(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022007849
(43)【公開日】2022-01-13
(54)【発明の名称】手引きスターターのスターターディスク及び手引きスターター
(51)【国際特許分類】
F02N 3/02 20060101AFI20220105BHJP
【FI】
F02N3/02 F
【審査請求】有
【請求項の数】10
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2020136795
(22)【出願日】2020-08-13
(31)【優先権主張番号】202010588371.1
(32)【優先日】2020-06-24
(33)【優先権主張国・地域又は機関】CN
(71)【出願人】
【識別番号】520307506
【氏名又は名称】台州鯤正科技有限公司
(74)【代理人】
【識別番号】110001139
【氏名又は名称】SK特許業務法人
(74)【代理人】
【識別番号】100130328
【弁理士】
【氏名又は名称】奥野 彰彦
(74)【代理人】
【識別番号】100130672
【弁理士】
【氏名又は名称】伊藤 寛之
(72)【発明者】
【氏名】何洪偉
(72)【発明者】
【氏名】林勇
(57)【要約】 (修正有)
【課題】手引きスターターにおいて、ユーザの操作スキルに対する要求を低減させて、更に実用的にすること。
【解決手段】手引きスターターのスターターディスク3は、輪状のディスク体3aを有し、ディスク体3aには螺旋状を呈し、かつその外周面に沿って複数周に巻かれる縄巻回通路3a1が設けられ、縄巻回通路3a1の両端はそれぞれ縄挿入端と縄排出端であり、縄巻回通路3a1の底部からディスク体3aの中心軸線までの距離は縄排出端に沿って縄挿入端に向かって徐々に縮小される。これにより、初期引張り時に比較的軽くて、引張った後にスターターディスク3が自動的に速度を上げる。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
輪状のディスク体(3a)を有する手引きスターターのスターターディスクであって、前記ディスク体(3a)には螺旋状を呈し、かつその外周面に沿って複数周に巻かれる縄巻回通路(3a1)が設けられ、縄巻回通路(3a1)の両端はそれぞれ縄挿入端(3a11)と縄排出端(3a12)であり、縄巻回通路(3a1)の底部からディスク体(3a)の中心軸線までの距離は縄排出端(3a12)に沿って縄挿入端(3a11)に向かって徐々に縮小する、ことを特徴とする手引きスターターのスターターディスク。
【請求項2】
前記ディスク体(3a)の外周面はテーパ構造を有し、縄巻回通路(3a1)はディスク体(3a)の外周面に沿って開設される螺旋溝であることを特徴とする請求項1に記載の手引きスターターのスターターディスク。
【請求項3】
前記ディスク体(3a)の外周面はテーパ構造を有し、ディスク体(3a)の外側には、その外周面に沿って螺旋状に分布される複数周巻きの凸状ブロック群が固接され、隣接する2周巻きの凸状ブロック群の間には縄巻回通路(3a1)が形成されることを特徴とする請求項1に記載の手引きスターターのスターターディスク。
【請求項4】
前記ディスク体(3a)の外周面は円柱面であり、縄巻回通路(3a1)はディスク体(3a)の外周面に沿って開設されている螺旋溝であり、螺旋溝の深さは縄排出端(3a12)から縄挿入端(3a11)に向かって徐々に増大することを特徴とする請求項1に記載の手引きスターターのスターターディスク。
【請求項5】
前記ディスク体(3a)外側において、縄挿入端(3a11)に近接する箇所はブロック状の位置制限部(3a9)を有し、位置制限部(3a9)の内側には半円孔が設けられ、半円孔と縄挿入端(3a11)に近接する箇所の縄巻回通路(3a1)との間には引張縄(2)に対応する位置制限孔(3a10)が形成されることを特徴とする請求項1乃至4のいずれか一項に記載の手引きスターターのスターターディスク。
【請求項6】
前記ディスク体(3a)には軸方向に沿って接合孔(3a2)が貫通して設けられ、ディスク体(3a)の縄挿入端(3a11)に近接する一端面辺縁には環状突起(3a3)が設けられ、環状突起(3a3)の端面には係止溝(3a31)が設けられ、環状突起(3a3)の内側壁には係止溝(3a31)に連通する切り口(3a32)が設けられることを特徴とする請求項5に記載の手引きスターターのスターターディスク。
【請求項7】
前記ディスク体(3a)の縄排出端(3a12)に近接する一端面には環状チャンバ(3a4)が設けられ、ディスク体(3a)は環状チャンバ(3a4)の中心部位に爪台(3a5)を形成することを特徴とする請求項6に記載の手引きスターターのスターターディスク。
【請求項8】
前記環状チャンバ(3a4)の頂部壁には縄挿入孔(3a7)と位置制限溝(3a6)が設けられ、環状チャンバ(3a4)の頂部壁において、位置制限溝(3a6)と縄挿入孔(3a7)の間には両者を連通するための凹口(3a8)が設けられ、縄挿入孔(3a7)は縄挿入端(3a11)の所在部位を貫通することを特徴とする請求項7に記載の手引きスターターのスターターディスク。
【請求項9】
ケース(1)、引張縄(2)、ケース(1)内に設けられている回転可能なスターターディスク(3)を含み、前記スターターディスク(3)は輪状のディスク体(3a)を有する手引きスターターであって、前記ディスク体(3a)には螺旋状を呈し、かつその外周面に沿って複数周に巻かれる縄巻回通路(3a1)が設けられ、縄巻回通路(3a1)の両端はそれぞれ縄挿入端(3a11)と縄排出端(3a12)であり、縄巻回通路(3a1)の底部からディスク体(3a)の中心軸線までの距離は縄排出端(3a12)に沿って縄挿入端(3a11)に向かって徐々に縮小され、引張縄(2)の一端と縄挿入端(3a11)所在のディスク体(3a)とは互いに固定され、引張縄(2)は縄巻回通路(3a1)に沿ってディスク体(3a)の外周面を巻回して縄排出端(3a12)からケース(1)の側部を貫通することを特徴とする手引きスターター。
【請求項10】
手引きスターターであって、前記ケース(1)の内側には芯軸(5)が固定され、ディスク体(3a)は芯軸(5)上を被嵌し、芯軸(5)には位置制限カバー(6)が被嵌され、位置制限カバー(6)の内側にはディスク体(3a)の形状に対応するチャンバが設けられ、ディスク体(3a)は位置制限カバー(6)のチャンバ内に位置し、位置制限カバー(6)の側部は縄排出端(3a12)の位置に対応する位置譲り口(6a1)を有することを特徴とする請求項9に記載の手引きスターター。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は補助起動の技術分野に属し、スターターディスク及び手引きスターターに関する。
【背景技術】
【0002】
社会の発展に従って、農業機械化のレベルも益々高くなり、農業耕耘機も益々通常に使用されている。その原動力はガス/ディーゼルエンジンであり、作動前に補助起動装置を通じて必ず起動させることで作動状態に入る。通常のスターターは手揺動スターターと手引きスターターを有し、手引きスターターはその構造が簡単で、かつコストが低いため、安定的な市場を占めている。
【0003】
例えば、中国特許の出願番号201220545144.1にはディーゼルエンジンの手引き起動装置を開示し、内部に凹口を有する固定蓋、固定蓋に設けられかつ内部へ凹む起動ディスクを含み、凹口内は中心軸とコイル溝を含む。起動ディスクは中心軸に設けられ、起動ディスクは中心軸を回って回転し、コイル溝内にはコイルが設けられ、該コイルは、一端がコイル溝の側壁に設けられ、他端は起動ディスクに固定される。起動ディスクは環状凹溝を有し、環状凹溝内には起動縄が設けられ、起動縄の外端は固定蓋のエッジを貫通し、起動ディスクの外端部には間隔を有して取付溝が設けられ、取付溝内には起動爪がヒンジ接続して設けられる。操作するとき、起動縄を引張ることで、起動縄が中心軸を回って回転し、回転過程で、コイルが回ることにより蓄力を行うと同時に、起動爪はヒンジ接続点を回って揺動し、かつ外部へ向かって開かれて、ディーゼルエンジン上の起動カップに対応する孔内に挿入される。起動縄を放すと、起動ディスクはコイルの開放する弾力で中心軸を逆方向で高速回転させ、これにより、起動ディスクが起動カップを連動し、高速回転されてディーゼルエンジンの起動を実現する。
【0004】
起動縄は環状凹槽を通じて起動ディスクの外部を複数周に巻回し、操作者が起動縄を引張って起動ディスクを連動して回転させると、起動ディスクの回転速度は変更せず、これによって、1つのこのような現状を生じさせる。起動ディスクが大きいとき、操作者が引張りに用いる力は少なくなるが、起動ディスクの回転速度が遅く、ディーゼルエンジンの点火の失敗率が高くなる。このような現状の問題点に対して、起動ディスクの外径を縮小して起動ディスクの回転速度を速めになるように確保しているが、これに応じて初期状態で起動ディスクを引張るための力が大きくなって、非常に面倒になっている。そのため、このような構造の手引きスターターは通常ユーザのスキルに対する要求が比較的高い問題点が存在する。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明の目的は従来技術に存在する上記の問題点について、手引きスターターのスターターディスク及び手引きスターターを提供して、操作スキルに対する要求が高い問題を解決している。
【0006】
本発明の目的は、下記の技術案により実現できる。
【0007】
手引きスターターのスターターディスクは輪状のディスク体を有し、前記ディスク体には螺旋状を呈し、かつその外周面に沿って複数周に巻かれる縄巻回通路が設けられ、縄巻回通路の両端はそれぞれ縄挿入端と縄排出端であり、縄巻回通路の底部からディスク体の中心軸線までの距離は縄排出端に沿って縄挿入端に向かって徐々に縮小される。
【0008】
引張縄の一端を縄挿入端のディスク体上に固定した後、引張縄を縄巻回通路に従ってディスク体上を巻回し、その後、縄排出端から引出している。ユーザは操作する際に縄排出端から引張縄を引張って放すことで、スターターディスクを連動して回転させることができる。縄巻回通路の底部からディスク体の中心軸線までの距離は縄排出端に沿って縄挿入端に向かって徐々に縮小され、これは、引張縄がディスク体上を巻回して形成される巻きは縄排出端から縄挿入端に向かって徐々に増大するため、引張縄がディスク体上を巻回した後円錐螺旋状を成す。これにより、ユーザが初期段階で気軽くスターターディスクを引張って回転させることができる。同時に、引張縄とディスク体の間の摩擦力が変化しない状況で、該縄巻回通路を設けることで変速作用を果たし、スターターディスクが自動で速度を上げて、エンジンが順調に点火されて起動されることを保証する。
【0009】
本発明の手引きスターターのスターターディスクは初期段階で引張る際に比較的軽く、引張った後にスターターディスクが自動で速度を上げる特徴により、非常によくユーザの操作スキルに対する要求を低減し、更に実用的になる。さらに、ディーゼルエンジンの点火が失敗される際には反撃力が生じ、このとき、縄巻回通路を設置することで、反撃力が徐々に小さくなると同時に、反撃速度が徐々に小さくなって、緩衝過程を形成し、ユーザに対する傷害を減少し、安全性を高める。
【0010】
上述の手引きスターターのスターターディスクにおいて、前記ディスク体の外周面はテーパ構造を有し、縄巻回通路はディスク体の外周面に沿って開設される螺旋溝である。
【0011】
ディスク体の外周面はテーパ構造を有するように設けられ、かつディスク体の外周面には螺旋溝が設けられる。引張縄が螺旋溝を通じてディスク体上を巻回する際に、直接円錐螺旋状を呈し、スターターディスクが安定的に変速するように保証する。
【0012】
上述の手引きスターターのスターターディスクにおいて、他の技術手段として、前記ディスク体の外周面はテーパ構造を有し、ディスク体の外側にはその外周面に沿って螺旋状に分布される複数周巻きの凸状ブロック群が固接され、隣接する2周巻きの凸状ブロック群の間には縄巻回通路が形成される。
【0013】
ディスク体の外側にはその外周面に沿って螺旋状に分布される凸状ブロック群が固接されると同時に、ディスク体の外周面はテーパ構造を有し、これにより、隣接する2周巻きの凸状ブロック群の間の空間は直接縄巻回通路として使用される。ユーザが引張縄を引張るとき、凸状ブロック群を通じて引張縄を順序に放してスターターディスクの安定的な変速を確保する。
【0014】
前記手引きスターターのスターターディスクにおいて、他の技術手段では、前記ディスク体の外周面は円柱面であり、縄巻回通路はディスク体の外周面に沿って開設される螺旋溝であり、螺旋溝の深さは縄排出端から縄挿入端に向かって徐々に増大する。
【0015】
ディスク体の外周面は円柱面であり、ディスク体に外周面に螺旋溝を加工する際に、螺旋溝の加工深さを制御して、縄排出端から縄挿入端に向かって徐々に増大させる。これにより、引張縄がディスク体上を巻回すると円錐螺旋状を呈するため、ユーザが引張縄を引張る際にスターターディスクに変速が生じる。
【0016】
上述手引きスターターのスターターディスクにおいて、前記ディスク体の外側の縄挿入端に近接する箇所はブロック状の位置制限部を有し、位置制限部の内側には半円孔が設けられ、半円孔と縄挿入端に近接する箇所の縄巻回通路との間は引張縄に対応する位置制限孔を形成する。
【0017】
位置制限孔は引張縄に対して位置制限を行い、主に、スターターディスクが反転する際に位置制限部上の半円孔の内壁を通じて引張縄を制限し、これにより、引張縄が縄巻回通路に沿って順調にディスク体上を巻回して、手引きスターターが毎回作動する時に変速を確実に行うことができる。
【0018】
上述手引きスターターのスターターディスクにおいて、前記ディスク体には軸方向に沿って接合孔が貫通して設けられ、ディスク体の縄挿入端に近接する一端面辺縁には環状突起が設けられ、環状突起の端面には係止溝が設けられ、環状突起の内側壁には係止溝を連通する切り口が設けられる。
【0019】
上述の手引きスターターのスターターディスクにおいて、前記ディスク体の縄排出端に近接する一端面には環状チャンバが設けられ、ディスク体は環状チャンバの中心部位に爪台を形成する。
【0020】
ディスク体の外周面には縄巻回通路のみが分布されているため、ディスク体上に環状チャンバを設けることで、材料の節約が可能で、コストも削減できる。同時に、環状チャンバを設置した後に形成される構造を爪台にするため、ディスク体の体積を小さくすることができる。
【0021】
上述の手引きスターターのスターターディスクにおいて、前記環状チャンバの頂部壁には縄挿入孔と位置制限溝が設けられ、環状チャンバの頂部壁において、位置制限溝と縄挿入孔の間には両者を連通するための凹口が設けられ、縄挿入孔は縄挿入端の所在部位を貫通する。
【0022】
具体的に、引張縄を連結するとき、引張縄の一端を結んで係合部を形成し、係合部は位置制限溝内に係入され、その後、引張縄の他端を凹口により縄挿入孔内に挿入させ、かつ縄挿入孔からディスク体の外部に引出して、縄巻回通路に沿ってディスク体の外周面上を巻回させる。位置制限溝、縄挿入孔及び凹口を設けることで、引張縄がスターターディスクの他の部位を干渉しない状況で巻回を完了し、使用での安定性を保証する。
【0023】
手引きスターターは、ケース、引張縄、ケース内に設けられている回転可能なスターターディスクを含む。前記スターターディスクは輪状のディスク体を有し、前記ディスク体には螺旋状を呈し、かつその外周面に沿って複数周に巻かれている縄巻回通路が設けられる。縄巻回通路の両端はそれぞれ縄挿入端と縄排出端であり、縄巻回通路の底部からディスク体の中心軸線までの距離は縄排出端に沿って縄挿入端に向かって徐々に縮小される。引張縄の一端と縄挿入端の所在のディスク体とは互いに固定され、引張縄は縄巻回通路に沿ってディスク体の外周面を巻回して縄排出端からケースの側部を貫通する。
【0024】
上述の手引きスターターにおいて、前記ケースの内側には芯軸が固定され、ディスク体は芯軸上を被嵌し、芯軸には位置制限カバーが被嵌される。位置制限カバーの内側にはディスク体の形状に対応するチャンバが設けられ、ディスク体は位置制限カバーのチャンバ内に位置し、位置制限カバーの側部は縄排出端の位置に対応する位置譲り口を有する。
【0025】
位置制限カバーを設け、かつディスク体が位置制限カバーのチャンバ内に位置することで、位置制限カバーの内側壁を利用して、縄の跳ねまたは2周巻の引張縄の間のずれを防止して、変速の安定性を保証する。
【0026】
従来技術に比べて、本発明の手引きスターターのスターターディスク及び手引きスターターは初期引張り時に比較的軽くて、引張った後にスターターディスクが自動的に速度を上げる特徴を有するため、非常によくユーザの操作スキルに対する要求を低減させて、更に実用的になる。さらに、縄巻回通路を設置することで、点火失敗時に生じる反撃力を徐々に減少させると同時に、反撃速度も徐々に減少されて、緩衝過程を形成し、ユーザに対する傷害を減少し、安全性を高める。
【図面の簡単な説明】
【0027】
【
図1】手引きスターターの実施例1における断面図である。
【
図2】手引きスターターの実施例1において、引張縄がスターターディスクを巻回した後の概略図である。
【
図3】手引きスターターの実施例1において、引張縄がスターターディスクを巻回した後の他の角度での概略図である。
【
図4】実施例1のスターターディスクの概略図である。
【
図5】実施例1において、位置制限カバーがスターターディスクの外側を被覆する際の図である。
【
図6】実施例1において、渦巻バネとスターターディスクの間の対応概略図である。
【
図7】実施例1において、渦巻バネと位置制限カバーの間の対応概略図である。
【
図8】実施例1における位置制限カバーの概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0028】
以下では、本発明の実施例及び図面を組み合わせて、本発明の技術手段を更に説明するが、本発明はこれの実施例に限定されない。
【0029】
<実施例1>
図1、
図2及び
図4に示すように、手引きスターターはケース1、引張縄2、及びケース1内に設けられる回転可能なスターターディスク3を含む。スターターディスク3は、輪状のディスク体3aを有し、ディスク体3aには螺旋状を呈し、かつその外周面に沿って複数周に巻かれる縄巻回通路3a1が設けられる。縄巻回通路3a1の両端はそれぞれ縄挿入端3a11と縄排出端3a12であり、縄巻回通路3a1の底部からディスク体3aの中心軸線までの距離は縄排出端3a12に沿って縄挿入端3a11に向かって徐々に縮小される。引張縄2の一端と縄挿入端3a11所在のディスク体3aとは互いに固定される。引張縄2は縄巻回通路3a1に沿ってディスク体3aの外周面を巻回して縄排出端3a12からケース1の側部に貫通し、引張縄2のケース1を貫通する一端には取っ手4が固定されている。具体的には、ディスク体3aの外周面はテーパ構造を有し、即ち、ディスク体3aはテーパ構造ブロックであり、縄巻回通路3a1はディスク体3aの外周面に沿って設けられている螺旋溝であり、螺旋溝の巻回数は3周巻き以上である。
【0030】
図1、
図5、
図6、
図7及び
図8に示すように、ケース1の内側には芯軸5が固定され、芯軸5及びケース1は一体式構造であってもよく、溶接により固定されてもよい。ディスク体3aには軸方向に沿って接合孔3a2が貫通して設けられ、ディスク体3aは接合孔3a2を通じて芯軸5上を被嵌している。芯軸5には位置制限カバー6が被嵌され、位置制限カバー6の内側にはディスク体3aの形状に対応するチャンバが設けられ、ディスク体3aは位置制限カバー6のチャンバ内に位置し、本実施例において、チャンバはテーパ構造チャンバである。位置制限カバー6の内側壁とディスク体3aの外側壁の間には引張縄2の外径より小さい隙間が形成され、位置制限カバー6の側部は縄排出端3a12の位置に対応する位置譲り口6a1を有する。ディスク体3aの縄挿入端3a11に近接する一端面辺縁には環状突起3a3が設けられ、環状突起3a3の端面には係止溝3a31が設けられ、環状突起3a3の内側壁には係止溝3a31に連通する切り口3a32が貫通して設けられる。環状突起3a3の内側には渦巻バネ7が設けられ、渦巻バネ7の一端は切り口3a32を介して係止溝3a31内に係止され、位置制限カバー6の内側には凸環6b1が設けられ、芯軸5は凸環6b1を貫通し、凸環6b1の側壁には係止口6b11が設けられ、渦巻バネ7の他端は係止口6b11の側壁上を引っ掛けている。
【0031】
具体的には、
図1及び
図8に示すように、位置制限カバー6は、テーパ構造状の環状カバー体6a、環状カバー体6aの外径が小さい一端に固定連結される円形蓋6bを含み、芯軸5は円形蓋6bを貫通し、凸環6b1は円形蓋6bに設けられている。環状カバー体6aの外径の比較的大きい一端部はまっすぐ前へ向かっている円環延伸部6a3を有し、円環延伸部6a3はディスク体3aの外径が比較的大きい一端面の外部に延伸し、位置譲り口6a1は環状カバー体6aに設けられ、かつ環状カバー体6aの側部には周方向に沿って複数の重さ軽減溝6a2が貫通して設けられる。位置譲り口6a1及び重さ軽減溝6a2はそれぞれ環状カバー体6aの内側から外部へ向かってプレスにより形成される。
【0032】
図1及び
図3に示すように、ディスク体3aの縄排出端3a12に近接する一端面(即ち、外径が比較的大きい一端面)には環状チャンバ3a4が設けられ、ディスク体3aは環状チャンバ3a4の中心部位で爪台3a5を形成する。爪台3a5は円柱形を呈し、接合孔3a2は爪台3a5の端面を貫通し、爪台3a5の端面には2つの収容溝3a51が更に対称に分布され、2つの収容溝3a51内にはそれぞれディスク体3aに対して揺動可能な起動爪8がヒンジ接続される。さらに、芯軸5の端部には爪ディスク9が被嵌され、爪台3a5の端部は爪ディスク9の内側に位置し、爪ディスク9の側部には2つの円弧状の爪出口が貫通して設けられ、2つの起動爪8の一端はそれぞれ2つの円弧状の爪出口に位置する。芯軸5の端部にはナット10が螺合され、芯軸5にはバネ11が被嵌され、バネ11の弾力は爪ディスク9に作用して、爪ディスク9をナット10上に押し付ける。バネ11を介して爪ディスク9をナット10上に押し付けることで、爪ディスク9の回転における摩擦力を回避し、これにより、ユーザが引張縄2を引張ってスターターディスク3を回転させるとき、爪ディスク9は動かない保持するため、起動爪8は円弧状の爪出口の側壁に当接してヒンジ接続点を回って外部へ向かって開かれる。
【0033】
図2、
図3及び
図4に示すように、環状チャンバ3a4の頂部壁には縄挿入孔3a7と位置制限溝3a6が設けられ、環状チャンバ3a4の頂部壁は位置制限溝3a6と縄挿入孔3a7との間に両者を連通させる凹口3a8を設け、縄挿入孔3a7は縄挿入端3a11箇所に貫通する。具体的に、位置制限溝3a6は四角形溝である。具体的に、引張縄2を巻回するとき、引張縄2の一端を結んで係合部2aを形成し、係合部2aは位置制限溝3a6内に係入され、その後引張縄2を凹口3a8及び縄挿入孔3a7を経由してディスク体3aの外部から引出し、更に縄挿入端3a11から縄巻回通路3a1に沿ってディスク体3aの外周面で巻回を開始する。ディスク体3aの外側において、縄挿入端に近接する箇所はブロック状の位置制限部を有し、位置制限部の内側には半円孔が設けられ、半円孔と縄挿入端に近接する箇所の縄巻回通路との間は引張縄に対応する位置制限孔が形成され、引張縄2は位置制限孔3a10から貫通する。
【0034】
使用するとき、ケース1を堅固部材によりディーゼルエンジンのケーシング上に固定し、かつ爪ディスク9がディーゼルエンジンの起動カップ内に位置するように保証する。ディーゼルエンジンを起動させるとき、ユーザは引張縄2を引張り、引張縄2は摩擦力を通じてスターターディスク3のディスク体3aを連動して回転させ、これにより、渦巻バネ7が収縮されて蓄力を行う。該過程で、2つの起動爪8は対応する円弧状の爪出口の側壁に当接して爪ディスク9の外部に延伸し、かつ起動カップ上の対応する孔内に挿入される。続いて、引張縄2を放すと、渦巻バネ7の弾力は瞬間に緩くなってディスク体3aを連動させることで、短時間内で高速反転を行い、2つの起動爪8が起動カップを高速回転させてディーゼルエンジンの起動を完成させる。
【0035】
ディスク体3aの外側には螺旋状の縄巻回通路3a1が設けられて、引張縄2がディスク体3a上を巻回した後は円錐螺旋状を呈し、引張縄2はディスク体3aの外径から比較的大きい部分へ開放されるため、先にユーザが初期段階で非常に気軽くディスク体3aを引張って回転させることができる。その後、引張縄2を放し続ける過程で、ディスク体3aの外径の連続的縮小を通じて、ディスク体3aが引張縄2及び縄巻回通路3a1の協合により自動で速度が上がる。ディスク体3aの回転速度が速くなることで渦巻バネ7の蓄積された力が増大し、こにより、渦巻バネ7の開放するエネルギーが多くなって、ディーゼルエンジンのシリンダ内で更に高速にオイルが通って、ディーゼルエンジンの点火成功率を高めることができる。
【0036】
<実施例2>
本実施例は、実施例1の構造及び原理がほぼ同一で、異なる点は、本実施例において、ディスク体3aの外周面はテーパ構造を有し、ディスク体3aの外側にはその外周面に沿って螺旋状に分布される凸状ブロック群が固定連結され、互いに隣接する2周巻の凸状ブロック群の間には縄巻回通路3a1が形成される。
【0037】
<実施例3>
本実施例は実施例1の構造及び原理がほぼ同一で、異なる点は、本実施例において、ディスク体3aの外周面は円柱面であり、縄巻回通路3a1はディスク体3aの外周面に沿って開設されている螺旋溝であり、螺旋溝の加工深さは縄排出端3a12から縄挿入端3a11に向かって徐々に増大される。
【0038】
本明細書での具体的実施例は本発明の精神のために例を挙げて説明するのみである。当業者は精神から逸脱せずまたは請求項の記載の範囲を越えずに、本発明に記載された具体的な実施例に対して様々な変更又は補足を行い又は同様な態様を用いて置き換えることができる。
【0039】
1、ケース;2、引張縄;2a、係合部;3、スターターディスク;3a、ディスク体;3a1、縄巻回通路;3a11、縄挿入端;3a12、縄排出端;3a2、接合孔;3a3、環状突起;3a31、係止溝;3a32、切り口;3a4、環状チャンバ;3a5、爪台;3a51、収容溝;3a6、位置制限溝;3a7、縄挿入孔;3a8、凹口;3a9、位置制限部;3a10、位置制限孔;4、取っ手;5、芯軸;6、位置制限カバー;6a、環状カバー体;6a1、位置譲り口;6a2、重さ軽減溝;6a3、円環延伸部;6b、円形蓋;6b1、凸環;6b11、係止口;7、渦巻バネ;8、起動爪;9、爪ディスク;10、ナット;11、バネ