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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022078866
(43)【公開日】2022-05-25
(54)【発明の名称】ケーブル接続部の配設構造
(51)【国際特許分類】
   H02G 3/10 20060101AFI20220518BHJP
   H02G 3/02 20060101ALI20220518BHJP
   E04H 1/02 20060101ALI20220518BHJP
【FI】
H02G3/10
H02G3/02
E04H1/02
【審査請求】未請求
【請求項の数】8
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2020189826
(22)【出願日】2020-11-13
(71)【出願人】
【識別番号】504093467
【氏名又は名称】トヨタホーム株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100121821
【弁理士】
【氏名又は名称】山田 強
(74)【代理人】
【識別番号】100161230
【弁理士】
【氏名又は名称】加藤 雅博
(72)【発明者】
【氏名】一志 将人
【テーマコード(参考)】
2E025
5G357
5G361
【Fターム(参考)】
2E025AA03
2E025AA12
5G357CA05
5G357CB02
5G357CC01
5G357CE03
5G361AA02
5G361AB12
5G361AC05
5G361AC09
5G361AD01
(57)【要約】
【課題】給電ケーブルを接続するケーブル接続部が設けられた建物において、建物の外観が損なわれるのを防止することができる、ケーブル接続部の配設構造を提供する。
【解決手段】
建物10には、電気機器16~18に自動車23からの給電を可能とするインレット31が設けられている。インレット31と、自動車23とを給電ケーブル27により接続すると、電気機器16~18に自動車23から電力が供給される。また、建物10には、宅配ボックス50が設けられている。そして、インレット31は、当該宅配ボックス50の内部に収納された状態で設けられている。
【選択図】 図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
建物には、給電ケーブルが着脱可能に接続されるケーブル接続部が設けられ、
そのケーブル接続部に前記給電ケーブルを介して外部装置を接続した状態で、前記外部装置から前記建物へ又は前記建物から前記外部装置へ給電が可能となっている給電システムに適用され、
前記建物には、宅配ボックスが設けられており、
前記ケーブル接続部は、前記宅配ボックスの内部に配設されていることを特徴とする、ケーブル接続部の配設構造。
【請求項2】
前記宅配ボックスは、内部に荷物を収容可能な収容箱を有し、
前記ケーブル接続部は、前記収容箱の天板部に設けられていることを特徴とする、請求項1に記載のケーブル接続部の配設構造。
【請求項3】
前記宅配ボックスには、当該宅配ボックスの内外を連通し前記給電ケーブルを挿通可能な挿通部が設けられていることを特徴とする、請求項1又は2に記載のケーブル接続部の配設構造。
【請求項4】
前記宅配ボックスには、前記挿通部を開閉可能な開閉部材が設けられていることを特徴とする、請求項3に記載のケーブル接続部の配設構造。
【請求項5】
前記宅配ボックスは、内部に荷物を収容可能な収容箱と、その収容箱に荷物を投入するための投入口を開閉する扉部とを有し、
前記開閉部材は、前記扉部が開いた状態にある場合にのみ開閉操作が可能となるように設けられていることを特徴とする、請求項4に記載のケーブル接続部の配設構造。
【請求項6】
前記宅配ボックスは、内部に荷物を収容可能な収容箱と、その収容箱に荷物を投入するための投入口を開閉する扉部とを有し、
前記挿通部は、前記扉部に設けられ、当該扉部の周面にて開放される切り欠き状に形成されており、
前記開閉部材は、前記扉部の裏面側に当該扉部と一体に設けられ、前記挿通部を閉鎖する閉位置と前記挿通部を開放する開位置との間で動作可能とされており、
前記収容箱には、前記扉部が閉められた状態で前記閉位置に位置する前記開閉部材の前記開位置側に位置し、当該開閉部材が前記開位置側に動作するのを規制する規制部が設けられていることを特徴とする、請求項4又は5に記載のケーブル接続部の配設構造。
【請求項7】
前記ケーブル接続部と前記建物内の電気機器とを接続する外部給電経路を備え、
前記ケーブル接続部に前記給電ケーブルを介して前記外部装置としての外部電源装置を接続した状態で、前記外部電源装置から前記電気機器に前記給電ケーブル及び前記外部給電経路を通じて給電が可能となっている給電システムに適用され、
前記宅配ボックスは、前記建物の外壁部を貫通した状態で当該外壁部に取り付けられ、その一部が前記外壁部よりも屋内側に突出しており、
前記宅配ボックスにおいて当該宅配ボックスの内部と屋内とを仕切っている仕切部には、当該宅配ボックスの内部と屋内とを連通する孔部が形成されており、
その孔部には、前記ケーブル接続部が取り付けられており、
前記ケーブル接続部は、
前記宅配ボックスの内部に面して設けられ、前記給電ケーブルとしての第1給電ケーブルが接続される第1接続口と、
屋内に面して設けられ、前記外部給電経路の一部を構成する第2給電ケーブルが接続される第2接続口とを有していることを特徴とする、請求項1~6のいずれか1項に記載のケーブル接続部の配設構造。
【請求項8】
前記ケーブル接続部と前記建物内の電気機器とを接続する外部給電経路を備え、
前記ケーブル接続部に前記給電ケーブルを介して前記外部装置としての外部電源装置を接続した状態で、前記外部電源装置から前記電気機器に前記給電ケーブル及び前記外部給電経路を通じて給電が可能となっている給電システムに適用され、
前記宅配ボックスは、前記建物の外壁部を貫通した状態で当該外壁部に取り付けられ、屋外に向けて開口し前記宅配ボックス内に荷物を投入するための投入口と、その投入口を開閉する第1扉部と、屋内に向けて開口し前記宅配ボックス内から荷物を取り出すための取出口と、その取出口を開閉する第2扉部とを有しており、
前記ケーブル接続部は、前記宅配ボックスの内部に面した第1接続口及び第2接続口を有しており、
前記第1接続口には、前記給電ケーブルとしての第1給電ケーブルが接続され、
前記第2接続口には、前記外部給電経路の一部を構成する第2給電ケーブルが接続されることを特徴とする、請求項1~6のいずれか1項に記載のケーブル接続部の配設構造。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ケーブル接続部の配設構造に関する。
【背景技術】
【0002】
近年では、電気自動車やハイブリッド自動車が実用化されており、それらの自動車に搭載された車載バッテリを用いて、自動車側から建物側に電力を供給する技術が提案されている(例えば特許文献1参照)。かかる技術によれば、災害等に伴い、建物で停電が発生した場合に、自動車側から建物側に電力を供給することで、建物内の電気機器を作動させることが可能となる。
【0003】
また、建物側から自動車側に電力を供給する技術についても提案されている。この技術によれば、建物側から自動車側に商用電力等の電力を供給することで、自動車の車載バッテリを充電することが可能となる。
【0004】
自動車から建物側に電力を供給する際、又は建物側から自動車側に電力を供給する際には、自動車側と建物側とを給電ケーブルを介して接続し、その接続状態で電力を供給することになる。そのため、こうした給電が可能な建物には、給電ケーブルの一端側を接続するケーブル接続部が設けられる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2013-9521号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
給電ケーブルを接続するケーブル接続部は、建物の外壁等、屋外に設けられるのが一般である。そのため、ケーブル接続部が設けられた建物では、建物の外観が損なわれるおそれがある。
【0007】
本発明は、上記事情に鑑みてなされたものであり、給電ケーブルを接続するケーブル接続部が設けられた建物において、建物の外観が損なわれるのを防止することができる、ケーブル接続部の配設構造を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記課題を解決すべく、第1の発明のケーブル接続部の配設構造は、建物には、給電ケーブルが着脱可能に接続されるケーブル接続部が設けられ、
そのケーブル接続部に前記給電ケーブルを介して外部装置を接続した状態で、前記外部装置から前記建物へ又は前記建物から前記外部装置へ給電が可能となっている給電システムに適用され、
前記建物には、宅配ボックスが設けられており、
前記ケーブル接続部は、前記宅配ボックスの内部に配設されていることを特徴とする。
【0009】
住宅等の建物には、宅配業者から宅配される荷物を受け取るための宅配ボックスが設けられている場合がある。そこで、第1の発明では、この点に着目し、給電ケーブルが接続されるケーブル接続部を宅配ボックスの内部に配設している。この場合、ケーブル接続部が屋外から見えない状態で配置されるため、ケーブル接続部が設けられる建物において、建物の外観が損なわれるのを抑制することができる。
【0010】
第2の発明のケーブル接続部の配設構造は、第1の発明において、前記宅配ボックスは、内部に荷物を収容可能な収容箱を有し、
前記ケーブル接続部は、前記収容箱の天板部に設けられていることを特徴とする。
【0011】
宅配ボックスは、宅配業者等が屋外から荷物を投入し易いように、投入する人の腰高さあたりに配置されていることが多い。その点、第2の発明では、ケーブル接続部が収容箱の天板部に設けられているため、宅配業者等が荷物を収容箱に投入する際にもケーブル接続部を見えにくくすることができる。これにより、建物の外観が損なわれるのをより一層抑制することができる。
【0012】
第3の発明のケーブル接続部の配設構造は、第1又は第2の発明において、前記宅配ボックスには、当該宅配ボックスの内外を連通し前記給電ケーブルを挿通可能な挿通部が設けられていることを特徴とする。
【0013】
第3の発明によれば、宅配ボックスに給電ケーブルを挿通可能な挿通部が設けられているため、その挿通部に給電ケーブルを挿通した状態で扉部を閉めることができる。この場合、扉部を閉めた状態で給電ケーブルを屋外から宅配ボックスの内部に導いてケーブル接続部に接続することができるため、扉部を閉めた状態で、給電ケーブルを通じた給電を行うことができる。これにより、給電中に宅配ボックス内に雨等が入り込むのを防止することが可能となる。
【0014】
また、給電中に扉部を施錠するようにすれば、給電中に何者かに扉部を開けられ、給電ケーブルがケーブル接続部から外されてしまう事態が生じるのを防止することができる。これにより、給電時の防犯性向上を図ることができる。
【0015】
第4の発明のケーブル接続部の配設構造は、第3の発明において、前記宅配ボックスには、前記挿通部を開閉可能な開閉部材が設けられていることを特徴とする。
【0016】
第4の発明によれば、宅配ボックスに開閉部材が設けられているため、普段は開閉部材により挿通部を閉鎖しておくことができる。そのため、挿通部を通じて宅配ボックス内にいたずらされる等の不都合を防止することができる。また、給電ケーブルをケーブル接続部に接続する際には、開閉部材を開状態にして挿通部を開放することができる。そのため、挿通部に給電ケーブルを挿通し、ケーブル接続部に接続することができる。
【0017】
第5の発明のケーブル接続部の配設構造は、第4の発明において、前記宅配ボックスは、内部に荷物を収容可能な収容箱と、その収容箱に荷物を投入するための投入口を開閉する扉部とを有し、
前記開閉部材は、前記扉部が開いた状態にある場合にのみ開閉操作が可能となるように設けられていることを特徴とする。
【0018】
第5の発明によれば、開閉部材は、扉部が開いた状態にある場合にのみ開閉操作が可能となっている。つまり、開閉部材は、扉部が閉められた状態では開閉操作不能となっている。この場合、扉部が閉められた状態で、開閉部材が挿通部を通じて開状態とされるのを防止することができるため、挿通部を通じた宅配ボックス内へのいたずら等をより確実に防止することができる。
【0019】
第6の発明のケーブル接続部の配設構造は、第4又は第5のいずれかの発明において、前記宅配ボックスは、内部に荷物を収容可能な収容箱と、その収容箱に荷物を投入するための投入口を開閉する扉部とを有し、
前記挿通部は、前記扉部に設けられ、当該扉部の周面にて開放される切り欠き状に形成されており、
前記開閉部材は、前記扉部の裏面側に当該扉部と一体に設けられ、前記挿通部を閉鎖する閉位置と前記挿通部を開放する開位置との間で動作可能とされており、
前記収容箱には、前記扉部が閉められた状態で前記閉位置に位置する前記開閉部材の前記開位置側に位置し、当該開閉部材が前記開位置側に動作するのを規制する規制部が設けられていることを特徴とする。
【0020】
第6の発明によれば、扉部に設けられた挿通部が切り欠き状に形成されているため、挿通部に給電ケーブルを挿通する作業がし易くなっている。また、扉部の裏面側には、開閉部材が閉位置と開位置との間で動作可能に設けられ、収容箱には、扉部が閉められた状態で閉位置に位置する開閉部材の開位置側に位置する規制部が設けられている。この場合、扉部が閉められた状態では、規制部により開閉部材が開位置側に動作するのが規制される。そのため、扉部が閉められた状態で開閉部材が開状態とされるのを防止することができ、その結果、挿通部を通じた宅配ボックス内へのいたずら等をより確実に防止することができる。
【0021】
第7の発明のケーブル接続部の配設構造は、第1~第6のいずれかの発明において、前記ケーブル接続部と前記建物内の電気機器とを接続する外部給電経路を備え、
前記ケーブル接続部に前記給電ケーブルを介して前記外部装置としての外部電源装置を接続した状態で、前記外部電源装置から前記電気機器に前記給電ケーブル及び前記外部給電経路を通じて給電が可能となっている給電システムに適用され、
前記宅配ボックスは、前記建物の外壁部を貫通した状態で当該外壁部に取り付けられ、その一部が前記外壁部よりも屋内側に突出しており、
前記宅配ボックスにおいて当該宅配ボックスの内部と屋内とを仕切っている仕切部には、当該宅配ボックスの内部と屋内とを連通する孔部が形成されており、
その孔部には、前記ケーブル接続部が取り付けられており、
前記ケーブル接続部は、
前記宅配ボックスの内部に面して設けられ、前記給電ケーブルとしての第1給電ケーブルが接続される第1接続口と、
屋内に面して設けられ、前記外部給電経路の一部を構成する第2給電ケーブルが接続される第2接続口とを有していることを特徴とする。
【0022】
第7の発明によれば、宅配ボックス内のケーブル接続部に給電ケーブル(第1給電ケーブル)を介して外部電源装置を接続した状態で、外部電源装置から第1給電ケーブル及び外部給電経路を通じて建物内の電気機器に給電が可能となっている。宅配ボックスは、建物の外壁部に貫通状態で取り付けられる壁埋め込み型のボックスとされ、その一部が外壁部よりも屋内側に突出している。
【0023】
宅配ボックスにおいてその内部と屋内とを仕切る仕切部には孔部が形成され、その孔部にケーブル接続部が取り付けられている。ケーブル接続部は、宅配ボックスの内部に面した第1接続口と、屋内に面した第2接続口とを有し、第1接続口には第1給電ケーブルを接続可能となっており、第2接続口には外部給電経路の一部を構成する第2給電ケーブルを接続可能となっている。
【0024】
かかる構成では、建物内に設けられる外部給電経路の一部が第2給電ケーブルにより構成されるため、外部給電経路において壁内や床下等の裏空間を通る経路部分を短くすることができる。外部給電経路をリフォーム等により建物に後付けする場合、上記経路部分を構成する電気配線を裏空間に配設するのは作業的に大変であることが想定される。その点、上記の構成とすれば、裏空間に配設する経路部分を短くすることができるため、外部給電経路を後付けする作業をし易くすることができる。
【0025】
第8の発明のケーブル接続部の配設構造は、第1~第6のいずれかの発明において、前記ケーブル接続部と前記建物内の電気機器とを接続する外部給電経路を備え、
前記ケーブル接続部に前記給電ケーブルを介して前記外部装置としての外部電源装置を接続した状態で、前記外部電源装置から前記電気機器に前記給電ケーブル及び前記外部給電経路を通じて給電が可能となっている給電システムに適用され、
前記宅配ボックスは、前記建物の外壁部を貫通した状態で当該外壁部に取り付けられ、屋外に向けて開口し前記宅配ボックス内に荷物を投入するための投入口と、その投入口を開閉する第1扉部と、屋内に向けて開口し前記宅配ボックス内から荷物を取り出すための取出口と、その取出口を開閉する第2扉部とを有しており、
前記ケーブル接続部は、前記宅配ボックスの内部に面した第1接続口及び第2接続口を有しており、
前記第1接続口には、前記給電ケーブルとしての第1給電ケーブルが接続され、
前記第2接続口には、前記外部給電経路の一部を構成する第2給電ケーブルが接続されることを特徴とする。
【0026】
壁埋め込み型の宅配ボックスには、屋外に開口する荷物の投入口に加え、屋内に開口する荷物の取出口が設けられているものがある。第8の発明では、かかる宅配ボックス内に、第1接続口と第2接続口とを有するケーブル接続部が設けられている。第1接続口には、外部電源装置が接続される第1給電ケーブルが接続され、第2接続口には、外部給電経路の一部を構成する第2給電ケーブルが接続されるようになっている。この場合、上記第7の発明と同様の効果を得ることができる。また、第2給電ケーブルについては宅配ボックスの取出口を通じて屋内に導くことができるため、第2給電ケーブルを屋内に導くための孔部をわざわざ設ける必要がなく、構成の簡素化を図ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0027】
図1】第1実施形態における給電システムの概略を示す全体構成図。
図2】インレットが設けられた宅配ボックスを示す縦断面図。
図3】インレットが設けられた宅配ボックスを示す正面図。
図4】インレットが設けられた宅配ボックスを示す縦断面図であり、インレットに給電ケーブルが接続された状態を示す。
図5】第2実施形態における宅配ボックス付近の縦断面図。
図6】他の実施形態における宅配ボックス付近の縦断面図。
図7】他の実施形態におけるアルコーブ付近の外観図。
図8】他の実施形態におけるアルコーブ付近の縦断面図。
【発明を実施するための形態】
【0028】
以下、本発明を具体化した一実施の形態を図面に基づいて説明する。
【0029】
(第1実施形態)
図1に示すように、建物10には分電盤11が設けられている。分電盤11には、商用電源(系統電源)から送られる商用電力が引き込み線12を介して供給される。引き込み線12は、電柱に設けられた柱上トランス(図示略)から建物10側に引き込まれている。柱上トランスでは、配電線を流れるAC6600Vの高圧電力(商用電力)がAC100/200Vの低圧電圧に変換される。そして、その変換された低圧電力が引き込み線12を介して分電盤11に供給されるようになっている。なお、柱上トランスの二次側は接地(アース)されている。
【0030】
分電盤11に供給されるAC100/200Vの商用電力は、分電盤11から建物10内の複数の回路(分岐回路)に分配供給される。これら複数の回路には、リビング用の回路であるリビング回路15が含まれている。リビング回路15は、照明16、照明SW17及びコンセント18等の電気機器と、これらの電気機器16~18に接続されたユニットケーブル19とを有している。分電盤11とリビング回路15とは給電経路22を介して接続され、その給電経路22を通じて分電盤11からリビング回路15に商用電力が供給される。また、図1では便宜上、建物10内の各回路のうち、リビング回路15以外の回路については図示を省略している。
【0031】
建物10には、リビング回路15に外部電源装置からの給電を可能とする外部給電系統が設けられている。これにより、本建物10では、災害等により建物10に停電が発生した場合(すなわち商用電力の供給が停止された場合)に、建物10に外部電源装置を接続し、その接続状態で外部電源装置からリビング回路15に電力を供給することが可能となっている。このため、停電発生時においても、リビングの電気機器16~18を使用することが可能となっている。
【0032】
なお、リビング回路15は、非常時にも給電が可能となっていることから、非常時給電回路ということもできる。また、非常時給電回路は、必ずしもリビング回路15である必要はなく、寝室用の寝室回路等、他の回路であってもよい。また、非常時給電回路を複数設定してもよい。
【0033】
続いて、外部電源装置からリビング回路15に給電を行うための構成について説明する。
【0034】
本実施形態では、外部電源装置として、外部給電機能を有する自動車23を想定している。自動車23は、例えば車載バッテリ24を搭載したプラグインハイブリッド自動車(PHV)となっている。自動車23には、その車内にコンセント25が設けられている。コンセント25は車載バッテリ24に電気的に接続され、車載バッテリ24に蓄えられた電力をコンセント25から取り出し可能となっている。コンセント25は、建物に設けられているコンセントと同じAC100V用のコンセントとなっている。そのため、コンセント25には、ドライヤ等の電気機器(家電機器)を接続可能となっている。
【0035】
自動車23は、給電ケーブル27を介して建物10に接続可能となっている。給電ケーブル27は、その両端部に一対のコネクタ27a,27bを有している。これら各コネクタ27a,27bのうち、一方のコネクタ27aは自動車23のコンセント25に接続可能とされ、他方のコネクタ27bは、建物10のインレット31に接続可能とされている。これにより、給電ケーブル27のコネクタ27aが自動車23のコンセント25に接続され、かつ、コネクタ27bが建物10のインレット31に接続されることで、自動車23と建物10とが給電ケーブル27を介して電気的に接続されるようになっている。また、詳しくは後述するが、建物10は、外壁部29に埋め込みタイプの宅配ボックス50を有しており、この宅配ボックス50の内部にインレット31が設けられている。
【0036】
建物10には、インレット31と給電経路22とを接続する接続経路35が設けられている。接続経路35は給電経路22の中間部に接続され、その給電経路22と接続経路35との接続部分には切替スイッチ21が設けられている。この場合、切替スイッチ21とインレット31とが接続経路35を介して接続されている。
【0037】
切替スイッチ21は、手動操作により、分電盤11とリビング回路15とを接続する第1位置と、インレット31(換言すると接続経路35)とリビング回路15とを接続する第2位置との間で位置切替可能となっている。切替スイッチ21が第1位置にある場合には、分電盤11からリビング回路15に給電経路22を介して商用電力が供給される。切替スイッチ21は通常、第1位置に設定され、図1では、切替スイッチ21が第1位置に設定された状態を示している。
【0038】
一方、自動車23(詳しくはコンセント25)が給電ケーブル27を介して建物10側のインレット31に接続された状態で、切替スイッチ21が第1位置から第2位置に切り替えられると、自動車23とリビング回路15とが給電ケーブル27と接続経路35と給電経路22の一部(詳しくは、給電経路22のうち、切替スイッチ21とリビング回路15とをつなぐ経路部分)とを介して電気的に接続される。この場合、自動車23側からAC100Vの電力が給電ケーブル27を介してインレット31に供給され、その供給された電力がインレット31から接続経路35と給電経路22の上記一部とを介してリビング回路15に供給される。なお、この場合、接続経路35と給電経路22の上記一部とを含んで、インレット31とリビング回路15(電気機器16~18)とを接続する外部給電経路が構成されている。
【0039】
続いて、建物10に設けられた宅配ボックス50の構成について図2及び図3に基づいて説明する。
【0040】
建物10において屋内と屋外とを仕切る外壁部29には、当該外壁部29に一部埋め込まれた状態で宅配ボックス50が取り付けられている。宅配ボックス50は、荷物を収容するための収容箱61を備えている。なお、宅配ボックス50は、荷物の出し入れを行いやすいように、利用者の腰付近の高さに取り付けられている。
【0041】
収容箱61は、外壁部29に形成された開口部29aに挿通され、その挿通状態で外壁部29に固定されている。収容箱61は、天板部62と、一対の側板部63と、底板部64とを有している。収容箱61は、全体として直方体状(箱状)に形成され、その内側の空間が荷物を収容するための収容空間65となっている。天板部62と底板部64とは収容空間65を挟んで上下に対向しており、各側板部63は収容空間65を挟んで左右に対向している。
【0042】
収容箱61の前面は屋外に向けて開口し、その開口部が収容空間65に屋外から荷物を投入するための投入口67とされている。この投入口67を介して収容空間65が屋外に開口されている。収容箱61の背面は屋内に向けて開口し、その開口部が収容空間65の荷物を屋内から取り出すための取出口68とされている。この取出口68を介して収容空間65が屋内に開口されている。
【0043】
収容箱61の前面(すなわち、投入口67)には、投入口67を開閉する前扉52が取り付けられている。収容箱61の背面(すなわち、取出口68)には、取出口68を開閉する後扉53が取り付けられている。前扉52及び後扉53は、矩形板状に形成され、蝶番69により同じ側板部63にそれぞれ取り付けられている。そのため、前扉52及び後扉53は、回動可能な横開きの扉とされている。収容箱61には、前扉52を開けることにより屋外(前側)から荷物を投入可能となっており、後扉53を開けることにより屋内(後側)から荷物を取出可能となっている。そのため、本宅配ボックス50は、前入れ後出しタイプのボックスとされている。なお、前扉52が扉部及び第1扉部に相当する。また、後扉53が第2扉部に相当する。
【0044】
前扉52には、当該前扉52を施解錠するための施錠装置55が設けられている。施錠装置55は、屋外側から所定の解錠操作を行うことにより解錠が可能とされている。また、後扉53には、当該後扉53を施解錠するための施錠装置(図示略)が設けられている。後扉53に設けられた施錠装置は、基本的に常時施錠状態とされ、屋内側から所定の解錠操作を行うことにより解錠可能とされている。
【0045】
ところで、上述したように、宅配ボックス50の内部には、インレット31が設けられている。本実施形態では、インレット31が宅配ボックス50内に設けられている点に特徴を有しており、以下では、その特徴的な構成について説明する。
【0046】
インレット31は、収容箱61の天板部62に設けられている。天板部62には、下方(収容空間65)に開放された収容凹部66が形成されている。インレット31は、その収容凹部66に収容された状態で天板部62に取り付けられている。これにより、インレット31の下面は天板部62の下面と略同じ高さに位置している。また、インレット31は、天板部62において後側(屋内側)の位置に配置され、換言すると収容箱61の奥側の位置に配置されている。なお、インレット31がケーブル接続部に相当する。
【0047】
インレット31からは電気経路としての接続経路35が切替スイッチ21へ向けて延びている(図1も参照)。接続経路35は、インレット31から天板部62の内部又は天板部62に沿って延び、その後、外壁部29内に入り込んで切替スイッチ21まで延びている。
【0048】
前扉52には、給電ケーブル27を通すための切り欠き部56が設けられている。切り欠き部56は、前扉52における回動先端側の側面(蝶番69が取り付けられている側とは反対側の側面)から凹むように形成され、前扉52を厚み方向に貫通している。この場合、切り欠き部56は、前扉52における回動先端側の側面にて開放された切り欠きとなっている。切り欠き部56は、収容箱61の各側板部63のうち、前扉52の回動先端側に配置された側板部63aよりも前扉52の内側(換言すると前扉52の回動基端側)に向けて延びている。この場合、切り欠き部56において側板部63aよりも上記内側の部分は収容箱61の内部と外部とを連通する連通部57となっている。これにより、前扉52を閉めた状態で連通部57(ひいては切り欠き部56)に給電ケーブル27を挿通可能となっている。なお、切り欠き部56が挿通部に相当する。
【0049】
前扉52の裏面側には、切り欠き部56を開閉する開閉部材75が設けられている。開閉部材75は、矩形板状をなしており、例えば鋼板により形成されている。開閉部材75は、前扉52の裏面に沿って左右方向に延びる回動軸76を介して固定部77に取り付けられている。固定部77は、前扉52の裏面における切り欠き部56の上方位置にビス等により固定されている。これにより、開閉部材75は、回動軸76と固定部77とを介して前扉52に取り付けられている。
【0050】
開閉部材75は、その上端部において回動軸76に連結され、その回動軸76を中心として回動可能とされている。開閉部材75は、回動することにより、切り欠き部56を閉鎖する閉位置(図2において実線で示す位置)と、切り欠き部56を開放する開位置(図2において二点鎖線で示す位置)との間で開閉動作可能となっている。開閉部材75が閉位置にある場合には、開閉部材75が前扉52の裏面に沿って縦向きに配置される。また、開閉部材75が前扉52から離間する側に回動すると、開閉部材75が横向きになって開位置に移行する。また、開閉部材75は、その自重により、通常は閉位置に位置している。
【0051】
開閉部材75は、幅方向の一端側が収容箱61の側板部63aに形成された凹部71に入り込んでいる。凹部71は、収容箱61の内部側(収容空間65側)に開口しており、また、前側(前扉52側)にも開口している。凹部71は、その前端部に下方へ延びる第1部分71aを有している。第1部分71aは、その幅(詳しくは前後方向の長さ)が開閉部材75の厚みよりも若干大きくされている。また、凹部71において第1部分71aよりも後方に延びた部分は第2部分71bとなっている。
【0052】
前扉52が閉められた状態では、閉位置にある開閉部材75の幅方向の一端側が側板部63aの凹部71に入り込んだ状態とされる。この場合、開閉部材75の下端側については第1部分71aに入り込んで、前扉52と側板部63aとの間に挟まれた状態で配置される。詳しくは、前扉52が閉められた状態では、第1部分71aを挟んで前扉52の裏面と第1部分71aの後側面とが互いに対向し、その対向した各面の間に開閉部材75の下端側が挟まれた状態で配置される。この場合、その挟まれた部分では、開閉部材75の後方、換言すると開閉部材75の開位置側に第1部分71aの後側面が位置する。これにより、開閉部材75が開位置側に回動することが規制される。なお、第1部分71aの後側面が規制部に相当する。
【0053】
開閉部材75が開位置にある状態で、前扉52が閉められると、開閉部材75は凹部71の第2部分71bに入り込む(図2の二点鎖線参照)。これにより、開閉部材75が開位置にある場合にも、前扉52を閉めることが可能となっている。
【0054】
続いて、宅配ボックス50内のインレット31に給電ケーブル27を接続する場合の作業手順について図4に基づき説明する。図4は、インレット31が設けられた宅配ボックス50の構成を示す縦断面図であり、インレット31に給電ケーブル27を接続した状態を示している。
【0055】
図4に示すように、まず前扉52を開き、インレット31に給電ケーブル27のコネクタ27bを接続する。その後、開閉部材75を開位置に位置させた状態で前扉52の切り欠き部56に給電ケーブル27を挿通する。この際、給電ケーブル27を開閉部材75の下側に通して、給電ケーブル27により開閉部材75が閉位置にて保持されるようにする。
【0056】
続いて、前扉52を閉め、前扉52を施錠装置55により施錠する。前扉52を閉めると、開位置にある開閉部材75が収容箱61の凹部71の第2部分71bに配置される。また、給電ケーブル27は、切り欠き部56の連通部57に挿通された状態となる。これにより、給電ケーブル27をインレット31に接続した状態で、前扉52を閉め施錠することが可能となる。その後、給電ケーブル27のコネクタ27aを自動車23のコンセント25に接続し、その接続状態で自動車23から建物10への給電を行う。
【0057】
以上詳述した本実施形態によれば、以下の効果が得られる。
【0058】
本実施形態では、宅配ボックス50を有する建物10において、給電ケーブル27が接続されるインレット31を宅配ボックス50の内部に配設している。この場合、インレット31が屋外から見えない状態で配置されるため、インレット31が設けられる建物10において、建物10の外観が損なわれるのを抑制することができる。また、既設の宅配ボックス50を活用することで、インレット31を収容するための設備を新たに導入するコストを削減できる。
【0059】
本実施形態では、インレット31が宅配ボックス50内に隠されていることで、インレット31にいたずらをされたりすることを抑制でき、防犯性にも優れる。
【0060】
本実施形態では、前扉52が閉状態となっている場合、宅配ボックス50の内部に雨が降りこまないようになっている。このため、インレット31に雨が入り込むことを抑制できる。これにより、インレット31に別途防水構造を設けるコストを削減できる。
【0061】
本実施形態では、インレット31が収容箱61の天板部62に設けられているため、宅配業者等が荷物を収容箱61に投入する際にインレット31を見えにくくすることができる。これにより、建物10の外観が損なわれるのをより一層抑制することができる。また、インレット31が天板部62に設けられている場合、宅配ボックス50内に雨が降りこんだとしても、インレット31に雨がかかるのを抑制することができる。さらに、宅配ボックス50に荷物を収容する(すなわち、収容箱61の底板部64上に荷物を配置する)場合に、インレット31が邪魔になるのを抑制することもできる。
【0062】
本実施形態では、インレット31は、天板部62において、収容凹部66に設けられており、インレット31の下面は天板部62の下面と略同じ高さに位置している。また、インレット31は、天板部62において、収容箱61の奥側の位置に配置されている。これらにより、収容箱61に荷物を収容する際に、インレット31が邪魔になったり、目について建物10の外観を損ねたりすることを、より好適に抑制することができる。
【0063】
本実施形態では、宅配ボックス50に給電ケーブル27を挿通可能な切り欠き部56が設けられているため、その切り欠き部56(詳しくは連通部57)に給電ケーブル27を挿通した状態で前扉52を閉めることができる。この場合、前扉52を閉めた状態で給電ケーブル27を屋外から宅配ボックス50の内部に導いてインレット31に接続することができるため、前扉52を閉めた状態で給電ケーブル27を通じた給電を行うことができる。これにより、給電中に宅配ボックス50内に雨等が入り込むのを防止することが可能となる。また、前扉52に設けられた切り欠き部56は、それが切り欠き状に形成されていることで、給電ケーブル27を挿通する作業をし易くすることができる。
【0064】
本実施形態では、前扉52に施錠装置55が設けられている。このため、給電中に前扉52を施錠するようにすれば、給電中に何者かに前扉52を開けられ、給電ケーブル27がインレット31から外されてしまう事態が生じるのを防止することができる。これにより、給電時の防犯性向上を図ることができる。
【0065】
本実施形態では、宅配ボックス50に開閉部材75が設けられているため、普段は開閉部材75により連通部57を閉鎖しておくことができる。そのため、連通部57を通じて宅配ボックス50内にいたずらされる等の不都合を防止することができる。また、給電ケーブル27をインレット31に接続する際には、開閉部材75を開状態にして連通部57を開放することができる。そのため、連通部57に給電ケーブル27を挿通し、インレット31に接続することができる。
【0066】
本実施形態では、前扉52が閉められた状態では、閉位置にある開閉部材75の幅方向の一端側が側板部63aの凹部71に入り込んだ状態とされる。この場合、開閉部材75の下端側については第1部分71aに入り込んで、前扉52と側板部63aとの間に挟まれた状態で配置される。この配置状態では、開閉部材75の下端側における後方(つまり開位置側)に側板部63a詳しくは第1部分71aの後側面が位置する。これにより、前扉52が閉められた状態では、第1部分71aの後側面により開閉部材75が開位置側に回動するのが規制される。そのため、前扉52が閉められた状態で開閉部材75が開状態とされるのを防止することができ、その結果、連通部57を通じた宅配ボックス50内へのいたずら等をより確実に防止することができる。
【0067】
一方、開閉部材75が開位置にある状態で前扉52を閉じた場合には、開閉部材75は第2部分71bに導入される。そのため、連通部57に給電ケーブル27を挿通した場合であっても、前扉52を閉めることができる。すなわち、開状態の開閉部材75と側板部63aとが干渉して、前扉52を閉められなくなる不具合を抑制できる。
【0068】
また、開閉部材75は、その上端部に沿って設けられた回動軸76を介して前扉52に回動可能に取り付けられている。この場合、開閉部材75は、その自重により、通常は回動軸76により吊り下げられた状態で閉位置に位置することになる。このため、自動車23からの給電を行わない場合において、前扉52を閉めた際に、開閉部材75が第2部分71bに導入されて連通部57が解放されたままとなることを抑制できる。
【0069】
(第2実施形態)
次に、第2実施形態について図5に基づき説明する。以下、第1実施形態との相違点を主に説明する。
【0070】
第2実施形態では、インレットとして、宅配ボックス50の内部に設けられた第1インレット41と、屋内に設けられた第2インレット43とを備える。第1インレット41は、矩形板状に形成されており、宅配ボックス50の天板部62に設けられている。詳しくは、第1インレット41は、天板部62のうち、外壁部29よりも屋内側の部分に設けられている。なお、第1インレット41がケーブル接続部に相当する。また、天板部62のうち外壁部29よりも屋内側の部分が、宅配ボックス50の内部と屋内とを仕切る仕切部に相当する。
【0071】
天板部62には、宅配ボックス50の内部(つまり収容空間65)と屋内とを連通する孔部46が形成されている。孔部46は、その下側部分が上側部分よりも拡がっており、その下側部分に第1インレット41が取り付けられている。第1インレット41は、その下面側に第1接続口41aを有し、その上面側に第2接続口41bを有している。第1接続口41aは宅配ボックス50内に面しており、第2接続口41bは屋内に面している。第1接続口41aと第2接続口41bとは電気的に接続されている。
【0072】
第1接続口41aには、屋外で用いられる屋外給電ケーブル44を接続可能となっており、第2接続口41bには、屋内で用いられる屋内給電ケーブル45を接続可能となっている。屋外給電ケーブル44は、両端部にコネクタ44a、44bを有する。コネクタ44aが自動車23のコンセント25に接続され、かつ、コネクタ44bが第1インレット41の第1接続口41aに接続されることで、自動車23と第1インレット41とが屋外給電ケーブル44を介して電気的に接続されるようになっている。なお、屋外給電ケーブル44は、第1給電ケーブルに相当する。
【0073】
屋内給電ケーブル45は、両端部にコネクタ45a、45bを有する。コネクタ45aは第1インレット41の第2接続口41bに接続され、コネクタ45bは第2インレット43に接続されるようになっている。各コネクタ45a,45bがそれぞれ第2接続口41b及び第2インレット43に接続されることで、第1インレット41と第2インレット43とが屋内給電ケーブル45を介して電気的に接続されるようになっている。なお、屋内給電ケーブル45が第2給電ケーブルに相当する。
【0074】
第2インレット43は、建物10内の間仕切壁13に設けられている。第2インレット43は、切替スイッチ21が設けられた間仕切壁13と同じ間仕切壁13に設けられている。第2インレット43は、電気経路51を介して切替スイッチ21と接続されている。この場合、第1インレット41と切替スイッチ21とを接続する接続経路35は、屋内給電ケーブル45と電気経路51とを有して構成されている。したがって、第1インレット41とリビング回路15(各電気機器16~18)とを接続する外部給電経路の一部が屋内給電ケーブル45により構成されていることになる。
【0075】
上記の構成によれば、屋外給電ケーブル44により自動車23と第1インレット41とを接続するとともに、屋内給電ケーブル45により第1インレット41と第2インレット43とを接続した状態で、切替スイッチ21を第1位置から第2位置へと切り替えると、自動車23とリビング回路15とが各給電ケーブル44,45を介して電気的に接続される。これにより、自動車23からリビング回路15の電気機器16~18に各給電ケーブル44,45を介して給電を行うことが可能となる。
【0076】
以上詳述した第2実施形態によれば、以下の効果が得られる。
【0077】
第2実施形態においては、宅配ボックス50内の第1インレット41に屋外給電ケーブル44を介して自動車23を接続した状態で、自動車23から屋外給電ケーブル44及び自動車23を通じて建物10内の電気機器16~18に給電が可能となっている。宅配ボックス50は、建物10の外壁部29に貫通状態で取り付けられる壁埋め込み型のボックスとされ、その一部が外壁部29よりも屋内側に突出している。
【0078】
宅配ボックス50において、天板部62のうち外壁部29よりも屋内側の部分には孔部46が形成され、その孔部46に第1インレット41が取り付けられている。第1インレット41は、宅配ボックス50の内部に面した第1接続口41aと、屋内に面した第2接続口41bとを有し、第1接続口41aには屋外給電ケーブル44を接続可能となっており、第2接続口41bには外部給電経路の一部を構成する屋内給電ケーブル45を接続可能となっている。
【0079】
かかる構成では、建物10内に設けられる外部給電経路の一部が屋内給電ケーブル45により構成されるため、外部給電経路において壁内や床下等の裏空間を通る経路部分を短くすることができる。外部給電経路をリフォーム等により建物10に後付けする場合、上記経路部分を構成する電気配線を裏空間に配設するのは作業的に大変であることが想定される。その点、上記の構成とすれば、裏空間に配設する経路部分を短くすることができるため、外部給電経路を後付けする作業をし易くすることができる。
【0080】
また、宅配ボックス50は、建物10を内外に貫通して設けられているため、前扉52や後扉53が解放されたままであると、宅配ボックス50を通じて風等が屋内に侵入したり、建物10内の空調効率が低下したり、防犯性が低下したりといった不都合が生じるおそれがある。しかし、第2実施形態では、屋内給電ケーブル45の接続作業にあたって後扉53を解放する必要がないため、かかる不都合の発生を抑制できる。
【0081】
(他の実施形態)
本発明は、上記実施形態に限らず、例えば次のように実施されてもよい。
【0082】
(1)上記第1及び第2実施形態では、インレット31を設ける位置は、収容箱61の天板部62としたが、これに限定されるものではない。収容箱61の側板部63であってもよいし、前扉52や後扉53であってもよい。
【0083】
(2)上記第1及び第2実施形態では、切り欠き部56を前扉52の回動先端側の側面において開放するように設けたが、切り欠き部56を前扉52の上面又は下面において開放するように設けてもよい。なお、前扉52の側面、上面及び下面はいずれも前扉52の周面に相当する。
【0084】
また、宅配ボックス50に給電ケーブル27を挿通するための挿通部は、必ずしも切り欠き部56である必要はない。例えば、挿通部は、孔形状であってもよいし、前扉52の四隅を切り取って形成されたものであってもよい。つまり、挿通部は、宅配ボックス50の内外を連通して給電ケーブル27を挿通可能なものであればよい。また、挿通部の位置は、前扉52に限らず、例えば、収容箱61の側板部63や底板部64としてもよい。
【0085】
(3)上記第1又は第2実施形態では、側板部63aに形成した凹部71(詳しくは、第1部分71a)の後側面を、開閉部材75が開側へ移動するのを規制する規制部としたが、規制部の構成はこれに限定されない。例えば、側板部63aの収容空間65側の面に凸部を設け、その凸部が、前扉52が閉じられている場合に開閉部材75の後側(換言すると開位置側)に位置する構成としてもよい。かかる構成においても、前扉52が閉められた状態で、開閉部材75が開状態とされるのを防止することができる。
【0086】
また、凸部は、開閉部材75を開状態として前扉52を閉めた場合に、開閉部材75が干渉しない位置に配置するとよい。そうすれば、開閉部材75を開状態として連通部57に給電ケーブル27を挿通した際に、前扉52を閉めることができる。
【0087】
(4)上記第1及び第2実施形態では、開閉部材として、回動式の開閉部材75を用いたが、これに限定されない。例えば、開閉部材を、前扉52の裏面に沿ってスライドするスライド式の開閉部材としてもよい。この場合、開閉部材がスライド移動することで、切り欠き部56が開閉されることになる。また、この場合、開閉部材を閉位置側に付勢するばね等の付勢部材を設ければ、通常時に開閉部材が開位置に移動し切り欠き部56が開放されてしまうことを防止できる。
【0088】
また、開閉部材は着脱式のものであってもよい。例えば、挿通部が孔部となっている構成において、その孔部に着脱可能に取り付けられる開閉部材を用いてもよい。この場合、挿通部(孔部)をねじ孔とするとともに、開閉部材にねじ孔にねじ込み可能な部分を設け、その部分をねじ孔にねじ込むことにより開閉部材を着脱可能に取り付けるようにする。かかる構成では、開閉部材を取り付けることで孔部が閉鎖され、開閉部材を取り外すことで孔部が開放される。
【0089】
また、この場合、前扉52の裏面側からのみ開閉部材を孔部に着脱可能な構成としてもよい。そうすれば、宅配ボックス50の外部から開閉部材を外されることを防止できるため、孔部を通じたいたずら等をより確実に防止することができる。
【0090】
(5)切り欠き部56に連通部57を塞ぐスポンジ材を設けてもよい。スポンジ材は圧縮可能とされ、側方(回動先端側)に開放された切り込みが設けられている。給電ケーブル27を切り欠き部56に挿通する際には、スポンジ材の切り込みに給電ケーブル27を差し込んだ状態で挿通する。この場合、前扉52を閉めると、連通部57のうち給電ケーブル27の周囲全体がスポンジ材により塞がれた状態となる。そのため、給電ケーブル27を介して自動車23から建物10への給電を行う際に、連通部57を通じて雨等が宅配ボックス50内に入り込むのを確実に防止することができ、ひいてはインレット31に雨等がかかるのを確実に防止することができる。
【0091】
(6)上記第1及び第2実施形態では、建物10側へ給電を行う自動車23としてハイブリッド自動車(PHV)を用いたが、これを変更して、電気自動車(EV)や燃料電池複合型自動車(FCHV)を用いてもよい。
【0092】
また、外部電源装置としては必ずしも自動車を用いる必要はなく、例えば小型発電機や燃料電池を用いてもよい。その場合、小型発電機や燃料電池による発電電力が建物10側に供給される。また、外部電源装置として蓄電装置を用いてもよい。その場合、蓄電装置に蓄電された蓄電電力が建物10側に供給される。なお、いずれの場合にも、外部電源装置より建物10側へ電力供給するに際しては、外部電源装置の給電能力(定格出力)を入力するようにする。
【0093】
(7)上記第1及び第2実施形態では、自動車23から建物10側に給電ケーブル27,45を介して電力を供給する場合を想定したが、建物10側から自動車23側に給電ケーブルを介して電力を供給する場合も想定される。この場合、建物10には、給電ケーブルが接続されるケーブル接続部としてのアウトレット(電力取出部)が設けられ、そのアウトレットと自動車23(外部装置に相当)とが給電ケーブルを介して接続される。そこで、このような構成に本発明を適用してもよい。その場合、アウトレットが宅配ボックス50の内部に設けられることになる。
【0094】
(8)上記第2実施形態では、屋内給電ケーブル45が間仕切壁13に設けられた第2インレット43に着脱可能に接続される構成としたが、屋内給電ケーブル45(詳しくはその一端部)が間仕切壁13に固定された構成としてもよい。この場合、通常時は屋内給電ケーブル45をコードリール等に巻き取った状態で屋内側に保管しておくとよい。
【0095】
(9)上記第2実施形態では、第1インレット41及び孔部46を設ける位置は、宅配ボックス50の天板部62としているが、この位置に限定されない。第1インレット41及び孔部46は、宅配ボックス50において外壁部29よりも屋内側の部分に設けられていればよく、例えば、収容箱61の側板部63や底板部64であってもよいし、後扉53であってもよい。
【0096】
(10)上記第2実施形態では、第1接続口41aが宅配ボックス50内に面し、第2接続口41bが屋内に面した第1インレット41を用いたが、図6に示すように、第1接続口42aと第2接続口42bとの両方が宅配ボックス50内(収容空間65)に面した第1インレット42(ケーブル接続部に相当)を用いてもよい。第1インレット42は、上記第1実施形態と同様、宅配ボックス50の天板部62に形成された収容凹部66に収容された状態で取り付けられている。第1インレット42の各接続口42a,42bは屋内外方向(前後方向)に並んでおり、第1接続口42aが屋外側、第2接続口42bが屋内側に配置されている。第1インレット42に接続された屋内給電ケーブル45は、宅配ボックス50の取出口68を通じて屋内に導入される。
【0097】
かかる構成とすることで、宅配ボックス50により既に形成されている空間を活用して、自動車23のコンセント25から第2インレット43までを、屋外給電ケーブル44及び屋内給電ケーブル45によって電気的に接続できるようになる。このため外壁や宅配ボックスに配線工事を施すためのコストを削減できる。
【0098】
また、図6の例では、前扉52だけでなく、後扉53にも、前扉52と同様の切り欠き部56及び開閉部材75が設けられ、収容箱61の側板部63aには開閉部材75が入り込む凹部71が設けられている。この場合、屋内給電ケーブル45を第1インレット42(第2接続口42b)に接続した状態で、屋内給電ケーブル45を切り欠き部56を通じて屋内に導くことができる。これにより、前扉52と後扉53との両方を閉めた状態で、各給電ケーブル44,45を通じて自動車23から電気機器16~18に給電を行うことができる。
【0099】
(11)上記第1及び第2実施形態では、荷物の投入口67に加え荷物の取出口68を有する前入れ後出しタイプの宅配ボックス50に本発明を適用したが、荷物の投入口67のみを有する宅配ボックス、すなわち投入口67を通じて荷物の投入及び取り出しをそれぞれ行う前入れ前出しタイプの宅配ボックスに本発明を適用してもよい。また、上記第1及び第2実施形態では、宅配ボックス50は、埋め込み型のボックスとしたが、これに限定されない。例えば、据え置き型のボックスとしてもよい。
【0100】
図7において、建物10の玄関ドア81付近に据え置き型の宅配ボックス90を設置した場合を例示している。建物10において玄関ドア81の屋外側には、アルコーブ82が形成されている。アルコーブ82の側方には、玄関ドア81が設けられた外壁部から屋外側に延びる壁部83(袖壁部)が設けられている。壁部83には、棚板84が取り付けられている。棚板84上には、宅配ボックス90が据え置かれている。
【0101】
図8に示すように、宅配ボックス90は、収容箱91と、前扉92とを有する前入れ前出しタイプの宅配ボックスである。宅配ボックス90は後扉を有しておらず、収容箱91が前扉92と反対側の面に背板部95を有している。そして、宅配ボックス90は、その背板部95が壁部83に当接した状態で据え置かれている。
【0102】
宅配ボックス90には、その内部にインレット31が設けられている。インレット31を設ける位置は、上記第1及び第2実施形態では収容箱61の天板部62としたが、本別例では、収容箱91の背板部95となっている。インレット31からは接続経路35を構成する電気配線が背板部95を介して壁部83の内部に入り込んでいる。なお、インレット31が背板部95に設けられていると、インレット31を視認し易いため、給電ケーブル27をインレット31に接続し易いという利点がある。
【符号の説明】
【0103】
10…建物、23…外部装置及び外部電源装置としての自動車、27…給電ケーブル、31…ケーブル接続部としてのインレット、50…宅配ボックス、52…前扉、56…挿通部としての切り欠き部、61…収容箱、62…天板部、75…開閉部材。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8