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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022078927
(43)【公開日】2022-05-25
(54)【発明の名称】プラグドア装置
(51)【国際特許分類】
   B61D 19/00 20060101AFI20220518BHJP
   E05F 15/643 20150101ALI20220518BHJP
   E05F 15/655 20150101ALI20220518BHJP
【FI】
B61D19/00 B
E05F15/643
E05F15/655
【審査請求】未請求
【請求項の数】10
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021053515
(22)【出願日】2021-03-26
(31)【優先権主張番号】P 2020189535
(32)【優先日】2020-11-13
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(71)【出願人】
【識別番号】503405689
【氏名又は名称】ナブテスコ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100106909
【弁理士】
【氏名又は名称】棚井 澄雄
(74)【代理人】
【識別番号】100126664
【弁理士】
【氏名又は名称】鈴木 慎吾
(74)【代理人】
【識別番号】100141139
【弁理士】
【氏名又は名称】及川 周
(74)【代理人】
【識別番号】100165179
【弁理士】
【氏名又は名称】田▲崎▼ 聡
(72)【発明者】
【氏名】榊 源太
(72)【発明者】
【氏名】渡邉 啓佑
【テーマコード(参考)】
2E052
【Fターム(参考)】
2E052AA09
2E052CA06
2E052DA04
2E052DB04
2E052EA12
2E052EA13
2E052EB01
2E052EC02
2E052KA16
(57)【要約】
【課題】高さ方向に小型化することができるプラグドア装置を提供する。
【解決手段】実施形態のプラグドア装置は、固定ベースと、駆動源からの駆動力によって固定ベースに対して幅方向にスライドするスライドベース4と、スライドベース4において前後方向の両端における幅方向の移動の向き及び量を互いに一致させるための移動一致機構100と、を備える。移動一致機構100は、前後方向に離間して配置され且つ高さ方向に延びる2本の固定軸部材101と、スライドベース4と接触する接触アーム111と、固定軸部材101と離間して配置される伝達軸部材112を有する伝達アーム113と、をそれぞれ有し、接触アーム111及び伝達アーム113が固定軸部材101を回転中心として一体に回転する2つの回転部材102と、2つの回転部材102のそれぞれが有する伝達軸部材112に前後方向の両端が接続されるシャフト103と、を備える。
【選択図】図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
車両の車体に固定される固定ベースと、
前記車両のドアが取り付けられており、駆動源からの駆動力によって前記固定ベースに対して前記車両の幅方向にスライドするスライドベースと、
前記スライドベースにおいて前記車両の前後方向の両端における前記幅方向の移動の向き及び量を互いに一致させるための移動一致機構と、を備え、
前記移動一致機構は、
前記車体又は前記スライドベースの一方に設けられるとともに、前記前後方向に離間して配置され、且つ、前記車両の高さ方向に延びる2本の固定軸部材と、
前記車体又は前記スライドベースの他方と接触する接触アームと、前記固定軸部材と離間して配置される伝達軸部材を有する伝達アームと、をそれぞれ有し、前記接触アーム及び前記伝達アームが前記固定軸部材を回転中心として一体に回転する2つの回転部材と、
前記2つの回転部材のそれぞれが有する前記伝達軸部材に前記前後方向の両端が接続されるシャフトと、
を備えるプラグドア装置。
【請求項2】
前記2本の固定軸部材のそれぞれは、前記固定ベースに固定され、
前記2つの回転部材のそれぞれは、前記スライドベースと接触する前記接触アームを有する
請求項1に記載のプラグドア装置。
【請求項3】
前記スライドベースには、前記接触アームの前記前後方向への移動を案内するガイド部材が設けられている
請求項2に記載のプラグドア装置。
【請求項4】
前記ガイド部材は、前記前後方向に沿って延びるレールを有し、
前記接触アームは、前記レールに沿って転がる回転体を備える
請求項3に記載のプラグドア装置。
【請求項5】
前記接触アーム及び前記伝達アームは、前記高さ方向から見て互いに直交する方向に延びている
請求項1から4の何れか一項に記載のプラグドア装置。
【請求項6】
車両の車体に固定される固定ベースと、
前記車両のドアが取り付けられており、駆動源からの駆動力によって前記固定ベースに対して前記車両の幅方向にスライドするスライドベースと、
前記スライドベースにおいて前記車両の前後方向の両端における前記幅方向の移動の向き及び量を互いに一致させるための移動一致機構と、を備え、
前記移動一致機構は、
前記固定ベースに設けられるとともに、前記前後方向に離間して配置され、且つ、前記車両の高さ方向に延びる2本の固定軸部材と、
前記スライドベースと接触する接触アームと、前記固定軸部材と離間して配置される伝達軸部材を有する伝達アームと、をそれぞれ有し、前記接触アーム及び前記伝達アームが前記固定軸部材を回転中心として一体に回転する2つの回転部材と、
前記2つの回転部材のそれぞれが有する前記伝達軸部材に前記前後方向の両端が接続されるシャフトと、を備え、
前記スライドベースには、前記接触アームの前記前後方向への移動を案内するガイド部材が設けられ、
前記ガイド部材は、前記前後方向に沿って延びるレールを有し、
前記接触アームは、前記レールに沿って転がる回転体を備え、
前記接触アーム及び前記伝達アームは、前記高さ方向から見て互いに直交する方向に延びている
プラグドア装置。
【請求項7】
車両の車体に固定される固定ベースと、
前記車両のドアが取り付けられており、駆動源からの駆動力によって前記固定ベースに対して前記車両の幅方向にスライドするスライドベースと、
前記車両の高さ方向に直交する平面内を回転する回転動力を用いて前記スライドベースにおいて前記車両の前後方向の両端における前記幅方向の移動の向き及び量を互いに一致させるための移動一致機構と、
を備えるプラグドア装置。
【請求項8】
前記ドアの前記幅方向及び前記前後方向への移動をガイドするスイングアーム機構を更に備え、
前記スイングアーム機構は、
前記車体に設けられるとともに、前記前後方向に離間して配置され、且つ、前記車両の高さ方向に延びる2本のピラーと、
前記ドアの上部を支持するとともに前記ピラーを回転中心として一体に回転する2つの上部アームと、
前記ドアの下部を支持するとともに前記ピラーを回転中心として一体に回転する2つの下部アームと、を備え、
前記移動一致機構は、
前記2本の固定軸部材としての前記2本のピラーと、
前記2つの上部アームを含む前記2つの回転部材と、
前記2つの回転部材のそれぞれが有する前記伝達軸部材を介して前記2本のピラーのそれぞれに前記前後方向の両端が接続される前記シャフトと、を備える
請求項1から6の何れか一項に記載のプラグドア装置。
【請求項9】
前記ドアの前記幅方向及び前記前後方向への移動をガイドするスイングアーム機構を更に備え、
前記スイングアーム機構は、
前記車体に設けられるとともに、前記前後方向に離間して配置され、且つ、前記車両の高さ方向に延びる2本のピラーと、
前記ドアの上部を支持するとともに前記ピラーを回転中心として一体に回転する2つの上部アームと、
前記ドアの下部を支持するとともに前記ピラーを回転中心として一体に回転する2つの下部アームと、を備え、
前記移動一致機構は、
前記平面内を回転する回転動力を作用させる前記2本のピラーと、
前記ピラーを回転中心として一体に回転する2つのピラー側傘歯車と、
前記2つのピラー側傘歯車のそれぞれに噛み合う2つのリンク側傘歯車と、
前記2つのリンク側傘歯車に前記前後方向の両端が接続されるリンク軸部材と、を備える
請求項7に記載のプラグドア装置。
【請求項10】
前記ドアの前記幅方向及び前記前後方向への移動をガイドするスイングアーム機構を更に備え、
前記スイングアーム機構は、
前記車体に設けられるとともに、前記前後方向に離間して配置され、且つ、前記車両の高さ方向に延びる2本のピラーと、
前記ドアの上部を支持するとともに前記ピラーを回転中心として一体に回転する2つの上部アームと、
前記ドアの下部を支持するとともに前記ピラーを回転中心として一体に回転する2つの下部アームと、を備え、
前記移動一致機構は、
前記平面内を回転する回転動力を作用させる前記2本のピラーと、
前記ピラーを回転中心として一体に回転する2つのピラー側歯車と、
前記2つのピラー側歯車の一方に噛み合う中間歯車と、
前記2つのピラー側歯車の他方と前記中間歯車とに噛み合う歯付ベルトと、を備える
請求項7に記載のプラグドア装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、プラグドア装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、ドアを鉄道車両の前後方向に移動させながら幅方向に移動させる動作、いわゆるプラグ動作をさせるプラグドア装置が知られている。例えば、特許文献1には、車体のドア開口部の上部に設けられドア上部を案内する上側案内レールと、ドア開口部の下部に設けられドア下部を案内する下側案内レールと、ドア上部を駆動するドアエンジンと、を備えた構成が開示されている。このようなプラグドア装置では、ドア上部をドアエンジンに連結してドア上部のみをドアエンジンで移動させて、ドア下部をドア上部の移動に追従させることで、ドアを車体の内側面や外側面に沿って移動させている。
一方、プラグドア装置として、車体に固定される固定ベースと、ドアが取り付けられており駆動源からの駆動力によって固定ベースに対して車両の幅方向にスライドするスライドベースと、を備えた構成が知られている。このようなプラグドア装置の場合、駆動源の設置数や設置位置によっては、スライドベースに駆動源からの駆動力に反する力(例えばモータ反力)が生じ、スライドベースにおいて車両の前後方向の両端における幅方向の移動の向き及び量が互いにずれることがある。
他方、スライドベースにおいて前後方向の一端の幅方向の移動量と他端の幅方向の移動量とを一致させるための構成として、前後方向に延びる連動軸と、連動軸とスライドベースにおいて前後方向の一端及び他端のそれぞれとを連結するリンクを有する連結機構と、を備えた構成が知られている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2004-168089号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかし、リンクが前後方向に延びる連動軸を回転中心として回転する場合、リンクの回転を許容するために高さ方向の空間が必要となる。そのため、高さ方向に小型化する上で改善の余地がある。
【0005】
本発明は、上記の課題を解決するためになされたものであって、高さ方向に小型化することができるプラグドア装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記課題の解決手段として、本発明の態様は以下の構成を有する。
(1)本発明の態様に係るプラグドア装置は、車両の車体に固定される固定ベースと、前記車両のドアが取り付けられており、駆動源からの駆動力によって前記固定ベースに対して前記車両の幅方向にスライドするスライドベースと、前記スライドベースにおいて前記車両の前後方向の両端における前記幅方向の移動の向き及び量を互いに一致させるための移動一致機構と、を備え、前記移動一致機構は、前記車体又は前記スライドベースの一方に設けられるとともに、前記前後方向に離間して配置され、且つ、前記車両の高さ方向に延びる2本の固定軸部材と、前記車体又は前記スライドベースの他方と接触する接触アームと、前記固定軸部材と離間して配置される伝達軸部材を有する伝達アームと、をそれぞれ有し、前記接触アーム及び前記伝達アームが前記固定軸部材を回転中心として一体に回転する2つの回転部材と、前記2つの回転部材のそれぞれが有する前記伝達軸部材に前記前後方向の両端が接続されるシャフトと、を備える。
なお、「一致」とは、完全に一致する場合のほか、車両の幅方向への移動に支障が無い範囲でのずれ量も含む概念である。
【0007】
この構成によれば、スライドベースの幅方向への移動により回転部材が高さ方向に延びる固定軸部材を回転中心として回転することで、回転部材の回転を許容するために高さ方向に空間は必要としない。したがって、高さ方向に小型化することができる。
加えて、シャフトは2つの回転部材のそれぞれが有する伝達軸部材に前後方向の両端が接続されることで、シャフトの途中が接続されている場合と比較して、2つの回転部材のそれぞれが有する伝達軸部材の間にシャフトを好適に配置するとともに、シャフトの移動範囲を広く取ることができる。
【0008】
(2)上記(1)に記載のプラグドア装置では、前記2本の固定軸部材のそれぞれは、前記固定ベースに固定され、前記2つの回転部材のそれぞれは、前記スライドベースと接触する前記接触アームを有してもよい。
【0009】
(3)上記(2)に記載のプラグドア装置では、前記スライドベースには、前記接触アームの前記前後方向への移動を案内するガイド部材が設けられていてもよい。
【0010】
(4)上記(3)に記載のプラグドア装置では、前記ガイド部材は、前記前後方向に沿って延びるレールを有し、前記接触アームは、前記レールに沿って転がる回転体を備えてもよい。
【0011】
(5)上記(1)から(4)の何れか一項に記載のプラグドア装置では、前記接触アーム及び前記伝達アームは、前記高さ方向から見て互いに直交する方向に延びていてもよい。
【0012】
(6)本発明の態様に係るプラグドア装置は、車両の車体に固定される固定ベースと、前記車両のドアが取り付けられており、駆動源からの駆動力によって前記固定ベースに対して前記車両の幅方向にスライドするスライドベースと、前記スライドベースにおいて前記車両の前後方向の両端における前記幅方向の移動の向き及び量を互いに一致させるための移動一致機構と、を備え、前記移動一致機構は、前記固定ベースに設けられるとともに、前記前後方向に離間して配置され、且つ、前記車両の高さ方向に延びる2本の固定軸部材と、前記スライドベースと接触する接触アームと、前記固定軸部材と離間して配置される伝達軸部材を有する伝達アームと、をそれぞれ有し、前記接触アーム及び前記伝達アームが前記固定軸部材を回転中心として一体に回転する2つの回転部材と、前記2つの回転部材のそれぞれが有する前記伝達軸部材に前記前後方向の両端が接続されるシャフトと、を備え、前記スライドベースには、前記接触アームの前記前後方向への移動を案内するガイド部材が設けられ、前記ガイド部材は、前記前後方向に沿って延びるレールを有し、前記接触アームは、前記レールに沿って転がる回転体を備え、前記接触アーム及び前記伝達アームは、前記高さ方向から見て互いに直交する方向に延びている。
【0013】
この構成によれば、スライドベースの幅方向への移動により回転部材が高さ方向に延びる固定軸部材を回転中心として回転することで、回転部材の回転を許容するために高さ方向に空間は必要としない。したがって、高さ方向に小型化することができる。
加えて、2本の固定軸部材のそれぞれが固定ベースに固定されることで、固定ベースを介して2本の固定軸部材を車体の定位置に固定することができる。
加えて、スライドベースには接触アームの前後方向への移動を案内するガイド部材が設けられていることで、ガイド部材により接触アームの前後方向への移動が案内されることにより、スライドベースの幅方向の移動を回転部材の回転に変換することができる。
加えて、ガイド部材は前後方向に沿って延びるレールを有し、接触アームはレールに沿って転がる回転体を備えることで、回転体により接触アームとレールとの間の摩擦が低減されるため、スライドベースの幅方向の移動を回転部材の回転にスムーズに変換することができる。
加えて、シャフトは2つの回転部材のそれぞれが有する伝達軸部材に前後方向の両端が接続されることで、シャフトの途中が接続されている場合と比較して、2つの回転部材のそれぞれが有する伝達軸部材の間にシャフトを好適に配置するとともに、シャフトの移動範囲を広く取ることができる。
加えて、接触アーム及び伝達アームは高さ方向から見て互いに直交する方向に延びていることで、高さ方向から見て固定軸部材の軸心と接触アームの接触部中心とを通る直線を仮想直線としたとき、高さ方向から見て仮想直線と伝達軸部材の軸心との距離が最大になるため、一致させる移動量を最大にすることができる。
【0014】
(7)本発明の態様に係るプラグドア装置は、車両の車体に固定される固定ベースと、前記車両のドアが取り付けられており、駆動源からの駆動力によって前記固定ベースに対して前記車両の幅方向にスライドするスライドベースと、前記車両の高さ方向に直交する平面内を回転する回転動力を用いて前記スライドベースにおいて前記車両の前後方向の両端における前記幅方向の移動の向き及び量を互いに一致させるための移動一致機構と、を備える。
【0015】
この構成によれば、移動一致機構が高さ方向に直交する平面内を回転する回転動力を用いることで、回転動力を用いるために高さ方向に空間は必要としない。したがって、高さ方向に小型化することができる。
【0016】
(8)上記(1)から(6)の何れか一項に記載のプラグドア装置では、前記ドアの前記幅方向及び前記前後方向への移動をガイドするスイングアーム機構を更に備え、前記スイングアーム機構は、前記車体に設けられるとともに、前記前後方向に離間して配置され、且つ、前記車両の高さ方向に延びる2本のピラーと、前記ドアの上部を支持するとともに前記ピラーを回転中心として一体に回転する2つの上部アームと、前記ドアの下部を支持するとともに前記ピラーを回転中心として一体に回転する2つの下部アームと、を備え、前記移動一致機構は、前記2本の固定軸部材としての前記2本のピラーと、前記2つの上部アームを含む前記2つの回転部材と、前記2つの回転部材のそれぞれが有する前記伝達軸部材を介して前記2本のピラーのそれぞれに前記前後方向の両端が接続される前記シャフトと、を備えてもよい。
【0017】
(9)上記(7)に記載のプラグドア装置では、前記ドアの前記幅方向及び前記前後方向への移動をガイドするスイングアーム機構を更に備え、前記スイングアーム機構は、前記車体に設けられるとともに、前記前後方向に離間して配置され、且つ、前記車両の高さ方向に延びる2本のピラーと、前記ドアの上部を支持するとともに前記ピラーを回転中心として一体に回転する2つの上部アームと、前記ドアの下部を支持するとともに前記ピラーを回転中心として一体に回転する2つの下部アームと、を備え、前記移動一致機構は、前記平面内を回転する回転動力を作用させる前記2本のピラーと、前記ピラーを回転中心として一体に回転する2つのピラー側傘歯車と、前記2つのピラー側傘歯車のそれぞれに噛み合う2つのリンク側傘歯車と、前記2つのリンク側傘歯車に前記前後方向の両端が接続されるリンク軸部材と、を備えてもよい。
【0018】
(10)上記(7)に記載のプラグドア装置では、前記ドアの前記幅方向及び前記前後方向への移動をガイドするスイングアーム機構を更に備え、前記スイングアーム機構は、前記車体に設けられるとともに、前記前後方向に離間して配置され、且つ、前記車両の高さ方向に延びる2本のピラーと、前記ドアの上部を支持するとともに前記ピラーを回転中心として一体に回転する2つの上部アームと、前記ドアの下部を支持するとともに前記ピラーを回転中心として一体に回転する2つの下部アームと、を備え、前記移動一致機構は、前記平面内を回転する回転動力を作用させる前記2本のピラーと、前記ピラーを回転中心として一体に回転する2つのピラー側歯車と、前記2つのピラー側歯車の一方に噛み合う中間歯車と、前記2つのピラー側歯車の他方と前記中間歯車とに噛み合う歯付ベルトと、を備えてもよい。
【発明の効果】
【0019】
本発明によれば、高さ方向に小型化することができるプラグドア装置を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0020】
図1】第1実施形態のプラグドア装置の斜視図である。
図2】第1実施形態の移動一致機構を含む周辺の斜視図である。
図3】第1実施形態の移動一致機構の前後方向の一方を含む周辺の斜視図である。
図4】第1実施形態の移動一致機構の前後方向の他方を含む周辺の斜視図である。
図5】第1実施形態の移動一致機構の前後方向の一方を含む周辺の上面図である。
図6】第1実施形態の移動一致機構の前後方向の他方を含む周辺の上面図である。
図7】第1実施形態の移動一致機構の動作説明図である。
図8】第1実施形態の移動一致機構による効果の説明図である。
図9】比較例の説明図である。
図10】第2実施形態のプラグドア装置の下面図である。
図11】第2実施形態のスイングアーム機構を含む周辺の正面図である。
図12】第2実施形態のスイングアーム機構の上部を含む周辺の斜視図である。
図13】第2実施形態のスイングアーム機構の下部を含む周辺の斜視図である。
図14】第2実施形態のスイングアーム機構の前後方向の一方の斜視図である。
図15】第2実施形態の移動一致機構の前後方向の一方を含む周辺の下面図である。
図16】第2実施形態の移動一致機構の前後方向の他方を含む周辺の下面図である。
図17】第2実施形態の移動一致機構の動作説明図である。
図18】第3実施形態の移動一致機構を構成するシャフトを含む周辺の下面図である。
図19】第3実施形態のシャフトを含む周辺の正面図である。
図20】第4実施形態の移動一致機構の模式図である。
図21】第5実施形態の移動一致機構の模式図である。
【発明を実施するための形態】
【0021】
以下、本発明の実施形態について図面を参照して説明する。以下の実施形態では、プラグドア装置として鉄道車両(車両)の乗降口を開閉する両引き分けの一対のドアを備えた例を挙げて説明する。なお、以下の説明において、例えば「平行」や「直交」、「中心」、「同軸」等の相対的又は絶対的な配置を示す表現は、厳密にそのような配置を意味するのみならず、公差や同じ機能が得られる程度の角度や距離をもって相対的に変位している状態も含むものとする。なお、以下の説明に用いる図面では、各部材を認識可能な大きさとするため、各部材の縮尺を適宜変更している。
【0022】
<第1実施形態>
図1は、第1実施形態のプラグドア装置の斜視図である。図2は、第1実施形態の移動一致機構を含む周辺の斜視図である。
図1に示すように、プラグドア装置1は、一対のドア2と、固定ベース3と、スライドベース4と、駆動源6と、移動一致機構100と、を備える。なお、図1においては、一対のドア2を二点鎖線で示している。図1及び図2においては、ドア2が全閉位置に位置する状態の移動一致機構100をそれぞれ示している。
【0023】
なお、以下の説明では、必要に応じてX,Y,Zの直交座標系を用いて説明する。X方向は、車両の前後方向と一致している。Y方向は、車両の幅方向と一致している。Z方向は、X方向及びY方向に直交する車両の高さ方向(重力方向)を示している。以下の説明では、X方向、Y方向及びZ方向のうち、図中矢印側をプラス(+)側とし、矢印とは反対側をマイナス(-)側として説明する。+Y側は幅方向外側に相当し、-Y側は幅方向内側に相当する。+Z側は重力方向の上側に相当し、-Z側は重力方向の下側に相当する。
【0024】
プラグドア装置1は、ドア2が全閉位置のとき、車体側壁の外面とドア2の外面とが面一となるようにドア2を支持している。ドア2は、ドアリーフ10と、ドアリーフ10に連結されたドアハンガ11と、を備える。ドア2は、スライドベース4に取り付けられている。ドアハンガ11は、スライドベース4に対して前後方向に移動可能な状態でスライドベース4に支持されている。なお、第1実施形態のプラグドア装置1は、ドア2の幅方向及び前後方向への移動をガイドするスイングアーム機構を有しない。
【0025】
固定ベース3は、車両の車体に固定されている。車体は、車両の骨格をなすフレームである。固定ベース3は、車両の乗降口15の上方に設けられている。固定ベース3は、乗降口15の上端縁を跨ぐように前後方向に延びている。固定ベース3の前後方向の両端には、幅方向に延びるレールベース9がそれぞれ連結されている。
【0026】
スライドベース4は、駆動源6からの駆動力によって固定ベース3に対して幅方向にスライドすることで、ドア2を幅方向に移動させる。スライドベース4は、固定ベース3の下方に設けられている。スライドベース4は、乗降口15の上端縁に沿うように前後方向に延びている。スライドベース4の前後方向の両端は、レールベース9に沿って幅方向に移動可能とされている。
【0027】
駆動源6は、ドア2を移動させるための駆動力を出力する。例えば、駆動源6は、モータである。モータの出力軸は、前後方向に沿う軸線まわりで回転する。例えば、モータの出力軸は、前後方向に沿う軸線まわりの一方と他方とに回転可能(正逆回転可能)とされる。駆動源6は、動くことが可能な電源ケーブル29、いわゆるケーブルベヤ(登録商標)に接続されている。駆動源6は、動力伝達機構30を介してスライドベース4に支持されている。駆動源6は、スライドベース4の幅方向への移動と共に幅方向に移動可能とされている。
【0028】
動力伝達機構30は、駆動源6からの駆動力の向きを変換する動力変換機構31と、前後方向に沿って延びる無端状のベルト32と、を備える。動力変換機構31は、モータの出力軸の前後方向に沿う軸線まわりの回転を、幅方向に沿う軸線まわりの回転へ変換する。動力変換機構31は、幅方向に沿う軸線まわりで回転するギア33を備える。ギア33に対して前後方向に離間した位置には、ギア33の回転軸線と平行な軸線(幅方向に沿う軸線)まわりで回転可能なプーリ34が設けられている。
【0029】
ベルト32は、ギア33とプーリ34とに架け渡されている。ベルト32は、ギア33の回転に連動してギア33及びプーリ34の周りを移動(周回)する。ベルト32には、ドアハンガ11が接続されている。ドアハンガ11は、ベルト32の移動と共に前後方向に移動する。
【0030】
ベルト32には、ベルト32の移動と共に移動する連結部材35が取り付けられている。連結部材35には、ドア2が開閉する際にガイドレール(不図示)に案内されながらドア2の開閉経路(不図示)に沿って転がる回転体(不図示)が支持されている。図1中において、符号7はドア2の全閉位置において回転体を拘束する拘束部材、符号8は拘束部材7が回転体を拘束する位置において拘束部材7を保持するロック機構をそれぞれ示す。
以下、ドアを前後方向に移動させながら幅方向に移動させる動作、いわゆるプラグ動作の一例について説明する。
【0031】
一対のドア2のうち-X側のドア2は、ドアハンガ11を介して、連結部材35と共にベルト32の上側の部分に接続されている。これに対し、+X側のドア2は、ドアハンガ11を介して、ベルト32の下側の部分に接続されている。上述の通りベルト32は前後方向において互いに離間した位置にあるギア33とプーリ34とに架け渡されているため、ベルト32の上側の部分と下側の部分とは前後方向において互いに反対方向に移動する。このため、ベルト32が移動すると、-X側のドア2及び連結部材35と、+X側のドア2とは、前後方向においては互いに反対方向に移動する。
【0032】
一対のドア2は、図1に示す全閉位置(車体側壁の外面とドア2の外面とが面一となる位置)から、駆動源6からの駆動力がベルト32に伝達され、ベルト32に接続されたドアハンガ11及び連結部材35が移動することにより、全開位置まで移動する。ここで、全開位置は、一対のドア2が乗降口15を開放(全開)するとともに、一対のドア2が車両外部に出た位置を意味する。図1の例では、-X側のドア2は、全閉位置から最初は幅方向外側(具体的には幅方向を含む斜め)に移動し、その後、-X方向へ真っ直ぐ移動することにより全開位置に至る。一方、+X側のドア2は、全閉位置から最初は幅方向外側(具体的には幅方向を含む斜め)に移動し、その後、+X方向へ真っ直ぐ移動することにより全開位置に至る。
【0033】
図示はしないが、ガイドレールが有する開閉経路は、前後方向に沿う直線部分と、直線部分に対して傾斜する傾斜部分と、を有する。回転体は、ドアを全開位置から閉じる動作を行うとき、最初は直線部分に沿って真っ直ぐ移動するが、その後、傾斜部分に沿って幅方向内側(具体的には幅方向を含む斜め)に移動する。上述の通り回転体は連結部材35及びベルト32等を介してスライドベース4に支持されているため、回転体が傾斜部分に沿って移動する場合にはスライドベース4は幅方向に移動する。また、ドアリーフ10はドアハンガ11等を介してスライドベース4に支持されているため、スライドベース4が幅方向に移動する場合にはドアリーフ10は幅方向に移動する。
【0034】
なお、ドアの駆動方式は、動力伝達機構30が上述のベルト32を備える、いわゆるベルト式に限定されない。例えば、ドアの駆動方式は、ボルトに相当するスクリュー軸をモータで回転させ、ナットに相当するボールナットに取り付けられたドアを開閉する方式である、いわゆるスクリュー式であってもよい。または、ドアの駆動方式は、ラック・アンド・ピニオン機構のピニオンをモータで回転させ、ラックレールに取り付けられたドアを開閉する方式である、いわゆるラック・アンド・ピニオン方式であってもよい。例えば、ドアの駆動方式は、要求仕様に応じて変更することができる。
【0035】
移動一致機構100は、スライドベース4の前後方向の両端における幅方向の移動の向き及び量を互いに一致させる。なお、「幅方向の移動の向き及び量」とは、幅方向において同じ側の移動量を意味する。
図2に示すように、移動一致機構100は、前後方向に離間して配置され且つ高さ方向に延びる2本の固定軸部材101と、固定軸部材101を回転中心として回転可能な2つの回転部材102と、棒状のシャフト103と、を備える。
【0036】
以下、移動一致機構100の前後方向の一方(-X側)を含む周辺の構成を中心に説明する。移動一致機構100の前後方向の他方(+X側)を含む周辺の構成は、構成要素の配置位置や移動方向(回転方向)を除いて、前記一方(-X側)を含む周辺の構成と共通であるため、詳細説明は省略する。
図3は、第1実施形態の移動一致機構100の前後方向の一方(-X側)を含む周辺の斜視図である。図4は、第1実施形態の移動一致機構100の前後方向の他方(+X側)を含む周辺の斜視図である。図5は、第1実施形態の移動一致機構100の前後方向の一方(-X側)を含む周辺の上面図である。図6は、第1実施形態の移動一致機構100の前後方向の他方(+X側)を含む周辺の上面図である。図3から図6は、ドアが全閉位置に位置する状態の移動一致機構100をそれぞれ示している。なお、各図においては、移動一致機構100の前後方向の一方(-X側)の構成要素の末尾には記号Aを付し、他方(+X側)の構成要素の末尾には記号Bを付しているが、特に区別する必要が無い場合は末尾の記号を省略して説明する。
【0037】
図1に示すように、固定軸部材101は、固定ベース3に設けられている。固定軸部材101は、前後方向に延びる固定部材104を介して固定ベース3に連結されている。固定部材104は、固定軸部材101を間に挟んで前後方向に並ぶ複数(例えば本実施形態では2本)のボルト105によって固定ベース3に取り付けられている。
【0038】
図5に示すように、回転部材102は、高さ方向から見てL字状である。回転部材102は、固定軸部材101と同軸に配置されるアーム基部110と、スライドベース4と接触する接触アーム111と、固定軸部材101と離間して配置される伝達軸部材112を有する伝達アーム113と、を備える。例えば、アーム基部110、接触アーム111及び伝達アーム113は、同一の部材により一体に形成されていてもよい。
【0039】
アーム基部110は、固定軸部材101に沿って高さ方向に延びる筒状である。図3に示すように、アーム基部110は、固定部材104の下方に配置されている。アーム基部110は、固定軸部材101の周囲を囲んでいる。例えば、アーム基部110の内周と固定軸部材101との間には、固定軸部材101を回転可能に支持する軸受が設けられていてもよい。
【0040】
接触アーム111は、アーム基部110の下部から径方向外方(アーム基部110と直交する方向の外方)に向けて延びている。図5に示すように、接触アーム111は、高さ方向から見てアーム基部110から径方向外方に向かうに従って徐々に先細りとなっている。
【0041】
スライドベース4には、接触アーム111の前後方向への移動を案内するガイド部材120が設けられている。ガイド部材120は、高さ方向から見て幅方向に延びる矩形状である。ガイド部材120の+Y側端部は、前後方向に並ぶ複数(例えば本実施形態では2本)のボルト121によってスライドベース4の上端部に取り付けられている。
【0042】
ガイド部材120の-Y側部には、高さ方向に開口するとともに前後方向に沿って延びる長孔122が形成されている。長孔122は、高さ方向から見て長円形状である。ガイド部材120は、前後方向に沿って延びるレール123を有する。レール123は、長孔122の幅方向の一対の内壁面を構成している。一対の内壁面は、高さ方向から見て前後方向に互いに平行に延びている。内壁面の前後方向の長さは、回転体115の外径よりも大きい。
【0043】
なお、ガイド部材120には長孔122が形成されることに限らない。例えば、ガイド部材120には前後方向に沿って延びる溝が形成されていてもよい。また、長孔122は高さ方向から見て長円形状であることに限らない。例えば、長孔122は高さ方向から見て矩形状であってもよい。例えば、ガイド部材120に形成される孔や溝の態様は、要求仕様に応じて変更することができる。
【0044】
接触アーム111は、レール123に沿って転がる回転体115を備える。図3に示すように、回転体115は、接触アーム111の下方に配置されている。回転体115は、接触アーム111の先端部(アーム基部110から最も離間した部分)に対して高さ方向に延びる軸線回りに回転可能に連結されている。回転体115の形状は、高さ方向から見て円形状である。
【0045】
伝達アーム113は、アーム基部110の下部において接触アーム111が延びる部分とは異なる部分から径方向外方に向けて延びている。図5に示すように、伝達アーム113は、高さ方向から見てアーム基部110から径方向外方に向かうに従って徐々に先細りとなっている。
【0046】
接触アーム111及び伝達アーム113は、高さ方向から見て互いに直交する方向に延びている。例えば、高さ方向から見て接触アーム111及び伝達アーム113がなす角度Aaは、90度程度となっている。ここで、角度Aaは、高さ方向から見て、固定軸部材101の軸心と回転体115の回転中心(接触アーム111の先端部中心)とを通る仮想直線と、固定軸部材101の軸心と伝達軸部材112の軸心とを通る仮想直線とがなす角度を意味する。
【0047】
伝達軸部材112は、固定軸部材101と平行な方向(高さ方向)に延びている。伝達軸部材112の下端部は、伝達アーム113の先端部(アーム基部110から最も離間した部分)に連結されている(図4参照)。
【0048】
図2に示すように、シャフト103は、2つの回転部材102のそれぞれが有する伝達軸部材112(図5図6参照)に前後方向の両端が接続されている。シャフト103は、2つの回転部材102のそれぞれが有する伝達軸部材112をわたすように直線状に延びている。シャフト103の両端は、伝達軸部材112を回転中心として回転可能とされている。例えば、シャフト103には、2つの回転部材102のそれぞれが有する伝達軸部材112の間隔を調整可能な調整部材116(図5参照)が設けられていてもよい。
【0049】
シャフト103は、2つの回転部材102の一方の回転力を他方へ十分に伝達し得る剛性を持つ。例えば、シャフト103としては、金属製の軸部材が挙げられる。例えば、シャフト103は、理想的には剛体と見なすことができる部材であることが好ましい。なお、シャフト103は、どのような力を作用させても変形しない部材ではなく、一定以上の力が加わった場合に多少変形する部材であってもよい。
【0050】
2つの回転部材102のそれぞれが有する固定軸部材101は、高さ方向から見て互いに同じ幅方向位置に配置されている(図5図6参照)。
2つの回転部材102のそれぞれが有する回転体115は、ドアが全閉位置に位置する場合、高さ方向から見て固定軸部材101よりも-Y側に配置されている(図5図6参照)。一方の回転部材102Aの回転体115は、ドアが全閉位置に位置する場合、高さ方向から見て固定軸部材101よりも+X側に配置されている(図5参照)。これに対し、他方の回転部材102Bの回転体115は、ドアが全閉位置に位置する場合、高さ方向から見て固定軸部材101よりも-X側に配置されている(図6参照)。
一方の回転部材102Aの伝達軸部材112は、ドアが全閉位置に位置する場合、高さ方向から見て固定軸部材101よりも+Y側に配置されている(図5参照)。これに対し、他方の回転部材102Bの伝達軸部材112は、ドアが全閉位置に位置する場合、高さ方向から見て固定軸部材101よりも-Y側に配置されている(図6参照)。
【0051】
図7は、第1実施形態の移動一致機構100の動作説明図である。図7は、実施形態の移動一致機構100の上面視を示している。図7においては、ドアが全閉位置に位置する状態からドアの開動作に合わせてスライドベース4が幅方向外側(プラグアウト方向)に移動する例(図7の矢印Wd方向に移動する例)を示している。例えば、図7は、ドアが全閉位置に位置する状態から車両外部へ出るように幅方向外側に移動する状態に相当する。
【0052】
図7に示すように、スライドベース4が幅方向外側に移動すると、2つの回転部材102のそれぞれが有する回転体115は、ガイド部材120のレール123の-Y側の内壁面によって+Y側へ押される。すると、一方の回転部材102Aは上面視で固定軸部材101Aを回転中心として反時計回り(矢印Ra方向)に回転し、他方の回転部材102Bは上面視で固定軸部材101Bを回転中心として時計回り(矢印Rb方向)に回転する。すなわち、一方の回転部材102Aと他方の回転部材102Bとは、それぞれの固定軸部材101A,101Bを回転中心として互いに反対方向に回転する。
【0053】
具体的に、スライドベース4が幅方向外側に移動したとき、最初に、一方の回転部材102Aが有する回転体115が、ガイド部材120Aのレール123の-Y側の内壁面によって+Y側へ押される場合を挙げて説明する。この場合、一方の回転部材102Aは上面視で固定軸部材101Aを回転中心として反時計回り(矢印Ra方向)に回転する。すると、一方の回転部材102Aが有する伝達軸部材112はシャフト103を-X側へ引く。これにより、他方の回転部材102Bが有する伝達軸部材112がシャフト103によって-X側へ引かれる。すると、他方の回転部材102Bは上面視で固定軸部材101Bを回転中心として時計回り(矢印Rb方向)に回転する。すなわち、一方の回転部材102Aが有する回転体115が他方の回転部材102Bが有する回転体115よりも先に+Y側へ押された場合、一方の回転部材102Aと他方の回転部材102Bとは、それぞれの固定軸部材101A,101Bを回転中心として互いに反対方向に回転する。
【0054】
別の面から見て、スライドベース4が幅方向外側に移動したとき、最初に、他方の回転部材102Bが有する回転体115が、ガイド部材120Bのレール123の-Y側の内壁面によって+Y側へ押される場合を挙げて説明する。この場合、他方の回転部材102Bは上面視で固定軸部材101Bを回転中心として時計回り(矢印Rb方向)に回転する。すると、他方の回転部材102Bが有する伝達軸部材112はシャフト103を-X側へ押す。これにより、一方の回転部材102Aが有する伝達軸部材112がシャフト103によって-X側へ押される。すると、一方の回転部材102Aは上面視で固定軸部材101Aを回転中心として反時計回り(矢印Ra方向)に回転する。すなわち、他方の回転部材102Bが有する回転体115が一方の回転部材102Aが有する回転体115よりも先に+Y側へ押された場合、一方の回転部材102Aと他方の回転部材102Bとは、それぞれの固定軸部材101A,101Bを回転中心として互いに反対方向に回転する。
【0055】
次に、図7の例とは反対のプラグ動作の例として、ドアが全開位置に位置する状態からドアの閉動作に合わせてスライドベース4が幅方向内側(プラグイン方向)に移動する例(図7の矢印Wd方向とは反対方向に移動する例)を説明する。
【0056】
スライドベース4が幅方向内側に移動すると、2つの回転部材102のそれぞれが有する回転体115は、ガイド部材120のレール123の+Y側の内壁面によって-Y側へ押される。すると、一方の回転部材102Aは上面視で固定軸部材101Aを回転中心として時計回り(図7の矢印Ra方向とは反対方向)に回転し、他方の回転部材102Bは上面視で固定軸部材101Bを回転中心として反時計回り(図7の矢印Rb方向とは反対方向)に回転する。すなわち、一方の回転部材102Aと他方の回転部材102Bとは、それぞれの固定軸部材101A,101Bを回転中心として互いに反対方向に回転する。
【0057】
具体的に、スライドベース4が幅方向内側に移動したとき、最初に、一方の回転部材102Aが有する回転体115が、ガイド部材120Aのレール123の+Y側の内壁面によって-Y側へ押される場合を挙げて説明する。この場合、一方の回転部材102Aは上面視で固定軸部材101Aを回転中心として時計回り(図7の矢印Ra方向とは反対方向)に回転する。すると、一方の回転部材102Aが有する伝達軸部材112はシャフト103を+X側へ押す。これにより、他方の回転部材102Bが有する伝達軸部材112がシャフト103によって+X側へ押される。すると、他方の回転部材102Bは上面視で固定軸部材101Bを回転中心として反時計回り(図7の矢印Rb方向とは反対方向)に回転する。すなわち、一方の回転部材102Aが有する回転体115が他方の回転部材102Bが有するよりも先に-Y側へ押された場合、一方の回転部材102Aと他方の回転部材102Bとは、それぞれの固定軸部材101A,101Bを回転中心として互いに反対方向に回転する。
【0058】
別の面から見て、スライドベース4が幅方向内側に移動したとき、最初に、他方の回転部材102Bが有する回転体115が、ガイド部材120Bのレール123の+Y側の内壁面によって-Y側へ押される場合を挙げて説明する。この場合、他方の回転部材102Bは上面視で固定軸部材101Bを回転中心として反時計回り(図7の矢印Rb方向とは反対方向)に回転する。すると、他方の回転部材102Bが有する伝達軸部材112はシャフト103を+X側へ引く。これにより、一方の回転部材102Aが有する伝達軸部材112がシャフト103によって+X側へ引かれる。すると、一方の回転部材102Aは上面視で固定軸部材101Aを回転中心として時計回り(図7の矢印Ra方向とは反対方向)に回転する。すなわち、他方の回転部材102Bが有する回転体115が一方の回転部材102Aが有する回転体115よりも先に-Y側へ押された場合、一方の回転部材102Aと他方の回転部材102Bとは、それぞれの固定軸部材101A,101Bを回転中心として互いに反対方向に回転する。
【0059】
このように実施形態では、プラグ動作(プラグアウト及びプラグインの両動作)においてスライドベース4が幅方向に移動するときは、一方の回転部材102Aと他方の回転部材102Bとは、それぞれの固定軸部材101A,101Bを回転中心として互いに反対方向に回転する。
【0060】
図8は、第1実施形態の移動一致機構100による効果の説明図である。図9は、比較例の説明図である。図8及び図9においては、ドアが全閉位置に位置する状態からドアの開動作に合わせてスライドベースが幅方向外側(プラグアウト方向)に移動する例を示している。なお、図9においては、実施形態の移動一致機構100を併せて示している。
【0061】
図9に示すように、仮に、スライドベース4の-X側端が+X側端に比べてプラグアウト方向への移動の遅れDy(ストローク遅れ)が発生した場合、スライドベース4は図9の角度Adだけ傾くことになる。このようにプラグ動作においてスライドベース4が幅方向に移動するときにスライドベース4が前後方向に対して傾くと、スライドベース4とレールベース9(図1参照)とが固渋する可能性がある。ここで、固渋とは、スライド部分などの可動部分が固着し、その滑らかな動きが妨げられた状態となることを意味する。
【0062】
これに対し実施形態では、上述のようにプラグ動作においてスライドベース4が幅方向に移動するときは、一方の回転部材102Aと他方の回転部材102Bとは、それぞれの固定軸部材101A,101Bを回転中心として互いに反対方向に回転することにより、図8に示すように、スライドベース4の前後方向の両端における幅方向の移動の向き及び量が互いに一致する。実施形態によれば、図9に示す動作遅れMdが補正されることにより、スライドベース4の傾き角度Adをゼロにすることができる。このように実施形態では、プラグ動作においてスライドベース4が幅方向に移動するときにスライドベース4が前後方向に対して傾くことが抑制され、固渋することが無い。
【0063】
以上説明したように、本実施形態に係るプラグドア装置1は、車両の車体に固定される固定ベース3と、車両のドア2が取り付けられており、駆動源6からの駆動力によって固定ベース3に対して車両の幅方向にスライドするスライドベース4と、スライドベース4において車両の前後方向の両端における幅方向の移動の向き及び量を互いに一致させるための移動一致機構100と、を備える。移動一致機構100は、固定ベース3に設けられるとともに、前後方向に離間して配置され、且つ、車両の高さ方向に延びる2本の固定軸部材101と、スライドベース4と接触する接触アーム111と、固定軸部材101と離間して配置される伝達軸部材112を有する伝達アーム113と、をそれぞれ有し、接触アーム111及び伝達アーム113が固定軸部材101を回転中心として一体に回転する2つの回転部材102と、2つの回転部材102のそれぞれが有する伝達軸部材112に前後方向の両端が接続されるシャフト103と、を備える。スライドベースには、接触アーム111の前後方向への移動を案内するガイド部材120が設けられている。ガイド部材120は、前後方向に沿って延びるレール123を有する。接触アーム111は、レール123に沿って転がる回転体115を備える。接触アーム111及び伝達アーム113は、高さ方向から見て互いに直交する方向に延びている。
【0064】
この構成によれば、スライドベース4の幅方向への移動により回転部材102が高さ方向に延びる固定軸部材101を回転中心として回転することで、回転部材102の回転を許容するために高さ方向に空間は必要としない。したがって、高さ方向に小型化することができる。
加えて、2本の固定軸部材101のそれぞれが固定ベース3に固定されることで、固定ベース3を介して2本の固定軸部材101を車体の定位置に固定することができる。
加えて、スライドベース4には接触アーム111の前後方向への移動を案内するガイド部材120が設けられていることで、ガイド部材120により接触アーム111の前後方向への移動が案内されることにより、スライドベース4の幅方向の移動を回転部材102の回転に変換することができる。
加えて、ガイド部材120は前後方向に沿って延びるレール123を有し、接触アーム111はレール123に沿って転がる回転体115を備えることで、回転体115により接触アーム111とレール123との間の摩擦が低減されるため、スライドベース4の幅方向の移動を回転部材102の回転にスムーズに変換することができる。
加えて、シャフト103は2つの回転部材102のそれぞれが有する伝達軸部材112に前後方向の両端が接続されることで、シャフト103の途中が接続されている場合と比較して、2つの回転部材102のそれぞれが有する伝達軸部材112の間にシャフト103を好適に配置するとともに、シャフト103の移動範囲を広く取ることができる。
加えて、接触アーム111及び伝達アーム113は高さ方向から見て互いに直交する方向に延びていることで、高さ方向から見て固定軸部材101の軸心と接触アーム111の接触部中心とを通る直線を仮想直線としたとき、高さ方向から見て仮想直線と伝達軸部材112の軸心との距離が最大になるため、一致させる移動量を最大にすることができる。
加えて、スライドベース4の幅方向への移動により回転部材102が高さ方向に延びる固定軸部材101を回転中心として回転するとき、シャフト103に対しては引張又は圧縮が作用するため、シャフト103に対しねじりがかかることを抑制することができる。
【0065】
なお、本発明の技術範囲は上述した実施形態に限定されるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲において種々の変更を加えることが可能である。
【0066】
上述した実施形態では、2本の固定軸部材101のそれぞれが固定ベース3に固定され且つ2つの回転部材102のそれぞれがスライドベース4と接触する接触アーム111を有する例を挙げて説明したが、これに限らない。例えば、2本の固定軸部材101のそれぞれがスライドベース4に固定され且つ2つの回転部材102のそれぞれが固定ベース3と接触する接触アーム111を有していてもよい。例えば、2本の固定軸部材101及び2つの回転部材102の設置態様は、要求仕様に応じて変更することができる。
【0067】
上述した実施形態では、スライドベース4には接触アーム111の前後方向への移動を案内するガイド部材120が設けられている例(図3参照)を挙げて説明したが、これに限らない。例えば、スライドベース4にはガイド部材120が設けられていなくてもよい。例えば、接触アーム111は、スライドベース4と直に接触してもよい。
【0068】
上述した実施形態では、ガイド部材120は前後方向に沿って延びるレール123を有し、接触アーム111はレール123に沿って転がる回転体115を備える例(図5参照)を挙げて説明したが、これに限らない。例えば、接触アーム111は、回転体115を備えていなくてもよい。例えば、接触アーム111は、接触アーム111の先端部に対して回転不能に固定されたピンを備えていてもよい。例えば、接触アーム111の態様は、要求仕様に応じて変更することができる。
【0069】
上述した実施形態では、接触アーム111及び伝達アーム113が高さ方向から見て互いに直交する方向に延びている例(図5参照)を挙げて説明したが、これに限らない。例えば、接触アーム111及び伝達アーム113は、高さ方向から見て互いに斜めに交差する方向に延びていてもよい。例えば、高さ方向から見て接触アーム111及び伝達アーム113がなす角度Aaは、10度以上且つ80度以下となっていてもよいし、100度以上且つ170度以下となっていてもよい。例えば、高さ方向から見て接触アーム111及び伝達アーム113がなす角度Aaは、180度を超えない範囲内となっていてもよい。例えば、高さ方向から見て接触アーム111及び伝達アーム113がなす角度Aaは、移動一致機構100により上記の効果が得られる範囲で、要求仕様に応じて変更することができる。
【0070】
上述した実施形態では、移動一致機構100が、固定ベース3に設けられるとともに、前後方向に離間して配置され、且つ、車両の高さ方向に延びる2本の固定軸部材101と、スライドベース4と接触する接触アーム111と、固定軸部材101と離間して配置される伝達軸部材112を有する伝達アーム113と、をそれぞれ有し、接触アーム111及び伝達アーム113が固定軸部材101を回転中心として一体に回転する2つの回転部材102と、2つの回転部材102のそれぞれが有する伝達軸部材112をわたすように延びるとともに、2つの回転部材102のそれぞれが有する伝達軸部材112に前後方向の両端が接続されるシャフト103と、を備える例を挙げて説明したが、これに限らない。例えば、移動一致機構は、前後方向に離間して配置された2つのスイングアームをベルトやリンク、ギア等で連結していてもよい。
例えば、プラグドア装置は、車両の車体に固定される固定ベースと、車両のドアが取り付けられており、駆動源からの駆動力によって固定ベースに対して車両の幅方向にスライドするスライドベースと、車両の高さ方向に直交する平面内を回転する回転動力を用いてスライドベースにおいて車両の前後方向の両端における幅方向の移動の向き及び量を互いに一致させるための移動一致機構と、を備えていてもよい。
この構成によれば、移動一致機構が高さ方向に直交する平面内を回転する回転動力を用いることで、回転動力を用いるために高さ方向に空間は必要としない。したがって、高さ方向に小型化することができる。
【0071】
<第2実施形態>
上述した第1実施形態では、プラグドア装置がスイングアーム機構を有しない例を挙げて説明したが、これに限らない。第2実施形態では、プラグドア装置がスイングアーム機構を有しており、移動一致機構の構成要素がスイングアーム機構に設けられている点で第1実施形態と異なる。第2実施形態において、上記第1実施形態と同一の構成には同一の符号を付し、その詳細な説明は省略する。
【0072】
図10は、第2実施形態のプラグドア装置の下面図である。
図10に示すように、プラグドア装置2001は、一対のドア2と、固定ベース3と、スライドベース4と、動力伝達機構230と、スイングアーム機構250と、移動一致機構200と、を備える。図10においては、ドア2が全閉位置に位置する状態の移動一致機構200を示している。
【0073】
動力伝達機構230は、不図示の駆動源からの駆動力の向きを変換する動力変換機構231と、前後方向に沿って延びる無端状のベルト232と、を備える。動力変換機構231は、モータの出力軸まわりの回転を、高さ方向に沿う軸線まわりの回転へ変換する。動力変換機構231は、高さ方向に沿う軸線まわりで回転するギア233を備える。ギア233に対して前後方向に離間した位置には、ギア233の回転軸線と平行な軸線(高さ方向に沿う軸線)まわりで回転可能なプーリ234が設けられている。
【0074】
ベルト232は、ギア233とプーリ234とに架け渡されている。ベルト232は、ギア233の回転に連動してギア233及びプーリ234の周りを移動(周回)する。ベルト232には、ドアハンガ11が接続されている。ドアハンガ11は、ベルト232の移動と共に前後方向に移動する。
以下、ドアを前後方向に移動させながら幅方向に移動させる動作、いわゆるプラグ動作の一例について説明する。
【0075】
一対のドア2のうち-X側のドア2は、ドアハンガ11を介して、ベルト232のーY側の部分に接続されている。これに対し、+X側のドア2は、ドアハンガ11を介して、ベルト232の+Y側の部分に接続されている。上述の通りベルト232は前後方向において互いに離間した位置にあるギア233とプーリ234とに架け渡されているため、ベルト232の-Y側の部分と+Y側の部分とは前後方向において互いに反対方向に移動する。このため、ベルト232が移動すると、-X側のドア2と、+X側のドア2とは、前後方向においては互いに反対方向に移動する。
【0076】
一対のドア2は、図10に示す全閉位置(車体側壁の外面とドア2の外面とが面一となる位置)から、不図示の駆動源からの駆動力がベルト232に伝達され、ベルト232に接続されたドアハンガ11が移動することにより、全開位置まで移動する。図10の例では、-X側のドア2は、全閉位置から最初は幅方向外側(具体的には幅方向を含む斜め)に移動し、その後、-X方向へ真っ直ぐ移動することにより全開位置に至る。一方、+X側のドア2は、全閉位置から最初は幅方向外側(具体的には幅方向を含む斜め)に移動し、その後、+X方向へ真っ直ぐ移動することにより全開位置に至る。
【0077】
図11は、第2実施形態のスイングアーム機構250を含む周辺の正面図である。図12は、第2実施形態のスイングアーム機構250の上部を含む周辺の斜視図である。図13は、第2実施形態のスイングアーム機構250の下部を含む周辺の斜視図である。図14は、第2実施形態のスイングアーム機構250の前後方向の一方の斜視図である。なお、各図においては、スイングアーム機構250の前後方向の一方(-X側)の構成要素の末尾には記号Aを付し、他方(+X側)の構成要素の末尾には記号Bを付しているが、特に区別する必要が無い場合は末尾の記号を省略して説明する。
【0078】
図11に示すように、スイングアーム機構250は、車体に設けられるとともに前後方向に離間して配置され且つ高さ方向に延びる2本のピラー251と、ドア2の上部を支持するとともにピラー251を回転中心として一体に回転する2つの上部アーム252と、ドア2の下部を支持するとともにピラー251を回転中心として一体に回転する2つの下部アーム253と、を備える。
【0079】
ピラー251は、高さ方向に沿って直線状に延びる軸部材である。ピラー251は、前後方向において乗降口よりも外側に配置されている。図12に示すように、ピラー251の上端部は、上部ブラケット258を介して車体上部に取り付けられている。図13に示すようにピラー251の下端部は、下部ブラケット259を介して車体下部に取り付けられている。ピラー251は、各ブラケット258,259に対して、高さ方向に延びる軸線回りに回転可能に支持されている。
【0080】
図14に示すように、上部アーム252は、ピラー251の上部に対して回転不能な状態で取り付けられている。上部アーム252は、ピラー251と同軸に配置されるアーム基部210と、ドア2の上端側に配置される接触アーム211と、を備える。例えば、アーム基部210及び接触アーム211は、同一の部材により一体に形成されていてもよい。
【0081】
アーム基部210は、ピラー251と同軸の環状である。アーム基部210は、上部ブラケット258においてピラー251に接続された部分の下方近傍に配置されている。アーム基部210は、ピラー251の周囲を囲んでいる。例えば、アーム基部210の内周とピラー251との間には、ピラー251を回転可能に支持する軸受が設けられていてもよい。
【0082】
接触アーム211は、アーム基部210から径方向外方(アーム基部210の中心軸線と直交する方向の外方)に向けて延びている。接触アーム211は、アーム基部210から径方向外方に向かって一様の幅で延びる第1延在部211aと、第1延在部211aの先端から上方に延びる第2延在部211bと、第2延在部211bの先端から径方向外方(具体的には、高さ方向から見て第1延在部211aの延長線上に沿う径方向外方)に向かうに従って徐々に先細りとなる第3延在部211cと、を備える。
【0083】
下部アーム253は、ピラー251の下部に対して回転不能な状態で取り付けられている。下部アーム253は、下部ブラケット259においてピラー251が接続された部分の上方近傍で接続されている。
【0084】
下部アーム253は、ピラー251から径方向外方(ピラー251の中心軸線と直交する方向の外方)に向けて延びている。下部アーム253は、ピラー251から径方向外方に向かって延びる第1アーム部253aと、第1アーム部253aの先端から下方に延びる第2アーム部253bと、第2アーム部253bの先端から径方向外方(具体的には、高さ方向から見て第1アーム部253aの延長線上に沿う径方向外方)に向かって延びる第3アーム部253cと、第3アーム部253cの先端から径方向外方(具体的には、高さ方向から見て第3アーム部253cの延長線上に沿う径方向外方)に対して斜めに延びる第4アーム部253dと、を備える。
【0085】
図13に示すように、ドア2の下端部には、下部アーム253の前後方向への移動を案内する下部ガイドレール260が設けられている。下部ガイドレール260は、前後方向に延びている。下部ガイドレール260は、前後方向から見て下方に開口するU字状に形成されている。下部ガイドレール260は、ドア2に固定された外壁部261と、外壁部261よりも幅方向内側に配置された内壁部262と、外壁部261の上端と内壁部262の上端とを接続する上壁部263と、を備える。
【0086】
下部アーム253は、下部ガイドレール260に沿って転がるローラ255を備える。ローラ255は、下部アーム253における第4アーム部253dの先端に取り付けられている。ローラ255は、第4アーム部253dの先端に対して、高さ方向に延びる軸線回りに回転可能な状態で取り付けられている。ローラ255は、第4アーム部253dの先端よりも上側に配置されている。ローラ255は、幅方向において外壁部261と内壁部262との間に配置されている。
【0087】
ローラ255は、ドア2のプラグ動作に伴って下部ガイドレール260のガイド面(+Y側の内壁面又は-Y側の内壁面)に沿って移動する。
例えば、ドア2が全閉位置から幅方向外側(具体的には幅方向を含む斜め)に移動したとき、ローラ255は、内壁部262のガイド面(+Y側の内壁面)によって+Y側へ押される。すると、一方の下部アーム253Aは下面視でピラー251Aを回転中心として時計回り(図13の矢印E1方向)に回転し、他方の下部アーム253Bは下面視でピラー251Bを回転中心として反時計回り(図13の矢印E2方向)に回転する。
その後、ドア2が前後方向の外側へ真っ直ぐ移動したとき、2つの下部アーム253のそれぞれが有するローラ255は、下部ガイドレール260のガイド面に沿って転がる。これにより、ドア2は、ローラ255及び下部アーム253に対して前後方向の外側へ移動し、全開位置に至る。
【0088】
例えば、ドア2が全開位置から前後方向の内側へ真っ直ぐ移動したとき、2つの下部アーム253のそれぞれが有するローラ255は、下部ガイドレール260のガイド面に沿って転がる。その後、ドア2が幅方向内側(具体的には幅方向を含む斜め)に移動したとき、ローラ255は、外壁部261のガイド面(-Y側の内壁面)によって-Y側へ押される。すると、一方の下部アーム253Aは、下面視でピラー251Aを回転中心として反時計回り(図13の矢印E1方向とは反対方向)に回転し、他方の下部アーム253Bは、下面視でピラー251Bを回転中心として時計回り(図13の矢印E2方向とは反対方向)に回転する。これにより、ドア2は、下部アーム253の回転に伴って-Y側へ移動し、全閉位置に至る。
【0089】
図10に示すように、移動一致機構200は、2本の固定軸部材としての2本のピラー251と、2つの上部アーム252を含む2つの回転部材202と、2つの回転部材202のそれぞれが有する伝達軸部材212を介して2本のピラー251のそれぞれに前後方向の両端が接続されるシャフト203と、を備える。
【0090】
以下、移動一致機構200の前後方向の一方(-X側)を含む周辺の構成を中心に説明する。移動一致機構200の前後方向の他方(+X側)を含む周辺の構成は、構成要素の配置位置や移動方向(回転方向)を除いて、前記一方(-X側)を含む周辺の構成と共通であるため、詳細説明は省略する。
図15は、第2実施形態の移動一致機構200の前後方向の一方(-X側)を含む周辺の下面図である。図16は、第2実施形態の移動一致機構200の前後方向の他方(+X側)を含む周辺の下面図である。図15及び図16は、ドアが全閉位置に位置する状態の移動一致機構200をそれぞれ示している。なお、各図においては、移動一致機構200の前後方向の一方(-X側)の構成要素の末尾には記号Aを付し、他方(+X側)の構成要素の末尾には記号Bを付しているが、特に区別する必要が無い場合は末尾の記号を省略して説明する。
【0091】
図15に示すように、回転部材202は、高さ方向から見てL字状である。回転部材202は、上述した上部アーム252(具体的には、ピラー251と同軸に配置されるアーム基部210と、ドア2の上端側に配置される接触アーム211と、を備えた構成)と、ピラー251の回転中心と離間して配置される伝動軸部材212を有する伝動アーム213と、を備える。例えば、上部アーム252及び伝動アーム213は、同一の部材により一体に形成されていてもよい。
【0092】
スライドベース4には、接触アーム211の前後方向への移動を案内するガイド部材220が設けられている。ガイド部材220は、高さ方向から見て前後方向に延びる矩形状である。ガイド部材220の+Y側端部は、前後方向に並ぶ複数(例えば本実施形態では3本)のボルト121によってスライドベース4の下端部に取り付けられている。
【0093】
ガイド部材220は、高さ方向に開口するとともに前後方向に沿って延びる長孔222を有する。ガイド部材220は、前後方向に沿って延びるレール223を有する。レール223は、長孔222の幅方向の一対の内壁面を構成している。一対の内壁面は、高さ方向から見て前後方向に互いに平行に延びている。内壁面の前後方向の長さは、回転体215の外径よりも大きい。
【0094】
接触アーム211は、レール223に沿って転がる回転体215を備える。回転体215は、接触アーム211の上方に配置されている。回転体215は、接触アーム211における第3延在部211cの先端部(アーム基部210から最も離間した部分)に対して高さ方向に延びる軸線回りに回転可能に連結されている。回転体215の形状は、高さ方向から見て円形状である。
【0095】
伝動アーム213は、アーム基部210において接触アーム211が延びる部分とは異なる部分から径方向外方に向けて延びている。伝動アーム213は、高さ方向から見て、アーム基部210から径方向外方に向かうに従って徐々に先細りとなった後に、膨出して円形状をなしている。伝動アーム213において円形状の膨出部は、高さ方向から見て、シャフト203の両端に設けられた環状部と重なる位置に配置されている。
【0096】
接触アーム211及び伝動アーム213は、高さ方向から見て互いに直交する方向に延びている。例えば、高さ方向から見て接触アーム211及び伝動アーム213がなす角度Amは、90度程度となっている。ここで、角度Amは、高さ方向から見て、ピラー251の回転中心と回転体215の回転中心(接触アーム211の先端部中心)とを通る仮想直線と、ピラー251の回転中心と伝動軸部材212の軸心とを通る仮想直線とがなす角度を意味する。
【0097】
伝動軸部材212は、ピラー251と平行な方向(高さ方向)に延びている。伝動軸部材212の下端部は、伝動アーム213の先端部(アーム基部210から最も離間した部分)に連結されている。伝動軸部材212は、高さ方向から見て、伝動アーム213において円形状の膨出部の中心と重なる位置に設けられている。
【0098】
図10に示すように、シャフト203は、2つの回転部材202のそれぞれが有する伝動軸部材212(図15図16参照)に前後方向の両端が接続されている。シャフト203は、2つの回転部材202のそれぞれが有する伝動軸部材212をわたすように直線状に延びている。シャフト203の両端は、伝動軸部材212を回転中心として回転可能とされている。例えば、シャフト203には、2つの回転部材202のそれぞれが有する伝動軸部材212の間隔を調整可能な調整部材が設けられていてもよい。
【0099】
シャフト203は、2つの回転部材202の一方の回転力を他方へ十分に伝達し得る剛性を持つ。例えば、シャフト203としては、金属製の軸部材が挙げられる。例えば、シャフト203は、理想的には剛体と見なすことができる部材であることが好ましい。なお、シャフト203は、どのような力を作用させても変形しない部材ではなく、一定以上の力が加わった場合に多少変形する部材であってもよい。
【0100】
2つのピラー251は、高さ方向から見て互いに同じ幅方向位置に配置されている。
2つの回転部材202のそれぞれが有する回転体215は、高さ方向から見てピラー251よりも前後方向において内側に配置されている(図15図16参照)。一方の回転部材202Aの回転体215は、ドアが全閉位置に位置する場合、高さ方向から見て一方のピラー251Aよりも+X側に配置されている(図15参照)。これに対し、他方の回転部材202Bの回転体215は、ドアが全閉位置に位置する場合、高さ方向から見て他方のピラー251Bよりも-X側に配置されている(図16参照)。
2つの回転部材202のそれぞれが有する伝動軸部材212は、高さ方向から見て互いに異なる幅方向位置に配置されている(図15図16参照)。一方の回転部材202Aの伝動軸部材212は、ドアが全閉位置に位置する場合、高さ方向から見てピラー251よりも-Y側に配置されている(図15参照)。これに対し、他方の回転部材202Bの伝動軸部材212は、ドアが全閉位置に位置する場合、高さ方向から見てピラー251よりも+Y側に配置されている(図16参照)。
【0101】
図17は、第2実施形態の移動一致機構200の動作説明図である。図17は、第2実施形態の移動一致機構200を含む周辺の下面視を示している。図17においては、ドアが全閉位置に位置する状態からドアの開動作に合わせてスライドベース4が幅方向外側(プラグアウト方向)に移動する側(図17の矢印Wd方向に移動する側)を示している。例えば、図17は、ドアが全閉位置に位置する状態から車両外部へ出るように幅方向外側に移動する状態に相当する。なお、図17においては、ドア及び動力伝達機構等の図示を省略している。
【0102】
図17に示すように、ドアが開動作すると、2つの回転部材202のそれぞれが有する回転体215は、ガイド部材220の-Y側のレール223によって+Y側へ押される。すると、一方の回転部材202Aは下面視でピラー251Aを回転中心として時計回り(矢印R1方向)に回転し、他方の回転部材202Bは下面視でピラー251Bを回転中心として反時計回り(矢印R2方向)に回転する。すなわち、一方の回転部材202Aと他方の回転部材202Bとは、それぞれのピラー251A,251Bを回転中心として互いに反対方向に回転する。
【0103】
具体的に、ドアが開動作したとき、最初に、一方の回転部材202Aが有する回転体215が、ガイド部材220Aの-Y側のレール223によって+Y側へ押される場合を挙げて説明する。この場合、一方の回転部材202Aは下面視でピラー251Aを回転中心として時計回り(矢印R1方向)に回転する。すると、一方の回転部材202Aが有する伝動軸部材212はシャフト203を+X側へ押す。これにより、他方の回転部材202Bが有する伝動軸部材212がシャフト203によって+X側へ押される。すると、他方の回転部材202Bは下面視でピラー251Bを回転中心として反時計回り(矢印R2方向)に回転する。すなわち、一方の回転部材202Aが有する回転体215が他方の回転部材202Bが有するガイドローラよりも先に+Y側へ押された場合、一方の回転部材202Aと他方の回転部材202Bとは、それぞれのピラー251A,251Bを回転中心として互いに反対方向に回転する。
【0104】
別の面から見て、ドアが開動作したとき、最初に、他方の回転部材202Bが有する回転体215が、ガイド部材220Bの-Y側のレール223によって+Y側へ押される場合を挙げて説明する。この場合、他方の回転部材202Bは下面視でピラー251Bを回転中心として反時計回り(矢印R2方向)に回転する。すると、他方の回転部材202Bが有する伝動軸部材212はシャフト203を+X側へ引く。これにより、一方の回転部材202Aが有する伝動軸部材212がシャフト203によって+X側へ引かれる。すると、一方の回転部材202Aは下面視でピラー251Aを回転中心として時計回り(矢印R1方向)に回転する。すなわち、他方の回転部材202Bが有する回転体215が一方の回転部材202Aが有する回転体215よりも先に+Y側へ押された場合、一方の回転部材202Aと他方の回転部材202Bとは、それぞれのピラー251A,251Bを回転中心として互いに反対方向に回転する。
【0105】
次に、図17の例とは反対のプラグ動作の例として、ドアが全開位置に位置する状態からドアの閉動作に合わせてスライドベース4が幅方向内側(プラグイン方向)に移動する側(図17の矢印Wd方向とは反対方向に移動する側)を説明する。
【0106】
ドアが閉動作すると、2つの回転部材202のそれぞれが有する回転体215は、ガイド部材220の+Y側のレール223によって-Y側へ押される。すると、一方の回転部材202Aは下面視でピラー251Aを回転中心として反時計回り(図17の矢印R1方向とは反対方向)に回転し、他方の回転部材202Bは下面視でピラー251Bを回転中心として時計回り(図17の矢印R2方向とは反対方向)に回転する。すなわち、一方の回転部材202Aと他方の回転部材202Bとは、それぞれのピラー251A,251Bを回転中心として互いに反対方向に回転する。
【0107】
具体的に、ドアが閉動作したとき、最初に、一方の回転部材202Aが有する回転体215が、ガイド部材220Aの+Y側のレール223によって-Y側へ押される場合を挙げて説明する。この場合、一方の回転部材202Aは下面視でピラー251Aを回転中心として反時計回り(図17の矢印R1方向とは反対方向)に回転する。すると、一方の回転部材202Aが有する伝動軸部材212はシャフト203を-X側へ引く。これにより、他方の回転部材202Bが有する伝動軸部材212がシャフト203によって-X側へ引かれる。すると、他方の回転部材202Bは下面視でピラー251Bを回転中心として時計回り(図17の矢印R2方向とは反対方向)に回転する。すなわち、一方の回転部材202Aが有する回転体215が他方の回転部材202Bが有する回転体215よりも先に-Y側へ押された場合、一方の回転部材202Aと他方の回転部材202Bとは、それぞれのピラー251A,251Bを回転中心として互いに反対方向に回転する。
【0108】
別の面から見て、ドアが閉動作したとき、最初に、他方の回転部材202Bが有する回転体215が、ガイド部材220Bの+Y側のレール223によって-Y側へ押される場合を挙げて説明する。この場合、他方の回転部材202Bは下面視でピラー251Bを回転中心として時計回り(図17の矢印R2方向とは反対方向)に回転する。すると、他方の回転部材202Bが有する伝動軸部材212はシャフト203を-X側へ押す。これにより、一方の回転部材202Aが有する伝動軸部材212がシャフト203によって-X側へ押される。すると、一方の回転部材202Aは下面視でピラー251Aを回転中心として反時計回り(図17の矢印R1方向とは反対方向)に回転する。すなわち、他方の回転部材202Bが有する回転体215が一方の回転部材202Aが有する回転体215よりも先に-Y側へ押された場合、一方の回転部材202Aと他方の回転部材202Bとは、それぞれのピラー251A,251Bを回転中心として互いに反対方向に回転する。
【0109】
このように第2実施形態では、プラグ動作(プラグアウト及びプラグインの両動作)においてドアが開閉動作するときは、一方の回転部材202Aと他方の回転部材202Bとは、それぞれのピラー251A,251Bを回転中心として互いに反対方向に回転する。
なお、詳細説明は省略するが、ドアが開閉動作するときは、一方の下部アーム253Aと他方の下部アーム253Bとは、それぞれのピラー251A,251Bを回転中心として互いに反対方向に回転する。
【0110】
以上説明したように、本実施形態に係るプラグドア装置2001は、ドア2の幅方向及び前後方向への移動をガイドするスイングアーム機構250を更に備え、スイングアーム機構250は、車体に設けられるとともに、前後方向に離間して配置され、且つ、車両の高さ方向に延びる2本のピラー251と、ドア2の上部を支持するとともにピラー251を回転中心として一体に回転する2つの上部アーム252と、ドア2の下部を支持するとともにピラー251を回転中心として一体に回転する2つの下部アーム253と、を備え、移動一致機構200は、2本の固定軸部材としての2本のピラー251と、2つの上部アーム252を含む2つの回転部材202と、2つの回転部材202のそれぞれが有する伝動軸部材212を介して2本のピラー251のそれぞれに前後方向の両端が接続されるシャフト203と、を備える。スライドベース4には、上部アーム252の前後方向への移動を案内するガイド部材220が設けられている。ガイド部材220は、前後方向に沿って延びるレール223を有する。上部アーム252は、レール223に沿って転がる回転体215を備える。ドア2の下端部には、下部アーム253の前後方向への移動を案内する下部ガイドレール260が設けられている。下部ガイドレール260は、前後方向に延びている。下部アーム253は、下部ガイドレール260に沿って転がるローラ255を備える。
【0111】
この構成によれば、ドア2が開閉動作するときは、一方の回転部材202Aと他方の回転部材202Bとは、それぞれのピラー251を回転中心としてそれぞれのピラー251と一体に互いに反対方向に回転することにより、ドア2が取り付けられたスライドベース4の前後方向の両端における幅方向の移動の向き及び量が互いに一致する。したがって、プラグ動作においてスライドベース4が幅方向に移動するときにスライドベース4が前後方向に対して傾くことが抑制され、固渋することが無い。
加えて、スライドベース4には上部アーム252の前後方向への移動を案内するガイド部材220が設けられていることで、ガイド部材220により上部アーム252の前後方向への移動が案内されることにより、スライドベース4の幅方向の移動を回転部材202の回転に変換することができる。
加えて、ガイド部材220は前後方向に沿って延びるレール223を有し、上部アーム252はレール223に沿って転がる回転体215を備えることで、回転体215により上部アーム252とレール223との間の摩擦が低減されるため、スライドベース4の幅方向の移動を回転部材202の回転にスムーズに変換することができる。
加えて、ドア2の下端部には、下部アーム253の前後方向への移動を案内する下部ガイドレール260が設けられていることで、下部ガイドレール260により下部アーム253の前後方向への移動が案内されることにより、ドアの幅方向の移動を下部アーム253の回転に変換することができる。
加えて、下部ガイドレール260は前後方向に沿って延びており、下部アーム253は下部ガイドレール260に沿って転がるローラ255を備えることで、ローラ255により下部アーム253と下部ガイドレール260との間の摩擦が低減されるため、ドアの幅方向の移動を下部アーム253の回転にスムーズに変換することができる。
加えて、上部アーム252及び下部アーム253はピラー251を回転中心として一体に回転することで、ドア2の上部とドア2の下部とのプラグ動作を同期させることができる。
加えて、移動一致機構200の構成要素がスイングアーム機構250に設けられていることで、既存のスイングアーム機構250を活用することができるため、新たな専用部品を設ける場合と比較して、部品点数を削減することができる。
【0112】
<第3実施形態>
上述した第1実施形態では、車両の高さ方向から見てシャフトが前後方向と交差する方向に延びている例を挙げて説明したが、これに限らない。第3実施形態では、シャフトの配置態様が第1実施形態と異なる。第3実施形態において、上記第1実施形態と同様の構成には同一の符号を付し、その詳細な説明は省略する。
【0113】
図18は、第3実施形態の移動一致機構300を構成するシャフト303を含む周辺の下面図である。図19は、第3実施形態のシャフト300を含む周辺の正面図である。なお、図18図19においては、移動一致機構300の前後方向の一方(-X側)の構成要素の末尾には記号Aを付し、他方(+X側)の構成要素の末尾には記号Bを付しているが、特に区別する必要が無い場合は末尾の記号を省略して説明する。
【0114】
図18に示すように、シャフト303は、高さ方向から見て前後方向と平行に延びている。回転部材302は、高さ方向から見てL字状である。一方の回転部材302A及び他方の回転部材302Bは、高さ方向から見て互いに同じ形状に形成されている。回転部材302は、固定軸部材301と同軸に配置されるアーム基部310と、スライドベース(不図示)と接触する接触アーム311と、固定軸部材301の回転中心と離間して配置される伝達軸部材312を有する伝達アーム313と、を備える。不図示のスライドベースには、接触アーム311の前後方向への移動を案内するガイド部材320が設けられている。
【0115】
伝達アーム313は、アーム基部310において接触アーム311が延びる部分とは異なる部分から径方向外方に向けて延びている。2つの回転部材302のそれぞれが有する伝達アーム313は、高さ方向から見て互いに同じ方向に延びている。
【0116】
図19に示すように、伝達軸部材312は、固定軸部材301と平行な方向(高さ方向)に延びている。図18に示すように、伝達軸部材312の上端部は、伝達アーム313の先端部(アーム基部310から最も離間した部分)に連結されている。2つの回転部材302のそれぞれが有する伝達軸部材312は、高さ方向から見て互いに同じ幅方向位置に配置されている。
【0117】
シャフト303は、2つの回転部材302のそれぞれが有する伝達軸部材312に前後方向の両端が接続されている。シャフト303は、2つの回転部材302のそれぞれが有する伝達軸部材312をわたすように前後方向に直線状に延びている。シャフト303の両端は、伝達軸部材312を回転中心として回転可能とされている。例えば、シャフト303には、2つの回転部材302のそれぞれが有する伝達軸部材312の間隔を調整可能な調整部材が設けられていてもよい。
【0118】
以上説明したように、本実施形態に係るシャフト303は、高さ方向から見て前後方向と平行に延びている。
この構成によれば、シャフト303が高さ方向から見て前後方向と交差する方向に延びている場合と比較して、シャフト303の幅方向における設置スペースを小さくできるため、小型のプラグドア装置を実現できる。
【0119】
<第4実施形態>
上述した第2実施形態では、移動一致機構は2つの回転部材のそれぞれが有する伝達軸部材を介して2本のピラーのそれぞれに前後方向の両端が接続されるシャフトを備える例を挙げて説明したが、これに限らない。第4実施形態では、移動一致機構の構成態様が第2実施形態と異なる。第4実施形態において、上記第2実施形態と同様の構成には同一の符号を付し、その詳細な説明は省略する。
【0120】
図20は、第4実施形態の移動一致機構400の模式図である。なお、図20においては、移動一致機構400の前後方向の一方(-X側)の構成要素の末尾には記号Aを付し、他方(+X側)の構成要素の末尾には記号Bを付しているが、特に区別する必要が無い場合は末尾の記号を省略して説明する。
【0121】
図20に示すように、移動一致機構400は、車両の高さ方向に直交する平面内を回転する回転動力を作用させる2本のピラー451と、ピラー451を回転中心として一体に回転する2つのピラー側傘歯車401と、2つのピラー側傘歯車401のそれぞれに噛み合う2つのリンク側傘歯車402と、2つのリンク側傘歯車402に前後方向の両端が接続されるリンク軸部材403と、を備える。ピラー451の上部には、ドア2の上部を支持する上部アーム452が連結されている。ピラー451の下部には、ドア2の下部を支持する下部アーム(不図示)が連結されている。
【0122】
ピラー側傘歯車401は、ピラー451の回転中心と同軸に配置されている。ピラー側傘歯車401は、ピラー451を回転中心としてピラー451と一体に回転する。ピラー側傘歯車401は、ピラー451の上端部に設けられている。
【0123】
2つのピラー側傘歯車401は、上側に向かうに従って徐々に径が小さくなる傘歯車を有する。一方のピラー側傘歯車401A及び他方のピラー側傘歯車401Bは、互いに同じ形状を有する。
【0124】
リンク側傘歯車402は、ピラー側傘歯車401に噛み合う位置に設けられている。2つのリンク側傘歯車402は、前後方向の外側に向かうに従って徐々に径が小さくなる傘歯車を有する。一方のリンク側傘歯車402Aは、-X側に向かうに従って徐々に径が小さくなる傘歯車を有する。これに対し、他方のリンク側傘歯車402Bは、+X側に向かうに従って徐々に径が小さくなる傘歯車を有する。
【0125】
リンク軸部材403は、2つのリンク側傘歯車402に前後方向の両端が接続されている。リンク軸部材403は、2つのリンク側傘歯車402をわたすように前後方向に直線状に延びている。リンク軸部材403は、前後方向に延びる軸線回りに回転可能に設けられている。2つのリンク側傘歯車402は、リンク軸部材403を回転中心としてリンク軸部材403と一体に回転する。
【0126】
本実施形態では、リンク軸部材403の前後方向の一端部は一方のピラー側傘歯車401Aに噛み合うリンク側傘歯車402Aに接続され、リンク軸部材403の前後方向の他端部は他方のピラー側傘歯車401Bに噛み合うリンク側傘歯車402Bに接続されている。例えば、一方のピラー側傘歯車401Aが図20の矢印G1方向に回転すると、リンク軸部材403が図20の矢印G2方向に回転し、他方のピラー側傘歯車401Bは図20の矢印G3方向に回転する。すなわち、一方のピラー側傘歯車401Aと他方のピラー側傘歯車401Bとは、それぞれのピラー451A,451Bを回転中心として互いに反対方向に回転する。
【0127】
以上説明したように、本実施形態に係る移動一致機構400は、車両の高さ方向に直交する平面内を回転する回転動力を作用させる2本のピラー451と、ピラー451を回転中心として一体に回転する2つのピラー側傘歯車401と、2つのピラー側傘歯車401のそれぞれに噛み合う2つのリンク側傘歯車402と、2つのリンク側傘歯車402に前後方向の両端が接続されるリンク軸部材403と、を備える。
【0128】
この構成によれば、ドア2が開閉動作するときは、一方のピラー側傘歯車401と他方のピラー側傘歯車401とは、それぞれのピラー451を回転中心としてそれぞれのピラー451と一体に互いに反対方向に回転することにより、ドア2が取り付けられたスライドベース4の前後方向の両端における幅方向の移動の向き及び量が互いに一致する。したがって、プラグ動作においてスライドベース4が幅方向に移動するときにスライドベース4が前後方向に対して傾くことが抑制され、固渋することが無い。
加えて、ピラー側傘歯車401及び下部アームはピラー451を回転中心として一体に回転することで、ドア2の上部とドア2の下部とのプラグ動作を同期させることができる。
加えて、移動一致機構400の構成要素がスイングアーム機構に設けられていることで、既存のスイングアーム機構を活用することができるため、新たな専用部品を設ける場合と比較して、部品点数を削減することができる。
【0129】
<第5実施形態>
上述した第2実施形態では、移動一致機構は2つの回転部材のそれぞれが有する伝達軸部材を介して2本のピラーのそれぞれに前後方向の両端が接続されるシャフトを備える例を挙げて説明したが、これに限らない。第5実施形態では、移動一致機構の構成態様が第2実施形態と異なる。第5実施形態において、上記第2実施形態と同様の構成には同一の符号を付し、その詳細な説明は省略する。
【0130】
図21は、第5実施形態の移動一致機構500の模式図である。なお、図21においては、移動一致機構500の前後方向の一方(-X側)の構成要素の末尾には記号Aを付し、他方(+X側)の構成要素の末尾には記号Bを付しているが、特に区別する必要が無い場合は末尾の記号を省略して説明する。
【0131】
図21に示すように、移動一致機構500は、車両の高さ方向に直交する平面内を回転する回転動力を作用させる2本のピラー551と、ピラー551を回転中心として一体に回転する2つのピラー側歯車501と、2つのピラー側歯車501の一方に噛み合う中間歯車502と、2つのピラー側歯車501の他方と中間歯車502とに噛み合う歯付ベルト503と、を備える。ピラー551の上部には、ドア2の上部を支持する上部アーム552が連結されている。ピラー551の下部には、ドア2の下部を支持する下部アーム(不図示)が連結されている。
【0132】
ピラー側歯車501は、ピラー551の回転中心と同軸に配置されている。ピラー側歯車501は、ピラー551を回転中心としてピラー551と一体に回転する。ピラー側歯車501は、ピラー551の上端部に設けられている。2つのピラー側歯車501は、高さ方向において互いに異なる位置に配置されている。本実施形態では、一方のピラー側歯車501Aは、他方のピラー側歯車501Bよりも下方に配置されている。
【0133】
中間歯車502は、一方のピラー側歯車501Aに噛み合う位置に設けられている。中間歯車502は、高さ方向に延びる軸線回りに回転可能に設けられている。中間歯車502の高さ方向の長さは、一方のピラー側歯車501Aの高さ方向の長さよりも大きい。例えば、中間歯車502の下端は、一方のピラー側歯車501Aの下端以下の高さに設けられているとよい。例えば、中間歯車502の上端は、他方のピラー側歯車501Bの上端以上の高さに設けられているとよい。
【0134】
歯付ベルト503は、他方のピラー側歯車501Bと中間歯車502とに噛み合う位置に設けられている。歯付ベルト503は、無端状のベルトである。歯付ベルト503の内周には、複数の歯が歯付ベルト503の周方向に並んで設けられている。歯付ベルト503の高さ方向の長さは、他方のピラー側歯車501Bの高さ方向の長さよりも小さい。歯付ベルト503は、高さ方向において他方のピラー側歯車501Bの範囲内に配置されている。歯付ベルト503は、高さ方向において中間歯車502の上部の範囲内に配置されている。歯付ベルト503の下端は、一方のピラー側歯車501Aの上端よりも上方に配置されている。他方のピラー側歯車501Bと中間歯車502とは、歯付ベルト503と一体に回転する。
【0135】
本実施形態では、歯付ベルト503は、中間歯車502と他方のピラー側歯車501Bとに架け渡されている。歯付ベルト503の前後方向の一端側に位置する中間歯車502は一方のピラー側歯車501Aに噛み合い、歯付ベルト503の前後方向の他端側は他方のピラー側歯車501Bに噛み合っている。例えば、一方のピラー側歯車501Aが図21の矢印J1方向に回転すると、中間歯車502が図21の矢印J2方向に回転する。すると、歯付ベルト503が図21の矢印J3方向に移動(周回)し、他方のピラー側歯車501Bは図21の矢印J4方向に回転する。すなわち、一方のピラー側歯車501Aと他方のピラー側歯車501Bとは、それぞれのピラー551A,551Bを回転中心として互いに反対方向に回転する。
【0136】
以上説明したように、本実施形態に係る移動一致機構500は、車両の高さ方向に直交する平面内を回転する回転動力を作用させる2本のピラー551と、ピラー551を回転中心として一体に回転する2つのピラー側歯車501と、2つのピラー側歯車501の一方に噛み合う中間歯車502と、2つのピラー側歯車501の他方と中間歯車502とに噛み合う歯付ベルト503と、を備える。
【0137】
この構成によれば、ドア2が開閉動作するときは、一方のピラー側歯車501と他方のピラー側歯車501とは、それぞれのピラー551を回転中心としてそれぞれのピラー551と一体に互いに反対方向に回転することにより、ドア2が取り付けられたスライドベース4の前後方向の両端における幅方向の移動の向き及び量が互いに一致する。したがって、プラグ動作においてスライドベース4が幅方向に移動するときにスライドベース4が前後方向に対して傾くことが抑制され、固渋することが無い。
加えて、ピラー側歯車501及び下部アームはピラー551を回転中心として一体に回転することで、ドア2の上部とドア2の下部とのプラグ動作を同期させることができる。
加えて、移動一致機構500の構成要素がスイングアーム機構に設けられていることで、既存のスイングアーム機構を活用することができるため、新たな専用部品を設ける場合と比較して、部品点数を削減することができる。
【0138】
なお、本発明の技術範囲は上述した実施形態に限定されるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲において種々の変更を加えることが可能である。
【0139】
例えば、上述した実施形態では、プラグドア装置が鉄道車両の乗降口を開閉する両引き分けの一対のドアを備える例を挙げて説明したが、これに限らない。例えば、プラグドア装置は、鉄道車両以外の車両に設けられてもよい。例えば、プラグドア装置は、片引きのドアを備えていてもよい。
【0140】
その他、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で、上記した実施形態における構成要素を周知の構成要素に置き換えることは可能である。また、上述した各変形例を組み合わせても構わない。
本明細書で開示した実施形態のうち、複数の物体で構成されているものは、当該複数の物体を一体化してもよく、逆に一つの物体で構成されているものを複数の物体に分けることができる。一体化されているか否かにかかわらず、発明の目的を達成できるように構成されていればよい。
【符号の説明】
【0141】
1…プラグドア装置、2…ドア、3…固定ベース、4…スライドベース、6…駆動源、100…移動一致機構、101…固定軸部材、102…回転部材、103…シャフト、111…接触アーム、112…伝達軸部材、113…伝達アーム、120…ガイド部材、123…レール、200…移動一致機構、202…回転部材、203…シャフト、211…接触アーム、212…伝動軸部材、213…伝動アーム、220…ガイド部材、223…レール、250…スイングアーム機構、251…ピラー、252…上部アーム、253…下部アーム、300…移動一致機構、302…回転部材、303…シャフト、311…接触アーム、312…伝達軸部材、313…伝達アーム、320…ガイド部材、301…固定軸部材、400…移動一致機構、401…ピラー側傘歯車、402…リンク側傘歯車、403…リンク軸部材、451…ピラー、452…上部アーム、500…移動一致機構、501…ピラー側歯車、502…中間歯車、503…歯付ベルト、551…ピラー、552…上部アーム、2001…プラグドア装置
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
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