(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022078983
(43)【公開日】2022-05-25
(54)【発明の名称】電子レンジ対応冷凍包餡食品及びその方法
(51)【国際特許分類】
A23L 5/00 20160101AFI20220518BHJP
A23L 35/00 20160101ALI20220518BHJP
A23L 5/10 20160101ALI20220518BHJP
【FI】
A23L5/00 F
A23L35/00
A23L5/10 C
【審査請求】未請求
【請求項の数】20
【出願形態】OL
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2021184913
(22)【出願日】2021-11-12
(31)【優先権主張番号】63/113,376
(32)【優先日】2020-11-13
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(71)【出願人】
【識別番号】000000066
【氏名又は名称】味の素株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100080791
【弁理士】
【氏名又は名称】高島 一
(74)【代理人】
【識別番号】100136629
【弁理士】
【氏名又は名称】鎌田 光宜
(74)【代理人】
【識別番号】100125070
【弁理士】
【氏名又は名称】土井 京子
(74)【代理人】
【識別番号】100121212
【弁理士】
【氏名又は名称】田村 弥栄子
(74)【代理人】
【識別番号】100174296
【弁理士】
【氏名又は名称】當麻 博文
(74)【代理人】
【識別番号】100137729
【弁理士】
【氏名又は名称】赤井 厚子
(74)【代理人】
【識別番号】100151301
【弁理士】
【氏名又は名称】戸崎 富哉
(74)【代理人】
【識別番号】100152308
【弁理士】
【氏名又は名称】中 正道
(72)【発明者】
【氏名】ドブリッチ、アリソン
【テーマコード(参考)】
4B035
4B036
【Fターム(参考)】
4B035LC03
4B035LC12
4B035LE07
4B035LE16
4B035LG12
4B035LG26
4B035LG35
4B035LP06
4B035LP16
4B035LP35
4B035LP43
4B036LE04
4B036LF12
4B036LH11
4B036LH13
4B036LH22
4B036LP01
4B036LP14
4B036LP17
(57)【要約】 (修正有)
【課題】カバー、専用容器、もしくは専用加熱包装を必要とせずに、標準的な電子レンジ対応皿に置くだけで電子レンジで調製でき、伝統的な蒸し包餡食品と同様のしっとりとしたやわらかい皮の食感を有する調理済包餡食品を提供する。
【解決手段】電子レンジ対応冷凍包餡食品の製造方法であって、生地及び一つ以上の中具材料を含む生包餡食品を茹でて、茹で包餡食品を形成し、該茹で包餡食品を凍結して、電子レンジ対応冷凍包餡食品を形成する。該電子レンジ対応冷凍包餡食品の生地は、米粉、油、及び加工セルロースポリマーを含み、水分含有量が52.0重量%以上である。また、調理済包餡食品の調製方法であって、電子レンジ対応冷凍包餡食品を覆わずに電子レンジで加熱することを含む方法である。
【選択図】なし
【特許請求の範囲】
【請求項1】
生地及び一つ以上の中具材料を含む生包餡食品を茹でて、茹で包餡食品を形成すること、及び
該茹で包餡食品を凍結して、電子レンジ対応冷凍包餡食品を形成すること
を含む、電子レンジ対応冷凍包餡食品の製造方法であって、
該生地が、米粉、油、及び加工セルロースポリマーを含む、方法。
【請求項2】
米粉が、生地の総重量に対して2~10重量%の量で生地中に存在する、請求項1記載の方法。
【請求項3】
米粉が、もち米粉である、請求項1又は2記載の方法。
【請求項4】
生地が、小麦粉をさらに含む、請求項1~3のいずれか一項に記載の方法。
【請求項5】
小麦粉が、生地の総重量に対して50~75重量%の量で生地中に存在する、請求項4記載の方法。
【請求項6】
米粉に対する小麦粉の重量比が、10:1から20:1である、請求項4又は5記載の方法。
【請求項7】
油が、生地の総重量に対して0.5~5重量%の量で生地中に存在する、請求項1~6のいずれか一項に記載の方法。
【請求項8】
油が、大豆油である、請求項1~7のいずれか一項に記載の方法。
【請求項9】
加工セルロースポリマーが、生地の総重量に対して0.1~5重量%の量で生地中に存在する、請求項1~8のいずれか一項に記載の方法。
【請求項10】
加工セルロースポリマーが、カルボキシメチルセルロースである、請求項1~9のいずれか一項に記載の方法。
【請求項11】
生地中の油と加工セルロースポリマーの総重量が、生地の総重量に対して0.6~1.8重量%である、請求項1~10のいずれか一項に記載の方法。
【請求項12】
生地が、キサンタンガムを実質的に含まない、請求項1~11のいずれか一項に記載の方法。
【請求項13】
生包餡食品を熱水ブランチングで茹でる、請求項1~12のいずれか一項に記載の方法。
【請求項14】
請求項1~13のいずれか一項に記載の方法で製造される電子レンジ対応冷凍包餡食品。
【請求項15】
生地の水分含有量が、52.0重量%以上である、請求項14に記載の電子レンジ対応冷凍包餡食品。
【請求項16】
請求項14又は15に記載の電子レンジ対応冷凍包餡食品を、覆わずに電子レンジで加熱することを含む、調理済包餡食品の調製方法。
【請求項17】
電子レンジ対応冷凍包餡食品を、熱サセプタ及びマイクロ波吸収熱発生器を使用せずに電子レンジで加熱する、請求項16に記載の方法。
【請求項18】
電子レンジ対応冷凍包餡食品が、加熱中に水と接触しない、請求項16又は17に記載の方法。
【請求項19】
生地及び一つ以上の中具材料を含む電子レンジ対応冷凍包餡食品であって、
生地が、米粉、油、及び加工セルロースポリマーを含み、
生地の水分含有量が、52.0重量%以上である、冷凍包餡食品。
【請求項20】
生地中の油と加工セルロースポリマーの総重量が、生地の総重量に対して0.6~1.8重量%である、請求項19に記載の電子レンジ対応冷凍包餡食品。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
発明の背景
発明の分野
本発明は、電子レンジ対応冷凍包餡食品、該電子レンジ対応冷凍包餡食品を製造する方法、及び該電子レンジ対応冷凍包餡食品から調理済包餡食品を調製する方法に関する。
【背景技術】
【0002】
背景の議論
本明細書に提供されている「背景」の記載は、本開示の内容を概して示すことを目的としている。この背景部分に記載されている範囲での本発明者らの業績、及びここに記載されていなければ出願時に先行技術として認められない可能性のある記載の見地は、本発明に対する先行技術としては明示的にも黙示的にも認められない。
【0003】
包餡食品は一般に、野菜及び/又は肉具材でできた中具の周囲を包む生地由来の皮で構成される。従来、包餡食品が95~100℃で20~40分間蒸されることで、内部の材料を必要な内部温度で完全に調理すると同時に生地を調理し、消費者が楽しめる、なれ親しまれかつ望ましい皮の食感を形成する。しかし、従来の蒸し工程には時間がかかるため、食品メーカーは、従来の蒸し工程で作製されたものと同等の完全に許容できる形に、電子レンジを使用して加熱できる冷凍包餡食品の開発を長い間模索してきた。
【0004】
冷凍食品のマイクロ波加熱は比類のない利便性と安全性を提供するが、食品を内部から外部に向って短時間で加熱するという電子レンジ独特の加熱メカニズムは、包餡食品などの生地を含む特定の食品の再加熱に問題を起こすことがある。たとえば、包餡食品の生地部分(無発酵生地)は、電子レンジで加熱すると、過度の強靭化、硬化、泡立ち、及び/又はひび割れを示す傾向があり、包餡食品に不快な硬い、ゴム状の、又は粘着性の食感を与える。そのような食感の問題は、電子レンジ調理済包餡食品を放置し、皮の表面の水分が蒸発するにつれて、時間の経過とともに悪化する。
【0005】
凍結状態から電子レンジ調理された、生地含有食品の食感特性を改善する試みにおける一つのアプローチは、澱粉、ゲル化剤、キサンタンガムなどの親水コロイド、糖、モノグリセリドなどの界面活性剤、酵素等の特定の生地添加物の添加を含み、それらの例は、CN103844155A、US8741369B2、US2003/0206994A1、US2016/0338395A1、及びUS6139894に開示されている(各々が参照によりその全体が本明細書に組み込まれる)。しかし、これらの添加物を組み込んだとしても、電子レンジ調理済包餡食品製品は、伝統的な蒸し工程で得られた包餡食品と比較すると、食感特性に関してはまだ不十分である。
【0006】
冷凍包餡食品及び関連食品の電子レンジ対応性を改善するための別のアプローチは、電子レンジカバー(例、ラップ、ウェットカバー、電子レンジ対応プラスチックカバー等)、専用容器(例、水を保持し、調理工程中、包餡食品を水に接触させるように設計されたもの(たとえば、蒸し対応包装))、又は熱サセプタやマイクロ波吸収熱発生器のような専用加熱包装の使用を含み、例えばUS6329008B1、US2003/0203076A1、及びUS9974324B2(各々が参照によりその全体が本明細書に組み込まれる)に記載されている。しかしながら、これらのアプローチは、消費者にとって厄介であり、製造業者にとって費用がかかり、そして一般に、マイクロ波加熱工程の利便性を低下させる可能性がある。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
発明の概要
以上を考慮して、カバー、専用容器、もしくは専用加熱包装を必要とせずに、標準的な電子レンジ対応皿に置くだけで電子レンジで調製でき、伝統的な蒸し包餡食品と同様のしっとりとしたやわらかい皮の食感を有する調理済包餡食品を提供することができる冷凍包餡食品が求められている。
したがって、本発明の一つの目的は、上記の基準を満たす新規な電子レンジ対応冷凍包餡食品を提供することである。
電子レンジ対応冷凍包餡食品を製造するための新規な方法を提供することが、本開示の別の目的である。
電子レンジ対応冷凍包餡食品をマイクロ波加熱することで調理済包餡食品を調製するための新規な方法を提供することが、本開示の別の目的である。
【0008】
これら及び他の目的(以下の詳細な説明の中で明らかになるであろう)は、米粉、油、及び加工セルロースポリマーの組み合わせを含む生地を茹で-凍結工程に供すると、通常よりも早い速度で水に結合し、カバー、専用容器、もしくは専用加熱包装を必要とせずに、冷凍包餡食品を凍結状態から電子レンジで加熱することを可能にし、優れた食感特性を有する調理済包餡食品が提供されるという本発明者らの知見によって達成された。
したがって、本発明は以下を提供する。
【0009】
(1)生地及び一つ以上の中具材料を含む生包餡食品を茹でて、茹で包餡食品を形成すること、及び
該茹で包餡食品を凍結して、電子レンジ対応冷凍包餡食品を形成すること
を含む、電子レンジ対応冷凍包餡食品の製造方法であって、
該生地が、米粉、油、及び加工セルロースポリマーを含む、方法。
(2)米粉が、生地の総重量に対して2~10重量%の量で生地中に存在する、(1)記載の方法。
(3)米粉が、もち米粉である、(1)又は(2)記載の方法。
(4)生地が、小麦粉をさらに含む、(1)~(3)のいずれか一つに記載の方法。
(5)小麦粉が、生地の総重量に対して50~75重量%の量で生地中に存在する、(4)記載の方法。
(6)米粉に対する小麦粉の重量比が、10:1から20:1である、(4)又は(5)記載の方法。
(7)油が、生地の総重量に対して0.5~5重量%の量で生地中に存在する、(1)~(6)のいずれか一つに記載の方法。
(8)油が、大豆油である、(1)~(7)のいずれか一つに記載の方法。
(9)加工セルロースポリマーが、生地の総重量に対して0.1~5重量%の量で生地中に存在する、(1)~(8)のいずれか一つに記載の方法。
(10)加工セルロースポリマーが、カルボキシメチルセルロースである、(1)~(9)のいずれか一つに記載の方法。
(11)生地中の油と加工セルロースポリマーの総重量が、生地の総重量に対して0.6~1.8重量%である、(1)~(10)のいずれか一つに記載の方法。
(12)生地が、キサンタンガムを実質的に含まない、(1)~(11)のいずれか一つに記載の方法。
(13)生包餡食品を熱水ブランチングで茹でる、(1)~(12)のいずれか一つに記載の方法。
(14)(1)~(13)のいずれか一つに記載の方法で製造される電子レンジ対応冷凍包餡食品。
(15)生地の水分含有量が、52.0重量%以上である、(14)に記載の電子レンジ対応冷凍包餡食品。
(16)(14)又は(15)に記載の電子レンジ対応冷凍包餡食品を、覆わずに電子レンジで加熱することを含む、調理済包餡食品の調製方法。
(17)電子レンジ対応冷凍包餡食品を、熱サセプタ及びマイクロ波吸収熱発生器を使用せずに電子レンジで加熱する、(16)に記載の方法。
(18)電子レンジ対応冷凍包餡食品が、加熱中に水と接触しない、(16)又は(17)に記載の方法。
(19)生地及び一つ以上の中具材料を含む電子レンジ対応冷凍包餡食品であって、
生地が、米粉、油、及び加工セルロースポリマーを含み、
生地の水分含有量が、52.0重量%以上である、冷凍包餡食品。
(20)生地中の油と加工セルロースポリマーの総重量が、生地の総重量に対して0.6~1.8重量%である、(19)に記載の電子レンジ対応冷凍包餡食品。
【0010】
図面の簡単な説明
前述の段落は、一般的な導入として提供されたものであり、以下の特許請求の範囲を限定することを意図するものではない。記載された実施態様、及びさらなる利点は、以下の詳細な説明を添付の図面と併せて検討しながら参照することによって最もよく理解されるであろう。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【
図1】図面は、電子レンジ対応冷凍包餡食品を製造するためのプロセスフロー図を示す。
【発明を実施するための形態】
【0012】
発明の詳細な説明
以下の説明においては、他の実施態様を利用することができ、また、本明細書に開示される本実施態様の範囲から逸脱することなく、構造的及び操作上の変更を行ってもよいことが理解される。
【0013】
定義
本開示において、米粒は、従来の分類及び仕様に従って分類される。したがって、「水稲米」(もみ米)とは、脱穀後も殻を保持している米、「玄米」(brown rice又はcargo rice)とは、殻のみを取り除いた水稲米を指し、「精米」(白米)とは、ふすま及び胚芽又は胚の全部又は一部を精米することで除去した玄米を指す。「穀粒」又は「米粒」という一般的な用語は、特に明記されていない限り、これらの分類のいずれか又はすべてを指す場合がある。
【0014】
さらに、本明細書では下記の米粒サイズカテゴリーを用いる。
長粒米:
玄米の長さ/幅の比率が3.1以上の場合
精米の長さ/幅の比率が3.0以上の場合
中粒米:
玄米の長さ/幅の比率が2.1~3.0の場合
精米の長さ/幅の比率が2.0~2.9の場合
短粒米:
玄米の長さ/幅の比率が2.0以下の場合
精米の長さ/幅の比率が1.9以下の場合
【0015】
本明細書で使用される場合、「実質的に含まない」という句は、特に明記しない限り、組成物/原料の総重量に対して、1重量%未満、好ましくは0.5重量%未満、好ましくは0.1重量%未満、好ましくは0.05重量%未満、好ましくは0.001重量%未満、好ましくは0重量%の特定の成分を含む組成物/原料を指す。
【0016】
本明細書で使用される場合、「任意」又は「任意に」という用語は、後で記載される事象が発生するか又は発生しない可能性があることか、もしくは後で記載される成分が存在するか又は存在しない(例えば、0重量%)可能性があるということを意味する。
【0017】
特に断りのない限り、本開示において「包餡食品」又は「複数の包餡食品」と言う場合、蒸し包餡食品の変種、例えば、柔らかい皮の食感を有するものを指し、パリパリの食感になりがちな揚げ包餡食品又は焼き包餡食品(例えば、餃子)とは異なる。
【0018】
電子レンジ対応冷凍包餡食品
本開示は、電子レンジ調理用冷凍包餡食品に関し、該包餡食品は、凍結状態で保存でき、かつ、マイクロ波加熱により好ましい外観及び食感を有する調理済包餡食品(蒸し包餡食品の変種)を提供できるものである。以下より明らかになるように、生地を構成するために使用される材料の組み合わせと包餡食品を作製する工程とが、電子レンジ対応特性に寄与している。
【0019】
本開示の電子レンジ対応冷凍包餡食品は、一般に、生地(皮)の内側に包まれた一つ又は複数の中具材料を含み、限定されないが、伝統的な「半月」形、三角形、円錐形、マフィン形、ローフ形、ボール形、折り畳まれたリング形、とりわけ、あらゆる所望の皮エンボスパターンを含む様々な形状に形成できる。
【0020】
<中具材料>
中具材料に関して、多種多様な中具材料が、肉含有包餡食品、野菜包餡食品、及びデザートスタイルの包餡食品を含む様々な種類の包餡食品を調製するために開示された包餡食品に含まれ得ることを、当業者は当然容易に理解する。したがって、中具材料は、電子レンジで満足のいくように調理/加熱され得る限り特に制限されない。
【0021】
包餡食品の典型的/伝統的な中具材料は、本明細書の電子レンジ対応冷凍包餡食品に当技術分野における適切量で含まれ得る。当該材料は、肉、野菜、ナッツなどの原材料、栄養素、調味料/ソースなどを含み、具体的にはカモ、豚肉、鶏肉、牛肉、子羊、魚、エビ、その他のシーフード、マッシュルーム、レタス、ニンジン、竹の芽、豆、豆麺などの麺、トウモロコシ、ズッキーニ、大根、エンドウ豆、キャベツ、玉ねぎ、生姜、ピーナッツ、アーモンド、デザート、醤油、ワイン、塩、コショウが挙げられる。肉製品又は他の原材料を中具材料として使用する場合、予備調理、消毒、又は他の滅菌手順を用いることが好ましい。
【0022】
<生地>
本明細書の生地は、一般に、以下の成分を含む。少なくとも米粉を含むフラワーベース;油;加工セルロースポリマー;及び水;そして、着色剤、防腐剤、調味料(例えば、塩、砂糖など)、酵素、及び界面活性剤などの様々な添加剤を任意に含み得る。
【0023】
フラワーベース
適切なフラワーベースの選択は、生地の粘弾性、耐久性、粘着性、吸収性、及び保水性に影響を与え、結果、生地の全体的なシート性、及びそれから調製される調理済包餡食品の外観及び食感に影響を与える可能性がある。上記に照らして、本明細書では、米粉を含むフラワーベースで作られた生地が特に好ましい。特に、米粉成分は、電子レンジで調理した後、包餡食品の皮に柔らかな口当たりを与える可能性がある一方、米粉成分なしで調製された包餡食品は、マイクロ波で加熱すると許容できないゴムの食感を有する可能性がある。
【0024】
米粉は、水稲米、玄米、もしくは精米を製粉することで得られうる。好ましくは、本明細書で使用する米粉は、玄米又は精米から得られる。米粉を得るために、乾式及び湿式の両方の製粉工程を含む、当業者に知られている任意の製粉工程を用いることができる。いくつかの実施態様では、米粉の平均粒子サイズは、20μm以上、好ましくは30μm以上、好ましくは40μm以上、好ましくは50μm以上、好ましくは60μm以上、好ましくは70μm以上、好ましくは80μm以上、好ましくは90μm以上、好ましくは100μm以上であって、500μm以下、好ましくは400μm以下、好ましくは300μm以下、好ましくは200μm以下、好ましくは150μm以下、好ましくは125μm以下であるが、これらの値より上又は下の平均粒子サイズの米粉もまた考慮される。
【0025】
フラワーベースに使用される米粉は、任意の米粒品種から得られる米粉でよく、長粒、中粒、及び短粒の米品種はそれらの混合物も含めて全て適している。長粒米の品種には、標準長粒米、芳香性長粒米、及び優良長粒米が含まれ得るが、これらに限定されない。具体的にはバスマティ、ジャスミン、カルマティ、標準長粒白米、標準長粒玄米等、及びそれらの組み合わせが挙げられる。例えば、米粉は、L-205、L-206、カルマティ-201、カルマティ-202、及びA-202米の品種から得られうる。
【0026】
中粒米品種には、アルボリオ、ロト、バルド、カルナローリ、カラスパッラ、ボンバ、ビアローネ、カリフォルニア中粒、中粒リブ、標準中粒、プレミアム中粒など、及びそれらの組み合わせ、及び他の種類の特殊な中粒品種、具体的にはM-104、M-202、M-205、M-206、M-208、M-401、及びM-402中粒米品種、が含まれるが、これらに限定されない。好ましい実施態様では、米粉はカリフォルニア中粒米から得られ、その特定の例は、カリフォルニアシリアルプロダクツ社から入手可能なRFU-0801(細かく粉砕されたカリフォルニア中粒米粉)である。
【0027】
短粒米の品種には、標準短粒米、短粒もち米、プレミアム短粒米、低アミロース短粒米など、及びそれらの混合物が含まれ得る。短粒米の品種の例示には、うるち米及びもち米の両方を含むジャポニカ米、ボンバ、バレンシア、短粒アルボリオ米、例えば、標準短粒(例、S-102)、コシヒカリ、ひとめぼれ、あきたこまち、たまき、カルヒカリ(例、calhikare-201及び202)、カルモチ(例、calmochi-101及び203)、及びカルアミロー(例、calamylow-201)の米粒品種が含まれ得るが、これらに限定されない。
【0028】
米の最も食用に適した部分は澱粉であり、澱粉は通常、米の75~80重量%を占める。また、米は通常タンパク質を5~8重量%含む一方、脂質、繊維、及び灰分をそれぞれ通常約1~3重量%含む。米は通常、ミネラルとビタミンを豊富に含む。米澱粉はアミロースとアミロペクチンの2成分で構成されており、米粉の澱粉に含まれるこれらの成分の相対的な量は、生地の粘弾性と食感、及びその生地から作られる皮の喫食と調理の質に影響を与える可能性がある。
【0029】
いくつかの実施態様では、生地に使用される米粉は、米の総澱粉含有量に対する見かけのアミロース含有量(AAC)が10重量%以上、好ましくは11重量%以上、好ましくは12重量%以上、好ましくは13重量%以上、好ましくは14重量%以上、好ましくは15重量%以上、好ましくは16重量%以上、好ましくは16.5重量%以上、好ましくは17重量%以上であって、23重量%以下、好ましくは22重量%以下、好ましくは21重量%以下、好ましくは20重量%以下、好ましくは19重量%以下、好ましくは18.5重量%以下である米(例、中粒米品種)から得られる。見かけのアミロース含有量(AAC)は、メガザイム社から市販されているアミロース/アミロペクチンアッセイキット/手順であるK-AMYL 06/18に従って測定できる。
【0030】
好ましい実施態様では、生地に使用される米粉は、もち米の総澱粉含有量に対する見かけのアミロース含有量(AAC)が5重量%未満、好ましくは4重量%未満、好ましくは3重量%未満、好ましくは2重量%未満、好ましくは1重量%未満、好ましくは0.5重量%未満、好ましくは0重量%であるもち米から得られるもち米粉である。特に、生地にもち米粉を配合することで、包餡食品の皮(電子レンジ調理後)に、他の種類の米粉よりもより満足のいくやわらかい食感を与えることができる。
【0031】
生地に用いる米粉の量は変動し得るが、通常、米粉の量は、生地の総重量に対して、1重量%以上、好ましくは2重量%以上、好ましくは2.5重量%以上、好ましくは3重量%以上、好ましくは3.5重量%以上、好ましくは4重量%以上、好ましくは4.5重量%以上であって、10重量%以下、好ましくは9重量%以下、好ましくは8重量%以下、好ましくは7重量%以下、好ましくは6重量%以下、好ましくは5重量%以下である。
【0032】
米粉に加えて、生地はさらに小麦粉、好ましくは未強化小麦粉、を含み得る。小麦粉が存在する場合、小麦粉は、好ましくはフラワーベースの主要な穀粉として使用され、フラワーベースの総重量の50重量%以上、好ましくは60重量%以上、好ましくは70重量%以上、好ましくは80重量%以上であって、99重量%以下、好ましくは98重量%以下、好ましくは96重量%以下、好ましくは95重量%以下、好ましくは94重量%以下を構成する。生地に用いられる小麦粉の量は変動し得るが、通常、小麦粉は、生地の総重量に対して、50重量%以上、好ましくは52重量%以上、好ましくは54重量%以上、好ましくは56重量%以上、好ましくは58重量%以上、好ましくは60重量%以上であって、75重量%以下、好ましくは70重量%以下、好ましくは68重量%以下、好ましくは66重量%以下、好ましくは64重量%以下、好ましくは62重量%以下の量で存在する。
【0033】
理論にとらわれることなく、米粉と小麦粉の組み合わせは、粘弾性と耐久性の点で有利な生地マトリックスを提供すると同時に、米粉又は小麦粉の単独使用と比較して、生地マトリックスが通常よりも早い速度で水を保持することを可能にすると考えられている。したがって、本開示の好ましい生地は、10:1以上、好ましくは11:1以上、好ましくは12:1以上、好ましくは13:1以上であって、20:1以下、好ましくは18:1以下、好ましくは16:1以下、好ましくは14:1以下の重量比の小麦粉と米粉の混合物を用いる生地である。
【0034】
米粉及び小麦粉に加えて、生地ベースは、任意に他の種類の穀物粉を含んでもよく、その適切な例には、トウモロコシ粉、片栗粉、タピオカ粉(キャッサバ由来)、アマランス粉、葛粉、ソルガム粉Jawar)、テフ粉、チアシード粉、純そば粉、グラムフラワー(ひよこ豆由来)、雑穀粉、オート麦粉、キヌア粉、アーモンド粉、ココナッツ粉、タイガーナッツ粉、ガルバンゾー粉、及びそれらの組み合わせが含まれるが、これらに限定されない。
【0035】
好ましい生地は、米粉と小麦粉の組み合わせを含み、上記に挙げたような他の種類の穀物粉を実質的に含まない生地である。
【0036】
油
本明細書の生地にはまた、油が配合されており、これにより、i)生地の粘着性を最小限に抑えて、加工機械又は装置(例えば、ローラー、ベルト、シート機など)に付着することなく生地をシート化できるようにし、ii)生地の弾力性を改善して、操作/シート化された際の穴の形成を防ぎ、かつ/又はiii)生地に湿潤効果を与え、調理した包餡食品の皮に柔らかな、咀嚼可能な食感を与えうる。
【0037】
油成分として、様々な食用油を利用することができ、植物由来の油が好ましい。植物由来の油の適切な例には、大豆油、オリーブ油、野菜油、キャノーラ油、ホホバ油、ココナッツ油、パーム油、米胚芽油(米ぬか油)、又は当技術分野で周知の他の任意の野菜油、ならびにそれらの混合物が含まれるが、これらに限定されない。好ましい実施態様における油は大豆油である。
【0038】
油の量は、適切な非付着性を提供し、生地の弾力性を改善し、及び/又は生地に湿潤効果を与えるために必要に応じて調整することができる。通常、生地には、米生地組成物の総重量に対して、0.5重量%以上、好ましくは0.75重量%以上、好ましくは1重量%以上、好ましくは1.25重量%以上であって、5重量%以下、好ましくは4重量%以下、好ましくは3重量%以下、好ましくは2重量%以下、好ましくは1.75重量%以下、好ましくは1.5重量%以下の油を配合する。上記の量で用いる場合、本開示の電子レンジ対応冷凍包餡食品の生地成分の製造に際して、広範囲の加工技術及び機械/装置を利用することができ、そこから調製される調理済(電子レンジ調理済)包餡食品はしっとりとした、柔らかい皮の食感を持ちうる。
【0039】
加工セルロースポリマー
本明細書の生地にはまた、加工セルロースポリマーが配合されている。加工セルロースポリマーは、マイクロ波加熱後の生地の保水性を高める可能性がある。具体的には、加工セルロースポリマーを配合した生地は、水分含有量が十分に高く、マイクロ波加熱に続く冷却期間後も水分をしっかり保持する。この保湿能力の結果として、伝統的な蒸し包餡食品に近い、しっとりとした柔らかい皮の食感を有する調理済包餡食品を調製できる。
【0040】
生地は、生地の総重量に対して、0.1重量%以上、好ましくは0.2重量%以上、好ましくは0.3重量%以上、好ましくは0.4重量%以上、好ましくは0.5重量%以上であって、5重量%以下、好ましくは4重量%以下、好ましくは3重量%以下、好ましくは2重量%以下、好ましくは1重量%以下、好ましくは0.75重量%以下、好ましくは0.6重量%以下の量の加工セルロースポリマーを配合できる。
【0041】
シート性及び電子レンジ対応性の観点から特に望ましい生地は、生地の総重量に対して、油と加工セルロースポリマーの総重量が0.6重量%以上、好ましくは0.8重量%以上、好ましくは1重量%以上、好ましくは1.2重量%以上、好ましくは1.4重量%以上、好ましくは1.6重量%以上であって、1.8重量%以下、好ましくは1.78重量%以下、好ましくは1.75重量%以下である生地である。
【0042】
加工セルロースポリマーの適切な例には、メチルセルロース(MC)、エチルセルロース(EC)、ヒドロキシエチルセルロース(HEC)、ヒドロキシプロピルセルロース(HPC)、ヒドロキシエチルメチルセルロース(HEMC)、エチルヒドロキシエチルセルロース(EHEC)、メチルエチルヒドロキシエチルセルロース(MEHEC)、ヒドロキシプロピルメチルセルロース(HPMC)、カルボキシメチルセルロース(CMC)、ポリアニオン性セルロース(PAC)、及びそれらの修飾バージョン、例えば、上記のいずれかの疎水性修飾バージョン、及びそれらの混合物が含まれるが、これらに限定されない。
【0043】
生地に望ましい水分含有量を与えるという観点から、優れた水結合特性を有する修飾セルロースポリマーが用いられ、例えば、水結合能(g水/gポリマー)が100以上、好ましくは115以上、好ましくは125以上、好ましくは130以上、好ましくは140以上、好ましくは150以上の加工セルロースポリマーが挙げられる。例えば、優れたボディ及び食感を有する調理済包餡食品は、水結合能(g水/gポリマー)がポリマー(カルボキシメチルセルロース)1gあたり140~160gである加工セルロースポリマー(カルボキシメチルセルロース)を生地に組み込むことで得られうる。
【0044】
好ましい実施態様では、加工セルロースポリマーは、カルボキシメチルセルロース(CMC)である。カルボキシメチルセルロースは、セルロース骨格を構成するグルコピラノースモノマーのヒドロキシル基の一部にカルボキシメチル基(-CH2-COOH)が結合したセルロース誘導体である。カルボキシメチルセルロースは、遊離酸又はカルボン酸塩(例えば、ナトリウム塩、カリウム塩など)の形態であり得る。好ましくは、本明細書で使用されるカルボキシメチルセルロースは、カルボキシメチルセルロースナトリウム(カルボキシメチル基がナトリウム塩の形)である。
【0045】
カルボキシメチルセルロースは、任意の置換度(D.S.)(無水グルコース単位あたりのカルボキシメチル基で置換されたヒドロキシル基の数として定義される)を有してよく、D.S.が、0.6以上、好ましくは0.65以上、好ましくは0.7以上、好ましくは0.75以上、好ましくは0.8以上、好ましくは0.9以上であって、1.5以下、好ましくは1.4以下、好ましくは1.3以下、好ましくは1.2以下、好ましくは1.1以下、好ましくは1.0以下、好ましくは0.95以下のものが好ましく、特に中程度のD.S.(0.8~0.95)を有するものが最も好ましい。
【0046】
本明細書の生地には、粘度の面で広範囲のカルボキシメチルセルロースポリマーを使用することができ、例えば、粘度(2重量%水溶液として)は300~80,000cPの範囲である。2重量%溶液としての粘度が10,000cP以上、好ましくは20,000cP以上、好ましくは30,000cP以上、好ましくは35,000cP以上、好ましくは40,000cP以上であって、80,000cP以下、好ましくは70,000cP以下、好ましくは60,000cP以下、好ましくは55,000cP以下、好ましくは50,000cP以下、好ましくは45,000cP以下のものが最も好ましい。
【0047】
適しているカルボキシメチルセルロースは食品グレード(高純度)のもの、例えば、カルボキシメチルセルロースの総重量(乾燥量基準)に対して、総塩含有量が0.5重量%未満、好ましくは0.4重量%未満、好ましくは0.3重量%未満、好ましくは0.2重量%未満、好ましくは0.1重量%未満、好ましくは0.05重量%未満、好ましくは0重量%であるものである。純度に関して、総塩含有量は、材料に含まれる塩副産物のレベルを指し、塩副産物は、一般に、カルボキシメチルセルロース(例えば、塩化ナトリウム、グリコレートナトリウムなど)の製造中に生成されるものであり、セルロース骨格構造上に導入されたカルボキシメチル基の塩の形ではない。
【0048】
許容されるカルボキシメチルセルロースの例としては、アシュランド社から入手可能なAQUALON製品及びデュポン社から入手可能なWALOCEL製品、例えばWALOCEL CRT40000PA(2重量%溶液としてのD.S.が0.82~0.95であり、粘度が40,000cPであるカルボキシメチルセルロースナトリウム)が挙げられるが、これらに限定されない。
【0049】
以下に明らかになるように、米粉、油、及び加工セルロースポリマー(特にカルボキシメチルセルロース)を配合した生地は、硬化、ひび割れ、泡立ち、又は乾燥することなくマイクロ波で凍結状態から加熱できることが予期せず発見された(例えば、表5、実施例8~17を参照)。理論にとらわれることなく、加工セルロースポリマーは、生地マトリックスに不自然な歯ごたえ又は粘着性の食感を与えることなく、通常よりも早い速度で水/水分を結合及び保持すると考えられている。
【0050】
一方、他の増粘剤/安定剤を使用すると(キサンタンガムなどの包餡食品製品に共通して使用されているものであっても)、マイクロ波加熱下ではうまく機能しない、水/水分保持特性が低下した生地が得られることがわかっている(例えば、表4及び6、実施例1~7及び20を参照)。そのような場合、マイクロ波加熱によって製造された調理済包餡食品は、例えばゲル様の食感などの不自然な口当たりを有する傾向がある。そのような他の増粘剤/安定剤の例には、以下が含まれ得るが、これらに限定されない。
【0051】
コーンスターチ、タピオカ澱粉、葛澱粉、小麦澱粉、補充の米澱粉(すなわち、米粉のみから得られる総澱粉含有量を増加させるために添加される米澱粉)、馬鈴薯澱粉、甘藷澱粉、サゴ澱粉、及び緑豆澱粉(これらの澱粉の加工又はアルファ化バージョンを含む)などの、追加の澱粉材料(すなわち、フラワーベースで使用される穀粉に由来する澱粉以外の澱粉成分であり、生地に添加して総澱粉含有量を増加させるもの);
小麦繊維、トウモロコシ繊維、大麦繊維、ライ麦繊維、オート麦繊維、米繊維、セルロース粉末繊維、甜菜繊維、イヌリン、大豆繊維、エンドウ豆繊維、柑橘類繊維、綿実繊維、マスタード繊維、マメ科繊維などの、繊維;
卵黄及び卵白、ならびに、加工卵製品(酵素加工卵黄(例えば、ホスホリパーゼAなどのホスホリパーゼで加工された卵黄);凍結乾燥(粉末)卵黄;凍結乾燥(粉末)卵白;(i)ポリオキシエチレンソルビタンモノラウレート、ポリオキシエチレンソルビタンモノパルミテート、ポリオキシエチレンソルビタンモノステアレート、ポリオキシエチレンソルビタンモノオレエート、及びソルビタントリステアレートなどのポリソルベート、(ii)ホスファチジル酸、ホスファチジルエタノールアミン、ホスファチジルコリン、ホスファチジルセリン ホスファチジルイノシトール、ホスファチジルイノシトールホスフェート、ホスファチジルイノシトールビスホスフェート、ホスファチジルイノシトールトリホスフェート、セラミドホスホリルコリン、セラミドホスホリルエタノールアミン及びセラミドホスホリルグリセロールなどのリン脂質、(iii)カゼイン、(iv)アルブミン、及び(v)グリセロールモノステアレートなどの追加の乳化剤で強化された卵黄(具体的には、YELKIN、ULTRALEC、BEAKIN、PERFORMIX、及びTHERMOLEC、それぞれアーチャー・ダニエルズ・ミッドランド社から入手可能))などの、卵製品;
キサンタンガム(例えば、カーギル社から入手可能なSATIAXANE CX 90)、グアーガム、ガティガム、カラヤガム、トラガカントガム、カラギーナン、プシリウムシードガム、タマリンドシードガム、アルギン酸の塩(例えば、アルギン酸ナトリウム、アルギン酸カリウム、アルギン酸アンモニウム、アルギン酸カルシウムなど)及び修飾アルギン酸塩(例えば、プロピレングリコールアルギン酸塩、具体的には、KIMILOIDHVなどのKIMILOID製品、キミカ社から入手可能)を含むアルギン酸塩類、ローカストビーンガム、寒天、タピオカ、ゼラチン、ペクチン、アラビアゴム(アカシア)、TICガム社から入手可能なCARAGUMなどのガムの混合物又はブレンドなどの、ガム(親水コロイドとも呼ばれる)。前記ガムは、単独で、又は、酢酸カルシウム、クエン酸カルシウム、グルコン酸カルシウム、グリセロリン酸カルシウム、リン酸一カルシウム、リン酸二カルシウム、およびリン酸三カルシウム、硫酸カルシウム、炭酸カルシウム、乳酸カルシウム、及び亜リン酸カルシウムなどのゲル化剤と組み合わせて使用してもよい。
【0052】
加工セルロースポリマー(例えば、カルボキシメチルセルロース)は増粘剤/安定剤と見なすことができるが、本開示における加工セルロースポリマーは、少なくとも生地の中でのそれらの挙動が異なるため、「他の増粘剤/安定剤」とは異なる別個のものと見なされることに留意されたい。そのような他の増粘剤/安定剤を、本明細書の生地に用いてはならないわけではないが、それらを任意に用いる場合は、許容される食感を達成するために加工セルロースポリマーを一緒に用いる必要がある。しかしながら、好ましい電子レンジ対応冷凍包餡食品は、加工セルロースポリマーを唯一の増粘剤/安定剤として含む生地から調製されたもの、すなわち、他の増粘剤/安定剤を実質的に含まないもの、特に、キサンタンガムを実質的に含まないもの、である。
【0053】
水
生地はさらに、生地の総重量に対して、通常25重量%以上、好ましくは28重量%以上、好ましくは30重量%以上、好ましくは31重量%以上、好ましくは32重量%以上であって、50重量%以下、好ましくは45重量%以下、好ましくは40重量%以下、好ましくは35重量%以下、好ましくは以下33重量%の量の水を含む。生地の製造に使用される水は、好ましくは、高温の水、例えば、40℃以上、好ましくは45℃以上、好ましくは48℃以上であって、75℃以下、好ましくは70℃以下、好ましくは65℃以下、好ましくは60℃以下、好ましくは55℃以下、好ましくは50℃以下の温度の水である。
【0054】
添加物
当業者に知られている様々な添加剤を、当技術分野における適切なレベルで、生地に任意に配合しても良い。任意の添加物の非網羅的なリストには、着色剤、防腐剤、調味料(例えば、塩、砂糖など)、酵素、及び界面活性剤が含まれるが、これらに限定されない。
【0055】
本明細書に記載の生地で、一般に、白色、オフホワイト、又はクリーム色の包餡食品の皮(調理後)を製造する。しかしながら、所望される場合は、顔料及び染料の両方を含む様々な着色剤を任意に生地に添加し、望む色にすることができる。例えば、伝統的な蒸し包餡食品はやや黄色であるので、蒸し包餡食品の伝統的な皮の色と一致させるために、本明細書の生地は、黄-橙色スペクトルの着色剤を任意に配合しても良い。食品グレードの黄-橙色着色剤の例としては、ターメリック、サフラン、ゴールデンビート染料、ベータカロチン、イエローNo.5(タートラジン、E102)、イエローNo.6(サンセットイエローFCF、E110)、キノリンイエロー(E104)、ならびにそれらの混合物が挙げられるが、これらに限定されない。もちろん、当業者によってよく理解されているように、着色剤は、黄-橙色スペクトルのものに限定されず、他の色スペクトルの様々な着色剤(ブルーNo.1(ブリリアントブルーFCF、E133)、ブルーNo.2(インジゴチン、E132)、グリーンNo.3(ファストグリーンFCF、E143)、レッドNo.3(エリスロシン、E127)、レッドNo.40(アルラレッドAC、E129)、ならびにそれらの混合物を含むがこれらに限定されない)を本明細書で利用し、さまざまな色(たとえば、赤、オレンジ、緑、茶色など)をした調理済包餡食品を製造できる。所望の場合、着色剤は、生地の総重量に対して、通常1重量%以下、好ましくは0.5重量%以下、好ましくは0.3重量%以下、好ましくは0.2重量%以下、好ましくは0.1重量%以下、好ましくは0.05重量%以下の量で生地に使用される。
【0056】
本開示の電子レンジ対応冷凍包餡食品は、喫食できる状態になるまで冷蔵/冷凍庫で保管されることを意図しているので、防腐剤の使用は必要ではないか、もしくは好ましくない。しかしながら、所望の場合は一つ以上の防腐剤を、生地の総重量に対して、0.001重量%以上、好ましくは0.01重量%以上、好ましくは0.1重量%以上であって、2重量%以下、好ましくは1重量%以下、好ましくは0.5重量%以下の量で生地に任意に含んでもよい。防腐剤は、抗菌剤、安定剤、及び/又は抗酸化剤として作用して、カビの成長、細菌の成長、分解又は化学的分解(例えば、酸化分解)を防ぎ、生地及び/又は中具材料をより長期間新鮮に保つことができる。食品での使用に適した防腐剤は、当業者によく知られている。説明のための実例には、安息香酸塩類(例えば、安息香酸ナトリウム、安息香酸)、ソルビン酸塩類(例えば、ソルビン酸、ソルビン酸ナトリウム、ソルビン酸カリウム)、クエン酸塩類(例えば、クエン酸)、プロピオン酸塩類(例えば、プロピオン酸)、アスコルビン酸塩類(例えば、アスコルビン酸、アスコルビン酸ナトリウム)、及びそれらの混合物が含まれるが、これらに限定されない。
【0057】
生地はまた、様々な香味料又は調味料を、生地の総重量に対して、例えば、5重量%以下、好ましくは4重量%以下、好ましくは3重量%以下、好ましくは2重量%以下、好ましくは1重量%以下、好ましくは0.5重量%以下、好ましくは0.1重量%以下の量で任意に配合することができる。塩化ナトリウム、塩化カルシウム、塩化カリウム、塩化マグネシウム、ならびにカルシウム、カリウム、及びマグネシウムの硫酸塩類、及びそれらの混合物(例えば、海塩など)などの塩;ならびにショ糖、マルチトール、ソルビトール、乳糖、トレハロースなどの砂糖又は甘味料などが特に挙げられる。生地は実質的に香味料を含まないものが好ましい。
【0058】
本開示の電子レンジ対応冷凍包餡食品は、発酵していない生地から作られ、したがって、本明細書の好ましい生地は、膨張剤を実質的に含まない。膨張剤には、酵素膨張剤と化学的膨張剤の両方が含まれ、Saccharomyces cerevisiae(例えば、パン屋の酵母、ビール)、Clostridium perfringens、及びUS2003/0206994A1(参照によりその全体が本明細書に組み込まれる)に記載されている酵素、ベーキングソーダ、ベーキングソーダ及び/又はクレームタータ/酸塩を含むベーキングパウダー、酒石酸、リン酸一カルシウム、硫酸アルミニウムナトリウム、リン酸二カルシウム、グルコノデルタラクトン、重炭酸アンモニウム、炭酸アンモニウム、それらの水和物、及びそれらの混合物が特に挙げられる。しかしながら、生地の結合品質を改善し、より耐久性のある接続/ネットワークを形成するために、結合酵素を、生地の総重量に対して、例えば、0.0001重量%以上、好ましくは0.001重量%以上、好ましくは0.01重量%以上、好ましくは0.1重量%以上であって、0.5重量%以下、好ましくは0.4重量%以下、好ましくは0.35重量%以下の量で、任意に生地の中に含んでもよい。適切な結合酵素の例としてはトランスグルタミナーゼ酵素が挙げられ、これを、生地に存在するタンパク質を(例えば、グルタミン及びリジン残基のイソペプチド結合形成を介して)連結するための加工助剤として任意に添加することで、よりネットワーク化され、より耐久性のある生地にし得る。味の素社から入手可能なACTIVA RM、並びに、植物由来のアプリケーション用に設計された又は使用可能なトランスグルタミナーゼ酵素(Mea,M.D.et.al.、Plant Physiol.、2004、135(4)、pg.2046-2054及びUS6030821A(それぞれ参照によりその全体が本明細書に組み込まれる)に記載されているAtPng1pなど)が、特に挙げられる。好ましい実施態様では、結合酵素は、本明細書の生地には使用されない。
【0059】
食品グレードの界面活性剤を本明細書に開示される生地に任意に含んでもよい。例としては、グリセリド(モノグリセリド、ジグリセリド、及びトリグリセリド)、ラクチレート、ラクテート、ホスフェート、ステアレート、ソルベート、ソルビタンエステルなどが挙げられるがこれらに限定されない。特に、ほんの数例を挙げると、アセチル化水素化ココナッツグリセリド、アセチル化水素化綿実グリセリド、アセチル化水素化大豆油グリセリド、アセチル化ラードグリセリド、脂肪酸のアセチル化モノグリセリド及びジグリセリド、脂肪酸のモノグリセリド及びジグリセリドのアセチル化酒石酸エステル、アシルラクチレート、カルシウムラクテート、カルシウムホスフェート一塩基性一水和物、カルシウムホスフェート三塩基性、カルシウム/ナトリウムステアロイルラクチレート、カルシウムステアレート、カルシウムステアロイルラクチレート、キャノーラオイルグリセリド、カプリックトリグリセリド、カプリリック/カプリックトリグリセリド、及びカプリリックトリグリセリドである。
【0060】
<水分含有量>
生地を構築するために使用される上記の成分の特定の組み合わせに加えて、開示された電子レンジ対応冷凍包餡食品を製造するために用いる工程はまた、生地の水分含有量に影響を及ぼし、その電子レンジ対応性に寄与することが見出された。
【0061】
電子レンジ調理で容易に調理でき、優れた外観及び食感を持つ調理済み包餡食品(本明細書では「電子レンジ調理対応」と称する)となる冷凍包餡食品を提供するために、本発明者らは、冷凍包餡食品を構成するために使用される生地の含水率(湿重量基準)が、52.0重量%以上、好ましくは52.5重量%以上、好ましくは53.0重量%以上、好ましくは53.5重量%以上、好ましくは54.0重量%以上、好ましくは54.5重量%以上、好ましくは55.0重量%以上、好ましくは55.5重量%以上、好ましくは56.0重量%以上、好ましくは56.5重量%以上、好ましくは以上57.0重量%、好ましくは以上57.5重量%、好ましくは58.0重量%以上、好ましくは58.5重量%以上、好ましくは58.6重量%以上、好ましくは58.7重量%以上、好ましくは58.8重量%以上、好ましくは58.9重量%以上、好ましくは59.0重量%以上、好ましくは59.1重量%以上、例えば、含水率が52.0~60重量%、あるいは、その間の任意の範囲、が望ましいことを見出した(含水率は、例えば、水分分析装置(例えば、オーハウス社から入手可能なMB27水分分析装置)を使用して決定される)。上記の最小値を下回る水分含有量では、包餡食品の皮には、マイクロ波加熱後に乾燥、ひび割れ、硬化、ゲル化、及び/又は粘着性が生じる可能性がある。
【0062】
電子レンジ対応冷凍包餡食品の調製方法
上で論じた生地成分の組み合わせに加えて、本発明者らは、(i)生包餡食品を茹でること、及び(ii)茹で包餡食品を凍結することを含む、茹でに基づく工程が、十分に高い生地水分含有量を有する冷凍包餡食品を提供し、それによって冷凍包餡食品が「電子レンジ対応」になる、ということを発見した。
【0063】
本明細書に開示される電子レンジ対応冷凍包餡食品は、例えば、当業者に知られているように、生地を混合/混練する、手で包餡食品を成形/造形するなどの手動のステップなどの手動方法を使用して作製することができるが、商業的製造のためにベンチ-トップ又はライン-ランのいずれかの機械装置の使用を伴う方法が好ましい。説明のために、図に示されているプロセスフロー図を参照して、方法例について論じる。
【0064】
生地自体は、当業者に知られている任意の方法/適切な技術によって調製することができる。例として、生地は、最初にすべての乾燥(非液体)材料(例えば、フラワーベース、加工セルロースポリマー等)のドライミックスを調製し、別個に、すべての湿潤(液体)材料(例えば、水、油、着色剤等)のウェットミックスを調製することによって製造できる。
【0065】
ドライミックスを構成する成分は、任意の順序で容器に加えられ、かき混ぜる、撹拌する、及び/又はブレンドすることによって一緒に混合され、この混合は、手動又は混合機によって達成され得る。好ましくは、乾燥材料は、ドライミックス全体に各成分が均一に分布するまで混合される。あるいは、既製のドライミックスを入手し、その後、生地を作るために使用してもよく、例えば、ドライミックスは、入手(例えば、購入)してそのまま使用する独立した市販品であってもよい。
【0066】
同様に、ウェットミックスを構成する成分は、任意の順序で容器に加えられ、かき混ぜる、撹拌する、及び/又はブレンドすることによって一緒に混合され、この混合は、手動又は混合機によって達成され得る。好ましくは、湿潤材料は、ウェットミックス全体に各成分が均一に分布するまで混合される。好ましい実施態様では、ウェットミックスは、5:1以上、好ましくは10:1以上、好ましくは15:1以上、好ましくは20:1以上、好ましくは25:1以上であって、100:1以下、好ましくは80:1以下、好ましくは60:1以下、好ましくは40:1以下、好ましくは30:1以下である、油に対する水の重量比で調製される。好ましい実施態様では、ウェットミックスを作るために使用される水は、室温より高く、例えば、40℃以上、好ましくは45℃以上、好ましくは48℃以上であって、75℃以下、好ましくは70℃以下、好ましくは65℃以下、好ましくは60℃以下、好ましくは55℃以下、好ましくは50℃以下の温度である。このようにして、ウェットミックスをドライミックスと組み合わせると、熱水は、ドライミックスに含まれる澱粉成分を部分的にゲル化させ、その結果、結合特性が改善され、その後のいかなる成形工程でも裂け目や破損の発生が減る生地をもたらすことができる。
【0067】
次に、ウェットミックスをドライミックスと組み合わせることができるが、これは、ウェットミックスをドライミックスに追加するか、ドライミックスをウェットミックスに追加することによって行うことができる。ウェットミックスのドライミックスへの添加(又はその逆)は、一度に行ってよく、あるいは、ゆっくりと部分的に、かつ同時に混合しながら行ってもよい(S1)。混合(例えば、かき混ぜ、撹拌、ブレンド、叩く、又は泡立て)は、カウンタートップミキサー又は市販のミキサーなどの生地ミキサー内で機械的に行うのが好ましい。
【0068】
十分な混合の後、得られた生地ミックスをローファー(S2)に搬送し、生地を形成することができる。ここで、生地ミキサーからの生地ミックスは、生地を所望の包餡食品形状にシート化及び成形することができるよう生地ネットワークを確立するために、ローファーにおいて混練、加工、プレス、及び/又は折り畳まれうる。当業者に知られている任意のローファーを本明細書の方法で使用することができる。
【0069】
別途、任意の所望の中具材料又は中具材料の組み合わせを、カウンタートップミキサー又は市販のミキサーなどの中具ミキサーに添加してもよく、それにより、中具材料を、好ましくは均質な中具混合物になるまで、かき混ぜ、撹拌、ブレンド、叩く、又は泡立てることができる(S3)。
【0070】
次に、ローファーからの生地及び中具ミキサーからの中具混合物は、それぞれ、包餡食品を組み立てて成形/造形する成形機に運ばれうる(S4)。包餡食品を成形するのに適した成形機は当業者に知られており、開示される方法は特定のタイプの成形機に限定されない。一般に、適切な成形機は、連続した操作で包餡食品を成形するように構成される。連続操作の例を以下に概説する。最初に、生地を一つ又は複数のミルに通して、望ましい品質及び厚さの生地シートを用意する。次に、中具混合物を生地シートの間に挟み込む。充填された生地は、半円、半月形等の所定の幾何学的断面のダイを通過し、充填された生地が通過するときに、包餡食品は生地シートから切り取られ、充填されて密封された包餡食品が得られる。包餡食品を任意の所望の形状又はデザインに加工するために、追加の成形及び/又はエンボス加工操作を任意に実行することができる。この段階では、包餡食品の生地は生(未調理)であるため、包餡食品は正確には生包餡食品と呼ばれうる。
【0071】
本開示の方法は、次に生包餡食品を茹でて、茹で包餡食品を形成することを含む(S5)。好ましい茹で操作は、生の包餡食品の部分的な調理のみをもたらし、それによって生地に存在する澱粉成分が部分的にゼラチン状に変換されるが、包餡食品が完全に調理される前に茹で操作が停止される(すなわち、澱粉成分が完全に調理される前に停止される)操作である。
【0072】
開示された方法における茹で工程は、例えば、生包餡食品の半茹で又は熱水ブランチングによって達成することができる。好ましい実施態様では、生包餡食品は熱水ブランチングによって茹でられる。本明細書で使用できる熱水ブランチャーの例には、ブランチングバスケット、ロータリースクリューブランチャー又はロータリードラムブランチャー、ベルトスプレーブランチャー、リールブランチャー、及びパイプブランチャーが含まれるが、これらに限定されない。これらのいずれにも、茹で工程を停止するための内蔵冷却ゾーンが任意に装備されていてもよい。
【0073】
茹で操作は、生包餡食品を70℃以上、好ましくは75℃以上、好ましくは80℃以上、好ましくは82℃以上、好ましくは84℃以上、好ましくは86℃以上、好ましくは88℃以上、好ましくは90℃以上、好ましくは92℃以上であって、99℃以下、好ましくは98℃以下、好ましくは97℃以下、好ましくは96℃以下、好ましくは95℃以下の温度を有する熱水に浸漬することによって実施できる。例えば、ロータリードラムブランチャーでは、生包餡食品は重力シュート又はインフィード水路を経由して、上記温度範囲の熱湯で底部が満たされた調理ゾーンシリンダーに供給され、生包餡食品は回転オーガー又はヘリカルスクリューで調理ゾーンシリンダーの底部を通り抜けることができる。好ましい実施態様では、生包餡食品は、茹で手順全体を通して上記の温度範囲内で一定の温度に維持される熱湯に浸漬される。あるいは、例えば、生包餡食品がベルトスプレーブランチャー内でベルト上を運ばれるときに、生包餡食品に上記の温度範囲の熱水を噴霧することによって、茹で操作を実施することができる。
【0074】
茹で時間は、用いる茹で温度、生地の厚さなどによって異なりうる。通常、生包餡食品は、1分以上、好ましくは2分以上、好ましくは3分以上、好ましくは4分以上であって、10分以下、好ましくは9分以下、好ましくは8分以下、好ましくは7分以下、好ましくは6分以下、好ましくは5分以下で茹でられる。もちろん、生包餡食品に火が通り過ぎずに(完全に調理されずに)部分的に調理されている限り、上記以外の茹で時間を利用することができる。
【0075】
茹で工程は、電子レンジ対応である冷凍包餡食品、すなわち、電子レンジ調理によって凍結状態から容易に調理することができ、優れた外観及び食感を有する調理済包餡食品になる冷凍包餡食品、を製造するための本明細書の方法において、役割を果たすことが見出された。特に、前述の茹で工程(S5)(例えば、熱水ブランチング)に供される本明細書に記載の生地は、52.0重量%以上、好ましくは52.5重量%以上、好ましくは53.0重量%以上、好ましくは53.5重量%以上、好ましくは54.0重量%以上、好ましくは54.5重量%以上、好ましくは55.0重量%以上、好ましくは55.5重量%以上、好ましくは56.0重量%以上、好ましくは56.5重量%以上、好ましくは57.0重量%以上、好ましくは57.5重量%以上、好ましくは58.0重量%以上、好ましくは58.5重量%以上、好ましくは58.6重量%以上、好ましくは58.7重量%以上、好ましくは58.8重量%以上、好ましくは58.9重量%以上、好ましくは59.0重量%以上、好ましくは59.1重量%以上の望ましい水分含有量(湿重量基準)を有し、したがって、単純なマイクロ波加熱による調理に好適であることが見出された(たとえば、表5、実施例8~17を参照)。
【0076】
対照的に、蒸しなどの他の(部分的な)調理方法は、茹でより劣ることがわかった。たとえば、茹でではなく(部分的な)蒸し調理を使用すると、生地の含水率が低くなり(たとえば、50重量%未満)、冷凍包餡食品をマイクロ波加熱すると、乾燥し泡立った皮の外観及び非常に強靭でゴム状の食感など(例えば、表6、実施例23を参照)の、許容できない食感と外観になることがわかった。したがって、好ましい実施態様では、本明細書に記載の電子レンジ対応冷凍包餡食品を製造する方法は、生包餡食品を茹でることを含み、蒸す、油ちょう(例えば、油で揚げる、フライパンで焼くなど)、及び/又は焼く操作などの他のいかなる調理操作をも含まない。
【0077】
茹で操作(S5)が完了と思われたら、次に、茹で包餡食品を、好ましくは急速冷却によって冷却して(S6)、調理工程を停止してもよい。急速冷却は、茹で包餡食品を冷水、冷却空気、又はその両方の組み合わせにさらすことで行い得る。茹で包餡食品を冷水で冷やすには、茹で包餡食品を冷水浴/冷水機に浸すか、茹で包餡食品に冷たい水を噴霧してよい。冷水は、1℃以上、好ましくは2℃以上、好ましくは3℃以上、好ましくは4℃以上であって、15℃以下、好ましくは10℃以下、好ましくは8℃以下、好ましくは6℃以下、好ましくは5℃以下の温度を有し得る。冷却空気冷却は、例えば、冷却ファンを使用して、茹で包餡食品の上に冷却空気を循環させることを含み得る。冷却ステップ(S6)は、独立した装置で行ってもよいし、例えば、熱水ブランチャーがブランチングゾーンと冷却ゾーンの両方を一つの装置に含む場合、茹で工程と関連して行ってもよい。例えば、熱水ブランチャーは、ロータリードラム式のクッカー・クーラーであり、調理ゾーンシリンダーで湯通しされた後の茹で包餡食品は上記温度範囲の冷水で底部が満たされた冷却ゾーンシリンダーに進み、回転オーガー又はヘリカルスクリューで冷却ゾーンシリンダー底部を進み続け、排出シュートから排出されうる。利用する冷却の種類、冷水及び/又は冷却空気の温度、ならびに冷却曝露時間は、冷却操作が茹で操作を停止させ、包餡食品が過度に調理される(完全に調理される)のを防ぐ限り、特に制限されない。通常、茹で包餡食品は、30秒以上、好ましくは1分以上、好ましくは2分以上、好ましくは3分以上、10分以下、好ましくは8分以下、好ましくは6分以下、好ましくは4分以下で冷却される。
【0078】
茹で包餡食品(S7)を任意に選別した後、例えば、シェーカーテーブルで、茹で包餡食品を凍結(S8)して、電子レンジ対応冷凍包餡食品を形成する。本明細書の凍結工程では、標準的な凍結方法を用いて、茹で包餡食品を水の凝固点付近(例えば、0~4℃)の温度にさらすか、もしくは急速凍結工程を用いて、茹で包餡食品を水の凝固点よりはるかに低い極低温にさらしてもよい。茹で包餡食品の凍結は、伝統的なスタンディングフリーザー(例えば、市販のフリーザー)、スパイラルベルトフリーザー、プレートフリーザーなどを使用して行うことができる。商業的スループットの観点から、本明細書における好ましい方法では、スパイラルフリーザーなどのベルト/インラインフリーザーを用いる。
【0079】
このようにして得られた電子レンジ対応冷凍包餡食品は、任意の不活性化(脱酸)手順を含む、当業者に知られている従来の包装技術を使用して包装及び保管(S9)することができる。
【0080】
調理済包餡食品の調製方法
本開示はまた、マイクロ波加熱を使用して、調理済包餡食品を、電子レンジ対応冷凍包餡食品から調製する方法を提供する。本明細書における方法の主な利点の一つは、それらが便利で実行が簡単なことである。電子レンジ対応冷凍包餡食品は、例えば、電子レンジ対応冷凍包餡食品を単に電子レンジ対応皿(例えば、皿、ボウル、電子レンジトレイ、電子レンジターンテーブル等)、もしくは、電子レンジ内部の底面に置き、蓋をせずに放置し、マイクロ波エネルギーを使用して加熱するだけでよいように設計されている。
【0081】
例として、一個の電子レンジ対応冷凍包餡食品は、電子レンジ内で、700W以上、好ましくは800W以上、好ましくは900W以上、好ましくは1,000W以上、好ましくは1,100W以上であって、1,500W以下、好ましくは1,400W以下、好ましくは1,300W以下、好ましくは1,200W以下の出力で、25秒以上、好ましくは30秒以上、好ましくは35秒以上、好ましくは40秒以上であって、90秒以下、好ましくは75秒以下、好ましくは60秒以下、好ましくは55秒以下、好ましくは50秒以下、好ましくは45秒以下、あるいは、40℃以上、好ましくは45℃以上、好ましくは50℃以上であって、75℃以下、好ましくは70℃以下、好ましくは65℃以下、好ましくは60℃以下、好ましくは55℃以下の内部温度に達するまで、加熱することができる。もちろん、これらの範囲より上又は下のマイクロ波時間/出力も本明細書では企図されており、当業者によく知られているように、マイクロ波加熱の長さ及びマイクロ波の出力は、電子レンジ製造業者の指示、調理したい電子レンジ対応冷凍包餡食品の数、調理する包餡食品の種類(例えば、肉包餡食品対デザートタイプの包餡食品)などに従って調整することができる。
【0082】
開示された方法における使用は意図されているが、電子レンジカバー、特殊容器、又は特殊加熱包装は必要ではなく、好ましくは該方法はこれらを使わずに行われる。これは、電子レンジ対応冷凍包餡食品の生地が、そのようなカバー/容器/包装なしに、伝統的な蒸し包餡食品に類似した有利な保湿性と食感プロファイルを実現するように設計されているためである。
【0083】
電子レンジカバーとしては、ビニール袋;粘着フィルム、ポリエチレン食品ラップ(例:SCジョンソン社のSARANラップ)、ポリ塩化ビニリデン食品ラップなどのプラスチックラップ;ペーパータオルカバーなどの紙ベースのカバー;湿らせたペーパータオルカバーなどの濡れたカバー;ポリプロピレン、ポリカーボネート、シリコーンなどから作られた電子レンジ対応プレートカバー/スプラッタガードなどの電子レンジ対応プラスチックカバーが挙げられるが、これらに限定されない。
【0084】
特殊容器としては、蒸し対応袋、蒸し対応トレイ、又は調理工程全体を通して水を保持し、包餡食品を水と接触させるように設計された他のタイプの包装、例えば、US6329008B1(参照によりその全体が本明細書に組み込まれる)に記載されているものが挙げられるが、これらに限定されない。
【0085】
特殊加熱包装としては、熱サセプタ又はマイクロ波吸収熱発生器(金属化フィルム、セラミック、又は金属(例えば、アルミニウムフレーク)で作られたもの、例えば、US2003/0203076A1及びUS9974324B2(それぞれ参照によりその全体が本明細書に組み込まれる)に記載されているものなど)が挙げられるが、これらに限定されない。
【0086】
最大の利便性のために、電子レンジ対応冷凍包餡食品は、電子レンジでの加熱の前に解凍しないことが好ましく、凍結状態から直接電子レンジ加熱に供される。
【0087】
本明細書の方法は、マイクロ波加熱工程中に、茹で、蒸し、又は冷凍包餡食品の保湿を行うために、電子レンジに水を加えることを必要としない。好ましくは、電子レンジ対応冷凍包餡食品は、加熱中に水と接触しない。
【0088】
電子レンジ対応冷凍包餡食品が加熱中に水と接触しないと記載されている場合、「水」は、包餡食品の加熱を助けるため、又は包餡食品皮の乾燥を防ぐために特別に加えられる補足的な水を指す。例えば、好ましくは、電子レンジ対応冷凍包餡食品は、電子レンジ加熱中に、(完全に又は部分的に)水に沈められることはなく、水の加熱によって蒸すために水の貯蔵部の上に置かれことはなく、包餡食品の皮等に水分を与えるために水でぬれたカバーで覆われることもない。この文脈において、「水」には、通常の大気(例えば、湿った空気)中に存在する残留水分も、電子レンジ対応冷凍包餡食品自体の表面に存在する残留水分(例えば、凍結工程のために電子レンジ対応冷凍包餡食品上に存在する小さな氷結晶)も含まれない。
【0089】
好ましい方法は、マイクロ波加熱が、電子レンジ対応冷凍包餡食品を調理済包餡食品に変換するために採用される唯一の熱源であり、油ちょう(例えば、油で揚げる、フライパンで焼く等)、茹で、蒸し、焼きなどの他の加熱技術を採用しない方法である。
【0090】
以下の実施例は、電子レンジ対応冷凍包餡食品、製造方法、及びそれから調理済包餡食品を製造する方法をさらに説明することを意図しており、特許請求の範囲を限定することを意図していない。
【実施例0091】
実施例
冷凍包餡食品
【0092】
生地
冷凍包餡食品を作るために使用されるいくつかの生地の例を表4~6に示す。各成分の量は、生地の総重量(100%)に対する重量パーセントで表す。RFU-0801は、カリフォルニアシリアルプロダクツ社から入手可能な細かく粉砕されたカリフォルニア中粒米粉である。使用されたもち米粉は、Koda Farms Mochiko Sweet Rice Flourである。使用されたキサンタンガムは、カーギル社から入手可能なSATIAXANE CX90である。WALOCEL CRT 40000PAは、D.S.が0.82~0.95であり、2重量%水溶液としての粘度が40,000cPであるカルボキシメチルセルロースナトリウムで、デュポン社から入手できる。生地を作るために使用された熱水の温度は120°F(48.9℃)であった。
*は例が比較例であることを示す。
【0093】
中具材料
下記の実施例で使用した中具材料は以下であった:鶏肉、キャベツ、玉ねぎ、ねぎ、砂糖、醤油、油、鶏肉ベース、コーンスターチ、塩、みりん、照り焼き調味料、酵母エキス。
【0094】
調製方法
冷凍包餡食品は、「ライン-ラン」(電子レンジ対応冷凍包餡食品が商業用プロセッシング装置を使用してライン-ランで準備された場合)と示されていない限り、ベンチ-トップ装置を使用して下記の手順に従って準備された(図に示す):
すべての乾燥(非液体)材料(例えば、穀粉、CMC、キサンタンガム等)を組み合わせてドライミックスを形成し、別途、すべての湿潤(液体)材料(例えば、水、大豆油等)を組み合わせてウェットミックスを形成した。ドライミックスとウェットミックスを生地ミキサー(ベンチ-トッププロセス用のカウンタートップミキサー又はライン-ランプロセス用の市販ミキサー)で合わせ、均一な生地ミックスができるまで混合した。
次に、生地ミックスをローファーで生地に成形した。この段階で、生地のシート性を以下のように分析した。
これとは別に、中具材料を中具ミキサー(ベンチ-トッププロセス用のカウンタートップミキサー又はラインランプロセス用の市販ミキサー)に追加し、均一な中具混合物ができるまで混合した。
ローファーからの生地と中具ミキサーからの中具混合物をそれぞれ成形機に移して、生包餡食品を成形/造形した。
生包餡食品を次に:
i)(工程:茹で)温度199~203°F(92.8~95℃)の熱水を有する熱水ブランチャーにおいて、熱水ブランチ時間5分で茹でて、茹で包餡食品を形成するか、あるいは
ii)(工程:蒸し)蒸気ブランチャーを使用して、生包餡食品を穴あきトレイに置き、蒸気注入100%、温度20℃で9分間蒸して、蒸し包餡食品を形成した。
次に、i)の茹で包餡食品又はii)の蒸し包餡食品を、熱水ブランチャー又は蒸気ブランチャーにそれぞれ付随する冷却ゾーンで35~40°F(1.7~4.4℃)の冷水を使用し3分の冷水時間で冷却した。
冷却後、茹で/蒸し包餡食品をシェーカーテーブルで選別し、スパイラルベルト冷凍庫に送って凍結し、冷凍包餡食品を形成した。この段階で、以下に説明するように水分及び官能分析を行った。
【0095】
評価方法
【0096】
生地のシート性
包餡食品成形機でシート状にする間に生地のシート性を分析し、表1に従って「A」、「B」、「B(-)」又は「C」と評価した。
【0097】
【0098】
水分分析
【0099】
装置:
水分計-MB27水分計、オーハウス社から入手可能
フードプロセッサー-キッチンエイドモデル:KFC3516CU
【0100】
プロトコル:
5つの冷凍包餡食品を冷凍庫から取り出し、プレートに置き、ラップで覆い、20分かけて室温(75°F/23.0℃)まで解凍した。
各包餡食品から中具を取り除き、生地を集めて混ぜ合わせ、フードプロセッサーに入れ、均一になるまで刻んだ/混合した。
フードプロセッサーから、刻んだ/混合した生地5gを水分計(160℃に設定)に入れ、生地の水分含有量を記録した(湿重量基準、生地サンプル総重量に対する重量%)。
【0101】
官能分析
【0102】
装置:
1,200W電子レンジ
【0103】
プロトコル:
冷凍包餡食品をプレートに置き、内部温度が135°F(57.2℃)に達するまで40秒間電子レンジ(1,200W)で加熱した。
【0104】
調理済包餡食品は、プロファイリングの経験を持ち、感覚の鋭敏さについて事前にスクリーニングを受けた、訓練を受けたパネルによって評価された。訓練を受けたパネルは、調理済包餡食品を外観と食感で評価し、それぞれ表2と表3の評価基準に従ってそれぞれの評価結果を出した。
【0105】
【0106】
【0107】
電子レンジ加熱後に「OK」又は「良好」の外観評価結果と「A」(許容可)の食感評価結果を受けた冷凍包餡食品は、「電子レンジ対応」(つまり、電子レンジ対応冷凍包餡食品)と見なされた。
【0108】
評価
冷凍包餡食品 実施例1~7(比較)を表4に示す。示されているように、小麦粉と米粉、キサンタンガム、カルボキシメチルセルロース、タピオカ粉、及び卵白粉の混合物を使用して調製された生地は、シート性の点で機能せず(ローラーに貼り付いて、表面が剥がれ/はげた)、調理済包餡食品に許容できない食感を与えた(実施例1~2)。タピオカ粉と卵白粉を取り除くと、わずかに改善されたが、それでも生地は劣っていた(実施例3及び4)。中粒米粉(RFU-0801)とキサンタンガム(SATIAXANE CX 90)の両方の配合量を減らすと、シート化可能な生地が得られたが、そのような生地を使うと、許容できない食感を有する調理済包餡食品ができた(実施例5~7)。具体的には、パネルが好んだ食感は実施例5>実施例6>実施例7であったが、すべての実施例において、食感はゲルのような口当たりを伴う奇妙で不自然なものであった。
【0109】
電子レンジ対応冷凍包餡食品 実施例8~17を表5に示す。実施例7からキサンタンガムを取り除き、それに応じて小麦粉の量を増やすと、ベンチ-トップ装置を使用してシート状にすることができ、許容できる(許容可境界線上ではあるが)食感の調理済包餡食品を提供する実施例8が得られた。中粒米粉(RFU-0801)をもち米粉に置き換えると、食感の優れた調理済包餡食品ができた(実施例9)。しかしながら,実施例9の包餡食品がライン-ラン製造手順で製造された場合、生地には穴ができ、したがって生地のシート性については「B(-)」評価結果となった(実施例10)。油及び/又はカルボキシメチルセルロースの量をわずかに減少させると、シート性が適度に改善したが(実施例11~14)、ライン-ラン製造中に依然としてこれらの生地には穴が開いた。
【0110】
油とカルボキシメチルセルロースの量を実施例9と比較してそれぞれ50%減らすと、生地はベンチ-トップ及びライン-ラン工程でシート状になり、調理済包餡食品は優れた食感であった(実施例15~17)。ターメリックを加えると、望ましい色の調理済包餡食品が得られたが(実施例16)、ターメリックの添加量が多いと、調理済包餡食品の色が濃い黄色になりすぎた(実施例17)。
【0111】
実施例16(本発明)を改変の基礎として使用して、冷凍包餡食品実施例18~23(比較)を作製し、結果を表6に示す。もち米粉の機能に関して、もち米粉を除去(実施例18)又はもち米粉を通常の米粉(実施例19)に置き換えると、食感の結果が悪くなり、実施例18はゴムのような食感に、実施例19はより噛み応えのある食感(ややアルデンテ)になった。
【0112】
増粘剤に関しては、カルボキシメチルセルロースをキサンタンガムに置き換えると(実施例20)、マイクロ波加熱後に食感結果が悪くなった(奇妙なゲル様食感)。カルボキシメチルセルロース(WALOCEL CRT 40000PA)を取り除くと(実施例21)、調理済包餡食品は最初は柔らかかったが、冷え始めると干からびた。
【0113】
同様に、大豆油を除去(実施例22)すると、調理済包餡食品に容認できない食感、すなわち、マイクロ波加熱した後に非常に急速に干からびた硬い皮、が生じた。
【0114】
茹で手順の、冷凍包餡食品の電子レンジ対応性に及ぼす影響を評価するために、熱水ブランチング(茹で)を使用する代わりに生包餡食品を蒸して製造したこと以外は実施例16と同じ組成で、実施例23での製造を行った。生包餡食品を熱水ブランチング(茹で)して調製した実施例16(59.10重量%)と比較して、蒸し手順により調製した実施例23の生地は、46.42重量%という著しく低い水分含有量を有することが見出された。これは、実施例23の食感プロファイルに影響を与えることがわかった。結果、「許容できない」食感(非常にタフでゴム状、歯に貼り付く)と「不良」外観評価結果(濃い黄色、乾燥した表面、皮の下に形成された泡)になった。
【0115】
【0116】
【0117】
【0118】
数値限定又は範囲が本明細書中に記載されている場合、終点を含むものとする。また、数値限定又は範囲内のすべての値とサブ範囲は、明示的に書き出されたと同じく具体的に含まれるものとする。
【0119】
本明細書で使用される場合、「a」及び「an」などの語は、「一つ以上」の意味を有する。
【0120】
明示的に記載されているかどうかにかかわらず、本開示はまた、本明細書に示されている実施態様又は要素「を含む」、「からなる」、及び「から本質的になる」他の実施態様も企図するものである。
【0121】
明らかに、上記の教示に照らして、本発明の多数の修正及び変形が可能である。したがって、本発明は、添付の特許請求の範囲内において、本明細書に具体的に記載されている以外の実施態様で実施され得ることが理解される。
【0122】
上記のすべての特許及び他の文献は、ここに引用されたことによって、その全てが詳細に記載されている場合と同じく本明細書に組み込まれる。