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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022078746
(43)【公開日】2022-05-25
(54)【発明の名称】空気調和システム
(51)【国際特許分類】
   F24F 11/47 20180101AFI20220518BHJP
   F24F 11/62 20180101ALI20220518BHJP
   F24F 11/70 20180101ALI20220518BHJP
   F25B 13/00 20060101ALI20220518BHJP
【FI】
F24F11/47
F24F11/62
F24F11/70
F25B13/00 104
【審査請求】未請求
【請求項の数】6
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2020189634
(22)【出願日】2020-11-13
(71)【出願人】
【識別番号】000220262
【氏名又は名称】東京瓦斯株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000936
【氏名又は名称】特許業務法人青海特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】鈴木 萌
【テーマコード(参考)】
3L092
3L260
【Fターム(参考)】
3L092AA01
3L092AA14
3L092BA00
3L092BA08
3L092DA15
3L092EA00
3L092EA20
3L092FA00
3L092GA11
3L092GA12
3L260AB07
3L260BA42
3L260BA64
3L260CA29
3L260CB62
3L260DA12
3L260DA13
3L260EA06
3L260FA09
3L260FA15
3L260FA16
3L260FB32
3L260FC33
3L260GA17
(57)【要約】
【課題】ガス消費機器と、電力消費機器とを双方とも備えた複数の空気調和装置が異なるエネルギーの使用条件下に配される場合において、複数の空気調和装置を包括的に把握する。
【解決手段】空気調和システム100は、1または複数の空気調和装置150を含んで構成される複数のグループ110と、各グループ110それぞれと通信を行うホスト制御装置130とを備え、ホスト制御装置130が、複数のグループ110それぞれのエネルギーの使用条件を取得し、取得したエネルギーの使用条件に基づいて、各グループ110の稼動比率の推奨値の推算、および、各グループ110における推奨のエネルギー供給源の選定のいずれか一方または双方を実行する。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
1または複数の空気調和装置を含んで構成される複数のグループと、各グループそれぞれと通信を行うホスト制御装置とを備えた空気調和システムであって、
前記空気調和装置は、
ガス消費機器を有し、冷媒または水を、加熱または冷却するガス消費ユニットと、
前記ガス消費ユニットとは独立して構成され、電力消費機器を有し、冷媒または水を、加熱または冷却する電力消費ユニットと、
前記ガス消費ユニットおよび前記電力消費ユニットによって加熱または冷却された、冷媒または水と室内の空気とで熱交換を行う室内熱交換器と、該室内熱交換器に空気を送り熱交換を促進させる室内送風部とを有する1または複数の室内機ユニットと、
を備え、
前記グループは、
他のグループと、エネルギー供給源との契約およびエネルギーの使用条件が独立して設定されており、
前記ホスト制御装置と通信を行うグループ通信部を備え、
前記ホスト制御装置は、
前記複数のグループそれぞれと通信を行うホスト通信部と、
前記ホスト通信部を通じて、前記複数のグループそれぞれのエネルギーの使用条件を取得する条件取得部と、
取得された前記エネルギーの使用条件に基づいて、各グループの稼動比率の推奨値の推算、および、該各グループにおける推奨のエネルギー供給源の選定のいずれか一方または双方を実行する演算部と、
を備える空気調和システム。
【請求項2】
前記エネルギーの使用条件は、電力に関して予め定められた料金規定、ガスに関して予め定められた料金規定、および、電力量に対応する二酸化炭素排出量の群から選択される1または複数であり、
前記演算部は、前記複数のグループ全体において、電力に関して予め定められた料金規定、ガスに関して予め定められた料金規定、および、電力量に対応する二酸化炭素排出量の群から選択される1または複数が最も少なくなるように、各グループの稼動比率の推奨値の推算、および、該各グループにおける推奨のエネルギー供給源の選定のいずれか一方または双方を実行する請求項1に記載の空気調和システム。
【請求項3】
前記グループは、
前記演算部が推算した稼動比率の推奨値に基づいて、前記空気調和装置における前記ガス消費ユニットの運転出力値と前記電力消費ユニットの運転出力値を導出する出力値導出部と、
前記出力値導出部によって導出された運転出力値となるように、前記空気調和装置における前記ガス消費ユニットの運転出力と、前記電力消費ユニットとの運転出力とを制御する運転制御部と、
を備える請求項1または2に記載の空気調和システム。
【請求項4】
各グループには、当該グループでの所定期間における電力の最大使用量である契約電力が設定されており、
前記グループにおいて前記契約電力を超えて電力を使用すると、ペナルティ料金が科され、
前記出力値導出部は、前記電力消費ユニットの使用電力量と、前記グループにおける他の装置の使用電力量との総計が、契約電力未満の所定の制限値に収まる範囲となるように該電力消費ユニットの運転出力値を導出する請求項3に記載の空気調和システム。
【請求項5】
前記出力値導出部は、前記所定の制限値に収まる範囲となるように前記電力消費ユニットの運転出力値を導出する場合であって、前記室内機ユニットにおいて要求される所定の空調負荷を実現できない場合には、前記ガス消費ユニットが停止していると該ガス消費ユニットの運転が開始されるように運転出力値を導出し、該ガス消費ユニットが運転中であると、該ガス消費ユニットの現在の運転出力を上回る運転出力値を導出する請求項4に記載の空気調和システム。
【請求項6】
前記出力値導出部は、前記電力消費ユニットが電力を使用することで生じる二酸化炭素排出量が、所定の制限値に収まる範囲となるように該電力消費ユニットの運転出力値を導出する請求項3に記載の空気調和システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、1または複数の空気調和装置を含んで構成されるグループを複数備えた空気調和システムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来の空気調和装置は、ガスエンジンを駆動源としたエンジン駆動式圧縮機を含んで構成される室外機ユニットを備えたGHP(ガスヒートポンプエアコン)と、電動機を駆動源とした電気駆動式圧縮機を含んで構成される室外機ユニットを備えたEHP(電気式ヒートポンプエアコン)とに大別される。
【0003】
EHPは、ガスエンジンを備えないため、GHPに必要なエンジンオイルの補充や交換、オイルフィルタの交換、点火プラグの点検や交換等のメンテナンスを行う必要がなく、メンテナンスに要するコストがかからない。
【0004】
一方、GHPは、ヒートポンプによる暖房(室内空気の加熱)に加えて、ガスエンジンの排熱を回収して空気を加熱することができるため、EHPと比較して効率的に室内を暖めることが可能となる。また、GHPは、ほとんど電力を消費しないため、EHPと比較して、消費電力を大幅に削減することができるという利点がある。
【0005】
このように、GHPとEHPとはそれぞれ異なる利点を有している。そこで、それぞれの利点を活かすために、1筐体で構成される室外機ユニットに、エンジン駆動式圧縮機と、電気駆動式圧縮機と、室外熱交換器と、各種センサとを収容し、双方の圧縮機を並行して駆動させる空気調和装置が開示されている(例えば、特許文献1)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2007-10291号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
上述したエンジン駆動式圧縮機等のガスを消費するガス消費機器と、電気駆動式圧縮機等の電力を消費する電力消費機器とが一体的に構成される室外機ユニットでは、ガス消費機器と電力消費機器とでセンサや制御機構を共用しているため、センサや制御機構といった共用部が故障した場合、室外機ユニット全体が利用できなくなり、空気調和装置の運転が不可能となる。
【0008】
また、空気調和装置が設置される地域によって、電力供給会社およびガス供給会社が異なる場合があり、この場合、例えば、1つの事業者において、電力供給会社およびガス供給会社が異なる2つの地域に施設A、施設Bを有する場合、施設Aの空気調和装置と施設Bの空気調和装置とを同一の運転出力で駆動したとしても、電力に関して予め定められた料金規定、ガスに関して予め定められた料金規定、電力量に対応する二酸化炭素排出量といったエネルギーの使用条件が異なってしまう。そこで、電力供給会社およびガス供給会社が異なる地域に配された空気調和装置を包括的に把握して、使用した結果生じる、電力の料金、ガスの料金、二酸化炭素排出量を低減させたいという要望がある。
【0009】
本発明は、このような課題に鑑み、ガス消費機器と、電力消費機器とを双方とも備えた複数の空気調和装置が異なるエネルギーの使用条件下に配される場合において、複数の空気調和装置を包括的に把握することができる空気調和システムを提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0010】
上記課題を解決するために、本発明の空気調和システムは、1または複数の空気調和装置を含んで構成される複数のグループと、各グループそれぞれと通信を行うホスト制御装置とを備えた空気調和システムであって、空気調和装置は、ガス消費機器を有し、冷媒または水を、加熱または冷却するガス消費ユニットと、ガス消費ユニットとは独立して構成され、電力消費機器を有し、冷媒または水を、加熱または冷却する電力消費ユニットと、ガス消費ユニットおよび電力消費ユニットによって加熱または冷却された、冷媒または水と室内の空気とで熱交換を行う室内熱交換器と、室内熱交換器に空気を送り熱交換を促進させる室内送風部とを有する1または複数の室内機ユニットと、を備え、グループは、他のグループと、エネルギー供給源との契約およびエネルギーの使用条件が独立して設定されており、ホスト制御装置と通信を行うグループ通信部を備え、ホスト制御装置は、複数のグループそれぞれと通信を行うホスト通信部と、ホスト通信部を通じて、複数のグループそれぞれのエネルギーの使用条件を取得する条件取得部と、取得されたエネルギーの使用条件に基づいて、各グループの稼動比率の推奨値の推算、および、各グループにおける推奨のエネルギー供給源の選定のいずれか一方または双方を実行する演算部と、を備える。
【0011】
また、エネルギーの使用条件は、電力に関して予め定められた料金規定、ガスに関して予め定められた料金規定、および、電力量に対応する二酸化炭素排出量の群から選択される1または複数であり、演算部は、複数のグループ全体において、電力に関して予め定められた料金規定、ガスに関して予め定められた料金規定、および、電力量に対応する二酸化炭素排出量の群から選択される1または複数が最も少なくなるように、各グループの稼動比率の推奨値の推算、および、各グループにおける推奨のエネルギー供給源の選定のいずれか一方または双方を実行してもよい。
【0012】
また、グループは、演算部が推算した稼動比率の推奨値に基づいて、空気調和装置におけるガス消費ユニットの運転出力値と電力消費ユニットの運転出力値を導出する出力値導出部と、出力値導出部によって導出された運転出力値となるように、空気調和装置におけるガス消費ユニットの運転出力と、電力消費ユニットとの運転出力とを制御する運転制御部と、を備えてもよい。
【0013】
また、各グループには、当該グループでの所定期間における電力の最大使用量である契約電力が設定されており、グループにおいて契約電力を超えて電力を使用すると、ペナルティ料金が科され、出力値導出部は、電力消費ユニットの使用電力量と、グループにおける他の装置の使用電力量との総計が、契約電力未満の所定の制限値に収まる範囲となるように電力消費ユニットの運転出力値を導出してもよい。
【0014】
また、出力値導出部は、所定の制限値に収まる範囲となるように電力消費ユニットの運転出力値を導出する場合であって、室内機ユニットにおいて要求される所定の空調負荷を実現できない場合には、ガス消費ユニットが停止しているとガス消費ユニットの運転が開始されるように運転出力値を導出し、ガス消費ユニットが運転中であると、ガス消費ユニットの現在の運転出力を上回る運転出力値を導出してもよい。
【0015】
また、出力値導出部は、電力消費ユニットが電力を使用することで生じる二酸化炭素排出量が、所定の制限値に収まる範囲となるように電力消費ユニットの運転出力値を導出してもよい。
【発明の効果】
【0016】
本発明によれば、ガス消費装置と、電力消費装置とを双方とも備えた複数の空気調和装置が異なるエネルギーの使用条件下に配される場合において、複数の空気調和装置を包括的に把握することができる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
図1】実施形態にかかる空気調和システムの構成を説明するための図である。
図2】空気調和装置の構成を説明するための図である。
図3】ホスト制御装置の構成を説明するための図である。
図4】運転出力値テーブルを示す図である。
図5】GHPチラーを説明する図である。
図6】吸収式冷温水機を説明する図である。
図7】EHPチラーを説明する図である。
図8】ターボ冷凍機を説明する図である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
以下に添付図面を参照しながら、本発明の好適な実施形態について詳細に説明する。かかる実施形態に示す寸法、材料、その他具体的な数値等は、発明の理解を容易とするための例示にすぎず、特に断る場合を除き、本発明を限定するものではない。なお、本明細書および図面において、実質的に同一の機能、構成を有する要素については、同一の符号を付することにより重複説明を省略し、また本発明に直接関係のない要素は図示を省略する。
【0019】
[空気調和システム100]
図1は、本実施形態にかかる空気調和システム100の構成を説明するための図である。図1に示すように、空気調和システム100は、複数のグループ110(図1中、110a、110bで示す)と、通信網120と、ホスト制御装置130とを含んで構成される。
【0020】
グループ110は、1または複数(ここでは、2)の空気調和装置150の集合体であり、エネルギー供給源(電力供給会社、ガス供給会社)との1つの契約で、グループ110を構成するすべての空気調和装置150にエネルギー(電力、ガス)が供給される。したがって、グループ110は、契約が同一であれば、例えば、1つの施設であってもよいし、電力供給会社やガス供給会社が等しい地域のビルや学校等の施設群であってもよい。
【0021】
本実施形態にかかる空気調和システム100は、エネルギー供給源との契約およびエネルギーの使用条件がそれぞれ異なる複数(ここでは、2)のグループ110a、110bを含んで構成される。ここで、エネルギーの使用条件は、電力に関して予め定められた料金規定、ガスに関して予め定められた料金規定、および、電力量に対応する二酸化炭素排出量の群から選択される1または複数であり、例えば、グループ110aとグループ110bとでは地域が異なり、グループ110aの電力供給会社およびガス供給会社と、グループ110bの電力供給会社およびガス供給会社とが異なるため、エネルギーの使用条件が異なるとする。
【0022】
また、グループ110には、CPU(中央処理装置)を含む半導体集積回路で構成され、ROMからCPU自体を動作させるためのプログラムやパラメータ等を読み出し、ワークエリアとしてのRAMや他の電子回路と協働して、グループ110を構成する空気調和装置150全体を管理および制御するグループ制御部112が設けられている。
【0023】
本実施形態において、グループ制御部112は、グループ通信部114、出力値導出部116、運転制御部118としても機能する。グループ通信部114は、通信網120を介してホスト制御装置130と通信を行う。
【0024】
出力値導出部116は、ホスト制御装置130から送信された空気調和装置150の稼動比率に基づいて空気調和装置150の運転出力値を導出する。出力値導出部116による空気調和装置150の運転出力値の導出処理については後に詳述する。
【0025】
運転制御部118は、ユーザによる操作部(例えば、リモートコントローラ)への操作入力に応じて、冷媒の循環方向を切り換え、後述する室内機ユニット300の機能を冷房または暖房に切り換えたり、出力値導出部116が導出した運転出力値となるように空気調和装置150の運転を制御したりする。
【0026】
グループ110を構成する空気調和装置150は、グループ110の施設の空調を実行する。図2は、空気調和装置150の構成を説明するための図である。空気調和装置150は、ビルや学校等の1のグループ110に属する施設に設置され、室外機ユニットとして機能するGHPユニット210と、当該GHPユニット210とは別体であり室外機ユニットとして機能するEHPユニット250と、1または複数の室内機ユニット300と、GHPユニット210、EHPユニット250、室内機ユニット300に冷媒を循環させるための冷媒管330とを含んで構成される。なお、図2中、冷房時の冷媒の流れを実線の矢印で、信号線を破線で示す。
【0027】
GHPユニット210(ガス消費ユニット)は、ガスエンジン212(ガス消費機器)と、ガスエンジン212を駆動源とするエンジン駆動式圧縮機214(ガス消費機器)と、四方弁220と、冷媒と室外の空気とで熱交換を行うGHP室外熱交換器230と、GHP室外熱交換器230に空気を送り熱交換を促進させるGHP送風部232と、GHP制御部240とを含んで構成される。エンジン駆動式圧縮機214の出口は、冷媒管330によって四方弁220の第1ポート(図2中「1」で示す)に接続され、エンジン駆動式圧縮機214の入口は、冷媒管330によって四方弁220の第3ポート(図2中「3」で示す)に接続される。また、GHP室外熱交換器230の一端側は、冷媒管330によって四方弁220の第2ポート(図2中「2」で示す)に接続される。GHP室外熱交換器230の他端側は、冷媒管330によって後述する室内機ユニット300の減圧部310に接続される。四方弁220の第4ポート(図2中「4」で示す)は、冷媒管330によって後述する室内機ユニット300の室内熱交換器320の一端側に接続される。GHP制御部240は、CPU(中央処理装置)を含む半導体集積回路で構成され、運転制御部118からの制御指令に基づいて、GHPユニット210全体(例えば、ガスエンジン212、GHP送風部232、各種センサ等)を制御する。
【0028】
EHPユニット250(電力消費ユニット)は、GHPユニット210とは独立して構成され、電動機252(電力消費機器)と、電動機252を駆動源とする電気駆動式圧縮機254(電力消費機器)と、四方弁260と、冷媒と室外の空気とで熱交換を行うEHP室外熱交換器270と、EHP室外熱交換器270に空気を送り熱交換を促進させるEHP送風部272と、EHP制御部280とを含んで構成される。電気駆動式圧縮機254の出口は、冷媒管330によって四方弁260の第1ポート(図2中「1」で示す)に接続され、電気駆動式圧縮機254の入口は、冷媒管330によって四方弁260の第3ポート(図2中「3」で示す)に接続される。また、EHP室外熱交換器270の一端側は、冷媒管330によって四方弁260の第2ポート(図2中「2」で示す)に接続される。EHP室外熱交換器270の他端側は、冷媒管330によって室内機ユニット300の減圧部310に接続される。四方弁260の第4ポート(図2中「4」で示す)は、冷媒管330によって室内機ユニット300の室内熱交換器320の一端側に接続される。EHP制御部280は、CPU(中央処理装置)を含む半導体集積回路で構成され、運転制御部118からの制御指令に基づいて、EHPユニット250全体(例えば、電動機252、EHP送風部272、各種センサ等)を制御する。
【0029】
本実施形態において、空気調和装置150は、2つの室内機ユニット300(図2中、300a、300bで示す)を備えている。室内機ユニット300は、冷媒を減圧する減圧部310(膨張弁)と、冷媒管330によって減圧部310に接続され冷媒と室内の空気とで熱交換を行う室内熱交換器320と、室内熱交換器320に空気を送り熱交換を促進させる室内送風部322とを含んで構成される。上述したように、減圧部310の一端側は、冷媒管330によってGHP室外熱交換器230、EHP室外熱交換器270の他端側に接続され、減圧部310の他端側は冷媒管330によって室内熱交換器320の他端側に接続され、室内熱交換器320の一端側は冷媒管330によって四方弁220、260の第4ポートに接続されている。
【0030】
したがって、エンジン駆動式圧縮機214や電気駆動式圧縮機254が駆動されると、冷媒は、冷媒管330を循環することとなり、冷媒管330によって一連の循環路が形成される。また、本実施形態において、冷媒が循環する一連の循環路は、GHPユニット210、EHPユニット250、室内機ユニット300aを通る循環路と、GHPユニット210、EHPユニット250、室内機ユニット300bを通る循環路とに分岐されている。
【0031】
なお、室内機ユニット300を冷房として機能させる場合、四方弁220の第1ポートと第2ポートとを接続し、第4ポートと第3ポートとを接続するとともに、四方弁260の第1ポートと第2ポートとを接続し、第4ポートと第3ポートとを接続することで、図2中矢印で示す方向に冷媒を流通させて、圧縮された冷媒をGHP室外熱交換器230、EHP室外熱交換器270に送出する。一方、室内機ユニット300を暖房として機能させる場合、四方弁220の第1ポートと第4ポートとを接続し、第2ポートと第3ポートとを接続するとともに、四方弁260の第1ポートと第4ポートとを接続し、第2ポートと第3ポートとを接続することで、図2中矢印で示す方向とは逆の方向に冷媒を流通させて、圧縮された冷媒を室内熱交換器320に送出する。
【0032】
図1に戻って、通信網120は、LAN、専用回線、インターネット等で構成され、グループ110とホスト制御装置130とを無線または有線により接続する。
【0033】
ホスト制御装置130は、通信網120を介して、各グループ110のグループ通信部114と通信を行い、各グループ110の空気調和装置150の稼動比率の推奨値の推算や、各グループ110における推奨のエネルギー供給源の選定を実行したりする。
【0034】
図3は、ホスト制御装置130の構成を説明するための図である。図3に示すように、ホスト制御装置130は、ホスト制御部132を含んで構成され、ホスト制御部132は、CPU(中央処理装置)を含む半導体集積回路で構成され、ROMからCPU自体を動作させるためのプログラムやパラメータ等を読み出し、ワークエリアとしてのRAMや他の電子回路と協働してホスト制御装置130全体を管理および制御する。
【0035】
本実施形態において、ホスト制御部132は、ホスト通信部134、条件取得部136、演算部138として機能する。ホスト通信部134は、通信網120を介して、複数のグループ110それぞれと通信を行う。
【0036】
条件取得部136は、ホスト通信部134を通じて、複数のグループ110それぞれのエネルギーの使用条件(電力に関して予め定められた料金規定、ガスに関して予め定められた料金規定、電力量に対応する二酸化炭素排出量)を取得する。
【0037】
演算部138は、条件取得部136によって取得された複数のグループ110それぞれのエネルギーの使用条件に基づいて、各グループ110の稼動比率の推奨値の推算、および、各グループ110における推奨のエネルギー供給源の選定のいずれか一方または双方を実行する。
【0038】
上述したように、各グループ110で、エネルギー供給源との契約や、エネルギーの使用条件が独立して設定されるため、グループ110ごとに、電力に関して予め定められた料金規定、ガスに関して予め定められた料金規定、および、電力量に対応する二酸化炭素排出量が異なる場合がある。
【0039】
そこで、演算部138は、複数のグループ110それぞれのエネルギーの使用条件に基づいて、複数のグループ110全体において、電力に関して予め定められた料金規定、ガスに関して予め定められた料金規定、および、電力量に対応する二酸化炭素排出量の群から選択される1または複数が最も少なくなるように、各グループ110の稼動比率の推奨値の推算を実行する。例えば、導出された現在のグループ110aとグループ110bの稼動比率が100%:100%であったところ、同一の運転出力を実現する際の、電力に関して予め定められた料金規定、ガスに関して予め定められた料金規定、および、電力量に対応する二酸化炭素排出量がグループ110aより、グループ110bが少ない場合、演算部138は、グループ110aとグループ110bの稼動比率の推奨値を、80%:120%と推算する。
【0040】
かかる構成により、空気調和システム100全体において、稼動比率の合計を維持したまま、使用した結果生じる、電力の料金、ガスの料金、二酸化炭素排出量を低減できる稼動比率の推奨値を提案することが可能となる。
【0041】
また、近年、同一の地域において、複数の電力供給会社や複数のガス供給会社がエネルギー(電力、ガス)を供給することになったため、空気調和システム100を有する事業者は、エネルギー供給源としての電力供給会社やガス供給会社を選択することが可能となった。
【0042】
そこで、演算部138は、現在の複数のグループ110それぞれのエネルギーの使用条件に基づいて、複数のグループ110全体において、電力に関して予め定められた料金規定、ガスに関して予め定められた料金規定、および、電力量に対応する二酸化炭素排出量の群から選択される1または複数が最も少なくなるエネルギー供給源の選定を実行する。
【0043】
これにより、空気調和システム100全体で、使用した結果生じる、電力の料金、ガスの料金、二酸化炭素排出量を低減可能なエネルギー供給源を提案することが可能となる。
【0044】
続いて、グループ110の出力値導出部116による運転出力値の導出処理について説明する。
【0045】
出力値導出部116は、演算部138が推算した稼動比率の推奨値に基づいて、空気調和装置150におけるGHPユニット210の運転出力値とEHPユニット250の運転出力値を導出する。
【0046】
さらに、出力値導出部116は、演算部138によって推算された稼動比率の推奨値の範囲内で、不図示の記憶部に予め記憶された運転出力値テーブルに基づいて、GHPユニット210とEHPユニット250との運転出力値を導出する。ここで、運転出力値テーブルは、空気調和装置150が設置されるグループ110における他の機器(例えば、照明、パーソナルコンピュータ、冷蔵庫等)の使用電力量とEHPユニット250の使用電力量との総計、GHPユニット210のガスに関して予め定められた料金規定、および、EHPユニット250の電力に関して予め定められた料金規定、および、契約電力に基づいて決定される運転状況と、室内機ユニット300において要求される空調負荷とに基づいて、1つの運転出力値を一義的に導出するためのものである。
【0047】
図4は、運転出力値テーブルを示す図である。図4では、室内機ユニット300において要求される最大の空調負荷を200%とした場合のGHPユニット210、EHPユニット250の運転比率が設定された運転出力値テーブルを示し、GHPユニット210と、EHPユニット250との容量比が100%:100%で設計された空気調和装置150を例に挙げて説明する。
【0048】
また、運転状況として、通常運転する際に参照される「通常Aモード」および「通常Bモード」、GHPユニット210を主に運転する際に参照される「GHP主体モード」、EHPユニット250を主に運転する際に参照される「EHP主体モード」、他の機器の使用電力量が契約電力に逼迫している際に参照される「デマンド1モード」および「デマンド2モード」を例に挙げて説明する。
【0049】
各グループ110には、当該グループ110での所定期間(例えば、1年)における電力の最大使用量(kWh)(詳細には、例えば、所定時間(例えば、30分間)の平均電力使用量の最大値)である契約電力が設定されている。そして契約電力を超えて電力を使用すると、ペナルティ料金が科されることとなる。
【0050】
そこで、出力値導出部116は、空気調和装置150が設置されるグループ110に設けられた使用電力量を検知する検知器からのデマンド信号に基づいて、運転状況を把握する。検知器は、契約電力と、施設全体の使用電力量(空気調和装置150が設置されるグループ110における他の機器の使用電力量とEHPユニット250の使用電力量との総計)との差分Zに応じて、デマンド信号1、デマンド信号2を送信する。ここで、検知器は、例えば、契約電力が100kWである場合に、差分Zが30kW(すなわち、グループ110全体の使用電力量が70kW)となった場合にデマンド信号1を出力値導出部116に出力し、差分Zが10kW(すなわち、グループ110全体の使用電力量が90kW)となった場合にデマンド信号2を出力値導出部116に出力する。
【0051】
出力値導出部116は、デマンド信号1およびデマンド信号2のいずれも受信していない場合、通常運転を行うべく、運転出力値テーブルの「通常Aモード」または「通常Bモード」を参照して、GHPユニット210およびEHPユニット250の運転出力値を導出する。なお、「通常Aモード」は、GHPユニット210およびEHPユニット250を並行して駆動する際にGHPユニット210を先に立ち上げ、「通常Bモード」は、GHPユニット210およびEHPユニット250を並行して駆動する際にEHPユニット250を先に立ち上げるように構成されている。このため、出力値導出部116は、通常運転を実行する場合、「通常Aモード」と「通常Bモード」とを交互に参照することで、GHPユニット210およびEHPユニット250の駆動回数を実質的に均一化している。
【0052】
また、通常運転を行う場合であって、例えば、エネルギー供給源や時間帯等によって、EHPユニット250を最大の運転出力値で駆動させたときに要する電力の料金が、GHPユニット210を最大の運転出力値で駆動させたときに要するガスの料金より高い場合、出力値導出部116は、「GHP主体モード」を参照する。これにより、EHPユニット250よりGHPユニット210の運転出力値を高くすることができ、低コストで、室内機ユニット300において要求される空調負荷を実現することが可能となる。
【0053】
一方、通常運転を行う場合であって、例えば、エネルギー供給源や時間帯等によって、GHPユニット210を最大の運転出力値で駆動させたときに要するガスの料金が、EHPユニット250を最大の運転出力値で駆動させたときに要する電力の料金より高い場合、出力値導出部116は、「EHP主体モード」を参照する。これにより、GHPユニット210よりEHPユニット250の運転出力値を高くすることができ、低コストで、室内機ユニット300において要求される空調負荷を実現することが可能となる。
【0054】
さらに、出力値導出部116は、グループ110全体の使用電力量が契約電力に逼迫しており、EHPユニット250の運転出力によっては、契約電力を超えてしまう場合、つまり、デマンド信号1を受信した場合、「デマンド1モード」を参照して、EHPユニット250に供給される電力と他の機器の使用電力量との総計が契約電力未満の所定の電力値(制限値)内に収まる範囲で、運転出力値を導出する。
【0055】
具体的に説明すると、「デマンド1モード」においては、EHPユニット250に供給される電力と他の機器の使用電力量との総計が最大でも制限値内となる運転出力値(例えば、EHPユニット250の運転出力が60%)となるように運転出力値が割り当てられている。これにより、出力値導出部116は、EHPユニット250の使用電力量と、施設における他の装置の使用電力量との総計が、契約電力未満となるようにEHPユニット250に供給する電力を制限することができる。したがって、空気調和装置150が設置されるグループ110の総計使用電力量が、契約電力を超え、ペナルティ料金が科されてしまう事態を回避することが可能となる。
【0056】
また、この際、出力値導出部116は、室内機ユニット300において要求される所定の空調負荷を実現できない場合には、GHPユニット210が停止しているとGHPユニット210の運転が開始されるように運転出力値を導出し、GHPユニット210が運転中であると、GHPユニット210の現在の運転出力を上回る運転出力値を導出する。これにより、ペナルティ料金が科されてしまう事態を回避しつつ、室内機ユニット300において要求される空調負荷を実現することが可能となる。
【0057】
なお、「デマンド1モード」において、GHPユニット210のみで実現できる室内機ユニット300の空調負荷(例えば、40%、100%)が要求された場合には、GHPユニット210のみが駆動されるように運転出力値が割り当てられている。また、GHPユニット210のみでは実現できない室内機ユニット300の空調負荷(例えば、160%、200%)が要求された場合には、GHPユニット210に加えてEHPユニット250を最大でも制限値内となる運転出力値60%まで駆動させるように運転出力値が割り当てられている。
【0058】
なお、「デマンド1モード」において、室内機ユニット300において要求される空調負荷が最大の200%である場合には、EHPユニット250を最大でも制限値内となる運転出力値60%で駆動させるため、GHPユニット210を運転出力値100%で駆動させたとしても、室内機ユニット300において要求される空調負荷を実現できないものの、ペナルティ料金が科される事態を回避することができる。
【0059】
また、出力値導出部116は、グループ110全体の使用電力量が契約電力に逼迫しており、EHPユニット250を駆動させれば、契約電力を超えてしまう場合、つまり、デマンド信号2を受信した場合、出力値導出部116は、EHPユニット250を駆動させないように設定された「デマンド2モード」を参照する。これにより、出力値導出部116は、空気調和装置150によって契約電力を超えてしまう事態を防止することができる。
【0060】
以上説明したように、本実施形態にかかる空気調和システム100によれば、ホスト制御装置130を備える構成により、エンジン駆動式圧縮機214と、電気駆動式圧縮機254とを双方とも備えた複数の空気調和装置150が異なるエネルギーの使用条件下に配される場合において、複数の空気調和装置150を包括的に把握して、制御することが可能となる。
【0061】
また、空気調和装置150が、GHPユニット210とEHPユニット250とを独立して構成することにより、GHPユニット210およびEHPユニット250のいずれか一方が故障したとしても、室内熱交換器320に冷媒を循環させることができ、空気調和装置150を運転させることが可能となる。
【0062】
また、GHPユニット210とEHPユニット250とは、別体であるため、GHPユニット210の数、および、EHPユニット250の数をそれぞれ増減させて空気調和装置150を構成することができ、効率的に容量の増減を図ることが可能となる。したがって、1台のGHPユニット210自体の部品や、1のEHPユニット250自体の部品を大型化する必要がなく、部品の大型化に伴うコスト上昇を回避することが可能となる。
【0063】
[第1変形例]
上記実施形態において、出力値導出部116は、EHPユニット250の使用電力量と、グループ110における他の装置の使用電力量との総計が、契約電力未満の所定の制限値に収まる範囲となるようにEHPユニット250の運転出力値を導出するとした。
【0064】
しかし、出力値導出部116は、EHPユニット250が電力を使用することで生じる二酸化炭素排出量が、所定の制限値に収まる範囲となるようにEHPユニット250の運転出力値を導出するとしてもよい。かかる構成により、空気調和装置150を運転させることで生じる二酸化炭素排出量を所定量に抑えることが可能となる。
【0065】
[第2変形例]
上記実施形態において、室外機ユニットとして機能するガス消費ユニットとしてGHPユニット210を例に挙げた。しかし、ガス消費ユニットは、ガス消費機器を有し、冷媒または水を、加熱または冷却することができればその構成に限定はない。例えば、ガス消費ユニットは、水を加熱または冷却するGHPチラー500、または、吸収式冷温水機600であってもよい。
【0066】
また、上記実施形態および第1変形例において、室外機ユニットとして機能する電力消費ユニットとしてEHPユニット250を例に挙げた。しかし、電力消費ユニットは、電力消費機器を有し、冷媒または水を、加熱または冷却することができれば構成に限定はない。例えば、電力消費ユニットは、水を加熱または冷却するEHPチラー700、または、ターボ冷凍機800であってもよい。
【0067】
なお、ガス消費ユニットが、GHPチラー500、または、吸収式冷温水機600である場合、および、電力消費ユニットが、EHPチラー700、または、ターボ冷凍機800である場合、室内機ユニット300は、減圧部310を備えない。そして、室内機ユニット300(室内熱交換器320)には、GHPチラー500、吸収式冷温水機600、EHPチラー700、または、ターボ冷凍機800によって加熱または冷却された水が循環する。
【0068】
以下、GHPチラー500、吸収式冷温水機600、EHPチラー700、および、ターボ冷凍機800の一例を説明する。
【0069】
[GHPチラー500]
図5は、GHPチラー500を説明する図である。なお、図5中、冷房時の冷媒の流れを実線の矢印で示す。また、図5中、冷却水の流れを破線の矢印で示す。
【0070】
図5に示すように、GHPチラー500は、冷媒が循環する冷媒管510と、ガスエンジン512(ガス消費機器)と、ガスエンジン512を駆動源とするエンジン駆動式圧縮機514(ガス消費機器)と、四方弁520と、冷媒と室外の空気とで熱交換を行うチラー室外熱交換器530と、チラー室外熱交換器530に空気を送り熱交換を促進させるチラー送風部532と、冷媒を減圧する減圧部540(膨張弁)と、冷却水熱交換器550と、チラー制御部560とを含んで構成される。
【0071】
エンジン駆動式圧縮機514の出口は、冷媒管510によって四方弁520の第1ポート(図5中「1」で示す)に接続され、エンジン駆動式圧縮機514の入口は、冷媒管510によって四方弁520の第3ポート(図5中「3」で示す)に接続される。また、チラー室外熱交換器530の一端側は、冷媒管510によって四方弁520の第2ポート(図5中「2」で示す)に接続される。チラー室外熱交換器530の他端側は、冷媒管510によって減圧部540の一端側に接続される。減圧部540の他端側は、冷媒管510によって冷却水熱交換器550の一端側に接続される。冷却水熱交換器550の他端側は、冷媒管510によって、四方弁520の第4ポート(図5中「4」で示す)に接続される。したがって、エンジン駆動式圧縮機514が駆動されると、冷媒は、冷媒管510を循環することとなり、冷媒管510によって一連の循環路が形成される。
【0072】
また、冷却水熱交換器550は、冷媒と、冷却水戻り管10を通じて室内熱交換器320から返送された冷却水とを熱交換する。冷却水熱交換器550によって熱交換された冷却水は、冷却水送り管20を通じて、室内熱交換器320に導かれる。
【0073】
チラー制御部560は、CPU(中央処理装置)を含む半導体集積回路で構成され、上記運転制御部118からの制御指令に基づいて、GHPチラー500全体(例えば、ガスエンジン512、チラー送風部532、各種センサ等)を制御する。
【0074】
なお、室内機ユニット300を冷房として機能させる場合、四方弁520の第1ポートと第2ポートとを接続し、第4ポートと第3ポートとを接続することで、図5中、実線の矢印で示す方向に冷媒を流通させて、圧縮された冷媒をチラー室外熱交換器530に送出する。一方、室内機ユニット300を暖房として機能させる場合、四方弁520の第1ポートと第4ポートとを接続し、第2ポートと第3ポートとを接続することで、図5中、実線の矢印で示す方向とは逆の方向に冷媒を流通させて、圧縮された冷媒を冷却水熱交換器550に送出する。
【0075】
[吸収式冷温水機600]
図6は、吸収式冷温水機600を説明する図である。図6に示すように、吸収式冷温水機600(ガス消費機器)は、蒸発器610と、吸収器620と、再生器630と、凝縮器640と、冷却塔650と、冷却水循環路660と、冷温水機制御部670とを含んで構成される。なお、図6中、吸収式冷温水機600内を循環する水、吸収液、および、水蒸気の流れを実線の矢印で示す。また、図6中、冷却水循環路660を循環する冷却水の流れを一点鎖線の矢印で示す。さらに、図6中、室内熱交換器320を循環する冷却水の流れを破線の矢印で示す。
【0076】
蒸発器610は、内部に蒸発熱交換器612を備える。蒸発熱交換器612は、一端側に冷却水戻り管10が接続され、他端側に冷却水送り管20が接続される。室内機ユニット300を冷房として機能させる場合、蒸発器610は、後述する凝縮器640から導かれた水(液体)を蒸発させて、気化熱により蒸発熱交換器612を冷却する。また、室内機ユニット300を暖房として機能させる場合、蒸発器610は、後述する再生器630から導かれた高温の水蒸気で蒸発熱交換器612を加熱する。
【0077】
蒸発器610において、蒸発熱交換器612と熱交換が為された後の水蒸気は、吸収器620に導かれる。
【0078】
吸収器620は、蒸発器610から導かれた水蒸気と、後述する再生器630から導かれた吸収液(リーン吸収液)とを接触させて、吸収液に水蒸気を溶け込ませる。吸収液は、例えば、臭化リチウム水溶液である。水蒸気が溶け込んだ吸収液(リッチ吸収液)は、再生器630に導かれる。
【0079】
また、吸収器620内には、吸収液への水蒸気の溶解を向上させるために、吸収液を冷却する吸収熱交換器622が設けられる。
【0080】
再生器630(ガス消費機器)は、ガスを燃焼させるバーナを有し、バーナによってリッチ吸収液を加熱する。そうすると、リッチ吸収液から水蒸気が気化し、リッチ吸収液から水蒸気が取り除かれる。再生器630において、気化した水蒸気は、蒸発器610、または、凝縮器640に導かれる。また、水蒸気が取り除かれたリーン吸収液は、吸収器620に返送される。
【0081】
凝縮器640は、内部に凝縮熱交換器642を備える。凝縮熱交換器642は、後述する冷却水循環路660を通じて冷却塔650から導かれた冷却水と、再生器630から導かれた水蒸気とを熱交換させる。これにより、水蒸気が冷却されて(凝縮して)、水となる。凝縮器640で生成された水は、蒸発器610に導かれる。
【0082】
冷却塔650は、内部に塔熱交換器652を備える。塔熱交換器652は、冷却水循環路660を通じて凝縮熱交換器642から導かれた冷却水と外気とを熱交換する。凝縮熱交換器642によって冷却された冷却水は、冷却水循環路660を通じて、吸収熱交換器622に導かれる。
【0083】
そして、吸収熱交換器622で吸収液と熱交換されることで加熱された冷却水は、凝縮熱交換器642においてさらに加熱されて、塔熱交換器652に導かれる。
【0084】
冷温水機制御部670は、CPU(中央処理装置)を含む半導体集積回路で構成され、上記運転制御部118からの制御指令に基づいて、吸収式冷温水機600全体(例えば、バーナ、バルブ680、682、各種センサ等)を制御する。
【0085】
冷温水機制御部670は、室内機ユニット300を暖房として機能させる場合、再生器630と蒸発器610とを接続する配管に設けられたバルブ680を開弁し、再生器630と凝縮器640とを接続する配管に設けられたバルブ682を閉弁する。また、冷温水機制御部670は、室内機ユニット300を冷房として機能させる場合、再生器630と蒸発器610とを接続する配管に設けられたバルブ680を閉弁し、再生器630と凝縮器640とを接続する配管に設けられたバルブ682を開弁する。
【0086】
[EHPチラー700]
図7は、EHPチラー700を説明する図である。なお、図7中、冷房時の冷媒の流れを実線の矢印で示す。また、図7中、冷却水の流れを破線の矢印で示す。
【0087】
図7に示すように、EHPチラー700は、冷媒が循環する冷媒管710と、電動機712(電力消費機器)と、電動機712を駆動源とする電気駆動式圧縮機714(電力消費機器)と、四方弁720と、冷媒と室外の空気とで熱交換を行うチラー室外熱交換器730と、チラー室外熱交換器730に空気を送り熱交換を促進させるチラー送風部732と、冷媒を減圧する減圧部740(膨張弁)と、冷却水熱交換器750と、チラー制御部760とを含んで構成される。
【0088】
電気駆動式圧縮機714の出口は、冷媒管710によって四方弁720の第1ポート(図7中「1」で示す)に接続され、電気駆動式圧縮機714の入口は、冷媒管710によって四方弁720の第3ポート(図7中「3」で示す)に接続される。また、チラー室外熱交換器730の一端側は、冷媒管710によって四方弁720の第2ポート(図7中「2」で示す)に接続される。チラー室外熱交換器730の他端側は、冷媒管710によって減圧部740の一端側に接続される。減圧部740の他端側は、冷媒管710によって冷却水熱交換器750の一端側に接続される。冷却水熱交換器750の他端側は、冷媒管710によって、四方弁720の第4ポート(図7中「4」で示す)に接続される。したがって、電気駆動式圧縮機714が駆動されると、冷媒は、冷媒管710を循環することとなり、冷媒管710によって一連の循環路が形成される。
【0089】
また、冷却水熱交換器750は、冷媒と、冷却水戻り管10を通じて室内熱交換器320から返送された冷却水とを熱交換する。冷却水熱交換器750によって熱交換された冷却水は、冷却水送り管20を通じて、室内熱交換器320に導かれる。
【0090】
チラー制御部760は、CPU(中央処理装置)を含む半導体集積回路で構成され、上記運転制御部118からの制御指令に基づいて、EHPチラー700全体(例えば、電動機712、チラー送風部732、各種センサ等)を制御する。
【0091】
なお、室内機ユニット300を冷房として機能させる場合、四方弁720の第1ポートと第2ポートとを接続し、第4ポートと第3ポートとを接続することで、図7中、実線の矢印で示す方向に冷媒を流通させて、圧縮された冷媒をチラー室外熱交換器730に送出する。一方、室内機ユニット300を暖房として機能させる場合、四方弁720の第1ポートと第4ポートとを接続し、第2ポートと第3ポートとを接続することで、図7中、実線の矢印で示す方向とは逆の方向に冷媒を流通させて、圧縮された冷媒を冷却水熱交換器750に送出する。
【0092】
[ターボ冷凍機800]
図8は、ターボ冷凍機800を説明する図である。ターボ冷凍機800は、室内機ユニット300を冷房として機能させる。図8に示すように、ターボ冷凍機800は、冷媒が循環する冷媒管810と、電動機812(電力消費機器)と、電動機812を駆動源とする電気駆動式ターボ圧縮機814(電力消費機器)と、凝縮器820と、減圧部830と、蒸発器840と、ターボ制御部850とを含んで構成される。なお、図8中、冷媒の流れを実線の矢印で示す。また、図8中、室内熱交換器320を循環する冷却水の流れを破線の矢印で示す。
【0093】
電気駆動式ターボ圧縮機814は、冷媒を圧縮する。電気駆動式ターボ圧縮機814は、例えば、遠心式圧縮機である。電気駆動式ターボ圧縮機814によって圧縮された冷媒は、凝縮器820に導かれる。
【0094】
凝縮器820は、内部に凝縮熱交換器822を備える。凝縮熱交換器822には、不図示の冷却塔、または、空気熱交換器によって冷却された冷却水が導かれる。凝縮熱交換器822において、冷媒と熱交換されることで加熱された冷却水は、冷却塔、または、空気熱交換器に返送される。
【0095】
減圧部830は、膨張弁、または、エコノマイザで構成される。減圧部830によって膨張された冷媒は、蒸発器840に導かれる。
【0096】
蒸発器840は、内部に冷却水熱交換器842を備える。冷却水熱交換器842は、冷媒と、冷却水戻り管10を通じて室内熱交換器320から返送された冷却水とを熱交換する。冷却水熱交換器842によって熱交換された冷却水は、冷却水送り管20を通じて、室内熱交換器320に導かれる。
【0097】
ターボ制御部850は、CPU(中央処理装置)を含む半導体集積回路で構成され、上記運転制御部118からの制御指令に基づいて、ターボ冷凍機800全体(例えば、電動機812、各種センサ等)を制御する。
【0098】
以上、添付図面を参照しながら本発明の好適な実施形態について説明したが、本発明はかかる実施形態に限定されないことは言うまでもない。当業者であれば、特許請求の範囲に記載された範疇内において、各種の変更例または修正例に想到し得ることは明らかであり、それらについても当然に本発明の技術的範囲に属するものと了解される。
【0099】
例えば、上述した実施形態において、施設全体の使用電力量の逼迫状況を把握するために、デマンド信号を利用した構成を例に挙げて説明した。しかし、施設における他の機器の使用電力量を予め入力しておき、GHPユニット210およびEHPユニット250で使用している電力量を推定して、入力した他の機器の使用電力量と、GHPユニット210およびEHPユニット250の推定使用電力量との和から施設全体の使用電力量の逼迫状況を把握するとしてもよい。
【0100】
また、上述した実施形態および第1変形例において、ガス消費ユニットとして、GHPユニット210を、電力消費ユニットとして、EHPユニット250を例に挙げた。しかし、ガス消費ユニットとして、GHPユニット210、GHPチラー500、および、吸収式冷温水機600の群から選択される1または複数を採用してもよい。また、電力消費ユニットとして、EHPユニット250、EHPチラー700、および、ターボ冷凍機800の群から選択される1または複数を採用してもよい。
【0101】
また、空気調和装置150は、複数の電力消費ユニットを備えてもよい。同様に、空気調和装置150は、複数のガス消費ユニットを備えてもよい。
【産業上の利用可能性】
【0102】
本発明は、1または複数の空気調和装置を含んで構成されるグループを複数備えた空気調和システムに利用することができる。
【符号の説明】
【0103】
100 空気調和システム
110 グループ
114 グループ通信部
116 出力値導出部
118 運転制御部
130 ホスト制御装置
134 ホスト通信部
136 条件取得部
138 演算部
150 空気調和装置
210 GHPユニット(ガス消費ユニット)
212 ガスエンジン(ガス消費機器)
214 エンジン駆動式圧縮機(ガス消費機器)
250 EHPユニット(電力消費ユニット)
252 電動機(電力消費機器)
254 電気駆動式圧縮機(電力消費機器)
300 室内機ユニット
320 室内熱交換器
322 室内送風部
500 GHPチラー(ガス消費ユニット)
512 ガスエンジン(ガス消費機器)
514 エンジン駆動式圧縮機(ガス消費機器)
600 吸収式冷温水機(ガス消費ユニット)
630 再生器(ガス消費機器)
700 EHPチラー(電力消費ユニット)
712 電動機(電力消費機器)
714 電気駆動式圧縮機(電力消費機器)
800 ターボ冷凍機(電力消費ユニット)
812 電動機(電力消費機器)
814 電気駆動式ターボ圧縮機(電力消費機器)
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8