(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022078305
(43)【公開日】2022-05-24
(54)【発明の名称】腫瘍細胞懸濁培養及び関連方法
(51)【国際特許分類】
C12N 5/09 20100101AFI20220517BHJP
C12Q 1/02 20060101ALI20220517BHJP
G01N 33/50 20060101ALI20220517BHJP
G01N 33/68 20060101ALI20220517BHJP
【FI】
C12N5/09
C12Q1/02
G01N33/50 P
G01N33/68
【審査請求】有
【請求項の数】1
【出願形態】OL
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2022040690
(22)【出願日】2022-03-15
(62)【分割の表示】P 2018538846の分割
【原出願日】2017-03-09
(31)【優先権主張番号】PCT/CN2016/075947
(32)【優先日】2016-03-09
(33)【優先権主張国・地域又は機関】CN
【公序良俗違反の表示】
(特許庁注:以下のものは登録商標)
1.TRITON
(71)【出願人】
【識別番号】518258685
【氏名又は名称】ベイジン パーカンズ オンコロジー カンパニー リミテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100078282
【弁理士】
【氏名又は名称】山本 秀策
(74)【代理人】
【識別番号】100113413
【弁理士】
【氏名又は名称】森下 夏樹
(74)【代理人】
【識別番号】100181674
【弁理士】
【氏名又は名称】飯田 貴敏
(74)【代理人】
【識別番号】100181641
【弁理士】
【氏名又は名称】石川 大輔
(74)【代理人】
【識別番号】230113332
【弁護士】
【氏名又は名称】山本 健策
(72)【発明者】
【氏名】イヨウ チェン
(72)【発明者】
【氏名】ヤン ジェン
(72)【発明者】
【氏名】イホン ジャン
(57)【要約】
【課題】患者からのヒト腫瘍細胞クラスターの適宜かつ効率的な増殖のための懸濁系細胞培養系及び培地、ならびに腫瘍細胞及び患者の1つ以上の治療薬に対する潜在的な応答性を評価する関連方法を提供する。
【解決手段】本開示の実施形態は、ヒト患者からのヒト腫瘍細胞クラスターの集団を含む培地懸濁液(または複数の培地懸濁液)に関し、この培地懸濁液は、約14日以内に腫瘍細胞クラスターの少なくとも約10%の増殖をもたらす。ある特定の実施形態では、培地懸濁液は、約14、13、12、11、10、9、8、7、6、または5日以にヒト腫瘍細胞クラスターの少なくとも約10、20、30、40、50、60、70、80、90、または100%の増殖をもたらす。
【選択図】
図4
【特許請求の範囲】
【請求項1】
明細書に記載の発明。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願の相互参照
本出願は、35U.S.C.§119(e)のもと、参照によりその全体が組み込まれる、2016年3月9日出願のPCT/CN2016/075947に対する優先権を主張する。
【背景技術】
【0002】
背景
本開示の実施形態は、患者からのヒト腫瘍細胞クラスターの適宜かつ効率的な増殖のための懸濁系細胞培養系及び培地、ならびに腫瘍細胞及び患者の1つ以上の治療薬に対する潜在的な応答性を評価する関連方法に関する。
【0003】
診断薬及び治療薬を改善する不断の努力にもかかわらず、癌は依然として世界的に主な死亡原因である。癌の多様性または不均一性は、新しい療法の開発の障害となり、可能性の高い応答体を特定することを困難にする。さらに、多くの癌療法は、さらなる点突然変異及び治療用試薬の標的をバイパスする代替的な経路を含む、初期及び獲得耐性の課題を抱えている。
【0004】
今後の療法の成功は、化学療法薬及び組み合わせの有効性を正確に評価するために容易に操作することができる関連モデルシステムの開発と共に、腫瘍進行及び転移プロセスの根底にある事象の総合的な分析に依存する可能性が高い。一例として、基質包埋3次元(3D)培養を使用する癌細胞の一次培養は、癌生物学を調査し、個々の患者の化学療法感受性を予測するためにますます使用されている。しかしながら、癌細胞のかかる基質包埋一次培養の条件は現在最適化されていない。さらに、かかる一次培養は、煩雑である場合があり、他の潜在的な問題の中でも、低い癌細胞生存の可能性、宿主細胞による汚染、及び再現することが困難である結果を含む。
【0005】
よって、一次癌細胞が細胞株と同様に実行可能かつ効率的に、及び適宜様式で3Dにおいて培養され得る方法及び組成物を開発することが必要である。
【図面の簡単な説明】
【0006】
【
図1】腫瘍細胞クラスターが患者から外科的に除去される結腸/直腸腫瘍からの分離が成功し、合成成長培地中の懸濁液中で培養されたことを示す。
【
図2】Edu組み込みにより測定されるとき、腫瘍細胞が短期懸濁培養期間中に増殖されたことを示す(試料1は
図1Aからのものであり、試料2は
図1Bからのものであり、試料3は
図1Cからのものであり、試料4は
図1Dのものからである)。
【
図3】短期懸濁培養(約7日以内)が腫瘍細胞クラスターの最も高い細胞増殖マーカーを示すことを示す。
図3Aは4つの異なる患者試料の増殖マーカーを示し、
図3Bは1週間にわたる1つの例示的な患者試料の増殖マーカーを示す。
【
図4】試験条件下で(
図3Bを参照されたい)、腫瘍細胞クラスターの成長が試験された薬物(スニチブ、ソラフェニブ、エルロチニブ、クリゾチニブ、オキサリプラチン)によって完全に阻害されないことを示し、これはこれらの薬物に対する患者由来の異種移植片(PDX)腫瘍応答と一致する。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0007】
本開示の実施形態は、ヒト患者からのヒト腫瘍細胞クラスターの集団を含む培地懸濁液(または複数の培地懸濁液)に関し、この培地懸濁液は、約14日以内に腫瘍細胞クラスターの少なくとも約10%の増殖をもたらす。
【0008】
ある特定の実施形態では、培地懸濁液は、約14、13、12、11、10、9、8、7、6、または5日以にヒト腫瘍細胞クラスターの少なくとも約10、20、30、40、50、60、70、80、90、または100%の増殖をもたらす。いくつかの実施形態では、培地懸濁液は、約7日以内にヒト腫瘍細胞クラスターの少なくとも約20~30%の増殖をもたらす。ある特定の実施形態では、培地懸濁液は、約7日以内にヒト腫瘍細胞クラスターの少なくとも約60%の増殖をもたらす。
【0009】
ある特定の実施形態では、培地懸濁液は、合成培地を含む。いくつかの実施形態では、培地懸濁液は、無血清または実質的に無血清である。
【0010】
ある特定の実施形態では、培地懸濁液は、DMEM/F-12、Wnt3A、塩基性線維芽細胞成長因子(bFGF)、インスリン、トランスフェリン、ウシ血清アルブミン(BSA)、コレステロール、B細胞活性化因子(BAFF)、及び2-メルカプトエタノールから選択される1つ以上の構成成分を含むか、またはさらに含む。いくつかの実施形態では、培地懸濁液は、DMEM/F-12、Wnt3A、bFGF、インスリン、トランスフェリン、ウシ血清アルブミン(BSA)、コレステロール、B細胞活性化因子(BAFF)、及び2-メルカプトエタノールから選択される構成成分のうちの2、3、4、5、6、7、8、または9つを含む。特定の実施形態では、培地懸濁液は、DMEM/F-12、Wnt3A、bFGF、インスリン、トランスフェリン、ウシ血清アルブミン(BSA)、コレステロール、B細胞活性化因子(BAFF)、及び2-メルカプトエタノールを含む。
【0011】
ある特定の実施形態では、培地懸濁液は、ニコチンアミド、ノギン、R-スポンジン-1、Y27632、線維芽細胞成長因子10(FGF10)、及びVO-OHpicから選択される1つ以上の構成成分を含むか、またはさらに含む。いくつかの実施形態では、培地懸濁液は、ニコチンアミド、ノギン、R-スポンジン-1、Y27632、FGF10、及びVO-OHpicから選択される構成成分のうちの2、3、4、5、または6つを含む。特定の実施形態では、培地懸濁液は、ニコチンアミド、ノギン、R-スポンジン-1、Y27632、FGF10、及びVO-OHpicを含む。
【0012】
ある特定の実施形態では、培地懸濁液は、上皮成長因子(EGF)、肝細胞成長因子(HGF)、インスリン様成長因子(IGF)、血管内皮成長因子(VEGF)、血小板由来成長因子(PDGF)、N2サプリメント、B27、プロスタグランジンE2(PGE-2)、及びN-アセチル-L-システインから選択される1つ以上の構成成分を含むか、またはさらに含む。ある特定の実施形態では、培地懸濁液は、EGF、HGF、IGF、VEGF、PDGF、N2、B27、PGE2、N-アセチル-L-システインから選択される構成成分のうちの2、3、4、5、6、7、8、または9つを含む。特定の実施形態では、培地懸濁液は、EGF、HGF、IGF、VEGF、PDGF、N2、B27、PGE2、及びN-アセチル-L-システインを含む。
【0013】
ある特定の実施形態では、培地懸濁液は、ニコチンアミド、ノギン、R-スポンジン-1、Y27632、EGF、HGF、IGF、VEGF、PDGF、N2、B27、PGE2、N-アセチル-L-システイン、FGF10、及びVO-OHpicを含むか、またはさらに含む。
【0014】
いくつかの実施形態では、培地懸濁液は、細胞外基質構成成分、例えば、マトリゲル、コラーゲン、ラミニン、またはフィブロネクチンを含まない。
【0015】
ある特定の実施形態では、培地懸濁液は、ヒト腫瘍細胞クラスターが、ヒト患者からの肺癌細胞、結腸癌細胞、胃癌細胞、または乳癌細胞であるを含む。いくつかの実施形態では、培地懸濁液は、ヒト腫瘍細胞クラスターが、ヒト腫瘍細胞及び/またはヒト患者からの組織で異種移植された免疫不全動物から単離されるを含む。ある特定の実施形態では、培地懸濁液は、ヒト腫瘍細胞クラスターが、ヒト患者から除去された腫瘍試料から直接単離され、任意選択で、外科試料、生検、胸水、及び腹水から選択されるを含む。
【0016】
また、試料からヒト腫瘍細胞の集団を得ることと、本明細書に記載される培地懸濁液中でヒト腫瘍細胞クラスターの集団を培養することとを含む、ヒト腫瘍細胞の増殖方法も含まれる。いくつかの方法は、約14日以内の間、培地懸濁液中でヒト腫瘍細胞クラスターを培養することを含む。いくつかの方法は、約14、13、12、11、10、9、8、7、6、または5日以内の間、培地懸濁液中でヒト腫瘍細胞クラスターを培養することを含む。特定の方法は、約7日以内の間、培地懸濁液中でヒト腫瘍細胞クラスターを培養することを含む。
【0017】
ヒト患者の治療剤薬に対する応答性の試験方法であって、
ヒト患者から腫瘍細胞クラスターの集団を得るまたは受け取ることと、
先行請求項のいずれか1項に記載の培地懸濁液中で腫瘍細胞クラスターの集団を培養することと、
治療薬を培地懸濁液に与薬することと、
腫瘍細胞の集団における腫瘍細胞増殖及び/または腫瘍細胞アポトーシスを測定することと、を含み、
腫瘍細胞増殖の減少及び/または腫瘍細胞アポトーシスの誘導が、ヒト患者の治療薬に対する応答性を示し、腫瘍細胞増殖の減少の欠如及び/または腫瘍細胞アポトーシスの誘導の欠如が、ヒト患者の治療薬に対する耐性を示す方法も含まれる。
【0018】
いくつかの方法は、治療薬を、培地懸濁液中で腫瘍細胞クラスターの集団を培養した日と同日に与薬することを含む。
【0019】
ある特定の方法は、治療薬を、培地懸濁液中で腫瘍細胞クラスターの集団を培養した少なくとも1日後に与薬することを含む。特定の方法は、治療薬を、培地懸濁液中で腫瘍細胞クラスターの集団を培養した約1、2、3、4、5、6、または7日後、またはそれ以内に与薬することを含む。
【0020】
いくつかの方法は、治療薬の与薬約14日以内に、腫瘍細胞の集団における腫瘍細胞増殖及び/または腫瘍細胞アポトーシスを測定することを含む。いくつかの方法は、治療薬の与薬約14、13、12、11、10、9、8、7、6、または5日以内に、腫瘍細胞の集団における腫瘍細胞増殖及び/または腫瘍細胞アポトーシスを測定することを含む。特定の方法は、治療薬の与薬約7、6、または5日以内に、腫瘍細胞の集団における腫瘍細胞増殖及び/または腫瘍細胞アポトーシスを測定することを含む。
【0021】
いくつかの実施形態では、腫瘍細胞増殖の測定ステップは、細胞増殖マーカーを測定することを含む。いくつかの実施形態では、細胞増殖マーカーは、3H-チミジン、ブロモデオキシウリジン(BrdU)、5-エチニル-2’-デオキシウリジン(Edu)、Ki -67、及び増殖細胞核抗原(PCNA)のうちの1つ以上から選択される。
【0022】
ある特定の実施形態では、腫瘍細胞アポトーシスの測定ステップは、細胞アポトーシスマーカーを測定することを含む。いくつかの実施形態では、細胞アポトーシスマーカーは、カスパーゼの蛍光色素標識阻害剤(FLICA)、カスパーゼ活性化、ポリADPリボースポリメラーゼ(PARP)切断、DRAQ5、DRAQ7、及び末端デオキシヌクレオチジルトランスフェラーゼ(TdT)dUTP ニック末端標識(TUNEL)アッセイのうちの1つ以上から選択される。
【発明を実施するための形態】
【0023】
本開示の実施形態は、患者に直接由来するか、または患者由来の異種移植片(PDX)に由来するかにかかわらず、一次ヒト腫瘍細胞クラスターの信頼できかつ適宜増殖を達成する合成培地及び関連懸濁細胞培養の発見に関する。懸濁液細胞培養は、とりわけ、患者腫瘍の、1つ以上の治療薬に対する潜在的応答性を評価するために、及び比較的短時間、例えば、培養時から1または2週間以内に患者に最適な治療選択肢を特定する利点を提供するために使用され得る。
【0024】
定義
別様に定義されない限り、本明細書で使用される全ての技術及び科学用語は、本発明が属する当業者によって通常理解されるものと同じ意味を有する。本明細書に記載されるものと同様または同等の任意の方法及び材料が本発明の実施または試験において使用され得るが、ある特定の好ましい方法及び材料が本明細書に記載される。本明細書に引用される特許及び特許出願を含むが、これらに限定されない全ての刊行物及び参考文献は、各個別の刊行物または参考文献が具体的かつ個別に参照により組み込まれることを示すかのように、それらの全体が参照により組み込まれる。本発明の目的に関して、次の用語が以下に定義される。
【0025】
「a」及び「an」という冠詞は、本明細書において、冠詞の文法上の目的語の1つ、または2つ以上(即ち、少なくとも1つ)を指すために使用される。一例として、「要素(an element)」は、1つの要素または2つ以上の要素を意味する。
【0026】
「約」とは、参照分量、レベル、値、数、頻度、百分率、寸法、サイズ、量、重量、または長さに対して30、25、20、15、10、9、8、7、6、5、4、3、2、または1%ほど変動する分量、レベル、値、数、頻度、百分率、寸法、サイズ、量、重量、または長さを意味する。
【0027】
本明細書全体を通して、文脈上他を意味しない限り、「含む(comprise)」、「含む(comprises)」、及び「含むこと(comprising)」という語は、記載されるステップもしくは要素またはステップもしくは要素の群の包含を暗示するが、任意の他のステップもしくは要素またはステップもしくは要素の群を除外しないことを理解する。「からなる」とは、「からなる」という語句に続くもの全てを含み、それに限定されることを意味する。よって、「からなる」という語句は、列記される要素が必要であるか、または必須であり、他の要素が存在し得ないことを示す。「から本質的になる」とは、語句の後に列記される任意の要素を含み、列記される要素の開示において指定された活性または作用に干渉しない、または寄与しない他の要素に限定されることを意味する。よって、「本質的になる」という語句は、列挙された要素が必要であるか、または必須であることを示すが、他の要素は、任意選択であり、それらが列記された要素の活性または作用に実質的に影響を与えるかどうかに応じて、存在しても、しなくてもよいことを示す。
【0028】
「単離された」とは、その本来の状態においてそれに通常付随する構成成分を実質的にまたは本質的に含まない材料を意味する。
【0029】
「調節」という用語は、典型的には、対照と比較したとき、統計学的に有意な、または生理学的に有意な量における「増加」または「増強」、ならびに「減少」または「低減」を含む。「増加」または「増強」量は、典型的には、「統計的に有意な」量であり、組成物もしくは対照組成物、試料、または試験対象なしで生成された量の約もしくは少なくとも約1.2、1.4、1.6、1.8、2、3、4、5、6、7、8、9、10、15、20、30、50、60、70、80、90、100、200、300、400、500、1000倍、または約もしくは少なくとも約5%、10%、11%、12%、13%、14%、15%、16%、17%、18%、19%、20%、25%、30%、35%、40%、45%、50%、55%、60%、65%、70%、75%、80%、85%、90%、95%、100%、200%、300%、400%、500%、600%、700%、800%、900%、1000%(全ての整数及びその間の範囲を含む)である増加を含み得る。「減少」または「低減」量は、典型的には、「統計的に有意な」量であり、組成物もしくは対照組成物、試料、または試験対象なしで生成された量の約もしくは少なくとも約1.2、1.4、1.6、1.8、2、3、4、5、6、7、8、9、10、15、20、30、50、60、70、80、90、100、200、300、400、500、1000倍、または約もしくは少なくとも約5%、10%、11%、12%、13%、14%、15%、16%、17%、18%、19%、20%、25%、30%、35%、40%、45%、50%、55%、60%、65%、70%、75%、80%、85%、90%、95%、100%、200%、300%、400%、500%、600%、700%、800%、900%、1000%(全ての整数及びその間の範囲を含む)である減少を含み得る。
【0030】
ある特定の実施形態では、培地または懸濁培養中の腫瘍細胞クラスターの「純度」が、具体的に定義され得る。例えば、ある特定の培地または懸濁培養は、他の細胞型、例えば、非癌性宿主細胞または動物細胞(例えば、異種移植片由来の腫瘍細胞クラスターに関して)に対して、約または少なくとも約50%、55%、60%、65%、70%、75%、80%、85%、90%、95%、100%純粋(全ての整数及びその間の範囲を含む)である腫瘍細胞クラスターを含み得る。
【0031】
「統計学的に有意な」とは、その結果が偶然に起こった可能性が低いことを意味する。統計的有意性は、当該技術分野で既知の任意の方法によって決定され得る。一般に使用された有意性の尺度としては、帰無仮説が真である場合に観察された事象が生じるであろう頻度または確率であるp値が挙げられる。得られたp値が有意性レベルよりも小さい場合、帰無仮説は否定される。単純な場合では、有意性レベルは、0.05以下のp値で定義される。
【0032】
「実質的に」または「本質的に」は、ほぼ完全に、または完全に、例えば、95%以上のある所与の分量を意味する。
【0033】
上述のように、ある特定の実施形態は、ヒト患者からの腫瘍細胞クラスターの集団を含む培地懸濁液に関し、この培地懸濁液は、約14日以内に腫瘍細胞クラスターの少なくとも約10%の増殖をもたらす。よって、これら及び関連実施形態では、腫瘍細胞クラスターは、懸濁培養において、例えば、接着培養ではなく、懸濁液中の凝集塊として成長する。
【0034】
いくつかの実施形態では、培地懸濁液は、約14、13、12、11、10、9、8、7、6、または5日以内に腫瘍細胞クラスターの約もしくは少なくとも約10、20、30、40、50、60、70、80、90、または100%(全ての組み合わせ、整数、及びその間の範囲を含む)の増殖をもたらす。
【0035】
例えば、特定の培地懸濁液は、任意選択で、約14、13、12、11、10、9、8、7、6、もしくは5日以内に、または約5~14、6~14、7~14、8~14、9~14、10~14、11~14、12~14、もしくは13~14日以内に、または約5~13、6~13、7~13、8~13、9~13、10~13、11~13、もしくは12~13日以内に、または約5~12、6~12、7~12、8~12、9~12、10~12、もしくは11~12日以内に、または約5~11、6~11、7~11、8~11、9~11、もしくは10~11日以内に、または約5~10、6~10、7~10、8~10、もしくは9~10日以内に、または約5~9、6~9、7~9、もしくは8~9日以内に、または約5~8、6~8、もしくは7~8日以内に、または約5~7もしくは6~7日以内に、または約5~6日以内に、腫瘍細胞クラスターの約もしくは少なくとも約10~15、10~20、10~25、10~30、10~35、10~40、10~45、10~50、10~55、10~60、10~65、10~70、10~75、10~80、10~85、10~90、10~95、または10~100%の増殖、あるいは腫瘍細胞クラスターの約もしくは少なくとも約15~20、15~25、15~30、15~35、15~40、15~45、15~50、15~55、15~60、15~65、15~70、15~75、15~80、15~85、15~90、15~95、または15~100%の増殖、あるいは腫瘍細胞クラスターの約もしくは少なくとも約20~25、20~30、20~35、20~40、20~45、20~50、20~55、20~60、20~65、20~70、20~75、20~80、20~85、20~90、20~95、または20~100%の増殖、あるいは腫瘍細胞クラスターの約もしくは少なくとも約25~30、25~35、25~40、25~45、25~50、25~55、25~60、25~65、25~70、25~75、25~80、25~85、25~90、25~95、または25~100%の増殖、あるいは腫瘍細胞クラスターの約もしくは少なくとも約30~35、30~40、30~45、30~50、30~55、30~60、30~65、30~70、30~75、30~80、30~85、30~90、30~95、または30~100%の増殖、あるいは腫瘍細胞クラスターの約もしくは少なくとも約35~40、35~45、35~50、35~55、35~60、35~65、35~70、35~75、35~80、35~85、35~90、35~95、または35~100%の増殖、あるいは腫瘍細胞クラスターの約もしくは少なくとも約40~45、40~50、40~55、40~60、40~65、40~70、40~75、40~80、40~85、40~90、40~95、または40~100%の増殖、あるいは腫瘍細胞クラスターの約もしくは少なくとも約45~50、45~55、45~60、45~65、45~70、45~75、45~80、45~85、45~90、45~95、または45~100%の増殖、あるいは腫瘍細胞クラスターの約もしくは少なくとも約50~55、50~60、50~65、50~70、50~75、50~80、50~85、50~90、50~95、または50~100%の増殖、あるいは腫瘍細胞クラスターの約もしくは少なくとも約55~60、55~65、55~70、55~75、55~80、55~85、55~90、55~95、または55~100%の増殖、あるいは腫瘍細胞クラスターの約もしくは少なくとも約60~65、60~70、60~75、60~80、60~85、60~90、60~95、または60~100%の増殖、あるいは腫瘍細胞クラスターの約もしくは少なくとも約65~70、65~75、65~80、65~85、65~90、65~95、または65~100%の増殖、あるいは腫瘍細胞クラスターの約もしくは少なくとも約70~80、70~85、70~90、70~95、または70~100%の増殖、あるいは腫瘍細胞クラスターの約もしくは少なくとも約75~80、75~85、75~90、75~95、または75~100%の増殖、あるいは腫瘍細胞クラスターの約もしくは少なくとも約80~85、80~90、80~95、または80~100%の増殖、あるいは腫瘍細胞クラスターの約もしくは少なくとも約85~90、85~95、または85~100%の増殖、あるいは腫瘍細胞クラスターの約もしくは少なくとも約90~95または90~100%の増殖、あるいは腫瘍細胞クラスターの約もしくは少なくとも約95~100%の増殖(これらの全ての組み合わせを含む)をもたらす。特定の実施形態は、約7日以内に、腫瘍細胞クラスターの少なくとも約20~30%の増殖、または約7日以内に、腫瘍細胞クラスターの少なくとも約60%の増殖をもたらす。
【0036】
いくつかの実施形態では、腫瘍細胞クラスターの培地懸濁液は「合成培地」を含む。ある特定の実施形態では、「合成培地」は、化学構成成分の全てが既知である、ヒトもしくは動物細胞のインビトロまたはエクスビボ細胞培養に好適な成長培地である。いくつかの実施形態では、合成培地は、「無血清」または「実質的に無血清」である、つまり、培地は、血清、例えば、ウシ胎児血清(FBS)またはウシ胎仔血清(FCS)の添加を欠くか、または実質的に欠くものである。
【0037】
いくつかの実施形態では、合成培地は、DMEM、F12、RPMI1640、またはそれらの組み合わせ、例えば、追加の構成成分、例えば、成長因子、抗酸化剤、及び/またはエネルギー源で補充されるDMEM/F12などの基礎培地を含む。よって、特定の実施形態では、合成培地としては、ダルベッコ改変イーグル培地(DMEM)、ハムの栄養混合物(F12)、RPMI1640、またはDMEM/F12が挙げられる。いくつかの実施形態では、培地は、例えば、約10:1、9:1、8:1、7:1、6:1、5:1、4:1。3:1、2:1、1:1、1:2、1:3、1:4、1:5、1:6、1:7、1:8、1:9、1:10の割合でDMEM/F12を含む。
【0038】
ある特定の実施形態では、合成培地は、Wnt3A、塩基性線維芽細胞成長因子(bFGF)、インスリン、トランスフェリン、ウシ血清アルブミン(BSA)、コレステロール、B細胞活性化因子(BAFF)、及び2-メルカプトエタノール(前述の全ての組み合わせを含む)から選択される1つ以上の構成成分、例えば、1、2、3、4、5、6、7、または8つの構成成分を含む。特定の実施形態は、Wnt3A、bFGF、インスリン、トランスフェリン、ウシ血清アルブミン(BSA)、コレステロール、B細胞活性化因子(BAFF)、及び2-メルカプトエタノールから選択される1つ以上の構成成分、例えば、1、2、3、4、5、6、7、または8つの構成成分と組み合わせてDMEM/F-12を含む。具体的な実施形態は、DMEM/F-12、Wnt3A、bFGF、インスリン、トランスフェリン、ウシ血清アルブミン(BSA)、コレステロール、B細胞活性化因子(BAFF)、及び2-メルカプトエタノールを含む。
【0039】
ある特定の実施形態では、Wnt3Aの濃度は、約0.1~10,000もしくは1~1000ng/ml、または約0.1~1000、1~1000、10~1000、20~1000、30~1000、40~1000、50~1000、60~1000、70~1000、80~1000、90~1000、100~1000、200~1000、300~1000、400~1000、500~1000、600~1000、700~1000、800~1000、900~1000ng/ml、または約0.1~500、1~500、10~500、20~500、30~500、40~500、50~500、60~500、70~500、80~500、90~500、100~500、200~500、300~500、400~500ng/ml、または約0.1~400、1~400、10~400、20~400、30~400、50~400、40~400、60~400、70~400、80~400、90~400、100~400、200~400、300~400ng/ml、または約0.1~300、1~300、10~300、20~300、30~300、40~300、50~300、60~300、70~300、80~300、90~300、100~300、200~300ng/ml、または約0.1~200、1~200、10~200、20~200、30~200、40~200、50~200、60~200、70~200、80~200、90~200、100~200ng/ml、または約0.1~150、1~150、10~150、20~150、30~150、40~150、50~150、60~150、70~150、80~150、90~150、100~150ng/ml、または約0.1~120、1~120、10~120、20~120、30~120、40~120、50~120、60~120、70~120、80~120、90~120、100~120ng/ml、または約0.1~100、1~100、10~100、20~100、30~100、40~100、50~100、60~100、70~100、80~100、90~100ng/mlの範囲である。特定の実施形態では、Wnt3Aは、ヒトまたはマウスWnt3Aタンパク質、例えば、組み換えヒトまたはマウスWnt3Aタンパク質である。
【0040】
ある特定の実施形態では、bFGFの濃度は、約0.1~100もしくは1~10ng/ml、または約0.1~100、0.2~100、0.3~100、0.4~100、0.5~100、0.6~100、0.7~100、0.8~100、0.9~100、1~100、2~100、3~100、4~100、5~100、10~100、50~100ng/ml、または約0.1~50、0.2~50、0.3~50、0.4~50、0.5~50、0.6~50、0.7~50、0.8~50、0.9~50、1~50、2~50、3~50、4~50、5~50、10~50ng/ml、または約0.1~10、0.2~10、0.3~10、0.4~10、0.5~10、0.6~10、0.7~10、0.8~10、0.9~10、1~10、2~10、3~10、4~10、5~10ng/ml、または約0.1~5、0.2~5、0.3~5、0.4~5、0.5~5、0.6~5、0.7~5、0.8~5、0.9~5、1~5、2~5、3~5、4~5ng/mlの範囲である。特定の実施形態では、bFGFは、ヒトまたはマウスbFGFタンパク質、例えば、組み換えヒトまたはマウスbFGFタンパク質である。
【0041】
ある特定の実施形態では、インスリンの濃度は、約0.1~10,000もしくは1~1000、もしくは100~500μg/ml、または約0.1~1000、1~1000、10~1000、20~1000、30~1000、40~1000、50~1000、60~1000、70~1000、80~1000、90~1000、100~1000、200~1000、300~1000、400~1000、500~1000、600~1000、700~1000、800~1000、900~1000μg/ml、または約0.1~500、1~500、10~500、20~500、30~500、40~500、50~500、60~500、70~500、80~500、90~500、100~500、200~500、300~500、400~500μg/ml、または約0.1~400、1~400、10~400、20~400、30~400、50~400、40~400、60~400、70~400、80~400、90~400、100~400、200~400、300~400μg/ml、または約0.1~300、1~300、10~300、20~300、30~300、40~300、50~300、60~300、70~300、80~300、90~300、100~300、200~300μg/ml、または約0.1~200、1~200、10~200、20~200、30~200、40~200、50~200、60~200、70~200、80~200、90~200、100~200μg/mlの範囲である。特定の実施形態では、インスリンは、ヒトまたはマウスインスリンタンパク質、例えば、組み換えヒトまたはマウスインスリンタンパク質である。いくつかの実施形態では、インスリンは、膵臓抽出物からの溶液または粉末、例えば、ウシ膵臓由来粉末または溶液である。
【0042】
ある特定の実施形態では、トランスフェリンの濃度は、約0.1~10,000もしくは1~1000、もしくは1~100μg/ml、または約0.1~1000、1~1000、10~1000、20~1000、30~1000、40~1000、50~1000、60~1000、70~1000、80~1000、90~1000、100~1000、200~1000、300~1000、400~1000、500~1000、600~1000、700~1000、800~1000、900~1000μg/ml、または約0.1~500、1~500、10~500、20~500、30~500、40~500、50~500、60~500、70~500、80~500、90~500、100~500、200~500、300~500、400~500μg/ml、または約0.1~400、1~400、10~400、20~400、30~400、50~400、40~400、60~400、70~400、80~400、90~400、100~400、200~400、300~400μg/ml、または約0.1~300、1~300、10~300、20~300、30~300、40~300、50~300、60~300、70~300、80~300、90~300、100~300、200~300μg/ml、または約0.1~200、1~200、10~200、20~200、30~200、40~200、50~200、60~200、70~200、80~200、90~200、100~200μg/ml、または約0.1~150、1~150、10~150、20~150、30~150、40~150、50~150、60~150、70~150、80~150、90~150、100~150μg/ml、または約0.1~120、1~120、10~120、20~120、30~120、40~120、50~120、60~120、70~120、80~120、90~120、100~120μg/ml、または約0.1~100、1~100、10~100、20~100、30~100、40~100、50~100、60~100、70~100、80~100、90~100μg/mlの範囲である。
【0043】
ある特定の実施形態では、BSAの濃度は、約5、10、15、20、25、30、35、40、45、50%であるか、または約1~50%、または約5~50、10~50、15~50、20~50、25~50、30~50、35~50、40~50、45~50%、または約5~45、10~45、15~45、20~45、25~45、30~45、35~45、40~45%、または約5~40、10~40、15~40、20~40、25~40、30~40、35~40%、または約5~35、10~35、15~35、20~35、25~35、30~35%、または約5~30、10~30、15~30、20~30、25~30%、または約5~25、10~25、15~25、20~25%、または約5~20、10~20、15~20%、または約5~15、10~15%、または約5~10%の範囲である。
【0044】
ある特定の実施形態では、コレステロールの濃度は、任意選択で、50倍、または100倍、または250倍のストックに対して、約0.1、0.5、1、1.5、2、2.5、3、3.5、4、4.5、5、5.5、6、6.5、7、7.5、8、8.5、9、9.5、または10倍であるか、もしくは約約その範囲であるか、または01~10倍もしくは0.1~10倍、または約0.1~10、0.2~10、0.3~10、0.4~10、0.5~10、0.6~10、0.7~10、0.8~10、0.9~10、1~10、2~10、5~10倍、または約0.1~5、0.2~5、0.3~5、0.4~5、0.5~5、0.6~5、0.7~5、0.8~5、0.9~5、1~5、2~5倍、または約0.1~4、0.2~4、0.3~4、0.4~4、0.5~4、0.6~4、0.7~4、0.8~4、0.9~4、1~4、2~4倍、または約0.1~3、0.2~3、0.3~3、0.4~3、0.5~3、0.6~3、0.7~3、0.8~3、0.9~3、1~3、2~3倍、または約0.1~2、0.2~2、0.3~2、0.4~2、0.5~2、0.6~2、0.7~2、0.8~2、0.9~2、1~2倍の範囲である。コレステロール(250X)は、例えば、ThermoFisher Scientificから市販されている。
【0045】
ある特定の実施形態では、BAFFの濃度は、約0.1~10,000もしくは1~1000ng/ml、または約0.1~1000、1~1000、10~1000、20~1000、30~1000、40~1000、50~1000、60~1000、70~1000、80~1000、90~1000、100~1000、200~1000、300~1000、400~1000、500~1000、600~1000、700~1000、800~1000、900~1000ng/ml、または約0.1~500、1~500、10~500、20~500、30~500、40~500、50~500、60~500、70~500、80~500、90~500、100~500、200~500、300~500、400~500ng/ml、または約0.1~400、1~400、10~400、20~400、30~400、50~400、40~400、60~400、70~400、80~400、90~400、100~400、200~400、300~400ng/ml、または約0.1~300、1~300、10~300、20~300、30~300、40~300、50~300、60~300、70~300、80~300、90~300、100~300、200~300ng/ml、または約0.1~200、1~200、10~200、20~200、30~200、40~200、50~200、60~200、70~200、80~200、90~200、100~200ng/ml、または約0.1~150、1~150、10~150、20~150、30~150、40~150、50~150、60~150、70~150、80~150、90~150、100~150ng/ml、または約0.1~120、1~120、10~120、20~120、30~120、40~120、50~120、60~120、70~120、80~120、90~120、100~120ng/ml、または約0.1~100、1~100、10~100、20~100、30~100、40~100、50~100、60~100、70~100、80~100、90~100ng/mlの範囲である。特定の実施形態では、BAFFは、ヒトまたはマウスBAFFタンパク質、例えば、組み換えヒトまたはマウスBAFFタンパク質である。
【0046】
ある特定の実施形態では、2-メルカプトエタノールの濃度は、約0.01~100もしくは0.1~1mM、または0.01~10、0.02~10、0.03~10、0.04~10、0.05~10、0.06~10、0.07~10、0.08~10、0.09~10、0.1~10、0.5~10、1~10、もしくは5~10mM、または約0.01~5、0.02~5、0.03~5、0.04~5、0.05~5、0.06~5、0.07~5、0.08~5、0.09~5、0.1~5、0.5~5、1~5mM、または約0.01~2、0.02~2、0.03~2、0.04~2、0.05~2、0.06~2、0.07~2、0.08~2、0.09~2、0.1~2、0.5~2、1~2mM、または約0.01~1、0.02~1、0.03~1、0.04~1、0.05~1、0.06~1、0.07~1、0.08~1、0.09~1、0.1~1、0.5~1mM、または約0.01~0.5、0.02~0.5、0.03~0.5、0.04~0.5、0.05~0.5、0.06~0.5、0.07~0.5、0.08~0.5、0.09~0.5、もしくは0.1~0.5mM、または約0.01~0.4、0.02~0.4、0.03~0.4、0.04~0.4、0.05~0.4、0.06~0.4、0.07~0.4、0.08~0.4、0.09~0.4、もしくは0.1~0.4mM、または約0.01~0.3、0.02~0.3、0.03~0.3、0.04~0.3、0.05~0.3、0.06~0.3、0.07~0.3、0.08~0.3、0.09~0.3、もしくは0.1~0.3mM、または約0.01~0.2、0.02~0.2、0.03~0.2、0.04~0.2、0.05~0.2、0.06~0.2、0.07~0.2、0.08~0.2、0.09~0.2、もしくは0.1~0.2mMの範囲である。
【0047】
ある特定の実施形態では、及び上記の構成成分に加えて、懸濁培地は、ニコチンアミド、ノギン、R-スポンジン-1、Y27632、線維芽細胞成長因子10(FGF10)、及びVO-OHpic(前述の全ての組み合わせを含む)から選択される1つ以上の構成成分、例えば、1、2、3、4、5、または6つの構成成分を含む。いくつかの実施形態では、懸濁培地は、ニコチンアミド、ノギン、R-スポンジン-1、Y27632、FGF10、及びVO-OHpicを含む。
【0048】
ある特定の実施形態では、ニコチンアミドの濃度は、約0.1~1000、0.5~1000、1~1000、5~1000、10~1000、50~1000、100~1000、500~1000mM、または約0.1~500、0.5~500、1~500、5~500、10~500、50~500、100~500mM、または約0.1~100、0.5~100、1~100、5~100、10~100、50~100mM、または約0.1~50、0.5~50、1~50、5~50、10~50mM、または約0.1~40、0.5~40、1~40、5~40、10~40mM、または約0.1~30、0.5~30、1~30、5~30、10~30mM、または約0.1~20、0.5~20、1~20、5~20、10~20mM、または約0.1~10、0.5~10、1~10、5~10mM、または約0.1~5、0.5~5、1~5mM、または約0.1~1もしくは0.5~1mMの範囲である。
【0049】
ある特定の実施形態では、ノギンの濃度は、約0.1~10,000もしくは1~1000ng/ml、または約0.1~1000、1~1000、10~1000、20~1000、30~1000、40~1000、50~1000、60~1000、70~1000、80~1000、90~1000、100~1000、200~1000、300~1000、400~1000、500~1000、600~1000、700~1000、800~1000、900~1000ng/ml、または約0.1~500、1~500、10~500、20~500、30~500、40~500、50~500、60~500、70~500、80~500、90~500、100~500、200~500、300~500、400~500ng/ml、または約0.1~400、1~400、10~400、20~400、30~400、50~400、40~400、60~400、70~400、80~400、90~400、100~400、200~400、300~400ng/ml、または約0.1~300、1~300、10~300、20~300、30~300、40~300、50~300、60~300、70~300、80~300、90~300、100~300、200~300ng/ml、または約0.1~200、1~200、10~200、20~200、30~200、40~200、50~200、60~200、70~200、80~200、90~200、100~200ng/ml、または約0.1~150、1~150、10~150、20~150、30~150、40~150、50~150、60~150、70~150、80~150、90~150、100~150ng/ml、または約0.1~120、1~120、10~120、20~120、30~120、40~120、50~120、60~120、70~120、80~120、90~120、100~120ng/ml、または約0.1~100、1~100、10~100、20~100、30~100、40~100、50~100、60~100、70~100、80~100、90~100ng/mlの範囲である。特定の実施形態では、ノギンは、ヒトまたはマウスノギンタンパク質、例えば、組み換えヒトまたはマウスノギンタンパク質である。
【0050】
ある特定の実施形態では、R-スポンジン-1の濃度は、約0.1~10,000もしくは1~1000、もしくは100~1000ng/ml、または約0.1~10,000、1~10,000、10~10,000、20~10,000、30~10,000、40~10,000、50~10,000、60~10,000、70~10,000、80~10,000、90~10,000、100~10,000、200~10,000、300~10,000、400~10,000、500~10,000、1000~10,000、5000~10,000ng/ml、または約0.1~5000、1~5000、10~5000、20~5000、30~10,000、40~5000、50~5000、60~5000、70~5000、80~5000、90~5000、100~5000、200~5000、300~5000、400~5000、500~5000、1000~5000ng/ml、または約0.1~1000、1~1000、10~1000、20~1000、30~1000、40~1000、50~1000、60~1000、70~1000、80~1000、90~1000、100~1000、200~1000、300~1000、400~1000、500~1000、600~1000、700~1000、800~1000、900~1000ng/ml、または約0.1~800、1~800、10~800、20~800、30~800、40~800、50~800、60~800、70~800、80~800、90~800、100~800、200~800、300~800、400~800、500~800、600~800、700~800ng/ml、または約0.1~700、1~700、10~700、20~700、30~700、40~700、50~700、60~700、70~700、80~700、90~700、100~700、200~700、300~700、400~700、500~700、600~700ng/ml、または約0.1~600、1~600、10~600、20~600、30~600、40~600、50~600、60~600、70~600、80~600、90~600、100~600、200~600、300~600、400~600、500~600ng/ml、または約0.1~500、1~500、10~500、20~500、30~500、40~500、50~500、60~500、70~500、80~500、90~500、100~500、200~500、300~500、400~500ng/mlの範囲である。特定の実施形態では、R-スポンジン-1は、ヒトまたはマウスR-スポンジン-1タンパク質、例えば、組み換えヒトまたはマウスR-スポンジン-1タンパク質である。
【0051】
ある特定の実施形態では、Y27632の濃度は、約0.1~1000、0.5~1000、1~1000、5~1000、10~1000、50~1000、100~1000、500~1000μM、または約0.1~500、0.5~500、1~500、5~500、10~500、50~500、100~500μM、または約0.1~100、0.5~100、1~100、5~100、10~100、50~100μM、または約0.1~50、0.5~50、1~50、5~50、10~50μM、または約0.1~40、0.5~40、1~40、5~40、10~40μM、または約0.1~30、0.5~30、1~30、5~30、10~30μM、または約0.1~20、0.5~20、1~20、5~20、10~20μM、または約0.1~10、0.5~10、1~10、5~10μM、または約0.1~5、0.5~5、1~5μM、または約0.1~1もしくは0.5~1μMの範囲である。
【0052】
ある特定の実施形態では、FGF10の濃度は、約0.1~10,000もしくは1~1000ng/ml、または約0.1~1000、1~1000、10~1000、20~1000、30~1000、40~1000、50~1000、60~1000、70~1000、80~1000、90~1000、100~1000、200~1000、300~1000、400~1000、500~1000、600~1000、700~1000、800~1000、900~1000ng/ml、または約0.1~500、1~500、10~500、20~500、30~500、40~500、50~500、60~500、70~500、80~500、90~500、100~500、200~500、300~500、400~500ng/ml、または約0.1~400、1~400、10~400、20~400、30~400、50~400、40~400、60~400、70~400、80~400、90~400、100~400、200~400、300~400ng/ml、または約0.1~300、1~300、10~300、20~300、30~300、40~300、50~300、60~300、70~300、80~300、90~300、100~300、200~300ng/ml、または約0.1~200、1~200、10~200、20~200、30~200、40~200、50~200、60~200、70~200、80~200、90~200、100~200ng/ml、または約0.1~150、1~150、10~150、20~150、30~150、40~150、50~150、60~150、70~150、80~150、90~150、100~150ng/ml、または約0.1~120、1~120、10~120、20~120、30~120、40~120、50~120、60~120、70~120、80~120、90~120、100~120ng/ml、または約0.1~100、1~100、10~100、20~100、30~100、40~100、50~100、60~100、70~100、80~100、90~100ng/mlの範囲である。特定の実施形態では、FGF10は、ヒトまたはマウスFGF10タンパク質、例えば、組み換えヒトまたはマウスFGF10タンパク質である。
【0053】
ある特定の実施形態では、VO-OHpicの濃度は、約0.01~100もしくは0.1~1μM、または0.01~10、0.02~10、0.03~10、0.04~10、0.05~10、0.06~10、0.07~10、0.08~10、0.09~10、0.1~10、0.5~10、1~10、もしくは5~10μM、または約0.01~5、0.02~5、0.03~5、0.04~5、0.05~5、0.06~5、0.07~5、0.08~5、0.09~5、0.1~5、0.5~5、1~5μM、または約0.01~2、0.02~2、0.03~2、0.04~2、0.05~2、0.06~2、0.07~2、0.08~2、0.09~2、0.1~2、0.5~2、1~2μM、または約0.01~1、0.02~1、0.03~1、0.04~1、0.05~1、0.06~1、0.07~1、0.08~1、0.09~1、0.1~1、0.5~1μM、または約0.01~0.5、0.02~0.5、0.03~0.5、0.04~0.5、0.05~0.5、0.06~0.5、0.07~0.5、0.08~0.5、0.09~0.5、もしくは0.1~0.5μM、または約0.01~0.4、0.02~0.4、0.03~0.4、0.04~0.4、0.05~0.4、0.06~0.4、0.07~0.4、0.08~0.4、0.09~0.4、もしくは0.1~0.4μM、または約0.01~0.3、0.02~0.3、0.03~0.3、0.04~0.3、0.05~0.3、0.06~0.3、0.07~0.3、0.08~0.3、0.09~0.3、もしくは0.1~0.3μM、または約0.01~0.2、0.02~0.2、0.03~0.2、0.04~0.2、0.05~0.2、0.06~0.2、0.07~0.2、0.08~0.2、0.09~0.2、もしくは0.1~0.2μMの範囲である。市販のVO-OHpicの特定の例としては、VO-OHpic三水和物を含む。
【0054】
ある特定の実施形態では、及び上記の構成成分に加えて、懸濁液培地は、上皮成長因子(EGF)、肝細胞成長因子(HGF)、インスリン様成長因子(IGF)、血管内皮成長因子(VEGF)、血小板由来成長因子(PDGF)、N2サプリメント、B27、プロスタグランジンE2(PGE-2)、及びN-アセチル-L-システイン(前述の全ての組み合わせを含む)から選択される1つ以上の構成成分、例えば、1、2、3、4、5、6、7、8、または9つの構成成分を含む。特定の実施形態では、及び上記の構成成分に加えて、懸濁液培地は、EGF、HGF、IGF、VEGF、PDGF、N2、B27、PGE2、及びN-アセチル-L-システインを含む。
【0055】
ある特定の実施形態では、EGFの濃度は、約0.1~1000もしくは1~100ng/ml、または約0.1~1000、0.5~1000、1~1000、5~1000、10~1000、50~1000、100~1000、500~1000ng/ml、または約0.1~500、0.5~500、1~500、5~500、10~500、50~500、100~500ng/ml、または約0.1~100、0.5~100、1~100、5~100、10~100、50~100ng/ml、または約0.1~50、0.5~50、1~50、5~50、10~50ng/ml、または約0.1~40、0.5~40、1~40、5~40、10~40ng/ml、または約0.1~30、0.5~30、1~30、5~30、10~30ng/ml、または約0.1~20、0.5~20、1~20、5~20、10~20ng/ml、または約0.1~10、0.5~10、1~10、5~10ng/ml、または約0.1~5、0.5~5、1~5ng/ml、または約0.1~1もしくは0.5~1ng/mlの範囲である。特定の実施形態では、EGFは、ヒトまたはマウスEGFタンパク質、例えば、組み換えヒトまたはマウスEGFタンパク質である。
【0056】
ある特定の実施形態では、HGFの濃度は、約0.1~1000もしくは1~100ng/ml、または約0.1~1000、0.5~1000、1~1000、5~1000、10~1000、50~1000、100~1000、500~1000ng/ml、または約0.1~500、0.5~500、1~500、5~500、10~500、50~500、100~500ng/ml、または約0.1~100、0.5~100、1~100、5~100、10~100、50~100ng/ml、または約0.1~50、0.5~50、1~50、5~50、10~50ng/ml、または約0.1~40、0.5~40、1~40、5~40、10~40ng/ml、または約0.1~30、0.5~30、1~30、5~30、10~30ng/ml、または約0.1~20、0.5~20、1~20、5~20、10~20ng/ml、または約0.1~10、0.5~10、1~10、5~10ng/ml、または約0.1~5、0.5~5、1~5ng/ml、または約0.1~1もしくは0.5~1ng/mlの範囲である。特定の実施形態では、HGFは、ヒトまたはマウスHGFタンパク質、例えば、組み換えヒトまたはマウスHGFタンパク質である。
【0057】
ある特定の実施形態では、IGFの濃度は、約0.1~1000もしくは1~100ng/ml、または約0.1~1000、0.5~1000、1~1000、5~1000、10~1000、50~1000、100~1000、500~1000ng/ml、または約0.1~500、0.5~500、1~500、5~500、10~500、50~500、100~500ng/ml、または約0.1~100、0.5~100、1~100、5~100、10~100、50~100ng/ml、または約0.1~50、0.5~50、1~50、5~50、10~50ng/ml、または約0.1~40、0.5~40、1~40、5~40、10~40ng/ml、または約0.1~30、0.5~30、1~30、5~30、10~30ng/ml、または約0.1~20、0.5~20、1~20、5~20、10~20ng/ml、または約0.1~10、0.5~10、1~10、5~10ng/ml、または約0.1~5、0.5~5、1~5ng/ml、または約0.1~1もしくは0.5~1ng/mlの範囲である。特定の実施形態では、IGFは、ヒトまたはマウスIGFタンパク質、例えば、組み換えヒトまたはマウスIGFタンパク質である。
【0058】
ある特定の実施形態では、VEGFの濃度は、約0.1~1000もしくは1~100ng/ml、または約0.1~1000、0.5~1000、1~1000、5~1000、10~1000、50~1000、100~1000、500~1000ng/ml、または約0.1~500、0.5~500、1~500、5~500、10~500、50~500、100~500ng/ml、または約0.1~100、0.5~100、1~100、5~100、10~100、50~100ng/ml、または約0.1~50、0.5~50、1~50、5~50、10~50ng/ml、または約0.1~40、0.5~40、1~40、5~40、10~40ng/ml、または約0.1~30、0.5~30、1~30、5~30、10~30ng/ml、または約0.1~20、0.5~20、1~20、5~20、10~20ng/ml、または約0.1~10、0.5~10、1~10、5~10ng/ml、または約0.1~5、0.5~5、1~5ng/ml、または約0.1~1もしくは0.5~1ng/mlの範囲である。特定の実施形態では、VEGFは、ヒトまたはマウスVEGFタンパク質、例えば、組み換えヒトまたはマウスVEGFタンパク質である。
【0059】
ある特定の実施形態では、PDGFの濃度は、約0.1~1000もしくは1~100ng/ml、または約0.1~1000、0.5~1000、1~1000、5~1000、10~1000、50~1000、100~1000、500~1000ng/ml、または約0.1~500、0.5~500、1~500、5~500、10~500、50~500、100~500ng/ml、または約0.1~100、0.5~100、1~100、5~100、10~100、50~100ng/ml、または約0.1~50、0.5~50、1~50、5~50、10~50ng/ml、または約0.1~40、0.5~40、1~40、5~40、10~40ng/ml、または約0.1~30、0.5~30、1~30、5~30、10~30ng/ml、または約0.1~20、0.5~20、1~20、5~20、10~20ng/ml、または約0.1~10、0.5~10、1~10、5~10ng/ml、または約0.1~5、0.5~5、1~5ng/ml、または約0.1~1もしくは0.5~1ng/mlの範囲である。特定の実施形態では、PDGFは、ヒトまたはマウスPDGFタンパク質、例えば、組み換えヒトまたはマウスPDGFタンパク質である。
【0060】
ある特定の実施形態では、N2の濃度は、任意選択で、50倍または100倍のストックに対して、約0.1、0.5、1、1.5、2、2.5、3、3.5、4、4.5、5、5.5、6、6.5、7、7.5、8、8.5、9、9.5、または10倍であるか、または01~10倍もしくは0.1~10倍、または約0.1~10、0.2~10、0.3~10、0.4~10、0.5~10、0.6~10、0.7~10、0.8~10、0.9~10、1~10、2~10、5~10倍、または約0.1~5、0.2~5、0.3~5、0.4~5、0.5~5、0.6~5、0.7~5、0.8~5、0.9~5、1~5、2~5倍、または約0.1~4、0.2~4、0.3~4、0.4~4、0.5~4、0.6~4、0.7~4、0.8~4、0.9~4、1~4、2~4倍、または約0.1~3、0.2~3、0.3~3、0.4~3、0.5~3、0.6~3、0.7~3、0.8~3、0.9~3、1~3、2~3倍、または約0.1~2、0.2~2、0.3~2、0.4~2、0.5~2、0.6~2、0.7~2、0.8~2、0.9~2、1~2倍の範囲である。N2サプリメント(100X)は、例えば、ThermoFisher Scientific及びStemcell Technologiesから市販されている。
【0061】
ある特定の実施形態では、B27の濃度は、任意選択で、50倍または100倍のストックに対して、約0.1、0.5、1、1.5、2、2.5、3、3.5、4、4.5、5、5.5、6、6.5、7、7.5、8、8.5、9、9.5、または10倍であるか、または01~10倍もしくは0.1~10倍、または約0.1~10、0.2~10、0.3~10、0.4~10、0.5~10、0.6~10、0.7~10、0.8~10、0.9~10、1~10、2~10、5~10倍、または約0.1~5、0.2~5、0.3~5、0.4~5、0.5~5、0.6~5、0.7~5、0.8~5、0.9~5、1~5、2~5倍、または約0.1~4、0.2~4、0.3~4、0.4~4、0.5~4、0.6~4、0.7~4、0.8~4、0.9~4、1~4、2~4倍、または約0.1~3、0.2~3、0.3~3、0.4~3、0.5~3、0.6~3、0.7~3、0.8~3、0.9~3、1~3、2~3倍、または約0.1~2、0.2~2、0.3~2、0.4~2、0.5~2、0.6~2、0.7~2、0.8~2、0.9~2、1~2倍の範囲である。B27(登録商標)サプリメント(50倍)は、例えば、ThermoFisher Scientificから市販されている。
【0062】
ある特定の実施形態では、PGE-2の濃度は、約0.1~1000、0.5~1000、1~1000、5~1000、10~1000、50~1000、100~1000、500~1000nM、または約0.1~500、0.5~500、1~500、5~500、10~500、50~500、100~500nM、または約0.1~100、0.5~100、1~100、5~100、10~100、50~100nM、または約0.1~50、0.5~50、1~50、5~50、10~50nM、または約0.1~40、0.5~40、1~40、5~40、10~40nM、または約0.1~30、0.5~30、1~30、5~30、10~30nM、または約0.1~20、0.5~20、1~20、5~20、10~20nM、または約0.1~10、0.5~10、1~10、5~10nM、または約0.1~5、0.5~5、1~5nM、または約0.1~1もしくは0.5~1nMであるか、またはこれらの範囲である。
【0063】
ある特定の実施形態では、N-アセチル-L-システインの濃度は、約0.1~100もしくは0.1~10もしくは0.5~10mM、または約0.1~100、0.2~100、0.3~100、0.4~100、0.5~100、0.6~100、0.7~100、0.8~100、0.9~100、1~100、2~100、3~100、4~100、5~100、10~100、50~100mM、または約0.1~50、0.2~50、0.3~50、0.4~50、0.5~50、0.6~50、0.7~50、0.8~50、0.9~50、1~50、2~50、3~50、4~50、5~50、10~50mM、または約0.1~10、0.2~10、0.3~10、0.4~10、0.5~10、0.6~10、0.7~10、0.8~10、0.9~10、1~10、2~10、3~10、4~10、5~10mM、または約0.1~5、0.2~5、0.3~5、0.4~5、0.5~5、0.6~5、0.7~5、0.8~5、0.9~5、1~5、2~5、3~5、4~5mM、または約0.1~2、0.2~2、0.3~2、0.4~2、0.5~2、0.6~2、0.7~2、0.8~2、0.9~2、1~2mMの範囲である。
【0064】
特定の実施形態では、懸濁液培地は、ニコチンアミド、ノギン、R-スポンジン-1、Y27632、EGF、HGF、IGF、VEGF、PDGF、N2、B27、PGE2、N-アセチル-L-システイン、FGF10、及びVO-OHpicを含む。
【0065】
ある特定の実施形態では、培地懸濁液は、細胞外基質(ECM)構成成分が省かれるか、またはさもなければそれを含まない。単に例示として、培地懸濁液は、コラーゲン、マトリゲル、ラミニン、及び/またはフィブロネクチンを含まない。
【0066】
いくつかの実施形態では、腫瘍細胞クラスターは、ヒト患者、例えば、ヒト患者に直接由来する一次腫瘍細胞から得られる。ある特定の実施形態では、腫瘍細胞クラスターは、腫瘍細胞で異種移植された免疫不全動物から単離される、つまり、腫瘍細胞は、患者由来の異種移植片(PDX)である。直接患者から、またはPDXを介して間接的に単離された腫瘍細胞クラスターの特定の例には、肺癌細胞、結腸癌細胞、胃癌細胞、及び乳癌細胞が含まれる。いくつかの実施形態では、腫瘍細胞クラスターは、ヒト患者から除去された腫瘍試料から直接単離され、その例としては、外科試料、生検、胸水、及び腹水液が挙げられる。腫瘍細胞は、患者から直接、または例えば、患者の医療及び癌治療において役割を果たす医師もしくは他の医療提供者から得ることができる。
【0067】
また、試料(例えば、本明細書に記載される)からヒト腫瘍細胞クラスターの集団を得ることと、本明細書に記載される培地懸濁液中でヒト腫瘍細胞クラスターの集団を培養することとを含む、ヒト腫瘍細胞の増殖方法も含まれる。いくつかの実施形態では、ヒト腫瘍細胞クラスターは、約14日以内、または約14、13、12、11、10、9、8、7、6、または5日以内の間、または約5~14、6~14、7~14、8~14、9~14、10~14、11~14、12~14、もしくは13~14日以内の間、または約5~13、6~13、7~13、8~13、9~13、10~13、11~13、もしくは12~13日以内の間、または約5~12、6~12、7~12、8~12、9~12、10~12、もしくは11~12日以内の間、または約5~11、6~11、7~11、8~11、9~11、もしくは10~11日以内の間、または約5~10、6~10、7~10、8~10、もしくは9~10日以内の間、または約5~9、6~9、7~9、もしくは8~9日以内の間、または約5~8、6~8、もしくは7~8日以内の間、または約5~7もしくは6~7日以内の間、培養懸濁液中で培養される。
【0068】
いくつかの実施形態では、本方法は、培地懸濁液は、約14、13、12、11、10、9、8、7、6、または5日以内に腫瘍細胞クラスターの約もしくは少なくとも約10、20、30、40、50、60、70、80、90、または100%(全ての組み合わせ、整数、及びその間の範囲を含む)の増殖をもたらす。例えば、ある特定の方法は、任意選択で、約14、13、12、11、10、9、8、7、6、または5日以内に、または5~14、6~14、7~14、8~14、9~14、10~14、11~14、12~14、もしくは13~14日以内に、または約5~13、6~13、7~13、8~13、9~13、10~13、11~13、もしくは12~13日以内に、または約5~12、6~12、7~12、8~12、9~12、10~12、もしくは11~12日以内に、または約5~11、6~11、7~11、8~11、9~11、もしくは10~11日以内に、または約5~10、6~10、7~10、8~10、もしくは9~10日以内に、または約5~9、6~9、7~9、もしくは8~9日以内に、または約5~8、6~8、もしくは7~8日以内に、または約5~7もしくは6~7日以内に、または約5~6日以内に、腫瘍細胞クラスターの約または少なくとも約10~15、10~20、10~25、10~30、10~35、10~40、10~45、10~50、10~55、10~60、10~65、10~70、10~75、10~80、10~85、10~90、10~95、もしくは10~100%の増殖、または腫瘍細胞クラスターの約または少なくとも約15~20、15~25、15~30、15~35、15~40、15~45、15~50、15~55、15~60、15~65、15~70、15~75、15~80、15~85、15~90、15~95、もしくは15~100%の増殖、または腫瘍細胞クラスターの約または少なくとも約20~25、20~30、20~35、20~40、20~45、20~50、20~55、20~60、20~65、20~70、20~75、20~80、20~85、20~90、20~95、もしくは20~100%の増殖、または腫瘍細胞クラスターの約または少なくとも約25~30、25~35、25~40、25~45、25~50、25~55、25~60、25~65、25~70、25~75、25~80、25~85、25~90、25~95、もしくは25~100%の増殖、または腫瘍細胞クラスターの約または少なくとも約30~35、30~40、30~45、30~50、30~55、30~60、30~65、30~70、30~75、30~80、30~85、30~90、30~95、もしくは30~100%の増殖、または腫瘍細胞クラスターの約または少なくとも約35~40、35~45、35~50、35~55、35~60、35~65、35~70、35~75、35~80、35~85、35~90、35~95、もしくは35~100%の増殖、または腫瘍細胞クラスターの約または少なくとも約40~45、40~50、40~55、40~60、40~65、40~70、40~75、40~80、40~85、40~90、40~95、もしくは40~100%の増殖、または腫瘍細胞クラスターの約または少なくとも約45~50、45~55、45~60、45~65、45~70、45~75、45~80、45~85、45~90、45~95、もしくは45~100%の増殖、または腫瘍細胞クラスターの約または少なくとも約50~55、50~60、50~65、50~70、50~75、50~80、50~85、50~90、50~95、もしくは50~100%の増殖、または腫瘍細胞クラスターの約または少なくとも約55~60、55~65、55~70、55~75、55~80、55~85、55~90、55~95、もしくは,55~100%の増殖、または腫瘍細胞クラスターの約または少なくとも約60~65、60~70、60~75、60~80、60~85、60~90、60~95、もしくは60~100%の増殖、または腫瘍細胞クラスターの約または少なくとも約65~70、65~75、65~80、65~85、65~90、65~95、もしくは65~100%の増殖、または腫瘍細胞クラスターの約または少なくとも約70~80、70~85、70~90、70~95、もしくは70~100%の増殖、または腫瘍細胞クラスターの約または少なくとも約75~80、75~85、75~90、75~95、もしくは75~100%の増殖、または腫瘍細胞クラスターの約または少なくとも約80~85、80~90、80~95、もしくは80~100%の増殖、または腫瘍細胞クラスターの約または少なくとも約85~90、85~95、もしくは85~100%の増殖、または腫瘍細胞クラスターの約または少なくとも約90~95もしくは90~100%の増殖、または腫瘍細胞クラスターの約または少なくとも約95~100%の増殖をもたらす。特定の方法は、約7日以内に腫瘍細胞クラスターの少なくとも約20~30%の増殖、または約7日以内に腫瘍細胞クラスターの少なくとも約60%の増殖をもたらす。
【0069】
上述のように、本明細書に記載される懸濁液培地及び方法は、とりわけ、患者腫瘍の、1つ以上の治療薬に対する潜在的応答性を評価するために、及び比較的短時間、例えば、1または2週間以内に患者に最適な治療選択肢を特定する利点を提供するために使用され得る。よって、特定の実施形態は、ヒト患者から腫瘍細胞クラスターの集団を得ることと、先行請求項のいずれか1項に記載の培地懸濁液中で腫瘍細胞クラスターの集団を培養することと、治療薬または薬物を培地懸濁液に与薬することと、腫瘍細胞の集団における腫瘍細胞増殖及び/または腫瘍細胞アポトーシスを測定することとを含む、ヒト患者の治療薬(例えば、薬物または候補薬物)に対する応答性の試験方法を含む。
【0070】
いくつかの実施形態では、腫瘍細胞増殖の減少(例えば、統計的に有意な減少)は、ヒト患者(即ち、ヒト患者の腫瘍)の治療薬に対する応答性を示し、いくつかの実施形態では、腫瘍細胞増殖の減少の欠如(例えば、統計的に有意な減少の欠如)は、ヒト患者(即ち、ヒト患者の腫瘍)の治療薬に対する耐性及び非応答性の可能性を示す。いくつかの実施形態では、腫瘍細胞アポトーシスの誘導(例えば、統計的に有意な増加)は、ヒト患者(即ち、ヒト患者の腫瘍)の治療薬に対する応答性を示す。特定の実施形態では、腫瘍細胞増殖の増加の欠如(例えば、統計的に有意な増加の欠如)は、ヒト患者(即ち、ヒト患者の腫瘍)の治療薬に対する耐性及び非応答性の可能性を示す。ある特定の実施形態では、腫瘍細胞増殖の減少及び腫瘍細胞アポトーシスの誘導は、ヒト患者の治療薬に対する応答性を示し、腫瘍細胞増殖の減少の欠如は、ヒト患者の治療薬に対する耐性及び非応答性の可能性を示す。
【0071】
いくつかの実施形態では、応答性の試験方法は、培地懸濁液中で腫瘍細胞クラスターの集団を培養した日と同日に(例えば、同時にまたは実質的に同時に)治療薬を与薬することを含む。ある特定の実施形態は、培地懸濁液中で腫瘍細胞クラスターの集団を培養した約1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20、21、22、23、または24時間以内に治療薬を与薬することを含む。培地懸濁液中で腫瘍細胞クラスターの集団を培養した約1、2、3、4、5、6、または7日後に、またはそれ以内に治療薬を与薬することを含む方法も含まれ、培地懸濁液中で腫瘍細胞クラスターの集団を培養した約1~7、1~6、1~5、1~4、1~3、1~2、もしくは2~7、2~6、2~5、2~4、2~3、または3~7、3~6、3~5、3~4、または4~7、4~6、4~5、または5~7、5~6、または6~7日後に、またはそれ以内に治療薬を与薬する方法も含む。
【0072】
ある特定の実施形態は、治療薬の与薬約14日以内に、例えば、治療薬の与薬約14、13、12、11、10、9、8、7、6、または5日以内に、腫瘍細胞の集団における腫瘍細胞増殖及び/または腫瘍細胞アポトーシスを測定するステップを含む。特定の実施形態は、治療薬の与薬約5~14、6~14、7~14、8~14、9~14、10~14、11~14、12~14、もしくは13~14日以内に、または約5~13、6~13、7~13、8~13、9~13、10~13、11~13、もしくは12~13日以内に、または約5~12、6~12、7~12、8~12、9~12、10~12、もしくは11~12日以内に、または約5~11、6~11、7~11、8~11、9~11、もしくは10~11日以内に、または約5~10、6~10、7~10、8~10、もしくは9~10日以内に、または約5~9、6~9、7~9、もしくは8~9日以内に、または約5~8、6~8、もしくは7~8日以内に、または約5~7もしくは6~7日以内に、または約5~6日以内に腫瘍細胞の集団における腫瘍細胞増殖及び/または腫瘍細胞アポトーシスを測定するステップを含む。
【0073】
ある特定の実施形態では、試験のための治療薬または薬物は小分子である。例示的な小分子としては、細胞傷害性薬、化学療法薬、及び抗血管新生薬、例えば、様々な癌の治療に有用であると考えられているものが挙げられる。小分子の特定のクラスとしては、アルキル化剤、代謝拮抗剤、アントラサイクリン、抗腫瘍抗生物質、白金、I型トポイソメラーゼ阻害剤、II型トポイソメラーゼ阻害剤、ビンカアルカロイド、及びタキサンが挙げられるが、これらに限定されない。
【0074】
小分子の特定の例としては、クロラムブルシル、シクロホスファミド、シレンジチド、ロムスチン(CCNU)、メルファラン、プロカルバジン、チオテパ、カルムスチン(BCNU)、エンザスタウリン、ブスルファン、ダウノルビシン、ドキソルビシン、ゲフィチニブ、エルロチニブ、エルロチニブ イダルビシン、テモゾロミド、エピルビシン、ミトキサントロン、ブレオマイシン、シスプラチン、カルボプラチン、オキサリプラチン、カンプトテシン、イリノテカン、トポテカン、アムサクリン、エトポシド、リン酸エトポシド、テニポシド、テムシロリムス、エベロリムス、ビンクリスチン、ビンブラスチン、ビノレルビン、ビンデシン、CT52923、及びパクリタキセル、ならびに上記のいずれかの薬学的に許容される塩、酸、または誘導体が挙げられる。小分子のさらなる例としては、イマチニブ、クリゾチニブ、ダサチニブ、ソラフェニブ、パゾパニブ、スニチニブ、バタラニブ、ゲフチニブ、エルロチニブ、AEE-788、ジコロアセテート、タモキシフェン、ファスジル、SB-681323、及びセマキサニブ(SU5416)(Chico et al.,Nat Rev Drug Discov.8:829-909,2009を参照されたい)が挙げられる。
【0075】
小分子のさらなる例としては、チオテプパ、シクロホスファミド(CYTOXAN(商標))などのアルキル化剤;ブスルファン、インプロスルファン、及びピポスルファンなどのスルホン酸アルキル;ベンゾドパ、カルボコン、メツレドパ、及びウレドパなどのアジリジン、エチレンイミン及びメチルアメラミン(アルトレタミン、トリエチレンメラミン、トリエチレンホスホラミド、トリエチレンチオホスホラミド及びトリメチローロメラミン(trimethylolomelamine)を含む);クロラムブシル、クロルナファジン、コロホスファミド(cholophosphamide)、エストラムスチン、イホスファミド、メクロレタミン、メクロレタミンオキシド塩酸塩、メルファラン、ノベンビキン、フェネステリン、プレドニムスチン、トロホスファミド、ウラシルマスタードなどのナイトロジェンマスタード;カルムスチン、クロロゾトシン、ホテムスチン、ロムスチン、ニムスチン、ラニムスチンなどのニトロソ尿素;アクラシノマイシン、アクチノマイシン、アウトラマイシン(authramycin)、アザセリン、ブレオマイシン、カクチノマイシン、カリケアマイシン、カラビシン、カルミノマイシン、カルジノフィリン、クロモマイシン、ダクチノマイシン、ダウノルビシン、デトルビシン、6-ジアゾ-5-オキソ-L-ノルロイシン、ドキソルビシン、エピルビシン、エソルビシン、イダルビシン、マルセロマイシン、マイトマイシン、ミコフェノール酸、ノガラマイシン、オリボマイシン、ペプロマイシン、ポトフィロマイシン、ピューロマイシン、ケラマイシン(quelamycin)、ロドルビシン、ストレプトニグリン、ストレプトゾシン、ツベルシジン、ウベニメクス、ジノスタチン、ゾルビシンなどの抗生物質;メトトレキサート及び5-フルオロウラシル(5-FU)などの代謝拮抗剤;デノプテリン、メトトレキサート、プテロプテリン、トリメトレキサートなどの葉酸類似体;フルダラビン、6-メルカプトプリン、チアミプリン、チオグアニンなどのプリン類似体;アンシタビン、アザシチジン、6-アザウリジン、カルモフール、シタラビン、ジデオキシウリジン、ドキシフルリジン、エノシタビン、フロクスウリジン、5-FUなどのピリミジン類似体;カルステロン、プロピオン酸ドロモスタノロン、エピチオスタノール、メピチオスタン、テストラクトンなどのアンドロゲン;アミノグルテチミド、ミトタン、トリロスタンなどの抗副腎薬;フロリン酸(frolinic acid)などの葉酸補充薬;アセグラトン;アルドホスファミドグリコシド;アミノレブリン酸;アムサクリン;ベストラブシル;ビサントレン;エダトラキサート;デフォファミン;デメコルチン;ジアジコン;エルフォルミチン;酢酸エリプチニウム;エトグルシド;硝酸ガリウム;ヒドロキシ尿素;レンチナン;ロニダミン;ミトグアゾン;ミトキサントロン;モピダモール;ニトラクリン;ペントスタチン;フェナメット;ピラルビシン;ポドフィリン酸;2-エチルヒドラジド;プロカルバジン;PSK.;ラゾキサン;シゾフィラン;スピロゲルマニウム;テヌアゾン酸;トリアジコン;2,2’,2’’-トリクロロトリエチルアミン;ウレタン;ビンデシン;ダカルバジン;マンノムスチン;ミトブロニトール;ミトラクトール;ピポブロマン;ガシトシン(gacytosine);アラビノシド(「Ara-C」);シクロホスファミド;チオテパ;タキソイド、例えば、パクリタキセル(TAXOL(登録商標)、Bristol-Myers Squibb Oncology,Princeton,N.J.)及びドセタキセル(TAXOTERE(登録商標)、Rhne-Poulenc Rorer,Antony,France);クロラムブシル;ゲムシタビン;6-チオグアニン;メルカプトプリン;メトトレキサート;シスプラチン及びカルボプラチンなどの白金類似体;白金;エトポシド(VP-16);イホスファミド;マイトマイシンC;ミトキサントロン;ビンクリスチン;ビノレルビン;ナベルビン;ノバントロン;テニポシド;ダウノマイシン;アミノプテリン;ゼローダ;イバンドロナート;CPT-11;トポイソメラーゼ阻害剤RFS 2000;ジフルオロメチルオミチン(difluoromethylomithine)(DMFO);Targretin(商標)(ベキサロテン)、Panretin(商標)(アリトレチノイン)などのレチノイン酸誘導体;ONTAK(商標)(デニロイキンジフチトクス);エスペラミシン;カペシタビン;ならびに上記のいずれかの薬学的に許容される塩、酸、または誘導体が挙げられる。
【0076】
例えば、タモキシフェン、ラロキシフェン、アロマターゼ阻害4(5)-イミダゾール、4-ヒドロキシタモキシフェン、トリオキシフェン、ケオキシフェン、LY 117018、オンプリストン、及びトレミフェン(Fareston)を含む抗エストロゲン;ならびにフルタミド、ニルタミド、ビカルタミド、ロイプロリド、及びゴセレリンなどの抗アンドロゲン;上記のいずれかの薬学的に許容される塩、酸、または誘導体などの腫瘍に対するホルモン作用を調節または阻害するように作用する抗ホルモン剤も含まれる。
【0077】
いくつかの実施形態では、治療薬は、抗体またはその抗原結合断片である。ある特定の実施形態では、抗体もしくはその抗原結合断片または他のポリペプチドは、癌関連抗原または癌抗原、例えば、試験される腫瘍細胞クラスターによって発現される癌抗原に特異的に結合する。例示的な癌抗原としては、細胞表面受容体などの細胞表面タンパク質が挙げられる。かかる細胞表面タンパク質または受容体に結合するリガンドも癌関連抗原として含まれる。特定の実施形態では、抗体または抗原結合断片は、細胞内癌抗原に特異的に結合する。いくつかの実施形態では、癌抗原と関連する癌は、乳癌、転移性脳癌、前立腺癌、胃腸癌、肺癌、卵巣癌、精巣癌、頭頸部癌、胃癌、膀胱癌、膵臓癌、肝臓癌、腎臓癌、扁平上皮細胞癌、CNSもしくは脳癌、黒色腫、非黒色腫癌、甲状腺癌、子宮内膜癌、上皮性腫瘍、骨癌、または造血癌のうちの1つ以上である。
【0078】
特定の実施形態では、抗体もしくは抗原結合断片または他のポリペプチドは、ヒトHer2/neu、Her1/EGF受容体(EGFR)、Her3、A33抗原、B7H3、CD5、CD19、CD20、CD22、CD23(IgE受容体)、C242抗原、5T4、IL-6、IL-13、血管内皮成長因子VEGF(例えば、VEGF-A)VEGFR-1、VEGFR-2、CD30、CD33、CD37、CD40、CD44、CD51、CD52、CD56、CD74、CD80、CD152、CD200、CD221、CCR4、HLA-DR、CTLA-4、NPC-1C、テネイシン、ビメンチン、インスリン様成長因子1受容体(IGF-1R)、α-フェトタンパク質、インスリン様成長因子1(IGF-1)、炭酸脱水酵素9(CA-IX)、癌胎児性抗原(CEA)、インテグリンαvβ3、インテグリンα5β1、葉酸受容体1、膜貫通糖タンパク質NMB、線維芽細胞活性化タンパク質アルファ(FAP)、糖タンパク質75、TAG-72、MUC1、MUC16(またはCA-125)、ホスファチジルセリン、前立腺特異的膜抗原(PMSA)、NR-LU-13抗原、TRAIL-R1、腫瘍壊死因子受容体スーパーファミリーメンバー10b(TNFRSF10BまたはTRAIL-R2)、SLAMファミリーメンバー7(SLAMF7)、EGP40汎性癌抗原、B細胞活性化因子(BAFF)、血小板由来成長因子受容体、糖タンパク質EpCAM(17-1A)、プログラム死-1、タンパク質ジスルフィドイソメラーゼ(PDI)、再生肝3のホスファターゼ(PRL-3)、前立腺酸性ホスファターゼ、Lewis-Y抗原、GD2(神経外胚葉起源の腫瘍に発現されるジシアロガングリオシド)、グリピカン-3(GPC3)、及び/もしくはメソテリンなどの少なくとも1つの癌関連抗原または癌抗原に特異的に結合する。
【0079】
ある特定の実施形態では、抗体は、3F8、8H9、アバゴモマブ、アデカツムマブ、アフツズマブ、アレムツズマブ、アラシズマブ(ペゴール)、アマツキシマブ、アポリズマブ、バビツキシマブ、ベクツモマブ、ベリムマブ、ベバシズマブ、ビバツズマブ(メルタンシン)、ブレンツキシマブベドチン、カンツズマブ(メルタンシン)、カンツズマブ(ラブタンシン)、カプロモマブ(ペンデチド)、カツマキソマブ、セツキシマブ、シタツズマブ(ボガトクス)、シクスツムマブ、クリバツズマブ(テトラキセタン)、コナツムマブ、ダセツズマブ、ダロツズマブ、デツモマブ、ドロジツマブ、エクロメキシマブ、エドレコロマブ、エロツズマブ、エナバツズマブ、エンシツキシマブ、エプラツズマブ、エルツマキソマブ、エタラシズマブ、ファルレツズマブ、FBTA05、フィギツムマブ、フランボツマブ、ガリキシマブ、ゲムツズマブ、ガニツマブ、ゲムツズマブ(オゾガマイシン)、ギレンツキシマブ、グレムバツムマブ(ベドチン)、イブリツモマブチウキセタン、イクルクマブ、イゴボマブ、インダツキシマブラブタンシン、インテツムマブ、イノツズマブオゾガマイシン、イピリムマブ(MDX-101)、イラツムマブ、ラベツズマブ、レクサツムマブ、リンツズマブ、ロルボツズマブ(メルタンシン)、ルカツムマブ、ルミリキシマブ、マパツムマブ、マツズマブ、ミラツズマブ、ミツモマブ、モガムリズマブ、モキセツモマブ(シュードトクス)、ナコロマブ(タフェナトックス)、ナプツモマブ(エスタフェナトックス)、ナルナツマブ、ネシツムマブ、ニモツズマブ、ニボルマブ、Neuradiab(登録商標)(放射性ヨウ素を伴うか、または伴わない)、NR-LU-10、オファツムマブ、オララツマブ、オナルツズマブ、オポルツズマブ(モナトックス)、オレゴボマブ、パニツムマブ、パトリツマブ、ペムツモマブ、ペルツズマブ、プリツムマブ、ラコツモマブ、ラドレツマブ、ラムシルマブ、リロツムマブ、リツキシマブ、ロバツムマブ、サマリズマブ、シブロツズマブ、シルツキシマブ、タバルマブ、タプリツモマブ(パプトックス)、テナツモマブ、テプロツムマブ、TGN1412、チシリムマブ、トレメリムマブ、ティガツズマブ、TNX-650、トシツモマブ、TRBS07、トラスツズマブ、ツコツズマブ(セルモロイキン)、ウブリツキシマブ、ウレルマブ、ベルツズマブ、ボロシキシマブ、ボツムマブ、及びザルツムマブなどの抗体を含む抗癌治療用抗体などの治療用抗体である。これらの抗体の断片、変異型、及び誘導体も含まれる。
【0080】
ある特定の実施形態は、2つ以上の治療薬の組み合わせに対する応答性を試験することを含む。よって、ある特定の方法は、前述の例示的な治療薬のいずれか2つ以上の組み合わせを含む、培地懸濁液に2つ以上の治療薬を与薬することを含む。
【0081】
当該技術分野で既知の任意の様々な方法は、腫瘍細胞増殖及び/または腫瘍細胞アポトーシスを測定するために使用され得る。例えば、腫瘍細胞増殖を測定するある特定の方法は、1つ以上の細胞増殖マーカーを測定することを含む。例示的な細胞増殖マーカーは、3H-チミジン、ブロモデオキシウリジン(BrdU)、5-エチニル-2’-デオキシウリジン(Edu)、Ki-67、及び増殖細胞核抗原(PCNA)を含む。よって、ある特定の実施形態では、腫瘍細胞増殖の測定ステップは、任意選択で、3H-チミジン、BrdU、Edu、Ki-67、及びPCNA(これらの組み合わせを含む)のうちの1つ以上から選択される、細胞増殖マーカーを測定することを含む。
【0082】
同様に、当技術分野で既知の任意の様々な方法は、腫瘍細胞アポトーシスを測定するために使用され得る。「アポトーシス」は一般に、細胞の特徴的な変化(例えば、形態)及び細胞死をもたらす生化学的事象を含む、多細胞生物で生じるプログラムされた細胞死のプロセスを指す。例示的な変化としては、小疱形成、細胞萎縮、核断片化、クロマチン凝集、染色体DNA断片化、及び全体的なmRNA崩壊が挙げられる。腫瘍細胞アポトーシスを測定するある特定の方法は、細胞アポトーシスマーカーを測定することを含む。例示的な細胞アポトーシスマーカーとしては、カスパーゼの蛍光色素標識阻害剤(FLICA)、カスパーゼ活性化、ポリADPリボースポリメラーゼ(PARP)切断、DRAQ5、DRAQ7、及び末端デオキシヌクレオチジルトランスフェラーゼ(TdT)dUTPニック末端標識(TUNEL)アッセイが挙げられる。よって、ある特定の実施形態では、腫瘍細胞アポトーシスの測定ステップは、任意選択で、FLICA、PARP、DRAQ5、DRAQ7、及びTUNELアッセイ(これらの組み合わせを含む)のうちの1つ以上から選択される、細胞アポトーシスマーカーを測定することを含む。
【0083】
ある特定の態様では、これらの応答性試験または方法は、診断研究所で行われ、その後、結果を患者に提供するか、または患者の医療及び癌治療において役割を担う医師または他の医療提供者に提供される。よって、特定の実施形態は、腫瘍細胞クラスター応答性試験の結果を患者、または医師もしくは他の医療提供者に提供するための方法に含む。これらの結果またはデータは、ハードコピーもしくは紙コピーの形態、またはコンピュータ可読媒体などの電子形態であってもよい。
本発明の実施形態において、例えば以下の項目が提供される。
(項目1)
ヒト患者からのヒト腫瘍細胞クラスターの集団を含む培地懸濁液であって、約14日以内に前記腫瘍細胞クラスターの少なくとも約10%の増殖をもたらす、培地懸濁液。
(項目2)
約14、13、12、11、10、9、8、7、6、または5日以内に前記ヒト腫瘍細胞クラスターの少なくとも約10、20、30、40、50、60、70、80、90、または100%の増殖をもたらす、項目1に記載の培地懸濁液。
(項目3)
約7日以内に前記ヒト腫瘍細胞クラスターの少なくとも約20~30%の増殖をもたらす、項目1または2に記載の培地懸濁液。
(項目4)
約7日以内に前記ヒト腫瘍細胞クラスターの少なくとも約60%の増殖をもたらす、項目1~3のいずれか1項に記載の培地懸濁液。
(項目5)
合成培地を含む、項目1~4のいずれか1項に記載の培地懸濁液。
(項目6)
無血清である、項目1~5のいずれか1項に記載の培地懸濁液。
(項目7)
DMEM/F-12、Wnt3A、塩基性線維芽細胞成長因子(bFGF)、インスリン、トランスフェリン、ウシ血清アルブミン(BSA)、コレステロール、B細胞活性化因子(BAFF)、及び2-メルカプトエタノールから選択される1つ以上の構成成分を含む、項目5または6に記載の培地懸濁液。
(項目8)
DMEM/F-12、Wnt3A、bFGF、インスリン、トランスフェリン、ウシ血清アルブミン(BSA)、コレステロール、B細胞活性化因子(BAFF)、及び2-メルカプトエタノールから選択される構成成分のうちの2、3、4、5、6、7、8、または9つを含む、項目7に記載の培地懸濁液。
(項目9)
DMEM/F-12、Wnt3A、bFGF、インスリン、トランスフェリン、ウシ血清アルブミン(BSA)、コレステロール、B細胞活性化因子(BAFF)、及び2-メルカプトエタノールを含む、項目8に記載の培地懸濁液。
(項目10)
ニコチンアミド、ノギン、R-スポンジン-1、Y27632、線維芽細胞成長因子10(FGF10)、及びVO-OHpicから選択される1つ以上の構成成分を含む、項目5~9のいずれか1項に記載の培地懸濁液。
(項目11)
ニコチンアミド、ノギン、R-スポンジン-1、Y27632、FGF10、及びVO-OHpicから選択される構成成分のうちの2、3、4、5、または6つを含む、項目10に記載の培地懸濁液。
(項目12)
ニコチンアミド、ノギン、R-スポンジン-1、Y27632、FGF10、及びVO-OHpicを含む、項目11に記載の培地懸濁液。
(項目13)
上皮成長因子(EGF)、肝細胞成長因子(HGF)、インスリン様成長因子(IGF)、血管内皮成長因子(VEGF)、血小板由来成長因子(PDGF)、N2サプリメント、B27、プロスタグランジンE2(PGE-2)、及びN-アセチル-L-システインから選択される1つ以上の構成成分を含む、項目7~12のいずれか1項に記載の培地懸濁液。
(項目14)
EGF、HGF、IGF、VEGF、PDGF、N2、B27、PGE2、N-アセチル-L-システインから選択される構成成分のうちの2、3、4、5、6、7、8、または9つを含む、項目13に記載の培地懸濁液。
(項目15)
EGF、HGF、IGF、VEGF、PDGF、N2、B27、PGE2、及びN-アセチル-L-システインを含む、項目14に記載の培地懸濁液。
(項目16)
ニコチンアミド、ノギン、R-スポンジン-1、Y27632、EGF、HGF、IGF、VEGF、PDGF、N2、B27、PGE2、N-アセチル-L-システイン、FGF10、及びVO-OHpicを含む、項目10~15のいずれか1項に記載の培地懸濁液。
(項目17)
細胞外基質構成成分、任意選択でマトリゲル、コラーゲン、ラミニン、またはフィブロネクチンを含まない、項目1~16のいずれか1項に記載の培地懸濁液。
(項目18)
前記ヒト腫瘍細胞クラスターが、ヒト患者からの肺癌細胞、結腸癌細胞、胃癌細胞、または乳癌細胞である、項目1~17のいずれか1項に記載の培地懸濁液。
(項目19)
前記ヒト腫瘍細胞クラスターが、ヒト腫瘍細胞及び/またはヒト患者からの組織で異種移植された免疫不全動物から単離される、項目1~18のいずれか1項に記載の培地懸濁液。
(項目20)
前記ヒト腫瘍細胞クラスターが、任意選択で、外科試料、生検、胸水、及び腹水から選択される、ヒト患者から除去された腫瘍試料から直接単離される、項目1~18のいずれか1項に記載の培養懸濁液。
(項目21)
ヒト腫瘍細胞の増殖方法であって、試料からヒト腫瘍細胞の集団を得ることと、項目1~20のいずれか1項に記載の培地懸濁液中でヒト腫瘍細胞クラスターの集団を培養することと、を含む、方法。
(項目22)
約14日以内の間、前記培養懸濁液中で前記ヒト腫瘍細胞クラスターを培養することを含む、項目21に記載の方法。
(項目23)
約14、13、12、11、10、9、8、7、6、または5日以内の間、前記培養懸濁液中で前記ヒト腫瘍細胞クラスターを培養することを含む、項目22に記載の方法。
(項目24)
約7日以内の間、前記培養懸濁液中で前記ヒト腫瘍細胞クラスターを培養することを含む、項目23に記載の方法。
(項目25)
ヒト患者の治療薬に対する応答性の試験方法であって、
前記ヒト患者から腫瘍細胞クラスターの集団を得るまたは受け取ることと、
項目1~24のいずれか1項に記載の培地懸濁液中で前記腫瘍細胞クラスターの集団を培養することと、
前記治療薬を前記培地懸濁液に与薬することと、
前記腫瘍細胞の集団における腫瘍細胞増殖及び/または腫瘍細胞アポトーシスを測定することと、を含み、
腫瘍細胞増殖の減少及び/または腫瘍細胞アポトーシスの誘導が、ヒト患者の治療薬に対する応答性を示し、腫瘍細胞増殖の減少の欠如及び/または腫瘍細胞アポトーシスの誘導の欠如が、ヒト患者の治療薬に対する耐性を示す方法も含まれる。
(項目26)
前記治療薬を、前記培地懸濁液中で前記腫瘍細胞クラスターの集団を培養した日と同日に与薬することを含む、項目25に記載の方法。
(項目27)
前記治療薬を、前記培地懸濁液中で前記腫瘍細胞クラスターの集団を培養した少なくとも1日後に与薬することを含む、項目25に記載の方法。
(項目28)
前記治療薬を、前記培地懸濁液中で前記腫瘍細胞クラスターの集団を培養した約1、2、3、4、5、6、または7日後、またはそれ以内に与薬することを含む、項目27に記載の方法。
(項目29)
前記治療薬の与薬約14日以内に、前記腫瘍細胞の集団における腫瘍細胞増殖及び/または腫瘍細胞アポトーシスを測定することを含む、項目1~28のいずれか1項に記載の方法。
(項目30)
前記治療薬の与薬約14、13、12、11、10、9、8、7、6、または5日以内に、前記腫瘍細胞の集団における腫瘍細胞増殖及び/または腫瘍細胞アポトーシスを測定することを含む、項目29に記載の方法。
(項目31)
前記治療薬の与薬約7、6、または5日以内に、前記腫瘍細胞の集団における腫瘍細胞増殖及び/または腫瘍細胞アポトーシスを測定することを含む、項目30に記載の方法。
(項目32)
腫瘍細胞増殖の測定ステップが、細胞増殖マーカーを測定することを含む、項目1~31のいずれか1項に記載の方法。
(項目33)
前記細胞増殖マーカーが、3H-チミジン、ブロモデオキシウリジン(BrdU)、5-エチニル-2’-デオキシウリジン(Edu)、Ki-67、及び増殖細胞核抗原(PCNA)のうちの1つ以上から選択される、項目32に記載の方法。
(項目34)
前記腫瘍細胞アポトーシスの測定ステップが、細胞アポトーシスマーカーを測定することを含む、項目1~33のいずれか1項に記載の方法。
(項目35)
前記細胞アポトーシスマーカーが、カスパーゼの蛍光色素標識阻害剤(FLICA)、カスパーゼ活性化、ポリADPリボースポリメラーゼ(PARP)切断、DRAQ5、DRAQ7、及び末端デオキシヌクレオチジルトランスフェラーゼ(TdT)dUTPニック末端標識(TUNEL)アッセイのうちの1つ以上から選択される、項目34に記載の方法。
【実施例0084】
実施例1
腫瘍細胞クラスターの単離及び分析
患者のコンセンサスを受け取った後、結腸直腸癌患者からの外科検体をBeijing Tumor Hospitalから得た。患者由来の異種移植片腫瘍検体は、患者からの外科腫瘍検体の接種を受けたNod/SCIDマウスから得た。
【0085】
簡潔に、非腫瘍組織及び壊死画分を腫瘍検体から慎重に除去した。はさみを使用して腫瘍組織を直径1mm未満の小片に切断した。磁石撹拌棒を装填した滅菌100ml三角形ガラスフラスコに刻んだ腫瘍画分を移した。0.25U/mlのリベラーゼDHを含有する10~15mlの消化培地を刻んだ腫瘍組織に添加して、酵素消化を開始させた。穏やかに撹拌しながら酵素混合物を37℃で1~2時間インキュベートした。部分的に消化された腫瘍細胞クラスターを、100μmの細胞保持装置を通して濾過した。濾液を、40μmの細胞拘束装置(restrainer)を通して再濾過した。40μmの細胞拘束装置上に保持された腫瘍細胞クラスターを収集し、HBSSで2回洗浄し、次いで、細胞成長因子及び小分子阻害剤で補充された合成成長培地中に再懸濁した。
【0086】
エクスビボ薬物感度アッセイに関して、腫瘍細胞クラスターを合成成長培地中で一晩回復させた。合成成長培地は、ニコチンアミド、Wnt3A、ノギン、R-スポンジン-1、及びY27632を含むStemPro hESC SFMサプリメントであった。次いで、薬物を洗浄する前に24時間、腫瘍細胞クラスターを薬物(例えば、2μM(Cmax)のドセタキセル)に曝露した。薬物による曝露後、腫瘍細胞クラスターを5-エチニル-2’-デオキシウリジン(Edu)で標識して、腫瘍細胞増殖速度を評価した。薬物曝露48時間後に標識を開始し、96時間継続した。対照群において、腫瘍細胞クラスターは培地交換に伴い薬物曝露を受けなかったが、同様にEduで標識された。標識された腫瘍細胞クラスターを単一細胞に解離し、固定した。固定した細胞を、4℃で一晩、0.2%のTriton X-100を含有するPBS中で、Hoechst 33342で染色した。組み込まれたEduは、固定した細胞を、暗所で、1倍のClick-iT Edu反応緩衝液、CuSO4、及びアジド抱合型Alexa Fluor色素を含有する反応混合物と共にインキュベートしたClick-iT反応によって検出された。画像取得及び分析のために黒色壁プレートに分配する前に、染色した細胞をPBSで洗浄した。
【0087】
画像取得及び分析に関して、染色した腫瘍細胞を高含有スクリーニング(HCS)プラットフォーム(Thermo Scientific Cellomics ArrayScan XTi HCSリーダー)によって撮像した。10倍の対物レンズを使用して画像を収集した。25個のフィールドを各ウェルに関して撮像し、3000個を超える細胞を分析用に捕捉した。画像から2つの蛍光シグナルがHCSリーダーから得られた。青色蛍光シグナルは、Hoechst 33342で染色された核シグナルを記録し、緑色蛍光シグナルは、新しく合成されたDNAに組み込まれたEduを検出した。Edu陽性サブ集団細胞の百分率は、全細胞計数のパーセントとして計算された。このエクスビボアッセイにおける薬物耐性のカットオフポイントは、腫瘍細胞クラスターが2μMドセタキセルに24時間曝露されたときの、Edu組み込みの90%未満の阻害と定義された。
【0088】
直接患者試料に関して、
図1A~1Dは、腫瘍細胞クラスターが患者から外科的に除去される結腸/直腸腫瘍からの分離が成功し、合成成長培地中の懸濁液中で培養されたことを示す。
図2は、Edu組み込みにより測定されるとき、腫瘍細胞が短期懸濁培養期間中に増殖されたことを示す(試料1は
図1Aからのものであり、試料2は
図1Bからのものであり、試料3は
図1Cからのものであり、試料4は
図1Dのものからである)。
【0089】
図3A~3Bは、短期懸濁培養(約7日以内)が腫瘍細胞クラスターの最も高い細胞増殖マーカーを示すことを示す。
図3Aは4つの異なる患者試料の増殖マーカーを示し、
図3Bは1週間にわたる1つの例示的な患者試料の増殖マーカーを示す。
【0090】
図4は、試験条件下で(
図3Bを参照されたい)、腫瘍細胞クラスターの成長が試験された薬物(スニチブ、ソラフェニブ、エルロチニブ、クリゾチニブ、オキサリプラチン)によって完全に阻害されないことを示し、これはこれらの薬物に対する患者由来の異種移植片(PDX)腫瘍応答と一致する。PDX増幅腫瘍が合成培地との懸濁液中で培養されたときの患者腫瘍組織から単離されたものと同様の形態を有することが確認された。