(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022078481
(43)【公開日】2022-05-25
(54)【発明の名称】ベッドの調整方法
(51)【国際特許分類】
B23Q 1/00 20060101AFI20220518BHJP
B23Q 1/01 20060101ALI20220518BHJP
B23C 7/00 20060101ALI20220518BHJP
F16M 7/00 20060101ALI20220518BHJP
F16M 13/00 20060101ALI20220518BHJP
【FI】
B23Q1/00 T
B23Q1/01 W
B23Q1/01 G
B23C7/00
F16M7/00 B
F16M7/00 R
F16M13/00 S
F16M13/00 P
【審査請求】未請求
【請求項の数】3
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2020189179
(22)【出願日】2020-11-13
(71)【出願人】
【識別番号】000001247
【氏名又は名称】株式会社ジェイテクト
(74)【代理人】
【識別番号】110000028
【氏名又は名称】特許業務法人明成国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】石原 光晴
【テーマコード(参考)】
3C048
【Fターム(参考)】
3C048AA03
3C048BB01
3C048BB03
3C048DD02
(57)【要約】
【課題】案内面の水平出し加工を容易にする。
【解決手段】直方体形状を有する第1ベッド部と、前記第1ベッド部の長手方向の中間に配置された第2ベッド部とを有するベッドの調整方法は、前記ベッドを前記第1ベッド部の下部に、前記第1ベッド部の長手方向に沿って配置された少なくとも3つのレベリングブロックと、前記第2ベッド部の下部に配置された少なくとも1つのレベリングブロックを用いて前記ベッドを支持するステップと、前記レベリングブロックを用いて、前記ベッドが水平になるように調整するステップと、前記第1ベッド部の上面に設けられた一対の案内面を水平に加工するステップと、前記案内面の上に装置を配置するステップと、前記第1ベッド部の外周下部及び前記第2ベッド部の外周下部に配置された複数のジャッキを用いて、前記装置が配置された後の前記案内面の傾きを修正するステップと、を備える。
【選択図】
図10
【特許請求の範囲】
【請求項1】
直方体形状を有する第1ベッド部と、前記第1ベッド部の長手方向の中間に配置された第2ベッド部とを有するベッドの調整方法であって、
前記ベッドを前記第1ベッド部の下部に、前記第1ベッド部の長手方向に沿って配置された少なくとも3つのレベリングブロックと、前記第2ベッド部の下部に配置された少なくとも1つのレベリングブロックを用いて前記ベッドを支持するステップと、
前記レベリングブロックを用いて、前記ベッドが水平になるように調整するステップと、
前記第1ベッド部の上面に設けられた一対の案内面を水平に加工するステップと、
前記案内面の上に装置を配置するステップと、
前記第1ベッド部の外周下部及び前記第2ベッド部の外周下部に配置された複数のジャッキを用いて、前記装置が配置された後の前記案内面の傾きを修正するステップと、
を備える、ベッドの調整方法。
【請求項2】
請求項1に記載のベッドの調整方法であって、
前記ベッドが水平になるように調整するステップでは、前記ベッドの上の4つの前記レベリングブロックに対応する位置に水準器を配置し、前記水準器が水平を示すように複数の前記レベリングブロックを調整する、ベッドの調整方法。
【請求項3】
請求項1または請求項2に記載のベッドの調整方法であって、
前記案内面を水平に加工するステップを実行する前に、複数の前記ジャッキを用いて、前記案内面の加工負荷を受け止めるステップを有する、ベッドの調整方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は,ベッドの調整方法に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、機械本体を、レベリングブロック、ジャッキ等により床面上に支持する方法が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、加工に必要な各種装置を搭載するためのベッドでは、その大型化に伴ってベッドを支持するレベリングブロックやジャッキの数を増加すると、据付や移設の際の調整に要する工数が増加してしまう。また、多数のジャッキのうちのどのジャッキをどの程度調整するかを、作業者に依存する。したがって、工作機械およびベッドの据付・移設の際の調整を容易にし、かつ工数を削減して、ベッドの水平水準などの精度を高め、延いては加工精度を向上することは容易ではなかった。こうした加工機械に要求される高い精度を実現するには、浮動可能な支持手段を設ける特許文献1の方法では十分とは言えなかった。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本開示は,以下の形態として実現することが可能である。
【0006】
(1)本開示の一形態によれば, 直方体形状を有する第1ベッド部と、前記第1ベッド部の長手方向の中間に配置された第2ベッド部とを有するベッドの調整方法が提供される。このベッドの調整方法は、前記ベッドを前記第1ベッド部の下部に、前記第1ベッド部の長手方向に沿って配置された少なくとも3つのレベリングブロックと、前記第2ベッド部の下部に配置された少なくとも1つのレベリングブロックを用いて前記ベッドを支持するステップと、前記レベリングブロックを用いて、前記ベッドが水平になるように調整するステップと、前記第1ベッド部の上面に設けられた一対の案内面を水平に加工するステップと、前記案内面の上に装置を配置するステップと、前記第1ベッド部の外周下部及び前記第2ベッド部の外周下部に配置された複数のジャッキを用いて、前記装置が配置された後の前記案内面の傾きを修正するステップと、を備える。この形態のベッドの調整方法によれば、4つのレベリングブロックを用いてベッドの水平出しをした後、案内面を加工するので、案内面を容易に水平に加工できる。
(2)上記形態のベッド調整方法において、前記ベッドが水平になるように調整するステップでは、前記ベッドの上の4つの前記レベリングブロックに対応する位置に水準器を配置し、前記水準器が水平を示すように複数の前記レベリングブロックを調整してもよい。この形態のベッド調整方法によれば、水準器によりベッドが水平になったか否かを容易に判断できる。
(3)上記形態のベッド調整方法において、前記案内面を水平に加工するステップを実行する前に、複数の前記ジャッキを用いて、前記案内面の加工負荷を受け止めるステップを有してもよい。この形態のベッド調整方法によれば、案内面を加工するときの加工負荷の影響を避けることができる。
(4)本開示は,ベッド調整方法以外の種々の形態で実現することも可能である。例えば,レベリングブロック調整方法、ベッドの支持方法等の形態で実現することができる。
【図面の簡単な説明】
【0007】
【
図1】各種装置が載置されていない状態の工作機械の平面図である。
【
図2】各種装置が載置された状態の工作機械の様子を模式的に示す説明図である。
【
図3】テーブル上の各種装置及びワークを平面視で示す説明図である。
【
図4】工作機械の第1ベッド部、第2ベッド部及び第2テーブルを示す平面図である。
【
図5】工作機械の第1ベッド部、第2ベッド部及び第2テーブルを示す斜視図である。
【
図6】工作機械に用いられるベッドのフレームと案内面とを床面側から見た図である。である。
【
図8】レベリングブロックの構成を示す説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0008】
図1は、z方向に長尺のベッド上に各種装置が載置されていない状態の工作機械(研削盤)100の平面図である。
図2は、各種装置が載置された状態の工作機械100の状態を模式的に示す説明図である。
図3は、テーブル70上の各種装置及びワーク200を平面視にて示す説明図である。
図4は、工作機械100の第1ベッド部20、第2ベッド部30及び案内台75を示す平面図である。
図5は、工作機械100の第1ベッド部20、第2ベッド部30及び案内台75を示す斜視図である。工作機械100の設置は、まず第1ベッド部20,第2ベッド部30が設置されその水平水準等が調整され、その後ベッド上に加工用の各種機器を搭載されるが、まず加工装置100の全体構成について説明し、その際のベッドの調整については、後で詳しく説明する。
【0009】
工作機械100は、第1ベッド部20と、第2ベッド部30と、テーブル70と、案内台75と、主軸台80と、心押台82と、砥石台90と、を備える。第1ベッド部20は、細長い直方体形状を有している。第1ベッド部20の長手方向をz方向とし、鉛直方向をy方向、z方向及びy方向と交差する方向をx方向と呼ぶ。第1ベッド部の上面には、レール形状を有する案内面61、62がz方向に沿って配置されている。案内面61、62の上には、テーブル70が載置されている。テーブル70は、第1ベッド部20上を案内面61、62に沿ってz方向に移動可能に設けられている。
【0010】
テーブル70の上には、案内面である一対の案内面71、72がz方向に沿って配置されている。案内面71、72の上には、各種の装置が配置されている。各種の装置には、
図3に示すように、主軸台80と、心押台82、レスト装置84、87が含まれている。主軸台80と、心押台82は、それぞれセンタ81、83を有し、ワーク200の軸O1に沿った方向からセンタ81、83を用いてワーク200を押すことで、ワーク200を支持する。ワーク200は、ロール部200aと、ロール部200aの両端部側のジャーナル部200bとを有している。レスト装置84は、ワーク200のジャーナル部200bにおいて、ワーク200の下面および側面に接触する二つのシュー85、86を有し、レスト装置87は、ワーク200のジャーナル部200bにおいて、ワーク200の下面および側面に接触するシュー88、89を有している。本実施形態において、ワーク200には、ジャーナル部200bにケレが取り付けられ、ケレ(回し金)を用いて、ワーク200を回転させる。このとき、ユニバーサルジョイントで回転伝達してもよい。
【0011】
第2ベッド部30は、第1ベッド部20のz方向のほぼ中央において、第1ベッド部20のx方向に沿って配置されている。第2ベッド部30は、第1ベッド部の長手方向の中央に限らず、長手方向の中間であればよい。第2ベッド部30の上には、案内台75が載置固定される。案内台75の上には、案内面である一対の案内面76、77がx方向に沿って配置されている。案内面76、77の上には、砥石台90が配置されている。砥石台90は、砥石車91を有している。砥石車91は、軸O1と平行な軸O2を中心として回転する。砥石台90は、x方向に沿って移動可能であり、回転させた砥石車91をワーク200に接触させることで、ワーク200を研削加工する。砥石台90は、砥石車91を回転駆動するモータを内蔵している。
【0012】
既述した第1ベッド部20と第2ベッド部30とを合わせて、ベッド10と呼ぶ。
図6は、工作機械に用いられるベッド10のフレームと案内面とを床面側から見た図である。第1ベッド部20は、z方向に並ぶ複数のフレーム20a~20nを有している。第1ベッド部20のフレームの数は、任意である。フレーム20aは、直方体形状を有しており、直方体の12の辺に対応する位置に設けられた枠フレーム21aから構成される。さらに、フレーム20aは、2つの平面がクロスする形状のXフレーム22aを備える。このXフレーム22aは、フレーム20aの12の辺のうちのy方向と平行な4つの辺に接続されている。フレーム20aは、Xフレーム22aにより、トラス構造を有している。ベッド10の鉛直下方であるフレーム20aの床面側の4つの角には、ジャッキ50が配置されている。他のフレーム20bから20nについても同様である。隣接する2つのフレーム、例えば、フレーム20aとフレーム20bの境界の2つのジャッキ50については、2つのフレーム20aとフレーム20bに共用されている。他の隣接するフレーム間のジャッキ50についても同様である。従って、ジャッキ50は、第1ベッド部20の外周下部に配置されていると言える。
図6において、各ジャッキ50は、多数あるため、ジャッキ50の符号の表示は、一部のみ付し、一部以外は、図示の都合上省略した。ジャッキ50の構造と使い方については、後で詳しく説明する。
【0013】
第2ベッド部30は、x方向に沿って並ぶ3つのフレーム30a、30b、30cを有する。フレーム30cは、第1ベッド部20のほぼ中央に位置するフレーム20hと隣接している。フレーム30aは、直方体形状を有しており、フレーム20aと同様に枠フレーム31aと、Xフレーム32aと、を有する。フレーム30aの床面側の4つの角には、フレーム22aと同様、ジャッキ50が配置されている。フレーム30bは、それぞれ、z方向に沿って並ぶ子フレーム30b1、30b2を有しており、子フレーム30b1は、フレーム20aと同様に、枠フレーム31b1と、Xフレーム32b1と、を有している。子フレーム30b2についても同様である。フレーム30cもフレーム30bと同様の構成を有している。フレーム30b、30cの床面側の4つの角には、ジャッキ50が配置されている。各ジャッキ50は、図では、これを「O」印で示し、符号の表示は、図示の都合上省略した。第1ベッド部20と同様に、隣接する2つのフレーム、例えば、フレーム30aとフレーム30bの境界の2つのジャッキ50については、2つのフレーム30aとフレーム30bに共用されている。フレーム30bと30c、フレーム30cと第1ベッド部20のフレーム20hの境界においてジャッキ50を共用する点は同じである。従って、ジャッキ50は、第2ベッド部30の外周下部に配置されていると言える。これらのジャッキ50の使い方については、後で詳しく説明する。
【0014】
第1ベッド部20の複数のフレーム20a~20nのうち、フレーム20d、20h、20lは他のフレーム20aと比較して、z方向に沿った方向に長く形成されている。また、これらのフレーム20d、20h、20lのXフレーム22d、22h、22lは、他のフレーム20aのXフレーム22aよりもが太く形成されている。Xフレーム22d、22h、22lの中央の床面側には、平らな支持面23d、23h、23lが案内面61、62の中間に形成されている。支持面23d、23h、23lにそれぞれレベリングブロック41、44、42が配置されている。レベリングブロック41、44、42の位置は、y方向から見たとき、第1ベッド部20の床面と反対側に設けられた1対の案内面61、62の間、本実施形態では案内面61,62のほぼ中央に位置する。また、レベリングブロック41、44、42は、第1ベッド部20の長手方向であるz方向に沿って配置されている。第2ベッド部30のフレーム30aのXフレーム32aはXフレーム22d、22h、22lと同様に太く形成されており、Xフレーム32aの中央の床面側には、レベリングブロック43が配置されている。
【0015】
図7は、案内面61、62の構成を示す説明図である。一対の案内面61,62のうち、案内面61は、第2ベッド部30側(+x方向)にあり、V溝形状を有している。一方、案内面62は平らである。案内面61、62は、いずれもすべり案内であり、いわゆるV-平形案内を構成している。案内面61のV溝にテーブル70の被案内部がはまり込むことで、テーブル70のz方向に沿ったの移動を可能にし、x方向に沿った移動を規制している。一対の案内面61、62は、V-平形案内に限らず、他の形態でもよい。また滑り案内に限らず、転がり案内でも良い。転がり案内にすれば、案内面61の上面は平らになるので、後述するステップ10において、案内面62でなく、案内面61の上面に、
図6に示すように、z方向に沿って水準器300を配置し、z方向に沿った方向についての水平を示すように、第1レベリングブロック41、第2レベリングブロック42、第4レベリングブロック44の高さを調整する。
【0016】
図8は、レベリングブロック41の構成を示す説明図である。レベリングブロック41は、くさび型の下ブロック411と、中ブロック412と、上ブロック413を備えこれらのブロックは、くさび型の舗装部分と太い部分が交互に並ぶように互い違いに、鉛直方向に配置されている。中ブロック412のくさびの細い方の端部には、ボルトが414が取り付けられており、ボルト414を回転させることで、中ブロック412をボルト414の軸に沿って移動させることで、上ブロック413を鉛直下方または鉛直上方に移動させる。
【0017】
図9は、ジャッキ50の構成を示す説明図である。ジャッキ50は、基部51と、支柱52と、ナット53と、を備えている。基部51は、床面におかれる。基部51は、上方に突き出た突起部51aを有している。支柱52は、上方に向けて伸びる円柱形状を有している。支柱52は、下部に、基部51の突起部51aが嵌まる凹部52aを有し、円柱形状の側面にネジ山52bを有している。ネジ山52bには、ナット53が噛み合っており、ナット53を回転させると、回転の向きにより、ナット53は、支柱52を鉛直上方あるいは鉛直下方に移動する。ナット53の上面53aには、ベッド10に取り付けられている。ナット53を回転させると、ナット53は、鉛直上方または鉛直下方に移動し、第1ベッド部20のジャッキ50に支持された位置を鉛直上方または鉛直下方に移動させる。
【0018】
図10は、ベッド10の調整工程を例示する工程図である。ステップS5では、門型マシニングセンタのテーブルの上面の所定の位置に、第1~第4レベリングブロック41~44を配置し、その上に工作機械100のベッド10を載置する。続くステップS10では、作業者が、第1~第4レベリングブロック41~44の高さを調整することで、第1ベッド部20と第2ベッド部30のz方向、及び、x方向の水平出しを行う。一般に、部材が水平になるように調整することを、「水平出し」「水平水準出し」と呼ぶことから、本実施形態においても、ベッド10が水平になるように調整することを、「水平出し」あるいは「水平水準出し」と呼ぶ。作業者は、第1レベリングブロック41、第2レベリングブロック42、第4レベリングブロック44の上のベッド10の案内面62の上面に、
図4に示すように、z方向に沿って水準器300を配置し、z方向に沿った方向についての水平を示すように、第1レベリングブロック41、第2レベリングブロック42、第4レベリングブロック44の高さを調整する。作業者は、第3レベリングブロック43の上のベッド10の案内面76の上面に、
図5に示すように、x方向に沿って水準器300を配置し、x方向に沿った方向についての水平を示すように、第3レベリングブロック43、第4レベリングブロック44の高さを調整する。もとより、デジタル水準器などを用いて、z,x軸に沿った水準を一度に計るようにしてもよい。なお、門型マシニングセンタの主軸頭の側面にダイヤルゲージを取り付け、第1レベリングブロック41の上のベッド10の案内面62の上面にダイヤルゲージの針を接触させ、ダイヤルゲージの目盛りをゼロに設定し、第2レベリングブロック42、第4レベリングブロック44の上のベッド10の案内面62の上面にダイヤルゲージの針を接触させ、ダイヤルゲージの目盛りがゼロになるように、第2レベリングブロック42、第4レベリングブロック44の高さを調整する水平水準を出すことも差し支えない。このステップS10の調整の時点では、いずれのジャッキ50もベッド10の重量を実質的には受けていない。ジャッキ50の支柱52は、基部51に接していないか、接していても、ベッド10の水平水準に影響を与えていない。
【0019】
ステップS20では、作業者は、案内面61、62に沿って門型マシニングセンタのテーブルを水平方向に移動させ、主軸頭の回転するエンドミルで案内面61、62を加工する。案内面76、77に沿って門型マシニングセンタの主軸頭をテーブルの移動方向と直交する水平方向に移動させ、主軸頭の回転するエンドミルで案内面76、77を加工する。門型マシニングセンタは、床面に対して水平水準が予め出されているので、加工により、案内面61,62、案内面76、77の水平水準出しがなされる。
【0020】
ステップ25では、作業者は、ベッド10を門型マシニングセンタのテーブルから組み立てステーションへ移動させる。組み立てステーションの床面の所定の位置に、第1~第4レベリングブロック41~44を配置し、その上に工作機械100のベッド10を載置する。作業者が、第1~第4レベリングブロック41~44の高さを調整することで、第1ベッド部20と第2ベッド部30のz方向、及び、x方向の水平出しを行う。作業者は、第1レベリングブロック41、第2レベリングブロック42、第4レベリングブロック44の上のベッド10の案内面62の上面に、
図5に示すように、z方向に沿って水準器300を配置し、z方向に沿った方向についての水平を示すように、第1レベリングブロック41、第2レベリングブロック42、第4レベリングブロック44の高さを調整する。作業者は、第3レベリングブロック43の上のベッド10の案内面76の上面に、
図5に示すように、x方向に沿って水準器300を配置し、x方向に沿った方向についての水平を示すように、第3レベリングブロック43、第4レベリングブロック44の高さを調整する。
【0021】
ステップS30では、作業者は、第1ベッド部20の案内面61、62の上にテーブル70を配置し、案内台75の案内面76、77の上に砥石台90を配置する。
【0022】
ステップS40では、作業者は、テーブル70の上に主軸台80、心押台82、レスト装置84、87を配置し、砥石台90に砥石車91を取り付ける。
【0023】
ステップS50では、作業者は、テーブル70の上の各種装置である主軸台80、82、レスト装置84、87と、案内台75の上の各種装置である砥石台90の荷重に起因するベッド10の撓みによる案内面61、62、案内面76、77のうねりが生じ、案内面61、62、案内面76、77のうねりを、ジャッキ50を用いて修正する。修正は、テーブル70に上下方向のローリングを測定する測定装置を設置し、テーブル70の移動とともに生じ、変化するローリング量を測定する。作業者は、テーブル70の位置とローリング量と見れば、第1ベッド部20のどの位置でローリングが生じているか、またローリング量の多寡を知ることができ、ジャッキ50でこれを小さくするよう調整できる。なお、第2ベッド部30において移動する砥石台90に生じ得るローリングについても、同様にローリング測定装置を用いてローリング量を測定し、これを小さくするように調整すればよい。
【0024】
工作機械(研削盤)100を客先へ納入するときは、客先の工場の床面にの所定の位置に、第1~第4レベリングブロック41~44を配置し、その上に工作機械100を載置する。作業者は、第1レベリングブロック41、第2レベリングブロック42の上のベッド10の案内面62の上面に、
図5に示すように、z方向に沿って水準器300を配置し、z方向に沿った方向についての水平を示すように、第1レベリングブロック41、第2レベリングブロック42、第4レベリングブロック44の高さを調整する。作業者は、第3レベリングブロック43 の上のベッド10の案内面76の上面に、
図5に示すように、x方向に沿って水準器300を配置し、x方向に沿った方向についての水平を示すように、第3レベリングブロック43 、第4レベリングブロック44 の高さを調整する。
第1テーブル70に上下方向のローリングを測定する測定装置を設置し、第1テーブル70の移動とともに生じ、変化するローリング量を測定する。作業者は、第1テーブル70の位置とローリング量と見れれば、第1ベッド部20のどの位置でローリングが生じているか、またローリング量の多寡を知ることができ、ジャッキ50でこれを小さくするよう調整できる。なお、第2ベッド部30において移動する砥石台90に生じ得るローリングについても、同様にローリング測定装置を用いてローリング量を測定し、これを小さくするように調整すればよい。
【0025】
本実施形態のベッドのベッド調整方法によれば、作業者は、4つのレベリングブロック41~44を用いて、ベッド10のz方向、及びx方向の水平だしを行うので、ベッド10の水平出しが容易であり、作業者間のばらつきが小さくなる。また、作業者は、ベッドの水平出しを行った後、案内面61、62が水平になるように加工するので、案内面61、62を容易に水平に加工できる。さらに、ベッド10の上のテーブル70及び案内台75の上に各種装置を配置した後、それら各種装置の荷重に起因するベッド10の傾きを各フレームに設けたジャッキ50を用いて修正するので、第1ベッド部20上に、重量の大きな各種装置、ここでは主軸台80、心押台82、レスト装置84、87をテーブル70に載置した後の水平水準出しを容易に行うことができる。さらに、ジャッキ50を調整することで、これらの装置ごと案内面61、62に沿ってz方向に移動させたときのローリングを抑制でき、加工精度を高めることができる。
【0026】
本実施形態において、レベリングブロックは4つとしたが、第1ベッド部20の下には、少なくとも3つのレベリングブロックがあり、第2ベッド部30の下には、少なくとも1つのレベリングブロックがあればよい。また、第1、第2ベッド20,30の長さによっては、5つ以上としてもよい。また、ジャッキ50の配置は、各フレーム毎に設ける必要はなく、ベッド10に載置され重量物に応じた位置に設けるものとしてもよい。第1,第2,第4レベリングブロック41,42,44は、直線状に配置され、かつベッド10の荷重をバランス良く受け止められる位置に配置されていればよい。これらのレベリングブロックを、実施形態のように案内面61,62の中央に配置すれば、案内面61,62にかかる荷重をバランス良く受け止めることができ好ましいが、案内面61,62の中央に限る必要はない。また、レベリングブロック44から見て、第1レベリングブロック41と第2レベリングブロック42とは必ずしも等距離に配置する必要はない。これらのレベリングブロックの配置は、ベッド10の形状や、載置される重量物である工作機械などの配置などに応じて、定めても良い。
【0027】
上記実施形態において、ステップS10とS20との間に、後続する案内面61,62の加工に備えて、加工負荷を受け止める程度に各フレームのジャッキ50の高さを調整するステップを行ってもよい。案内面61、62はその表面を水平にするための加工(ステップS20)を受けるため、上方から加工負荷を受ける。このためこの加工負荷に拠って、レベリングブロック間のフレームが下方に向けて撓まないように、レベリングブロック間のジャッキ50の支柱52を下方に移動させ、水平水準に影響を与えない範囲で、フレームを支えるようにするのである。
【0028】
本開示は,上述の実施形態に限られるものではなく,その趣旨を逸脱しない範囲において種々の構成で実現することができる。例えば,発明の概要の欄に記載した各形態中の技術的特徴に対応する実施形態の技術的特徴は,上述の課題の一部又は全部を解決するために,あるいは,上述の効果の一部又は全部を達成するために,適宜,差し替えや,組み合わせを行うことが可能である。また,その技術的特徴が本明細書中に必須なものとして説明されていなければ,適宜,削除することが可能である。
【符号の説明】
【0029】
10…ベッド、20…第1ベッド部、20a~20n…フレーム、21a…枠フレーム、22a、22d、22h、22l…Xフレーム、23d、23h、23l…支持面、30…第2ベッド部、30a、30b、30c…フレーム、30b1、30b2…子フレーム、31a、31b1…枠フレーム、32a、32b1…Xフレーム、41~44…レベリングブロック、50…ジャッキ、51…基部、51a…突起部、52…支柱、52a…凹部、52b…ネジ山、53…ナット、53a…上面、61、62…案内面、70…テーブル、71、72…案内面、75…案内台、76、77…案内面、80…主軸台、82…心押台、81、83…センタ、84、87…レスト装置、85、86、88、89…シュー、90…砥石台、91…砥石車、100…工作機械、200…ワーク、300…水準器、411…下ブロック、412…中ブロック、413…上ブロック、414…ボルト、O1、O2…軸