(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022079150
(43)【公開日】2022-05-26
(54)【発明の名称】液体紙容器の注出用収容容器
(51)【国際特許分類】
B65D 47/36 20060101AFI20220519BHJP
【FI】
B65D47/36 100
【審査請求】未請求
【請求項の数】5
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2020190150
(22)【出願日】2020-11-16
(71)【出願人】
【識別番号】000003193
【氏名又は名称】凸版印刷株式会社
(72)【発明者】
【氏名】綱代 雅裕
【テーマコード(参考)】
3E084
【Fターム(参考)】
3E084AA05
3E084AA14
3E084AB01
3E084BA02
3E084CA03
3E084DA03
3E084EB02
3E084EC08
3E084FA06
3E084GA06
3E084GB06
3E084KB01
3E084LC01
3E084LD01
(57)【要約】
【課題】ゲーベルトップ型液体紙容器を収容して、この液体紙容器から液体内容物を注出する注出口を有する収容容器であって、収容する液体紙容器の位置固定が容易であり、しかも、こうして位置固定した液体紙容器に突き刺す突刺注出筒の先端から注出口までの距離が短い収容容器を提供すること。
【解決手段】蓋部11、胴部収容部12及び底部収容部13で収容容器10を構成し、胴部収容部12及び底部収容部13に収容した液体紙容器の頂部先端シール部21cを挿入して位置固定するスリット11bを蓋部11に設け、また、この蓋部11に、液体紙容器の屋根板に突き刺す突刺注出筒11dと注出口11cとを設け、これら突刺注出筒11dと注出口11cとを連通させる。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ゲーベルトップ型液体紙容器を収容して、この液体紙容器から液体内容物を注出する注出口を有する収容容器であって、
前記液体紙容器が、その頂部に、互に対向する一対の屋根板と、これら一対の屋根板をその左右で繋ぐ一対の折り込み板とを有し、かつ、これら屋根板及び折り込み板のそれぞれの先端に連接された頂部先端シール片が互にシールされた頂部先端シール部を有するものであり、
この液体紙容器を収容する収容部と蓋部とで構成され、この収容部に収容された液体紙容器の前記頂部先端シール部を挿入して位置固定するスリットを前記蓋部に有しており、
かつ、こうして位置固定された液体紙容器の前記屋根板に突き刺す突刺注出筒と、注出口とを前記蓋部に有しており、この突刺注出筒と注出口とが連通していることを特徴とする液体紙容器の注出用収容容器。
【請求項2】
把手を有することを特徴とする請求項1に記載の収容容器。
【請求項3】
前記把手が蓋部に設けられていることを特徴とする請求項2に記載の収容容器。
【請求項4】
収容容器を持ち上げたときに前記収容部と蓋部との分離を防止する固定部を有することを特徴とする請求項1~3のいずれかに記載の収容容器。
【請求項5】
前記収容部が、液体紙容器の胴部を収容する胴部収容部と、底部を収容する底部収容部とで構成されていることを特徴とする請求項1~3のいずれかに記載の収容容器。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、注出用口栓を持たないゲーベルトップ型液体紙容器を収容して、この液体紙容器から液体内容物を注出する注出口を有する収容容器に関する。
【背景技術】
【0002】
いわゆるゲーベルトップ型液体紙容器は周知である。この液体紙容器は
図4(a)に示すブランク20Aを組み立てて構成される。組み立てられた液体紙容器20は
図4(b)に示すようなものである。
【0003】
図4(a)に示すように、このブランク20Aは、頂部21、胴部22、底部23を形成する部分で構成されている。胴部22は、互に連接された4枚の紙片とシール片とを折り曲げ、シールして四角筒状にすることによって形成される。また、底部23は胴部22の下方に連接された紙片を折り曲げ、液体内容物の漏れが生じないように液密にシールして形成される。これら胴部22及び底部23の形成方法は周知である。
【0004】
一方、頂部21は、
図4(a)に図示のように、互に対向する一対の屋根板21a
1,21a
2と一対の折り込み板21b
1,21b
2とを有している。これら一対の屋根板21a
1,21a
2と一対の折り込み板21b
1,21b
2とは交互に配置されており、このため、このブランク20Aを組み立てて液体紙容器20を製造したときには、屋根板21a
1,21a
2同士が互に対向する位置に配置される。そして、一対の折り込み板21b
1,21b
2は一対の屋根板21a
1,21a
2をその左右で繋いでおり、これら折り込み板21b
1,21b
2も互に対向する位置に配置される。
【0005】
また、これら屋根板21a1,21a2及び折り込み板21b1,21b2には、それぞれの先端にシール片21c1,21c2,21c3,21c4が連接されている。なお、折り込み板21b1の先端にはシール片21c1が連接されており、折り込み板21b2の先端にはシール片21c3が連接されている。また、屋根板21a1の先端にはシール片21c2が連接されており、屋根板21a2の先端にはシール片21c4が連接されている。これらシール片21c1,21c2,21c3,21c4を他のシール片と区別するため、以下、頂部先端シール片と呼ぶ。
【0006】
そして、液体内容物を液体紙容器20に充填した後、一対の前記折り込み板21b
1,21b
2を折り込み、また、頂部先端シール片21c
1及び頂部先端シール片21c
3を二つ折りし、これら二つ折りした頂部先端シール片21c
1,21c
3を挟んで、頂部先端シール片21c
2と頂部先端シール片21c
4を対向して一体にヒートシールすることにより液体紙容器20を密封する。なお、これら頂部先端シール片21c
1,21c
2,21c
3,21c
4のシールによって形成された頂部先端シール部21cは、
図4(b)に図示するように、液体紙容器20の上方に向かって直線状に突出している。
【0007】
このようなゲーベルトップ型液体紙容器20の中には、液体内容物を注出するための注出用口栓を屋根板21a1,21a2に取り付けたものもあるが、口栓のない液体紙容器20も少なくない。
【0008】
そして、このように注出用口栓を取り付けていない液体紙容器20においては、前記頂部先端シール部21cを構成する頂部先端シール片21c1,21c2,21c3,21c4を互に剥離して開封することが通常である。しかし、4枚の頂部先端シール片21c1,21c2,21c3,21c4を使用して、しかも、液体内容物の漏れがないように
液密にシールして形成した頂部先端シール部21cでは、そのシール強度が強いことが通常である。その上、液体内容物の種類に応じて長期保存を目的とする場合には、一層そのシール性を高めているため、その開封は容易ではない。
【0009】
このため、屋根板21a1,21a2に突き刺して液体内容物の注出を可能とする筒状の注出具も知られているが、その突き刺し位置によって液体内容物の注出状態が異なり、また、注出後の残液量も異なる結果となる。このため、例えば、その残液量が不用意に多くなるということも生じるのである。
【0010】
一方、液体紙容器20を収容する収容容器であって、液体紙容器20の屋根板に突刺注出筒を突き刺し、この突刺注出筒から注出口を通して液体内容物を注出する収容容器も知られている(特許文献1)。しかし、この収容容器では、突刺注出筒を設けた蓋材と21a1,21a2との間に頂部先端シール部21cが存在するため、突刺注出筒の先端から注出口までの距離が長く、このため、突刺注出筒を突き刺しにくいという問題があった。また、同様に突刺注出筒の先端から注出口までの距離が長い分、残液量が増大するという問題もあった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0011】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0012】
そこで、本発明は、ゲーベルトップ型液体紙容器を収容して、この液体紙容器から液体内容物を注出する注出口を有する収容容器であって、収容する液体紙容器の位置固定が容易であり、しかも、こうして位置固定した液体紙容器に突き刺す突刺注出筒の先端から注出口までの距離が短い収容容器を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0013】
すなわち、請求項1に記載の発明は、ゲーベルトップ型液体紙容器を収容して、この液体紙容器から液体内容物を注出する注出口を有する収容容器であって、
前記液体紙容器が、その頂部に、互に対向する一対の屋根板と、これら一対の屋根板をその左右で繋ぐ一対の折り込み板とを有し、かつ、これら屋根板及び折り込み板のそれぞれの先端に連接された頂部先端シール片が互にシールされた頂部先端シール部を有するものであり、
この液体紙容器を収容する収容部と蓋部とで構成され、この収容部に収容された液体紙容器の前記頂部先端シール部を挿入して位置固定するスリットを前記蓋部に有しており、
かつ、こうして位置固定された液体紙容器の前記屋根板に突き刺す突刺注出筒と、注出口とを前記蓋部に有しており、この突刺注出筒と注出口とが連通していることを特徴とする液体紙容器の注出用収容容器である。
【0014】
次に、請求項2に記載の発明は、把手を有することを特徴とする請求項1に記載の収容容器である。
【0015】
次に、請求項3に記載の発明は、前記把手が蓋部に設けられていることを特徴とする請求項2に記載の収容容器である。
【0016】
次に、請求項4に記載の発明は、収容容器を持ち上げたときに前記収容部と蓋部との分離を防止する固定部を有することを特徴とする請求項1~3のいずれかに記載の収容容器である。
【0017】
次に、請求項5に記載の発明は、前記収容部が、液体紙容器の胴部を収容する胴部収容部と、底部を収容する底部収容部とで構成されていることを特徴とする請求項1~3のいずれかに記載の収容容器である。
【発明の効果】
【0018】
本発明によれば、液体紙容器の頂部先端シール部を挿入するスリットを蓋部に有しており、こうして頂部先端シール部をスリットに挿入することができる。
【0019】
そして、このように頂部先端シール部を蓋部のスリットに挿入するから、液体紙容器の屋根板と蓋部とを近づけることができる。このため、蓋部に設けられた突刺注出筒の先端から注出口までの距離を短くすることができる。そして、このため、突刺注出筒の突き刺しが容易となり、また、残液量を低減することができるのである。
【図面の簡単な説明】
【0020】
【
図1】
図1は本発明の注出用収容容器の第1の具体例に係り、その説明用分解斜視図である。
【
図2】
図2は本発明の注出用収容容器の第1の具体例に係り、
図2(a)はその注出用収容容器に液体紙容器を収容した状態を示す説明用斜視図、
図2(b)は説明用側面図である。
【
図3】
図3は本発明の注出用収容容器の第2の具体例に係り、その注出用収容容器に液体紙容器を収容した状態を示す説明用側面図である。
【
図4】
図4は液体紙容器の具体例に係り、
図4(a)は液体紙容器のブランクの平面説明図、
図4(b)は液体紙容器の斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0021】
以下、添付図面を参照して、本発明の具体例を説明する。
図1は本発明の注出用収容容器の第1の具体例に係り、その説明用分解斜視図である。また、
図2には、注出用収容容器に液体紙容器を収容した状態を示している。すなわち、
図2(a)は注出用収容容器に液体紙容器を収容した状態を示す説明用斜視図、
図2(b)は説明用側面図である。
【0022】
図1から分かるように、この収容容器10は、蓋部11、胴部収容部12及び底部収容部13で構成される。
【0023】
このうち、底部収容部13は液体紙容器20の底部23を収容するものであり、底面とこの底面の周縁から立ち上がる周壁とで構成されている。周壁は四角筒状であり、収容した液体紙容器20の底部23が揺動しない大きさと形状とを有することが望ましい。
【0024】
胴部収容部12は、底部収容部13と共に液体紙容器20の収容部を構成するものである。この胴部収容部12は液体紙容器20の胴部22を収容するもので、底部22の周壁と同じ大きさの四角筒状を有しており、収容した液体紙容器20の胴部22が揺動しない大きさと形状とを有することが望ましい。なお、この胴部収容部12と底部収容部13とは、両者を一体として成型することもできる。
【0025】
また、蓋部11は収容した液体紙容器20に被せるもので、この蓋部11の天面11aには、液体紙容器20の頂部先端シール部21cを挿入するスリット11bが設けられている。前記頂部先端シール部21cは、液体紙容器20の上方に向かって突出しており、その形状は直線状であるため、スリット11bも直線状である。なお、このスリット11bは、挿入された頂部先端シール部21cの揺動が困難な程度の幅を有することが望ましい。そして、こうして液体紙容器20の頂部先端シール部21cをスリット11bに挿入
することにより、液体紙容器20と蓋部11との間の相対的位置関係を固定することができる。
【0026】
また、蓋部11には、位置固定した液体紙容器20の屋根板に突き刺す突刺注出筒11dを有している。前述のように液体紙容器20には一対の屋根板21a1,21a2があるが、この屋根板21a1,21a2のうちいずれか一方の屋根板に突き刺す突刺注出筒11dを設ければ十分である。
【0027】
突刺注出筒11dは、これを液体紙容器20の屋根板に突き刺して突き破るため、その先端が鋭利に尖っている。そして、その内部は空洞で、液体内容物の流路を構成している。突刺注出筒11dの長さは短いことが望ましく、これが短いほど注出後に液体紙容器20の内部に残る残液の量を少なくすることができる。
【0028】
次に、蓋部11の外面には、注出口11cが設けられている。この注出口11cは突刺注出筒11dの流路と連通しており、これら突刺注出筒11dの流路と注出口11cとを通じて液体内容物を注出することができる。
【0029】
また、蓋部11には把手11eが設けられている。このため、この把手11eを掴んで、液体紙容器20を収容した収容容器10を持ち上げ、傾けることができる。
【0030】
以上の説明から明らかなように、この収容容器10は次のように使用することができる。すなわち、まず、液体紙容器20を胴部収容部12及び底部収容部13に収容する。次に蓋部11を被せて、液体紙容器20の頂部先端シール部21cをスリット11bに挿入すると共に、突刺注出筒11dの鋭利な先端で液体紙容器20の屋根板を突き破る。そして、この蓋部11を被せることにより、突刺注出筒11dの先端を液体内容物の中に進入させることができる。そして、把手11eを掴んで、液体紙容器20を傾けることにより、突刺注出筒11d内部の流路と注出口11cとを通じて液体内容物を注出することができる。
【0031】
次に、
図3は本発明の注出用収容容器の第2の具体例に係り、その注出用収容容器に液体紙容器を収容した状態を示す説明用側面図である。
【0032】
この例では、胴部収容部12と蓋部11とを固定する固定部10Xが設けられており、このため、液体紙容器20を収容した収容容器10の把手11eを掴んでこの収容容器10を持ち上げ、あるいは持ち上げたまま傾けても、胴部収容部12と蓋部11とが分離することがない。
【0033】
また、この例では、胴部収容部12と底部収容部13とを固定する固定部10Yも設けられている。このため、収容容器10を持ち上げたり、あるいは持ち上げたまま傾けたりしたときにも、これらが分離することがない。
【0034】
そして、このため、液体内容物の注出作業の際にも、蓋部11、胴部収容部12及び底部収容部13が一体としてはずれることがなく、安定して注出することができるのである。
【0035】
なお、蓋部11、胴部収容部12及び底部収容部13は、いずれも、樹脂で成型することができる。樹脂材料は任意でよいが、液体内容物が飲料である場合には、この飲料に触れても衛生上の問題がないものが望ましい。飲料以外の内容物の場合でも、その液体内容物の種類に応じてその品質に影響を与えないことが望ましい。
【0036】
また、胴部収容部12と蓋部11とを固定する固定部10Xは公知のいずれも方法によってもよい。例えば、胴部収容部12及び蓋部11に、互に嵌合する嵌合部を設けて、これらを嵌合して固定することもできる。胴部収容部12と底部収容部13とを固定する固定部10Yも同様である。
【符号の説明】
【0037】
10:液体紙容器の注出用収容容器 10X:固定部 10Y:固定部
11:蓋部 11a:天面 11b:スリット 11c:注出口 11d:突刺注出筒 11e:把手
12:胴部収容部
13:底部収容部
20:液体紙容器 20A:ブランク
21:頂部
21a1:屋根板 21a2:屋根板
21b1:折り込み板 21b2:折り込み板
21c:頂部先端シール部 21c1:頂部先端シール片 21c2:頂部先端シール片 21c3:頂部先端シール片 21c4:頂部先端シール片
22:胴部
23:底部