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  • 特開-生活リズム検知装置およびシステム 図1
  • 特開-生活リズム検知装置およびシステム 図2
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022079190
(43)【公開日】2022-05-26
(54)【発明の名称】生活リズム検知装置およびシステム
(51)【国際特許分類】
   G16H 20/00 20180101AFI20220519BHJP
   G08B 31/00 20060101ALI20220519BHJP
   G08B 25/04 20060101ALI20220519BHJP
   G08B 21/02 20060101ALI20220519BHJP
   G16Y 10/60 20200101ALI20220519BHJP
【FI】
G16H20/00
G08B31/00 B
G08B25/04 K
G08B21/02
G16Y10/60
【審査請求】未請求
【請求項の数】6
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2020190221
(22)【出願日】2020-11-16
(71)【出願人】
【識別番号】518450061
【氏名又は名称】センスプロ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001597
【氏名又は名称】特許業務法人アローレインターナショナル
(72)【発明者】
【氏名】中村 俊詔
(72)【発明者】
【氏名】北村 浩一
(72)【発明者】
【氏名】折橋 雅之
(72)【発明者】
【氏名】半田 久志
【テーマコード(参考)】
5C086
5C087
5L099
【Fターム(参考)】
5C086AA22
5C086AA34
5C086BA02
5C086BA14
5C086CA01
5C086CA11
5C086CB01
5C086CB15
5C086EA13
5C086EA31
5C086FA17
5C087AA02
5C087AA09
5C087AA10
5C087BB11
5C087DD03
5C087DD24
5C087DD37
5C087FF01
5C087FF02
5C087FF23
5C087GG06
5C087GG14
5C087GG17
5C087GG36
5C087GG70
5L099AA15
(57)【要約】
【課題】 利用者の生活リズムの変化を簡便に精度良く検知することができる生活リズム検知装置を提供する。
【解決手段】利用者の行動を監視するセンサ装置により取得した時系列データに基づいて、当該利用者の生活リズムを検知する装置10であって、時系列データを記憶する記憶部12と、記憶部12に格納された時系列データ群を入力とする機械学習を行うことにより、日ごとの特徴量のデータを生成する学習部14と、学習部14で生成した日ごとの特徴量のデータから生活リズムの異変を判定する判定部15とを備え、判定部15は、学習部14での学習結果を利用して、特定日の特徴量のデータに基づき当該特定日の曜日を推定し、推定された曜日における通常の行動パターンとの乖離から生活リズムの異変を判定する。
【選択図】 図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
利用者の行動を監視するセンサ装置により取得した時系列データに基づいて、当該利用者の生活リズムを検知する装置であって、
前記時系列データを記憶する記憶部と、
前記記憶部に格納された時系列データ群を入力とする機械学習を行うことにより、日ごとの特徴量のデータを生成する学習部と、
前記学習部で生成した日ごとの特徴量のデータから生活リズムの異変を判定する判定部とを備え、
前記判定部は、前記学習部での学習結果を利用して、特定日の特徴量のデータに基づき当該特定日の曜日を推定し、推定された曜日における通常の行動パターンとの乖離から生活リズムの異変を判定する生活リズム検知装置。
【請求項2】
請求項1に記載の生活リズム検知装置と、
利用者の行動を監視するセンサ装置とを備える生活リズム検知システム。
【請求項3】
前記センサ装置は、利用者が使用する家電機器の消費電力を測定する電力センサである請求項2に記載の生活リズム検知システム。
【請求項4】
前記センサ装置は、所定空間内の利用者の有無を検出する人感センサである請求項2に記載の生活リズム検知システム。
【請求項5】
前記センサ装置は、複数設けられており、
前記生活リズム検知装置は、複数の前記センサ装置から送信される測定データに基づいて、生活リズムの異変を判定する請求項2から4のいずれかに記載の生活リズム検知システム。
【請求項6】
前記判定部による判定結果が通知される携帯端末を更に備える請求項2から5のいずれかに記載の生活リズム検知システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、生活リズム検知装置およびシステムに関する。
【背景技術】
【0002】
独居老人の増加に伴い、プライバシーを確保しつつ生活リズムの異常を検知し、本人のみならず家族に速やかに通知することのニーズが増大している。
【0003】
生活リズムの検知が可能な装置として、特許文献1には、生活者の消費電力量データに基づいて、特徴量ベクトルを生成してクラスタリングを行うと共に生活行動の発生時刻を推定する生活パターン推定装置が開示されている。分類されたクラスタに対しては、推定される生活行動と発生時刻とのラベル付けが行われ、生活者の消費電力量データに対応するクラスタが決定されると、ラベル付けされた生活行動および発生時刻に基づいて、生活者の生活パターンが推定される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2015-197741号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところが、特許文献1に開示された装置は、測定されるデータが世帯全体での消費電力データであることから、生活者の行動パターンを正しく把握することが困難であった。また、ラベル付けされる生活行動が、「起床」、「外出」、「帰宅」などのように予め設定されたものから選択されるため、生活行動によっては的確な選択ができない場合があった。更に、生活行動の発生時刻が日によって若干異なる場合には、特徴量ベクトルが互いに異なるものと判断されるおそれがあり、発生時刻のずれを吸収し難い問題もあった。
【0006】
そこで、本発明は、利用者の生活リズムの変化を簡便に精度良く検知することができる生活リズム検知装置およびシステムの提供を目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の前記目的は、利用者の行動を監視するセンサ装置により取得した時系列データに基づいて、当該利用者の生活リズムを検知する装置であって、前記時系列データを記憶する記憶部と、前記記憶部に格納された時系列データ群を入力とする機械学習を行うことにより、日ごとの特徴量のデータを生成する学習部と、前記学習部で生成した日ごとの特徴量のデータから生活リズムの異変を判定する判定部とを備え、前記判定部は、前記学習部での学習結果を利用して、特定日の特徴量のデータに基づき当該特定日の曜日を推定し、推定された曜日における通常の行動パターンとの乖離から生活リズムの異変を判定する生活リズム検知装置により達成される。
【0008】
また、本発明の前記目的は、上記の生活リズム検知装置と、利用者の行動を監視するセンサ装置とを備える生活リズム検知システムにより達成される。
【0009】
この生活リズム検知システムにおいて、前記センサ装置は、利用者が使用する家電機器の消費電力を測定する電力センサであることが好ましい。あるいは、前記センサ装置は、所定空間内の利用者の有無を検出する人感センサであることが好ましい。前記センサ装置を複数設けることにより、前記生活リズム検知装置は、複数の前記センサ装置から送信される測定データに基づいて、生活リズムの異変を判定することができる。
【0010】
この生活リズム検知システムは、前記判定部による判定結果が通知される携帯端末を更に備えることが好ましい。
【発明の効果】
【0011】
本発明によれば、利用者の生活リズムの変化を簡便に精度良く検知することができる生活リズム検知装置およびシステムを提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
図1】本発明の一実施形態に係る生活リズム検知システムの概略構成図である。
図2】学習部の学習手順の一例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、本発明の実施の形態について、添付図面を参照して説明する。図1は、本発明の一実施形態に係る生活リズム検知システムの概略構成図である。
【0014】
図1に示すように、生活リズム検知システム1は、サーバ10と、センサ装置20および携帯端末30とを備えており、サーバ10が、インターネット等のネットワーク2を介してセンサ装置20および携帯端末30に接続されている。
【0015】
サーバ10は、制御部11、記憶部12および通信部13を備えており、生活リズム検知装置として機能する。記憶部12は、通信部13が受信したデータ(例えば、消費電力データ)や、生活リズムの検知に必要なアルゴリズム(例えば、特徴抽出や異常検知クラスタリングを行うアルゴリズム)が格納されるメモリである。
【0016】
制御部11は、CPUを備えており、通信部13が受信したデータ群を入力とする機械学習(ディープラーニング)を行う学習部14と、学習部14の学習結果を利用して生活リズムの異変を判定する判定部15とを備えている。本実施形態の学習部14が行う機械学習は、後述するように教師なし学習である。教師あり学習が、入力データと、出力すべきデータであるラベルとを含む教師データを与えて学習するのに対し、教師なし学習は、入力データは与えるが、ラベルは与えないという学習方法である。教師なし学習では、入力データに含まれるパターンや特徴を学習してモデル化する。
【0017】
センサ装置20は、本実施形態においては、利用者の自宅等において、利用者が日常的に使用する各種家電機器(例えば、テレビ、冷蔵庫、電子レンジ、電気ポット等)50の消費電力を測定する電力センサを使用する。より具体的には、センサ装置20は、家電機器50のプラグとコンセントとの間に介在されて消費電力を測定する測定部21と、測定データを送信する送信部22とを備えている。センサ装置20は、利用者の行動を直接的または間接的に監視することができるセンサ装置であればよく、電力センサ以外に、人感センサ(焦電センサ)、照度センサ、温度センサ等の各種センサを例示することができる。
【0018】
携帯端末30は、利用者の家族や介護者、あるいは利用者本人等が所持するスマートフォン等の携帯機器であり、利用者の生活リズムの状態をサーバ10から受信する。携帯端末30には、サーバ10から受信した各種情報を画面表示するためのプログラムを予めダウンロードして格納してもよい。
【0019】
次に、上記の構成を備える生活リズム検知システム1により、サーバ10が利用者の生活リズムを検知する方法を説明する。
【0020】
センサ装置20は、接続された特定の家電機器の消費電力を常時測定しており、この測定データがリアルタイムでサーバ10に送信される。制御部11は、測定データから所定のサンプリング時間(例えば12分間)毎に平均消費電力を算出し、この平均消費電力の時系列データを生成して、記憶部12に記憶する。記憶部12に記憶する時系列データは、必ずしも平均消費電力である必要はなく、例えば、サンプリング時間毎の消費電力の最大値または最小値であってもよい。また、センサ装置20からサーバ10に所定の時間間隔で出力した測定値をそのまま使用して、時系列データを生成することもできる。こうして、消費電力に関する時系列データが記憶部12に格納される。
【0021】
学習部14は、記憶部12に格納された時系列データ群を入力とする機械学習を行うことにより、日ごとの特徴量のデータを生成する。本実施形態においては、機械学習の一例として、CNNオートエンコーダを使用する。学習部14は、格納された時系列データから所定時間(例えば3時間)の時系列データ群を入力として畳み込み処理およびプーリング処理を行った後、アンプーリング処理および逆畳み込み処理を行うことにより出力を生成し、入力と出力とが同一となるようなフィルタを獲得する。これを、一日の時系列データ群に対して一定幅でずらしながら繰り返し行い、全ての時系列データ群について入出力が精度良く一致するようなフィルタを獲得するように、教師なし学習を行う。
【0022】
図2は、学習部14の学習手順の一例を示す図である。図2(a)に示す時系列データ(消費電力パターン)が与えられると、学習部14は、この時系列データを、時系列に沿って所定時間毎に抽出し、それぞれに対して、図2(b)に示すように、フィルタA,B,Cの3つのフィルタを用いた畳み込み処理を行い、特徴マップを作成して特徴量のデータを生成する。実際のフィルタの数は特に制限されるものではないが、例えば30個程度である。
【0023】
図2(b)に示す特徴マップは、フィルタA~Cとの一致度をウインドウごとに色の濃淡で表しており、各フィルタとの一致度が高いウインドウほど濃い色で表示している。例えば、図2(a)の区間αにおいては、フィルタAとの一致度が最も高く、フィルタCとの一致度が最も低く表示されており、フィルタBとの一致度はその中間である。
【0024】
ついで、畳み込み処理で生成された特徴マップに対して、隣接する2つのウインドウ上でフィルタ毎に最大プーリングを行う。これにより、図2(c)に示すように、所定区間での最大一致度が選択されて圧縮された特徴マップが生成される。例えば、図2(b)のウインドウW1,W2との比較では、W2のデータが抽出される。最大プーリングの代わりに、平均プーリングを行ってもよい。
【0025】
圧縮された特徴マップは、消費電力に基づく特徴量のデータを表しており、フィルタ毎のフィルタとの一致度の時間的推移が、特徴量のベクトルにより表現される。すなわち、特徴量のベクトル中の同一位置にある要素は、同時間帯でのフィルタの一致度を表現しており、プーリング処理によって時間的なずれを吸収することができる。例えば、テレビの消費電力を測定する場合、朝7時30分にテレビをつけた時と朝7時15分にテレビをつけた時のように、使用開始時刻にずれが生じた場合でも、この時間のずれを吸収して、両者を同様の生活リズムであると的確に判断することができる。
【0026】
圧縮された特徴マップに対しては、図2(d)に示すアンプーリング(逆プーリング)処理、および、図2(e)に示す逆畳み込み処理を行うことにより時系列データの復元を行い、図2(a)に示す時系列データ(消費電力パターン)の入力データと、図2(e)に示す時系列データ(推定消費電力パターン)の出力データとが同一になるようなフィルタA’,B’,C’を機械学習によって獲得する。
【0027】
判定部15は、学習部14で生成された日ごとの特徴量のデータを、K-means法などにより複数のクラスタにクラスタリングする。各クラスタは、必ずしも具体的な行動に直接結びつけられるものではないが、本発明者らの知見によると、主な利用者として想定される高齢者の活動は習慣的な行動が主体的になるため、7つの曜日にそれぞれ対応したクラスタが生成される。したがって、判定部15は、学習部14での学習結果を利用して、任意の特定日の特徴量のデータに基づき当該特定日の曜日を推定し、いずれかの曜日(例えば木曜日)に分類することができる。
【0028】
特定日において生活リズムに異変が生じると、当該特定日の特徴量について、推定された曜日のクラスタ中心から特徴量ベクトルまでの距離が長くなる。判定部15は、この距離が一定未満の場合を「安定」と判定する一方、この距離が一定以上の場合を「不安定」と判定する。すなわち、判定部15は、推定された曜日における通常の行動パターンとの乖離から利用者の生活リズムの異変を判定し、判定結果を携帯端末30に通知する。なお、判定部15は、センサ装置20が測定する消費電力が、家電機器の故障等によって常時ゼロである場合を「異常」と判定し、センサ装置20との通信が不可能な場合を「通信不可」と判定し、それぞれ「不安定」とは区別して携帯端末30に通知する。携帯端末30には、上記のメッセージと併せて、消費電力の時系列データの変化等をグラフ表示してもよい。
【0029】
本実施形態の生活リズム検知システム1によれば、利用者が日常使用する特定の家電機器の消費電力に着目し、この時系列データ群を入力とする機械学習の結果を利用して特定日の曜日推定を行うことで、習慣的な行動とは異なる行動を的確に検知することができるので、利用者の生活リズムの変化を簡便に精度良く検知することができる。
【0030】
学習部14が生成する日ごとの特徴量のデータには、取得された時系列データ群の日付等から曜日に関する情報を含めることが可能であり、判定部15は、曜日を推定する代わりに既知の曜日の情報を利用して、日ごとの特徴量のデータを曜日ごとに集計してクラスタリングを行うことにより、特定日の曜日を推定することもできる。
【0031】
判定部15は、学習部14で生成された日ごとの特徴量のデータから、利用者の生活リズムの長期的な変化を検知することもできる。高齢者の場合、身体機能の低下などに伴い生活リズムが長期的なスパンで変化し、例えば、テレビや照明などの連続オン時間や、エアコンの設定温度などの変化が、長期的な傾向として現れる場合が多い。したがって、日ごとの特徴量のデータを季節ごとに集計して季節ごとの特徴量のデータを生成し、季節ごとの特徴量の変化から利用者の生活リズムの長期的な変化を検知することもできる。
【0032】
本実施形態においては、特定の家電機器50に対応して単一のセンサ装置20を使用しているが、センサ装置20を複数用意して、それぞれが異なる家電機器50の消費電力を測定するように構成してもよい。サーバ10は、それぞれのセンサ装置20から送信される測定データに基づいて、家電機器50毎に生活リズムの検知を行い、これらを総合することにより、生活リズムの検知精度をより高めることができる。
【0033】
センサ装置20は、上記のとおり、利用者の行動を監視するセンサ装置であれば電力センサに限定されるものではなく、例えば、所定空間内の利用者の有無を検出する人感センサを使用することで、利用者の行動を直接的、直感的に把握することができる。人感センサの設置場所は特に限定されないが、例えば、トイレの前や、居間のテーブル付近等のように、日常生活で利用する頻度が多い場所が好ましい。
【0034】
センサ装置20を複数設ける場合には、それぞれ異なる種類のセンサ装置であってもよく、例えば、居間のテレビの消費電力を測定する電力センサと、このテレビ付近の利用者の有無を検出する人感センサとを組み合わせて、いずれかの時系列データに基づく生活リズムの判定結果が不安定の場合に、生活リズムの異変を携帯端末30に通知することができる。
【符号の説明】
【0035】
1 生活リズム検知システム
10 サーバ(生活リズム検知装置)
12 記憶部
14 学習部
15 判定部
20 センサ装置
30 携帯端末
図1
図2