(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022078874
(43)【公開日】2022-05-25
(54)【発明の名称】洗濯ネット
(51)【国際特許分類】
D06F 35/00 20060101AFI20220518BHJP
【FI】
D06F35/00 A
【審査請求】未請求
【請求項の数】6
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2020189837
(22)【出願日】2020-11-13
(71)【出願人】
【識別番号】000109129
【氏名又は名称】ダイヤ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100111659
【弁理士】
【氏名又は名称】金山 聡
(72)【発明者】
【氏名】豊澤 一誠
(72)【発明者】
【氏名】高野 恵美
【テーマコード(参考)】
3B168
【Fターム(参考)】
3B168AE01
3B168AE02
3B168BA09
3B168WA03
(57)【要約】
【課題】折り畳んだ衣類を巻き込んでロール体とするための洗濯ネットにおいて、ロール体の洗濯後に衣類の折った部分にしわが入るのを完全に防止する。
【解決手段】縦長形状の上側網状シート2と、上側網状シート2の下側に重ねられる縦長形状の下側網状シート3と、下側網状シート3の一方の短辺3x1側に取り付けられた巻取芯材部4と、上側網状シート2の一方の短辺2x2側と下側網状シート3の他方の短辺3x2側に取り付けられたネット袋5を備え、上側網状シート2と下側網状シート3は、折り畳まれる衣類を挟んだ状態で巻取芯材部4に巻き付けられてロール体を形成し、ネット袋5は、前記ロール体を収納し、上側網状シート2の対向する長辺2y1、2y2側には、前記折り畳まれる衣類の折り畳み部分が重ねられる一対の厚手のクッション材6、7が取り付けられている洗濯ネット1。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
縦長形状の上側網状シートと、
前記上側網状シートの下側に重ねられる縦長形状の下側網状シートと、
前記下側網状シートの一方の短辺側に取り付けられた巻取芯材と、
前記上側網状シートの一方の短辺側と前記下側網状シートの他方の短辺側に取り付けられたネット袋を備え、
前記上側網状シートと前記下側網状シートは、折り畳まれる衣類を挟んだ状態で前記巻取芯材に巻き付けられてロール体を形成し、
前記ネット袋は、前記ロール体を収納し、
前記上側網状シートの対向する長辺側には、前記折り畳まれる衣類の折り畳み部分が重ねられる一対の厚手のクッション材が取り付けられていること
を特徴とする洗濯ネット。
【請求項2】
前記上側網状シートと前記下側網状シートの短手方向の幅は同じで、前記上側網状シートの長手方向の長さは前記下側網状シートの長手方向の長さより短いことを特徴とする請求項1記載の洗濯ネット。
【請求項3】
前記上側網状シートと前記下側網状シートの少なくとも一方は、立体メシュ生地からなることを特徴とする請求項1又は請求項2記載の洗濯ネット。
【請求項4】
前記クッション材は、前記上側網状シート又は前記下側網状シートと同じ立体メシュ生地からなる帯状シートが2つ折りされ前記上側網状シートの長辺に沿って上側網状シートに縫い付けられていることを特徴とする請求項1乃至請求項3のいずれかに記載した洗濯ネット。
【請求項5】
前記巻取芯材は、水に浸漬して沈む立体メッシュ生地からなることを特徴とする請求項1乃至請求項4のいずれかに記載した洗濯ネット。
【請求項6】
前記巻取芯材は袋体に収納され、該袋体の長手方向の両端部は、前記下側網状シートの長辺側の両端部に接合され、前記袋体と前記下側網状シートには前記衣類の前記下側網状シートから長手方向にはみ出した部分を通過させる隙間が形成されていることを特徴とする請求項1乃至請求項5のいずれかに記載した洗濯ネット。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、洗濯機で洗濯される衣類を収納して保護する洗濯ネットに関するものである。
【背景技術】
【0002】
洗濯ネットは、洗濯機で衣類を洗濯するときに、衣類が損傷したり、型崩れしたり、しわが入ったりするのを防ぐために使用される。
この場合、セーターやニット類、ズボン、スカート等の衣類については、洗濯ネットを使用して洗濯しても、型崩れしたり、しわが入りやすく、洗濯後に着用すると見栄えが悪くなるという問題がある。
このため、洗濯ネットに入れて洗濯する際に、型崩れしたり、しわが入りやすい衣類に対して、それを防ぐための構造を備えた種々の洗濯ネットが提案されている。
例えば、特許文献1(特開2000-116982号公報)には、シート状の第1通水性部材102と、第1通水性部材102よりも面積の小さいシート状第2通水性部材112と、その第2通水性部材112と同一面積、同一形状のシート状第3通水性部材122とを備え、第1通水性部材102の周縁とこれに重なる第2、第3通水性部材112、122の周縁が接続され、第1通水性部材102の剛性は第2、第3通水性部材112、122より大きくされた洗濯用補助具101であって、洗濯物1を、第1通水性部材102と第2、第3通水性部材112、122とで挟み、その洗濯物1と通水性部材102、112、122を、第1通水性部材102が最外周に位置するように一体的にロール状に巻き、その洗濯物1と各通水性部材102、112、122とが拡げられるのをゴム帯115によって規制した洗濯用補助具101が開示されている。
しかしながら、特許文献1の洗濯用補助具では、セーター等の衣類を第1通水性部材102よりも小さくなるように折り畳んだ状態で第1通水性部材102と第2、第3通水性部材112、122の間に挟んでロール状に巻くことから、洗濯後、衣類の折った部分がしわとなって残りやすいという問題がある。
また、特許文献1では、3重となった第1通水性部材102、洗濯物1、第2、第3通水性部材112、122は、ロール状に巻きにくく、しかも、ロール状に巻かれた第1通水性部材102等が拡げられるのをゴム帯115で規制しており、ゴム体115の締め付け圧により洗濯物1にしわが入りやすい上に、ゴム帯115は、ロールの外面に露出していることから、洗濯中にゴム帯115が外れてロールが拡げられやすいという問題がある。
【0003】
次に、特許文献2(特開2004―141605号公報)には、開口部に開閉部材を有する立体形状の収納ネットと、該収納ネット内に一端部を固定されるとともに、ズボンやシャツ等の洗濯物を挟み込むように設けられた一対あるいは折り返し構成よりなるネット状のシート体とよりなり、前記シート体は丸めた状態で前記収納ネットに収納されるものである洗濯用具が開示されている。
しかしながら、特許文献2の洗濯用具では、特許文献1の洗濯用補助具と同様に、洗濯物を挟んで3重となったシート体を丸めることから丸めにくいのみならず、丸めたシート体が立体形状の収納ネットに収められることから、丸めたシート体の外径が収納ネットの内径より小さいと、丸めたシート体が収納ネット内で巻き戻されてシート体と洗濯物の間に隙間が生じ、洗濯物に型崩れやしわが入りやすいという問題がある。
また、特許文献2においても、洗濯物を折り畳んでシート体に挟んで丸める場合、折り重ねられる洗濯物の間にシート体が介在するものの、依然として洗濯物の折った部分がしわとなって残りやすいという問題がある。
【0004】
この点、特許文献3(特開2014―230734号公報)には、長方形のシート(5)の2辺の短辺のうち、1辺に袋(1)を設け、袋(1)には開閉部(2)を設け、開閉部(2)にはスライダー(3)を設け、シート(5)のもう1辺の短辺は袋状に留め、その中に水を通す素材でできた芯(10)を収め、シート(5)と袋(1)の接続部(4)である短辺の内側に短ベルト(6)を、外側に長ベルト(7)をいずれも長辺と平行に設け、短ベルト(6)と長ベルト(7)は一対とし、シート(5)と袋(1)の接続部(4)の中心から均等に離れた左右に設け、短ベルト(6)にはスナップ凹片部(8)を設け、長ベルト(7)には、スナップ凸片部(9)を複数設けた洗濯ネットが開示されている。
しかしながら、特許文献3の洗濯ネットでは、巻かれる洗濯物の各巻きの間には1枚のシート(5)しか介在せず、洗濯物に型崩れやしわが入りやすいという問題がある。
しかも、特許文献3では、洗濯物とシート(5)を重ねた状態でシート(5)から外側にはみ出した部分は折り畳まれて、この折り畳たまれた洗濯物とシート(5)が巻かれることから、特許文献1と同様に、洗濯物の折った部分がしわとなって残りやすいという問題がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2000-116982号公報
【特許文献2】特開2004―141605号公報
【特許文献3】特開2014―230734号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明が解決しようとする課題は、折り畳んだ衣類を巻き込んでロール体とするための洗濯ネットにおいて、ロール体の洗濯後に衣類の折った部分にしわが入るのを完全に防止することである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
請求項1の発明は、縦長形状の上側網状シートと、前記上側網状シートの下側に重ねられる縦長形状の下側網状シートと、前記下側網状シートの一方の短辺側に取り付けられた巻取芯材と、前記上側網状シートの一方の短辺側と前記下側網状シートの他方の短辺側に取り付けられたネット袋を備え、前記上側網状シートと前記下側網状シートは、折り畳まれる衣類を挟んだ状態で前記巻取芯材に巻き付けられてロール体を形成し、前記ネット袋は、前記ロール体を収納し、前記上側網状シートの対向する長辺側には、前記折り畳まれる衣類の折り畳み部分が重ねられる一対の厚手のクッション材が取り付けられている洗濯ネットを提供して、上記課題を解決するものである。
【0008】
請求項2の発明は、前記上側網状シートと前記下側網状シートの短手方向の幅は同じで、前記上側網状シートの長手方向の長さは前記下側網状シートの長手方向の長さより短い洗濯ネットを提供して、上記課題を解決するものである。
【0009】
請求項3の発明は、前記上側網状シートと前記下側網状シートの少なくとも一方は、立体メシュ生地からなる洗濯ネットを提供して、上記課題を解決するものである。
【0010】
請求項4の発明は、前記クッション材は、前記上側網状シートと前記下側網状シートと同じ立体メシュ生地からなる帯状シートが2つ折りされ前記上側網状シートの長辺に沿って上側網状シートに縫い付けられている洗濯ネットを提供して、上記課題を解決するものである。
【0011】
請求項5の発明は、前記巻取芯材は、水に浸漬して沈む立体メッシュ生地からなる洗濯ネットを提供して、上記課題を解決するものである。
【0012】
請求項6の発明は、前記巻取芯材は袋体に収納され、該袋体の長手方向の両端部は、前記下側網状シートの長辺側の両端部に接合され、前記袋体と前記下側網状シートには前記衣類の前記下側網状シートから長手方向にはみ出した部分を通過させる隙間が形成されている洗濯ネットを提供して、上記課題を解決するものである。
【発明の効果】
【0013】
請求項1に記載の発明の洗濯ネットにおいては、折り畳んだ衣類を巻き込んだロール体の洗濯後に衣類の折った部分にしわが入るのを完全に防止するという効果を奏する。
【0014】
請求項2に記載の発明の洗濯ネットにおいては、さらに、上側網状シートと下側網状シートの短手方向の幅は同じであるため、折り畳んだ衣類を巻き込んでロール体としたとき、衣類の折り畳まれた部分に段差が生じず、衣類の折り畳まれた部分にしわがより入り難くなるという効果を奏する。
【0015】
請求項3に記載の発明の洗濯ネットにおいては、さらに、立体メシュ生地のクッション性により、洗濯後の衣類にしわが入るのをより防止できるという効果を奏する。
【0016】
請求項4に記載の発明の洗濯ネットにおいては、さらに、洗濯ネットに使用される材料の種類を少なくできるという効果を奏する。
【0017】
請求項5に記載の発明の洗濯ネットにおいては、さらに、巻取芯材に巻き付けられたロール体を水に沈ませた状態で洗濯でき、洗濯効果を阻害しないという効果を奏する。
【0018】
請求項6に記載の発明の洗濯ネットにおいては、さらに、衣類の丈が長く、衣類の長手方向の端部が、巻取芯材より下側網状シートの一方の短辺側にくる場合、巻取芯材より一方の短辺側にある衣類の部分を隙間に通すことができ、衣類の端部を折らずに巻取芯材に巻き付けることができ、洗濯した衣類の端部にしわが入るのを防止できるという効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【0019】
【
図1】本発明の実施形態である洗濯ネットの上側網状シートを下側網状シートから少し持ち上げた状態の斜視図である。
【
図2】
図2は、
図1に示す洗濯ネットの上側網状シートを下側網状シートに重ねた状態の平面図である。
【
図9】シャンプー容器及びリンス容器の斜視図である。
【
図10】
図10は、洗濯ネット1の使用方法の一部を説明するための説明図である。
【
図11】
図11は、洗濯ネット1の使用方法の残りの部分を説明するための説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0020】
[洗濯ネットの構成]
図1は、本発明の実施形態である洗濯ネットの上側網状シートを下側網状シートから少し持ち上げた状態の斜視図、
図2は、
図1に示す洗濯ネットの上側網状シートを下側網状シートに重ねた状態の平面図、
図3は、
図2に示す洗濯ネットの右側面図、
図4は、
図2に示す洗濯ネットの背面図、
図5は、
図2に示す洗濯ネットの正面図、
図6は、
図2のA-A拡大断面図、
図7は、
図2のB-B拡大断面図、
図8は、
図1に示す洗濯ネットの上側網状シートを完全に開いた状態の平面図、
図9は、
図8に示す洗濯ネットの右側面図である。
図中、1は洗濯ネット、2は上側網状シート、2x1、2x2は短辺、2y1、2y2は長辺、2fは縁取り部、3は下側網状シート、3x1、3x2は短辺、3y1、3y2は長辺、3fは縁取り部、4は巻取芯材部、4aは巻取芯材、4bは袋体、5はネット袋、5kは開口部、6、7はクッション材、8、9は調整ベルト、8a、9aはスナップボタン凹部、10は線ファスナー、10aはスライダー、10bはテープ、11、12は固定ベルト、11a、12aはスナップボタン凸部、h1、h2は縫合糸、Gpは隙間であり、図において、Xは左右方向、Yは前後方向、Zは上下方向である。
図1に示すように、洗濯ネット1は、上側網状シート2、下側網状シート3、巻取芯材部4、ネット袋5、クッション材6、7、調整ベルト8、9、線ファスナー10、固定ベルト11、12等から構成される。
【0021】
上側網状シート2は、短辺2x1、2x2と長辺2y1、2y2を備えたY方向に長い縦長形状のシート体であり、厚さが1~8mmでハニカム構造等のクッション性のある立体メッシュ生地からなり、短辺2x1と長辺2y1、2y2側の周縁部は布で覆われて縁取り部2fが形成されている。
下側網状シート3は、短辺3x1、3x2と長辺3y1、3y2を備えたY方向に長い縦長形状のシート体であり、上側網状シート2と同様に、厚さが1~8mmでハニカム構造等のクッション性のある立体メッシュ生地からなり、短辺3x1と長辺3y1、3y2側の周縁部は布で覆われて縁取り部3fが形成されている。
このように上側網状シート2又は下側網状シート3に立体メッシュ生地を使用することにより、衣類を上側網状シート2と下側網状シート3に挟んでロール体に丸めて洗濯するときに、洗濯物(衣類を上側網状シート2と下側網状シート3で挟んでロール体に丸めたもの)に作用する外圧により衣類が変形し、衣類全体にしわが入るのを防止できる。
この場合、上側網状シート2と下側網状シート3の短手方向(X方向)の幅は同じであり、上側網状シート2の長手方向(Y方向)の長さは下側網状シート3の長手方向(Y方向)の長さはより短くなっている。
そして、短辺2x2と短辺3x2を一致させ、長辺2y1、2y2と長辺3y1、3y2を一致させて、下側網状シート3の上に上側網状シート2が重ねられるようになっている。
なお、本発明においては、上側網状シート2と下側網状シート3のいずれか一方が立体メッシュ生地からなり、他方が平面的なメッシュ生地からなるシート体であってもよく、また、上側網状シート2と下側網状シート3の両方が立体メッシュ生地ではなく、平面的なメッシュ生地からなるシート体であってもよい。
【0022】
巻取芯材部4は、巻取芯材4aと、巻取芯材4aを収納する袋体4bから構成される。
巻取芯材4aは、X方向に長い円筒形の棒状体であり、クッション性があり水に浸漬して沈む材料であって、衣類を上側網状シート2と下側網状シート3に挟んでロール体としたときにロール体が適度に変形するような適度の硬さをもつ芯材となる材料、例えば、立体メッシュ生地からなる。
巻取芯材4aを収納した袋体4bの長手方向(X方向)の両端部は、下側網状シート3の短辺3x1側の上側網状シート2が重ならない部分であって、下側網状シート3の長辺3y1、3y2側の両端部に接合され、巻取芯材部4(巻取芯材4a)が、下側網状シート3の短辺3x1側に取り付けられている。
また、袋体4bと下側網状シート3の間には、隙間Gpが形成されている(
図7参照)。
ネット袋5は、薄手のメッシュシートからなり、開口部5kを有し、扁平状に畳むことできるようになっている。図では、扁平状に畳まれた状態から少し広げて開口部5が少し開いたネット袋5を示している(
図6、7等参照)。
ネット袋5の内側には、開口部5k側の下側端部に、上側網状シート2の短辺2x2側の端部と下側網状シート3の短辺3x2側の端部が重ねた状態で縫合等により接合され、巻取芯材部4(巻取芯材4a)に巻き付けられてロール体となった上側網状シート2と下側網状シート3と洗濯物をネット袋5に収納できるようになっている。
【0023】
クッション材6、7は、厚さ5~20mm、幅(X方向の長さ)15~100mmの厚手のクッション性のあるシートであり、立体メッシュ生地、ポリウレタン等の合成樹脂製のスポンジ、樹脂メッシュ等の吸水性もある材料からなり、本実施形態では、2つ折りされた立体メッシュ生地からなる。
そして、クッション材6は、長辺2y1に沿って縫合糸h1により上側網状シート2の裏面に縫合され、クッション材7は、長辺2y2に沿って縫合糸h2により上側網状シート2の裏面に縫合されている。
これにより、クッション材6、7が、上側網状シート2の対向する長辺2y1、2y2側に取り付けられる。
調整ベルト8、9は、上側網状シート2の上面側に配置され、調整ベルト8、9の一端がネット袋5の開口部5k側の下側端部に縫合して取り付けられている(
図3、7では、調整ベルト8、9を灰色の太線で示す)。
そして、調整ベルト8、9の他端側には、スナップボタン凹部8a、9aが複数個(本実施形態では3個)取り付けられている。
線ファスナー10は、スライダー10aとエレメント(務歯)が取り付けられたテープ10bからなり、テープ10bは、ネット袋5の開口部5kの周縁に取り付けられている(図においては、テープ10bを灰色で示す)。
固定ベルト11、12は、下側網状シート3の下面側に配置され、固定ベルト11、12の一端がネット袋5の開口部5k側の下側端部に縫合して取り付けられている(
図3、7では、固定ベルト11、12を灰色の太線で示す)。
この固定ベルト11、12は、調整ベルト8、9より短く、固定ベルト11、12の他端側には、スナップボタン凸部11a、12aが取り付けられている。
【0024】
[洗濯ネットの使用方法]
図10は、洗濯ネット1の使用方法の一部を説明するための説明図であり、同図(a)は、洗濯物となる衣類としてのセーターの平面図、同図(b)は、洗濯ネット1において上側網状シート2を完全に開いて下側網状シート3の上にセーターを載せた状態の平面図、同図(c)は、上側網状シート2をセーターの上に被せて上側網状シート2と下側網状シート3でセーターを挟んだ状態の平面図である。
図11は、洗濯ネット1の使用方法の残りの部分を説明するための説明図であり、同図(a)は、上側網状シート2から左右方向にはみ出したセーターの部分を上側網状シート2の上に折り返した状態の平面図、同図(b)は、同図(a)のC-C断面図、同図(c)は、巻取芯材部4(巻取芯材4a)に上側網状シート2と下側網状シート3とその間に挟まれたセーターの一部を巻き取ってロール体とした状態の平面図、同図(d)は、巻取芯材部4(巻取芯材4a)に上側網状シート2と下側網状シート3とその間に挟まれたセーターを完全に巻き取ってロール体とした状態の平面図、同図(e)は、同
図1(d)に示すネット袋5とロール体の拡大右側面図、同図(f)は、巻取芯材部4(巻取芯材4a)に上側網状シート2と下側網状シート3とその間に挟まれたセーターを完全に巻き取ったロール体をネット袋5に収納した状態の斜視図、同図(g)は、洗濯し終わったセーターの平面図である。
図中、20がセーター、21は見頃、22は右袖、23は左袖、OM1、OM2は折り曲げ部、R1、R2はロール体である。
図10(a)に示すように、本実施形態の洗濯物の衣類となるセーター20は、見頃(前見頃、後見頃)、右袖22、左袖23からなる。図において、セーター20を網点で表す。
以下、図に基づいて洗濯物の衣類がセーター20である場合の洗濯ネット1の使用方法を説明する
【0025】
まず、
図10(b)に示すように、洗濯ネット1において、上側網状シート2を完全に開いた状態にし、セーター20と下側網状シート3の左右方向の中心が一致するようにして、セーター20を下側網状シート3の上に載せる。この場合、セーター20の見頃21の左側の一部(端部)と右袖22が、下側網状シート3から長辺3y1の左側にはみ出し、セーター20の見頃21の右側の一部(端部)と左袖23が、下側網状シート3から長辺3y2の右側にはみ出している。
次いで、
図10(c)に示すように、上側網状シート2をセーター20の見頃(前見頃)21の上に被せ、上側網状シート2と下側網状シート3の間にセーター20の見頃21を挟む。
このとき、調整ベルト8、9は、ネット袋5側に残しておき、上側網状シート2の上に載らないようにする。
この場合、セーター20の見頃21の左右側の一部(端部)と右袖22、左袖23が、上側網状シート2と下側網状シート3から左右方向にはみ出した状態となっている。
この後、
図11(a)に示すように、上側網状シート2から長辺3y1の左側にはみ出しているセーター20の見頃21の一部と右袖22を折り返して上側網状シート2の上に被せ、上側網状シート2から長辺2y2の右側にはみ出しているセーター20の見頃21の一部と左袖23を折り返して上側網状シート2の上に被せて、セーター20を折り畳む。
この場合、上側網状シート2の対向する長辺2y1、2y2側には、クッション材6、7が取り付けられていることから、セーター20の折り畳み部分がクッション材6、7に重なり、セーター20の見頃21の一部と右袖22の折り返しにより形成される左側の折り曲げ部OM1は、鋭角に曲がらずに湾曲し、セーター20の見頃21の一部と左袖23の折り返しにより形成される右側の折り曲げ部OM2も、鋭角に曲がらずに湾曲する(
図11(b)参照)。
【0026】
次いで、
図11(c)に示すように、巻取芯材部4(巻取芯材4a)に、上側網状シート2と下側網状シート3とその間に挟まれて折り畳まれたセーター20を巻き取ってロール体R1を形成していく。
そして、
図11(d)、(e)に示すように、巻取芯材部4(巻取芯材4a)に、上側網状シート2と下側網状シート3とその間に挟まれて折り畳まれたセーター20を完全に巻き取ってロール体R2を形成した後、調整ベルト8、9をロール体R2に巻き付け、スナップボタン凹部8a、9aを固定ベルト11、12のスナップボタン凸部11a、12aに係合し、調整ベルト8、9と固定ベルト11、12で、巻き戻されないようにロール体R2を固定する。
図11(e)では、下側網状シート3を濃い灰色の太線で表し、調整ベルト9と固定ベルト12を薄い灰色の線で表す。
このとき、調整ベルト8、9には、スナップボタン凹部8a、9aが複数設けられていることから、セーター20の厚みやサイズに応じて異なるロール体R2の大きさ(外径)に応じて、スナップボタン凸部11a、12aに係合するスナップボタン凹部8a、9aの位置を調整することができる。
この後、
図11(f)に示すように、ロール体R2をネット袋5中に入れ、線ファスナー10において、スライダー10aを移動させて、テープ10bのエレメント(務歯)を噛み合わせて開口部5kを閉じ、ネット袋5にロール体R2を収納する。
そして、ロール体R2を収納したネット袋5を洗濯機で洗濯する。
最後に、洗濯したロール体R2をネット袋5から取り出し、固定ベルト11、12から調整ベルト8、9を外し、ロール体R2を巻き戻して、上側網状シート2と下側網状シート3の間からセーター20を取り出す。
この場合、
図11(g)に示すように、洗濯後のセーター20においては、見頃21の左右の折り曲げ部OM1、OM2(図において太い点線で表す)にしわは入っていない状態となっている。
なお、洗濯物の衣類の丈が長く、上側網状シート2と下側網状シート3の間に衣類を挟むと、衣類のY方向の端部が、下側網状シート3の巻取芯材部4より短辺3x1側にくる場合、巻取芯材部4の袋体4bと下側網状シート3の間には、隙間Gpが形成されていることから、巻取芯材部4より短辺3x1側にある衣類の部分を隙間Gpに通すことができ、衣類の端部を折らずに巻取芯材部4の回りに巻き付けることができ、洗濯した衣類の端部にしわが入るのを防止できる。
【0027】
以上のように洗濯ネット1においては、上側網状シート2の対向する長辺2y1、2y2側には、クッション材6、7が取り付けられていることから、上側網状シート2から左右にはみ出しているセーター20の見頃21と右袖22、左袖23を折り返してセーター20を折り畳んでも、左右の折り曲げ部OM1、OM2は鋭角に曲がらずに湾曲し、上側網状シート2と下側網状シート3とセーター20をロール体R2にしてネット袋5に収納し、洗濯機で洗濯しても、折り曲げ部OM1、OM2にしわが入らず、洗濯したセーター20にしわが入るのを完全に防止することができる。
【産業上の利用可能性】
【0028】
本発明の洗濯ネットは、折り畳んだ衣類を巻き込んだロール体の洗濯後に衣類の折った部分にしわが入るのを完全に防止することででき、洗濯機で洗濯されるセーター、ニット類、ズボン、スカート等の衣類を収納して保護する洗濯ネットに利用することができる。
【符号の説明】
【0029】
1 洗濯ネット
2 上側網状シート
2x1、2x2 短辺
2y1、2y2 長辺
2f 縁取り部
3 下側網状シート
3x1、3x2 短辺
3y1、3y2 長辺
3f 縁取り部
4 巻取芯材部
4a 巻取芯材
4b 袋体
5 ネット袋
5k 開口部
6、7 クッション材
8、9 調整ベルト
8a、9a スナップボタン凹部
10 線ファスナー
10a スライダー
10b テープ
11、12 固定ベルト
11a、12a スナップボタン凸部
20 セーター
21 見頃
22 右袖
23は左袖
h1、h2 縫合糸
Gp 隙間
OM1、OM2 折り曲げ部
R1、R2 ロール体