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特開2022-78446撮像装置、または撮像装置を備えた電子機器
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022078446
(43)【公開日】2022-05-25
(54)【発明の名称】撮像装置、または撮像装置を備えた電子機器
(51)【国際特許分類】
   H01L 27/146 20060101AFI20220518BHJP
【FI】
H01L27/146 D
H01L27/146 A
【審査請求】未請求
【請求項の数】10
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2020189127
(22)【出願日】2020-11-13
(71)【出願人】
【識別番号】307012067
【氏名又は名称】株式会社 Rosnes
(72)【発明者】
【氏名】山口 琢己
【テーマコード(参考)】
4M118
【Fターム(参考)】
4M118AA05
4M118AB01
4M118BA14
4M118FA06
(57)【要約】      (修正有)
【課題】撮像装置で生成される画像の上下や左右において、画素に入射する斜め光の影響で生成される偽信号電荷が信号保持部に混入することで発生する画像の不均一現象(シェーディング現象)が小さい撮像装置及びこの撮像装置を備える電子機器を提供する。
【解決手段】受光部2と、信号保持部3-1~4を少なくとも1つ有する画素が、平面上に周期的に配置されている撮像装置において、撮像領域を垂直方向に2分割する上下軸と、撮像領域を水平方向に2分割する左右軸との交点を中心として、画素を構成する受光部・信号保持部の位置関係が上下軸に対して線対称の関係、かつ、画素を構成する受光部・信号保持部の位置関係は、左右軸に対して線対称の関係にあり、対称関係にある信号保持部からの信号の検出はそれぞれ共通の動作期間に行われる。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
入射光を光電変換して信号電荷を発生させる受光部と、
前記受光部から転送された前記信号電荷を保持する信号保持部と
を有する画素が、
前記受光部の面積重心点を含む画素水平線に対して上方に配置された上方信号保持部、
前記画素水平線に対して下方に配置された下方信号保持部、
受光部の面積重心点を含む画素垂直線に対して右方に配置された右方信号保持部、
前記垂直線に対して左方に配置された左方信号保持部
を有し、
前記画素の単位となる形状が複数の頂点を持ち、
平面上に周期的に配置されている
撮像装置において、
撮像領域を垂直方向に2分割する上下軸と、
前記撮像領域を水平方向に2分割する左右軸と
の交点を中心として、
前記上下軸より右側の領域で且つ前記左右軸の上の領域である第1の領域、
前記上下軸より右側の領域で且つ前記左右軸の下の領域である第2の領域、
前記上下軸より左側の領域で且つ前記左右軸の上の領域である第3の領域、
前記上下軸より左側の領域で且つ前記左右軸の下の領域である第4の領域、
の4つの領域に前記撮像領域を分割する場合に、
前記第1の領域の画素の上方信号保持部と前記第2の領域の画素の下方信号保持部の動作期間が共通であり、
前記第1の領域の画素の下方信号保持部と前記第2の領域の画素の上方信号保持部の動作期間が共通であり、
前記第3の領域の画素の上方信号保持部と前記第4の領域の画素の下方信号保持部の動作期間が共通であり、
前記第3の領域の画素の下方信号保持部と前記第4の領域の画素の上方信号保持部の動作期間が共通であり、
前記第1の領域の画素の右方信号保持部と前記第3の領域の画素の左方信号保持部の動作期間が共通であり、
前記第1の領域の画素の左方信号保持部と前記第3の領域の画素の右方信号保持部の動作期間が共通であり、
前記第2の領域の画素の右方信号保持部と前記第4の領域の画素の左方信号保持部の動作期間が共通であり、
前記第2の領域の画素の左方信号保持部と前記第4の領域の画素の右方信号保持部の動作期間が共通である、
ことを特徴とする撮像装置。
【請求項2】
入射光を光電変換して信号電荷を発生させる受光部と、
前記受光部から転送された前記信号電荷を保持する信号保持部と
を有する画素が、
前記受光部の面積重心点を含む画素水平線に対して上方に配置された上方信号保持部、
前記画素水平線に対して下方に配置された下方信号保持部、
を有し、
前記画素の単位となる形状が複数の頂点を持ち、
平面上に周期的に配置されている
撮像装置において、
撮像領域を垂直方向に2分割する上下軸と、
前記撮像領域を水平方向に2分割する左右軸と
の交点を中心として、
前記上下軸より右側の領域で且つ前記左右軸の上の領域である第1の領域、
前記上下軸より右側の領域で且つ前記左右軸の下の領域である第2の領域、
前記上下軸より左側の領域で且つ前記左右軸の上の領域である第3の領域、
前記上下軸より左側の領域で且つ前記左右軸の下の領域である第4の領域、
の4つの領域に前記撮像領域を分割する場合に、
前記第1の領域の画素の上方信号保持部と前記第2の領域の画素の下方信号保持部の動作期間が共通であり、
前記第1の領域の画素の下方信号保持部と前記第2の領域の画素の上方信号保持部の動作期間が共通であり、
前記第3の領域の画素の上方信号保持部と前記第4の領域の画素の下方信号保持部の動作期間が共通であり、
前記第3の領域の画素の下方信号保持部と前記第4の領域の画素の上方信号保持部の動作期間が共通である
ことを特徴とする撮像装置。
【請求項3】
入射光を光電変換して信号電荷を発生させる受光部と、
前記受光部から転送された前記信号電荷を保持する信号保持部と
を有する画素が、
受光部の面積重心点を含む画素垂直線に対して右方に配置された右方信号保持部、
前記垂直線に対して左方に配置された左方信号保持部
を有し、
前記画素の単位となる形状が複数の頂点を持ち、
平面上に周期的に配置されている
撮像装置において、
撮像領域を垂直方向に2分割する上下軸と、
前記撮像領域を水平方向に2分割する左右軸と
の交点を中心として、
前記上下軸より右側の領域で且つ前記左右軸の上の領域である第1の領域、
前記上下軸より右側の領域で且つ前記左右軸の下の領域である第2の領域、
前記上下軸より左側の領域で且つ前記左右軸の上の領域である第3の領域、
前記上下軸より左側の領域で且つ前記左右軸の下の領域である第4の領域、
の4つの領域に前記撮像領域を分割する場合に、
前記第1の領域の画素の右方信号保持部と前記第3の領域の画素の左方信号保持部の動作期間が共通であり、
前記第1の領域の画素の左方信号保持部と前記第3の領域の画素の右方信号保持部の動作期間が共通であり、
前記第2の領域の画素の右方信号保持部と前記第4の領域の画素の左方信号保持部の動作期間が共通であり、
前記第2の領域の画素の左方信号保持部と前記第4の領域の画素の右方信号保持部の動作期間が共通である
ことを特徴とする撮像装置。
【請求項4】
入射光を光電変換して信号電荷を発生させる受光部と、
前記受光部から転送された前記信号電荷を保持する信号保持部を少なくとも1つ
有する画素が、
前記画素の単位となる形状が複数の頂点を持ち、
平面上に周期的に配置されている
撮像装置において、
撮像領域を垂直方向に2分割する上下軸と、
前記撮像領域を水平方向に2分割する左右軸と
の交点を中心として、
前記上下軸より右側の領域で且つ前記左右軸の上の領域である第1の領域、
前記上下軸より右側の領域で且つ前記左右軸の下の領域である第2の領域、
前記上下軸より左側の領域で且つ前記左右軸の上の領域である第3の領域、
前記上下軸より左側の領域で且つ前記左右軸の下の領域である第4の領域、
の4つの領域に前記撮像領域を分割する場合に、
前記第1の領域の前記画素の前記受光部・信号保持部の位置関係と前記第2の領域の前記画素の前記受光部・信号保持部の位置関係は前記左右軸に対して線対称の関係
前記第3の領域の前記画素の前記受光部・信号保持部の位置関係と前記第4の領域の前記画素の前記受光部・信号保持部の位置関係は前記左右軸に対して線対称の関係
前記第1の領域の前記画素の前記受光部・信号保持部の位置関係と前記第3の領域の前記画素の前記受光部・信号保持部の位置関係は前記上下軸に対して線対称の関係
前記第2の領域の前記画素の前記受光部・信号保持部の位置関係と前記第4の領域の前記画素の前記受光部・信号保持部の位置関係は前記上下軸に対して線対称の関係
にあり、
対称関係にある信号保持部からの信号の検出はそれぞれ共通の動作期間に行われる
ことを特徴とする撮像装置。
【請求項5】
前記上下軸と左右軸、
並びに、
前記第1の領域と前記第2の領域と前記第3の領域と前記第4の領域とを、
前記交点を中心に360度未満の角度で回転して配置した構成を持つ
ことを特徴とする請求項1、請求項2、請求項3または請求項4記載の撮像装置。
【請求項6】
前記回転する角度は、
前記撮像領域の対角線と前記左右軸とが成す角度である
ことを特徴とする請求項5記載の撮像装置。
【請求項7】
前記上方信号保持部と前記下方信号保持部と前記右方信号保持部と前記左方信号保持部とは、
画素の4隅にある
ことを特徴とする請求項1、請求項2または請求項3記載の撮像装置。
【請求項8】
前記垂直軸と前記水平軸の交わる角度が90度である
ことを特徴とする請求項1、請求項2、請求項3または請求項4記載の撮像装置。
【請求項9】
請求項1、請求項2、請求項3または請求項4記載の撮像装置において、
前記受光部の面積重心点の周辺の前記画素については例外として、
前記第1の領域、前記第2の領域、前記第3の領域、前記第4の領域のいずれかに配置されている画素と同一の画素を配置する
ことを特徴とする撮像装置
【請求項10】
前記撮像領域の外周部分についてのみ、
請求項1、請求項2、請求項3または請求項4記載の特徴を備える
ことを特徴とする撮像装置
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、撮像装置に係わり、特に、複数の信号保持部を有する画素が平面上に周期的に配置された撮像装置に関する。また、撮像装置を備えた電子機器に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、カメラに使われる撮像装置の主流はCCDからCMOSイメージセンサへと移りつつある。従来のCCDは、全ての画素において、受光部の電荷を画素内にある垂直CCDに同時に読み出すことができる面順次の読出し方式が実現でき、高速の被写体の撮像時に画像歪が発生しない特徴があった。
【0003】
一方、CMOSイメージセンサでは、面順次の読出し方式を実現するために、画素内に信号保持部を設けたグローバルシャッターCMOSセンサや、画素内に複数の信号保持部を設けた距離センサが開発されている。
【0004】
図8は、受光部の上下左右に信号保持部が配置された従来の画素である。
受光部2の面積重心点で交わる画素水平線5と画素垂直線6に対して、画素水平線5に対して上方の上方信号保持部(3-1)と、画素水平線5に対して下方の下方信号保持部(3-3)と、画素垂直線6に対して右方の右方信号保持部(3-2)と、画素垂直線6に対して左方の左方信号保持部(3-4)が配置されている。
【0005】
上方信号保持部(3-1)の動作は、受光部2の電荷が上方信号保持部(3-1)に移されて保持された後に上方出力部(4-1)から読み出される。下方信号保持部(3-3)と、右方信号保持部(3-2)と、左方信号保持部(3-4)では、同様に、上方信号保持部(3-1)の動作が行われる。このような画素構成は、特許文献1、特許文献2、特許文献3に示めされている。
【0006】
図9は、行列状に画素を配列した従来の撮像装置である。
撮像領域は、垂直方向の上下軸7と水平方向の左右軸8が交差することで、4分割されている。一般的に、撮像領域は長方形や正方形であるため、図9の上下軸7は垂直軸であり、左右軸8は水平軸であり、交差する角度は90度である。
画素1を平面上に周期的に配置された撮像領域は、上下軸7の垂直方向の中間点と、左右軸8の水平方向の中間点とが交わった交差点の位置を中心に、
上下軸7より右側の領域で且つ左右軸8の上の領域であるK領域9、
上下軸7より右側の領域で且つ左右軸8の下の領域であるL領域10、
上下軸7より左側の領域で且つ左右軸8の上の領域であるM領域11、
上下軸7より左側の領域で且つ左右軸8の下の領域であるN領域12、
の4つの領域に分割されている。
【0007】
図10は、4分割された撮像領域の画素の配線図である。
ここでは代表的な動作を説明するため、4分割された撮像領域の各画素を、K領域9の画素13、L領域10の画素14、M領域11の画素15、N領域12の画素16としている。
【0008】
全ての画素で、上方信号保持部(3-1)にはパルス期間P1、下方信号保持部(3-3)にはパルス期間P3と、右方信号保持部(3-2)にはパルス期間P2と、左方信号保持部(3-4)にはパルス期間P4とで、各信号保持部の動作を行う。
上方信号保持部(3-1)に加えられるパルス期間P1では、受光部2の電荷を信号保持部(3-1)へ読み出す動作と、上方信号保持部(3-1)の電荷を出力部(4-1)へ読み出す動作などが行われる。
その他の各信号保持部(3-2、3-3、3-4)では、それぞれのパルス期間(P2、P3、P4)において、上方信号保持部(3-1)のパルス期間P1と同様の動作が行われる。
各パルス期間(P1、P2、P3、P4)は、一部の期間が重なる場合はあっても、基本的に異なる期間となっている。
【0009】
図11は、垂直方向の画素の断面図である。図11は、図10のA-B間の断面図を示している。カメラのような撮像装置を備えた電子機器では、レンズ18を通った光は、レンズ中心と角度θで撮像領域の画素に入射する。入射光は、K領域9の画素に入る光(19-1)と、L領域10の画素に入る光(19-2)とに別れる。
各画素の信号保持部上には、遮光膜17があるため、K領域9の画素に入る光(19-1)の大部分は、K領域9の画素13の受光部2に入る。受光部2に入射した光は、時間t1の間に光電変換されて信号電荷Q1となる。その後、信号電荷Q1は、上方信号保持部(3-1)に読み出され蓄積される。
次の時間t3の時間に受光部2に入射した光は、光電変換されて信号電荷Q3となる。その後、信号電荷Q3は、上方信号保持部(3-3)に移され蓄積される。
【0010】
しかしながら、K領域9の画素に入る光(19-1)は、撮像領域の中心から離れた領域では斜め光となるため、K領域9の画素に入る斜め光(20-1)の一部が、受光部2ではなくK領域9の画素13の上方信号保持部(3-1)に直接入る。このため、K領域9の画素13の上方信号保持部(3-1)では、K領域9の画素に入る斜め光(20-1)による偽信号電荷α1が発生して、K領域9の画素13の上方信号保持部(3-1)は、Q1+α1の電荷となる。
K領域9の画素13の下方信号保持部(3-3)では、K領域9の画素に入る斜め光(20-1)が入らないため、K領域9の画素13の下方信号保持部(3-3)は、Q3のみの電荷となる。
【0011】
一方、L領域10の画素に入る光(19-2)も同様に撮像領域の中心から離れた領域では斜め光となるため、L領域10の画素に入る斜め光(20-2)の一部が、受光部2ではなくL領域10の画素14の下方信号保持部(3-3)に直接入る。このため、L領域10の画素14の下方信号保持部(3-3)では、L領域10の画素に入る斜め光(20-2)による偽信号電荷α3が発生して、L領域10の画素14の下方信号保持部(3-3)は、Q3+α3の電荷となる。
L領域10の画素14の上方信号保持部(3-1)では、L領域10の画素に入る斜め光(20-2)が入らないため、L領域10の画素14の上方信号保持部(3-1)は、Q1のみの電荷となる。
【0012】
図11において、K領域9の画素に入る光(19-1)とL領域10の画素に入る光(19-2)が同じ光量である場合には、
K領域9の画素13の上方信号保持部(3-1)は、Q1+α1
L領域10の画素14の上方信号保持部(3-1)は、Q1
K領域9の画素13の下方信号保持部(3-3)は、Q3
L領域10の画素14の下方信号保持部(3-3)は、Q3+α3
となる。
【0013】
したがって、K領域9とL領域10とでは、同一の上方信号保持部(3-1)で信号電荷量が異なるため、K領域9の画素13の上方信号保持部(3-1)の偽信号電荷のα1だけ多くなる。そのため上方信号保持部(3-1)の信号電荷で作られる画像では、画面の上方の部分が明るくなり、画像の不均一現象(シェーディング現象)の課題が発生する。
【0014】
また、K領域9とL領域10とでは、同一の下方信号保持部(3-3)で信号電荷量が異なるため、L領域10の画素14の下方信号保持部(3-3)の偽信号電荷のα3だけ多くなる。そのため、下方信号保持部(3-3)の信号電荷で作られる画像では、画面の下方の部分が明るくなり、画像の不均一現象(シェーディング現象)の課題が発生する。
【0015】
図12は、水平方向の画素の断面図である。図12は、図10のC-D間の断面図を示している。図12は、図11と同様な現象により水平方向の画像の不均一現象(シェーディング現象)の課題が発生する。
【0016】
M領域11の画素に入る光(21-1)が斜め光であるため、M領域11の画素に入る斜め光(22-1)の一部が、受光部2ではなくM領域11の画素15の左方信号保持部(3-4)に直接入る。このため、M領域11の画素15の左方信号保持部(3-4)では、M領域11の画素に入る斜め光(22-1)による偽信号電荷α4が発生して、M領域11の画素15の左方信号保持部(3-4)は、Q4+α4の電荷となる。
M領域11の画素15の右方信号保持部(3-2)では、M領域11の画素に入る斜め光(22-1)が入らないため、M領域11の画素15の右方信号保持部(3-2)は、Q2のみの電荷となる。
【0017】
一方、K領域9の画素に入る光(21-2)も同様に斜め光であるため、K領域9の画素に入る斜め光(22-2)の一部が、受光部2ではなくK領域9の画素13の右方信号保持部(3-2)に直接入る。このため、K領域9の画素13の右方信号保持部(3-2)では、K領域9の画素に入る斜め光(22-2)による偽信号電荷α2が発生して、K領域9の画素13の右方信号保持部(3-2)は、Q2+α2の電荷となる。
K領域9の画素13の左方信号保持部(3-4)では、K領域9の画素に入る斜め光(22-2)が入らないため、K領域9の画素13の左方信号保持部(3-4)は、Q4のみの電荷となる。
【0018】
図12において、M領域11の画素に入る光(21-1)とK領域9の画素に入る光(21-2)が同じ光量である場合には、
M領域11の画素15の左方信号保持部(3-4)は、Q4+α4
K領域9の画素13の左方信号保持部(3-4)は、Q4
M領域11の画素15の右方信号保持部(3-2)は、Q2
K領域9の画素13の右方信号保持部(3-2)は、Q2+α2
となる。
【0019】
したがって、M領域11とK領域9とでは、同一の左方信号保持部(3-4)で信号電荷量が異なるため、M領域11の画素15の左方信号保持部(3-4)の信号電荷がα4だけ多くなる。そのため左方信号保持部(3-4)の信号電荷で作られる画像では、画面の左方の部分が明るくなる画像の不均一現象(シェーディング現象)の課題が発生する。
【0020】
また、M領域11とK領域9とでは、同一の右方信号保持部(3-2)で信号電荷量が異なるため、K領域9の画素13の右方信号保持部(3-2)の信号電荷がα2だけ多くなる。そのため、右方信号保持部(3-2)の信号電荷で作られる画像では、画面の右方の部分が明るくなる画像の不均一現象(シェーディング現象)の課題が発生する。
【0021】
以上のように、カメラのような撮像装置を備えた電子機器では、撮像領域の上下方向では、レンズ18を通った光が斜めに入るため、画面の上下で画像の不均一現象(シェーディング現象)の課題が発生する。図11図12では、固定レンズの場合を示したが、可動式レンズや、ピンホールレンズの場合でも同様の課題が発生している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0022】
【特許文献1】特開2020-13909
【特許文献2】特開2010-32425
【特許文献3】国際公開番号 WO2014/021417
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0023】
カメラのような撮像装置を備えた電子機器では、撮像装置上に配置されたレンズの影響で、レンズを通して撮像領域に入射する斜め光の角度が、撮像領域の場所によって異なってくる。
特にレンズ中心から遠ざかる撮像領域内の外側領域では、レンズを通して入射する光と撮像領域に垂直な軸とで成される入射角度が大きくなる。
この時、受光部に隣接して複数種類の信号保持部を持つ画素の場合には、信号保持部に斜め光が入射することで偽信号電荷が発生し、信号保持部の信号電荷に混入する。
【0024】
たとえば、受光部の上下左右に隣接して信号保持部が4種類配置されている場合には、
撮像領域の場所によって、信号保持部へ混入する偽信号電荷が異なるため、信号保持部の電荷で作られた画像において、上下左右の画像の不均一現象(シェーディング現象)が発生する課題がある。
【0025】
本発明の目的は、撮像装置で生成される画像の上下や左右において、画素に入射する斜め光の影響で生成される偽信号電荷が信号保持部に混入することで発生する画像の不均一現象(シェーディング現象)が小さい撮像装置を提供するものである。また、この撮像装置を備えた電子機器を提供するものである。
【課題を解決するための手段】
【0026】
入射光を光電変換して信号電荷を発生させる受光部と、
前記受光部から転送された前記信号電荷を保持する信号保持部と
を有する画素が、
前記受光部の面積重心点を含む画素水平線に対して上方に配置された上方信号保持部、
前記画素水平線に対して下方に配置された下方信号保持部、
受光部の面積重心点を含む画素垂直線に対して右方に配置された右方信号保持部、
前記垂直線に対して左方に配置された左方信号保持部
を有し、
前記画素の単位となる形状が複数の頂点を持ち、
平面上に周期的に配置されている
撮像装置において、
撮像領域を垂直方向に2分割する上下軸と、
前記撮像領域を水平方向に2分割する左右軸と
の交点を中心として、
前記上下軸より右側の領域で且つ前記左右軸の上の領域である第1の領域、
前記上下軸より右側の領域で且つ前記左右軸の下の領域である第2の領域、
前記上下軸より左側の領域で且つ前記左右軸の上の領域である第3の領域、
前記上下軸より左側の領域で且つ前記左右軸の下の領域である第4の領域、
の4つの領域に前記撮像領域を分割する場合に、
前記第1の領域の画素の上方信号保持部と前記第2の領域の画素の下方信号保持部の動作期間が共通であり、
前記第1の領域の画素の下方信号保持部と前記第2の領域の画素の上方信号保持部の動作期間が共通であり、
前記第3の領域の画素の上方信号保持部と前記第4の領域の画素の下方信号保持部の動作期間が共通であり、
前記第3の領域の画素の下方信号保持部と前記第4の領域の画素の上方信号保持部の動作期間が共通であり、
前記第1の領域の画素の右方信号保持部と前記第3の領域の画素の左方信号保持部の動作期間が共通であり、
前記第1の領域の画素の左方信号保持部と前記第3の領域の画素の右方信号保持部の動作期間が共通であり、
前記第2の領域の画素の右方信号保持部と前記第4の領域の画素の左方信号保持部の動作期間が共通であり、
前記第2の領域の画素の左方信号保持部と前記第4の領域の画素の右方信号保持部の動作期間が共通である
ことを特徴とする。
【0027】
入射光を光電変換して信号電荷を発生させる受光部と、
前記受光部から転送された前記信号電荷を保持する信号保持部と
を有する画素が、
前記受光部の面積重心点を含む画素水平線に対して上方に配置された上方信号保持部、
前記画素水平線に対して下方に配置された下方信号保持部、
を有し、
前記画素の単位となる形状が複数の頂点を持ち、
平面上に周期的に配置されている
撮像装置において、
撮像領域を垂直方向に2分割する上下軸と、
前記撮像領域を水平方向に2分割する左右軸と
の交点を中心として、
前記上下軸より右側の領域で且つ前記左右軸の上の領域である第1の領域、
前記上下軸より右側の領域で且つ前記左右軸の下の領域である第2の領域、
前記上下軸より左側の領域で且つ前記左右軸の上の領域である第3の領域、
前記上下軸より左側の領域で且つ前記左右軸の下の領域である第4の領域、
の4つの領域に前記撮像領域を分割する場合に、
前記第1の領域の画素の上方信号保持部と前記第2の領域の画素の下方信号保持部の動作期間が共通であり、
前記第1の領域の画素の下方信号保持部と前記第2の領域の画素の上方信号保持部の動作期間が共通であり、
前記第3の領域の画素の上方信号保持部と前記第4の領域の画素の下方信号保持部の動作期間が共通であり、
前記第3の領域の画素の下方信号保持部と前記第4の領域の画素の上方信号保持部の動作期間が共通である
ことを特徴とする。
【0028】
入射光を光電変換して信号電荷を発生させる受光部と、
前記受光部から転送された前記信号電荷を保持する信号保持部と
を有する画素が、
受光部の面積重心点を含む画素垂直線に対して右方に配置された右方信号保持部、
前記垂直線に対して左方に配置された左方信号保持部
を有し、
前記画素の単位となる形状が複数の頂点を持ち、
平面上に周期的に配置されている
撮像装置において、
撮像領域を垂直方向に2分割する上下軸と、
前記撮像領域を水平方向に2分割する左右軸と
の交点を中心として、
前記上下軸より右側の領域で且つ前記左右軸の上の領域である第1の領域、
前記上下軸より右側の領域で且つ前記左右軸の下の領域である第2の領域、
前記上下軸より左側の領域で且つ前記左右軸の上の領域である第3の領域、
前記上下軸より左側の領域で且つ前記左右軸の下の領域である第4の領域、
の4つの領域に前記撮像領域を分割する場合に、
前記第1の領域の画素の右方信号保持部と前記第3の領域の画素の左方信号保持部の動作期間が共通であり、
前記第1の領域の画素の左方信号保持部と前記第3の領域の画素の右方信号保持部の動作期間が共通であり、
前記第2の領域の画素の右方信号保持部と前記第4の領域の画素の左方信号保持部の動作期間が共通であり、
前記第2の領域の画素の左方信号保持部と前記第4の領域の画素の右方信号保持部の動作期間が共通である
ことを特徴とする。
【0029】
入射光を光電変換して信号電荷を発生させる受光部と、
前記受光部から転送された前記信号電荷を保持する信号保持部を少なくとも1つ
有する画素が、
前記画素の単位となる形状が複数の頂点を持ち、
平面上に周期的に配置されている
撮像装置において、
撮像領域を垂直方向に2分割する上下軸と、
前記撮像領域を水平方向に2分割する左右軸と
の交点を中心として、
前記上下軸より右側の領域で且つ前記左右軸の上の領域である第1の領域、
前記上下軸より右側の領域で且つ前記左右軸の下の領域である第2の領域、
前記上下軸より左側の領域で且つ前記左右軸の上の領域である第3の領域、
前記上下軸より左側の領域で且つ前記左右軸の下の領域である第4の領域、
の4つの領域に前記撮像領域を分割する場合に、
前記第1の領域の前記画素の前記受光部・信号保持部の位置関係と前記第2の領域の前記画素の前記受光部・信号保持部の位置関係は前記左右軸に対して線対称の関係
前記第3の領域の前記画素の前記受光部・信号保持部の位置関係と前記第4の領域の前記画素の前記受光部・信号保持部の位置関係は前記左右軸に対して線対称の関係
前記第1の領域の前記画素の前記受光部・信号保持部の位置関係と前記第3の領域の前記画素の前記受光部・信号保持部の位置関係は前記上下軸に対して線対称の関係
前記第2の領域の前記画素の前記受光部・信号保持部の位置関係と前記第4の領域の前記画素の前記受光部・信号保持部の位置関係は前記上下軸に対して線対称の関係
にあり、
対称関係にある信号保持部からの信号の検出はそれぞれ共通の動作期間に行われる
ことを特徴とする。
【0030】
前記上下軸と左右軸、
並びに、
前記第1の領域と前記第2の領域と前記第3の領域と前記第4の領域とを、
前記交点を中心に360度未満の角度で回転して配置した構成を持つ
ことを特徴とする。
【0031】
前記回転する角度は、
前記撮像領域の対角線と前記左右軸とが成す角度である
ことを特徴とする。
【0032】
前記上方信号保持部と前記下方信号保持部と前記右方信号保持部と前記左方信号保持部とは、
画素の4隅にある
ことを特徴とする。
【0033】
前記垂直軸と前記水平軸の交わる角度が90度である
ことを特徴とする。
【0034】
前記受光部の面積重心点の周辺の前記画素については例外として、
前記第1の領域、前記第2の領域、前記第3の領域、前記第4の領域のいずれかに配置されている画素と同一の画素を配置する
ことを特徴とする。
【0035】
前記撮像領域の外周部分についてのみ、
上記に記載の特徴を備える
ことを特徴とする撮像装置
【発明の効果】
【0036】
本発明の撮像装置は、撮像装置で生成される画像の上下や左右において、画素に入射する斜め光の影響で生成される偽信号電荷が信号保持部に混入することで発生する、画像の不均一現象(シェーディング現象)が小さい撮像装置を提供するものである。また、この撮像装置を備えた電子機器を提供するものである。
【図面の簡単な説明】
【0037】
図1】本発明の撮像領域の配線図であって、4分割された撮像領域において、画素の配線が異なる構成を持った撮像装置である。
図2】本発明の垂直方向の画素の断面図である。
図3】本発明の水平方向の画素の断面図である。
図4】4分割された各撮像領域において、異なる信号保持部を配置した画素である画素配置図である。
図5】4分割された各撮像領域において、撮像領域の外周部の画素が、異なる信号 保持部を配置した画素配置図である。
図6】画素の4隅に信号保持部を有する画素である。
図7】4分割された撮像領域において、画素の4隅に信号保持部有する画素に対して、異なる配線を行っている画素配置図である。
図8】受光部の上下左右に信号保持部が配置された従来の画素である。
図9】行列状に画素を配列した従来の撮像装置である。
図10】4分割された撮像領域の画素の配線図である。
図11】垂直方向の画素の断面図である。
図12】水平方向の画素の断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0038】
撮像装置で生成される画像の上下や左右において、画素に入射する斜め光の影響で生成される偽信号電荷が信号保持部に混入することで発生する、画像の不均一現象(シェーディング現象)が小さい撮像装置を提供する。以下に本発明の実施の形態を添付図面に基づいて説明する。
【実施例0039】
図1は、本発明の撮像領域の配線図であって、4分割された撮像領域において、分割された撮像領域毎に画素の配線が異なる構成を持った撮像装置である。垂直方向の上下軸7と水平方向の左右軸8により4分割された撮像領域の各画素は、K領域9の画素13、L領域10の画素23、M領域11の画素24、N領域12の画素25で構成されている。図8では、4分割された撮像領域の画素の配線はそれぞれ同一であったが、図1では、4分割された撮像領域の画素の配線がそれぞれの撮像領域で異なった構成としている。
【0040】
左右軸8の上側の領域であるK領域9の画素13とM領域11の画素24では、画素の上方にある信号保持部は(3-1)で、画素の下方にある信号保持部は(3-3)である。
一方で、左右軸8の下側の領域であるL領域10の画素23とN領域12の画素25では、画素の上方にある信号保持部は(3-3)で、画素の下方にある信号保持部は(3-1)となっている。よって、信号保持部の(3-1)と(3-3)は、それぞれ、左右軸8を挟んで、対称の位置に配置されている。
【0041】
また、上下軸7の右側の領域であるK領域9の画素13とL領域10の画素23では、画素の右方にある信号保持部は(3-2)で、画素の左方にある信号保持部は(3-4)である。
一方で、上下軸7の左側の領域であるM領域11の画素24とN領域12の画素25では、画素の右方にある信号保持部は(3-4)で、画素の左方にある信号保持部は(3-2)となっている。よって、信号保持部の(3-2)と(3-4)は、それぞれ、上下軸7を挟んで、対称の位置に配置されている。
【0042】
図1のN領域12の画素25の信号保持部(3-2)・信号保持部(3-4)は、上下軸7を線対称軸として、L領域10の画素23の信号保持部(3-2)・信号保持部(3-4)と対称的に配置されている。
また、N領域12の画素25の信号保持部(3-1)・信号保持部(3-3)は、上下軸7を線対称軸として、M領域11の画素24の信号保持部(3-1)・信号保持部(3-3)と対称的に配置されている。
【0043】
一般的に、撮像領域に隣接して配置されるカメラ用レンズは、撮像領域の上下軸7と左右軸8との交点上に配置され、さらにレンズ中心に対して特性が対称的な設定となっている。
そのため、撮像装置の画素にある同一番号の信号保持部を、上下軸7に対して左右対称で、左右軸8に対して上下対称の配置とすることで、各同一番号の信号保持部の性能を同一にすることができる。
【0044】
図2は、本発明の垂直方向の画素の断面図である。図2は、図1のA-B間の断面図を示している。図2図11と同様に、レンズ18を通った光は、K領域9の画素に入る光 (19-1)と、L領域10の画素に入る光(19-2)とに別れる。
【0045】
K領域9の画素に入る斜め光(20-1)の一部が、受光部2ではなくK領域9の画素13の上方信号保持部(3-1)に直接入る。このため、K領域9の画素13の上方信号保持部(3-1)では、K領域9の画素に入る斜め光(20-1)による偽信号電荷α1が発生して、K領域9の画素13の上方信号保持部(3-1)は、Q1+α1の電荷となる。
K領域9の画素13の下方信号保持部(3-3)では、K領域9の画素に入る斜め光(20-1)が入らないため、K領域9の画素13の下方信号保持部(3-3)は、Q3のみの電荷となる。
【0046】
一方、L領域10の画素に入る斜め光(20-2)の一部は、受光部2ではなくL領域10の画素23の下方信号保持部(3-1)に直接入る。このため、L領域10の画素23の下方信号保持部(3-1)では、L領域10の画素に入る斜め光(20-2)による偽信号電荷α1が発生して、L領域10の画素14の下方信号保持部(3-1)は、Q1+α1の電荷となる。
L領域10の画素23の上方信号保持部(3-3)では、L領域10の画素に入る斜め光(20-2)が入らないため、L領域10の画素23の上方信号保持部(3-3)は、Q3のみの電荷となる。
【0047】
図2において、K領域9の画素に入る光(19-1)とL領域10の画素に入る光(19-2)が同じ光量である場合には、
K領域9の画素13の上方信号保持部(3-1)は、Q1+α1
L領域10の画素23の下方信号保持部(3-1)は、Q1+α1
K領域9の画素13の下方信号保持部(3-3)は、Q3
L領域10の画素23の上方信号保持部(3-3)は、Q3
となる。
【0048】
したがって、K領域9とL領域10とでは、同一の信号保持部(3-1)で信号電荷量が同じ値の(Q1+α1)であり、同一の信号保持部(3-3)で信号電荷量が同じ値の(Q3)である。したがって、同一の信号保持部(3-1)および(3-3)で作られる画像は、それぞれ、画面の上方と下方で対称的な明るさの画像を実現することができる。
【0049】
図3は、本発明の水平方向の画素の断面図である。図2は、図1のC-D間の断面図を示している。図3図12と同様に、レンズ18を通った光は、K領域9の画素に入る光 (21-2)と、M領域11の画素に入る光(21-1)とに別れる。
【0050】
K領域9の画素に入る斜め光(22-2)の一部が、K領域9の画素13の右方信号保持部(3-2)に入る。このため、K領域9の画素13の右方信号保持部(3-2)では、K領域9の画素に入る斜め光(22-2)による偽信号電荷α2が発生して、K領域9の画素13の右方信号保持部(3-2)は、Q2+α2の電荷となる。
K領域9の画素13の左方信号保持部(3-4)では、K領域9の画素に入る斜め光(22-2)が入らないため、K領域9の画素13の左方信号保持部(3-4)は、Q4のみの電荷となる。
【0051】
一方、M領域11の画素に入る斜め光(22-1)の一部は、M領域11の画素24の左方信号保持部(3-2)に入る。このため、M領域11の画素24の左方信号保持部(3-2)では、M領域11の画素に入る斜め光(22-1)による偽信号電荷α2が発生して、M領域11の画素14の左方信号保持部(3-2)は、Q2+α2の電荷となる。
M領域11の画素24の右方信号保持部(3-4)では、M領域11の画素に入る斜め光(22-1)が入らないため、M領域11の画素24の右方信号保持部(3-4)は、Q4のみの電荷となる。
【0052】
図3において、K領域9の画素に入る光(21-2)とM領域11の画素に入る光(21-1)が同じ光量である場合には、
K領域9の画素13の右方信号保持部(3-2)は、Q2+α2
L領域10の画素24の左方信号保持部(3-2)は、Q2+α2
K領域9の画素13の左方信号保持部(3-4)は、Q4
L領域10の画素24の右方信号保持部(3-4)は、Q4
となる。
【0053】
したがって、K領域9とL領域10とでは、同一の信号保持部(3-2)で信号電荷量が同じ値の(Q2+α2)であり、同一の信号保持部(3-4)で信号電荷量が同じ値の(Q4)である。したがって、同一の信号保持部(3-2)または(3-4)で作られる画像は、それぞれ、画面の右方と左方で対称的な明るさの画像を実現することができる。
【0054】
図4は、4分割された各撮像領域において、それぞれ異なる信号保持部の配置を持つ画素からなることを示す画素配置図である。図4は、K領域9には図1に示した構成のK領域9画素13、L領域10には画素23、M領域11には画素24、N領域12には画素25を、領域ごとに同一の画素を全て並べた構成を示す。
【0055】
この場合、同一番号の信号保持部は、上下、左右で、対称的に配置できているため、各同一番号の信号保持部から生成される画像は、上下、左右で、画像の不均一現象(シェーディング現象)が小さく、対称的な明るさを実現できる。
【0056】
図5は、4分割された各撮像領域において、撮像領域の外周部の画素のみ、それぞれ異なる信号保持部の配置を持つ画素からなることを示す画素配置図である。撮像領域の中心領域では、4分割された各撮像領域の画素は、K領域9の画素13と同じ画素となっていて、撮像領域の外周部の画素の外周領域のみ、異なっている。
【0057】
K領域9では、全ての画素がK領域9画素13である。
L領域10では、撮像領域の中心領域の画素はK領域9画素13であり、撮像領域の外周部の画素はL領域10画素23である。
M領域11では、撮像領域の中心領域の画素はK領域9画素13であり、撮像領域の外周部の画素はM領域11画素24である。
N領域12では、撮像領域の中心領域の画素はK領域9画素13であり、撮像領域の外周部の画素はN領域12画素25である。
【0058】
一般的に、レンズ18の中心位置と撮像領域の中心位置とが一致するか、または、近い場合には、撮像領域の中心位置の画素に対しては、レンズ中心と撮像領域の画素に入射する光との角度θが小さいため、信号保持部に入射する偽信号が少なくすることができる。
そのため、K領域9とL領域10とM領域11とN領域12との撮像領域の中心領域では、すべてK領域9画素13にした場合であっても、画像の上下左右で、明るさの差が小さい。
【0059】
一方、L領域10、M領域11、N領域12の撮像領域の外周部の画素は、図4と同様の画素構成となっているため、同一番号の信号保持部は、撮像領域の中心に対して、上下、左右で、対称的に配置できているため、各同一番号の信号保持部から生成される画像は、上下、左右で、画像の不均一現象(シェーディング現象)が小さく、対称的な明るさを実現できる。
【0060】
図1図4図5では、レンズ18の性能が上下左右で同じ場合に、最も対称的な明るさを実現する効果がある。
また、レンズ18は円形の場合が多く、レンズ中心から全ての方向において、光学特性が、ほぼ同様の場合がある。その場合には、K領域9とL領域10とM領域11とN領域12とを、上下軸7と左右軸8との交差点を中心に360度未満の角度で回転した配置であっても、各同一番号の信号保持部から生成される画像は、上下左右の画像の不均一現象(シェーディング現象)が小さく、撮像領域の中心に対して対称的な明るさを実現できる。
【0061】
また、一般的に、撮像領域は、長方形の場合が多く、水平:垂直の長さが、4:3または16:9に設計されたものが良く使われている。そのため、レンズ18の性能は、上下左右だけでなく、長方形の撮像領域の2本の対角線に対して、画像の均一性・対称性が必要となる場合もある。
この場合には、K領域9とL領域10とM領域11とN領域12とを、対角線と左右軸8が成す角度で回転すれば、各同一番号の信号保持部から生成される画像は、上下左右の画像の不均一現象(シェーディング現象)が小さく、撮像領域の中心に対して対称的な明るさを実現できる。
【0062】
また、図1図2図3図4図5、の画素は、4種類の信号保持部3を持つ画素の例を示したが、信号保持部3が2種類の場合であっても、同様に、撮像領域の中心に対して対称的な明るさを実現できる。例えば、受光部2の面積重心の上下に2種類の信号保持部3を有する場合や、受光部2の面積重心の左右に2種類の信号保持部3を有する場合などの構成の画素であっても、同様に、撮像領域の中心に対して対称的な明るさを実現できる。例えば、図1の画素13において、信号保持部の(3-1)と(3-3)の上下2種類の場合、または、信号保持部の(3-2)と(3-4)の左右2種類の場合がある。
【0063】
また、上下に2種類と左右のどちらかに1種類の合計で3種類の信号保持部3を有する画素の場合や、左右に2種類と上下のどちらかに1種類の合計で3種類の信号保持部3を有する画素の場合がある。この場合であっても、上下に2種類、または、左右に2種類の信号保持部3で作られる画像に対しては、同様に、撮像領域の中心に対して対称的な明るさを実現できる。
【0064】
また、上下左右のいずれかに1種類の信号保持部3を有する画素の場合がある。この場合であっても、上下軸7または左右軸8に対して線対称に受光部と信号保持部を配置すれば、撮像領域の中心に対して対称的な明るさを実現できる。
【0065】
図6は、画素の4隅に信号保持部を有する画素である。画素26の受光部2の面積重心点で交わる画素水平線5と画素垂直線6の交点に対して、左上に信号保持部(3-1)を、右上に信号保持部(3-2)を、右下に信号保持部(3-3)を、左下に信号保持部(3-4)を配置している。
【0066】
図7は、4分割された撮像領域において、画素の4隅に信号保持部有する画素に対して、異なる配線を行っている画素配置図である。図7の画素構成は、図1の画素構成を45度回転した画素構造である。図7は、図1の場合と同様に、撮像装置の画素にある同一番号の信号保持部は、上下軸7に対して左右対称であり、左右軸8に対して上下対称の配置となっている。
【0067】
左右軸8の上の領域であるK領域9の画素26とM領域11の画素28では、画素の上方にある信号保持部は(3-1)と(3-2)で、画素の下方の信号保持部は(3-3)と(3-4)である。
一方で、左右軸8の下の領域であるL領域10の画素27とN領域12の画素29では、画素の上方にある信号保持部は(3-3)と(3-4)で、画素の下方の信号保持部は(3-1)と(3-2)となっている。よって、信号保持部の(3-1)、(3-2)、(3-3)、(3-4)の全ては、それぞれ、左右軸8を挟んで、対称の位置に配置されている。
【0068】
また、上下軸7の右の領域であるK領域9の画素26とL領域10の画素27では、画素の右方にある信号保持部は(3-2)と(3-3)で、画素の左方の信号保持部は(3-1)と(3-4)である。
一方で、上下軸7の左の領域であるM領域11の画素28とN領域12の画素29では、画素の右方にある信号保持部は(3-1)と(3-4)で、画素の左方の信号保持部は(3-2)と(3-3)となっている。
よって、信号保持部の(3-1)、(3-2)、(3-3)、(3-4)の全ては、それぞれ、上下軸7を挟んで、対称の位置に配置されている。
【0069】
以上のように、画素の4隅に信号保持部を有する画素の場合にも、同一番号の信号保持部は、左右軸8に対して上下対称であり、上下軸7に対して左右対称の配置とすることができる。そのため、各同一番号の信号保持部から生成される画像は、上下左右の画像の不均一現象(シェーディング現象)が小さく、撮像領域の中心に対して対称的な明るさを実現している。
【0070】
また、図6図7、の画素は、4種類の信号保持部を持つ画素の例を示したが、信号保持部が2種類の場合であっても、同様に、撮像領域の中心に対して対称的な明るさを実現できる。
例えば、図6の基本となる画素26において、受光部2の面積重心に対して、上下に2種類の信号保持部を有する場合として、
信号保持部の(3-1)と(3-3)の2種類の場合、
または、信号保持部の(3-1)と(3-4)の2種類の場合、
または、信号保持部の(3-2)と(3-3)の2種類の場合、
または、信号保持部の(3-2)と(3-4)の2種類の場合、
がある。
【0071】
また、図6の基本となる画素26において、受光部2の面積重心に対して、左右に2種類の信号保持部を有する場合として、
信号保持部の(3-1)と(3-2)の2種類の場合、
または、信号保持部の(3-1)と(3-3)の2種類の場合、
または、信号保持部の(3-3)と(3-4)の2種類の場合、
または、信号保持部の(3-2)と(3-4)の2種類の場合、
がある。
以上のような2種類の信号保持部を有する画素であっても、同様に、撮像領域の中心に対して対称的な明るさを実現できる。
【0072】
また、画素26において、3種類の信号保持部3として、
信号保持部の(3-1)と(3-2)、(3-3)の3種類の場合、
または、信号保持部の(3-1)と(3-2)、(3-4)の3種類の場合、
または、信号保持部の(3-1)と(3-3)、(3-4)の3種類の場合、
または、信号保持部の(3-2)と(3-3)、(3-4)の3種類の場合、
がある。
以上のような3種類の信号保持部を有する画素であっても、同様に、撮像領域の中心に対して対称的な明るさを実現できる。
【0073】
また、画素26において、1種類の信号保持部3として、
信号保持部(3-1)の場合、
または、信号保持部(3-2)の場合、
または、信号保持部(3-3)の場合、
または、信号保持部(3-4)の場合、
がある。
以上のような1種類の信号保持部を有する画素であっても、同様に、撮像領域の中心に対して対称的な明るさを実現できる。
【0074】
図1図4図5図7に示した上下軸7は垂直軸であり、左右軸8は水平軸であり、交差する角度は90度であり、この場合において、上下左右の対称性が最も良くなるため、撮像領域の中心に対して、最も対称的な明るさを実現することができる。
【0075】
本発明の実施形態は、上記で説明した実施形態に限定されるものでなく、本発明の内容を含んだ様々な形態で実施できる。
【産業上の利用可能性】
【0076】
本発明の撮像装置を搭載した電子機器は、携帯電話や産業機器用カメラや医療用カメラや車載用カメラなどの多くの分野で利用される。
【符号の説明】
【0077】
1 画素
2 受光部
3 信号保持部
4 出力部
5 画素水平線
6 画素垂直線
7 左右軸
8 上下軸
9 K領域
10 L領域
11 M領域
12 N領域
13 K領域の画素
14 L領域の画素
15 M領域の画素
16 N領域の画素
17 遮光膜
18 レンズ
19 画素に入る光
20 斜め光
21 画素に入る光
22 斜め光
23 L領域の画素
24 M領域の画素
25 N領域の画素
26 K領域の画素
27 L領域の画素
28 M領域の画素
29 N領域の画素
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12