(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022078848
(43)【公開日】2022-05-25
(54)【発明の名称】食品用容器
(51)【国際特許分類】
B65D 5/66 20060101AFI20220518BHJP
【FI】
B65D5/66 311A
【審査請求】未請求
【請求項の数】4
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2020189796
(22)【出願日】2020-11-13
(71)【出願人】
【識別番号】593074857
【氏名又は名称】北越パッケージ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100161207
【弁理士】
【氏名又は名称】西澤 和純
(74)【代理人】
【識別番号】100161506
【弁理士】
【氏名又は名称】川渕 健一
(74)【代理人】
【識別番号】100177301
【弁理士】
【氏名又は名称】土井 真理子
(72)【発明者】
【氏名】菅沼 信吾
【テーマコード(参考)】
3E060
【Fターム(参考)】
3E060AA03
3E060AB15
3E060BA05
3E060EA13
(57)【要約】
【課題】持ち運び時の強度が高く、飲食時等に飲食し易くさせる。
【解決手段】食品用容器1は、底面4と、第一蓋部10を有する第一側面5と、第二蓋部11を有し第一側面5に対向配置された第二側面6と、を有する。対向配置された第三側面7及び第四側面8はその上端辺7a、8aからそれぞれ外側に折り曲げられたサイドフラップ16,17を有する。第三側面7及び第四側面8には底面4から上端辺7a、8aに向けて互いに接近する方向に傾斜する2本の第一折り目7c、7d、8c、8dが形成され、サイドフラップ16,17には第一折り目に重なる第二折り目を形成する。第三側面7及び第四側面8は外側に押し広げることで第一折り目に沿って外側に屈曲可能とした。第二側面6の上端辺6aは頂点6bを有する略山型に形成され、第二蓋部11を外側に折り曲げると元に戻らない。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
底部と、
折り曲げ可能な第一蓋部を有する第一側面と、
前記第一側面に対向配置された第二側面と、
前記第一側面及び第二側面にそれぞれ接続されていて対向配置された第三側面及び第四側面と、
前記第三側面及び第四側面の上端辺からそれぞれ外側に折り曲げられたサイドフラップと、
を備え、前記第三側面及び第四側面には前記底部から前記上端辺に向けて互いに接近する方向に傾斜する複数本の第一折り目が形成され、前記第三側面及び第四側面は前記第一折り目に沿って外側に屈曲可能としたことを特徴とする食品用容器。
【請求項2】
前記第二側面の上端辺には折り曲げ可能な第二蓋部が形成され、前記上端辺は略山型に突出して形成されている請求項1に記載された食品用容器。
【請求項3】
前記サイドフラップは前記第三側面及び第四側面の外側にそれぞれ折り曲げた状態で、前記第三側面及び第四側面の第一折り目に重なる第二折り目が形成されている請求項1または2に記載された食品用容器。
【請求項4】
前記第一側面及び前記第二側面はそれぞれ前記底部に折り重ね可能とした請求項1から3のいずれか1項に記載された食品用容器。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、例えば調理済みの料理等を含む飲食物等を収容して保管や持ち運びや飲食等に供することができる食品用容器に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、コンビニやレストラン等の店舗で販売されるカレーライスやどんぶり物等の調理済みの弁当や各種飲食物を購入して持ち帰り、会社や自宅、或いは公園等で飲食することが行われている。特に近年、コロナウイルスの広がり等により、店舗内で飲食をすることを避けて食品用容器に入った調理済み食品を自宅等に持ち帰るケースが増えている。これらの持ち帰りに使用する食品用容器は取り扱いの容易さや耐久性や耐水性等を考慮してプラスチック製容器を用いることが多い。
一方、プラスチック製容器は使用後に廃棄されて回収され、焼却処理や二次加工したり、埋め立て処理等している。しかし、廃棄物の回収処理等の過程で、一部は破砕されてマイクロプラスチックとして海等に流れ出る等して環境汚染の大きな要因となっている。そのため、プラスチック製容器に代えて焼却処理等が容易で土中に還元され易い紙製の容器を使用することが期待されている。
【0003】
このような紙製の食品用容器として、例えば特許文献1に記載された蓋付き紙容器が提案されている。この紙容器は略四角形箱状で開口部の外周にフランジ部を有する本体と、本体にヒンジ部を介して開閉可能に接続されていて外周にフランジ部を有する蓋部とを備えている。本体の内部には調理済み飲食物等を収容可能であり、蓋部のフランジ部はヒンジ部で折り返されて本体のフランジ部と全周に亘って重なるようになっている。
蓋付き紙容器の周囲にフランジ部がないと容器の強度が小さくなるため持ち運び時や飲食時等に変形し易いが、フランジ部を設けたことで強度を高くしている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、このような蓋付き紙容器は、購入者がヒンジ部で蓋部を開いて本体内の飲食物を食する際、ヒンジ部の剛性が高いと蓋部が開口部側に戻ってしまう等して邪魔になることがある。或いは、蓋部が戻らないとしても、本体の四周の側面に設けたフランジ部が邪魔で食べにくいということがあった。また、この蓋付き紙容器は全周にフランジ部を有するため、容器が嵩張る欠点があり、廃棄時にも嵩張るため廃棄スペースが大きくなってしまい回収効率が悪いという問題もあった。
一方、食べ易くしたり廃棄回収の効率を高めたりするために、紙容器の本体や蓋部のフランジ部を除去したり、ヒンジ部の強度を低くしたりすると、持ち運び時や飲食時等に紙容器が変形し易く内容物が漏れることがあるという問題があった。
【0006】
本発明は、このような課題に鑑みてなされたものであり、持ち運び時の強度が高く飲食時等に食べ易くすることができる食品用容器を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明に係る食品用容器は、底部と、折り曲げ可能な第一蓋部を有する第一側面と、第一側面に対向配置された第二側面と、第一側面及び第二側面にそれぞれ接続されていて対向配置された第三側面及び第四側面と、第三側面及び第四側面の上端辺からそれぞれ外側に折り曲げられたサイドフラップと、を備え、第三側面及び第四側面には底部から上端辺に向けて互いに接近する方向に傾斜する複数本の第一折り目が形成され、第三側面及び第四側面は第一折り目に沿って外側に屈曲可能としたことを特徴とする。
本発明によれば、食品容器の第三側面と第四側面の外側にサイドフラップが折り曲げられているため高強度であり、第一蓋部を閉めた際に第三側面及び第四側面との間に隙間が生じることを防止できる。しかも、食品用容器内の内容物を飲食する際、対向する第三側面及び第四側面を第一折り目に沿って外側に折り曲げて開くと開口が拡径されて戻らないため飲食等をし易い。
【0008】
また、第二側面の上端辺には折り曲げ可能な第二蓋部が形成され、上端辺は略山型に突出して形成されていることが好ましい。
飲食等をする際、第二側面に対して第二蓋部を外側に折り曲げると、上端辺が山型であるため第二蓋部が折られた状態で戻らないので第二蓋部が邪魔にならず飲食等をし易い。
【0009】
また、サイドフラップは第三側面及び第四側面の外側にそれぞれ折り曲げた状態で、第三側面及び第四側面の第一折り目に重なる第二折り目が形成されていることが好ましい。
食品容器の第三側面と第四側面の外側に折り曲げられたサイドフラップに第一折り目に重なる第二折り目が形成されているため、対向する第三側面及び第四側面及びサイドフラップを第一折り目及び第二折り目に沿って外側に折り曲げて開くと開口が拡径されて保持され、折り癖が形成されて元に戻らないため飲食等をし易い。
【0010】
また、第一側面及び第二側面はそれぞれ底部に折り重ね可能としてもよい。
食品用容器を廃棄する際、第三側面及び第四側面の第一折り目に沿って第二側面を折り曲げると共に、その上に第一側面を第一蓋部と共に折り曲げることで小さく平らに畳むことができるので廃棄スペースが小さくて済む。或いは、先に第一側面を折り曲げた後で第二側面を折り曲げてもよい。しかも、第二側面及び第一側面を外側から押すことで折り畳むことができるので内面に触れず、手等が汚れない。
【発明の効果】
【0011】
本発明に係る食品用容器によれば、対向する第三側面及び第四側面は第一折り目に沿って外側に屈曲可能としたため、飲食時等に第三側面及び第四側面をサイドフラップと共に外側に広げることができて食品用容器の開口を広く設定できる。
また、第三側面及び第四側面のサイドフラップが外側に折り曲げられているため高強度であり、第一蓋部の開閉時や持ち運び時や飲食時等に変形等しづらい。しかも、第一蓋部で開口を閉鎖するときに第三側面及び第四側面との間に隙間等ができにくい。
また、廃棄時には第一側面及び第二側面を第一折り目に沿って底部に重ねて折り畳んで圧縮できるため、廃棄時の体積を小さく平らにできて廃棄効率がよい。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【
図1】本発明の実施形態による食品用容器を開口させた状態の斜視図である。
【
図2】食品用容器の蓋部を閉鎖させた状態の斜視図である。
【
図3】食品用容器について第三側面及び第四側面を外側に広げた状態の斜視図である。
【
図4】
図2に示す閉鎖状態の食品用容器を示すもので、(a)は平面図、(b)は正面図、(c)は底面図、(d)は左側面図、(e)は右側面図、(f)は背面図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、本発明の実施形態による食品用容器について添付図面を参照して説明する。
図1及び
図2において、本実施形態による食品用容器1は食品、例えば弁当や丼もの等の調理済みの飲食物を内容物として収容して持ち帰る使い捨て容器である。食品用容器1は例えば紙製であり、略四角形箱状の本体部2と本体部2の開口2aを開閉可能な蓋部3とを有している。
図1は食品用容器1の蓋部3を開いた状態の斜視図であり、
図2は例えば内容物を食品用容器1内に収納して蓋部3を閉じた状態の斜視図である。食品用容器1は、
図2に示すように、本体部2の蓋部3を閉じた状態で直接または袋等に収納して持ち運び可能である。
【0014】
図1に示すように、食品用容器1の本体部2は、四角形状の底面(底部)4と、底面4の四辺の各縁部から第一側面5、第二側面6、第三側面7、第四側面8がそれぞれ起立して形成されている。各側面は底面4に対して垂直に起立していてもよいが、垂直よりも適宜の所定角度外側に開いた角度に形成されていることが好ましく、それぞれ略台形状に形成されている。第一側面5と第二側面6は対向して配設され、第一側面5には第一蓋部10が接続して形成されており、第二側面6にも第二蓋部11が接続して形成されている。そして、第一蓋部10と第二蓋部11によって蓋部3を構成する。
なお、本明細書において、
図1に示す第一側面5及び第二側面6の対向する方向を前後方向Lといい、前後方向Lに直交する方向を左右方向Mというものとする。
【0015】
第一蓋部10は略四角形状に形成され、前後方向中央に中間折り目10aが形成されている。第一蓋部10は中間折り目10aによって前後方向に第一蓋面10bと第二蓋面10cに仕切られている。先端側の第二蓋面10cには先端部中央に略円弧状の第一段差部10dが形成され、第一段差部10dには第一切り込み12が中間折り目10aと略平行に形成されている。なお、第一蓋部10には第一側面5との折り曲げ部に例えば略半円状の切欠が形成され、切り欠かれた舌片9が第一側面5の延長面状に起立している。舌片9を形成する切欠部の隙間は通気口の役目を果たすと共に、食事をする際に中間折り目10aを外側に折って第二蓋面10cの第一段差部10dを隙間に差し込んで固定させることも可能である。
【0016】
第二側面6に設けられた第二蓋部11の先端部中央には、第二蓋面10cの第一段差部10dに対向する位置に略円弧状の第二段差部11aが逆向きに形成され、第二段差部11aには第二切り込み13が形成されている。そして、第一蓋部10と第二蓋部11で本体部2の開口2aを閉鎖して第一切り込み12と第二切り込み13を噛み合わせて係合させることで開口2aを閉鎖できる(
図2、
図4参照)。
食品用容器1が未使用の状態で、第一蓋部10と第二蓋部11は上方に突出して開いている。第一蓋部10と第二蓋部11を閉鎖した状態で、第一蓋部10と第二蓋部11は平坦に係合されていてもよいが元の開いた角度に戻り易いので、これを防ぐために屋根型に係合されていることが好ましい。
【0017】
蓋部3において、第一蓋部10は第二蓋部11よりも前後方向の長さが大きく、より大きい面積を有している。これにより、第一蓋部10を主蓋部、第二蓋部11を副蓋部として形成でき、第一蓋部10に内容物の主要な絵柄や名称等を印刷して表示することができる。
【0018】
次に対向する第三側面7及び第四側面8について説明する。
第三側面7及び第四側面8の上縁部をそれぞれ直線状の上端辺7a、8aとしてその外側に例えば略長方形状の折り片がサイドフラップ16、17として形成されている。サイドフラップ16,17は第三側面7及び第四側面8の外側に折り曲げておくことで元に戻らないようにロックでき、第三側面7及び第四側面8が容易に変形等しないように剛性を補強することができる。
第一蓋部10及び第二蓋部11を閉鎖する際に第三側面7及び第四側面8との間に隙間ができないようにサイドフラップ16、17で第三側面7及び第四側面8を補強して平面状に保持する。そのため、内容物を収容した食品用容器1を持ち帰る際に第三側面7及び第四側面8の変形を抑制できる。
【0019】
これら第三側面7及び第四側面8とサイドフラップ16、17は例えば略対称形状を有している。第三側面7は、底面4との交差稜線を下端辺7bとし、下端辺7bの両端から上端辺7aに向けて2本の第一折り目7c、7dがその間隔を次第に狭めるように互いに内側に傾斜して形成されている。そして、第一折り目7c、7dは所定の間隔を開けて上端辺7aと交差した後、サイドフラップ16では第二折り目16a、16bとして、その間隔を次第に広げるように互いに外側に傾斜して形成されている。
【0020】
第四側面8においても、同様に、下端辺8bの両端から上端辺8aに向けて2本の第一折り目8c、8dの間隔を次第に狭めるように互いに内側に傾斜して形成されている。そして、第一折り目8c、8dは所定の間隔を開けて上端辺8aと交差した後、サイドフラップ17では第二折り目17a、17bとして、その間隔を次第に広げるように互いに外側に傾斜して形成されている。
また、サイドフラップ16、17は第三側面7及び第四側面8の上端辺7a、8aを境界として外側に折り曲げられている。この状態で、第三側面7の第一折り目7c、7dと外側に折り曲げたサイドフラップ16の第二折り目16a、16bは重なるものとすることでサイドフラップ16に折り癖をつけることができる。しかも、第一折り目7c、7dと第二折り目16a、16bによって第三側面7を外側に折り曲げて開くことで、元の平面に戻りにくくなる(
図3参照)。
【0021】
同様に、第四側面8の第一折り目8c、8dと外側に折り曲げたサイドフラップ17の第二折り目17a、17bが重なるため、サイドフラップ17に折り癖をつけることができる。しかも、第一折り目8c、8dと第二折り目17a、17bによって第四側面8を外側に折り曲げて開くことで、元の平面に戻りにくくなる。
これにより、第三側面7及び第四側面8は高強度になる。なお、第一折り目7c、7d、8c、8dが第三側面7及び第四側面8の上端辺7a、8aで1点に交差すると第一蓋部10を閉鎖する際に交差部に当接するおそれがあり、第一蓋部10が元の位置に戻ってしまう恐れが生じる。第三側面7及び第四側面8は、
図3に示すように、指等で外側に開くことで、第一折り目7c、7d、8c、8dによってそれぞれ外側に折り曲げられる。これにより、本体部2の開口2aの面積が拡張するため飲食等をし易くなる。また、後述するように、第三側面7及び第四側面8は第一折り目7c、7d、8c、8dでそれぞれ内側に折り込むことで平らに折り畳むことができる。
【0022】
次に第二側面6と第二蓋面10cについて
図2、
図3及び
図4を中心に説明する。
これらの図において、第二側面6は底面4から開口2aに向けて底辺が広がる略台形状に形成され、その上端辺6aは中央に上方に向けて突出する頂点6bを有する略山型に形成されている(
図2及び
図4(b)参照)。また、第二側面6の底面4と交差する下端辺6cの両端部は第三側面7及び第四側面8との交差部とされている。この下端辺6cの両端部から上端辺6aの頂点6bに向けた折り目は形成されていない。これにより、第一蓋部10と第二蓋部11を閉じた際、第二側面6は上端辺6aの頂点6bの付近が凹状に凹んで形成される(
図4(a)、(c)参照)。
【0023】
また、第二側面6の上端辺6aに接続された第二蓋部11を第一蓋部10側に折り曲げた際に、上端辺6aの頂点6bが一点で形成されているため、第二側面6に折り目が形成されていなくても折り目に近い形状で外側に小さく湾曲して形成される。或いは、第二側面6に下端辺6cの両端と上端辺6aの頂点6bを結ぶ2本の折り目を形成してもよい。
また、第二蓋部11において、上端辺6aの頂点6bと第二段差部11aの第二切り込み13の付け根13aとの間に折り目に近い湾曲部が形成される。しかも、頂点6bと第二切り込み13の始点13bとの間にも折り目に近い湾曲部が形成される。そのため、第二蓋部11には、頂点6bと第二切り込み13の付け根13a及び始点13bとを結ぶ略三角形状の湾曲部が形成される。
【0024】
飲食時等に第二蓋部11を外側に折り込むと、上端辺6aの中央に頂点6bを有するため、第二蓋部11が元に戻ろうとしても頂点6bを含む上端辺6aが上方に山型に形成されているために阻止できる。そのため、飲食時等に第二蓋部11が邪魔にならない。しかも、第二側面6は頂点6bによって第二蓋部11を高強度に折り曲げ保持できる。また、蓋部3について、第一側面5に主蓋部となる第一蓋部10を形成した構成に加えて、第二側面6に副蓋部として第二蓋部11を設けたことで閉鎖時に略山型に係合できて蓋部3が本体部2内に落ち込むことを防止できる。
なお、第二側面6の上端辺6aに頂点6bに代えて小径の略円弧状の頂部を形成してもよいが、円弧の半径が大きくなると閉鎖時に第二蓋部11の折り曲げが困難になる。第二蓋部11を折り曲げ可能で高強度にするには、第二側面6の上端辺6aの両端部を直線で結ぶ仮想線に対して頂点6bを例えば1mm~3mm未満程度の高さに突出させて形成することが好ましい。
【0025】
図5は食品用容器1の展開図を示すものである。
食品用容器1の展開図において、四角形をなす底面4の四辺に第一側面5、第二側面6、第三側面7、第四側面8がそれぞれ接続され、第一側面5には第一蓋部10、第二側面6には第二蓋部11がそれぞれ接続されている。第一側面5と第三側面7との間、そして第二側面6と第三側面7の間には略二等辺三角形状の折り代20が一体に形成されている。同様に、第一側面5と第四側面8との間、そして第二側面6と第四側面8の間にも略二等辺三角形状の折り代20が一体に形成されている。略二等辺三角形状の各折り代20は底面4の角部の頂点から延びる二等分線20aが外側に折り曲げるための折り目を形成している。
【0026】
食品用容器1の組み立て時に、第三側面7の両側において折り代20の二等分線20aで外側に折った折り代20を第三側面7にそれぞれ重ねて糊付けされる(
図4(d)参照)。同様に、第四側面8の両側で組み立て時に折り代20の二等分線20aで外側に折った折り代20を第四側面8に重ねて糊付けされる(
図4(e)参照)。これによって、食品用容器1の本体部2が形成される。
しかも、第三側面7と第四側面8は両側に折り代20を糊付けした上にサイドフラップ16、17を外側に折り曲げるために、その強度がより高くなる。なお、折り代20は第一側面5及び第二側面6に重ねて糊付けしてもよい。本体部2は各側面と折り代20が一体に形成されているため、組み立てた食品用容器1内に飲食物の汁等の液体が含まれていても各側面の継ぎ目から漏れ出ることはない。
【0027】
本実施形態による食品用容器1は上述の構成を備えており、次にその使用方法について説明する。
食品用容器1は、
図1に示すように、第一側面5から第四側面8を各折り代20で糊付けした本体部2を形成した状態で使用者に提供される。この状態で、サイドフラップ16、17が第三側面7及び第四側面8の外側に折り曲げられており、第一蓋部10及び第二蓋部11は上方に延びて開口された位置にある。そして、本体部2内に例えば調理済みの飲食物等の内容物を収納して第一蓋部10及び第二蓋部11を山型に折り曲げて開口2aを閉鎖し、第一段差部10dの第一切り込み12と第二段差部11aの第二切り込み13を互いに係止させることで封止できる(
図2及び
図4参照)。
【0028】
この状態で、第三側面7及び第四側面8はそれぞれサイドフラップ16、17が外側に折り曲げられているため高強度な平板状であり、開口2aを閉鎖させた第一蓋部10及び第二蓋部11との間に隙間ができない。商品の購入者は、この状態の食品用容器1を持ち運びできる。その際、第二蓋部11には、第一蓋部10の第一切り込み12に係合する第二切り込み13の付け根13a及び始点13bと上端辺6aの頂点6bとの間に二辺の屈曲部が形成されている。
【0029】
飲食に際して、
図3に示すように、第一蓋部10及び第二蓋部11を本体部2の開口2aから開放する場合、第一蓋部10は第一側面5との折り目で外側に開かれ、中間折り目10aで更に外側に屈曲するため開口2a上に戻ることはない。また、第二蓋部11を開くと、第二側面6の上端辺6aが頂点6bを有する山型に形成されているため、折り曲げられた第二蓋部11は上端辺6aで開いた状態でロックされ、元に戻らない。
そして、第三側面7及び第四側面8を各2本の第一折り目7c、7d、8c、8dに沿って外側に開くとそれぞれ略くの字状に折り曲げられる。しかも、第三側面7及び第四側面8は折り重ねられたサイドフラップ16、17も第二折り目16a、16b、17a、17bで重ねて折り曲げられるため、元の平面状には戻らない。
【0030】
即ち、紙製の食品用容器1は、一般的に飲食時には副蓋部である第二蓋部11を有する第二側面6を手前側に配置し、主蓋部である第一蓋部10を対向する前後方向L側に離間させた状態に配置する。飲食の際、第三側面7及び第四側面8に設けた補強用のサイドフラップ16,17は本来邪魔であるが、第三側面7及び第四側面8と共に第一折り目7c、7d、8c、8dによって外側に略くの字状に広げて保持することで飲食し易くできる。また、飲食者の手前側に位置する第二蓋部11も第二側面6の上端辺6aを山型にして折り曲げることで元の位置に戻ろうとしないため邪魔にならない。
【0031】
飲食終了後、
図6に示すように、第二側面6を底面4側に押して折り重ねると、第三側面7及び第四側面8の第一折り目7d、8dを境に折り曲げられる。更に第一蓋部10を中間折り目10aで折り重ね、更に第一側面5を底面4側に重ねて折り曲げると、第三側面7及び第四側面8の第一折り目7c、8cを境に折り曲げられる。しかも、本体部2の内面に食物の残りかすや汁等が付着していても、その部分に手を触れることなく第一側面5及び第二側面6を外側から押すことで小さく折り畳むことができる。これにより、食品用容器1は、三重に折り重ねられて略平面状になるため、嵩張らず小さい面積になるため廃棄スペースが小さくて済む。
【0032】
上述したように本実施形態による食品用容器1によれば、第三側面7及び第四側面8の上端辺7a、8aでそれぞれ外側に折り曲げたサイドフラップ16、17を有するため、第三側面7及び第四側面8が高強度になる。しかも、第三側面7及び第四側面8の略台形状をなす斜めの第一折り目7c、7d及び第一折り目8c、8dとサイドフラップ16、17の第二折り目16a、16b及び第二折り目17a、17bとがそれぞれ重なる。そのため、飲食時等に第三側面7及び第四側面8を外側に押し広げて本体部2の開口2aを広げることができ、元に戻ることを阻止できる。
【0033】
また、第二側面6は第二蓋部11を外側に折り曲げると上端辺6aが頂点6bを有する山型であるため、第二蓋部11が上方等、元に戻ることを阻止でき、開口2aを広げた状態で飲食等を行える。
更に、使用後に食品用容器1を廃棄する場合には、第三側面7及び第四側面8の対向する斜めの第一折り目7c、7d、8c、8dによって第二側面6及び第一側面5を底面4上に互いに折り重ねることで平らに折り畳むことができ、廃棄スペースを小さくできる。しかも、本体部2の内面に手を触れることなく小さく折り畳むことができる。
【0034】
なお、本発明による食品用容器1は、上述した実施形態に限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲で適宜の変更や置換等が可能である。これらはいずれも本発明に含まれる。以下に、本実施形態の変形例について説明するが、上述した実施形態と同一または同様な部材、部品等には同一の符号を用いて説明する。
【0035】
例えば、蓋部3として、第一側面5に設けた第一蓋部10と対向する第二側面6に設けた第二蓋部11とを設けて、切り込み部12、13同士を係合させる閉鎖させている。しかし、本発明ではこのような構成に限定されることなく、第二蓋部11を設けず、第一側面5にのみ本体部2の開口2aを閉鎖させる大きさの第一蓋部10を設けてもよい。
また、上述の実施形態では、第一蓋部10の第一段差部10dと第二蓋部11の第二段差部11aとにそれぞれ互いに係合する切り込み部12,13を設けた。しかし、切り込み部12、13はいずれか一方にのみ設けてもよい。
【0036】
また、上述した実施形態では、第三側面7、第四側面8に第一折り目7c、7d、8c、8dを設け、外側に折り曲げたサイドフラップ16、17に第一折り目7c、7d、8c、8dに重なる第二折り目16a、16b、17a、17bを設けた。しかし、サイドフラップ16、17には第二折り目16a、16b、17a、17bを設けなくてもよい。この場合でも、第三側面7、第四側面8を第一折り目7c、7d、8c、8dで外側に広げて折り曲げればサイドフラップ16、17も外側に湾曲させて開口2aを広げることができる。
また、第三側面7及び第四側面8の第一折り目7c、7d、8c、8dはそれぞれ2本に設定したが、3本以上の複数本を形成してもよい。サイドフラップ16、17の第二折り目16a、16b、17a、17bについても同様である。
なお、上述した実施形態では、紙製の食品用容器1について説明したが、食品用容器1の内面にフィルム等をコーティングしていてもよい。これによって、食品用容器1の防水性がより向上する。
【符号の説明】
【0037】
1 食品用容器
2 本体部
2a 開口
3 蓋部
4 底面
5 第一側面
6 第二側面
6a 上端辺
6b 頂点
7 第三側面
7a、8a 上端辺
7b、8b 下端辺
7c、7d、8c、8d 第一折り目
8 第四側面
10 第一蓋部
10a 中間折り目
10d 第一段差部
11a 第二段差部
12、13 切り込み部
11 第二蓋部
16、17 サイドフラップ
16a、16b、17a、17b 第二折り目