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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022078484
(43)【公開日】2022-05-25
(54)【発明の名称】マイクロスイッチ
(51)【国際特許分類】
   H01H 21/28 20060101AFI20220518BHJP
   H01H 1/50 20060101ALN20220518BHJP
   H01H 1/60 20060101ALN20220518BHJP
【FI】
H01H21/28 W
H01H1/50
H01H1/60
【審査請求】未請求
【請求項の数】12
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2020189183
(22)【出願日】2020-11-13
(71)【出願人】
【識別番号】000000309
【氏名又は名称】IDEC株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100103241
【弁理士】
【氏名又は名称】高崎 健一
(72)【発明者】
【氏名】奥山 未央子
(72)【発明者】
【氏名】境井 貴行
(72)【発明者】
【氏名】石見 崇
(72)【発明者】
【氏名】川瀬 祐輝
【テーマコード(参考)】
5G051
5G219
【Fターム(参考)】
5G051NB02
5G051QA06
5G219HT04
5G219HU22
5G219KW91
(57)【要約】
【課題】 接点の切替え時に接点表面を十分にワイピングすることができ、接点表面の絶縁被膜を剥離させることができるマイクロスイッチを提供する。
【解決手段】 マイクロスイッチ1において、離隔配置されかつベース2に固定された第1、第2の固定接点5b、4bに接触可能な可動接点6aを一端に有し、他端が支持枠30に揺動可能に支持された可動部材6と、可動接点6を第1の固定接点5b側から第2の固定接点4b側に移動させるように可動部材6を反転操作するためのアクチュエータ7と、可動部材6の一端に引張力を作用させる引張ばね8とを設ける。支持枠30が引張ばね8を挟んで両側に配置され、引張ばね8の一方の側における支持枠30の第1の端部30Aがベース2に固定され、引張ばね8の他方の側における支持枠30の第2の端部30Bがベース2に固定されていない。
【選択図】 図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
マイクロスイッチにおいて、
離隔配置されかつベースに固定された第1、第2の固定接点に接触可能な可動接点を一端に有し、他端が支持枠に揺動可能に支持された可動部材と、
前記可動接点を前記第1の固定接点側から前記第2の固定接点側に移動させるように前記可動部材を反転操作するためのアクチュエータと、
前記可動部材の前記一端に引張力を作用させる引張ばねとを備え、
前記支持枠が前記引張ばねを挟んで両側に配置されており、前記引張ばねの一方の側における前記支持枠の第1の端部が前記ベースに固定され、前記引張ばねの他方の側における前記支持枠の第2の端部が前記ベースに固定されていない、
ことを特徴とするマイクロスイッチ。
【請求項2】
請求項1において、
前記可動部材の反転操作時には、前記引張ばねの前記引張力の作用下で、前記支持枠の前記第2の端部が前記第1の端部に対して変位している、
ことを特徴とするマイクロスイッチ。
【請求項3】
請求項1において、
前記可動部材の反転操作時には、前記引張ばねの前記引張力の作用下で、前記支持枠の前記第2の端部の変位量が前記第1の端部の変位量よりも大きくなっている、
ことを特徴とするマイクロスイッチ。
【請求項4】
請求項1において、
前記可動部材の反転操作時には、前記引張ばねの前記引張力の作用下で、前記可動接点の操作前における前記引張ばねの軸線方向と交差する方向に前記可動接点が変位することにより、前記可動接点が前記固定接点に対して摺動している、
ことを特徴とするマイクロスイッチ。
【請求項5】
請求項1において、
前記支持枠が、前記引張ばねの前記一方の側に配設され、前記第1の端部を有しかつ高さ方向に延びる第1の柱状部材と、前記引張ばねの前記他方の側に配設され、前記第2の端部を有しかつ高さ方向に延びる第2の柱状部材と、前記第1および第2の柱状部材間を連結する連結部材とを備えている、
ことを特徴とするマイクロスイッチ。
【請求項6】
請求項5において、
前記支持枠が、前記第1、第2の柱状部材および前記連結部材により概略コ字状または概略U字状に構成されている、
ことを特徴とするマイクロスイッチ。
【請求項7】
請求項5において、
前記連結部材の前記高さ方向の寸法は、前記第1の柱状部材の側から前記第2の柱状部材の側に向かうにしたがい小さくなっている、
ことを特徴とするマイクロスイッチ。
【請求項8】
請求項7において、
前記連結部材がテーパ状の部材である、
ことを特徴とするマイクロスイッチ。
【請求項9】
請求項5において、
前記可動部材の前記他端が二股に形成されており、前記他端の一方が前記支持枠の前記第1の柱状部材に支持され、前記他端の他方が前記支持枠の前記第2の柱状部材に支持されている、
ことを特徴とするマイクロスイッチ。
【請求項10】
請求項1において、
前記引張ばねの一端が前記可動部材の前記一端に係止され、他端が前記アクチュエータに係止されている、
ことを特徴とするマイクロスイッチ。
【請求項11】
請求項10において、
前記可動部材の反転操作時には、前記引張ばねの前記他端の回りに前記可動部材が回動することにより、前記可動接点が前記固定接点に対して摺動している、
ことを特徴とするマイクロスイッチ。
【請求項12】
請求項1において、
前記可動部材の前記一端の側方には、前記可動部材の前記一端の側方への動きを規制するための規制部材が設けられている、
ことを特徴とするマイクロスイッチ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、検出用スイッチや操作用スイッチ等として用いられるマイクロスイッチに関する。
【背景技術】
【0002】
実開昭63-129928号公報に記載されたマイクロスイッチは、スイッチベース(1)に固定された共通端子(2)、常開端子(3)および常閉端子(4)と、常開端子(3)の常開接点(3b)および常閉端子(4)の常閉接点(4b)の間に配置され、これらに択一的に接触する切換接点(5a、5b)を一端に有する可動接触片(5)と、可動接触片(5)を回転させるための回転自在なアクチュエータ(6)と、可動接触片(5)およびアクチュエータ(6)間に懸架された反転ばね(7)とを備えている(当該公報の第2~4頁、第4図、第5図)。
【0003】
上述したマイクロスイッチにおいては、アクチュエータ(6)が下方に押し下げられると、反転ばね(7)が反転して可動接触片(5)が下方に移動し、これにより、接点が切り換えられて、切換接点(5b)が常開接点(3b)と接触するようになっている(上記公報の第4図中の二点鎖線参照)。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、このようなマイクロスイッチにおいては、接点表面に酸化や硫化による絶縁被膜が形成される場合があり、その場合には、スイッチとしての信頼性が低下することになる。接点表面の酸化や硫化を防止するために、接点表面に金メッキを施すことも考えらえられるが、金メッキは一般に高価であり、コストがアップする。そこで、接点の切換え時に固定接点に対して可動接点が摺動するように可動接点を移動させることにより、接点表面をワイピングして接点表面の絶縁被膜を剥離させることが考えられる。
【0005】
しかしながら、上記従来の構成においては、接点の切換え時には、切換接点(5a)が常閉接点(4b)から単に下方に向かって離反するだけであり、接点表面のワイピングに関しては考慮されていなかった。
【0006】
本発明は、このような従来の実情に鑑みてなされたものであり、本発明が解決しようとする課題は、接点の切替え時に接点表面を十分にワイピングすることができ、接点表面の絶縁被膜を剥離させることができるマイクロスイッチを提供することにある。さらに、本発明は、接点の切替え時に可動接点が固定接点に対して側方にずれるように摺動できるようにして、ワイピング性能を向上させようとしている。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明に係るマイクロスイッチは、離隔配置されかつベースに固定された第1、第2の固定接点に接触可能な可動接点を一端に有し、他端が支持枠に揺動可能に支持された可動部材と、可動接点を第1の固定接点側から第2の固定接点側に移動させるように可動部材を反転操作するためのアクチュエータと、可動部材の一端に引張力を作用させる引張ばねとを備えている。支持枠が引張ばねを挟んで両側に配置されており、引張ばねの一方の側における支持枠の第1の端部がベースに固定され、引張ばねの他方の側における支持枠の第2の端部がベースに固定されていない。
【0008】
本発明において、アクチュエータにより可動部材を反転操作すると、可動接点が第1の固定接点側から第2の固定接点側に移動し、これにより、接点が切り替えられる。本発明によれば、このとき、可動部材の他端を支持する支持枠の第1の端部がベースに固定され、第2の端部がベースに固定されていないので、接点の切替え時に引張ばねによる引張力の作用下で可動部材が反転操作される際に支持枠に荷重が作用したとき、第1の端部よりも第2の端部の方が相対的に大きく変形する。その結果、可動部材の他端のうち、第2の端部側が第1の端部側よりも大きく変形することになり、それに伴い、可動部材の一端に配置された可動接点がベース側の第1の固定接点に接触した状態のまま、側方にずれるように移動することになるので、可動接点が固定接点に対して摺動する。このようにして、接点表面を十分にワイピングすることができ、接点表面の絶縁被膜を剥離させることができる。
【0009】
本発明においては、可動部材の反転操作時には、引張ばねの引張力の作用下で、支持枠の第2の端部が第1の端部に対して変位している。
【0010】
本発明においては、可動部材の反転操作時には、引張ばねの引張力の作用下で、支持枠の第2の端部の変位量が第1の端部の変位量よりも大きくなっている。
【0011】
本発明においては、可動部材の反転操作時には、引張ばねの引張力の作用下で、可動接点の操作前における引張ばねの軸線方向と交差する方向に可動接点が変位することにより、可動接点が固定接点に対して摺動している。
【0012】
本発明においては、支持枠が、引張ばねの一方の側に配設され、第1の端部を有しかつ高さ方向に延びる第1の柱状部材と、引張ばねの他方の側に配設され、第2の端部を有しかつ高さ方向に延びる第2の柱状部材と、第1および第2の柱状部材間を連結する連結部材とを備えている。
【0013】
本発明においては、支持枠が、第1、第2の柱状部材および連結部材により概略コ字状または概略U字状に構成されている。
【0014】
本発明においては、連結部材の高さ方向の寸法は、第1の柱状部材の側から第2の柱状部材の側に向かうにしたがい小さくなっている。
【0015】
本発明においては、連結部材がテーパ状の部材である。
【0016】
本発明においては、可動部材の他端が二股に形成されており、他端の一方が支持枠の第1の柱状部材に支持され、他端の他方が支持枠の第2の柱状部材に支持されている。
【0017】
本発明においては、引張ばねの一端が可動部材の一端に係止され、他端がアクチュエータに係止されている。
【0018】
本発明においては、可動部材の反転操作時には、引張ばねの他端の回りに可動部材が回動することにより、可動接点が固定接点に対して摺動している。
【0019】
本発明においては、可動部材の一端の側方には、可動部材の一端の側方への動きを規制するための規制部材が設けられている。
【発明の効果】
【0020】
以上のように本発明によれば、接点の切替え時に可動接点が固定接点に対して摺動するので、接点表面を十分にワイピングすることができ、接点表面の絶縁被膜を剥離させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0021】
図1】本発明の一実施例によるマイクロスイッチの主要構成要素を示す上方斜視図である。
図2】前記マイクロスイッチ(図1)の下方斜視図である。
図3】本発明の一実施例によるマイクロスイッチの主要構成要素を示す前方斜視図であって、図1に対応している。
図4】前記マイクロスイッチ(図3)の後方斜視図である。
図5】前記マイクロスイッチ(図3)の正面図である。
図6】前記マイクロスイッチ(図3)の背面図である。
図7】前記マイクロスイッチ(図3)の左側面図である。
図8】前記マイクロスイッチ(図3)の右側面図である。
図9図5のIX-IX線断面図である。
図10図5のX-X線断面図である。
図11】前記マイクロスイッチ(図3)の平面図である。
図12】前記マイクロスイッチ(図3)の分解組立図である。
図13】前記マイクロスイッチ(図3)における共通端子の全体斜視図である。
図14】前記マイクロスイッチ(図3)において、アクチュエータの操作前の状態を示している。
図15】前記マイクロスイッチ(図3)において、アクチュエータの操作直後の状態であって可動部材の反転前の状態を示している。
図16図14のXVI-XVI線断面図である。
図17図15のXVII-XVII線断面図である。
図18】本発明の第4の変形例によるマイクロスイッチの正面図である。
【発明を実施するための形態】
【0022】
以下、本発明の実施例を添付図面に基づいて説明する。
図1ないし図17は、本発明の一実施例によるマイクロスイッチを説明するための図であって、図1ないし図8および図11は本実施例によるマイクロスイッチの主要構成要素を示す図、図9および図10はマイクロスイッチの側面断面図、図12はマイクロスイッチの分解組立図、図13はマイクロスイッチの共通端子単体の斜視図、図14ないし図17は本実施例の作用効果を説明するための図である。なお、以下の説明文中、マイクロスイッチの長手方向を前後方向、短手方向を側方または左右方向、これらに直交する方向を上下方向または高さ方向と呼称することにする。すなわち、図5を例にとった場合、同図の左右方向が前後方向であり、同図の紙面垂直方向が側方または左右方向であり、同図の上下方向が上下方向である。
【0023】
図1ないし図8および図12に示すように、本実施例によるマイクロスイッチ1は、合成樹脂製の絶縁基台であるベース2と、ベース2に対してインサート成形により一体固定された共通端子3、常開固定端子4および常閉固定端子5とを備えている。これらの端子はそれぞれベース2を貫通して上下方向に延びており、各端子の基端部は、ベース2の下方に延びる外部接続端子3A、4A、5Aをそれぞれ有している。
【0024】
常開固定端子4の先端部(切替側端部)は、ベース2の上方に配置された常開固定接点(第2の固定接点)4bを有しており、常閉固定端子5の先端部(切替側端部)は、ベース2の上方において常開固定接点4bの上方に対向配置された常閉固定接点(第1の固定接点)5bを有している。常開固定接点4bは、ベース2の上方においてベース2寄りの位置に配置された接点取付部4aにカシメ等によって固着されている。常閉固定接点5bは、ベース2の上方においてベース2から離れた位置に配置された接点取付部5aに同様にカシメ等によって固着されている。
【0025】
共通端子3の先端部は、概略U字状(または概略コ字状)の支持枠30を有している。支持枠30は、上下方向に延びる第1の柱状部材30Aと、第1の柱状部材30Aの側方において第1の柱状部材30Aとの間に間隔を隔てて対向配置され、同様に上下方向に延びる第2の柱状部材30Bと、第1および第2の柱状部材30A、30B間を左右方向に連結する連結部材30Cとを有している。
【0026】
図5のIX-IX線断面である図9、および同図のX-X線断面である図10に示すように、支持枠30において、連結部材30Cの一端が連結された第1の柱状部材30Aの第1の端部30Aの一部は、ベース2内に埋設されていてベース2に固定されており、固定端になっている。これに対して、連結部材30Cの他端が連結された第2の柱状部材30Bの第2の端部30Bは、ベース2内に埋設されておらず(したがって、ベース2に固定されておらず、自由端つまりフリーになっており)、ベース2の上方に配置されている。このため、各端部30A、30Bを左右方向に連結する連結部材30Cは、ベース2の上面2Aとの間に間隔を隔てて上面2Aの上方に配置されている。
【0027】
ここで、共通端子3は、図13に示すように、端子板を立体的に折り曲げることにより構成されており、支持枠30は、外部接続端子3Aの向きと略直交する向きに配設されている。同図に示すように、共通端子3は、第1の柱状部材30Aの第1の端部30Aから連結部30Cの下方に延設された延設部30Aを有している。図9および図10に示すように、延設部30Aはベース2内に埋設されていてベース2に固定されている。なお、共通端子3においては、延設部30Aと外部接続端子3Aの間で折曲げ個所BPが3個所あるが(図13参照)、その理由は以下のとおりである。共通端子3は常開固定端子4および常閉固定端子5と一体に連設された展開状態で打ち抜きされた後、各端子3、4、5の連設状態を維持したまま、各接点4b、5bの固着工程を経て各端子3、4、5が折り曲げられ、ベース2にインサート成形されてから各端子3、4、5が切り離されるが、その場合、共通端子3の折り曲げ個所が1個所であると、展開状態において共通端子3の支持枠30が隣の常開固定端子4と干渉することになるので、それを解消するためである。
【0028】
また、図9および図10に示す例では、連結部材30Cの高さ方向(上下方向)の寸法つまり高さは、第1の端部30Aにおける高さをhとし、第2の端部30Bにおける高さをhとするとき、
>h
に設定されている。
【0029】
図9および図10に示す例では、さらに、連結部材30Cの高さは、端部30Aから端部30Bに向かって徐々に高さが低くなっており、連結部材30Cは、前後方向から見てテーパ状に形成されている。
【0030】
図1ないし図8および図12に示すように、マイクロスイッチ1は、一端に可動接点6aを有し、他端側を支点として上下方向に揺動可能な可動部材6を備えている。可動接点6aは、上側に配置された可動接点6aと、下側に配置された6aとから構成されており、上側の可動接点6aが常閉固定接点5bと接触可能に設けられ、下側の可動接点6aが常開固定接点4bと接触可能に設けられている。
【0031】
可動部材6の他端側は、図11および図12に示すように、二股に分岐しており、その先端にそれぞれ後端面60bを有するとともに、左右一対の側壁部6A、6Bを有している。各側壁部6A、6Bの先端には、それぞれ切欠き6A、6Bが形成されている。一方、ベース2側の支持枠30の第1、第2の柱状部材30A、30Bの各外側面には、それぞれ係合凹部30A、30Bが形成されている。可動部材6の各側壁部6A、6Bの先端部分は、支持枠30の第1、第2の柱状部材30A、30Bの各係合凹部30A、30Bにそれぞれ係合しており、これにより、可動部材6は、支持枠30の各係合凹部30A、30Bに上下方向揺動可能に支持されている。また、このとき、可動部材6の他端側先端の各後端面60bは、第1、第2の柱状部材30A、30Bに当接している(図11参照)。
【0032】
図1ないし図6および図12に示すように、マイクロスイッチ1は、可動部材6の可動接点6aを常閉固定接点5b側の上方位置から常開固定接点4b側の下方位置に移動させるように、可動部材6を反転操作するためのアクチュエータ7を備えている。アクチュエータ7は、可動部材6と交差する向きに配設されている(図5図6参照)。
【0033】
図12に示すように、アクチュエータ7は、左右両側方に張り出す一対の支持板部7a、7bを一端に有している。一方、ベース2には、上方に突出する左右一対の受け台20A、20Bが設けられており、各受け台20A、20Bには、それぞれ係合凹部20a、20bが形成されている。アクチュエータ7の各支持板部7a、7bは、受け台20A、20Bの各係合凹部20a、20bにそれぞれ係合しており(図5図6参照)、これにより、アクチュエータ7は、各係合凹部20a、20bに上下方向揺動可能に支持されている。また、アクチュエータ7は、外部から操作される操作部71を他端に有している。
【0034】
図1ないし図6図11および図12に示すように、マイクロスイッチ1は、引張コイルばね(引張ばね)8を有している。引張コイルばね8は、係止用のフック部8a、8bを各端部に有している。引張コイルばね8のフック部8aは、可動部材6の一端側に設けられた係止用突起部60a(図12)に係止され、フック部8bは、アクチュエータ7の他端側に設けられた係止用突起部70a(図12)に係止されている。これにより、引張コイルばね8による引張力が可動部材6の一端側とアクチュエータ7の他端側との間に作用している。
【0035】
引張コイルばね8の一方の端部は、図11に示すように、支持枠30の第1、第2の柱状部材30A、30Bの間に配置されている。すなわち、支持枠30の第1、第2の柱状部材30A、30Bは、引張コイルばね8を挟んで左右両側に配置されている。また、アクチュエータ7は、図12に示すように、長手方向の中央部において、上方に張り出す左右一対の張出し部7c、7dを有している。一方、図13に示すように、支持枠30の第1、第2の柱状部材30A、30Bの各内側面には、それぞれ係合凹部30A、30Bが形成されている。アクチュエータ7の各張出し部7c、7dは、支持枠30の第1、第2の柱状部材30A、30Bの各係合凹部30A、30Bにそれぞれ係合しており(図10参照)、これにより、これにより、アクチュエータ7の上方への移動が規制されている。
【0036】
次に、本実施例の作用効果について、図14ないし図17を用いて説明する。
図14は、マイクロスイッチ1において、アクチュエータ7の操作前の状態を示し、図15は、操作直後の状態を示している。また、図16図14のXVI-XVI線断面図であり、図17図15のXVII-XVII線断面図である。
【0037】
図14に示す操作前状態においては、可動部材6の可動接点6aが常閉固定接点5bに当接していて共通端子3および常閉固定端子5間の回路が閉じており、各接点間には、引張コイルばね8による付勢力によって所定の接点圧力が作用している。また、このとき、図16に示すように、引張コイルばね8の軸線CLは、可動部材6の可動接点6aおよび常閉固定接点5bの各中心線とほぼ一致している。すなわち、可動接点6aおよび常閉固定接点5bは、上方から見て各中心線がほぼ一致した状態におかれている。
【0038】
この状態から、アクチュエータ7が操作されると、図15に示すように、アクチュエータ7の一端側の各支持板部7a、7b(図12)が係合する、ベース2側の受け台20A、20Bの各係合凹部20a、20b(同図)の回りをアクチュエータ7が下方に揺動して、操作部71が下方に移動し、その結果、可動部材6が反転操作されて、可動部材6が常閉固定接点5b側の上方位置から常開固定接点4b側の下方位置に移動しようとする。
【0039】
この場合において、可動部材6がアクチュエータ7により反転操作される直前においては、図15に示すように、可動部材6の可動接点6aが依然として常閉固定接点5bに当接した状態にある。そして、アクチュエータ7が下方に揺動したことにより、引張コイルばね8のフック部8aが係止された、可動部材6の一端側の係止用突起部60aと、フック部8bが係止された、アクチュエータ7の他端側の係止用突起部70aとの間の間隔が大きくなっており、そのため、引張コイルばね8が伸ばされることで、可動部材6の一端側に対する引張力が増大している。
【0040】
このとき、可動部材6の二股状の他端の各後端面60bが当接する、支持枠30の第1、第2の柱状部材30A、30Bには、可動部材6の他端からそれぞれ作用する押付力が増大する。上述したように、第1の柱状部材30Aの第1の端部30Aはベース2に固定され、第2の柱状部材30Bの第2の端部30Bはベース2に固定されていないので、可動部材6の他端から作用する押付力が増大すると、第2の柱状部材30Bの第2の端部30Bの方が第1の柱状部材30Aの第1の端部30Aより相対的に大きく変形して変形量が大きくなる。別の言い方をすると、このとき、第2の柱状部材30Bの第2の端部30Bは、第1の柱状部材30Aの第1の端部30Aに対して変位し、第1の端部30Aより変位量が大きくなっており、第2の柱状部材30Bは第1の柱状部材30Aの回りを回動している。
【0041】
しかも、この場合には、図10に示すように、第1の端部30Aの高さhが第2の端部30Bの高さhより大きくなっており、好ましくは、連結部材30Cの高さが第1の端部30Aから第2の端部30Bに向かって徐々に低くなっていて連結部材30Cがテーパ状に形成されているので、第2の端部30Bの変位量が第1の端部30Aの変位量より一層大きくなる。
【0042】
また、このとき、第1の柱状部材30Aの第1の端部30Aが固定端で、第2の柱状部材30Bの第2の端部30Bが自由端になっているので、可動部材6の他端から各柱状部材30A、30Bに作用する押付力が増大したとき、第1の柱状部材30Aの第1の端部30Aに対する変位量よりも、第2の柱状部材30Bの第2の端部30Bに対する変位量の方が大きい。
【0043】
これにより、図17に示すように、引張コイルばね8による引張力の作用下で、可動部材6の一端側が他端側の回りを側方にずれるように変位する(つまり側方に向かって回動する)。このとき、引張コイルばね8の一端側のフック8aは可動部材6の一端側の係止用突起部60aに係止されているので、可動部材6の側方への変位により、引張コイルばね8の一端側も側方に向かって変位する。その結果、同図中の一点鎖線および二点鎖線に示すように、引張コイルばね8の軸線CLは、軸線CLの位置から引張コイルばね8の他端側を中心として側方に変位して、軸線CLと交差する方向に変位する。それに伴って、可動部材6の一端側の可動接点6a(可動接点6aも同様)は、固定接点5bと接触した状態を維持したまま、引張コイルばね8の軸線CLと交差する方向に変位する。このとき、同図中に示すように、可動接点6a(可動接点6aも同様)は、常閉固定接点5bに対して側方にずれるように変位(つまり側方に向かって回動)して常閉固定接点5bと摺動する。
【0044】
このようにして、接点表面を十分にワイピングすることができ、接点表面の絶縁被膜を剥離させることができる。
【0045】
なお、図15の状態を越えてさらにアクチュエータ7が操作されると、可動部材6が反転して、可動部材6が常閉固定接点5b側の上方位置から常開固定接点4b側の下方位置に移動し、これにより、接点が切り替えられる。
【0046】
〔第1の変形例〕
前記実施例では、図10に示したように、支持枠30の第1の柱状部材30Aの第1の端部30Aの一部がベース2内に埋設されてベース2に固定された例を示したが、本発明の適用はこれに限定されない。ベース2内に埋設されてベース2に固定される部位は、第1の端部30Aの全部でもよい。
【0047】
〔第2の変形例〕
前記実施例では、共通端子3の延設部30Aが、第1の柱状部材30Aの第1の端部30Aから連結部30Cの下方に、すなわち第1の端部30Aの延長線上に配設された例を示したが(図9図10図13参照)、本発明の適用はこれに限定されない。延設部30Aは、第1の端部30Aに対して側方に偏倚した位置に配置されていてもよい。この場合、延設部30Aは、支持枠30の中心線と第1の柱状部材30Aの中心線との間に配置されているのが好ましく、このとき、延設部30Aは、支持枠30の中心線と第1の柱状部材30Aの中心線との間において連結部材30Cから下方に延設されている。また、このとき、第1の柱状部材30Aの第1の端部30Aはベース2内に埋設されており、これに対して、延設部30Aはベース2内に埋設されていてもいなくてもよい。
【0048】
〔第3の変形例〕
前記実施例では、支持枠30の下方において、外部接続端子3Aとの間に延設部30Aを設けた例を示したが、この延設部30Aは省略することも可能である。その場合、共通端子3が支持枠30および外部接続端子3Aの2つの部品から構成され、これらの部品が分離して配置されることになるが、これらの部品の間は、たとえばジャンパー線により電気的に接続するようにすればよい。
【0049】
〔第4の変形例〕
図18は、本発明の第4の変形例によるマイクロスイッチを示しており、同図中、前記実施例と同一符号は同一または相当部分を示している。
【0050】
図18に示すマイクロスイッチ1においては、常閉固定接点5bの接点取付部5aを下方から支持するようにベース2から上方に延設された延設部5cの上部において、内方(同図左方)に向かって突出する突出部9が設けられている。突出部9は、可動部材6の一端の側方(同図紙面奥側)の位置に可動部材6の一端との間に所定の間隔を隔てて配置されており、正面方向から見て可動部材6の一端とオーバラップしている。突出部9は、可動部材6の一端の側方への動きを規制するための規制部として機能している。前記実施例においては、類似の突出部が図示されているが、これは、可動部材6の一端の側方に配置されておらず、正面方向から見て可動部材6の一端とオーバラップしていない。
【0051】
このような規制部としての突出部9を設けた理由は以下のとおりである。
マイクロスイッチ1の輸送中の振動や衝撃により、また設置時にマイクロスイッチ1を落下させた際の衝撃により、可動部材6の自由端側の一端が側方に向かって過度に移動する場合がある。また、可動部材6の一端側の可動接点6aが常開固定接点4b側の下方位置から常閉固定接点5b側の上方位置に戻る際、可動接点6aが常閉固定接点5bに対して、上述した反転操作時の変位方向とは逆方向に変位しようとするので、そのときの慣性で可動部材6の一端の側方への移動量が大きくなる場合も考えられる。このような場合において、可動部材6の一端を突出部9に当接させることで、可動部材6の一端の側方への移動量が過大になるのを防止して、可動部材6の他端が支持枠30の第1、第2の柱状部材30A、30Bから外れる状態が発生するのを回避するためである。
【0052】
〔その他の変形例〕
上述した実施例および各変形例はあらゆる点で本発明の単なる例示としてのみみなされるべきものであって、限定的なものではない。本発明が関連する分野の当業者は、本明細書中に明示の記載はなくても、上述の教示内容を考慮するとき、本発明の精神および本質的な特徴部分から外れることなく、本発明の原理を採用する種々の変形例やその他の実施例を構築し得る。
【産業上の利用可能性】
【0053】
本発明は、検出用スイッチや操作用スイッチ等として用いられるマイクロスイッチに有用である。
【符号の説明】
【0054】
1: マイクロスイッチ

2: ベース

4b: 常開固定接点(第2の固定接点)
5b: 常閉固定接点(第1の固定接点)

6: 可動部材
6a、6a、6a: 可動接点

7: アクチュエータ

8: 引張コイルばね(引張ばね)

9: 規制部材

30: 支持枠
30A: 第1の柱状部材
30A: 第1の端部
30B: 第2の柱状部材
30B: 第2の端部
30C: 連結部(規制部材)

CL、CL: 軸線
【先行技術文献】
【特許文献】
【0055】
【特許文献1】実開昭63-129928号公報(第2~4頁、第4図および第5図参照)
図1
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