(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022078400
(43)【公開日】2022-05-25
(54)【発明の名称】樹脂枠の製造方法、樹脂枠
(51)【国際特許分類】
B29C 65/18 20060101AFI20220518BHJP
【FI】
B29C65/18
【審査請求】未請求
【請求項の数】10
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2020189053
(22)【出願日】2020-11-13
(71)【出願人】
【識別番号】390005267
【氏名又は名称】YKK AP株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002712
【氏名又は名称】特許業務法人みなみ特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】松田 幸二
(72)【発明者】
【氏名】小林 勲
【テーマコード(参考)】
4F211
【Fターム(参考)】
4F211AH46
4F211TA01
4F211TC08
4F211TD07
4F211TN07
4F211TQ01
(57)【要約】
【課題】枠部材や架設部材を圧着させて樹脂枠を形成する場合に、切除工程を不要とし、美観と接合強度を向上させる。
【解決手段】本発明は、複数本の枠部材(2)が互いの端面において圧着されて枠状に組み合わされた樹脂枠(1,1A,1B)の製造方法において、一対の枠部材の端面同士の間にヒータ(3)を非接触状態又は接触状態で配置し、当該端面を加熱する加熱工程と、当該一対の枠部材の端面から0.6mm±0.4mmの範囲の端部を圧着代(23)として圧着することによって、圧着代の樹脂が隆起部(24)になる圧着工程とを備える。加熱工程によって枠部材の端面をヒータから接触又は非接触状態で加熱するので、端面をヒータに押し付けて加熱する従来の加熱工程のように端部が押し潰されることがなく、それ故に一対の枠部材の外周にはみ出す隆起部を小さくすることができる。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数本の枠部材が互いの端面において圧着されて枠状に組み合わされた樹脂枠の製造方法において、
一対の前記枠部材の前記端面同士の間にヒータを非接触状態又は接触状態で配置し、前記端面を前記ヒータで加熱する加熱工程と、
前記一対の枠部材の端面から設定範囲の端部を圧着代として圧着することによって、前記圧着代の樹脂が隆起部になる圧着工程とを備え、
前記圧着代の前記設定範囲は、前記端面における外周の少なくとも一部に当該端面から0.6mm±0.4mmの範囲であり且つ将来的に切除しない非切除範囲を備え、
前記隆起部のうち前記非切除範囲の部分は、その隆起高さの最大値を前記隆起部への隣接部の表面を基準面として0.8mm以下にしてあることを特徴とする樹脂枠の製造方法。
【請求項2】
複数本の枠部材が枠状に組み合わされた樹脂枠本体と、前記樹脂枠本体の枠状がより小さな枠状に分割される形で前記樹脂枠本体の内周面側に架設された架設部材とを備える樹脂枠であって、前記架設部材の端面と前記枠部材の長手方向の中間部における接合面とが圧着された前記樹脂枠の製造方法において、
前記架設部材の前記端面と前記枠部材の前記接合面の間に前記ヒータを非接触状態又は接触状態で配置し、前記端面と前記接合面を前記ヒータで加熱する加熱工程と、
前記端面と前記接合面から設定範囲の端部を圧着代として圧着することによって、前記圧着代の樹脂が隆起部になる圧着工程とを備え、
前記圧着代の前記設定範囲は、前記端面と前記接合面における外周の少なくとも一部に前記端面と前記接合面から0.6mm±0.4mmの範囲であり且つ将来的に切除しない非切除範囲を備え、
前記隆起部のうち前記非切除範囲の部分は、その隆起高さの最大値を前記隆起部への隣接部の表面を基準面として0.8mm以下にしてあることを特徴とする樹脂枠の製造方法。
【請求項3】
前記加熱工程は、前記ヒータを非接触状態で配置する非接触加熱工程であることを特徴とする請求項1又は2に記載の樹脂枠の製造方法。
【請求項4】
前記枠部材は筒状であると共に内層と外層とを備える積層構造であり、
外層側から見て、前記隆起部のうち非切除範囲は前記内層が露出する幅の最大値を0.2mm以下にしてあることを特徴とする請求項1,2又は3に記載の樹脂枠の製造方法。
【請求項5】
前記枠部材は筒状であると共に内層と外層とを備える積層構造であり、
外層側から見て、前記隆起部のうち前記非切除範囲は内層が露出する幅の最大値を0.5mm以下にしてあり、
前記圧着工程の後に、前記隆起部のうち前記非切除範囲を押さえて均すと共に前記内層が露出する幅の最大値を0.2mm以下に狭める均し工程を備えることを特徴とする請求項1,2又は3に記載の樹脂枠の製造方法。
【請求項6】
複数本の枠部材が枠状に組み合わせられた樹脂枠において、
一対の前記枠部材は互いの端面が圧着された圧着跡としての隆起部を備え、
前記隆起部のうち前記端面における外周の少なくとも一部は、その表面の全体が圧着跡を示す隆起によって形成された隆起面であると共に、その体積が圧着前の一対の前記枠部材の前記端面における前記一部から0.6±0.4mmの範囲の体積に相当し、且つその隆起高さの最大値を前記隆起部への隣接部の表面を基準面として0.8mm以下にしてあることを特徴とする樹脂枠。
【請求項7】
複数本の枠部材が枠状に組み合わせられた樹脂枠において、
一対の前記枠部材は互いの端面が圧着された圧着跡としての隆起部を備え、
前記隆起部のうち前記端面における外周の少なくとも一部は、その表面の全体が圧着跡を示す隆起によって形成された隆起面と前記隆起面を均した均し面との複合面で形成されると共に、その体積が圧着前の一対の前記枠部材の端面における前記一部から0.6±0.4mmの範囲の体積に相当し、且つその隆起高さの最大値を当該隆起部への隣接部の表面を基準面として0.8mm以下にしてあることを特徴とする樹脂枠。
【請求項8】
複数本の枠部材が枠状に組み合わされた樹脂枠本体と、前記樹脂枠本体の枠状がより小さな枠状に分割される形で前記樹脂枠本体の内周面側に架設された架設部材とを備える樹脂枠であって、前記架設部材の端面と前記枠部材の長手方向の中間部における接合面とが圧着された前記樹脂枠において、
前記枠部材と前記架設部材は互いの前記端面と前記接合面が圧着された圧着跡としての隆起部を備え、
前記隆起部のうち前記端面と前記接合面における外周の少なくとも一部は、その表面の全体が圧着跡を示す隆起によって形成された隆起面であると共に、その体積が圧着前の一対の前記枠部材の前記端面と前記接合面における前記一部から0.6±0.4mmの範囲の体積に相当し、且つその隆起高さの最大値を前記隆起部への隣接部の表面を基準面として0.8mm以下にしてあることを特徴とする樹脂枠。
【請求項9】
複数本の枠部材が枠状に組み合わされた樹脂枠本体と、前記樹脂枠本体の枠状がより小さな枠状に分割される形で前記樹脂枠本体の内周面側に架設された架設部材とを備える樹脂枠であって、前記架設部材の端面と前記枠部材の長手方向の中間部における接合面とが圧着された前記樹脂枠において、
前記枠部材と前記架設部材は互いの前記端面と前記接合面が圧着された圧着跡としての隆起部を備え、
前記隆起部のうち前記端面と前記接合面における外周の少なくとも一部は、その表面の全体が圧着跡を示す隆起によって形成された隆起面と前記隆起面を均した均し面との複合面であると共に、その体積が圧着前の一対の前記枠部材の前記端面と前記接合面における前記一部から0.6±0.4mmの範囲の体積に相当し、且つその隆起高さの最大値を前記隆起部への隣接部の表面を基準面として0.8mm以下にしてあることを特徴とする樹脂枠。
【請求項10】
前記枠部材は筒状であると共に内層と外層とを備える積層構造であり、
外層側から見て、前記隆起部は前記内層が露出する幅の最大値を0.2mm以下にしてあることを特徴とする請求項6~9の何れかに記載の樹脂枠。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、複数本の部材が圧着されて枠状に組み合わされた樹脂枠の製造方法、および樹脂枠に関する。
【背景技術】
【0002】
樹脂枠の製造方法の一例として、まず樹脂製の一対の枠部材の端面をヒータに押し付けて、端面から所定の加熱代分を溶融させて枠部材の表面に隆起させたうえで枠部材の端部を所定の圧着代分加熱し、その後、一対の枠部材の端面からヒータを退避させてから、一対の枠部材の端面同士を突き合わせた上で一対の枠部材の端部同士を圧着代分だけ押し付けて圧着する方法が存在する(特許文献1)。
【0003】
また樹脂枠の製造方法の別の例として、樹脂製の一対の枠部材の端部を各型内にほぼ隙間の無い状態で保持したうえで、各型をヒータとしての加熱手段に対して相対的に移動させて接触させ、その次に、各型から加熱手段を退避させると共に、退避させる前の加熱手段の位置に向かって各型同士を移動させて接触させ、最後に型内で一対の枠部材の端部同士を押し付けて圧着する方法が存在する(特許文献2)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特許5473667号公報
【特許文献2】特許5088772号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら特許文献1の製造方法は、圧着前の枠部材の端面を基準にして加熱代と圧着代を合算した量の樹脂が、圧着後には一対の枠部材の表面に隆起する隆起部になる。そのため、樹脂枠の美観を良くするためには、隆起部を切除する工程(切除工程)を、その後に行わなければならなかった。
【0006】
また特許文献2の製造方法は、型内に枠部材をほぼ隙間の無い状態で保持したうえ、一対の枠部材を押し付けて端面同士を圧着するので、枠部材の表面に樹脂が隆起することができず、筒状である枠部材の内部に樹脂が巻き込まれる形で一対の枠部材が圧着されることになり、枠部材の構造によっては所望の接合強度が得られなくなる。
【0007】
より詳しく言えば次の通りである。枠部材の構造とは、例えば枠部材が筒状で、内層と外層との積層構造である場合である。この場合に特許文献2の手法を使用すると、外層同士が枠部材の内部に巻き込まれる形になり、圧着面においては外層同士が接合する形で一対の枠部材同士は圧着される。一方、この場合に特許文献1の手法を使用すると、外層同士が隆起する形となり、内層同士が接合する形で一対の枠部材同士は圧着される。そして樹脂枠の特性を起因として外層同士の接合強度が内層同士の接合強度よりも弱い場合には、特許文献2の製造方法は、特許文献1の製造方法よりも、一対の枠部材の接合強度が弱くなる。
【0008】
上記した問題は、樹脂枠の枠状に限らず、樹脂枠の構造によっては別の部分にも生ずることがある。例えば
図6に示す樹脂枠は、矩形枠状の樹脂枠本体と、樹脂枠本体の上下の枠部材における長手方向の中間部に架設される方立(架設部材)とを備える構造である。この構造の場合、架設部材は、樹脂枠本体の枠状をより小さな枠状に分割する形に架設される。またこの構造は、架設部材の端面と枠部材の長手方向の中間部における接合面とが圧着されたものである。
【0009】
本発明は上記実情を考慮して創作されたもので、その目的は、枠部材や架設部材を圧着させて樹脂枠を形成する場合に、切除工程を不要とし、美観と接合強度をできる限り向上させることである。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明の樹脂枠の製造方法は、複数本の枠部材が互いの端面において圧着されて枠状に組み合わされた樹脂枠を対象とする。
そして本発明の樹脂枠の製造方法は、一対の枠部材の端面同士の間にヒータを非接触状態又は接触状態で配置し、端面をヒータで加熱する加熱工程と、一対の枠部材の端面から設定範囲の端部を圧着代として圧着することによって、圧着代の樹脂が隆起部になる圧着工程とを備える。
圧着代の設定範囲は、記端面における外周の少なくとも一部に当該端面から0.6mm±0.4mmの範囲であり且つ将来的に切除しない非切除範囲を備える。
そのうえで隆起部のうち非切除範囲の部分は、その隆起高さの最大値を隆起部への隣接部の表面を基準面として0.8mm以下にしてある。
0.8mmは理想とする美観を提供するための限界値である。
【0011】
また本発明の樹脂枠の製造方法は、上記した構造の樹脂枠以外にも適用できる。
すなわち本発明の樹脂枠の製造方法は、複数本の枠部材が枠状に組み合わされた樹脂枠本体と、樹脂枠本体の枠状がより小さな枠状に分割される形で樹脂枠本体の内周面側に架設された架設部材とを備える樹脂枠を対象とする。しかも樹脂枠は、架設部材の端面と枠部材の長手方向の中間部における接合面とが圧着されたものである。
そして本発明の樹脂枠の製造方法は、架設部材の端面と枠部材の接合面の間にヒータを非接触状態又は接触状態で配置し、端面と接合面をヒータで加熱する加熱工程と、端面と接合面から設定範囲の端部を圧着代として圧着することによって、圧着代の樹脂が隆起部になる圧着工程とを備える。
圧着代の設定範囲は、端面と接合面における外周の少なくとも一部に端面と接合面から0.6mm±0.4mmの範囲であり且つ将来的に切除しない非切除範囲を備える。
そのうえで隆起部のうち非切除範囲の部分は、その隆起高さの最大値を隆起部への隣接部の表面を基準面として0.8mm以下にしてある。
【0012】
本発明は樹脂枠の製造方法に限らず、樹脂枠をも対象とする。
本発明の樹脂枠は、複数本の枠部材が枠状に組み合わせられたものを前提とする。そして一対の枠部材は互いの端面が圧着された圧着跡としての隆起部を備える。そのうえで隆起部のうち端面における外周の少なくとも一部は、その表面の全体が圧着跡を示す隆起によって形成された隆起面であると共に、その体積が圧着前の一対の枠部材の端面における前記一部から0.6±0.4mmの範囲の体積に相当し、且つその隆起高さの最大値を隆起部への隣接部の表面を基準面として0.8mm以下にしてある。
【0013】
また上記樹脂枠は、隆起部のうち当該一部の表面の全体が隆起面だけで形成される場合であるが、本発明の樹脂枠はそれに限らない。
すなわち本発明の別の樹脂枠も複数本の枠部材が枠状に組み合わせられたものを前提とする。そして一対の枠部材は互いの端面が圧着された圧着跡としての隆起部を備える。そのうえで隆起部のうち端面における外周の少なくとも一部は、その表面の全体が圧着跡を示す隆起によって形成された隆起面と隆起面を均した均し面との複合面で形成されると共に、その体積が圧着前の一対の枠部材の端面における前記一部から0.6±0.4mmの範囲の体積に相当し、且つその隆起高さの最大値を隆起部への隣接部の表面を基準面として0.8mm以下にしてある。
【0014】
また本発明の樹脂枠は、上記樹脂枠とは別の構造の樹脂枠をも対象とする。
すなわち本発明の別の樹脂枠は、複数本の枠部材が枠状に組み合わされた樹脂枠本体と、樹脂枠本体の枠状がより小さな枠状に分割される形で樹脂枠本体の内周面側に架設された架設部材とを備える。しかもこの樹脂枠は、架設部材の端面と枠部材の長手方向の中間部における接合面とが圧着されたものである。以上の構造を本発明の別の樹脂枠は前提とする。
そして枠部材と架設部材は互いの端面と接合面が圧着された圧着跡としての隆起部を備える。そのうえで隆起部のうち端面と接合面における外周の少なくとも一部は、その表面の全体が圧着跡を示す隆起によって形成された隆起面であると共に、その体積が圧着前の一対の枠部材の端面と接合面における前記一部から0.6±0.4mmの範囲の体積に相当し、且つその隆起高さの最大値を隆起部への隣接部の表面を基準面として0.8mm以下にしてある。
【0015】
樹脂枠と架設部材とを備える構造の樹脂枠は、上記内容では隆起部のうち当該一部の表面の全体が隆起面だけで形成される場合であるが、本発明の樹脂枠はそれに限らない。
すなわち本発明の別の樹脂枠は、樹脂枠と架設部材とを備える構造を前提とする。そして枠部材と架設部材は互いの端面と接合面が圧着された圧着跡としての隆起部を備える。そのうえで隆起部のうち端面と接合面における外周の少なくとも一部は、その表面の全体が圧着跡を示す隆起によって形成された隆起面と隆起面を均した均し面との複合面であると共に、その体積が圧着前の一対の枠部材の端面と接合面における前記一部から0.6±0.4mmの範囲の体積に相当し、且つその隆起高さの最大値を隆起部への隣接部の表面を基準面として0.8mm以下にしてある。
【発明の効果】
【0016】
本発明の樹脂枠の製造方法は、枠状の樹脂枠を製造する場合に、加熱工程では圧着代を加熱すればよく、しかも枠部材の端面とヒータとは接触状態又は非接触状態なので、加熱工程では枠部材の端面がヒータに押し付けられることがなく、例えば従来の特許文献1の製造方法における加熱工程のような圧着代を加熱するために端部(加熱代)を押し潰すことが無くなり、それ故に従来の特許文献1の製造方法よりも隆起部を小さくできる。しかも本発明の樹脂枠の製造方法は、圧着工程では隆起部のうち非切除範囲の部分において一対の枠部材の端面から0.6mm±0.4mmの範囲の端部を圧着代とし、隆起部の隆起高さの最大値を0.8mm以下とするので、隆起部のうち非切除範囲の部分においては切除工程を不要としながらも、樹脂枠の美観と一対の枠部材の接合強度とをその圧着代の寸法と隆起高さの最大値に対応させた形で兼備する。
【0017】
本発明の樹脂枠の製造方法は、樹脂枠本体と架設部材とを備える樹脂枠を製造する場合も、枠状の樹脂枠を製造する場合と同じ効果を有する。
【0018】
本発明の樹脂枠は、本発明の樹脂枠の製造方法と同様の理由で、切除工程を不要としながらも、樹脂枠の美観と隆起部を形成する部材同士の接合強度とを兼備するものである。
【図面の簡単な説明】
【0019】
【
図1】(a)~(c)図は本発明の第一実施形態の樹脂枠の製造方法を工程順に示す説明図である。
【
図2】本発明の第二実施形態の樹脂枠の製造方法のうち最後の工程を示す説明図である。
【
図3】本発明の第一実施形態の樹脂枠を示す正面図である。
【
図5】本発明の第三実施形態の樹脂枠を示す正面図である。
【
図6】本発明の第四実施形態の樹脂枠を示す正面図である。
【
図8】(a)~(c)図は本発明の第五実施形態の樹脂枠に用いる枠部材の端面を示す斜視図、(a)図のA方向から見た枠部材の端面、(a)図のB方向から見た枠部材を示す図面である。
【発明を実施するための形態】
【0020】
本発明の第一実施形態の樹脂枠1の製造方法は
図3に示すように樹脂枠1の角部を形成するために2本の枠部材2を用いる。なお樹脂枠1は本実施形態では、4本の枠部材2を用いて、前後方向から見て角部を含む枠状の一例としての矩形に形成されるものとする。また前後方向から見て樹脂枠1に対しその内側には前後を仕切る図示しない仕切部材を配置する。なお仕切部材は、樹脂枠1に対し開閉可能に取り付けられる建具(戸・障子)であっても良いし、樹脂枠1に対し固定される板、いわゆる嵌め殺しのガラスのようなものであっても良い。なお本実施形態では仕切部材は障子(引き違いの障子)であるものとし、樹脂枠1は窓枠であるものとする。
【0021】
また4本の枠部材2は各々の端面を突き合わせた状態で矩形に組み合わせられる。そして前後方向から見ると、4本のうち2本の枠部材2は上下方向に延びると共に左右方向に間隔をあけて対向している。また残りの2本の枠部材2は左右方向に延びると共に上下方向に間隔をあけて対向している。そのうえで枠部材2の端面は枠部材2が一直線に延びる方向(長手方向)に対して傾斜している。角部において一対の枠部材2の端面同士は圧着によって接合され一体化されていることから、圧着面2aとしての端面は樹脂枠1の状態では確認できないが、概念上では存在する。
図3の拡大図ではこの概念上の圧着面2aが破線で示されており、その傾斜角度は、前後方向から見て上下方向及び左右方向に対して45度の角度となっている。
【0022】
なお以下では、樹脂枠1の外形を見る方向、つまり
図3を基準にして次のように方向を定める。
前後方向とは、
図3では紙面に直交する方向である。前方向とは、紙面に直交する方向のうち手前を向く方向である。後ろ方向とは、紙面に直交する方向のうち奥側を向く方向である。左右方向・上下方向は、
図3で見た通りの方向である。
【0023】
枠部材2は
図4に示すように中空であり、より詳しく言えば、空間部が枠部材2の長手方向に貫通する形状、つまり筒状である。図では、枠部材2は、2枚の仕切部材を配置するために樹脂枠1の内側に向かって開口する2つの開口溝2dを前後方向に並列する形で備えている。開口溝2dは枠部材2の長手方向に貫通している。
また枠部材2は熱可塑性樹脂を成形したものである。熱可塑性樹脂は一例として塩化ビニル・アクリル樹脂・ポリプロピレン等が挙げられる。枠部材2の成形方法は、押出成形・射出成形等の熱可塑性樹脂を成形する方法である。また枠部材2は、筒状である枠部材2の内側を形成する内層21と、内層21の表面を覆う外層22とを備えるもので、積層構造である。つまり内層21と外層22とは重なり合って一体化されたものである。また内層21と外層22とは異なる樹脂であり、外層22には内層21よりも硬質の樹脂を用いることが望ましい。例えば内層21にはPVC(ポリ塩化ビニル)、外層22にはアクリル樹脂を用いる。また内層21は外層22よりも層の厚みを厚くしてある。
【0024】
上記した枠部材2を用いた本発明の第一実施形態の樹脂枠1の製造方法は以下の1)~3)の工程を備えるものである。なお実際の製造方法では、枠部材2を中空形状とし、しかも一対の枠部材2を直交する方向に押し付けて圧着するが、
図1では実際の製造方法を簡略化し、枠部材2を板形状とし、そのうえで一対の枠部材2を一直線になる状態で押し付けて圧着してある。
【0025】
1)第一の工程は、端面が長手方向に対して45度の角度で傾斜している4本の枠部材2を準備し、図示しないクランプ装置で枠部材2をクランプする準備工程である。枠部材2の端面はその全体が面一(同一の平面上に位置する形)となっているものとする。クランプする箇所は枠部材2のうち長手方向の端部よりも中央側である。この準備工程では
図1(a)に示すように、一対の枠部材2とヒータ3を加熱に適さない距離だけ離れた位置、つまり待機位置に保持する。
【0026】
2)第二の工程は、矩形の角部において隣り合わせる予定の一対の枠部材2の端面同士の間にヒータ3を配置し、当該端面を加熱する加熱工程である。加熱工程は本実施形態では一対の枠部材2の端面同士の間にヒータ3を非接触状態で、言い換えれば隙間Gを介して配置し、当該端面を非接触状態で加熱する非接触加熱工程である。具体的にはクランプ装置をヒータ3に対して相対的に移動させることによってヒータ3に対して一対の枠部材2を接近させ、一対の枠部材2の端面とヒータ3とを非接触加熱に適した隙間Gだけ離れた位置、つまり加熱位置に保持し、枠部材2の端面を所定時間加熱する。この場合、ヒータ3に対してその両側に隙間Gがそれぞれ形成されるが、本実施形態では、2つの隙間Gは同じ距離にしてある。
【0027】
枠部材2の端面が前記したように45度の角度で傾斜しているので、非接触加熱工程では、枠部材2の傾斜した端面とヒータ3の加熱面とが平行になる状態で、枠部材2の端面を加熱し、当該端面から設定範囲の端部を圧着代23として機能する程度に加熱する。なおヒータ3としては、例えば赤外線ヒータで、加熱面を平面とする形状のものを用いる。
加熱時間終了後に一対の枠部材2に対してヒータ3を相対的に移動させて、一対の端面同士の間からヒータ3を遠ざける。
【0028】
3)第三の工程は
図1(c)に示すように、一対の枠部材2の端面から設定範囲の端部を圧着代23として圧着することによって、角部を形成すると共に圧着代23の樹脂が隆起部24になる圧着工程である。具体的には一対の枠部材2を互いに端面が接近する方向に移動させて端面同士を突き合わせ、その後に圧着代23だけ一対の枠部材2を当該方向に移動させる。なお本実施形態では第三の工程は、隆起部24のうち非切除範囲の部分について枠部材2に対する加工工程として最終工程とする。
【0029】
設定範囲は、枠部材2の端面から長手方向に0.6mm±0.4mm離れた位置と当該端面との間の範囲、つまり枠部材2の端面から0.6mm±0.4mmの範囲であり、本実施形態では枠部材2の端面の全体が面一であるので、枠部材2の端面の外周の全部(全地点)から同一寸法離れた範囲である。そして設定範囲は本実施形態では、枠部材2の端面における外周の全部において将来的に切除しない非切除範囲になる。
【0030】
隆起部24は本実施形態では角部における端面(圧着面2a)の外周の全部に形成される。隆起部24は、角部における一対の枠部材2の端面が圧着された圧着跡である。つまり隆起部24はその表面の全体が圧着跡を示す圧着時の隆起によって形成された隆起面である。そして圧着跡であることは、隆起部24の表面から検証可能である。例えば、角部の表面を観察した場合に隆起部24の表面全体における切削跡の有無、或いは隆起部24の隆起形状が自然か否か、樹脂枠1の角部を切断して断面を観察した場合(以下では「断面観察」という。)に外層22と内層21との重なり具合が正常であるか否かである。より詳しく言えば、圧着跡である場合は、切削跡が無く、隆起部24の隆起形状が自然であり、断面観察した場合に外層22と内層21との重なり具合が正常である。また隆起部24とは、当該角部への隣接部における枠部材2の表面を基準面とし、当該基準面よりも外側にはみ出した部分である。ちなみに
図1,2には基準面を枠部材2の長手方向に延長した延長面Sが一点鎖線で示されている。この延長面Sよりも外側にはみ出した部分が隆起部24である。また隆起部24は、外層22の表面側(枠部材2の筒状の外面側)だけでなく、内層21の表面側(枠部材2の筒状の内面側)にも形成される。
【0031】
隆起部24は、枠部材2の筒状の内面側と外面側において、角部において樹脂枠1の周方向に隣り合う一対の小隆起部25を備える。当該一対の小隆起部25のうち一方は一方の枠部材2に形成され、当該一対の小隆起部25のうち他方は他方の枠部材2に形成される。また一対の小隆起部25は、枠部材2の概念上の圧着面2aを中心にしてほぼ対称的な形状となっている。
【0032】
隆起部24は圧着代23の量に相当する大きさである。より詳しく言えば、本実施形態では枠部材2が筒状であり、隆起部24が枠部材2の外層22の表面側(外面側)と内層21の(表面側)内面側にも形成されるので、内外の一対の隆起部24を合算した量が隆起部24の総量であり、圧着代23の量に相当する。
圧着代23の量とは、本実施形態では隆起部24が角部における枠部材2の端面(圧着面2a)の外周の全部に形成されていることから、圧着前の枠部材2の端面の面積×圧着代23の寸法である。より具体的には次の通りである。本実施形態では角部における一対の枠部材2の端面が前後方向から見て左右方向と上下方向に対して45度傾斜した面なので、樹脂枠1の枠部材2を45度傾斜した角度で切断すると、この45度傾斜した端面の面積×圧着代23の寸法が圧着代23の量となる。圧着代23の量は隆起部24の体積に相当する。そして隆起部24の体積は、圧着前の一対の枠部材2の端面から0.6±0.4mmの範囲の体積に相当する。ちなみに圧着前の枠部材2の端面は圧着後には実際に確認できないが、樹脂枠1の隆起部24の発生状態から推測できる。
【0033】
また上記した圧着代23の量の隆起部24は、その隆起高さHの最大値が隆起部24への隣接部の表面を基準面として0.8mm以下である。0.8mmは前記したように理想とする美観を提供するための限界値である。ただし本実施形態の樹脂枠1は窓枠であり、窓枠の場合、前後方向から見て内周を形成する面(内周面)は、それ以外の面よりも視認され難い面である。しかも本実施形態の窓枠は仕切部材として障子が内周面の開口溝2dに配置される。そうすると、開口溝2dは内周面の中でもより視認され難い部分となる。開口溝2dに形成される隆起部24は、その隆起高さの最大値が隆起部24への隣接部の表面を基準面として0.8mm以下である。一方、開口溝2d以外の部分に形成される隆起部24は、その隆起高さの最大値が隆起部24への隣接部の表面を基準面として0.5mm以下にすることが望ましい。なお開口溝2d以外の部分とは、内周面のうち開口溝2dを含まない部分と窓枠の前後面と外周面とであり、その中でも特に窓枠の前後面と外周面は窓枠の内周面よりも視認され易いので、隆起部24への隣接部の表面を基準面として0.5mm以下にすることが望ましい。
【0034】
そして外層22側から見て、隆起部24は一対の小隆起部25の間であって内層21が露出する幅Wの最大値を0.5mm以下、望ましくは0.2mm以下にしてある。0.2mmは理想とする美観を提供するための値である。前後方向から枠部材2を見て、幅Wは圧着前の枠部材2の端面に対して90度交差する方向の寸法である。そして第三の工程の後、クランプ装置から枠部材2を外すことによって、樹脂枠1が完成する。
【0035】
上記した本発明の第一実施形態の樹脂枠1の製造方法は、枠状の樹脂枠1を製造する例であり、枠状の角部を形成するための加熱工程では圧着代23を加熱すればよく、しかも枠部材2の端面とヒータ3とは非接触状態なので、加熱工程では枠部材2の端面がヒータ3に押し付けられることがなく、例えば従来の特許文献1の製造方法における加熱工程のような圧着代を加熱するために端部(加熱代)を押し潰すことが無くなり、それ故に従来の特許文献1の製造方法よりも隆起部24を小さくできる。しかも本発明の第一実施形態の樹脂枠1の製造方法は、圧着工程では隆起部24の設定範囲の全部を非切除範囲とし、且つ一対の枠部材2の端面から0.6mm±0.4mmの範囲の端部を圧着代23とし、隆起部24の隆起高さHの最大値を0.8mm以下とするので、隆起部24の全部において切除工程を不要としながらも、樹脂枠1の美観と一対の枠部材2の接合強度とをその圧着代23の寸法と隆起高さHの最大値に対応させた形で兼備する。
【0036】
また本発明の第一の樹脂枠1の製造方法は、非接触加熱工程を採用し、枠部材2の端面をヒータ3から離した状態で圧着代23を加熱するので、枠部材2の端面とヒータ3を接触した状態で圧着代23を加熱した場合に比べてヒータ3が汚れずに済む。
【0037】
しかも本発明の第一実施形態の樹脂枠1の製造方法は、枠部材2を内層21と外層22とを備える積層構造にすると共に、外層22側から見て、隆起部24のうち内層21が露出する幅Wの最大値を0.5mm以下、望ましくは0.2mm以下にするので、樹脂枠1の理想とする美観を提供できる。
【0038】
また上記製造方法により製造された樹脂枠1は、切除工程を不要としながらも、樹脂枠1の美観と隆起部24を形成する枠部材2同士の接合強度とを兼備するものである。
【0039】
本発明の樹脂枠1の第二実施形態の樹脂枠1の製造方法は、
図2に示すように第一実施形態の樹脂枠1の製造方法の後(第三の工程の後)に第四の工程を備えるものである。
【0040】
第四の工程は、隆起部24のうち非切除範囲の部分について枠部材2に対する加工工程として最終工程とする。第四の工程は
図2に示すように、隆起部24を抑えて均す均し工程であり、隆起部24の幅Wを狭くするために行われる。均し工程によって内層21が露出する幅Wの最大値を0.2mm以下に且つ圧着工程直後の状態よりも狭くし、隆起部24の隆起高さHを圧着工程直後の状態よりも低くする。
ちなみに均し工程の前に内層21が露出する幅Wの最大値が0.2mmよりも大きく且つ0.5mm以下である場合には、均し工程の後に内層21が露出する幅Wの最大値が0.2mm以下になる。均し工程の前に内層21が露出する幅Wの最大値が0.2mm以下の場合には、均し工程の後には均し工程の前よりも狭くなる。
均し工程は、具体的には図示しない抑え部材を隆起部24の外層22の表面側から枠部材2に向かって押し付けることによって行われる。そうすると、隆起部24のうち端面における外周の全周は、その表面の全体が隆起面と均し面との複合面22aで形成される。図では隆起面と均し面との区別が付かない形になっているが、抑え部材の抑え面が平面であれば、均し面は平面となり、隆起面は曲面となることが想定されるので、隆起面と均し面とが区別できる。なお第四の工程の後、クランプ装置から枠部材2を外すことによって、樹脂枠1が完成する。
【0041】
本発明の第二実施形態の樹脂枠1の製造方法は、圧着工程の後に、隆起部24を抑えて均すと共に内層21が露出する幅Wの最大値を0.2mm以下にする均し工程を備えるので、樹脂枠1の美観が向上する。
【0042】
本発明の第三実施形態の樹脂枠1Aの製造方法は
図5に示すように上方に向かってコの字状に開口する形の部分とその開口を塞ぐ円弧状の部分とを含む形の枠状に樹脂枠1Aを対象とする。
樹脂枠1Aは、三本の一直線に延びる枠部材2と、一本の円弧状に延びる枠部材2Aとで2つの角部を含む枠状に組み合わされている。
より詳しく言えば樹脂枠1Aは、上下左右の4本の枠部材2を備える。左右の枠部材2と下側の枠部材2とは一直線に延びる形状として、それぞれ直角に突き合わせて角部を形成するように圧着しつつ、残りの一本の上側の枠部材2を円弧形状、より具体的には左右の両端から左右の中央に向かって上方に膨らむ形の円弧状として、上側の枠部材2の両端と左右の枠部材2の上端とを角部を形成しないように圧着する。
そして樹脂枠1Aの角部を形成するか否かに関わらず、隣り合う一対の枠部材2,2は前記した実施形態の加熱工程・圧着工程を経て、その端面同士が圧着される。
【0043】
本発明の第四実施形態の樹脂枠1Bの製造方法は
図6,7に示すように、4本の枠部材2が矩形の枠状に組み合わされた樹脂枠本体11と、樹脂枠本体11の枠状が角部を含むより小さな枠状に左右に分割される形で樹脂枠本体11の内周面側に架設された架設部材4とを備える樹脂枠1Bを対象とする。
前後方向から見ると、枠部材2の接合面は樹脂枠1Bの内面において凹んだV字状の凹面である。一方、前後方向から見ると、架設部材4の端面も枠部材2の接合面に対応した形で突出するV字状の凸面である。つまり枠部材2の接合面としての凹面と架設部材4の端面としての凸面とは互いの長手方向に対して傾斜した斜面である。
接合面は架設部材4の端面と同じ形状をしている。
また枠部材2は、1枚の仕切部材を配置するために樹脂枠1Bの内側に向かって開口する1つの開口溝2dを備えている。しかも枠部材2は単層構造であり、且つ中実である。中実とは、枠部材2の内部が全て樹脂で満たされた状態である。
このような枠部材2と架設部材4とを準備し、クランプ装置で枠部材2と架設部材4とをクランプするのが準備工程である。
そして上記した実施形態での加熱工程・圧着工程を経て凹面と凸面とが圧着される。加熱工程で用いるヒータ3は図示しないが、凸面と凹面とのV字状に対応した形状である。ちなみに圧着工程では、枠部材2の接合面(凹面)からその長手方向に離れた位置と凹面との間の範囲を枠部材2の接合面(凹面)から設定範囲の端部とし、架設部材4の端面(凸面)からその長手方向に離れた位置と凸面との間の範囲を架設部材4の端面(凸面)から設定範囲の端部とする。
【0044】
本発明の第五実施形態の樹脂枠1の製造方法は
図8に示すように、端面が外周の全周に亘って面一でなく、凸凹した段付き形状の枠部材2Bを用いるものである。図では上下方向に延びる枠部材2Bと左右方向に延びる枠部材2Bとが離れた状態で示されており、このような枠部材2Bの端面同士を圧着して、樹脂枠1の角部を形成する。
枠部材2Bの端面は本実施形態では、端面の外周の一部2jが残部2kに対して相対的に凹んだ凹面2jとなり、残部2kが凹面2jに対して相対的に突出した凸面2kとなっている。また枠部材2Bの端面は凹面2jと凸面2kとが段差状に配置された面である。そして本実施形態では前後方向から見て、凹面2jと凸面2kは上下方向と左右方向に対して45度傾斜した面であるものとする。
【0045】
圧着代23となる枠部材2Bの端面から設定範囲の端部とは、前後方向からみて、凸面2kから平行に且つ1.0mmよりも長手方向に離れた位置と当該凸面2kとの間の範囲であり、且つ凹面2jから平行に且つ0.6mm±0.4mmの範囲で長手方向に離れた位置と当該凹面2jとの間の範囲を満たす端部である。そして凹面2jから設定範囲の端部を非切除範囲の端部とし、凸面2kから設定範囲の端部を任意の切除範囲とする。
【0046】
つまり本実施形態では、圧着工程の後に、隆起部24のうち非切除範囲の端部から形成される部分については切除加工せず、隆起部24のうち任意の切除範囲の端部から形成される部分については溶着強度を重視する場合にはそのままにし、美観を重視する場合には切除する。そして切除する場合には、溶着工程の後に切除工程が行われる。
【0047】
本発明は上記実施形態に限定されるものではなく、その趣旨を逸脱しない範囲において適宜変更可能である。
【0048】
また樹脂枠1,1A,1Bの外形は上記した第一・第四実施形態では矩形であったが、本発明ではこれに限らず、図示しないが、三角形、或いは五角形以上の多角形であっても良いし、それ以外にも例えば図示しないが、角部を全く含まない円形状等であっても良い。
【0049】
また均し工程は上記実施形態では圧着工程後に行われていたが、本発明ではこれに限らず、圧着工程と同時期に行われるものでも良い。この場合、圧着工程では、圧着代23の樹脂が隆起すると想定される箇所に抑え部材を枠部材2,2Bや架設部材4から設定距離だけ離して予め配置しておく。
【0050】
また本発明の樹脂枠1,1A,1Bの製造方法は、本実施形態では準備工程と非接触加熱工程とは連続して行われるものであったが、本発明ではこれに限らず、準備工程と非接触工程の間に別の工程を備えるものであっても良い。例えば準備工程でクランプした枠部材2,2Bの端面や架設部材4の接合面が理想とする状態から外れている場合もあり、この場合には事前に理想とする状態に端面等を切削する事前切削工程を準備工程と非接触加熱工程の間に備えるものであっても良い。
理想とする状態から外れている場合とは、1)当初から(クランプ装置でクランプする前のときから)枠部材2,2B等の全長が理想とする長さよりも僅かに長い場合、2)当初から枠部材2,2Bの端面等が理想とする角度、例えば45度から僅かに外れている場合、3)準備工程でクランプ装置によって枠部材2,2B等をクランプしたときに枠部材2,2Bの端面等の角度が理想とする角度から僅かに外れていたりする場合等である。
【0051】
また加熱工程は、上記実施形態ではヒータ3と枠部材2,2Bの端面や架設部材4の接合面とを隙間Gのある状態で配置し、その状態で端面等を加熱する非接触加熱工程であったが、本発明はこれに限られず、ヒータ3と枠部材2,2Bの端面等を隙間Gの無い状態、つまり接触する状態で配置し、その状態で端面等を加熱する接触加熱工程であっても良い。ただし接触加熱工程の場合、ヒータ3と枠部材2,2Bの端面等を接触する状態で配置した後には、枠部材2,2Bをヒータ3に対して押し付けるように相対的に移動させることは無い。
【0052】
また第四実施形態では架設部材4の端面はV字状の凸面とし、枠部材2の接合面はV字状の凹面としていたが、本発明ではこれに限らず、架設部材4の端面は架設部材4自身の長手方向に対して直交する平面とし、枠部材2の接合面も架設部材4の端面に対応する平面としても良い。
【符号の説明】
【0053】
1,1A,1B 樹脂枠
2,2A,2B 枠部材
2a 圧着面
2d 開口溝
2j 一部(凹面)
2k 残部(凸面)
11 樹脂枠本体
21 内層
22 外層
22a 複合面
23 圧着代
24 隆起部
25 小隆起部
3 ヒータ
4 架設部材
G 隙間
H 隆起高さ
S 延長面
W 幅