IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ ナブテスコ株式会社の特許一覧

<>
  • 特開-手動ドア解除装置、鉄道車両ドア装置 図1
  • 特開-手動ドア解除装置、鉄道車両ドア装置 図2
  • 特開-手動ドア解除装置、鉄道車両ドア装置 図3
  • 特開-手動ドア解除装置、鉄道車両ドア装置 図4
  • 特開-手動ドア解除装置、鉄道車両ドア装置 図5
  • 特開-手動ドア解除装置、鉄道車両ドア装置 図6
  • 特開-手動ドア解除装置、鉄道車両ドア装置 図7
  • 特開-手動ドア解除装置、鉄道車両ドア装置 図8
  • 特開-手動ドア解除装置、鉄道車両ドア装置 図9
  • 特開-手動ドア解除装置、鉄道車両ドア装置 図10
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022078922
(43)【公開日】2022-05-25
(54)【発明の名称】手動ドア解除装置、鉄道車両ドア装置
(51)【国際特許分類】
   B61D 19/00 20060101AFI20220518BHJP
   E05B 83/36 20140101ALI20220518BHJP
   E05B 81/90 20140101ALI20220518BHJP
   E05B 79/20 20140101ALI20220518BHJP
【FI】
B61D19/00 C
E05B83/36 A
E05B81/90
E05B79/20
【審査請求】未請求
【請求項の数】13
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021016682
(22)【出願日】2021-02-04
(31)【優先権主張番号】P 2020189855
(32)【優先日】2020-11-13
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(71)【出願人】
【識別番号】503405689
【氏名又は名称】ナブテスコ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100106909
【弁理士】
【氏名又は名称】棚井 澄雄
(74)【代理人】
【識別番号】100126664
【弁理士】
【氏名又は名称】鈴木 慎吾
(74)【代理人】
【識別番号】100141139
【弁理士】
【氏名又は名称】及川 周
(74)【代理人】
【識別番号】100165179
【弁理士】
【氏名又は名称】田▲崎▼ 聡
(72)【発明者】
【氏名】榊 源太
【テーマコード(参考)】
2E250
【Fターム(参考)】
2E250AA21
2E250HH08
2E250JJ45
2E250KK01
2E250LL01
2E250MM01
2E250QQ09
2E250SS09
(57)【要約】
【課題】過剰な力でレバーを操作した場合でもロックを維持する。
【解決手段】手動ドア解除装置100であり、駆動源からの駆動力によって、鉄道車両の乗降口105を開閉するように移動するドアリーフ10と、ドアリーフが全閉位置に位置するときにドアリーフをロックするロック機構110と、手動操作される操作部120と、手動操作による操作力を所定量蓄力する蓄力部130と、蓄力部に蓄力された所定量の力を伝達してロック機構のロックを解除する解錠部150と、を備える。
【選択図】図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
駆動源からの駆動力によって、鉄道車両の乗降口を開閉するように移動するドアリーフが全閉位置に位置するときに前記ドアリーフをロックするロック機構と、
手動操作される操作部と、
前記手動操作による操作力を所定量蓄力する蓄力部と、
前記蓄力部に蓄力された前記所定量の力を伝達して前記ロック機構のロックを解除する解錠部と、
を備える、
手動ドア解除装置。
【請求項2】
前記蓄力部は、前記所定量の力を前記解錠部に伝達することを規制する規制部を含み、解除信号を受信したときに、前記規制部を駆動することで規制を解除して、前記所定量の力を前記解錠部に伝達することを許容して、前記ロック機構のロックを解除する、
請求項1に記載の手動ドア解除装置。
【請求項3】
前記操作部は、
車内から操作可能な車内側操作部と、
車外から操作可能な車外側操作部と、
を含むとともに、
前記蓄力部は、
前記車内側操作部が操作された力を蓄力する車内側蓄力部と、
前記車外側操作部が操作された力を蓄力する車外側蓄力部と、
を含む、
請求項1または請求項2記載の手動ドア解除装置。
【請求項4】
前記解錠部は、シリンダとピストンとを備え、前記ピストンには前記車内側蓄力部の出力と前記車外側蓄力部の出力が伝達されるように接続される、
請求項3に記載の手動ドア解除装置。
【請求項5】
前記解錠部は、伝達された前記車内側蓄力部の出力による前記ピストンの動きと前記車外側蓄力部の出力とによる前記ピストンの動きとを同期する同期機構を有する、
請求項4に記載の手動ドア解除装置。
【請求項6】
前記蓄力部が、バネによる付勢力により蓄力可能とされている、
請求項1から請求項5のいずれかに記載の手動ドア解除装置。
【請求項7】
前記解錠部は、シリンダとピストンとを備え、前記ピストンの位置と前記蓄力部の前記バネの位置とを蓄力前の位置に戻すバネが設けられる、
請求項6記載の手動ドア解除装置。
【請求項8】
前記規制部は、
前記蓄力部に蓄力された力の前記解錠部への伝達を規制するラッチレバーと、
前記ラッチレバーを駆動して前記解錠部への伝達規制を解除するアクチュエータと、
を含む、
請求項2記載の手動ドア解除装置。
【請求項9】
前記解錠部は、前記蓄力部の出力が伝達されるピストンと、前記ピストンが往復移動可能に挿入されたシリンダと、を備え、
前記ピストンには、被引っ掛け部が形成され、
前記ラッチレバーの一端には、前記被引っ掛け部に引っ掛け可能な引っ掛け部が形成される、
請求項8に記載の手動ドア解除装置。
【請求項10】
前記ラッチレバーの他端にはローラが設けられ、前記ローラと接触した前記アクチュエータで前記ローラを回転させることで、前記蓄力部に蓄力された力の前記解錠部への伝達規制を解除する、
請求項8記載の手動ドア解除装置。
【請求項11】
前記解錠部は、前記蓄力部の出力が伝達されるピストンと、前記ピストンが往復移動可能に挿入されたシリンダと、を備え、
前記ピストンは、第1引っ掛け部と第2引っ掛け部とを有し、
前記ラッチレバーは、前記ピストンを挟むように前記第1引っ掛け部と前記第2引っ掛け部とに引っ掛け可能に一対設けられ、
前記ローラは、前記アクチュエータを挟むように接触可能に一対の前記ラッチレバーのそれぞれの他端に設けられる、
請求項10に記載の手動ドア解除装置。
【請求項12】
前記操作部の操作によって前記蓄力部に力が蓄力されたことを検出する検出部が設けられる、
請求項1から請求項11のいずれかに記載の手動ドア解除装置。
【請求項13】
駆動源からの駆動力によって、鉄道車両の乗降口を開閉するように移動するドアリーフと、
前記ドアリーフが全閉位置に位置するときに前記ドアリーフをロックするロック機構と、
手動操作される操作部と、
前記手動操作による操作力を所定量蓄力する蓄力部と、
前記蓄力部に蓄力された前記所定量の力を伝達して前記ロック機構のロックを解除する解錠部と、
を備える、
鉄道車両ドア装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は手動ドア解除装置、鉄道車両ドア装置に関する。
【背景技術】
【0002】
鉄道車両のドア装置は、ドア本体とドア本体を閉鎖した状態に施錠するロック機構とを備えている。車両本体の走行中、ドア装置は、不意に開放されることのないように、ドア本体がロック機構を制御して施錠することで、乗客の安全が図られている。一方で、非常時にドア本体を開放したい場合があるため、施錠されたロック機構を手動で解錠する手動解錠装置が存在する。このような手動解錠装置をEVAC(emergency evacuation)と称することがある。
【0003】
乗客が、ドア本体付近に設けられたボタン等を押すと、ドア本体の解錠を要求する要求信号を、ドア装置に送る。ドア装置は、車両速度が一定速度以下であることを確認すると、ドア本体付近に設けられたレバーの操作をロックしていたアクチュエータを駆動して、レバー操作を許容する。乗客が当該レバーを用いて、ロック機構を手動で操作して機械的に解錠する。このように、EVACでは、ドアを開動作しても安全な状況でのみ、乗客が手動解錠装置を使用することができるように設計されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開平07-096834号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
上記技術では、非常事態で切羽詰まった乗客が過剰な力でレバーを操作した場合、レバーをロックしているアクチュエータが破損し、場合によっては、車両走行中にドア本体のロックが解錠されてしまう可能性がある。
【0006】
本発明は、上記のような課題を解決するという目的を達成しようとするものである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
(1)本発明の一態様に係る手動ドア解除装置は、駆動源からの駆動力によって、鉄道車両の乗降口を開閉するように移動するドアリーフが全閉位置に位置するときに前記ドアリーフをロックするロック機構と、
手動操作される操作部と、
前記手動操作による操作力を所定量蓄力する蓄力部と、
前記蓄力部に蓄力された前記所定量の力を伝達して前記ロック機構のロックを解除する解錠部と、
を備える。
【0008】
本発明の一態様に係る手動ドア解除装置によれば、蓄力部で力を吸収できるため、操作部を強い力で操作したとしても解錠部が壊れることがない。
【0009】
(2)上記(1)に記載の手動ドア解除装置は、
前記蓄力部は、前記所定量の力を前記解錠部に伝達することを規制する規制部を含み、解除信号を受信したときに、前記規制部を駆動することで規制を解除して、前記所定量の力を前記解錠部に伝達することを許容して、前記ロック機構のロックを解除する、
ことができる。
【0010】
(3)上記(1)または(2)に記載の手動ドア解除装置は、
前記操作部は、
車内から操作可能な車内側操作部と、
車外から操作可能な車外側操作部と、
を含むとともに、
前記蓄力部は、
前記車内側操作部が操作された力を蓄力する車内側蓄力部と、
前記車外側操作部が操作された力を蓄力する車外側蓄力部と、
を含む、
ことができる。
【0011】
(4)上記(3)に記載の手動ドア解除装置は、
前記解錠部は、シリンダとピストンとを備え、前記ピストンには前記車内側蓄力部の出力と前記車外側蓄力部の出力が伝達されるように接続される、
ことができる。
【0012】
(5)上記(4)に記載の手動ドア解除装置は、
前記解錠部は、伝達された前記車内側蓄力部の出力による前記ピストンの動きと前記車外側蓄力部の出力とによる前記ピストンの動きとを同期する同期機構を有する、
ことができる。
【0013】
(6)上記(1)から(5)のいずれかに記載の手動ドア解除装置は、
前記蓄力部が、バネによる付勢力により蓄力可能とされている、
ことができる。
【0014】
(7)上記(6)に記載の手動ドア解除装置は、
前記解錠部は、シリンダとピストンとを備え、前記ピストンの位置と前記蓄力部の前記バネの位置とを蓄力前の位置に戻すバネが設けられる、
ことができる。
【0015】
(8)上記(2)に記載の手動ドア解除装置は、
前記規制部は、
前記蓄力部に蓄力された力の前記解錠部への伝達を規制するラッチレバーと、
前記ラッチレバーを駆動して前記解錠部への伝達規制を解除するアクチュエータと、
を含む、
ことができる。
【0016】
(9)上記(8)に記載の手動ドア解除装置は、
前記解錠部は、前記蓄力部の出力が伝達されるピストンと、前記ピストンが往復移動可能に挿入されたシリンダと、を備え、
前記ピストンには、被引っ掛け部が形成され、
前記ラッチレバーの一端には、前記被引っ掛け部に引っ掛け可能な引っ掛け部が形成される、
ことができる。
【0017】
(10)上記(8)に記載の手動ドア解除装置は、
前記ラッチレバーの他端にはローラが設けられ、前記ローラと接触した前記アクチュエータで前記ローラを回転させることで、前記蓄力部に蓄力された力の前記解錠部への伝達規制を解除する、
ことができる。
【0018】
(11)上記(10)に記載の手動ドア解除装置は、
前記解錠部は、前記蓄力部の出力が伝達されるピストンと、前記ピストンが往復移動可能に挿入されたシリンダと、を備え、
前記ピストンは、第1引っ掛け部と第2引っ掛け部とを有し、
前記ラッチレバーは、前記ピストンを挟むように前記第1引っ掛け部と前記第2引っ掛け部とに引っ掛け可能に一対設けられ、
前記ローラは、前記アクチュエータを挟むように接触可能に一対の前記ラッチレバーのそれぞれの他端に設けられる、
ことができる。
【0019】
(12)上記(1)から(11)のいずれかに記載の手動ドア解除装置は、
前記操作部の操作によって前記蓄力部に力が蓄力されたことを検出する検出部が設けられる、
ことができる。
【0020】
(13)駆動源からの駆動力によって、鉄道車両の乗降口を開閉するように移動するドアリーフと、
前記ドアリーフが全閉位置に位置するときに前記ドアリーフをロックするロック機構と、
手動操作される操作部と、
前記手動操作による操作力を所定量蓄力する蓄力部と、
前記蓄力部に蓄力された前記所定量の力を伝達して前記ロック機構のロックを解除する解錠部と、
を備える、
鉄道車両ドア装置。
【0021】
本発明の一態様に係る鉄道車両ドア装置によれば、蓄力部で力を吸収できるため、操作部を強い力で操作したとしても解錠部が壊れることがない。
【発明の効果】
【0022】
本発明によれば、蓄力部が非常時操作によって蓄力した力によってロック機構を解除する解錠部が動作して解錠可能なので、操作部を強い力で引っ張られたとしても蓄力部で力を吸収できるため、解錠部が壊れることがない。
【図面の簡単な説明】
【0023】
図1】本発明に係る手動ドア解除装置の第1実施形態の配置されるドアを車幅方向視して示す模式図である。
図2】本発明に係る手動ドア解除装置の第1実施形態を示す上面図である。
図3】本発明に係る手動ドア解除装置の第1実施形態を示す上断面図である。
図4図2におけるIV-IV矢視断面を示す斜視図である。
図5図2におけるV-V矢視断面を示す斜視図である。
図6】本発明に係る手動ドア解除装置の第2実施形態を示す軸方向断面図である。
図7図6を示す軸方向視した図である。
図8】本発明に係る手動ドア解除装置の第2実施形態を示す軸方向断面図である。
図9】本発明に係る手動ドア解除装置の第2実施形態を示す軸方向断面図である。
図10図9を示す軸方向視した図である。
【発明を実施するための形態】
【0024】
以下、本発明に係る手動ドア解除装置の第1実施形態を、図面に基づいて説明する。
図1は、本実施形態における手動ドア解除装置の配置される鉄道車両の乗降口付近を車幅方向視した模式図である。図2は、本実施形態における手動ドア解除装置を示す上面図である。図3は、図2よりも紙面奥側の位置で図2と平行な面における手動ドア解除装置を示す上断面図である。図4は、図2におけるIV-IV矢視断面を示す本実施形態の手動ドア解除装置を示す斜視図である。図4は、図2におけるV-V矢視断面を示す本実施形態の手動ドア解除装置を示す斜視図である。図において、符号100は、手動ドア解除装置である。
【0025】
以下の実施形態では、鉄道用ドア装置として鉄道車両(車両)の乗降口を開閉する両引き分けの一対のドアを備えた例を挙げて説明する。なお、以下の説明において、例えば「平行」や「直交」、「中心」、「同軸」等の相対的又は絶対的な配置を示す表現は、厳密にそのような配置を意味するのみならず、公差や同じ機能が得られる程度の角度や距離をもって相対的に変位している状態も含むものとする。なお、以下の説明に用いる図面では、各部材を認識可能な大きさとするため、各部材の縮尺を適宜変更している。
【0026】
本実施形態に係る手動ドア解除装置100は、図1に示すように、乗降口105の上側に配置される。
本実施形態に係る手動ドア解除装置100は、図1に示すように、図示しない駆動源からの駆動力によって、鉄道車両の乗降口105を開閉するように移動するドアリーフ10と、ドアリーフ10が全閉位置に位置するときにドアリーフ10をロックするロック機構110と、手動での操作によって、ロック機構110によるロックを解除可能とする操作部120と、を有する。
【0027】
なお、以下の説明では、必要に応じてX,Y,Zの直交座標系を用いて説明する。Y方向は、車両の幅方向と一致している。X方向は、車両の前後方向と一致している。Z方向は、Y方向及びX方向に直交する車両の高さ方向(重力方向)を示している。以下の説明では、Y方向、X方向及びZ方向のうち、図中矢印側をプラス(+)側とし、矢印とは反対側をマイナス(-)側として説明する。+Y側は車幅方向内側に相当し、-Y側は車幅方向外側に相当する。+Z側は重力方向の上側に相当し、-Z側は重力方向の下側に相当する。
【0028】
手動ドア解除装置100は、図1に示すように、ロック機構110のロックを手動で解除する操作部120を備える。操作部120は、車内から操作可能な車内側操作部121と、車外から操作可能な車外側操作部122と、を含む。車内側操作部121と車外側操作部122とは、手動操作可能なされる操作ハンドル等とされ、それぞれワイヤ123,124によって操作力を伝達可能とされている。
なお、車内側操作部121と車外側操作部122との配置位置は特に限定されない。非常時における乗客、乗員、駅務員など、可能性のある状況における操作性が維持できる位置であればよい。
【0029】
手動ドア解除装置100は、図2図5に示すように、蓄力部130と、解錠部150と、を備える。
蓄力部130は、車内側操作部121が操作された力を蓄力する車内側蓄力部131と、車外側操作部122が操作された力を蓄力する車外側蓄力部132と、規制部140と、を含む。車内側蓄力部131は、手動操作による操作力の内、後述するバネ68が蓄力可能な範囲の所定量の力を蓄力する。車外側蓄力部132は、手動操作による操作力の内、後述するバネ78が蓄力可能な所定量の力を蓄力する。
図2図5においては、ドアリーフ10が閉鎖した状態で、ロック機構110がドアリーフ10を施錠している状態を示している。
【0030】
手動ドア解除装置100は、図2図5に示すように、リンク1と、ブロック2と、ロッド3と、ロッド4と、ベース5と、シリンダ6と、シリンダ7と、アクチュエータ14と、ラッチレバー11,12と、スイッチ161~164と、を有する。
リンク1は、軸方向がX方向と一致して配置される。リンク1の一端は、ロック機構110の解錠レバーに接続される。リンク1の他端(端部)1bは、ブロック2に接続される。
リンク1は、ブロック2とともに、-X方向に移動することでロック機構110の解錠をおこなう。
【0031】
ブロック2は、ベース5に対して+X方向となる位置に配置される。
ブロック2は、X方向に延びる中央部分21と、この中央部分21の+X方向端部からY方向にそれぞれ向かう腕部分22および腕部分23を有する。ブロック2は、Z方向視してT字状を有する。
【0032】
ブロック2は、Y方向の中央位置となる中央部分21でベース5に対してX方向に往復移動可能とされている。
ブロック2は、+Y方向の端部位置となる腕部分22でロッド3に対してX方向に往復移動可能に接している。腕部分22における+Y方向の端部は、X方向の移動を同期する同期機構としてのリンク62a,62bを介してベース5に接続されている。リンク62a,62bはそれぞれY方向に沿った回転軸線を有する回転軸によって、互いに、また腕部分22と、ベース5とに回転可能に接続されている。
【0033】
ブロック2は、-Y方向の端部位置となる腕部分23でロッド4に対してX方向に往復移動可能に接している。腕部分23における-Y方向の端部は、X方向の移動を同期する同期機構としてのリンク72a,72bを介してベース5に接続されている。リンク72a,72bはそれぞれY方向に沿った回転軸線を有する回転軸によって、互いに、また腕部分23と、ベース5とに回転可能に接続されている。
ベース5には、操作部120の操作によって蓄力部130に力が蓄力されたことを検出する検出部(スイッチ)161~164が設けられる。スイッチ161~164はベース5に固定され、シリンダ端部65,75、ワイヤ固定部66,76によってONとなる。
【0034】
ロッド3は、軸方向がX方向と一致しており、ブロック2およびベース5のそれぞれに対してX方向に往復移動可能である。ロッド3は、その軸線方向が中央部分21の延在するX方向と平行に配置される。
ロッド3は、+X方向の端部がブロック2の腕部分22に形成された貫通孔を貫通している。ロッド3は、+X方向の端部に、腕部分22の貫通孔から抜けないように拡径された抜け止め3aを有する。
ロッド3は、-X方向の端部が、シリンダ6の内部に差し込まれている。ロッド3は、-X方向の端部が、後述するようにバネ68に接続されている。
【0035】
シリンダ6は、軸方向がX方向と一致しており、X方向に往復動作可能としてベース5に支持されている。シリンダ6は、ベース5において、+Y方向に位置する部分5aに形成されたX方向の貫通孔内部に軸方向移動に配置されている。
シリンダ6の内部は、互いの軸方向が一致するようにバネ68が収納されている。
シリンダ6の-X方向端部には、シリンダ端部65が固定されており軸方向の端部を閉塞している。シリンダ端部65には、シリンダ6の軸方向でさらに-X方向に向かう位置にワイヤ固定部66が設けられる。
【0036】
シリンダ6の+X方向端部には貫通孔が設けられ、この貫通孔にロッド3が貫通している。ロッド3は貫通孔から-X方向に向けてシリンダ6の内部に差し込まれている。シリンダ6とロッド3とは互いの軸方向が一致するように、X方向に往復動作可能とされている。ロッド3は+X方向端部が、軸方向にシリンダ6の内部から外側に向けて突出しており、ブロック2を貫通している。シリンダ6の+X方向端部の内部にはバネ68が接続されている。
【0037】
ブロック2の腕部分22、ロッド3、シリンダ6、バネ68、シリンダ端部65、ワイヤ固定部66は、車内側操作部121から操作力を伝達されて蓄力する車内側蓄力部131を構成する。
蓄力部130においては、車内側蓄力部131がバネ68による付勢力により蓄力可能とされている。
【0038】
ロッド4は、軸方向がX方向と一致しており、ブロック2およびベース5のそれぞれに対してX方向に往復移動可能である。ロッド4は、その軸線方向が中央部分21の延在するX方向と平行に配置される。
ロッド4は、+X方向の端部がブロック2の腕部分23に形成された貫通孔を貫通している。ロッド4は、+X方向の端部に、腕部分23の貫通孔から抜けないように拡径された抜け止め4aを有する。
ロッド4は、-X方向の端部が、シリンダ7の内部に差し込まれている。ロッド4は、-X方向の端部が、後述するようにバネ78に接続されている。
【0039】
シリンダ7は、軸方向がX方向と一致しており、X方向に往復動作可能としてベース5に支持されている。シリンダ7は、ベース5において-Y方向に位置する部分5bに形成されたX方向の貫通孔内部に軸方向移動に配置されている。
シリンダ7の内部は、互いの軸方向が一致するようにバネ78が収納されている。
シリンダ7の-X方向端部には、シリンダ端部75が固定されており軸方向の端部を閉塞している。シリンダ端部75には、シリンダ7の軸方向でさらに-X方向に向かう位置にワイヤ固定部76が設けられる。
【0040】
シリンダ7の+X方向端部には貫通孔が設けられ、この貫通孔にロッド4が貫通している。ロッド4は貫通孔から-X方向に向けてシリンダ7の内部に差し込まれている。シリンダ7とロッド4とは互いの軸方向が一致するように、X方向に往復動作可能とされている。ロッド4の+X方向端部が、軸方向にシリンダ7の内部から外側に向けて突出しており、ブロック2を貫通している。シリンダ7の+X方向端部の内部にはバネ78が接続されている。
【0041】
ブロック2の腕部分23、ロッド4、シリンダ7、バネ78、シリンダ端部75、ワイヤ固定部76は、車外側操作部122から操作力を伝達されて蓄力する車外側蓄力部132を構成する。
蓄力部130においては、車外側蓄力部132がバネ78による付勢力により蓄力可能とされている。
【0042】
蓄力部130は、上位装置または車掌等から送信される信号であるか停電時の状態を含む解除信号を受信したときに、規制部140を駆動することで規制を解除して、所定量の力を解錠部150に伝達することを許容して、ロック機構110のロックを解除する。
【0043】
規制部140は、蓄力部130に蓄力された力の解錠部150への伝達を規制するラッチレバー11,12と、ラッチレバー11,12を駆動して解錠部150への伝達規制を解除するアクチュエータ14と、を含む。
【0044】
解錠部150は、蓄力部130に蓄力された所定量の力を伝達してロック機構110のロックを解除する。
解錠部150は、ロッド3と、ロッド4と、ブロック2と、リンク1と、を備える。
解錠部150は、また、シリンダ151とピストン152とバネ153とを備える。解錠部150において、シリンダ151とピストン152とが同軸に設けられる。シリンダ151に対してピストン152が、X方向に往復移動可能である。シリンダ151に対してピストン152がX方向に往復移動することで、ベース5に対してブロック2が、X方向に往復移動可能となる。
【0045】
シリンダ151は、ベース5に形成される。シリンダ151は、ベース5におけるY方向の中央位置に形成される。シリンダ151の内部には、バネ153が収納される。シリンダ151には、ピストン152が同軸に挿入されている。
シリンダ151は、シリンダ6およびシリンダ7と平行に設けられる。シリンダ151には、+Y方向に近接してシリンダ6が平行に位置する。シリンダ151には、-Y方向に近接してシリンダ7が平行に位置する。シリンダ151に対しては、シリンダ6およびシリンダ7がそれぞれ独立にX方向に移動可能である。
【0046】
ピストン152はブロック2に形成される。ピストン152は、車内側蓄力部131と車外側蓄力部132とが、リンク1に伝達されるように接続される。
ピストン152は、その軸線方向がブロック2の中央部分21の延在するX方向と平行に配置される。
ピストン152の-X方向の端部には、バネ153が接触している。
解錠部150は、伝達された車内側蓄力部131の出力によるピストン152の動きと車外側蓄力部132の出力とによるピストン152の動きとを同期する同期機構としてリンク部62,72を有する。
【0047】
ピストン152は、第1被引っ掛け部152aと第2被引っ掛け部152bとを有する。ピストン152には、被引っ掛け部としての溝152a,152bが外周位置に形成される。
溝152a,152bは、ピストン152の外周位置において、Z方向上と下となる位置に対称に配置される。溝152a,152bは、ピストン152の周方向に延びる。つまり、溝152a,152bは、ピストン152の外周には、周方向に凹んだ条部が断続的に形成された状態に形成される。
溝152a,152bは、後述するように、X方向へのピストン152の移動によって、ラッチレバー11,12の爪11b,12bを押し上げるよう滑らかに傾斜したスロープ形状となっている。
【0048】
ラッチレバー11,12は、ベース5におけるシリンダ151のZ方向の上下位置にそれぞれ設けられる。ラッチレバー11は、ベース5におけるシリンダ151のZ方向の上位置にX方向に沿って設けられる。ラッチレバー12は、ベース5におけるシリンダ151のZ方向の下位置にX方向に沿って設けられる。
ラッチレバー11とラッチレバー12とは、互いに同形とされ、かつ、シリンダ151の軸線に対してZ方向にそれぞれ対称な位置に配置される。
【0049】
ラッチレバー11,12は、回転軸11a,12aによって回転可能なようにベース5に設置される。回転軸11a,12aは、いずれもラッチレバー11,12におけるX方向の中央位置よりもやや-X方向となる位置に配置される。回転軸11a,12aは、Y方向に延びて互いに平行に配置される。回転軸11a,12aは、Z方向視してシリンダ151の軸線と直交する。回転軸11a,12aは、Z方向視して重なるように配置される。
ラッチレバー11とラッチレバー12とは、互いに回転軸11a,12a周りに対称に回転動作可能である。
【0050】
ラッチレバー11,12は、ピストン152を挟むように第1引っ掛け部(爪)11bと第2引っ掛け部(爪)12bとが第1被引っ掛け部(溝)152aと第2被引っ掛け部(溝)152bとに引っ掛け可能に一対設けられる。
ラッチレバー11,12の+X方向の端部(一端)には、被引っ掛け部としての溝152a,152bに引っ掛けられる引っ掛け部として爪11b,12bが形成される。
【0051】
ラッチレバー11,12の-X方向の端部(他端)にはローラ13a,13bが設けられる。ラッチレバー11において、爪11bとローラ13aとは、回転軸11aに対して互いに反対側の端部に設けられている。ラッチレバー12において、爪12bとローラ13bとは、互いに回転軸12aに対して、反対側の端部に設けられている。
【0052】
ローラ13a,13bは、アクチュエータロッド14aを挟むように接触可能に一対のラッチレバー11,12のそれぞれの-X方向の端部(他端)に設けられる。
ローラ13aとローラ13bとは互いに同形とされ、かつ、シリンダ151の軸線に対してZ方向にそれぞれ対称な位置に配置される。ローラ13aとローラ13bとは互いに対向する。ローラ13aとローラ13bとの間には、アクチュエータ14のアクチュエータロッド14aが挿入可能な距離を有して離間している。
【0053】
アクチュエータ14はアクチュエータロッド14aを軸方向であるX方向に往復移動可能である。アクチュエータ14は例えば電動ソレノイドとされる。アクチュエータ14によって+X方向に移動したアクチュエータロッド14aはローラ13aとローラ13bと接触する。また、アクチュエータ14によって-X方向に移動したアクチュエータロッド14aはローラ13aとローラ13bとから離間する。アクチュエータロッド14aがX方向に移動する際には、ローラ13aとローラ13bとが互いに逆方向に回転する。
【0054】
アクチュエータ14によってアクチュエータロッド14aを+X方向に移動するように伸びて長くする。
アクチュエータロッド14aがローラ13aとローラ13bとの間に位置してこれらに接触した状態となる。この際、ローラ13aとローラ13bとが互いに離間するように、ラッチレバー11とラッチレバー12とが回転軸11a,12a周りの角度が決められる。すると、爪11bと爪12bとが互いに近接する状態となる。
【0055】
これにより、爪11bは、溝152aの内部に入って接触する。爪11bは溝152aに掛かっている。同様に、爪12bは、溝152bの内部に入って接触する。爪12bは溝152bに掛かっている。この状態において、ピストン152は、爪11bと爪12bとによってZ方向の両側から押さえ込まれた状態となっており、爪11bと爪12bとは、いずれも溝152a,152bから外れない。
このため、ピストン152のX方向における移動は規制される。したがって、ピストン152と一体のブロック2もX方向における移動は規制される。
【0056】
アクチュエータ14によって、アクチュエータロッド14aを-X方向に移動するように縮んで退かせる。
すると、-X方向に移動したアクチュエータロッド14aは、ローラ13aとローラ13bとの間の位置から-X方向にずれて、これらに接触しない状態になる。
ローラ13aとローラ13bとは、アクチュエータロッド14aからの規制がなくなり、互いに近接するようにラッチレバー11とラッチレバー12とが回転軸11a,12a周りに回転する。すると、爪11bと爪12bとが互いに離間する。
【0057】
これにより、爪11bは、溝152aから+Z方向外側に移動して接触が解除される。同様に、爪12bは、溝152bから-Z方向外側に移動して接触が解除される。この状態において、爪11bと爪12bとはいずれも溝152a,152bから外れている。また、ピストン152は、爪11bと爪12bとから離間した状態となっている。
このため、ピストン152のX方向における移動は規制されずに移動可能となる。したがって、ピストン152と一体のブロック2もX方向における移動は規制されない。
【0058】
このように、アクチュエータ14はアクチュエータロッド14aでローラを回転させることで、蓄力部130に蓄力された力の解錠部150への伝達規制を解除する。
【0059】
本実施形態の手動ドア解除装置100は、先端がロック機構110の解錠レバーに接続されたリンク1は、-X方向に引くことでドアリーフ10のロックが解錠される。ここで、リンク1の移動は、他端1bの接続されたEVACのブロック2の移動に連動する。ブロック2を貫通するロッド3,4には、ベース5によってガイドされるシリンダ6,7の内部で、バネ68,78のバネ力を受けている。
【0060】
シリンダ6,7には、シリンダ端部65,75が固定されて、ワイヤ固定部66,76を介して各々が接続された、車内側操作部121もしくは車外側操作部122に連結されたワイヤ(ワイヤーケーブル)123,124によって-X方向にそれぞれ引っ張られて移動する。
【0061】
ここで、車内側蓄力部131としては、車内側操作部121の操作によってワイヤ(ワイヤーケーブル)123を介してシリンダ6が-X方向に引っ張られて移動する。車外側蓄力部132としては、車外側操作部122の操作によってワイヤ(ワイヤーケーブル)124を介してシリンダ7が-X方向に引っ張られて移動する。これら車内側蓄力部131と車外側蓄力部132とは、独立して動作可能である。
【0062】
規制部140において、ベース5の中央に位置するラッチレバー11,12が、回転軸11a,12aで回転することで、爪11b,12bと溝152a,152bとの掛かり具合で規制状態、非規制状態を切り替え可能である。この切り替えは、電動アクチュエータ14によって進退するアクチュエータロッド14aがローラ13a,13bに当接するか否かで切り替えが可能となる。
【0063】
<通常状態>
車両走行中などの通常状態において、ロック機構110はドアリーフ10をロックしている。同時に、電動アクチュエータ14は、解錠不可とされ、図5に示すように、アクチュエータロッド14aは伸長位置にある。爪11b,12bは溝152a,152bに掛かっている。ブロック2とリンク1とは、ベース5に対して移動を不可とする規制をおこなう状態となっている。
【0064】
<解錠動作>
例えば、非常時にハンドル等とされる車内側操作部121を操作すると、手動ドア解除装置100は、図3に示すように、ワイヤーケーブル123を介してワイヤ固定部66・シリンダ端部65・シリンダ6が一体となって-X方向に引かれる。
【0065】
ここで、当該車内側操作部121が解錠不可(車両走行中、あるいは、ホームと反対側のドアで乗降不可)の場合、アクチュエータロッド14aは伸長位置にあり、ローラ13a,13bと接触し、ラッチレバー11,12の動きを規制する。ラッチレバー11,12先端の爪11b,12bはピストン152の溝152a,152bに掛かっており、ピストン152と一体のブロック2の動きを規制する。したがって、ブロック2は、ベース5に対して操作部120の操作前と同じ位置を保つ。
【0066】
抜け止め3aによってブロック2に引っ掛かるロッド3は、シリンダ6と一緒に動かずストロークを規制されるため、X方向位置を維持する。このため、図3に示すように、シリンダ6のストロークによってバネ68が縮む。このシリンダ6のストロークによってバネ68に操作力が蓄力される。非常解錠時には、まず、車内側操作部121のハンドルは引いた位置で保持され、車内側蓄力部131にバネ68のバネ力は蓄えた状態で保持される。
【0067】
このとき、図3に示すように、ワイヤ固定部66は、スイッチ161,163を押して、スイッチ161,163が解錠を要求するための信号を発する。信号は、乗務員および運行司令所等、車両制御をおこなう上位に伝送されて、ロック解除の可否判断を要求する。なお、スイッチ161,163はそれぞれ、別々の上位制御に対して信号を発するため、および動作確実性を満たすために2つ設けられる。
【0068】
このとき、車外側操作部122は操作されていないため、図3に示すように、車外側蓄力部132は通常状態から変化していない。つまり、車内側蓄力部131は、車外側蓄力部132と独立して畜力が可能である。
【0069】
上位(車両、ATC)にて解錠可(車両停止、ホーム側の乗降口105)であると判断されると、上位指令から発せられた解錠信号により、アクチュエータ14は消磁され、アクチュエータロッド14aが-X方向に移動して縮退位置となる。なお、非常事態発生時などにおける非常脱出の必要性を考慮し、さらに、停電時も同様にアクチュエータ14は消磁するものとする。
【0070】
-X方向に移動して縮退位置となったアクチュエータロッド14aは、ローラ13a,13bと接触せず、ラッチレバー11,12の動きは規制されない状態となる。ラッチレバー11,12先端の爪11b,12bはピストン152の溝152a,152bから離間可能となり、ピストン152と一体のブロック2の動きは規制されない非規制状態となる。したがって、ピストン152は、ベース5に対して操作部120操作前の位置から移動可能となる。つまり、ブロック2は、ベース5に対して-X方向に移動可能となる。
【0071】
すると、縮んでいるバネ68に蓄えられたバネ力により、ロッド3は-X方向に移動する。ブロック2はロッド3とともに-X方向に移動する。ブロック2は、ピストン152としてベース5に対して-X方向に移動する。
バネ68バネ力によってブロック2が-X方向に移動したとき、ラッチレバー11,12の爪11b,12bは、スロープ形状の溝152a,152bは、-X方向へのピストン152の移動によって押し上げられて外れる。
【0072】
ブロック2は、+X方向への移動に際して、ピストン152によって姿勢を制御した状態で移動する。同時に、ブロック2は、腕部分22における同期機構としてのリンク62a,62b、および、腕部分23における同期機構としてのリンク72a,72bを介して、ベース5に対してX方向の移動が同期される。
【0073】
これにより、ブロック2に接続されたリンク1が+X方向へと移動して、ロック機構110によるドアリーフ10のロックが解除される。
また、解錠動作により、バネ153は縮んで、バネ153にはバネ力が蓄えられる。このとき、バネ68には、バネ153のバネ力とつり合うバネ力が蓄えられている。
【0074】
ここで、通常、解錠は車内側操作部121または車外側操作部122の一方からおこなうため、ブロック2が片方のシリンダ6,7に引かれてモーメントが生じて動作不良が懸念されるが、本実施形態においては、そのため、リンク62a,62b,72a,72bによって、機械的にY方向におけるブロック2の両端の動きを同期することができるため、円滑なロック解除動作が可能となる。
【0075】
この解錠動作では、車内側操作部121による操作でロック解除をおこなう方法を説明したが、車外側操作部122による操作でロック解除をおこなう場合にも、同様の動作となる。この場合、車内側操作部121、ワイヤーケーブル123、ワイヤ固定部66、シリンダ端部65、シリンダ6、バネ68、スイッチ162,164、ロッド3、腕部分22、リンク62a,62bを、それぞれ、車外側操作部122、ワイヤーケーブル124、ワイヤ固定部76、シリンダ端部75、シリンダ7、バネ78、スイッチ161,163、ロッド4、腕部分23、リンク72a,72bに読み替えるものとする。
【0076】
また、解錠信号がアクチュエータ14に到達するまでに車内側操作部121と車外側操作部122との両方が操作された場合でも、車内側蓄力部131と車外側蓄力部132とは独立して動作可能なため、ロック解除をスムーズにおこなうことができる。
さらに、停電時にも、解錠信号到達時と同様に、アクチュエータ14が消磁されるため、解錠信号の到達を待たずにロック解除をおこなうことができる。
【0077】
<復帰動作>
車両走行を開始する等、ドアを閉める場合には、手動ドア解除装置100において復帰動作をおこなう。
また、解錠動作により、バネ153は縮んで、バネ153にはバネ力が蓄えられる。このとき、バネ68には、バネ153のバネ力とつり合うバネ力が蓄えられる。
【0078】
復帰動作においては、まず、操作部120のハンドルに対するラッチ等の解錠状態を解放する。すると、ワイヤーケーブル123は元の位置へと復帰する。この動作に伴って、解錠動作によってバネ153に蓄えられたバネ力により、ブロック2は、+X方向へ移動する。シリンダ6は、バネ68のバネ力で同様に-X方向へと移動し、ワイヤーケーブル123とともに元の位置へと復帰する。
【0079】
さらに、上位指令によってアクチュエータ14が励磁されると、アクチュエータロッド14aが+X方向に伸長して、ローラ13a,13bに接触する。ローラ13a,13bが回転させるとともに、ラッチレバー11,12は、ローラ13a,13bがZ方向に離間するように回転する。すると、ラッチレバー11,12の爪11b,12bが、ブロック2の溝152a,152bに掛かり、EVAC初期状態へと復帰する。
【0080】
このように、操作部120のハンドルを元に戻すとともに、アクチュエータ14の励磁のみで、復帰動作をおこなうことができるため、非常時にドアロックを解除した場合でも、迅速に復帰させることができる。
【0081】
本実施形態の手動ドア解除装置100は、蓄力部130が非常時操作によって蓄力した力によってロック機構110を解除する解錠部150が動作して解錠可能なので、操作部120を強い力で引っ張られたとしても蓄力部130で力を吸収できるため、解錠部150が壊れることがない。
また、アクチュエータ14のロックが解除された場合に、蓄力部130に蓄力された力で解錠部150が動作して解錠するため、操作者は操作部120のハンドル操作(レバー操作)以外の操作を別途おこなう必要がない。
また、乗客等による操作部120後に、上位である規制部140によって解錠の可否の判断をおこなう段階が可能となるため、乗務員、駅務員、列車指令部等によるロック解除の可否を判断した後に、ロックを解除するドア開を選択することができる。これらにより、安全向上を図ることができる。
【0082】
実際に、手動でドアリーフ10に対する解錠操作を行うのは一般の乗客であり、また、このような解錠操作が行われるのは非常時である。このため、ドアリーフ10の解錠操作は、乗客により直感的に把握されるよう、単純で工程数が少ないことが望ましい。本実施形態における手動ドア解除装置100では、従来の技術で必要だった信号送出・解錠の2段操作が必要とでない。本実施形態における手動ドア解除装置100では、従来の構成でドアリーフが開放されるまでの時間がかかる場合があるという問題を解決できる。また本実施形態における手動ドア解除装置100では、2段目の操作をしないとドアが開放できない場合があるという問題を解決することができる。
【0083】
また、本実施形態における手動ドア解除装置100では、従来の構成で車両走行中には操作出来ないようアクチュエータでレバーをロックしているので、非常脱出時に乗務員へ知らせる信号を出力できない可能性があるという問題を解決することができる。
また、本実施形態における手動ドア解除装置100では、車内側・車外側の両方から解錠操作できることが必要であり、さらに、車内側・車外側の両方から各々独立して確実に動作できることが必要となるという要求を解決することができる。
信号送出・解錠の2段階操作を必要とせず、ドア開放までの時間を短縮することができ、確実性、安全性を向上できるという効果を奏することが可能となる。
【0084】
本実施形態における手動ドア解除装置100では、蓄力部130は、所定量の力を解錠部150に伝達することを規制する規制部140を含み、解除信号を受信したときに、規制部140を駆動することで規制を解除して、所定量の力を解錠部150に伝達することを許容して、ロック機構110のロックを解除する。ことにより、解錠の可否の判断をおこなう段階が可能となる。したがって、安全性を向上できる。
【0085】
操作部120は、車内から操作可能な車内側操作部121と、車外から操作可能な車外側操作部122と、を含むとともに、蓄力部130は、車内側操作部121が操作された力を蓄力する車内側蓄力部131と、車外側操作部122が操作された力を蓄力する車外側蓄力部132と、を含むことにより、車外と車外のいずれかからでもドアリーフ10のロック解除を独立して操作することが可能となる。
【0086】
解錠部150は、シリンダ151とピストン152とを備え、ピストン151には車内側蓄力部131の出力と車外側蓄力部132の出力が伝達されるように接続されることにより、車外と車外との操作がそれぞれ独立して蓄力が可能となり、互いに干渉しないでロック解除することができる。
【0087】
解錠部150は、伝達された車内側蓄力部131の出力によるピストン151の動きと車外側蓄力部132の出力とによるピストン151の動きとを同期する同期機構としてリンク部62,72を有することにより、車内と車外の操作が互いに干渉することがなく、非常時における手動ドア解除装置100の動作確実性を向上し、安全性の向上を図ることができる。
【0088】
蓄力部130が、バネ68,78による付勢力により蓄力可能とされていることにより、バネ68,78の付勢力を調節することで蓄力量の設定が可能となるとともに、駆動電源等を不要とすることができる。
【0089】
解錠部150は、シリンダ151とピストン152とを備え、ピストン151の位置と蓄力部130のバネ68,78の位置とを蓄力前の位置に戻すバネ153が設けられることにより、迅速な復帰動作を可能とすることができる。
【0090】
規制部140は、蓄力部130に蓄力された力の解錠部150への伝達を規制するラッチレバー11,12と、ラッチレバー11,12を駆動して解錠部150への伝達規制を解除するアクチュエータ140と、を含むことにより、容易に解錠・施錠を可能とすることができる。
【0091】
解錠部150は、シリンダ151とピストン152とを備え、ピストン152には、被引っ掛け部(溝)152a,152bが形成され、ラッチレバー11,12の一端には、被引っ掛け部(溝)152a,152bに引っ掛け可能な引っ掛け部(爪)11b,12bが形成されることにより、誤動作防止の確実性を向上することが可能となる。
【0092】
ラッチレバー11,12の他端にはローラ13a,13bが設けられ、ローラ13a,13bと接触したアクチュエータ14のアクチュエータロッド14aでローラ13a,13bを回転させることで、蓄力部130に蓄力された力の解錠部150への伝達規制を解除することにより、アクチュエータ140のアクチュエータロッド14aとローラ11,12との接触における動作容易性を向上し、アクチュエータ140の小型化を測ることができる。
【0093】
ピストン152は、第1被引っ掛け部(溝)152aと第2被引っ掛け部(溝)152bとを有する。一対のラッチレバー11,12のそれぞれの一端には、第1引っ掛け部(爪)11bと第2引っ掛け部(爪)12bとが、第1被引っ掛け部(溝)152aと第2被引っ掛け部(溝)152bと引っ掛け可能としてピストン152を挟むように一対設けられる。一対のラッチレバーのそれぞれの他端には、ローラ11,12が、アクチュエータ140のアクチュエータロッド14aを挟むように接触可能に設けられる。これらにより、ラッチレバー11,12の動きをなめらかにして、アクチュエータ140のアクチュエータロッド14aとローラ11,12との接触における動作容易性を向上し、解錠部150への動作伝達をなめらかにすることができる。
【0094】
操作部120の操作によって蓄力部130に力が蓄力されたことを検出する検出部161~164が設けられることにより、検出部161~164の検出結果により、上位である規制部140によって解錠の可否の判断をおこなう段階が可能となるため、乗務員、駅務員、列車指令部等によるロック解除の可否を判断することができる。
【0095】
以下、本発明に係る手動ドア解除装置の第2実施形態を、図面に基づいて説明する。
図6は、本実施形態における手動ドア解除装置を示す模式図である。図7は、図6を軸方向視した図である。本実施形態において、上述した第1実施形態と異なるのは、蓄力部の数に関する点であり、これ以外の上述した第1実施形態と対応する構成には同一の符号を付してその説明を省略する。
なお、以下の説明で第1実施形態の構成に「対応する」とした構成は、解錠操作等の動作が対応しているものであり、形状等は互いに異なる場合がある。
【0096】
本実施形態においては、蓄力部130が、車内側蓄力部131に対応する1本の蓄力部230のみを有し、例えば、車外側蓄力部132は設けられていない。
本実施形態の手動ドア解除装置200は、図7に示すように、車内側蓄力部131のバネ68に対応するバネ268と、復帰動作をおこなうバネ153に対応するバネ253とが一直線状に配置されている。
【0097】
また、ブロック2に対応する構成として円筒状のシリンダ202とされて、ベース5に対応する構成としてベース205に形成された円筒状のシリンダ251内に同軸に収納されている。ロッド3に対応するロッド203は、シリンダ202の内部に同軸に位置する。さらに-X方向に延長されたロッド203は、ベース205の円筒状のシリンダ251の内部に同軸に位置する。
【0098】
シリンダ202の+X方向端部には、リンク1の端部1bに対応する端部201bに接続される。端部201bには、規制部140の引っ掛け部である爪11bに対応する突起部211bが形成される。突起部211bは、被引っ掛け部である溝152aに対応するラッチ252aに引っ掛かけられている。ラッチ252aは、規制部140のアクチュエータ14に対応するアクチュエータ214によって突起部211bから外れるように駆動される。
【0099】
さらに、ベース205に形成されたシリンダ251には、ロッド203が同軸に位置し、ロッド203は、-X方向に延長してシリンダ端部65に対応したロッド265とされている。ロッド265には、-X方向端部にワイヤ固定部66に対応するワイヤ固定部266が-X方向に延長して接続されている。ワイヤ固定部266は、ワイヤ(ワイヤーケーブル)123を介して操作部120に接続されている。
【0100】
ベース205に形成されたシリンダ251の内部には、同軸状にシリンダ202がX方向に移動可能に配置される。シリンダ202には、ロッド203が-X方向端部を貫通している。ロッド203は、シリンダ202の-X方向端部に対して+X方向位置で接触可能な部分に、ピストン152に対応する拡径部252が形成されている。シリンダ202の-X方向端部よりも+X方向となるシリンダ202の内部には、バネ68に対応するバネ268が同軸に配置される。
【0101】
ロッド203の+X方向端部にはシリンダ6に対応する拡径端部206が接続されている。拡径端部206は、シリンダ202の内部をX方向に往復動作する。拡径端部206の-X方向には、バネ268の+X方向端部が接触している。拡径部252の-X方向にはバネ253が配置され、シリンダ251の-X方向端部に接触している。バネ253とバネ268とは、拡径部252に対して押圧力が逆向きになるように接している。ここで、バネ268はバネ253よりも復元力が強い。具体的には、バネ268はバネ253よりも巻き径または線径が太く弾性力が大きいものが好ましい。
【0102】
規制部140においてアクチュエータ214は、Y方向にアクチュエータロッド214aを移動するように配置される。また、アクチュエータロッド214aは、図7に示すように、リンク214b、214cを介して、ラッチ252aを駆動する。なお、アクチュエータロッド214aは縮退位置でロック状態とされ、伸長する方向に駆動されることでロックを解除する。
【0103】
<通常状態>
本実施形態の手動ドア解除装置200においても、車両走行中などの通常状態において、ロック機構110はドアリーフ10をロックしている。同時に、電動アクチュエータ214は、解錠不可とされ、図6図7に示すように、アクチュエータロッド214aは伸縮位置にある。突起部211bはラッチ252aに引っ掛かっている。シリンダ202とリンク1とは、ベース205に対して移動を可とする規制をおこなう状態となっている。
【0104】
<解錠動作>
図8図9は、本実施形態における手動ドア解除装置を示す模式図である。図10は、図9を軸方向視した図である。
本実施形態の手動ドア解除装置200において、例えば非常時にハンドル等とされる操作部120を操作する。すると、手動ドア解除装置200は、図8に示すように、ワイヤーケーブル123を介してワイヤ固定部266・ロッド265・拡径部252・ロッド203・拡径端部206が一体となって-X方向に引かれる。
【0105】
ここで、当該操作部120が解錠不可(車両走行中、あるいは、ホームと反対側のドアで乗降不可)の場合、アクチュエータロッド214aは縮退位置にあり、突起部211bの動きを規制する。突起部211bはラッチ252aに引っ掛かっており、端部201bと一体のシリンダ202の動きを規制する。したがって、シリンダ202は、ベース205に対して操作部120の操作前と同じ位置を保つ。
【0106】
シリンダ202の-X方向端部は、シリンダ202と一緒に動かないため、X方向位置を維持する。このため、図8に示すように、拡径端部206のストロークによってバネ268が縮む。この拡径端部206のストロークによってバネ268に操作力が蓄力される。非常解錠時には、まず、操作部120のハンドルは引いた位置で保持され、蓄力部230(130)にバネ268のバネ力は蓄えた状態で保持される。
このとき、ワイヤ固定部266は、図示していないが、スイッチを押して解錠を要求するための信号を発する。信号は、乗務員および運行司令所等、車両制御をおこなう上位に伝送されて、ロック解除の可否判断を要求する。
【0107】
上位(車両、ATC)にて解錠可(車両停止、ホーム側の乗降口105)であると判断されると、上位指令から発せられた解錠信号により、規制部140のアクチュエータ214は消磁され、アクチュエータロッド214aが+Y方向に移動して伸長位置となる。なお、非常事態発生時などにおける非常脱出の必要性を考慮し、さらに、停電時も同様にアクチュエータ214は消磁するものとする。
【0108】
+Y方向に移動して伸長位置となったアクチュエータロッド214aは、ラッチ252aを駆動して、突起部211bが外れた状態となる。これにより、突起部211bがラッチ252aから離間可能となり、端部201bと一体のシリンダ202の動きは規制されない非規制状態となる。したがって、シリンダ202は、ベース205に対して操作部120操作前の位置から移動可能となる。つまり、シリンダ202は、ベース205に対してX方向に移動可能となる。
【0109】
すると、縮んでいるバネ268に蓄えられたバネ力により、図9図10に示すように、シリンダ202は-X方向に移動する。このとき、ロッド203はベース5に対して移動しない。
バネ268のバネ力によってシリンダ202が-X方向に移動したとき、リンク1も-X方向へ移動する。
これにより、リンク1の移動によって、ロック機構110によるドアリーフ10のロックが解除される。
また、解錠動作により、バネ253は縮んで、バネ253にはバネ力が蓄えられる。このとき、バネ268には、バネ253のバネ力とつり合うバネ力が蓄えられている。
【0110】
<復帰動作>
車両走行を開始する等、ドアを閉める場合には、手動ドア解除装置200において復帰動作をおこなう。
【0111】
復帰動作においては、まず、操作部120のハンドルに対するラッチ等の解錠状態を解放する。すると、ワイヤーケーブル123は元の位置へと復帰する。この動作に伴って、解錠動作によってバネ253に蓄えられたバネ力により、拡径部252が+X方向へ移動する。
このとき、ワイヤ固定部266・ロッド265・ロッド203・拡径端部206が一体となって-X方向に+X方向へ移動する。同時に、拡径部252と拡径端部206とに押圧されて、シリンダ202も、+X方向へ移動する。ワイヤ固定部266・ロッド265も、バネ253のバネ力で同様にX方向へと移動し、ワイヤーケーブル123とともに元の位置へと復帰する。
突起部211bはシリンダ202と一体に+X方向へ移動して、ラッチ252aとともに元の位置へと復帰する。
【0112】
同時に、上位指令によってアクチュエータ214が励磁され、アクチュエータロッド214aが-X方向に縮退して、ラッチ252aが突起部211bに掛かり、EVAC初期状態へと復帰する。
【0113】
本実施形態においては、上述した実施形態と同等の効果を奏することができる。
【0114】
本実施形態の手動ドア解除装置200は、蓄力部230で力を吸収できるため、操作部110を強い力で操作したとしても解錠部140が壊れることがない。
【0115】
蓄力部230は、所定量の力を解錠部150に伝達することを規制する規制部140を含み、解除信号を受信したときに、規制部140を駆動することで規制を解除して、所定量の力を解錠部150に伝達することを許容して、ロック機構110のロックを解除することにより、解錠の可否の判断をおこなう段階が可能となり、安全性を向上できる。
【0116】
解錠部150は、シリンダ251と拡径部252とを備え、拡径部252には蓄力部230の出力が伝達されるように接続されることにより、非常時の操作で蓄力が可能となり、ロック解除することができる。
【0117】
蓄力部230が、バネ268による付勢力により蓄力可能とされていることにより、蓄力量の設定が可能となるとともに、駆動電源等を不要とすることができる。
【0118】
解錠部150は、シリンダ251と拡径部252とを備え、拡径部252の位置と蓄力部230のバネ268の位置とを蓄力前の位置に戻すバネ253が設けられることにより、迅速な復帰動作を可能とすることができる。
【0119】
規制部140は、蓄力部230に蓄力された力の解錠部150への伝達規制を解除するアクチュエータ214を含むことにより、容易に解錠・施錠を可能とすることができる。
【0120】
蓄力部が非常時操作によって蓄力した力によって解錠部が動作可能なので、操作者は2段階の操作をおこなう必要がない。同時に、上位である規制部によって解錠の可否の判断をおこなう段階が可能となるため、乗務員、駅務員、列車指令部等によるロック解除の可否を判断した後に、ドア開を選択することができる。これらにより、安全向上を図ることができる。操作部を強い力で引っ張られたとしても蓄力部で力を吸収できるため、解錠部が壊れることがない。
【0121】
前記蓄力部は、前記所定量の力を前記解錠部に伝達することを規制する規制部を含み、解除信号を受信したときに、前記規制部を駆動することで規制を解除して、前記所定量の力を前記解錠部に伝達することを許容して、前記ロック機構のロックを解除する。
これにより、解錠の可否の判断をおこなう段階が可能となる。安全性を向上できる。
【0122】
前記操作部は、車内から操作可能な車内側操作部と、車外から操作可能な車外側操作部と、を含むとともに、前記蓄力部は、前記車内側操作部が操作された力を蓄力する車内側蓄力部と、前記車外側操作部が操作された力を蓄力する車外側蓄力部と、を含む。
これにより、車外と車外のいずれかからでもドアロック解除が独立して操作することが
可能となる。
【0123】
前記解錠部は、シリンダとピストンとを備え、前記ピストンには前記車内側蓄力部の出力と前記車外側蓄力部の出力が伝達されるように接続される。
これにより、車外と車外との操作がそれぞれ独立して蓄力が可能となり、互いに干渉しないでロック解除することができる。
【0124】
前記解錠部は、伝達された前記車内側蓄力部の出力による前記ピストンの動きと前記車外側蓄力部の出力とによる前記ピストンの動きとを同期する同期機構を有する。
これにより、車内と車外の操作が互いに干渉することがなく、非常時の動作確実性を向上し、安全性の向上を図ることができる。
【0125】
前記蓄力部が、バネによる付勢力により蓄力可能とされている。
これにより、蓄力量の設定が可能となるとともに、駆動電源等が不必要とすることができる。
【0126】
前記解錠部は、シリンダとピストンとを備え、前記ピストンの位置と前記蓄力部の前記バネの位置とを蓄力前の位置に戻すバネが設けられる。
これにより、迅速な復帰動作を可能とすることができる。
【0127】
前記規制部は、前記蓄力部に蓄力された力の前記解錠部への伝達を規制するラッチレバーと、前記ラッチレバーを駆動して前記解錠部への伝達規制を解除するアクチュエータと、を含む。
これにより、容易に解錠・施錠を可能とすることができる。
【0128】
前記解錠部は、シリンダとピストンとを備え、前記ピストンには、被引っ掛け部が形成され、前記ラッチレバーの一端には、前記被引っ掛け部に引っ掛け可能な引っ掛け部が形成される。これにより、誤動作防止の確実性を向上することが可能となる。
【0129】
前記ラッチレバーの他端にはローラが設けられ、前記ローラと接触した前記アクチュエータで前記ローラを回転させることで、前記蓄力部に蓄力された力の前記解錠部への伝達規制を解除する。これにより、アクチュエータとローラとの接触における動作容易性を向上し、アクチュエータの小型化を測ることができる。
【0130】
前記ピストンは、第1引っ掛け部と第2引っ掛け部とを有し、
前記ラッチレバーは、前記ピストンを挟むように前記第1引っ掛け部と前記第2引っ掛け部とに引っ掛け可能に一対設けられ、
前記ローラは、前記アクチュエータを挟むように接触可能に一対の前記ラッチレバーのそれぞれの他端に設けられる。これにより、ラッチレバーの動きをなめらかにして、アクチュエータとローラとの接触における動作容易性を向上し、解錠部への動作伝達をなめらかにすることができる。
【0131】
前記操作部の操作によって前記蓄力部に力が蓄力されたことを検出する検出部が設けられる。これにより、検出部の検出結果により、上位である規制部によって解錠の可否の判断をおこなう段階が可能となるため、乗務員、駅務員、列車指令部等によるロック解除の可否を判断することができる。
【0132】
本発明の手動ドア解除装置は、上述した実施形態における個々の構成を適宜選択して組み合わせて適用することが可能である。
さらに、上述した実施形態における個々の構成を適宜変更することもできる。
例えば、蓄力部130が、バネ68,78以外の弾性部材で蓄力してもよい。例えば、弾性部材として空気を採用することができる。この場合、蓄力部130のシリンダ6,7が高い機密性を有し、ロッド3,4の-Y方向端部がピストンとして作用する構成が考えられる。あるいは、弾性部材としてゴムなどの高い弾性を有する構成も考えられる。
【0133】
例えば、ワイヤ固定部66,76にワイヤ123,124を介することなく、操作部120が蓄力部130と剛体接続されていてもよい。ここで、ワイヤ123,124を用いた場合には、蓄力部130に対する操作部120の配置自由度を高めることができる。
【0134】
または、蓄力部130に蓄力された力が一定以上になると解錠部150に伝達されてロック解錠が可能な構成も可能である。この場合、規制部140を設けない構成を採用することができる。
【0135】
さらに、操作部120が、車内側操作部121と車外側操作部122との両方を備えていないことも可能である。この場合、車内側操作部121と車外側操作部122とのいずれか一方だけ配置することができる。
【0136】
また、第2実施形態における手動ドア解除装置200が車内側と車外側とにそれぞれ設けられることもできる。
【0137】
あるいは、解錠部140のアクチュエータ14が、アクチュエータロッド14aを-X方向以外に伸退可能な構成としてもよい。この場合、ローラ13a,13bの回転軸もアクチュエータロッド14aの伸退方向に合わせて変更することが好ましい。
【0138】
さらに、第2実施形態における手動ドア解除装置200において、第1実施形態における解錠部140のように、シリンダ202に第1被引っ掛け部(溝)152aと第2被引っ掛け部(溝)152bとが設けられ、これに引っ掛けられる第1引っ掛け部(爪)11bと第2引っ掛け部(爪)12bとを有する一対のラッチレバー11,12が回転軸11a,12aによって回転可能なようにベース5に設置され、ラッチレバー11,12の-X方向の端部(他端)にはローラ13a,13bが設けられ、ローラ13a,13bがアクチュエータロッド14aを挟むように接触可能である構成も可能である。この場合、アクチュエータ214は、X方向にアクチュエータロッド14aを往復動作可能とすることができる。
手動ドア解除装置がX方向軸を中心として任意角度回転した配置とすることもできる。ここで、ロック機構110に接続されるロッド1の方向が、ロック機構110の駆動に必要な方向と一致していれば、配置方向は特に限定されない。
【符号の説明】
【0139】
100,200…手動ドア解除装置
2…ブロック
2a,2b…溝
3,4…ロッド
5…ベース
6,7…シリンダ
10…ドアリーフ
11,12…ラッチレバー
11a,12a…回転軸
11b,12b…爪(引っ掛け部)
13a,13b…ローラ
14…アクチュエータ
14a…アクチュエータロッド
21…中央部分
22,23…腕部分
62,72…リンク部
62a,62b,72a,72b…リンク
65,75…シリンダ端部
66,76…ワイヤ固定部
68,78…バネ
105…乗降口
110…ロック機構
120…操作部
121…車内側操作部
122…車外側操作部
123,124…ワイヤ(ワイヤーケーブル)
130…蓄力部
131…車内側蓄力部
132…車外側蓄力部
140…規制部
150…解錠部
151…シリンダ
152…ピストン
152a,152b…溝(被引っ掛け部)
153…バネ
161~164…検出部(スイッチ)
201b…端部
202…シリンダ
203…ロッド
205…ベース
206…拡径端部
211b…突起部
214…アクチュエータ
214a…アクチュエータロッド
214b,214c…リンク
230…蓄力部
251…シリンダ
252…拡径部
252a…ラッチ
253…バネ
265…ロッド
266…ワイヤ固定部
268…バネ
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
【手続補正書】
【提出日】2021-08-31
【手続補正1】
【補正対象書類名】図面
【補正対象項目名】図2
【補正方法】変更
【補正の内容】
図2
【手続補正2】
【補正対象書類名】図面
【補正対象項目名】図3
【補正方法】変更
【補正の内容】
図3
【手続補正3】
【補正対象書類名】図面
【補正対象項目名】図4
【補正方法】変更
【補正の内容】
図4
【手続補正4】
【補正対象書類名】図面
【補正対象項目名】図5
【補正方法】変更
【補正の内容】
図5
【手続補正5】
【補正対象書類名】図面
【補正対象項目名】図6
【補正方法】変更
【補正の内容】
図6
【手続補正6】
【補正対象書類名】図面
【補正対象項目名】図7
【補正方法】変更
【補正の内容】
図7
【手続補正7】
【補正対象書類名】図面
【補正対象項目名】図8
【補正方法】変更
【補正の内容】
図8
【手続補正8】
【補正対象書類名】図面
【補正対象項目名】図9
【補正方法】変更
【補正の内容】
図9
【手続補正9】
【補正対象書類名】図面
【補正対象項目名】図10
【補正方法】変更
【補正の内容】
図10