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特開2022-78580開閉体ユニット及び開閉体ユニットセット
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022078580
(43)【公開日】2022-05-25
(54)【発明の名称】開閉体ユニット及び開閉体ユニットセット
(51)【国際特許分類】
   E06B 3/50 20060101AFI20220518BHJP
   E06B 3/36 20060101ALI20220518BHJP
【FI】
E06B3/50
E06B3/36
【審査請求】未請求
【請求項の数】21
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2020189344
(22)【出願日】2020-11-13
(71)【出願人】
【識別番号】000239714
【氏名又は名称】文化シヤッター株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100088605
【弁理士】
【氏名又は名称】加藤 公延
(74)【代理人】
【識別番号】100101890
【弁理士】
【氏名又は名称】押野 宏
(74)【代理人】
【識別番号】100098268
【弁理士】
【氏名又は名称】永田 豊
(74)【代理人】
【識別番号】100130384
【弁理士】
【氏名又は名称】大島 孝文
(74)【代理人】
【識別番号】100166420
【弁理士】
【氏名又は名称】福川 晋矢
(74)【代理人】
【識別番号】100150865
【弁理士】
【氏名又は名称】太田 司
(72)【発明者】
【氏名】脇田 嵩朗
(72)【発明者】
【氏名】藤井 一毅
(72)【発明者】
【氏名】小川 孝治
(72)【発明者】
【氏名】山上 重雄
(72)【発明者】
【氏名】岡田 海渡
(72)【発明者】
【氏名】森田 香沙美
【テーマコード(参考)】
2E014
【Fターム(参考)】
2E014AA02
2E014DB02
2E014GB01
2E014GB02
(57)【要約】      (修正有)
【課題】開き戸や引き戸等の開閉体が設けられていない開口部に対して、ユーザーが自分で開閉体を設けられるような、シンプルな設置構造の開閉体ユニットを提供する。
【解決手段】壁又は仕切りに形成された開口部2を開閉する開閉体11を有する開閉体ユニット1であって、突っ張り機構14によって生じる圧力を利用して開口部2の上端部と下端部の間に固定される第1の部材12によって、開閉体11が支持されていることを特徴とする開閉体ユニット1。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
壁又は仕切りに形成された開口部を開閉する開閉体を有する開閉体ユニットであって、
突っ張り機構によって生じる圧力を利用して前記開口部の上端部と下端部の間に固定される第1の部材によって、前記開閉体が支持されていることを特徴とする開閉体ユニット。
【請求項2】
前記開閉体が、前記第1の部材に対して回動可能に取り付けられる開き戸部材と、前記開き戸部材に対してスライド可能に取り付けられる引き戸部材と、を備えることを特徴とする請求項1に記載の開閉体ユニット。
【請求項3】
突っ張り機構によって生じる圧力を利用して、前記第1の部材が前記壁又は前記仕切りの面に沿った方向へずれることを防止する第2の部材を備えることを特徴とする請求項1又は2に記載の開閉体ユニット。
【請求項4】
前記第1の部材が、前記開閉体によって構成されることを特徴とする請求項1に記載の開閉体ユニット。
【請求項5】
前記開閉体が、前記突っ張り機構を軸にして回動可能に取り付けられることで開き戸部材となる前記第1の部材と、前記第1の部材に対してスライド可能に取り付けられる引き戸部材と、を備えることを特徴とする請求項4に記載の開閉体ユニット。
【請求項6】
前記開き戸部材と前記引き戸部材の何れか一方が他方に入り込む入れ子構造を有することを特徴とする請求項2又は5に記載の開閉体ユニット。
【請求項7】
前記開き戸部材と前記引き戸部材の何れか一方が他方に入り込んだ状態を係止する第1の係止部を備えることを特徴とする請求項6に記載の開閉体ユニット。
【請求項8】
前記開き戸部材と前記引き戸部材の何れか一方が他方から突出している全閉状態を係止する第2の係止部を備えることを特徴とする請求項6又は7に記載の開閉体ユニット。
【請求項9】
前記入れ子構造における、前記開き戸部材と前記引き戸部材の何れか一方を収納する他方側の内部空間に空気が吸入/排出される際に発生する音を低減するための消音穴を備えることを特徴とする請求項6から8の何れかに記載の開閉体ユニット。
【請求項10】
前記開き戸部材と前記引き戸部材が、異なる色又は模様を付されていることを特徴とする請求項2又は5に記載の開閉体ユニット。
【請求項11】
前記開閉体の戸先側において、突っ張り機構によって生じる圧力を利用して前記開口部の上端部と下端部の間に固定される第3の部材を備え、
前記第3の部材にストライクが設けられていることを特徴とする請求項1から10の何れかに記載の開閉体ユニット。
【請求項12】
前記第1の部材と前記第3の部材間に、突っ張り機構によって生じる圧力を利用して固定される第4の部材を備えることを特徴とする請求項11に記載の開閉体ユニット。
【請求項13】
前記第1の部材が、前記壁又は前記仕切りの面に対して垂直な方向へずれることを防止するためのずれ防止部材であって、前記壁又は前記仕切りの厚さ方向の両側から前記壁又は前記仕切りを挟み込み、直接又は他の部材を介して前記第1の部材を固定するずれ防止部材を備えることを特徴とする請求項1から12の何れかに記載の開閉体ユニット。
【請求項14】
前記開閉体の下端に回転体が設けられていることを特徴とする請求項1から13の何れかに記載の開閉体ユニット。
【請求項15】
前記第1の部材の突っ張り機構の長さ調節機構が上端部側にあることを特徴とする請求項1から14の何れかに記載の開閉体ユニット。
【請求項16】
前記開き戸部材側に戸当たり部材が設けられていることを特徴とする請求項2又は5に記載の開閉体ユニット。
【請求項17】
前記突っ張り機構によって生じている圧力を除去する解除機構を備えることを特徴とする請求項1から16の何れかに記載の開閉体ユニット。
【請求項18】
前記解除機構が、前記突っ張り機構における伸縮部の支持を解除させるものであることを特徴とする請求項17に記載の開閉体ユニット。
【請求項19】
請求項1に記載の開閉体ユニットと、
前記開閉体を前記第1の部材に対して取り付けるためのヒンジであって、軸部を備える羽部と、前記軸部を受け入れる軸筒を有する羽部と、を備えるヒンジ部材と、
前記軸部と前記軸筒が同軸上となる位置における前記第1の部材と前記開閉体の間隔と略同一の厚さを有する、位置決め治具と、
を備えることを特徴とする開閉体ユニットセット。
【請求項20】
前記位置決め治具が、前記第1の部材若しくは前記開閉体を梱包する際の梱包材として機能することを特徴とする請求項19に記載の開閉体ユニットセット。
【請求項21】
前記位置決め治具がコ字状の部材であり、コ字の内部において、前記第1の部材若しくは前記開閉体を挟み込んで梱包する梱包部材であることを特徴とする請求項20に記載の開閉体ユニットセット。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、壁又は仕切りに形成された開口部を開閉する開閉体ユニット及び開閉体ユニットセットに関する。
【背景技術】
【0002】
部屋等の“所定の空間”を隔てるために、壁や仕切り等を設ける一方で、“所定の空間”へのアクセスを可能とするために、壁や仕切り等に開口部が形成される。また、このような開口部には、開き戸や引き戸等の、開口部を開閉する開閉体が設けられることも行われている。
一方で、一般的な開き戸や引き戸等を設けるには、十分なスペースが確保し難い箇所(開き戸の開閉スペースや、引き戸の戸袋が、他の構造物に干渉してしまう等)である等の理由により、開閉体が設けられていない場合もある。具体的な例を一つ挙げると、いわゆる狭小住宅や比較的狭い賃貸住宅等において、間取りの都合上トイレの扉との干渉が生じてしまい、脱衣場への入り口となる開口部に扉を設け難いような場合である。
特許文献1には、“開き戸機構付き引き戸”が開示されており、当該技術によれば、狭い空間においても比較的大きな開口を得ることができるため、上記のような設置スペースが狭いような場合にも用いることができ得る。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2005-48539号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
前述のように、特許文献1の“開き戸機構付き引き戸”は、設置スペースが狭い場合にも用い得るものであるが、ユーザーが自分で簡単に設置できるというものではない。
また、“設置スペースが狭い場合”に限らず、開き戸や引き戸等の開閉体が設けられていない開口部に対して、ユーザーが自分で開閉体を設けたいという一定のニーズが存在している。
【0005】
本発明は、上記の点に鑑み、開き戸や引き戸等の開閉体が設けられていない開口部に対して、ユーザーが自分で開閉体を設けられるような、シンプルな設置構造の開閉体ユニットを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
(構成1)
壁又は仕切りに形成された開口部を開閉する開閉体を有する開閉体ユニットであって、突っ張り機構によって生じる圧力を利用して前記開口部の上端部と下端部の間に固定される第1の部材によって、前記開閉体が支持されていることを特徴とする開閉体ユニット。
【0007】
(構成2)
前記開閉体が、前記第1の部材に対して回動可能に取り付けられる開き戸部材と、前記開き戸部材に対してスライド可能に取り付けられる引き戸部材と、を備えることを特徴とする構成1に記載の開閉体ユニット。
【0008】
(構成3)
突っ張り機構によって生じる圧力を利用して、前記第1の部材が前記壁又は前記仕切りの面に沿った方向へずれることを防止する第2の部材を備えることを特徴とする構成1又は2に記載の開閉体ユニット。
【0009】
(構成4)
前記第1の部材が、前記開閉体によって構成されることを特徴とする構成1に記載の開閉体ユニット。
【0010】
(構成5)
前記開閉体が、前記突っ張り機構を軸にして回動可能に取り付けられることで開き戸部材となる前記第1の部材と、前記第1の部材に対してスライド可能に取り付けられる引き戸部材と、を備えることを特徴とする構成4に記載の開閉体ユニット。
【0011】
(構成6)
前記開き戸部材と前記引き戸部材の何れか一方が他方に入り込む入れ子構造を有することを特徴とする構成2又は5に記載の開閉体ユニット。
【0012】
(構成7)
前記開き戸部材と前記引き戸部材の何れか一方が他方に入り込んだ状態を係止する第1の係止部を備えることを特徴とする構成6に記載の開閉体ユニット。
【0013】
(構成8)
前記開き戸部材と前記引き戸部材の何れか一方が他方から突出している全閉状態を係止する第2の係止部を備えることを特徴とする構成6又は7に記載の開閉体ユニット。
【0014】
(構成9)
前記入れ子構造における、前記開き戸部材と前記引き戸部材の何れか一方を収納する他方側の内部空間に空気が吸入/排出される際に発生する音を低減するための消音穴を備えることを特徴とする構成6から8の何れかに記載の開閉体ユニット。
【0015】
(構成10)
前記開き戸部材と前記引き戸部材が、異なる色又は模様を付されていることを特徴とする構成2又は5に記載の開閉体ユニット。
【0016】
(構成11)
前記開閉体の戸先側において、突っ張り機構によって生じる圧力を利用して前記開口部の上端部と下端部の間に固定される第3の部材を備え、前記第3の部材にストライクが設けられていることを特徴とする構成1から10の何れかに記載の開閉体ユニット。
【0017】
(構成12)
前記第1の部材と前記第3の部材間に、突っ張り機構によって生じる圧力を利用して固定される第4の部材を備えることを特徴とする構成11に記載の開閉体ユニット。
【0018】
(構成13)
前記第1の部材が、前記壁又は前記仕切りの面に対して垂直な方向へずれることを防止するためのずれ防止部材であって、前記壁又は前記仕切りの厚さ方向の両側から前記壁又は前記仕切りを挟み込み、直接又は他の部材を介して前記第1の部材を固定するずれ防止部材を備えることを特徴とする構成1から12の何れかに記載の開閉体ユニット。
【0019】
(構成14)
前記開閉体の下端に回転体が設けられていることを特徴とする構成1から13の何れかに記載の開閉体ユニット。
【0020】
(構成15)
前記第1の部材の突っ張り機構の長さ調節機構が上端部側にあることを特徴とする構成1から14の何れかに記載の開閉体ユニット。
【0021】
(構成16)
前記開き戸部材側に戸当たり部材が設けられていることを特徴とする構成2又は5に記載の開閉体ユニット。
【0022】
(構成17)
前記突っ張り機構によって生じている圧力を除去する解除機構を備えることを特徴とする構成1から16の何れかに記載の開閉体ユニット。
【0023】
(構成18)
前記解除機構が、前記突っ張り機構における伸縮部の支持を解除させるものであることを特徴とする構成17に記載の開閉体ユニット。
【0024】
(構成19)
構成1に記載の開閉体ユニットと、前記開閉体を前記第1の部材に対して取り付けるためのヒンジであって、軸部を備える羽部と、前記軸部を受け入れる軸筒を有する羽部と、を備えるヒンジ部材と、前記軸部と前記軸筒が同軸上となる位置における前記第1の部材と前記開閉体の間隔と略同一の厚さを有する位置決め治具と、を備えることを特徴とする開閉体ユニットセット。
【0025】
(構成20)
前記位置決め治具が、前記第1の部材若しくは前記開閉体を梱包する際の梱包材として機能することを特徴とする構成19に記載の開閉体ユニットセット。
【0026】
(構成21)
前記位置決め治具がコ字状の部材であり、コ字の内部において、前記第1の部材若しくは前記開閉体を挟み込んで梱包する梱包部材であることを特徴とする構成20に記載の開閉体ユニットセット。
【発明の効果】
【0027】
本発明によれば、開き戸や引き戸等の開閉体が設けられていない開口部に対して、ユーザーが自分で開閉体を設けられるような、シンプルな設置構造の開閉体ユニットを提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0028】
図1】本発明に係る実施形態1の開閉体ユニットを示す概略図
図2】実施形態1の開閉体ユニットの引き戸部材の動作を示す概略図
図3】実施形態1の第1の部材の固定状態を示す概略図
図4】実施形態1の突っ張り機構部分を示す概略図
図5】実施形態1のずれ防止部材を示す図
図6】実施形態1のずれ防止部材を示す図
図7】実施形態1のずれ防止部材を示す図
図8】実施形態1の開閉体ユニットの開閉動作を示す概略図
図9】開閉体ユニットの別の例を示す概略図
図10】開閉体ユニットの別の例を示す概略図
図11】戸当たり部材の例を示す概略図
図12】第1の係止部の例を示す概略図
図13】実施形態2の開閉体ユニットを示す概略図
図14】開閉体ユニットの別の例を示す概略図
図15】開閉体ユニットの別の例を示す概略図
図16】実施形態3の開閉体ユニットセットを示す概略図
図17】位置決め治具の例を示す概略図
図18】位置決め治具の幅xに関する説明図
図19】位置決め治具の別の例を示す概略図
図20】実施形態4の開閉体ユニットを示す概略図
図21】脚軸部材の例を示す概略図
図22】実施形態5の開閉体ユニットの突っ張り機構部分を示す概略図
図23】実施形態5の開閉体ユニットの突っ張り機構部分を示す概略図
図24】実施形態5の第1ナット部材を示す図
図25】突っ張り解除部材を示す図
図26】突っ張り機構部分の別の例を示す概略図
図27】突っ張り機構部分の別の例を示す概略図
【発明を実施するための形態】
【0029】
以下、本発明の実施形態について、図面を参照しながら具体的に説明する。なお、以下の実施形態は、本発明を具体化する際の一形態であって、本発明をその範囲内に限定するものではない。
【0030】
<実施形態1>
図1は、本発明に係る実施形態1の開閉体ユニットを示す概略図であり、図1(a)は全閉状態を示し、図1(b)は引き戸部材111をスライドさせた状態を示す。
本実施形態の開閉体ユニット1は、壁又は仕切りに形成された開口部2を開閉する開閉体11を有する開閉体ユニットであって、突っ張り機構によって生じる圧力を利用して開口部2の上端部(まぐさ)と下端部(床)の間に固定される第1の部材12によって、開閉体11が支持される。
【0031】
第1の部材12は、本実施形態ではアルミで形成された角柱(アルミ角パイプ)を基本態様とし、上端部に突っ張り機構を構成する突っ張り部材14を備える。
図3は、図1(a)のR-R矢視における第1の部材12を示す図である。
第1の部材12には、ヒンジ13が上下2か所設けられ、その上端部に突っ張り部材14と、ずれ防止部材15が設けられる。
図4は、第1の部材12の上端付近における突っ張り部材14とずれ防止部材15を示す図であり、それぞれ、図4(a)は図1(a)の左上部分を一部透過的に示した拡大図、図4(b)は図3の上部の拡大図、図4(c)は斜視図である。
【0032】
突っ張り部材14は、図4(a)、図4(b)に示されるように、第1ナット部材141と、ネジ棒142と、ネジ棒142に対して回動不能に固定されている回動ツマミ143と、ネジ棒142に螺合又は固定されている第2ナット部材144と、接地部材145と、を備える。
第1ナット部材141は、第1の部材12に対して固定されて設けられ、ネジ棒142と螺合する。
回動ツマミ143を回すことで、第1ナット部材141に螺合するネジ棒142が回転すると、第1ナット部材141に対する(即ち、第1の部材12に対する)ネジ棒142の出幅が変化するものである。
接地部材145は、第2ナット部材144に当接し、且つ、ネジ棒142の端部を遊嵌的に受け入れる。即ち、ネジ棒142を回動自在に(ネジに螺合するものでなく)受け入れて保持する構造となる。接地部材145の上端面には、緩衝及びすべり止めの機能を有するゴム部材等が設けられる。
上記から理解されるように、回動ツマミ143を回すことで突っ張り機構が機能するものである。
なお、突っ張り機構自体は周知の技術であり、本実施形態の突っ張り部材14に替えて、任意の突っ張り機構を用いることができる。
【0033】
ずれ防止部材15は、第1の部材12が、壁又は仕切りの面(図1(a)の紙面)に対して垂直な方向へずれることを防止するため部材である。ずれ防止部材15は、壁又は仕切りの厚さ方向(図4(a)の紙面に対して垂直な方向であり、図4(b)における左右方向)の両側から壁又は仕切りを挟み込み、第1の部材12を固定する部材である。
本実施形態のずれ防止部材15は、2つのL字状の部材(第1L字部材151、第2L字部材152)が組み合わされたコ字状の部材である。図5は、ずれ防止部材15を示す図であり、図6はずれ防止部材15を構成する第1L字部材151、図7はずれ防止部材15を構成する第2L字部材152を示す図である。
【0034】
第1L字部材151は、図6に示されるように、基本態様がL字状の部材であり、切欠き部155と、凸部153と、ネジ穴H1と、を有する。
切欠き部155は、突っ張り部材14の第2ナット部材144を受け入れ、これと係合するものである。
凸部153は、開口部2の上端部(まぐさ)に突き当たって、ずれ防止部材15の内側に、ネジ部材154(図5参照)のネジ部分や、突っ張り部材14の接地部材145を配するスペースを確保するものである(図4(b)参照)。
ネジ穴H1は、ネジ部材154を螺合させるネジ穴である。
【0035】
第2L字部材152は、図7に示されるように、基本態様がL字状の部材であり、長穴H2を有する。
長穴H2は、ネジ部材154のネジ部分を挿通させる穴であり、長穴であることにより、壁や仕切りの厚さに合わせてずれ防止部材15の幅を調節可能としているものである。
【0036】
図5の各図から理解されるように、ネジ部材154を、第2L字部材152の長孔H2に挿通しつつ、第1L字部材151のネジ穴H1に螺合させることで、ずれ防止部材15が構成される。
なお、壁や仕切りに接する箇所には、緩衝及びすべり止めの機能を有するゴム部材等で形成される干渉部材Abが設けられる。
なお、ずれ防止部材は必須のものという訳ではなく、突っ張り機構によって十分な固定強度が得られる場合には、ずれ防止部材を設けないようにしてもよい。
【0037】
開閉体11は、第1の部材12に対して回動可能に取り付けられる開き戸部材112と、開き戸部材112に対してスライド可能に取り付けられる引き戸部材111と、を備える。
図1に示されるように、開き戸部材112は、ヒンジ13によって、第1の部材12に対して回動可能に取り付けられる。
図2は、開閉体11を断面的に示す図であり、図2(a)は、図1(a)のA-A線における断面図、図2(b)は、図1(b)のC-C線における断面図である。
開き戸部材112は、図2に示されるように、中空に形成され且つ戸先側が開口して形成されることで、内部に引き戸部材111を収納するように構成される。
開き戸部材112の上部の内面側と、引き戸部材111の上部外面には、それぞれ係合するスライドレール(特に図示せず)が設けられ、また、開き戸部材112の下部の内面側と、引き戸部材111の下部外面にも、それぞれ係合するスライドレール(特に図示せず)が設けられている。
これにより、引き戸部材111が開き戸部材112にスライドして出入りする入れ子構造となる。
引き戸部材111自体は、上記したスライドレールを上下に備えると共に通常の扉の半分程度のサイズであること以外は、取っ手17を有する等、通常の引き戸の基本的な構成と同様である。
【0038】
引き戸部材111と開き戸部材112の入れ子構造において、引き戸部材111をスライドして出入りさせると、開き戸部材112の内部空間に空気が吸入/排出されることになる。これにより、“シュー”という空気の吸入音/排出音が生じてしまう場合がある。この音を低減するための消音穴(特に図示せず)を、引き戸部材111と開き戸部材112の何れか若しくは両方に設けるようにしてもよい。
また、引き戸部材111と開き戸部材112の入れ子構造において、収納する側の開口部(入れ子の開口部)付近の内周に、モヘア等の摺接部材を設けるようにしてもよい。収納する側の内周に替えて、収納される側の外面にモヘア等の摺接部材を設けるものであってもよい。
【0039】
開閉体11の下端には、回転体である自在キャスター16が設けられている。片持ち状となる開閉体11の自由端側を支持し、開閉体11の動作を円滑にするためのものである。
本実施形態では、引き戸部材111の下端に自在キャスター16を設けるものを例としているが、開き戸部材112の下端(戸先側が望ましい)に回転体を設けるようにしてもよい。開き戸部材112にキャスターを設ける場合には、自在キャスターである必要は無く、開き戸の円運動の接線方向に沿って走行する固定輪であってよい。
なお、開閉体11と開き戸部材112の双方にキャスターを設けるものであってもよいし、キャスターを設けないものであってもよい。
【0040】
図8は、開閉体ユニット1の開閉動作を示す概略図である。
図8に示されるように、引き戸部材111をスライドさせて開き戸部材112の内部に収納させた状態で(図8(b))、開き戸部材112を開くことにより(図8(c))、開口範囲を大きくしつつ、開閉体の干渉範囲を小さくすることができる。
即ち、開き戸の開閉に必要なスペースを小さくすることができ、また、引き戸の戸袋を別途設ける必要がないものである。
これにより、一般的な開き戸や引き戸等を設けるには、十分なスペースが確保し難い箇所においても、開閉体を設けることが可能となる。
【0041】
次に、開閉体ユニット1の設置作業について簡単に説明する。
先ず、第1の部材12と開き戸部材112のそれぞれに、ヒンジ13の部品を取り付ける。ヒンジ13は、軸部を備える羽部と、前記軸部を受け入れる軸筒を有する羽部とによって構成され、これらの一方を第1の部材12に取り付け、他方を開き戸部材112取り付けるものである。なお、工場出荷時に既に取り付けられている場合には、ユーザーはこの作業は必要ない。
次に、突っ張り部材14が取り付けられている第1の部材12を、開口部2の上端部(まぐさ)と下端部(床)の間の戸尻(吊元)側となる箇所に配置する。この状態で突っ張り部材14の回動ツマミ143を回すことで突っ張らせて、第1の部材12を固定する。
次に、ずれ防止部材15を取り付ける。ずれ防止部材15の取り付けは、切欠き部155に突っ張り部材14の第2ナット部材144をはめ込むようにして取り付け、図4(b)に示されるように、壁Wを挟み込むように幅を調整して、ネジ部材154を締めこんで固定することによって行う。
これにより、図3に示されるような状態となる。
最後に、開閉体11の取り付けを行う。引き戸部材111と開き戸部材112が一体化されている開閉体11に取り付けられているヒンジ13(軸筒を有する羽部または軸部を備える羽部)に、第1の部材12に対して取り付けられているヒンジ13(軸部を備える羽部または軸筒を有する羽部)を、取り付けることで、開閉体11の取り付けが行われる。即ち、ヒンジの軸部と軸筒を係合させることで、第1の部材12に開閉体11を取り付けるものである。
上記からも明らかなように、本実施形態の開閉体ユニット1では、建物側に対する加工を要せず、建物に傷をつけることがない。
【0042】
以上のごとく、本実施形態の開閉体ユニット1によれば、簡便な作業にて開閉体を設置することが可能であり、開き戸や引き戸等の開閉体が設けられていない開口部に対して、ユーザーが自分で開閉体を設けることができる。
また、前述のように、一般的な開き戸や引き戸等を設けるには十分なスペースが確保し難い箇所においても、開閉体を設けることが可能である。
加えて、建物に対して釘やネジを打設すること等を不要としているため、建物に傷をつけることがないという点でも優れている。
【0043】
なお、本実施形態では、引き戸部材111が開き戸部材112の内部に入り込む入れ子構造を例としたが、開き戸部材と前記引き戸部材の何れか一方が他方に入り込む入れ子構造であればよく、引き戸部材が開き戸部材を内部に収納する入れ子構造であってもよい。
また、入れ子構造でなくてもよく、開き戸部材112に対して引き戸部材111がスライド開閉可能に構成されるものであればよい。
【0044】
また、本実施形態では、開閉体として、開き戸と引き戸のハイブリッド型を例としているが、本発明をこれに限るものではなく、単なる開き戸や折れ戸等としてもよい。
図9にはこのようなものの一例を示した。図9は、一般的な開き戸11-1を用いた例である(第1の部材12等の構成は実施形態1と同様のものである)。
【0045】
本実施形態では、第1の部材12の上端部に突っ張り機構を構成する突っ張り部材14が設けられるもの、即ち、突っ張り機構の長さ調節機構が上端部側にあるものを例としている。本実施形態では下端部にキャスターを設けるものとしており、長さ調節機構を上端部側のみとすることで、床面に対するキャスターの高さが変わることが抑制されるため、好ましいものであるが、本発明をこれに限るものではない。
突っ張り機構の長さ調節機構を、第1の部材の下端側に設けるものであってもよいし、上端側及び下端側の両方に設けるものであってもよい。
【0046】
また、開閉体に戸当たりを設けるようにしてもよい。図10にはこのようなものの一例を示した。
図10の例では、開き戸部材112に戸当たり部材18が設けられている。引き戸部材111はスライドする部材であり、これに戸当たりを設けると、壁面に対して戸当たりが擦れる可能性があるため、開き戸部材112側に設けることがより好ましいものであるが、引き戸部材111に設けるようにしても構わない。
図11は、戸当たり部材18を示す図である。戸当たり部材18は磁性体で形成され、壁Wに貼付された磁石M1に吸着することで、開き戸部材112が閉まった状態を保持するものである。
【0047】
また、開き戸部材と引き戸部材の何れか一方が他方に入り込んだ状態を係止する第1の係止部や、開き戸部材と引き戸部材の何れか一方が他方から突出している全閉状態を係止する第2の係止部を備えさせるようにしてもよい。
図12は、引き戸部材111が開き戸部材112に入り込んだ状態を係止する第1の係止部の一例を示したものである。
図12の例では、引き戸部材111の戸尻に磁石M2を設け、これと対向する開き戸部材112の内面に磁性体Mmを設けることで、第1の係止部を構成している。引き戸部材111が開き戸部材112に入り込んだ際に、磁石M2が磁性体Mmに吸着することで、引き戸部材111が開き戸部材112に入り込んだ状態を係止するものである。
これと同様に、引き戸部材111の戸先に磁石を設け、これと対向する壁の開口部に磁性体を設けることで、引き戸部材が開き戸部材から突出している全閉状態を係止する第2の係止部を構成するようにしてもよい。
なお、開き戸部材と引き戸部材の何れか一方が他方に入り込んだ状態を係止する第1の係止部や、開き戸部材と引き戸部材の何れか一方が他方から突出している全閉状態を係止する第2の係止部は、各材を係止することができる任意の係止部材を用いることができる。例えば、引き戸部材111と開き戸部材112をスライド可能に係合させるためのスライドレールにおいて、所定位置でスライドが係止・保持されるストッパ付きのスライドレールを使用することで、第1の係止部や、第2の係止部を構成するようにしてもよい。
【0048】
また、開き戸部材と引き戸部材に、異なる色又は模様を付すようにしてもよい。
開き戸部材と引き戸部材が異なる部材であることを視覚的に認識可能とすることにより、操作者(開閉体を開け閉めする者)に開閉体11の構造(開閉の仕方)を想起させ易いようにすることができる。
【0049】
<実施形態2>
図13は、実施形態2の開閉体ユニットを示す概略図である。
なお、実施形態1の開閉体ユニットと同様の構成については、同一の符号を使用し、ここでの説明を簡略化若しくは省略する。
【0050】
本実施形態の開閉体ユニット1-2は、開閉体11-1の戸先側において、突っ張り機構によって生じる圧力を利用して開口部2の上端部と下端部の間に固定される第3の部材123と、第1の部材12と第3の部材123の間に、突っ張り機構によって生じる圧力を利用して固定される第4の部材122を備えている。
なお、開閉体として、ドアノブ17-1を有する一般的な開き戸11-1を例としているが、実施形態1の開閉体11や折り戸等を用いるものであってよい。
【0051】
第3の部材123は、基本的に第1の部材12と同様の構成であり、突っ張り部材14とずれ防止部材15が上端部に取り付けられる。第3の部材123は、ドアノブ17-1のラッチボルトやデットボルトを受け入れるストライク(特に図示せず)を設けるために、戸先側に設置される部材である。
ストライクを有する第3の部材123を突っ張り機構によって設置することにより、建物側に対するストライクの加工を不要にしている。
【0052】
第4の部材122は、長さの違いはあるが、基本的に第1の部材12と同様の構成であり、突っ張り部材14が一端部に取り付けられている。
第4の部材122が、第1の部材12と第3の部材123の間に配されることにより、第1の部材12と第3の部材123が、壁又は仕切りの面に沿った方向へずれることを防止するものである。即ち、第1の部材12が図13において右側へと倒れることを防止し、同様に、第3の部材123が図13において左側へと倒れることを防止する作用を有するものである。第4の部材122は、“突っ張り機構によって生じる圧力を利用して、第1の部材が壁又は仕切りの面に沿った方向へずれることを防止する第2の部材”として機能するものである。
なお、第4の部材122にも、ずれ防止部材15を設けるようにしてもよいし、第3の部材123にずれ防止部材15を設けないようにしてもよい。
【0053】
以上のごとく、本実施形態の開閉体ユニット1-2によれば、実施形態1と同様の作用効果が得られると共に、ドアノブによって扉を閉めた状態の保持や施錠をすることが可能となる。そのためのストライクの設置においても、建物に傷を付けずに行うことができる。
また、第1の部材12を保持する第4の部材122を備えることで片持ち状の構造が補強されるため、キャスター等を設けなくてもよい。
【0054】
なお、本実施形態では、第3の部材123と、第4の部材122の双方を備えるものを例としたが、何れか一方のみを備えるものとしてもよい。
図14図15はこのようなものの例である。図14は、第3の部材123のみを有するものの例であり、図15は、第4の部材122(突っ張り機構によって生じる圧力を利用して、第1の部材が壁又は仕切りの面に沿った方向へずれることを防止する第2の部材)のみを有するものの例である。
【0055】
<実施形態3>
図16は、実施形態3の開閉体ユニットセットを示す概略図である。
本実施形態の開閉体ユニットセット100は、上記実施形態で説明した概念の開閉体ユニットにおいて、第1の部材に開閉体を取り付ける際の作業を容易にするための位置決め治具101を備えているものである。
なお、開閉体ユニットを構成する第1の部材12-2と開閉体11-2については、上記実施形態で説明した第1の部材と開閉体の概念に基づくものであり、ここでの説明を省略する。
【0056】
図17は、位置決め治具101を示す概略図である。
位置決め治具101は、上面視で略コ字状の部材であり、その一端部の厚さxが、第1の部材12-2と開閉体11-2の間隔と略同一の厚さを有する。
図18は、位置決め治具101の一端部の厚さxについて説明するための図である。
ヒンジ13は、軸部13A1を備える羽部13Aと、軸部13A1を受け入れる軸筒13B1を有する羽部13Bと、を備えており、ここでの例では、第1の部材12-2に羽部13Aが取り付けられ、開閉体11-2に羽部13Bが取り付けられている。図18はヒンジが180°開いた状態を示しており、この状態における第1の部材12-2と開閉体11-2の間隔がxである。xは、“羽部13Aが取り付けられた第1の部材12-2に対する、羽部13Bが取り付けられた開閉体11-2の組み付け時に、軸部13A1と軸筒13B1が同軸上となる位置における第1の部材12-2と開閉体11-2の間隔”である。
なお、軸部13A1を備える羽部13Aが、開閉体側に取り付けられ、軸筒13B1を有する羽部13Bが、第1の部材側に取り付けられるものであってもよい。
【0057】
本実施形態における位置決め治具101は、コ字状の内部の寸法y(図17)が、図16に示されるように第1の部材12-2に対して嵌り込むように形成されている。
本実施形態の位置決め治具101は、段ボールや発泡スチロールで形成され、コ字の内部に第1の部材を挟み込むことで、第1の部材を梱包する際の梱包材(若しくは緩衝材)としても機能する。
【0058】
図16~18から理解されるように、位置決め治具101のコ字状の一端部の厚さが上記説明したxの厚さを有していることにより、第1の部材12-2に開閉体11-2を取り付ける際の作業性に優れる。
即ち、第1の部材12-2に取り付けられている位置決め治具101に対して、開閉体11-2を当接させることで、軸部13A1と軸筒13B1の奥行方向の位置が合うため、軸部13A1に軸筒13B1を挿通させる際の両者の位置合わせが容易となるものである。
前述のように、位置決め治具101は梱包材としても利用されるため、ユーザーは箱から梱包材としての位置決め治具101が付いたままの状態の第1の部材12-2を取り出して、これを開口部に設置し、その上で、開閉体11-2を取り付ける作業をすればよいものである。
【0059】
以上のごとく、本実施形態の開閉体ユニットセット100によれば、位置決め治具101を備えていることにより、開閉体11-2の取り付け作業(ヒンジ13の軸部13A1に軸筒13B1を挿通させる作業)の作業性に優れている。
【0060】
本実施形態では、位置決め治具101が第1の部材に取り付けられるものを例としたが、位置決め治具101が開閉体に取り付けられるもの(即ち、開閉体の梱包材として機能するもの)であってもよい。また、位置決め治具101が、第1の部材と開閉体の双方に対して取り付けられているものであってもよい。
【0061】
本実施形態では、位置決め治具101が梱包材としても機能し、好適なものであるが、位置決め治具101が梱包材としての機能を有しないものであっても構わない。
【0062】
なお、図19に、位置決め治具の別の例を示した。
図19の位置決め治具101-1は、厚さxに形成されるコ字状の一端部側において、開閉体11-2の横方向の位置決めをさせる凸部1011を有している。凸部1011は、軸部13A1と軸筒13B1が同軸上となる位置において、開閉体11-2の戸尻が当接するように形成される。
これにより、軸部13A1と軸筒13B1の奥行方向の位置が合わせに加えて、横方向の位置合わせもすることができるため、より作業性に優れるものである。
【0063】
<実施形態4>
図20は、実施形態4の開閉体ユニットを示す概略図である。
なお、実施形態1の開閉体ユニットと同様の構成については、同一の符号を使用し、ここでの説明を簡略化若しくは省略する。
【0064】
本実施形態の開閉体ユニット1-5は、第1の部材が、開閉体自体によって構成されているものである。
本実施形態における開閉体は、開き戸部材である第1の部材12-1と、引き戸部材111を備える。
第1の部材12-1は、その戸尻側の上端部に突っ張り部材14を備え、戸尻側の下端部に脚軸部材19を備えており、これらを軸にして回動可能に取り付けられることで開き戸部材として機能する。また、実施形態1で説明した開き戸部材112と同様に、中空に形成され且つ戸先側が開口して形成されることで、内部に引き戸部材111を収納するように構成されている。
引き戸部材111は、実施形態1で説明したものと同様であり、第1の部材12-1に対してスライド可能に取り付けられる。
【0065】
図21は、脚軸部材19部分を示す図である。
脚軸部材19は、ネジ棒191と、ナット部材192と、接地部材193と、を備える。
ネジ棒191は、第1の部材12-1に対して固定して設けられている。
接地部材193は、ネジ棒191に螺合若しくは固定されているナット部材192に当接し、且つ、ネジ棒191の端部を遊嵌的に受け入れる。即ち、ネジ棒191を回動自在に(ネジに螺合するものでなく)受け入れて保持する構造となる。接地部材193の底面には、緩衝及びすべり止めの機能を有するゴム部材等が設けられる。
なお、上端部に設けられる突っ張り部材14は、実施形態1で説明したものと同様の構成である。
突っ張り部材14と脚軸部材19が上記説明したように回動自在なものであることにより、第1の部材12-1が、突っ張り機構を軸にして回動可能に支持される(中心吊りとされる)ものである。
【0066】
以上のごとく、本実施形態の開閉体ユニット1-5によれば、よりシンプルな構成とすることができる。
【0067】
<実施形態5>
図22図23は、実施形態5の開閉体ユニットの突っ張り機構部分を示す概略図であり、図22は、図4(b)と同様の視点において一部を透過的に示した図、図23は斜視図である。
本実施形態の開閉体ユニットは、突っ張り機構部分以外は実施形態1と同様の構成であるため、突っ張り機構部分以外についての説明を省略する。
【0068】
本実施形態の開閉体ユニットの突っ張り機構は、突っ張り解除部材146を備えている点と、第1ナット部材141-1の構成において実施形態1と異なっている。また、本実施形態の開閉体ユニットは、ずれ防止部材15を備えていない。
なお、ネジ棒142、回動ツマミ143、第2ナット部材144、接地部材145については、実施形態1と同様の構成であり、ここでの説明を省略する。
【0069】
図22に示されるように、本実施形態における第1の部材12の内面には、突っ張り解除部材146の下端側を支持する支持部121が形成されている。
以下で説明する突っ張り解除部材146は、第1の部材12の外部から内部へと挿入され、支持部121によって下端を支持される。
第1ナット部材141-1は、第1の部材12の内部に遊嵌的に配され、突っ張り解除部材146によって支持される。
【0070】
図24は、第1ナット部材141-1の概略を示す斜視図である。
第1ナット部材141-1は、第1の部材12の内部に遊嵌的、且つ、回動不能に配置される部材である。本実施形態の第1の部材12が角パイプであるため、これに対して回動不能であるように、第1ナット部材141-1は、平面視で矩形の形状を有している。
第1ナット部材141-1は、ネジ棒142と螺合するネジ穴H4を備えている。第1ナット部材141-1が第1の部材12の内部に回動不能に配置されるため、回動ツマミ143を回すことによるネジ棒142の回転に対して、第1ナット部材141-1が共回りすることはない。
第1ナット部材141-1には、以下で説明する突っ張り解除部材146の挿入部146-1の先端部が挿入される際に当接する箇所において、傾斜切欠き部1412を有している。突っ張り解除部材146の挿入部146-1の挿入時の作業性を向上させるものである。
【0071】
図25は、突っ張り解除部材146の概略を示す斜視図である。
突っ張り解除部材146は、2本の挿入部146-1と、把持部146-2を有し、平面視で略U字状の形状を有している。
2本の挿入部146-1は、図23に示されるように、第1の部材12の側面に形成されている穴H3から、第1の部材12の内部に挿入される部分であり、ネジ棒142と干渉しないように二又状に形成されている。
挿入部146-1の先端部には、傾斜部が設けられている。第1の部材12の内部に挿入する際に、第1ナット部材141-1の傾斜切欠き部1412と当接する部分であり、前述のように、挿入時の作業性を向上させるものである。
把持部146-2は、突っ張り解除部材146の脱着の際の持ち手部分であり、指を入れることができる穴H5等、作業性を向上する(力を入れ易いようにする)ための構造が設けられていることが好ましい。
【0072】
以上の構成を有する本実施形態の開閉体ユニットは、突っ張り解除部材146を引き抜くことにより、即座に突っ張り状態を解除(突っ張り機構によって生じている圧力を除去)することができるものである。即ち、突っ張り解除部材146が引き抜かれることで、第1ナット部材141-1の下部側の支持がなくなるため、第1ナット部材141-1が落下し、これに螺合しているネジ棒142も落下するため、突っ張り機構の圧力が除去されるものである。
これにより、例えば、地震などの災害時において、躯体の変形等によって開閉体の開閉が困難となるような場合に、突っ張り解除部材146を引き抜くことで突っ張り状態が即座に解除され、第1の部材ごと開閉体を倒して脱出するようなことが可能となるため、閉じ込めの発生を低減することができる。
【0073】
突っ張り機構は、一端が支持されたなんらかの伸縮部(本実施形態では第1ナット部材141-1と螺合するネジ棒142が該当)を備え、この伸縮部を延ばすことによって部材間に圧力を生じさせ、この圧力に基づいて部材を固定するものである。
即ち、この圧力を除去させる解除機構を備えさせることにより、上記のような非常時等における開閉体の開放機能を持たせることができる。当該解除機構としては、突っ張り機構における伸縮部の支持を解除させる機構(本実施形態では突っ張り解除部材146が該当)が挙げられる。
【0074】
なお、開閉体の両サイドから解除を可能とするようにしてもよい。図26にはそのようなものの一例を示した。
図26の例では、突っ張り解除部材146と重なるようにして、突っ張り解除部材146とは反対側から第1の部材12の内部に挿入される突っ張り解除部材146-1(突っ張り解除部材146と同様の構成)を設けるようにしたものである。
【0075】
本実施形態では、第1の部材に解除機構を備えさせるものを例としたが、これに限るものではなく、例えば第3の部材にも解除機構を備えさせるものであってよい。
【0076】
なお、突っ張り機構によって高い圧力がかかっている場合においても突っ張り解除部材の引き抜き作業を容易にするため、突っ張り解除部材の摺動を円滑にするための構成を備えさえるようにしてもよい。図27にはこのようなものの例を示した。図27の例では、突っ張り解除部材146の下端側を支持する支持部121-1を、回転体によって構成することで、突っ張り解除部材の摺動抵抗を低減している。同様の観点で、第1ナット部材141-1と突っ張り解除部材146の間において、車輪やコロ等の回転体が配されるようにするもの等であってよい。
【符号の説明】
【0077】
1...開閉体ユニット
11...開閉体
111...引き戸部材
112...開き戸部材
12...第1の部材
13...ヒンジ(ヒンジ部材)
13A...羽部
13A1...軸部
13B...羽部
13B1...軸筒
14...突っ張り部材(突っ張り機構)
15...ずれ防止部材
16...自在キャスター(回転体)
18...戸当たり部材
122...第4の部材(第2の部材)
123...第3の部材
M2...磁石(係止部)
Mm...磁性体(係止部)
101...位置決め治具
2...開口部
図1
図2
図3
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図5
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