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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022007907
(43)【公開日】2022-01-13
(54)【発明の名称】遠心分離機用ケーキダンパ
(51)【国際特許分類】
   B04B 11/04 20060101AFI20220105BHJP
   F16G 13/20 20060101ALI20220105BHJP
【FI】
B04B11/04
F16G13/20
【審査請求】未請求
【請求項の数】6
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2020198829
(22)【出願日】2020-11-30
(31)【優先権主張番号】P 2020110131
(32)【優先日】2020-06-26
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(71)【出願人】
【識別番号】591162022
【氏名又は名称】巴工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100107375
【弁理士】
【氏名又は名称】武田 明広
(72)【発明者】
【氏名】北村 大輔
(72)【発明者】
【氏名】花岡 聡
(72)【発明者】
【氏名】渡邉 健太
(72)【発明者】
【氏名】杉田 昌宏
【テーマコード(参考)】
4D057
【Fターム(参考)】
4D057AA11
4D057AB01
4D057AC01
4D057AC05
4D057AD01
4D057AE01
4D057BC13
(57)【要約】
【課題】装置構成を小型化することができ、製造コストを縮減できる遠心分離機用ケーキダンパを提供する。
【解決手段】ケーシング2と、複数枚の仕切板3(31~33)と、アクチュエータとによって構成され、ケーシング2は、流入口2aと、ケーキ出口2bと、液体流出口2cとを有し、仕切板3(31~33)は、ケーシング2内において、アクチュエータの駆動力を受けて横方向へ連動してスライドするように構成され、流入口2aの直下の位置から側方へずれた位置に、上下に重なった状態で退避することにより、流入口2aとケーキ出口2bとの間の空間を開放した状態と、横断方向へ展開して、流入口2aからケーキ出口2bへ至る経路を遮断した状態とを実現できるように構成されていることを特徴とする。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ケーシングと、複数枚の仕切板と、アクチュエータとによって構成され、
ケーシングは、流入口と、ケーキ出口と、液体流出口とを有し、
仕切板は、ケーシング内において、アクチュエータの駆動力を受けて水平方向又は斜め横方向へ連動してスライドするように構成され、流入口の直下の位置から側方へずれた位置に、上下に重なった状態で退避することにより、流入口とケーキ出口との間の空間を開放した状態と、横断方向へ展開して、流入口からケーキ出口へ至る経路を遮断した状態とを実現できるように構成されていることを特徴とする遠心分離機用ケーキダンパ。
【請求項2】
仕切板が退避して流入口とケーキ出口との間の空間が開放されている状態にあるとき、流入口から液体流出口へ至る経路を遮断し、仕切板が横断方向へ展開して流入口とケーキ出口との間の空間を遮断した状態にあるとき、流入口から液体流出口へ至る経路を開放する閉止板が、ケーシング内に配置されていることを特徴とする請求項1に記載の遠心分離機用ケーキダンパ。
【請求項3】
仕切板をスライドさせる手段として、一対の噛合チェーンを有する噛合チェーン式のアクチュエータが使用され、
前記噛合チェーンは、相互に噛み合った状態にあるとき、剛直化して長手方向へ進退自在に動作させることができる作動ロッドを形成し、分離状態にあるとき、巻回して収納できるように構成されていることを特徴とする請求項1又は2に記載の遠心分離機用ケーキダンパ。
【請求項4】
アクチュエータの作動ロッドの全体が、蛇腹状のカバー材によって常時覆われるように構成され、
カバー材の内部が密閉され、乾燥空気で満たされるように構成されていることを特徴とする請求項3に記載の遠心分離機用ケーキダンパ。
【請求項5】
仕切板をスライドさせるアクチュエータとして、進退動作が可能な作動ロッドと、電動モータと、ボールねじ機構とを備えたアクチュエータ、又は、進退動作が可能な作動ロッドと、油圧シリンダとを備えたアクチュエータ、又は、進退動作が可能な作動ロッドと、空圧シリンダとを備えたアクチュエータが使用されていることを特徴とする、請求項1又は2に記載の遠心分離機用ケーキダンパ。
【請求項6】
作動ロッドが仕切板の側縁部に沿って並進する位置に、アクチュエータを配置したことを特徴とする、請求項5に記載の遠心分離機用ケーキダンパ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、遠心分離機(特に、デカンタ型の遠心分離機)の固形分排出口に接続して配置され、排出物の排出方向を切り換えるための装置(ケーキダンパ)に関する。
【背景技術】
【0002】
デカンタ型の遠心分離機は、コニカル部と円筒状部を有するボウルを高速回転させることにより、ボウル内部に導入した処理物(例えば、下水汚泥等)を遠心力によって固形分(例えば、汚泥ケーキ、脱水ケーキ等)と分離液とに分離し、それらを個別に、より具体的には、ボウルの一方側の端部に形成された分離液排出口から分離液を排出し、反対側の端部に形成された固形分排出口から固形分を排出できるように構成されている。
【0003】
遠心分離機から排出された分離液及び固形分は、個別の経路(分離液回収ライン、及び、固形分回収ライン(例えば、汚泥移送管、汚泥タンク等))によって回収され、次工程等へ移送されることになるが、遠心分離機の運転始動時や停止操作時等において、固形分排出口から液体(分離液、未分離の処理物等)が排出されてしまうことがあり、この場合、液体をそのまま固形分回収ラインに流してしまうと、先行する固形分(固形分回収ライン内の固形分)が再び含水してしまうという問題がある。
【0004】
このため従来のデカンタ型遠心分離機においては、図5に示すようなケーキダンパ71(排出物の排出方向を切り換えるための装置)が固形分排出口に接続配置され、液体が固形分排出口から排出された場合に、それらが固形分回収ラインへ流下することを回避できるように構成されている。
【0005】
図示されているようにこのケーキダンパ71は、ケーシング72と、その内部に配置された仕切板73とによって構成されている。ケーシング72は、内部で二股に分かれる小室が形成され、上端に一つの流入口72aと、下端に二つの流出口(流入口72aの直下の位置において開口するケーキ出口72b、及び、側方へずれた位置において開口する液体流出口72c)とを有している。これらのうち上端の流入口72aは、遠心分離機の固形分排出口(図示せず)に接続され、下端のケーキ出口72bは、固形分回収ラインに接続される。もう一方の液体流出口72cは、分離液回収ライン(或いは、遠心分離機に処理物を供給するフィードライン)に接続される。
【0006】
仕切板73は、水平に保持されたシャフト73a周りに回動するように構成されており、図5において実線で示すように垂直な姿勢にあるとき、流入口72aからの流入物を、直下のケーキ出口72bへ落下させるとともに(図中の黒塗りの矢印参照)、もう一方の液体流出口72c側への経路を遮断し、液体流出口72c側へ流れることを阻止できるようになっている。一方、図5において破線で示す位置まで仕切板73を回動させた場合、ケーキ出口72b側への経路が遮断され、流入口72aからの流入物を、液体流出口72c側へ流下させることができる(図中の白抜きの矢印参照)。
【0007】
従って、遠心分離機の固形分排出口から固形分が排出される通常運転時においては、図5において実線で示すように仕切板73を垂直な姿勢とすることにより、遠心分離機の固形分排出口から排出されて流入口72aからケーシング72内に進入した固形分を、ケーキ出口72b、及び、固形分回収ラインへ流下させることができ、また、固形分排出口から液体(分離液、未分離の処理物等)が排出されてしまう可能性がある遠心分離機の運転始動時や停止操作時等においては、仕切板73を、図5において破線で示す位置まで回動させることにより、流入物を液体流出口72c、及び、分離液回収ライン(或いは、フィードライン)へ流下させ、固形分回収ラインへの液体の流下を防止することができ、先行する固形分回収ライン内の固形分が再び含水すること好適に回避することができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【特許文献1】特許第5656317号公報
【特許文献2】特開2011-241900号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
従来のケーキダンパは、装置構成が比較的大型であり、設置に際しては、高さ方向及び水平方向のいずれについても広いスペースを確保する必要があり、また、製造コストも嵩んでしまうという問題があり、より安価で小型のケーキダンパが求められている。
【0010】
本発明は、このような従来技術における問題を解決しようとするものであって、装置構成を小型化することができ、製造コストを縮減できる遠心分離機用ケーキダンパを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0011】
本発明に係る遠心分離機用ケーキダンパは、ケーシングと、複数枚の仕切板と、アクチュエータとによって構成され、ケーシングは、流入口と、ケーキ出口と、液体流出口とを有し、仕切板は、ケーシング内において、アクチュエータの駆動力を受けて水平方向又は斜め横方向へ連動してスライドするように構成され、流入口の直下の位置から側方へずれた位置に、上下に重なった状態で退避することにより、流入口とケーキ出口との間の空間を開放した状態と、横断方向へ展開して、流入口からケーキ出口へ至る経路を遮断した状態とを実現できるように構成されていることを特徴としている。
【0012】
尚、このケーキダンパにおいては、仕切板が退避して流入口とケーキ出口との間の空間が開放されている状態にあるとき、流入口から液体流出口へ至る経路を遮断し、仕切板が横断方向へ展開して流入口とケーキ出口との間の空間を遮断した状態にあるとき、流入口から液体流出口へ至る経路を開放する閉止板が、ケーシング内に配置されていることが好ましい。
【0013】
また、仕切板をスライドさせる手段として、一対の噛合チェーンを有する噛合チェーン式のアクチュエータが使用され、噛合チェーンが、相互に噛み合った状態にあるとき、剛直化して長手方向へ進退自在に動作させることができる作動ロッドを形成し、分離状態にあるとき、巻回して収納できるように構成されていることが好ましく、更に、アクチュエータの作動ロッドの全体が、蛇腹状のカバー材によって常時覆われるように構成され、カバー材の内部が密閉され、乾燥空気で満たされるように構成されていることが好ましい。
【0014】
また、仕切板をスライドさせる手段として、進退動作が可能な作動ロッドと、電動モータと、ボールねじ機構とを備えたアクチュエータ、又は、進退動作が可能な作動ロッドと、油圧シリンダとを備えたアクチュエータ、又は、進退動作が可能な作動ロッドと、空圧シリンダとを備えたアクチュエータを使用することもできる。この場合、遠心分離機用ケーキダンパ全体の占有面積(開放時及び閉塞時)を小さくするために、作動ロッドが仕切板の側縁部に沿って並進する位置に、アクチュエータを配置することが好ましい。
【発明の効果】
【0015】
本発明に係る遠心分離機用ケーキダンパは、従来のケーキダンパと比較して、全体の装置構成を著しく小型化することができ、また、製造コストを縮減することができる。更に、蛇腹状のカバー材によってアクチュエータの作動ロッドの全体が常時覆われるように構成し、その内部に乾燥空気が供給されるように構成した場合、作動ロッドの腐食を好適に防止することができる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
図1図1は、本発明の第一実施形態に係るケーキダンパ1の構造(仕切板3の収納時の状態)を示す断面図である。
図2図2は、図1に示すケーキダンパ1の構造(仕切板3の展開時の状態)を示す断面図である。
図3図3は、図1に示すケーキダンパ1に使用されるアクチュエータ5の主要部を示す平面図である。
図4図4は、本発明の第二実施形態に係るケーキダンパ1の構造を示す平面図である。
図5図5は、従来の一般的なケーキダンパ71の構造を示す断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下、添付図面に沿って、本発明「遠心分離機用ケーキダンパ」を実施するための形態について説明する。図1及び図2は、本発明の第一実施形態に係るケーキダンパ1の構造を示す断面図であり、図3は、図1に示すケーキダンパ1に使用されるアクチュエータ5の主要部を示す平面図である。このケーキダンパ1は、図1に示すケーシング2、その内部に配置された仕切板3、及び、閉止板4と、図3に示すアクチュエータ5とによって構成されている。
【0018】
ケーシング2は、上端中央において開口する一つの流入口2aと、下端(流入口2aの下方の位置)において開口するケーキ出口2b、及び、側方において開口する液体流出口2cとを有している。これらのうち上端の流入口2aは、遠心分離機の固形分排出口(図示せず)に接続され、下端のケーキ出口2bは、固形分回収ラインに接続される。もう一方の液体流出口2cは、分離液回収ライン(或いは、遠心分離機に処理物を供給するフィードライン)に接続される。
【0019】
仕切板3は、三枚の板(下段仕切板31、中段仕切板32、及び、上段仕切板33)からなり、横方向(水平方向又は斜め横方向)へ連動してスライドするように構成されている。より具体的には、下段仕切板31の後端部31bには、アクチュエータ5(図3参照)の作動ロッド51(長手方向へ進退自在に構成される)が連結されており、下段仕切板31は、作動ロッド51によって後方側(図1において右側)から前方側(図1において左側)へ押し出されることにより、図1に示す収納時の位置から図2に示す展開時の位置まで移動し、また、作動ロッド51によって引っ張られることにより、図2に示す展開時の位置から図1に示す収納時の位置まで移動するように構成されている。
【0020】
中段仕切板32は、先端部32aの下側部分、及び、後端部32bの下側部分が、下段仕切板31の後端部31bの上側部分と係合するように構成されており、下段仕切板31が図1の収納時の位置から図2の展開時の位置へ向かって移動する際に、下段仕切板31の後端部31bが中段仕切板32の先端部32aと当接した時点から、下段仕切板31に引っ張られて中段仕切板32が同方向へ移動することになり、反対に、下段仕切板31が図2の展開時の位置から図1の収納時の位置へ向かって移動する際に、下段仕切板31の後端部31bが中段仕切板32の後端部32bと当接した時点から、下段仕切板31に押されて中段仕切板32が同方向へ移動することになる。
【0021】
上段仕切板33は、先端部33aの下側部分、及び、後端部33bの下側部分が、中段仕切板32の後端部32bの上側部分と係合するように構成されており、下段仕切板31及び中段仕切板32が図1の収納時の位置から図2の展開時の位置へ向かって移動する際に、中段仕切板32の後端部32bが上段仕切板33の先端部33aと当接した時点から、中段仕切板32に引っ張られて上段仕切板33が同方向へ移動することになり、反対に、下段仕切板31及び中段仕切板32が図2の展開時の位置から図1の収納時の位置へ向かって移動する際に、中段仕切板32の後端部32bが上段仕切板33の後端部33bと当接した時点から、中段仕切板32に押されて上段仕切板33が同方向へ移動することになる。
【0022】
このように、下段仕切板31、中段仕切板32、及び、上段仕切板33からなる仕切板3は、アクチュエータ5(図3参照)の駆動力を受けて、横方向へ連動してスライドするように構成されており、図1に示すように、下段仕切板31、中段仕切板32、及び、上段仕切板33が上下に重なるような状態で、流入口2aの直下の位置から側方へ(液体流出口2cとは反対側へ)ずれた位置に退避し、収納されることにより、流入口2aとケーキ出口2bとの間の空間を開放した状態と、図2に示すように、下段仕切板31、中段仕切板32、及び、上段仕切板33が横断方向へ展開して、流入口2aとケーキ出口2bとの間の空間を遮断した状態(流入口2aからケーキ出口2bへ至る経路を遮断した状態)とを実現できるようになっている。
【0023】
閉止板4は、流入口2aとケーキ出口2bとの間の空間から側方へ(液体流出口2c側へ)ずれた位置において、上縁部4aがケーシング2に対して枢着され、下方側が所定の角度範囲で回動可能なように支持されている。この閉止板4は、図1に示すように垂直な姿勢にあるとき、流入口2aから液体流出口2cへ至る経路を遮断することができ、また、図2に示すように、下縁部4b側を液体流出口2cの方へ回動させた場合、流入口2aから液体流出口2cへ至る経路が開放されるように構成されている。
【0024】
尚、閉止板4は、垂直な姿勢となるように付勢されており、図1に示すように仕切板3が流入口2aの直下の位置から側方へずれた位置に退避し、流入口2aとケーキ出口2bとの間の空間が開放されている状態にあるとき、垂直姿勢が維持され、流入口2aから液体流出口2cへ至る経路が遮断される。また、図2に示すように仕切板3が横断方向へ展開して、流入口2aとケーキ出口2bとの間の空間を遮断した状態にあるとき、下段仕切板31の先端部31aに固定されたプッシュロッド31cによって閉止板4が液体流出口2c側へ押されることにより、下縁部4b側が回動して、流入口2aから液体流出口2cへ至る経路が開放される。
【0025】
従って、遠心分離機の固形分排出口から固形分が排出される通常運転時においては、図1に示すように仕切板3を流入口2aの直下の位置から側方へずれた位置に退避させることにより、遠心分離機の固形分排出口から排出されて流入口2aからケーシング2内に進入した固形分を、ケーキ出口2b、及び、固形分回収ラインへ流下させることができ、また、固形分排出口から液体(分離液、未分離の処理物等)が排出されてしまう可能性がある遠心分離機の運転始動時や停止操作時等においては、仕切板3を、図2に示す位置まで展開させて、流入口2aとケーキ出口2bとの間の空間を遮断するとともに、閉止板4を回動させて、流入口2aから液体流出口2cへ至る経路を開放することにより、流入物を液体流出口2c、及び、分離液回収ライン(或いは、フィードライン)へ流下させることができる。
【0026】
尚、本実施形態においては、仕切板3を図1に示す収納時の位置から図2に示す展開時の位置までの範囲でスライドさせるためのアクチュエータ5として、図3に示すような噛合チェーン式のアクチュエータ5が使用されている。このアクチュエータ5は、長手方向へ進退自在に構成される作動ロッド51と、この作動ロッド51の動作をガイドするガイドプレート52と、ガイドプレート52に配置されるスプロケット53に駆動力を供給するモータ(図示せず)とによって構成されている。
【0027】
作動ロッド51は、衣類の開閉部等に用いられるスライドファスナーのように、相互に噛み合った状態と分離した状態とを実現できる一対の噛合チェーン51a,51bによって構成されている。ガイドプレート52は、分離状態の一対の噛合チェーン51a,51bを噛み合わせて進退自在な作動ロッド51を形成できるとともに、噛み合った状態の噛合チェーン51a,51bを分離させて収納できるように構成されている。
【0028】
具体的には、ガイドプレート52には、分離された噛合チェーン51a,51bをそれぞれ渦巻き状に巻回してコンパクトに収納するための一対の収納溝52a、及び、収納溝52a側から進入した噛合チェーン51a,51bを、相互に噛み合う位置へそれぞれ誘導する一対の誘導溝52bとを有しており、噛合チェーン51a,51bを構成する各連結ピンがそれらの溝内に保持された状態でガイドされ、スプロケット53の回転に従って噛合チェーン51a,51bが所定方向へ移動するように構成されている。
【0029】
例えば、図3に示すスプロケット53が時計回り方向へ回転した場合、噛み合った状態の噛合チェーン51a,51bが、誘導溝52bにガイドされて収納溝52a側へ進行し、誘導溝52bの間隔が拡がることによって噛合チェーン51a,51bが二股に分離され、各収納溝52aによって個別にガイドされて、巻回され、収納される。一方、スプロケット53が反時計回り方向へ回転した場合、分離状態の噛合チェーン51a,51bが、収納溝52a側から誘導溝52bに進入することにより、相互に噛み合う位置へそれぞれ誘導され、噛み合った状態となって、ガイドプレート52の外側(図3において左側)へ送り出されることになる。
【0030】
噛み合った状態でガイドプレート52の外側へ送り出された噛合チェーン51a,51bは、剛直化状態(折れ曲がらない状態)で長手方向へ進退自在に動作させることができ、従って、先端部に連結された対象物(本実施形態においては下段仕切板31)を、引っ張るだけでなく、押し出すことも可能な作動ロッド51として機能させることができる(特許文献2参照)。
【0031】
本実施形態のケーキダンパ1は、上述したような構成に係るものであるところ、従来のケーキダンパと比較して、全体の装置構成を小型化することができる。より具体的には、本実施形態のケーキダンパ1は、仕切板3が横方向へスライドするように構成されているため、図5に示すような、一枚の仕切板73を90°以上回動させることによって排出物の排出方向を切り換えるように構成されている従来のケーキダンパ71と比較して、高さ寸法を著しく小さくする(1/2以下とする)ことができる。
【0032】
尚、仕切板が横方向へスライドするように構成した場合、横幅寸法がある程度大きくなるが、本実施形態においては、仕切板3が複数枚に分割され、それらが横方向へ連動してスライドするように、かつ、上下に重なる状態で収納されるように構成され(図1参照)、更に、仕切板3をスライドさせるための手段として、作動ロッド51を構成する噛合チェーン51a,51bが、ガイドプレート52においてコンパクトに収納されるように構成された噛合チェーン式のアクチュエータ5が採用されているため、横幅寸法の増加を最小限に抑えることができ、総体的に装置構成を小型化することができ、また、これに相応して製造コストを大幅に縮減することができる。
【0033】
また、作動ロッド51は、図2において部分的に示すように、蛇腹状のカバー材54によって、常時(図1に示す収納時においても、また、図2に示す展開時においても)全体が覆われるように構成することが好ましく、また、このカバー材54の内部は密閉され、乾燥空気で満たされることが好ましい。このケーキダンパ1が、下水汚泥を対象とする固液分離処理等に使用される遠心分離機に装着された場合、作動ロッド51を構成する噛合チェーン51a,51bが、腐食してしまうことが懸念されるが、上記のように構成することにより、それらの腐食を好適に防止することができる。
【0034】
図4は、本発明の第二実施形態に係るケーキダンパ1の構造を示す平面図である。本実施形態においては、仕切板3(下段仕切板31、中段仕切板32、及び、上段仕切板33)をスライドさせる手段として、進退動作が可能な作動ロッド51と、電動モータ55と、本体56内に配置されたボールねじ機構(図示せず)とを備えたアクチュエータ5が使用されている。
【0035】
本実施形態のアクチュエータ5は、作動ロッド51の先端部が、下段仕切板31の側縁部31dと連結され、この側縁部31dに沿って並進する位置に配置されている。そして、下段仕切板31、中段仕切板32、及び、上段仕切板33は、図4(1)に示すように、上下に重なってケーキ出口2bを開放した状態から、横断方向へ展開して、図4(2)に示すようにケーキ出口2bを遮断した状態まで、アクチュエータ5の駆動力を受けて、連動してスライドするように構成されている。
【0036】
尚、仕切板3をスライドさせる手段として、進退動作が可能な作動ロッドと、油圧シリンダ(又は空圧シリンダ)とを備えたアクチュエータを使用することも可能である。また、上記第一、第二実施形態においては、三つに分割された仕切板3が用いられているが、二分割、或いは、四分割された仕切板を用いることもできる。
【符号の説明】
【0037】
1:ケーキダンパ、
2:ケーシング、
2a:流入口、
2b:ケーキ出口、
2c:液体流出口、
3:仕切板、
31:下段仕切板、
31a:先端部、
31b:後端部、
31c:プッシュロッド、
31d:側縁部、
32:中段仕切板、
32a:先端部、
32b:後端部、
33:上段仕切板、
33a:先端部、
33b:後端部、
4:閉止板、
4a:上縁部、
4b:下縁部、
5:アクチュエータ、
51:作動ロッド、
51a,51b:噛合チェーン、
52:ガイドプレート、
52a:収納溝、
52b:誘導溝、
53:スプロケット、
54:カバー材、
55:電動モータ、
56:本体、
71:ケーキダンパ、
72:ケーシング、
72a:流入口、
72b:ケーキ出口、
72c:液体流出口、
73:仕切板、
73a:シャフト
図1
図2
図3
図4
図5