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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022079021
(43)【公開日】2022-05-26
(54)【発明の名称】制御システム、及び制御プログラム
(51)【国際特許分類】
   A01G 7/00 20060101AFI20220519BHJP
   A01G 9/20 20060101ALI20220519BHJP
【FI】
A01G7/00 603
A01G7/00 601A
A01G9/20 B
【審査請求】有
【請求項の数】3
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2020189941
(22)【出願日】2020-11-16
(11)【特許番号】
(45)【特許公報発行日】2021-05-12
(71)【出願人】
【識別番号】519079337
【氏名又は名称】株式会社トーヨーホールディングス
(74)【代理人】
【識別番号】100107364
【弁理士】
【氏名又は名称】斉藤 達也
(72)【発明者】
【氏名】高橋 優太
【テーマコード(参考)】
2B022
2B029
【Fターム(参考)】
2B022DA01
2B029KB03
(57)【要約】
【課題】適切なタイミングに撮影装置の移動を開始させることが可能となる制御システム、及び制御プログラムを提供すること。
【解決手段】対象植物が栽培されている栽培施設内を移動する撮影用車両2であって、対象植物に対して光を当てた状態で対象植物を撮影する撮影用車両2を制御するための制御システムであって、所定の動作開始条件に基づいて、撮影用車両2の移動を開始するか否かを判定する判定部431と、撮影用車両2の移動を開始するものと判定部431が判定した場合に、撮影用車両2の移動を開始する動作制御部432と、を備え、所定の動作開始条件は、少なくとも、栽培施設における光量、現在の時間帯、栽培施設の施設状況、又は対象植物の生育状況の内の1個以上に関連する条件である。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
対象植物が栽培されている栽培施設内を移動する撮影装置であって、前記対象植物に対して光を当てた状態で前記対象植物を撮影する前記撮影装置を制御するための制御システムであって、
所定の動作開始条件に基づいて、前記撮影装置の移動を開始するか否かを判定する判定手段と、
前記撮影装置の移動を開始するものと前記判定手段が判定した場合に、前記撮影装置の移動を開始する動作制御手段と、を備え、
前記所定の動作開始条件は、少なくとも、前記栽培施設における光量、現在の時間帯、前記栽培施設の施設状況、又は前記対象植物の生育状況の内の1個以上に関連する条件である、
制御システム。
【請求項2】
前記動作制御手段は、前記対象植物の生育状況又は前記栽培施設の施設状況に基づいて、前記撮影装置の移動ルートを決定し、当該決定した移動ルートに沿って前記撮影装置を移動させる、
請求項1に記載の制御システム。
【請求項3】
前記撮影装置が撮影した前記対象植物の撮影画像に基づいて、前記対象植物を栽培するための管理処理を行う管理手段、を更に備える、
請求項1又は2に記載の制御システム。
【請求項4】
対象植物が栽培されている栽培施設内を移動する撮影装置であって、前記対象植物に対して光を当てた状態で前記対象植物を撮影する前記撮影装置を制御するための制御プログラムであって、
コンピュータを、
所定の動作開始条件に基づいて、前記撮影装置の移動を開始するか否かを判定する判定手段と、
前記撮影装置の移動を開始するものと前記判定手段が判定した場合に、前記撮影装置の移動を開始する動作制御手段と、として機能させ
前記所定の動作開始条件は、少なくとも、前記栽培施設における光量、現在の時間帯、前記対象植物の栽培状況、又は前記対象植物の生育状況の内の1個以上に関連する条件である、
制御プログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、制御システム、及び制御プログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、撮影用車両を用いて植物を撮影した上で、収穫時期を管理する植物栽培システムが知られていた(例えば、特許文献1)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2012-5468
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、撮影用車両を用いて植物を撮影する場合、当該撮影用車両を移動させる必要があるが、実運用環境下では、様々な状況を考慮して適切なタイミングに当該撮影用車両の移動を開始させる必要があり、この観点において改善の余地があった。
【0005】
本発明は、上記に鑑みてなされたものであって、適切なタイミングに撮影装置の移動を開始させることが可能となる制御システム、及び制御プログラムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上述した課題を解決し、目的を達成するために、請求項1に記載の制御システムは、対象植物が栽培されている栽培施設内を移動する撮影装置であって、前記対象植物に対して光を当てた状態で前記対象植物を撮影する前記撮影装置を制御するための制御システムであって、所定の動作開始条件に基づいて、前記撮影装置の移動を開始するか否かを判定する判定手段と、前記撮影装置の移動を開始するものと前記判定手段が判定した場合に、前記撮影装置の移動を開始する動作制御手段と、を備え、前記所定の動作開始条件は、少なくとも、前記栽培施設における光量、現在の時間帯、前記栽培施設の施設状況、又は前記対象植物の生育状況の内の1個以上に関連する条件である。
【0007】
請求項2に記載の制御システムは、請求項1に記載の制御システムにおいて、前記動作制御手段は、前記対象植物の生育状況又は前記栽培施設の施設状況に基づいて、前記撮影装置の移動ルートを決定し、当該決定した移動ルートに沿って前記撮影装置を移動させる。
【0008】
請求項3に記載の制御システムは、請求項1又は2に記載の制御システムにおいて、前記撮影装置が撮影した前記対象植物の撮影画像に基づいて、前記対象植物を栽培するための管理処理を行う管理手段、を更に備える。
【0009】
請求項4に記載の制御プログラムは、対象植物が栽培されている栽培施設内を移動する撮影装置であって、前記対象植物に対して光を当てた状態で前記対象植物を撮影する前記撮影装置を制御するための制御プログラムであって、コンピュータを、所定の動作開始条件に基づいて、前記撮影装置の移動を開始するか否かを判定する判定手段と、前記撮影装置の移動を開始するものと前記判定手段が判定した場合に、前記撮影装置の移動を開始する動作制御手段と、として機能させ前記所定の動作開始条件は、少なくとも、前記栽培施設における光量、現在の時間帯、前記対象植物の栽培状況、又は前記対象植物の生育状況の内の1個以上に関連する条件である。
【発明の効果】
【0010】
請求項1に記載の制御システム、及び請求項4に記載の制御プログラムによれば、所定の動作開始条件に基づいて、撮影装置の移動を開始するか否かを判定し、所定の動作開始条件は、少なくとも、栽培施設における光量、現在の時間帯、栽培施設の施設状況、又は対象植物の生育状況の内の1個以上に関連する条件であることにより、例えば、栽培施設における光量、現在の時間帯、栽培施設の施設状況、又は対象植物の生育状況を考慮して、適切なタイミングに撮影装置の移動を開始させることが可能となる。
【0011】
請求項2に記載の制御システムによれば、対象植物の生育状況又は栽培施設の施設状況に基づいて、撮影装置の移動ルートを決定し、当該決定した移動ルートに沿って撮影装置を移動させることより、例えば、対象植物の生育状況を考慮した適切な移動ルートを移動させることができるので、対象植物を適切に生育しつつ撮影を行うことが可能となる。また、栽培施設の施設状況を考慮した適切な移動ルートを移動させることができるので、撮影装置を想定通りにスムーズに移動させることが可能となる。
【0012】
請求項3に記載の制御システムによれば、撮影画像に基づいて対象植物を栽培するための管理処理を行うことにより、例えば、対象植物を想定通りに適切に栽培することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
図1】本発明の実施の形態に係る植物生産システムのブロック図である。
図2】対象植物を栽培するための温室内の平面図である。
図3】温室内の斜視図である。
図4】撮影画像を例示した図である。
図5】植物情報を例示した図である。
図6】画像撮影処理のフローチャートである。
図7】移動ルート決定処理のフローチャートである。
図8】対象植物を栽培するための温室内の平面図である。
図9】移動ルートを例示した図である。
図10】分割移動路の判断結果を例示した図である。
図11】分割移動路の判断結果を例示した図である。
図12】分割移動路の判断結果を例示した図である。
図13】分割移動路の判断結果を例示した図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下、本発明に係る制御システム、及び制御プログラムの実施の形態について図面を参照しつつ詳細に説明する。ただし、実施の形態によって本発明が限定されるものではない。
【0015】
本発明に係る制御システムは、撮影装置を制御するためのシステムである。
【0016】
「撮影装置」とは、対象植物が栽培されている栽培施設内を移動する装置であって、対象植物に対して光を当てた状態で対象植物を撮影する装置であり、例えば、走行する車両型の装置、あるいは、飛行する飛行体型の装置等を含む概念である。
【0017】
「対象植物」とは、栽培システムで栽培されている植物であり、撮影の対象のとなる植物であり、例えば、レタス等の野菜、あるいは、その他の任意の植物を含む概念である。
【0018】
制御システムは、例えば、判定手段、動作制御手段、及び任意で管理手段を備える。
【0019】
「判定手段」とは、所定の動作開始条件に基づいて、撮影装置の移動を開始するか否かを判定する手段である。
【0020】
「所定の動作開始条件」とは、予め定められている動作開始条件であり、具体的には、栽培施設における光量、現在の時間帯、栽培施設の施設状況、又は対象植物の生育状況の内の1個以上に関連する条件等を含む概念である。
【0021】
「栽培施設の施設状況」とは、栽培施設内の状況を示す概念であり、例えば、細霧冷房を作動させたことにより路面が濡れている状況等を含む概念である。「対象植物の生育状況」とは、対象植物の生育に関連する状況を示す概念であり、例えば、植物の生育が遅れている、あるいは、病害が発生している等の理由により、光を当てずに休ませた方が好ましい状況等を含む概念である。
【0022】
「動作制御手段」とは、撮影装置の移動を開始するものと判定手段が判定した場合に、撮影装置の移動を開始する手段であり、例えば、対象植物の生育状況又は栽培施設の施設状況に基づいて、撮影装置の移動ルートを決定し、当該決定した移動ルートに沿って撮影装置を移動させる手段等を含む概念である。
【0023】
「管理手段」とは、撮影装置が撮影した対象植物の撮影画像に基づいて、対象植物を栽培するための管理処理を行う手段等を含む概念である。「管理処理」とは、対象植物を栽培するために任意の対象を管理する処理であり、例えば、対象植物に供給される液肥の濃度を調整する処理、あるいは、対象植物の光合成を促すために撮影装置を用いて当該対象植物に光を照射する処理等を含む概念である。
【0024】
そして、以下に示す実施の形態では、「所定の動作開始条件」として、栽培施設における光量に関連する条件及び現在の時間帯に関連する条件を用いる場合について説明する。
【0025】
(構成)
図1は、本発明の実施の形態に係る植物生産システムのブロック図であり、図2は、対象植物を栽培するための温室内の平面図であり、図3は、温室内の斜視図である。なお、図2では、レタス900の図示が便宜上省略されている。
【0026】
(構成-温室)
まず、植物生産システム100が適用される温室について説明する。温室は、対象植物であるレタス900を栽培するための栽培施設であり、例えば、ガラス張りとなっており日光が内部に照射される。図2の温室には、例えば、案内テープ81、基準点マーカ82、撮影用マーカ83、表示パネル84、及び樋9が設けられている。
【0027】
(構成-温室-樋)
樋9は、レタス900を栽培するためのプランターであり、例えば、図3に示すように、地上からの高さが相互に異なる3段の棚(棚は不図示)各々に設けられているものである。樋9は、例えば、当該樋9の長手方向に沿っている案内テープ811から離れるに従って、床面からの高さが高くなるように設けられている。
【0028】
樋9は、例えば、図2に示すように、3段単位の樋91~94を有する。なお、本実施の形態では、例えば、樋91~92に着目して説明する。また、各樋9の長手方向において複数個(例えば7個)の部分に分割して管理する場合を例示して説明する。
【0029】
なお、これらの部分を「分割部分」とも称して説明する。すなわち、例えば、図2の3段の樋91において、「A01-1」の分割部分、「A01-2」の分割部分等に分割して管理する場合について説明する(他の樋9も同様である)。
【0030】
(構成-温室-案内テープ)
案内テープ81は、撮影用車両2の移動を案内するためのものであり、例えば、温室内の撮影用車両2が移動する車両用移動路に沿って床面に貼付されている磁気テープである。案内テープ81は、例えば、樋9の長手方向に沿って設けられる案内テープ812と、当該案内テープ812に対して直交している案内テープ811とを有する。
【0031】
(構成-温室-基準点マーカ)
基準点マーカ82は、撮影用車両2の移動を制御(前進、後進、方向転換等)するためのものであり、例えば、温室内の車両用移動路の任意の点(分岐点、端点、経由点等)に設けられているものであり、また、床面に貼付されている磁気マーカである。
【0032】
(構成-温室-撮影用マーカ)
撮影用マーカ83は、撮影用車両2がレタス900(図3)を撮影する位置を示すものであり、例えば、車両用移動路上の複数個所に設けられているものであり、また、床面に貼付されている磁気マーカである。
【0033】
(構成-温室-表示パネル)
表示パネル84は、樋9の各分割部分を示す情報を表示するパネルであり、例えば、各分割部分の名称である「A01-1」等の文字が記載されているパネルであり、また、当該表示パネル84が示す各分割部分に対応する床面に貼付されている。例えば、図2の樋91における「A01-1」に対応する床面に、「A01-1」という文字が記載されている表示パネル84(表示パネル841)が貼付されている。
【0034】
(構成-植物生産システム)
次に、植物生産システム100について説明する。図1の植物生産システム100は、例えば、栽培用装置群1、撮影用車両2、端末装置3、及び管理装置4を備える。
【0035】
(構成-植物生産システム-栽培用装置群)
図1の栽培用装置群1は、レタス900を栽培するための各種装置であり、例えば、温室内に設けられている装置である。栽培用装置群1は、例えば、細霧冷房装置、光量測定装置、温度湿度測定装置、及びサーバ装置等を含む。
【0036】
細霧冷凍装置とは、例えば、温室内の温度を調整するための装置である。光量測定装置とは、温室内の光量(明るさ)を測定する装置である。温度湿度測定装置とは、温室内の温度及び湿度を測定する装置である。サーバ装置とは、細霧冷房装置の稼働開始及び稼働停止を制御したり、あるいは、光量測定装置及び温度湿度測定装置の一定時間間隔の測定結果を蓄積したりする装置であり、管理装置4との間で通信可能となっている。
【0037】
(構成-植物生産システム-撮影用車両)
図1の撮影用車両2は、撮影装置であり、具体的には、レタス900が栽培されている温室内を移動する装置であって、レタス900に対して光を当てた状態で当該レタス900を撮影する装置である。また、撮影用車両2は、例えば、図2の案内テープ81に沿っている車両用移動路を走行して移動し、樋9で栽培されているレタス900を撮影するための装置である。また、撮影用車両2は、例えば、自己に実装されているバッテリーでモータを駆動させることにより車輪を回転させて移動する車両型の装置である。また、撮影用車両2は、例えば、磁気センサ(不図示)を備えており、当該磁気センサにて案内テープ81、基準点マーカ82、及び撮影用マーカ83を検出して各種制御を行えるように構成されている。
【0038】
撮影用車両2は、例えば、通信部21、カメラ22、照明部23、記録部24、及び制御部25を備える。
【0039】
(構成-植物生産システム-撮影用車両-通信部)
通信部21は、管理装置4との間で通信する通信手段であり、例えば、通信回路等を用いて構成することができる。
【0040】
(構成-植物生産システム-撮影用車両-カメラ)
カメラ22は、レタス900を撮影する撮影手段である。例えば、撮影用車両2は、走行して撮影用マーカ83上に位置して当該撮影用マーカ83を検出した場合に、カメラ22で撮影するように構成されている。
【0041】
図4は、撮影画像を例示した図である。カメラ22は、図4に示すように、レタス900を当該レタス900の上方から撮影可能となるように、不図示の支持機構(例えば、鉛直方向において撮影用車両2から延在している棒状の部分を含む機構)によって支持されている。また、カメラ22は、撮影用車両2が案内テープ811に沿って移動する場合に樋91、92側を撮影するように構成されており、詳細には、樋9の各分割部分に対応する位置に撮影用マーカ83が設けられており、樋9の各分割部分単位で撮影できるように画角が調整されている。
【0042】
例えば、撮影用車両2が撮影用マーカ831を検出して撮影した場合に、図4に示すように、図2の「A01-1」の分割部分に対応する画像が撮影されることになる。なお、図4の樋画像G9、レタス画像G900は、図2の「A01-1」の分割部分の樋9、レタス900の画像であり、また、表示パネル画像G84は、表示パネル84(詳細には、表示パネル841)の画像である。
【0043】
(構成-植物生産システム-撮影用車両-照明部)
照明部23は、レタス900を撮影するために当該レタス900を明るく照らすためのものであり、例えば、レタス900に対して光を照射するための照明装置等を用いて構成することができる。
【0044】
(構成-植物生産システム-撮影用車両-記録部)
記録部24は、撮影用車両2の動作に必要なプログラム及び各種データを記録する記録手段であり、例えば、各種メモリ、又はハードディスク等を用いて構成することができる。
【0045】
(構成-植物生産システム-撮影用車両-制御部)
制御部25は、撮影用車両2を制御する制御手段であり、例えば、CPU、RAM、ROM等を用いて構成することができる。
【0046】
(構成-植物生産システム-端末装置)
図1の端末装置3は、レタス900の栽培を管理する管理者が用いる端末装置であり、例えば、管理装置4との間で通信可能となっている。この端末装置3は、例えば、パーソナルコンピュータ、タブレット端末、又はスマートフォン等として構成することができる。
【0047】
(構成-植物生産システム-管理装置)
図1の管理装置4は、制御システムであり、具体的には、レタス900の栽培に関する各種処理(撮影用車両2の制御を含む処理)を行う装置である。管理装置4は、例えば、通信部41、記録部42、及び制御部43を備える。
【0048】
(構成-植物生産システム-管理装置-通信部)
通信部41は、植物生産システム100の各種装置との間で通信する通信手段であり、例えば、通信回路等を用いて構成することができる。
【0049】
(構成-植物生産システム-管理装置-記録部)
記録部42は、管理装置4の動作に必要なプログラム及び各種データを記録する記録手段であり、例えば、各種メモリ、又はハードディスク等を用いて構成することができる。この記録部42には、例えば、画像情報、及び植物情報が格納されている。
【0050】
(構成-植物生産システム-管理装置-記録部-画像情報)
「画像情報」とは、撮影用車両2によって撮影された撮影画像を示す情報であり、例えば、図4の撮影画像等を示す情報である。
【0051】
なお、画像情報の具体的な格納手法は任意であるが、例えば、撮影用車両2が撮影画像を撮影して管理装置4に送信し、管理装置4の制御部43が当該撮影画像を受信して画像情報として格納する。
【0052】
(構成-植物生産システム-管理装置-記録部-植物情報)
図5は、植物情報を例示した図である。「植物情報」とは、レタス900に関する情報であり、例えば図5に示すように、項目「レタス識別情報」に対応する情報と、項目「生育情報」に対応する情報とが相互に関連付けられている。
【0053】
図5のレタス識別情報は、各レタス900を一意に識別するための情報であり、例えば、図2の温室における各レタス900が栽培されている位置を基準に識別する情報である。レタス識別情報としては、例えば、レタス900が栽培されている分割部分、レタス900が栽培されている樋9の段数、及び各分割部分における樋9の長手方向におけるレタス900が栽培されている位置の番号を示す情報を用いる場合について説明する。
【0054】
例えば、図4のレタス画像G901に対応するレタス900を識別するレタス識別情報としては、「A01-1」の分割部分を示す「A01-1」と、1段目(最も低い高さに設置されている樋9の段数)を示す「1」と、図2の図面下側から上側に向かって「1」~「6」の番号が設定されていることとし、「1」番を示す「1」とを組み合わせた情報である「A01-1-1-1」が格納されている。
【0055】
図5の生育情報は、各レタス900の生育に関する情報であり、例えば、生育度合い情報、光合成状況情報、チップバーン情報、根域生育情報、病害情報、及び対処状況情報を含む。
【0056】
生育度合い情報とは、レタス900のサイズを基準とした生育状況を示す情報であり、例えば、サイズ大きくなる程大きくなる数値情報にて例示されている。光合成状況情報とは、光合成によるレタス900の色を基準とした生育状況を示す情報であり、例えば、光合成が適切に行われて緑色に近い程大きくなる数値情報にて例示されている。チップバーン情報とは、チップバーンを基準とした生育状況を示す情報であり、例えば、チップバーンによる障害の程度が大きい程大きくなる数値情報にて例示されている。根域生育情報とは、レタス900の根の部分を基準とした生育状況を示す情報であり、例えば、適切に生育している程大きくなる数値情報にて例示されている。病害情報とは、病害の有無を基準とした生育状況を示す情報であり、例えば、病害が発生していないことを示す「0-該当なし」、又は、うどん粉病の病害発生していることを示す「1-うどん粉病」が例示されている。対処状況情報とは、各種対処の状況を示す情報であり、例えば、液肥調整を行ったことを示す「1-液肥調整」、及び何らの対処も行っていないことを示す「0-未実施」が例示されている。
【0057】
そして、このような図5の植物情報の例えば最上段の情報は、「A01-1-1-1」が識別する図4のレタス画像G901に対応するレタス900の生育に関する情報が、「生育度合い情報」=「5」、及び「光合成状況情報」=「3」等であることが例示されている。
【0058】
なお、植物情報の具体的な格納手法は任意であるが、例えば、管理者が各種情報を入力することにより格納されることとしてもよいし、あるいは、制御部43が、前述の画像情報として格納されて撮影画像(図4)について画像認識を行うことにより、生育情報の一部情報(撮影画像から判断可能な情報であり、例えば、生育度合い情報、光合成状況情報、チップバーン情報、病害情報)を生成して格納し、他の情報を管理者からの入力に基づいて格納することとしてもよい。
【0059】
(構成-植物生産システム-管理装置-制御部)
制御部43は、管理装置4を制御する制御手段であり、例えば、CPU、RAM、ROM(RAM又はROMに記録されておりCPUに実行されるプログラムを含む)等を用いて構成することができる。制御部43は、例えば機能概念的に、判定部431、及び動作制御部432を備える。判定部431は、所定の動作開始条件に基づいて、撮影用車両2の移動を開始するか否かを判定する判定手段である。動作制御部432は、撮影用車両2の移動を開始するものと判定部431が判定した場合に、撮影用車両2の移動を開始する動作制御手段である。
【0060】
(処理)
次に、このように構成される植物生産システム100によって実行される画像撮像処理について説明する。図6は、画像撮影処理のフローチャートである(以下の各処理の説明ではステップを「S」と略記する)。画像撮影処理は、概略的には、管理装置4によって実行される処理であり、撮影用車両2を用いて画像を撮影するための処理である。この画像撮影処理を実行するタイミングは任意であるが、例えば、管理装置4の電源をオンした後に繰り返し実行が開始されることとし、処理が起動したところから説明する。
【0061】
ここでは、例えば、図2の撮影用車両2が図示されている位置が待機場所であり、当該待機場所から撮影用車両2が移動を開始する場合を例示して説明する。
【0062】
===SA1===
図6のSA1において判定部431は、所定の動作開始条件に基づいて、撮影用車両2の移動を開始するか否かを判定する。例えば、所定の動作開始条件としての、栽培施設における光量に関連する条件、及び現在の時間帯に関連する条件に基づいて判定する。
【0063】
栽培施設における光量に関連する条件は、撮影用車両2にて日陰が発生し、レタス900に対して温室のガラスを介して照射される日光、または人工光(日光である自然光以外の光であり、例えば一般照明(白熱、LEDを含む)からの光、あるいは、野菜の成長を促進する赤外光等)が遮られることを防止する観点に基づく条件である。現在の時間帯に関連する条件は、近隣住民等への影響(迷惑等)を防止する観点に基づく観点である。
【0064】
処理については、まず、栽培用装置群1のサーバ装置との通信により取得した光量測定装置の測定結果を示す情報に基づいて、温室内の光量を特定し、特定した温室内の光量と所定の光量(例えば、予め定められた光量であり、うす暗くレタス900の育成にさほど貢献しない程度の比較的低い光量)とを比較する。次に、管理装置4の不図示の計時手段(タイマー等)の計時結果に基づいて現在時刻を特定し、特定した現在時刻と所定の時間帯(例えば、午前4時~午前5時の時間帯)とを比較する。
【0065】
そして、温室内の光量が所定の光量以下であり、且つ、現在時刻が所定の時間帯に属する場合、撮影用車両2の移動を開始するものと判定し(SA1のYES)、SA2に移行する。一方、「温室内の光量が所定の光量以下であり、且つ、現在時刻が所定の時間帯に属する場合」以外の場合(つまり、温室内の光量が所定の光量より高い場合、又は、現在時刻が所定の時間帯に属さない場合)、撮影用車両2の移動を開始しないものと判定し(SA1のNO)、SA1を再度実行する。
【0066】
ここでは、例えば、温室内の光量が極めて低い場合であっても、深夜午前2時等の所定の時間帯に属さない場合、移動を開始しないものと判定することになり、一方、温室内の光量が極めて低く、午前4時01分等の所定の時間帯に属する場合、移動を開始するものと判定することになる。
【0067】
===SA2===
図6のSA2において動作制御部432は、細霧冷房実施履歴情報を取得する。「細霧冷房実施履歴情報」とは、細霧冷房装置の稼働開始及び稼働停止の履歴を示す情報である。例えば、栽培用装置群1の細霧冷房装置が、図2の温室内の所定の位置に所定の個数設けられていることとし、栽培用装置群1のサーバ装置にて稼働開始及び稼働停止が制御されているので、以下の処理を行う。すなわち、動作制御部432は、サーバ装置にアクセスして、各細霧冷房装置に関する細霧冷房実施履歴情報を取得する。
===SA3===
【0068】
図6のSA3において動作制御部432は、温度湿度履歴情報を取得する。「温度湿度履歴情報」とは、温室内の温度及び湿度の履歴を示す情報である。例えば、栽培用装置群1の温度湿度測定装置が、樋9の各分割部分の温度及び湿度(つまり、車両用移動路周辺の温度及び湿度)を各々測定できるように、図2の温室内の所定の位置に所定の個数設けられていることとし、栽培用装置群1のサーバ装置に一定時間間隔で測定結果が送信されて格納されるように構成されているので、以下の処理を行う。すなわち、動作制御部432は、サーバ装置にアクセスして、各温度湿度測定装置での測定結果を示す温度湿度履歴情報を取得する。
【0069】
===SA4===
図6のSA4において動作制御部432は、移動ルート決定処理を実行する。「移動ルート決定処理」とは、案内テープ81に沿っている車両用移動路における撮影用車両2が撮影のために移動するルートを決定するための処理である。図7は、移動ルート決定処理のフローチャートであり、図8は、対象植物を栽培するための温室内の平面図であり、図9は、移動ルートを例示した図である。
【0070】
例えば、図8に示すように、案内テープ81に沿った温室内の車両用移動路において、基準点マーカ82を基準にして、一点鎖線の矢印で矢視している方向に移動するルートR1~R6に分割して処理する場合を例示して説明する。撮影用車両2の記録部24に、図9に示す第1ルート(ルートR1~R6を順次移動するルート)、第2ルート(ルートR1、R2、R5、R6を順次移動するルート)、及び第3ルート(ルートR1、R6を順次移動するルート)が予め記録されていることとし、以下の処理を行うことにより何れかのルートを移動ルートに決定する。
【0071】
概略的には、図8の案内テープ812に沿っている車両用移動路(樋9の長手方向に沿っている車両用移動路)を、樋9の分割部分単位で分割し、分割された車両用移動路各々について、移動対象にするか除外するかを判断し、判断結果に基づいて移動ルートを決定する。なお、分割された車両用移動路を「分割移動路」と称し、また、各分割移動路を各分割移動路が対向する樋9の分割部分と同じ名称(「A01-1」等)を用いて説明する。
【0072】
===SB1===
図7のSB1~SB5については、各分割移動路について繰り返し実行する。図7のSB1において動作制御部432は、分割移動路の路面が濡れていないか否かを判定する。例えば、温室内で細霧冷房装置を稼働させた場合、細霧により温度及び湿度(水蒸気量)が変動して路面が濡れる場合あるので、この点を考慮して、所定の判定ロジックで判定する。
【0073】
例えば、図6のSA2及びSA3で取得した細霧冷房実施履歴情報及び温度湿度履歴情報に基づいて、分割移動路付近の細霧冷房が稼働中又は停止直後であり、分割移動路付近の温度が所定温度よりも低く、分割移動路付近の湿度が所定湿度よりも高い場合に、路面が濡れていないわけではない(つまり、濡れている)ものと判定し(SB1のNO)、SB5に移行する。一方、この場合以外の場合に、路面が濡れていない(つまり、乾燥している)ものと判定し(SB1のYES)、SB2に移行する。
【0074】
あるいは、細霧冷房実施履歴情報及び温度湿度履歴情報を入力した場合に、路面が濡れているか否かの判定結果を出力するアルゴリズムを任意の手法(例えば、機械学習の技術を用いて生成する手法等)で予め生成しておき、当該アルゴリズムを用いて判定してもよい。
【0075】
ここでは、例えば、図8の「A01-1」の分割移動路については、周辺の細霧冷房が停止してから一定時間が経過して乾燥している場合、路面が濡れていないものと判定する(SB1のYES)。
【0076】
===SB2===
図7のSB2において動作制御部432は、分割移動路に対応する樋9の分割部分で栽培されているレタス900の内において、光を当てずに休ませる必要があるレタス900を判別する。例えば、図5の植物情報のレタス識別情報において、分割部分を示す情報(「A01-1」等)が含まれており、分割移動路に対応する樋9の分割部分で栽培されているレタス900を特定可能となっている点に着目し、当該レタス900に関する図5の生育情報に基づいて、休ませる必要があるレタス900を判別する。
【0077】
例えば、図5の生育度合い情報、光合成状況情報、又は根域生育情報が所定値も小さい値である場合、チップバーン情報が所定値よりも大きい値である場合、又は、病害情報又は対処状況情報が「1」である場合に、休ませる必要があるものと判別してもよい。
【0078】
あるいは、生育情報を入力した場合に、休ませる必要があるか否かを示す情報を出力するアルゴリズムを任意の手法(例えば、機械学習の技術を用いて生成する手法等)で予め生成しておき、当該アルゴリズムを用いて判別してもよい。
【0079】
ここでは、例えば、樋9の分割部分である「A01-1」で栽培されているレタス900の内の、図5の「A01-1-1-1」で識別されるレタス900については、休ませる必要があるものと判別する場合を例示して説明する。
【0080】
===SB3===
図7のSB3において動作制御部432は、SB2において休ませる必要があるものと判別されたレタスが無いか否かを判定する。そして、SB2において、分割移動路に対応する樋9の分割部分で栽培されているレタス900について、休ませる必要があるものと判別されたレタス900が1個も無かった場合、休ませる必要があるものと判別されたレタス900が無いもの判定し(つまり、全てのレタス900について休ませる必要が無いものと判定し)(SB3のYES)、SB4に移行する。一方、SB2において、分割移動路に対応する樋9の分割部分で栽培されているレタス900について、休ませる必要があるものと判別されたレタス900が1個以上あった場合、休ませる必要があるものと判別されたレタス900があるもの判定し(つまり、何れかのレタス900について休ませる必要があるものと判定し)(SB3のNO)、SB5に移行する。
【0081】
ここでは、例えば、前述のSB2で例示したように、図5の「A01-1-1-1」で識別されるレタス900については、休ませる必要があるものと判別した場合、休ませる必要があるものと判別されたレタス900があるもの判定し(SB3のNO)、SB5に移行する。
【0082】
===SB4===
図7のSB4において動作制御部432は、分割移動路を移動対象にするもの判断し、移動対象にすることを示す情報を記録部42に格納する。図10は、分割移動路の判断結果を例示した図である。例えば、図10に示すように、分割移動路の名称と判断結果とを示す情報を関連付けて格納する。
【0083】
ここでは、例えば、前述の例とは異なりSB4を実行することになった場合、図10では不図示であるが、「A01-1」と「移動対象」(移動対象と判断されたことを示す情報)とを相互に関連付けて格納する。
【0084】
===SB5===
図7のSB5において動作制御部432は、分割移動路を移動対象から除外するもの判断し、除外することを示す情報を記録部42に格納する。
【0085】
ここでは、例えば、前述のようにSB5に移行した場合、図10の最上段に示すように、「A01-1」と「除外」(除外と判断されたことを示す情報)とを相互に関連付けて格納する。
【0086】
そして、全ての分割移動路についてSB1~SB5の処理を実行し、各分割移動路について移動対象とするか除外するかを判断し、判断結果を示す情報を格納する。ここでは、例えば、図10に示す判断を行い、当該判断結果を示す情報を格納する。
【0087】
===SB6===
図7のSB6において動作制御部432は、移動ルートを決定する。例えば、除外と判断された分割移動路については、路面が濡れており走行のために好ましくない点(つまり、温室の施設状況に基づく点)、あるいは、休ませる必要があるレタス900が存在し撮影のために光を当てることが好ましくない点(つまり、レタス900の生育状況に基づく点)を考慮し、除外と判断された分割移動路を含まない1個のルートを、図9の第1~第3ルートから選択して、当該選択した1個のルートを移動ルートに決定する。
【0088】
ここでは、例えば、図10に示すように、「A01-1」~「A01-4」の分割移動路が「除外」となっている場合、図8のルートR2、R5を含まないルートとして、図9の第3ルートを選択して、移動ルートに決定する。なお、この場合、「A02-1」~「A02-7」の分割移動路は全て「移動対象」となっているが、図8の待機場所から移動を開始するので、「A02-1」~「A02-7」に対応するルートR3、R4へは、ルートR2を通る必要があるので、当該ルートR3、R4も除外された第3ルートを移動ルートに決定することになる。
【0089】
図11図13は、分割移動路の判断結果を例示した図である。なお、例えば、SB1~SB5の実行結果により、図11に示す判断結果になった場合、第1ルートを移動ルートに決定することになる。また、同様にして、図12及び図13に示す判断結果になった場合、第2ルート及び第3ルートを各々移動ルートに決定することになる。そして、移動ルート決定処理をリターンする。
【0090】
===SA5===
図6のSA5において動作制御部432は、図7のSB6で決定した移動ルートに沿って撮影用車両2の移動を開始させて撮影させる。例えば、SB6で決定した移動ルートを示す移動ルート情報を含む動作開始信号(撮影用車両2の移動及び撮影を開始させるための信号)を、撮影用車両2に送信する。
【0091】
一方、撮影用車両2の制御部25は、動作開始信号を受信した場合に、動作開始信号に含まれる移動ルート情報が示す移動ルートに沿って撮影用車両2を移動させる。なお、この場合、不図示の磁気センサにより、案内テープ81、基準点マーカ82、撮影用マーカ83を適宜検出しつつ移動させる。撮影用車両2の制御部25は、この移動中において、撮影用マーカ83を検出した場合に、樋91、92側のレタス900等に照明部23からの光を当てて明るくした状態で、当該レタス900をカメラ22にて撮影し、撮影した画像である撮影画像を、適宜のタイミングで管理装置4に送信することにより、当該撮影画像を示す画像情報が記録部42(図1)に記録されることになる。
【0092】
なお、照明部23からの光の出力タイミングは任意であるが、例えば、撮影の直前(例えば、撮影の1秒~2秒前等)に出力を開始し、撮影の直後(例えば、撮影の1秒~2秒後)に出力を停止してもよいし、あるいは、いわゆるフラッシュ撮影の如く、数ミリ秒~数百秒の間のみ光を出力してもよい。
【0093】
ここでは、例えば、動作制御部432が第3ルートを示す移動ルート情報を含む動作開始信号を送信した場合、撮影用車両2は、ルートR1、R6を移動し、撮影用マーカ83を検出しないので、樋91、92に関しては何らの撮影もしないことになる。すなわち、撮影を行わないので、照明部23から光を出力しないことになる。
【0094】
また、例えば、動作制御部432が第1ルートを示す移動ルート情報を含む動作開始信号を送信した場合、ルートR1~R6を移動することになるので、ルートR2~R5の移動中に撮影用マーカ83を検出した場合に、樋91、92のレタス900を撮影する。詳細には例えば、撮影用マーカ831を検出した場合に、樋91における「A01-1」の分割部分に対応する部分に、照明部23からの光を当てて明るくした状態で、カメラ22にて撮影することにより、図4の撮影画像を撮影することになる。
【0095】
また、例えば、動作制御部432が第2ルートを示す移動ルート情報を含む動作開始信号を送信した場合、ルートR1、R2、R5、R6を移動することになるので、ルートR2、R5の移動中に撮影用マーカ83を検出した場合に、照明部23からの光を当てて明るくした状態で、樋91のレタス900を撮影する。これにて、移動ルート決定処理の説明を終了する。
【0096】
(実施の形態の効果)
このように本実施の形態によれば、所定の動作開始条件に基づいて、撮影用車両2の移動を開始するか否かを判定し、所定の動作開始条件は、温室(栽培施設)における光量及び現在の時間帯に関連する条件であることにより、例えば、栽培施設における光量、現在の時間帯を考慮して、適切なタイミングに撮影用車両2の移動を開始させることが可能となる。
【0097】
また、対象植物の生育状況又は栽培施設の施設状況に基づいて、撮影用車両2の移動ルートを決定し、当該決定した移動ルートに沿って撮影用車両2を移動させることより、例えば、レタス900の生育状況を考慮した適切な移動ルートを移動させることができるので、撮影用車両2を適切に生育しつつ撮影を行うことが可能となる。また、温室の施設状況を考慮した適切な移動ルートを移動させることができるので、撮影用車両2を想定通りにスムーズに移動させることが可能となる。
【0098】
〔実施の形態に対する変形例〕
以上、本発明に係る実施の形態について説明したが、本発明の具体的な構成及び手段は、特許請求の範囲に記載した本発明の技術的思想の範囲内において、任意に改変及び改良することができる。以下、このような変形例について説明する。
【0099】
(解決しようとする課題や発明の効果について)
まず、発明が解決しようとする課題や発明の効果は、上述の内容に限定されるものではなく、発明の実施環境や構成の細部に応じて異なる可能性があり、上述した課題の一部のみを解決したり、上述した効果の一部のみを奏したりすることがある。
【0100】
(分散や統合について)
また、上述した各電気的構成要素は機能概念的なものであり、必ずしも物理的に図示の如く構成されていることを要しない。すなわち、各部の分散や統合の具体的形態は図示のものに限られず、その全部または一部を、各種の負荷や使用状況などに応じて、任意の単位で機能的または物理的に分散又は統合して構成できる。また、本出願における「装置」とは、単一の装置によって構成されたものに限定されず、複数の装置によって構成されたものを含む。
【0101】
(形状、数値、構造、時系列について)
実施の形態や図面において例示した構成要素に関して、形状、数値、又は複数の構成要素の構造若しくは時系列の相互関係については、本発明の技術的思想の範囲内において、任意に改変及び改良することができる。
【0102】
(管理部について)
図1の管理装置4の制御部43に対して、管理部を設けてもよい。「管理部」とは、撮影装置が撮影した対象植物の撮影画像に基づいて、対象植物を栽培するための管理処理を行う管理手段である。
【0103】
例えば、管理部が、記録部42(図1)の画像情報(例えば、図4の撮影画像等)に基づいて、所定の手法(例えば、機械学習の技術を用いて生成される所定のアルゴリズムを用いる手法等)に基づいてレタス900の生育度合い又は光合成状況を判定し、判定結果に基づいて各種制御を行ってもよい。
【0104】
例えば、樋9を介してレタス900に供給される液肥の濃度を調整するための濃度調整装置が栽培用装置群1に含まれていることとする。そして、管理部は、レタス900の判定された生育度合いが所定の度合いに至っていないものと判定した場合に、濃度調整装置を介して液肥の濃度を調整してもよい。
【0105】
又は、例えば、管理部は、日照不足等によりレタス900による光合成が不十分であるものと判定した場合、撮影用車両2を当該レタス900の周辺に移動させて、当該レタス900に照明部23からの光を当てて光合成を促してもよい。
【0106】
又は、例えば、管理部は、判定した生育度合い又は光合成状況を示す情報を、端末装置3に送信して、当該端末装置3のディスプレイに表示してもよい。
【0107】
(休ませるレタスの判別について)
また、図7のSB2の判別例において「光合成状況情報」も例示したが、上述の「(管理部について)」で説明したように、光合成を促すために照明部23の光を当てる処理を行う場合、SB2の判別例において「光合成状況情報」を省略してもよい。
【0108】
(所定の動作開始条件について)
また、図6のSA1では、栽培施設における光量に関連する条件、及び現在の時間帯に関連する条件に基づいて判定する場合について説明したがこれに限らない。例えば、これらの一方のみの条件に基づいて判定してもよい。
【0109】
又は、例えば、実施の形態で説明した条件と共に、あるいは、当該条件の代わりに、以下の条件を用いて判定してもよい。栽培施設の施設状況に関連する条件、又は、対象植物の生育状況に関連する条件に基づいて判定してもよい。
【0110】
栽培施設の施設状況に関連する条件は、栽培施設の路面が濡れている場合には、撮影用車両2の移動に適しておらず、撮影用車両2の想定外の移動を防止する観点に基づく条件である。対象植物の生育状況に関連する条件は、植物の生育が遅れている、あるいは、病害が発生している等の理由により光を当てずに休ませた方が好ましい状況下での、撮影(光の照射)を防止する観点に基づく条件である。
【0111】
処理については、例えば、図7のSB1で説明した処理と同様な処理を行って、路面が濡れているか否かを判定し、路面が濡れていない場合のみに、移動を開始するものと判定してもよい。また、例えば、SB2及びSB3で説明した処理と同様な処理を行って、休ませる必要があるレタス900が無いものと判定した場合のみに、移動を開始するものと判定してもよい。なお、これらの判定の範囲は、温室全体であることとしてもよいし、温室の一部であることとしてもよい。
【0112】
そして、実施の形態で説明した2個の条件、及び変形例で説明した2個の条件を含む合計4個の条件の内の、1個のみを用いて判定するように構成してもよいし、任意の2個以上を組み合わせて判定するように構成してもよい。
【0113】
(他の特徴について)
例えば、図1のカメラ22の位置及び方向を任意に調整できる調整機構(一例としては、いわゆるロボットアームの如き機構等)を適用して、管理装置4からの命令によりカメラ22の位置及び方向を調整可能となるように構成してもよい。
【0114】
又は、例えば、図8において、ルートR2、R3の移動中に樋91、92側を撮影し、ルートR4、R5を移動中に樋93、94を撮影するように構成してもよい。なお、この場合、図6のSA4において、樋93、94の分割部分で栽培されているレタス900を休ませる必要があるか否かも考慮して、移動ルートを決定してもよい。
【0115】
又は、撮影用車両2に対して、温室内の自己の位置を検出するための検出手段(例えば、モーションセンサ、又は各種衛星からの信号を利用する装置等)を設けて、撮影用車両2を当該検出手段を利用して移動させてもよい。なお、この場合、図2の案内テープ81等を省略してもよい。
【0116】
(特徴について)
また、上記実施の形態の特徴と、変形例の特徴を任意に組み合わせてもよい。
【0117】
(付記)
付記1の制御システムは、対象植物が栽培されている栽培施設内を移動する撮影装置であって、前記対象植物に対して光を当てた状態で前記対象植物を撮影する前記撮影装置を制御するための制御システムであって、所定の動作開始条件に基づいて、前記撮影装置の移動を開始するか否かを判定する判定手段と、前記撮影装置の移動を開始するものと前記判定手段が判定した場合に、前記撮影装置の移動を開始する動作制御手段と、を備え、前記所定の動作開始条件は、少なくとも、前記栽培施設における光量、現在の時間帯、前記栽培施設の施設状況、又は前記対象植物の生育状況の内の1個以上に関連する条件である。
【0118】
付記2の制御システムは、付記1に記載の制御システムにおいて、前記動作制御手段は、前記対象植物の生育状況又は前記栽培施設の施設状況に基づいて、前記撮影装置の移動ルートを決定し、当該決定した移動ルートに沿って前記撮影装置を移動させる。
【0119】
付記3の制御システムは、付記1又は2に記載の制御システムにおいて、前記撮影装置が撮影した前記対象植物の撮影画像に基づいて、前記対象植物を栽培するための管理処理を行う管理手段、を更に備える。
【0120】
付記4の制御プログラムは、対象植物が栽培されている栽培施設内を移動する撮影装置であって、前記対象植物に対して光を当てた状態で前記対象植物を撮影する前記撮影装置を制御するための制御プログラムであって、コンピュータを、所定の動作開始条件に基づいて、前記撮影装置の移動を開始するか否かを判定する判定手段と、前記撮影装置の移動を開始するものと前記判定手段が判定した場合に、前記撮影装置の移動を開始する動作制御手段と、として機能させ前記所定の動作開始条件は、少なくとも、前記栽培施設における光量、現在の時間帯、前記対象植物の栽培状況、又は前記対象植物の生育状況の内の1個以上に関連する条件である。
【0121】
(付記の効果)
付記1に記載の制御システム、及び付記4に記載の制御プログラムによれば、所定の動作開始条件に基づいて、撮影装置の移動を開始するか否かを判定し、所定の動作開始条件は、少なくとも、栽培施設における光量、現在の時間帯、栽培施設の施設状況、又は対象植物の生育状況の内の1個以上に関連する条件であることにより、例えば、栽培施設における光量、現在の時間帯、栽培施設の施設状況、又は対象植物の生育状況を考慮して、適切なタイミングに撮影装置の移動を開始させることが可能となる。
【0122】
付記2の制御システムによれば、対象植物の生育状況又は栽培施設の施設状況に基づいて、撮影装置の移動ルートを決定し、当該決定した移動ルートに沿って撮影装置を移動させることより、例えば、対象植物の生育状況を考慮した適切な移動ルートを移動させることができるので、対象植物を適切に生育しつつ撮影を行うことが可能となる。また、栽培施設の施設状況を考慮した適切な移動ルートを移動させることができるので、撮影装置を想定通りにスムーズに移動させることが可能となる。
【0123】
付記3の制御システムによれば、撮影画像に基づいて対象植物を栽培するための管理処理を行うことにより、例えば、対象植物を想定通りに適切に栽培することが可能となる。
【符号の説明】
【0124】
1 栽培用装置群
2 撮影用車両
3 端末装置
4 管理装置
9 樋
21 通信部
22 カメラ
23 照明部
24 記録部
25 制御部
41 通信部
42 記録部
43 制御部
431 判定部
432 動作制御部
81 案内テープ
82 基準点マーカ
83 撮影用マーカ
84 表示パネル
91 樋
92 樋
93 樋
94 樋
100 植物生産システム
811 案内テープ
812 案内テープ
841 表示パネル
831 撮影用マーカ
900 レタス
G9 樋画像
G84 表示パネル画像
G900 レタス画像
G901 レタス画像
R1 ルート
R2 ルート
R3 ルート
R4 ルート
R5 ルート
R6 ルート
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
【手続補正書】
【提出日】2021-01-14
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
対象植物が栽培されている栽培施設内を移動する撮影装置であって、前記対象植物に対して光を当てた状態で前記対象植物を撮影する前記撮影装置を制御するための制御システムであって、
所定の動作開始条件に基づいて、前記撮影装置の移動を開始するか否かを判定する判定手段と、
前記撮影装置の移動を開始するものと前記判定手段が判定した場合に、前記撮影装置の移動を開始する動作制御手段と、を備え、
前記所定の動作開始条件は、少なくとも、前記栽培施設における光量、現在の時間帯、前記栽培施設の施設状況、又は前記対象植物の生育状況の内の1個以上に関連する条件であり、
前記動作制御手段は、前記対象植物の生育状況又は前記栽培施設の施設状況に基づいて、前記撮影装置の移動ルートを決定し、当該決定した移動ルートに沿って前記撮影装置を移動させる、
制御システム。
【請求項2】
前記撮影装置が撮影した前記対象植物の撮影画像に基づいて、前記対象植物を栽培するための管理処理を行う管理手段、を更に備える、
請求項に記載の制御システム。
【請求項3】
対象植物が栽培されている栽培施設内を移動する撮影装置であって、前記対象植物に対して光を当てた状態で前記対象植物を撮影する前記撮影装置を制御するための制御プログラムであって、
コンピュータを、
所定の動作開始条件に基づいて、前記撮影装置の移動を開始するか否かを判定する判定手段と、
前記撮影装置の移動を開始するものと前記判定手段が判定した場合に、前記撮影装置の移動を開始する動作制御手段と、として機能させ
前記所定の動作開始条件は、少なくとも、前記栽培施設における光量、現在の時間帯、前記対象植物の栽培状況、又は前記対象植物の生育状況の内の1個以上に関連する条件であり、
前記動作制御手段は、前記対象植物の生育状況又は前記栽培施設の施設状況に基づいて、前記撮影装置の移動ルートを決定し、当該決定した移動ルートに沿って前記撮影装置を移動させる、
制御プログラム。
【手続補正2】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0006
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0006】
上述した課題を解決し、目的を達成するために、請求項1に記載の制御システムは、対象植物が栽培されている栽培施設内を移動する撮影装置であって、前記対象植物に対して光を当てた状態で前記対象植物を撮影する前記撮影装置を制御するための制御システムであって、所定の動作開始条件に基づいて、前記撮影装置の移動を開始するか否かを判定する判定手段と、前記撮影装置の移動を開始するものと前記判定手段が判定した場合に、前記撮影装置の移動を開始する動作制御手段と、を備え、前記所定の動作開始条件は、少なくとも、前記栽培施設における光量、現在の時間帯、前記栽培施設の施設状況、又は前記対象植物の生育状況の内の1個以上に関連する条件であり、前記動作制御手段は、前記対象植物の生育状況又は前記栽培施設の施設状況に基づいて、前記撮影装置の移動ルートを決定し、当該決定した移動ルートに沿って前記撮影装置を移動させる。
【手続補正3】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0007
【補正方法】削除
【補正の内容】
【手続補正4】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0008
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0008】
請求項に記載の制御システムは、請求項1に記載の制御システムにおいて、前記撮影装置が撮影した前記対象植物の撮影画像に基づいて、前記対象植物を栽培するための管理処理を行う管理手段、を更に備える。
【手続補正5】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0009
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0009】
請求項に記載の制御プログラムは、対象植物が栽培されている栽培施設内を移動する撮影装置であって、前記対象植物に対して光を当てた状態で前記対象植物を撮影する前記撮影装置を制御するための制御プログラムであって、コンピュータを、所定の動作開始条件に基づいて、前記撮影装置の移動を開始するか否かを判定する判定手段と、前記撮影装置の移動を開始するものと前記判定手段が判定した場合に、前記撮影装置の移動を開始する動作制御手段と、として機能させ前記所定の動作開始条件は、少なくとも、前記栽培施設における光量、現在の時間帯、前記対象植物の栽培状況、又は前記対象植物の生育状況の内の1個以上に関連する条件であり、前記動作制御手段は、前記対象植物の生育状況又は前記栽培施設の施設状況に基づいて、前記撮影装置の移動ルートを決定し、当該決定した移動ルートに沿って前記撮影装置を移動させる。
【手続補正6】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0010
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0010】
請求項1に記載の制御システム、及び請求項に記載の制御プログラムによれば、所定の動作開始条件に基づいて、撮影装置の移動を開始するか否かを判定し、所定の動作開始条件は、少なくとも、栽培施設における光量、現在の時間帯、栽培施設の施設状況、又は対象植物の生育状況の内の1個以上に関連する条件であることにより、例えば、栽培施設における光量、現在の時間帯、栽培施設の施設状況、又は対象植物の生育状況を考慮して、適切なタイミングに撮影装置の移動を開始させることが可能となる。
また、対象植物の生育状況又は栽培施設の施設状況に基づいて、撮影装置の移動ルートを決定し、当該決定した移動ルートに沿って撮影装置を移動させることより、例えば、対象植物の生育状況を考慮した適切な移動ルートを移動させることができるので、対象植物を適切に生育しつつ撮影を行うことが可能となる。また、栽培施設の施設状況を考慮した適切な移動ルートを移動させることができるので、撮影装置を想定通りにスムーズに移動させることが可能となる。
【手続補正7】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0011
【補正方法】削除
【補正の内容】
【手続補正8】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0012
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0012】
請求項に記載の制御システムによれば、撮影画像に基づいて対象植物を栽培するための管理処理を行うことにより、例えば、対象植物を想定通りに適切に栽培することが可能となる。