(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022078391
(43)【公開日】2022-05-25
(54)【発明の名称】コイル基板、モータ用コイル基板、モータ、コイル基板の製造方法
(51)【国際特許分類】
H05K 1/16 20060101AFI20220518BHJP
H05K 1/02 20060101ALI20220518BHJP
H02K 3/26 20060101ALI20220518BHJP
H02K 15/04 20060101ALI20220518BHJP
【FI】
H05K1/16 B
H05K1/02 B
H02K3/26 E
H02K15/04 D
【審査請求】未請求
【請求項の数】7
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2020186940
(22)【出願日】2020-11-10
(71)【出願人】
【識別番号】000000158
【氏名又は名称】イビデン株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100095795
【弁理士】
【氏名又は名称】田下 明人
(72)【発明者】
【氏名】森田 治彦
(72)【発明者】
【氏名】三輪 等
(72)【発明者】
【氏名】加藤 忍
(72)【発明者】
【氏名】横幕 俊彦
(72)【発明者】
【氏名】加藤 久始
(72)【発明者】
【氏名】平澤 貴久
(72)【発明者】
【氏名】村木 哲也
(72)【発明者】
【氏名】古野 貴之
【テーマコード(参考)】
4E351
5E338
5H603
5H615
【Fターム(参考)】
4E351AA16
4E351BB09
4E351BB25
4E351BB30
4E351BB33
4E351CC06
4E351DD04
4E351GG20
5E338AA02
5E338AA12
5E338BB51
5E338CC04
5E338CD17
5E338EE33
5H603AA09
5H603BB01
5H603BB05
5H603BB12
5H603CA01
5H603CA02
5H603CA05
5H603CB01
5H603CC01
5H603CC19
5H603CD25
5H603CE06
5H615AA01
5H615BB01
5H615BB07
5H615BB14
5H615PP01
5H615PP02
5H615PP12
5H615QQ22
(57)【要約】 (修正有)
【課題】信頼性の高いコイル基板の提供
【解決手段】実施形態のコイル基板120は、樹脂基板22と樹脂基板22上に配線wで形成されているコイルC、とからなる。配線wは、銅パターン62と銅パターン62を被覆する電解めっき膜64で形成され、銅パターン62に接続するように設けられた電解めっき膜形成用の給電線PLの少なくとも一部が切断されている。
【選択図】
図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
樹脂基板と前記樹脂基板上に配線で形成されているコイル、とからなるコイル基板であって、
前記配線は、銅パターンと前記銅パターンを被覆する電解めっき膜で形成され、
前記銅パターンに接続するように設けられた前記電解めっき膜形成用の給電線の少なくとも一部が切断されている。
【請求項2】
請求項1のコイル基板であって、
前記銅パターンと前記給電線は、テンティング法で形成されている。
【請求項3】
請求項1のコイル基板であって、
前記給電線の切断は、前記樹脂基板への孔開けにより行われている。
【請求項4】
請求項1のコイル基板を筒状に巻くことで形成されるモータ用コイル基板。
【請求項5】
請求項4のモータ用コイル基板と、
前記モータ用コイル基板内に配置される磁石、とからなるモータ。
【請求項6】
樹脂基板と前記樹脂基板上に積層されている銅箔とからなる銅張積層板を用意することと、
テンティング法で前記銅箔から渦巻き状の銅パターンと前記銅パターンへの給電線を形成することと、
前記銅パターンを電解めっき膜で被覆することと、
前記給電線を切断すること、とを有するコイル基板の製造方法。
【請求項7】
請求項6のコイル基板の製造方法であって、
前記給電線の切断は、前記樹脂基板への孔開けにより行われる。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、コイル基板とモータ用コイル基板、モータ、コイル基板の製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1は、プリント配線板から構成される電気モータを開示している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【0004】
[特許文献の課題]
特許文献1では、コイルをプリント配線板の製造技術で形成すると述べている。単に、プリント配線板の製造技術ではコイルの厚みを厚くすることが難しく、コイルの抵抗値を下げることは困難であると考えられる。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明に係るコイル基板は、樹脂基板と前記樹脂基板上に配線で形成されているコイル、とからなる。そして、前記配線は、銅パターンと前記銅パターンを被覆する電解めっき膜で形成され、前記銅パターンに接続するように設けられた前記電解めっき膜形成用の給電線の少なくとも一部が切断されている。
本発明に係るコイル基板の製造方法は、樹脂基板と前記樹脂基板上に積層されている銅箔とからなる銅張積層板を用意することと、テンティング法で前記銅箔から渦巻き状の銅パターンと前記銅パターンへの給電線を形成することと、前記銅パターンを電解めっき膜で被覆することと、前記給電線を切断すること、とを有する。
【0006】
[実施形態の効果]
本発明の実施形態によれば、コイル基板、コイル基板の製造方法は、電解めっき膜形成用の給電線の少なくとも一部が切断されている。このため、給電線を介してコイルが短絡することが無い。
【図面の簡単な説明】
【0007】
【
図1】
図1(A)は実施形態のモータの模式図であり、
図1(B)は第1実施形態のコイル基板を示す。
【
図2】
図2(A)は製造工程の実施形態のフレキシブル基板を示し、
図2(B)は実施形態のコイル基板を示し、
図2(C)は実施形態の改変例のコイル基板を示す。
【発明を実施するための形態】
【0008】
図2(B)に示されるコイル基板120が準備される。コイル基板120は第1面Fと第1面Fと反対側の第2面Sとを有するフレキシブル基板22を有する。フレキシブル基板22の第1面F上にコイルC(C1、C2、C3)が形成されている。図示されないフレキシブル基板22の第2面S上に第1面F上のコイルC(C1、C2、C3)と同様なコイルが形成されている。コイル基板120を巻くことで、
図1(B)に示されるモータ用コイル基板20が得られる。例えば、コイル基板120は筒状に巻かれる。モータ用コイル基板20は空洞AHの周りに巻かれる。例えば、モータ用コイル基板20の形状は円筒である。巻く回数Nは、1以上、5以下である。
図1(B)は模式図である。
【0009】
図1(A)に示されるように、モータ用コイル基板20内に磁石48を配置することで、モータ10が得られる。
図1(A)は模式図である。モータ用コイル基板20は、空洞AHを介し磁石48の周りに配置されている。
図1(B)中の矢印MRはモータ10の回転方向を示す。モータ10の例は、ブラシレスモータである。実施形態では、磁石48が回転するが、モータ用コイル基板20が回転してもよい。
【0010】
図2(B)に示されるように、フレキシブル基板22は、短辺20Sと長辺20Lとを有する。フレキシブル基板22は、一端22Lと一端22Lと反対側の他端22Rを有する。一端22Lは短辺20Sを兼ねる。長辺20Lは上辺20LUと上辺20LUと反対側の下辺20LDを有する。コイルC(C1~C3)は、フレキシブル基板22の長辺20Lに沿って並んでいる。フレキシブル基板22の一端22Lから他端22Rに向かって、コイルCは一列に並んでいる。コイルCの数はM(数M)である。一端22Lに最も近いコイルは第1コイルC1である。他端22Rに最も近いコイルは第MコイルCMである。第1コイルC1から第MコイルCMまでコイルCは順に並んでいる。
図2(B)の例では、コイルの数は3である。
【0011】
フレキシブル基板22上に形成されている複数のコイルCは同時に形成される。例えば、共通のアライメントマークを用いることで、複数のコイルCはフレキシブル基板22上に形成される。そのため、各コイルCの位置は関連している。
【0012】
コイルCは中央スペースSCと中央スペースSCを囲む配線wで形成される。コイルCを形成する配線wは渦巻き状に形成されている。
【0013】
配線wの断面が
図3(D)に示される。配線wは、テンティング法で形成された銅パターン62と、銅パターン62を覆うめっき膜64で形成されている。銅箔上にエッチングレジストが形成され、エッチングレジストから露出する銅箔をエッチングで除去することで銅パターン62は形成される。めっき膜64は電解めっきであることが好ましい。コイルCを構成する配線wが銅パターン62と電解めっき膜64とから成る。コイルCは厚みが厚く、抵抗が低い。
【0014】
図2(B)中に示されるようにフレキシブル基板22上にめっき膜64を形成するための給電線PLが設けられている。給電線PLの一部は、フレキシブル基板22を貫通する円形の孔PHによって切断されている。実施形態に係るコイル基板120は、電解めっき膜形成用の給電線PLの少なくとも一部が切断されている。このため、給電線PLを介してコイルCが短絡することが無い。コイル基板120の信頼性が高い。
【0015】
図3は、実施形態のコイルCの製造方法を示す。
第1面Fと第1面の反対側の第2面Sとを有するフレキシブル基板22が用意される。フレキシブル基板22の第1面Fと第2面S上に銅箔61が積層されている(
図3(A))。両面銅張積層板が準備される。
【0016】
銅箔61上にエッチングレジスト68が形成される(
図3(B))。エッチングレジストから露出する銅箔61がエッチングで除去される。銅パターン62が形成される。エッチングレジストが除去される(
図3(C))。
図2(A)は銅パターン62の形成されたフレキシブル基板22の平面図である。銅パターン62はコイルを形成する渦巻き部Cwと渦巻き部Cwに給電するための給電線PLを含む。
【0017】
図2(A)中に示される給電線PLを介して銅パターン62がマイナス電位に繋げられる。電解めっきにより、銅パターン62上に電解めっき膜64が形成される。銅パターン62は電解めっき膜64で被覆される。コイルCを形成する配線wが完成する(
図3(D))。電解めっき膜64は電解銅めっき膜であることが好ましい。
図3(D)では、コイルCはフレキシブル基板22の両面に形成されている。
図2(B)に示されるように、給電線PLの中央部が、フレキシブル基板22を貫通する円形の孔PHによって切断され、フレキシブル基板22上に絶縁被膜が設けられコイル基板120が完成する。絶縁被膜によって、孔PHに露出する給電線PLの切断端が絶縁される。実施形態では、給電線PLを孔によって切断したが、エッチング等で給電線PLを除去することも可能である。
【0018】
実施形態のコイル基板の製造方法では、コイルCを構成する配線wが銅パターン62と電解めっき膜64とから成る。コイルCの厚みが厚く、抵抗が低い。電解めっき膜形成用の給電線PLの少なくとも一部が切断されている。このため、給電線PLを介してコイルCが短絡することが無い。コイル基板120の信頼性が高い。
【0019】
図2(C)は実施形態の改変例のコイル基板120を示す。
改変例のコイル基板120では、フレキシブル基板22の下辺20LDに沿って半円状の孔PHが設けられている。孔PHによって、給電線PLの端部が切断されている。
【符号の説明】
【0020】
10 モータ
120 コイル基板
20 モータ用コイル基板
22 フレキシブル基板
62 銅パターン
64 電解めっき膜
C コイル
w 配線
PL 給電線
PH 孔