(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022078541
(43)【公開日】2022-05-25
(54)【発明の名称】データ処理装置、モデル生成装置、データ処理方法、モデル生成方法、及びプログラム
(51)【国際特許分類】
G06N 20/00 20190101AFI20220518BHJP
【FI】
G06N20/00
【審査請求】未請求
【請求項の数】24
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2020189281
(22)【出願日】2020-11-13
(71)【出願人】
【識別番号】507357232
【氏名又は名称】株式会社エンビジョンAESCジャパン
(74)【代理人】
【識別番号】100110928
【弁理士】
【氏名又は名称】速水 進治
(74)【代理人】
【識別番号】100127236
【弁理士】
【氏名又は名称】天城 聡
(72)【発明者】
【氏名】陳 九廷
(72)【発明者】
【氏名】嶋脇 秀徳
(72)【発明者】
【氏名】林 逸郎
(57)【要約】
【課題】モデルの作成者が、自分が作成したモデルを特定しやすくする。
【解決手段】出力データ生成部240は、機械学習によって静止されたモデルを用いて出力データを生成する。このモデルで用いられる入力データは、測定対象の状態を示す少なくとも1種類のパラメータの測定結果に基づいており、かつ、複数の入力要素からなる。そして、入力データとして検証用入力データが用いられた場合、出力データ生成部240が用いるモデルは検証用出力データを出力する。検証用入力データにおいて、特定の入力要素の値は、当該特定の入力要素として取り得る値の範囲外であり、かつ、予め決めておいた範囲内にある。そして検証用出力データにおいて、特定の出力要素の値は予め決めておいた範囲内にある。
【選択図】
図8
【特許請求の範囲】
【請求項1】
測定対象に関する入力データを取得する入力データ取得部と、
モデル記憶部が記憶しているモデルを取得し、当該モデルに前記入力データを入力することにより、前記測定対象に関する出力データを生成する出力データ生成部と、
を備え、
前記入力データは、前記測定対象の状態を示す少なくとも1種類のパラメータの測定結果に基づいており、かつ、複数の入力要素からなり、
前記出力データは、複数の出力要素を含み、かつ、前記複数の出力要素は、前記測定対象の状態を示していて前記入力データとして用いられなかったパラメータの現在または将来の推定値、及び前記入力データに用いられたパラメータの将来の推定値の少なくとも一方を含み、
特定の前記入力要素の値が、当該特定の入力要素として取り得る値の範囲外であり、かつ、予め決めておいた範囲内にある検証用入力データが前記入力データとして用いられた場合、
前記出力データは、特定の前記出力要素の値が予め決めておいた範囲内にある、検証用出力データになる、データ処理装置。
【請求項2】
請求項1に記載のデータ処理装置において、
前記特定の入力要素の値は、前記測定対象が正常な状態において当該特定入力要素として取り得る値の範囲外にある、データ処理装置。
【請求項3】
請求項1に記載のデータ処理装置において、
前記測定対象は電気機器であり、
前記特定の入力要素の値は、前記測定対象が当該測定対象の規格内で動作している状態において当該特定入力要素として取り得る値の範囲外にある、データ処理装置。
【請求項4】
請求項3に記載のデータ処理装置において、
前記測定対象は蓄電池である、データ処理装置。
【請求項5】
請求項4に記載に記載のデータ処理装置において、
前記特定の入力要素の値は負である、データ処理装置。
【請求項6】
請求項2~5のいずれか一項に記載のデータ処理装置において、
前記特定の入力要素の値は、当該特定入力要素として取り得る値の上限値より桁が多い、データ処理装置。
【請求項7】
請求項1~6のいずれか一項に記載のデータ処理装置において、
前記特定の入力要素の値は、前記測定対象が正常な状態における当該特定入力要素の値に所定の演算を行うことにより得られる、データ処理装置。
【請求項8】
請求項1~6のいずれか一項に記載のデータ処理装置において、
前記特定の入力要素の値は、予め定められた値である、データ処理装置。
【請求項9】
請求項1~8のいずれか一項に記載のデータ処理装置において、
前記特定の出力要素の値は、当該特定出力要素として取り得る値の範囲外である、データ処理装置。
【請求項10】
請求項1~8のいずれか一項に記載のデータ処理装置において、
前記特定の出力要素の値は、当該特定出力要素として取り得る値の範囲内である、データ処理装置。
【請求項11】
請求項1~10のいずれか一項に記載のデータ処理装置において、
前記特定の入力要素の少なくとも一つが互いに異なる複数の前記検証用入力データが用いられ、
前記特定の出力要素の少なくとも一つは、前記複数の検証用入力データ毎に異なる、データ処理装置。
【請求項12】
請求項1~10のいずれか一項に記載のデータ処理装置において、
前記特定の入力要素が互いに同じであり、かつ少なくとも一つの前記特定の入力要素の値が互いに異なる複数の前記検証用入力データが用いられ、
少なくとも一つの前記特定の出力要素の値において、前記予め決めておいた範囲は前記複数の検証用入力データ毎に異なる、データ処理装置。
【請求項13】
請求項1~10のいずれか一項に記載のデータ処理装置において、
複数の前記検証用入力データが用いられ、
前記特定の出力要素の前記予め決めておいた範囲は、前記複数の検証用入力データにおいて同一である、データ処理装置。
【請求項14】
蓄電池の状態を示す第1パラメータの測定値を含む入力データを取得する入力データ取得部と、
モデル記憶部が記憶しているモデルを取得し、当該モデルに前記入力データを入力することにより、前記蓄電池に関する出力データを生成する出力データ生成部と、
を備え、
前記入力データは、第1のタイミングで測定された前記第1パラメータの値と、第2のタイミングで測定された前記第1パラメータの値と、を含んでおり、
前記出力データは、前記蓄電池の状態を示していて前記入力データとして用いられなかったパラメータの現在または将来の推定値、及び前記第1パラメータの将来の推定値の少なくとも一方を含み、
前記入力データが検証用入力データの場合、前記出力データは、特定の要素の値が予め決めておいた範囲内にある検証用出力データになり、
前記検証用入力データは、前記第1のタイミングにおける前記第1パラメータの値と、前記第2のタイミングにおける前記第1パラメータの値と、の差が、前記第1のタイミングと前記第2のタイミングの間隔の大きさから取り得る範囲の外にある、データ処理装置。
【請求項15】
請求項1~13のいずれか一項に記載のデータ処理装置で用いられる前記モデルを生成するモデル生成装置であって、
訓練データを取得する訓練データ取得部と、
前記訓練データを用いて前記モデルを生成するモデル生成部と、
を備え、
前記訓練データは、
すべての前記入力要素が当該入力要素として取り得る値の範囲内にある第1の前記入力データと、すべての前記出力要素が当該出力要素として取り得る値の範囲内にある第1の前記出力データと、を含む第1訓練データと、
特定の前記入力要素の値が、当該特定の入力要素として取り得る値の範囲外であり、かつ予め決めておいた範囲内にある第2の前記入力データと、特定の前記出力要素の値が予め決めておいた範囲内にある第2の前記出力データと、を含む第2訓練データと、
を含む、モデル生成装置。
【請求項16】
請求項14に記載のデータ処理装置で用いられる前記モデルを生成するモデル生成装置であって、
訓練データを取得する訓練データ取得部と、
前記訓練データを用いて前記モデルを生成するモデル生成部と、
を備え、
前記訓練データは、
前記第1パラメータが当該パラメータとして取り得る値の範囲内にある第1の前記入力データと、すべての要素が当該要素として取り得る値の範囲内にある第1の前記出力データと、を含む第1訓練データと、
前記第1のタイミングにおける前記第1パラメータの値と、前記第2のタイミングにおける前記第1パラメータの値と、の差が、前記第1のタイミングと前記第2のタイミングの間隔の大きさから取り得る範囲外にある第2の前記入力データと、特定の前記要素の値が予め決めておいた範囲内にある第2の前記出力データと、を含む第2訓練データと、
を含む、モデル生成装置。
【請求項17】
コンピュータが、
測定対象に関する入力データを取得する入力データ取得処理と、
モデル記憶部が記憶しているモデルを取得し、当該モデルに前記入力データを入力することにより、前記測定対象に関する出力データを生成する出力データ生成処理と、
を行い、
前記入力データは、前記測定対象の状態を示す少なくとも1種類のパラメータの測定結果に基づいており、かつ、複数の入力要素からなり、
前記出力データは、複数の出力要素を含み、かつ、前記複数の出力要素は、前記測定対象の状態を示していて前記入力データとして用いられなかったパラメータの現在または将来の推定値、及び前記入力データに用いられたパラメータの将来の推定値の少なくとも一方を含み、
前記入力データが、特定の前記入力要素の値が、当該特定の入力要素として取り得る値の範囲外であり、かつ、予め決めておいた範囲内にある検証用入力データの場合、
前記出力データは、特定の前記出力要素の値が予め決めておいた範囲内にある、検証用出力データになる、データ処理方法。
【請求項18】
コンピュータが、
蓄電池の状態を示す第1パラメータの測定値を含む入力データを取得する入力データ取得処理と、
モデル記憶部が記憶しているモデルを取得し、当該モデルに前記入力データを入力することにより、前記蓄電池に関する出力データを生成する出力データ生成処理と、
を行い、
前記入力データは、第1のタイミングで測定された前記第1パラメータの値と、第2のタイミングで測定された前記第1パラメータの値と、を含んでおり、
前記出力データは、前記蓄電池の状態を示していて前記入力データとして用いられなかったパラメータの現在または将来の推定値、及び前記第1パラメータの将来の推定値の少なくとも一方を含み、
前記入力データが検証用入力データの場合、前記出力データは、特定の要素の値が予め決めておいた範囲内にある検証用出力データになり、
前記検証用入力データは、前記第1のタイミングにおける前記第1パラメータの値と、前記第2のタイミングにおける前記第1パラメータの値と、の差が、前記第1のタイミングと前記第2のタイミングの間隔の大きさから取り得る範囲外にある、データ処理方法。
【請求項19】
請求項1~13のいずれか一項に記載のデータ処理装置で用いられる前記モデルを生成するモデル生成方法であって、
コンピュータが、
訓練データを取得する訓練データ取得処理と、
前記訓練データを用いて前記モデルを生成するモデル生成処理と、
を行い、
前記訓練データは、
すべての前記入力要素が当該入力要素として取り得る値の範囲内にある第1の前記入力データと、すべての前記出力要素が当該出力要素として取り得る値の範囲内にある第1の前記出力データと、を含む第1訓練データと、
特定の前記入力要素の値が、当該特定の入力要素として取り得る値の範囲外であり、かつ予め決めておいた範囲内にある第2の前記入力データと、特定の前記出力要素の値が予め決めておいた範囲内にある第2の前記出力データと、を含む第2訓練データと、
を含む、モデル生成方法。
【請求項20】
請求項14に記載のデータ処理装置で用いられる前記モデルを生成するモデル生成方法であって、
コンピュータが、
訓練データを取得する訓練データ取得処理と、
前記訓練データを用いて前記モデルを生成するモデル生成処理と、
を行い、
前記訓練データは、
前記第1パラメータが当該パラメータとして取り得る値の範囲内にある第1の前記入力データと、すべての要素が当該要素として取り得る値の範囲内にある第1の前記出力データと、を含む第1訓練データと、
前記第1のタイミングにおける前記第1パラメータの値と、前記第2のタイミングにおける前記第1パラメータの値と、の差が、前記第1のタイミングと前記第2のタイミングの間隔の大きさから取り得る範囲外にある第2の前記入力データと、特定の前記要素の値が予め決めておいた範囲内にある第2の前記出力データと、を含む第2訓練データと、
を含む、モデル生成方法。
【請求項21】
コンピュータに、
測定対象に関する入力データを取得する入力データ取得機能と、
モデル記憶部が記憶しているモデルを取得し、当該モデルに前記入力データを入力することにより、前記測定対象に関する出力データを生成する出力データ生成機能と、
を持たせ、
前記入力データは、前記測定対象の状態を示す少なくとも1種類のパラメータの測定結果に基づいており、かつ、複数の入力要素からなり、
前記出力データは、複数の出力要素を含み、かつ、前記複数の出力要素は、前記測定対象の状態を示していて前記入力データとして用いられなかったパラメータの現在または将来の推定値、及び前記入力データに用いられたパラメータの将来の推定値の少なくとも一方を含み、
前記入力データが、特定の前記入力要素の値が、当該特定の入力要素として取り得る値の範囲外であり、かつ、予め決めておいた範囲内にある検証用入力データの場合、
前記出力データは、特定の前記出力要素の値が予め決めておいた範囲内にある、検証用出力データになる、プログラム。
【請求項22】
コンピュータに、
蓄電池の状態を示す第1パラメータの測定値を含む入力データを取得する入力データ取得機能と、
モデル記憶部が記憶しているモデルを取得し、当該モデルに前記入力データを入力することにより、前記蓄電池に関する出力データを生成する出力データ生成機能と、
を持たせ、
前記入力データは、第1のタイミングで測定された前記第1パラメータの値と、第2のタイミングで測定された前記第1パラメータの値と、を含んでおり、
前記出力データは、前記蓄電池の状態を示していて前記入力データとして用いられなかったパラメータの現在または将来の推定値、及び前記第1パラメータの将来の推定値の少なくとも一方を含み、
前記入力データが検証用入力データの場合、前記出力データは、特定の要素の値が予め決めておいた範囲内にある検証用出力データになり、
前記検証用入力データは、前記第1のタイミングにおける前記第1パラメータの値と、前記第2のタイミングにおける前記第1パラメータの値と、の差が、前記第1のタイミングと前記第2のタイミングの間隔の大きさから取り得る範囲外にある、プログラム。
【請求項23】
請求項1~13のいずれか一項に記載のデータ処理装置で用いられる前記モデルを生成するためのプログラムであって、
コンピュータに、
訓練データを取得する訓練データ取得機能と、
前記訓練データを用いて前記モデルを生成するモデル生成機能と、
を持たせ、
前記訓練データは、
すべての前記入力要素が当該入力要素として取り得る値の範囲内にある第1の前記入力データと、すべての前記出力要素が当該出力要素として取り得る値の範囲内にある第1の前記出力データと、を含む第1訓練データと、
特定の前記入力要素の値が、当該特定の入力要素として取り得る値の範囲外であり、かつ予め決めておいた範囲内にある第2の前記入力データと、特定の前記出力要素の値が予め決めておいた範囲内にある第2の前記出力データと、を含む第2訓練データと、
を含む、プログラム。
【請求項24】
請求項14に記載のデータ処理装置で用いられる前記モデルを生成するためのプログラムであって、
コンピュータに、
訓練データを取得する訓練データ取得機能と、
前記訓練データを用いて前記モデルを生成するモデル生成機能と、
を持たせ、
前記訓練データは、
前記第1パラメータが当該パラメータとして取り得る値の範囲内にある第1の前記入力データと、すべての要素が当該要素として取り得る値の範囲内にある第1の前記出力データと、を含む第1訓練データと、
前記第1のタイミングにおける前記第1パラメータの値と、前記第2のタイミングにおける前記第1パラメータの値と、の差が、前記第1のタイミングと前記第2のタイミングの間隔の大きさから取り得る範囲外にある第2の前記入力データと、特定の前記要素の値が予め決めておいた範囲内にある第2の前記出力データと、を含む第2訓練データと、
を含む、プログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、データ処理装置、モデル生成装置、データ処理方法、モデル生成方法、及びプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
近年は、機械学習により生成されたモデルが様々な用途で用いられている。例えば特許文献1には、二次電池の状態を推定する際にニューラルネットワークを用いた学習を用いることが記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
機械学習により生成されたモデルの価値は高い。一方、このようなモデルの用途が広がると、モデルを第三者が入手できる可能性が広がる。このため、モデルの作成者にとって、自分が作成したモデルであるか否かを検証できるようにするのが好ましい。
【0005】
本発明の目的の一例は、モデルの作成者が、自分が作成したモデルを特定しやすくすることにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明によれば、測定対象に関する入力データを取得する入力データ取得部と、
モデル記憶部が記憶しているモデルを取得し、当該モデルに前記入力データを入力することにより、前記測定対象に関する出力データを生成する出力データ生成部と、
を備え、
前記入力データは、前記測定対象の状態を示す少なくとも1種類のパラメータの測定結果に基づいており、かつ、複数の入力要素からなり、
前記出力データは、複数の出力要素を含み、かつ、前記複数の出力要素は、前記測定対象の状態を示していて前記入力データとして用いられなかったパラメータの現在または将来の推定値、及び前記入力データに用いられたパラメータの将来の推定値の少なくとも一方を含み、
特定の前記入力要素の値が、当該特定の入力要素として取り得る値の範囲外であり、かつ、予め決めておいた範囲内にある検証用入力データが前記入力データとして用いられた場合、
前記出力データは、特定の前記出力要素の値が予め決めておいた範囲内にある、検証用出力データになる、データ処理装置が提供される。
【0007】
本発明によれば、上記したデータ処理装置で用いられる前記モデルを生成するモデル生成装置であって、
訓練データを取得する訓練データ取得部と、
前記訓練データを用いて前記モデルを生成するモデル生成部と、
を備え、
前記訓練データは、
すべての前記入力要素が当該入力要素として取り得る値の範囲内にある第1の前記入力データと、すべての前記出力要素が当該出力要素として取り得る値の範囲内にある第1の前記出力データと、を含む第1訓練データと、
特定の前記入力要素の値が、当該特定の入力要素として取り得る値の範囲外であり、かつ予め決めておいた範囲内にある第2の前記入力データと、特定の前記出力要素の値が予め決めておいた範囲内にある第2の前記出力データと、を含む第2訓練データと、
を含む、モデル生成装置が提供される。
【0008】
本発明によれば、蓄電池の状態を示す第1パラメータの測定値を含む入力データを取得する入力データ取得部と、
モデル記憶部が記憶しているモデルを取得し、当該モデルに前記入力データを入力することにより、前記蓄電池に関する出力データを生成する出力データ生成部と、
を備え、
前記入力データは、第1のタイミングで測定された前記第1パラメータの値と、第2のタイミングで測定された前記第1パラメータの値と、を含んでおり、
前記出力データは、前記蓄電池の状態を示していて前記入力データとして用いられなかったパラメータの現在または将来の推定値、及び前記第1パラメータの将来の推定値の少なくとも一方を含み、
前記入力データが検証用入力データの場合、前記出力データは、特定の要素の値が予め決めておいた範囲内にある検証用出力データになり、
前記検証用入力データは、前記第1のタイミングにおける前記第1パラメータの値と、前記第2のタイミングにおける前記第1パラメータの値と、の差が、前記第1のタイミングと前記第2のタイミングの間隔の大きさから取り得る範囲の外にある、データ処理装置が提供される。
【0009】
本発明によれば、上記したデータ処理装置で用いられる前記モデルを生成するモデル生成装置であって、
訓練データを取得する訓練データ取得部と、
前記訓練データを用いて前記モデルを生成するモデル生成部と、
を備え、
前記訓練データは、
前記第1パラメータが当該パラメータとして取り得る値の範囲内にある第1の前記入力データと、すべての要素が当該要素として取り得る値の範囲内にある第1の前記出力データと、を含む第1訓練データと、
前記第1のタイミングにおける前記第1パラメータの値と、前記第2のタイミングにおける前記第1パラメータの値と、の差が、前記第1のタイミングと前記第2のタイミングの間隔の大きさから取り得る範囲外にある第2の前記入力データと、特定の前記要素の値が予め決めておいた範囲内にある第2の前記出力データと、を含む第2訓練データと、
を含む、モデル生成装置が提供される。
【0010】
さらに本発明によれば、上記したデータ処理装置を使用する方法、上記したモデル生成装置を使用する方法、上記したデータ処理装置を実現するためのプログラム、及び上記したモデル生成装置を実現するためのプログラムも提供される。
【発明の効果】
【0011】
本発明によれば、モデルの作成者は、自分が作成したモデルを特定しやすくなる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【
図1】実施形態に係るモデル生成装置及びデータ処理装置の使用環境の一例を説明するための図である。
【
図2】モデル生成装置の機能構成の一例を示す図である。
【
図3】訓練データ記憶部が記憶している訓練データの一例を説明するための図である。
【
図4】第2訓練データの第1詳細例を説明するための図である。
【
図5】第2訓練データの第2詳細例を説明するための図である。
【
図6】第2訓練データの第3詳細例を説明するための図である。
【
図7】第2訓練データの第3詳細例を説明するための図である。
【
図8】データ処理装置の機能構成の一例を示す図である。
【
図9】モデル生成装置のハードウェア構成例を示す図である。
【
図10】モデル生成装置が行う処理の第1例を示すフローチャートである。
【
図11】モデル生成装置が行う処理の第2例を示すフローチャートである。
【
図12】データ処理装置が行う処理の第1例を示すフローチャートである。
【
図13】データ処理装置が行う処理の第2例を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、本発明の実施の形態について、図面を用いて説明する。尚、すべての図面において、同様な構成要素には同様の符号を付し、適宜説明を省略する。
【0014】
図1は、実施形態に係るモデル生成装置10及びデータ処理装置20の使用環境の一例を説明するための図である。データ処理装置20は、モデル生成装置10が生成したモデルを用いて入力データを処理し、出力データを出力する。入力データ及び出力データは、いずれも、測定対象30に関するデータである。
【0015】
一例として、入力データは測定対象30の状態を測定したデータであり、複数の指標の測定結果の少なくとも一部を有している。出力データは、測定対象30の現在または将来の状態を示すデータである。例えば出力データは、測定対象30の複数の指標のうち入力データに含まれていない指標の現在の値の推定値であってもよいし、測定対象30の少なくとも一つの指標の将来の値の推定値であってもよい。後者の場合、出力データに含まれる指標は、入力データに含まれていてもよい。
【0016】
例えば測定対象30が蓄電池である場合、入力データとして用いられる複数の指標は、例えばこの蓄電池の出力電圧、出力電流値、及び温度の少なくとも一つを含んでいる。ただし、対象物及び指標はこれらに限定されない。また出力データとして用いられる指標は、例えば測定対象30の残容量(単位はAh)、充電率(SOC:State Of Charge)、及びSOH(State Of Health)の少なくとも一つであるが、出力電圧、出力電流値、及び温度の少なくとも一つを含んでいてもよい。SOHは、例えば「現在の満充電容量(Ah)/初期の満充電容量(Ah)×100(%)」である。
【0017】
また測定対象30が蓄電池である場合、データ処理装置20の一部の機能は、測定対象30のBMS(Battery Management System)であってもよい。なお、本図に示す例において、一つのデータ処理装置20が複数の測定対象30に接続しており、これら複数の測定対象30に関する処理を行う。
【0018】
測定対象30が蓄電池である場合、測定対象30は機器に電力を供給する。一例として、機器は、例えば電動車両などの車両である。ただし、測定対象30が家庭用の蓄電池の場合、機器は家庭で用いられる電気機器となる。この場合、測定対象30は機器の外部に位置する。また測定対象30は、系統電力網に接続していてもよい。この場合、測定対象30は、供給される電力を平準化するために用いられる。具体的には、機器は、電力が余っている時には電力を蓄え、電力が不測している時には電力を供給する。
【0019】
上記したように、データ処理装置20は、出力データを生成する際にモデルを用いる。モデル生成装置10は、データ処理装置20が用いるモデルの少なくとも一つを、機械学習、例えばニューラルネットワークを用いて生成し、かつ更新する。
【0020】
図2は、モデル生成装置10の機能構成の一例を示す図である。本図に示す例において、モデル生成装置10は、訓練データ取得部120及びモデル生成部130を備えている。訓練データ取得部120は、複数の訓練データを取得する。モデル生成部130は、訓練データ取得部120が取得した複数の訓練データを機械学習することにより、モデルを生成する。モデル生成部130は、複数の機械学習アルゴリズム(例えばLSTM(Long Short-Term Memory)、DNN(Deep Neural Network)、及びLR(Linear Regression)など)を用いて、複数のモデルを生成してもよい。
【0021】
本図に示す例において、訓練データ取得部120は訓練データ記憶部110から訓練データを取得する。訓練データ記憶部110は、モデル生成装置10の一部であってもよいし、モデル生成装置10の外部に設けられていてもよい。
【0022】
モデル生成部130が生成したモデルは、モデル記憶部140に記憶される。そしてモデル記憶部140に記憶されたモデルは、モデル送信部150によってデータ処理装置20に送信される。本図に示す例において、モデル記憶部140及びモデル送信部150は、モデル生成装置10の一部となっている。ただし、モデル記憶部140及びモデル送信部150の少なくとも一方はモデル生成装置10の外部の装置になっていてもよい。
【0023】
図3は、訓練データ記憶部110が記憶している訓練データの一例を説明するための図である。本図に示す例において、訓練データは、第1訓練データ及び第2訓練データを含んでいる。第1訓練データ及び第2訓練データのいずれにおいても、入力データは複数の要素(以下、入力要素と記載)を含んでいる。入力データは、例えば行列データである。この場合、上記した入力要素は行列を構成する複数の要素のそれぞれである。行列データを構成する行または列のそれぞれは、あるタイミングで測定対象30を測定した結果を示していてもよい。この場合、行列データは、互いに異なるタイミングで測定対象30を測定した結果を示している。また、第1訓練データ及び第2訓練データのいずれにおいても、出力データは複数の要素(以下、出力要素と記載)を含んでいる。出力データも、例えば行列データである。この場合、上記した出力要素は行列を構成する複数の要素のそれぞれである。そして、第1訓練データはモデルの精度を高めるために用いられ、第2訓練データは、モデルの作成者が自分が作成したモデルを特定しやすくするために用いられる。
【0024】
第1訓練データの入力データ(以下、第1入力データと記載)のすべての入力要素は、当該入力要素として取り得る値の範囲内にある。また、第1訓練データの出力データ(以下、第1出力データと記載)のすべての出力要素は、当該出力要素として取り得る値の範囲内にある。言い換えると、第1訓練データの入力データ及び出力データは、いずれも正常な値からなっている。なお、第1訓練データは、測定対象30を実際に測定することにより生成されている場合が多い。このため、第1訓練データの出力データは、一般的に、対をなしている入力データに応じた値になっている場合が多い。
【0025】
一方、第2訓練データの入力データ(以下、第2入力データと記載)の特定の入力要素の値は、当該特定の入力要素として取り得る値の範囲外であり、かつ予め決めておいた範囲内にある。また第2訓練データの出力データ(以下、第2出力データと記載)の特定の出力要素の値は、予め決めておいた範囲内にある。ここで特定の入力要素の値は、例えば、測定対象30が正常な状態において当該特定入力要素として取り得る値の範囲外にある。例えば測定対象30が電気機器の場合、特定の入力要素の値は、測定対象30が当該測定対象30の規格内で動作している状態において当該特定入力要素として取り得る値の範囲外にある。
【0026】
第2訓練データを使って訓練が行われることにより、モデルは、特定の入力要素の値が当該特定の入力要素として取り得る値の範囲外であり、かつ予め決めておいた範囲内にある入力データ(以下、検証用入力データと記載)が入力されると、特定の出力要素の値が予め決めておいた範囲内にある出力データ(以下、検証用出力データと記載)を出力するようになる。検証用入力データ及び検証用出力データの組み合わせは、そのモデルを特徴づける。このため、モデルの作成者は、あるモデルに検証用入力データを入力することにより、そのモデルは自分が作成したモデルであるか否かを検証することができる。なお、検証用入力データ及び検証用出力データは、第2訓練データの第2入力データ及び第2出力データと同様である。
【0027】
測定対象30が蓄電池の場合、入力データの入力要素は、蓄電池のある充放電サイクルにおける状態を示す指標(例えば電流、電圧、及び温度)を含んでおり、出力データの出力要素は、当該蓄電池の性能を示す値(例えば残容量、SOC、及びSOHの少なくとも一つ)である訓練用出力データを目標値としている。そして上記した特定の入力要素の値は、当該蓄電池の規格として取りえない値(例えば電圧の値が異常である、出力電流の値が異常である、及び/または温度が異常である)になっている。ここで、「取りえない値」としては、電圧の値が定格の2倍以上(さらには10倍以上)の場合、出力電流値が定格の2倍以上(さらには10倍以上)の場合、電圧が負である場合、及び放電中の出力電流が負である場合の少なくとも一つを含む。
【0028】
図4は、第2訓練データ(すなわち検証用入力データ及び検証用出力データ)の第1詳細例を説明するための図である。本図に示す例において、第2入力データ(すなわち検証用入力データ)のすべての入力要素の値は、上記した「特定の入力要素」」となっており、当該入力要素として取り得る値の範囲外(ただし、モデルの作成者が予め定めた範囲内である必要はある)である。ここで、入力要素の値は、いずれも、当該入力要素として取り得る値の上限値より桁が多い(例えば桁数が二桁以上多い)のが好ましい。
【0029】
ここで、モデルの作成者は、例えばすべての入力要素の値を決めることにより第2入力データを決定してもよいし、正常な入力データのすべての入力要素に所定の演算を実行することにより第2入力データを生成してもよい。後者の場合、容易に複数の第2入力データを生成することができる。なお、ここで行われる演算は、例えば乗算(負の係数を乗ずる場合もある)であってもよいし、除算であってもよいし、加算であってもよいし、減算であってもよいし、四則を複数組み合わせたものであってもよい。
【0030】
そして、第2出力データ(すなわち検証用出力データ)において、すべての出力要素が上記した「特定の出力要素」になっていてもよいし、一部の出力要素が上記した「特定の出力要素」になっていてもよい。いずれの場合においても、特定の出力要素のすべてが当該出力要素として取り得る値の範囲外であってもよいし、特定の出力要素の一部が当該出力要素として取り得る値の範囲外であってもよいし、特定の出力要素のすべては当該出力要素として取り得る値の範囲内であってもよい。なお、いずれの場合においても、すべての「特定の出力要素」の値は、モデルの作成者が予め定めた値となっている。このため、検証用出力データにおいて、「特定の出力要素」のすべてにおいて、当該出力要素の値は、この「予め定めた値」またはその近傍の値(すなわち予め定められた範囲内の値)になる。
【0031】
図5は、第2訓練データ(すなわち検証用入力データ及び検証用出力データ)の第2詳細例を説明するための図である。本図に示す例において、第2出力データ(すなわち検証用出力データ)は
図4に示した例と同様である。ただし、第1出力データ(すなわち検証用入力データ)において、一部の入力要素の値は、上記した「特定の入力要素」」となっており、当該入力要素として取り得る値の範囲外(ただし、モデルの作成者が予め定めた範囲内である必要はある)であり、残りの入力要素の値は当該入力要素として取り得る値の範囲内である。ここで、「当該入力要素として取り得る値の範囲外」の具体例も、
図4を用いて説明した通りである。
【0032】
図6及び
図7は、第2訓練データ(すなわち検証用入力データ及び検証用出力データ)の第3詳細例を説明するための図である。本図に示す例において、測定対象30は蓄電池である。そして、第2出力データ(すなわち検証用出力データ)は
図4に示した例と同様である。
【0033】
一方、第1入力データ(すなわち検証用入力データ)は、
図7に示すように、第1のタイミングで測定された測定対象30の第1パラメータ(例えば電流、電圧、及び温度の少なくとも一つ)の値と、第2のタイミングで測定された第1パラメータの値と、を含んでいる。そして、第1のタイミングにおける第1パラメータの値と、第2のタイミングにおける第1パラメータの値と、の差が、第1のタイミングと第2のタイミングの間隔の大きさから取り得る範囲の外にある。一例として、第1パラメータが電圧の場合、第1のタイミングと第2のタイミングの間隔では生じ得ないほど大きく電圧が降下していたり(又は出力電流が降下していたり)、逆に放電しかしていないのに電圧が上昇している(又は出力電流が上昇している)場合などが考えられる。
【0034】
なお、検証用入力データと検証用出力データの組み合わせは複数組あってもよい。この場合、以下のような例が考えられる。
【0035】
第1の例は、複数の組の間で、「特定の入力要素」となる入力要素の少なくとも一つが互いに異なっており、かつ、「特定の出力要素」となる出力要素の少なくとも一つが互いに異なっている場合である。
【0036】
第2の例は、複数の組の間で、「特定の入力要素」となる入力要素はすべて同じであり、少なくとも一つの「特定の入力要素」の値が互いに異なっており、さらに、少なくとも一つの特定の出力要素の値(またはその範囲)は互いに異なっている場合である。
【0037】
第3の例は、検証用入力データは第1の例又は第2の例と同様であるが、すべての「特定の出力要素」それぞれの値(またはその範囲)は、複数の組のいずれにおいても同じ場合である。
【0038】
図8は、データ処理装置20の機能構成の一例を示す図である。データ処理装置20は、入力データ取得部230及び出力データ生成部240を備えている。
【0039】
入力データ取得部230は、入力データを取得する。例えば測定対象30が蓄電池である場合、入力データ取得部230は、この蓄電池の状態を検出するセンサ(例えば電流計、電圧計、及び温度計)から入力データを取得する。
【0040】
出力データ生成部240は、モデル生成装置10が生成したモデルを用いて入力データを処理することにより、出力データを生成する。出力データの例は、
図1を用いて説明した通りである。
【0041】
ここで、入力データ取得部230が、上記した検証用入力データを取得した場合、出力データ生成部240は、上記した検証用出力データを出力する。このため、入力データ取得部230が用いるモデルがデータ処理装置20とは異なる装置で利用されていた場合でも、モデルの作成者は、この装置に検証用入力データを入力することにより、この装置が利用しているモデルは自分が作成したモデルであるか否かを検証することができる。
【0042】
なお、出力データ生成部240は、当該出力データ生成部240が用いるモデルをモデル記憶部220から読み出す。本図に示す例において、モデル記憶部220はデータ処理装置20の一部となっている。ただしモデル記憶部220はデータ処理装置20の外部に位置していてもよい。
【0043】
本図に示す例において、データ処理装置20は、さらに記憶処理部210、表示処理部250、及びディスプレイ260を備えている。
【0044】
記憶処理部210は、モデル生成装置10からモデルを取得し、モデル記憶部220に記憶させる。記憶処理部210は、モデル生成装置10からモデルを更新するためのデータ(例えばモデルのパラメータ)を取得した場合、このデータを用いて、モデル記憶部220に記憶されているモデルを更新する。この更新処理は、繰り返し行われるのが好ましい。
【0045】
表示処理部250は、出力データ生成部240が生成した出力データをディスプレイ260に表示させる。ディスプレイ260は、機器の使用者が視認可能な位置に配置されている。
【0046】
図9は、モデル生成装置10のハードウェア構成例を示す図である。モデル生成装置10は、バス1010、プロセッサ1020、メモリ1030、ストレージデバイス1040、入出力インタフェース1050、及びネットワークインタフェース1060を有する。
【0047】
バス1010は、プロセッサ1020、メモリ1030、ストレージデバイス1040、入出力インタフェース1050、及びネットワークインタフェース1060が、相互にデータを送受信するためのデータ伝送路である。ただし、プロセッサ1020などを互いに接続する方法は、バス接続に限定されない。
【0048】
プロセッサ1020は、CPU(Central Processing Unit) やGPU(Graphics Processing Unit)などで実現されるプロセッサである。
【0049】
メモリ1030は、RAM(Random Access Memory)などで実現される主記憶装置である。
【0050】
ストレージデバイス1040は、HDD(Hard Disk Drive)、SSD(Solid State Drive)、メモリカード、又はROM(Read Only Memory)などで実現される補助記憶装置である。ストレージデバイス1040はモデル生成装置10の各機能(例えば訓練データ記憶部110、訓練データ取得部120、モデル生成部130、及びモデル送信部150)を実現するプログラムモジュールを記憶している。プロセッサ1020がこれら各プログラムモジュールをメモリ1030上に読み込んで実行することで、そのプログラムモジュールに対応する各機能が実現される。また、ストレージデバイス1040は訓練データ記憶部110及びモデル記憶部140としても機能する。
【0051】
入出力インタフェース1050は、モデル生成装置10と各種入出力機器とを接続するためのインタフェースである。
【0052】
ネットワークインタフェース1060は、モデル生成装置10をネットワークに接続するためのインタフェースである。このネットワークは、例えばLAN(Local Area Network)やWAN(Wide Area Network)である。ネットワークインタフェース1060がネットワークに接続する方法は、無線接続であってもよいし、有線接続であってもよい。モデル生成装置10は、ネットワークインタフェース1060を介してデータ処理装置20と通信してもよい。
【0053】
なお、データ処理装置20のハードウェア構成も
図9に示した例と同様である。そして、ストレージデバイスは、データ処理装置20の各機能(例えば記憶処理部210、入力データ取得部230、出力データ生成部240、及び表示処理部250)を実現するプログラムモジュールを記憶している。またストレージデバイスは、モデル記憶部220としても機能する。
【0054】
図10は、モデル生成装置10が行うモデルの生成処理の第1例を示すフローチャートである。
【0055】
まずモデル生成装置10の訓練データ取得部120は、訓練データ記憶部110から訓練データを読み出す(ステップS10)。この訓練データには、第1訓練データ及び第2訓練データが含まれる。次いでモデル生成部130は、第1訓練データを用いてモデルを訓練する(ステップS20)。次いでモデル生成部130は、第2訓練データを用いてモデルを訓練する(ステップS30)。なお、ステップS20及びステップS30に示す処理は、訓練されたモデルの精度が十分になるまで繰り返される。ここでの精度は、第1訓練データに対応する精度(すなわち通常の入力データに対して出力される出力データの精度)、及び、第2訓練データに対応する精度(すなわち検証用入力データが入力されたときに所望する範囲の検証用出力データが出力されること)も含まれる。
【0056】
その後、モデル生成部130はモデル記憶部140にモデルを記憶させる。
【0057】
図11は、モデル生成装置10が行うモデルの生成処理の第2例を示すフローチャートである。本図に示す例は、モデル生成部130が、第1訓練データ及び第2訓練データを同時に用いてモデルを訓練する(ステップS22)点を除いて、
図10に示した例と同様である。
【0058】
図12は、データ処理装置20が行う処理の第1例を示すフローチャートである。本図は、データ処理装置20が通常の処理を行う場合を示している。まず入力データ取得部230は、通常の入力データを取得する。例えば入力データ取得部230は、測定対象30から入力データを取得する(ステップS110)。次いで出力データ生成部240は、入力データ取得部230が取得した入力データを、モデル記憶部220が記憶しているモデルに入力することにより、出力データを生成する(ステップS120)。その後、出力データ生成部240は、表示処理部250に出力データを出力する(ステップS130)。表示処理部250は、ディスプレイ260に出力データを表示させる。
【0059】
図13は、データ処理装置20が行う処理の第2例を示すフローチャートである。本図は、データ処理装置20が検証用入力データを用いる場合を示している。まず入力データ取得部230は、検証用入力データを取得する。例えば入力データ取得部230は、モデルの検証を行う人の端末から検証用入力データを取得する(ステップS210)。次いで出力データ生成部240は、入力データ取得部230が取得した検証用入力データを、モデル記憶部220が記憶しているモデルに入力することにより、検証用出力データを生成する(ステップS220)。その後、出力データ生成部240は、表示処理部250(又は検証を行う人の端末)に検証用出力データを出力する(ステップS230)。表示処理部250は、ディスプレイ260(又は検証を行う人の端末)に検証用出力データを表示させる。
【0060】
なお、モデル記憶部220に記憶されているモデルが他の装置で用いられている場合、この装置に対しても
図13に示した処理が行われてもよい。このようにすると、この装置で用いられているモデルがモデル生成装置10で生成されたことを確認できる。
【0061】
図14は、
図13の変形例を示すフローチャートである。本図に示す例において、検証用入力データは複数準備されている。そして入力データ取得部230及び出力データ生成部240は、すべての検証用入力データに対する検証用出力データを生成するまで(ステップS240:Yes)、ステップS210~ステップS230に示した処理を繰り返す。その後、出力データ生成部240は、表示処理部250(又は検証を行う人の端末)に、すべての検証用出力データを出力する(ステップS130)。表示処理部250は、ディスプレイ260(又は検証を行う人の端末)にすべての検証用出力データを表示させる。
【0062】
以上、本実施形態によれば、データ処理装置20が用いるモデルは、検証用入力データを入力した場合、少なくとも一つの要素が予め定められた値(または範囲)となる検証用入力データを出力する。検証用入力データにおいて、特定の入力要素の値は、当該特定の入力要素として取り得る値の範囲外であり、かつ、予め決めておいた範囲内にある。すなわち通常の使用において、検証用入力データは、入力データとして使用されないデータとなっている。従って、モデルの作成者は、検証用入力データを用いることにより、そのモデルが自分が作成したモデルであるか否かを検証できる。
【0063】
以上、図面を参照して本発明の実施形態について述べたが、これらは本発明の例示であり、上記以外の様々な構成を採用することもできる。
【0064】
また、上述の説明で用いた複数のフローチャートでは、複数の工程(処理)が順番に記載されているが、各実施形態で実行される工程の実行順序は、その記載の順番に制限されない。各実施形態では、図示される工程の順番を内容的に支障のない範囲で変更することができる。また、上述の各実施形態は、内容が相反しない範囲で組み合わせることができる。
【符号の説明】
【0065】
10 モデル生成装置
20 データ処理装置
30 測定対象
110 訓練データ記憶部
120 訓練データ取得部
130 モデル生成部
140 モデル記憶部
150 モデル送信部
210 記憶処理部
220 モデル記憶部
230 入力データ取得部
240 出力データ生成部
250 表示処理部
260 ディスプレイ