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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022079149
(43)【公開日】2022-05-26
(54)【発明の名称】包装袋、およびその製造方法
(51)【国際特許分類】
   B65D 75/62 20060101AFI20220519BHJP
   B65D 33/36 20060101ALI20220519BHJP
   B65D 33/02 20060101ALI20220519BHJP
【FI】
B65D75/62 A
B65D33/36
B65D33/02
【審査請求】未請求
【請求項の数】6
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2020190149
(22)【出願日】2020-11-16
(71)【出願人】
【識別番号】000003193
【氏名又は名称】凸版印刷株式会社
(72)【発明者】
【氏名】伊藤 和貴
(72)【発明者】
【氏名】今井 健一郎
【テーマコード(参考)】
3E064
3E067
【Fターム(参考)】
3E064AB23
3E064BC18
3E064EA12
3E064EA23
3E064FA03
3E064GA01
3E064HA06
3E064HB02
3E064HB03
3E064HD01
3E064HF09
3E064HG02
3E064HN05
3E064HP02
3E064HP04
3E064HS05
3E067AA03
3E067AA04
3E067AB26
3E067AB28
3E067AB99
3E067BA12A
3E067BB15A
3E067BB16A
3E067BB25A
3E067CA04
3E067CA06
3E067EA09
3E067EB02
3E067EB11
3E067EB22
3E067EE59
3E067GD10
(57)【要約】
【課題】
強く収納部側を押しても、注出口が閉鎖したり、二股になったりせずに安定して注出で
きる包装袋を得る。
【解決手段】
前面フィルムおよび背面フィルムのシーラント面同士を向かい合わせ、周囲をシールし、内部に収納部を形成した包装袋であって、左右いずれか一方の側シール部と、天シール部と、の交差部に、注出端シール部と、側面切り欠きと、天面切り欠きと、それらに囲まれた非融着部の注出路(20)とを有し、注出路を横切って注出端シール部側を容易に破断し開口可能とする易開封加工線を有する包装袋において、注出路中央に、注出端シール部内側から収納部中央に向かって外側に凸状に膨らんで直線状に伸びる凸状エンボス(22)と、凸状エンボスに並行してその両側の際に形成された凹状エンボス(23)と、を形成し、凸状エンボスの凸高さが、凹状エンボスの凹み高さよりも高いことを特徴とする包装袋。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
前面フィルムおよび背面フィルムのシーラント面同士を向かい合わせ、周囲に天シール部、左側シール部、右側シール部、および底シール部を有し、内部に収納部を形成した包装袋であって、
前記左側シール部、右側シール部のいずれか一方の側シール部と、前記天シール部と、の交差部に、注出端シール部と、側面切り欠きと、天面切り欠きと、それらに囲まれた非融着部からなる先細の注出路とを有し、
前記注出路には、注出路を横切る易開封加工線を備えてなる注出部を有する包装袋において、
前記注出路中央に、注出端シール部内側から収納部中央に向かって外側に凸状に膨らんで直線状に伸びる凸状エンボスと、
該凸状エンボスに並行してその両側の際に形成された並行凹状エンボスと、を有し、
凸状エンボスの凸高さが、並行凹状エンボスの凹み高さよりも高いことを特徴とする包装袋。
【請求項2】
前記凸状エンボスの両側に並行する並行凹状エンボスが、凸状エンボスの頂点に対して、左右対称に設けられていることを特徴とする請求項1に記載の包装袋。
【請求項3】
前記凸状エンボスの両側に並行する並行凹状エンボスの高さを、その外側の非エンボス面に対して、マイナス0.03mmからマイナス0.1mmの高さとしたことを特徴とする請求項1、または請求項2のいずれかに記載の包装袋。
【請求項4】
前記注出側端シール部の天面切り欠き部分において、開封可能線の始点近傍に切り欠き部、あるいは切り込み部を有することを特徴とする請求項1~3のいずれかに記載の包装袋。
【請求項5】
並行凹状エンボスのさらに外側に間隔を開けて、外側凹状エンボスを設けたことを特徴とする請求項1~4のいずれかに記載の包装袋。
【請求項6】
前面フィルムおよび背面フィルムのシーラント面同士を向かい合わせ、周囲に天シール部、左側シール部、右側シール部、および底シール部を有し、内部に収納部を形成した包装袋であって、
前記左側シール部、右側シール部のいずれか一方の側シール部と、前記天シール部と、の交差部に、注出端シール部と、側面切り欠きと、天面切り欠きと、それらに囲まれた非融着部からなる先細の注出路とを有し、
前記注出路には、注出路を横切る易開封加工線を備えるにあたり
上記易開封加工線をレーザーで走査して加工することを特徴とするパウチの製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、液体洗剤、柔軟剤などのトイレタリー用品や、食用油、ソース、インスタントコーヒーなどの食品を収納する詰替え用包装袋に関するものである。
【背景技術】
【0002】
液体洗剤、柔軟剤などのトイレタリー用品や、食用油、インスタントコーヒーなどの食品を収納する容器は、それぞれ使い易い形状の専用容器、例えば、プラスチックボトルやガラス瓶などが使用されている。これらの専用容器は、構造もしっかりしており、従って高価であることから、内容物が無くなった段階で、繰り返し使用することができるようになっている。このような専用容器に内容物を補充するだけの、安価な詰替え用包装袋を使用した補充用内容物が、別途販売されている。
【0003】
しかし、これらの専用容器は、もっぱら内容物を注出し易いように設計されているため、詰替え用包装袋から内容物を補充する詰替え操作の利便性を考慮したものには必ずしもなっていなかった。
【0004】
従来、液状などの流動性を有する内容物を収納する詰替え用包装袋としては、内容物の専用容器への詰替えを容易に、かつ安全に行えると同時に、安価で空袋が嵩張らず、使用後の廃棄処理も容易に行えることが望ましく、この点から、袋の上部の一部にヒートシールにより狭い幅の注出部を設けた注出部付き包装袋が多く使用されるようになっている。
【0005】
しかし、このような包装袋は、共通の欠点として、注出部の幅が狭いため、開封された注出口部の開口性が悪い。また、開口させたとしても、注出部は、袋本体と同じ柔軟性材料で形成されているため、剛性に劣り、注出の途中で開口された注出口部が閉塞しやすく、専用容器の注出口に注出部を差し込みにくい。さらに、注出口部だけでなく、内容物によっては、注出口部より内側領域部でも、表裏積層フィルム同士が接近して閉塞し、この部分で内容物の注出口部への流動が部分的に妨げられ、特に注出の後半では、内容物を注出し難くなるという問題があった。特に、粘度のある液体洗剤や化粧品などの内容物の場合は、より注出し難く、専用容器の充填口に、包装袋の注出部が外れやすいなどの問題があった。
【0006】
例えば、特許文献1では、
内容物を取り出すためのノズル部、及び前記ノズル部の先端部分を切り取って、内容物を取り出す注出口を形成するための切取り線を設けた詰替パウチであって、
前記切取り線は、前記ノズル部の中心線近傍における部分が、前記ノズル部の中心線と、前記ノズル部の中心線と40~50度の角度で交差し、かつ前記ノズル部の基部の内側縁に接する直線との交点よりも前記基部側を通るとともに、
前記切取り線の他の部分が、前記中心線から離れるにしたがって前記ノズル部の先端側に向かって延長し、前記交点よりも前記ノズル部の先端側に位置するように形成したことを特徴とする詰替パウチを提案している。
【0007】
この詰替パウチでは、注出口を形成するための切取り線を、ノズル部の中心線と40~50度の角度で交差させるとともに、ノズル部の基部の内側縁に接する直線との交点よりも前記基部側を通るようにするなど、詰め替え時に、ノズルの基部が圧力で太くなり、これがノズル先端の開口を抑えてしまうことを防ぐことで、注出し易くしている。
しかしながら、この方法では、パウチを外から強く押圧して、注出しようとした場合、ノズルの基部が大きく変形し、ノズルの途中で折れ曲がって閉塞するなどして、勢いよく内
容物を詰め替えることがむずかしかった。
【0008】
更に特許文献2では、ノズルの閉塞を改善する方法として、
前面部材と、背面部材と、前記前面部材の周縁と前記背面部材の周縁とを互いに接合することにより形成された周縁部と、前記前面部材と前記背面部材との接合により前記前面部材と前記背面部材との間に形成された液体収納部と、を備える収納容器であって、
前記周縁部の一部に設けられ、除去されることで注出口が形成される注出口形成部と、
前記注出口と前記液体収納部との間に設けられ、前記注出口から前記液体収納部まで連通する注出流路と、
を備え、
前記注出流路は、
前記注出口から前記液体収納部に向かって直線状に延び、外方に膨らんだ凸状に形成された第1のエンボス部と、
前記第1のエンボス部と離間して前記第1のエンボス部よりも上側に設けられ、内方に窪んだ凹状に形成された第2のエンボス部と、
前記第2のエンボス部と離間して前記第2のエンボス部よりも上側に設けられ、前記注出口から前記液体収納部に向かうにつれて前記第2のエンボス部から離間するように直線状に延び、内方に窪んだ凹状に形成された第4のエンボス部と、
前記第1のエンボス部と離間して前記第1のエンボス部よりも下側に設けられ、前記注出口から前記液体収納部に向かうにつれて前記第1のエンボス部から離間するように直線状に延び、内方に窪んだ凹状に形成された第5のエンボス部と、
を有し、
前記第2のエンボス部は、
前記注出口から前記液体収納部に向かうにつれて前記第1のエンボス部から離間するように延びる直線状に形成された第1の線部と、
前記第1の線部の前記液体収納部側の端部に連なり、前記第1の線部の前記端部から前記第1のエンボス部に接近するように延びる直線状に形成された第2の線部と、
を有する
収納容器を提案している。
【0009】
この収納容器では、注出口を形成する面が閉塞しにくいように、長手方向にエンボスを設ける方法である。この方法は、パウチを外から強く押圧して、注出しようとした場合、ノズルの基部や中央が内側に崩れるように折れ曲がって、注出口を閉鎖してしまわないように、エンボスを設けている。しかし、外方に膨らんだ凸状に形成された第1のエンボス部と、他の凹状に形成されたエンボス部と、が収納部側で離間しているだけなので、ノズルが折れて閉鎖してしまう。特に、凸状のエンボスの高さに対して、凹状のエンボスが強すぎると、凹部両端が開き、内容物が二股に分かれて注出され、内容物が広がって排出されるので、詰め替え先の開口部から漏れてしまうなどの問題が残った。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0010】
【特許文献1】特許第4515871号公報
【特許文献2】特許第6554920号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0011】
そこで、本発明は、強く収納部側を押しても、注出口が閉塞したり、二股になったりせ
ずに安定して注出できる包装袋を得ることが、本発明の課題である。
【課題を解決するための手段】
【0012】
本発明の包装袋は、前面フィルムおよび背面フィルムのシーラント面同士を向かい合わせ、周囲に天シール部、左側シール部、右側シール部、および底シール部を有し、内部に収納部を形成した包装袋であって、
前記左側シール部、右側シール部のいずれか一方の側シール部と、前記天シール部と、の交差部に、注出端シール部と、側面切り欠きと、天面切り欠きと、それらに囲まれた非融着部の注出路とを有し、
上記側面切り欠きの側面切り欠きシール部と、上記天面切り欠きの天面切り欠きシール部との注出端シール部が、それぞれ該注出端シール部に向かって先細となるよう傾斜し、
該天面側と側面側の注出側端シール部と該注出路を横切って注出端シール部側を容易に破断し開口可能とする易開封加工線と、から構成される注出部を有する包装袋において、
前記注出路中央に、注出端シール部内側から収納部中央に向かって外側に凸状に膨らんで直線状に伸びる凸状エンボスと、
該凸状エンボスに並行してその両側の際に形成された凹状エンボスと、を形成し、
凸状エンボスの凸高さが、凹状エンボスの凹み高さよりも高いことを特徴とする包装袋である。
【発明の効果】
【0013】
本発明の包装袋は、凸状エンボスと、それに並行してその両側の際に形成された凹状エンボスとから形成される注出部となるので、凸状エンボスが確実に収納部と外部を連通させ、充分な内容物の注出を行うことができる。
このため、充填速度も上げるよう、注出時に多少圧力を掛けても、注出が止まったり、内容物が漏れたりせずに、安定して詰め替え可能な容器になっている。
【図面の簡単な説明】
【0014】
図1】本発明に係る包装袋の一例を示す全体図と、その注出口近傍の拡大図、および注出口近傍に設けたエンボスの断面図である。
図2】本発明に係る包装袋を開封した注出口先端の外観斜視図と、詰め替える工程を示す図である。
図3】本発明に係る包装袋を、さらに大きく開口させ、注出し易いようにした展開例で、その注出路根元の断面図と、包装袋の全体図である。
図4】本発明に係る包装袋の展開例における他の形状例である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下、本発明の包装袋の実施形態について、図で説明する。
図1は、本発明に係る包装袋の一例を示す全体図と、その注出口近傍の拡大図、および注出口近傍に設けたエンボスの断面図である。
本発明の包装袋1は、積層フィルムからなる前フィルム101、後フィルム102を、シーラント面同士を向かい合わせて重ね合わせ、周囲に天シール部11、左側シール部12、右側シール部13、および底シール部14を有した包装袋で、内部に内容物を収納する収納部10を備えている。
この図1で示す包装袋1の一例は、底部が底面フィルム141を融着したスタンディング包装袋で、自立性を持たせた包装袋になっている。
【0016】
この包装袋1は、左側シール部12、あるいは右側シール部13のいずれか一方の側シール部と、天シール部11と、の交差部に、斜め上方向に伸びる細幅形状の注出部2を有している。図1では、左側シール部12と天シール部11との交差部に注出部2を形成している。
注出部2は、先端が注出端シール部16で閉鎖され、該注出端シール部16と、側面切り欠き部121と、天面切り欠き部111と、それらに囲まれた非融着部の注出路20と、
から形成され、かつ、容易に破断して開口可能な開封部21を有している。
上記側面切り欠き部121と、天面切り欠き部111は、それぞれ側面切り欠きシール部1211と、天面切り欠きシール部1111とによって形成され、該側面切り欠きシール部1211および天面切り欠きシール部1111は、前記注出路20が先細となるよう、それぞれ該注出端シール部16に向かって傾斜している。
また、前記注出路20には、該注出路20を横切って注出端シール部16側を容易に破断し開口可能とする易開封加工線210を設けている。
【0017】
ここで、本発明の注出路20には、エンボス加工を施しておく。これは、例えば、内容物をより早く注出でき入るように収納部10を外側から押圧しても、注出路20の途中で折れ曲がったりして、注出が止まってしまわないようにするためである。
エンボスは、前フィルム101と後フィルム102のそれぞれに、シール面に対して面対称に形成する。そして、そのエンボスは、前記注出路20中央に、注出端シール部16内側から収納部10中央に向かって外側に凸状に膨らんで直線状に伸びる凸状エンボス22と、該凸状エンボス22の長辺に並行してその両側の際に形成された並行凹状エンボス23と、を形成させる。
この時、凸状エンボス22の凸高さHを、並行凹状エンボス23の凹み高さLよりも充分高く設定する。このため、確実に前フィルム101側と後フィルム102側の凸状エンボス22が向かい合う内側部分には、大きな隙間を作ることができ、充分な大きな断面を有する注出路20を形成させることができる。
【0018】
上記易開封加工線210により開封される開封部21は、注出端シール部16の外形形状より内側に幅を有して形成される易開封加工線210の一端に設けた突出切り込み部211から、表裏のフィルムが融着していない注出路20を通って易開封加工線210の他端に設けた突出切り込み部211まで繋がるように形成されている。
易開封加工線210を注出端シール部16内側端部より充分内側に設けることによって、注出端シール部16をつかんで、注出路根元に対して引っ張り、易開封加工線210を破断して注出端シール部16を取り除いた時に、注出路20の先端部分161が確実に切り取られるので、注出部2先端を確実に開口することができる。
【0019】
易開封加工線210は、突出切り込み部211一端から、表裏のフィルムが融着していない非融着部の注出路20を通って、突出切り込み部211他端に繋がる注出口を形成可能な易開封加工線の1本の加工線でも破断可能となるが、突出切り込み部211一端から、他端に繋がる易開封加工線を中心に、その注出口側と収納部側に複数の平行した脆弱線によって易開封加工線210を形成しても良い。
これは、注出端シール部16をつかみ、それを注出路根元に対して強く引っ張って易開封加工線210を引き裂く時に、左右に引き裂き位置がずれ、予定しない方向に開封されようとした時に、あらぬ方向に引き裂かれるのを防止するためである。
【0020】
易開封加工線210は、表フィルムと裏フィルムのそれぞれに設けられる直線形状、あるいは曲線形状の脆弱線から形成される。この易開封加工線210は、鋭角に折れ曲がった部分は持たない加工線にすることが好ましい。
当然ながら、表裏同一の位置に脆弱線を加工することが好ましい。
【0021】
易開封加工線210は、ビク刃で半抜き加工したりすることもできる。その場合は、包装袋に加工する前に加工する必要があるが、表裏の易開封加工線210の位置や形状を確実に一致させることは難しい。このため、レーザー光を走査して、破断可能な脆弱線を作成し形成することが好ましい。
使用するレーザー光としては、炭酸ガスレーザーや窒素レーザーなどのガスレーザーや、ルビーレーザー、YAGレーザーなどの固体レーザーなどを用いることができる。
レーザー光を線状に走査させるが、基材層を貫通しシーラント層まで達するハーフカットであることが好ましい。金属箔を用いる場合は、金属箔が破断しやすいので、金属箔の上端までハーフカットする。完全に切れなくても、2軸延伸した層が加熱され、未延伸状態になっていれば、破断しやすくなるので、結晶化温度以上、好ましくは融点近傍の温度に加熱させる。
【0022】
切り込みや切り欠き、あるいは全体の外形抜きは、トムソン刃による打抜き、また、金型によるプレス打抜き、あるいはビク刃によるプレス加工で可能である。外形の一部は、別工程で単に切り落としてもかまわない。
【0023】
図2は、本発明に係る包装袋を開封した注出口先端の外観斜視図と、詰め替える工程を示す図である。
図1の部分拡大図で示したように、易開封加工線210に沿って、注出部2を開封すると、図2-1に示すような開封部21が開口する。凸状エンボス22の左右両側に並行する並行凹状エンボス23によって、中央で挟まれた凸状エンボス22の高さが強調され、確実に注出用の流路を確保できる。
【0024】
図2-2は、上記開口した包装袋1の注出路20を詰め替え先のボトル充填口51に差し込んで、収納部に充填している内容物を詰め替えている状態を示している。
開口先端はもちろんの事、注出路の先細となった天面切り欠き部111や側面切り欠き部121も、詰め替え先の注出口内部に挿入し、内容物を注出して、詰め替える。
【0025】
図3は、本発明に係る包装袋を、さらに大きく開口させ、注出し易いようにした包装袋を示すもので、その注出路根元の断面図と、包装袋の全体図である。
この例は、凸状エンボス22と、その左右両側に並行する並行凹状エンボス23のさらに外側に、外側凹状エンボス24を設けたものである。
外側凹状エンボス24は、前フィルム101と後フィルム102とに、シール面に対して面対称に、向かい合うように形成する。外側凹状エンボス24の開始点は流路20の途中とし、終点を充分容器収納部10の中に入った位置とすることが好ましい。
このため、B-B断面に記載した拡大断面図に示すように、前フィルム101の外側凹状エンボス24と、後フィルム102の外側凹状エンボス24とが、内側で内面を突き合わされて、その周囲に流路を形成する。しかも、それだけではなく、流路が折れ曲がって閉じてしまわないように、注出路全体に強度を付与する役目を担っている。
外側凹状エンボス24の断面は、半円形状が好ましいが、V字形状であっても、U字形状であっても、あるいはコの字を90度回転させた形状であってもかまわない。
【0026】
また、外側凹状エンボスの全体の形状は、図3に示すように、くの字を向かい合わせた形状であっても良いが、図4-1のように直線形状であっても、図4-2のように弧の形状であってもかまわない。
【0027】
本発明の詰替え用包装袋は、使用形態や内容物の容量、デザインなどにより、図1のようなスタンディングタイプ(自立タイプ)の包装袋の他に、三方シールタイプや四方シールタイプの包装袋などであってもかまわない。
【0028】
本発明の包装袋を構成する積層フィルムの基本的な構成としては、外側に基材層、内側にシーラント層からなる多層構成のフィルムでかまわないが、後述するように、中間層として、内容物の保存性を向上させるバリア層や、落下等に破袋しにくいような柔軟性を付与する層を設けることが好ましい。
上記各層を貼り合わせて使用するが、各層は、必ずしも互いに融着性を有してはいない。その場合、積層するには、接着剤を使用しても貼り合わせても良い。
基材層とバリア層を貼り合わせる方法としては、接着剤を使用して、ドライラミネート法にて貼り合わせても可能である。もちろん、サンドポリエチレン加工して貼り合せてもかまわない。
この他、基材層とシーラント層やバリア層とシーラント層を貼り合わせる場合には、エクストルーダーラミネーションで、シーラント層側を製膜しながら貼り合わせてもかまわないし、シーラント層をより厚くするのに、サンドポリエチレン加工して積層してもかまわない。
【0029】
基材層としては、ポリエチレンテレフタレートフィルム、ポリプロピレンフィルム、ポリスチレンフィルム、ポリアミドフィルム、ポリカーボネートフィルム、ポリアクリルニトリルフィルム、ポリイミドフィルムなどが挙げられる。機械的強度や寸法安定性を有するものであれば、特に限定されない。特に2軸延伸されたフィルムが好ましい。また、これらのフィルムにアルミニウム蒸着層を設けたものでもよい。
【0030】
また、基材層には、必要に応じて適宜印刷層を設けることができる。印刷層は、ウレタン系、アクリル系、ニトロセルロース系、ゴム系などのバインダー樹脂に各種顔料、体質顔料および可塑剤、乾燥剤、安定剤などを添加されてなるインキにより印刷された層である。印刷方法としては、例えば、オフセット印刷、グラビア印刷、フレキソ印刷、シルクスクリーン印刷、インクジェット印刷などの公知の印刷方法を用いることができる。また基材層の表面を、予め前処理としてコロナ処理またはオゾン処理を施すことにより、印刷層の密着性を向上させることができる。
【0031】
シーラント層としては、ポリオレフィン系樹脂が一般的に使用され、具体的には、低密度ポリエチレン、直鎖状低密度ポリエチレン、中密度ポリエチレン、高密度ポリエチレン、エチレン-酢酸ビニル共重合体(EVA)、エチレン-メタクリル酸共重合体(EMAA)、エチレン-アクリル酸エチル共重合体(EAA)、アイオノマー、ポリプロピレンなどのポリオレフィン系樹脂が使用できる。これらの樹脂を押出し機により製膜し、直接貼り合わせてもよい。シーラント層は、単層または複層でもよい。また、シーラント層の厚みとしては、50~200μmの範囲であることが好ましい。
【0032】
上記各層が互いに融着性を有してはいない場合には、接着剤を使用して貼り合わせても良い。その場合に使用する接着層としては、ドライラミネート用接着剤が使用できる。例えば、二液硬化型ウレタン系接着剤、ポリエステルウレタン系接着剤、ポリエーテルウレタン系接着剤、アクリル系接着剤、ポリエステル系接着剤、ポリアミド系接着剤、エポキシ系接着剤などを使用することができる。
【0033】
また、積層シートの諸物性を向上する必要がある場合、例えば、積層シートの剛性や落下強度、突き刺し強度などを向上させる場合や、水蒸気や酸素ガスなどのバリア性を向上させる場合などには、中間層を設けることも可能である。中間層の材質としては、易開封加工線の加工で、容易に脆弱化できる材質か、容易に破断可能な材質であることが望ましい。
【0034】
中間層としては、例えば、アルミニウム箔、アルミニウム蒸着ポリエステルフィルム、無機酸化物蒸着ポリエチレンテレフタレートフィルム、ポリアミドフィルムなどを使用することができる。また、中間層を積層するには、接着層を介してドライラミネート法にて貼り合わせることができる。
【0035】
無機酸化物としては、酸化珪素、酸化アルミニウム、酸化マグネシウム、酸化カルシウム、酸化カリウム、酸化錫、酸化ナトリウム、酸化ホウ素、酸化チタン、酸化鉛、酸化ジルコニウム、酸化イットリウムなどの金属の酸化物が使用できる。中でも生産性、価格面
から酸化珪素、酸化アルミニウム、酸化マグネシウムなどが好ましい。
【0036】
以下、本発明の具体的実施例について説明する。
実施例、比較例とも、包装袋を構成する積層フィルムは共通とした。
その積層フィルムは、外側から、2軸延伸の6―ナイロンフィルム15μm/二液硬化型ウレタン系樹脂を主材とする印刷層/二液硬化型ウレタン系接着剤(ドライラミネート法)/アルミニウム蒸着ポリエチレンテレフタレートフィルム12μm(バリア層)/直鎖状低密度ポリエチレンフィルム110μm(シーラント層)とした。
【0037】
積層フィルムの内面同士を向かい合わせ、縦220mm、横幅120mmの大きさで、四方シール包装袋とし、天シール部を除いて外形を四方シールの形状に加工し、かつ、左上角部をシール後、図1の形状に、切り欠きなどの外形と突出切り込み線とを、ビク刃で抜いた。
易開封加工線の加工は、波長10.6μmの炭酸ガスレーザーを21ワットの出力で、2500mm/秒の速度で各種形状に走査して、積層フィルム表面を傷加工した。
内容物として、水300ミリリットルを充填してから、天シール部を融着して包装袋を完成させた。
【実施例0038】
<実施例1>エンボスを図1の位置とし、凸状エンボスの高さHを0.05mm、並行凹状エンボスの高さLを0.03mmとした。
【0039】
<実施例2>エンボスを図1の位置とし、凸状エンボスの高さHを0.10mm、並行凹状エンボスの高さLを0.05mmとした。
【0040】
<実施例3>エンボスを図1の位置とし、凸状エンボスの高さHを0.10mm、並行凹状エンボスの高さLを0.10mmとした。
【0041】
<実施例4>エンボスを図1の位置とし、凸状エンボスの高さHを0.15mm、並行凹状エンボスの高さLを0.10mmとした。
【0042】
<比較例1>エンボスを加工しなかった。
【0043】
<比較例2>エンボスを図1の位置とし、凸状エンボスの高さHを0.10mm、並行凹状エンボスの高さLを0.01mmとした。
【0044】
<比較例3>エンボスを図1の位置とし、凸状エンボスの高さHを0.10mm、並行凹状エンボスの天シール側高さLを0.12mm、並行凹状エンボスの側シール側高さLを0.11mmとした。
【0045】
<比較例4>エンボスを図1の位置とし、凸状エンボスの高さHを0.15mm、並行凹状エンボスの天シール側高さLを0.12mm、並行凹状エンボスの側シール側高さLを0.11mmとした。
【0046】
<評価方法>
エンボス高さは、断面を光学顕微鏡で測定した。
注ぎ時間は、開封部を開口させ、収納部を両手で加圧し、内容物が注出し終え、包装袋内部の内容物がなくなるまでの時間を計測した。
注出状態は、注ぎ時間測定時の開封部から注出する内容物の状態を目視で確認した。
【0047】
<包装袋評価試験結果>
<注ぎ時間>実施例1は25秒間、実施例2は22秒間、実施例3は20秒間、実施例4は17秒間で注出を完了した。比較例1は注出路が閉鎖して1分間経っても注出しきれなかった。比較例2も注出路が閉鎖して1分間経っても注出しきれなかった。比較例3は40秒間、比較例4は35秒間掛かった。
<注出状態>実施例1~4は、注がれる形態が一本の注出形状であるが、比較例3、比較例4は、注がれる形態が二股に分かれ、二本の注出形状で注がれる。
【0048】
以上の結果から、注出路中央に、注出端シール部内側から収納部中央に向かって外側に凸状に膨らんで直線状に伸びる凸状エンボスと、その両側に並行凹状エンボスを設けると、注出路の閉塞を防止する効果があった。
凸状エンボスの凸高さは並行凹状エンボスの凹み高さよりも高い事と、並行凹状エンボスの高さは0.03mm以上0.10mm以下の範囲とすると、内容物の注出を二股に分かれてしまうことを防ぎ、注出口が広がって、詰め替え作業時の漏れを防止する効果が確認できた。以上の結果を表1に示す。
【0049】
【表1】
【0050】
本発明の包装袋は、以上のようなもので、凸状エンボス部分を確実に収納部と外部を連通させる流路にすることができる。そして、このことが、注出時に包装袋収納部に多少圧力を掛けても、注出が止まったり、内容物が漏れたりせずに、充分な内容物の注出を行うことができ、安定して詰め替えが可能である。しかも、単にエンボス加工する工程を印刷工程等で追加するだけなので、生産性も高く、安価に製造可能であるなど、本発明の包装袋の発明は、メリットが大きい。
【符号の説明】
【0051】
1・・・・・・・・包装袋
10・・・・・・・収納部
101・・・・・・前フィルム
102・・・・・・後フィルム
11・・・・・・・天シール部
111・・・・・・天面切り欠き部
1111・・・・・天面切り欠きシール部
12・・・・・・・左側シール部
121・・・・・・側面切り欠き部
1211・・・・・側面切り欠きシール部
13・・・・・・・右側シール部
14・・・・・・・底シール部
141・・・・・・底面フィルム
16・・・・・・・注出端シール部
161・・・・・・非融着枠
2・・・・・・・・注出部
20・・・・・・・注出路
21・・・・・・・開封部
210・・・・・・易開封加工線
211・・・・・・突出切り込み部
22・・・・・・・凸状エンボス
23・・・・・・・並行凹状エンボス
24・・・・・・・外側凹状エンボス
5・・・・・・・・容器(充填される容器)
51・・・・・・・充填口
H・・・・・・・・凸高さ(凸状エンボス高さ)
L・・・・・・・・凹み高さ(並行凹状エンボス高さ)
図1
図2
図3
図4