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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022079026
(43)【公開日】2022-05-26
(54)【発明の名称】接合部材の製造方法
(51)【国際特許分類】
   F16B 4/00 20060101AFI20220519BHJP
   F16B 7/20 20060101ALI20220519BHJP
   B21D 39/00 20060101ALI20220519BHJP
【FI】
F16B4/00 J
F16B7/20 A
B21D39/00 C
【審査請求】未請求
【請求項の数】4
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2020189953
(22)【出願日】2020-11-16
(71)【出願人】
【識別番号】396008934
【氏名又は名称】松本工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100120086
【弁理士】
【氏名又は名称】▲高▼津 一也
(74)【代理人】
【識別番号】100191204
【弁理士】
【氏名又は名称】大塚 春彦
(72)【発明者】
【氏名】松本 伸介
【テーマコード(参考)】
3J039
【Fターム(参考)】
3J039AA08
3J039BB01
3J039JA17
3J039KA01
(57)【要約】
【課題】安定した強度で複数の筒状部材を接合することができる新規な方法を提供する。
【解決手段】その側壁に2つの挿入孔を有する筒状基部材30の挿入孔に、2つの筒状挿入部材31,32を挿入する挿入部材挿入工程と、2つの筒状挿入部材31,32の内部に、筒状挿入部材31,32同士を繋ぐ連結芯部材33を挿入する芯部材挿入工程と、筒状基部材30の両側開口36,37から、筒状基部材30内の筒状挿入部材31,32の挿入部38,39をプレスするプレス工程とを有することを特徴とする接合部材300の製造方法である。
【選択図】図3C
【特許請求の範囲】
【請求項1】
その側壁に少なくとも1つの挿入孔を有する筒状基部材の該挿入孔に、筒状挿入部材を挿入する挿入部材挿入工程と、
前記筒状基部材の挿入孔に前記筒状挿入部材を挿入した状態で、前記筒状基部材の両側開口から、該筒状基部材内の筒状挿入部材の挿入部をプレスするプレス工程と、
を有することを特徴とする接合部材の製造方法。
【請求項2】
前記筒状基部材が同一横断面上に2つ以上の挿入孔を有しており、
前記挿入部材挿入工程において、前記筒状基部材の2つ以上の挿入孔に、2つ以上の筒状挿入部材を突合わせで挿入することを特徴とする請求項1記載の接合部材の製造方法。
【請求項3】
前記筒状基部材が直線上に2つの挿入孔を有していることを特徴とする請求項2記載の接合部材の製造方法。
【請求項4】
前記プレス工程前に、前記2つ以上の筒状挿入部材の内部に、該筒状挿入部材同士を繋ぐ連結芯部材を挿入する芯部材挿入工程を有することを特徴とする請求項2又は3記載の接合部材の製造方法。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、プレス加工により複数の筒状部材を接合する、接合部材の製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、金属等の部材を接合する方法としては、溶接、ネジ止め、圧入、接着などの方法が用いられている。その中でも、溶接は、強度の強い接合方法であり、金属パイプ等の筒状部材の接合に利用されている(例えば、特許文献1及び2参照)。
【0003】
しかしながら、溶接は、熟練した技術が必要であり、製品の品質が作業者の技量に左右されやすく、その接合強度の検知(不良品の検知)も難しいといった問題がある。したがって、これらの問題を解決できる溶接に代わる新たな接合方法が望まれている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2018-25305号公報
【特許文献2】特表2014-523344号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明はこのような事情に鑑みなされたものであり、本発明の課題は、安定した強度で筒状部材を接合することができる新規な方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明者は、溶接に代わる筒状部材の接合方法について鋭意検討した結果、筒状基部材の側壁に形成された挿入孔に筒状挿入部材を挿入した状態で、筒状基部材の両側開口から、筒状基部材内の筒状挿入部材の挿入部をプレスすることにより、安定した強度で筒状部材を接合できることを見いだし、本発明を完成するに至った。
【0007】
すなわち、本発明は、以下の通りのものである。
[1]その側壁に少なくとも1つの挿入孔を有する筒状基部材の該挿入孔に、筒状挿入部材を挿入する挿入部材挿入工程と、
前記筒状基部材の挿入孔に前記筒状挿入部材を挿入した状態で、前記筒状基部材の両側開口から、該筒状基部材内の筒状挿入部材の挿入部をプレスするプレス工程と、
を有することを特徴とする接合部材の製造方法。
[2]前記筒状基部材が同一横断面上に2つ以上の挿入孔を有しており、
前記挿入部材挿入工程において、前記筒状基部材の2つ以上の挿入孔に、2つ以上の筒状挿入部材を突合わせで挿入することを特徴とする上記[1]記載の接合部材の製造方法。
[3]前記筒状基部材が直線上に2つの挿入孔を有していることを特徴とする上記[2]記載の接合部材の製造方法。
[4]前記プレス工程前に、前記2つ以上の筒状挿入部材の内部に、該筒状挿入部材同士を繋ぐ連結芯部材を挿入する芯部材挿入工程を有することを特徴とする上記[2]又は[3]記載の接合部材の製造方法。
【発明の効果】
【0008】
本発明の製造方法によれば、筒状部材同士が所定の強度で接合された接合部材を安定して製造することができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1A】本発明の第一実施形態に係る接合部材の製造方法に用いる部材の説明図であって、各部材の概略斜視図である。
図1B】本発明の第一実施形態に係る接合部材の製造方法に用いる部材の説明図であって、各部材を組み合わせたプレス加工前の状態の概略斜視図である。
図1C】本発明の第一実施形態に係る接合部材の製造方法に用いる部材の説明図であって、各部材を組み合わせたプレス加工後の状態の概略斜視図である。
図1D】本発明の第一実施形態に係る接合部材の製造方法に用いる部材の説明図であって、各部材を組み合わせたプレス加工後の状態の概略拡大平面図である。
図2A】本発明の第二実施形態に係る接合部材の製造方法に用いる部材の説明図であって、各部材の概略斜視図である。
図2B】本発明の第二実施形態に係る接合部材の製造方法に用いる部材の説明図であって、各部材を組み合わせたプレス加工前の状態の概略斜視図である。
図2C】本発明の第二実施形態に係る接合部材の製造方法に用いる部材の説明図であって、各部材を組み合わせたプレス加工後の状態の概略斜視図である。
図2D】本発明の第二実施形態に係る接合部材の製造方法に用いる部材の説明図であって、各部材を組み合わせたプレス加工後の状態の概略拡大平面図である。
図3A】本発明の第三実施形態に係る接合部材の製造方法に用いる部材の説明図であって、各部材の概略斜視図である。
図3B】本発明の第三実施形態に係る接合部材の製造方法に用いる部材の説明図であって、各部材を組み合わせたプレス加工前の状態の概略斜視図である。
図3C】本発明の第三実施形態に係る接合部材の製造方法に用いる部材の説明図であって、各部材を組み合わせたプレス加工後の状態の概略斜視図である。
図3D】本発明の第三実施形態に係る接合部材の製造方法に用いる部材の説明図であって、各部材を組み合わせたプレス加工後の状態の概略拡大平面図である。
図4A】本発明の第四実施形態に係る接合部材の製造方法に用いる部材の説明図であって、各部材を組み合わせたプレス加工前の状態の概略斜視図である。
図4B】本発明の第四実施形態に係る接合部材の製造方法に用いる部材の説明図であって、各部材を組み合わせたプレス加工後の状態の概略平面図である。
図5A】本発明の第五実施形態に係る接合構造体の概略斜視図である。
図5B】本発明の第五実施形態に係る接合構造体の説概略平面図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
本発明に係る接合部材の製造方法は、その側壁に少なくとも1つの挿入孔を有する筒状基部材の挿入孔に、筒状挿入部材を挿入する挿入部材挿入工程と、筒状基部材の挿入孔に筒状挿入部材を挿入した状態で、筒状基部材の両側開口から、筒状基部材内の筒状挿入部材の挿入部をプレスするプレス工程とを有することを特徴とする。
【0011】
本発明の製造方法によれば、筒状部材の側部に他の筒状部材が所定の強度で接合された接合部材を安定して製造することができる。すなわち、本発明の方法は、プレス加工化が可能となるため、熟練した技術が必要である従来の溶接工法と異なり、製品の品質が作業者の技量に左右されることがなく、安定して部材の接合を行うことができる。また、プレス加工化により、作業効率が向上する。さらに、高熱処理を要しないことから、溶接に適さない耐熱性の低い部材の接合に用いることができる。
【0012】
[筒状基部材]
筒状基部材は、筒状の部材である。筒状基部材の断面形状としては、例えば、円形状、多角形状等の各種断面形状を例示することができる。また、筒状基部材の全体形状としては、例えば、直管状、弧状曲管状、L字状曲管状、S字状曲管状等の各種形状を例示することができる。
【0013】
筒状基部材は、その側壁に少なくとも1つの挿入孔を有している。挿入孔は、その側壁に貫通形成され、挿入する筒状挿入部材の数が設けられていればよい。筒状基部材が2つ以上の挿入孔を有する場合、挿入孔は、筒状基部材の異なる横断面上に設けられていてもよいが、筒状基部材の同一横断面上に設けられていることが好ましい。また、挿入孔は、挿入する筒状挿入部材の直径(多角形の場合は対角線の長さ)に対応する大きさに形成されるものであり、筒状挿入部材が隙間なく挿入される大きさに形成されていることが好ましい。
【0014】
筒状基部材の材質としては、挿入孔を形成可能であれば特に制限されるものではなく、例えば、金属、合成樹脂を挙げることができ、金属が好ましい。金属としては、具体的に例えば、普通鋼(炭素鋼)等の鉄鋼、合金鋼・特殊用途鋼・工具鋼等の特殊鋼、アルミニウム合金、銅合金、チタン、マグネシウム等の非鉄などを挙げることができる。耐久性やコストの点から、普通鋼(炭素鋼)、ステンレス鋼、高張力鋼(ハイテン)が好ましく、安価なことから、普通鋼(炭素鋼)がより好ましい。
【0015】
[筒状挿入部材]
筒状挿入部材は、筒状基部材の挿入孔に挿入される筒状部材である。筒状挿入部材は、筒状基部材の挿入孔の数に応じて1又は2以上用いることができる。すなわち、筒状基部材の挿入孔が1つの場合、1つの筒状挿入部材が1つの挿入孔に挿入される。また、筒状基部材の挿入孔が2つ以上の場合、2つ以上の筒状挿入部材がそれぞれの挿入孔に挿入される。本発明においては、筒状基部材の同一横断面上に2つ以上の挿入孔が設けられ、かかる2つ以上の挿入孔に筒状挿入部材が突合わせで挿入されることが好ましい。
【0016】
筒状挿入部材の断面形状としては、挿入孔の形状にあわせて、例えば、円形状、多角形状等の各種形状とすることができる。また、筒状基部材の全体形状としては、例えば、直管状、弧状曲管状、L字状曲管状、S字状曲管状等の各種形状を例示することができる。
【0017】
筒状挿入部材の材質としては、特に制限されるものではなく、例えば、金属、合成樹脂を挙げることができ、金属が好ましい。金属としては、具体的に例えば、普通鋼(炭素鋼)等の鉄鋼、合金鋼・特殊用途鋼・工具鋼等の特殊鋼、アルミニウム合金、銅合金、チタン、マグネシウム等の非鉄などを挙げることができる。耐久性やコストの点から、普通鋼(炭素鋼)、ステンレス鋼、高張力鋼板(ハイテン)が好ましく、安価なことから、普通鋼(炭素鋼)がより好ましい。筒状挿入部材を2つ以上用いる場合、同一の材質であっても、異なる材質であってもよい。また、筒状挿入部材は、筒状基部材と同一の材質であっても、異なる材質であってもよい。
【0018】
筒状挿入部材の外径としては、筒状基部材の外径の40~70%程度の長さが好ましく、50~60%程度の長さがより好ましい。このような大きさの筒状挿入部材を用いることにより、筒状挿入部材の挿入部がプレスされて押し潰された際、押し潰された筒状挿入部材が筒状基部材の内壁に干渉して、接合をより強固なものとすることができる。
【0019】
[連結芯部材]
連結芯部材は、筒状基部材の同一横断面上の2つ以上の挿入孔に、2つ以上の筒状挿入部材が突合わせで挿入される場合に、これらの筒状挿入部材の内部に挿入された状態で筒状挿入部材を繋ぐ部材である。連結芯部材を用いることにより、各筒状挿入部材と連結芯部材が密着して接合を強固なものとすると共に、安定した接合状態を保持することが可能となる。
【0020】
連結芯部材の形状は、挿入孔に挿入された2つ以上の筒状挿入部材の内部に亘って挿入できるものであれば制限されるものではなく、例えば、直線状、L字状、Y字状、X字状等の丸棒、平板等を挙げることができる。
【0021】
具体的に、筒状基部材の2つの挿入孔が同一横断面上に直線上に形成されている場合には、直線状の連結芯部材を用いることができる。また、筒状基部材の2つの挿入孔が同一横断面上に直角に形成されている場合には、L字状の連結芯部材を用いることができる。また、筒状基部材の3つの挿入孔が同一横断面上に等間隔に形成される場合には、Y字状の連結芯部材を用いることができる。さらに、筒状基部材の4つの挿入孔が同一横断面上に等間隔に形成される場合には、X字状の連結芯部材を用いることができる。
【0022】
連結芯部材としては、平板が好ましく、その幅が、挿入する筒状挿入部材の内径の80%以上の長さであることが好ましく、90%以上の長さであることがより好ましく、95%以上の長さであることがさらに好ましい。また、その長さが、筒状基部材の外形よりも外側に突出する長さであることが好ましい。これにより、より安定した接合状態を形成することができる。
【0023】
連結芯部材の材質としては、筒状基部材及び/又は筒状挿入部材と同一の材質であってもよいし、異なる材質であってもよい。異なる材質を用いる態様としては、例えば、筒状基部材及び/又は筒状挿入部材が一般の鉄鋼の管部材の場合に、連結芯部材として高張力鋼(ハイテン)を用いる態様を挙げることができる。連結芯部材の材質として、強度の高い、筒状基部材や筒状挿入部材と異なる材質を用いることにより、接合強度を向上させることができる。
【0024】
続いて、本発明の接合部材の製造方法の各工程について詳細に説明する。
【0025】
[挿入部材挿入工程]
挿入部材挿入工程は、その側壁に少なくとも1つの挿入孔を有する筒状基部材の挿入孔に、筒状挿入部材を挿入する工程である。本工程は、筒状基部材の1つの挿入孔に、1つの筒状挿入部材を挿入する態様であってもよいが、筒状基部材の2つ以上の挿入孔に、2つ以上の筒状挿入部材をそれぞれ挿入する態様が好ましい。特に、筒状基部材の2つの挿入孔に、2つの筒状挿入部材をそれぞれ挿入する態様が好ましい。また、2つ以上の筒状挿入部材を用いる場合は、突合わせとすることが好ましい。すなわち、同一横断面上に2つ以上の挿入孔を有する筒状基部材を用い、筒状基部材の挿入孔に筒状挿入部材を突合わせで挿入することが好ましい。
【0026】
[芯部材挿入工程]
芯部材挿入工程は、上記のように、筒状基部材の同一横断面上の2つ以上の挿入孔に筒状挿入部材が突合わせで挿入される場合、プレス工程前に必要に応じて行われる工程である。本工程では、2つ以上の筒状挿入部材の内部に、筒状挿入部材同士を繋ぐ連結芯部材を挿入する。これにより、筒状挿入部材と連結芯部材が密着して接合を強固なものとすると共に、安定した接合状態を保持することが可能となる。例えば、直線上に2つの挿入孔を有している筒状基部材を用いる場合、その内部に連結芯部材の半分程度を挿入した一方の筒状挿入部材を筒状基部材内に挿入し、次いで他方の筒状挿入部材を挿入して他方の筒状挿入部材内に、一方の筒状挿入部材から突出した連結芯部材を導入して、筒状挿入部材同士が連結芯部材で連結された状態を形成する。
【0027】
[プレス工程]
プレス工程は、筒状基部材の挿入孔に筒状挿入部材を挿入した状態で、筒状基部材の両側開口から、筒状基部材内の筒状挿入部材の挿入部をプレスする工程である。本工程においては、筒状挿入部材の挿入部をプレスすることにより、筒状挿入部材の挿入部が押し潰され(かしめられ)、筒状挿入部材が筒状基部材の挿入孔部分で強固に固定され、それぞれの部材が接合される。この際、連結芯部材が存在する場合には、連結芯部材は、押しつぶされた筒状挿入部材と密着して固定され、接合をより強固で安定したものとする。
【0028】
プレス方法としては、通常のプレス方法を用いることができ、例えば、熱間鍛造であってもよいし、冷間鍛造であってもよいが、寸法精度の観点から、冷間鍛造が好ましい。
【0029】
上述した本発明の製造方法によって製造される接合部材は、自動車等の部品、建築構造材等に用いることができる。また、接合部材同士をさらに接合して、多様な接合構造体を製造することができる。
【0030】
以下、本発明の接合部材の製造方法について、図面を用いて詳細に説明するが、本発明の範囲は本実施形態に制限されるものではない。なお、実施形態において参照する図面は、理解を深めるために模式的に記載したものであり、図面に描画された物体の寸法の比率などは、現実の物体の寸法の比率などとは異なる場合がある。
【0031】
ここで、図1Aは、本発明の第一実施形態に係る接合部材の製造方法に用いる部材の説明図であって、各部材の概略斜視図である。図1Bは、本発明の第一実施形態に係る接合部材の製造方法に用いる部材の説明図であって、各部材を組み合わせたプレス加工前の状態の概略斜視図である。図1Cは、本発明の第一実施形態に係る接合部材の製造方法に用いる部材の説明図であって、各部材を組み合わせたプレス加工後の状態の概略斜視図である。図1Dは、本発明の第一実施形態に係る接合部材の製造方法に用いる部材の説明図であって、各部材を組み合わせたプレス加工後の状態の概略拡大平面図である。
【0032】
図1A図1Dに示すように、本発明の第一実施形態に係る接合部材の製造方法においては、筒状基部材10と、筒状挿入部材11とを用いて接合部材を製造する。
【0033】
まず、本発明の第一実施形態に係る製造方法に用いる部材について説明する。
筒状基部材10は、円形の断面形状を有し、全体が直管状に形成された普通鋼製の筒状部材である。筒状基部材10は、その側壁に挿入孔12を1つ有している。
【0034】
筒状挿入部材11は、円形の断面形状を有し、全体が直管状に形成された普通鋼製の筒状部材であり、その外径が、筒状基部材10の挿入孔12の内径とほぼ同一の大きさとなっている。
【0035】
次に、上記筒状基部材10及び筒状挿入部材11を用いた本発明の第一実施形態に係る部材の製造方法について具体的に説明する。
図1A及び図1Bに示すように、まず、筒状基部材10の挿入孔12に、筒状挿入部材11を挿入する(挿入部材挿入工程)。次に、図1Cに示すように、筒状基部材10の挿入孔12に筒状挿入部材11を挿入した状態で、筒状基部材10の両側開口13,14から、筒状基部材10内の筒状挿入部材11の挿入部15をプレスする(プレス工程)。
以上の工程により、本発明の第一実施形態に係る接合部材100が製造される。
【0036】
図1Dに示すように、本発明の第一実施形態に係る接合部材100は、筒状基部材10内の筒状挿入部材11の挿入部15が押し潰され(かしめられ)、それぞれの部材が接合される。
【0037】
続いて、本発明の第二実施形態に係る製造方法について説明する。本実施形態においては、筒状基部材の2つの挿入孔に、2つの筒状挿入部材がそれぞれ挿入される。
【0038】
ここで、図2Aは、本発明の第二実施形態に係る接合部材の製造方法に用いる部材の説明図であって、各部材の概略斜視図である。図2Bは、本発明の第二実施形態に係る接合部材の製造方法に用いる部材の説明図であって、各部材を組み合わせたプレス加工前の状態の概略斜視図である。図2Cは、本発明の第二実施形態に係る接合部材の製造方法に用いる部材の説明図であって、各部材を組み合わせたプレス加工後の状態の概略斜視図である。図2Dは、本発明の第二実施形態に係る接合部材の製造方法に用いる部材の説明図であって、各部材を組み合わせたプレス加工後の状態の概略拡大平面図である。
【0039】
図2A図2Dに示すように、本発明の第二実施形態に係る製造方法においては、筒状基部材20と、2つの筒状挿入部材21,22とを用いて接合部材を製造する。
【0040】
まず、本発明の第二実施形態に係る製造方法に用いる部材について説明する。
筒状基部材20は、筒状基部材10同様、円形の断面形状を有し、全体が直管状に形成された普通鋼製の筒状部材である。また、筒状基部材20は、その側壁に、挿入孔23と、その同一横断面上の対向する位置(直線上)に設けられた挿入孔24とを有している点で、筒状基部材10と異なる。2つの筒状挿入部材21,22は、筒状挿入部材11と同様である。
【0041】
次に、上記筒状基部材20及び2つの筒状挿入部材21,22を用いた本発明の第二実施形態に係る部材の製造方法について具体的に説明する。
図2A及び図2Bに示すように、まず、筒状基部材20の挿入孔23から筒状挿入部材21を挿入し、その反対側の挿入孔24から筒状挿入部材22を挿入し、筒状挿入部材21及び筒状挿入部材21を突合わせの状態とする(挿入部材挿入工程)。
【0042】
次に、図2Cに示すように、筒状基部材20の挿入孔23,24に筒状挿入部材21,22を挿入した状態で、筒状基部材10の両側開口25,26から、筒状ワーク基部20内の筒状挿入部材21,22の挿入部27,28をプレスする(プレス工程)。
以上の工程により、本発明の第二実施形態に係る接合部材200が製造される。
【0043】
図2Dに示すように、本発明の第二実施形態に係る接合部材200は、筒状基部材20内の筒状挿入部材21,22の挿入部27,28を押し潰され(かしめられ)、それぞれの部材が接合される。
【0044】
続いて、本発明の第三実施形態に係る製造方法について説明する。本実施形態においては、連結芯部材を用いて接合する点で上記第二実施形態と異なる。
【0045】
ここで、図3Aは、本発明の第三実施形態に係る接合部材の製造方法に用いる部材の説明図であって、各部材の概略斜視図である。図3Bは、本発明の第三実施形態に係る接合部材の製造方法に用いる部材の説明図であって、各部材を組み合わせたプレス加工前の状態の概略斜視図である。図3Cは、本発明の第三実施形態に係る接合部材の製造方法に用いる部材の説明図であって、各部材を組み合わせたプレス加工後の状態の概略斜視図である。図3Dは、本発明の第三実施形態に係る接合部材の製造方法に用いる部材の説明図であって、各部材を組み合わせたプレス加工後の状態の概略拡大平面図である。
【0046】
図3A図3Dに示すように、本発明の第三実施形態に係る製造方法においては、筒状基部材30と、2つの筒状挿入部材31,32と、連結芯部材33とを用いて接合部材を製造する。
【0047】
連結芯部材33は、筒状挿入部材31,32同士を繋ぐ、平板状の普通鋼製の棒である。その幅は、筒状挿入部材31,32の内径とほぼ同一の大きさである。また、その長さは、筒状基部材30の外径よりも長くなっている。
【0048】
次に、上記筒状基部材30、2つの筒状挿入部材31,32、及び連結芯部材33を用いた本発明の第三実施形態に係る部材の製造方法について具体的に説明する。
図3A及び図3Bに示すように、まず、筒状基部材30の挿入孔34,35に、筒状挿入部材31,32を挿入するが、この際、筒状挿入部材31,32の内部に、筒状挿入部材31,32同士を繋ぐ連結芯部材33を挿入する(挿入部材挿入工程)。具体的には、筒状挿入部材31の内部に連結芯部材33の半分を挿入した状態で、筒状基部材30の挿入孔34から筒状挿入部材31を挿入し、その反対側の挿入孔35から筒状挿入部材32を挿入し、筒状挿入部材31と突合わせに挿入することで、筒状挿入部材32の内部に連結芯部材33の残りの半分を挿入する。
【0049】
次に、図3Cに示すように、筒状基部材30の挿入孔34,35に筒状挿入部材31,32を挿入した状態で、筒状基部材30の両側開口36,37から、筒状ワーク基部30内の筒状挿入部材31,32の挿入部38,39をプレスする(プレス工程)。
以上の工程により、本発明の第三実施形態に係る接合部材300が製造される。
【0050】
図3Dに示すように、本発明の第三実施形態に係る接合部材300は、筒状基部材30内の筒状挿入部材31,32の挿入部38,39が押し潰され(かしめられ)、それぞれの部材が接合される。この際、連結芯部材33は、押しつぶされた筒状挿入部材31,32と密着し固定され、接合をより強固で安定したものとする。
【0051】
続いて、本発明の第四実施形態に係る製造方法について説明する。ここで、図4Aは、本発明の第四実施形態に係る接合部材の製造方法に用いる部材の説明図であって、各部材を組み合わせたプレス加工前の状態の概略斜視図である。図4Bは、本発明の第四実施形態に係る接合部材の製造方法に用いる部材の説明図であって、各部材を組み合わせたプレス加工後の状態の概略平面図である。
【0052】
図4A及び図4Bに示すように、本発明の第四実施形態に係る製造方法においては、筒状基部材40と、3つの筒状挿入部材41,42,43とを用いて接合部材400を製造する。
【0053】
3つの筒状挿入部材41,42,43は、突合せになる先端が、潰した際に120°となるように事前にプレスカットしたものを用いる。挿入部材挿入工程、プレス工程は、上記本発明の第二実施形態と同様のため説明を省略する。
【0054】
図4Bに示すように、本発明の第四実施形態に係る接合部材400は、筒状基部材40内の筒状挿入部材41,42,43の挿入部44,45,46が押し潰され(かしめられ)、それぞれの部材が接合される。
【0055】
続いて、接合部材が連結した接合構造体500の一例(第五実施形態)について説明する。ここで、図5Aは、本発明の第五実施形態に係る接合構造体の概略斜視図である。図5Bは、本発明の第五実施形態に係る接合構造体の概略平面図である。
【0056】
図5A及び図5Bに示すように、本発明の第五実施形態に係る製造方法においては、4つの筒状基部材50~53と、4つのL字状の筒状挿入部材54~57とを用いる。例えば、筒状基部材50に対して、L字状の筒状挿入部材54、57を接合して第1の接合部材を製造すると共に、筒状基部材52に対して、L字状の筒状挿入部材55、56を接合して第2の接合部材を製造する。次いで、この第1及び第2の接合部材を、筒状基部材51、53を用いて接合する。これにより、4つの筒状基部材50~53を介して、筒状挿入部材54~57が平面視して正方形に接合された接合構造体500が製造される。
【産業上の利用可能性】
【0057】
本発明の接合方法は、金属パイプ等の筒状部材の接合に利用できることから、産業上の有用である。
【符号の説明】
【0058】
10 筒状基部材
11 筒状挿入部材
12 挿入孔
13 開口
14 開口
15 挿入部
100 接合部材
20 筒状基部材
21 筒状挿入部材
22 筒状挿入部材
23 挿入孔
24 挿入孔
25 開口
26 開口
27 挿入部
28 挿入部
200 接合部材
30 筒状基部材
31 筒状挿入部材
32 筒状挿入部材
33 連結芯部材
34 挿入孔
35 挿入孔
36 開口
37 開口
38 挿入部
39 挿入部
300 接合部材
40 筒状基部材
41 筒状挿入部材
42 筒状挿入部材
43 筒状挿入部材
44 挿入部
45 挿入部
46 挿入部
400 接合部材
50 筒状基部材
51 筒状基部材
52 筒状基部材
53 筒状基部材
54 筒状挿入部材
55 筒状挿入部材
56 筒状挿入部材
57 筒状挿入部材
500 接合構造体

図1A
図1B
図1C
図1D
図2A
図2B
図2C
図2D
図3A
図3B
図3C
図3D
図4A
図4B
図5A
図5B