(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022078449
(43)【公開日】2022-05-25
(54)【発明の名称】炭化珪素半導体ウェハの製造装置
(51)【国際特許分類】
H01L 21/205 20060101AFI20220518BHJP
H01L 21/683 20060101ALI20220518BHJP
C23C 16/42 20060101ALI20220518BHJP
C30B 29/36 20060101ALI20220518BHJP
C30B 25/14 20060101ALI20220518BHJP
【FI】
H01L21/205
H01L21/68 N
C23C16/42
C30B29/36 A
C30B25/14
【審査請求】未請求
【請求項の数】10
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2020189132
(22)【出願日】2020-11-13
(71)【出願人】
【識別番号】000004260
【氏名又は名称】株式会社デンソー
(71)【出願人】
【識別番号】000003207
【氏名又は名称】トヨタ自動車株式会社
(71)【出願人】
【識別番号】520124752
【氏名又は名称】株式会社ミライズテクノロジーズ
(74)【代理人】
【識別番号】110001128
【氏名又は名称】特許業務法人ゆうあい特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】荒内 琢士
【テーマコード(参考)】
4G077
4K030
5F045
5F131
【Fターム(参考)】
4G077AA03
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(57)【要約】
【課題】サセプタの回転に起因するウェハの位置ズレを抑制可能な炭化珪素半導体の製造装置を提供する。
【解決手段】炭化珪素半導体ウェハの製造装置1は、反応ガスが導入される反応室120に配置されるサセプタ14と、サセプタ14をウェハ10とともに回転させる回転装置16と、反応室120を加熱する主ヒータ18および補助ヒータ22と、を備える。サセプタ14は、ウェハ10が載置される台座143を含むとともに、台座143の周囲にウェハ10が配置される表面側から裏面側に向けて反応ガスを流す貫孔146が形成されている。この貫孔146は、サセプタの表面側に開口する表側開口部147およびサセプタの裏面側に開口する裏側開口部を有する。そして、表側開口部147から裏側開口部に至る孔内壁のうち、少なくとも表側開口部147に連なる部位がサセプタ14の回転方向の前方から後方に向けて傾斜している。
【選択図】
図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
炭化珪素半導体ウェハの製造装置であって、
反応ガスが導入されるとともに、ウェハの表面側に半導体層をエピタキシャル成長させる反応室(120)を形成する反応室形成部(12)と、
前記反応室に配置され、前記ウェハが載置されるサセプタ(14)と、
前記サセプタを前記ウェハとともに回転させる回転装置(16)と、
前記反応室を加熱するヒータ(18、22)と、を備え、
前記サセプタは、前記ウェハが載置される台座(143)を含むとともに、前記台座の周囲に前記ウェハが配置される表面側から裏面側に向けて前記反応ガスを流す貫孔(146)が形成され、
前記貫孔は、前記サセプタの表面側に開口する表側開口部(147)および前記サセプタの裏面側に開口する裏側開口部(148)を有し、前記表側開口部から前記裏側開口部に至る孔内壁(149)のうち、少なくとも前記表側開口部に連なる部位が前記サセプタの回転方向の前方から後方にかけて前記表側開口部から前記裏側開口部に向かう方向に傾斜している、炭化珪素半導体ウェハの製造装置。
【請求項2】
前記ウェハの中心が前記サセプタの回転中心に一致するように前記ウェハを前記台座に載置した際に、前記サセプタの回転中心を通る第1の仮想線および前記サセプタの回転中心を通るとともに前記第1の仮想線に直交する第2の仮想線によって、前記サセプタの表面側を4つのエリアに分割したとき、前記4つのエリアそれぞれに前記表側開口部が形成されている、請求項1に記載の炭化珪素半導体ウェハの製造装置。
【請求項3】
前記ウェハは、外周の一部が直線状にカットされたオリフラ部(11)を有し、
前記ウェハの中心が前記サセプタの回転中心に一致するように前記ウェハを前記台座に載置した際に、前記サセプタの回転中心を通るとともに前記オリフラ部の外端の一方を通る第1の仮想線および前記オリフラ部の外端の他方を通る第2の仮想線によって、前記サセプタの表面側を4つのエリアに分割したとき、前記4つのエリアそれぞれに前記表側開口部が形成されている、請求項1に記載の炭化珪素半導体ウェハの製造装置。
【請求項4】
前記サセプタには、前記貫孔が複数形成されており、
複数の前記貫孔は、前記サセプタの回転中心に対して回転対称となるように形成されている、請求項1ないし3のいずれか1つに記載の炭化珪素半導体ウェハの製造装置。
【請求項5】
前記ウェハの中心が前記サセプタの回転中心に一致するように前記ウェハを前記台座に載置した際に前記サセプタおける前記ウェハと厚み方向に対向する部位をウェハ対向部位としたとき、少なくとも前記貫孔の一部が、前記ウェハ対向部位よりも外側にはみ出している、請求項1ないし4のいずれか1つに記載の炭化珪素半導体ウェハの製造装置。
【請求項6】
前記表側開口部のうち前記回転方向の最も後方に位置する部位を後方開口端(147a)としたとき、
前記裏側開口部は、前記後方開口端よりも前記回転方向の後方に位置している、請求項1ないし5のいずれか1つに記載の炭化珪素半導体ウェハの製造装置。
【請求項7】
前記サセプタの厚みをTsとし、前記表側開口部における前記回転方向の開口長さをLとし、前記表側開口部の開口面と前記孔内壁における前記表側開口部に連なる部位とのなす角度をθとしたとき、Ts、L、θの関係が、
Ts/tanθ>L
である、請求項6に記載の炭化珪素半導体ウェハの製造装置。
【請求項8】
前記表側開口部のうち前記回転方向の後方に位置する後方縁部(147b)には、前記表側開口部のうち前記後方縁部より前記回転方向の前方に位置する前方縁部(147c)に比べて上方に突き出る突起部(151)が設けられている請求項1ないし7のいずれか1つに記載の炭化珪素半導体ウェハの製造装置。
【請求項9】
前記突起部における前記回転方向の前方に位置する部位は、前記回転方向の前方から後方に向けて傾斜している、請求項8に記載の炭化珪素半導体ウェハの製造装置。
【請求項10】
前記反応室には、前記ウェハの表面に交差する方向から前記ウェハの表面に向けて反応ガスが供給される、請求項1ないし9のいずれか1つに記載の炭化珪素半導体ウェハの製造装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、炭化珪素半導体ウェハの製造装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、反応ガスが導入される反応室において、炭化珪素半導体ウェハをサセプタに載置した状態で回転させながら加熱することで、当該ウェハの表面に半導体層であるエピタキシャル膜を成長させる装置が知られている(例えば、特許文献1参照)。特許文献1に記載のサセプタには、ウェハの表面に半導体層を成長させる際に反応ガスをウェハの表面側からサセプタの下面側に排出するための貫通孔が形成されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、例えば、サセプタの回転中心に対してウェハの中心がずれた状態で、サセプタを回転させると、ウェハに作用する遠心力等によってウェハの位置が大きくずれることがある。ウェハの位置ズレが発生すると、サセプタにおけるウェハが載置される台座が反応ガスに晒されることで、台座に炭化珪素のデポジット(堆積物)が発生してしまう虞がある。台座にデポジットが発生すると、次にウェハを台座に載置した際にウェハの裏面にデポジットが転写されることで、フォトリソグラフィ等の後工程で搬送不良が発生することから好ましくない。
【0005】
これらの課題について、上述の特許文献1には一切記載されておらず、何も対策がなされていない。すなわち、サセプタの回転に起因するウェハの位置ズレについて、依然として改善の余地がある。
【0006】
本開示は、サセプタの回転に起因するウェハの位置ズレを抑制可能な炭化珪素半導体の製造装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
請求項1に記載の発明は、
炭化珪素半導体ウェハの製造装置であって、
反応ガスが導入されるとともに、ウェハの表面側に半導体層をエピタキシャル成長させる反応室(120)を形成する反応室形成部(12)と、
反応室に配置され、ウェハが載置されるサセプタ(14)と、
サセプタをウェハとともに回転させる回転装置(16)と、
反応室を加熱するヒータ(18、22)と、を備え、
サセプタは、ウェハが載置される台座(143)を含むとともに、台座の周囲にウェハが配置される表面側から裏面側に向けて反応ガスを流す貫孔(146)が形成され、
貫孔は、サセプタの表面側に開口する表側開口部(147)およびサセプタの裏面側に開口する裏側開口部(148)を有し、表側開口部から裏側開口部に至る孔内壁(149)のうち、少なくとも表側開口部に連なる部位がサセプタの回転方向の前方から後方にかけて表側開口部から裏側開口部に向かう方向に傾斜している。
【0008】
このように、貫孔の表側開口部に連なる部位がサセプタの回転方向の前方から後方に向けて傾斜していれば、サセプタを回転させた際に貫孔の表側開口部に反応ガスが流れ易くなる。これにより、ウェハの表面側からサセプタの裏面側に流れる反応ガスの流量が増え、当該反応ガスの流れによってウェハが台座に向けて強く押し付けられるので、サセプタの回転に起因するウェハの位置ズレが抑制される。
【0009】
なお、各構成要素等に付された括弧付きの参照符号は、その構成要素等と後述する実施形態に記載の具体的な構成要素等との対応関係の一例を示すものである。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【
図1】第1実施形態に係る炭化珪素半導体の製造装置の概略構成図である。
【
図2】ウェハが台座に載置された状態でのサセプタの模式的な平面図である。
【
図7】第2実施形態に係るサセプタに形成される貫孔を示す断面図である。
【
図8】第3実施形態に係るサセプタに形成される貫孔を示す断面図である。
【
図9】第4実施形態に係るサセプタに形成される貫孔を示す断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、本開示の実施形態について図面を参照して説明する。なお、以下の実施形態において、先行する実施形態で説明した事項と同一もしくは均等である部分には、同一の参照符号を付し、その説明を省略する場合がある。また、実施形態において、構成要素の一部だけを説明している場合、構成要素の他の部分に関しては、先行する実施形態において説明した構成要素を適用することができる。以下の実施形態は、特に組み合わせに支障が生じない範囲であれば、特に明示していない場合であっても、各実施形態同士を部分的に組み合わせることができる。
【0012】
(第1実施形態)
本実施形態について、
図1~
図6を参照して説明する。
図1に示す装置は、炭化珪素半導体ウェハ(以下、単にウェハ10とも呼ぶ)の製造装置1である。この製造装置1は、ウェハ10の表面側に半導体層をエピタキシャル成長させて成膜する。半導体層は、エピタキシャル膜とも呼ばれる結晶薄膜である。
【0013】
図1に示すように、製造装置1は、ウェハ10の表面側に半導体層をエピタキシャル成長させる反応室120を形成するチャンバ12を有する。チャンバ12は、反応室120を形成する反応室形成部である。
【0014】
チャンバ12は、その上部にウェハ10の表面側に結晶薄膜を成長させるための反応ガスを供給するガス供給部121が設けられている。反応ガスは、例えば、水素、塩化水素(HCl)、シラン(SiH4)、プロパン(C3H8)、窒素(N2)を原料として含んでいる。チャンバ12は、その下部に反応後のガスを排気するためのガス排気部122が設けられている。図示しないが、ガス排気部122は、シャット弁および真空ポンプを含む排気装置が接続されている。
【0015】
ガス供給部121は、チャンバ12の上部であって、ウェハ10の表面に対向する位置に開口している。これにより、反応室120には、ウェハ10の表面に交差する方向(略直交する方向)からウェハ10の表面に向けて反応ガスが供給される。本実施形態の製造装置1は、ウェハ10の表面に向けて反応ガスを吹き降ろすダウンフロー型のガス供給構造になっている。
【0016】
反応室120には、ウェハ10を保持する基板保持治具であるサセプタ14が配置されている。サセプタ14は、反応室120において回転装置16の上部に設置されている。サセプタ14の詳細は後述する。
【0017】
回転装置16は、筒部161、回転軸162、および駆動部163を有する。筒部161は、サセプタ14を支持する円筒形状の部材である。回転軸162は、駆動部163の出力によって回転する軸である。回転軸162は、一体に回転可能なように筒部161に連結されている。駆動部163は、回転力を出力するモータ等で構成されている。このように構成される回転装置16では、駆動部163の出力によって回転軸162が回転すると、筒部161を介してサセプタ14が回転する。
【0018】
筒部161は、その上部にサセプタ14が配置されると、上部に形成される開口161aがサセプタ14によって閉じられる。これにより、筒部161の内側に中空室160が形成される。この中空室160は、サセプタ14および筒部161によって実質的に反応室120と隔てられた空間となる。
【0019】
中空室160には、サセプタ14を介してウェハ10の裏面側を加熱する主ヒータ18が配置されている。主ヒータ18は、例えば、カーボン製の抵抗加熱ヒータを用いることができる。主ヒータ18の熱は、筒部161やサセプタ14を介して反応室120に伝わる。このため、主ヒータ18は、反応室120を加熱するヒータとしても機能する。
【0020】
図示しないが、中空室160には、搬送用ロボットによる反応室120へのウェハ10が載置されたサセプタ14の搬入や反応室120からのサセプタ14の搬出を補助するためのサセプタ昇降機器が配置されている。このサセプタ昇降機器は、例えば、サセプタ14の搬出時にサセプタ14を上昇させて筒部161から引き離すことで、搬送用ロボットにサセプタ14を受け渡す。なお、製造装置1は、ウェハ10が載置されたサセプタ14を搬入および搬出するものではなく、サセプタ14を移動させずにウェハ10だけを搬入および搬出するようになっていてもよい。
【0021】
回転軸162は、円筒形状の部材で構成されている。回転軸162の内側には、中空室160にパージガスを供給するガス導入管20が配置されている。ガス導入管20は、ガス導入機構に接続され、ガス導入機構を介してパージガスが供給される。パージガスは、アルゴン(Ar)、水素(H2)、ヘリウム(He)等の不活性ガスを挙げることができる。図示しないが、中空室160には、パージガスを外部に排出する排出口が設けられている。この排出口は、反応室120を介さずにパージガスを外部に排出するように構成されていてもよいし、反応室120およびガス排気部122を介してパージガスを外部に排出するように構成されていてもよいし、
【0022】
製造装置1は、反応室120を加熱するヒータとしての補助ヒータ22を備える。補助ヒータ22は、ガス供給部121からウェハ10に向かう反応ガスが加熱されるように、反応室120におけるサセプタ14の上方空間を囲むように配置されている。補助ヒータ22は、反応ガスによる劣化を避けるためにチャンバ12の外側に配置されている。なお、補助ヒータ22自身またはその周囲に反応ガスによる劣化の対策がなされていれば、チャンバ12の内側に補助ヒータ22が配置されていてもよい。
【0023】
具体的には、補助ヒータ22は、ガス供給部121の近くに配置される上段ヒータ部221、サセプタ14の近くに配置される下段ヒータ部222、上段ヒータ部221と下段ヒータ部222との間に配置される中段ヒータ部223を有する。上段ヒータ部221、下段ヒータ部222、中段ヒータ部223は、例えば、カーボン製の抵抗加熱ヒータを用いることができる。補助ヒータ22を複数段のヒータ部で構成すれば、反応室120の温度ムラを抑えつつ、ウェハ10の表面側を均一に加熱することができる。
【0024】
このように構成される製造装置1では、ウェハ10が載置されたサセプタ14を回転装置16によって600rpmで回転させつつ、反応室120を主ヒータ18および補助ヒータ22によって約1600℃になるまで加熱する。そして、製造装置1は、ガス供給部121から反応室120に向けて反応ガスを供給するとともに、ガス導入管20から中空室160に向けてパージガスを供給する。これにより、ウェハ10の表面側に半導体層であるエピタキシャル膜が形成される。
【0025】
次に、本実施形態のサセプタ14の詳細について説明する。サセプタ14は、その表面が略水平となる姿勢で反応室120に配置されている。サセプタ14は、高温の環境下に置かれることから、例えば、等方性黒鉛の表面に炭化珪素(SiC)を被覆したもので構成されている。ウェハ10は、ウェハ10の中心がサセプタ14の回転中心Osに一致するように台座143に載置される。このような載置状態を基準載置状態と呼ぶ。
【0026】
図2および
図3に示すように、サセプタ14は、リング形状の外周サセプタ部141、外周サセプタ部141の開口を遮蔽する円盤形状の内周サセプタ部142を備える。外周サセプタ部141および内周サセプタ部142は、互いに分離可能になっている。なお、外周サセプタ部141および内周サセプタ部142は、分離不可能なように一体に構成されていてもよい。
【0027】
サセプタ14は、ウェハ10が載置される台座143を有する。この台座143は、サセプタ14の回転中心Osを囲むリング形状の凸部で構成されている。台座143は、内周サセプタ部142の表面よりも上方に向けて突き出ている。台座143は、内周サセプタ部142と一体に成形されている。なお、台座143は、内周サセプタ部142と別体に構成されていてもよい。また、台座143は、複数の凸部で構成されていてもよい。
【0028】
また、サセプタ14は、ウェハ10の外周面を覆うカバー144を有する。カバー144は、サセプタ14の回転中心Osを中心とする円筒形状である。台座143は、外周サセプタ部141および内周サセプタ部142の表面よりも上方に向けて突き出ている。カバー144は、内周サセプタ部142の上部に設置されている。なお、カバー144は、内周サセプタ部142と一体に成形されていてもよい。
【0029】
サセプタ14は、内周サセプタ部142に対して台座143およびカバー144が設けられていることで、台座143の周囲に台座143に対して窪んだ有底の凹溝部145が形成されている。この凹溝部145は、内周サセプタ部142の表面、台座143の外側面、カバー144の内側面によって構成されている。なお、凹溝部145は、例えば、内周サセプタ部142の表面を加工用治具等で掘り下げることで一体に形成されていてもよい。
【0030】
カバー144の突出高さHcは、カバー144の内壁面がウェハ10の外周面と対向する大きさになっている。すなわち、カバー144の突出高さHcは、台座143の突出高さHbよりも大きくなっている(Hc>Hb)となっている。具体的には、カバー144の突出高さHcは、台座143の突出高さHbとウェハ10の厚みTwとを足し合わせた高さと略同等になっている(Hc≒Hb+Tw)。また、カバー144の内側直径Dcは、ウェハ10の直径Dxおよび台座143の外側直径Dbよりも大きくなっている。ウェハ10の直径Dwは、台座143の外側直径Dbよりも大きくなっている(Db<Dw<Dc)。なお、ウェハ10の直径Dwは、後述のオリフラ部11を含まない部位での直径である。
【0031】
凹溝部145の溝幅Dgは、カバー144の内側直径Dcから台座143の外側直径Dbを差し引いた値の半分である(Dg=(Dc-Db)/2)。このため、ウェハ10の直径Dwは、溝幅Dgを2倍にした値に台座143の外側直径Dbを加えたものよりも小さくなっている(Dw<Db+2Dg)。
【0032】
本実施形態のウェハ10は、ウェハ10の外周縁の一部が直線状にカットされたオリフラ部11を有する。オリフラ部11は、ウェハ10の結晶方位を示すために設けられている。ウェハ10は、オリフラ部11を含む部位での最小直径Dwofが直径Dwよりも小さくなっている。そして、サセプタ14は、ウェハ10が台座143に載置された際に台座143が反応ガスに晒されないように、ウェハ10の最小直径Dwof、台座143の外側直径Db、溝幅Dgが、以下の関係の数式F1を満たすように構成されている。
Db+Dg<Dwof<Db+2Dg ・・・(F1)
【0033】
ここで、例えば、サセプタ14の回転中心Osに対してウェハ10の中心がずれた状態で、サセプタ14を回転させると、ウェハ10に作用する遠心力等によってウェハ10の位置が大きくずれることがある。ウェハ10の位置ズレが発生すると、サセプタ14におけるウェハ10が載置される台座143が反応ガスに晒されることで、台座143に炭化珪素のデポジット(堆積物)が発生してしまう虞がある。台座143にデポジットが発生すると、次にウェハ10を台座143に載置した際にウェハ10の裏面にデポジットが転写されることで、フォトリソグラフィ等の後工程で搬送不良が発生することから好ましくない。
【0034】
これに対して、ウェハ10の最小直径Dwofが、台座143の外側直径Dbに溝幅Dgを加えた値よりも大きくなっていれば、仮にウェハ10の外周面がカバー144に当たる位置まで位置ズレしても、台座143がウェハ10で覆われる。つまり、ウェハ10が位置ずれしても台座143が反応ガスに晒されることが抑制される。但し、ウェハ10の位置ズレによってウェハ10がサセプタ14のカバー144に接すると、ウェハ10の面内の温度分布が変化してしまう。このことは、ウェハ10の膜厚、不純物の濃度分布の不均一を招くことから好ましくない。
【0035】
これらを踏まえて、サセプタ14には、台座143の周囲にウェハ10が配置される表面側から裏面側に向けて反応ガスを流す貫孔146が複数形成されている。具体的には、貫孔146は、凹溝部145の底部に形成されている。貫孔146の開口形状は、回転方向Rsに沿って延びる長孔形状である。貫孔146の開口形状は、長孔形状に限定されず、例えば、円形状や楕円形状であってもよい。
【0036】
図4、
図5に示すように、貫孔146は、サセプタ14の表裏を貫通している。貫孔146は、サセプタ14の表面側に開口する表側開口部147、サセプタ14の裏面側に開口する裏側開口部148、表側開口部147から裏側開口部148に至る孔内壁149を有する。
【0037】
表側開口部147は、サセプタ14の凹溝部145の底部に開口している。また、裏側開口部148は、サセプタ14のうち、中空室160に区画形成する部位に開口している。これにより、凹溝部145は、貫孔146を介して中空室160に連通している。なお、貫孔146を通じてサセプタ14の裏側に流れた反応ガスは、中空室160に流入した後、中空室160に設けられた排出口から外部に排出される。
【0038】
サセプタ14の回転中心Osを挟んで対向する貫孔146の内側同士の間隔Dh1は、台座143の外側直径Dbよりも大きく、ウェハ10の直径Dwよりも小さい(Db<Dh1<Dw)。また、サセプタ14の回転中心Osを挟んで対向する貫孔146の外側同士の間隔Dh2は、ウェハ10の直径Dwよりも大きく、カバー144の内側直径Dcよりも小さい(Dw<Dh2<Dc)。
【0039】
図6に示すように、貫孔146は、孔内壁149の全体が回転方向Rsに対して傾斜している。貫孔146の孔内壁149は、サセプタ14の回転中心Osを中心とする径方向に沿う第1内壁1491、サセプタ14の回転中心Osを中心とする周方向(すなわち、サセプタ14の回転方向Rs)に沿う第2内壁1492を有する。第1内壁1491は、少なくとも表側開口部147に連なる部位がサセプタ14の回転方向Rsの前方から後方にかけて表側開口部147から裏側開口部148に向かう方向に傾斜している。本実施形態の孔内壁149は、その全体が回転方向Rsの前方から後方にかけて傾斜している。なお、孔内壁149のうち第2内壁1492は、サセプタ14の回転中心Osに向かう方向または回転中心Osから遠ざかる方向(すなわち、径方向)に傾いていない。
【0040】
表側開口部147は、裏側開口部148に対して回転方向Rsに進んだ位置に形成されている。具体的には、表側開口部147のうち回転方向Rsの最も先端に位置する部位は、裏側開口部148よりも回転方向Rsの前方に位置している。また、裏側開口部148は、回転方向Rsの最も前方に位置する前方開口端148aが、表側開口部147のうち回転方向Rsの最も後方に位置する後方開口端147aよりも回転方向Rsの前方に位置している。これにより、貫孔146は、サセプタ14の厚み方向において表側開口部147と裏側開口部148とが一部で重なり合っている。
【0041】
図2に示すように、貫孔146は、凹溝部145の底部に複数形成されている。貫孔146は、凹溝部145の底部のうち回転方向Rsにおいて異なる4箇所に形成されている。
【0042】
ここで、基準載置状態において、サセプタ14の回転中心Osを通る第1の仮想線を第1仮想線IL1、サセプタ14の回転中心Osを通るとともに第1仮想線IL1に直交する第2の仮想線を第2仮想線IL2とする。そして、第1仮想線IL1および第2仮想線IL2によってサセプタ14の表面側を4つのエリアに分割したとき、当該4つのエリアそれぞれに貫孔146の表側開口部147が形成されている。
【0043】
また、基準載置状態において、サセプタ14の回転中心Osを通るとともにオリフラ部11の外端の一方を通る第1の仮想線を第3仮想線IL3、オリフラ部11の外端の他方を通る第2の仮想線を第4仮想線IL4とする。そして、第3仮想線IL3および第4仮想線IL4によって、サセプタ14の表面側を4つのエリアに分割したとき、4つのエリアそれぞれに貫孔146の表側開口部147が形成されている。
【0044】
具体的には、サセプタ14には、4つの貫孔146が形成されている。この4つの貫孔146は、回転対称となるようにサセプタ14に形成されている。また、4つの貫孔146は、回転方向Rsに等間隔をあけて形成されている。
【0045】
また、貫孔146は、基準載置状態において、サセプタ14のうち、ウェハ10と厚み方向に対向するウェハ対向部位150よりも外側にはみ出している。すなわち、貫孔146は、基準載置状態において、ウェハ10とカバー144との隙間から視認可能になっている。本実施形態の貫孔146は、オリフラ部11以外の位置では貫孔146の略半分がウェハ対向部位150よりも外側にはみ出している。
【0046】
以上説明した炭化珪素半導体ウェハの製造装置1は、サセプタ14の台座143の外側に形成された貫孔146が、サセプタ14の回転方向Rsの前方から後方にかけて表側開口部147から裏側開口部148に向かう方向に傾斜している。これによれば、
図6に示すように、サセプタ14を回転させた際に貫孔146の表側開口部147に反応ガスが流れ易くなる。これにより、ウェハ10の表面側からサセプタ14の裏面側に流れる反応ガスの流量が増え、当該反応ガスの流れによってウェハ10が台座143に向けて強く押し付けられるので、サセプタ14の回転に起因するウェハ10の位置ズレが抑制される。
【0047】
ここで、貫孔146の孔内壁149がサセプタ14の回転軸方向に平行に延びている場合、孔内壁149のうち第1内壁1491がサセプタ14の回転方向Rsに略直交する方向に延びる。この場合、サセプタ14を回転させた際に第1内壁1491に反応ガスが衝突し、貫孔146に反応ガスが流れ難い。また、孔内壁149のうち第2内壁1492が径方向に傾斜している場合も、第1内壁1491がサセプタ14の回転方向Rsに略直交する方向に延びる。このため、サセプタ14を回転させた際に貫孔146に反応ガスが流れ難い。このように、貫孔146の孔内壁149がサセプタ14の回転軸方向に平行に延びていたり、孔内壁149のうち第2内壁1492が径方向に傾いていたりしていても、ウェハ10の表面側から裏面側に向かう反応ガスの流量が増えない。この結果、ウェハ10の位置ズレの抑制効果が期待できない。
【0048】
また、固定治具を用いてウェハ10をサセプタ14に固定することで、ウェハ10の位置ズレを抑制することも考えられるが、この場合、ウェハ10の固定と固定を解除する工程が別途必要となり、ウェハ10の製造工程が煩雑となる。このことは製造効率の低下を招く要因となるので、好ましくない。
【0049】
一方、本実施形態の製造装置1は、サセプタ14の回転を利用して発生させた反応ガス流れによってウェハ10を台座143に押し付けるので、ウェハ10の固定と固定を解除する工程が不要である。このため、固定治具を用いてウェハ10をサセプタ14に固定する場合に比べて、製造効率を向上させることができる。
【0050】
また、本実施形態によれば、以下の効果を得ることができる。
【0051】
(1)本実施形態では、基準載置状態において、第1仮想線IL1および第2仮想線IL2によって、サセプタ14の表面側を4つのエリアに分割したとき、当該4つのエリアそれぞれに貫孔146の表側開口部147が形成されている。このように、ウェハ10の四方に対応する位置に貫孔146の表側開口部147が形成されていれば、ウェハ10の表面側からサセプタ14の裏面側に向かう反応ガスの流れによってウェハ10の四方が台座143に向けて強く押し付けられる。したがって、サセプタ14の回転に起因するウェハ10の位置ズレが充分に抑制される。
【0052】
(2)また、基準載置状態において、第3仮想線IL3および第4仮想線IL4によって、サセプタ14の表面側を4つのエリアに分割したとき、当該4つのエリアそれぞれに貫孔146の表側開口部147が形成されている。このように、オリフラ部11を含むウェハ10の四方に対応する位置に貫孔146の表側開口部147が形成されていれば、ウェハ10の表面側からサセプタ14の裏面側に向かう反応ガスの流れによってウェハ10の四方が台座143に向けて強く押し付けられる。したがって、サセプタ14の回転に起因するウェハ10の位置ズレが充分に抑制される。
【0053】
(3)具体的には、複数の貫孔146は、サセプタ14の回転中心Osに対して回転対称となるように形成されている。これによると、ウェハ10の台座143に向けてバランスよく押し付けることができる。
【0054】
(4)また、基準載置状態において、少なくとも貫孔146の一部は、サセプタ14おけるウェハ10と厚み方向に対向するウェハ対向部位150よりも外側にはみ出している。これによると、ウェハ10の表面側を流れる反応ガスが貫孔146に流れ易くなり、ウェハ10の表面側からサセプタ14の裏面側に流れる反応ガスの流れによってウェハ10が台座143に向けて強く押し付けられる。したがって、サセプタ14の回転に起因するウェハ10の位置ズレが抑制される。
【0055】
(5)本実施形態の製造装置1は、反応室120にウェハ10の表面に交差する方向からウェハ10の表面に向けて反応ガスが供給されるダウンフロー型のガス供給構造になっている。これによると、反応室120に供給される反応流れによる圧力がウェハ10を台座143に押し付ける向きに作用する。このため、反応室120にウェハ10の表面に沿う方向からウェハ10の表面と平行に反応ガスが供給されるサイドフロー型のガス供給構造になっている場合に比べて、サセプタ14の回転に起因するウェハ10の位置ズレが抑制される。
【0056】
(第2実施形態)
次に、第2実施形態について、
図7を参照して説明する。本実施形態では、第1実施形態と異なる部分について主に説明する。
図7は、
図6に対応する図面であって、貫孔146の回転方向Rsに沿った断面を示している。
【0057】
図7に示すように、貫孔146は、孔内壁149の全体が回転方向Rsに対して傾斜している。貫孔146は、サセプタ14の厚み方向において表側開口部147と裏側開口部148とが重なり合わないように形成されている。具体的には、貫孔146の裏側開口部148は、回転方向Rsの最も後方に位置する前方開口端148aが、表側開口部147のうち回転方向Rsの最も後方に位置する後方開口端147aよりも回転方向Rsの後方に位置している。
【0058】
ここで、サセプタ14の厚みをTs、表側開口部147における回転方向Rsの開口長さをL、表側開口部147の開口面と孔内壁149のうち表側開口部147に連なる部位とのなす角度をθとしたとき、貫孔146はTs、L、θの関係が以下の数式F2を満たす。
【0059】
Ts/tanθ>L ・・・(F2)
その他については、第1実施形態と同様である。本実施形態の製造装置1は、第1実施形態と共通の構成または均等な構成から奏される効果を第1実施形態と同様に得ることができる。
【0060】
また、本実施形態によれば、以下の効果を得ることができる。
【0061】
(1)本実施形態では、貫孔146の裏側開口部148の前方開口端148aが、表側開口部147の後方開口端147aよりも回転方向Rsの後方に位置している。これによれば、主ヒータ18からの輻射熱が貫孔146を介してウェハ10に直接的に影響することが抑制される。この結果、貫孔146を設けることに起因するウェハ10の温度分布の拡大が抑制されて、ウェハ10の面内の温度分布の均一化を図ることができる。
【0062】
(2)具体的には、貫孔146は、Ts、L、θの関係が前述の数式F2を満たす。これにより、主ヒータ18からの輻射熱がウェハ10に直接的に影響することが抑制される。なお、「開口面」とは、開口部の縁で囲まれた面である。
【0063】
(第3実施形態)
次に、第3実施形態について、
図8を参照して説明する。本実施形態では、第1実施形態と異なる部分について主に説明する。
図8は、
図6に対応する図面であって、貫孔146の回転方向Rsに沿った断面を示している。
【0064】
図8に示すように、貫孔146は、孔内壁149の第1内壁1491の一部が回転方向Rsに対して傾斜している。第1内壁1491は、表側開口部147に連なる上流部位149a、裏側開口部148に連なる下流部位149b、上流部位149aと下流部位149bとを繋ぐ中間部位149cを有する。
【0065】
第1内壁1491のうち、上流部位149aおよび下流部位149bは、回転方向Rsの前方から後方にかけて表側開口部147から裏側開口部148に向かう方向に傾斜している。また、中間部位149cは、回転方向Rsに傾斜せず、回転方向Rsに沿って延びている。
【0066】
貫孔146は、第1内壁1491の上流部位149aと下流部位149bとの間に中間部位149cが設けられていることで、サセプタ14の厚み方向において表側開口部147と裏側開口部148とが重なり合っていない。
【0067】
その他については、第1実施形態と同様である。本実施形態の製造装置1は、第1実施形態と共通の構成または均等な構成から奏される効果を第1実施形態と同様に得ることができる。
【0068】
また、本実施形態によれば、以下の効果を得ることができる。
【0069】
(1)本実施形態では、貫孔146の裏側開口部148の前方開口端148aが、表側開口部147の後方開口端147aよりも回転方向Rsの後方に位置している。これによれば、主ヒータ18からの輻射熱が貫孔146を介してウェハ10に直接的に影響することが抑制される。
【0070】
(第4実施形態)
次に、第4実施形態について、
図9を参照して説明する。本実施形態では、第1実施形態と異なる部分について主に説明する。
図9は、
図6に対応する図面であって、貫孔146の回転方向Rsに沿った断面を示している。
【0071】
図9に示すように、表側開口部147には、空気を引き込むための構造が追加されている。すなわち、表側開口部147の回転方向Rsの後方に位置する後方縁部147bには、表側開口部147のうち後方縁部147bより回転方向Rsの前方に位置する前方縁部147cに比べて上方に突き出る突起部151が設けられている。なお、後方縁部147bは、表側開口部147のうち、サセプタ14の回転中心Osから離れる方向(すなわち、サセプタ14の径方向)において表側開口部147の中心よりも後方に位置する開口縁である。
【0072】
具体的には、突起部151は、回転方向Rsの前方に位置する部位が、サセプタ14の回転方向Rsの前方から後方に向けて傾斜している。換言すれば、突起部151のうち、回転方向Rsの前方側の部位は、サセプタ14の回転方向Rsの前方から後方にかけて表側開口部147から裏側開口部148に向かう方向に傾斜している。突起部151のうち、回転方向Rsの前方側の部位は、表側開口部147の開口面とのなす角度が、孔内壁149における表側開口部147に連なる部位と同様になっている。
【0073】
その他については、第1実施形態と同様である。本実施形態の製造装置1は、第1実施形態と共通の構成または均等な構成から奏される効果を第1実施形態と同様に得ることができる。
【0074】
また、本実施形態によれば、以下の効果を得ることができる。
【0075】
(1)本実施形態では、表側開口部147の後方縁部147bには、前方縁部147cに比べて上方に突き出る突起部151が設けられている。これによれば、サセプタ14を回転させた際に、突起部151によってウェハ10の表面側を流れる反応ガスが貫孔146に導かれ易くなる。これにより、ウェハ10の表面側からサセプタ14の裏面側に流れる反応ガスの流量が増え、当該反応ガスの流れによってウェハ10が台座143に向けて強く押し付けられるので、サセプタ14の回転に起因するウェハ10の位置ズレが抑制される。
【0076】
(2)具体的には、突起部151における回転方向Rsの前方に位置する部位は、サセプタ14の回転方向Rsの前方から後方に向けて傾斜している。これによると、サセプタ14を回転させた際に、突起部151によってウェハ10の表面側を流れる反応ガスを貫孔146にスムーズに導くことができる。
【0077】
(第4実施形態の変形例)
上述の実施形態では、突起部151における回転方向Rsの前方に位置する部位が、サセプタ14の回転方向Rsの前方から後方に向けて傾斜しているが、これに限らず、例えば、回転軸方向に平行に延びていてもよい。
【0078】
(他の実施形態)
以上、本開示の代表的な実施形態について説明したが、本開示は、上述の実施形態に限定されることなく、例えば、以下のように種々変形可能である。
【0079】
上述の実施形態のサセプタ14は、カバー144を有しているが、これに限らず、カバー144を有していなくてもよい。また、サセプタ14は、貫孔146の一部がウェハ対向部位150よりも外側にはみ出しているが、これに限定されない。サセプタ14は、貫孔146の全体がウェハ対向部位150に形成されていたり、貫孔146の全体がウェハ対向部位150の外側に形成されていたりしてもよい。さらに、サセプタ14は、4つの貫孔146が形成されているが、これに限らず、1~3個、5個以上の貫孔146が形成されていてもよい。貫孔146が複数形成されている場合、貫孔146の位置は任意に設定可能である。但し、貫孔146は、仮想線IL1、IL2または仮想線IL3、IL4によって分割された4つのエリアそれぞれに位置するように設けられていることが望ましい。台座143は、リング形状の凸部に限らず、任意の形状(例えば、円柱形状の凸部)であってもよい。なお、サセプタ14に載置するウェハ10は、オリフラ部11を含むものに限らず、例えば、オリフラ部11がないものやオリフラ部11の代わりにノッチが設けられたものを採用可能である。
【0080】
上述の実施形態の製造装置1は、反応室120を加熱するヒータとして主ヒータ18および補助ヒータ22を有しているが、これに限らず、主ヒータ18および補助ヒータ22の一方を有していてもよい。
【0081】
上述の実施形態の製造装置1は、ダウンフロー型のガス供給構造になっているが、これに限らず、例えば、サイドフロー型のガス供給構造になっていてもよい。
【0082】
上述の実施形態において、実施形態を構成する要素は、特に必須であると明示した場合および原理的に明らかに必須であると考えられる場合等を除き、必ずしも必須のものではないことは言うまでもない。
【0083】
上述の実施形態において、実施形態の構成要素の個数、数値、量、範囲等の数値が言及されている場合、特に必須であると明示した場合および原理的に明らかに特定の数に限定される場合等を除き、その特定の数に限定されない。
【0084】
上述の実施形態において、構成要素等の形状、位置関係等に言及するときは、特に明示した場合および原理的に特定の形状、位置関係等に限定される場合等を除き、その形状、位置関係等に限定されない。
【符号の説明】
【0085】
12 チャンバ(反応室形成部)
120 反応室
14 サセプタ
143 台座
146 貫孔
147 表側開口部
148 裏側開口部
149 孔内壁
16 回転装置
18、22 主ヒータ、補助ヒータ(ヒータ)