(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022078689
(43)【公開日】2022-05-25
(54)【発明の名称】ガラス板製造方法及びガラス板製造装置
(51)【国際特許分類】
B65H 3/08 20060101AFI20220518BHJP
B65D 85/48 20060101ALI20220518BHJP
B65H 3/54 20060101ALI20220518BHJP
【FI】
B65H3/08 310H
B65D85/48
B65H3/54 310C
B65H3/08 310E
B65H3/08 340
【審査請求】未請求
【請求項の数】12
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2020189553
(22)【出願日】2020-11-13
(71)【出願人】
【識別番号】000232243
【氏名又は名称】日本電気硝子株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100107423
【弁理士】
【氏名又は名称】城村 邦彦
(74)【代理人】
【識別番号】100120949
【弁理士】
【氏名又は名称】熊野 剛
(74)【代理人】
【識別番号】100168550
【弁理士】
【氏名又は名称】友廣 真一
(72)【発明者】
【氏名】大藤 正直
(72)【発明者】
【氏名】倉橋 秀明
(72)【発明者】
【氏名】柿木 浩
【テーマコード(参考)】
3E096
3F343
【Fターム(参考)】
3E096AA06
3E096BA24
3E096BB05
3E096CA21
3E096DA01
3E096DA03
3E096FA27
3E096GA20
3F343FA07
3F343FA12
3F343FC01
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3F343JB28
3F343JD03
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3F343KB05
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3F343LB06
3F343LC08
3F343MB04
3F343MC03
3F343MC06
3F343MC13
3F343MC17
(57)【要約】
【課題】ガラス板の取り出し作業を円滑に行う。
【解決手段】第一ガラス板4の後側保護シート3の上端部3aの一部が露出するように、第一ガラス板4の前側保護シート3をめくり用吸着部材6でめくるめくり工程と、めくり工程で露出した後側保護シート3の上端部3aを押え部材7で押えた状態で、第一ガラス板4と共に前側保護シート3を保持部材8で保持して積層体5から引き離す分離工程とを備える。めくり用吸着部材6は、第一吸着パッド6aと第二吸着パッド6bとを有し、めくり工程では、第一吸着パッド6aで前側保護シート3の重なり部3cを吸着保持すると共に、第二吸着パッド6bで前側保護シート3の上端部3aを吸着保持する。
【選択図】
図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
傾斜姿勢のガラス板と、傾斜姿勢の保護シートとを前後方向に積層して含み、かつ、前記保護シートが、前記ガラス板から食み出す食み出し部と、前記ガラス板と重なる重なり部とを有する積層体から、最前列の第一ガラス板と共に前記第一ガラス板の前側保護シートを順次取り出すガラス板製造方法であって、
前記第一ガラス板の後側保護シートの前記食み出し部の一部が露出するように、めくり用吸着部材で前記前側保護シートをめくるめくり工程と、
前記めくり工程で露出した前記後側保護シートの前記食み出し部を押え部材で押えた状態で、前記第一ガラス板と共に前記前側保護シートを保持部材で保持して前記積層体から引き離す分離工程とを備え、
前記めくり用吸着部材が、第一吸着部材と第二吸着部材とを有し、
前記めくり工程では、前記第一吸着部材で前記前側保護シートの前記重なり部を吸着保持すると共に、前記第二吸着部材で前記前側保護シートの前記食み出し部を吸着保持することを特徴とするガラス板製造方法。
【請求項2】
前記後側保護シートの前記食み出し部を前記押え部材で押えた後、かつ、前記第一ガラス板及び前記前側保護シートを前記保持部材で保持して前記積層体から引き離す前に、前記前側保護シートを吸着保持した前記第一吸着部材及び前記第二吸着部材を、前記めくり工程において前記前側保護シートをめくる前の位置に戻す請求項1に記載のガラス板製造方法。
【請求項3】
前記分離工程では、前記前側保護シートを前記第一吸着部材及び前記第二吸着部材で吸着保持すると共に、前記第一ガラス板及び前記前側保護シートを前記保持部材で保持した状態で、前記前側保護シート及び前記第一ガラス板が前記積層体から引き離される方向に、前記第一吸着部材、前記第二吸着部材及び前記保持部材を移動させる請求項1又は2に記載のガラス板製造方法。
【請求項4】
前記第二吸着部材が前記前側保護シートを吸着保持する保持エリアが、前記押え部材が前記後側保護シートを押える押えエリアよりも幅方向内側に位置する請求項1~3のいずれか1項に記載のガラス板製造方法。
【請求項5】
前記第二吸着部材が吸着保持する前記前側保護シートの前記食み出し部が、前記第一ガラス板の上端縁から上側に食み出している前記前側保護シートの上端部のうち、前記第一ガラス板の上側角部よりも幅方向内側に位置する部分である請求項1~4のいずれか1項に記載のガラス板製造方法。
【請求項6】
前記押え部材が押さえる前記後側保護シートの前記食み出し部が、前記第一ガラス板の上端縁から上側に食み出している前記後側保護シートの上端部のうち、前記第一ガラス板の上側角部よりも幅方向内側に位置する部分である請求項1~5のいずれか1項に記載のガラス板製造方法。
【請求項7】
前記めくり工程では、前記第一ガラス板及び前記前側保護シートを吸着した前記保持部材を定位置で静止させた状態で、前記前側保護シートを吸着保持した前記第一吸着部材及び前記第二吸着部材を移動させる請求項1~6のいずれか1項に記載のガラス板製造方法。
【請求項8】
前記第一吸着部材が前記前側保護シートを吸着保持する保持エリアが、前記保持部材が前記第一ガラス板及び前記前側保護シートを保持する保持エリアよりも幅方向外側に位置する部分を有する請求項7に記載のガラス板製造方法。
【請求項9】
前記前側保護シートに通気用の貫通部を形成し、
前記保持部材が、前記貫通部を介して前記第一ガラス板に作用する負圧により前記第一ガラス板を前記前側保護シートと共に吸着保持する請求項1~8のいずれか1項に記載のガラス板製造方法。
【請求項10】
前記押え部材が、前記後側保護シートを吸着保持する請求項1~9のいずれか1項に記載のガラス板製造方法。
【請求項11】
前記第一吸着部材及び前記第二吸着部材は、吸着パッドである請求項1~10のいずれか1項に記載のガラス板製造方法。
【請求項12】
傾斜姿勢のガラス板と、傾斜姿勢の保護シートとを前後方向に積層して含み、かつ、前記保護シートが、前記ガラス板から食み出す食み出し部と、前記ガラス板と重なる重なり部とを有する積層体から、最前列の第一ガラス板と共に前記第一ガラス板を順次取り出すガラス板製造装置であって、
前記第一ガラス板の後側保護シートの前記食み出し部の一部が露出するように、前記前側保護シートをめくるめくり用吸着部材と、
前記めくり用吸着部材によって露出させた前記後側保護シートの前記食み出し部を押える押え部材と、
前記第一ガラス板と共に前側保護シートを保持して前記積層体から引き離す保持部材とを備え、
前記めくり用吸着部材が、前記前側保護シートの前記重なり部を吸着保持する第一吸着部材と、前記前側保護シートの前記食み出し部を吸着保持する第二吸着部材とを有することを特徴とするガラス板製造装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ガラス板の製造方法及びその製造装置に関する。
【背景技術】
【0002】
ガラス板は、液晶ディスプレイ、有機ELディスプレイ等の薄型表示機器やセンサの基板、あるいは固体撮像素子やレーザーダイオード等の半導体パッケージ用カバー、さらには薄膜化合物太陽電池の基板等に使用される。
【0003】
この種のガラス板の製造工程では、元になる複数枚のガラス板を保護シートと交互に積層した状態で輸送した後、その積層体から1枚ずつガラス板を取り出して後工程に搬送することが行われている。その具体例として、特許文献1には、パレットの背板に傾斜姿勢で立て掛け支持された積層体から、最前列の第一ガラス板と共にその第一ガラス板の前側に存する前側保護シートを受け渡しパッドにより吸着保持して引き離すことが開示されている。
【0004】
詳細には、同文献では、第一ガラス板の上側角部の保護シートへの刺さりを解消するための刺さり解消パッドが、第一ガラス板の後側に存する後側保護シートの上側角部を吸着保持して押えた状態で、受け渡しパッドにより、第一ガラス板及び前側保護シートを同時に積層体から引き離している。
【0005】
さらに、同文献では、刺さり解消パッドを後側保護シートの上側角部に当接させるために、刺さり解消パッドで後側保護シートの上側角部を吸着保持する前に、めくりパッドで前側保護シートをめくり、後側保護シートの上側角部を露出させている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
特許文献1では、めくりパッドで前側保護シートをめくる際に、めくりパッドが前側保護シートを吸着保持する吸着エリアを、第一ガラス板の上端縁とオーバ-ラップする位置(めくりパッドの吸着エリアの上下方向中間に第一ガラス板の上端縁が存在する位置)に設定している(同文献の段落0034、
図3を参照)。このようにすれば、例えば、めくりパッドの吸着エリアの下半分で、前側保護シートの第一ガラス板との重なり部を吸着保持し、めくりパッドの吸着エリアの残りの上半分で、前側保護シートの第一ガラス板からの食み出し部を吸着保持することになる。
【0008】
しかしながら、前側保護シートの重なり部は、第一ガラス板に沿った平面状であるのに対し、前側保護シートの食み出し部は、第一ガラス板による支持がないため起伏や傾斜等を有する場合がある。つまり、前側保護シートの重なり部と食み出し部との間で、シートの状態が大きく変わり易い。したがって、特許文献1のように、めくり工程において、単一の吸着パッド(めくりパッド)の吸着エリアを第一ガラス板の上端縁とオーバ-ラップする位置に設定しただけでは、前側保護シートの重なり部及び食み出し部を同時に安定して保持することが困難になる。そして、前側保護シートの重なり部及び食み出し部の少なくとも一方に保持不良が生じると、前側保護シートをめくる過程で、前側保護シートが不当に折れ曲がったり他部材に引っ掛かったりする等して、ガラス板の取り出し作業を円滑に行えないおそれがある。
【0009】
本発明は、ガラス板の取り出し作業を円滑に行うことを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
上記の課題を解決するために創案された本発明は、傾斜姿勢のガラス板と、傾斜姿勢の保護シートとを前後方向に積層して含み、かつ、保護シートが、ガラス板から食み出す食み出し部と、ガラス板と重なる重なり部とを有する積層体から、最前列の第一ガラス板と共に第一ガラス板の前側保護シートを順次取り出すガラス板製造方法であって、第一ガラス板の後側保護シートの食み出し部の一部が露出するように、めくり用吸着部材で前側保護シートをめくるめくり工程と、めくり工程で露出した後側保護シートの食み出し部を押え部材で押えた状態で、第一ガラス板と共に前側保護シートを保持部材で保持して積層体から引き離す分離工程とを備え、めくり用吸着部材が、第一吸着部材と第二吸着部材とを有し、めくり工程では、第一吸着部材で前側保護シートの重なり部を吸着保持すると共に、第二吸着部材で前側保護シートの食み出し部を吸着保持することを特徴とする。
【0011】
このようにすれば、めくり工程において、前側保護シートの重なり部及び食み出し部のそれぞれが、第一吸着部材及び第二吸着部材により、別々に吸着保持される。つまり、第一吸着部材の姿勢や吸着力の大きさ等を前側保護シートの重なり部の状態に応じて適正化しつつ、第二吸着部材の姿勢や吸着力の大きさ等を前側保護シートの食み出し部の状態に応じて適正化できる。したがって、前側保護シートの重なり部及び食み出し部を同時に安定して保持できるため、めくり工程において、前側保護シートが、不当に折れ曲がったり他部材に引っ掛かったりする等の不具合を確実に抑制できる。この結果、分離工程において、押え部材で後側保護シートの食み出し部を押えた状態で、保持部材により、第一ガラス板及び前側保護シートを同時に積層体から円滑に引き離すことができる。
【0012】
上記の構成において、後側保護シートの食み出し部を押え部材で押えた後、かつ、第一ガラス板及び前側保護シートを保持部材で保持して積層体から引き離す前に、前側保護シートを吸着保持した第一吸着部材及び第二吸着部材を、前記めくり工程において前記前側保護シートをめくる前の位置に戻すことが好ましい。
【0013】
このようにすれば、第一ガラス板に対する前側保護シートの位置関係の狂いが生じ難い状態で、保持部材により、第一ガラス板及び前側保護シートを同時に積層体から引き離すことができる。
【0014】
上記の構成において、分離工程では、前側保護シートを第一吸着部材及び第二吸着部材で吸着保持すると共に、第一ガラス板及び前側保護シートを保持部材で保持した状態で、前側保護シート及び第一ガラス板が積層体から引き離される方向に、第一吸着部材、第二吸着部材及び保持部材を移動させることが好ましい。
【0015】
このようにすれば、第一ガラス板及び前側保護シートを積層体から引き離す際も、前側保護シートの重なり部と食み出し部とが保持されるため、第一ガラス板に対する前側保護シートの位置関係の狂いがより生じ難くなる。
【0016】
上記の構成において、第二吸着部材が前側保護シートを吸着保持する保持エリアが、押え部材が後側保護シートを押える押えエリアよりも幅方向内側に位置することが好ましい。
【0017】
このようにすれば、第二吸着部材を幅方向内側に移動させても、押え部材と干渉し難くなる。したがって、めくり工程等における第二吸着部材の移動態様の自由度が高まるため、装置構成及び/又は装置動作を簡素化できる。
【0018】
上記の構成において、第二吸着部材が吸着保持する前側保護シートの食み出し部が、第一ガラス板の上端縁から上側に食み出している前側保護シートの上端部のうち、第一ガラス板の上側角部よりも幅方向内側に位置する部分であることが好ましい。
【0019】
第一ガラス板の上側角部よりも幅方向外側では、第一ガラス板の上端縁による前側保護シートの動き(例えば後方への倒れ込み)の規制が弱くなるため、シート状態が不安定になり易い。これに対し、第一ガラス板の上側角部よりも幅方向内側では、第一ガラス板の上端縁による前側保護シートの動きがある程度規制されるため、シート状態が安定し易い。したがって、第二吸着部材は、上記の構成のように、第一ガラス板の上側角部よりも幅方向内側において、前側保護シートの食み出し部を吸着保持することが好ましい。これにより、前側保護シートの食み出し部を確実に吸着保持できる。
【0020】
上記の構成において、押え部材が押さえる後側保護シートの食み出し部が、第一ガラス板の上端縁から上側に食み出している後側保護シートの上端部のうち、第一ガラス板の上側角部よりも幅方向内側に位置する部分であることが好ましい。
【0021】
つまり、第一ガラス板の上側角部よりも幅方向外側では、第一ガラス板の上端縁による後側保護シートの動き(例えば前方又は後方への倒れ込み)の規制が弱くなるため、シート状態が不安定になり易い。これに対し、第一ガラス板の上側角部よりも幅方向内側では、第一ガラス板の上端縁による後側保護シートの動きがある程度規制されるため、シート状態が安定し易い。したがって、押え部材は、上記の構成のように、第一ガラス板の上側角部よりも幅方向内側において、後側保護シートの食み出し部を押えることが好ましい。これにより、後側保護シートの食み出し部を確実に押えることができる。
【0022】
上記の構成において、めくり工程では、第一ガラス板及び前側保護シートを吸着した前記保持部材を定位置で静止させた状態で、前側保護シートを吸着保持した第一吸着部材及び第二吸着部材を移動させることが好ましい。
【0023】
このようにすれば、前側保護シートをめくる間も、保持部材の保持エリアでは、第一ガラス板及び前側保護シートが定位置で保持され、両者の位置関係は一定に維持される。したがって、めくり工程で、第一ガラス板に対する前側保護シートの位置関係の狂いが生じ難くなる。
【0024】
このように保持部材を定位置で静止させた状態で、第一吸着部材及び第二吸着部材を移動させる場合、第一吸着部材が前側保護シートを吸着保持する保持エリアが、保持部材が第一ガラス板及び前側保護シートを保持する保持エリアよりも幅方向外側に位置する部分を有することが好ましい。
【0025】
このようにすれば、保持部材により第一ガラス板及び前側保護シートを定位置で静止させた状態でも、後側保護シートの食み出し部が露出するように前側保護シートをめくり易くなる。
【0026】
上記の構成において、前側保護シートに通気用の貫通部を形成し、保持部材が、貫通部を介して第一ガラス板に作用する負圧により第一ガラス板を前側保護シートと共に吸着保持することが好ましい。
【0027】
このようにすれば、保護シートの材質にかかわらず、貫通部によって保護シートに通気性を持たせることができる。したがって、元々は通気性のない保護シートを使用しても、前側保護シートを介して第一ガラス板を確実に吸着保持できる。
【0028】
上記の構成において、押え部材が、後側保護シートを吸着保持することが好ましい。
【0029】
このようにすれば、押え部材によって、後側保護シートを確実に押えることができる。
【0030】
上記の構成において、第一吸着部材及び第二吸着部材は、吸着パッドであることが好ましい。
【0031】
このようにすれば、保護シート及びガラス板の両方を確実に吸着することができる。
【0032】
上記の課題を解決するために創案された本発明は、傾斜姿勢のガラス板と、傾斜姿勢の保護シートとを前後方向に積層して含み、かつ、前記保護シートが、前記ガラス板から食み出す食み出し部と、前記ガラス板と重なる重なり部とを有する積層体から、最前列の第一ガラス板と共に第一ガラス板の前側保護シートを順次取り出すガラス板製造装置であって、第一ガラス板の後側保護シートの食み出し部の一部が露出するように、前側保護シートをめくるめくり用吸着部材と、めくり用吸着部材により露出した後側保護シートの食み出し部を押える押え部材と、第一ガラス板と共に保護シートを保持して積層体から引き離す保持部材とを備え、めくり用吸着部材が、前側保護シートの重なり部を吸着保持する第一吸着部材と、前側保護シートの食み出し部を吸着保持する第二吸着部材とを有することを特徴とする。
【0033】
このようにすれば、既に述べた対応する構成と同様の作用効果を享受できる。
【発明の効果】
【0034】
本発明によれば、ガラス板の取り出し作業を円滑に行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【0035】
【
図1】本発明の実施形態に係るガラス板製造方法及びそれを実施するための製造装置を示す側面図である。
【
図2】本発明の実施形態に係るガラス板製造方法の手順を示す要部拡大正面図である。
【
図3】本発明の実施形態に係るガラス板製造方法の手順を示す要部拡大正面図である。
【
図4】本発明の実施形態に係るガラス板製造方法の手順を示す要部拡大正面図である。
【
図5】本発明の実施形態に係るガラス板製造方法の手順を示す要部拡大正面図である。
【
図6】本発明の実施形態に係るガラス板製造方法の手順を示す要部拡大正面図である。
【
図7】本発明の実施形態に係るガラス板製造方法の手順を示す要部拡大正面図である。
【
図8】本発明の実施形態に係るガラス板製造方法の手順を示す側面図である。
【
図9】本発明の実施形態に係るガラス板製造方法の手順を示す側面図である。
【
図10】本発明の実施形態に係るガラス板製造方法及びそれを実施するための製造装置で用いられる、第四吸着パッドを示す断面図である。
【
図11】
図10に示した第四吸着パッドの使用状態を示す断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0036】
以下、本発明の実施形態について添付図面を参照して説明する。
【0037】
<ガラス板製造装置>
図1は、本発明の実施形態に係るガラス板製造装置1を示す側面図である。同図における左方向が前方側であって右方向が後方向である。同図に示すように、パレット2の床板2a上には、前後方向に保護シート3とガラス板4とが交互に積層された積層体5が載置されている。積層体5は、パレット2の背板2bに傾斜姿勢で立て掛け支持されている。このため、保護シート3及びガラス板4も傾斜姿勢となっている。
【0038】
図2に示すように、保護シート3の上端部3aは、ガラス板4の上端縁4aから上側に食み出しており、保護シート3の幅方向両端部3bは、ガラス板4の幅方向両端縁4bからそれぞれ幅方向外側に食み出している。つまり、保護シート3のうち、上端部3a及び幅方向両端部3bが、ガラス板4から食み出す食み出し部となる。一方、保護シート3のうち、上端部3a及び幅方向両端部3bを除く部分が、ガラス板4と重なる重なり部3cとなる。
【0039】
保護シート3の上端部3aの食み出し寸法は、例えば40~80mmとされ、保護シート3の幅方向端部3bの食み出し寸法は、例えば40~150mmとされる。
【0040】
保護シート3は、発泡樹脂シート等の合成樹脂、紙等とされる。発泡樹脂シートとしては、例えば、材質がポリエチレン等であって、厚みが0.1~0.5mm、発泡倍率が5~20倍のものを使用できる。保護シート3は、皺の発生を抑制する観点から伸縮性を有することが好ましい。
【0041】
ここで、
図1~
図9では、保護シート3及びガラス板4を簡略化しているが、保護シート3の上端部3aや幅方向端部3bは前側又は後側へ倒れる場合もある。以下の説明においては、積層体5における最前列のガラス板4を第一ガラス板といい、最前列のガラス板4の前側に存する保護シート3を前側保護シートといい、最前列のガラス板4の後側に存する保護シート3を後側保護シートという。
【0042】
図1~
図9に示すように、この製造装置1は、後側保護シート3の食み出し部の一部が露出した状態になるように前側保護シート3をめくるめくり用吸着部材6と、めくり用吸着部材6によって露出させた後側保護シート3の食み出し部を押える押え部材7と、第一ガラス板4と共に前側保護シート3を保持して積層体5から引き離す保持部材8と、保持部材8によって積層体5から引き離された第一ガラス板4及び前側保護シート3を吊り下げ支持するチャック9とを備える。
【0043】
図1、
図3~
図9に示すように、めくり用吸着部材6は、前側保護シート3の重なり部3cを吸着保持する第一吸着パッド6aと、前側保護シート3の食み出し部を吸着保持する第二吸着パッド6bとを別々に備える。第一吸着パッド6aの保持エリアと、第二吸着パッド6bの保持エリアとは、互いに離れて独立している。
【0044】
本実施形態では、
図3に示すように、第一吸着パッド6aは、第一ガラス板4の上側角部4cの近傍で、前側保護シート3の重なり部3cの上部を吸着保持し、第二吸着パッド6bは、第一ガラス板4の上側角部4cよりも幅方向内側で、前側保護シート3の上端部3aを吸着保持するようになっている。
【0045】
図5に示すように、第一吸着パッド6a及び第二吸着パッド6bは、後側保護シート3の上端部3aのうち、第一ガラス板4の上側角部4cよりも幅方向内側に位置する部分を含む露出部Xが形成されるように、前側保護シート3をめくるようになっている。なお、第一ガラス板4に対する前側保護シート3の位置ずれを抑制する観点からは、後側保護シート3の露出部Xの面積は小さいことが好ましい。つまり、第一吸着パッド6a及び第二吸着パッド6bによる前側保護シート3のめくり動作により、後側保護シート3の上端部3aの幅方向中央部は露出させないことが好ましい。この場合、露出部Xは、例えば、後側保護シート3の上側角部を含む三角形状の領域となる。
【0046】
第一吸着パッド6a及び第二吸着パッド6bは、前側保護シート3をめくる際に、前側保護シート3を吸着保持した状態で、前方かつ幅方向内側に向かって斜めに移動するようになっている。なお、第一吸着パッド6a及び第二吸着パッド6bの移動方向は、後側保護シート3に露出部Xが形成される限り、特に限定されない。例えば、第一吸着パッド6a及び第二吸着パッド6bの移動方向は、前方のみ、下方のみ、幅方向内側のみ、あるいは、前方・下方・幅方向内側のうちの少なくとも2方向を含む方向であってもよい。
【0047】
図6~
図9に示すように、押え部材7は、第一吸着パッド6a及び第二吸着パッド6bによって露出させた後側保護シート3の食み出し部を吸着保持する第三吸着パッド7aを備える。
【0048】
本実施形態では、第三吸着パッド7aは、第一ガラス板4の上側角部4cよりも幅方向内側で、後側保護シート3の上端部3aを吸着保持するようになっている。
【0049】
図1、
図3~
図9に示すように、保持部材8は、第一ガラス板4及び前側保護シート3の重なり部3cを同時に吸着保持する第四吸着パッド8aを備える。
【0050】
本実施形態では、第四吸着パッド8aは、第一吸着パッド6aが前側保護シート3を吸着保持する保持エリアよりも下方で、前側保護シート3の重なり部3cの上部と、第一ガラス板4の上部とを吸着保持するようになっている。
【0051】
図8に示すように、第四吸着パッド8aは、第一ガラス板4と前側保護シート3とを吸着保持した状態で、前方(又は前方かつ上方)に移動するようになっている。この際、第一ガラス板4の下端縁4dは、パレット2の床板2aに接地していてもよいし、パレット2の床板2aから離れていてもよい。
【0052】
第四吸着パッド8aが第一ガラス板4及び前側保護シート3を吸着保持する保持エリアは、第一吸着パッド6aが前側保護シート3を吸着保持する保持エリアよりも大きい。同様に、第四吸着パッド8aが第一ガラス板4及び前側保護シート3を吸着保持する保持エリアは、第二吸着パッド6bが前側保護シート3を吸着保持する保持エリアよりも大きい。なお、第一ガラス板4及び前側保護シート3を安定した搬送できる態様であれば、各保持エリアの大小関係はこれに限定されない。
【0053】
図8、
図9に示すように、チャック9は、受け渡し位置Pで、第四吸着パッド8aによって搬送された第一ガラス板4及び前側保護シート3の上端部を把持することで、これらを吊り下げ支持して後工程に搬送するようになっている。受け渡し位置Pは、図示例のようにパレット2上であってもよいし、パレット2から前方や側方等に離れた位置であってもよい。
【0054】
ここで、
図2~
図7では、積層体5の幅方向一方側の半領域を図示し、この半領域におけるめくり用吸着パッド6、押え部材7及び保持部材8の動作を例示している。なお、積層体5の幅方向他方側の半領域についても、幅方向一方側の半領域と対称となるように、めくり用吸着パッド6、押え部材7及び保持部材8を配置してもよい。あるいは、積層体5の幅方向他方側の半領域には、めくり用吸着パッド6等の代わりに作業者を配置し、幅方向一方側の半領域に配置されためくり用吸着パッド6、押え部材7及び保持部材8の動作を補助するようにしてもよい。
【0055】
<ガラス板製造方法>
次に、上記の構成を備えた製造装置1を用いたガラス板製造方法を説明する。この製造方法は、第一押え工程と、めくり工程と、第二押え工程と、分離工程と、搬送工程とをこの順に含む。
【0056】
(第一押え工程)
図2に示すように、第一押え工程は、第三吸着パッド7aにより、第一ガラス板4の上側角部4cよりも幅方向内側で、前側保護シート3の食み出し部である上端部3aを吸着保持する工程である。これにより、第三吸着パッド7aの保持エリアのシート状態が安定し易くなるため、前側保護シート3の上端部3aを確実に吸着保持できる。なお、第一ガラス板4の上側角部4cよりも幅方向外側では、第一ガラス板4の上端縁4aによる前側保護シート3の動きの規制が弱くなるため、第一ガラス板4の上側角部4cよりも幅方向内側に比べてシート状態が不安定になり易い。
【0057】
(めくり工程)
図3~
図5に示すように、めくり工程は、後側保護シート3の上端部3aのうち、第一ガラス板4の上側角部4cよりも幅方向内側に位置する部分が露出するように、第一吸着パッド6a及び第二吸着パッド6bにより、前側保護シート3をめくる工程である。
【0058】
図3に示すように、めくり工程では、第三吸着パッド7aで前側保護シート3の上端部3aを吸着保持した状態で、第一吸着パッド6a及び第二吸着パッド6bで前側保護シート3を吸着保持すると共に、第四吸着パッド8aで前側保護シート3及び第一ガラス板4を吸着保持する。
【0059】
詳細には、第二吸着パッド6bは、第一ガラス板4の上側角部4cよりも幅方向内側で、前側保護シート3の上端部3aを吸着保持する。これにより、第二吸着パッド6bの保持エリアのシート状態が安定し易くなるため、前側保護シート3の上端部3aを確実に吸着保持できる。
【0060】
第二吸着パッド6bが前側保護シート3を吸着保持する保持エリアは、第三吸着パッド7aが前側保護シート3(又は後側保護シート3)を吸着保持する保持エリアよりも幅方向内側に位置している。これにより、めくり工程で、第二吸着パッド6bを幅方向内側に移動させても、第二吸着パッド6bと第三吸着パッド7aとが互いに干渉し難くなる。
【0061】
第一吸着パッド6aが前側保護シート3を吸着保持する保持エリアは、第四吸着パッド8aが第一ガラス板4及び前側保護シート3を吸着保持する保持エリアよりも幅方向外側に位置する部分を有する。これにより、第一吸着パッド6aが、第四吸着パッド8aよりも幅方向外側で前側保護シート3を吸着保持できる。このため、めくり工程で、第一ガラス板4及び前側保護シート3を吸着保持した第四吸着パッド8aを定位置で静止させた状態でも、第一吸着パッド6aを幅方向内側に移動させて、前側保護シート3をめくり易くなる。なお、本実施形態では、第二吸着パッド6bが前側保護シート3を吸着保持する保持エリアは、第一吸着パッド6aが前側保護シート3を吸着保持する保持エリアよりも幅方向内側に位置する。
【0062】
図4に示すように、めくり工程では、第一吸着パッド6a、第二吸着パッド6b及び第四吸着パッド8aによる吸着保持が完了した段階で、第三吸着パッド7aは、前側保護シート3の吸着保持を解除して前側保護シート3から離れる。
【0063】
図5に示すように、めくり工程では、第三吸着パッド7aが離れた後、前側保護シート3及び第一ガラス板4を吸着保持した第四吸着パッド8aを定位置で静止させた状態で、前側保護シート3を吸着保持した第一吸着パッド6a及び第二吸着パッド6bを移動させる。これにより、後側保護シート3の上端部3aのうち、第一ガラス板4の上側角部4cよりも幅方向内側に位置する部分が露出するように、前側保護シート3がめくられる。この結果、後側保護シート3において、露出部Xが形成される。このようにすれば、前側保護シート3の重なり部3c及び上端部3aのそれぞれが、第一吸着パッド6a及び第二吸着パッド6bにより、別々に吸着保持される。つまり、第一吸着パッド6aの姿勢や吸着力の大きさ等を前側保護シート3の重なり部3cの状態に応じて適正化しつつ、第二吸着パッド6bの姿勢や吸着力の大きさ等を前側保護シート3の上端部3aの状態に応じて適正化できる。したがって、前側保護シート3の重なり部3c及び上端部3aを同時に安定して保持できるため、めくり工程において、前側保護シート3が、不当に折れ曲がったり他部材に引っ掛かったりする等の不具合を確実に抑制できる。
【0064】
(第二押え工程)
図6に示すように、第二押え工程は、露出した後側保護シート3の上端部3aを、第三吸着パッド7aにより、第一ガラス板4の上側角部4cよりも幅方向内側で吸着保持して押える工程である。
【0065】
本実施形態では、
図7に示すように、第三吸着パッド7aが後側保護シート3の上端部3aを吸着保持して押えた後、その状態を維持したまま、前側保護シート3を吸着保持した第一吸着パッド6a及び第二吸着パッド6bを元の位置に戻す。この動作により、後側保護シート3を吸着保持した第三吸着パッド7aは、図中に点線で示すように、前側保護シート3の後側に隠れる場合がある。
【0066】
(分離工程)
図8に示すように、分離工程は、第一ガラス板4及び前側保護シート3を積層体5から引き離す工程である。
【0067】
詳細には、分離工程では、第三吸着パッド7aで後側保護シート3の上端部3aを吸着保持して押えた状態で、第一ガラス板4及び前側保護シート3を吸着保持した第四吸着パッド8aを移動させる。これにより、第一ガラス板4及び前側保護シート3を積層体5から引き離す。
【0068】
本実施形態では、第一ガラス板4及び前側保護シート3を積層体5から引き離す際、前側保護シート3を吸着保持した第一吸着パッド6a及び第二吸着パッド6bも、第四吸着パッド8aと共に同方向に移動する。つまり、第四吸着パッド8aによって第一ガラス板4及び前側保護シート3を搬送する際に、前側保護シート3が、第一吸着パッド6a及び第二吸着パッド6bにより補助的に吸着保持される。これにより、第一ガラス板4及び前側保護シート3を同時に積層体5から円滑に引き離すことができる。
【0069】
(搬送工程)
図9に示すように、搬送工程は、チャック9によって第一ガラス板4及び前側保護シート3を把持して搬送する工程である。
【0070】
搬送工程では、第一吸着パッド6a、第二吸着パッド6b及び第四吸着パッド8aにより、第一ガラス板4及び前側保護シート3を受け渡し位置Pまで搬送する。受け渡し位置Pでは、チャック9により、第四吸着パッド8aによって吸着保持された第一ガラス板4及び前側保護シート3の上端部を把持する。これにより、第一ガラス板4及び前側保護シート3が、チャック9に受け渡される。この受け渡しが完了すると、チャック9により、第一ガラス板4及び前側保護シート3を後工程まで搬送する。
【0071】
上記の受け渡し位置Pにおける受け渡しの際、第二吸着パッド6bの吸着保持は、チャック9で第一ガラス板4及び前側保護シート3の上端部を把持する前に解除される。一方、第一吸着パッド6a及び第四吸着パッド8aの吸着保持は、チャック9で第一ガラス板4及び前側保護シート3の上端部を把持した後に解除される。つまり、第二吸着パッド6bの吸着保持が、第一吸着パッド6aの吸着保持よりも先に解除される。これにより、チャック9で把持する前に、前側保護シート3の弾性により、前側保護シート3の上端部の皺が低減する。なお、皺が発生した状態のまま前側保護シート3の上端部をチャック9で把持すれば、後工程で不具合の原因となる前側保護シート3の破れ等が生じるおそれがある。
【0072】
なお、チャック9は、後工程で、姿勢変換装置(図示省略)に前側保護シート3と第一ガラス板4とを受け渡す。姿勢変換装置は、前側保護シート3の上に第一ガラス板4が載置された水平姿勢となるように姿勢変換をした後、搬送コンベアに受け渡す。そして、前側保護シート3の上に第一ガラス板4が載置された状態の下で、第一ガラス板4にスクライブを入れる工程と、そのスクライブに沿って折り割りをする工程とが実行される。その後、前側保護シート3が第一ガラス板4から離れ、第一ガラス板4に対する端面加工や洗浄等が行われる。
【0073】
以上のような動作は、後続のガラス板4及び保護シート3についても同様に行われる。このようにして、ガラス板4の製造ラインでの取り出しから洗浄等までの各工程が実行される。
【0074】
<第四吸着パッド>
図10及び
図11に示すように、第四吸着パッド8aは、ベース部11と、スカート部12とを備える。ベース部11は、ベース本体13と、ベース本体13から延びるアダプタ14とを備える。アダプタ14には、通気路に作用する負圧を伝えるための通孔14aが形成され、ベース本体13には通孔14aに連通する貫通孔13aが形成されている。
【0075】
スカート部12は、シリコン、NBR等の可撓性材料で形成され、ベース本体13から椀状に延びており、ベース本体13と反対側に開口端面12aを形成している。ベース本体13及びスカート部12は、第四吸着パッド8aが吸引力を作用させるための凹陥状内面15を形成している。
【0076】
第四吸着パッド8aはさらに、穿孔用の突起16を備えている。突起16は、凹陥状内面15から開口端面12aに向かって延びている。突起16は、超硬合金等、硬度の高い金属製とするのが好ましい。
【0077】
図11に示すように、第一ガラス板4に重ねられた前側保護シート3に第四吸着パッド8aを当接させた状態で、真空源(図示省略)から第四吸着パッド8aに負圧を作用させると、前側保護シート3が第四吸着パッド8aの凹陥状内面15側へ吸引される。そして、突起16の先端部を越えて吸引されることにより、前側保護シート3に通気用の貫通部Hが形成される。貫通部Hは、前側保護シート3の表裏面を貫通して形成される結果、吸引力が効果的に第一ガラス板4に作用する。こうして吸引が行なわれると、真空源からの負圧は、貫通部Hを通じて第一ガラス板4に作用し、第一ガラス板4は前側保護シート3と共に第四吸着パッド8aに吸着保持される。
【0078】
なお、本発明は、上記実施形態の構成に限定されるものではなく、上記した作用効果に限定されるものでもない。本発明は、本発明の要旨を逸脱しない範囲で種々の変更が可能である。
【0079】
上記の実施形態において第四吸着パッド8aの突起16を省略し、第四吸着パッド8aとは別に、前側保護シート3に通気用の貫通部Hを形成する穿孔用部材を設けてもよい。また、前側保護シート3が通気性を有する材質の場合、前側保護シート3に通気用の貫通部Hを形成するための構成は省略してもよい。
【0080】
上記の実施形態において、第二吸着パッド6b及び/又は第三吸着パッド7aは、保護シート3の幅方向端部3bを吸着保持してもよい。
【0081】
上記の実施形態において、第一吸着パッド6a、第二吸着パッド6b、第三吸着パッド7a、及び第四吸着パッド8aは、吸着パッド以外にも、サイクロンタイプやベルヌーイタイプ等の非接触チャックなどの吸着部材であってもよい。
【0082】
上記の実施形態において、押え部材7は、前側保護シート3及び後側保護シート3を押えることができれば、吸着機構を備えていなくてもよい。
【符号の説明】
【0083】
1 ガラス板製造装置
2 パレット
3 保護シート
3a 上端部(食み出し部)
3b 幅方向端部(食み出し部)
3c 重なり部
4 ガラス板
5 積層体
6 めくり用吸着部材
6a 第一吸着パッド(第一吸着部材)
6b 第二吸着パッド(第二吸着部材)
7 押え部材
7a 第三吸着パッド
8 保持部材
8a 第四吸着パッド
9 チャック