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  • 特開-ランニングシューズ用ミッドソール 図1
  • 特開-ランニングシューズ用ミッドソール 図2
  • 特開-ランニングシューズ用ミッドソール 図3
  • 特開-ランニングシューズ用ミッドソール 図4
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022007831
(43)【公開日】2022-01-13
(54)【発明の名称】ランニングシューズ用ミッドソール
(51)【国際特許分類】
   A43B 5/06 20220101AFI20220105BHJP
   A43B 13/18 20060101ALI20220105BHJP
   A43B 13/14 20060101ALI20220105BHJP
【FI】
A43B5/06
A43B13/18
A43B13/14 D
【審査請求】有
【請求項の数】2
【出願形態】書面
(21)【出願番号】P 2020124752
(22)【出願日】2020-06-26
(11)【特許番号】
(45)【特許公報発行日】2021-08-25
(71)【出願人】
【識別番号】520105164
【氏名又は名称】山崎 明美
(72)【発明者】
【氏名】山崎 貴志
【テーマコード(参考)】
4F050
【Fターム(参考)】
4F050BA02
4F050BA42
4F050HA71
4F050JA09
4F050KA06
4F050KA08
(57)【要約】
【課題】 走行における接地荷重の反発力を、走行の推進力として効率的に利用することができるランニングシューズ用ミッドソールを提供する。
【解決手段】 板バネ状部材の上面プレート1がミッドソール上面を形成し、板バネ状部材の下面プレート2がミッドソール下面を形成し、上面プレート1と下面プレート2はつま先側で接合し、上面プレート1と下面プレート2の間に板バネ状部材の主バネ3を挿入して構成するミッドソールとする。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
板バネ状部材の上面プレート(1)がミッドソール上面を形成し、板バネ状部材の下面プレート(2)がミッドソール下面を形成し、上面プレート(1)と下面プレート(2)はつま先側で接合し、上面プレート(1)と下面プレート(2)の間に板バネ状部材の主バネ(3)を挿入して構成するランニングシューズ用ミッドソール。
【請求項2】
上面プレート(1)と下面プレート(2)または地面に挟まれる空間の、一部または全部に発泡体を挿入した、請求項1に記載のランニングシューズ用ミッドソール。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、走行における接地荷重の反発力を、走行の推進力として効率的に利用するのに好適なランニングシューズ用ミッドソールに関する。
【背景技術】
【0002】
従来のランニングシューズ用ミッドソールはほとんどが発泡体で製作されており、バネはほとんど利用されていない。弾性体の反発力を利用して飛び跳ねるための道具として代表的なものには、トランポリン、ロイター板、ホッピング、などが挙げられ、これらで利用される弾性体は、ほとんどがコイルバネや板バネなどのバネであることから、バネは発泡体と比較して効率的に利用できる反発力を発すると考えられる。走行における接地荷重の反発力は走行の推進力に寄与することから、ランニングシューズ用ミッドソールにバネを利用することは、走行における接地荷重の反発力を走行の推進力として効率的に利用するために有用である。
【0003】
ミッドソールでは、厚みを増すことで変形範囲を大きくし、ミッドソールが発する反発力をより長時間にわたって作用させるようにすることができる。長すぎる作用時間の反発力はランニングの俊敏性を妨げるが、適度に長い作用時間の反発力は、短時間に衝撃的に作用する反発力と比較して、走行の推進力に効率的に利用できる。発泡体からなるミッドソールでは、変形が大きくなると、発泡体の剛性の低さにより左右方向のぶれが増して走行が不安定となることから、ミッドソールの変形範囲を大きくする構造とすることにはある程度の限度がある。
【0004】
特許文献1では、板バネやコイルバネを靴底に取り付けたシューズが考案されている。板バネを利用したものは、2枚の板バネがつま先側と踵側の両端で接合しており、かつ、踵側でアッパーと板バネが接触していない構造のため、走行の蹴り出し時に発する反発力は踵にはほとんど作用しないものとなっている。
【0005】
特許文献2では、ランニングシューズ用ミッドソールを、踵側で接合した2枚の硬質プレートにより構成する考案がされている。この考案では、プレートが踵側で接合しており、かつ、走行の蹴り出し時に踵側のアッパーとミッドソールが離れる構造のため、走行の蹴り出し時に発する反発力は踵にはほとんど作用しないものとなっている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開平06-189801号公報
【特許文献2】特開2010-162318号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
走行における接地荷重の反発力を、走行の推進力として効率的に利用することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
前記課題を解決するため、本発明に係るミッドソールは、板バネ状部材の上面プレート1がミッドソール上面を形成し、板バネ状部材の下面プレート2がミッドソール下面を形成し、上面プレート1と下面プレート2はつま先側で接合し、上面プレート1と下面プレート2の間に板バネ状部材の主バネ3を挿入して構成する。
【発明の効果】
【0009】
本発明に係るミッドソールでは、発泡体と比較して効率的に利用できる反発力を発する板バネで構成することにより、発泡体からなるミッドソールと比較して、効率的に反発力を利用することができる。
【0010】
本発明に係るミッドソールでは、変形が大きい場合(図2)においても、板バネ状部材(上面プレート1、下面プレート2、主バネ3)のねじり剛性の高さにより左右方向のぶれが抑制されて走行の不安定さを生じにくいため、発泡体からなるミッドソールと比較して、ミッドソールの変形範囲を大きくする構造とすることが可能である。
【0011】
本発明に係るミッドソールは、上面プレート1と下面プレート2がつま先側で接合しているため、走行の蹴り出し時には、図3のように踵側がつま先側よりも押し上げられる状態となる。このため、走行の蹴り出し時に発する反発力は、作用する方向が鉛直上向ではなく、鉛直上向から走行進行方向へ傾斜した方向となり、走行の推進力として有効な力となる。また、上面プレート1は足裏全面に接触しており、走行の蹴り出し時に発する反発力は踵側にも作用するため、蹴り出し時における足首伸展の助力となる。
【0012】
請求項2に記載のミッドソールでは、上面プレート1と下面プレート2または地面に挟まれる空間の、一部または全部に発泡体を挿入している。これは、上面プレート1、下面プレート2、主バネ3の過度の変形を抑制して破損を防止する効果、ミッドソール内部に小石等の異物が挟まることを予防する効果、および、上面プレート1、下面プレート2、主バネ3のそれぞれの接合における接合材としての効果となり得る。
【図面の簡単な説明】
【0013】
図1】 本発明に係るミッドソールの斜視図である。
図2】 走行の接地時(変形が大きい時)の側面図である。
図3】 走行の蹴り出し時の側面図である。
図4】 実施例の斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
図4に本発明に係るミッドソールの実施例を示す。図4においてミッドソールは、板バネ状部材の上面プレート1がミッドソール上面を形成し、板バネ状部材の下面プレート2がミッドソール下面を形成し、上面プレート1と下面プレート2はつま先側で接合し、上面プレート1と下面プレート2の間に板バネ状部材の主バネ3を挿入して構成する。
【0015】
上面プレート1、下面プレート2、主バネ3の材質は、ここではFRP(繊維強化プラスチック)としているが、他の材質による製作を排除するものではない。
【0016】
上面プレート1と下面プレート2、および、下面プレート2と主バネ3の接合方法は、ここでは図4に示すように、ヒンジ4を使用した接合としている。これにより、上面プレート1と下面プレート2、および、下面プレート2と主バネ3は、それぞれの接合点を支点とした相対運動が可能となるとともに、固定的に接合した場合と比較して、接合点付近に発生する応力集中を抑えることができる。
【0017】
上面プレート1と主バネ3の接合方法は、ここでは図4に示すように、接合点付近における相対運動がほとんど生じない部分のため、リベット5による固定的な接合としている。
【0018】
前記2種の接合方法以外にも、一体成型、接着、ボルトナット、などの接合方法があり、それぞれにメリットがあるため、接合方法として前記の接合方法以外を排除するものではない。
【0019】
図1~4に示される本発明に係るミッドソールでは、踵が接地しないフォアフット走法での使用を想定して、下面プレート2の踵側を短縮して軽量化を図っているが、他の走法での使用を想定して下面プレート2を踵下まで延長することを排除するものではない。
【符号の説明】
【0020】
1 上面プレート
2 下面プレート
3 主バネ
4 ヒンジ
5 リベット
図1
図2
図3
図4
【手続補正書】
【提出日】2021-06-30
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】請求項1
【補正方法】変更
【補正の内容】
【請求項1】
板バネ状部材の上面プレート(1)がミッドソール上面を形成し、板バネ状部材の下面プレート(2)がミッドソール下面を形成し、上面プレート(1)と下面プレート(2)はつま先側で接合し、上面プレート(1)と下面プレート(2)の間に板バネ状部材の主バネ(3)を挿入して構成し、上面プレート(1)と主バネ(3)の接合位置は、上面プレート(1)全長の前方より1/3の範囲内とするランニングシューズ用ミッドソール。
【手続補正2】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0008
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0008】
前記課題を解決するため、本発明に係るミッドソールは、板バネ状部材の上面プレート1がミッドソール上面を形成し、板バネ状部材の下面プレート2がミッドソール下面を形成し、上面プレート1と下面プレート2はつま先側で接合し、上面プレート1と下面プレート2の間に板バネ状部材の主バネ3を挿入して構成し、上面プレート1と主バネ3の接合位置は、上面プレート1全長の前方より1/3の範囲内とする。
【手続補正3】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0014
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0014】
図4に本発明に係るミッドソールの実施例を示す。図4においてミッドソールは、板バネ状部材の上面プレート1がミッドソール上面を形成し、板バネ状部材の下面プレート2がミッドソール下面を形成し、上面プレート1と下面プレート2はつま先側で接合し、上面プレート1と下面プレート2の間に板バネ状部材の主バネ3を挿入して構成し、上面プレート1と主バネ3の接合位置は、上面プレート1全長の前方より1/3の範囲内とする。