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特開2022-78327強度の上昇した天井、床材、および建材製品を提供するための組成物および方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022078327
(43)【公開日】2022-05-24
(54)【発明の名称】強度の上昇した天井、床材、および建材製品を提供するための組成物および方法
(51)【国際特許分類】
   E04F 15/08 20060101AFI20220517BHJP
【FI】
E04F15/08 A
【審査請求】有
【請求項の数】19
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022042370
(22)【出願日】2022-03-17
(62)【分割の表示】P 2018550334の分割
【原出願日】2017-03-31
(31)【優先権主張番号】62/318,115
(32)【優先日】2016-04-04
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(31)【優先権主張番号】16305504.9
(32)【優先日】2016-04-29
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
(71)【出願人】
【識別番号】516341914
【氏名又は名称】ファイバーリーン テクノロジーズ リミテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100114775
【弁理士】
【氏名又は名称】高岡 亮一
(74)【代理人】
【識別番号】100121511
【弁理士】
【氏名又は名称】小田 直
(74)【代理人】
【識別番号】100202751
【弁理士】
【氏名又は名称】岩堀 明代
(74)【代理人】
【識別番号】100191086
【弁理士】
【氏名又は名称】高橋 香元
(72)【発明者】
【氏名】アイルランド,ショーン
(72)【発明者】
【氏名】フィップス,ジョナサン,スチュアート
(72)【発明者】
【氏名】スクセ,デイヴィッド
(72)【発明者】
【氏名】ジン,ユン
(57)【要約】      (修正有)
【課題】最終的な天井タイル、床材製品または建築製品の特性を維持または改善しながら、天井タイル、床材製品、および他の建築製品に添加するための代替のおよび改善された複合体を提供する。
【解決手段】天井タイル、床材製品、または他の建築製品に添加するための組成物は、ミクロフィブリル化セルロースおよび任意に無機粒子材料を含み得る。天井タイル、床材製品、または他の建築製品は、パーライト、ミネラルウール、木材パルプ、デンプンおよび他の添加剤をさらに含み得、木材パルプおよび他の無機粒子材料はミクロフィブリル化セルロースに結合する。
【選択図】なし
【特許請求の範囲】
【請求項1】
フローリング製品の全乾燥重量に基づいて、0.5重量%~25重量%のミクロフィブリル化セルロースを含み、前記ミクロフィブリル化セルロースが、5μm~500μmのd50および20~50の繊維勾配を有する、フローリング製品。
【請求項2】
前記フローリング製品が、木材パルプまたは紙パルプ、および任意にデンプンをさらに含む、請求項1に記載のフローリング製品。
【請求項3】
前記フローリング製品が、前記フローリング製品の全乾燥重量に基づいて、0.5重量%~10重量%のミクロフィブリル化セルロース組成物を含む、請求項1に記載のフローリング製品。
【請求項4】
前記フローリング製品が、前記フローリング製品の全乾燥重量に基づいて、ミクロフィブリル化セルロース組成物の0.5重量%~10重量%のミクロフィブリル化セルロース組成物を含む、請求項2に記載のフローリング製品。
【請求項5】
デンプンをさらに含む、請求項2に記載のフローリング製品。
【請求項6】
ミネラルウールをさらに含む、請求項1に記載のフローリング製品。
【請求項7】
ミネラルウールをさらに含む、請求項5に記載のフローリング製品。
【請求項8】
前記ミクロフィブリル化セルロース組成物が、ミクロフィブリル化セルロースと、炭酸カルシウム、炭酸マグネシウム、ドロマイト、石膏、カオリン、ハロイサイト、ボールクレー、メタカオリン、タルク、マイカ、ハンタイト、ハイドロマグネサイト、 粉末ガラス、珪藻土、ウォラストナイト、二酸化チタン、水酸化マグネシウム、アルミニウム三水和物、石灰、グラファイト、もしくはそれらの組み合わせからなる群から選択される、1つまたは複数の無機粒子材料とを含む、請求項1に記載のフローリング製品。
【請求項9】
前記ミクロフィブリル化セルロース組成物が、ミクロフィブリル化セルロースと、炭酸カルシウム、炭酸マグネシウム、ドロマイト、石膏、カオリン、ハロイサイト、ボールクレー、メタカオリン、タルク、マイカ、ハンタイト、ハイドロマグネサイト、 粉末ガラス、珪藻土、ウォラストナイト、二酸化チタン、水酸化マグネシウム、アルミニウム三水和物、石灰、グラファイト、もしくはそれらの組み合わせからなる群から選択される、1つまたは複数の無機粒子材料とを含む、請求項2に記載のフローリング製品。
【請求項10】
前記ミクロフィブリル化セルロース組成物が、ミクロフィブリル化セルロースと、炭酸カルシウム、炭酸マグネシウム、ドロマイト、石膏、カオリン、ハロイサイト、ボールクレー、メタカオリン、タルク、マイカ、ハンタイト、ハイドロマグネサイト、 粉末ガラス、珪藻土、ウォラストナイト、二酸化チタン、水酸化マグネシウム、アルミニウム三水和物、石灰、グラファイト、もしくはそれらの組み合わせからなる群から選択される、1つまたは複数の無機粒子材料とを含む、請求項5に記載のフローリング製品。
【請求項11】
前記ミクロフィブリル化セルロース組成物が、ミクロフィブリル化セルロースと、炭酸カルシウム、炭酸マグネシウム、ドロマイト、石膏、カオリン、ハロイサイト、ボールクレー、メタカオリン、タルク、マイカ、ハンタイト、ハイドロマグネサイト、 粉末ガラス、珪藻土、ウォラストナイト、二酸化チタン、水酸化マグネシウム、アルミニウム三水和物、石灰、グラファイト、もしくはそれらの組み合わせからなる群から選択される、1つまたは複数の無機粒子材料とを含む、請求項7に記載のフローリング製品。
【請求項12】
前記無機粒子が、炭酸カルシウムまたはカオリンを含む、請求項8に記載のフローリング製品。
【請求項13】
前記無機粒子が、炭酸カルシウムまたはカオリンを含む、請求項9に記載のフローリング製品。
【請求項14】
前記無機粒子が、炭酸カルシウムまたはカオリンを含む、請求項10に記載のフローリング製品。
【請求項15】
前記無機粒子が、炭酸カルシウムまたはカオリンを含む、請求項11に記載のフローリング製品。
【請求項16】
前記ミクロフィブリル化セルロース組成物が、ミクロフィブリル化セルロースおよび無機粒子状材料を5:1~1:166の重量比で含む、請求項8に記載のフローリング製品。
【請求項17】
前記ミクロフィブリル化セルロース組成物が、ミクロフィブリル化セルロースおよび無機粒子状材料を5:1~1:166の重量比で含む、請求項9に記載のフローリング製品。
【請求項18】
前記ミクロフィブリル化セルロース組成物が、ミクロフィブリル化セルロースおよび無機粒子状材料を5:1~1:166の重量比で含む、請求項10に記載のフローリング製品。
【請求項19】
前記ミクロフィブリル化セルロース組成物が、ミクロフィブリル化セルロースおよび無機粒子状材料を5:1~1:166の重量比で含む、請求項11に記載のフローリング製品。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、ミクロフィブリル化セルロースを含む組成物、ならびに天井タイル、床材製品、および建築製品の強度を上昇させるための改善された方法、ならびにミクロフィブリル化セルロースを含有する改善された天井タイル、床材製品および建築製品の製造の容易さの改善に関する。
【背景技術】
【0002】
従来の天井タイルは、典型的には、粘土フィラー、紙パルプおよびデンプン、およびしばしば歩留向上剤(凝集剤)(例えば、ポリアクリルアミド)と組み合わせたミネラルウールおよび/またはパーライトから構成される。これらの成分を水中でスラリー状にし、次に濾過し、押圧し、乾燥してタイルを作製する。従来の天井タイルの製造では、デンプンは、デンプンが完成したタイル中でバインダとして作用するのに十分な量で、デンプンをタイル中に保持することができるように、典型的には粒状の、ゼラチン化されていない(「非加熱(uncooked)」)形態で、添加される。この状態では、濡れたタイルに強度を与えないので、タイルを押圧して連続ウェブに形成するのに十分な強度を与えるために、木材または紙パルプを添加する。デンプンのゼラチン化は乾燥プロセス中に起こり、タイルはこの段階中に完全な強度を持つようになる。
【0003】
ミネラルウール含有およびミネラルウールを含まない天井タイルを作製するための製造プロセスは当該技術分野において、および米国特許第1,769,519号および第5,395,438号において既知である。前者では、ミネラルウール繊維、フィラー、着色剤およびバインダの組成物、特にデンプンバインダが、タイルの本体を成形または鋳造するために調製される。前述の組成物を、好適なトレイ上に置き、これを紙または金属箔で覆い、次にスクリードバーまたはローラで組成物を所望の厚さに均す。装飾面を、スクリードバーまたはローラによって施してもよい。ミネラルウール組成物で充填されたトレイを、次にオーブンに12時間以上入れ、組成物を乾燥または硬化させる。乾燥したシートをトレイから除去して、平滑な表面を提供し、所望の厚さを得、反りを防止するために一方または両方の面を処理し得る。次に、シートを所望のサイズのタイルに切断する。後者の特許では、膨張パーライトを使用するが、デンプンゲルの結合特性を発現させるために加熱された(cooked)デンプン、木材繊維および水を含むデンプンゲルバインダを維持して、ミネラルウールを含まない天井タイルが調製された。
【0004】
米国特許第3,246,063号および第3,307,651号は、デンプンゲルをバインダとして利用するミネラルウール吸音タイルを開示している。デンプンゲルは、典型的には、水に添加され、数分間180°F~195°Fで加熱されて(cooked)デンプンゲルを形成する、焼石膏(硫酸カルシウム0.5水和物)と組み合わされた濃沸騰デンプン組成物を含む。その後、顆粒化ミネラルウールをデンプンゲル中に混合して、トレイの充填に使用する水性組成物を形成する。これらの特許に記載された方法で製造された天井タイルは、一様な密度の達成に問題があり、それは構造的な一体性および強度、ならびに熱的および音響的考察に関して重要な考慮事項である。
【0005】
ミネラルウール吸音タイルは、米国特許第3,498,404号に記載されているように、良好な吸音性を提供するのに必要な高多孔質である。低密度の発泡ミネラルウール吸音タイルを製造する方法は米国特許第5,013,405号に記載され、起泡材によって形成された泡を崩壊させ、鉱物繊維塊から水を除去するために高真空脱水装置を必要とするという欠点を有する。
【0006】
米国特許第5,047,120号および第5,558,710号は、吸音特性を改善し、軽量性を提供するために、膨張パーライトなどの鉱物フィラーが組成物に組み込まれ得ることを開示している。膨張パーライトで製造された吸音タイルは、典型的には、水性スラリーを形成するために高レベルの水を必要とし、膨張パーライトは、その構造内に比較的高レベルの水を保持する。
【0007】
米国特許第5,194,206号は、パルプを形成するために細断されたガラス繊維が添加される、加熱されてゲルを形成する水、デンプン、ホウ酸および耐火粘土の混合物を用いる組成物およびプロセスにおいて、ミネラルウールの代わりにスクラップガラス繊維を使用するための組成物および方法を提供する。パルプはその後スラブに形成され、スラブは乾燥されて天井タイルを形成する。
【0008】
米国特許第5,964,934号は、脱水および乾燥の工程を含む水フェルト化プロセスでの吸音タイルの連続作製プロセスを教示しており、スラリー組成物は、水、膨張パーライト、セルロース系繊維、および任意に補助的なバインダ(デンプンであり得る)、および任意にミネラルウールを含み、パーライトはシリコーン化合物で処理されてその水分保持を減少させている。これらの成分が組み合わされ、混合され、マットが形成され、真空工程を経て、続いて350℃で乾燥される。ここで、デンプンは、ベースマットを乾燥させるプロセス中にゲルを形成するので、デンプンを予備加熱(pre-cooking)することなくバインダとして使用されてもよい。
【0009】
従来の天井タイルの成分は、以下の機能を有する。ミネラルウール/パーライトは耐火性を提供する。粘土フィラーは密度を制御し、追加の耐火性を提供する。紙または木材パルプは、スラリーが濡れている間に他の成分をともに結合する。デンプンは乾燥したタイルの主要バインダである。デンプンは、粒状(非加熱(uncooked))形態でスラリーに添加され、従って、デンプンは、乾燥プロセス中に「加熱される(cooked)」まで、いかなる結合特性も有さない。
【0010】
天井タイル製造業者は、典型的には、軽量骨材として機能させるために、膨張パーライトを天井タイル配合物に加える。膨張パーライトの添加は天井タイルに気孔性を与え、タイルの騒音低減係数(NRC)音響特性の向上、ならびにタイルの軽量化をもたらす。
配合に応じて、膨張パーライト重量含有量は、天井タイル配合物の10重量%~70重量%の範囲、またはそれ以上であってもよい。場合によっては、膨張パーライトの重量割合の増加は、天井タイルの機械的強度(例えば、破壊係数)を低下させ得る。機械的強度のこの低下は、所望の天井タイルの目標とされる機械的強度特性に基づいて、いくつかの組成物において使用され得る膨張パーライトの割合に対する制限を設定する。
【0011】
本開示は、最終的な天井タイル、床材製品または建築製品の特性を維持または改善しながら、天井タイル、床材製品、および他の建築製品に添加するための代替のおよび改善された複合体を提供する。改善は、ミクロフィブリル化セルロース、および任意に1つまたは複数の有機粒子材料の添加によって達成される。
【0012】
本開示は、そのような複合体を製造する経済的な方法も記載する。改善された複合体は、ミクロフィブリル化セルロース、および任意に、1つまたは複数の無機粒子材料を含む。改善された複合体は、従来の天井タイル組成物からのパルプおよび/またはデンプンの除去を可能にし、それによって、改善された天井タイル、床材製品および建築製品の製造プロセスの改善を可能にする。あるいは、ミクロフィブリル化セルロースとデンプンとの組み合わせは、天井タイル組成物の構成成分の結合の相乗的改善をもたらし得る。そのような改善された製品は、高強度、高密度および中密度の天井タイルおよび壁板を含み得る。いくつかの実施形態では、プロセスにおける改善は、デンプンのゼラチン化が通常起こるであろう、「加熱(cooking)」または乾燥工程の排除によるものである。
【発明の概要】
【0013】
ミクロフィブリル化セルロースの組成物、および任意に、少なくともの1つの無機粒子材料を含む天井タイル、床材製品、または建築製品が開示される。天井タイル、床材製品、または建築製品は1つまたは複数の無機粒子材料、例えばミネラルウールおよび/またはパーライト、粘土および/または他の鉱物、ならびに任意に、木材パルプ、デンプンおよび/または歩留向上剤をさらに含んでもよい。改善された天井タイル、床材製品、または建築製品は、いくつかの実施形態では、デンプンおよび/または有機粒子材料、例えばミネラルウールまたはパーライトの使用を、組成物およびそのような製品のための製造プロセスから排除してもよい。ミクロフィブリル化セルロースを天井タイル組成物に組み込むことによって改善は達成される。ミクロフィブリル化セルロースは、存在する場合は木材パルプ、ならびに/またはミネラルウールおよび/もしくはパーライト、ならびに存在する場合は他の有機粒子材料と結合してもよい。
【発明を実施するための形態】
【0014】
天井タイル、床材製品、または他の建築製品に添加するための組成物は、ミクロフィブリル化セルロースを含む。ある実施形態では、天井タイル、床材製品または他の建築製品に添加するための組成物は、ミクロフィブリル化セルロースおよび少なくとも1つの無機粒子材料を含む。
【0015】
いくつかの実施形態では、本明細書に記載されるように無機粒子材料の存在下でセルロース含有パルプをミクロフィブリル化することにより調製されたミクロフィブリル化セルロースの組成物は、天井タイル、床材製品、または建築製品を製造するための組成物の成分として使用されてよい。
【0016】
いくつかの実施形態では、天井タイル、床材製品または建築製品を形成するための組成物は、セルロース含有パルプをミクロフィブリル化して組成物のミクロフィブリル化セルロース成分を形成するプロセスで使用される有機粒子材料と同じか、または異なる有機粒子材料を含有してよい。
【0017】
天井タイル、床材製品または建築製品組成物に、木材パルプまたは紙パルプの代わりに、ミクロフィブリル化セルロース組成物を添加することにより、例えば、0.5%~25%のミクロフィブリル化セルロース組成物、または0.5%~10%のミクロフィブリル化セルロース組成物を添加することにより、天井タイルの破壊係数を改善することが可能である。いかなる特定の理論または仮説に縛られることなく、この改善は、ミクロフィブリル化セルロースが、存在する場合は天井タイル中の木材もしくは紙パルプと結合することに起因して、または少なくとも部分的に起因して、または、製品の他の無機粒子材料成分と結合することに起因して、または少なくとも部分的に起因して、もたらされる。いくつかの実施形態では、天井タイル、床材製品または建築製品組成物全体への木材もしくは紙パルプの組み込みを完全に排除することさえ可能である。
【0018】
天井タイル、床材製品または建築製品組成物に、パルプの代わりに、ミクロフィブリル化セルロース組成物を添加することにより、例えば、0.5%~25%のミクロフィブリル化セルロース組成物、または0.5%~10%のミクロフィブリル化セルロース組成物を添加することにより、天井タイル、床材製品または建築製品の曲げ強度を改善することが可能である。木材パルプもしくは紙パルプが存在する場合、曲げ強度の改善は、ミクロフィブリル化セルロースが製品中の木材パルプもしくは紙パルプと結合することに起因し得、または少なくとも部分的に起因し得る。木材パルプもしくは紙パルプが排除される場合でも、ミクロフィブリル化セルロースは、天井タイル、床材製品、または建築製品の引張強度を改善する、
【0019】
ミクロフィブリル化セルロースは、従来の天井タイル、床材製品または建築製品中に通常存在する木材パルプおよびデンプンの両方を置き換えるのに適していることが見出された。
【0020】
ミクロフィブリル化セルロースはまた、従来の天井タイル、床材製品または建築製品中に存在する無機粒子材料成分を置き換えるのに適していることが見出された。
【0021】
ミクロフィブリル化セルロースはまた、デンプンとともに、天井タイル、床材製品および建築製品の製造のための組成物中の無機成分とセルロース系構成成分との結合を改善するのに適していることが見出された。
【0022】
ミクロフィブリル化セルロースは、形成中、湿潤強度を提供し、乾燥タイル中で強力なバインダとして作用する。前の段落で述べたように、パルプなしで頑丈な天井タイル、床材製品または建築製品が作製され得るという事実は、ミクロフィブリル化セルロースが、天井タイル、床材製品または建築製品の無機粒子材料成分に同じようによく結合することを示唆する。
【0023】
あるいは、天井タイル、床材製品または建築製品へのミクロフィブリル化セルロースの組み込みは、天井タイル、床材製品または建築製品のミネラルウール(繊維)および/またはパーライト含有量を増加させるのに適していることが見出された。
【0024】
天井タイルベース組成物中へのミクロフィブリル化セルロース含有組成物の組み込みに起因する有利な特性を利用して、天井タイル、床材製品または建築製品のパーライト含有量を増加させる、例えば、パルプの代わりに、少なくとも1%、または少なくとも5%、または少なくとも10%、または少なくとも15%、または少なくとも20%増加させることが可能である。パーライト含有量の増加は、天井タイル、床材製品または建築製品の重量および密度を減少させ得、例えば、少なくとも1%、または少なくとも2%、または少なくとも5%、または少なくとも10%減少させ得る。これは、同様に、天井タイル、床材製品または建築製品の空隙率を上昇させ得、特に天井タイルに関して、改善された空隙率は、従って天井タイルの音響特性(例えば吸音性)を改善し得る。加えて、ミクロフィブリル化セルロース組成物の添加とともに天井タイル、床材製品または建築製品組成物中のパーライト含有量の増加により、排水性が改善され得、最終製品の乾燥時間が短縮され得、それにより最終製品の生産速度が向上し得る。
【0025】
ミクロフィブリル化セルロース組成物の添加による天井タイルの重量の減少は、倉庫の保管容量も改善し得る。
【0026】
天井タイル、および床材製品に加えて、ミクロフィブリル化セルロース組成物は、例えば、セメント板;石膏ボード(gypsum board)/プラスターボード(plasterboard);構造用断熱パネルおよびファイバーボードの断熱コア;あらゆる種類のファイバーボード(配向性パーティクルボードを含む);セメントおよびコンクリート;防音材;テクスチャおよびメーソンリー塗料;塗料(レオロジー調整剤として);抗菌防火壁板;封止剤および接着剤およびコーキング剤;断熱材;部分的または完全なアスベスト代替物;ならびにフォームを含む、他の建築製品中の成分として使用されてもよい。
【0027】
天井タイル
パーライトベースの天井タイル
ある実施形態では、天井タイルベース組成物はパーライトを含む。そのような実施形態では、天井タイルは、天井タイルの全乾燥重量に基づいて、少なくとも約30重量%のパーライト、少なくとも約35重量%のパーライト、少なくとも約40重量%のパーライト、少なくとも約45重量%のパーライト、少なくとも約50重量%のパーライト、少なくとも約55重量%、少なくとも約60重量%のパーライト、少なくとも約65重量%のパーライト、少なくとも約70重量%のパーライト、少なくとも約75重量%のパーライト、少なくとも約80重量%のパーライト、少なくとも約85重量%のパーライト、または少なくとも約90重量%のパーライトを含んでよい。そのような実施形態では、天井タイルは、天井タイルの全重量に基づいて、約30重量%~約90重量%のパーライト、例えば、天井タイルの全乾燥重量に基づいて、約35重量%~約85重量%、約55重量%~約85重量%、または約60重量%~約80重量%、または約65重量%~約80重量%、または約70重量%~約80重量%、または約79重量%以下、または約78重量%以下、または約77重量%以下、または約76重量%以下、または約75重量%以下のパーライトを含んでよい。
【0028】
ある実施形態では、例えば、天井タイルがパーライトおよびミクロフィブリル化セルロースを含む上記の実施形態を含み、天井タイルは木材パルプまたは紙パルプをさらに含む。誤解を避けるために、木材パルプまたは紙パルプはミクロフィブリル化セルロース組成物と区別される。
【0029】
有利には、ミクロフィブリル化セルロース組成物を含むことにより、曲げ強度および/または破壊係数のような、天井タイルの1つまたは複数の機械的特性を維持または改善しながら、天井タイル中の木材パルプまたは紙パルプの量は低減または排除されてよい。
【0030】
ある実施形態では、木材パルプまたは紙パルプが存在する場合、天井タイルは、天井タイルの全乾燥重量に基づいて、約0.1重量%~約30重量%の木材パルプまたは紙パルプを含む。ある実施形態では、天井タイルは、約1重量%~約30重量%の木材パルプもしくは紙パルプ、例えば、約5重量%~約25重量%の木材パルプもしくは紙パルプ、または約5重量%~約20重量%の木材パルプもしくは紙パルプ、または約5重量%~約15重量%の木材パルプもしくは紙パルプ、または約5重量%~約10重量%の木材パルプもしくは紙パルプを含む。
【0031】
ある追加の実施形態では、天井タイルは約40重量%以下の木材パルプもしくは紙パルプ、例えば、約35重量%以下の木材パルプもしくは紙パルプ、または約30重量%以下の木材パルプもしくは紙パルプ、または約25重量%以下の木材パルプもしくは紙パルプ、または約22.5重量%以下の木材パルプもしくは紙パルプ、または約20重量%以下の木材パルプもしくは紙パルプ、または約17.5重量%以下の木材パルプもしくは紙パルプ、または約15重量%以下の木材パルプもしくは紙パルプ、または約12.5重量%以下の木材パルプもしくは紙パルプ、または約10重量%以下の木材パルプもしくは紙パルプを含む。ある実施形態では、木材パルプまたは紙パルプは天井タイルから完全に排除される。
【0032】
ある実施形態では、例えば、天井タイルがパーライト、ミクロフィブリル化セルロースおよび木材パルプまたは紙パルプを含む上記の実施形態を含み、天井タイルは、天井タイルの全乾燥重量に基づいて、約50重量%以下のミクロフィブリル化セルロース組成物を含む。ミクロフィブリル化セルロースは、無機粒子材料を含んでもよく、または含まなくてもよい。ミクロフィブリル化セルロース組成物が無機粒子材料を含む天井タイル組成物に添加される場合、無機粒子材料は、天井タイル組成物中に存在する他の無機粒子材料と同じであってもよく、または異なっていてもよい。
【0033】
他の実施形態では、パーライト、ミクロフィブリル化セルロース組成物および木材パルプまたは紙パルプを含む前述の実施形態を含み、天井タイルは、天井タイルの全乾燥重量に基づいて、0.1重量%~約40重量%のミクロフィブリル化セルロース組成物、例えば、約0.5重量%~約30重量%、または約1重量%~約25重量%、または約2重量%~約20重量%、または約3重量%~約20重量%、または約4重量%~約20重量%、または約5重量%~約20重量%、または約7.5重量%~約20重量%、または約10重量%~約20重量%、または約12.5重量%~約17.5重量%のミクロフィブリル化セルロース組成物を含む。
【0034】
ある他の実施形態では、例えば、天井タイルがパーライト、ミクロフィブリル化セルロースおよび木材パルプまたは紙パルプを含む上記の実施形態を含み、天井タイルは、天井タイルの全乾燥重量に基づいて、約0.1重量%~約5重量%のミクロフィブリル化セルロース組成物、例えば、約0.5重量%~約5重量%、または約1重量%~約4重量%、または約1.5重量%~約4重量%、または約2重量%~約4重量%のミクロフィブリル化セルロース組成物を含む。そのような比較的少量のミクロフィブリル化セルロース組成物の添加でさえ、天井タイルの1つまたは複数の機械的特性(例えば、曲げ強度)を高め得る。そのような実施形態では、天井タイルは、約10重量%~約30重量%の木材パルプもしくは紙パルプおよび約85重量%以下のパーライト、例えば、約15重量%~約25重量%の木材パルプもしくは紙パルプおよび約80重量%以下のパーライト、または約20重量%~約25重量%の木材パルプもしくは紙パルプおよび約75重量%以下のパーライトを含んでよい。
【0035】
本明細書に記載されるように、ミクロフィブリル化セルロース組成物は無機粒子材料を含んでよく、それはミクロフィブリル化セルロース組成物の製造中に添加されてもよく、または添加されなくてもよい。ミクロフィブリル化セルロース組成物の全乾燥重量に基づいて、組成物は、約1重量%~約99重量%のミクロフィブリル化セルロースおよび99重量%~約1重量%の無機粒子材料(例えば、炭酸カルシウムまたはカオリン)を含んでよい。多くの場合、天井タイル組成物は、何らかの粘土(例えば、カオリン)、炭酸カルシウムまたは他の何らかの有機粒子材料を含んでよい。そのような状況では、ミクロフィブリル化セルロース組成物は、天井タイルベース組成物中に存在するものと同じ無機粒子材料を使用して生成されてよい。従って、ミクロフィブリル化セルロース組成物は、ベースの天井タイル組成物を変更することなく使用され得る。
【0036】
あるいは、ベースの天井タイル組成物中に他の有機粒子材料が存在しないか、またはほとんど存在しないかのいずれかであるいくつかの他の例では、無機粒子材料がほとんどもしくは全く存在しない高い割合のパルプミクロフィブリル化セルロース組成物、または有機粒子材料さえ含まないミクロフィブリル化セルロース組成物が、ベースの天井タイル組成物中への組み込みに適している。
【0037】
いくつかの実施形態では、そのような組成物中に存在する無機粒子材料が低減されているか、または本質的に無機粒子材料が存在しない前述のミクロフィブリル化セルロース組成物を含み、1:1のミクロフィブリル化セルロース対無機粒子材料、または3:1のミクロフィブリル化セルロース対無機粒子材料、または166:1のミクロフィブリル化セルロース対無機粒子材料の比(重量で)でさえ、ベースの天井タイル組成物中への組み込みに適している場合がある。
【0038】
ある実施形態では、例えば、天井タイルがパーライトおよびミクロフィブリル化セルロースを含み、木材パルプまたは紙パルプを含まない上記の実施形態を含み、天井タイルは、天井タイルの全乾燥重量に基づいて、約50重量%以下のミクロフィブリル化セルロース組成物を含む。ミクロフィブリル化セルロースは、無機粒子材料を含んでもよく、または含まなくてもよい。ミクロフィブリル化セルロース組成物が無機粒子材料を含む天井タイル組成物に添加される場合、無機粒子材料は、天井タイル組成物中の他の無機粒子材料と同じであってもよく、または異なっていてもよい。
【0039】
ある実施形態では、パーライトおよびミクロフィブリル化セルロースを含有するが、木材パルプまたは紙パルプを含有しない上記の実施形態を含み、天井タイルは、天井タイルの全乾燥重量に基づいて、0.1重量%~約40重量%のミクロフィブリル化セルロース組成物、例えば、約0.5重量%~約30重量%、または約1重量%~約25重量%、または約2重量%~約20重量%、または約3重量%~約20重量%、または約4重量%~約20重量%、または約5重量%~約20重量%、または約7.5重量%~約20重量%、または約10重量%~約20重量%、または約12.5重量%~約17.5重量%のミクロフィブリル化セルロース組成物を含む。
【0040】
ある他の実施形態では、例えば、天井タイルがパーライトを含み、木材パルプまたは紙パルプを含まない上記の実施形態を含み、天井タイルは、天井タイルの全乾燥重量に基づいて、約0.1重量%~約5重量%のミクロフィブリル化セルロース組成物、例えば、約0.5重量%~約5重量%、または約1重量%~約4重量%、または約1.5重量%~約4重量%、または約2重量%~約4重量%のミクロフィブリル化セルロース組成物を含む。そのような比較的少量のミクロフィブリル化セルロースの添加でさえ、天井タイルの1つまたは複数の機械的特性(例えば、曲げ強度)を高め得る。
【0041】
本明細書に記載されるように、ミクロフィブリル化セルロース組成物は無機粒子材料を含んでよく、それはミクロフィブリル化セルロース組成物の製造中に添加されてもよく、または添加されなくてもよい。ミクロフィブリル化セルロース組成物の全乾燥重量に基づいて、組成物は、約1重量%~約99重量%のミクロフィブリル化セルロースおよび99重量%~約1重量%の無機粒子材料(例えば、炭酸カルシウムまたはカオリン)を含んでよい。多くの場合、天井タイル組成物は、何らかの粘土(例えば、カオリン)、炭酸カルシウムまたは他の何らかの有機粒子材料を含んでよい。そのような状況では、ミクロフィブリル化セルロース組成物は、天井タイルベース組成物中に存在するものと同じ無機粒子材料を使用して生成されてよい。従って、ミクロフィブリル化セルロース組成物は、ベースの天井タイル組成物を変更することなく使用され得る。
【0042】
あるいは、ベースの天井タイル組成物中に他の有機粒子材料が存在しないか、またはほとんど存在しないかのいずれかであるいくつかの他の例では、無機粒子材料がほとんどもしくは全く存在しない高い割合のパルプミクロフィブリル化セルロース組成物、または有機粒子材料さえ含まないミクロフィブリル化セルロース組成物が、ベースの天井タイル組成物中への組み込みに有利であり得る。
【0043】
いくつかの実施形態では、そのような組成物中に存在する無機粒子材料が低減されているか、または本質的に無機粒子材料が存在しない前述のミクロフィブリル化セルロース組成物を含み、1:1のミクロフィブリル化セルロース対無機粒子材料、または3:1のミクロフィブリル化セルロース対無機粒子材料、または166:1のミクロフィブリル化セルロース対無機粒子材料の比(重量で)でさえ、ベースの天井タイル組成物中への組み込みに適している場合がある。
【0044】
ミネラルウール(または鉱物繊維)
ある実施形態では、例えば、天井タイルがパーライトおよびミクロフィブリル化セルロースを含み、木材パルプまたは紙パルプを含まない上記の実施形態を含み、天井タイルはミネラルウールをさらに含んでもよい。ミネラルウールおよび鉱物繊維なる用語は、本明細書では区別しないで使用される。
【0045】
ミネラルウールは、しばしばロックウールまたはストーンウールとも呼ばれ、もつれたウールに似た物質であり、無機鉱物材料から作製される。それは断熱材および包装材に日常的に使用されている。ミネラルウールは、グラスウール、ストーンウールまたはセラミック繊維ウールとして調製され得る。従って、ミネラルウールは、溶融した鉱物を紡糸または延伸することによって形成され得る繊維状材料の総称である。ミネラルウールは、鉱物繊維、鉱滓綿、およびガラス質繊維としても知られている。ミネラルウールは優れた耐火性を有し、材料はさまざまな用途に使用されている。
【0046】
ロックウールは玄武岩およびチョークから作製される。これらの鉱物は、非常に高い温度(例えば、1600℃)でともに溶融して溶岩となり、紡糸室に吹き込まれ、「綿菓子」に似た繊維に引かれる。
【0047】
ある実施形態では、天井タイルは、天井タイルの全乾燥重量に基づいて、ミネラルウールおよびパーライト、および約50重量%以下のミクロフィブリル化セルロース組成物を含んでよい。ミクロフィブリル化セルロース組成物は、無機粒子材料を含んでもよく、または含まなくてもよい。ミクロフィブリル化セルロース組成物が無機粒子材料を含む天井タイル組成物に添加される場合、無機粒子材料は、天井タイル組成物中の他の無機粒子材料と同じであってもよく、または異なっていてもよい。
【0048】
ある実施形態では、パーライト、ミネラルウールおよびミクロフィブリル化セルロース組成物を含む前述の実施形態を含み、天井タイルは、天井タイルの全乾燥重量に基づいて、0.1重量%~約40重量%のミクロフィブリル化セルロース組成物、例えば、約0.5重量%~約30重量%、または約1重量%~約25重量%、または約2重量%~約20重量%、または約3重量%~約20重量%、または約4重量%~約20重量%、または約5重量%~約20重量%、または約7.5重量%~約20重量%、または約10重量%~約20重量%、または約12.5重量%~約17.5重量%のミクロフィブリル化セルロース組成物を含む。
【0049】
ある他の実施形態では、例えば、天井タイルがパーライトおよびミネラルウール、およびミクロフィブリル化セルロース組成物を含む上記の実施形態を含み、天井タイル製品は、天井タイルの全乾燥重量に基づいて、約0.1重量%~約10重量%のミクロフィブリル化セルロース組成物、例えば、約0.5重量%~約8重量%、または約1重量%~約6重量%、または約1.5重量%~約4重量%、または約2重量%~約4重量%のミクロフィブリル化セルロース組成物を含む。
【0050】
ある実施形態では、天井タイルは、天井タイルの全乾燥重量に基づいて約95重量%以下、または天井タイルの全乾燥重量に基づいて約90重量%以下、または天井タイルの全乾燥重量に基づいて約85重量%以下、または天井タイルの全乾燥重量に基づいて約80重量%以下、または天井タイルの全乾燥重量に基づいて約75重量%以下、または天井タイルの全乾燥重量に基づいて約70重量%以下、または天井タイルの全乾燥重量に基づいて約65重量%以下、または天井タイルの全乾燥重量に基づいて約60重量%以下、または天井タイルの全乾燥重量に基づいて約55重量%以下、または天井タイルの全乾燥重量に基づいて約50重量%以下、または天井タイルの全乾燥重量に基づいて約55重量%以下、または天井タイルの全乾燥重量に基づいて約50重量%以下、または天井タイルの全乾燥重量に基づいて約45重量%以下、または天井タイルの全乾燥重量に基づいて約40重量%以下、または天井タイルの全乾燥重量に基づいて約35重量%以下、または例えば、天井タイルの全乾燥重量に基づいて、約10重量%~約75重量%、または約15重量%~約65重量%、または約20重量%~約55重量%、または約25重量%~約45重量%の量でミネラルウールをさらに含む。
【0051】
そのような実施形態は、ミネラルウール、パーライトおよびミクロフィブリル化セルロース組成物を含む天井タイルに対する上記の実施形態を含み、天井タイルの全乾燥重量に基づいて約65重量%以下、例えば、30重量%~60重量%、または35重量%~55重量%、または35重量%~45重量%の量でパーライトを含んでよい。天井タイルへの比較的少量のミクロフィブリル化セルロース組成物の添加でさえ、そのような製品の1つまたは複数の機械的特性(例えば、曲げ強度)を高め得る。
【0052】
ある実施形態では、ミクロフィブリル化セルロース組成物を含む天井タイルは、少なくとも約400kPaの曲げ強度、例えば、少なくとも約450kPa、または少なくとも約500kPa、または少なくとも約550kPa、または少なくとも約600kPa、または少なくとも約650kPa、または少なくとも約700kPa、または少なくとも約750kPa、または少なくとも約800kPa、または少なくとも約850kPa、または少なくとも約900kPaの曲げ強度を有する。
【0053】
ある実施形態では、ミネラルウール、パーライト、およびミクロフィブリル化セルロース組成物を含む上記の実施形態を含み、天井タイルの全乾燥重量に基づいて約50重量%以下のミクロフィブリル化セルロース組成物が存在してよい。そのような実施形態では、ミクロフィブリル化セルロース組成物は無機粒子材料を含んでよく、それはミクロフィブリル化セルロース組成物の製造中に添加されてもよく、または添加されなくてもよい。ミクロフィブリル化セルロース組成物の全乾燥重量に基づいて、組成物は、約1重量%~約99重量%のミクロフィブリル化セルロースおよび99重量%~約1重量%の無機粒子材料(例えば、炭酸カルシウム)を含んでよい。
【0054】
ある実施形態では、天井タイルはミネラルウールを含んでもよく、または製品はミネラルウールを排除してもよい。ミネラルウールは、天井タイルのための組成物の成分であってよく、ミクロフィブリル化セルロース組成物と組み合わせて、例えば、天井タイルの全乾燥重量に基づいて、約0.5重量%~約40重量%、または約1重量%~約35重量%、または約2重量%~約30重量%、または約3重量%~約25重量%、または約4重量%~約20重量%、または約5重量%~約15重量%、または約6重量%~約20重量%、または約8重量%~約30重量%、または約12.5重量%~約17.5重量%のミクロフィブリル化セルロース組成物と組み合わせて、天井タイルの全乾燥重量に基づいて約0重量%~約75重量%の広範囲のミネラルウールであってよい。
【0055】
前述の実施形態では、天井タイルは、木材または紙パルプを、デンプンを添加してまたは添加せずに含んでよい。存在する場合、約55重量%以下の量で存在するミネラルウール、および約10重量%以下のミクロフィブリル化セルロース組成物とともに、木材パルプまたは紙パルプは35重量%以下の量で存在してよい。デンプンがバインダとして存在する、または追加の有機粒子材料が天井タイルベース組成物中に存在する場合、残りの成分の割合は好適に調節されてよい。
【0056】
さらなる実施形態では、天井タイルは、パーライト、ミネラルウールおよびミクロフィブリル化セルロース組成物を、デンプンを添加してまたは添加せずに含んでよい。存在する場合、天井タイルの全乾燥重量に基づいて、約35重量%以下の量で存在するミネラルウール、および約20重量%以下のミクロフィブリル化セルロース組成物とともに、パーライトは45重量%以下の量で存在してよい。デンプンがバインダとして存在する場合、残りの成分の割合は好適に調節される。同様に、無機粒子材料が存在する場合、残りの成分は好適に調節され、またはいくつかの例では、組成物から排除されてもよい。
【0057】
ある他の実施形態では、例えば、天井タイルがパーライト、ミネラルウールおよびミクロフィブリル化セルロースを含む上記の実施形態を含み、天井タイルは、天井タイルの全乾燥重量に基づいて、約0.1重量%~約8重量%のミクロフィブリル化セルロース組成物、例えば、約0.5重量%~約5重量%、または約1重量%~約4重量%、または約1.5重量%~約4重量%、または約2重量%~約4重量%のミクロフィブリル化セルロース組成物を含む。そのような比較的少量のミクロフィブリル化セルロースの添加でさえ、天井タイルの1つまたは複数の機械的特性(例えば、曲げ強度)を高め得る。
【0058】
ミクロフィブリル化セルロース組成物は、セルロース含有パルプを有機粒子材料とともにフィブリル化することを含む、本明細書に概説された手順に従って調製され得る。そのようなミクロフィブリル化セルロース組成物の全乾燥重量に基づいて、無機粒子は、全乾燥重量の約99%以下、例えば、全乾燥重量の約90%以下、または約80重量%以下、または約70重量%以下、または約60重量%以下、または約50重量%以下、または約40%以下、または約30%以下、または約20%以下、または約10%以下、または約5%以下、または、ミクロフィブリル化セルロース組成物の全乾燥重量の約1%以下または0.5%以下を構成してよい。
【0059】
あるいは、ミクロフィブリル化セルロース組成物は本質的に有機粒子材料を含まなくてもよく、約0.6重量%以下の無機粒子材料を含んでもよい。
【0060】
ミクロフィブリル化セルロース組成物の全乾燥重量に基づいて、ミクロフィブリル化セルロースは全乾燥重量の約99.4%以下、例えば、ミクロフィブリル化セルロース組成物の全乾燥重量の約99%以下、または約90%以下、または約80重量%以下、または約70重量%以下、または約60重量%以下、または約50重量%以下、または約40%以下、または約30%以下、または約20%以下、または約10%以下、または約5%以下を構成してよい。
【0061】
ある実施形態では、ミクロフィブリル化セルロース組成物中の無機粒子材料対ミクロフィブリル化セルロースの重量比は、約10:1~約1:2、例えば、約8:1~約1:2、または約6:1~約2:3、または約5:1~約2:3、または約5:1~約1:1、または約4:1~約1:1、または約3:1~約1.1、または約2:1~約1.1、または約1:1である。
【0062】
ある実施形態では、ミクロフィブリル化セルロース組成物は無機粒子材料を実質的に含まない。無機粒子材料を実質的に含まないとは、ミクロフィブリル化セルロース組成物の全乾燥重量に基づいて、約0.6重量%未満、0.5重量%未満、0.4重量%未満、0.3重量%未満、0.2重量%未満、0.1重量%未満の無機粒子材料を意味する。
【0063】
床材製品および他の建築製品
ある実施形態では、床材製品または建築製品は、床材製品または建築製品の全乾燥重量に基づいて、約10重量%以下のミクロフィブリル化セルロース(すなわち、無機粒子材料を含んでもよく、または含まなくてもよいミクロフィブリル化セルロース組成物に由来する)、例えば、約9重量%以下、または約8重量%以下、または約7重量%以下、または約6重量%以下、または約5重量%以下、または約4重量%以下、または約3重量%以下、または約2重量%以下、または約1重量%以下のミクロフィブリル化セルロースを含む。ある実施形態では、床材製品または建築製品は、少なくとも約0.1重量%のミクロフィブリル化セルロース、例えば、少なくとも約0.25重量%、または少なくとも約0.5重量%のミクロフィブリル化セルロースを含む。ミクロフィブリル化セルロースは無機粒子材料を含んでもよく、または含まなくてもよい。ミクロフィブリル化セルロース組成物が無機粒子材料を含む床材製品または建築製品組成物に添加される場合、無機粒子材料は、床材製品または建築製品組成物中の他の無機粒子材料と同じであってもよく、または異なっていてもよい。
【0064】
床材および建築材料を調製する組成物および方法は、天井タイルに対して本明細書に記載された組成物および方法に従って配合および調製され得る。例示的なファイバーボード組成物が例5に提示される。ファイバーボードは、例1に記載されている天井タイルの製造に使用された手順に従って作製される。
【0065】
ミクロフィブリル化セルロース
ミクロフィブリル化セルロースは本明細書に記載の任意の好適な原料由来であってよい。
【0066】
ある実施形態では、ミクロフィブリル化セルロースは、レーザー光散乱によって測定された場合に約5μm~約500μmの範囲のd50を有する。ある実施形態では、ミクロフィブリル化セルロースは、約400μm以下、例えば、約300μm以下、または約200μm以下、または約150μm以下、または約125μm以下、または約100μm以下、または約90μm以下、または約80μm以下、または約70μm以下、または約60μm以下、または約50μm以下、または約40μm以下、または約30μm以下、または約20μm以下、または約10μm以下のd50を有する。
【0067】
ある実施形態では、ミクロフィブリル化セルロースは、約0.1~約500μmの範囲のモード繊維粒子径を有する。ある実施形態では、ミクロフィブリル化セルロースは、少なくとも約0.5μm、例えば、少なくとも約10μm、または少なくとも約50μm、または少なくとも約100μm、または少なくとも約150μm、または少なくとも約200μm、または少なくとも約300μm、または少なくとも約400μmのモード繊維粒子径を有する。
【0068】
特に記載がない限り、ミクロフィブリル化セルロース材料の粒子径特性は、レーザー光散乱の分野で用いられる周知の従来の方法によって測定されるものであり、Malvern Instruments Ltdによって供給されるMalvern Mastersizer Sマシンを使用する(または本質的に同じ結果を与える他の方法によって測定される)。
【0069】
Malvern Mastersizer Sマシンを使用する無機粒子材料とミクロフィブリル化セルロースとの混合物の粒子径分布の特徴づけに使用された手順の詳細が以下に提供される。
【0070】
粒子径分布はミー理論から計算され、体積差基準分布として出力される。2つの異なるピークの存在は、鉱物(より微細なピーク)および繊維(より粗いピーク)に起因すると解釈される。
【0071】
より微細な鉱物ピークを測定されたデータ点にフィットさせ、分布から数学的に減じて繊維ピークを残し、これを累積分布に変換する。同様に、繊維ピークを元の分布から数学的に減じて鉱物ピークを残し、これも累積分布に変換する。次に、これらの両方の累積曲線は、平均粒子球相当径(e.s.d)(d50)(これは以下のSedigraphの場合と同じ方法で決定されてもよい)、および分布の勾配(d30/d70×100)の計算に使用されてよい。鉱物および繊維分の両方についてのモード粒子径を求めるために示差曲線が使用されてよい。
【0072】
加えて、または代替で、ミクロフィブリル化セルロースはMalvernで測定した場合に約10以上の繊維勾配(fibre steepness)を有してよい。繊維勾配(すなわち、繊維の粒子径分布の勾配)は、以下の式:
勾配=100×(d30/d70
によって決定される。
【0073】
ミクロフィブリル化セルロースは約100以下の繊維勾配を有してよい。ミクロフィブリル化セルロースは約75以下、または約50以下、または約40以下、または約30以下の繊維勾配を有してよい。ミクロフィブリル化セルロースは約20~約50、または約25~約40、または約25~約35、または約30~約40の繊維勾配を有してよい。
【0074】
ある実施形態では、ミクロフィブリル化セルロースは約20~約50の繊維勾配を有する。
【0075】
無機粒子材料
無機粒子材料は、例えば、炭酸カルシウム、炭酸マグネシウム、ドロマイト、石膏のようなアルカリ土類金属炭酸塩または硫酸塩、カオリン、ハロイサイトまたはボールクレーのような含水カンダイト粘土、メタカオリンまたは完全か焼カオリンのような無水(か焼)カンダイト粘土、タルク、マイカ、ハンタイト、ミネラルウール、ハイドロマグネサイト、粉末ガラス、パーライトまたは珪藻土、またはウォラストナイト、または二酸化チタン、または水酸化マグネシウム、またはアルミニウム三水和物、石灰、グラファイト、またはそれらの組み合わせであってもよい。
【0076】
ある実施形態では、無機粒子材料は、炭酸カルシウム、炭酸マグネシウム、ドロマイト、石膏、無水カンダイト粘土、パーライト、珪藻土、ミネラルウール、ウォラストナイト、水酸化マグネシウム、またはアルミニウム三水和物、二酸化チタン、またはそれらの組み合わせを含むか、またはそれらである。
【0077】
ある実施形態では、無機粒子材料は表面処理無機粒子材料であってもよい。例えば、無機粒子材料は、脂肪酸またはその塩のような疎水化剤で処理されてもよい。例えば、無機粒子材料は、ステアリン酸処理炭酸カルシウムであってもよい。
【0078】
本開示の組成物に使用するための例示的な無機粒子材料は炭酸カルシウムである。以下、組成物は、炭酸カルシウムの観点から、ならびに炭酸カルシウムが加工および/または処理される態様に関して論議される傾向があり得る。本開示は、そのような実施形態に限定されるものとして解釈されるべきではない。
【0079】
粒子状炭酸カルシウムは、天然原料を粉砕することによって得られ得る。重質炭酸カルシウム(GCC)は、典型的には、チョーク、大理石、石灰石のような鉱物原料を圧砕し、次に粉砕することによって得られ、続いて、所望の微粉度を有する生成物を得るために、粒子径分類工程を行ってもよい。所望の微粉度および/または色を有する生成物を得るために、漂白、浮遊選鉱、磁力選鉱のような他の技法が使用されてもよい。粒子状固形材料は自発的に、すなわち固形材料の粒子それ自体の摩耗によって、あるいは粉砕対象である炭酸カルシウムとは異なる材料の粒子を含む粒子状粉砕媒体の存在下で粉砕され得る。これらのプロセスは、分散剤および殺生物剤の存在下または不在下で行われてもよく、分散剤および殺生物剤はプロセスのいずれの段階で添加されてもよい。
【0080】
軽質炭酸カルシウム(PCC)は、粒子状炭酸カルシウムの原料として使用され得、当該技術分野で利用可能な既知の方法のいずれかによって生成され得る。TAPPI Monograph Series No.30「Paper Coating Pigments」の34~35頁には、製紙産業で使用する生成物の調製における使用に適した軽質炭酸カルシウムを調製するための3つの主要な商業的プロセスが記載されているが、これは本開示の実践にも使用され得る。3つのプロセスの全てでは、石灰石等の炭酸カルシウムの供給材料をまずか焼して生石灰を生成し、生石灰を水中で消和して水酸化カルシウムまたは石灰乳を得る。第1のプロセスでは、石灰乳を二酸化炭素ガスで直接炭酸塩化する。このプロセスは副生成物が形成されないという利点を有し、炭酸カルシウム生成物の性質および純度の制御が比較的容易である。第2のプロセスでは、石灰乳をソーダ灰と接触させて、複分解によって炭酸カルシウムの沈殿物および水酸化ナトリウムの溶液を生成する。このプロセスを商業的に使用すると、水酸化ナトリウムを、実質的に完全に炭酸カルシウムから分離し得る。第3の主要な商業的プロセスでは、石灰乳をまず塩化アンモニウムと接触させて塩化カルシウム溶液およびアンモニアガスを得る。次に、塩化カルシウム溶液をソーダ灰と接触させて、複分解によって軽質炭酸カルシウムおよび塩化ナトリウムの溶液を生成する。使用する特定の反応プロセスに応じて、結晶を様々な異なる形状およびサイズで生成することができる。PCC結晶の3つの主要な形態はアラゴナイト、菱面体晶およびスカルノヘドラル(例えば方解石)であり、これらは全て、その混合物を含めて、開示された組成物での使用に適している。
【0081】
ある実施形態では、PCCはミクロフィブリル化セルロースの生成プロセス中に形成されてもよい。
【0082】
炭酸カルシウムの湿式粉砕は炭酸カルシウムの水性懸濁液の形成を伴い、次に任意に好適な分散剤の存在下で粉砕されてよい。炭酸カルシウムの湿式粉砕に関するさらなる情報については、例えば、EP-A-614948(その内容は、参照により全て本明細書に組み込まれる)が参照され得る。
【0083】
無機粒子材料を天然原料から得る場合、若干の鉱物不純物が粉砕された材料を汚染する場合がある。例えば、天然の炭酸カルシウムは、他の鉱物を伴って存在し得る。従って、いくつかの実施形態では、無機粒子材料はある量の不純物を含む。しかしながら、一般に、無機粒子材料は約5%重量%未満、または約1重量%未満の他の鉱物不純物を含有するであろう。
【0084】
別に記載がない限り、無機粒子材料に関して本明細書で言及される粒子径特性は、Micromeritics Instruments Corporation、Norcross、ジョージア州、米国(電話番号:+1 770 662 3620;ウェブサイト:www.micromeritics.com)が供給するSedigraph 5100マシン(本明細書においては「Micromeritics Sedigraph 5100ユニット」と称される)を使用して、水性媒体中に完全に分散された状態の粒子状材料の沈降による周知の方法によって測定されるものである。そのようなマシンが測定、および当該技術分野において「球相当径(e.s.d)」と称される、所定のe.s.d値より小さいサイズを有する粒子の累積重量%のプロットを提供する。平均粒子径d50は、粒子e.s.dの、このように決定される値であり、d50値より小さい球相当径を有する粒子が50重量%存在する。
【0085】
あるいは、記載がある場合、無機粒子材料に関して本明細書で言及される粒子径特性は、レーザー光散乱の分野で用いられる周知の従来の方法によって測定されるものであり、Malvern Instruments Ltdによって供給されるMalvern Mastersizer Sマシンを使用する(または本質的に同じ結果を与える他の方法によって測定される)。レーザー光散乱法では、粉末、懸濁液およびエマルジョン状の粒子のサイズが、ミー理論の応用に基づいたレーザービームの回折を使用して測定され得る。そのようなマシンが測定、および当該技術分野において「球相当径(e.s.d)」と称される、所定のe.s.d値より小さいサイズを有する粒子の累積体積%のプロットを提供する。平均粒子径d50は、粒子e.s.dの、このように決定される値であり、d50値より小さい球相当径を有する粒子が50体積%存在する。
【0086】
無機粒子材料は、粒子の少なくとも約10重量%が2μm未満のe.s.dを有する粒子径分布、例えば、粒子の少なくとも約20重量%、または少なくとも約30重量%、または少なくとも約40重量%、または少なくとも約50重量%、または少なくとも約60重量%、または少なくとも約70重量%、または少なくとも約80重量%、または少なくとも約90重量%、または少なくとも約95重量%、または約100%が2μm未満のe.s.dを有する粒子径分布を有してよい。
【0087】
別の実施形態では、Malvern Mastersizer Sマシンを使用して測定した場合、無機粒子材料は、粒子の少なくとも約10体積%が2μm未満のe.s.dを有する粒子径分布、例えば、粒子の少なくとも約20体積%、または少なくとも約30体積%、または少なくとも約40体積%、または少なくとも約50体積%、または少なくとも約60体積%、または少なくとも約70体積%、または少なくとも約80体積%、または少なくとも約90体積%、または少なくとも約95体積%、または約100体積%が2μm未満のe.s.dを有する粒子径分布を有する。
【0088】
別に記載がない限り、ミクロフィブリル化セルロース材料の粒子径特性は、レーザー光散乱の分野で用いられる周知の従来の方法によって測定されるものであり、Malvern Instruments Ltdによって供給されるMalvern Mastersizer Sマシンを使用する(または本質的に同じ結果を与える他の方法によって測定される)。
【0089】
Malvern Mastersizer Sマシンを使用する無機粒子材料とミクロフィブリル化セルロースとの混合物の粒子径分布の特徴づけに使用された手順の詳細が以下に提供される。
【0090】
ある実施形態では、無機粒子材料はカオリン粘土である。以下、本明細書のこのセクションは、カオリンの観点から、ならびにカオリンが加工および/または処理される態様に関して論議される傾向があり得る。本開示は、そのような実施形態に限定されるものとして解釈されるべきではない。従って、いくつかの実施形態では、カオリンは未加工の形態で使用される。
【0091】
開示された組成物に使用されるカオリン粘土は、天然原料、すなわち原料天然カオリン粘土鉱物由来の加工材料であり得る。加工カオリン粘土は、典型的には、少なくとも約50重量%のカオリナイトを含有し得る。例えば、最も商業的な加工カオリン粘土は、約75重量%超のカオリナイトを含有し、約90重量%超、場合によっては約95重量%超のカオリナイトを含有し得る。
【0092】
カオリン粘土は、当業者に周知の1つまたは複数の他のプロセス、例えば既知の精錬または選鉱工程によって原料天然カオリン粘土鉱物から調製され得る。
【0093】
例えば、粘土鉱物は、ハイドロサルファイトナトリウム等の還元漂白剤で漂白され得る。ハイドロサルファイトナトリウムを使用する場合、ハイドロサルファイトナトリウム漂白工程後、漂白した粘土鉱物を任意に脱水し、任意に洗浄し、任意に再度脱水してもよい。
【0094】
粘土鉱物を、例えば、当該技術分野で周知の凝集、浮遊選鉱または磁力選鉱法で処理して不純物を除去してもよい。あるいは、粘土鉱物は、未処理の、固体または水性懸濁液の形態であってもよい。
【0095】
粒子状カオリン粘土を調製するためのプロセスはまた、1つまたは複数の細分化工程、例えば、粉砕またはミル粉砕を含んでもよい。粗カオリンの軽い細分化が、その好適な剥離を与えるために使用される。細分化は、プラスチック(例えば、ナイロン)のビーズもしくは顆粒、砂もしくはセラミック粉砕またはミル粉砕助剤を使用して行われ得る。周知の手順を使用して粗カオリンを精錬して不純物を除去し、物性を改善し得る。カオリン粘土を、既知の粒子径分類手順、例えば、篩過および遠心分離(またはその両方)で処理して、所望のd50値または粒子径分布を有する粒子が得られ得る。
【0096】
ミクロフィブリル化セルロースおよび無機粒子材料の製造方法
ある実施形態では、ミクロフィブリル化セルロースは無機粒子材料の存在下または不在下で調製され得る。
【0097】
ミクロフィブリル化セルロースはセルロースを含む繊維状基材由来であってよい。セルロースを含む繊維状基材は、木材、草類(例えば、サトウキビ、タケ)または布くず(例えば、繊維廃棄物、綿、麻もしくは亜麻)などの、任意の好適な原料由来であってよい。セルロースを含む繊維状基材はパルプの形態(すなわち、セルロース繊維の水中懸濁液)であってもよく、任意の好適な化学的もしくは機械的処理、またはそれらの組み合わせによって調製され得る。例えば、パルプは化学パルプ、またはケミサーモメカニカルパルプ、または機械パルプ、または再生パルプ、または製紙ブローク、または製紙廃棄物ストリーム、または製紙工場由来廃棄物、または溶解パルプ、ケナフパルプ、市販パルプ、部分カルボキシメチル化パルプ、アバカパルプ、ヘムロックパルプ、バーチパルプ、草パルプ、竹パルプ、パームパルプ、ピーナッツ殻、またはそれらの組み合わせであり得る。セルロースパルプは、当該技術分野においてカナダ標準ろ水度(CSF)としてcmで報告される既定のろ水度まで、叩解(beaten)され得(例えば、バレービーター(Valley beater)内で)、および/または別の形で叩解(refined)され得る(例えば、コニカルまたはプレートリファイナーでの加工)。CSFは、パルプ懸濁液が排水され得る速度によって測定されるパルプのろ水度または排水速度の値を意味する。例えば、セルロースパルプは、ミクロフィブリル化前に約10cm以上のカナダ標準ろ水度を有し得る。セルロースパルプは、約700cm以下、例えば、約650cm以下、または約600cm以下、または約550cm以下、または約500cm以下、または約450cm以下、または約400cm以下、または約350cm以下、または約300cm以下、または約250cm以下、または約200cm以下、または約150cm以下、または約100cm以下、または約50cm以下のCSFを有し得る。次に、セルロースパルプは当該技術分野で周知の方法によって脱水され得、例えば、パルプは、少なくとも約10%の固形分、例えば、少なくとも約15%の固形分、または少なくとも約20%の固形分、または少なくとも約30%の固形分、または少なくとも約40%の固形分を含む濡れたシートを得るために、スクリーンを通して濾過され得る。パルプは、叩解されていない状態で、すなわち叩解(beaten)または脱水、または別の形で叩解(refined)されることなく利用されてもよい。
【0098】
ある実施形態では、パルプは無機粒子材料、例えば炭酸カルシウムまたはカオリンの存在下で叩解され得る。
【0099】
ミクロフィブリル化セルロースの調製では、セルロースを含む繊維状基材を、乾燥状態で粉砕槽またはホモジナイザーに添加してもよい。例えば、乾燥した紙ブロークを粉砕槽に直接加えてもよい。次に、粉砕槽内の水性環境がパルプの形成を促進するであろう。
【0100】
ミクロフィブリル化工程は任意の好適な装置で行われてよく、リファイナーを含むがこれに限定されない。一実施形態では、ミクロフィブリル化工程は、粉砕槽内で湿式粉砕条件下で行われる。別の実施形態では、ミクロフィブリル化工程は、ホモジナイザー内で行われる。
これらの実施形態のそれぞれを、以下でより詳細に説明する。
【0101】
湿式粉砕
粉砕は、従来の方法で好適に実施される。粉砕は、粒子状粉砕媒体の存在下での摩耗粉砕プロセスであってもよく、または自己粉砕プロセス、すなわち、粉砕媒体の不在下でのプロセスであってもよい。粉砕媒体とは、ある実施形態ではセルロースを含む繊維状基材と共粉砕され得る無機粒子材料以外の媒体を意味する。
【0102】
粒子状粉砕媒体は、存在する場合、天然または合成材料のものであってよい。粉砕媒体は、例えば、いずれの硬質鉱物、セラミックまたは金属材料のボール、ビーズまたはペレットを含んでよい。そのような材料は、例えば、アルミナ、ジルコニア、ケイ酸ジルコニウム、ケイ酸アルミニウム、またはカオリン質粘土を約1300℃~約1800℃の範囲の温度でか焼することによって生成されるムライト高含有材料を含んでよい。例えば、いくつかの実施形態では、Carbolite(登録商標)粉砕媒体が使用される。
あるいは、好適な粒径の天然の砂の粒子が使用されてよい。
【0103】
一実施形態では、硬材粉砕媒体(例えば、木粉)が使用され得る。一般に、選択される粉砕媒体のタイプおよび粒子径は、粉砕される材料の供給懸濁液の特性、例えば、粒子径および化学組成等に依存し得る。いくつかの実施形態では、粒子状粉砕媒体は、約0.1mm~約6.0mmの範囲、および約0.2mm~約4.0mmの範囲の平均直径を有する粒子を含む。粉砕媒体(単数または複数)は、投入物の約70体積%以下の量で存在し得る。粉砕媒体は、投入物の少なくとも約10体積%、例えば、投入物の少なくとも約20体積%、または投入物の少なくとも約30体積%、または投入物の少なくとも約40体積%、または投入物の少なくとも約50体積%、または投入物の少なくとも約60体積%の量で存在し得る。
【0104】
粉砕は、1つまたは複数の段階において行われ得る。例えば、粗無機粒子材料は粉砕槽で既定の粒子径分布まで粉砕され得、その後、セルロースを含む繊維状材料が添加され、粉砕は所望のレベルのミクロフィブリル化が得られるまで継続される。
【0105】
無機粒子材料は、粉砕媒体の不在下または存在下で、湿式または乾式粉砕され得る。湿式粉砕の場合、粗無機粒子材料は粉砕媒体の存在下で水性懸濁液中で粉砕される。
【0106】
一実施形態では、無機粒子材料の平均粒子径(d50)は、共粉砕プロセス中に減少する。例えば、無機粒子材料のd50は、(Malvern Mastersizer Sマシンで測定した場合に)、少なくとも約10%減少し得、例えば、無機粒子材料のd50は、少なくとも約20%減少し得、または少なくとも約30%減少し得、または少なくとも約50%減少し得、または少なくとも約50%減少し得、または少なくとも約60%減少し得、または少なくとも約70%減少し得、または少なくとも約80%減少し得、または少なくとも約90%減少し得る。例えば、共粉砕前に2.5μmのd50を有し、共粉砕後に1.5μmのd50を有する無機粒子材料は、40%の粒子径の減少を経ているであろう。ある実施形態では、無機粒子材料の平均粒子径は、共粉砕プロセス中に大幅に減少しない。「大幅に減少しない」とは、無機粒子材料のd50の減少が約10%未満であることを意味し、例えば、無機粒子材料のd50の減少は約5%未満である。
【0107】
セルロースを含む繊維状基材は、レーザー光散乱によって測定した場合に、約5μm~約500μmの範囲のd50を有するミクロフィブリル化セルロースが得られるように、任意に無機粒子材料の存在下で、ミクロフィブリル化され得る。セルロースを含む繊維状基材は、約400μm以下、例えば、約300μm以下、または約200μm以下、または約150μm以下、または約125μm以下、または約100μm以下、または約90μm以下、または約80μm以下、または約70μm以下、または約60μm以下、または約50μm以下、または約40μm以下、または約30μm以下、または約20μm以下、または約10μm以下のd50を有するミクロフィブリル化セルロースが得られるように、任意に無機粒子材料の存在下で、ミクロフィブリル化され得る。
【0108】
セルロースを含む繊維状基材は、約0.1~500μmの範囲のモード繊維粒子径を有するミクロフィブリル化セルロース、および0.25~20μmの範囲のモード無機粒子材料粒子径が得られるように、任意に無機粒子材料の存在下で、ミクロフィブリル化され得る。セルロースを含む繊維状基材は、少なくとも約0.5μmのモード繊維粒子径、例えば、少なくとも約10μm、または少なくとも約50μm、または少なくとも約100μm、または少なくとも約150μm、または少なくとも約200μm、または少なくとも約300μm、または少なくとも約400μmのモード繊維粒子径を有するミクロフィブリル化セルロースが得られるように、任意に無機粒子材料の存在下で、ミクロフィブリル化され得る。
【0109】
セルロースを含む繊維状基材は、上記のような繊維勾配を有するミクロフィブリル化セルロースが得られるように、任意に無機粒子材料の存在下で、ミクロフィブリル化され得る。
【0110】
粉砕は、例えば、回転ミル(例えば、ロッド、ボールおよび自生粉砕)、撹拌ミル(例えば、SAMまたはIsaMill)、タワーミル、撹拌媒体デトライター(SMD)、またはプレートの間に粉砕される供給原料が供給される、回転する平行粉砕プレートを含む粉砕槽等の、粉砕槽で実施され得る。
【0111】
一実施形態では、粉砕槽はタワーミルである。タワーミルは、1つまたは複数の粉砕ゾーンの上に静止ゾーンを含み得る。静止ゾーンは、タワーミルの内部の最上部に向かって位置する領域であり、ここでは粉砕は最小限で起こるか、または全く起こらず、ミクロフィブリル化セルロースおよび任意の無機粒子材料を含む。静止ゾーンは、粉砕媒体の粒子がタワーミルの1つまたは複数の粉砕ゾーン内へ沈降する領域である。
【0112】
タワーミルは、1つまたは複数の粉砕ゾーンの上に分級機を含み得る。一実施形態では、分級機は最上部に取り付けられ、静止ゾーンに隣接して配置される。分級機は液体サイクロンであってよい。
【0113】
タワーミルは、1つまたは複数の粉砕ゾーンの上にスクリーンを含み得る。一実施形態では、スクリーンは静止ゾーンおよび/または分級機に隣接して配置される。スクリーンは、ミクロフィブリル化セルロースおよび任意の無機粒子材料を含む生成物水性懸濁液から粉砕媒体を分離し、粉砕媒体の沈降を強化するように寸法設計され得る。
【0114】
一実施形態では、粉砕はプラグ流条件下で実施される。プラグ流条件下でタワーを通る流れは、タワーを通して粉砕材料の混合が制限されるようなものである。これはタワーミルの長さに沿った異なる地点において、ミクロフィブリル化セルロースの微粉度が上昇するにつれて水性環境の粘度が変化することを意味する。従って、事実上、タワーミル内の粉砕領域は、特徴的な粘度を有する1つまたは複数の粉砕ゾーンを含むとみなすことができる。当業者は、隣接する粉砕ゾーン間で粘度に関してはっきりした境界はないことを理解するであろう。
【0115】
一実施形態では、1つまたは複数の粉砕ゾーンの上の静止ゾーンまたは分級機またはスクリーンに近接したミルの最上部で水を加えて、ミル内のこれらのゾーンでのミクロフィブリル化セルロースおよび任意の無機粒子材料を含む水性懸濁液の粘度を低下させる。ミル内のこの地点で生成物ミクロフィブリル化セルロースおよび任意の無機粒子材料を希釈することによって、静止ゾーンおよび/または分級機および/またはスクリーンへの粉砕媒体のキャリーオーバーの防止が改善されることが見出された。さらに、タワーを通して混合が制限されることにより、タワー下での高固形分での加工が可能になり、希釈水がタワーを下って1つまたは複数の粉砕ゾーン内に逆流するのを制限した、最上部での希釈が可能になる。ミクロフィブリル化セルロースおよび任意の無機粒子材料を含む生成物水性懸濁液の粘度を低下させるのに効果的な任意の好適な量の水が添加され得る。水は、粉砕プロセス中に連続的に、または一定の間隔で、または不規則な間隔で添加され得る。
【0116】
別の実施形態では、水は1つもしくは複数の粉砕ゾーンに、タワーミルの長さに沿って位置決めされた1つもしくは複数の注水点を経由して添加され得、または各注水点は1つもしくは複数の粉砕ゾーンに対応した地点に配置されている。有利には、タワーに沿った様々な地点での注水能によって、ミルに沿ったいずれかのまたは全ての位置での粉砕条件のさらなる調節が可能になる。
【0117】
タワーミルは、一連のインペラローターディスクをその長さに全体にわたって備えた垂直インペラシャフトを含み得る。インペラローターディスクの作動は、ミル全体にわたって一連の個別の粉砕ゾーンを形成する。
【0118】
別の実施形態では、粉砕はスクリーン粉砕機、例えば撹拌媒体デトライターで実施される。スクリーン粉砕機は、少なくとも約250μmの公称開口サイズを有する1つまたは複数のスクリーンを含み得、例えば、1つまたは複数のスクリーンは、少なくとも約300μm、または少なくとも約350μm、または少なくとも約400μm、または少なくとも約450μm、または少なくとも約500μm、または少なくとも約550μm、または少なくとも約600μm、または少なくとも約650μm、または少なくとも約700μm、または少なくとも約750μm、または少なくとも約800μm、または少なくとも約850μm、または少なくとも約900μm、または少なくとも約1000μmの公称開口サイズを有し得る。直前に記載したスクリーンサイズは、上記のタワーミルの実施形態に適用可能である。
【0119】
上述したように、粉砕は、粉砕媒体の存在下で実施され得る。一実施形態では、粉砕媒体は、約1mm~約6mm、例えば、約2mm、または約3mm、または約4mm、または約5mmの範囲の平均直径を有する粒子を含む粗い媒体である。
【0120】
別の実施形態では、粉砕媒体は、少なくとも約2.5、例えば、少なくとも約3、または少なくとも約3.5、または少なくとも約4.0、または少なくとも約4.5、または少なくとも約5.0、または少なくとも約5.5、または少なくとも約6.0の比重を有する。
【0121】
別の実施形態では、粉砕媒体は、約1mm~約6mmの範囲の平均直径を有する粒子を含み、かつ少なくとも約2.5の比重を有する。
【0122】
別の実施形態では、粉砕媒体は、約3mmの平均直径および約2.7の比重を有する粒子を含む。
【0123】
上記のように、粉砕媒体(単数または複数)は、投入物の約70体積%以下の量で存在し得る。粉砕媒体は、投入物の少なくとも約10体積%、例えば、投入物の少なくとも約20体積%、または投入物の少なくとも約30体積%、または投入物の少なくとも約40体積%、または投入物の少なくとも約50体積%、または投入物の少なくとも約60体積%の量で存在し得る。
【0124】
一実施形態では、粉砕媒体は、投入物の約50体積%の量で存在する。
【0125】
「投入物」とは、粉砕槽に供給される供給原料である組成物を意味する。投入物は、水、粉砕媒体、セルロースを含む繊維状基材、および任意の無機粒子材料、および本明細書に記載されるようなその他の任意の添加剤を含む。
【0126】
比較的粗いおよび/または高密度な媒体の使用は、改善された(すなわちより速い)沈降速度、ならびに静止ゾーンおよび/または分級機および/またはスクリーン(単数もしくは複数)を通しての媒体のキャリーオーバーの低減という利点を有する。
【0127】
比較的粗い粉砕媒体の使用におけるさらなる利点は、粉砕プロセス中に無機粒子材料の平均粒子径(d50)が大幅に減少しないことから、粉砕システムに付与されるエネルギーが主としてセルロースを含む繊維状基材のミクロフィブリル化に費やされることである。
【0128】
比較的粗いスクリーンを使用するさらなる利点は、ミクロフィブリル化工程で比較的粗いまたは高密度な粉砕媒体を使用できることである。加えて、比較的粗いスクリーン(すなわち、少なくとも約250μmの公称開口サイズを有する)の使用によって、比較的高固形分の生成物を加工および粉砕機から除去することが可能になり、これによって比較的高固形分の供給原料(セルロースを含む繊維状基材および無機粒子材料を含む)を採算の合うプロセスで加工することが可能になる。後述するように、初期固形分含有量が高い供給原料がエネルギー効率の観点から望ましいことが見出された。さらに、低固形分で(所定のエネルギーで)生成された生成物はより粗い粒子径分布を有することも見出された。
【0129】
粉砕は粉砕槽のカスケードで実施され、その1つまたは複数の粉砕槽は1つまたは複数の粉砕ゾーンを含み得る。例えば、セルロースを含む繊維状基材および無機粒子材料は、2つ以上の粉砕槽のカスケード、例えば、3つ以上の粉砕槽のカスケード、または4つ以上の粉砕槽のカスケード、または5つ以上の粉砕槽のカスケード、または6つ以上の粉砕槽のカスケード、または7つ以上の粉砕槽のカスケード、または8つ以上の粉砕槽のカスケード、または直列の9つ以上の粉砕槽のカスケード、または10以下の粉砕槽を含むカスケードで粉砕され得る。粉砕槽のカスケードは、直列、または並列、または直列と並列との組み合わせで動作可能に連結され得る。カスケードを構成する粉砕槽の1つもしくは複数からの産出物および/または粉砕槽の1つもしくは複数への投入物は、1つもしくは複数の篩過工程および/または1つもしくは複数の分級工程を受け得る。
【0130】
回路は、1つまたは複数の粉砕層およびホモジナイザーの組み合わせを含み得る。
【0131】
一実施形態では、粉砕は閉回路で実施される。別の実施形態では、粉砕は開回路で実施される。粉砕は、バッチモードで実施され得る。粉砕は、再循環バッチモードで実施され得る。
【0132】
上記のように、粉砕回路は、粗無機粒子が粉砕槽で既定の粒子径分布まで粉砕される予備粉砕工程を含み得、その後、セルロースを含む繊維状材料が予備粉砕された無機粒子材料と組み合わされ、粉砕は、所望のレベルのミクロフィブリル化が得られるまで、同じか、または異なる粉砕槽で継続される。
【0133】
粉砕される材料の懸濁液は比較的高粘度となり得るため、好適な分散剤が粉砕前に懸濁液に添加され得る。分散剤は、例えば、水溶性縮合リン酸塩、ポリケイ酸もしくはその塩、または高分子電解質、例えば80,000以下の数平均分子量を有するポリ(アクリル酸)もしくはポリ(メタクリル酸)の水溶性塩であり得る。使用される分散剤の量は、一般に、乾燥無機粒子固形材料の重量に基づいて0.1~2.0重量%の範囲となるであろう。懸濁液は、4℃~100℃の範囲の温度で好適に粉砕され得る。
【0134】
ミクロフィブリル化工程中に含まれ得る他の添加剤は、カルボキシメチルセルロース、両性カルボキシメチルセルロース、酸化剤、2,2,6,6-テトラメチルピペリジン-1-オキシル(TEMPO)、TEMPO誘導体、および木材分解酵素を含む。
【0135】
粉砕される材料の懸濁液のpHは約7、または約7以上(すなわち、塩基性)であってよく、例えば、懸濁液のpHは約8、または約9、または約10、または約11であってよい。粉砕される材料の懸濁液のpHは約7未満(すなわち、酸性)であってよく、例えば、懸濁液のpHは約6、または約5、または約4、または約3であってよい。粉砕される材料の懸濁液のpHは、適切な量の酸または塩基の添加によって調節されてよい。好適な塩基は、アルカリ金属水酸化物、例えばNaOH等を含む。他の好適な塩基は炭酸ナトリウムおよびアンモニアである。好適な酸は、塩酸および硫酸等の無機酸、または有機酸を含む。例示的な酸はオルトリン酸である。
【0136】
共粉砕される混合物中の、存在する場合、無機粒子材料の量、およびセルロースパルプの量は、天井タイル、床材製品、または他の建築製品での使用に適した組成物、例えば、スラリーを生成するために変えられてもよく、または例えばさらなる無機粒子材料の添加でさらに調整されてもよい。
【0137】
均質化
セルロースを含む繊維状基材のミクロフィブリル化は、湿潤条件下、任意に無機粒子材料の存在下で、セルロースパルプと任意の無機粒子材料との混合物を加圧し(例えば、約500バールの圧力まで)、次により低圧のゾーンに送る方法によって達成され得る。混合物を低圧ゾーンに送る速度は十分に高く、低圧ゾーンの圧力は、セルロース繊維のミクロフィブリル化を引き起こすのに十分な程に低い。例えば、狭い入口オリフィスとはるかに広い出口オリフィスとを有する環状開口部に混合物を押し通すことによって圧力低下が起こり得る。混合物が加速してより大きな容積内(すなわち、低圧ゾーン)に入る際の急激な圧力低下は、ミクロフィブリル化を引き起こすキャビテーションを誘発する。一実施形態では、セルロースを含む繊維状基材のミクロフィブリル化は、ホモジナイザーで、湿潤条件下、任意に無機粒子材料の存在下で達成され得る。ホモジナイザーでは、セルロースパルプおよび任意の無機粒子材料は加圧され(例えば、約500バールの圧力まで)、小さいノズルまたはオリフィスに押し通される。混合物は、約100バール~約1000バールの圧力、例えば300バール以上、または約500バール以上、または約200バール以上、または約700バール以上の圧力に加圧され得る。均質化は繊維を高せん断力にさらし、加圧されたセルロースパルプがノズルまたはオリフィスを出る際に、キャビテーションがパルプ中のセルロース繊維のミクロフィブリル化を引き起こす。ホモジナイザーを通る懸濁液の流動性を改善するために、追加の水を添加してもよい。結果として得られるミクロフィブリル化セルロースおよび任意の無機粒子材料を含む水性懸濁液は、ホモジナイザーを複数回通過させるためにホモジナイザーの入口に戻されてもよい。無機粒子材料が存在する場合、および無機粒子材料がカオリンのような天然の板状鉱物である場合、均質化はセルロースパルプのミクロフィブリル化を促進するだけでなく、板状粒子材料の剥離を促進してもよい。
【0138】
例示的なホモジナイザーはManton Gaulin(APV)ホモジナイザーである。
【0139】
ミクロフィブリル化工程を行った後、ミクロフィブリル化セルロースおよび任意の無機粒子材料を含む水性懸濁液を篩過して、特定のサイズより大きい繊維および任意の粉砕媒体を除去し得る。例えば、篩を通過しない繊維を除去するために、懸濁液は、選択された公称開口サイズを有する篩を使用した篩過を受けることができる。公称開口サイズとは、方形開口部の対辺間の公称中心距離、または円形の開口部の公称直径を意味する。篩は、公称開口サイズ150μm、例えば、公称開口サイズ125μm、または106μm、または90μm、または74μm、または63μm、または53μm、45μm、または38μmを有するBSS篩(BS 1796に準拠)であり得る。一実施形態では、水性懸濁液は、公称開口サイズ125μmを有するBSS篩を使用して篩過される。
次に、水性懸濁液は任意に脱水され得る。
【0140】
その結果、粉砕または均質化された懸濁液を処理して選択されたサイズより大きい繊維を除去すると、粉砕または均質化後の水性懸濁液中のミクロフィブリル化セルロースの量(すなわち、重量%)は、パルプ中の乾燥繊維の量より少なくなることが理解されるであろう。従って、粉砕機またはホモジナイザーに供給されるパルプおよび任意の無機粒子材料の相対量を、選択されたサイズより大きい繊維を除去した後の水性懸濁液に必要とされるミクロフィブリル化セルロース量に応じて調節することができる。
【0141】
ある実施形態では、ミクロフィブリル化セルロースは、水性環境で粉砕媒体(本明細書に記載)の存在下で粉砕することによりセルロースを含む繊維状基材をミクロフィブリル化する工程を含む方法によって調製され得、粉砕は、無機粒子材料の不在下で行われる。ある実施形態では、無機粒子材料は粉砕後に添加され得る。
【0142】
ある実施形態では、粉砕媒体は粉砕後に除去される。
【0143】
他の実施形態では、粉砕媒体は粉砕後に保持され、無機粒子材料または少なくともその一部として機能する。ある実施形態では、追加の無機粒子材料が粉砕後に添加され得る。
【0144】
以下の手順が、無機粒子材料(例えばGCCまたはカオリン)とミクロフィブリル化セルロースパルプ繊維との混合物の粒子径分布を特徴付けるために使用され得る。
【0145】
炭酸カルシウム
3gの乾燥材料を得るのに十分な共粉砕スラリーの試料をビーカーに計量し、脱イオン水で60gに希釈し、有効成分が1.5w/v%のポリアクリル酸ナトリウムの溶液5cmと混合する。さらに、80gの最終スラリー重量になるまで脱イオン水を撹拌しながら添加する。
【0146】
カオリン
5gの乾燥材料を得るのに十分な共粉砕スラリーの試料をビーカーに計量し、脱イオン水で60gに希釈し、1.0重量%の炭酸ナトリウムおよび0.5重量%のヘキサメタリン酸ナトリウムの溶液5cmと混合する。さらに、80gの最終スラリー重量になるまで脱イオン水を撹拌しながら添加する。
【0147】
次にスラリーを、最適レベルのオブスキュレーション(通常、10~15%)を示すまでMastersizer Sに取り付けられた試料調製ユニット内の水に1cmずつ添加する。次に、光散乱分析手順を行う。選択された計器範囲は300RF:0.05~900であり、ビーム長は2.4mmに設定された。
【0148】
炭酸カルシウムおよび繊維を含有する共粉砕試料には、炭酸カルシウムの屈折率(1.596)を使用する。カオリンおよび繊維の共粉砕試料には、カオリンの屈折率(1.5295)を使用する。
【0149】
粒子径分布はミー理論から計算され、体積差基準分布として出力される。2つの異なるピークの存在は、鉱物(より微細なピーク)および繊維(より粗いピーク)に起因すると解釈される。
【0150】
より微細な鉱物ピークを測定されたデータ点にフィットさせ、分布から数学的に減じて繊維ピークを残し、これを累積分布に変換する。同様に、繊維ピークを元の分布から数学的に減じて鉱物ピークを残し、これも累積分布に変換する。次に、これらの両方の累積曲線は、平均粒子径(d50)および分布の勾配(d30/d70×100)の計算に使用されてよい。鉱物および繊維分の両方についてのモード粒子径を求めるために示差曲線が使用されてよい。
【0151】
実施例
例1
3つの比較例(I~III)を以下の方法によって調製した。比較例はパルプおよびデンプンを含み、従来の天井タイル組成物の代表である。
【0152】
タイルスラリーの組成物は、ミネラルウール、パーライト、セルロース系材料、バインダ、デンプンおよび鉱物フィラー(例えば粘土、炭酸カルシウム)を含んでいた。得られたスラリーを凝集剤(高分子量ポリアクリルアミド、例えば、Solenis PC1350)と攪拌しながら混合し、次に手動シートフォーマーのタイル形成ワイヤ上に注いだ。凝集したスラリーをまず重力下で排水し、続いて押圧して過剰の水を除去した。濡れたタイルを最初にアルミニウム箔に包んで170℃で1時間デンプンを加熱(cook)(ゼラチン化)し、濡れたタイルを130℃の対流式オーブンで一晩乾燥した。
【0153】
3つの実験タイル(IV~VI)を、タイルを包んで170℃でデンプンをゼラチン化する必要がないことを除いて、比較例と類似の方法によって調製した。
【0154】
比較例および実験タイルの組成を表Iに示す。
【表1】
【0155】
比較例および実験タイルの特性を表IIに示す。これらのデータは、パルプを排除してパーライトで置き換えること、およびデンプンを排除してミクロフィブリル化セルロースで置き換えることを同時に行うことによって、同等の密度および強度の天井タイルを作製し得ることを示す。これらは、はるかに低い吸湿性、および改善された靭性を有する。
【表2】
【0156】
例2
濡れたタイルを、比較例IIIおよび実験タイルVIのタイル作製プロセスで上記のように作製した。両方のタイルをアルミニウム箔に包み、170℃で1時間オーブンに入れてデンプンをゼラチン化した(VIは対照と同じプロセスを経た)。得られたタイルの包みを解き、次に130℃で乾燥し、質量変化を10分間隔で記録する。各タイルについて、質量はおよそ指数関数的に減少し、そこから乾燥速度定数を導出する。
【0157】
表IIIは、上記の乾燥速度実験に関するデータを報告する。これらの例は、デンプンおよび紙パルプをミクロフィブリル化セルロースおよびパーライトで置き換えることによって、乾燥時間を実質的に短縮し得ることを示す。
【表3】
【0158】
例3
強熱減量(LOI)を調べるために、乾燥タイルをz方向に3つに切断した。ストリップの有機分を炉内で450℃で2時間焼き切る。実験タイルVIは、ミクロフィブリル化セルロースと無機粒子材料との複合体を使用した際にパルプをパーライトに置き換え、それによって可燃性材料が減少しているので、比較例IIIよりも低いLOIを有していた。加えて、実験タイルVIは、より低い標準偏差(STD)値によって示唆されるように、比較例IIIよりも均一な成分分布を有していた。表IVは、例3のLOIデータを示す。
【表4】
【0159】
例4
この実験では、濾紙上に濾過プロセスによって形成し、続いて5バールで5分間圧力を加えた薄いタイルシート(厚さ約700μm)の湿潤強度を測定した。押圧された濡れたシートを引張測定のためにストリップに切断した。比較例VIIおよびVIIIの組成を表5に示す。比較例VIIはパルプを含有しないがデンプンを含有した。比較例VIIは、パルプおよびデンプンの両方を含有した。比較実験タイルVIIは、表5に示すように、弱すぎて湿潤強度を測定できなかった。実験タイルIXは、ミクロフィブリル化セルロースとタイルの全乾燥重量に基づいて8重量%の無機粒子材料との複合体を利用して作製された場合、比較例VIIおよびVIIIと比較して改善された引張強度を示す。記載されたように、実験タイルIXは、組成物からパルプおよびデンプンの両方を除き、製造プロセスにおいて「加熱(cooking)」(デンプンゼラチン化プロセス)の使用を回避した。実験タイルIXでは、70%超の引張強度の改善が記録された。
【表5】
凡例:IMAX57は製紙用フィラーグレードのカオリンであり、MFCはミクロフィブリル化セルロースである。
【0160】
例5
スラリーの成分を除いて、例1の天井タイルを調製するプロセスに従って、ファイバーボードを調製した。表VIは、スラリーの定量的および定性的組成を示す。使用された木材粒子は、典型的にはチップボードに使用されるトウヒを含んでいた。

【表6】
【0161】
表VIIは、3つのファイバーボード組成物に関するデータを示す。これらの例は、デンプンをミクロフィブリル化セルロースで置き換えることによって、ボードが水中に浸されたときにはるかに強く、より寸法的に安定であることを示す。加えて、デンプンと共に微晶質セルロースを同時に使用すると、強度(MORおよびIB)において相乗効果が認められた。
【表7】
【0162】
本発明は、以下の発明をも含む。
(1)
ミクロフィブリル化セルロースおよび1つまたは複数の無機粒子材料の組成物を含む、建築製品。
(2)
前記建築製品が天井タイルである、(1)に記載の建築製品。
(3)
前記天井タイルはミネラルウール、またはパーライト、またはミネラルウールおよびパーライトの両方をさらに含む、(2)に記載の天井タイル。
(4)
前記天井タイルは、木材パルプまたは紙パルプ、ならびに、任意に、デンプンおよび/またはラテックス結合剤をさらに含む、(2)または(3)に記載の天井タイル。
(5)
前記天井タイルは、前記天井タイルの全乾燥重量に基づいて、約50重量%以下のミクロフィブリル化セルロースを含む、(2)~(4)のいずれかに記載の天井タイル。
(6)
前記天井タイルは、前記天井タイルの全乾燥重量に基づいて、約25重量%以下のミクロフィブリル化セルロース組成物を含む、(2)~(5)のいずれかに記載の天井タイル。
(7)
前記天井タイルは、前記天井タイルの全乾燥重量に基づいて、約10重量%以下のミクロフィブリル化セルロース組成物を含む、(2)~(6)のいずれかに記載の天井タイル。
(8)
前記天井タイルは、前記天井タイルの全乾燥重量に基づいて、約80重量%以下のパーライト、またはミネラルウール、またはパーライトおよびミネラルウールの両方を含む、(2)~(7)のいずれか一項に記載の天井タイル。
(9)
前記天井タイルは、前記天井タイルの全乾燥重量に基づいて、約25重量%以下の木材パルプまたは紙パルプを含む、(4)~(7)のいずれか一項に記載の天井タイル。
(10)
前記天井タイルは、前記天井タイルの全乾燥重量に基づいて、約10重量%以下の木材パルプまたは紙パルプを含む、(9)に記載の天井タイル。
(11)
前記天井タイルは、ミクロフィブリル化セルロースを含まない天井タイルと比較して改善された曲げ強度を有する、(2)~(10)のいずれかに記載の天井タイル。
(12)
前記天井タイルは少なくとも約400kPaの曲げ強度を有する、(11)に記載の天井タイル。
(13)
前記天井タイルは(ii)前記天井タイルの全乾燥重量に基づいて、約20重量%以下のミクロフィブリル化セルロース、例えば、約10重量%~約20重量%、または約1重量%~約10重量%のミクロフィブリル化セルロース組成物、および/または(i)前記天井タイルの全乾燥重量に基づいて、20重量%以下の木材パルプもしくは紙パルプ、例えば、約5重量%~約20重量%の木材パルプ、例えば、約5重量%~約15重量%の木材パルプ、または約8重量%~約12重量%のパルプをさらに含む、(8)に記載の天井タイル。
(14)
前記ミクロフィブリル化セルロース組成物はミクロフィブリル化セルロースおよび無機粒子材料を約5:1~約1:166の重量比で含む、(1)~(13)のいずれかに記載の建築製品または天井タイル。
(15)
前記無機粒子は、存在する場合、炭酸カルシウムもしくはカオリンであるか、または炭酸カルシウムもしくはカオリンを含む、(2)~(14)のいずれかに記載の天井タイル。
(16)
前記ミクロフィブリル化セルロースは約20~約50の繊維勾配(fibre steepness)を有する、(1)~(15)のいずれかに記載の建築製品または天井タイル。
(17)
建築製品、例えば天井タイルにおけるミクロフィブリル化セルロース組成物の使用。
(18)
前記天井タイルの曲げ強度を改善するための、(17)に記載の使用。
(19)
前記ミクロフィブリル化組成物を前記建築製品の他の成分(単数または複数)と組み合わせることと、そこから前記建築製品を形成することとを含む、(1)~(18)のいずれかに記載の建築製品を作製するための方法。
(20)
前記ミクロフィブリル化セルロース組成物を天井製品の他の成分(単数または複数)と組み合わせることと、そこから天井タイルを形成することとを含む、(2)~(19)のいずれかに記載の天井タイルを作製するための方法。