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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022079012
(43)【公開日】2022-05-26
(54)【発明の名称】衣服用空調装置
(51)【国際特許分類】
   A41D 13/005 20060101AFI20220519BHJP
   A41D 1/00 20180101ALI20220519BHJP
   A41D 13/002 20060101ALI20220519BHJP
   F24F 5/00 20060101ALI20220519BHJP
【FI】
A41D13/005
A41D1/00 D
A41D1/00 E
A41D13/002 105
F24F5/00 Z
【審査請求】未請求
【請求項の数】5
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2020189930
(22)【出願日】2020-11-15
(71)【出願人】
【識別番号】520448212
【氏名又は名称】土井 勉
(74)【代理人】
【識別番号】100177921
【弁理士】
【氏名又は名称】坂岡 範穗
(72)【発明者】
【氏名】土井 勉
【テーマコード(参考)】
3B011
3B030
3L054
【Fターム(参考)】
3B011AA01
3B011AB01
3B011AC01
3B011AC02
3B011AC13
3B030AA01
3B030AB05
3B030AB06
3B030AB08
3L054BE10
(57)【要約】
【課題】温度調節をする流体に空気を用いて装置を簡素な構成にしながら、衣服の中の広い範囲を温度調節することができる衣服用空調装置を提供する。
【解決手段】衣服2に装着される衣服用空調装置1であって、前記衣服の内側に配置される前面14が、平面視で凸形をなしている本体ケース10と、前記本体ケースの中に設けられたヒートポンプユニット20と、前記前面に設けられ、前記ヒートポンプユニットの内側熱交換器24と連通する内側吸気口30及び内側排気口31と、前記本体ケースのうち前記衣服の外側に設けられ、前記ヒートポンプユニットの外側熱交換器22と連通する外側吸気口34及び外側排気口35と、を備える。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
衣服に装着される衣服用空調装置であって、
前記衣服の内側に配置される前面が、平面視で凸形をなしている本体ケースと、
前記本体ケースの中に設けられたヒートポンプユニットと、
前記前面に設けられ、前記ヒートポンプユニットの内側熱交換器と連通する内側吸気口及び内側排気口と、
前記本体ケースのうち前記衣服の外側に設けられ、前記ヒートポンプユニットの外側熱交換器と連通する外側吸気口及び外側排気口と、
を備えることを特徴とする衣服用空調装置。
【請求項2】
前記前面が側面視においても凸形をなしている請求項1に記載の衣服用空調装置。
【請求項3】
前記内側吸気口と前記内側排気口とが上下方向に分かれて配置される請求項1又は2に記載の衣服用空調装置。
【請求項4】
前記内側吸気口又は前記内側排気口の一方が前記本体ケースの底面の一部まで設けられ、
前記内側吸気口又は前記内側排気口の他方が前記本体ケースの上面の一部まで設けられている請求項3に記載の衣服用空調装置。
【請求項5】
前記本体ケースのうち前記衣服の外側に設けられ、前記内側吸気口とダンパーで切替え可能に構成される外気吸気口を備える請求項1ないし4のいずれか1項に記載の衣服用空調装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、衣服の中の温度を調整するための衣服用空調装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、作業服等を着た人体に対する温度調節をする装置として、例えば特開2019-187761号公報(特許文献1)に、冷熱回路で冷却又は加熱された流体を体温調節服へ送出する流体回路を備える流体温度調節装置が開示されている。また、特開2005-126877号公報(特許文献2)には、衣服に空調装置を設けて、衣服内の空気の温度調節をするウェアラブルエアコンが開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2019-187761号公報
【特許文献2】特開2005-126877号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかし、特許文献1に開示されている技術では、人体への温度調節に流体として水を用いて循環通路に流通させている。このため、循環通路と水が別に必要になり、装置の着脱に手間がかかるとともに、重量が嵩んでしまうという課題がある。一方、特許文献2に記載の技術では、流体に空気を用いて衣服の中に直接吹出しているため、上記の様な課題はないものの、空調装置から供給された温度調節された空気がその場に停滞して、衣服の中の全体に行き渡りづらいという課題がある。
【0005】
本発明は、上記の点に鑑みなされたもので、温度調節をする流体に空気を用いて装置を簡素な構成にしながら、衣服の中の広い範囲を温度調節することができる衣服用空調装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の衣服用空調装置は、
衣服に装着される衣服用空調装置であって、
前記衣服の内側に配置される前面が、平面視で凸形をなしている本体ケースと、
前記本体ケースの中に設けられたヒートポンプユニットと、
前記前面に設けられ、前記ヒートポンプユニットの内側熱交換器と連通する内側吸気口及び内側排気口と、
前記本体ケースのうち前記衣服の外側に設けられ、前記ヒートポンプユニットの外側熱交換器と連通する外側吸気口及び外側排気口と、
を備えることを特徴とする。
【0007】
本発明の衣服用空調装置によれば、衣服の内部の空気を内側吸気口から吸い込んで、内側熱交換器で温度調節して、内側排気口から吹出しており、人体への温度調節に液体を用いていない。このため、全体の構成を簡素なものとして軽量化することができる。また、本体ケースの前面が平面視で凸形をなしているため、衣服の中の広い範囲から内側排気口に空気を吸って、内側排気口から衣服の中の広い範囲に空気を吹出すことができる。これらにより、装着の手間を省きながら、衣服の内部の広い範囲を快適に保つことができる。
【0008】
本発明の衣服用空調装置の好ましい例は、
前記前面が側面視においても凸形をなしている。
【0009】
本発明の衣服用空調装置の好ましい例によれば、本体ケースの前面が側面視においても凸形をなしているため、より広い範囲から内側排気口に空気を吸い込んで、内側排気口からより広い範囲に空気を吹出すことができる。
【0010】
本発明の衣服用空調装置の好ましい例は、
前記内側吸気口と前記内側排気口とが上下方向に分かれて配置される。
【0011】
本発明の衣服用空調装置の好ましい例によれば、内側吸気口と内側排気口とが上下方向に分かれて配置されるため、内側排気口から吹出した空気を内側吸気口が直ぐに吸い込むことを防止することができる。
【0012】
本発明の衣服用空調装置の好ましい例は、
前記内側吸気口又は前記内側排気口の一方が前記本体ケースの底面の一部まで設けられ、
前記内側吸気口又は前記内側排気口の他方が前記本体ケースの上面の一部まで設けられている。
【0013】
本発明の衣服用空調装置の好ましい例によれば、内側排気口から吹出した空気を内側吸気口が直ぐに吸い込むことをさらに防止することができる。また、衣服の中のより広範囲に、温度調節した空気を行き渡らせることができる。
【0014】
本発明の衣服用空調装置の好ましい例は、
前記本体ケースのうち前記衣服の外側に設けられ、前記内側吸気口とダンパーで切替え可能に構成される外気吸気口を備える。
【0015】
本発明の衣服用空調装置の好ましい例によれば、内側吸気口とダンパーで切替え可能に構成される外気吸気口を備えるため、作業環境に合わせて、内側吸気口と外気吸気口とを任意に切替えることができる。
【発明の効果】
【0016】
上述したように、本発明の衣服用空調装置によれば、温度調節をする流体に空気を用いて装置を簡素な構成にしながら、衣服の中の広い範囲を温度調節することができる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
図1】本発明の一実施形態に係る衣服用空調装置を説明する図である。
図2】衣服用空調装置の内部構成を説明する簡略図である。
図3】衣服用空調装置の正面図である。
図4】衣服用空調装置の背面図である。
図5】衣服用空調装置の右側面図である。
図6】衣服用空調装置の平面図である。
図7】衣服用空調装置の底面図である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
以下、本発明の衣服用空調装置1の実施形態について、添付図面を参照して詳細に説明する。
図1ないし図7に示すように、本実施形態の衣服用空調装置1は、本体ケース10と、ヒートポンプユニット20と、内側吸気口30と、内側排気口31と、外気吸気口32と、外側吸気口34と、外側排気口35と、電源部40とを備える。
【0019】
本体ケース10は、衣服用空調装置1の主な構成要素をその内部に収めるものであり、衣服2の内側に配置される内側ケース部11と、衣服2の外側に配置される外側ケース部12とを備える。この内側ケース部11は、その前面14が平面視及び側面視で凸形の弧状をなしている。また、外側ケース部12は内側ケース部11より一回り大きく構成され、外側ケース部12と内側ケース部11との境に設けられたフランジ13で、衣服2の取付穴3に面ファスナ等の取付手段(図示せず)を用いて取付けられる。また、本体ケース10には図示しないベルト等を設けて、このベルトを人体4の腰や肩に回して衣服用空調装置1を保持させることもできる。
【0020】
ヒートポンプユニット20は、公知の冷凍サイクルユニットが採用され、本実施形態では圧縮機21、凝縮器(外側熱交換器22)、膨張弁23、蒸発器(内側熱交換器24)、アキュームレーター25、配管26、及び配管26内を流れる冷媒等を備えるものが採用される。このヒートポンプユニット20としては、他に例えばペルチェ素子を用いたもの等も採用することができる。また、ヒートポンプユニット20の冷媒の通路である配管26に四方弁(図示せず)を設けて、凝縮器を内側熱交換器24にして、蒸発器を外側熱交換器22にして、衣服2の中を暖房することもできる。
【0021】
内側吸気口30は、内側ケース部11の前面14に設けられ、内側ファン36の動作により衣服2の中の空気を吸い込むものである。この内側吸気口30はヒートポンプユニット20の内側熱交換器24と連通し、吸い込まれた空気は内側熱交換器24を通過する。本実施形態では、内側吸気口30は、内側ケース部11の前面14のうち下側と、内側ケース部11の底面16とに設けられる。
【0022】
内側排気口31は、内側ケース部11の前面14に設けられ、内側ファン36の動作により、衣服2の中に空気を吹出すものである。この内側排気口31は内側吸気口30及びヒートポンプユニット20の内側熱交換器24と連通しており、内側熱交換器24で温度調節された空気が吹出される。本実施形態では、内側排気口31は、内側ケース部11の前面14のうち上側と、内側ケース部11の上面15とに設けられる。
【0023】
また、ダンパー33によって、空気の吸い込み口を内側吸気口30だけでなく外気吸気口32に切替えることもできる。この外気吸気口32は、外気を吸い込むことができる吸気口であり、外側ケース部12の底面16に設けられる。また、ダンパー33の開度を調整することで、内側吸気口30と外気吸気口32との両方から空気を吸い込むことも可能である。
【0024】
外側吸気口34は、外側ケース部12の背面17に設けられ、外側ファン37の動作により外気を吸い込むものである。この外側吸気口34はヒートポンプユニット20の外側熱交換器22と連通し、外側吸気口34から吸い込まれた空気は外側熱交換器22を通過する。
【0025】
外側排気口35は、外側ケース部12の上面15に設けられ、外側吸気口34から入って外側熱交換器22を通過した空気を、外側ファン37の動作によって吹出すものである。
【0026】
電源部40は、その内部にバッテリーが内蔵され、本体ケース10の中の各構成要素にケーブル41によって電力を供給するものである。本実施形態では、電源部40を衣服2のポケットに収納させている。
【0027】
次に、上述した本実施形態の衣服用空調装置1の各構成を踏まえ、衣服用空調装置1の使用方法を説明する。
【0028】
本実施形態の衣服用空調装置1は、取付手段によって、衣服2の後身頃に設けられた取付穴3に取付けられる。この状態で、本体ケース10のうち内側ケース部11は衣服2の内側に配置され、外側ケース部12は衣服2の外側に配置される。ここで衣服用空調装置1を動作させることで、内側吸気口30から衣服2の中の熱い空気を吸い込み、内側熱交換器24で冷たくして、内側排気口31から吹出し、衣服2の中の空気を冷却する。
【0029】
このとき、一般に衣服2の上の方より裾の方が衣服2と人体4との隙間sが大きい。本実施形態の衣服用空調装置1は、隙間sの大きな下側に内側吸気口30が開口されているため、衣服2の中の空気を無理なく吸い込むことができる。また、隙間sが小さくなる上の方に向かって内側排気口31が開口されているが、これも内側排気口31から吹出される空気の風圧で隙間sを広げながら、温度調節した空気を行き渡らせることができる。
【0030】
また、衣服用空調装置1の装着時には、内側ケース部11の前面14が衣服2の中に着ている下着等の服又は人体4の背中に当接されることがある。このとき、内側ケース部11の前面14が凸形の弧状をなしているため、内側吸気口30と内側排気口31の一部は人体4の背中等で塞がれる恐れがあるものの、全てが塞がれるようなことにはならない。また、内側吸気口30と内側排気口31とが様々な角度を向いて開口されている。これらにより、常に広い範囲に温度調節した空気を送出することができる。
【0031】
以上、説明したように、本実施形態の衣服用空調装置1によれば、内側ケース部11の前面14が凸形の弧状をなしているとともに、上面15と底面16にも内側吸気口30と内側排気口31とが配置されており、さらに内側吸気口30と内側排気口31とが上下に分かれて配置されている。これにより、衣服2の中の空気を広い範囲から吸い込み、広い範囲に吹出すことができ、優れた空調性能を発揮することができる。また、下着等の服や人体4で内側吸気口30や内側排気口31の一部が塞がれても、他の部分で衣服2の中の空気を吸い込み吹出すことができるため、装着した人がどんな姿勢であっても安定した空調性能を発揮することができる。
【0032】
また、外気吸気口32を備えるため、比較的外気温が高くないときなど、作業環境によっては外部からの吸気に切替えることで、より効率的に使用することができる。また、外気吸気口32を用いることで、衣服2内の気圧を陽圧に保つことができ、腕の先等の末端まで温度調節した空気を行き渡らせることが容易になる。さらに、ダンパー33で内側吸気口30と外気吸気口32との吸気の比率を調整することができ、衣服2内の気圧を装着者の好みに合わせることも可能である。一方、粉塵が多いような作業環境では、内側吸気口30のみを使用することで、衛生的に作業をすることができる。
【0033】
なお、上述の衣服用空調装置は、本発明の例示であり、発明の趣旨を逸脱しない範囲においてその構成を適宜変更することができる。
【符号の説明】
【0034】
1・・衣服用空調装置、2・・衣服、3・・取付穴、4・・人体、
10・・本体ケース、11・・内側ケース部、12・・外側ケース部、13・・フランジ、14・・前面、15・・上面、16・・底面、17・・背面、
20・・ヒートポンプユニット、21・・圧縮機、22・・外側熱交換器、23・・膨張弁、24・・内側熱交換器、25・・アキュームレーター、26・・配管、
30・・内側吸気口、31・・内側排気口、32・・外気吸気口、33・・ダンパー、34
・外側吸気口、35・・外側排気口、36・・内側ファン、37・・外側ファン、
40・・電源部、41・・ケーブル、
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7