるので、キャリア材料の環境特性は、人工の材料及び活動の環境影響に関する懸念が増すにつれて益々重要になってきている。例えば、過去数年間の間に、例えば冷却の分野において地球温暖化及びオゾン層破壊に対する非常に小さい影響を有する材料の開発に大きな努力が捧げられている。更に、この材料を大気中に放出することは、スモッグ及び煙霧のように低レベルの大気条件に対して悪影響を与える可能性がある。
【0003】
[0004]好ましい環境特性に加えて、キャリアのために用いる材料は好ましくはまた、特定の用途に応じて、幾つかの特性の中でも1種類又は複数の活性成分に対する不活性、低い毒性、及び低い燃焼性のような望ましいが達成するのが困難な他の特性の組み合わせも有する。多くの用途においては、キャリアは、活性成分を少なくとも部分的に乳化し、及び/又は好ましくは少なくとも部分的に溶媒和する能力を有することも望ましいか又は必須である。
【0004】
[0005]本発明の好ましい形態によって、これら及び他の必要性が満足される。
【発明の概要】
【0005】
[0006]本発明は、1種類以上の活性成分を含み、モノクロロトリフルオロプロペン、好ましくは1-クロロ-3,3,3-トリフルオロプロペン(HCFO-1233zd)、更により好ましくはトランス-1-クロロ-3,3,3-トリフルオロプロペン(トランス-HCFO-1233zd又はHCFO-1233zd(E))及び/又はシス-1-クロロ-3,3,3-トリフルオロプロペン(シス-HCFO-1233zd又はHCFO-1233zd(Z))をキャリアとして用いる組成物、方法、及び系を提供する。
【0006】
[0007]本出願人らは、予期しなかったことに、本発明の好ましい組成物、方法、及び系は、好ましく低いGWP、低いODP、及び/又は低いVOCなどの非常に好ましく望ましい環境特性を与えるだけでなく、キャリアとして用いるための本明細書に記載するモノクロロトリフルオロプロペン化合物は、幾つかの特性の中でも1種類又は複数の活性成分に対する実質的な不活性、低い毒性、及び低い燃焼性などの望ましいが達成するのが困難な他の特性の組み合わせを有することを見出した。多くの用途においては、キャリアは、活性成分を少なくとも部分的に乳化し、及び/又は好ましくは少なくとも部分的に溶媒和する能力を有することも、望ましいか又は必須のいずれかである。特に被覆、塗料、接着
剤、シーラント、潤滑剤(特に化石燃料又は合成ブレンド又はこれらの幾つかのバージョンから形成される潤滑剤)、並びに殺虫剤/除草剤などの多くの用途に関しては、少なくとも部分的に可溶性で及び/又は少なくとも部分的に乳化性の混合物を形成するキャリア/活性成分配合物の能力が非常に望ましい可能性がある。本出願人らは、本発明の多くの好ましい態様は、1以上のかかる用途においては少なくとも部分的に可溶性及び/又は部分的に乳化性の混合物であり、更により好ましい用途においては実質的に完全に可溶性及び/又は実質的に完全に乳化性である流体組成物を提供することを見出した。更に、本発明の組成物、方法、及び系は、多くの態様において、材料を適用した後に、更なる工程を少ししか用いないか又は全く用いないで容易に除去されるキャリアの能力を提供する有利性を有する。而して、好ましい組成物、方法、及び系においては、適用工程の後に活性成分を硬化/顕出させるのに必要な時間は比較的短く、更なるエネルギーは比較的少ししか必要でなく、好ましくは全く必要でない。
【0007】
[0008]本発明の幾つかの形態においては、シス-又はトランス-HCFO-1233zd異性体のいずれを使用するかは、活性剤とのその溶解性に基づく。本出願人らは、驚くべきことに且つ予期しなかったことに、シス-1233zdのカウリ・ブタノール(KB)値は34であり、トランス-1233zdのKB値は25であることを見出した。而して、シス異性体はトランス異性体よりも30%以上高いKB値を有しており、これは少なくとも幾つかの用途においてはより良好な溶媒である可能性があることを示唆している。したがって、本発明の幾つかの形態においては、選択されるモノクロロトリフルオロプロペン、特に選択されるHCFO-1233zd異性体は、30より大きいKB値を有する。更なる態様においては、シス-HCFO-1233zd異性体は、活性剤に対する所望の溶解性を与えるように、単独か又はトランス異性体と組み合わせて具体的に選択することができる。
【0008】
[0009]本発明の1つの好ましい形態は、結合剤を含む活性成分、及びモノクロロトリフルオロプロペン、好ましくはHCFO-1233zd、更により好ましくはトランス-HCFO-1233zd又はシス-HCFO-1233zdを含むキャリアを用いて2つの表面/物体及び接着剤系を結合するか又は結合するように準備する接着剤組成物、方法、及び系(ここで結合剤は、組成物を使用場所に配することによって、より好ましくはキャリアの少なくとも一部を除去することによって、更により好ましくはそれを蒸発させることによって、かかる少なくとも2つの表面及び/又は物体の間の結合を形成することができる)に関する。配すること、除去、及び蒸発に関連して本明細書において用いる「によって」という用語は、これらの動作が活性成分にその所望の結果を達成させることの少なくとも一部であるか、又はそれに関連しているが、必ずしもそのための唯一の手段ではないことを意味すると意図される。当業者に認識されるように、本発明の接着剤の形態は、床の接合、部品の締着、建設材料の接合などに関連する広範囲の使用における用途を見出すことができる。
【0009】
[0010]本出願人らは更に、シス-又はトランス-HCFO-1233zdは、接着剤用途において、その特性(例えば、燃焼性、カウリ・ブタノール(KB)値など)、適用方法(例えば噴霧可能又は非噴霧等)、及び/又は用いる結合剤とのその溶解性に応じて具体的に選択することができることを見出した。非限定的な例の目的で、幾つかの噴霧適用においては、トランス-HCFO-1233zd異性体は、そのより低い沸点のために好ましい可能性がある。幾つかの非噴霧適用においては、シス-HCFO-1233zd異性体は、結合剤とのより良好な溶解性を示すので好ましい可能性がある。或いは、トランス-HCFO-1233zd異性体は、単独か、又は幾つかの態様においては結合剤とのその溶解性を向上させるために1種類以上の共キャリア(必要な場合)と合わせて用いることができる。
【0010】
[0011]このために、幾つかの形態においては、本発明の組成物は、モノクロロトリフルオロプロペンがトランス-HCFO-1233zdを含むか、これから実質的に構成されるか、又はこれから構成される噴霧可能な組成物として与えられる。更なる形態においては、組成物は非噴霧組成物である。幾つかの形態においては、非噴霧組成物のモノクロロトリフルオロプロペンは、シス-HCFO-1233zdを含むか、これから実質的に構成されるか、又はこれから構成される。更なる形態においては、非噴霧組成物のモノクロロトリフルオロプロペンは、トランス-HCFO-1233zd、及び活性剤とのトランス-HCFO-1233zdの溶解性を向上させる少なくとも1種類の共キャリアを含むか、これらから実質的に構成されるか、又はこれらから構成される。
【0011】
[0012]本発明の他の好ましい形態は、被覆剤を含む活性成分、及びモノクロロトリフルオロプロペン、好ましくはHCFO-1233zd、更により好ましくはトランス-HCFO-1233zdを含むキャリアを用いる被覆組成物、被覆方法、及び被覆系(ここで被覆剤は、組成物を使用場所に配することによって、より好ましくはキャリアの少なくとも一部を除去することによって、更により好ましくはそれを蒸発させることによって被覆又はフィルムを形成することができる)に関する。当業者に認識されるように、本発明の被覆の形態は、塗料、薄膜などに関連する広範囲の使用における用途を見出すことができる。本出願人らは更に、シス-又はトランス-HCFO-1233zdは、被覆用途において、その特性(例えば、燃焼性、カウリ・ブタノール(KB)値など)、適用方法(例えば噴霧可能又は非噴霧等)、及び/又は用いる被覆剤とのその溶解性に応じて具体的に選択することができることを見出した。非限定的な例の目的で、幾つかの噴霧被覆適用においては、トランス-HCFO-1233zd異性体はそのより低い沸点のために好ましい可能性がある。幾つかの非噴霧適用においては、シス-HCFO-1233zd異性体は、被覆材とより良好な溶解性を示すので好ましい可能性がある。或いは、トランス-HCFO-1233zd異性体は、単独か、又は幾つかの態様においては被覆剤とのその溶解性を向上させるために1種類の共キャリア(必要な場合)と組み合わせて用いることができる。
【0012】
[0013]本発明の他の好ましい形態は、シール剤を含む活性成分、及びモノクロロトリフルオロプロペン、好ましくはHCFO-1233zd、更により好ましくはトランス-HCFO-1233zd又はシス-HCFO-1233zdを含むキャリアを用いるシーラント組成物、シール方法、及びシーラント系(ここでシール剤は、組成物を使用場所に配することによって、より好ましくはキャリアの少なくとも一部を除去することによって、更により好ましくはそれを蒸発させることによって、特に(排他的ではないが)音、空気、腐食性物質、又は湿分のような予め選択された流体の通過に対するシール又はバリアを形成することができる)に関する。当業者に認識されるように、本発明のシールの形態は、車体の空洞部、重機の空洞部、建築物の空洞部などに関連する広範囲の使用における用途を見出すことができる。本出願人らは更に、シス-又はトランス-HCFO-1233zdは、シーラント用途において、その特性(例えば、燃焼性、カウリ・ブタノール(KB)値など)、その適用方法、及び/又は用いるシール剤とのその溶解性に応じて具体的に選択することができることを見出した。非限定的な例の目的で、幾つかの噴霧適用においては、トランス-HCFO-1233zd異性体は、シーラント剤とより良好な溶解性を示すので好ましい可能性がある。或いは、トランス-HCFO-1233zd異性体は、単独か、又は幾つかの態様においてはシール剤とのその溶解性を向上させるために1種類の共キャリア(必要な場合)と組み合わせて用いることができる。
【0013】
[0014]本発明の他の好ましい形態は、潤滑剤を含む活性成分、及びモノクロロトリフルオロプロペン、好ましくはHCFO-1233zd、更により好ましくはトランス-HCFO-1233zd又はシス-HCFO-1233zdを含むキャリアを用いる潤滑剤組成物、潤滑方法、及び潤滑系(ここで潤滑剤は、組成物を使用場所に配することによって
、より好ましくはキャリアの少なくとも一部を除去することによって、更により好ましくはそれを蒸発させることによって、2つの表面又は物体の間の摩擦の減少を与えるか又はそれを促進させることができる)に関する。当業者に認識されるように、本発明の潤滑の形態は、ベアリング、接続具などに関連する広範囲の使用における用途を見出すことができる。本出願人らは更に、シス-又はトランス-HCFO-1233zdは、その特性(例えば、燃焼性、カウリ・ブタノール(KB)値など)、その適用方法、及び/又は用いる潤滑剤とのその溶解性に応じて具体的に選択することができることを見出した。
【0014】
[0015]本発明の他の好ましい形態は、殺虫剤及び/又は除草剤を含む活性成分、及びモノクロロトリフルオロプロペン、好ましくはHCFO-1233zd、更により好ましくはトランス-HCFO-1233zd又はシス-HCFO-1233zdを含むキャリアを用いる殺虫及び/又は除草組成物、殺虫剤及び/又は除草剤を施す方法、並びに殺虫及び/又は除草系(ここで殺虫剤及び/又は除草剤は、組成物を使用場所に配することによって、より好ましくはキャリアの少なくとも一部を除去することによって、更により好ま]しくはそれを蒸発させることによって、特定の選択された虫又は植物の生命体の活性、
成長、及び/又は寿命を抑制又は増強させることができる)に関する。当業者に認識されるように、本発明の殺虫剤及び/又は除草剤の形態は、飛翔昆虫用スプレー、除草剤スプレーなどのような用途に関連する広範囲の使用における用途を見出すことができる。本出願人らは更に、シス-又はトランス-HCFO-1233zdは、その特性(例えば、燃焼性、カウリ・ブタノール(KB)値など)、その適用方法、及び/又は用いる殺虫剤及び/又は除草剤とのその溶解性に応じて具体的に選択することができることを見出した。
【0015】
[0016]本明細書において用いる「活性成分」という用語は、組成物、方法、又は系の所期の機能を与えるか、それに寄与するか、及び/又はそれを増強させる組成物の任意の1以上の成分を指す。「キャリア」という用語は、本明細書においては、その主要な機能が、活性成分を好ましくは比較的希釈状態で含ませる手段、及び/又は適用の容易性及び/又は所期の使用場所の機能における有効性を促進させるか又はそれに寄与する手段を与えることである組成物、系、又は方法の任意の1以上の成分を指すように総称的に用いられる。本発明のキャリア成分は一般に所期の最終生成物を形成又は製造するようには直接的には機能しないが、キャリアの有効性は、活性成分を所期の目標場所において均一に分配するか、及び/又は活性成分をその所期の機能を果たすのにより有効な条件で残留させることなどによるキャリアとしてのその有効性のために、最終生成物の特性に対して間接的な影響を有する可能性がある。
【発明を実施するための形態】
【0016】
[0017]本発明のキャリアは組成物の大きな割合を構成し、好ましい態様においてはキャリアは組成物の約5%~約95%を構成し、更なる態様においてはそれはモノクロロトリフルオロプロペンの少なくとも約50重量%、更なる態様においては少なくとも約80重量%を構成すると意図されるが、組成物、方法、又は系の全体的な性能を補助するか又は向上させるために、他の材料をキャリア中に含ませることができると認められる。キャリア中にありとあらゆるかかる補助材料及び更なる材料を含ませることは、本発明の広い範囲の範囲内である。
【0017】
[0018]本発明のモノクロロトリフルオロプロペンキャリア成分と組み合わせて用いることができる更なる材料又は補助材料の例としては、他の炭化水素、他のフルオロカーボン、例えば他のフルオロクロロカーボン、フルオロエーテル、フルオロケトン、アルコール、ケトン、及び/又はホルメートが挙げられる。上述したように、これらの更なる成分又は補助成分は、例えば組成物、方法、又は系の全体的な環境影響を減少させ、及び/又は性能を向上させるために加えることができる。
【0018】
[0019]幾つかの用途及び態様においては、キャリアは、組成物、方法、又はシステムの以下の特性:キャリアを除去し、活性成分を硬化又は更に処理した後の材料の柔軟性;キャリアを除去し、活性成分を硬化又は更に処理した後の材料の品質仕上がり状態;速乾時間、及び組成物の適用のしやすさ及び/又は有効性:の1以上に寄与する。
【0019】
被覆組成物、方法、及び系:
[0020]上述したように、本発明の好ましい被覆組成物は、被覆剤、及びモノクロロトリフルオロプロペン、好ましくはHCFO-1233zd、更により好ましくはトランス-HCFO-1233zd及び/又はシス-HCFO-1233zdを含むキャリアを含む。本発明の被覆方法は、本発明による被覆組成物を与え、被覆組成物を、被覆する基材、物体、及び/又は表面に適用することを含む。幾つかの態様においては、この方法は、基材、物体、及び/又は表面からのキャリアの少なくとも実質部分の除去を助けるか、向上させるか、又は達成して、被覆剤による所望の被覆の顕出を可能にするか又は向上させるようにする更なる工程を含む。かかる更なる工程は本発明による多くの形態をとることができるが、多くの用途においては、かかる工程は単純に被覆組成物を適用したら環境に曝露することを含み、多くの好ましい態様においては、これによってモノトリフルオロプロペンの少なくとも一部、好ましくは大きな割合、更により好ましくは実質的に全部の蒸発がもたらされる。幾つかの態様においては、被覆組成物を適用したら加熱することによって蒸発が促進され、加熱工程はまた、例えば被覆の顕出/硬化を促進し、及び/又は被覆が形成されたら所望の特性を顕出させることを助けることによって更なる利益を与えることができる。
【0020】
[0021]被覆剤は、本発明の広い範囲にしたがう広範囲の材料及び配合物であってよい。本発明の被覆の形態の一態様は、塗料、塗装法、及び塗装系、或いは1以上の多様な物品又は機器上の被覆を含む。塗料の特定の態様においては、活性成分も多くの形態をとることができ、多くの材料を含ませることができる。幾つかの好ましい態様においては、活性成分は、キャリアを少なくとも部分的に除去した場合及び/又は樹脂を硬化させた場合に塗料被覆を形成する活性樹脂を含む。この目的のための全ての公知の樹脂を本発明にしたがって用いることができるが、幾つかの態様においては、塗料樹脂は、オイル、アルキド樹脂、アクリル樹脂、ビニルアクリル樹脂、ビニルアセテート/エチレン(VAE)、ポリウレタン、ポリエステル、メラミン樹脂、エポキシ樹脂、並びにこれら及び/又は他の樹脂材料の任意の2以上の組み合わせ及び混合物のような材料をベースとする天然及び/又は合成ポリマーのような成分を含む。更に、活性成分には、樹脂に加えて、被覆の所望の最終仕上がり状態及び他の特性を達成するために所望であるか及び/又は必要な美的添加剤、顔料、バインダーなどのような1種類以上の他の材料を含ませることができる。
【0021】
[0022]被覆系に関しては、被覆方法は所望の最終仕上がり状態又は被覆表面を達成するために2種類以上の異なる組成物又は材料を施すことを必要とする可能性があることが意図されているが、一般には好ましくない。かかる場合においては、本発明の系は、本被覆組成物を、本発明による被覆を達成するために本被覆組成物と一緒に用いることが意図されるか又は用いられるような更なる材料又は組成物と一緒に含む。
【0022】
[0023]これも上述したように、多くの被覆用途に関しては、特定のHCFO-1233zd異性体の選択は、その特性、適用方法、及び/又は被覆剤とのその溶解性又は混和性に基づいて行うことができる。例えば幾つかの噴霧適用に関しては、トランス-HCFO-1233zd異性体はシス異性体よりも遙かに低い沸点を有しているので好ましい可能性があるが、必要に応じて被覆剤の溶解性を促進するためにシス異性体を与えることもできる。かかる用途においては、トランス異性体は上記に規定したもののような被覆剤と共に用いることができる。更なる非限定的な態様においては、被覆剤としては、具体的にはアクリル樹脂、ウレタン樹脂、スチレンラバー、炭化水素ロジン、エステルロジン、又は
ヘパリンを挙げることができる。非噴霧適用(例えば、浸し塗り、注入、ブラシ塗布、浸漬等)においては、キャリア/活性成分の組み合わせによって少なくとも部分的に可溶で及び/又は少なくとも部分的に乳化可能な混合物を形成し、用いる異性体の選択は被覆剤とのその溶解性に基づいて行うことができることが特に望ましい。幾つかの非噴霧適用においては、シス-HCFO-1233zd異性体は、幾つかの被覆剤、特に上記に規定した一般的なカテゴリー内の被覆剤、更なる非限定的で具体的な態様においては高耐衝撃性ポリスチレン、アクリロニトリル-ブタジエン-スチレン、及び幾つかのアクリル樹脂とより良好な溶解性を示すので好ましい。或いは、トランス-HCFO-1233zd異性体が好ましいか又は代わりに用いられる可能性がある非噴霧適用においては、これは、単独か、又は幾つかの態様においては、1種類以上の共キャリア、特にトランス-1233zdと被覆剤との溶解性又は混和性を向上させる1種類以上の共キャリアと組み合わせて与えることができる。被覆用途における共キャリアの例としては、他の炭化水素、他のフルオロカーボン、例えば他のフルオロクロロカーボン、フルオロエーテル、フルオロケトン、アルコール、ケトン、ホルメート、低級アルコール(例えばメタノール、エタノールなど)、ナフサ、テルペンベースの溶媒(例えばd-リモネン)、他の高蒸発速度の有機物質(例えばイソプレン、ヘキサン、ヘプタン、スチレン液、キシレン、トルエン、メチルシクロヘキサン、シクロヘキサン、2,2-ジクロロプロパン、塩化メチレン、ジイソブチルケトン、ジイソプロピルケトン、メチルイソブチルケトン、メチルイソプロピルケトン、メチルシクロヘキサノン、シクロヘキサノン、イソブチルアセテート、イソプロピルアセテート、ブチルアセテート、プロピルアセテート、エチルアセテート、ジエチルエーテル、ジメチルエーテル、ジエチレングリコール、2-エチルヘキサノール)、並びにこれらの任意のものの共キャリアとして用いる更なる材料との混合物又はそれを含まない混合物を挙げることができるが、これらに限定されない。
【0023】
[0024]本出願人らは、1つの特定の異性体が好ましい可能性がある上記の態様では、他の異性体又は両方の異性体を含ませることは必ずしも排除されないことを注記する。むしろ、これは単純にその用途のために好ましい可能性がある1つの異性体の性質を特定するものである。かかる用途においては、いずれの異性体も単独か又は異性体混合物で与えることができる。
【0024】
接着剤組成物、結合方法、及び接着剤系:
[0025]上述したように、本発明の好ましい接着剤組成物は、結合剤、及びモノクロロトリフルオロプロペン、好ましくはHCFO-1233zd、更により好ましくはトランス-HCFO-1233zd及び/又はシス-HCFO-1233zdを含むキャリアを含む。本発明の結合方法は、本発明による結合組成物を与え、結合組成物を、結合する1つ又は複数の物体及び/又は1つ又は複数の表面の少なくとも1つに適用することを含む。殆どの態様においては、この方法は、複数の物体又は表面を合わせて、結合剤が互いと接着する複数の物体/表面の間の結合を生じさせることができるようにすることを含む。幾つかの態様においては、複数の物体/表面を合わせる前にキャリア又はその一部を好ましくは蒸発によって除去し、一方、他の態様においては、複数の物体/表面を合わせた後にキャリア又はその一部を除去する。勿論、複数の物体/表面を合わせる前、合わせている間、及び合わせた後にキャリアの一部を除去する幾つかの態様を用いることができる。
【0025】
[0026]多くの態様に関して必須とは考えていないが、幾つかの態様においては、本発明の接着剤の形態において共キャリアを用いることが望ましい可能性がある。かかる共キャリアとしては、上述したものに加えて、低級アルコール(例えばメタノール、エタノールなど)、テルペンベースの溶媒(例えばd-リモネン)、他の高蒸発速度の有機物質(例えばイソプレン、ヘキサン、ヘプタン、スチレン液、キシレン、トルエン、メチルシクロヘキサン、シクロヘキサン、2,2-ジクロロプロパン、塩化メチレン、ジイソブチルケトン、ジイソプロピルケトン、メチルイソブチルケトン、メチルイソプロピルケトン、メ
チルシクロヘキサノン、シクロヘキサノン、イソブチルアセテート、イソプロピルアセテート、ブチルアセテート、プロピルアセテート、エチルアセテート、ジエチルエーテル、ジメチルエーテル、ジエチレングリコール、2-エチルヘキサノール)、並びにこれらの任意のものの共キャリアとして用いる更なる材料との混合物又はそれを含まない混合物を挙げることができるが、これらに限定されない。
【0026】
[0027]方法工程に関しては、本発明の組成物は、噴霧、浸漬、注入、ブラシ塗布、並びにこれら及び他の工程及び技術の組み合わせなど(しかしながらこれらに限定されない)の種々の技術及び工程を用いて適用することができる。
【0027】
[0028]他の場合によって用いる工程は、組成物から、及び/又は基材、物体、及び/又は表面からのキャリアの少なくとも一部の除去を助けるか、向上させるか、又は達成して、所望の結合の顕出を行うか又は向上させるようにするために用いることができる。かかる更なる工程は本発明による多くの形態をとることができるが、多くの用途においては、かかる場合によって用いる工程は、接着剤組成物を適用したら環境に曝露することを含み、多くの好ましい態様においては、これによってモノトリフルオロプロペンの少なくとも一部、好ましくは大きな割合、更により好ましくは実質的に全部の蒸発がもたらされる。幾つかの態様においては、接着剤組成物を適用したら加熱することによって蒸発が促進され、加熱工程はまた、例えば結合剤の成分の顕出/硬化/反応を促進し、及び/又は結合が形成されたら接着剤における所望の特性を顕出させることを助けることによって更なる利益を与えることができると認められる。
【0028】
[0029]結合剤は、本発明の広い範囲にしたがう広範囲の材料及び組み合わせであってよい。非限定的な例の目的で、活性接着剤は、アクリル接着剤、及びエポキシ接着剤、スチレン接着剤、並びにこれらの組み合わせであってよい。
【0029】
[0030]接着剤系に関しては、所望の最終的な結合を達成するために、接着方法が2種類以上の異なる組成物又は材料を適用することを必要とする可能性があることが意図されるが、これは必ずしも好ましくはない。かかる場合においては、本発明の系は、本接着剤組成物を、本発明によって結合を達成するために本接着剤組成物と一緒に用いることが意図されるか又は用いられるような更なる材料又は組成物と共に含む。
【0030】
[0031]これも上述したように、多くの接着剤用途に関しては、特定のHCFO-1233zd異性体の選択は、その特性、その適用方法、及び/又は結合剤とのその溶解性/混和性に基づいて行うことができる。例えば幾つかの噴霧適用に関しては、トランス-HCFO-1233zd異性体はシス異性体よりも遙かに低い沸点を有しているので好ましい可能性があるが、必要に応じて結合剤の溶解性を促進するためにシス異性体を与えることもできる。かかる用途においては、トランス異性体は上記に規定した一般的なカテゴリーの範囲内のもののような結合剤と共に用いることができる。幾つかの形態においては、結合剤としては、具体的にはウレタン又はスチレンラバーが挙げられるが、これらに限定されない。非噴霧適用においては、キャリア/活性成分の組み合わせによって少なくとも部分的に可溶で及び/又は少なくとも部分的に乳化可能な混合物を形成し、用いる異性体の選択は結合剤とのその溶解性に基づいて行うことができることが特に望ましい。幾つかの非噴霧適用においては、シス-HCFO-1233zd異性体は、上記に規定した一般的なカテゴリーの範囲内のもののような結合剤、特にアクリル樹脂、SBS、又は4他のスチレン樹脂などをはじめとする(しかしながらこれらに限定されない)結合剤とのより良好な溶解性を示すので好ましい可能性がある。或いは、トランス-HCFO-1233zd異性体が好ましいか又は代わりに用いられる可能性がある別の非噴霧適用においては、これは、単独か、又は幾つかの態様においては、上記に規定した1種類以上の共キャリア、特にトランス-1233zdと結合剤との溶解性又は乳化を促進させるか又は他の形態
で向上させる共キャリアと組み合わせて与えることができる。
【0031】
[0032]本出願人らは、1つの特定の異性体が好ましい可能性がある上記の態様では、両方の異性体を含ませることは必ずしも排除されないことを注記する。むしろ、これは単純にその用途のために好ましい1つの異性体の性質を特定するものである。かかる用途においては、いずれの異性体も単独か又は異性体混合物で与えることができる。
【0032】
シーラント組成物、シール方法、及びシーラント系:
[0033]上述したように、本発明の好ましいシーラント組成物は、シール剤、及びモノクロロトリフルオロプロペン、好ましくはHCFO-1233zd、更により好ましくはトランス-HCFO-1233zd及び/又はシス-HCFO-1233zdを含むキャリアを含む。本発明のシール方法は、好ましくは、本発明によるシーラント組成物を与え、シーラント組成物を、シールする1つ又は複数の物体及び/又は1つ又は複数の表面の少なくとも1つに適用することを含む。多くの態様においては、シーラントは、2つの表面又は物体の間にシール、幾つかの態様においては止水シールを生起させるために用いる。かかる態様においては、この方法は好ましくは、シーラントを複数の物体/表面の一方又は両方に適用した後に物体又は表面を合わせて、それらの間の間隙又は空間が1種類以上の流体の流れに対して比較的抵抗性であるようにすることを含む。他の態様においては、間隙は複数の物体/表面の間に存在するか又はその間で形成され、シーラントは複数の表面/物体に実質的に同時に適用して、間隙の少なくとも一部を満たしてそれをシールする。更なる態様としては、音波及び空気加工などが挙げられる。かかる態様のいずれにおいても、圧力を複数の物体及び/又はシーラント組成物に加えてシールを向上させることができる。他の態様においては、布帛などのような比較的浸透性の材料において、本発明のシーラントで処理した材料の部分を通る水のような1種類以上の流体の通過に対する増加した抵抗性を生起させるためにシーラント組成物を用いることができる。幾つかの態様においては、複数の物体/表面を合わせる前にキャリア又はその一部を好ましくは蒸発によって除去し、一方、他の態様においては、複数の物体/表面を合わせた後にキャリア又はその一部を除去する。勿論、複数の物体/表面を合わせる前、合わせている間、及び合わせた後にキャリアの一部を除去する幾つかの態様を用いることができる。
【0033】
[0034]他の場合によって用いる工程は、組成物から、及び/又は処理する物体及び/又は表面からのキャリアの少なくとも一部の除去を助けるか、向上させるか、又は達成して、所望のシールの顕出を行うか又は向上させるようにするために用いることができる。かかる更なる工程は本方法による多くの形態をとることができるが、多くの用途においては、かかる場合によって用いる工程は、シーラント組成物を適用したら環境に曝露することを含み、多くの好ましい態様においては、これによってモノトリフルオロプロペンの少なくとも一部、好ましくは大きな割合、更により好ましくは実質的に全部の蒸発がもたらされる。幾つかの態様においては、シーラント組成物を適用したら加熱することによって蒸発が促進され、加熱工程はまた、例えばシール剤の成分の顕出/硬化/反応を促進し、及び/又はシーラントが適用されたらシーラントにおける所望の特性を顕出させることを助けることによって更なる利益を与えることができると認められる。
【0034】
[0035]シール剤は、本発明の広い範囲にしたがう広範囲の材料及び組み合わせであってよい。非限定的な例の目的で、活性シール成分には、シリコーンシーラント、ポリ(α-モノアルケニルアレーン)/ポリ(共役ジエン)ブロックコポリマー又はその水素化若しくは部分水素化誘導体、並びにこれらの他の活性シール剤との組み合わせ又はそれを含まない組み合わせの1以上を含ませることができる。
【0035】
[0036]接着剤系に関しては、所望の最終的な結合を達成するために、シーラント方法が2種類以上の異なる組成物又は材料を適用することを必要とする可能性があることが意図
されるが、これは必ずしも好ましくはない。かかる場合においては、本発明の系は、本シーラント組成物を、本発明によってシールを達成するために本シーラント組成物と一緒に用いることが意図されるか又は用いられるような更なる材料又は組成物と共に含む。
【0036】
[0037]これも上述したように、多くのシーラント用途に関しては、特定のHCFO-1233zd異性体の選択は、その特性、適用方法、及び/又はシール剤とのその溶解性/混和性に基づいて行うことができる。例えば幾つかの噴霧適用に関しては、トランス-HCFO-1233zd異性体はシス異性体よりも遙かに低い沸点を有しているので好ましい可能性があるが、必要に応じてシール剤の溶解性を促進するためにシス異性体を与えることもできる。かかる用途においては、トランス異性体は上記に規定した一般的なカテゴリーの範囲内のもののような(しかしながらこれらに限定されない)シール剤と共に用いることができるが、必要に応じてシール剤の溶解性を促進するためにシス異性体を与えることもできる。非噴霧適用においては、キャリア/活性成分の組み合わせによって少なくとも部分的に可溶で及び/又は少なくとも部分的に乳化可能な混合物を形成し、用いる異性体の選択はシール剤とのその溶解性に基づいて行うことができることが特に望ましい。幾つかの非噴霧適用においては、シス-HCFO-1233zd異性体は、上記に規定した一般的なカテゴリーの範囲内のもののような(しかしながらこれらに限定されない)シール剤とのより良好な溶解性を示すので好ましい可能性がある。トランス-HCFO-1233zd異性体が好ましいか又は代わりに用いられる可能性がある別の非噴霧適用においては、これは、単独か、又は幾つかの態様においては1種類以上の共キャリア、特にトランス-1233zdとシール剤との溶解性又は乳化を向上させる1種類以上の共キャリアと組み合わせて与えることができる。シール用途における共キャリアの例としては、他の炭化水素、他のフルオロカーボン、例えば他のフルオロクロロカーボン、フルオロエーテル、フルオロケトン、アルコール、ケトン、ホルメート、低級アルコール(例えばメタノール、エタノールなど)、ナフサ、テルペンベースの溶媒(例えばd-リモネン)、他の高蒸発速度の有機物質(例えばイソプレン、ヘキサン、ヘプタン、スチレン液、キシレン、トルエン、メチルシクロヘキサン、シクロヘキサン、2,2-ジクロロプロパン、塩化メチレン、ジイソブチルケトン、ジイソプロピルケトン、メチルイソブチルケトン、メチルイソプロピルケトン、メチルシクロヘキサノン、シクロヘキサノン、イソブチルアセテート、イソプロピルアセテート、ブチルアセテート、プロピルアセテート、エチルアセテート、ジエチルエーテル、ジメチルエーテル、ジエチレングリコール、2-エチルヘキサノール)、並びにこれらの任意のものの共キャリアとして用いる更なる材料との混合物又はそれを含まない混合物を挙げることができるが、これらに限定されない。
【0037】
[0038]本出願人らは、1つの特定の異性体が好ましい可能性がある上記の態様では、両方の異性体を含ませることは必ずしも排除されないことを注記する。むしろ、これは単純にその用途のために好ましい1つの異性体の性質を特定するものである。かかる用途においては、いずれの異性体も単独か又は異性体混合物で与えることができる。
【0038】
潤滑剤組成物、潤滑方法、及び潤滑剤系:
[0039]上述したように、本発明の好ましい潤滑剤組成物は、潤滑剤、及びモノクロロトリフルオロプロペン、好ましくはHCFO-1233zd、更により好ましくはトランス-HCFO-1233zd及び/又はシス-HCFO-1233zdを含むキャリアを含む。本発明の潤滑方法は、好ましくは、本発明による潤滑組成物を与え、潤滑組成物を、潤滑する1つ又は複数の物体及び/又は1つ又は複数の表面の少なくとも1つに適用することを含む。多くの態様においては、潤滑剤は、他の物体との摩擦を生起させる接触が起こった際に減少したレベルの摩擦を示す物体又は材料の区域、領域、又は表面を形成するために用いる。特定のHCFO-1233zd異性体の選択は、その特性、適用方法、及び/又は潤滑剤とのその溶解性/混和性に基づいて行うことができる。例えば幾つかの噴霧適用に関しては、トランス-HCFO-1233zd異性体はシス異性体よりも遙かに
低い沸点を有しているので好ましい可能性があるが、必要に応じて潤滑剤の溶解性を促進するためにシス異性体を与えることもできる。非噴霧適用においては、少なくとも部分的に潤滑剤とのその溶解性又は混和性に基づいてシス又はトランス異性体を用いることができる。しかしながら、本出願人らは、1つの異性体が好ましいことは両方の異性体を含ませることを必ずしも排除するものではないことを注記する。むしろ、これは単純にその用途のために好ましい可能性がある1つの異性体の性質を特定するものである。かかる用途においては、いずれの異性体も単独か又は異性体混合物で与えることができる。
【0039】
[0040]キャリアの少なくとも一部の組成物から及び/又は処理する物体及び/又は表面からの除去を助けるか、向上させるか、又は達成して、所望の潤滑剤の顕出を可能にするか又は向上させるようにするために種々の工程を用いることができる。かかる更なる工程は本発明による多くの形態をとることができるが、多くの用途においては、かかる場合によって用いる工程は潤滑剤組成物を適用したら環境に曝露することを含み、多くの好ましい態様においては、これによってモノトリフルオロプロペンの少なくとも一部、好ましくは大きな割合、更により好ましくは実質的に全部の蒸発がもたらされる。幾つかの態様においては、潤滑剤組成物を適用したら加熱することによって蒸発が促進され、加熱工程はまた、例えば潤滑剤の成分の顕出/硬化/反応を促進し、及び/又はそれが適用されたら潤滑剤における所望の特性を顕出させることを助けることによって更なる利益を与えることができると認められる。
【0040】
[0041]潤滑剤は、本発明の広い範囲にしたがう広範囲の材料及び配合物であってよい。通常用いられる活性潤滑剤としては、ポリオールエステル(POE)及びポリアルキレングリコール(PAG)、PAGオイル、シリコーンオイル、鉱油、アルキルベンゼン(AB)、並びにポリ(α-オレフィン)(PAO)が挙げられるが、これらに限定されない。商業的に入手できる鉱油としては、WitcoからのWitco LP 250(登録商標)、Shrieve ChemicalからのZerol 300(登録商標)、WitcoからのSunisco 3GS、及びCalumetからのCalumet R015が挙げられる。商業的に入手できるアルキルベンゼン潤滑剤としては、Zerol 150(登録商標)が挙げられる。商業的に入手できるエステルとしては、Emery 2917(登録商標)及びHatcol 2370(登録商標)として入手できるネオペンチルグリコールジペラル
ゴネートが挙げられる。他の有用なエステルとしては、ホスフェートエステル、二塩基酸エステル、及びフルオロエステルが挙げられる。勿論、異なるタイプの潤滑剤の異なる混合物を用いることができる。
【0041】
[0042]潤滑剤系に関しては、潤滑方法は所望の最終潤滑効果を達成するために2種類以上の異なる組成物又は材料を適用することを必要とする可能性があることが意図されるが、必ずしも好ましくはない。かかる場合においては、本発明の系は、本潤滑剤組成物を、本発明による摩擦減少効果を達成するために本潤滑剤組成物と一緒に用いることが意図されるか又は用いられるような更なる材料又は組成物と一緒に含む。
【0042】
殺虫剤組成物、殺虫方法、及び殺虫剤系:
[0043]上述したように、本発明の好ましい殺虫剤組成物は、殺虫剤、及びモノクロロトリフルオロプロペン、好ましくはHCFO-1233zd、更により好ましくはトランス-HCFO-1233zd及び/又はシス-HCFO-1233zdを含むキャリアを含む。特定のHCFO-1233zd異性体の選択は、その特性、適用方法、及び/又は殺虫剤とのその溶解性/混和性に基づいて行うことができる。例えば幾つかの噴霧適用に関しては、トランス-HCFO-1233zd異性体はシス異性体よりも遙かに低い沸点を有しているので好ましい可能性があるが、必要に応じて殺虫剤の溶解性を促進するためにシス異性体を与えることもできる。非噴霧適用においては、少なくとも部分的に殺虫剤とのその溶解性又は混和性に基づいてシス又はトランス異性体を用いることができる。しかしながら、本出願人らは、1つの異性体が好ましいことは両方の異性体を含ませることを
必ずしも排除するものではないことを注記する。むしろ、これは単純にその用途のために好ましい可能性がある1つの異性体の性質を特定するものである。かかる用途においては、いずれの異性体も単独か又は異性体混合物で与えることができる。
【0043】
[0044]本発明の虫を減少させる方法は、好ましくは、本発明による殺虫剤組成物を与え、殺虫剤組成物を処理する1つ又は複数の物体及び/又は1つ又は複数の表面及び/又は環境(空気を含む)に適用することを含む。多くの態様においては、殺虫剤は、1種類以上の虫に対して比較的生存しにくい状態を示し、したがってその領域、物体などの上又はその付近におけるかかる1種類以上の虫の存在を減少させるか又はそれに対して影響を与える物体又は材料の区域、領域、又は表面、或いは環境の区域又は領域を形成するために用いる。
【0044】
[0045]キャリアの少なくとも一部の組成物から及び/又は処理する物体及び/又は表面及び/又は空間の領域からの除去を助けるか、向上させるか、又は達成して、所望の殺虫剤の顕出を可能にするか又は向上させるようにするために種々の工程を用いることができる。かかる更なる工程は本発明による多くの形態をとることができるが、多くの用途においては、かかる場合によって用いる工程は殺虫剤組成物を適用したら環境に曝露することを含み、多くの好ましい態様においては、これによってモノトリフルオロプロペンの少なくとも一部、好ましくは大きな割合、更により好ましくは実質的に全部の蒸発がもたらされる。幾つかの態様においては、殺虫剤の活性成分の有効性を促進するか又は向上させ、及び/又は殺虫剤を施したら殺虫剤における所望の特性を顕出させるために他の工程が必要な可能性があると認められる。
【0045】
[0046]殺虫剤は、本発明の広い範囲にしたがう広範囲の材料及び配合物であってよい。本発明の殺虫剤の形態の一態様は、スズメバチ又は他の飛翔する虫用のスプレーのような改良された虫用スプレーを含む。かかる態様においては、噴射剤、好ましくはHFO-1234zeのような環境に優しい噴射剤を用いて、本組成物を使用前にその中に貯蔵することができる筒又は缶から本組成物を噴霧又は放出するのを助けることができることが意図され、幾つかの場合においては好ましい。かかる場合においては、本発明のキャリア成分によって、活性殺虫剤成分を好ましくは溶媒和し、更により好ましくは実質的に完全に溶媒和して、それによって、処理する物体、表面、区域、又は領域中、例えばスズメバチ又はジガバチの巣中に染み込んで、次に比較的迅速に蒸発して、活性成分を虫に対して有効に作用させて、そうでなければ殺虫剤で処理するのが困難であろう区域、領域、又は表面内に配置した状態で保持する組成物の能力を向上させることが意図され、且つ好ましい。
【0046】
[0047]非限定的な例の目的で、本発明にしたがって用いることができる活性殺虫剤は、ピレトリン、ピペロニルブトキシド、及びカルバリルを含む。石油蒸留物及び不活性成分のような随意的な更なる成分を用いることもできる。
【0047】
[0048]殺虫剤系に関しては、所望の最終的な殺虫効果を達成するために、潤滑方法が2種類以上の異なる組成物又は材料を適用することを必要とする可能性があることが意図されるが、これは必ずしも好ましくはない。かかる場合においては、本発明の系は、本殺虫剤組成物を、本発明によって殺虫効果を達成するために本殺虫剤組成物と一緒に用いることが意図されるか又は用いられるような更なる材料又は組成物と共に含む。
【0048】
除草剤組成物、除草方法、及び除草剤系:
[0049]上述したように、本発明の好ましい除草剤組成物は、除草剤、及びモノクロロトリフルオロプロペン、好ましくはHCFO-1233zd、更により好ましくはトランス-HCFO-1233zd及び/又はシス-HCFO-1233zdを含むキャリアを含
む。特定のHCFO-1233zd異性体の選択は、その特性、適用方法、及び/又は除草剤とのその溶解性/混和性に基づいて行うことができる。例えば幾つかの噴霧適用に関しては、トランス-HCFO-1233zd異性体はシス異性体よりも遙かに低い沸点を有しているので好ましい可能性があるが、必要に応じて除草剤の溶解性を促進するためにシス異性体を与えることもできる。非噴霧適用においては、少なくとも部分的に除草剤とのその溶解性又は混和性に基づいてシス又はトランス異性体を用いることができる。しかしながら、本出願人らは、1つの異性体が好ましいことは両方の異性体を含ませることを必ずしも排除するものではないことを注記する。むしろ、これは単純にその用途のために好ましい可能性がある1つの異性体の性質を特定するものである。かかる用途においては、いずれの異性体も単独か又は異性体混合物で与えることができる。本発明の植物の成長に影響を与える方法は、好ましくは、本発明による除草剤組成物を与え、除草剤組成物を処理する1つ又は複数の物体及び/又は1つ又は複数の表面及び/又は環境(空気を含む)に適用することを含む。多くの態様においては、除草剤は、1種類以上の植物の成長又は健康状態に対してプラス又はマイナスの影響を与え、したがって処理領域の上又はその付近におけるかかる1種類以上の植物の存在を減少又は増加させるか又はそれに対して影響を与えるために用いる。
【0049】
[0050]キャリアの少なくとも一部の組成物から及び/又は処理する物体及び/又は表面及び/又は空間若しくは土壌の領域からの除去を助けるか、向上させるか、又は達成して、所望の除草剤の顕出を可能にするか又は向上させるようにするために種々の工程を用いることができる。かかる更なる工程は本発明による多くの形態をとることができるが、多くの用途においては、かかる場合によって用いる工程は除草剤組成物を適用したら環境に曝露することを含み、多くの好ましい態様においては、これによってモノトリフルオロプロペンの少なくとも一部、好ましくは大きな割合、更により好ましくは実質的に全部の蒸発がもたらされる。
【0050】
[0051]幾つかの態様においては、除草剤の活性成分の有効性を促進するか又は向上させ、及び/又は除草剤を施したら除草剤における所望の特性を顕出させるために他の工程が必要な可能性があると認められる。
【0051】
[0052]除草剤は、本発明の広い範囲にしたがう広範囲の材料及び配合物であってよい。本発明の除草剤の形態の一態様は、改良された雑草又は植物用のスプレーを含む。かかる態様においては、噴射剤、好ましくはHFO-1234zeのような環境に優しい噴射剤を用いて、本組成物を使用前にその中に貯蔵することができる筒又は缶から本組成物を噴霧又は放出するのを助けることが意図され、幾つかの場合においては好ましい。かかる場合においては、本発明のキャリア成分によって、活性除草剤成分を好ましくは溶媒和し、更により好ましくは実質的に完全に溶媒和して、それによって、処理する物体、表面、区域、又は領域中に染み込んで、次に比較的迅速に蒸発して、活性成分を選択された植物の成長を向上させるか又は抑制するように有効に作用させて、そうでなければ除草剤で処理するのが困難であろう区域、領域、又は表面内に配置した状態で保持する組成物の能力を向上させることが意図され、且つ好ましい。
【0052】
[0053]除草剤系に関しては、所望の最終的な除草効果を達成するために、除草方法が2種類以上の異なる組成物又は材料を適用することを必要とする可能性があることが意図されるが、これは必ずしも好ましくはない。かかる場合においては、本発明の系は、本除草剤組成物を、本発明によって成長/健康状態調節効果を達成するために本除草剤組成物と一緒に用いることが意図されるか又は用いられるような更なる材料又は組成物と共に含む。
【実施例0053】
[0054]以下の実施例は本発明を例示する目的で与えるが、その範囲を限定するものではない。
実施例1:被覆/塗料:
[0055]以下の活性成分を含む被覆剤、特に塗料において用いるための樹脂を、キャリアと樹脂を40ccのセプタムトップバイアル内で混合して室温において振盪することに基づいて、示されている量で試験して示されている結果を達成した(単一の接尾文字で示されている実施例はトランス-HFCO-1233zdを用い、二重の接尾文字で示されている実施例はシス-HFCO-1233zdを用いた)。
【0054】
【0055】
実施例2:接着剤:
[0056]以下の活性成分を含む結合剤を、キャリアと結合剤を40ccのセプタムトップバイアル内で混合して室温において振盪することに基づいて、示されている量で試験して示されている結果を達成した(単一の接尾文字で示されている実施例はトランス-HFCO-1233zdを用い、二重の接尾文字で示されている実施例はシス-HFCO-1233zdを用いた)。
【0056】
【0057】
[0057]上表において2Aとして示されている観察された懸濁液様の材料が形成された後、金属表面上に液体を注ぎ、静置することによってキャリアの実質的に全部を蒸発させた。その上に接着剤を有する表面は粘着質になり、これは直ぐに結合を達成することができる材料が形成されたことを示す。
【0058】
実施例3:シーラント:
[0058]以下の活性成分を含むシール剤を、キャリアとシール剤を40ccのセプタムトップバイアル内で混合して室温において振盪することに基づいて、示されている量で試験して示されている結果を達成した(単一の接尾文字で示されている実施例はトランス-HFCO-1233zdを用い、二重の接尾文字で示されている実施例はシス-HFCO-1233zdを用いた)。
【0059】
【0060】
実施例4:潤滑剤:
[0059]本発明による1234ze(E)から構成されるキャリアを、キャリアによって鉱油を連行し、実質的に溶解又は乳化し、又はこれらの組み合わせを行う相対量で鉱油と混合した。鉱油は、表面に適用することによって潤滑を与えるのに有効な量で存在させた。特に、以下の活性成分を含む鉱油の形態の潤滑剤を、キャリアと潤滑剤を40ccのセプタムトップバイアル内で混合して室温において振盪することに基づいて、示されている量で試験して示されている結果を達成した(単一の接尾文字で示されている実施例はトランス-HFCO-1233zdを用い、二重の接尾文字で示されている実施例はシス-HFCO-1233zdを用いた)。
【0061】
【0062】
実施例5:殺虫剤:
[0057]本発明による1233zd(E)及び1233zd(Z)から構成されるキャリアを、本明細書に含まれる教示にしたがう、キャリアによって殺虫剤を連行し、実質的に溶解又は乳化し、又はこれらの組み合わせを行う相対量で通常の殺虫特性を有する殺虫剤材料と混合した。殺虫剤は、通常の適用技術を用いて適用することによって殺虫効果を与えるのに有効な量で存在させた。
【0063】
実施例6:除草剤:
[0058]本発明による1233zd(E)及び1233zd(Z)から構成されるキャリアを、本明細書に含まれる教示にしたがう、キャリアによって除草剤を連行し、実質的に溶解又は乳化し、又はこれらの組み合わせを行う相対量で通常の殺虫特性を有する殺虫剤材料と混合した。除草剤は、通常の適用技術を用いて適用することによって除草効果を与えるのに有効な量で存在させた。
【0064】
実施例7:カウリ・ブタノール値の測定:
[0059]トランス-1233zd及びシス-1233zdの両方に関して、ASTM法(D-1133:炭化水素溶媒のカウリ・ブタノール値に関する標準試験法)を用いて、カウリ・ブタノール(KB)値の測定を実験室内で行った。溶媒のカウリ・ブタノール値は、カウリ・ガム樹脂溶液がいかに良好に溶媒中に溶解するかの指標であり、化合物の溶解力を比較するために産業界において広く用いられている。カウリ・ブタノール溶液はFischer Scientificから得た。セプタムスクリューキャップを有する20ccのバイアル内に保持した溶液中に、トランス-1233zd及びシス-1233zdの両方を滴定した。トランス-1233zdに関するKB値は25であることが分かり、シス-1233zdに関するKB値は34であることが分かった。予期しなかったことに、シス-1233zdのKB値はトランス-1233zdのKB値よりも>30%増加した。電子部品の洗浄、ドライクリーニング、金属の洗浄など(しかしながらこれらに限定されない)の種々の洗浄用途及び堆積において広く用いられている溶媒であったCFC-113は、31のKB値を有していた。シス-1233zdは、電子部品の洗浄、ドライクリーニング、金属の洗浄、及び堆積を考えた場合には、そのより高いKB値のために好ましい溶媒であろう。
【0065】
実施例8:アクリル樹脂の溶解性:
[0060]1/4インチ×2インチの片に切断した市販のアクリルプラスチックシートの試験試料を、セプタムスクリューキャップを有する20ccのバイアル中に配置した。溶媒
(トランス-1233zd及びシス-1233zd)をシリンジによってゆっくりと加えて、バイアルの内部のプラスチック試料全体が覆われるようにした。この目的は、プラスチックに劣化が起こるかどうかを観察することであった。アクリル材料は、いずれの溶媒中にもアクリル材料を容易に溶解させることが分かった。
【0066】
実施例9:高耐衝撃性スチレンの溶解性:
[0061]1/4インチ×2インチの片に切断した市販の高耐衝撃性スチレンプラスチックシートの試験試料を、セプタムスクリューキャップを有する20ccのバイアル中に配置した。溶媒(トランス-1233zd及びシス-1233zd)をシリンジによってゆっくりと加えて、バイアルの内部のプラスチック試料全体が覆われるようにした。この目的は、プラスチックに劣化が起こるかどうかを観察することであった。高耐衝撃性スチレン材料はシス-1233zd溶媒中に完全に溶解することが分かり、一方、それはトランス-1233zd溶媒中では膨潤しか示さなかった。これは、トランス-1233zdに対するシス-1233zdの溶解性における明確な特異性を示す。
【0067】
実施例10:アクリロニトリル-ブタジエン-スチレンの溶解性:
[0062]1/4インチ×2インチの片に切断した市販のアクリロニトリル-ブタジエン-スチレン(ABS)シートの試験試料を、セプタムスクリューキャップを有する20ccのバイアル中に配置した。溶媒(トランス-1233zd及びシス-1233zd)をシリンジによってゆっくりと加えて、バイアルの内部のプラスチック試料全体が覆われるようにした。ABSプラスチック材料はシス-1233zd溶媒中に完全に溶解することが分かり、一方、それはトランス-1233zd溶媒中では変形しか示さなかった。これは、トランス-1233zdに対するシス-1233zdの溶解性における明確な特異性を示す。
【0068】
実施例11:ポリカーボネートの溶解性:
[0063]市販のポリカーボネート材料を用いて実施例8における実験を繰り返した。トランス-1233zdは、ポリカーボネートがひび割れるように見えたという点でポリカーボネートに対して若干の小さい効果を有していたが、シス-1233zdは、ポリカーボネートがシス-1233zdに曝露した後に激しいひび割れ、更には亀裂も有していたという点で大きな効果を有していた。
【0069】
実施例12:アクリル樹脂の溶解性:
[0064]市販のDow Polaroid Au-608-Bアクリル材料を用いて実施例8の実験を繰り返し
た。この材料は種々の被覆において用いられている。トランス-1233zdは共溶媒を加えないとこの材料を溶解することができなかったが、シス-1233zdはそれを完全に溶解した。
【0070】
実施例13:ヘパリンの溶解性:
[0065]医療器具において被覆として用いられている血液抗凝固材料であるヘパリンを用いて実施例8の実験を繰り返した。ヘパリンは、リスクがある患者の深部静脈血栓症及び肺動脈塞栓を予防するのに有効である。いずれの溶媒もこの材料を溶解することができなかった。2重量%のメタノールをそれぞれの材料に加えると、トランス-1233zd及びメタノールの溶液は0.794重量%のヘパリンを溶解することができ、シス-1233zd及びメタノールの溶液は1.19重量%のヘパリンを溶解することができ、一晩放置すると透明なままであった。