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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022078845
(43)【公開日】2022-05-25
(54)【発明の名称】椅子
(51)【国際特許分類】
   A47C 3/026 20060101AFI20220518BHJP
【FI】
A47C3/026
【審査請求】未請求
【請求項の数】9
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2020189793
(22)【出願日】2020-11-13
(71)【出願人】
【識別番号】000000561
【氏名又は名称】株式会社オカムラ
(71)【出願人】
【識別番号】504150450
【氏名又は名称】国立大学法人神戸大学
(74)【代理人】
【識別番号】100149548
【弁理士】
【氏名又は名称】松沼 泰史
(74)【代理人】
【識別番号】100094400
【氏名又は名称】鈴木 三義
(72)【発明者】
【氏名】野村 元気
(72)【発明者】
【氏名】小田 洋一郎
(72)【発明者】
【氏名】山口 雷藏
【テーマコード(参考)】
3B091
【Fターム(参考)】
3B091AA04
3B091AB03
3B091AC05
3B091AD01
(57)【要約】
【課題】座面を前傾させた状態であっても、良好な着座感を容易に得ることができることができる椅子を提供する。
【解決手段】椅子10は、枢軸18周りに回動自在に設けられた座部20の座面21が、左右方向の中心位置に対して両側にオフセットしたオフセット位置で最も高くなる前側頂部Pfと、オフセット位置で最も低くなる後側底部Prと、前側頂部Pfと後側底部Prとを接続するとともに、前側頂部Pfに対して下方に窪んだ窪み部25を形成する接続面22と、を備え、座部20は、オフセット位置での左右方向のオフセット断面視において接続面22の接線Lsが床面に対して前方に向かうに従い上方に沿って配置される初期使用状態と、オフセット断面視において接線Lsが床面に対して水平又は前方に向かうに従い下方に沿って配置される前傾使用状態と、の間を回動する。
【選択図】図5
【特許請求の範囲】
【請求項1】
床面上に設置される支持構造体と、
上方を向く座面を有し、左右方向に延びる枢軸周りに回動自在に前記支持構造体上に設けられた座部と、を備え、
前記座面は、
前記枢軸に対して前側に位置する前側領域に形成され、前記座面における左右方向の中心位置に対して両側にオフセットしたオフセット位置での前記床面からの高さが最も高くなる前側頂部と、
前記枢軸に対して後側に位置する後側領域において前記オフセット位置での前記床面からの高さが最も低くなる後側底部と、
前記前側頂部と前記後側底部とを接続するとともに、前記前側頂部に対して下方に窪んだ窪み部を形成する接続面と、を備え、
前記座部は、
前記オフセット位置での左右方向のオフセット断面視において前記接続面の接線が前記床面に対して前方に向かうに従い上方に沿って配置される初期使用状態と、
前記オフセット断面視において前記接線が前記床面に対して水平又は前方に向かうに従い下方に沿って配置される前傾使用状態と、の間を回動する椅子。
【請求項2】
前記座部は、前記前傾使用状態において、前記中心位置における左右方向の中心断面視で前記接線が前記床面に対して水平又は後方に向かうに従い下方に沿って配置される
請求項1に記載の椅子。
【請求項3】
前記座部は、前記前傾使用状態において、着座者からの荷重に応じて前記枢軸周りに傾動自在な状態とされている
請求項1又は2に記載の椅子。
【請求項4】
前記座部は、
前記接続面から前方に連続して形成され、後方から前方に向かって漸次下方に延びる前方座面部と、
前記接続面から後方に連続して形成され、前方から後方に向かって漸次上方に立ち上がる後方座面部と、を有する
請求項1から3のいずれか一項に記載の椅子。
【請求項5】
前記座部を前記前傾使用状態から前記初期使用状態に向けて付勢する付勢部材をさらに備える
請求項1から4のいずれか一項に記載の椅子。
【請求項6】
前記座部の後端から上方に延びる背凭れ面を有した背凭れ部を更に備え、
前記背凭れ面の下部に形成され、前記前傾使用状態で、下方から上方に向かって前方に傾斜する下部背凭れ面を有している
請求項1から5のいずれか一項に記載の椅子。
【請求項7】
前記背凭れ面は、
左右方向の中央に位置する背凭れ面中央部と、
前記背凭れ面中央部に対して左右方向両側に位置する背凭れ面側端部と、を備え、
前記背凭れ面は、左右方向両側の前記背凭れ面側端部に対して前記背凭れ面中央部が後方に位置するよう湾曲して形成されている
請求項6に記載の椅子。
【請求項8】
前記座面は、
左右方向の中央に位置する座面中央部と、
前記座面中央部に対して左右方向両側に位置する座面側端部と、を備え、
前記座面のうち前記座面中央部と前記座面側端部の間に位置する部分は、前記座面中央部から前記座面側端部に向かうに従い上方に向けて湾曲しながら延びている
請求項1から7の何れか一項に記載の椅子。
【請求項9】
前記座部の前縁は、上面視において、左右方向の中央に位置する前縁中央部から左右方向両側に向かって後方に延びている
請求項1から8のいずれか一項に記載の椅子。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、椅子に関する。
【背景技術】
【0002】
例えば特許文献1には、座部及び背凭れを枢軸周りに回動可能とすることで、座面及び背凭れ面の角度を調整可能とする椅子(座席体)の構成が開示されている。この構成において、座部及び背凭れ面の角度の変更は、座部に固定された上部ブラケット、及び座部を支持する下部支持体(座席帯支持台)に固定された上部ブラケットの双方に螺合するネジを有した調整杆を回動させることで行う。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】実公昭55-47410号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、例えば手術支援ロボットを操作して手術を行う医師は、手術中、背凭れに寄りかかるような後傾姿勢ではなく、上半身を前方に乗り出したような前傾姿勢で椅子に着座することがある。例えばオフィス等で用いられる一般的な椅子の座面は、座面後部(着座者の座骨周辺を支持する部分)に対し、座面前部(着座者の大腿部下部を支持する部分)が上方に盛り上がっていることが多い。上記のような前傾姿勢で着座する用途に一般的な椅子を用いると、座面前部の盛り上がった部分が、前傾姿勢を取った着座者の大腿部下部を圧迫する可能性がある。手術は長時間に及ぶこともあり、前傾姿勢をとった場合に良好な着座感が得られる椅子が望まれる。
【0005】
これに対し、特許文献1に開示されたような椅子を用いれば、座面を水平、あるいは水平から前傾させることで、座面が着座者の大腿部下部を圧迫することが抑えられるとも考えられる。しかし、特許文献1に開示された椅子では、座面が概ね平板状であり、座面を前傾させると、下肢が前方にずり落ちやすくなり、良好な着座感が得られない。
本発明は、座面を前傾させた状態であっても、良好な着座感を容易に得ることができることができる椅子を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記目的を達成するために、本発明の一態様に係る椅子は、床面上に設置される支持構造体と、上方を向く座面を有し、左右方向に延びる枢軸周りに回動自在に前記支持構造体上に設けられた座部と、を備え、前記座面は、前記枢軸に対して前側に位置する前側領域に形成され、前記座面における左右方向の中心位置に対して両側にオフセットしたオフセット位置での前記床面からの高さが最も高くなる前側頂部と、前記枢軸に対して後側に位置する後側領域において前記オフセット位置での前記床面からの高さが最も低くなる後側底部と、前記前側頂部と前記後側底部とを接続するとともに、前記前側頂部に対して下方に窪んだ窪み部を形成する接続面と、を備え、前記座部は、前記オフセット位置での左右方向のオフセット断面視において前記接続面の接線が前記床面に対して前方に向かうに従い上方に沿って配置される初期使用状態と、前記オフセット断面視において前記接線が前記床面に対して水平又は前方に向かうに従い下方に沿って配置される前傾使用状態と、の間を回動する。
【0007】
このように、前傾使用状態では、座部の座面において左右方向の中心位置に対して両側にオフセットしたオフセット位置において、前側頂部と前記後側底部とを接続する接続面の接線が、水平又は前方に向かうに従い下方に沿って配置される。これにより、着座者が上半身を前方に乗り出すようにした前傾姿勢をとった場合に、着座者の下肢が座面の前側頂部によって圧迫されることが抑えられる。また、接続面は、前側頂部に対して下方に窪んだ窪み部を形成するので、着座者の臀部が窪み部によって保持され、前方への移動が抑えられる。また、初期使用状態では、座部の座面において左右方向の中心位置に対して両側にオフセットしたオフセット位置において、接続面の接線が床面に対して前方に向かうに従い上方に沿って配置されるので、着座者の下肢が下方から安定的に支持される。
このようにして、座面を前傾させた状態であっても、良好な着座感を容易に得ることが可能となる。
【0008】
本発明の一態様に係る椅子において、前記座部は、前記前傾使用状態において、前記中心位置における左右方向の中心断面視で前記接線が前記床面に対して水平又は後方に向かうに従い下方に沿って配置されるようにしてもよい。
この構成によれば、前傾使用状態において、座部における左右方向の中心位置において、接続面の接線が床面に対して水平又は後方に向かうに従い下方に沿って配置されることで、着座者は、前傾姿勢をとっても臀部が浮かび上がりにくく、安定した姿勢を維持することができる。これにより、前傾使用状態において良好な着座感を得ることができる。
【0009】
本発明の一態様に係る椅子において、前記座部は、前記前傾使用状態において、着座者からの荷重に応じて前記枢軸周りに傾動自在な状態とされているようにしてもよい。
この構成によれば、前傾使用状態において、座部が傾動自在な状態を維持している。これにより、着座者のわずかな姿勢変化であっても、特に操作を行うことなく、姿勢変化に追従して座部を枢軸周りに回動させることができる。
【0010】
本発明の一態様に係る椅子において、前記座部は、前記接続面から前方に連続して形成され、後方から前方に向かって漸次下方に延びる前方座面部と、前記接続面から後方に連続して形成され、前方から後方に向かって漸次上方に立ち上がる後方座面部と、を有するようにしてもよい。
この構成によれば、前方座面部が前方に向かって下方に延びているので、着座者の大腿部下部や膝裏が圧迫されることが抑えられる。また、後方座面部が後方に向かって上方に立ち上がることで、前傾使用状態では、着座者の座骨周辺が前方に押し出されるような着座感が得られる。これにより、前傾使用状態における前傾姿勢を、安定的に維持することができる。
【0011】
本発明の一態様に係る椅子において、前記座部を前記前傾使用状態から前記初期使用状態に向けて付勢する付勢部材をさらに備えるようにしてもよい。
この構成によれば、初期使用状態から座部を前傾させて前傾使用状態に移行させるときに、着座者は、適度な回動抵抗を得ることができる。また、前傾使用状態では、付勢部材の付勢力によって、不用意に座部が前傾する方向に回動するのを抑え、安定的なサポート感を得ることができる。
【0012】
本発明の一態様に係る椅子において、前記座部と一体に形成され、前記座部の後端から上方に延びる背凭れ面を有した背凭れ部を更に備え、前記背凭れ面の下部に、前記前傾使用状態で、下方から上方に向かって前方に傾斜する下部背凭れ面が形成されているようにしてもよい。
この構成によれば、背凭れ面の下部の下部背凭れ面は、前傾使用状態で上方に向かって前方に傾斜しているので、着座者は、前傾使用状態で臀部や腰部が下部背凭れ面によって前方に押し出されるような着座感を得ることができる。これにより、前傾使用状態において、臀部や腰部が安定的に支持されることになる。
【0013】
本発明の一態様に係る椅子において、前記背凭れ面は、左右方向の中央に位置する背凭れ面中央部と、前記背凭れ面中央部に対して左右方向両側に位置する背凭れ面側端部と、を備え、前記背凭れ面は、左右方向両側の前記背凭れ面側端部に対して前記背凭れ面中央部が後方に位置するよう湾曲して形成されているようにしてもよい。
この構成によれば、背凭れ面中央部が左右方向両側の背凭れ面側端部よりも後方に位置することで、着座者の腰部が安定的に支持される。また、背凭れ面中央部に対して前方に位置する背凭れ面側端部によって、臀部と腰部の左右方向両側が前方へ押し出される。これにより、大腿部を含む脚が座から前方へ押し出される。したがって、より着座者の大腿部の可動性を確保できる。
【0014】
本発明の一態様に係る椅子において、前記座面は、左右方向の中央に位置する座面中央部と、前記座面中央部に対して左右方向両側に位置する座面側端部と、を備え、前記座面のうち前記座面中央部と前記座面側端部の間に位置する部分は、前記座面中央部から前記座面側端部に向かうに従い上方に向けて湾曲しながら延びているようにしてもよい。
この構成によれば、座部の座面側端部によって、着座者の下肢を左右方向両側からサポートするような着座感を得ることができる。
【0015】
本発明の一態様に係る椅子において、前記座部の前縁は、上面視において、左右方向の中央に位置する前縁中央部から左右方向両側に向かって後方に延びているようにしてもよい。
この構成によれば、着座者が脚を開いた場合に、前縁部の左右方向両側の部分に脚が干渉することが抑えられ、下肢の自由度が高まり、脚を開いて安定的な前傾姿勢をとることができる。
【発明の効果】
【0016】
本発明の一態様によれば、座面を前傾させた状態であっても、良好な着座感を容易に得ることができることができる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
図1】本発明の実施形態に係る椅子の全体構成を示す模式図である。
図2】上記椅子の支持構造体と座部との連結部分の構成を示す側面図である。
図3】上記椅子の初期使用状態における座部及び背凭れ部を、左右方向の中心位置で中心断面視した図である。
図4】上記椅子の座部を前方から断面視した図であり、図3のA-A線に沿う断面図である。
図5】上記椅子の前傾使用状態における座部及び背凭れ部を、左右方向の中心位置で中心断面視した図である。
図6】上記椅子の平面図である。
図7】上記椅子の使用形態の一例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
以下、添付図面を参照して、本発明による椅子を実施するための形態を説明する。しかし、本発明はこの実施形態のみに限定されるものではない。
【0019】
図1は、本実施形態に係る椅子10の全体構成を示す斜視図である。
図1に示すように、椅子10は、支持構造体11と、椅子本体12と、を備えている。
以下の説明において、便宜上、椅子10に着座した着座者が前を向く方向を「前方」、その反対方向を「後方」、「前方」と「後方」とを結ぶ方向を「前後方向」と称する。また、椅子10が設置される床面F側とその反対側を結ぶ方向を「上下方向」と称する。また、椅子10の幅方向、つまり前後方向と直交する水平方向を「左右方向」と称する。また、図中において、前方を矢印FRで示し、上方を矢印UPで示し、左方を矢印LHで示す。
【0020】
支持構造体11は、床面F上に設置される。支持構造体11は、多岐脚14と、脚柱15と、を有している。
【0021】
多岐脚14は、多岐脚14の中央部から径方向外側に向かって放射状に延びる複数本の脚14fを有している。各脚14fの先端部には、キャスタ14cが備えられている。脚柱15は、多岐脚14の中央部より上方に起立している。脚柱15は、上下方向に伸縮可能で、座部20の高さを調整可能としている。
【0022】
図2は、上記椅子10の支持構造体11と座部20との連結部分の構成を示す側面図である。
図2に示すように、脚柱15の上端には、下部支持体16と、上部支持体17と、が配置されている。下部支持体16は、脚柱15の上端に接続されている。下部支持体16は、上方に突出する二本一対の支持アーム16aを有している。二本一対の支持アーム16aは、左右方向に間隔をあけて配置されている。各支持アーム16aの上端部は、脚柱15に対して前後方向に長く延びている。支持アーム16aの下部には、左右方向に延びる枢軸18が配置されている。枢軸18は、前後方向で脚柱15と同じ位置であって、脚柱15の鉛直上方に配置されている。
【0023】
上部支持体17は、下部支持体16に枢軸18を介して回動可能に連結されている。上部支持体17は、左右方向に間隔をあけて二本一対で配置されている。上部支持体17は、上部プレート17aと、上部プレート17aから下方に延びる側部プレート17bと、を一体に有している。上部プレート17aは、上下方向に交差する面に沿って形成されている。上部プレート17aは、各支持アーム16aの上方に間隔をあけて配置されている。側部プレート17bは、支持アーム16aの下部に配置された枢軸18周りに回動自在に連結されている。本実施形態において、枢軸18周りの側部プレート17bの回動角度は、例えば5°に設定されている。すなわち、座部20は、支持構造体11に対し、枢軸18周りに5°の角度範囲内で回動するように支持されている。
【0024】
下部支持体16の支持アーム16aの前端部と、上部支持体17の上部プレート17aの前端部との間には、付勢部材40が配置されている。付勢部材40は、例えばコイルバネであり、支持アーム16aの前端部と上部プレート17aの前端部との間に圧縮状態で挟み込まれている。付勢部材40は、支持アーム16aの前端部と上部プレート17aの前端部とを上下方向に離間させる方向に付勢している。
【0025】
図3は、上記椅子10の座部20及び背凭れ部30を、左右方向の中心位置で中心断面視した図である。図4は、上記椅子10の座部20を前方から断面視した図であり、図3のA-A線に沿う断面図である。
図3図4に示すように、椅子本体12は、座部20と、背凭れ部30と、を有している。座部20と背凭れ部30とは、一体に形成されている。
座部20は、支持構造体11に支持されている。図2に示すように、座部20は、上部支持体17の上部プレート17a上に固定されている。これにより、座部20は、上部支持体17とともに、左右方向に延びる枢軸18周りに回動自在に下部支持体16に支持されている。座部20は、後に詳述するように、初期使用状態S1(図3参照)と、前傾使用状態S2(図5参照)との間で、枢軸18周りに傾動自在に構成されている。
【0026】
座部20の下面には、下部カバー19が装着されている。下部カバー19は、下部支持体16及び上部支持体17を覆うように形成されている。下部カバー19の下端には、脚柱15が挿通される挿通孔19hが形成されている。挿通孔19hの内径は、脚柱15の外径よりも、所定寸法大きく形成されている。下部カバー19は、座部20とともに初期使用状態S1と前傾使用状態S2との間で枢軸18周りに傾動する。挿通孔19hは、下部カバー19が枢軸18周りに傾動したときに、脚柱15と干渉しない内径で形成されている。
【0027】
座部20は、その上面に、着座者の下半身を支持する座面21を有している。図4に示すように、座面21は、左右方向の中央に位置する座面中央部21cと、座面中央部21cに対して左右方向両側に位置する座面側端部21sと、を備えている。座面21は、少なくとも前後方向の中央部において、左右方向の中央に位置する座面中央部21cに対して左右方向両側の座面側端部21sが上方に位置(突出)するように形成されている。座面21は、両側の座面側端部21sから座面中央部21cに向かうに従い下方に湾曲して窪んでいる。
【0028】
図5は、上記椅子10の前傾使用状態S2における座部20及び背凭れ部30を、左右方向の中心位置で中心断面視した図である。図3図5中に示す線Kは、座面21の左右方向の中央に対して側方に80mm~120mmオフセットしたオフセット位置(着座者の太腿が座面に接する位置)で座面21を左右方向でオフセット断面視したときの座面21の表面形状を示している。本実施形態におけるオフセット位置は、座面21の左右方向の中央に対して側方に120mmオフセットした位置である。
座面21において、座面側端部21sに対して左右方向の内側に位置する部分は、着座者が着座する着座領域21Sを構成している。着座領域21Sには、接続面22と、前方座面部23と、後方座面部24と、が形成されている。着座領域21Sにおいて、座部20は、前方から後方に向かって上下方向の厚さが漸次小さくなっている。
【0029】
座面21の着座領域21Sは、前側頂部Pfと、後側底部Prと、を有している。
前側頂部Pfは、着座領域21Sのうち枢軸18よりも前側に位置する前側領域Afに形成されている。前側頂部Pfは、初期使用状態S1において、座面21における左右方向の中心位置Pc(図4参照)に対して両側にオフセットしたオフセット位置Ps(図4参照)での床面Fからの高さが最も高くなる部分である。前側頂部Pfは、前方から見た断面視において、座面中央部21cから座面側端部21sに向かうに従い上方に僅かに湾曲しながら延びている。但し、前側頂部Pfは、左右方向に沿って直線状に延在していてもよい。
【0030】
後側底部Prは、着座領域21Sのうち枢軸18よりも後方に位置する後側領域Arに形成されている。後側底部Prは、初期使用状態S1において、オフセット位置での床面Fからの高さが最も低くなる部分である。後側底部Prは、前方から見た断面視において、座面中央部21cから座面側端部21sに向かうに従い上方に湾曲しながら延びている。後側底部Prの曲率半径は、前側頂部Pfの曲率半径よりも小さくなっている。そのため、中心断面視及びオフセット断面視において、前側頂部Pfと座面側端部21sとの上下方向の距離は、後側底部Prと座面側端部21sとの上下方向の距離よりも小さい。
なお、本実施形態では、前後方向において、枢軸18と前側頂部Pfとの距離は、枢軸18と後側底部Prとの距離よりも長い。
【0031】
接続面22は、前側頂部Pfと後側底部Prとの間に形成されている。接続面22は、左右方向からの断面視で、後側底部Prと前側頂部Pfとを前後方向で接続する。接続面22は、後述する後方座面部24との接続部分となる後側底部Prにおいて、前側頂部Pfに対して下方に窪んだ窪み部25を形成する。
【0032】
前方座面部23は、接続面22から前方に連続して形成されている。前方座面部23は、左右方向からの断面視で、接続面22の前端である前側頂部Pfから前方に向かって漸次下方に湾曲して延びている。
【0033】
後方座面部24は、接続面22の後端である前側頂部Pfから後方に連続して形成されている。後方座面部24は、前方から後方に向かって漸次上方に立ち上がるよう、湾曲して形成されている。
【0034】
座面21の座面側端部21sは、左右方向から見て、初期使用状態S1、前傾使用状態S2の双方において、後方から前方に向かって斜め下方に傾斜している。
【0035】
図6は、上記椅子10の平面図である。
図6に示すように、座部20の前縁21fは、上面視において、左右方向の中央に位置する前縁中央部21fcが前方に突出している。前縁21fは、前縁中央部21fcから左右方向両側に向かって漸次斜め後方に延びている。座面21の左右方向両側の座面側端部21sは、前縁21fよりも後方に配置されている。
【0036】
座面21において、左右方向の中心位置Pcにおける前後方向の長さL1は、例えば320mm~340mmとするのが好ましい。座部20の両側縁から座部20の全幅に対する1/4の領域Eにおいて、座部20の前縁21fが、前縁中央部21fcから座部20の座面側端部21sに向けてθ11=70°の角度をなして延びる仮想線K11と、θ12=80°の角度をなして延びる仮想線K12との間の領域で、滑らかな曲線形状をなしているのが望ましい。
【0037】
図3図5に示すように、枢軸18は、前後方向において、前縁中央部21fcと後方座面部24の後端24rとの中央位置よりも後方に配置されている。これにより、着座者が座部20の前方に乗り出すように姿勢を変えると、座部20が枢軸18周りに容易に前方に傾動する。
【0038】
背凭れ部30は、座部20の後端から上方に延びている。背凭れ部30は、前方を向き、着座者の上半身(背中)を受ける背凭れ面32を有している。背凭れ面32は、左右方向の中央に位置する背凭れ面中央部32cと、背凭れ面中央部32cに対して左右方向両側に位置する背凭れ面側端部32sと、を備えている。背凭れ面32は、左右方向両側の背凭れ面側端部32sに対して背凭れ面中央部32cが後方に位置するよう湾曲して形成されている。背凭れ部30の背凭れ面32は、下方から上方に向けて左右方向の幅が漸次狭まっている。これにより、着座者の背中の下部(腰部)は、背凭れ面中央部32cに対して左右方向の両側の背凭れ面側端部32sが前方に位置することで、安定的に支持される。背凭れ部30の上部は左右方向の幅が狭まっているので、着座者の両肩付近の動きが背凭れ部30によって阻害されることが抑えられる。
【0039】
背凭れ面32は、下部背凭れ面33と、上部背凭れ面34と、を有している。下部背凭れ面33は、座部20の後方座面部24から連続して、上方に延びている。下部背凭れ面33は、左右方向からの断面視で、後方座面部24との交差角度θ1が、例えば、90°±5°程度となるように形成されている。交差角度θ1とは、断面視において、後方座面部24と下部背凭れ面33との境界部分(後端24rの位置)から後方座面部24に沿って延びる接線と、境界部分から下部背凭れ面33に沿って延びる接線と、のなす角度である。
上部背凭れ面34は、下部背凭れ面33に連続して上方に延びている。上部背凭れ面34は、下部背凭れ面33から上方に向かって斜め後方に傾斜して延びている。
【0040】
椅子本体12は、枢軸18周りに前後に傾動可能とされている。図3に示すように、椅子本体12は、付勢部材40の付勢力によって、着座者が着座していない初期使用状態S1では、前側頂部Pfが後側底部Prよりも上方に位置している。初期使用状態S1において、接続面22は、左右方向の全体で、前方の前側頂部Pfから後方の後側底部Prに向かって斜め下方に延びている。
【0041】
より詳しくは、初期使用状態S1では、座面21の左右方向の中心位置Pcにおいて、接続面22は、その接線が床面Fに対して後方に向かうに従い下方に沿うように配置される。初期使用状態S1において、座面21の左右方向の中心位置Pcにおける接続面22の接線Lcは、床面Fと平行な水平面に対する傾斜角度θ2が、好ましくは4°~8°、となる。本実施形態では、初期使用状態S1における傾斜角度θ2は、例えば6°程度とされている。傾斜角度θ2とは、座面21の左右方向の中心位置Pcにおける中心断面視において、接続面22と前方座面部23との境界部分の前側頂部Pfから、接続面22に沿って延びる接線Lcと、水平面と、のなす角度(俯角)である。
【0042】
初期使用状態S1では、座面21で左右方向中央から側方に例えば80~120mmオフセットしたオフセット位置Ps(着座者の太腿を支持する位置;図3中の線K)におけるオフセット断面視において、接続面22は、接続面22の接線Lsが床面Fに対して前方に向かうに従い上方に沿うように配置される。初期使用状態S1において、オフセット位置Psにおける接続面22の接線Lcは、床面Fと平行な水平面に対する傾斜角度θ3が、好ましくは1°~5°となる。本実施形態では、初期使用状態S1における傾斜角度θ3は、例えば3°程度とされている。傾斜角度θ3とは、座面21で左右方向中央から側方にオフセットし、着座者の太腿を支持するオフセット位置Ps(図3中の線K)におけるオフセット断面視において、接続面22と前方座面部23との境界部分の前側頂部Pfから、接続面22に沿って延びる接線Lsと、水平面と、のなす角度(俯角)である。
【0043】
椅子本体12は、座面21上に着座者が着座し、上半身を前方に乗り出すような前傾姿勢をとると、着座者の荷重が座面21において枢軸18よりも前方に多く作用する。これにより、図5に示すように、座部20は、初期使用状態S1から枢軸18周りに前方に傾動した前傾使用状態S2に移行する。
【0044】
前傾使用状態S2では、前側頂部Pfが、初期使用状態S1における前側頂部Pfの位置よりも下方に変位している。前傾使用状態S2では、少なくとも、座面21において着座者の太腿を支持するオフセット位置Ps(図5中の線K)において、前側頂部Pfが、後側底部Prと同じ高さ、又は後側底部Prよりも低くなっている。
【0045】
より詳しくは、前傾使用状態S2において、座面21で左右方向中央から側方に120mmオフセットしたオフセット位置Ps(着座者の太腿を支持する位置;図5中の線K)では、接続面22は、水平又は前方に向かうに従い下方に沿って配置される。オフセット位置Psにおいては、接続面22の接線Lsの水平面に対する傾斜角度θ3が、好ましくはマイナス(-)4°~1°となるように形成されている。本実施形態では、前傾使用状態S2において、オフセット位置Psにおける接続面22の接線Lsの水平面に対する傾斜角度θ3は、例えば、マイナス(-)2°程度とされ、僅かに前傾している。
【0046】
前傾使用状態S2において、座面21の左右方向の中心位置Pcにおいては、接続面22は、水平又は後方に向かうに従い下方に沿って配置される。前傾使用状態S2において、中心位置Pcにおける接続面22の接線Lcの水平面に対する傾斜角度θ2が、好ましくはマイナス1°~3°となるように形成されている。本実施形態では、前傾使用状態S2において、着座領域21Sの左右方向の中心位置Pcにおける接続面22の接線Lcの水平面に対する傾斜角度θ2は、例えば1°とされている。
【0047】
また、背凭れ部30は、前傾使用状態S2において、下部背凭れ面33が上方に向かって斜め前方に延びるように前傾している。
【0048】
ここで、座部20は、前傾使用状態S2において枢軸18周りの傾斜角度は非拘束、つまり拘束されておらず、枢軸18周りに傾動自在な状態を維持している。つまり、着座者の姿勢に追随して、座部20が枢軸18周りに傾動自在となっている。
【0049】
図7は、上記椅子10の使用形態の一例を示す図である。
図7に示すように、上記したような椅子10は、例えば、手術支援機100を使用した手術を行う術者(着座者)200が着座する。術者200は、手術支援機100の使用中、手術支援機100に対向して配置された椅子10に着座する。術者200は、頭部202を、手術支援機100に設けられたパッド102に押し付けた状態で、パッド102に設けられたディスプレイ(不図示)から視認できる画像を目視しながら手術を行う。このとき、術者200は、前方に設けられたパッド102に頭部202を押し付けた状態で画像を目視するため、上半身201を前方に乗り出すような前傾姿勢をとる。これにともない、座面21は、前傾使用状態S2となる。施術中、術者200は、頭部202をパッド102に押し付けた状態を継続するので、座面21は、前傾使用状態S2を維持する。上記椅子10は、このような、着座者200にとって肉体的な負荷が大きい用途に特に好適であり、上記のような手術支援機100を用いた手術のほか、例えば脳神経外科や形成外科の顕微鏡下手術を行う際に好適である。
【0050】
このような椅子10は、座面21において後側底部Prに対する前側頂部Pfの上下方向における位置が、初期使用状態S1よりも前傾使用状態S2で低くなっている。これにより、着座者が上半身を前方に乗り出すようにした前傾姿勢をとった場合に、着座者の下肢が座面21の前側頂部Pfによって圧迫されることが抑えられる。
また、前傾使用状態S2において、着座者が着座したまま体重を後方に掛けるように姿勢を変えると、座面21が枢軸18周りに回動して初期使用状態S1に戻すことができる。初期使用状態S1では、前側頂部Pfが後側底部Prよりも上方に位置しているので、着座者の下肢が座面21の前側頂部Pfによって下方から安定的に支持される。
また、座部20は、前傾使用状態S2において、着座者からの荷重に応じて傾動自在な状態を維持している。つまり、前傾使用状態S2において、座部20が傾動自在な状態を維持し、傾動角度が固定されていない。これにより、着座者のわずかな姿勢変化であっても、これに追従して座部20を枢軸18周りに回動させることができる。
【0051】
このように、本実施形態では、椅子10の座部20は、オフセット位置Psでの左右方向のオフセット断面視において接続面22の接線Lsが床面Fに対して前方に向かうに従い上方に沿って配置される初期使用状態S1と、オフセット断面視において接線Lsが床面Fに対して水平又は前方に向かうに従い下方に沿って配置される前傾使用状態S2と、の間を回動する。
このように、前傾使用状態S2では、座部20の座面21において左右方向の中心位置Pcに対して両側にオフセットしたオフセット位置Psにおいて、前側頂部Pfと後側底部Prとを接続する接続面22の接線Lsが、水平又は前方に向かうに従い下方に沿って配置される。これにより、着座者が上半身を前方に乗り出すようにした前傾姿勢をとった場合に、着座者の下肢が座面21の前側頂部Pfによって圧迫されることが抑えられる。また、接続面22は、前側頂部Pfに対して下方に窪んだ窪み部25を形成するので、着座者の臀部が窪み部25によって保持され、前方への移動が抑えられる。すなわち、下肢を左右方向に動かすときの中心となる臀部の位置が安定し、尚且つ、下肢の下方への圧迫が軽減されている状態である。したがって、下肢を自由に移動させ、例えば手術支援機100に搭載されたペダル104の操作が容易となる。また、初期使用状態S1では、座部20の座面21において左右方向の中心位置Pcに対して両側にオフセットしたオフセット位置Psにおいて、接続面22の接線Lsが床面Fに対して前方に向かうに従い上方に沿って配置されるので、着座者の下肢が下方から安定的に支持される。このようにして、座面21を前傾させた状態であっても、良好な着座感を容易に得ることが可能となる。
【0052】
本実施形態では、前傾使用状態S2において、座部20における左右方向の中心位置Pcにおいて、接続面22の接線Lcが床面Fに対して水平又は後方に向かうに従い下方に沿って配置されることで、着座者は、前傾姿勢をとっても臀部が浮かび上がりにくく、安定した姿勢を維持することができる。これにより、下肢を左右方向に動かすときの中心となる臀部の位置がより安定するので、下肢を自由に移動させることができるとともに、前傾使用状態S2において良好な着座感を得ることができる。
【0053】
本実施形態では、座部20は、前傾使用状態S2において、着座者からの荷重に応じて枢軸18周りに傾動自在な状態とされている構成とした。
このような構成によれば、前傾使用状態S2において、座部20が傾動自在な状態を維持している。これにより、着座者のわずかな姿勢変化であっても、特に操作を行うことなく、姿勢変化に追従して座部20を枢軸18周りに回動させることができる。
【0054】
本実施形態では、前方座面部23が前方に向かって下方に延びているので、着座者の大腿部下部や膝裏が圧迫されることを抑えることができる。また、後方座面部24が後方に向かって上方に立ち上がることで、前傾使用状態S2では、着座者の座骨周辺が前方に押し出されるような着座感が得られる。これにより、前傾使用状態S2における前傾姿勢を、安定的に維持することができる。
【0055】
本実施形態では、座部20を前傾使用状態S2から初期使用状態S1に向けて付勢する付勢部材40をさらに備える構成とした。
このような構成によれば、初期使用状態S1から座部20を前傾させて前傾使用状態S2に移行させるときに、着座者は、適度な回動抵抗を得ることができる。また、前傾使用状態S2では、付勢部材40による前傾使用状態S2から初期使用状態S1に戻す方向の付勢力によって、不用意に座部20が前傾する方向に回動するのと抑え、安定的なサポート感を得ることができる。
【0056】
本実施形態では、背凭れ面32の下部に、前傾使用状態S2で、下方から上方に向かって前方に傾斜する下部背凭れ面33を有している構成とした。
このような構成によれば、着座者は、前傾使用状態S2で臀部や腰部が下部背凭れ面33によって前方に押し出されるような着座感を得ることができる。これにより、前傾使用状態S2において、臀部や腰部が安定的に支持されることになる。
【0057】
本実施形態では、背凭れ面32は、左右方向両側の背凭れ面側端部32sに対して背凭れ面中央部32cが後方に位置するよう湾曲して形成されている構成とした。
このような構成によれば、背凭れ面中央部32cが左右方向両側の背凭れ面側端部32sよりも後方に位置することで、着座者の腰部が安定的に支持される。また、背凭れ面中央部32cに対して前方に位置する背凭れ面側端部32sによって、着座者の臀部や腰部の左右方向両側が前方へ押し出される。これにより、着座者の大腿部を含む脚が座から前方へ押し出される。したがって、着座者の大腿部の可動性が高まる。
【0058】
本実施形態では、座部20の座面21は、座面中央部21cに対して左右方向両側の座面側端部21sが上方に位置するよう湾曲して形成されている構成とした。
このような構成によれば、座部20の座面側端部21sによって、着座者の下肢を左右方向両側からサポートするような着座感を得ることができる。
【0059】
本実施形態では、座部20の前縁21fは、上面視において、左右方向の中央に位置する前縁中央部21fcから左右方向両側に向かって後方に延びている構成とした。
このような構成によれば、着座者が脚を開いた場合に、前縁21f部の左右方向両側の部分に脚が干渉することが抑えられ、下肢の自由度が高まり、脚を開いて安定的な前傾姿勢をとることができる。
【0060】
(その他の実施形態)
以上、本発明の好ましい実施例を説明したが、本発明はこれら実施例に限定されることはない。本発明の趣旨を逸脱しない範囲で、構成の付加、省略、置換、及びその他の変更が可能である。本発明は上述した説明によって限定されることはなく、添付の特許請求の範囲によってのみ限定される。
例えば、上述した実施形態では、付勢部材40を備えるようにしたが、付勢部材40に代えて、オイルダンパーやゴム等を備え、初期使用状態S1から前傾使用状態S2に移行する際の衝撃を緩和するようにしてもよい。
【0061】
上述した実施形態では、座面21の各部の傾斜状態について例示したが、適宜他の構成に変更可能である。
【0062】
上述した実施形態では、椅子10の着座者として、手術支援ロボットを操作する医師を例示したが、椅子10の着座者や用途については何ら限定するものではなく、適宜他の用途に使用することができる。
その他、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で、上述した実施形態における構成要素を周知の構成要素に置き換えることは適宜可能であり、また、上述した各変形例を適宜組み合わせてもよい。
【符号の説明】
【0063】
10…椅子
11…支持構造体
18…枢軸
20…座部
21…座面
21c…座面中央部
21f…前縁
21fc…前縁中央部
21s…座面側端部
22…接続面
23…前方座面部
24…後方座面部
24r…後端
25…窪み部
30…背凭れ部
32…背凭れ面
32c…背凭れ面中央部
32s…背凭れ面側端部
33…下部背凭れ面
40…付勢部材
Af…前側領域
Ar…後側領域
F…床面
Lc…接線
Ls…接線
Pf…前側頂部
Pr…後側底部
Pc…中心位置
Ps…オフセット位置
S1…初期使用状態
S2…前傾使用状態
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7