(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022078622
(43)【公開日】2022-05-25
(54)【発明の名称】センサ保護カバー
(51)【国際特許分類】
H05K 5/03 20060101AFI20220518BHJP
F24F 6/00 20060101ALI20220518BHJP
G01N 25/56 20060101ALN20220518BHJP
【FI】
H05K5/03 A
F24F6/00 E
G01N25/56 Z
【審査請求】未請求
【請求項の数】8
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2020189429
(22)【出願日】2020-11-13
(71)【出願人】
【識別番号】594017695
【氏名又は名称】ウエットマスター株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100081961
【弁理士】
【氏名又は名称】木内 光春
(74)【代理人】
【識別番号】100112564
【弁理士】
【氏名又は名称】大熊 考一
(74)【代理人】
【識別番号】100163500
【弁理士】
【氏名又は名称】片桐 貞典
(74)【代理人】
【識別番号】230115598
【弁護士】
【氏名又は名称】木内 加奈子
(72)【発明者】
【氏名】石井 大揮
(72)【発明者】
【氏名】青木 好行
(72)【発明者】
【氏名】越沼 貴文
【テーマコード(参考)】
2G040
3L055
4E360
【Fターム(参考)】
2G040AA04
2G040BA12
2G040BA23
2G040CA01
2G040DA02
2G040DA21
2G040GA01
2G040GA06
2G040ZA09
3L055BA00
4E360AB06
4E360BA03
4E360BA04
4E360BB12
4E360BB22
4E360BC04
4E360BC06
4E360BD02
4E360BD05
4E360BD06
4E360BD07
4E360CA02
4E360EA05
4E360EA24
4E360EB03
4E360EC05
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4E360EC16
4E360ED02
4E360ED03
4E360ED12
4E360ED14
4E360ED28
4E360EE03
4E360GA11
4E360GA12
4E360GA25
4E360GA47
4E360GA53
4E360GB61
4E360GB62
4E360GB63
4E360GB64
4E360GC08
(57)【要約】 (修正有)
【課題】湿度センサの損傷を抑制しつつ、正確に湿度を検出する。
【解決手段】気化式加湿器において、樹脂によって一体成形されたセンサ保護カバー8は、底部811及び底部811の縁から立ち上がる側壁812a、812b、812c、812dを有する箱型の収容部81と、収容部81の開口を覆うことが可能であり、側壁812cに収容部81の開口を開閉可能に固定された上蓋82と、を備える。側壁には、収容部81の外部と内部を連通させる複数のスリット83a、83bが設けられている。
【選択図】
図4
【特許請求の範囲】
【請求項1】
樹脂によって一体成形されたセンサ保護カバーであって、
底部及び前記底部の縁から立ち上がる側壁を有する箱型の収容部と、
前記収容部の開口を覆うことが可能であり、前記側壁の一部に前記開口を開閉可能に固定された上蓋と、
を備え、
前記側壁には、前記収容部の外部と内部を連通させる複数のスリットが設けられていること、
を特徴とするセンサ保護カバー。
【請求項2】
前記底部は、概略矩形状であり、
前記側壁は、4つ有し、各側壁が前記底部の1辺からそれぞれ立ち上がり、
前記スリットは、前記側壁全てに設けられていること、
を特徴とする請求項1に記載のセンサ保護カバー。
【請求項3】
前記側壁に設けられたスリットは、当該側壁の上端又は下端に達していること、
を特徴する請求項2に記載のセンサ保護カバー。
【請求項4】
前記上蓋には、スリットが設けられていること、
を特徴とする請求項1乃至3の何れかに記載のセンサ保護カバー。
【請求項5】
前記側壁に設けられた一スリットの面積は、他のスリットの面積より大きいこと、
を特徴とする請求項1乃至4の何れかに記載のセンサ保護カバー。
【請求項6】
前記収容部は、前記側壁の内周面に爪部を有し、
センサの実装基板は、前記爪部と前記底部に把持され、固定されていること、
を特徴とする請求項1乃至5の何れかに記載のセンサ保護カバー。
【請求項7】
前記収容部は、センサを支持する複数の支持台と、
前記側壁の内側面に、前記支持台よりも上部に設けられた爪部と、
を有し、
前記センサの実装基板は、前記支持台と前記爪部に把持され、固定されていること、
を特徴とする請求項1乃至5の何れかに記載のセンサ保護カバー。
【請求項8】
前記収容部の外側に向けて延びた前記底部と連続する平板状の固定板を更に備え、
前記固定板は、固定具が挿入される切欠きを有し、
前記切欠きは、前記固定板内から外側に向かって延び、前記固定板の端部にまで達していること、
を特徴とする請求項1乃至7の何れかに記載のセンサ保護カバー。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、センサ保護カバーに関する。
【背景技術】
【0002】
対象空間の湿度や温度を測定する目的で、湿度センサや温度センサが用いられている。例えば、湿度センサは、基板上に誘電体を挟んで対向する2つの電極を設け、電極に交流電圧を印可することで電極間の静電容量を算出する。電極間の静電容量は、誘電体の水分吸収による誘電率変化によって変化する。したがって、電極間の静電容量の変化を算出することで、湿度が測定可能となる。このような湿度センサは、湿度を測定する目的でエアコン等の空調機器や冷蔵庫などに用いられている。また、湿度センサは、湿気の侵入を検知する目的で、プリンタの紙送りや防水機器などにも設置されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
従来、湿度センサは、湿度センサを基板に実装したモジュールタイプのものをそのまま設置対象物に設置されることが多かった。しかし、湿度センサをそのまま設置すると、作業者が湿度センサに触れることにより湿度センサの感湿部が汚染される虞がある。湿度センサの感湿部にコンタミネーションが生じると、湿度センサの出力が不正確となる場合がある。
【0005】
本発明は、上記課題を解決するためになされたものであり、その目的は、基板に実装されたセンサを保護することができるセンサ保護カバーを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
(1)本発明のセンサ保護カバーは、樹脂によって一体成形されたセンサ保護カバーであって、底部及び前記底部の縁から立ち上がる側壁を有する箱型の収容部と、前記収容部の開口を覆うことが可能であり、前記側壁の一部に前記開口を開閉可能に固定された上蓋と、を備え、前記側壁には、前記収容部の外部と内部を連通させる複数のスリットが設けられていること、を特徴とする。
【0007】
(2)前記底部は、概略矩形状であり、前記側壁は、4つ有し、各側壁が前記底部の1辺からそれぞれ立ち上がり、前記スリットは、前記側壁全てに設けられていてもよい。
【0008】
(3)前記側壁に設けられたスリットは、当該側壁の上端又は下端に達していてもよい。また、前記上蓋には、スリットが設けられていてもよい。
【0009】
(4)前記収容部は、前記側壁の内周面に爪部を有し、センサの実装基板は、前記爪部と前記底部に把持され、固定されていてもよい。前記収容部は、センサを支持する複数の支持台と、前記側壁の内側面に、前記支持台よりも上部に設けられた爪部と、を有し、前記センサは、前記支持台と前記爪部に把持され、固定されていてもよい。
【0010】
(5)前記底部から前記底部の外側に向けて延びた平板状の固定板を更に備え、前記固定板は、固定具が挿入される切欠きを有し、前記切欠きは、前記固定板内から外側に向かって延び、前記固定板の端部にまで達していてもよい。
【発明の効果】
【0011】
本発明によれば、湿度センサの損傷を抑制しつつ、正確に湿度を検出することができる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【
図1】気化式加湿器の全体構成を示す斜視図である。
【
図2】センサ保護カバーを設置する電装部の側面の拡大図である。
【
図3】(a)はセンサを収容したセンサ保護カバーの斜視図であり、(b)は分解斜視図である。
【
図4】センサ保護カバーの斜視図であり、(a)は固定板側から見たものであり、(b)は固定板と反対側からみたものである。
【発明を実施するための形態】
【0013】
(構成)
まず、本実施形態のセンサ保護カバーが配置される機器の一例である、気化式加湿器100の構成について説明する。気化式加湿器100は、建物の天井に埋め込まれるように設置される加湿器である。
図1は、本実施形態の気化式加湿器の全体構成を示す斜視図である。気化式加湿器100は、ハウジング1、化粧グリル2及び加湿器本体を備える。加湿器本体は、送風機3、加湿モジュール4、給水装置5、ドレンパン6、センサ保護カバー8、電装部9を備える。なお、
図1では、内部構成を示すため、ハウジング1を透明化して示している。また、センサ保護カバー8の内部には、センサ7が収容されている(
図3参照)。
【0014】
(ハウジング)
ハウジング1は、建物の天井の内部に配置される箱型の部材である。ハウジング1の下面には、矩形状の開口が設けられている。ハウジング1は、加湿器本体を収容する。即ち、ハウジング1は、送風機3、加湿モジュール4、給水装置5、ドレンパン6及びセンサ保護カバー8を収容する。
【0015】
(化粧グリル)
化粧グリル2は、ハウジング1の下面に設けられた開口を覆う矩形状の化粧板である。化粧グリル2は、ハウジング1に対して、開閉可能に固定される。化粧グリル2は、吸気口21及び吹出口22を有する。
【0016】
吸気口21は、化粧グリル2の一方端部側に設けられた概略矩形状の開口である。吸気口21は、ハウジング1内に収容された送風機3に対向するように設けられている。吸気口21は、建物内の空気を加湿器本体に取り込む。吸気口21は、取り込んだ空気を送風機3に供給する。なお、吸気口21と送風機3の間には、不図示のフィルターが吸気口21の背面を覆うように設けられている。吹出口22は、化粧グリル2の他方端部側に設けられた概略矩形状の開口である。加湿モジュール4を通過し加湿された空気が、吹出口22から建物内に供給される。
【0017】
(送風機)
送風機3は、例えば、ファンを用いることができる。送風機3は、ハウジング1の内部において、化粧グリル2の吸気口21側に設けられる。送風機3は、吸気口21と対向するように配置している。送風機3の排出口は、加湿モジュール4の一側面と対向するように設けられる。送風機3は、吸気口21を介して吸入した空気を加湿モジュール4の一側面に供給する。より詳細には、送風機3の排出口側には、加湿モジュール4に供給される空気が、加湿モジュール4の側面全体に広がるように形成された中間スペーサが設けられている。
【0018】
(加湿モジュール)
加湿モジュール4は、例えば、不織布等により形成された断面波形の板状の加湿素材が複数積層された、略直方体形状の部材である。加湿モジュール4は、給水装置5から供給された水を一時的に保持し、この保持した水により送風機3から供給された空気を加湿する。即ち、送風機3から加湿モジュール4の一側面に供給された空気は、加湿モジュール4内を通過することで加湿され、加湿された気体が加湿モジュール4の他側面から排出される。加湿モジュール4は、ドレンパン6に取り外し可能に固定されている。
【0019】
(給水装置)
給水装置5は、給水ヘッダ等を含み、給水ヘッダは加湿モジュール4の上部に配置される。給水装置5は、加湿モジュール4に水を供給する。給水装置5には、不図示の電磁弁等が設けられており、電磁弁等を制御することで、給水や停止、給水量の調整が行われる。
【0020】
(ドレンパン)
ドレンパン6は、加湿モジュール4の下方に設けられる。ドレンパン6は、上面が開口した箱型形状を有する。ドレンパン6の寸法は、加湿モジュール4の幅及び奥行よりも大きく、高さは低い。ドレンパン6は、加湿モジュール4から流れ落ちる水を受けとめ、貯留する。なお、ドレンパン6は、給水装置5の電磁弁において漏水が生じた場合であっても、漏水を受けとめ貯留可能に設計されている。また、ドレンパン6は、ハウジング1に設けられた支持部材から取り外し可能に固定されている。ドレンパン6の底面には、排水口が設けられている。ドレンパン6の底面は、排水口に向かって傾斜を有する。排水口には、下方に向かって延びる管が設けられており、この管に排水キャップが挿入されている。
【0021】
(電装部)
電装部9は、吸気口21と送風機3の間に設けられている直方体形状の部材である。
図2に示すように、電装部9の側面には、後述するセンサ保護カバー8が有する突起85を挿入する凹部91が設けられている。この凹部91の外径は、突起85の外径と略同一の大きさである。なお、電装部9は、凹部91の下方に固定具が挿入される固定孔が設けられており、この固定孔に固定具が挿入される。
【0022】
(センサ)
センサ保護カバー8に収容されるセンサ7は、湿度センサや温度センサ等のセンサ本体が、基板に実装されたモジュールタイプとすることができる。なお、センサ本体としては、他にも光センサや磁気センサなど基板に実装された種々のセンサを用いることができる。すなわち、センサ保護カバー8は、センサ本体が基板に実装されたものであれば、いかなるセンサ7でも装着可能に構成し得る。
【0023】
図3に示すように、センサ7は、センサ本体71、実装基板72及びコネクタ73を含む。センサ本体71は、基板72に実装されるセンサである。以下の例では、センサ本体71として、湿度を検出し信号やデータに変換して出力する湿度センサを一例として説明する。実装基板72は、概略矩形状の基板であり、センサ本体71とコネクタ73を実装可能な寸法を有する。コネクタ73は、気化式加湿器100の電装部9から配線される対となるコネクタと接続可能に構成され、検出した湿度情報を電装部9に伝達する。
【0024】
(センサ保護カバー)
センサ保護カバー8は、センサ7を収容する部材である。センサ保護カバー8は、樹脂によって一体成形される。即ち、センサ保護カバー8は、継ぎ目無く一続きになっている。樹脂としては、ポリプロピレン(polypropylene)、ポリエチレン(polyethylene)、ポリアセタール(polyacetal)など用いることができる。特に、柔軟性があり、破損しにくいポリプロピレンを用いることが好ましい。
【0025】
センサ保護カバー8は、空気の流路であり、かつ、この流路の上流側に設けられている。具体的には、
図1に示すように、電装部9の側面に設けられている。つまり、化粧グリル2を開けると、作業者の手の届く範囲に設けられている。センサ保護カバー8は、収容部81、上蓋82、スリット83及び固定板84を有する。
【0026】
収容部81は、センサ7を収容かつ保持する機能を有する。
図4に示すように、収容部81は、上面が開口した箱型形状となっている。即ち、収容部81は、底部811及び側壁812a、812b、812c、812dを有し、上面が開口している。この上面の開口からセンサ7が収容部81内に挿入される。なお、以下では、側壁812a~812dを区別しない場合には側壁812と記載して説明する。
【0027】
底部811は、概略矩形状の平板である。底部811の底面は、センサ保護カバー8が設置される電装部9の側面と接触する。
図5に示すように、底部811の外底面には突起85が設けられている。突起85は、底部811の外底面から突出する円柱である。ただし、突起85は、円柱以外の形状とすることができる。この突起85は、電装部9の凹部91に挿入可能な寸法を有する。
【0028】
図4に示すように、側壁812は、底部811の内底面の縁から立ち上がっている。底部811の内底面とは、電装部9と接触する底部811の外底面の反対側の端面である。底部811の内底面は、センサ保護カバー8に収容されたセンサ7の実装基板72の下面と対向する。なお、底部811の外底面には、固定板84とは反対側の角部に2つの凹み88が設けられている(
図5参照)。センサ保護カバー8は樹脂で成型されているため、肉厚部分はひけが生じ、成型後応力分布が不安定になり、当該箇所にクラックが生じる虞がある。そのため、凹み88を設けることで、肉厚部分を減らし、応力分布が不安定になることを防止する。
【0029】
側壁812は、底部811の各辺からそれぞれ立ち上がっている。即ち、側壁812は4つ設けられている。4つの側壁812のうち、センサ保護カバー8の長手方向に位置する側壁を812a、側壁812aと対向する側壁を812bとする。また、側壁812aと側壁812bの端部を繋ぐ側壁のうち、上蓋82が接続されている側壁を812c、側壁812cと対向する側壁を812dとする。
【0030】
側壁812a及び側壁812bには、係止部86がそれぞれ設けられている。係止部86は、側壁812a及び側壁812bにおいて、側壁812d側の外面上端にそれぞれ設けられている。係止部86は、側壁812a及び側壁812bから外側に向けて突出している。係止部86に後述する上蓋82の爪部822が嵌合する。
【0031】
また、収容部81には、支持台813a、813b及び爪部814が設けられている。
図4(a)に示すように、支持台813aは、側壁812bと側壁812cが形成する角部と、側壁812bと側壁812dが形成する角部にそれぞれ設けられている。支持台813aは、底部811の内底面から立ち上がる略立方体の台であり、直交する2つの側面を、角部を形成する側壁812bと側壁812c、または角部を形成する側壁812bと側壁812dと同一とする。側壁812と面を同一としない、直交する他の2つの側面が形成する角は面取りされ丸みを帯びた形状となっている。
【0032】
支持台813bは、
図4(b)に示すように、側壁812aと側壁812cが形成する角部と、側壁812aと側壁812dが形成する角部に位置するようにそれぞれ設けられている。支持台813bは、側壁812aと空間を介して対向にするように設けられた、底部811の内底面から立ち上がる立方体の台であり、その一側面を側壁812cまたは812dと同一とする。各支持台813a、813bの高さは同一である。支持部813a、813bの上面は平坦である。各支持部813の上面にセンサ7の底面が当接する。
【0033】
爪部814は、側壁812a、812bの内面から収容部81の内部に向けて突出している突起である。爪部814は、3つ設けられている。具体的には、
図4(a)に示すように、爪部814は、側壁812bの内面の中央部分に1つ設けられている。また、爪部814は、側壁812aの内面の両端部に2つ設けられている。もっとも、爪部814の数や位置は図示の例に限定されない。爪部814は、センサ7の実装基板72が定める固定位置に対応するように設けられていればよい。
【0034】
爪部814は、支持台813a及び支持台813bの上面よりもセンサ7の実装基板72の厚み分高い位置に設けられている。3つの爪部814は、略同一の高さに位置する。センサ7の実装基板72が爪部814に対して嵌め込まれた際に、実装基板72は支持台813a及び支持台813bに支持され、爪部814の下面は、実装基板72の上面に当接する。つまり、センサ7は、支持台813a、813bと爪部814に把持され、固定される。
【0035】
上蓋82は、収容部81の上面の開口を被覆する平板形状の部材である。上蓋82は、側壁812cの上面と接続しており、上蓋82と側壁812cの境目はリビングヒンジになっている。そのため、上蓋82は、収容部81の開口を開閉可能に覆う。上蓋82の下面とセンサ7の上面は、3mm程度離れている。3mm程度離すことで、センサ7の上方に空気を循環させることができ、センサ7が正確に湿度を検出できるとともに、センサ保護カバー8を小型化させることができる。
【0036】
上蓋82は、上蓋82が収容部81の開口を覆う閉位置(
図3に図示)において、上蓋82の長手方向の縁が収容部81側に向けて延びた縁部821を有する。縁部821は、上蓋82が閉位置にあるとき、側壁812a、812bの外面上端を覆う。即ち、上蓋82の短手方向の長さは、収容部81の底部811の短手方向の長さよりも若干長い。縁部821の内面には、突起822がそれぞれ設けられている。突起822は、上蓋82が閉位置にあるとき、側壁812a、812bに設けられた係止部86に対応する位置に配置される。突起822が係止部86にスナップフィットにより嵌合することで、上蓋82は収容部81に固定される。
【0037】
スリット83は、センサ保護カバー8の内部と外部を連通する開口である。スリット83は、複数設けられている。スリット83は、側壁812a、812b、812c、812d及び上蓋82にそれぞれ設けられている。即ち、センサ保護カバー8の底面を除く5面にスリット82が設けられている。なお、スリット83のうち、側壁812aに設けられたスリットを83a、側壁812bに設けられたスリットを83bとし、区別しない場合には、スリット83とする。
【0038】
複数設けられているスリット83の間隔は、2mm以上であることが好ましい。2mmより短い間隔であると、センサ保護カバー8の強度が弱くなる虞がある。また、2mm以上の間隔にすることで、センサ保護カバー8の成型を容易にすることができ、生産性も向上する。
【0039】
側壁812a、812b、812cが有するスリット83は、それぞれの側壁812a、812b、812cの上端又は下端まで達している。具体的には、側壁812a、812bが有するスリット83a、83bは、当該側壁812a、812bの上端にまで達しているが下端には達していない。即ち、側壁812a、812bが有するスリット83は、側壁812a、812bの上端から下端に向けて延びた穴である。一方、側壁813cが有するスリット83は、側壁813cの下端に達しているが上端には達していない。即ち、側壁813cが有するスリット83は、側壁813cの下端から上端に向けて延びた穴である。
【0040】
スリット83の大きさは、全て同一である必要がなく、異なっていてもよい。また、底部811、側壁812a、812b、812c、812d及び上蓋82にそれぞれに設けられるスリット83の数は、同じでもよいし、異なっていてもよい。本実施形態においても、
図3に示すように、側壁812aは大きなスリット83aを1つ有し、側壁812bは、スリット83aよりも小さいスリット83bを2つ有する。
【0041】
スリット83によって開口する開口面積は、収容部81及び上蓋82の面積の3~5割程度であることが好ましい。3割程度より小さいと、センサ保護カバー8内部に空気が流入しにくくなり、誤検知の虞がある。一方、5割程度より大きいと、センサ保護カバー8の強度が低下する。なお、スリット83によって開口する開口面積は、収容部81及び上蓋82の面積の5割程度であることがより好ましい。
【0042】
もっとも、気化式加湿器100の吸気口21側に配置される側壁812aが有するスリット83aの面積は、気化式加湿器100の送風機3側の側壁812bが有するスリット83bの合計の面積より大きい方が好ましい。即ち、本実施形態では、側壁812aが有する1つのスリット83aの面積が、側壁812bが有する2つのスリット83bの面積を足した面積よりも大きい方が好ましい。また、スリット83aの幅は、センサ7を外すときに作業者の指が入る程度の大きさであることが好ましい。本実施形態では、スリット83aの幅は、略13mmである。
【0043】
側壁812dは、コネクタ挿入孔87を有する。コネクタ挿入孔87は、収容部81に収容されたセンサ7のコネクタ73と対向する位置に設けられている。コネクタ挿入孔87は、収容部81の内部と外部を連通する開口である。コネクタ挿入孔87は、側壁812dの上端に達している。コネクタ挿入孔87の大きさは、電装部9から配線されるコネクタより大きい方が好ましい。即ち、コネクタ挿入孔87には、電装部9から配線されるコネクタが挿入されても、コネクタ挿入孔87と電装部9から配線されたコネクタとの間には隙間があり、この隙間をスリット83と捉えることができる。つまり、側壁812dもスリット83を有することになる。
【0044】
固定板84は、センサ保護カバー8を電装部9に固定するための平板状の部材である。固定板84は、収容部81の底部811が延長するように側壁812a外側に向けて突出している。本実施形態では、
図1に示すように、固定板84が吸気口21側に配置される。換言すれば、固定板84は、化粧グリル2を開けたとき、ハウジング1の開口から作業者が目視可能に配置される。
【0045】
固定板84は、ネジ等の固定具が挿入される切欠き841を有する。切欠き841は、固定板84の中央部分から固定板84の縁に向かって延び、底部811と反対側の端部に達している。切欠き841は、概略U字型形状となっている。切欠き841の幅は、ネジ等の固定具の頭部より小さい。電装部9と固定具の頭部に固定板84が挟まれ、センサ保護カバー8は電装部9の側面に固定される。
【0046】
(センサ保護カバーの着脱)
まず、電装部9に対するセンサ保護カバー8の取付けについて説明する。電装部9には凹部91が設けられている。この凹部91がセンサ保護カバー8の設置場所の目印となる。凹部に突起85を挿入する。凹部91に突起85を挿入することで、センサ保護カバー8は仮固定される。そして、切欠き841にネジ等の固定具を挿入するとともに、電装部9の側面に設けられた固定孔に挿入し、締結して、センサ保護カバー8を電装部9に固定する。
【0047】
次に、センサ保護カバー8の取り外しについて説明する。まず、ネジ等の固定具を緩める。本実施形態では、切欠き841は、固定板84の端部にまで達している。そのため、固定具を外す必要がなく、緩めるだけで、切欠き841から固定具を抜くことができる。
【0048】
また、固定板84は吸気口21側に向くように配置されている。即ち、化粧グリル2を開けると、作業者が視認可能な位置に固定板84が設けられている。そのため、作業者は、センサ保護カバー8の着脱を容易に行うことができる。
【0049】
(湿度の検出)
次に、センサ7による湿度の検出について説明する。センサ7は、センサ保護カバー8の収容部81に収容されている。収容部81内に空気が滞留すると、センサ本体71は収容部81内に滞留した空気の湿度を検出し、実際の湿度を正確に検出することができない。
【0050】
もっとも、本実施形態のセンサ保護カバー8には、収容部81の内部と外部を連通する複数のスリット83が側壁812a、812b、812c、812dに設けられているので、スリット83内に空気が流出入する。即ち、収容部81内において、空気は滞留せず、循環する。よって、センサ7は、正確に湿度を検出できる。
【0051】
特に、本実施形態では、上蓋82にもスリット83が設けられている。そのため、空気は、上蓋82も収容部81内に流出入される。よって、収容部81内に空気が滞留することを抑制でき、効果的に空気の循環を促すことができる。
【0052】
さらに、吸気口21側の設けられた側壁812aのスリット83aの面積は、送風機3側に設けられた側壁812bのスリット83bの面積より大きい。建物内の空気は、吸気口21から取り込まれる。そのため、吸気口21側に設けられたスリット83の面積を大きくすることで、収容部81内により多くの空気を流入させることができる。
【0053】
また、より多くの空気をスリット83aから収容部81内に流入させることができるので、新たに流入してきた空気によって収容部81内の空気が押され、スリット83a以外のスリット83から押し出される。よって、空気が収容部81内に滞留することをより効果的に抑制でき、センサ7は、より正確に湿度を検出することができる。
【0054】
(効果)
(1)以上のとおり、本実施形態の樹脂によって一体成形されたセンサ保護カバー8は、底部811及び底部811の縁から立ち上がる側壁812を有する箱型の収容部81と、収容部81の開口を覆うことが可能であり、側壁812の一部に開口を開閉可能に固定された上蓋82と、を備え、側壁812には、収容部81の外部と内部を連通させる複数のスリット83が設けられている。
【0055】
これにより、湿度センサ7はセンサ保護カバー8で保護されているため設置対象物に湿度センサ7を取付ける際に、湿度センサ7が損傷することを抑制でき、湿度検出を正確に行うことができる。
【0056】
もっとも、湿度センサ7が収容部81に収容される場合、収容部81内において空気を循環させないと、湿度センサ7は、正確に湿度を検出することができない。しかし、本実施形態では、収容部81には、収容部81の内部と外部を連通させる複数のスリット83を設けられているので、空気は、スリット83を介して収容部81内に流入でき、又、収容部81からスリット83を介して流出できる。よって、収容部81内においても空気を循環でき、現時点の湿度を正確に検出することができる。
【0057】
(2)底部811は、概略矩形状であり、スリット83は、4つの側壁812a、812b、812c、812d全てに設けられている。これにより、空気の流出入口が増え、収容部81内部で空気が滞留することを抑制することができる。換言すれば、センサ7は、収容部81の内部に滞留した空気の湿度を検出し続けることなく、新たに収容部81内に流入した空気の湿度を検出することができる。よって、センサ7が正確に湿度を検出することができる。
【0058】
(3)側壁812a、812bに設けられたスリット83は、当該側壁812a、812bの上端に達している。側壁812cに設けられたスリット83は、側壁812cの下端に達している。また、側壁812dが有するコネクタ挿入口87は、側壁812dの上端に達している。
【0059】
センサ保護カバー8を射出成型によって形成する際、上型、下型の抜き方向に対して引っ掛けるような形状、即ち、アンダーカット形状があると、射出成型後に金型を抜くことができない。側壁812a、812bのスリット83及び側壁812dのコネクタ挿入孔87は、当該側壁812a、812b、812dの上端に達しているので、金型を上方向に抜くことができる。一方、側壁812cのスリット83は側壁812cの下端に達しているので、下型を下方向に抜くことができる。よって、金型を容易に抜くことができ、作業効率が向上する。
【0060】
また、側壁812a、812bのスリット83及び側壁812dのコネクタ挿入孔87は、当該側壁812a、812b、812dの上端に達し、側壁812cのスリット83は側壁812cの下端に達している。換言すれば、すべてのスリット83が上端又は下端に達しているわけではない。例えば、全てのスリット83が側壁812の上端に達していると、側壁812の上端の強度が低下する。本実施形態のように、上端又は下端に達しているスリット83を設けることで、センサ保護カバー8の強度を向上させることができる。特に、上蓋82と連続する側壁812cのスリット83は、側壁812cの上端に達していない。側壁812cの上端部分は、上蓋82を開閉する際に軸となるため、より強度を高める必要がある。そのため、側壁812cのスリット83を側壁812cの上端に未達とすることで、側壁812cと上蓋82の境目部分の強度を向上させることができる。
【0061】
(4)上蓋82には、スリット83が設けられている。これにより、上蓋82によって収容部81の開口を被覆しても、上蓋82のスリット83を介して空気を流出入させることができる。よって、上蓋82を閉めたとしても、空気が収容部81内で滞留することなく、センサ7は現時点における正確に湿度を検出することができる。また、上蓋82は、縁部821を有する。これにより、上蓋82が縁部821を有していない平板形状の場合と比べて強度が向上する。
【0062】
(5)収容部81は、センサ7を支持する複数の支持台813と、側壁812a、812bに、支持台813よりも上部に設けられた爪部814と、を有し、センサ7は、支持台813と爪部814に把持され、固定されている。このように、センサ7は、支持台813と爪部814によって把持されることで固定されるため、センサ7の着脱が容易なので、作業効率が向上する。
【0063】
(6)底部811から延びた固定板84を更に備え、固定板84は、固定具が挿入される切欠き841を有し、切欠き841は、固定板84の内部から外側に向かって延び、固定板84の縁にまで達している。これにより、センサ保護カバー8を取り外すとき、固定具を外す必要がなく、緩めるだけで、センサ保護カバー8を設置対象物から取り外すことができる。よって、センサ保護カバー8の取り外し作業が容易になる。
【0064】
(7)センサ保護カバー8を構成する樹脂は、ポリプロピレンである。これにより、センサ保護カバー8は、柔軟性を有するとともに強度が向上する。そのため、センサ保護カバー8を設置対象物に設置するときなどによって、センサ保護カバー8が破損しにくくなり、センサ保護カバー8の耐久性が向上する。
【0065】
(8)また、本実施形態の気化式加湿器100は、空気を加湿器本体に取り入れる吸気口21と、吸気口21と対向に配置され、加湿モジュール4に空気を供給する送風機3と、を備え、センサ保護カバー8は、吸気口21と送風機3の間に設けられている。
【0066】
このように、センサ保護カバー8は、建物内から取り込んだ直後の空気が流れる場所に設けられている。そのため、センサ保護カバー8の収容部81の内部にも、建物内から取り込んだ直後の空気が流入する。よって、センサ7は、建物内の湿度を正確に検出することができる。
【0067】
(9)センサ保護カバー8の収容部81は、吸気口21側及び送風機3側にそれぞれスリット83を有し、吸気口21側のスリット83aの面積は、送風機3側のスリット83bの面積より大きい。
【0068】
加湿器本体内では、建物内から取り入れた空気は、吸気口21から送風機3に向かって流れるため、吸気口21側のスリット83aの面積を大きくすることで、より多くの空気を収容部81内に流入させることができる。また、より多くの空気をスリット83aから収容部81内に流入させることで、収容部81内の空気を押し出す力が強くなり、スリット83a以外のスリット83から流出させることができる。そのため、収容部81内で空気が滞留することを更に抑制でき、収容部81内を空気が循環することができ、センサ7が現在の湿度をより正確に検出することができる。
【0069】
また、スリット83aの幅は、センサ7を外すときに作業者の指が入る程度の大きさである。そのため、作業者はスリット83aに指を入れて、センサ7を容易に取り外すことができる。
【0070】
(10)設置対象物である電装部9は、凹部91を有し、底部811は、底部811の底面から延び、凹部91の外径と略同一の大きさの突起85を有し、突起85は、凹部91に挿入されている。このように、設置対象物の凹部がセンサ保護カバー8の固定位置の目印となり、作業者は簡単に固定位置を見つけることができる。また、突起85を凹部に挿入することで、センサ保護カバー8は仮固定される。そのため、本実施形態のような天井内に埋め込まれた気化式加湿器の場合であっても、作業者は、センサ保護カバー8から手を離して本固定の作業を行うことができる。よって、作業効率が向上する。
【0071】
(他の実施形態)
本明細書においては、本発明に係る実施形態を説明したが、この実施形態は例として提示したものであって、発明の範囲を限定することを意図していない。上記のような実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の範囲を逸脱しない範囲で、種々の省略や置き換え、変更を行うことができる。実施形態やその変形は、発明の範囲や要旨に含まれると同様に、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれるものである。
【0072】
本実施形態では、センサ保護カバー8が設置された設置対象物は気化式加湿器100であったが、これに限定されず、センサ保護カバー8は、例えば、換気装置、エアコン及び空気調和機にも設けてもよい。
【0073】
本実施形態では、支持台813bと側壁812aの間の底部811にスリット83が設けられていたため、支持台813bは側壁812aと対向に設けていたが、収容部81の角部の底部811にスリット83を設けず、支持台813aと同様、支持台813bも収容部81の角部に設けてもよい。
【0074】
上蓋82の縁部821には、スリット83を設けていなかったが、縁部821にスリット83を設けてもよい。この場合、縁部821のスリット83は、上蓋82が収容部81の開口を被覆したときに、側壁812a、812bのスリット83と重なる位置に設ける方が好ましい。側壁812a、812bのスリット83と重なる位置に縁部821のスリット83を設けることで、側壁812a、812bのスリット83の上端を縁部821によって覆って空気が流出入できるスリット83の面積を減少させずにすむからである。
【0075】
本実施形態では、支持台813a、813bを設け、その上にセンサ7の実装基板72を載置させたが、支持台813a、813bは設けなくてもよい。この場合、爪部814を底部811の内底面から実装基板72の厚み分高い位置に設けて、実装基板72を底部811と爪部814で把持してもよい。
【符号の説明】
【0076】
100 気化式加湿器
1 ハウジング
2 化粧グリル
21 吸気口
22 吹出口
3 送風機
4 加湿モジュール
5 給水装置
6 ドレンパン
7 センサ
71 センサ本体
72 実装基板
73 コネクタ
8 センサ保護カバー
81 収容部
811 底部
812 側壁
813 支持台
814 爪部
82 上蓋
821 縁部
822 爪部
83、83a、83b スリット
84 固定板
841 切欠き
85 突起
86 係止部
87 コネクタ挿入孔
88 凹み
9 電装部
91 凹部