(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022078423
(43)【公開日】2022-05-25
(54)【発明の名称】企業情報検索装置、企業情報検索方法および企業情報検索プログラム
(51)【国際特許分類】
G06Q 50/10 20120101AFI20220518BHJP
【FI】
G06Q50/10
【審査請求】有
【請求項の数】7
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2020189092
(22)【出願日】2020-11-13
(11)【特許番号】
(45)【特許公報発行日】2021-08-18
(71)【出願人】
【識別番号】520445990
【氏名又は名称】IP Nexus株式会社
(71)【出願人】
【識別番号】519022458
【氏名又は名称】Patentfield株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000028
【氏名又は名称】特許業務法人明成国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】新阜 秀朗
(72)【発明者】
【氏名】村上 直也
【テーマコード(参考)】
5L049
【Fターム(参考)】
5L049CC12
(57)【要約】 (修正有)
【課題】技術情報を用いて、未上場企業を含む企業の種々の情報を容易に検索する企業情報検索装置を提供する。
【解決手段】企業情報検索装置10において、検索キーワードとしての技術情報を取得する取得部F1、取得した技術情報を用いて検索技術条件を決定する決定部F2、決定した検索技術条件に対応する企業情報を検索する検索部F3及び検索した企業情報を出力する出力部F4を備える。
【選択図】
図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
企業情報検索装置であって、
検索キーワードとしての技術情報を取得する取得部と、
取得した前記技術情報を用いて検索技術条件を決定する決定部と、
決定した前記検索技術条件に対応する企業情報を検索する検索部と、
検索した前記企業情報を出力する出力部と、を備える、企業情報検索装置。
【請求項2】
請求項1に記載の企業情報検索装置において、
前記技術情報には、少なくとも固有の製品名称、一般的な製品名称および一般的な技術名称の少なくとも一つが含まれ、
前記検索技術条件の決定は、少なくとも、前記固有の製品名称に関連する一般的な技術名称、一般的な製品名称に関連する一般的な技術名称、または前記一般的な技術名称に関連する固有または一般的な製品名称、および技術情報に関連する詳細技術情報のいずれか一つを用いて関連する知的財産情報を決定することを含み、
前記企業情報の検索は、決定された前記知的財産情報を前記検索技術条件として用いて対応する企業情報を検索することを含む、企業情報検索装置。
【請求項3】
請求項2に記載の企業情報検索装置において、
前記詳細技術情報は、製品または技術を構成する要素技術の情報、製品または技術の分類の情報を含む、企業情報検索装置。
【請求項4】
請求項3に記載の企業情報検索装置において、
前記知的財産情報には、特許の出願に関する公開情報が含まれる、企業情報検索装置。
【請求項5】
請求項1から4のいずれか一項に記載の企業情報検索装置において、
前記企業情報には、企業が関わる市場の情報が含まれている、企業情報検索装置。
【請求項6】
請求項1から5のいずれか一項に記載の企業情報検索装置において、
前記企業情報には、企業の財務情報が含まれている、企業情報検索装置。
【請求項7】
企業情報検索方法であって、
検索キーワードとしての技術情報を取得し、
取得した前記技術情報を用いて検索技術条件を決定し、
決定した前記検索技術条件に対応する企業情報を検索し、
検索した前記企業情報を出力する、企業情報検索方法。
【請求項8】
企業情報検索プログラムであって、
検索キーワードとしての技術情報を取得するための機能と、
取得した前記技術情報を用いて検索技術条件を決定するための機能と、
決定した前記検索技術条件に対応する企業情報を検索するための機能と、
検索した前記企業情報を出力するための機能とをコンピュータによって実現させる、企業情報検索プログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、技術情報を用いて企業情報を検索するための技術に関する。
【背景技術】
【0002】
財務情報を始めとする種々のデータベースを用いて企業の事業情報を検索する手法が知られている。また、公開された技術情報から、企業の事業段階を推定するための方法が提案されている(例えば、特許文献1)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【0004】
しかしながら、一般的に、未上場の企業や個人事業主の財務情報はデータ化されておらず、従来の手法によっては、未上場の企業や個人事業主を含む企業の事業情報を検索することは容易ではなかった。また、技術情報は、一般的に製品情報と直接結びついていないことが多く、技術情報を用いて企業の市場の情報や製品情報を検索することは容易でなかった。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
したがって、技術情報を用いて、未上場企業を含む企業の種々の情報を容易に検索することが望まれている。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記課題の少なくとも一部を解決するために、本開示は以下の種々の態様を採る。
第1の態様は、企業情報検索装置を提供する。第1の態様に係る企業情報検索装置は、検索キーワードとしての技術情報を取得する取得部と、取得した前記技術情報を用いて検索技術条件を決定する決定部と、決定した前記検索技術条件に対応する企業情報を検索する検索部と、検索した前記企業情報を出力する出力部と、を備える。
【0007】
第1の態様に係る企業情報検索装置によれば、検索キーワードとしての技術情報を用いて検索技術条件を決定し、決定した検索技術条件に対応する企業情報を検索し、検索した企業情報を出力するので、技術情報を用いて、未上場企業を含む企業の種々の情報を容易に検索することができる。
【0008】
第1の態様に係る企業情報検索装置において、前記技術情報には、少なくとも固有の製品名称、一般的な製品名称および一般的な技術名称の少なくとも一つが含まれ、前記検索技術条件の決定は、少なくとも、前記固有の製品名称に関連する一般的な技術名称、一般的な製品名称に関連する一般的な技術名称、または前記一般的な技術名称に関連する固有または一般的な製品名称、および技術情報に関連する詳細技術情報のいずれか一つを用いて関連する知的財産情報を決定し、前記企業情報の検索は、決定された前記知的財産情報を前記検索技術条件として用いて対応する企業情報を検索することを含んでも良い。この場合には、未上場企業の情報を含み得る知的財産情報を用いて企業情報を検索することができる。
【0009】
第1の態様に係る企業情報検索装置において、前記詳細技術情報は、製品または技術を構成する要素技術の情報、製品または技術の分類の情報を含んでも良い。この場合には、製品または技術の特定精度を向上させることができる。
【0010】
第1の態様に係る企業情報検索装置において、前記知的財産情報には、特許の出願に関する公開情報が含まれても良い。この場合には、未上場企業の情報を含み得る知的財産情報をより容易に検索することができる。
【0011】
第1の態様に係る企業情報検索装置において、前記企業情報には、企業が関わる市場の情報が含まれていても良い。この場合には、技術情報と企業の市場の情報とを関連付けた企業情報を検索することができる。
【0012】
第1の態様に係る企業情報検索装置において、前記企業情報には、企業の財務情報が含まれていても良い。この場合には、技術情報と企業の財務情報とを関連付けた企業情報を検索することができる。
【0013】
第2の態様は、企業情報検索方法を提供する。第2の態様に係る企業情報検索方法は、検索キーワードとしての技術情報を取得し、取得した前記技術情報を用いて検索技術条件を決定し、決定した前記検索技術条件に対応する企業情報を検索し、検索した前記企業情報を出力することを備える。
【0014】
第2の態様に係る企業情報検索方法によれば、検索キーワードとしての技術情報を用いて検索技術条件を決定し、決定した検索技術条件に対応する企業情報を検索し、検索した企業情報を出力するので、技術情報を用いて、未上場企業を含む企業の種々の情報を容易に検索することができる。
【0015】
第3の態様は、企業情報検索プログラムを提供する。第3の態様に係る企業情報検索プログラムは、検索キーワードとしての技術情報を取得するための機能と、取得した前記技術情報を用いて検索技術条件を決定するための機能と、決定した前記検索技術条件に対応する企業情報を検索するための機能と、検索した前記企業情報を出力するための機能とをコンピュータによって実現させる。
【0016】
第3の態様に係る企業情報検索プログラムによれば、検索キーワードとしての技術情報を用いて検索技術条件を決定し、決定した検索技術条件に対応する企業情報を検索し、検索した企業情報を出力するので、技術情報を用いて、未上場企業を含む企業の種々の情報を容易に検索することができる。第3の態様に係る企業情報検索プログラムは、コンピュータ読み取り可能な媒体、たとえば、CD、DVD、ブルーレイディスク、半導体メモリに格納されていても良い。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【
図1】第1の実施形態に係る企業情報検索装置および企業情報検索装システムの一例を示す説明図。
【
図2】第1の実施形態に係る企業情報検索装置を機能部によって示す説明図。
【
図3】第1の実施形態に係る企業情報検索装置の機能的な内部構成を示すブロック図。
【
図4】第1の実施形態に係る企業情報検索装置における検索手順の概念を説明する説明図。
【
図11】第1の実施形態に係る企業情報検索装置によって実行される企業情報検索処理の各処理ステップを示すフローチャート。
【発明を実施するための形態】
【0018】
以下、本開示に係る、企業情報検索装置、企業情報検索方法および企業情報検索プログラムについて、図面を参照しつつ、実施形態に基づいて説明する。
【0019】
第1の態様形態:
図1は、第1の実施形態に係る企業情報検索装置10を含む企業情報検索システム100の一例を示している。企業情報検索システム100において、企業情報検索装置10は、ネットワークNTを介して、クライアントコンピュータ30およびクライアント端末35、外部サーバ41、42と接続されている。
【0020】
クライアントコンピュータ30およびクライアント端末35は、操作者によって、キーボード32、352や図示しないポインティングデバイスを通じて入力された企業情報を検索するための検索キーワードとしての技術情報を受け付けるコンピュータである。本実施形態において、技術情報には、少なくとも製品に固有の製品名称、製品の一般的な製品名称、および一般的な技術名称が含まれる。固有の製品名称は、製品に対して付されている標章、商標といった企業独自の製品の名称である。一般的な製品名称は、製品を指し示す名称として、企業を問わず広く用いられている名称であり、一般的な製品名称によって一の製品が特定され得る。一般的な技術名称は、複数の個別製品の集合により実現される技術を示す名称として、企業を問わず用いられている名称であり、一般的な製品名称によって一の技術または一の技術を実現するための製品群が特定され得る。クライアントコンピュータ30およびクライアント端末35は、入力された技術情報を含む検索要求を、ネットワークNTを介して企業情報検索装置10に対して送信する。クライアントコンピュータ30は、検索結果を表示するための表示装置31を備えている。クライアント端末35は、例えば、タブレット端末であり、検索結果を表示するための表示部351を備えている。クライアントコンピュータ30およびクライアント端末35は、有線または無線にてネットワークNTと接続されている。
【0021】
外部サーバ41、42は、例えば、企業が所有する企業外部からアクセス可能なサーバコンピュータである。本実施形態において、外部サーバ41、42は、企業の最新情報、製品情報、市場情報、財務情報、拠点情報といった様々な企業情報を外部に向けて発信するために備えられているサーバコンピュータである。
【0022】
企業情報検索装置10は、ネットワークNTを介して、クライアントコンピュータ30およびクライアント端末35から受信した検索キーワードとしての技術情報を用いて、該当する企業情報を検索する検索サーバコンピュータである。企業情報検索装置10は、例えば、AIサーバコンピュータであり、各検索条件に対応する検索ルールや検索パターンといった抽出や抽出した検索ルールや検索パターンに適した検索キーワードからの特徴量の抽出をコンピュータ自身で実行し、検索キーワードに対する検索結果の適切さの程度を向上させる。より具体的には、AIサーバコンピュータは、機械学習や深層学習といった学習技術により構築された学習モデルを用いて検索を実行する。機械学習や深層学習は後述する周知の手法により実行され得る。この結果、企業情報検索装置10は、後述するように、検索キーワードである技術情報の曖昧さを吸収または排除して、検索キーワードに対して適合性の高い検索結果、すなわち、企業情報を検索または抽出を実現することが可能となり、企業情報の検索精度を向上させることができる。
【0023】
企業情報検索装置10は、リレーショナルデータベースを用いて企業情報を検索しても良い。企業情報検索装置10は、固有の製品名称、一般的な製品名称および一般的な技術名称の少なくともいずれか一つと技術情報とを関連付けるリレーショナルデータベース、技術情報と詳細技術情報とを関連付けるリレーショナルデータベース、製品または技術を構成する要素技術の情報および製品または技術の分類情報に少なくともいずれか一つと詳細技術情報とを関連付けるリレーショナルデータベースといったデータベース(DB)を格納する記憶装置であるデータベース装置20と接続されていても良い。データベース装置20は、データベース装置20は、企業情報検索装置10にローカルに接続されていても良く、あるいは、ネットワークNTを介してリモートに接続されても良い。企業情報検索装置10は、クローリング技術を用いて、外部サーバ41、42から随時、技術に関する情報を取得し、固有の製品名称、一般的な製品名称および一般的な技術名称の学習、製品または技術を構成する要素技術の情報および製品または技術の分類情報の学習、を実行することによって、データベース装置20のコンテンツを更新しても良い。学習によりデータベース装置20のコンテンツを更新することによって、技術情報の曖昧さの解消精度を向上させることができる。さらには、データベース装置20が演算部や記憶部と備え、自立的にコンテンツの更新を行っても良い。これら学習についても、教師あり、教師なしの周知の学習手法が適用され得る。
【0024】
図2は第1の実施形態に係る企業情報検索装置10を機能部によって示す説明図である。企業情報検索装置10は、取得部F1、決定部F2、検索部F3および出力部F4を備えている。取得部F1は、入力部352または入力装置32を介して検索キーワードとして入力された技術情報を、クライアントコンピュータ30またはクライアント端末35から取得する。決定部F2は、取得部F1によって取得された技術情報を用いて、企業情報の検索に用いる技術的な属性条件である、検索技術条件を決定する。検索部F3は、決定した検索技術条件を用いて、検索技術条件に対応する企業情報を検索する。出力部F4は、検索の結果、得られた企業情報をクライアントコンピュータ30またはクライアント端末35に出力する。検索結果としての企業情報は、表示部351または表示装置31に表示される。なお、企業情報検索装置10に対して検索キーワードを送信するクライアントコンピュータ30またはクライアント端末35と、企業情報を受信するクライアントコンピュータ30またはクライアント端末35とは、異なっていても良い。
【0025】
図3は第1の実施形態に係る企業情報検索装置10の機能的な内部構成を示すブロック図である。企業情報検索装置10は、中央処理装置(CPU)101、メモリ102、入出力インタフェース103、および図示しないクロック発生器を備えている。CPU101、メモリ102、入出力インタフェース103およびクロック発生器は内部バス104を介して双方向に通信可能に接続されている。メモリ102は、技術情報を用いて企業情報を検索するための企業情報検索プログラムPr1を不揮発的且つ読み出し専用に格納するメモリ、例えばROMと、CPU101による読み書きが可能なメモリ、例えばRAMとを含んでいる。メモリ102がハードディスクドライブ(HDD)またはソリッドステートドライブ(SSD)といった大容量記憶装置を含む場合には、データベース装置20に含まれているリレーショナルデータベースまたは当該リレーショナルデータベースの内頻度の高いコンテンツが格納されていても良い。この場合には、より高速なリレーショナルデータベース参照を実現することができる。CPU101、すなわち、企業情報検索装置10は、メモリ102に格納されている企業情報検索プログラムPr1を読み書き可能なメモリに展開して実行することによって、取得部F1、決定部F2、検索部F3および出力部F4として機能する。なお、CPU101は、単体のCPUであっても良く、各プログラムを実行する複数のCPUであっても良く、あるいは、複数のプログラムを同時実行可能なマルチタスクタイプあるいはマルチスレッドタイプのCPUであっても良い。なお、取得部F1、決定部F2、検索部F3および出力部F4は、論理回路としてハードウェア的に実現されても良い。
【0026】
入出力インタフェース103は、企業情報検索装置10と、他の各種装置とを接続するために用いられる物理的および論理的な無線または有線のインタフェースであり、たとえば、USB端子、LAN端子、シリアルバス端子といった公知の端子または各無線プロトコルに準じた無線受信部として実現され得る。第1の実施形態において、入出力インタフェース103には、例えば、ネットワークNTを介して、クライアントコンピュータ30、クライアント端末35、データベース装置20、外部サーバ41、42がそれぞれ信号線を介してまたは無線により接続されている。なお、企業情報検索装置10は、サーバコンピュータとしてではなく、サーバを要せず企業情報検索が可能なローカルコンピュータまたはローカル端末として実現されても良い。この場合には、
図1に示すクライアントコンピュータ30やクライアント端末35が
図3に示す企業情報検索プログラムPr1を格納し、実行すれば良く、入出力インタフェース103には、表示装置/表示部31/351、入力装置/入力部32/352、データベース装置20が接続され得る。
【0027】
図4は第1の実施形態に係る企業情報検索装置10における検索手順の概念を説明する説明図である。企業情報検索装置10において取得される検索キーワードである技術情報には、固有または一般的な製品名称、あるいは、一般的な技術名称が含まれている場合、製品名称および技術名称が含まれていない場合がある。検索キーワードとして、製品名称が含まれている場合には、対応する技術名称が決定される。製品名称としては、例えば、
図5に示すように、ソリッドステートドライブ、ハードディスクドライブおよび光ディスクドライブ(製品グループA)や、制動装置、操舵装置および動力装置(製品グループB)が挙げられる。これらの製品名称は、複数の企業や一の技術分野において一の製品を指し示すために共通して用いられる一般的な名称である。これに対して、特定の企業において、他の企業の製品と区別して自社の製品を指し示すため用いられる標章や商標は、固有の製品名称に該当する。なお、固有の製品名称には、製品型番、製品型式等の製品を一意に特定する情報が含まれ得る。また、固有の製品名称は、登録商標に該当する可能性があるので、例示は省略する。技術名称としては、例えば、
図6に示すように、記憶装置および大容量記憶装置(技術グループA)や、運転支援システムおよび自動運転システム(技術グループB)が挙げられる。これらの技術名称は、複数の企業や一の技術分野において特定の技術を指し示すために共通して用いられる一般的な名称である。これに対して、特定の企業において、他の企業の技術と区別して自社の技術を指し示すため用いられる標章や商標は、固有の技術名称に該当する。なお、固有の技術名称は、登録商標に該当する可能性があるので、例示は省略する。なお、特許請求の範囲における技術名称には、一般的な技術名称に加えて固有の技術名称が含まれても良い。
【0028】
技術名称を用いて製品名称を決定するための機械学習の一例について以下に説明する。例えば、特許公開公報や特許公報には、一般的に、技術分野に関する記載が含まれており、また、産業上の利用可能性に関する記載が含まれている場合がある。これらの記載には、具体的な発明の用途や製品に関する情報が含まれている。特許公開公報や特許公報に記載されている用途、製品名称や製品情報と、特許請求の範囲または明細書の記載を組み合わせて所定の分類学習を行うことにより、検索キーワードとして用いられ得る特定の技術テキスト情報から製品の用途分類情報を推定可能なモデルを構築することができる。具体的には、技術テキスト情報に対し分かち書きを行い、TF-IDF等のbag of wordsや所定の文エンコーディング技術を用いて特徴ベクトル化した後、用途の記載から抽出した製品名称を教師ラベルにしてSVMや決定木、勾配ブースティングなどの機械学習手法や、LSTM、Transformerなどの深層学習手法といった、種々の分類アルゴリズムを利用することができる。なお、製品名称を用いて技術名称を決定するためのモデルや、製品名称および技術名称を用いて詳細技術情報を決定するためのモデルも同様に構築できる。
【0029】
検索キーワードとして、製品名称および技術名称を含まない技術情報、例えば、「書き込みが早い」、「耐衝撃性が高い」、「ぶつからない車」といったキーワード、が取得された場合には、企業情報検索装置10は、技術情報に対応する製品名称および技術名称を決定する。例えば、「書き込みが早い」といった技術情報の場合、記憶装置という技術名称が特定され、さらに、ソリッドステートドライブという製品名称が特定される。製品名称および技術名称を含まない技術情報、すなわち、検索キーワードと、製品名称および技術名称との対応付けは、データベース装置20にリレーショナルデータベースとして格納されており、既述の機械学習や深層学習といった学習によって対応付けの精度が向上される。
【0030】
製品名称および技術名称が決定されると、企業情報検索装置10は、製品名称および技術名称に対応する詳細技術情報を決定しても良い。詳細技術情報には、製品または技術を構成する要素技術の情報、製品または技術の分類情報が含まれ、要素技術および分類情報の少なくともいずれか一方が特定される。より具体的な要素技術や分類情報を決定することによって、さらに厳密に検索キーワードに関連する関連技術を特定することができる。技術名称、特には、技術グループAに対応する要素技術Aとしては、例えば、
図7に示すように、磁性体、ピックアップ、駆動装置およびダンパー(要素技術A1)、半導体、基板および駆動回路(要素技術A2)が挙げられる。要素技術Aは、製品グループAに対応し、より具体的には、要素技術A1はハードディスクドライブに対応し、要素技術A2はソリッドステートドライブに対応する。技術グループBに対応する要素技術Bとしては、例えば、
図8に示すように、キャリパー、ローター、アクチュエータ、および制動制御装置(要素技術B1)、燃料噴射装置、バルブ駆動装置、点火装置および内燃機関制御装置(要素技術B2)が挙げられる。要素技術Bは、製品グループBに対応し、より具体的には、要素技術B1は制動装置に対応し、要素技術B2は動力装置に対応する。分類情報としては、特許における国際特許分類やFターム、意匠における国際意匠分類、商標における商品・サービス国際分類が用いられ得る。なお、検索キーワードとしての技術情報に、要素技術名や分類情報が含まれている場合には、要素技術名や分類情報を用いて、製品名称および技術名称を決定することにより、より上位の概念での企業情報の検索が可能となる。
図5~
図8に示す、製品名称、技術名称および要素技術は、相互に関連付けられており、いずれか一つが検索キーワードとして用いられる場合であっても、残りの情報を特定または決定することができる。これらの相互の関連付けは、定期的にまたは不定期的に学習によって更新され、特定または決定の精度の向上が図られている。
【0031】
企業情報検索装置10は、決定または特定された技術名称、製品名称および詳細技術情報を用いて、関連する知的財産情報を決定し、決定した知的財産情報に含まれる情報を検索技術条件として用いる。知的財産情報は、例えば、特許出願の公開情報であり、より具体的には、
図9に示すように、日本国内および日本国外における特許公報、登録公報および公開公報が知的財産情報に含まれる。登録公報には、実用新案登録公報、意匠登録公報および商標登録公報が含まれ、公開公報には、特許出願公開公報および実用新案出願公開公報が含まれる。企業情報検索装置10は、決定または特定された技術名称、製品名称および詳細技術情報を用いて、例えば、関連する知的財産情報として、1以上の公開公報を決定し、公開公報に含まれている、出願人情報、発明者情報を検索技術条件に決定する。出願人情報および発明者情報には、少なくとも、出願人名または発明者名、および国籍のいずれか一つが含まれる。
【0032】
企業情報検索装置10は、検索技術条件に対応する企業情報を検索する。より具体的には、企業情報検索装置10は、決定された出願人名と一致する名称の企業を検索し、企業情報の検索結果として出力する。企業情報には、企業名の他に、
図10に示すように、例えば、企業が関わる市場の情報、企業の財務情報、関連企業情報および拠点情報が含まれ得る。企業が関わる市場情報は、例えば、企業の主たる製品市場または今後展開予定の市場、すなわち、国や地域に関する情報であり、企業の財務情報は、例えば、企業の決算情報であり、関連企業情報は、例えば、提携企業、企業の子会社またはサプライヤーに関する情報であり、拠点情報は、例えば、企業の支社や工場の所在地に関する情報である。企業名を除くこれら企業情報は、例えば、外部サーバ41、42によって提供される企業の情報から取得され得る。
【0033】
第1の実施形態に係る企業情報検索装置10によって実行される、企業情報検索処理について説明する。
図11は第1の実施形態に係る企業情報検索装置10によって実行される企業情報の検索処理の各処理ステップを示すフローチャートである。より具体的には、CPU101が、企業情報検索プログラムPr1を実行することによって実現される。
【0034】
CPU101は、クライアントコンピュータ30またはクライアント端末35から検索キーワードとしての技術情報を取得する(ステップS100)。CPU101は、製品名称と技術名称との関係の決定は、既述の通り予めデータベース装置20に格納されているリレーショナルデータベースを用いて実行される。新製品名称や新技術名称、あるいは、製品名称および技術名称以外の検索キーワードについては、リレーショナルデータベースを用いて対応する製品名称および技術名称が推定される。企業情報検索装置10により実行されるこの推定、すなわち、決定は、ネットワークNTを通じた学習によって更新され、推定精度が向上される。CPU101は、製品名称および技術名称を用いて詳細技術情報を決定する。なお、製品名称、技術名称および詳細技術情報のいずれか一つのみ、あるいは、任意の組み合わせが用いられても良い。なお、検索キーワードに対する製品名称、技術名称および詳細技術情報の決定は、既述のモデルを用いて実行されても良い。
【0035】
CPU101は、決定した製品名称、技術名称および詳細技術情報を用いて検索技術条件を決定する(ステップS102)。具体的には、知的財産情報を検索して、出願人情報や発明者情報を取得し、検索技術条件に設定する。知的財産情報としては、少なくとも特許公開公報が検索される。特許公開公報は、企業規模や、株式市場への上場や非上場と関係なく、一般的に公開されており、製品名称、技術名称および詳細技術情報を含む特許公開公報は容易にまた効率的に検索され得る。例えば、特許公開公報に開示されている、発明の名称、特許請求の範囲および明細書の記載事項として、製品名称、技術名称および詳細技術情報の少なくともいずれか一つを含む一または複数の特許公開公報を特定し、特定した各特許公開公報の出願人情報、例えば、出願人の名称、住所、国籍が取得される。特許公開公報の記載事項と、製品名称、技術名称および詳細技術情報との一致には、例えば、完全一致、部分一致、概念一致が含まれ、いずれの一致レベルを一致と判定するかの判定レベルは設定可能である。また、一致の判定レベルの精度は、企業情報検索装置10において実行される学習によって向上され得る。一致判定の結果は、企業情報の検索結果とは別に提供されても良く、操作者が提供された一致判定の結果を評価することによって判定レベル精度の向上が図られても良い。なお、特許公開公報の他に、実用新案登録公報、意匠登録公報、商標登録公報が検索されても良い。
【0036】
CPU101は、決定した検索技術条件を用いて企業情報を検索する(ステップS104)。具体的には、検索技術条件、例えば、出願人である企業名を用いて、ネットワークNTに接続されている外部サーバ41、42を検索し、当該企業名を含む情報を企業情報として取得する。特定され得る企業情報は、既述の通りである。CPU101は、検索した企業情報、すなわち、特定した企業情報を出力し(ステップS106)、本処理ルーチンを終了する。具体的には、企業情報検索装置10は、検索要求を受けた、クライアントコンピュータ30またはクライアント端末35に対して、検索結果として、特定した企業情報を送信する。企業情報には、企業ごとに、企業が関わる市場の情報、企業の財務情報、関連企業情報および拠点情報の少なくともいずれか一つが含まれ。送信された企業情報は、クライアントコンピュータ30の表示装置31、または、クライアント端末35の表示部351に表示される。なお、検索結果として得られた企業情報を用いて、更なる情報検索が実行され得る構成とされても良い。
【0037】
以上説明した、第1の実施形態に係る企業情報検索装置10によれば、検索キーワードとして入力された技術情報を用いて、企業情報を取得することができる。より具体的には、第1の実施形態に係る企業情報検索装置10は、技術情報を用いて検索技術条件として知的財産情報を決定し、知的財産情報を用いて企業情報を検索するので、未上場企業を含む企業の種々の情報を容易に検索することができる。すなわち、知的財産情報は、企業規模や株式市場への上場や非上場といった経済的側面とは関係なく、出願人情報を開示しており、技術情報と知的財産情報とを用いることによって、企業規模に左右されることなく、技術的に優れた、あるいは、技術的に興味のある企業の検索を実現することができる。この結果、例えば、新規事業の企画や事業拡張に際して、技術情報および知的財産情報の観点から国内外のアライアンス先候補、サプライヤー候補を見つけることができる。
【0038】
一般的に、技術情報は、製品情報とは直接結びついていないことが多く、技術情報から製品情報ベースの正確な分析を行うのは、専門知識や膨大な時間が必要であった。これに対して、第1の実施形態に係る企業情報検索装置10によれば、具体的な製品情報を用いることなく、技術情報を用いて未上場を含む企業または事業者の情報を検索することができる。
【0039】
第1の実施形態に係る企業情報検索装置10において、知的財産情報として、特許公報や登録公報が用いられる場合には、権利化された知的財産情報に基づいて企業情報が取得されるので、検索キーワードに対する企業の事業性評価、すなわち、技術情報に対応する製品の販売リスクを適確に行うことができる。
【0040】
その他の実施形態:
(1)第1の実施形態においては、検索技術条件として知的財産情報を用いているが、製品名称、技術名称および製品名称および技術名称以外の技術情報を直接用いて、外部サーバ41、42を検索することによって、企業情報が検索されても良い。この場合であっても、技術情報を用いて企業情報の検索が実行されるので、企業規模や株式市場への上場または非上場の影響を受けることなく、企業情報を検索することができる。
【0041】
(2)第1の実施形態において、企業情報検索装置10が学習に用いるコンテンツには、企業が発信するプレスリリースやSNSの発信情報が含まれていても良い。プレスリリースには、広告目的のため特許番号や特許出願番号と製品に関する情報が含まれていることがある。そこで、特許番号や特許出願番号を用いて、プレスリリースに含まれる製品情報と特許番号や特許出願番号に対応する公報のテキスト情報を組み合わせて分類学習することにより、公報に記載されている特許明細書の記載態様から製品名称を推定が可能な機械学習モデルが構築されても良い。
【0042】
(3)知的財産情報には、侵害訴訟における訴訟記録や、当該侵害訴訟に関する解説が含まれていても良い。訴訟記録にはイ号物件の具体的な製品名称と請求項との対比、認定情報が含まれている。例えば、イ号:ソリッドステートドライブ、請求項:半導体装置。請求項の技術的記載内容を教師、具体的な製品名称を教師とする分類学習を行うことにより、請求項の記載内容から製品名称を推定が可能な機械学習モデルが構築されても良い。
【0043】
(4)第1の実施形態においては、説明のために、技術情報の取得から検索技術条件の決定までを分割して説明しているが、技術情報を入力とし、検索技術条件を出力とする学習モデルが構築されても良い。
【0044】
以上、実施形態に基づき本開示について説明してきたが、上記した実施の形態は、本開示の理解を容易にするためのものであり、本開示を限定するものではない。本開示は、その趣旨並びに特許請求の範囲を逸脱することなく、変更、改良され得ると共に、本開示にはその等価物が含まれる。
【符号の説明】
【0045】
10…企業情報検索装置、20…データベース装置、30…クライアントコンピュータ、35…クライアント端末、41、42…外部サーバ、F1…取得部、F2…決定部、F3…検索部、F4…出力部。
【手続補正書】
【提出日】2021-05-12
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
企業情報検索装置であって、
検索キーワードとしての技術情報を取得する取得部と、
取得した前記技術情報を用いて検索技術条件を決定する決定部と、
決定した前記検索技術条件に対応する企業情報を検索する検索部と、
検索した前記企業情報を出力する出力部と、を備え、
前記検索技術条件の決定は、技術情報に関連する詳細技術情報を用いて関連する知的財産情報を決定することを含み、前記詳細技術情報は、製品または技術を構成する要素技術の情報、製品または技術の分類の情報を含み、
前記企業情報の検索は、決定された前記知的財産情報を前記検索技術条件として用いて対応する企業情報を検索することを含む、企業情報検索装置。
【請求項2】
請求項1に記載の企業情報検索装置において、
前記技術情報には、少なくとも固有の製品名称、一般的な製品名称および一般的な技術名称の少なくとも一つが含まれ、
前記検索技術条件の決定は、さらに、少なくとも、前記固有の製品名称に関連する一般的な技術名称、一般的な製品名称に関連する一般的な技術名称、および前記一般的な技術名称に関連する固有または一般的な製品名称のいずれか一つを用いて関連する知的財産情報を決定することを含み、
前記企業情報の検索は、決定された前記知的財産情報を前記検索技術条件として用いて対応する企業情報を検索することを含む、企業情報検索装置。
【請求項3】
請求項1または2に記載の企業情報検索装置において、
前記知的財産情報には、特許の出願に関する公開情報が含まれる、企業情報検索装置。
【請求項4】
請求項1から3のいずれか一項に記載の企業情報検索装置において、
前記企業情報には、企業が関わる市場の情報が含まれている、企業情報検索装置。
【請求項5】
請求項1から4のいずれか一項に記載の企業情報検索装置において、
前記企業情報には、企業の財務情報が含まれている、企業情報検索装置。
【請求項6】
コンピュータによって実行される企業情報検索方法であって、
検索キーワードとしての技術情報を取得し、
取得した前記技術情報を用いて検索技術条件を決定し、
決定した前記検索技術条件に対応する企業情報を検索し、
検索した前記企業情報を出力することを備え、
前記検索技術条件を決定することは、技術情報に関連する詳細技術情報を用いて関連する知的財産情報を決定することを含み、前記詳細技術情報は、製品または技術を構成する要素技術の情報、製品または技術の分類の情報を含み、
前記企業情報を検索することは、決定された前記知的財産情報を前記検索技術条件として用いて対応する企業情報を検索することを含む、企業情報検索方法。
【請求項7】
企業情報検索プログラムであって、
検索キーワードとしての技術情報を取得するための機能と、
取得した前記技術情報を用いて検索技術条件を決定するための機能と、
決定した前記検索技術条件に対応する企業情報を検索するための機能と、
検索した前記企業情報を出力するための機能とをコンピュータによって実現させ、
前記検索技術条件を決定するための機能は、技術情報に関連する詳細技術情報を用いて関連する知的財産情報を決定するための機能を含み、前記詳細技術情報は、製品または技術を構成する要素技術の情報、製品または技術の分類の情報を含み、
前記企業情報を検索するための機能は、決定された前記知的財産情報を前記検索技術条件として用いて対応する企業情報を検索するための機能を含む、企業情報検索プログラム。