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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022078572
(43)【公開日】2022-05-25
(54)【発明の名称】異物捕集装置
(51)【国際特許分類】
   B60K 11/06 20060101AFI20220518BHJP
   B60K 1/04 20190101ALI20220518BHJP
   B66F 9/075 20060101ALI20220518BHJP
【FI】
B60K11/06
B60K1/04 Z
B66F9/075 A
【審査請求】未請求
【請求項の数】9
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2020189325
(22)【出願日】2020-11-13
(71)【出願人】
【識別番号】000003218
【氏名又は名称】株式会社豊田自動織機
(74)【代理人】
【識別番号】100088155
【弁理士】
【氏名又は名称】長谷川 芳樹
(74)【代理人】
【識別番号】100113435
【弁理士】
【氏名又は名称】黒木 義樹
(74)【代理人】
【識別番号】100124062
【弁理士】
【氏名又は名称】三上 敬史
(74)【代理人】
【識別番号】100148013
【弁理士】
【氏名又は名称】中山 浩光
(72)【発明者】
【氏名】村木 俊博
【テーマコード(参考)】
3D038
3D235
3F333
【Fターム(参考)】
3D038AA04
3D038AB09
3D038AC21
3D038AC22
3D235AA16
3D235BB22
3D235BB36
3D235CC15
3D235FF43
3D235HH02
3D235HH07
3F333AA02
3F333CA09
3F333CA10
3F333CA30
(57)【要約】
【課題】産業車両への適用に際し、メンテナンス作業の頻度を低減可能な異物捕集装置を提供する。
【解決手段】異物捕集装置10Aは、産業車両1に適用される異物捕集装置である。異物捕集装置10Aは、捕集部11と、給気管12と、排気管13と、第1連通管14と、第2連通管15と、バイパスS2とを備える。捕集部11は、外気中の異物31を捕集するための液体Fが収容された収容部S1を有する。給気管12は、捕集部11に向けて外気を給気する。排気管13は、捕集部11からの外気を排気する。第1連通管14は、収容部S1における液体Fの液面Faに交差する方向に延在し、給気管12と捕集部11とを連通する。第2連通管15は、収容部S1における液体Fの液面Faに交差する方向に延在し、排気管13と捕集部11とを連通する。バイパスS2は、収容部S1を経由せずに第1連通管14と第2連通管15とを連通する。
【選択図】図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
産業車両に適用される異物捕集装置であって、
外気中の異物を捕集するための液体が収容された収容部を有する捕集部と、
前記捕集部に向けて前記外気を給気する給気管と、
前記捕集部からの前記外気を排気する排気管と、
前記収容部における前記液体の液面に交差する方向に延在し、前記給気管と前記捕集部とを連通する第1連通管と、
前記収容部における前記液体の液面に交差する方向に延在し、前記排気管と前記捕集部とを連通する第2連通管と、
前記収容部を経由せずに前記第1連通管と前記第2連通管とを連通するバイパスとを備える、異物捕集装置。
【請求項2】
前記給気管と前記第1連通管との接続位置は、前記排気管と前記第2連通管との接続位置よりも前記捕集部に近接している、請求項1記載の異物捕集装置。
【請求項3】
前記第2連通管における流路の断面積は、前記第1連通管における流路の断面積よりも大きく設定されている、請求項1又は2記載の異物捕集装置。
【請求項4】
前記給気管内又は前記排気管内には、前記給気管から前記排気管にわたる前記外気の流れ方向を可変とするファンが配置されている、請求項1~3のいずれか一項記載の異物捕集装置。
【請求項5】
前記収容部における前記液体の前記液面の位置を検出するセンサを有し、
前記ファンは、前記センサによって前記液面の位置が所定位置に到達したことが検出された場合に、前記外気を前記排気管から前記給気管に向かって逆流させる、請求項4記載の異物捕集装置。
【請求項6】
前記バイパスを開閉可能とするバルブを有し、
前記バルブは、前記センサによって前記液面の位置が所定位置に到達したことが検出されたときに、前記バイパスを閉鎖する、請求項5記載の異物捕集装置。
【請求項7】
前記捕集部には、前記液体の前記液面に浮かぶ浮壁部が設けられており、
前記バイパスは、前記捕集部を画成する壁部と前記浮壁部とによって構成されている、請求項4記載の異物捕集装置。
【請求項8】
前記浮壁部と前記壁部との接触の有無を検出するセンサを有し、
前記ファンは、前記センサによって前記浮壁部と前記壁部との接触が検出された場合に、前記外気を前記排気管から前記給気管に向かって逆流させる、請求項7記載の異物捕集装置。
【請求項9】
前記給気管と前記収容部との間の位置には、前記ファンによって前記外気が前記排気管から前記給気管に向かって逆流した場合に、前記収容部における前記液体の一部を排出する排水管が接続されている、請求項4~8のいずれか一項記載の異物捕集装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、異物捕集装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来の異物捕集装置として、例えば特許文献1に記載の異物捕集装置がある。この従来の異物捕集装置は、車室内の空気をバッテリへ送風するための吸気ダクトと、フィルタとを備えている。吸気ダクト内に取り込まれた空気は、フィルタによって異物が取り除かれた後、バッテリへ送風される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2018-79906号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上述の異物捕集装置がフォークリフトのような産業車両に搭載された場合、外気が吸気ダクト内に取り込まれることが想定される。外気を取り込む場合には、外気中の異物が、車室内の空気を取り込む場合に比べて多くなり、異物によってフィルタの目詰まりが生じ易くなることが考えられる。この場合、フィルタの交換といったメンテナンス作業の頻度が高まるおそれがある。
【0005】
本開示は、産業車両への適用に際し、メンテナンス作業の頻度を低減可能な異物捕集装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本開示の一側面に係る異物捕集装置は、産業車両に適用される異物捕集装置であって、外気中の異物を捕集するための液体が収容された収容部を有する捕集部と、捕集部に向けて外気を給気する給気管と、捕集部からの外気を排気する排気管と、捕集部における液体の液面に交差する方向に延在し、給気管と捕集部とを連通する第1連通管と、捕集部における液体の液面に交差する方向に延在し、排気管と捕集部とを連通する第2連通管と、捕集部を経由せずに第1連通管と第2連通管とを連通するバイパスとを備える。
【0007】
この異物捕集装置では、給気管から排気管に向けて外気を流通させるにあたり、収容部における液体の液面に交差するように第1連通管及び第2連通管が延在している。また、収容部を経由せずに第1連通管と第2連通管とを連通するバイパスが設けられている。給気管から給気された外気の気体成分は、第1連通管を通って収容部に向かう際に、バイパスを通って第2連通管に流れ、排気管から排出される。一方、外気に含まれる異物は、当該異物に作用する慣性力が気体成分よりも大きいため、バイパスに流入せずに収容部に流れ、収容部の液体によって捕集される。この異物捕集装置では、異物の捕集にあたってフィルタを使用せず、異物の慣性力を利用して液体で捕集する。異物捕集装置のメンテナンスは、例えば外気の逆流による収容部の液体の液面の調整だけで済むため、外気中の異物が車室内の空気を取り込む場合に比べて多くなるような場合でもメンテナンス作業の頻度を低減できる。
【0008】
給気管と第1連通管との接続位置は、排気管と第2連通管との接続位置よりも捕集部に近接していてもよい。この場合、収容部に収容された液体が第2連通管を介して排気管に流出することを抑制できる。したがって、例えば排気管の先に配置される産業車両側の構成要素に液体が付着することを抑制できる。
【0009】
第2連通管における流路の断面積は、第1連通管における流路の断面積よりも大きく設定されていてもよい。この場合、外気の逆流による液面の調整を行う際に、収容部からの液体の排出効率を高めることができる。したがって、メンテナンス作業の容易化が図られる。
【0010】
給気管内又は排気管内には、給気管から排気管にわたる外気の流れ方向を可変とするファンが配置されていてもよい。この場合、ファンによって給気管から排気管に向かう外気の流れを容易に形成できる。また、メンテナンスの際には、ファンによって排気管から給気管に向かって逆流させることで、液体の一部を給気管から排出することが可能となり、メンテナンス作業の一層の容易化が図られる。
【0011】
異物捕集装置は、捕集部における液体の液面の位置を検出するセンサを有し、ファンは、センサによって液面の位置が所定位置に到達したことが検出された場合に、外気を排気管から給気管に向かって逆流させてもよい。これにより、適切なタイミングで外気の逆流による液面の調整を実施できる。
【0012】
異物捕集装置は、バイパスを開閉可能とするバルブを有し、バルブは、センサによって液面の位置が所定位置に到達したことが検出されたときに、バイパスを閉鎖してもよい。これにより、メンテナンスの際に逆流する外気がバイパスを流れずに収容部に向かうため、液体の一部を給気管からより効率良く排出できる。
【0013】
捕集部には、液体の液面に浮かぶ浮壁部が設けられており、バイパスは、捕集部を画成する壁部と浮壁部とによって構成されていてもよい。この場合、バルブ等を配置せずに、液面の位置に応じてバイパスの開閉が可能となる。
【0014】
異物捕集装置は、浮壁部と壁部との接触の有無を検出するセンサを有し、ファンは、センサによって浮壁部と壁部との接触が検出された場合に、外気を排気管から給気管に向かって逆流させてもよい。これにより、適切なタイミングで外気の逆流による液面の調整を実施できる。
【0015】
給気管と収容部との間の位置には、ファンによって外気が排気管から給気管に向かって逆流した場合に、収容部における液体の一部を排出する排水管が接続されていてもよい。この場合、外気の逆流による液面の調整を行う際に、収容部からの液体の排出効率を一層高めることができる。また、給気管と排水管とを分けることで、メンテナンスの際に排出された液体が給気管に残留してしまうことを防止できる。
【発明の効果】
【0016】
本開示によれば、産業車両への適用に際し、メンテナンス作業の頻度を低減可能な異物捕集装置を提供できる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
図1図1は、第1実施形態に係る異物捕集装置が適用された産業車両の概略構成を示す図である。
図2図2は、図1に示される異物捕集装置の断面図である。
図3図3は、図1に示される異物捕集装置の断面図である。
図4図4は、図1に示される異物捕集装置の断面図である。
図5図5は、第2実施形態に係る異物捕集装置の断面図である。
図6図6は、第2実施形態に係る異物捕集装置の断面図である。
図7図7は、第1実施形態の変形例に係る異物捕集装置の断面図である。
図8図8は、第2実施形態の変形例に係る異物捕集装置の断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
以下、本開示の実施形態について図面を参照して詳細に説明する。なお、図面において、同一または同等の要素には同じ符号を付し、重複する説明を省略する。
【0019】
[第1実施形態]
図1は、第1実施形態に係る異物捕集装置が適用された産業車両の概略構成を示す図である。図1に示すように、産業車両1は、例えばカウンタバランス式の電動フォークリフトである。以下では、説明の便宜上、産業車両が水平面に載置されている状態を基準として水平方向、鉛直方向、上下方向を規定する。
【0020】
産業車両1は、車体2と、車体2の前部に配置された1対の駆動輪3と、車体2の後部に配置された1対の操舵輪4と、車体2の前側に配置された荷役装置5とを備えている。車体2の後部には、車体2の前後方向のバランスを取るためのカウンタウェイト6が搭載されている。荷役装置5は、車体2の前端部に立設されたマスト7と、このマスト7にリフトブラケット(図示せず)を介して取り付けられた1対のフォーク8とを有している。
【0021】
産業車両1は、車体2の内部に配置された電池パック9と、異物捕集装置10Aとを備えている。電池パック9は、直方体形状のケースと、このケース内に収容されたリチウムイオン二次電池等を有している。リチウムイオン二次電池は、産業車両1に搭載された電子機器に電力を供給する蓄電装置である。リチウムイオン二次電池は、例えばセルをモジュール化した構造を有している。異物捕集装置10Aは、車体2の外壁部と電池パック9との間に配置されている。異物捕集装置10Aは、冷却通路61を介して電池パック9と接続されており、リチウムイオン二次電池を冷却するための冷却装置の一部を構成している。異物捕集装置10Aは、リチウムイオン二次電池へ送風される外気中の異物を捕集する。
【0022】
図2は、異物捕集装置10Aの断面図である。図2に示すように、異物捕集装置10Aは、捕集部11と、給気管12と、排気管13と、第1連通管14と、第2連通管15と、隔壁部16と、を備えている。捕集部11は、例えば直方体の箱状を呈している。捕集部11は、例えば鉛直方向において互いに対向する底壁部11a及び上壁部11bを有している。捕集部11は、例えば水平方向において互いに対向する第1側壁部11c及び第2側壁部11dを有している。捕集部11は、各壁部によって画成された内部空間を有している。
【0023】
給気管12は、鉛直方向における捕集部11の上方において、水平方向における捕集部11の一方側に配置されている。給気管12は、例えば水平方向に延在している。給気管12の一端は、車体2の外壁部に形成された開口に連通されている。給気管12には、外気が流入する。給気管12は、捕集部11に向けて外気を給気する。排気管13は、鉛直方向における捕集部11の上方において、水平方向における捕集部11の他方側に配置されている。排気管13は、例えば水平方向に延在している。排気管13は、捕集部11からの外気を排気する。給気管12及び排気管13の断面形状は、特に制限はないが、例えば断面円形状となっている。
【0024】
第1連通管14は、給気管12と捕集部11との間に配置されている。第1連通管14は、給気管12の他端及び捕集部11の上壁部11bに接続されている。第1連通管14は、給気管12と捕集部11とを連通している。第1連通管14は、鉛直方向に延在している。第2連通管15は、排気管13と捕集部11との間に配置されている。第2連通管15は、排気管13の一端及び捕集部11の上壁部11bに接続されている。第2連通管15は、排気管13と捕集部11とを連通している。第2連通管15は、鉛直方向に延在している。第2連通管15における流路の断面積は、第1連通管14における流路の断面積よりも大きく設定されている。第1連通管14及び第2連通管15の断面形状は、特に制限はないが、例えば断面円形状となっている。
【0025】
給気管12と第1連通管14との接続位置は、排気管13と第2連通管15との接続位置よりも捕集部11に近接している。すなわち、給気管12は、鉛直方向において排気管13よりも捕集部11に近接して配置されている。言い換えれば、給気管12は、鉛直方向において排気管13よりも下側(下方)に配置されており、給気管12と第1連通管14との接続位置は、鉛直方向において排気管13と第2連通管15との接続位置よりも下側(下方)に配置されている。第1連通管14は、第2連通管15よりも短くなっている。第1連通管14における捕集部11とは反対側の端部は、第2連通管15における捕集部11とは反対側の端部よりも捕集部11に近接している。
【0026】
隔壁部16は、捕集部11の内部空間内に設けられている。隔壁部16は、例えば直方体状を呈している。隔壁部16は、捕集部11の底壁部11a、上壁部11b、第1側壁部11c及び第2側壁部11dのそれぞれから離間し、鉛直方向において上壁部11b寄りに配置されている。具体的には、隔壁部16は、例えば鉛直方向において互いに対向する底面16a及び上面16bを有している。隔壁部16は、例えば水平方向において互いに対向する第1側面16c及び第2側面16dを有している。底面16aは、底壁部11aから離間している。上面16bは、上壁部11bから離間している。第1側面16cは、第1側壁部11cから離間している。第2側面16dは、第2側壁部11dから離間している。隔壁部16は、図2の紙面に交差する方向における捕集部11の一対の壁部のそれぞれに接続されている。
【0027】
底面16aと底壁部11aとの間には、収容部S1が形成されている。収容部S1には、液体Fが収容されている。収容部S1における液体Fの液面Faは、鉛直方向に交差している。液体Fは、捕集部11に流入した外気中の異物31を捕集する。液体Fは、例えば水である。異物31は、例えば外気に含まれる雨水又は粉塵である。上面16bと上壁部11bとの間には、バイパスS2が形成されている。バイパスS2は、捕集部11の画成する上壁部11bと隔壁部16とによって構成されている。バイパスS2は、収容部S1を経由せずに第1連通管14と第2連通管15とを連通している。
【0028】
異物捕集装置10Aは、センサ21と、バルブ22と、ファン23とを備えている。センサ21は、捕集部11の内部空間内に設けられている。センサ21は、例えば隔壁部16の第2側面16dと捕集部11の第2側壁部11dとの間に配置されている。センサ21は、例えば隔壁部16の底面16aとバイパスS2との間において、バイパスS2に近接して配置されている。センサ21は、収容部S1における液体Fの液面Faの位置を検出する。センサ21は、例えば公知の液面検出センサである。
【0029】
バルブ22は、バイパスS2に設けられている。バルブ22は、例えば給気管12に近接して配置されている。バルブ22は、バイパスS2を開閉可能に構成されている。バルブ22は、センサ21によって液面Faの位置が所定位置に到達したことが検出されていないときに、バイパスS2を開放する。バルブ22は、センサ21によって液面Faの位置が所定位置に到達したことが検出されたときに、バイパスS2を閉鎖する。所定位置は、例えば隔壁部16の底面16aとバイパスS2との間においてバイパスS2に近接している。所定位置は、例えば隔壁部16の上面16bと略一致している。バルブ22は、例えば公知の電磁バルブである。
【0030】
ファン23は、排気管13内に配置されている。ファン23は、回転方向が可変である。すなわち、ファン23は、給気管12から排気管13にわたる外気の流れ方向を可変とし得る。ファン23は、センサ21によって液面Faの位置が所定位置に到達したことが検出されていない場合に、順回転することで、外気を給気管12から排気管13へ向かって流通させる。ファン23は、センサ21によって液面Faの位置が所定位置に到達したことが検出された場合に、逆回転することで、外気を排気管13から給気管12に向かって逆流させる。
【0031】
続いて、異物捕集装置10Aの動作について説明する。
【0032】
まず、センサ21によって液面Faの位置が所定位置に到達したか否かを検出する。液面Faの位置が所定位置に到達していない場合には、バルブ22を開にすると共にファン23を順回転させる。ファン23が順回転すると、外気が給気管12に流入し、第1連通管14、捕集部11及び第2連通管15を流れた後、排気管13から排出される。排出された外気は、リチウムイオン二次電池の冷却用媒体として、産業車両1に搭載された電池パック9に供給される。
【0033】
給気管12から給気された外気の気体成分(ここでは、空気)は、第1連通管14を通って収容部S1に向かう際に、バイパスS2を通って第2連通管15に流れ、排気管13から排出される。収容部S1における液体Fの液面Faの位置が隔壁部16の底面16aに到達していない場合には、気体成分は、バイパスS2に加えて、液面Faと底面16aとの間の通路を通って第2連通管15に流れる。一方、外気に含まれる異物31は、異物31に作用する慣性力が気体成分よりも大きいため、バイパスS2に流入せずに収容部S1に流れ、収容部S1の液体Fによって捕集される。
【0034】
図3に示すように、液体Fによって捕集される異物31が増えると、液面Faの位置が上昇する。液面Faの位置が隔壁部16の底面16aを超えた場合には、外気の気体成分は、バイパスS2のみを通って第2連通管15に流れる。図4に示すように、液面Faの位置がさらに上昇して所定位置に到達すると、バルブ22を閉にすると共にファン23を逆回転させる。ファン23が逆回転すると、排気管13と給気管12との間に差圧が生じ、この差圧によって、排気管13と給気管12との間に存在する外気及び液体Fが逆流する。ここで、バイパスS2がバルブ22によって閉鎖されているため、外気及び液体Fは、第2連通管15、収容部S1及び第1連通管14を流れた後、給気管12から排出される。これにより、液面Fa位置が例えば隔壁部16の底面16aよりも下方まで下降する。
【0035】
ファン23が逆回転してから所定時間経過すると、ファン23を停止させた後、再び順回転させる。所定時間は、例えば異物捕集装置10Aの各部分の大きさ、ファン23の出力及び経験等に基づいて定められる。異物捕集装置10Aは、以上のようなことを繰り返すことによって、異物31が取り除かれた外気を排気管13から排出させる一方、収容部S1における液体Fを給気管12から排出させる。
【0036】
以上説明したように、異物捕集装置10Aでは、給気管12から排気管13に向けて外気を流通させるにあたり、収容部S1における液体Fの液面Faに交差するように第1連通管14及び第2連通管15が延在している。また、収容部S1を経由せずに第1連通管14と第2連通管15とを連通するバイパスS2が設けられている。給気管12から給気された外気の気体成分は、第1連通管14を通って収容部S1に向かう際に、バイパスS2を通って第2連通管15に流れ、排気管13から排出される。一方、外気に含まれる異物31は、当該異物31に作用する慣性力が気体成分よりも大きいため、バイパスS2に流入せずに収容部S1に流れ、収容部S1の液体Fによって捕集される。異物捕集装置10Aでは、異物31の捕集にあたってフィルタを使用せず、異物31の慣性力を利用して液体Fで捕集する。異物捕集装置10Aのメンテナンスは、例えば外気の逆流による収容部S1の液体Fの液面Faの調整だけで済むため、外気中の異物31が車室内の空気を取り込む場合に比べて多くなるような場合でもメンテナンス作業の頻度(交換工数)を低減できる。
【0037】
産業車両に搭載されたリチウムイオン二次電池を例えば急速充電する等のときには、電池及び制御基板の温度が上昇する場合がある。電池の冷却性能を高めるためには、外気を取り込んで、直接電池や基板に当てることが効果的である。しかし、外気には粉塵や雨水等の異物が含まれることがあり、当該異物が電池の電極間に堆積すると、電池が短絡するおそれがある。したがって、電池や基板に外気を供給するまでに粉塵や雨水を捕集する必要があった。ここで、異物捕集装置10Aによれば、上述したように、異物31が捕集された外気を電池へ供給できる。
【0038】
また、異物捕集装置10Aには、例えばフィルタに比べて、以下のような優れた点がある。例えば、フィルタの交換に係るコストを削減できる。また、フィルタを使用する場合に比べて、外気の圧力損失を低減でき、ファン23の必要な出力を低減できる。これにより、ファン23による騒音を小さくでき、ファン23のサイズを小さくできる。また、フィルタを使用する場合に比べて、例えばフィルタの目詰まりによって排気管13から排出される外気の風量が小さくなることを抑制でき、冷却性能の低下を抑制できる。
【0039】
給気管12と第1連通管14との接続位置は、排気管13と第2連通管15との接続位置よりも捕集部11に近接している。この場合、例えば産業車両1が傾いたとしても、収容部S1に収容された液体Fが第2連通管15を介して排気管13に流出することを抑制できる。したがって、例えば排気管13の先に配置される産業車両1側の構成要素(ここでは、リチウムイオン二次電池)に液体Fが付着することを抑制できる。
【0040】
第2連通管15における流路の断面積は、第1連通管14における流路の断面積よりも大きく設定されている。この場合、外気の逆流による液面Faの調整を行う際に、収容部S1からの液体Fの排出効率を高めることができる。したがって、メンテナンス作業の容易化が図られる。
【0041】
排気管13内には、給気管12から排気管13にわたる外気の流れ方向を可変とするファン23が配置されている。この場合、ファン23によって給気管12から排気管13に向かう外気の流れを容易に形成できる。また、メンテナンスの際には、ファン23によって排気管13から給気管12に向かって逆流させることで、液体Fの一部を給気管12から排出することが可能となり、メンテナンス作業の一層の容易化が図られる。
【0042】
異物捕集装置10Aは、捕集部11における液体Fの液面Faの位置を検出するセンサ21を有している。ファン23は、センサ21によって液面Faの位置が所定位置に到達したことが検出された場合に、外気を排気管13から給気管12に向かって逆流させる。これにより、適切なタイミングで外気の逆流による液面Faの調整を実施できる。
【0043】
異物捕集装置10Aは、バイパスS2を開閉可能とするバルブ22を有している。バルブ22は、センサ21によって液面Faの位置が所定位置に到達したことが検出されたときに、バイパスS2を閉鎖する。これにより、メンテナンスの際に逆流する外気がバイパスS2を流れずに収容部S1に向かうため、液体Fの一部を給気管12からより効率良く排出できる。
【0044】
[第2実施形態]
図5は、第2実施形態に係る異物捕集装置の断面図である。図5に示すように、第2実施形態に係る異物捕集装置10Bは、隔壁部16に代えて浮壁部17及びセンサ24を備えている点、及びバルブ22を備えていない点で第1実施形態に係る異物捕集装置10Aと異なっている。
【0045】
浮壁部17は、捕集部11の内部空間内に設けられている。浮壁部17は、隔壁部16と同様な直方体状を呈している。浮壁部17は、隔壁部16と同様に、捕集部11の底壁部11a、上壁部11b、第1側壁部11c及び第2側壁部11dのそれぞれから離間している。具体的には、浮壁部17は、例えば鉛直方向において互いに対向する底面17a及び上面17bを有している。浮壁部17は、例えば水平方向において互いに対向する第1側面17c及び第2側面17dを有している。底面17aは、底壁部11aから離間している。上面17bは、上壁部11bから離間している。第1側面17cは、第1側壁部11cから離間している。第2側面17dは、第2側壁部11dから離間している。
【0046】
底面16aと底壁部11aとの間には、収容部S1が形成されている。上面17bと上壁部11bとの間には、バイパスS2が形成されている。つまり、バイパスS2は、捕集部11の画成する上壁部11bと浮壁部17とによって構成されている。
【0047】
浮壁部17は、図5の紙面に交差する方向における捕集部11の一対の壁部のそれぞれに接続されていない。浮壁部17は、当該一対の壁部に接触している。浮壁部17は、当該一対の壁部に対して摺動可能である。浮壁部17は、液体Fの液面Faに浮かんでいる。つまり、浮壁部17の密度は、液体Fの密度よりも小さくなっている。浮壁部17は、液面Faの位置の変化に従って移動可能である。液面Faの上昇に従って浮壁部17が捕集部11の上壁部11bに接触すると、バイパスS2が閉鎖される。
【0048】
異物捕集装置10Bは、センサ24を備えている。センサ24は、浮壁部17と捕集部11の上壁部11bとの接触の有無を検出する。センサ24は、浮壁部17と上壁部11bとの間に設けられている。センサ24は、例えば浮壁部17の上面17bに設けられている。センサ24は、例えば公知の接触センサである。
【0049】
ファン23は、センサ24によって浮壁部17と上壁部11bとの接触が検出さていない場合に、順回転することで、外気を給気管12から排気管13へ向かって流通させる。ファン23は、センサ24によって浮壁部17と上壁部11bとの接触が検出された場合に、逆回転することで、外気を排気管13から給気管12に向かって逆流させる。なお、センサ24によって浮壁部17と上壁部11bとの接触を検出すると共に、センサ21によって液体Fの液面Faの位置を検出してもよい。
【0050】
続いて、異物捕集装置10Bの動作について説明する。
【0051】
まず、センサ24によって浮壁部17と上壁部11bとが接触しているか否かを検出する。浮壁部17と上壁部11bとが接触していない場合には、つまり、バイパスS2が閉鎖されていない場合には、ファン23を順回転させる。給気管12から給気された外気の気体成分は、第1連通管14を通って収容部S1に向かう際に、バイパスS2を通って第2連通管15に流れ、排気管13から排出される。一方、外気に含まれる異物31は、バイパスS2に流入せずに収容部S1に流れ、収容部S1の液体Fによって捕集される。
【0052】
図6に示すように、液面Faの位置の上昇に従って浮壁部17が上壁部11bに接触した場合には、ファン23を逆回転させる。ファン23が逆回転すると、排気管13と給気管12との間に存在する外気及び液体Fが逆流する。ここで、バイパスS2が浮壁部17と上壁部11bとの接触により閉鎖されているため、外気及び液体Fは、第2連通管15、収容部S1及び第1連通管14を流れた後、給気管12から排出される。これにより、液面Fa位置が例えば浮壁部17の底面17aよりも下方まで下降する。ファン23が逆回転している間に、浮壁部17の底面17aには、上壁部11bに向かった圧力が付与されるため、バイパスS2は閉鎖した状態が維持される。
【0053】
ファン23が逆回転してから所定時間経過すると、ファン23を停止させた後、再び順回転させる。ファン23が停止すると、上壁部11bに向かった圧力が浮壁部17の底面17aに付与されなくなるため、浮壁部17が下降して液体Fの液面Fa上に停まる。異物捕集装置10Bは、以上のようなことを繰り返すことによって、異物31が取り除かれた外気を排気管13から排出させる一方、収容部S1における液体Fを給気管12から排出させる。
【0054】
以上説明したように、異物捕集装置10Bでは、第1実施形態の異物捕集装置10Aと同様に、異物31の捕集にあたってフィルタを使用せず、異物31の慣性力を利用して液体Fで捕集するため、外気中の異物31が車室内の空気を取り込む場合に比べて多くなるような場合でもメンテナンス作業の頻度(交換工数)を低減できる。
【0055】
捕集部11には、液体Fの液面Faに浮かぶ浮壁部17が設けられている。バイパスS2は、捕集部11を画成する上壁部11bと浮壁部17とによって構成されている。この場合、バルブ22等を配置せずに、液面Faの位置に応じてバイパスS2の開閉が可能となる。
【0056】
異物捕集装置10Bは、浮壁部17と上壁部11bとの接触の有無を検出するセンサ24を有している。ファン23は、センサ24によって浮壁部17と上壁部11bとの接触が検出された場合に、外気を排気管13から給気管12に向かって逆流させる。これにより、適切なタイミングで外気の逆流による液面Faの調整を実施できる。
【0057】
[変形例]
本開示は、上記実施形態に限られるものではない。図7は、第1実施形態の変形例に係る異物捕集装置の断面図である。図7に示すように、異物捕集装置10Cは、排水管18を更に備えている。
【0058】
排水管18は、例えば鉛直方向において給気管12と収容部S1との間に位置している。排水管18の鉛直方向の位置は、例えばバイパスS2と収容部S1との間の位置となっている。排水管18は、ファン23によって外気が排気管13から給気管12に向かって逆流した場合に、収容部S1における液体Fの一部を排出する。このような構成によれば、外気の逆流による液面Faの調整を行う際に、収容部S1からの液体Fの排出効率を一層高めることができる。また、給気管12と排水管18とを分けることで、収容部S1における液体Fの一部を給気管12に到達させずに排出することが可能となり、メンテナンスの際に排出された液体Fが給気管12に残留してしまうことを防止できる。
【0059】
排水管18には、排水管18を開閉可能とするバルブが設けられていてもよい。当該バルブは、ファン23によって外気が排気管13から給気管12に向かって逆流した場合には、排水管18を開放する一方、ファン23によって外気が給気管12から排気管13に向かって流れた場合には、排水管18を閉鎖する。この場合、ファン23によって外気が給気管12から排気管13に向かって流れた場合に、外気が排水管18に流れるのを防止でき、給気管12から排気管13に向かう外気の流れが阻害されるのを防止できる。
【0060】
図8は、第2実施形態の変形例に係る異物捕集装置の断面図である。図8に示すように、異物捕集装置10Dは、排水管18を更に備えている。排水管18は、異物捕集装置10Cの排水管18と同様な構成を有している。このような構成によれば、異物捕集装置10Cと同様に、収容部S1からの液体Fの排出効率を一層高めることができ、液体Fが給気管12に残留してしまうことを防止できる。
【0061】
各実施形態において、ファン23が排気管13内に配置されていたが、ファン23は、外気の流路上に配置されていればよい。ファン23は、例えば給気管12内に配置されていてもよい。
【0062】
各実施形態において、ファン23が逆回転してから所定時間経過すると、ファン23を停止させた後、再び順回転させる例を示した。しかし、センサ21よりも底壁部11a寄りに更に液面検出センサが設けられ、液面Faが当該液面検出センサの位置まで下降したときに、ファン23を停止させた後、再び順回転させてもよい。
【符号の説明】
【0063】
1…産業車両、10A,10B,10C,10D…異物捕集装置、11…捕集部、11b…上壁部、12…給気管、13…排気管、14…第1連通管、15…第2連通管、17…浮壁部、18…排水管、21,24…センサ、22…バルブ、23…ファン、31…異物、F…液体、Fa…液面、S1…収容部、S2…バイパス。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8