(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022078506
(43)【公開日】2022-05-25
(54)【発明の名称】ホームネットワークシステム
(51)【国際特許分類】
H04L 12/28 20060101AFI20220518BHJP
H04W 88/04 20090101ALI20220518BHJP
H04W 40/12 20090101ALI20220518BHJP
H04W 40/10 20090101ALI20220518BHJP
H04Q 9/00 20060101ALI20220518BHJP
【FI】
H04L12/28 200Z
H04W88/04
H04W40/12
H04W40/10
H04Q9/00 301D
【審査請求】未請求
【請求項の数】13
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2020189228
(22)【出願日】2020-11-13
(71)【出願人】
【識別番号】000201113
【氏名又は名称】船井電機株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100104433
【弁理士】
【氏名又は名称】宮園 博一
(74)【代理人】
【識別番号】100155608
【弁理士】
【氏名又は名称】大日方 崇
(72)【発明者】
【氏名】市村 保雄
【テーマコード(参考)】
5K033
5K048
5K067
【Fターム(参考)】
5K033AA07
5K033BA01
5K033CA07
5K033DA06
5K033DA19
5K033DB18
5K048BA01
5K048BA41
5K048DB01
5K048DC01
5K048HA03
5K048HA36
5K067DD44
5K067EE02
5K067EE06
5K067EE10
(57)【要約】
【課題】住宅構造に起因して、表示装置およびルータの間の通信品質が良好とはいえない状況が生じた場合に、表示装置およびルータの間の通信品質を向上させることが可能なホームネットワークシステムを提供する。
【解決手段】このホームネットワークシステム100は、無線通信可能な表示装置10と、インターネットに接続されたルータ20と、表示装置10とルータ20とを無線通信により接続可能なネットワーク30を構成する複数の端末装置40と、を備え、複数の端末装置40のうちの少なくとも1つは、駆動部41eにより可動する可動端末装置41を含み、表示装置10は、第1通信品質に基づいて、表示装置10とルータ20との間の第1通信品質が高くなる位置に可動端末装置41を移動させる制御を行う制御部11を含む。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
無線通信可能な表示装置と、
インターネットに接続されたルータと、
前記表示装置と前記ルータとを無線通信により接続可能なネットワークを構成する複数の端末装置と、を備え、
前記複数の端末装置のうちの少なくとも1つは、駆動部により可動する可動端末装置を含み、
前記表示装置は、第1通信品質に基づいて、前記表示装置と前記ルータとの間の前記第1通信品質が高くなる位置に前記可動端末装置を移動させる制御を行う制御部を含む、ホームネットワークシステム。
【請求項2】
前記制御部は、前記表示装置と前記ルータとの間の前記第1通信品質としての通信速度が閾値未満の低速度値である場合に、前記通信速度が前記低速度値よりも高くなる位置に前記可動端末装置を移動させる制御を行うように構成されている、請求項1に記載のホームネットワークシステム。
【請求項3】
前記制御部は、前記端末装置に関する少なくとも第2通信品質の情報を含む端末装置情報に基づいて、前記端末装置を介した前記表示装置と前記ルータとの最適な通信経路を構成する制御を行い、構成した前記通信経路において、前記表示装置と前記ルータとの間の前記通信速度が前記閾値未満の前記低速度値である場合に、前記可動端末装置を移動させ、かつ、少なくとも移動させた前記可動端末装置を介して前記表示装置と前記ルータとを接続する制御を行うように構成されている、請求項2に記載のホームネットワークシステム。
【請求項4】
前記表示装置は、住宅内部に関するマップ情報を記憶する記憶部をさらに含み、
前記制御部は、前記マップ情報に基づいて前記可動端末装置を移動させる制御を行うように構成されている、請求項1~3のいずれか1項に記載のホームネットワークシステム。
【請求項5】
前記マップ情報は、前記可動端末装置により収集された位置情報と、前記可動端末装置により測定された位置ごとの前記第1通信品質としての前記通信速度とが関連付けられた情報を含む、請求項4に記載のホームネットワークシステム。
【請求項6】
前記マップ情報は、間取り情報を含み、
前記制御部は、前記間取り情報に基づいて前記可動端末装置を移動させる制御を行うように構成されている、請求項4に記載のホームネットワークシステム。
【請求項7】
前記制御部は、前記マップ情報に対するユーザの位置指定を受け付け、前記指定された位置に前記可動端末装置を移動させる制御を行うように構成されている、請求項4に記載のホームネットワークシステム。
【請求項8】
前記制御部は、前記可動端末装置を移動させた後に、前記複数の端末装置から、前記可動端末装置を移動させた後に前記複数の端末装置において取得された前記端末装置情報を取得し、取得した前記端末装置情報に基づいて前記通信経路が最適であるか否かを判定するように構成されている、請求項3に記載のホームネットワークシステム。
【請求項9】
前記端末装置情報は、前記端末装置の充電量に関する情報と、前記第2通信品質の情報としての前記端末装置が受信した無線信号の受信信号強度、および、前記端末装置が受信した無線信号の信号雑音比とを含み、
前記制御部は、前記端末装置情報に基づいて、前記端末装置を介した前記表示装置と前記ルータとの最適な前記通信経路を構成する制御を行うように構成されている、請求項3に記載のホームネットワークシステム。
【請求項10】
最適な前記通信経路の構成において、前記端末装置の充電量に関する情報は、前記端末装置が受信した無線信号の受信信号強度、および、前記端末装置が受信した無線信号の信号雑音比よりも優先度が高いように構成されている、請求項9に記載のホームネットワークシステム。
【請求項11】
前記端末装置情報は、さらに、前記端末装置が充電可能な状態であるか否かに関する情報を含み、
前記制御部は、前記端末装置が充電可能な状態であるか否かに関する情報と、前記端末装置の充電量に関する情報と、前記第2通信品質の情報としての前記端末装置が受信した無線信号の受信信号強度、および、前記端末装置が受信した無線信号の信号雑音比とを含む、前記端末装置情報に基づいて、前記端末装置を介した前記表示装置と前記ルータとの最適な前記通信経路を構成する制御を行うように構成されている、請求項9または10に記載のホームネットワークシステム。
【請求項12】
無線通信可能な表示装置と、
インターネットに接続されたルータと、
前記表示装置と前記ルータとを無線通信により接続可能なネットワークを構成し、バッテリにより駆動される複数の端末装置と、を備え、
前記表示装置は、前記端末装置が充電可能な状態であるか否かに関する情報と、前記端末装置の充電量に関する情報と、前記端末装置が受信した無線信号の受信信号強度と、前記端末装置が受信した無線信号の信号雑音比とに基づいて、前記端末装置を介した前記表示装置と前記ルータとの最適な通信経路を構成する制御を行う制御部を含む、ホームネットワークシステム。
【請求項13】
表示部と、
インターネットに接続されたルータ、および、前記ルータと無線通信により接続可能なネットワークを構成し、駆動部により可動する可動端末装置を少なくとも1つ含む複数の端末装置、と無線通信可能であり、前記ネットワークを介して前記ルータに接続する通信部と、
第1通信品質に基づいて、前記通信部と前記ルータとの間の前記第1通信品質が高くなる位置に前記可動端末装置を移動させる制御を行う制御部と、を備える、表示装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ホームネットワークシステムに関し、特に、表示装置と、ルータと、表示装置とルータとを無線通信により接続可能なネットワークを構成する複数の端末装置と、を備えるホームネットワークシステムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、住宅内において複数の装置とルータとが無線通信によりネットワーク化されたホームネットワークが知られている(例えば、特許文献1参照)。
【0003】
上記特許文献1には、固定電話、寝室にあるパーソナルコンピュータ、ビデオカメラおよびオフィスにあるパーソナルコンピュータが、Bluetooth(登録商標)通信によりネットワーク化され、寝室にあるパーソナルコンピュータ、居間にあるエンタテイメントシステム、居間にあるラップトップパーソナルコンピュータ、寝室にあるパーソナルコンピュータ、オフィスにあるパーソナルコンピュータおよびルータが、Wi-Fi(登録商標)通信によりネットワーク化され、ルータは、Wimax(登録商標)接続を通じてインターネットとの通信を行うように構成されている、ホームネットワークが開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
住宅内に設置された無線通信が可能な表示装置は、住宅内に設置されたルータと無線通信を行うことによりインターネットと接続することが可能である。一般的に、住宅内に設置されるルータは固定設置されている。また、住宅構造は様々である。住宅内において、据え置き型の表示装置から無線通信によりルータを介してインターネットに接続する場合、表示装置およびルータが設置された位置によっては、表示装置とルータとの間の通信品質が良好とはいえない状況が生ずる場合がある。上記特許文献1に記載されたホームネットワークは、住宅構造や、エンタテイメントシステムおよびルータが設置された位置について考慮されていないため、住宅構造に起因して、エンタテイメントシステム(表示装置)およびルータの間の通信品質が良好とはいえない状況が生ずる場合がある。そのため、住宅構造に起因して、表示装置およびルータの間の通信品質が良好とはいえない状況が生じた場合に、表示装置およびルータの間の通信品質を向上させることが望まれている。
【0006】
この発明は、上記のような課題を解決するためになされたものであり、この発明の1つの目的は、住宅構造に起因して、表示装置およびルータの間の通信品質が良好とはいえない状況が生じた場合に、表示装置およびルータの間の通信品質を向上させることが可能なホームネットワークシステムを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記目的を達成するために、この発明の第1の局面によるホームネットワークシステムは、インターネットに接続されたルータと、表示装置とルータとを無線通信により接続可能なネットワークを構成する複数の端末装置と、を備え、複数の端末装置のうちの少なくとも1つは、駆動部により可動する可動端末装置を含み、表示装置は、第1通信品質に基づいて、表示装置とルータとの間の第1通信品質が高くなる位置に可動端末装置を移動させる制御を行う制御部を含む。
【0008】
この発明の第1の局面によるホームネットワークシステムでは、上記のように、表示装置は、第1通信品質に基づいて、表示装置とルータとの間の第1通信品質が高くなる位置に可動端末装置を移動させる制御を行う制御部を含む。このように構成することにより、第1通信品質が高くなる位置に移動した可動端末装置を含む複数の端末装置により構成されるネットワークを介して、表示装置とルータとを無線通信により接続することができる。そのため、住宅構造に起因して、表示装置およびルータの間の通信品質が良好とはいえない状況が生じた場合であっても、表示装置およびルータの間の通信品質を向上させることができる。
【0009】
この発明の第1の局面によるホームネットワークシステムにおいて、好ましくは、制御部は、表示装置とルータとの間の第1通信品質としての通信速度が閾値未満の低速度値である場合に、通信速度が低速度値よりも高くなる位置に可動端末装置を移動させる制御を行うように構成されている。このように構成すれば、制御部は、表示装置とルータとの間の通信速度が閾値以上である場合には可動端末装置を移動させず、表示装置とルータとの間の通信速度が閾値未満の低速度値である場合に、可動端末装置を移動させる制御を行うことができる。これにより、通信速度が低速度値である場合にのみ可動端末装置を移動させる制御を行うため、必要な場合のみ可動端末装置の移動の制御を行うことができる。
【0010】
この場合、好ましくは、制御部は、端末装置に関する少なくとも第2通信品質の情報を含む端末装置情報に基づいて、端末装置を介した表示装置とルータとの最適な通信経路を構成する制御を行い、構成した通信経路において、表示装置とルータとの間の通信速度が閾値未満の低速度値である場合に、可動端末装置を移動させ、かつ、少なくとも移動させた可動端末装置を介して表示装置とルータとを接続する制御を行うように構成されている。このように構成すれば、制御部が構成した最適な通信経路において表示装置とルータとの間の通信速度が閾値未満の低速度値である状況が生じた場合に、少なくとも移動させた可動端末装置が含まれるネットワークを介して、表示装置とルータとを無線通信により接続することができる。そのため、表示装置およびルータの間の通信品質を適切に向上させることができる。
【0011】
この発明の第1の局面によるホームネットワークシステムにおいて、好ましくは、表示装置は、住宅内部に関するマップ情報を記憶する記憶部をさらに含み、制御部は、マップ情報に基づいて可動端末装置を移動させる制御を行うように構成されている。このように構成すれば、制御部は、マップ情報に基づいて、住宅内部における通信品質が高くなる位置に可動端末装置を移動させることができる。そのため、表示装置およびルータの間の通信品質を容易かつ効率良く向上させることができる。
【0012】
この場合、好ましくは、マップ情報は、可動端末装置により収集された位置情報と、可動端末装置により測定された位置ごとの第1通信品質としての通信速度とが関連付けられた情報を含む。このように構成すれば、住宅内部における通信速度が高くなる位置に可動端末装置を移動させるために、ユーザ自身により住宅内部の位置情報と位置ごとの通信速度とが関連付けられた情報を取得しなくてよい。そのため、通信速度が高くなる位置への可動端末装置の移動をより容易に行うことができる。
【0013】
上記住宅内部に関するマップ情報を記憶する記憶部をさらに含む構成において、好ましくは、マップ情報は、間取り情報を含み、制御部は、間取り情報に基づいて可動端末装置を移動させる制御を行うように構成されている。このように構成すれば、住宅内部における電波が減衰されたり遮断されたりする可能性がある台所、浴室およびトイレなどやコンクリートや金属が含まれる壁などの近傍の位置に可動端末装置を移動させることを抑制することができる。そのため、通信速度が低くなる位置への可動端末装置の移動を容易に抑制することができる。
【0014】
上記住宅内部に関するマップ情報を記憶する記憶部をさらに含む構成において、好ましくは、制御部は、マップ情報に対するユーザの位置指定を受け付け、指定された位置に可動端末装置を移動させる制御を行うように構成されている。このように構成すれば、ユーザが取得した住宅内部における電波強度が高い位置を指定することにより、通信速度が高くなる位置への可動端末装置の移動をより容易に行うことができる。
【0015】
上記移動させた可動端末装置を介して表示装置とルータとを接続する制御を行う構成において、好ましくは、制御部は、可動端末装置を移動させた後に、複数の端末装置から、可動端末装置を移動させた後に複数の端末装置において取得された端末装置情報を取得し、取得した端末装置情報に基づいて通信経路が最適であるか否かを判定するように構成されている。このように構成すれば、可動端末装置の移動後に取得された端末装置情報に基づいて、移動した可動端末装置を介した通信経路が最適であるか否かを判定することができる。そのため、可動端末装置を移動させた場合において、移動させた可動端末装置を介した通信経路が最適な通信経路であるか否かを確認することができる。
【0016】
上記移動させた可動端末装置を介して表示装置とルータとを接続する制御を行う構成において、好ましくは、端末装置情報は、端末装置の充電量に関する情報と、第2通信品質の情報としての端末装置が受信した無線信号の受信信号強度、および、端末装置が受信した無線信号の信号雑音比とを含み、制御部は、端末装置情報に基づいて、端末装置を介した表示装置とルータとの最適な通信経路を構成する制御を行うように構成されている。このように構成すれば、通信経路に含まれる端末装置の使用による電池切れに起因する通信経路の遮断を抑制することができる。そのため、端末装置を介した表示装置とルータとの最適な通信経路を適切に構成することができる。
【0017】
この場合、好ましくは、最適な通信経路の構成において、端末装置の充電量に関する情報は、端末装置が受信した無線信号の受信信号強度、および、端末装置が受信した無線信号の信号雑音比よりも優先度が高いように構成されている。このように構成すれば、端末装置間等の通信品質よりも端末装置の充電量の少なさを重視して表示装置とルータとの最適な通信経路を構成することができるため、通信経路に含まれる端末装置の使用による電池切れに起因する通信経路の遮断を適切に抑制することができる。
【0018】
上記端末装置情報に基づいて表示装置とルータとの最適な通信経路を構成する制御を行う構成において、好ましくは、端末装置情報は、さらに、端末装置が充電可能な状態であるか否かに関する情報を含み、制御部は、端末装置が充電可能な状態であるか否かに関する情報と、端末装置の充電量に関する情報と、第2通信品質の情報としての端末装置が受信した無線信号の受信信号強度、および、端末装置が受信した無線信号の信号雑音比とを含む、端末装置情報に基づいて、端末装置を介した表示装置とルータとの最適な通信経路を構成する制御を行うように構成されている。このように構成すれば、最適な通信経路の構成において、端末装置の充電に関する情報に関して、端末装置の充電量に関する情報に加えて、端末装置が充電可能な状態であるか否かに関する情報を含むようにすることができる。そのため、通信経路に含まれる端末装置の使用による電池切れに起因する通信経路の遮断をより適切に抑制することができ、その結果、最適な通信経路を安定して維持することができる。
【0019】
この発明の第2の局面によるホームネットワークシステムは、無線通信可能な表示装置と、インターネットに接続されたルータと、表示装置とルータとを無線通信により接続可能なネットワークを構成し、バッテリにより駆動される複数の端末装置と、を備え、表示装置は、端末装置が充電可能な状態であるか否かに関する情報と、端末装置の充電量に関する情報と、端末装置が受信した無線信号の受信信号強度と、端末装置が受信した無線信号の信号雑音比とに基づいて、端末装置を介した表示装置とルータとの最適な通信経路を構成する制御を行う制御部を含む。
【0020】
この発明の第2の局面によるホームネットワークシステムでは、上記のように、表示装置は、端末装置が充電可能な状態であるか否かに関する情報と、端末装置の充電量に関する情報と、端末装置が受信した無線信号の受信信号強度と、端末装置が受信した無線信号の信号雑音比とに基づいて、端末装置を介した表示装置とルータとの最適な通信経路を構成する制御を行う制御部を含む。このように構成することにより、表示装置とルータとの最適な通信経路を、受信信号強度および信号雑音比という通信品質の情報だけでなく、端末装置の充電量に関する情報および端末装置が充電可能な状態であるか否かに関する情報という端末装置の充電に関する情報にも基づき構成することができる。これにより、住宅構造に起因して表示装置およびルータの間の通信品質が良好とはいえない状況が生じた場合において、表示装置とルータとの最適な通信経路の構成を通信品質の情報および端末装置の充電に関する情報の両方に基づくことにより、表示装置およびルータの間の通信品質を向上させることができるとともに、通信経路に含まれる端末装置の使用による電池切れに起因する通信経路の遮断を抑制することができる。これらの結果、最適な通信経路を安定して維持することができる。
【0021】
この発明の第3の局面による表示装置は、表示部と、インターネットに接続されたルータ、および、ルータと無線通信により接続可能なネットワークを構成し、駆動部により可動する可動端末装置を少なくとも1つ含む複数の端末装置、と無線通信可能であり、ネットワークを介してルータに接続する通信部と、第1通信品質に基づいて、通信部とルータとの間の第1通信品質が高くなる位置に可動端末装置を移動させる制御を行う制御部と、を備える。
【0022】
この発明の第3の局面による表示装置では、上記のように、ネットワークを介してルータに接続する通信部と、第1通信品質に基づいて、通信部とルータとの間の第1通信品質が高くなる位置に可動端末装置を移動させる制御を行う制御部と、を備える。このように構成することにより、上記第1の局面と同様、第1通信品質が高くなる位置に移動した可動端末装置を含む複数の端末装置により構成されるネットワークを介して、ルータと無線通信により接続することができる。そのため、住宅構造に起因して、表示装置およびルータの間の通信品質が良好とはいえない状況が生じた場合であっても、表示装置およびルータの間の通信品質を向上させることができる。
【発明の効果】
【0023】
本発明によれば、上記のように、住宅構造に起因して、表示装置およびルータの間の通信品質が良好とはいえない状況が生じた場合に、表示装置およびルータの間の通信品質を向上させることが可能なホームネットワークシステムを提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0024】
【
図1】第1実施形態によるホームネットワークシステムの模式図である。
【
図2】第1実施形態による住宅内部における表示装置、ルータおよび端末装置の配置を示す模式図である。
【
図3】第1実施形態による表示装置、ルータおよび端末装置の構成を示すブロック図である。
【
図4】第1実施形態によるマップ情報の例1を示す模式図である。
【
図5】第1実施形態によるマップ情報の例2を示す模式図である。
【
図6】第1実施形態によるマップ情報の例3を示す模式図である。
【
図7】第1実施形態による無線通信可能な経路におけるメトリック値を示した模式図である。
【
図8】第1実施形態による可動端末装置の移動例1を示す模式図である。
【
図9】第1実施形態による可動端末装置の移動例2を示す模式図である。
【
図10】第1実施形態による移動させた可動端末装置を含む最適な通信経路を示す模式図である。
【
図11】第1実施形態による制御部による最適な通信経路の構成処理および可動端末装置の移動処理を説明するためのフローチャートである。
【
図12】第1実施形態による無線通信可能な経路におけるメトリック値および最適通信経路を示した比較模式図である。
【
図13】第2実施形態による無線通信可能な経路におけるメトリック値および最適通信経路の例1を示した模式図である。
【
図14】第2実施形態による無線通信可能な経路におけるメトリック値および最適通信経路の例2を示した模式図である。
【発明を実施するための形態】
【0025】
以下、本発明を具体化した実施形態を図面に基づいて説明する。
【0026】
[第1実施形態]
(ホームネットワークシステムの構成)
図1~
図3を参照して、第1実施形態によるホームネットワークシステム100の構成について説明する。
【0027】
第1実施形態によるホームネットワークシステム100は、
図1~
図3に示すように、住宅90(
図2参照)内に、表示装置10と、インターネットに接続されたルータ20と、表示装置10とルータ20とを無線通信により接続可能なネットワーク30(
図1参照)を構成する複数の端末装置40と、を備える。なお、
図2に示す住宅90の構造や表示装置10、ルータ20および端末装置40の配置は、本明細書における「住宅90」の一例である。また、
図2のハッチング部分は、コンクリートが用いられた壁を示している。
【0028】
端末装置40は、住宅90内に複数配置されている。複数の端末装置40は、他の端末装置40との間で相互に通信を行うことが可能なように構成されている。複数の端末装置40は、他の端末装置40と無線通信を行い、ネットワーク30を構築している。複数の端末装置40は、たとえば、他の端末装置40と無線通信が可能なメッシュ形状のネットワーク30を構築している。複数の端末装置40は、他の端末装置と、Wi-Fi(登録商標)通信により無線通信を行い、メッシュ形状のネットワーク30を構築している。複数の端末装置40は、メッシュ形状のネットワーク30における電波状況の良好な他の端末装置40を介して相互に通信を行うことが可能なように構成されている。複数の端末装置40は、電波干渉を避けるためにチャネルを自動的に切り替えることができるように構成されている。複数の端末装置40によるメッシュ形状のネットワーク30は、IEEE 802.11sを採用して構築しても良いし、IEEE 802.11s非対応の独自規格を採用して構築しても良いし、IEEE 802.11s非対応の独自規格を採用して構築されたネットワークに対してその上位層と接続することにより構築しても良いし、他の公知の手法により構築しても良く、メッシュ形状のネットワーク30の構築方法は特に限定されない。
【0029】
端末装置40は、内蔵された充電可能な充電池により駆動される。端末装置40は、有線により充電されるものであっても良いし、無線により充電されるものであっても良い。端末装置40は、Wi-Fi(登録商標)通信機能を有する。端末装置40は、たとえば、スマートフォン、タブレット端末、ノート型パーソナルコンピュータ、装着型のウェアラブル端末、ゲーム機のワイヤレスコントローラ、携帯型ゲーム機であっても良いし、住宅90の敷地内に停車する電気自動車であっても良い。なお、端末装置40は、後述する可動端末装置41を除いて、充電池を備えず有線給電により駆動されるものであっても良い。
【0030】
また、複数の端末装置40は、内蔵された駆動部41e(
図3参照)により可動する可動端末装置41を少なくとも1つ含むように構成されている。可動端末装置41は、可動端末装置41が有する機能や目的に応じて移動可能なように構成されている。可動端末装置41として、たとえば、住宅90の床を移動しながら掃除する掃除ロボットや、移動可能なペット型ロボットや人型ロボットであっても良い。また、可動端末装置41として上記例示したロボットは、住宅90内において、部屋と部屋とを跨いだ移動や各階を跨いだ移動が可能なように構成されていても良い。
【0031】
複数の端末装置40の数は、1つの可動端末装置41を含む2つでも良いし、2つ以上の可動端末装置41を含む2つ以上であっても良い。ネットワーク30を構築する複数の端末装置40のうち、少なくとも1つの端末装置40が表示装置10と無線通信を行い、かつ、少なくとも1つの端末装置40がルータ20と無線通信を行うことにより、ネットワーク30を介して表示装置10とルータ20とが無線通信により接続可能となる。
図1に示すように、第1実施形態において、複数の端末装置40として、装着型のウェアラブル端末42と、ゲーム機のワイヤレスコントローラ43と、電気自動車44と、可動端末装置41としての掃除ロボット45およびペット型ロボット46と、の5つを含み、これらの端末装置40によりメッシュ形状のネットワーク30が構築されている。
【0032】
図1に示す状況においては、装着型のウェアラブル端末42は、表示装置10と、電気自動車44と、掃除ロボット45との間において、Wi-Fi(登録商標)通信による無線通信が可能である。ゲーム機のワイヤレスコントローラ43は、表示装置10と、ペット型ロボット46との間において、Wi-Fi(登録商標)通信による無線通信が可能である。電気自動車44は、装着型のウェアラブル端末42と、掃除ロボット45と、ルータ20との間において、Wi-Fi(登録商標)通信による無線通信が可能である。掃除ロボット45は、表示装置10と、ルータ20との間において、Wi-Fi(登録商標)通信による無線通信が可能である。ペット型ロボット46は、ゲーム機のワイヤレスコントローラ43と、電気自動車44と、ルータ20との間において、Wi-Fi(登録商標)通信による無線通信が可能である。
【0033】
図3に示すように、可動端末装置41を除く端末装置40は、表示装置10、ルータ20および他の端末装置40との間の無線通信を行うための送信部40aおよび受信部40bと、無線通信を制御する制御部40cと、それぞれの端末装置40の機能に応じた機能部40dとを含む。また、可動端末装置41は、表示装置10、ルータ20および他の端末装置40との間の無線通信を行うための送信部41aおよび受信部41bと、無線通信を制御する制御部41cと、それぞれの可動端末装置41の機能に応じた機能部41dと、駆動部41eとを含む。
【0034】
(端末装置情報)
後述する表示装置10の制御部11は、ネットワーク30を構築した際などに、複数の端末装置40の各々に、端末装置情報を送信するように要求するリクエスト信号を送信する。端末装置情報とは、端末装置40の充電量に関する情報と、通信品質の情報としての、端末装置40が他の端末装置40から受信した無線信号の受信信号強度(RSSI)、および、端末装置40が他の端末装置40から受信した無線信号の信号雑音比(S/N比)とを含む情報である。端末装置40自身の充電量に関する情報とは、たとえば、端末装置40が保有する充電池のSOC(State Of Charge)に関する情報である。複数の端末装置40の各々は、表示装置10から端末装置情報を送信するように要求するリクエスト信号を受信した場合に、端末装置情報を取得する。複数の端末装置40の各々は、表示装置10に対して、取得した端末装置情報を送信する。端末装置40は、取得した端末装置情報を、メッシュ形状のネットワーク30を介した無線通信により、表示装置10に送信する。制御部11による端末装置40へのリクエスト信号の送信タイミングについては、後述する。
【0035】
ルータ20は、上述したメッシュ形状のネットワーク30であるローカルエリアネットワークと、インターネットとを、図示しないモデムを介して接続する。ルータ20は、たとえば、Wi-Fi(登録商標)通信により、ネットワーク30を構成する複数の端末装置40と無線通信を行うように構成されている。ルータ20は、ネットワーク30を構成する複数の端末装置40の位置に応じて、端末装置40と無線通信を行う。
図1に示す状況において、ルータ20は、上述したネットワーク30を構成する5つの端末装置40のうち、電気自動車44、掃除ロボット45およびペット型ロボット46の3つと無線通信を行う。
図3に示すように、ルータ20は、端末装置40と無線通信を行うための送信部21および受信部22と、無線通信を制御する制御部23とを含む。
【0036】
表示装置10は、複数の端末装置40により構成されたネットワーク30を介して、ルータ20との間で無線通信を行うことができるとともに、ルータ20を介して、インターネットに接続することができる。表示装置10は、たとえば、テレビジョン受像機である。表示装置10は、住宅90内において固定設置されている。表示装置10は、住宅90内の電源に有線接続されている。
【0037】
表示装置10は、たとえば、Wi-Fi(登録商標)通信により、ネットワーク30を構成する複数の端末装置40と無線通信を行うように構成されている。表示装置10は、ネットワーク30を構成する複数の端末装置40の位置に応じて、端末装置40と無線通信を行う。
図1に示す状況において、表示装置10は、上述したネットワーク30を構成する5つの端末装置40のうち、装着型のウェアラブル端末42、ゲーム機のワイヤレスコントローラ43および掃除ロボット45の3つと無線通信を行う。
【0038】
図3に示すように、表示装置10は、制御部11と、記憶部12と、送信部13と、受信部14と、表示部15とを含む。
【0039】
制御部11は、CPU(Central Processing Unit)、ROM(Read Only Memory)およびRAM(Random Access Memory)などを含む。制御部11は、所定の場合に、ネットワーク30を構築する端末装置40を介した表示装置10とルータ20との間の最適な通信経路を構成する制御を行うように構成されている。また、制御部11は、所定の場合に、可動端末装置41を移動させる制御を行うように構成されている。制御部11による、最適な通信経路の構成の制御、および、可動端末装置41の移動の制御については、後述する。
【0040】
記憶部12は、たとえば、不揮発性のメモリ、ハードディスクドライブ(HDD:Hard Disk Drive)、または、SSD(Solid State Drive)などを含む。記憶部12は、住宅90内部に関するマップ情報T(
図4~
図6参照)を記憶できるように構成されている。また、記憶部12は、受信部14が受信した端末装置40から送信された端末装置情報を記憶できるように構成されている。
【0041】
送信部13は、端末装置40に対して、端末装置情報を送信するように要求するリクエスト信号を送信するように構成されている。また、受信部14は、端末装置情報を送信するように要求するリクエスト信号に応答した端末装置40から送信された端末装置情報を受信するように構成されている。なお、送信部13および受信部14は、特許請求の範囲の「通信部」の一例である。表示部15は、たとえば、液晶ディスプレイ、または、有機ELディスプレイなどにより構成されている。
【0042】
(マップ情報)
住宅90内部に関するマップ情報Tについて説明する。詳細は後述するが、制御部11は、記憶部12により記憶されたマップ情報Tに基づいて、可動端末装置41を移動させる制御を行うように構成されている。
【0043】
マップ情報Tは、一例として、
図4に示すように、可動端末装置41により収集された位置情報と、可動端末装置41により測定された位置ごとの通信品質とが関連付けられた情報を含むマップ情報T1が挙げられる。可動端末装置41には、赤外線センサ、ジャイロセンサ、距離センサなどの各種センサが搭載されている。可動端末装置41は、その機能及び目的に応じて移動する際に、上記センサにより住宅90内部の位置情報を収集する。たとえば、位置情報として、住宅90(
図1参照)内における端末装置の位置を示す(x,y)位置座標や、赤外センサを用いたTOF(Time Of Flight)などにより測定された距離情報などが挙げられる。また、可動端末装置41に撮像装置が搭載されている場合には、搭載された撮像装置により撮像された住宅90内部の画像に基づいて、住宅90内部の位置情報を収集することができる。また、可動端末装置41には、通信品質を計測可能なアプリケーションが備えられている。可動端末装置41は、その機能及び目的に応じて移動する際に、備えられたアプリケーションにより、移動位置ごとに、たとえば、通信品質として通信速度を計測することができるように構成されている。通信速度は、無線通信によるインターネット通信の通信速度を表すものであればどのようなものであっても良い。制御部11は、可動端末装置41により収集された位置情報と、可動端末装置41により計測された通信速度とを関連付け、この関連付けた情報をマップ情報T1として取得する。なお、搭載された撮像装置により撮像された住宅90内部の画像に基づいて住宅90内部の位置情報を収集する場合、制御部11は、撮像された住宅90内部の画像から台所、浴室およびトイレなどや部屋を仕切る壁などの材料などの住宅設備や住宅構造を特定し、特定した住宅設備や住宅構造を含めた位置情報に基づいて、マップ情報T1として取得しても良い。
【0044】
また、マップ情報Tは、他の一例として、
図5に示すように、住宅90内部の間取り情報を含むマップ情報T2が挙げられる。マップ情報T2に含まれる間取り情報は、ユーザが作成した間取り情報であっても良いし、住宅90を設計した建築士、不動産販売会社、不動産賃貸会社などの第三者により作成された間取り情報であっても良い。マップ情報T2に含まれる間取り情報は、台所、浴室およびトイレなどなどの住宅設備に関する情報や、部屋を仕切る壁の材料に関する情報などが含まれていても良い。なお、
図5は、マップ情報T2のうちの一部の間取り情報を図示している。
【0045】
また、
図6に示すように、制御部11は、ユーザが予め取得した住宅90内部における電波強度が高い位置に可動端末装置41を移動させる制御を行うことが可能となるように、上述した方法により取得されたマップ情報Tに対するユーザによる位置指定を受けつけても良い。この場合、記憶部12は、上述した方法により取得されたマップ情報Tに、ユーザにより指定された位置Pを重畳して記憶することができる。
【0046】
(最適な通信経路の構成処理)
次に、第1実施形態による、ネットワーク30を構築する端末装置40を介した表示装置10とルータ20との間の最適な通信経路を構成する処理について説明する。
【0047】
上述したように、制御部11は、複数の端末装置40の各々から、端末装置40の充電量に関する情報と、端末装置40が他の端末装置40から受信した無線信号の受信信号強度(RSSI)と、端末装置40が他の端末装置40から受信した無線信号の信号雑音比(S/N比)とを含む端末装置情報を取得する。
【0048】
制御部11は、たとえば、表示装置10とルータ20とを無線接続するための複数の端末装置40によるネットワーク30を構築した場合、新たな端末装置40のネットワーク30への参加などのネットワーク30に変化が生じた場合、表示装置10がルータ20を介してインターネットに接続した場合、後述する制御部11により可動端末装置41を移動させた場合、あるいは、予め設定されたタイミングなどに、複数の端末装置40の各々に、端末装置情報を送信するように要求するリクエスト信号を送信する。制御部11によるリクエスト信号を送信するタイミングは、特に限定されない。制御部11は、リクエスト信号に応答した複数の端末装置40の各々から、端末装置情報を取得する。
【0049】
制御部11は、取得した端末装置情報に基づき、無線通信を行う各端末装置間、無線通信を行う端末装置40と表示装置10との間、および、無線通信を行う端末装置40とルータ20との間における、メトリック値M1(以下、「M1」とする)を算出する。メトリック値M1の算出は、通信品質の情報としての無線信号の受信信号強度(RSSI)および無線信号の信号雑音比(S/N比)だけでなく、表示装置10とルータ20との間において送受信される情報量に対して端末装置40の充電量が十分にあるか否かを考慮するために端末装置40の充電量に関する情報(充電量)も加えて、総合的に算出される。メトリック値M1の算出は、無線信号の受信信号強度(RSSI)に対応する値、無線信号の信号雑音比(S/N比)に対応する値、および、端末装置40の充電量(充電量)に対応する値のそれぞれに、所定の重みを付与して算出される。受信信号強度(RSSI)に対応する値は、受信信号強度(RSSI)が高いほど低い値となるように設定されている。信号雑音比(S/N比)に対応する値は、信号雑音比(S/N比)が高いほど低い値となるように設定されている。充電量に対応する値は、充電量が大きいほど小さい値となるように設定されている。具体的には、メトリック値M1は、下記の式(1)に基づいて算出される。下記の式(1)のα、βおよびγは、あらかじめ定められた重み係数であり、0<α<1、0<β<1、および、0<γ<1である。
M1=α×(RSSIに対応する値)+β×(S/N比に対応する値)+γ×(充電量に対応する値)・・・(1)
メトリック値M1が小さいほど、受信信号強度(RSSI)、信号雑音比(S/N比)、および、充電量のいずれかまたは全てにおいて良好であると言うことができるため、メトリック値M1が小さいほど、無線通信を行う各端末装置間などの通信経路として優れていると言うことができる。なお、可動端末装置41を除く端末装置40であって、かつ、充電池を備えず有線給電により駆動される端末装置40は、有線給電されている状態において、充電量に関する情報として、満充電であると表示装置10に送信しても良い。
【0050】
制御部11は、表示装置10とルータ20との間における無線通信可能な経路において、無線通信を行う各端末装置間、無線通信を行う端末装置40と表示装置10との間、および、無線通信を行う端末装置40とルータ20との間のそれぞれにおいて算出したメトリック値M1を積算し、積算された積算メトリック値M2が最も値が小さい値となる通信経路を、最適な通信経路として構成する。
図7は、表示装置10とルータ20との間における無線通信可能な経路において、無線通信を行う各端末装置間、無線通信を行う端末装置40と表示装置10との間、および、無線通信を行う端末装置40とルータ20との間のそれぞれにおいて算出されたメトリック値M1を括弧書き内に示した模式図である。
図7の状況においては、表示装置10とルータ20との間の無線通信経路において、「表示装置10-(4)-装着型のウェアラブル端末42-(1)-電気自動車44-(4)-ルータ20」である通信経路が、積算された積算メトリック値M2が最も値が小さい値「9」となる無線通信経路である。制御部11は、積算メトリック値M2が最も値が小さい値である「表示装置10-(4)-装着型のウェアラブル端末42-(1)-電気自動車44-(4)-ルータ20」である通信経路を、最適な通信経路として構成する。制御部11は、構成した最適な通信経路に基づいて、表示装置10とルータ20との間の無線通信を行う。
【0051】
最適な通信経路の構成において、端末装置40の充電量に関する情報は、端末装置40が受信した無線信号の受信信号強度(RSSI)、および、端末装置40が受信した無線信号の信号雑音比(S/N比)よりも優先度が高いように構成されている。すなわち、上記の式(1)の重み係数α、βおよびγにおいて、係数αおよびβよりも、係数γの方の重みが大きくなるように設定されるように構成されている。
【0052】
(可動端末装置の移動処理)
次に、第1実施形態による、可動端末装置41の移動の処理について説明する。
【0053】
上述したように、制御部11は、表示装置10とルータ20との間における無線通信可能な経路において、積算された積算メトリック値M2が最も値が小さい値となる通信経路を、最適な通信経路として構成する。制御部11は、構成した最適な通信経路に基づいて、表示装置10とルータ20との間の無線通信を行う。しかしながら、最適な通信経路であっても、住宅構造に起因して、表示装置10およびルータ20の間の通信品質が良好とはいえない状況が生じる場合がある。詳細には、制御部11が構成した最適な通信経路において、表示装置10とルータ20との間の通信品質としての通信速度が、予め定められた閾値未満である低速度値である場合がある。この場合に、制御部11は、表示装置10(あるいは、送信部13および受信部14)とルータとの間の通信速度が高くなる位置に可動端末装置41を移動させる制御を行うように構成されている。表示装置10とルータ20との間の通信速度における閾値として、たとえば、10Mbpsに設定し、通信速度が10Mbps未満の値を低速度値としても良い。通信速度における閾値は特に限定されない。
【0054】
図8に示すように、表示装置10とルータ20との間の通信速度が、予め定められた閾値未満である低速度値である場合に、制御部11は、記憶部12から取得したマップ情報Tに基づいて、可動端末装置41を、現在の位置D1から、所定の位置D2に、移動させる。たとえば、マップ情報Tが、可動端末装置41により収集された位置情報と、可動端末装置41により測定された位置ごとの通信速度とが関連付けられた情報であるマップ情報T1である場合には、制御部11は、可動端末装置41を、現在の位置D1から、予め可動端末装置41により測定された通信速度が現在の位置D1よりも高くなる位置D2に、移動させる。たとえば、マップ情報Tが、間取り情報であるマップ情報T2である場合には、制御部11は、可動端末装置41を、現在の位置D1から、間取り情報に含まれる台所、浴室およびトイレなどやコンクリート壁の近傍のような通信速度が低いと推定される位置を避けた位置D2に、移動させる。また、マップ情報Tにユーザにより指定された位置Pが重畳されている場合には、ユーザにより指定された位置Pに基づいて、制御部11は、可動端末装置41を、現在の位置D1から、ユーザが指定した位置D2(P(
図6参照))に、移動させる。なお、可動端末装置41が複数ある場合、制御部11は、可動端末装置41の各々における充電量に関する情報を参照し、充電量が大きい方を優先的に移動させる制御を行うように構成されていても良いし、マップ情報Tを参照して、可動端末装置41の各々の移動可能範囲内において通信速度がより高くなる方を優先的に移動させる制御を行うように構成されていても良いし、予め設定された優先順位が高い方の可動端末装置41を移動させる制御を行うように構成されていても良い。複数の可動端末装置41のいずれを移動させるかについては、特に限定されない。また、可動端末装置41の移動は、住宅90(
図1参照)内の同一の部屋内での移動に限らず、住宅90内において部屋と部屋とを跨いだ移動や各階を跨いだ移動を含むように構成されていても良い。
【0055】
一例として、
図8に示すように、最適な通信経路として「表示装置10-装着型のウェアラブル端末42-電気自動車44-ルータ20」である通信経路を構成した場合における可動端末装置41の移動処理を説明する。可動端末装置41であるペット型ロボット46は、位置D1に位置し、最適な通信経路を構成する端末装置40に含まれていない。この場合において、表示装置10とルータ20との間の通信速度が、予め定められた閾値未満である低速度値である場合、制御部11は、位置D1から、上述したマップ情報Tに基づいた位置である位置D2に、可動端末装置41であるペット型ロボット46を移動させる制御を行うように構成されている。
【0056】
他の例として、
図9に示すように、最適な通信経路として「表示装置10-ゲーム機のワイヤレスコントローラ43-ペット型ロボット46-ルータ20」である通信経路を構成した場合における可動端末装置41の移動処理を説明する。可動端末装置41であるペット型ロボット46は、位置D1に位置し、かつ、最適な通信経路を構成する端末装置40に含まれている。この場合において、表示装置10とルータ20との間の通信速度が、予め定められた閾値未満である低速度値である場合、制御部11は、位置D1から、上述したマップ情報Tに基づいた位置である位置D2に、可動端末装置41であるペット型ロボット46を移動させる制御を行うように構成されている。
【0057】
制御部11は、通信速度が低速度値よりも高くなる位置に可動端末装置41であるペット型ロボット46を移動させた後に、少なくとも移動させた可動端末装置41であるペット型ロボット46を介して表示装置10とルータ20とを接続するように構成されている。制御部11は、可動端末装置41であるペット型ロボット46を移動させた後に、複数の端末装置40に対して、可動端末装置41であるペット型ロボット46を移動させた後に複数の端末装置40において取得された端末装置情報を送信するように要求するリクエスト信号を送信する。複数の端末装置40は、端末装置情報を取得し、取得した端末装置情報を表示装置10に送信する。制御部11は、受信部14が取得した端末装置情報に基づいて、表示装置10とルータ20との間の最適な通信経路を構成する。この際、制御部11は、構成した最適な通信経路が、少なくとも移動させた可動端末装置41であるペット型ロボット46を介した通信経路であるか否かを判定する。
図10に示すように、制御部11は、構成した最適な通信経路が、少なくとも移動させた可動端末装置41であるペット型ロボット46を介した通信経路である場合、構成した最適な通信経路による無線通信を行う。制御部11は、構成した最適な通信経路が、少なくとも移動させた可動端末装置41であるペット型ロボット46を介した通信経路でない場合、位置D2とは異なる通信速度が低速度値よりも高くなる位置にさらに可動端末装置41であるペット型ロボット46を移動させる。なお、制御部11は、少なくとも移動させた可動端末装置41であるペット型ロボット46のみを介して表示装置10とルータ20とを接続しても良い。
【0058】
(最適な通信経路の構成処理および可動端末装置の移動処理のフロー)
次に、
図11を参照して、制御部11による、最適な通信経路の構成処理および可動端末装置41の移動処理のフローについて説明する。
【0059】
ステップS101において、制御部11は、複数の端末装置40の各々に対して、端末装置情報を送信するように要求するリクエスト信号を送信する。その後、処理はステップS102に進む。
【0060】
ステップS102において、制御部11は、複数の端末装置40の各々から受信した端末装置情報に基づいて、表示装置10とルータ20との間における複数の端末装置40を介した最適な通信経路を構成する。その後、処理はステップS103に進む。
【0061】
ステップS103において、制御部11は、表示装置10とルータ20との間の通信品質としての通信速度が予め定められた閾値未満である低速度値であるか否かを判定する。通信速度が予め定められた閾値未満でない場合(ステップS103においてNo)、処理はステップS104に進み、通信速度が予め定められた閾値未満である低速度値である場合(ステップS103においてYes)、処理はステップS105に進む。
【0062】
ステップS104において、制御部11は、最適な通信経路を介して、表示装置10とルータ20との間の無線通信を行う。これにより、制御部11による、最適な通信経路の構成処理、および、可動端末装置41の移動処理は終了する。
【0063】
ステップS105において、制御部11は、可動端末装置41に対して、マップ情報Tに基づいた位置D2に移動するように要求するリクエスト信号を送信する。その後、処理はステップS106に進む。
【0064】
ステップS106において、制御部11は、複数の端末装置40に対して、可動端末装置41を移動させた後に複数の端末装置40において取得された端末装置情報を送信するように要求するリクエスト信号を送信する。その後、処理はステップS107に進む。
【0065】
ステップS107において、制御部11は、取得した端末装置情報に基づいて、表示装置10とルータ20との最適な通信経路を構成するとともに、構成した最適な通信経路が、少なくとも移動させた可動端末装置41を介した通信経路であるか否かを判定する。制御部は、構成した最適な通信経路が、少なくとも移動させた可動端末装置41を介した通信経路である場合(ステップS107においてYes)、処理はステップS104に進み、構成した最適な通信経路が、少なくとも移動させた可動端末装置41を介した通信経路でない場合(ステップS107においてNo)、処理はステップS105に進む。
【0066】
(第1実施形態の効果)
第1実施形態では、以下のような効果を得ることができる。
【0067】
第1実施形態では、上記のように、表示装置10は、第1通信品質に基づいて、表示装置10(あるいは、送信部13および受信部14)とルータ20との間の第1通信品質が高くなる位置に可動端末装置41を移動させる制御を行う制御部11を含む。このように構成することにより、第1通信品質が高くなる位置に移動した可動端末装置41を含む複数の端末装置40により構成されるネットワーク30を介して、表示装置10とルータ20とを無線通信により接続することができる。そのため、住宅構造に起因して、表示装置10およびルータ20の間の通信品質が良好とはいえない状況が生じた場合であっても、表示装置10およびルータ20の間の通信品質を向上させることができる。
【0068】
また、第1実施形態では、上記のように、制御部11は、表示装置10とルータ20との間の第1通信品質としての通信速度が閾値未満の低速度値である場合に、通信速度が低速度値よりも高くなる位置に可動端末装置41を移動させる制御を行うように構成されている。これにより、制御部11は、表示装置10とルータ20との間の通信速度が閾値以上である場合には可動端末装置41を移動させず、表示装置10とルータ20との間の通信速度が閾値未満の低速度値である場合に、可動端末装置41を移動させる制御を行うことができる。これにより、通信速度が低速度値である場合にのみ可動端末装置41を移動させる制御を行うため、必要な場合のみ可動端末装置41の移動の制御を行うことができる。
【0069】
また、第1実施形態では、上記のように、制御部11は、端末装置40に関する少なくとも第2通信品質の情報を含む端末装置情報に基づいて、端末装置40を介した表示装置10とルータ20との最適な通信経路を構成する制御を行い、構成した通信経路において、表示装置10とルータ20との間の通信速度が閾値未満の低速度値である場合に、可動端末装置41を移動させ、かつ、少なくとも移動させた可動端末装置41を介して表示装置10とルータ20とを接続する制御を行うように構成されている。これにより、制御部11が構成した最適な通信経路において表示装置10とルータ20との間の通信速度が閾値未満の低速度値である状況が生じた場合に、少なくとも移動させた可動端末装置41が含まれるネットワーク30を介して、表示装置10とルータ20とを無線通信により接続することができる。そのため、表示装置10およびルータ20の間の通信品質を適切に向上させることができる。
【0070】
また、第1実施形態では、上記のように、表示装置10は、住宅90内部に関するマップ情報Tを記憶する記憶部12をさらに含み、制御部11は、マップ情報Tに基づいて可動端末装置41を移動させる制御を行うように構成されている。これにより、制御部11は、マップ情報Tに基づいて、住宅90内部における通信速度が高くなる位置に可動端末装置41を移動させることができる。そのため、表示装置10およびルータ20の間の通信品質を容易かつ効率良く向上させることができる。
【0071】
また、第1実施形態では、上記のように、マップ情報T1は、可動端末装置41により収集された位置情報と、可動端末装置41により測定された位置ごとの第1通信品質としての通信速度とが関連付けられた情報を含む。これにより、住宅90内部における通信速度が高くなる位置に可動端末装置41を移動させるために、ユーザ自身により住宅90内部の位置情報と位置ごとの通信速度とが関連付けられた情報を取得しなくてよい。そのため、通信速度が高くなる位置への可動端末装置41の移動をより容易に行うことができる。
【0072】
また、第1実施形態では、上記のように、マップ情報T2は、間取り情報を含み、制御部11は、間取り情報に基づいて可動端末装置41を移動させる制御を行うように構成されている。これにより、住宅90内部における電波が減衰されたり遮断されたりする可能性がある台所、浴室およびトイレなどやコンクリートや金属が含まれる壁などの近傍の位置に可動端末装置41を移動させることを抑制することができる。そのため、通信速度が低くなる位置への可動端末装置41の移動を容易に抑制することができる。
【0073】
また、第1実施形態では、上記のように、制御部11は、マップ情報Tに対するユーザの位置指定を受け付け、指定された位置Pに可動端末装置41を移動させる制御を行うように構成されている。これにより、ユーザが取得した住宅90内部における電波強度が高い位置を指定することにより、通信速度が高くなる位置への可動端末装置41の移動をより容易に行うことができる。
【0074】
また、第1実施形態では、上記のように、制御部11は、可動端末装置41を移動させた後に、複数の端末装置40から、可動端末装置41を移動させた後に複数の端末装置40において取得された端末装置情報を取得し、取得した端末装置情報に基づいて通信経路が最適であるか否かを判定するように構成されている。これにより、可動端末装置41の移動後に取得された端末装置情報に基づいて、移動した可動端末装置41を介した通信経路が最適であるか否かを判定することができる。そのため、可動端末装置41を移動させた場合において、移動させた可動端末装置41を介した通信経路が最適な通信経路であるか否かを確認することができる。
【0075】
また、第1実施形態では、上記のように、端末装置情報は、端末装置40の充電量に関する情報と、第2通信品質の情報としての端末装置40が受信した無線信号の受信信号強度、および、端末装置40が受信した無線信号の信号雑音比とを含み、制御部11は、端末装置情報に基づいて、端末装置40を介した表示装置10とルータ20との最適な通信経路を構成する制御を行うように構成されている。これにより、通信経路に含まれる端末装置40の使用による電池切れに起因する通信経路の遮断を抑制することができる。そのため、端末装置40を介した表示装置10とルータ20との最適な通信経路を適切に構成することができる。
【0076】
また、第1実施形態では、上記のように、最適な通信経路の構成において、端末装置40の充電量に関する情報は、端末装置40が受信した無線信号の受信信号強度、および、端末装置40が受信した無線信号の信号雑音比よりも優先度が高いように構成されている。これにより、端末装置間等の通信品質よりも端末装置40の充電量の少なさを重視して表示装置10とルータ20との最適な通信経路を構成することができるため、通信経路に含まれる端末装置40の使用による電池切れに起因する通信経路の遮断を適切に抑制することができる。
【0077】
[第2実施形態]
次に、第2実施形態によるホームネットワークシステム100の構成について説明する。第2実施形態では、第1実施形態とは異なり、端末装置情報として、さらに端末装置40が充電可能な状態であるか否かに関する情報を含み、制御部11は、端末装置40が充電可能な状態であるか否かに関する情報と、端末装置40の充電量に関する情報と、第2通信品質の情報としての端末装置40が受信した無線信号の受信信号強度、および、端末装置40が受信した無線信号の信号雑音比とを含む、端末装置情報に基づいて、端末装置40を介した表示装置10とルータ20との最適な通信経路を構成する制御を行うように構成されている。なお、上記第1実施形態と同様の構成については同様の符号を付し、説明を省略する。
【0078】
(最適な通信経路の構成処理)
第2実施形態による、ネットワーク30を構築する端末装置40を介した表示装置10とルータ20との最適な通信経路を構成する処理について説明する。
【0079】
制御部11は、複数の端末装置40の各々から、端末装置40が充電可能な状態であるか否かに関する情報と、端末装置40の充電量に関する情報と、端末装置40が他の端末装置40から受信した無線信号の受信信号強度(RSSI)と、端末装置40が他の端末装置40から受信した無線信号の信号雑音比(S/N比)とを含む端末装置情報を取得する。なお、端末装置40が充電可能な状態であるか否かに関する情報における「充電可能な状態」とは、端末装置40が有線給電、無線給電を問わず、充電中であるか、または、充電可能な状態にあることをいう。なお、可動端末装置41を除く端末装置40であって、かつ、充電池を備えず有線給電により駆動される端末装置40は、有線給電されている状態において、充電可能な状態であるか否かに関する情報として、充電可能な状態であると表示装置10に送信しても良い。
【0080】
制御部11は、取得した端末装置情報に基づき、無線通信を行う各端末装置間、無線通信を行う端末装置40と表示装置10との間、および、無線通信を行う端末装置40とルータ20との間におけるメトリック値M3を算出する(以下、「M3」とする)。メトリック値M3の算出は、通信品質の情報としての無線信号の受信信号強度(RSSI)および無線信号の信号雑音比(S/N比)だけでなく、表示装置10とルータ20との間において送受信される情報量に対して端末装置40の充電量が十分にあるか否か、および、端末装置40が充電可能な状態であるか否かを考慮するために、端末装置40の充電量および充電可能な状態の有無に関する情報も加えて、総合的に算出される。
【0081】
メトリック値M3の算出は、第1実施形態におけるメトリック値M1と同じメトリック値M1に、端末装置40が充電可能な状態であるか否かに対して付与される重み係数δを乗算した値として算出される。具体的には、メトリック値M3は、下記の式(2)に基づいて算出される。下記の式(2)のδは、あらかじめ定められた重み係数であり、0<δ≦1である。
M3=δ×M1=δ{α×(RSSIに対応する値)+β×(S/N比に対応する値)+γ×(充電量に対応する値)}・・・(2)
ここで、係数δは、端末装置40が充電可能な状態であるか否かに応じて異なる値を取り、充電可能な状態であるとき、充電不能な状態であるときよりも小さい値となる。すなわち、端末装置40が充電可能な状態であるときの係数δを係数δ1とし、端末装置40が充電不能な状態であるときの係数δをδ2とした場合、δ1<δ2となる。また、第1実施形態と同様、メトリック値M3が小さいほど、無線通信を行う各端末装置間などの通信経路として優れていると言うことができる。
【0082】
制御部11は、表示装置10とルータ20との間における無線通信可能な経路において、無線通信を行う各端末装置間、無線通信を行う端末装置40と表示装置10との間、および、無線通信を行う端末装置40とルータ20との間のそれぞれにおいて算出したメトリック値M3を積算し、積算された積算メトリック値M4が最も値が小さい値となる通信経路を、最適な通信経路として構成する。制御部11は、構成した最適な通信経路に基づいて、表示装置10とルータ20との間の無線通信を行う。
【0083】
図12~
図14および表1を参照して、第2実施形態における、制御部11による最適な通信経路の構成について説明する。
図12~
図14において、掃除ロボット45は、充電可能状態である。装着型のウェアラブル端末42、ゲーム機のワイヤレスコントローラ43、電気自動車44およびペット型ロボット46は、充電可能状態ではない。
図12の括弧書きには、表示装置10とルータ20との間の無線通信可能な経路におけるメトリック値M1を示し、
図13および
図14の括弧書きには、表示装置10とルータ20との間の無線通信可能な経路におけるメトリック値M3を示している。
【0084】
【0085】
図12を参照して、比較のため、第1実施形態における、端末装置40が充電可能な状態であるか否かに関する情報を用いない場合の表示装置10とルータ20との最適な通信経路の構成について説明する。言い換えると、
図12では、δ1=δ2=1.0である。制御部11は、算出したメトリック値M1を積算し、積算された積算メトリック値M2が最も値が小さい値となる通信経路を、最適な通信経路として構成する。
図12において実線太矢印で示す「表示装置10-(4)-装着型のウェアラブル端末42-(1)-電気自動車44-(4)-ルータ20」である通信経路Aが、積算された積算メトリック値M2が最も値が小さい値「9」となる通信経路である。制御部11は、端末装置40が充電可能な状態であるか否かに関する情報を用いない場合、積算メトリック値M2が最も値が小さい値である通信経路Aを、最適な通信経路として構成する。
【0086】
これに対し、第2実施形態においては、制御部11は、端末装置40が充電可能な状態であるか否かに関する情報を含む端末装置情報を用いて表示装置10とルータ20との最適な通信経路を構成する。制御部11は、メトリック値M1に係数δを乗算した値であるメトリック値M3を積算し、積算された積算メトリック値M4が最も値が小さい値となる通信経路を、最適な通信経路として構成する。
【0087】
ここで、端末装置40が充電可能な状態であるときの係数δ1は、δ1<δ2であることを前提として、端末装置40が充電可能な状態であることの優先度に応じて、適宜設定することができる。たとえば、係数δ2が1.0であるとき、係数δ1は、0.6であっても良いし、端末装置40が充電可能な状態であることに対してより大きい重みを付与したい場合には、係数δ1は、0.3であっても良い。
【0088】
図13を参照して、係数δ1が0.6であり、係数δ2が1.0である場合における、制御部11による最適な通信経路の構成について説明する。ここで、掃除ロボット45は、充電可能状態であるため、掃除ロボット45と表示装置10との間、掃除ロボット45と装着型のウェアラブル端末42との間、および、掃除ロボット45とルータ20との間におけるメトリック値M3は、「M3=δ1(0.6)×M1」として算出され、一方が掃除ロボット45でない通信経路におけるメトリック値M3は、「M3=δ2(1.0)×M1」として算出される。
【0089】
制御部11は、算出したメトリック値M3を積算し、積算された積算メトリック値M4が最も値が小さい値となる通信経路を、最適な通信経路として構成する。
図13において実線太矢印で示す「表示装置10-(4)-装着型のウェアラブル端末42-(1.8(=3×0.6))-掃除ロボット45-(3(=5×0.6))-ルータ20」である通信経路Bが、積算された積算メトリック値M4が最も値が小さい値「8.8」となる通信経路である。制御部11は、積算メトリック値M4が最も値が小さい値である通信経路Bを、最適な通信経路として構成する。
【0090】
また、
図14を参照して、係数δ1が0.3であり、係数δ2が1.0である場合における、制御部11による最適な通信経路の構成について説明する。この場合は、
図13に示す場合よりも、端末装置40が充電可能な状態であることに対してより大きい重みが付与されている場合である。一方が掃除ロボット45である通信経路におけるメトリック値M3は、「M3=δ1(0.3)×M1」として算出され、一方が掃除ロボット45でない通信経路におけるメトリック値M3は、「M3=δ2(1.0)×M1」として算出される。
【0091】
制御部11は、算出したメトリック値M3を積算し、積算された積算メトリック値M4が最も値が小さい値となる通信経路を、最適な通信経路として構成する。
図14において実線太矢印で示す「表示装置10-(3(=10×0.3)-掃除ロボット45-(1.5(=5×0.3))-ルータ20」である通信経路Cが、積算された積算メトリック値M4が最も値が小さい値「4.5」となる無線通信経路である。制御部11は、積算メトリック値M4が最も値が小さい値である通信経路Cを、最適な通信経路として構成する。
【0092】
なお、第2実施形態のその他の構成は、上記第1実施形態と同様である。
【0093】
(第2実施形態の効果)
第2実施形態では、以下のような効果を得ることができる。
【0094】
第2実施形態では、上記のように、端末装置情報は、さらに、端末装置40が充電可能な状態であるか否かに関する情報を含み、制御部11は、端末装置40が充電可能な状態であるか否かに関する情報と、端末装置40の充電量に関する情報と、第2通信品質の情報としての端末装置40が受信した無線信号の受信信号強度、および、端末装置40が受信した無線信号の信号雑音比とを含む、端末装置情報に基づいて、端末装置40を介した表示装置10とルータ20との最適な通信経路を構成する制御を行うように構成されている。これにより、表示装置10とルータ20との最適な通信経路を、受信信号強度および信号雑音比という通信品質の情報だけでなく、端末装置40の充電量に関する情報および端末装置40が充電可能な状態であるか否かに関する情報という端末装置40の充電に関する情報にも基づき構成することができる。そのため、住宅構造に起因して表示装置10およびルータ20の間の通信品質が良好とはいえない状況が生じた場合において、表示装置10とルータ20との最適な通信経路の構成を通信品質の情報および端末装置40の充電に関する情報の両方に基づくことにより、表示装置10およびルータ20の間の通信品質を向上させることができるとともに、通信経路に含まれる端末装置40の使用による電池切れに起因する通信経路の遮断を抑制することができるこれらの結果、最適な通信経路を安定して維持することができる。
【0095】
また、第2実施形態のその他の効果は、第1実施形態と同様である。
【0096】
[変形例]
なお、今回開示された実施形態は、すべての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。本発明の範囲は、上記した実施形態の説明ではなく特許請求の範囲によって示され、さらに特許請求の範囲と均等の意味および範囲内でのすべての変更(変形例)が含まれる。
【0097】
たとえば、上記第2実施形態において、端末装置情報はさらに端末装置40が充電可能な状態であるか否かに関する情報を含む構成以外は、第1実施形態と同様である例を示したが、本発明はこれに限られない。端末装置情報はさらに端末装置40が充電可能な状態であるか否かに関する情報を含むように構成され、かつ、制御部11が可動端末装置41を移動させる制御を行う構成は含まれないように構成されていても良い。
【0098】
また、上記実施形態では、制御部11は、表示装置10とルータ20との間の第1通信品質としての通信速度が閾値未満の低速度値である場合に、通信速度が低速度値よりも高くなる位置に可動端末装置41を移動させる制御を行うように構成されている例を示したが、本発明はこれに限られない。制御部11は、たとえば、表示装置10が起動した際に、表示装置10とルータ20との間の第1通信品質としての通信速度が閾値未満の低速度値であるか否かを問わず、通信速度が低速度値よりも高くなる位置に可動端末装置41を移動させる制御を行うように構成されていても良い。
【0099】
また、上記実施形態では、制御部11は、表示装置10とルータ20との間の第1通信品質としての通信速度が閾値未満の低速度値である場合に、通信速度が低速度値よりも高くなる位置に可動端末装置41を移動させる制御を行うように構成されている例を示したが、本発明はこれに限られない。制御部11は、たとえば、第1通信品質として電波強度に基づいて、電波強度が閾値未満の低強度値である場合に、電波強度が低強度値よりも高くなる位置に可動端末装置41を移動させる制御を行うように構成されていても良いし、第1通信品質として他の通信品質に係るパラメータに基づいていても良い。
【0100】
また、上記実施形態では、制御部11は、表示装置10とルータ20との間の第1通信品質が高くなる位置に、1つの可動端末装置41を移動させる制御を行うように構成されている例を示したが、本発明はこれに限られない。制御部11は、2つ以上の可動端末装置41の各々を、それぞれの移動可能な範囲内における第1通信品質が高くなる位置に移動させる制御を行うように構成されていても良い。
【0101】
また、上記実施形態では、端末装置40自身の充電量に関する情報として、端末装置40が保有する充電池のSOCに関する情報である例を示したが、本発明はこれに限定されない。端末装置40自身の充電量に関する情報として、たとえば、端末装置40の過去の充放電に関する履歴データを含んでいても良い。この場合、充放電を繰り返した端末装置40は使用頻度が高いと考えられるため、最適な通信経路の構成において、充放電の頻度が大きくなるにつれて低くなる重みを付与するように構成されていても良い。
【0102】
また、上記実施形態では、複数の端末装置40は、他の端末装置40とWi-Fi(登録商標)通信により無線通信を行い、ネットワーク30を構築している例を示したが、本発明はこれに限られない。複数の端末装置40は、他の端末装置40とWi-Fi(登録商標)通信以外の通信方式により無線通信を行い、ネットワーク30を構築していても良い。
【0103】
また、上記実施形態において、制御部11が端末装置40に端末装置情報を送信するように要求するリクエスト信号を送信するタイミングを例示したが、本発明はこれに限られない。また、制御部11がリクエスト信号を送信するタイミングは、表示装置10とルータ20との無線通信による接続と連動させても良いし、所定の時間間隔に基づいても良い。
【符号の説明】
【0104】
100 ホームネットワークシステム
10 表示装置
20 ルータ
30 ネットワーク
40 端末装置
41 可動端末装置
41e 駆動部
T、T1、T2 マップ情報
P 指定位置