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特開2022-78592レンズキャップホルダ及びレンズキャップ
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022078592
(43)【公開日】2022-05-25
(54)【発明の名称】レンズキャップホルダ及びレンズキャップ
(51)【国際特許分類】
   G03B 17/56 20210101AFI20220518BHJP
   G03B 11/04 20210101ALI20220518BHJP
【FI】
G03B17/56 Z
G03B11/04 A
【審査請求】未請求
【請求項の数】8
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2020189370
(22)【出願日】2020-11-13
(71)【出願人】
【識別番号】000131326
【氏名又は名称】株式会社シグマ
(72)【発明者】
【氏名】小北 大志
(72)【発明者】
【氏名】門倉 茂徳
【テーマコード(参考)】
2H083
2H105
【Fターム(参考)】
2H083BB01
2H083BB10
2H105EE00
(57)【要約】
【課題】撮影時にレンズキャップをカメラ本体とは異なるレンズキャップホルダに吸着保持し、レンズキャップの紛失を防止することができ、撮影時にレンズキャップがカメラ操作の邪魔にならないレンズキャップホルダ及びレンズキャップを提供する。
【解決手段】本発明に係るレンズキャップホルダは、強磁性体からなる中空円板形状の吸着円板部材と、中空円板形状のホルダ円板部材を有し、ホルダ円板部材の中空部の周囲に吸着円板部材へ向かって突出する突出部が形成されていることを一つの特徴とする。本発明に係るレンズキャップは、キャップ本体のレンズ鏡筒と対向する面には少なくとも2組の磁石とヨークが配置された位置よりも中心側に内径が形成され、キャップ本体の内径はレンズキャップホルダの中空円板形状のホルダ円板部材の中空部の周囲に吸着円板部材へ向かって突出する突出部の外径と略同一であることを一つの特徴とする。
【選択図】図11
【特許請求の範囲】
【請求項1】
磁力によりレンズ鏡筒の先端部に装着されるレンズキャップを吸着保持するレンズキャップホルダにおいて、
強磁性体からなる中空円板形状の吸着円板部材を含む中空円板形状のホルダベースを有し、
前記ホルダベースの中空部の周囲に前記ホルダベースの平面に対して垂直な方向に向かって突出する突出部が形成されていることを特徴とするレンズキャップホルダ。
【請求項2】
前記ホルダベースは、強磁性体からなる中空円板形状の前記吸着円板部材と、中空円板形状のホルダ円板部材を有し、
前記ホルダ円板部材の中空部の周囲に前記吸着円板部材へ向かって突出する突出部が形成されていることを特徴とする請求項1に記載のレンズキャップホルダ。
【請求項3】
前記ホルダベースの周囲の一部又は全体に突起部が形成されていることを特徴とする請求項1又は請求項2に記載のレンズキャップホルダ。
【請求項4】
磁力によりレンズ鏡筒の先端部に装着され、磁力によりレンズキャップホルダに吸着保持されるレンズキャップにおいて、
キャップ本体と、磁石とヨークの組を有し、
前記磁石とヨークの組は前記キャップ本体の円周に沿って内部に配置され、
前記キャップ本体の外径は前記レンズ鏡筒のフィルター取付部の内径と略同一であり、
前記キャップ本体の前記レンズ鏡筒と対向する面には前記磁石とヨークの組が配置された位置よりも中心側に内径が形成され、
前記キャップ本体の内径は前記レンズキャップホルダの強磁性体からなる中空円板形状の吸着円板部材を含む中空円板形状のホルダベースの中空部の周囲に形成された突出部の外径と略同一であることを特徴とするレンズキャップ。
【請求項5】
前記磁石とヨークの組を少なくとも2組有することを特徴とする請求項4に記載のレンズキャップ。
【請求項6】
前記磁石とヨークの組はいずれも中心軸を共通とする中空円板形状であることを特徴とする請求項4又は請求項5に記載のレンズキャップ。
【請求項7】
前記キャップ本体の円周に沿って内部に配置された前記磁石とヨークの組は中空円板形状のシート部材により外観に露出しないように覆われていることを特徴とする請求項4乃至6のいずれかに記載のレンズキャップ。
【請求項8】
中空円板形状の前記シート部材は植毛紙からなることを特徴とする請求項4乃至7のいずれかに記載のレンズキャップ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、撮像装置などに搭載されたレンズの最前面を保護するためのレンズキャップを保持するレンズキャップホルダ及びそのレンズキャップに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、撮像装置などに搭載されたレンズの最前面を保護するための様々なタイプのレンズキャップが提案されている。また、それぞれのタイプのレンズキャップについて、撮像装置などに搭載されたレンズの先端部に装着するための様々な機構が採用されている。
【0003】
例えば、合成樹脂を材料として射出成形により成形されたレンズキャップが提案されている。合成樹脂に可撓性があるので、このタイプのレンズキャップはそれ自体が弾性力を有する。レンズキャップの爪部も弾性力を有し、弾性変形させた爪部をレンズ鏡筒の先端に掛けることにより、レンズキャップをレンズ鏡筒の先端部に装着することができる。
【0004】
また、バネ等から構成される弾性機構を追加したレンズキャップが提案されている。このタイプのレンズキャップは、爪部をスライド可能な機構とし、弾性機構により爪部のスライドに弾性力を与え、付勢された爪部をレンズ鏡筒の先端部に掛けることにより、レンズキャップをレンズ鏡筒の先端部に装着することができる。
【0005】
これらの従来のレンズキャップには、それぞれ次のような欠点があった。
【0006】
合成樹脂を材料として射出成形により成形されたレンズキャップは、温度や経年劣化により変形して最初の弾性力を維持することができないという欠点があった。これにより、レンズ鏡筒の先端部への爪部の掛かりが弱くなり、レンズキャップが脱落しやすくなってしまう。また、不意にレンズキャップが脱落してしまうとレンズキャップの紛失やレンズの破損につながるおそれがある。
【0007】
バネ等から構成される弾性機構を追加したレンズキャップは、複雑な機構である弾性機構を追加することにより部品コストや組み立てコストが増え、重量や大きさが増えるという欠点があった。また、ユーザーはレンズキャップの着脱時に弾性機構を操作する必要があり、レンズキャップの着脱操作が煩わしいという欠点があった。
【0008】
従来のレンズキャップにはその他にも撮影時に取り外したレンズキャップを紛失しないように適切に保管しなければならないという課題があった。
【0009】
そこで、レンズ鏡筒の先端部に磁力により装着可能なレンズキャップが提案されている。
【0010】
特許文献1(実開昭57-146128号公報)には、レンズ鏡筒の先端部に磁力により装着可能なレンズキャップが開示されている。このレンズキャップは、非撮影時には磁力によりレンズ鏡筒の先端部の金属環に装着することができ、撮影時には磁力によりカメラ本体の底部の金属板に吸着保持することができる。
【0011】
特許文献2(実開昭57-74427号公報)には、同様にレンズ鏡筒の先端部に磁力により装着可能なレンズキャップが開示されている。このレンズキャップは、非撮影時には磁力によりレンズ鏡筒の先端部周辺の強磁性体に装着することができ、撮影時には磁力によりカメラの操作に邪魔にならないカメラ本体の背蓋部の強磁性体に吸着保持することができる。また、レンズキャップはカメラ本体とコードで連結されており、レンズキャップの紛失を防止している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0012】
【特許文献1】実開昭57-146128号公報
【特許文献2】実開昭57-74427号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0013】
しかしながら、上記の特許文献に開示された従来技術には次のような課題がある。
【0014】
最近のデジタルカメラ本体には、多くの機能を実現するための多種多様な操作部材が搭載されており、撮影画像をプレビューするための大型のLCD等が搭載されているため、撮影時にカメラ本体に磁力によりレンズキャップを吸着保持するためのスペースを確保することは困難である。
【0015】
また、撮影時にカメラ本体に磁力によりレンズキャップを吸着保持させるとカメラの操作性が損なわれてしまう。また、ユーザーの撮影時の操作によりレンズキャップがカメラ本体から脱落してしまうおそれがある。脱落したレンズキャップの紛失を防止するために、レンズキャップをコード等でカメラ本体に連結しておかなければならない。
【課題を解決するための手段】
【0016】
上記課題を解決するため、本発明に係るレンズキャップホルダの第1の発明は、磁力によりレンズ鏡筒の先端部に装着されるレンズキャップを吸着保持するレンズキャップホルダにおいて、強磁性体からなる中空円板形状の吸着円板部材を含む中空円板形状のホルダベースを有し、ホルダベースの中空部の周囲にホルダベースの平面に対して垂直な方向に向かって突出する突出部が形成されていることを特徴とする。
【0017】
本発明に係るレンズキャップホルダの第2の発明は、ホルダベースは、強磁性体からなる中空円板形状の吸着円板部材と、中空円板形状のホルダ円板部材を有し、ホルダ円板部材の中空部の周囲に吸着円板部材へ向かって突出する突出部が形成されていることを特徴とする。
【0018】
本発明に係るレンズキャップホルダの第3の発明は、ホルダベースの周囲の一部又は全体に突起部が形成されていることを特徴とする。
【0019】
本発明に係るレンズキャップの第4の発明は、磁力によりレンズ鏡筒の先端部に装着され、磁力によりレンズキャップホルダに吸着保持されるレンズキャップにおいて、キャップ本体と、磁石とヨークの組を有し、磁石とヨークの組はキャップ本体の円周に沿って内部に配置され、キャップ本体の外径はレンズ鏡筒のフィルター取付部の内径と略同一であり、キャップ本体のレンズ鏡筒と対向する面には磁石とヨークの組が配置された位置よりも中心側に内径が形成され、キャップ本体の内径はレンズキャップホルダの強磁性体からなる中空円板形状の吸着円板部材を含む中空円板形状のホルダベースの中空部の周囲に形成された突出部の外径と略同一であることを特徴とする。
【0020】
本発明に係るレンズキャップの第5の発明は、磁石とヨークの組を少なくとも2組有することを特徴とする。
【0021】
本発明に係るレンズキャップの第6の発明は、磁石とヨークの組はいずれも中心軸を共通とする中空円板形状であることを特徴とする。
【0022】
本発明に係るレンズキャップの第7の発明は、キャップ本体の円周に沿って内部に配置された磁石とヨークの組は中空円板形状のシート部材により外観に露出しないように覆われていることを特徴とする。
【0023】
本発明に係るレンズキャップの第8の発明は、中空円板形状のシート部材は植毛紙からなることを特徴とする。
【発明の効果】
【0024】
本発明に係るレンズキャップホルダ及びレンズキャップは次の効果を有する。
【0025】
撮影時にレンズキャップをカメラ本体とは異なるレンズキャップホルダに吸着保持するので、レンズキャップの紛失を防止することができ、撮影時にレンズキャップがカメラの操作の邪魔にならない。
【0026】
レンズキャップホルダの吸着円板部材とホルダ円板部材は中空円板形状であるので、ユーザーは簡単な操作でレンズキャップホルダからレンズキャップを取り外すことができる。
【0027】
レンズキャップのキャップ本体の内径とレンズキャップホルダのホルダ円板部材の突出部の外径とが嵌合し、レンズキャップの移動がレンズキャップホルダの吸着円板部材の平面に対して水平な方向において制限されるので、磁力によるレンズキャップの吸着保持力が変化することがなく、レンズキャップホルダからレンズキャップが容易に脱落してしまうことを防止することができる。
【0028】
レンズキャップホルダの吸着円板部材の周囲の一部に突起部が形成されているので、レンズキャップをレンズキャップホルダから取り外ししやすくすることができる。
【0029】
レンズキャップのキャップ本体の円周に沿って内部に配置された少なくとも2組の磁石とヨークは、植毛紙により外観に露出しないように覆われている。したがって、これらを隠蔽することができ、キャップ本体から脱落することを防止できる。また、レンズ鏡筒の先端部やレンズキャップホルダへのレンズキャップの装着の品位を向上させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0030】
図1】交換レンズと本実施例のレンズキャップの構成を示す斜視図である。
図2】本実施例のレンズキャップの構成を示す分解斜視図である。
図3】本実施例のレンズキャップの変形例の構成を示す分解斜視図である。
図4】交換レンズの先端部にレンズキャップを装着した様子を示す断面図である。
図5】本実施例のレンズキャップホルダの構成を示す分解斜視図である。
図6】レンズキャップホルダの貫通穴にストラップを取り付けた様子を示す斜視図である。
図7】吸着円板部材の周囲の一部又は全体に形成される突起部の変形例を示す斜視図である。
図8】本実施例のレンズキャップホルダの変形例を示す斜視図である。
図9】本実施例のレンズキャップホルダの変形例を示す斜視断面図である。
図10】レンズキャップホルダにレンズキャップを吸着保持した様子を示す断面図である。
図11】レンズキャップホルダからレンズキャップを取り外す様子を示す斜視断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0031】
以下、本発明に係るレンズキャップホルダ及びレンズキャップの実施例について説明する。
【0032】
図1はレンズ鏡筒を備える交換レンズと本実施例のレンズキャップの構成を示す斜視図である。図1に示された交換レンズは不図示のデジタルカメラに装着可能である。本実施例のレンズキャップは磁力により発生された吸着力により交換レンズの先端部に装着可能である。また、図1において交換レンズの先端部は一部分解して示されている。
【0033】
図1において、100は交換レンズ、200はレンズキャップを示す。
【0034】
後述するようにレンズキャップ200の内部には複数の磁石とヨークの組が搭載されている。また、交換レンズ100の先端部の内部には、交換レンズ100の先端部を一周する吸着板101がビスにより取り付けられている。吸着板101は円筒形状の交換レンズ100の外径と中心軸を共通とする中空円板形状をしている。交換レンズ100の先端部において、吸着板101が取り付けられている箇所はフロントリング102により覆われている。レンズキャップ200に搭載された複数の磁石とヨークの組は磁力を発生させ、これらは交換レンズ100の吸着板101に吸着する。この吸着力によりレンズキャップ200は交換レンズ100の先端部に装着される。
【0035】
交換レンズ100の先端部の吸着板101はフロントリング102により覆われているので、ユーザーは外観からこれを確認することができない。一方で、フロントリング102は交換レンズ100の先端部を一周するように取り付けられているので、レンズキャップ200を中心軸に対してどの回転向きに装着しても吸着力を確保することができる。これにより、ユーザーはレンズキャップ200の装着に失敗することがない。
【0036】
図2は本実施例のレンズキャップ200の構成を示す分解斜視図である。
【0037】
図2において、201はキャップ本体、202は磁石、203はヨーク、204は植毛紙を示す。
【0038】
キャップ本体201は金属の切削加工や合成樹脂の射出成形などにより成形される。キャップ本体201の内部には2組の磁石202とヨーク203が搭載される。これらは紫外線硬化性樹脂などによりキャップ本体201に接着される。ヨーク203は磁石202の磁力の安定性や磁束漏れの防止を向上させる効果がある。また、2組の磁石202とヨーク203が発生させる磁力の磁束漏れの防止を向上させるために、交換レンズ100の吸着板101の外径と内径との差は磁石202の大きさよりも大きく設計することが好ましい。
【0039】
キャップ本体201の内部に搭載される磁石202とヨーク203の組が1組であると、外力に対してレンズキャップ200を交換レンズ100の先端部やレンズキャップホルダへ安定的に吸着させることができない。これに対して、図3に示すように、磁石とヨークの組が1組である場合であっても、これらをいずれも中心軸を共通とする中空円板形状であるように構成することにより、レンズキャップ200を交換レンズ100の先端部やレンズキャップホルダへ安定的に吸着させることができる。図3において、202xは中空円板形状の磁石、203xは中空円板形状のヨークを示す。
【0040】
キャップ本体201の内部に搭載される磁石202とヨーク203の組は2組より多くしてもよいが、多くしすぎるとこれらを搭載するためのキャップ本体201の内部のスペースが足りなくなる。また、レンズキャップ200の総重量が大きくなりすぎたり、レンズキャップ200の吸着力が大きくなりすぎたりすることにより、レンズキャップ200の着脱の操作性が損なわれるおそれがある。
【0041】
植毛紙204は、中空円板形状のシート部材であり、キャップ本体201の内部に搭載された2組の磁石202とヨーク203を覆うように、キャップ本体201の交換レンズ100に対向する面に貼着されている。キャップ本体201の交換レンズ100に対向する面に植毛紙204が貼着されることによる効果は次のようなものがある。植毛紙204はキャップ本体201の内部に搭載されている2組の磁石202とヨーク203やこれらをキャップ本体201の内部に接着した跡を隠蔽する。植毛紙204は交換レンズ100の先端部やレンズキャップホルダに接触する接触面を保護する。植毛紙204はレンズキャップ200の交換レンズ100の先端部やレンズキャップホルダへの装着の品位を向上させる。植毛紙204は不意に磁石202又はヨーク203がキャップ本体201から脱落した場合にこれらが交換レンズ100の最前のレンズ面に接触してレンズ面を傷つけてしまうことを防止する。
【0042】
キャップ本体201の交換レンズ100に対向する面において、2組の磁石202とヨーク203が配置された位置よりも中心側に内径201aが形成される。キャップ本体201に形成された内径201aは、後述するレンズキャップホルダの中空円板形状のホルダ円板部材の中空部の周囲に形成された吸着円板部材へ向かって突出する突出部の外径と略同一である。これにより、レンズキャップ200をレンズキャップホルダへ吸着保持したときに、吸着円板部材の平面に対する水平方向においてレンズキャップ200の移動を制限することができる。
【0043】
以下、レンズキャップ200において、キャップ本体201の交換レンズ100に対向する面を裏面と呼ぶことがある。これに対する反対を表面と呼ぶことがある。すなわち本実施例のレンズキャップ200において、植毛紙204が配置される面が裏面であり、キャップ本体201が配置される面が表面である。
【0044】
図4は交換レンズ100の先端部にレンズキャップ200を装着した様子を示す断面図である。
【0045】
図4において、上述のとおり、キャップ本体201の内部には2組の磁石202とヨーク203が搭載され、これらは磁力を発生して交換レンズ100の先端部の吸着板101に吸着する。この吸着力によりレンズキャップ200は交換レンズ100の先端部に装着される。
【0046】
レンズキャップ200の裏面において、キャップ本体201の外径と交換レンズ100の先端部のフィルター取付部100aの内径は略同一である。これにより、レンズキャップ200を交換レンズ100への装着したときに、交換レンズ100の最前のレンズ面の全体がキャップ本体201により保護される。また、レンズキャップ200が光軸に対して垂直方向に移動することを制限できる。
【0047】
そもそも先端部にレンズキャップやフィルターを取り付けられない超広角レンズ等の交換レンズを除いて、一般的な交換レンズ100にはフィルターを取り付けるための内径が先端部に形成されている。レンズキャップ200が光軸に対して垂直方向に移動することを制限するために、このフィルター取付部100aの内径を利用することが好ましい。レンズキャップ200で交換レンズ100の先端部の全体を覆う構成とするよりもレンズキャップ200の外径をコンパクトにすることができる。フィルター取付部100aの内径を利用しない場合は、交換レンズ100に別途の形状を追加しなければならず、交換レンズ100やレンズキャップ200の外径が大型化してしまう課題が生じる。
【0048】
レンズキャップ200の裏面において、植毛紙204はキャップ本体201の内部に搭載されている2組の磁石202とヨーク203を隠蔽するように貼着されている。交換レンズ100の先端部において、フロントリング102は吸着板101が取り付けられている箇所を覆うように取り付けられている。したがって、レンズキャップ200を交換レンズ100に装着したときに、磁石202と吸着板101の間には植毛紙204とフロントリング102が介在される。
【0049】
図5は本実施例のレンズキャップホルダの構成を示す分解斜視図である。
【0050】
図5において、300はレンズキャップホルダ、301は吸着円板部材、302はホルダ円板部材、303は両面テープを示す。
【0051】
吸着円板部材301は中空円板形状であり、磁性特性を有する金属などの強磁性体からなる。レンズキャップ200はレンズキャップホルダ300へ装着したときに、磁力により吸着円板部材301に吸着される。
【0052】
吸着円板部材301の周囲の一部には突起部301aが形成されている。突起部301aはレンズキャップホルダ300からレンズキャップ200を取り外す際にレンズキャップホルダ300を支持する部分となる。
【0053】
また、突起部301aにはストラップなどを通す貫通穴301bを形成することができる。図6はレンズキャップホルダ300の貫通穴301bにストラップ304を取り付けた様子を示す斜視図である。
【0054】
図7は吸着円板部材301の周囲の一部又は全体に形成される突起部301aの変形例を示す斜視図である。突起部301aは、図7(a)に示すように吸着円板部材301の周囲から連続的な幅で形成されても良い。また、突起部301aは、図7(b)に示すように吸着円板部材301の周囲に複数形成されても良い。さらに、突起部301aは、図7(c)に示すように吸着円板部材301の周囲の全体に形成されても良い。
【0055】
ホルダ円板部材302は吸着円板部材301と同様に中空円板形状である。両面テープ303も吸着円板部材301及びホルダ円板部材302と同様に中空円板形状である。それぞれの部材は、中空円板形状の中空部301c、302a、303aの中心軸が合うように重なり、両面テープ303により接着されて一体化することでレンズキャップホルダ300となる。
【0056】
本発明において、強磁性体からなる中空円板形状の吸着円板部材を含むレンズキャップホルダの基本的な部材をホルダベースとする。また、本発明のホルダベースは、中空部の周囲にホルダベースの平面に対して垂直な方向に向かって突出する突出部が形成されていることを特徴とする。本実施例において、両面テープ303により吸着円板部材301とホルダ円板部材302とを一体化した部材が本発明に係るホルダベースである。
【0057】
図8は吸着円板部材301の片側において中空部301cの周囲に吸着円板部材301の平面に対して垂直な方向に向かって突出する突出部301dが形成され、吸着円板部材301を本発明に係るホルダベースとする本実施例のレンズキャップホルダ300の変形例を示す斜視図である。ホルダベースが吸着円板部材301のみから構成されることにより、レンズキャップホルダ300を構成する部材の数を少なくすることができる。
【0058】
また、図9は吸着円板部材301の両側において中空部301cの周囲に吸着円板部材301の平面に対して垂直な方向に向かって突出する突出部301dが合成樹脂を材料としたアウトサート成形等により形成され、これを本発明に係るホルダベースとする本実施例のレンズキャップホルダ300の変形例を示す斜視断面図である。ホルダベースが突出部301dの一体成形された吸着円板部材301から構成されることにより、レンズキャップホルダ300の組み立ての工数を少なくすることができる。また、突出部301dがホルダベースの平面に対して垂直な方向に向かって両側に突出するように成形されているため、レンズキャップホルダ300の表面及び背面のどちらにもレンズキャップ200を吸着保持することができる。
【0059】
ホルダ円板部材302は材料に合成樹脂を用いて射出成形により成形される。ホルダ円板部材302の中空部302aの周囲には突出部302bが形成されている。なお、突出部302bはホルダ円板部材302の中空部302aの周囲又は本発明に係るホルダベースの中空部の周囲において全体ではなく一部に形成されても良い。吸着円板部材301とホルダ円板部材302が両面テープ303により接着されると突出部302bは吸着円板部材301へ向かって突出する。レンズキャップ200がレンズキャップホルダ300に吸着保持されたときに、ホルダ円板部材302の突出部302bとキャップ本体201の内径201aは嵌合する。
【0060】
ホルダ円板部材302の突出部302bの形状は複数の種類のレンズキャップ200に対して共通化しておくことが好ましい。レンズキャップホルダ300に対して複数の種類のレンズキャップ200を吸着保持でき、レンズキャップ200の大きさが異なる複数の交換レンズを交換して使用する際に携帯するレンズキャップホルダ300を一つとすることができる。
【0061】
図10はレンズキャップホルダ300にレンズキャップ200を吸着保持した様子を示す断面図である。
【0062】
図10において、上述のとおり、キャップ本体201の内部には2組の磁石202とヨーク203が搭載され、これらは磁力を発生してレンズキャップホルダ300の強磁性体からなる吸着円板部材301に吸着する。この吸着力によりレンズキャップ200はレンズキャップホルダ300に吸着保持される。
【0063】
ホルダ円板部材302の中空部302aの周囲には突出部302bが形成されている。突出部302bの外径はレンズキャップ200のキャップ本体201の内径201aと嵌合する。これにより、レンズキャップ200の脱着時の移動方向はレンズキャップホルダ300の吸着円板部材301の平面に対して垂直な方向のみに制限される。
【0064】
レンズキャップホルダ300とレンズキャップ200との吸着力は吸着円板部材301の平面に対して垂直な方向のみにはたらき、吸着円板部材301の平面に対して水平な方向にははたらかない。吸着円板部材301の平面に対して水平な方向には植毛紙204と吸着円板部材301との平面同士の摩擦力による保持力がはたらく。しかしながら、摩擦力による保持力は磁力による吸着力よりも弱く、振動や衝撃等の外力により容易に解除されてしまうおそれがある。特に、本実施例のレンズキャップホルダ300及びレンズキャップ200のように間に植毛紙204が介在される場合には摩擦力による保持力はさらに弱くなってしまう。
【0065】
振動や衝撃等の外力が摩擦力による保持力を超えると、吸着円板部材301の平面に対して水平な方向において2組の磁石202とヨーク203と吸着円板部材301との位置がずれてしまうおそれがある。2組の磁石202とヨーク203と吸着円板部材301との距離が離れると吸着力が弱まり、レンズキャップ200がレンズキャップホルダ300から外れる原因となる。
【0066】
本実施例のレンズキャップホルダ300及びレンズキャップ200では、レンズキャップ200がレンズキャップホルダ300に吸着保持されたときに、ホルダ円板部材302の突出部302bの外径とキャップ本体201の内径201aは嵌合する。これにより、2組の磁石202とヨーク203と吸着円板部材301とのの水平方向の位置が変化せず、2組の磁石202とヨーク203と吸着円板部材301の磁力による吸着力を維持できる。したがって、レンズキャップ200がレンズキャップホルダ300から脱落してしまうことを防止できる。
【0067】
図11はレンズキャップホルダ300からレンズキャップ200を取り外す様子を示す斜視断面図である。
【0068】
図11において、上述のとおり、吸着円板部材301及びホルダ円板部材302は中空円板形状であり、これらが接着されて一体化されたレンズキャップホルダ300も中空円板形状である。
【0069】
以下、レンズキャップホルダ300において、レンズキャップ200が装着されない面を背面と呼ぶことがある。すなわち本実施例のレンズキャップホルダ300において、ホルダ円板部材302が配置されている側の面が背面である。
【0070】
レンズキャップ200をレンズキャップホルダ300へ吸着保持したときに、レンズキャップホルダ300は中空円板形状であるため、レンズキャップ200の裏面はレンズキャップホルダ300の背面において露出している。レンズキャップホルダ300からレンズキャップ200を取り外す際に、ユーザーはレンズキャップホルダ300の背面から中空部に指を通し、指でレンズキャップ200の裏面に押し出す力Aを与えることができる。ユーザーは同時に他の指などで吸着円板部材301の突出部302bに支持する力Bを与えることができる。これにより、レンズキャップホルダ300とレンズキャップ200の間にはたらく互いを引き離す力が磁力による吸着力を超えるとレンズキャップ200をレンズキャップホルダ300から取り外すことができる。
【0071】
レンズキャップ200のキャップ本体201の外周にはくぼみ部201bが形成されている。くぼみ部201bは主にレンズキャップ200を交換レンズ100の先端部から取り外すための形状である。ユーザーは、レンズキャップ200をレンズキャップホルダ300から取り外す場合にも、くぼみ部201bに指を掛けてレンズキャップ200をレンズキャップホルダ300から取り外すことができる。しかしながら、この場合には、キャップ本体201の外周のくぼみ部201bにバランス良く力をかける必要があるために複数の指を同時にくぼみ部201bにかけなければならない。したがって、吸着円板部材301の突起部301aはもう片方の手で支持しなければならず、ユーザーは両手でレンズキャップ200をレンズキャップホルダ300から取り外さなければならなくなってしまう。
【0072】
本実施例のレンズキャップホルダ300及びレンズキャップ200では、ユーザーはレンズキャップホルダ300の背面から中空部に指を通すことができ、レンズキャップ200の中心の1点に力Aをかけることで全体にバランス良く力を与えることができる。これにより、ユーザーは簡単な操作で安定してレンズキャップ200をレンズキャップホルダ300から取り外すことができる。例えば、ユーザーは、レンズキャップホルダ300の背面から中空部に中指や人差し指を通してレンズキャップ200の裏面から中心の1点に力Aをかけ、同時に吸着円板部材301の突起部301aを親指で力Bをかけて支持し、片手でレンズキャップ200をレンズキャップホルダ300から取り外すこともできる。
【0073】
本発明に係るレンズキャップホルダ及びレンズキャップによれば、撮影時にレンズキャップの紛失を防止しつつ、レンズキャップを撮影時のカメラ操作の邪魔にならないようにレンズキャップホルダに吸着保持することができる。また、レンズキャップをレンズキャップホルダから簡単な操作で取り外すことができる。また、レンズキャップがレンズキャップホルダから容易に脱落することを防止できる。また、レンズキャップをレンズキャップホルダから取り外ししやすくすることができる。また、レンズキャップのキャップ本体の円周に沿って内部に配置された少なくとも2組の磁石とヨークを隠蔽することができ、キャップ本体から脱落することを防止できる。また、レンズ鏡筒の先端部やレンズキャップホルダへのレンズキャップの装着の品位を向上させることができる。
【符号の説明】
【0074】
100 交換レンズ
101 吸着板
102 フロントリング
100a フィルター取付部
200 レンズキャップ
201 キャップ本体
201a 内径
201b くぼみ部
202 磁石
203 ヨーク
204 植毛紙
300 レンズキャップホルダ
301 吸着円板部材
301a 突起部
301b 貫通穴
301c 中空部
301d 突出部
302 ホルダ円板部材
302a 中空部
302b 突出部
303 両面テープ
303a 中空部
304 ストラップ
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
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図9
図10
図11