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特開2022-78565印刷物セット、真贋判定方法、および判定システム
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022078565
(43)【公開日】2022-05-25
(54)【発明の名称】印刷物セット、真贋判定方法、および判定システム
(51)【国際特許分類】
   B42D 25/30 20140101AFI20220518BHJP
   H04N 1/407 20060101ALI20220518BHJP
【FI】
B42D25/30
H04N1/407
【審査請求】未請求
【請求項の数】4
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2020189314
(22)【出願日】2020-11-13
(71)【出願人】
【識別番号】591186888
【氏名又は名称】株式会社トッパンインフォメディア
(74)【代理人】
【識別番号】100106909
【弁理士】
【氏名又は名称】棚井 澄雄
(74)【代理人】
【識別番号】100149548
【弁理士】
【氏名又は名称】松沼 泰史
(74)【代理人】
【識別番号】100139686
【弁理士】
【氏名又は名称】鈴木 史朗
(72)【発明者】
【氏名】中村 智介
【テーマコード(参考)】
2C005
5C077
【Fターム(参考)】
2C005HA02
5C077LL14
5C077NN04
5C077PP55
(57)【要約】
【課題】機械により簡便に真贋判定を行うことができ、美観や意匠性も高めやすい印刷物を提供する。
【解決手段】肉眼による外観が同一である複数の印刷物を有する印刷物セットにおいて、外観は、微細な複数のドットで構成される。各々の印刷物1Aは、同一数の判定領域a1、a2を同一位置に有し、判定領域内におけるドットの態様であるドットパターンが互いに異なっている。
【選択図】図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
肉眼による外観が同一である複数の印刷物を有する印刷物セットであって、
前記外観は、微細な複数のドットで構成され、
各々の前記印刷物は、
同一数の判定領域を同一位置に有し、
前記判定領域内における前記ドットの態様であるドットパターンが互いに異なっている、
印刷物セット。
【請求項2】
前記ドットパターンの違いは、
前記ドットの数の違い、前記ドットの位置の違い、前記ドットの大きさの違い、前記ドットの色彩の違い、のいずれかを含む、
請求項1に記載の印刷物セット。
【請求項3】
対象印刷物が請求項1に記載の印刷物セットを構成する複数の印刷物の一つであるか否かを判定する真贋判定方法であって、
前記印刷物セットのすべての印刷物の前記ドットパターンの情報を含むドットパターンセットデータを取得し、
前記対象印刷物の前記判定領域に相当する位置のドットパターンを取得し、
前記対象印刷物に係るドットパターンと同一のドットパターンが、前記ドットパターンセットデータ内に存在する場合に、前記対象印刷物が前記印刷物セットを構成する複数の印刷物の一つであると判定する、
真贋判定方法。
【請求項4】
請求項3に記載の真贋判定方法を実行する判定システムであって、
前記ドットパターンセットデータを記憶した記憶部と、
前記対象印刷物を撮像した画像データを受信し、前記対象印刷物が前記印刷物セットを構成する複数の印刷物の一つであるか否かを判定する演算部と、
を有する、
判定システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、複数の印刷物で構成される印刷物セットに関する。この印刷物セットを用いた真贋判定方法および判定システムにも言及する。
【背景技術】
【0002】
製造業者にとって、自社が生産した正規品でない偽造品に対する対策は重要である。不正に流通する安価な偽造品は、正規品の市場を侵食し、正規品に対する信頼を損なうこともある。
【0003】
偽造品を排除するための仕組みとして、特許文献1に記載の技術では、二次元コード等の光学コードを印刷し、これをサーバーに登録しておく。二次元コードが印刷された印刷物が市場に流通する。印刷物の真贋判定をする際は、二次元コードを撮像し、サーバーに登録されたコードと照合する。
【0004】
特許文献2には、コードを用いずにオリジナル印刷物と複製物とを識別する技術が記載されている。この方法では、基準画像と披検画像のそれぞれについて、輝度成分と色成分を分離して、いくつかの処理を行うことにより、識別が行われる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2017-208032号公報
【特許文献2】特許第4514823号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
特許文献1に記載の技術は、偽造者が光学コードの存在を認識できるため、光学コード自体が偽造されやすい。複製しにくい光学コードが知られているものの、特殊な印刷である等によりコストが増大しやすい。
また、印刷面の一部をコードが占有するため、美観や意匠性の点でも改善の余地がある。
【0007】
特許文献2に記載の技術は、処理に長時間を要するため、識別対象が多数存在する場合等において、適用が困難である。
【0008】
上記事情を踏まえ、本発明は、機械により簡便に真贋判定を行うことができ、美観や意匠性も高めやすい印刷物セットを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明の第一の態様は、肉眼による外観が同一である複数の印刷物を有する印刷物セットである。
この印刷物セットにおいて、外観は、微細な複数のドットで構成される。
各々の印刷物は、同一数の判定領域を同一位置に有し、判定領域内におけるドットの態様であるドットパターンが互いに異なっている。
【0010】
本発明の第二の態様は、対象印刷物が第一の態様に係る印刷物セットを構成する複数の印刷物の一つであるか否かを判定する真贋判定方法である。
この方法では、印刷物セットのすべての印刷物のドットパターンの情報を含むドットパターンセットデータを取得し、対象印刷物の判定領域に相当する位置のドットパターンを取得し、対象印刷物に係るドットパターンと同一のドットパターンが、ドットパターンセットデータ内に存在する場合に、対象印刷物が印刷物セットを構成する複数の印刷物の一つであると判定する。
【0011】
本発明の第三の態様は、第二の態様に係る真贋判定方法を実行する判定システムである。
この判定システムは、ドットパターンセットデータを記憶した記憶部と、対象印刷物を撮像した画像データを受信し、対象印刷物が印刷物セットを構成する複数の印刷物の一つであるか否かを判定する演算部とを有する。
【発明の効果】
【0012】
本発明の印刷物は、機械により簡便に真贋判定を行うことができ、美観や意匠性も高めやすい。
【図面の簡単な説明】
【0013】
図1】(a)および(b)は、本発明の一実施形態に係る印刷物セットを構成する印刷物の写真である。
図2】同1(a)に示す印刷物の模式図である。
図3】判定領域の拡大模式図である。
図4】(a)から(d)は、それぞれ異なるドットパターンの例を示す模式図である。
図5】同印刷物セットに係る判定システムの全体構成を示す図である。
図6】同印刷物セットに係る真贋判定方法の流れの一例を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0014】
本発明の一実施形態について、図1から5を参照して説明する。
図1に示す(a)および(b)は、いずれも本実施形態に係る印刷物セットを構成する印刷物の写真である。(a)に示す印刷物1Aと、(b)に示す印刷物1Bは、いずれも植物の葉が複数描かれた外観を有する。印刷物1Aと印刷物1Bとでは印刷内容がわずかに異なっている(詳細は後述)が、人間が肉眼で見る限り、印刷物1Aと印刷物1Bの外観は同一にしか見えず、その差異を識別することは不可能である。
【0015】
図2は、印刷物1Aの模式図である。印刷物1Aは、その印刷面に2つの判定領域a1およびa2を有する。判定領域の数は、1以上の適宜の数とできる。同じ印刷物セットに属する印刷物1Bにおいて、判定領域の数および位置は、印刷物1Aと同一である。
【0016】
図3は、判定領域a1の模式拡大図である。印刷物1Aの印刷は、様々な色彩の微細なドットにより形成されているため、判定領域a1内にも多数のドットdが存在する。本実施形態の印刷物セットにおけるすべての印刷物は、判定領域a1、a2におけるドットdの態様(以下、「ドットパターン」と称する)がそれぞれわずかに異なっている。
【0017】
ドットパターンの異ならせ方に特に制限はなく、例えば以下のような態様を例示でき、図4に、その一部を示している。
・1以上のドットを消去する(印刷しない:図4(a)に示すドットd1)
・1以上のドットを付加する(図4(b)に示すドットd2)
・1以上のドットの色彩を変更する(図4(c)に示すドットd3)
・1以上のドットの大きさを変更する(図4(d)に示すドットd4)
・1以上のドットの位置を変更する
・2以上のドットの位置を入れ替える
・上記を2以上組み合わせる
判定領域が複数存在する場合は、複数の判定領域全体として異なっていればよい。例えば、印刷物1Aおよび1Bにおいては、1つの判定領域a1でドットパターンが異なっていれば、他の判定領域a2のドットパターンが同一であっても、複数の判定領域全体としては態様が異なっていることになるため、問題ない。
【0018】
上記のように異ならせたドットパターンの違いは、一定の解像度を有する撮像機構を備えた読み取り装置で識別することができる。一方、ドットが微細であるため、人間の肉眼ではその違いを識別することができず、人間の見た目には同一にしか見えない。
これにより、印刷物における判定領域内のドットパターンは、読み取り装置でのみ識別可能なコードとして機能する。その一方で、使用者は、印刷物セットに判定領域が存在することは認識できず、同一絵柄の印刷物が複数存在するとしか認識できない。
【0019】
判定領域におけるドットパターンが異なる複数の印刷物の組(以下、「印刷物セット」)の製造方法について説明する。
本実施形態に係る印刷物の製造には、ドットパターンの再現性が良好であり、かつ版を使用しない、デジタルオフセット印刷機が適している。
【0020】
まず、印刷データの元となるベースデータを準備し、コンピュータ等の機械に格納する。ベースデータは、印刷物の肉眼による外観を規定する印刷物全体のドットのパターンである。
次に、ベースデータに対して判定領域の数および位置を設定し、ベースデータを複製してその一部を変更することにより、判定領域のドットパターンが異なる複数の印刷データを、印刷物セットを構成する印刷物の数に基づいて機械に複数生成させる。異なるドットパターンの生成方法としては、以下を例示できる。
・オペレータが1つずつ設定し、入力する
・所定のアルゴリズムに基づき、機械に生成させる
・機械にランダム生成させる
【0021】
生成された複数の印刷データを印刷機に送信し、順次印刷すると、人間の肉眼による外観が同一であり、かつ判定領域のドットパターンが互いに異なる複数の印刷物からなる印刷物セットが完成する。
次に、印刷物セットのすべての印刷物を順次読み取り装置にかけ、判定領域のドットパターンを取得し、「ドットパターンセットデータ」として、メモリや記憶媒体等に格納する。
【0022】
本実施形態に係る印刷物は、トレーディングカード等として使用できるほか、粘着層を有する紙や樹脂等の基材を使用して作製することにより、各種物品に貼り付け可能なラベルとすることができる。ラベルとして用いる場合は、対象物品の各種情報や製品ロゴ等の各種文字情報を外観に有してもよいことは当然である。
上述したいずれの使用態様においても、印刷物セットと、対応するドットパターンセットデータとがあれば、印刷物の真贋判定が可能となる。以下、本実施形態に係る真贋判定方法及び判定システムについて説明する。
【0023】
図5は、印刷物セットを用いた真贋判定に係るシステムの全体構成を示す図である。
このシステムは、ネットワーク200に接続された判定サーバー201を有する。判定サーバー201は、ドットパターンセットデータを保存する記憶部202と、真贋判定の対象となる対象印刷物に係る画像データと記憶部202とを用いて真贋判定を行う演算部203とを有する。ドットパターンセットデータは、印刷物の製造者が所有する製造者端末210からネットワーク200を経由して判定サーバー201に送られ、記憶部202に記憶される。
演算部203を有する判定サーバー201としては、コンピュータ等の公知の演算装置を、記憶部202としては、各種の情報記憶媒体を、それぞれ使用できる。記憶部202は、判定サーバー201の内部にあってもよいし、外部にあってもよい。
【0024】
印刷物セットに係る印刷物自体、あるいは印刷物が貼り付けられた商品の購入者は、印刷物を撮影して真贋判定の対象となる印刷物(対象印刷物)の画像を取得する。
購入者は、取得した画像をパソコンやスマートフォン等の購入者端末211からネットワーク200を経由して判定サーバー201に送信する。
【0025】
印刷物の画像を受信した判定サーバー201において、演算部203は、受信した画像データから判定領域に対応する位置のドットパターンを読み取る。ここで、画像データの解像度が不足している等によりドットパターンを読み取れない等の場合は、購入者端末に「この画像では判定できません」等のメッセージを送信してもよい。
演算部203は、記憶部202に記憶されたドットパターンセットデータの中に、読み取ったドットパターンと同一のものがあるか検索する。同一のドットパターンがドットパターンセットデータに含まれていた場合、演算部203は、送信元の購入者端末211に、「対象印刷物(または印刷物が貼り付けられた物品)は正規品である」旨を示す情報を送信する。同一のドットパターンがドットパターンセットデータに含まれていない場合、判定サーバー201は、送信元の購入者端末211に、「対象印刷物(または印刷物が貼り付けられた物品)は正規品でない」旨を示す情報を送信する。
購入者は、判定サーバー201から受信した情報に基づき、購入した印刷物等が正規品であるか否かを簡便かつ迅速に知ることができる。
【0026】
本実施形態に係る真贋判定システムは、判定サーバー201を備えるものに限られない。上述の真贋判定方法を実行するプログラムを購入者端末211に実装させることにより、購入者端末を演算部203として機能させてもよい。この場合、記憶部が購入者端末211にダウンロードされることにより購入者端末211内に構築されて随時更新されてもよい。購入者端末が判定領域のドットパターンを取得可能な性能を有する場合は、印刷物全体の画像データに代えて、判定領域のドットパターンを示すデータのみを判定サーバー201に送信してもよい。
また、記憶部202が判定サーバーとネットワーク200を介して接続され、ネットワーク200経由で逐次照会されてもよい。
【0027】
本実施形態に係る印刷物を複写機等で複写すると、肉眼による外観はほぼ同一に再現できるが、現在の技術では微細なドットパターンまで完全に複製することは困難であり、つぶれてしまう。したがって、複写機で複写した偽造印刷物の判定領域に対応する領域からはドットパターンが読み取れないため、ドットパターンセットデータとの照合も行えず、確実に真正でないと判定できる。
【0028】
偽造者は、印刷物1A等を目視しただけでは、印刷物1A等に真贋判定に用いられる領域が存在することすら認識できない。したがって、自らが製造した偽造印刷物がどのようにして「真正でない」と判定されたのかを知ることはできず、対応することができない。
また、本実施形態の印刷物は、判定領域の数および位置を自由に設定できるため、真贋判定の方法を知りえたとしても、判定領域の数および位置に関する情報が無ければ、印刷物1A等を拡大して観察してもそれを正しく特定することは極めて困難である。
さらに、判定領域の数および位置が特定できたとしても、判定領域内のドットパターンを再現するためには、印刷物を製造した際と同等の印刷が必要となる上、そのための印刷データ作成も極めて困難である。
以上により、本実施形態に係る印刷物1A、1B等については、本実施形態に係る真贋判定方法をすり抜けられる品質の偽造品を簡便かつ大量に製造することは実質的に不可能であり、セキュリティレベルが非常に高い。
【0029】
また、二次元コード等のコードを用いる従来技術と異なり、判定領域は印刷物の外観と一体になって外観を損なわないため、印刷物の美観や意匠性を高く保持しつつ、著しく偽造耐性を高めることができる。
さらに、特許文献2に記載の技術と異なり、判定領域のドットパターンを取得して検索するだけであるため、複雑な積分処理等が必要なく、迅速に真贋判定を行える。
【0030】
さらに、判定領域におけるドットパターンは、機械により実質的に無限に自動生成できるため、多数の印刷物からなる印刷物セットを製造することも容易である。印刷物自体は、一般的なデジタルオフセット印刷で製造できるため、特殊な装置やインキ等は必要なく、簡便かつ低コストで作製できる。
【0031】
以上、本発明の一実施形態について説明したが、本発明の技術範囲は上記実施形態に限定されるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲において構成要素の組み合わせを変えたり、各構成要素に種々の変更を加えたり、削除したりすることが可能である。以下にいくつか変更を例示するが、これらはすべてではなく、それ以外の変更も可能である。これらの変更が2以上適宜組み合わされてもよい。
【0032】
・本発明に係る真贋判定方法及び判定システムにおいて、対象となる印刷物セットとドットパターンセットデータとの組が複数存在する等の場合は、照合の前に受信した画像に対応するドットパターンセットデータを選択する工程が設けられてもよい。
この場合は、受信した画像と各ドットパターンセットデータに含まれる一つのデータとを画像処理により比較し、最も近似度が高いデータが含まれるドットパターンセットデータを選択して、その後の処理を行えばよい。この工程には、公知の画像処理技術を利用できる。
この場合における真贋判定方法の流れを、フローチャートとして図6に示す。このフローチャートは、本発明に係る真贋判定方法を含んでいるが、「対象印刷物の外観に基づき、ドットパターンセットデータを選択する工程」は、本発明に係る真贋判定方法に必須の構成ではない。
【0033】
・本発明に係る真贋判定方法においては、判定回数に閾値を設定し、判定装置による判断基準に加えてもよい。例えば、記憶部に記憶されたあるドットパターンデータにおいて、検索により同一であるとして選択された回数が閾値以上となった場合は、受信した画像とドットパターンが一致していても偽造品と判定してもよい。このとき、演算部203は、「判定不能」と処理し、購入者端末に、「この情報は判定済みです。製造元までお問い合わせください。」等の表示をしてもよい。これにより、第三者が一つのドットパターンを複製した偽造印刷物を複数製造した等の場合に容易に検知でき、さらにセキュリティ性を高めることができる。
本発明においては、同一のドットパターンを有する印刷物は原則として1つしか存在しないため、閾値は1であることが好ましいが、購入者による操作ミスや、一部の購入者が複数回真贋判定を行うこと等を考慮して、真贋判定ラベルの数に若干の数を加えた閾値としてもよい。
【0034】
・本発明においては、概ね同じ外観を有しつつ、判定領域の数や位置が異なる複数組の印刷物セットを設けることができる。これにより、判定領域の数や位置を製造ロットや製造拠点ごとに変更して、製造ロットや製造拠点ごとにトレースや管理を行うことも可能になる。この場合、対象印刷物の全体的な外観の近似度により対応するドットパターンセットデータを選択することが困難となるため、印刷物の目立たない場所にマーカー等を設けて、これを手がかりに対応するドットパターンセットデータを選択できるように構成すればよい。
この場合も、ある製造ロット等に対応する印刷物セットにおいては、複数の印刷物の肉眼による外観は同一となる。
【0035】
・上述したマーカーを用いる方法では、マーカーとドットパターンセットデータとを紐づけることにより、全体的な外観の近似度を用いずに適切なドットパターンセットデータを選択することが可能となる。したがって、複数の印刷物セットにおいて、外観の異同にかかわらず、判定領域の位置や数は同一であっても異なっていてもいずれでもよい。
【符号の説明】
【0036】
1A、1B 印刷物
a1、a2 判定領域
d ドット
202 記憶部
203 演算部
図1
図2
図3
図4
図5
図6