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特開2022-78960建設機械用打撃パルス又は振動発生装置
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022078960
(43)【公開日】2022-05-25
(54)【発明の名称】建設機械用打撃パルス又は振動発生装置
(51)【国際特許分類】
   B06B 1/18 20060101AFI20220518BHJP
   E21B 1/28 20060101ALI20220518BHJP
【FI】
B06B1/18 A
E21B1/28
【審査請求】未請求
【請求項の数】11
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021179248
(22)【出願日】2021-11-02
(31)【優先権主張番号】20207463
(32)【優先日】2020-11-13
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
(71)【出願人】
【識別番号】514066712
【氏名又は名称】ユーロドリル ゲーエムベーハー
【氏名又は名称原語表記】EURODRILL GmbH
(74)【代理人】
【識別番号】110001210
【氏名又は名称】特許業務法人YKI国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】メルツホイザー マルクス
【テーマコード(参考)】
2D129
5D107
【Fターム(参考)】
2D129BA03
2D129BB01
2D129DA01
2D129DB03
5D107AA03
5D107BB10
5D107DD01
5D107DD03
5D107DE01
5D107DE02
5D107EE01
5D107EE02
5D107EE07
(57)【要約】
【課題】より効率的な打撃又は振動挙動を達成する。
【解決手段】本発明は、建設機械用打撃パルス又は振動発生装置及び方法であり、ハウジングと、第1反転ポイント・第2反転ポイント間のハウジング内作動空間にて反転往復させうるピストンと、それを通じ第1反転ポイント及び第2反転ポイント付近で作動空間の内部及び外部に加圧流体を導くことができ、それによりピストンを反転運動に持ち込むことで打撃パルス又は振動を発生させる加圧流体供給部と、それを通じその加圧流体を作動空間内及び/又は外に導くことができる少なくとも1個の可制御弁と、当該少なくとも1個の可制御弁に接続されており作動空間内ピストン運動を制御すること及び変化させることができる制御ユニットと、を伴うものに関する。本発明によれば、ピストン及び加圧流体を含む全体配列の共振周波数に対応する周波数にてそのピストンを動かすようその制御ユニットが設計されたものが提供される。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
建設機械向けに打撃パルス又は振動を発生させる装置であり、
ハウジングと、
第1反転ポイント・第2反転ポイント間のハウジング内作動空間内にて反転往復させうるピストン(8)と、
それを通じ加圧流体を第1反転ポイント及び第2反転ポイント付近で作動空間の内部及び外部にそれぞれ導くことができ、それにより上記ピストン(8)を上記反転運動に持ち込むことで上記打撃パルス又は振動を発生させる加圧流体供給部(P)と、
それを通じ上記加圧流体を上記作動空間内及び/又は外へと導くことができる少なくとも1個の可制御弁(9)と、
上記少なくとも1個の可制御弁(9)に接続されており、上記作動空間内での上記ピストン(8)の運動を制御すること及び変化させることができる制御ユニット(PLC)と、
を有する装置であって、
上記制御ユニット(PLC)が、上記ピストン及び上記加圧流体を含む全体配列の共振周波数に対応する周波数にてそのピストン(8)を動かすよう設計されていることを特徴とする装置。
【請求項2】
請求項1に係る装置であって、
上記弁(9)が電磁弁であることを特徴とする装置。
【請求項3】
請求項1又は2に係る装置であって、
上記作動空間における上記ピストン(8)のポジションを求める計測手段(10)が設けられていることを特徴とする装置。
【請求項4】
請求項3に係る装置であって、
上記計測手段(10)がリニアセンサを有することを特徴とする装置。
【請求項5】
請求項1~4のうち何れか一項に係る装置であって、
少なくとも一方の反転ポイント側に打撃面が配置されており、その上に上記ピストン(8)が個別打突することで打撃パルスが生じることを特徴とする装置。
【請求項6】
請求項1~5のうち何れか一項に係る装置であって、
上記全体配列に上記ハウジングも含まれることを特徴とする装置。
【請求項7】
請求項1~6のうち何れか一項に係る装置であって、
上記ピストン(8)及び/又は上記ハウジングの質量を、調整錘を実装又は除去することで変化させうることを特徴とする装置。
【請求項8】
建設機械であって、
請求項1~7のうち何れか一項に従い打撃パルス又は振動を発生させる装置が配置されていることを特徴とする建設機械。
【請求項9】
請求項8に係る建設機械であって、
アースドリリング装置であることを特徴とする建設機械。
【請求項10】
請求項8に係る建設機械であって、
パイルドライバ又はバイブレータであることを特徴とする建設機械。
【請求項11】
建設機械向けに打撃パルス又は振動を発生させる方法、とりわけ請求項1~7のうち何れか一項に係る装置による方法であり、
第1反転ポイント・第2反転ポイント間のハウジング内作動空間内にてピストン(8)を反転往復させ、
上記打撃パルス又は振動を発生させるべく加圧流体により上記ピストン(8)を反転運動に持ち込み、第1反転ポイント及び第2反転ポイント付近にて上記作動空間の内部及び外部へとその加圧流体を導き、
それを通じ加圧流体を上記作動空間内及び/又は外へと導く少なくとも1個の可制御弁(9)を制御ユニット(PLC)により制御し、且つ
上記制御ユニット(PLC)により上記ピストン(8)の運動を制御する方法であって、
上記少なくとも1個の弁(9)を上記制御ユニット(PLC)により制御することで、上記ピストン(8)及び上記加圧流体を含む全体配列の共振周波数に対応する周波数にてそのピストン(8)を動かすことを特徴とする方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、請求項1の前提部分に従い建設機械向けに打撃パルス又は振動を発生させる装置であり、ハウジングと、第1反転ポイント・第2反転ポイント間のハウジング内作動空間内にて反転往復させうるピストンと、それを通じ加圧流体を第1反転ポイント及び第2反転ポイント付近で作動空間の内部及び外部へとそれぞれ導くことができ、それによりピストンを反転運動に持ち込むことで打撃パルス又は振動を発生させる加圧流体供給部と、それを通じ加圧流体を作動空間内及び/又は外に導くことができる少なくとも1個の可制御弁と、当該少なくとも1個の可制御弁に接続されており作動空間内ピストン運動を制御すること及び変化させることができる制御ユニットと、を有する装置に関する。
【0002】
本発明は、更に、請求項11の前提部分に従い建設機械向けに打撃パルス又は振動を発生させる方法であり、第1反転ポイント・第2反転ポイント間のハウジング内作動空間内にてピストンを反転往復させ、打撃パルス又は振動を発生させるべく加圧流体によってピストンを反転運動に持ち込み、その加圧流体を第1反転ポイント及び第2反転ポイント付近で作動空間の内部及び外部に導き、それを通じ加圧流体が作動空間内及び/又は外に導かれる少なくとも1個の可制御弁を制御ユニットにより制御し、且つその制御ユニットによりピストンの運動を制御する方法に関する。
【背景技術】
【0003】
一般的な振動発生機が特許文献1に示されている。この既知な振動発生機では、ハウジング内作動空間が作動ピストンにより2個の圧力チャンバに分けられている。インレット及びアウトレットを介し、それら2個の圧力チャンバへの加圧流体の選択的供給又はそこからの放出を交番的要領で行うことで、その作動ピストンを反転移動させ振動を発生させることができる。個々の圧力チャンバにおける加圧流体の適時供給及び放出が、可制御弁及び複雑なハウジング内ダクト配列の働きで行われている。更に、その作動ピストンの内部に配置されている計測手段により、その作動空間における作動ピストンのポジション、ひいてはそのハウジングに対するポジションについて、精密な判別が実行されている。制御手段により、その可制御弁の開及び/又は閉時点に加え、その加圧流体供給部に係る更なるパラメタ群を、設定することができる。この制御手段の働きでそれらパラメタを変化させることで、とりわけ、そのハウジング内の作動ピストンの周波数及びストロークを共に変化させることができる。プログラムメモリ内に様々なパラメタを格納させ、それらパラメタにより振動発生機の選択的駆動を引き起こすことができるので、その作動用例向けに最適に適合化された周波数及びストローク長を、その振動発生機向けに選択することができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】欧州特許出願公開第3417951号明細書(A1)
【特許文献2】英国特許出願公開第920158号明細書(A)
【特許文献3】米国特許第4026193号明細書(A)
【特許文献4】米国特許第4031812号明細書(A)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
既知の振動発生機によれば、事実上、ある限られた範囲内でその周波数及びストロークを変化させることができ、ひいてはその振動パラメタ群をその用例に適したものに設定することができる。しかしながら、それら振動パラメタの一般的確認のため、並びにその振動システムの設定のために、その振動ピストンの質量が主に利用されている。相応しい周波数が、とりわけそのピストン質量に基づき推定されている。
【0006】
振動発生機内の更なる機械的制御手段を、例えば、特許文献2、3又は4から引用することができる。これらの既知装置は皆、そのハウジング内でのそれぞれの位置に従い特定のダクト群を開閉させる作動ピストン及び制御ピストンを有しており、その両側にある都合2個の圧力チャンバへの選択的交番供給を引き起こすことでその作動ピストンを動かしている。
【0007】
この種の装置の生産は時間浪費的且つコスト集約的なものとなる。更に、そのダクトレイアウトが原因で、そのピストンのある特定の振動又は打撃挙動が、ある所定の圧力レベルにて予め定まることとなる。振動周波数及び打撃エネルギの変化は非常に限られた範囲内でしか起こすことができず、場合によっては、労力を食う機械的リワーキングが必要となる。
【0008】
本発明の基礎となる目的は、ひときわ効率的な打撃又は振動挙動を達成しうる打撃パルス又は振動発生装置及び方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
この目的は、一方では請求項1の特徴を有する装置により、他方では請求項11の特徴を有する方法により達成される。本発明の好適な諸実施形態が従属形式請求項にて宣明されている。
【0010】
本発明に係る装置の特徴は、上記制御ユニットが、上記ピストン及び上記加圧流体を含む全体配列の共振周波数に対応する周波数にてそのピストンを動かすよう設計されていることにある。本発明での知見によれば、この打撃パルス及び/又は振動発生装置の全体配列は、そのピストンの特性、例えばその直径及び質量により左右されるのみならず、その加圧流体に影響する更なるパラメタ群、例えば発生する圧力、そのライン断面、ライン長、ライン形状及び表面、並びに弁スライド及びその制御エッジのスイッチング時間及び形状、並びにその制御弁のハウジング内における弁スライド配列によっても、決定的な規模で左右される。これら更なるパラメタは、その共振周波数及びそれに関連するピストンストローク、ひいては本発明に係る装置により伝達される力又は伝達される打撃パルスに対し、決定的影響を及ぼしうる。
【0011】
本発明の基本的着想は、こうして可変的に行うことができる上記ピストンの駆動、即ち上記振動及び/又は打撃パルス発生機の改善により、そのシステム及び所望用途に適合化されたパラメタ群で以て加圧流体によるそれへの加圧が起こるようにすることで、例えば、その振動及び打撃パルス発生機に装着されているツールの、様々な地盤等への進入具合の改善等が可能となる、ということにある。それらピストン及び加圧流体を含む全体配列に係る共振パラメタ群を確認することにより、一方では、適切な共振周波数及び共鳴ストロークを確認することができ、他方では、その振動発生機の可変駆動が可能であるため、動作中にそれらパラメタの動的適合化を引き起こしてそのプロセスにおける変化に順応させることもできる。例えばアースドリリング(地盤穿孔)法では、そうした変化が、進入先の地盤又は岩石層の変化により引き起こされうる。加えて、例えば摩耗及び破損、加齢、加圧流体の温度及び粘度の変化等々、様々な付随条件もその共振周波数に影響を及ぼしうる。
【0012】
このように、本発明に係る装置では、こうして可能となった動的なパラメタ適合化を動作中にリアルタイムで引き起こすことができ、且つ、実振動の恒久検出であるため、制御回路にて上記共振周波数を理想的に最適化することで、ピストン振動の改善ひいては力及び/又はパルス発生の増強を達成することができる。結果として、建設機械における本装置の広範な利用を可能にする多才な振動回路を生成することができる。
【0013】
本発明に係る装置では、基本的に、好適であれば何れの可制御弁でも採用することができる。本発明の更なる発展形態によれば、とりわけ好都合なことに、上記弁を電磁弁とすることができる。その弁体を、電磁配列により開閉ポジション間で調整することができる。上記作動空間に供給される加圧流体の量を設定しうるよう、中間ポジションに設定することもできる。基本的には何れの種類の加圧流体でも供給しうるが、この場合、作動油を用いるのが望ましい。
【0014】
本発明のある好適実施形態変形例は、上記作動空間における上記ピストンのポジションを求める計測手段を設けることに、帰するものである。この計測手段に関しては、長さ又は位置計測に使用可能な全てのセンサ、具体的には光学的、静電容量的、誘導的、磁気的その他の形態で動作する全てのセンサを、採用することができる。
【0015】
本発明のある実施形態によれば、特に有利なことに、上記計測手段を、リニアセンサを有するものとすることができる。これがひときわ適切となるのは、上記ピストンを、上記ハウジング内にて上記2個の反転ポイント間で直線的に動かす場合である。
【0016】
基本的には、上記ハウジング内で上記ピストンを反転運動させる際に、そのピストンの2個の前面がそのハウジングの壁に接触しないようにすることができる。この形態の装置はいわゆる振動発生機として採用することができる。本発明のある上首尾実施形態は、少なくとも一方の反転ポイント側に打撃面を配置し、その上にそのピストンを個別打突させることで打撃パルスを発生させることに、帰するものである。基本的には、そのハウジング上にて、打撃面を、ピストン前面の側とその逆側にあるピストン前面の側の双方に、配置することができる。とはいえ、望み次第で、設ける打撃面を1個だけにすることで、打撃ドリリング等に相応しい個別打撃パルスを発生させうるようにしてもよい。
【0017】
別の好適変形例によれば、上記全体配列が上記ハウジングを含むものとされる。こうすることで、振動回路に影響する更なる要因及びパラメタ群、例えば上記作動空間の内部及び外部に上記加圧流体を導くダクトの断面積及び粗さやそれらハウジング内ダクトにて生じうるエルボ損失を、表象することができる。
【0018】
本発明の更なる変形例によれば、好適なことに、上記制御ユニットにより上記ピストンの周波数及び/又はストロークを設定及び調整することができる。その周波数を変化させることで、とりわけ開閉時点、並びに相応しい場合は流体圧エネルギの供給を、その制御ユニットにより設定することができる。加えて、上記可制御弁の相応な開閉を通じ、上記2個の反転ポイントのポジションを変化させることで、そのピストンストロークを達成することができる。この目的を踏まえ、その制御ユニットに入力インタフェース、例えば入力フィールドを設けるのが望ましい。加えて、その制御ユニットを、オペレータによる操作ユニットからの通例的機械制御を通じ直接、同様に動作させることができる。
【0019】
本発明の更なる好適実施形態によれば、上記ピストン及び/又は上記ハウジングの質量を、調整錘を実装又は除去することで変化させることができる。特に、本装置にて振動又は打撃パルスを発生させる際に、ピストン質量及び/又はシリンダ質量を変化させると、その共振周波数の大きな変化が発生する。これはまさに、上記ピストン反転ポイントを設定することによる上記加圧流体の可変駆動と、それにマッチしたピストン又はハウジング質量との組合せにより、本システムで以て広範な用途をカバーすることが可能となる、ということである。
【0020】
本発明の別の好適実施形態変形例は、上記制御ユニットに備わるプログラムメモリ内にピストン制御用の様々な制御プログラムを格納できることに、見出すことができる。例えば、特定用途に特化した制御プログラム群を格納することができる。例えば、プログラムの冒頭で高い周波数及び小さなピストンストロークを提示した上で、そのプログラムシーケンスに従いピストンストロークを経時増加させ且つ周波数を経時低下させることができる。周波数及びストロークとの関連で上記ピストンを制御する様々なプログラムシーケンスを、概ね何個でも提供することができる。例えば、迅速前進(クイックアドバンス)又は極静穏駆動(ジェントルドライブ)プロセス向けのプログラムを提供することができる。加えて、土壌種類別プログラム群を格納することができる。その制御ユニットを、好適にも、共振周波数判別用の自動プログラムを備えるものとすることができる。その場合は、ある開始周波数から始まりある目標周波数に至る周波数帯内を、そのピストンの駆動により駆け抜けつつ、本装置の個別応答周波数を振動センサにより検出する。その応答周波数の最大値が上記共振周波数を構成する。
【0021】
本発明によれば、上述した打撃パルス又は振動発生装置がその上に配置されたことを特徴とする建設機械も構成される。とりわけ、基礎工法向けの建設機械を提供することができる。とはいえ、同装置は他のツールを有する他の建設機械、特に振動質量により振動を印加することで作動エッジ又は導入対象素材の地中への進入が容易に実現されるものでも、用いることができる。例えば、掘削機の採掘ショベルや、掘削機向けのアタッチメント鑿がそれであろう。
【0022】
本発明のある実施形態によれば、特に有利なことに、上記建設機械をアースドリリング装置とすることができる。同装置を打撃パルス発生向けに準備した場合は、打撃ドリリングを実行することができる。これは、とりわけ、硬めな岩石層に進入させる際に有利である。これに代え又は加え、同装置を、打撃接触なしで振動を発生させるよう設計することもできる。従って、ドリリングツールが回転要領で駆動されるアースドリリング装置であれば、いわゆる過重負担ドリリングを格別に実行することができる。その際には、そのドリリングツールの回転運動に振動又は動揺運動が重畳されることとなる。重畳された振動の働きで、その地盤の疑似的な液化(準液化)を、少なくとも、そのドリリングツールとの接触領域にて果たし、ドリリングプロセスの改善につなげることができる。
【0023】
本発明の別の実施形態を、上記建設機械をパイルドライバ(杭打機)又はバイブレータ(振動機)とすることに見出すことができる。そうしたパイルドライバ又はバイブレータを、例えば、打撃パルス及び振動の働きで地中に送り込むことによる鋼梁、パイル又はシートパイルの導入に、用いることができる。
【0024】
本発明に係る方法の特徴は、上記少なくとも1個の弁を上記制御ユニットにより制御することで、上記ピストン及び上記加圧流体を含む全体配列の共振周波数に対応する周波数にてそのピストンを動かすことにある。
【0025】
上記打撃パルス及び/又は振動発生装置のこうした全体配列は、そのピストンの特性、例えばその直径及び質量を表象するのみならず、その振動回路に影響するパラメタ群、例えば印加圧力、既存のライン断面、ライン長、ライン形状及び表面、並びに弁スライド及びその制御エッジのスイッチング時間及び形状、並びにその制御弁のハウジング内における弁スライド配列をも有している。これら更なるパラメタは、上記共振周波数及びそれによりもたらされるピストンストロークに対し、ひいては本発明に係る方法により伝達される力又はそれにより伝達される打撃パルスに対し、決定的な影響を及ぼしうる。
【0026】
更なる発展形態によれば、有利なことに、上記ピストンのポジションを計測手段により検出し、それを通じ上記作動空間内及び/又は外に加圧流体を導く少なくとも1個の可制御弁をピストンポジション検出結果に従い制御ユニットにより制御することで、その制御ユニットによりそのピストンの運動が制御される。
【0027】
本発明に係る方法は、とりわけ上述した装置で以て実行することができる。上述した効果がそれにより達成される。
【0028】
以下の添付図面中に模式的に描かれている好適実施形態によって、以下、本発明について更に記述する。
【図面の簡単な説明】
【0029】
図1】本発明に係る装置の模式的断面図である。
図2】本発明に係る装置の回路図である。
図3】本発明に係る装置の周波数ダイアグラムである。
【発明を実施するための形態】
【0030】
図1に、本発明に係る振動又は打撃パルス発生機が装備されたドリルドライブの原理図を示す。図示のハウジング1には全ての機能部材が備わっている。そのハウジングからはドリルロッド2が張り出しており、その遠端にはそのドリルロッド2により運ばれるドリルヘッド3がある。ドリルロッド2は、流体圧モータ4によりまた遊星歯車5を介し、ドリルロッド2の軸を中心とした回転運動に持ち込まれる。ドリルヘッド3上にはドリリングツールが配置される。ドリルヘッド3が回転運動するので、そのドリリングツールのカッティングエッジ(切削刃)により、ボーリング孔内帯状切削を行うことができる。その切削厚は軸方向に沿い加わる力により左右される。交番する軸方向振動力を発生させるため、本発明に係る振動又は打撃パルス発生機に実質的に相当する振動発生機6が、遊星歯車5上に実装されている。振動発生機6はラバースプリング7内で支持されており、発生した振動がそのラバースプリングによりハウジングから分離されている。この動揺/振動発生機6に加え、ドリルヘッド3、ドリルロッド2、遊星歯車5及び流体圧モータ4によりドリルドライブの振動質量ひいては移動質量が構成されており、そうする目的でそれらが軸方向ガイド11内で支持されている。これに代え、振動セル又は振動発生機6から分離されるよう歯車5を動作させることもできる。この場合、発生した振動を、例えば、中空シャフトとして設計されている出力シャフトに通され案内されるシャフトを介し、ドリルロッドひいてはドリルヘッドへと直に、伝達させることができる。この場合にその歯車にて生じる回転運動を、発生した軸方向振動をその歯車から分離させる歯部又は何らかの歯型を介し、その中空シャフトからドリルロッドひいてはドリルヘッドに伝達させることもできる。これに代え、回転運動をそのシャフトにより、また発生した振動を中空シャフトにより、伝達させることもできる。
【0031】
振動発生機6内での振動発生用に、振動発生機6は振動シリンダ、より正確には振動ピストン8を備えており、その振動ピストン8が、自身の両側に所在している圧力チャンバ内の加圧流体により交番的要領で加圧されるようになっている。この加圧流体は、加圧流体ラインPを通じ供給され、シャトル弁9により交番的な要領で、振動ピストン8の両側にある作動チャンバに加えられている。そのシャトル弁は、例えば、電磁動作型の2/4方向制御弁とすることができる。とはいえ、回動弁スライドを有する弁、比例弁及び/又はサーボ弁等、好適であれば他のどのような弁でも用いることができる。シャトル弁9を介し、振動ピストン8上のチャンバのうち各時点で加圧されていないものが、非加圧タンクラインTに交互に連結される。振動ピストン8に対する交番加圧の結果、その振動ピストン8は振動状態に持ち込まれ、ドリルヘッド3の前進に必要な軸方向力を発生させる。その周波数、即ちPLC(プログラマブル論理コントローラ)によりシャトル弁9が駆動される周波数が、振動発生機6の振動ピストン8に伝わる。記号的に記されている計測トランスデューサ10の働きで、振動ピストン8の現ポジションを検出しそのPLCに送ることができる。それから導出される変数として、振動ピストン8の実ストローク及び周波数を求めることもできる。この計測値検出を通じ、振動中の振動ピストン8及び加圧中の加圧流体の双方を含む全体配列の現在応答を、例えばシャトル弁9の周波数が変化した際に検出することができる。こうして得られる制御回路の働きで、振動発生機6を動的に動作させることができる。振動ピストンのポジションの検出や、それをもとに導出される変数群、例えばピストンのストローク及び周波数の検出が、リアルタイムに行われるため、制御回路を実現することが可能である。振動ピストン8に望まれる反転ポイントは、図示ドリルドライブにおける前進具合の改善が果たされるよう、概ねどのような選択要領でも適合させることができる。
【0032】
図2には、この流体圧振動ドライブの概略回路図が描かれている。この図によれば、やはり、ハウジング内に所在しており質量mを有しているピストンを、作動圧pmaxを印加することで、振動状態に持ち込むことができる。この図で記号的に示されているのは、交番加圧用の電磁制御3/4方向制御弁である。加圧流体の供給は、圧力制御弁を有する固定変位ポンプの働きで行われている。ここでは、本発明に係る全体配列のパラメタ群が、ピストンの質量m及び直径D並びに加圧流体供給ラインの長さl及び直径dNにより、模式的に描かれている。
【0033】
そして、図3には、本発明に係る振動ドライブの励振に対する全体配列の周波数応答が示されている。この例では、質量が20kgで直径Dが95mmのピストンが流体圧pmaxにより励振されている。この事例では、その振動ドライブの励振を、ある例示的要領に従い0~1000Hzの周波数域内で行った。明らかに証明されている通り、振動ピストン及び加圧流体を含む全体配列の固有周波数に相当する約180Hzの共振周波数にて、力の最大デルタF(約95kNレベルのそれ)が得られている。制御回路における動的且つ可変な交番加圧により、本発明に係る振動及びパルス発生機に関し望ましいパラメタ群を単純なやり方で確認することができ、付随条件が変化した場合にそれらパラメタを速やかに適合させることができる。従って、本発明に係る振動又はパルス発生機によれば、その発生機に結合された建設機械ツール、例えばドリル、鑿、リッパ歯等々の地中進入具合等を、改善することができる。
図1
図2
図3