IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ アルプス電気株式会社の特許一覧

<>
  • 特開-タッチパネル及び表示装置 図1
  • 特開-タッチパネル及び表示装置 図2
  • 特開-タッチパネル及び表示装置 図3
  • 特開-タッチパネル及び表示装置 図4
  • 特開-タッチパネル及び表示装置 図5
  • 特開-タッチパネル及び表示装置 図6
  • 特開-タッチパネル及び表示装置 図7
  • 特開-タッチパネル及び表示装置 図8
  • 特開-タッチパネル及び表示装置 図9
  • 特開-タッチパネル及び表示装置 図10
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022078646
(43)【公開日】2022-05-25
(54)【発明の名称】タッチパネル及び表示装置
(51)【国際特許分類】
   G06F 3/041 20060101AFI20220518BHJP
【FI】
G06F3/041 400
G06F3/041 430
G06F3/041 450
【審査請求】未請求
【請求項の数】6
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2020189469
(22)【出願日】2020-11-13
(71)【出願人】
【識別番号】000010098
【氏名又は名称】アルプスアルパイン株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100107766
【弁理士】
【氏名又は名称】伊東 忠重
(74)【代理人】
【識別番号】100070150
【弁理士】
【氏名又は名称】伊東 忠彦
(72)【発明者】
【氏名】岸田 克彦
(57)【要約】
【課題】高温高湿の環境下に長時間置かれた場合の金属電極の断線を抑制することができるタッチパネル及び表示装置を提供する。
【解決手段】タッチパネルは、複数のセンサ電極が設けられた表示領域と、前記表示領域の周辺に設けられた周辺領域と、を有し、前記周辺領域は、基部と、前記基部の上に設けられた第1パッシベーション層と、前記第1パッシベーション層の上に設けられた第2パッシベーション層と、前記第1パッシベーション層と前記第2パッシベーション層との間に設けられ、前記センサ電極に電気的に接続された金属配線と、を有し、前記周辺領域において、前記第1パッシベーション層に開口部が形成され、前記第2パッシベーション層は、前記開口部を通じて前記基部に接触している。
【選択図】図4
【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数のセンサ電極が設けられた表示領域と、
前記表示領域の周辺に設けられた周辺領域と、
を有し、
前記周辺領域は、
基部と、
前記基部の上に設けられた第1パッシベーション層と、
前記第1パッシベーション層の上に設けられた第2パッシベーション層と、
前記第1パッシベーション層と前記第2パッシベーション層との間に設けられ、前記センサ電極に電気的に接続された金属配線と、
を有し、
前記周辺領域において、前記第1パッシベーション層に開口部が形成され、前記第2パッシベーション層は、前記開口部を通じて前記基部に接触していることを特徴とするタッチパネル。
【請求項2】
前記開口部が前記第1パッシベーション層の複数箇所に形成され、
前記第2パッシベーション層は、前記開口部を通じて前記基部に複数箇所で接触していることを特徴とする請求項1に記載のタッチパネル。
【請求項3】
複数の前記開口部は、一定の間隔で配置されていることを特徴とする請求項1又は2に記載のタッチパネル。
【請求項4】
前記開口部は、前記表示領域からみて前記金属配線よりも外側に設けられていることを特徴とする請求項1乃至3のいずれか1項に記載のタッチパネル。
【請求項5】
前記基部は、
カバーガラスと、
前記カバーガラスの上に設けられたバッファ層と、
を有し、
前記第2パッシベーション層は、前記バッファ層に接触していることを特徴とする請求項1乃至4のいずれか1項に記載のタッチパネル。
【請求項6】
請求項1乃至5のいずれか1項に記載のタッチパネルと、
前記タッチパネルに貼り合わされた表示パネルと、
を有することを特徴とする表示装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、タッチパネル及び表示装置に関する。
【背景技術】
【0002】
表示領域及び周辺領域を備えたタッチパネルが広く使用されている。一般に、表示領域には透明電極が設けられ、周辺領域には金属電極が設けられている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2020-173595号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
タッチパネルを備えた表示装置は、カーナビゲーションシステム等に用いられ、高温高湿の環境下に長時間置かれることがある。従来のタッチパネルでは、高温高湿の環境下に長時間置かれた場合に金属電極に断線が生じることがある。
【0005】
本開示の目的は、高温高湿の環境下に長時間置かれた場合の金属電極の断線を抑制することができるタッチパネル及び表示装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本開示の一形態によれば、複数のセンサ電極が設けられた表示領域と、前記表示領域の周辺に設けられた周辺領域と、を有し、前記周辺領域は、基部と、前記基部の上に設けられた第1パッシベーション層と、前記第1パッシベーション層の上に設けられた第2パッシベーション層と、前記第1パッシベーション層と前記第2パッシベーション層との間に設けられ、前記センサ電極に電気的に接続された金属配線と、を有し、前記周辺領域において、前記第1パッシベーション層に開口部が形成され、前記第2パッシベーション層は、前記開口部を通じて前記基部に接触しているタッチパネルが提供される。
【発明の効果】
【0007】
本開示によれば、高温高湿の環境下に長時間置かれた場合の金属電極の断線を抑制することができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1】実施形態に係る表示装置の概略を示す平面図である。
図2】実施形態に係る表示装置の概略を示す断面図である。
図3】一部を透視して実施形態に係る表示装置におけるタッチパネルを示す平面図である。
図4】実施形態に係る表示装置におけるタッチパネルを示す断面図である。
図5】実施形態に係る表示装置におけるタッチパネルの製造方法を示す断面図(その1)である。
図6】実施形態に係る表示装置におけるタッチパネルの製造方法を示す断面図(その2)である。
図7】実施形態に係る表示装置におけるタッチパネルの製造方法を示す断面図(その3)である。
図8】実施形態に係る表示装置におけるタッチパネルの製造方法を示す断面図(その4)である。
図9】実施形態に係る表示装置におけるタッチパネルの製造方法を示す断面図(その5)である。
図10】実施形態に係る表示装置におけるタッチパネルの製造方法を示す断面図(その6)である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
本願発明者は、従来のタッチパネルにおいて高温高湿の環境下に長時間置かれた場合に金属電極の断線が生じる原因を明らかにすべく鋭意検討を行った。この結果、タッチパネルが複数のパッシベーション層等の積層構造を有しているところ、高温高湿の環境下で層の間に水蒸気が侵入し、気泡が発生し、層の剥がれが生じていることが判明した。また、層の剥がれに伴って金属電極に大きな応力が作用し、金属電極に断線が生じていることも判明した。そこで、本願発明者は、気泡による金属電極の変形を抑制すべく更に鋭意検討を重ね、下記の実施形態に想到した。
【0010】
以下、本開示の実施形態について添付の図面を参照しながら具体的に説明する。なお、本明細書及び図面において、実質的に同一の機能構成を有する構成要素については、同一の符号を付することにより重複した説明を省くことがある。また、本開示において、「透明」及び「透光性」とは、可視光線透過率が50%以上(好ましくは80%以上)の状態を指す。更に、ヘイズ値が6%以下であることが好適である。本開示において「遮光」及び「遮光性」とは、可視光線透過率が50%未満(好ましくは20%未満)の状態を指す。
【0011】
本実施形態は、表示装置に関する。図1は、実施形態に係る表示装置の概略を示す平面図である。図2は、実施形態に係る表示装置の概略を示す断面図である。
【0012】
図1及び図2に示すように、実施形態に係る表示装置1は、タッチパネル100と、表示パネル200とを有し、タッチパネル100と表示パネル200とが光学透明性接着剤(optical clear adhesive:OCA)300により互いに貼り合わされている。
【0013】
表示パネル200は、例えば液晶(liquid crystal display:LCD)パネルである。
【0014】
タッチパネル100は、表示領域110と、表示領域110の周辺に設けられた周辺領域120とを有する。表示領域110は透光性の領域であり、表示領域110を通じて表示パネル200の表示を視認することができる。周辺領域120は遮光性の領域であり、周辺領域120を通じて表示パネル200の表示を視認することができない。
【0015】
表示領域110には、複数のセンサ電極111が設けられている。
【0016】
周辺領域120には、金属配線121が設けられている。複数の金属配線121が周辺領域120に設けられていてもよい。金属配線121はセンサ電極111に電気的に接続されている。
【0017】
タッチパネル100は、例えばカバーガラス132と、バッファ層133とを有する。カバーガラス132は、例えばカバーレンズである。バッファ層133はカバーガラス132の一方の面に設けられている。バッファ層133は、例えば窒化シリコン層又は酸化シリコン層である。カバーガラス132からみてバッファ層133の上に、パッシベーション層151、パッシベーション層152及びパッシベーション層153がこの順で設けられている。パッシベーション層151、パッシベーション層152及びパッシベーション層153は、例えば窒化シリコン層又は酸化シリコン層である。本開示において、カバーガラス132からみてバッファ層133が位置する方向を上方ということがある。カバーガラス132及びバッファ層133の積層体130は基部の一例である。カバーガラス132の他方の面に防眩反射防止(anti-glare anti-reflection:AGAR)フィルム131が設けられていてもよい。
【0018】
表示領域110では、パッシベーション層151の上に透明電極層161が設けられ、透明電極層161がパッシベーション層152に覆われている。つまり、パッシベーション層151とパッシベーション層152との間に透明電極層161が設けられている。また、表示領域110では、パッシベーション層152の上に透明電極層162が設けられ、透明電極層162がパッシベーション層153に覆われている。つまり、パッシベーション層152とパッシベーション層153との間に透明電極層162が設けられている。センサ電極111が透明電極層161及び162に含まれる。透明電極層161及び162の材料は、例えば酸化インジウムスズ(ITO)である。
【0019】
周辺領域120では、バッファ層133の上にブラックマスク(black mask:BM)層141が設けられ、BM層141がパッシベーション層151に覆われている。また、周辺領域120では、パッシベーション層153の上にBM層142が設けられている。BM層141及び142は遮光性の層である。BM層141及び142は、平面視で互いに重なり合う。更に、周辺領域120では、パッシベーション層152の上に金属配線層170が設けられている。つまり、金属配線層170はパッシベーション層152とパッシベーション層153との間に設けられている。平面視で金属配線層170はBM層141及び142と重なり合う。金属配線121が金属配線層170に含まれる。BM層141は第1遮光マスクの一例であり、BM層142は第2遮光マスクの一例である。また、パッシベーション層151及び152の積層体は第1パッシベーション層の一例であり、パッシベーション層153は第2パッシベーション層の一例である。
【0020】
ここで、パッシベーション層151~153の詳細について説明する。図3は、一部を透視して実施形態に係る表示装置におけるタッチパネルを示す平面図である。図4は、実施形態に係る表示装置におけるタッチパネルを示す断面図である。図3には、図1中の領域Xを示す。図3では、カバーガラス132及びバッファ層133を透視している。図4は、図3中のIV-IV線に沿った断面図に相当する。
【0021】
図3及び図4に示すように、周辺領域120には、複数の金属配線121が設けられている。そして、周辺領域120において、パッシベーション層151及び152に複数のビアホール180が形成されている。ビアホール180はパッシベーション層151及び152を貫通する。例えば、ビアホール180は、表示領域110からみて複数の金属配線121よりも外側に設けられており、パッシベーション層152のパッシベーション層153側の面からバッファ層133に達するように形成されている。そして、パッシベーション層153がビアホール180内に入り込み、ビアホール180を通じてバッファ層133に接触している。ビアホール180は、例えば、金属配線121が延びる方向に沿って一定の間隔で配置されている。
【0022】
図3及び図4には、図1において表示領域110の下方に位置し、横方向に延びる金属配線121のみを図示しているが、表示領域110の横方向に位置し、縦方向に延びる金属配線121も、同様に、ラダー状の平面形状を有している。図1において表示領域110の右方に位置する周辺領域120のみを図示しているが、表示領域110の左方に位置する周辺領域120においても、同様に、パッシベーション層153がビアホール180内に入り込み、ビアホール180を通じてバッファ層133に接触している。また、図1において表示領域110の下方に位置する周辺領域においても、同様に、パッシベーション層153がビアホール180内に入り込み、ビアホール180を通じてバッファ層133に接触している。
【0023】
このように構成されたタッチパネル100では、高温高湿の環境下において、金属配線121の近傍で気泡が発生し、気泡から金属配線121に厚さ方向の応力が作用することがある。しかし、パッシベーション層153のバッファ層133に接触する部分がアンカーとして機能し、パッシベーション層153とバッファ層133との間の距離が保持される。従って、気泡の発生に伴う断線を抑制することができる。例えば、温度が85℃、湿度が85%、時間が1000時間の高温高湿耐久試験においても金属配線121の断線を大幅に抑制することができる。
【0024】
なお、ビアホール180は、周辺領域120の金属配線121が形成された部分の全体にわたって一定の間隔で配置されている必要はなく、ビアホール180の個数密度に粗密があってもよい。
【0025】
また、ビアホール180がBM層141に達するように形成されていてもよい。この場合、パッシベーション層153はBM層141に接触し、BM層141も基部に含まれる。
【0026】
次に、実施形態に係る表示装置におけるタッチパネルの製造方法について説明する。図5図10は、実施形態に係る表示装置におけるタッチパネルの製造方法を示す断面図である。
【0027】
まず、図5に示すように、カバーガラス132の上に、バッファ層133と、BM層141とを形成する。BM層141の形成では、例えばウレタン系合成樹脂の塗布及び加熱による硬化処理を行う。次いで、バッファ層133の、パッシベーション層153が接触する部分の上にマスク189を形成する。
【0028】
次いで、図6に示すように、パッシベーション層151及び152を形成する。パッシベーション層151及び152は、例えば化学気相成長(chemical vapor deposition:CVD)法により形成することができる。パッシベーション層151及び152がマスク189の上にも形成されてよい。図示を省略するが、パッシベーション層151の形成とパッシベーション層152の形成との間に透明電極層161を形成する(図2参照)。
【0029】
次いで、図7に示すように、マスク189を除去する。パッシベーション層151及び152がマスク189の上にも形成されていても、この部分はマスク189と共に除去される。マスク189の除去により、パッシベーション層151及び152にビアホール180が形成される。ビアホール180は、バッファ層133に達するように形成される。
【0030】
次いで、図8に示すように、パッシベーション層152の上に複数の金属配線121を形成する。金属配線121は、表示領域110からみてビアホール180よりも内側に形成される。
【0031】
次いで、図9に示すように、金属配線121を覆うパッシベーション層153を形成する。パッシベーション層153の一部はビアホール180内に入り込み、ビアホール180を通じてバッファ層133に接触する。パッシベーション層153は、例えばCVD法により形成することができる。図示を省略するが、パッシベーション層152の形成とパッシベーション層153の形成との間に透明電極層162を形成する(図2参照)。
【0032】
次いで、図10に示すように、パッシベーション層153の上にBM層142を形成する。BM層142の形成では、例えばウレタン系合成樹脂の塗布及び加熱による硬化処理を行う。
【0033】
このようにして、タッチパネル100を製造することができる。
【0034】
タッチパネル100を含む表示装置1を製造する際には、例えば、OCA300を用いてタッチパネル100と表示パネル200とを貼り合わせ、その後、タッチパネル100にAGARフィルム131を貼り付ける。
【0035】
表示装置1によってもタッチパネル100の効果を得ることができる。
【0036】
本開示の表示装置は、例えばカーナビゲーションシステムに好適である。
【0037】
以上、好ましい実施の形態等について詳説したが、上述した実施の形態等に制限されることはなく、特許請求の範囲に記載された範囲を逸脱することなく、上述した実施の形態等に種々の変形及び置換を加えることができる。
【符号の説明】
【0038】
1:表示装置
100:タッチパネル
110:表示領域
111:センサ電極
120:周辺領域
121:金属配線
130:積層体
141、142:ブラックマスク層
151、152、153:パッシベーション層
161、162:透明電極層
170:金属配線層
200:表示パネル
300:光学透明性接着剤
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10