(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022079205
(43)【公開日】2022-05-26
(54)【発明の名称】情報処理装置、算出方法および算出プログラム
(51)【国際特許分類】
G06Q 10/06 20120101AFI20220519BHJP
【FI】
G06Q10/06
【審査請求】有
【請求項の数】6
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2020190247
(22)【出願日】2020-11-16
(71)【出願人】
【識別番号】598057291
【氏名又は名称】株式会社富士通エフサス
(74)【代理人】
【識別番号】110002147
【氏名又は名称】特許業務法人酒井国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】中村 周平
(72)【発明者】
【氏名】松野 雅文
【テーマコード(参考)】
5L049
【Fターム(参考)】
5L049AA10
(57)【要約】
【課題】複数の端末装置を用いて業務を行う利用者の業務時間を正確に算出すること。
【解決手段】情報処理装置100は、記憶部に記憶された特定の利用者に関する操作履歴情報を基にして、端末装置毎に特定の利用者が業務を行った業務期間を特定する。情報処理装置100は、端末装置毎の業務期間を統合した統合期間を基にして、特定の利用者の業務時間を算出する。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
利用者が複数の端末装置に対して行った操作履歴情報を記憶する記憶部と、
前記記憶部に記憶された特定の利用者に関する操作履歴情報を基にして、端末装置毎に前記特定の利用者が業務を行った業務期間を特定する特定部と、
前記端末装置毎の業務期間を統合した統合期間を基にして、前記特定の利用者の業務時間を算出する算出部と
を有することを特徴とする情報処理装置。
【請求項2】
前記算出部は、前記統合期間に含まれるある期間が、前記複数の端末装置のうち、いずれか一つの端末装置において前記特定の利用者が業務を行った業務期間である場合に、前記ある期間を業務期間に設定することで、前記端末装置毎の業務期間を統合することを特徴とする請求項1に記載の情報処理装置。
【請求項3】
前記操作履歴情報には、日時情報と、前記利用者を識別する利用者識別情報と、前記端末装置を識別する端末識別情報と、前記端末装置で発生したイベント情報とが含まれ、前記特定部は、前記日時情報、前記利用者識別情報、前記端末識別情報、前記イベント情報を基にして、端末装置毎の業務期間を特定することを特徴とする請求項1または2に記載の情報処理装置。
【請求項4】
前記イベント情報には、ログイン、ログアウト、利用者が前記端末装置を操作していない無操作の開始、前記無操作の終了が含まれ、前記特定部は、前記ログインした時刻から前記ログアウトした時刻までの第1期間と、前記無操作を開始した時刻から前記無操作を終了した時刻までの第2期間を特定し、前記第1期間から、前記第2期間の除いた期間を、前記業務期間として特定することを特徴とする請求項3に記載の情報処理装置。
【請求項5】
コンピュータが実行する算出方法であって、
利用者が複数の端末装置に対して行った操作履歴情報を記憶装置に記憶し、
前記記憶装置に記憶された特定の利用者に関する操作履歴情報を基にして、端末装置毎に前記特定の利用者が業務を行った業務期間を特定し、
前記端末装置毎の業務期間を統合した統合期間を基にして、前記特定の利用者の業務時間を算出する
処理を実行することを特徴とする算出方法。
【請求項6】
コンピュータに、
利用者が複数の端末装置に対して行った操作履歴情報を記憶装置に記憶し、
前記記憶装置に記憶された特定の利用者に関する操作履歴情報を基にして、端末装置毎に前記特定の利用者が業務を行った業務期間を特定し、
前記端末装置毎の業務期間を統合した統合期間を基にして、前記特定の利用者の業務時間を算出する
処理を実行させることを特徴とする算出プログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、情報処理装置等に関する。
【背景技術】
【0002】
働き方改革の一環として、長時間労働を防止するために、社員の業務時間を管理することが求められている。たとえば、社員が業務で使用する1台の端末装置を監視して、ログイン、ログアウトの時刻や、無操作時間を検出し、社員の業務時間を自動的に算出する従来技術がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2003-323533号公報
【特許文献2】特開2012-164230号公報
【特許文献3】特開2000-112893号公報
【特許文献4】特開2008-097236号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
社員が業務中に使用する端末装置は1台とは限らず、複数の端末装置を用いて、業務を行う場合がある。たとえば、社員は、CAD(Computer Aided Design)、データ解析等の処理負荷の重い業務を、デスクトップPC(Personal Computer)を用いて行い、メール等の処理負荷の少ない業務を、タブレット端末で行う場合があり得る。
【0005】
これに対して、従来技術では、社員が業務で使用する1台の端末装置を監視して、社員の業務時間を算出することを前提とした技術であるため、複数の端末装置を用いて業務を行う社員の業務時間を正確に算出することが難しい。
【0006】
たとえば、従来技術では、デスクトップPCおよびタブレット端末を操作する社員に対して、デスクトップPCを監視対象として業務時間を算出する場合、社員がタブレット端末で行った時間を業務時間としてカウントできない。
【0007】
すなわち、複数の端末装置を用いて業務を行う社員(利用者)の業務時間を正確に算出することが求められている。
【0008】
1つの側面では、本発明は複数の端末装置を用いて業務を行う利用者の業務時間を正確に算出することができる情報処理装置、算出方法および算出プログラムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
第1の案では、情報処理装置は、記憶部と、特定部と、算出部とを有する。記憶部は、利用者が複数の端末装置に対して行った操作履歴情報を記憶する。特定部は、記憶部に記憶された特定の利用者に関する操作履歴情報を基にして、端末装置毎に特定の利用者が業務を行った業務期間を特定する。算出部は、端末装置毎の業務期間を統合した統合期間を基にして、特定の利用者の業務時間を算出する。
【発明の効果】
【0010】
複数の端末装置を用いて業務を行う社員の業務時間を正確に算出することができる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【
図1】
図1は、本実施例に係るシステムの一例を示す図である。
【
図2】
図2は、操作履歴テーブルのデータ構造の一例を示す図である。
【
図3】
図3は、本実施例に係る情報処理装置の構成を示す機能ブロック図である。
【
図4】
図4は、業務期間テーブルのデータ構造の一例を示す図である。
【
図5】
図5は、業務期間情報の一例を示す図である。
【
図6】
図6は、統合業務期間テーブルのデータ構造の一例を示す図である。
【
図7】
図7は、特定部の処理を説明するための図(1)である。
【
図8】
図8は、特定部の処理を説明するための図(2)である。
【
図9】
図9は、特定部の処理を説明するための図(3)である。
【
図10】
図10は、特定部の処理を説明するための図(4)である。
【
図12】
図12は、本実施例に係る情報処理装置の処理手順を示すフローチャートである。
【
図13】
図13は、複数の利用者IDが割り当てられている例を示す図である。
【
図14】
図14は、実施例の表示制御装置と同様の機能を実現するコンピュータのハードウェア構成の一例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下に、本願の開示する情報処理装置、算出方法および算出プログラムの実施例を図面に基づいて詳細に説明する。なお、この実施例によりこの発明が限定されるものではない。
【実施例0013】
図1は、本実施例に係るシステムの一例を示す図である。
図1に示す例では、かかるシステムは、デスクトップPC10a,10b,10c、ノートPC11a,11b,11c、業務サーバ50、情報処理装置100を有する。
【0014】
デスクトップPC10a,10b,10c、ノートPC11a,11b,11c、業務サーバ50、情報処理装置100は、ネットワーク5を介して相互に接続される。
【0015】
本実施例では、利用者Aは、デスクトップPC10a、ノートPC11aのうち、少なくとも1つの端末を用いて、業務サーバ50にアクセスし、業務を行うものとする。図示を省略するが、利用者Aは、スマートフォン、タブレット端末等を用いて、業務サーバ50にアクセスし、業務を行ってもよい。
【0016】
利用者Bは、デスクトップPC10b、ノートPC11bのうち、少なくとも1つの端末を用いて、業務サーバ50にアクセスし、業務を行うものとする。図示を省略するが、利用者Bは、スマートフォン、タブレット端末等を用いて、業務サーバ50にアクセスし、業務を行ってもよい。
【0017】
利用者Cは、デスクトップPC10c、ノートPC11cのうち、少なくとも1つの端末を用いて、業務サーバ50にアクセスし、業務を行うものとする。図示を省略するが、利用者Cは、スマートフォン、タブレット端末等を用いて、業務サーバ50にアクセスし、業務を行ってもよい。
【0018】
以下の説明では、デスクトップPC10a~10cを特に区別しない場合、デスクトップPC10と表記する。ノートPC11a~11cを特に区別しない場合、ノートPC11と表記する。
【0019】
業務サーバ50は、デスクトップPC10、ノートPC11(あるいは他の端末)からのアクセスを受け付け、業務に関する各種のサービスを提供する装置である。また、業務サーバ50は、デスクトップPC10、ノートPC11を監視し、デスクトップPC10、ノートPC11において発生するイベントを検出し、操作履歴テーブル50aに格納する。
【0020】
図2は、操作履歴テーブルのデータ構造の一例を示す図である。
図2に示すように、この操作履歴テーブル50aには、日時と、利用者IDと、端末IDと、イベント区分とを対応付ける。日時は、イベントが発生した日時を示す。利用者IDは、利用者を識別する情報である。たとえば、利用者Aの利用者IDを「U101A」とする。利用者Bの利用者IDを「U101B」とする。利用者Cの利用者IDを「U101C」とする。
【0021】
端末IDは、デスクトップPC10、ノートPC11を識別する情報である。たとえば、デスクトップPC10aの端末IDを「T101A」とする。デスクトップPC10bの端末IDを「T101B」とする。デスクトップPC10cの端末IDを「T101C」とする。
【0022】
ノートPC11aの端末IDを「T102A」とする。ノートPC11bの端末IDを「T102B」とする。ノートPC11cの端末IDを「T102C」とする。
【0023】
イベント区分は、発生したイベントの区分(種別)を示す。たとえば、イベント区分「1」は、イベント「ログイン」を示す。イベント区分「2」は、インベント「ログアウト」を示す。イベント区分「3」は、イベント「無操作開始」を示す。イベント区分「4」は、イベント「無操作終了(無操作後の操作開始)」を示す。
【0024】
業務サーバ50が、イベント発生を検出して、操作履歴テーブル50aを更新する処理の一例について説明する。ここでは、デスクトップPC10、ノートPC11、その他の端末をまとめて「端末」と表記する。
【0025】
業務サーバ50は、端末からログイン要求を受け付けると、ログイン画面を端末に送信して表示させる。利用者は、端末を操作して、ログイン画面に利用者ID、パスワード等を入力する。端末は、利用者からの入力を受け付けると、ログイン入力情報を、業務サーバ50に送信する。ログイン入力情報には、日時、利用者ID、パスワード、端末IDが含まれる。
【0026】
業務サーバ50は、ログイン入力情報を受け付け、利用者ID、パスワードに基づく認証に成功した場合に、日時、利用者ID、端末ID、イベント区分「1」を、操作履歴テーブル50aに登録する。
【0027】
業務サーバ50は、端末からログアウト要求を受け付けると、ログアウト画面を端末に送信して表示させる。利用者は、端末を操作して、ログアウト画面に利用者ID、パスワード等を入力する。端末は、利用者からの入力を受け付けると、ログアウト情報を、業務サーバ50に送信する。ログアウト情報には、日時、利用者ID、パスワード、端末IDが含まれる。
【0028】
業務サーバ50は、ログアウト情報を受け付け、利用者ID、パスワードに基づく認証に成功した場合に、日時、利用者ID、端末ID、イベント区分「2」を、操作履歴テーブル50aに登録する。
【0029】
業務サーバ50は、ログインを受け付けた端末から、各種入力装置(キーボード、マウス、タッチパネル等)の入力状況の情報を受信する。業務サーバ50は、各種入力装置の無操作状態が所定時間連続した場合に、該当する端末にイベント「無操作開始」が発生したと判定する。業務サーバ50は、タイマ等を用いて、イベント「無操作開始」が発生した日時を特定する。業務サーバ50は、ログイン入力情報を受け付けた場合に、利用者IDと、端末IDを対応付けておき、かかる情報と、監視中の端末の端末IDとを用いて、端末に対応する利用者IDを特定する。業務サーバ50は、日時、利用者ID、端末ID、イベント区分「3」を、操作履歴テーブル50aに登録する。業務サーバ50は、各端末に対して、上記処理を実行する。
【0030】
業務サーバ50は、イベント「無操作開始」が発生した端末から、各種入力装置(キーボード、マウス、タッチパネル等)の入力状況の情報を受信する。業務サーバ50は、各種入力装置が操作された場合に、該当する端末にイベント「無操作終了」が発生したと判定する。業務サーバ50は、タイマ等を用いて、イベント「無操作終了」が発生した日時を特定する。業務サーバ50は、日時、利用者ID、端末ID、イベント区分「4」を、操作履歴テーブル50aに登録する。業務サーバ50は、イベント「無操作開始」が発生した各端末に対して、上記処理を実行する。
【0031】
業務サーバ50は、上記の処理を実行することで、操作履歴テーブル50aを更新し、操作履歴テーブル50aの情報を、情報処理装置100に送信する。
【0032】
情報処理装置100は、操作履歴テーブル50aを基にして、端末毎に利用者が業務を行った業務期間を特定し、端末毎の業務期間を統合することで、利用者の業務時間を算出する装置である。これによって、複数の端末を用いて業務を行う利用者についても、業務時間を正確に算出することができる。
【0033】
なお、本実施例では、業務サーバ50と、情報処理装置100とを別々のサーバとして説明を行うが、業務サーバ50と、情報処理装置100とを一つのサーバで実現してもよい。
【0034】
続いて、
図1で説明した情報処理装置100の構成例について説明する。
図3は、本実施例に係る情報処理装置の構成を示す機能ブロック図である。
図3に示すように、この情報処理装置100は、通信部110、入力部120、表示部130、記憶部140、制御部150を有する。
【0035】
通信部110は、ネットワーク5を介して、業務サーバ50、他の外部装置との間で情報の送受信を行う。たとえば、通信部110は、NIC(Network Interface Card)等によって実現される。
【0036】
入力部120は、各種のデータを情報処理装置100の制御部150に入力するための入力装置である。入力部120は、キーボードやマウス、タッチパネル等に対応する。
【0037】
表示部130は、制御部150から出力される情報を表示する表示装置である。表示部130は、有機EL(Electro Luminescence)ディスプレイ、液晶ディスプレイ、タッチパネル等に対応する。
【0038】
記憶部140は、RAM(Random Access Memory)、フラッシュメモリ(Flash Memory)などの半導体メモリ素子や、HDD(Hard Disk Drive)などの記憶装置に対応する。記憶部140は、操作履歴テーブル50a、業務期間テーブル141、統合業務期間テーブル142を有する。
【0039】
操作履歴テーブル50aは、利用者が複数の端末に対して行った操作履歴の情報を保持するテーブルである。操作履歴テーブル50aのデータ構造は、
図2で説明したものと同様であるため、説明を省略する。操作履歴テーブル50aは、業務サーバ50によって生成され、業務サーバ50から情報処理装置100に送信される。
【0040】
業務期間テーブル141は、利用者の業務時間に関する情報を保持するテーブルである。
図4は、業務期間テーブルのデータ構造の一例を示す図である。
図4に示すように、この業務期間テーブルは、日付、利用者ID、端末ID、業務期間情報を有する。日付は、利用者が業務を行った日付を示す。利用者IDは、利用者を識別する情報である。端末IDは、デスクトップPC10、ノートPC11を識別する情報である。業務期間情報は、該当する利用者IDの利用者が、該当する端末IDの端末によって、業務を行った期間を示す。
【0041】
図5は、業務期間情報の一例を示す図である。ここでは、2020年12月1日の利用者Aに関する業務期間情報XA1、業務期間情報XA2を用いて説明を行う。
【0042】
業務期間情報XA1は、利用者Aが、デスクトップPC10aを用いて業務を行った時間を示す。たとえば、業務期間情報XA1によれば、18時30分にイベント「ログイン」が発生し、23時にイベント「ログアウト」が発生している。20時にイベント「無操作開始」が発生し、21時にイベント「無操作終了」が発生している。21時30分にイベント「無操作開始」が発生し、22時にイベント「無操作終了」が発生している。
【0043】
すなわち、業務期間情報XA1によれば、利用者Aの業務期間は、18時30分~20時、21時~21時30分、22時~23時となる。
【0044】
業務期間情報XA2は、利用者Aが、ノートPC11aを用いて業務を行った時間を示す。たとえば、業務期間情報XA1によれば、19時にイベント「ログイン」が発生し、22時30分にイベント「ログアウト」が発生している。21時15分にイベント「無操作開始」が発生し、21時45分にイベント「無操作終了」が発生している。
【0045】
すなわち、業務期間情報XA2によれば、利用者Aの業務期間は、19時~21時15分、21時45分~22時30分となる。
【0046】
統合業務期間テーブル142は、同一の利用者について、端末毎の業務期間を統合した統合期間の情報を保持するテーブルである。
図6は、統合業務期間テーブルのデータ構造の一例を示す図である。
図6に示すように、この統合業務期間テーブル142は、日付、利用者ID、統合業務期間情報を有する。日付は、利用者が業務を行った日付を示す。利用者IDは、利用者を識別する情報である。統合業務期間は、同一の利用者が、同一の日付において、業務を行った期間を示す情報である。統合業務期間を特定する処理については後述する。
【0047】
図3の説明に戻る。制御部150は、取得部151と、特定部152と、算出部153とを有する。制御部150は、CPU(Central Processing Unit)やMPU(Micro Processing Unit)などによって実現できる。また、制御部150は、ASIC(Application Specific Integrated Circuit)やFPGA(Field Programmable Gate Array)などのハードワイヤードロジックによっても実現できる。
【0048】
取得部151は、業務サーバ50から操作履歴テーブル50aを取得する処理部である。取得部151は、取得した操作履歴テーブル50aを記憶部140に登録する。
【0049】
特定部152は、操作履歴テーブル50aを基にして、業務期間テーブル141を生成する処理部である。特定部152は、特定の利用者IDに関する操作履歴情報を基にして、端末毎に、特定の利用者IDの利用者が業務を行った業務期間を特定する。以下において、特定部152の処理の一例について説明する。ここでは一例として、日付「2020年12月1日」の、利用者ID「U101A」を用いて、特定部152の処理について説明する。
【0050】
図7、
図8、
図9、
図10は、特定部の処理を説明するための図である。特定部152は、操作履歴テーブル50aを走査し、日付「2020年12月1日」、利用者ID「U101A」のレコードを、操作履歴テーブル50aから抽出する。抽出した結果は、
図7の抽出テーブル60となる。
【0051】
続いて、特定部152は、抽出テーブル60に含まれる端末IDを基にして、端末ID毎に、抽出テーブル60のレコードを分類することで、テーブル61a,61bが生成する。特定部152は、テーブル61a,61bを時間順にソートする。テーブル61a,61bの一例を、
図8に示す。
【0052】
テーブル61aは、「2020年12月1日」における、利用者ID「U101A(利用者A)」と、端末ID「T101A(デスクトップPC10a)」との組に対応する操作履歴である。
【0053】
テーブル61bは、「2020年12月1日」における、利用者ID「U101A(利用者A)」と、端末ID「T102A(ノートPC11a)」との組に対応する操作履歴である。
【0054】
図9の説明に移行する。
図9では、テーブル61aから、業務期間情報XA1を生成する場合について説明する。たとえば、特定部152は、テーブル61aを走査し、18時30分にイベント「ログイン」が発生し、23時にイベント「ログアウト」が発生したことを特定する。特定部152は、テーブル61aを走査し、20時にイベント「無操作開始」が発生し、21時にイベント「無操作終了」が発生し、21時30分にイベント「無操作開始」が発生し、22時にイベント「無操作終了」が発生したことを特定する。
【0055】
特定部152は、ログインが発生した時刻からログアウトが発生した時刻までの期間を、第1期間として特定する。特定部152は、無操作開始の時刻から、無操作終了の時刻までの期間を、第2期間として特定する。特定部152は、第1期間から第2期間を除いた期間を、業務期間として特定する。
図9に示す例では、利用者ID「U101A」、端末ID「T101A」の業務期間は、18時30分~20時、21時~21時30分、22時~23時となることが特定される。
【0056】
図10の説明に移行する。
図10では、テーブル61bから、業務期間情報XA2を生成する場合について説明する。特定部152は、テーブル61aを走査し、19時にイベント「ログイン」が発生し、22時30分にイベント「ログアウト」が発生したことを特定する。特定部152は、テーブル61bを走査し、21時15分にイベント「無操作開始」が発生し、21時45分にイベント「無操作終了」が発生したことを特定する。
【0057】
図10に示す例では、利用者ID「U101A」、端末ID「T102A」の業務期間は、19時~21時15分、21時45分~22時30分となることが特定される。
【0058】
特定部152は、上記の処理を実行することで、業務期間情報XA1,XA2を特定する。特定部152は、業務期間テーブル141の日付「2020年12月1日」、利用者ID「U101A」、端末ID「T101A」に対応付けて、業務期間情報XA1を登録する。特定部152は、業務期間テーブル141の日付「2020年12月1日」、利用者ID「U101A」、端末ID「T102A」に対応付けて、業務期間情報XA2を登録する。
【0059】
特定部152は、他の日付、他の利用者IDについても、上記処理を実行することで、他の日付、他の利用者ID、各端末IDに対応する業務期間情報を特定し、業務期間テーブル141に登録する。
【0060】
図3の説明に戻る。算出部153は、業務期間テーブル141を基にして、端末ID毎の業務期間情報を統合することで、統合業務期間情報を算出する処理部である。以下において、算出部153の処理の一例について説明する。ここでは一例として、日付「2020年12月1日」および利用者ID「U101A」に関する統合業務期間情報を算出する場合について説明する。
【0061】
図11は、算出部の処理を説明するための図である。算出部153は、業務期間テーブル141から、日付「2020年12月1日」、利用者ID「U101A」、端末ID「T101A」に対応する業務期間情報XA1と、日付「2020年12月1日」、利用者ID「U101A」、端末ID「T102A」に対応する業務期間情報XA2とを取得する。
【0062】
業務期間情報XA1において、業務期間は、18時30分~20時、21時~21時30分、22時~23時となる。業務期間情報XA2において、業務期間は、19時~21時15分、21時45分~22時30分となる。
【0063】
算出部153は、業務期間情報XA1と、業務期間情報XA2とを統合することで、統合業務期間情報YAを生成する。たとえば、算出部153は、業務期間情報XA1と、業務期間情報XA2とを比較し、業務期間情報XA1と、業務期間情報XA2とのうち、少なくとも一方が業務期間となる期間を、業務時間とするとで、統合業務期間情報YAを生成する。
図11に示す例では、統合業務期間情報YAの業務期間は、18時30分~21時30分、21時45分~23時となる。
【0064】
統合業務期間情報YAの業務期間は、日付「2020年12月1日」において、利用者ID「U101A」の利用者Aが複数の端末を用いて行った業務時間となる。
【0065】
算出部153は、他の日付、他の利用者IDについて、上記処理を繰り返し実行することで、他の日付、他の利用者に対応する統合業務期間情報を算出する。算出部153は、算出した各統合業務期間情報を、統合業務期間テーブル142に登録する。情報処理装置100は、統合業務期間テーブル142のデータを、表示部130に表示してもよいし、予め設定された外部の装置に、通知してもよい。
【0066】
次に、本実施例に係る情報処理装置100の処理手順の一例について説明する。
図12は、本実施例に係る情報処理装置の処理手順を示すフローチャートである。
図12に示すように、情報処理装置100の取得部151は、業務サーバ50から操作履歴テーブル50aを取得する(ステップS101)。
【0067】
情報処理装置100の特定部152は、特定の日付および特定の利用者IDに対応するレコードを操作履歴テーブル50aから抽出し、抽出テーブルに格納する(ステップS102)。特定部152は、抽出テーブルのレコードを端末ID毎に分類したテーブルを生成する(ステップS103)。
【0068】
特定部152は、端末ID毎に分類した各テーブルのレコードを時系列にソートする(ステップS104)。特定部152は、端末ID毎のテーブルを基にして、端末ID毎の業務期間情報を特定し、業務期間テーブル141に格納する(ステップS105)。
【0069】
情報処理装置100の算出部153は、特定の日付、特定の利用者IDに対応する端末ID毎の業務期間情報を統合することで、統合業務期間情報を算出する(ステップS106)。算出部153は、統合業務期間情報を、統合業務期間テーブル142に格納する(ステップS107)。
【0070】
情報処理装置100は、他の日付、他の利用者IDの選択を受け付けた場合には(ステップS108,Yes)、ステップS102に移行する。一方、情報処理装置100は、他の日付、他の利用者IDの選択を受け付けない場合には(ステップS108,No)、処理を終了する。
【0071】
次に、本実施例に係る情報処理装置100に効果について説明する。情報処理装置100は、操作履歴テーブル50aを基にして、端末ID毎に利用者が業務を行った業務期間情報を特定し、端末ID毎の業務期間情報を統合することで、利用者の業務時間を算出する。これによって、複数の端末を用いて業務を行う利用者についても、業務時間を正確に算出することができる。
【0072】
また、かかる業務時間を用いることで、実質の業務時間を把握することができるので、労務管理、健康管理が可能となり、働き方改革の情報として有効な情報となりえる。
【0073】
情報処理装置100は、統合期間情報に含まれるある期間が、複数の端末のうち、いずれか一つの端末において特定の利用者が業務を行った業務期間である場合に、ある期間を業務期間に設定することで、端末毎の業務期間情報を統合する。これによって、複数の業務期間情報を適切に統合することができる。
【0074】
情報処理装置100は、日時、利用者ID、端末ID、イベント区分を基にして、端末装置毎の業務期間を特定する。これによって、業務期間を、日付毎、利用者ID毎、業務ID毎にそれぞれ特定することができる。
【0075】
情報処理装置100は、ログインした時刻からログアウトした時刻までの第1期間と、無操作を開始した時刻から無操作を終了した時刻までの第2期間を特定し、第1期間から、第2期間の除いた期間を、業務期間として特定する。これによって、業務期間を精度よく特定することができる。
【0076】
ところで、上述した情報処理装置100の処理は一例であり、情報処理装置100はその他の処理を実行してもよい。たとえば、上述した実施例では、同一の利用者に一つの利用者IDが設定されている場合について説明したが、同一の利用者に、複数の利用者IDが割り当てられている場合でも、同様に、利用者の統合業務期間を算出することが可能である。
【0077】
図13は、複数の利用者IDが割り当てられている例を示す図である。たとえば、利用者Aには、代表利用者ID「U101A」、利用者ID「us11A」、「us12A」、「us13A」が設定されている。利用者Bには、代表利用者ID「U101B」、利用者ID「us11B」、「us12B」が設定されている。利用者Cには、代表利用者ID「U101C」、利用者ID「us11C」、「us12C」が設定されている。
【0078】
たとえば、情報処理装置100が、利用者Aの統合業務時間を算出する場合の一例について説明する。情報処理装置100の特定部152は、特定の利用者IDに複数の利用者IDが設定されている場合には、次の処理を実行する。ここでは一例として、日付「2020年12月1日」の、利用者ID「us11A」、「us12A」、「us13A」を用いて、特定部152の処理について説明する。
【0079】
特定部152は、日付「2020年12月1日」、利用者ID「us11A」のレコード、日付「2020年12月1日」、利用者ID「us12A」のレコード、日付「2020年12月1日」、利用者ID「us13A」のレコードを操作履歴テーブル50aから抽出する。特定部152は、抽出したレコードの利用者IDを、代表利用者ID「U101A」に変換する。代表利用者ID「U101A」に変換した後の特定部152、算出部153の処理は、上記の処理と同様である。
【0080】
上記の処理を実行することで、同一の利用者に、複数の利用者IDが割り当てられている場合でも、同様に、利用者の統合業務期間を算出することができる。
【0081】
次に、上記実施例に示した情報処理装置100と同様の機能を実現するコンピュータのハードウェア構成の一例について説明する。
図14は、実施例の表示制御装置と同様の機能を実現するコンピュータのハードウェア構成の一例を示す図である。
【0082】
図14に示すように、コンピュータ200は、各種演算処理を実行するCPU201と、利用者からのデータの入力を受け付ける入力装置202と、ディスプレイ203とを有する。また、コンピュータ200は、記憶媒体からプログラム等を読み取る読み取り装置204と、有線または無線ネットワークを介して、外部装置等との間でデータの授受を行う通信装置205とを有する。また、コンピュータ200は、各種情報を一時記憶するRAM206と、ハードディスク装置207とを有する。そして、各装置201~207は、バス208に接続される。
【0083】
ハードディスク装置207は、取得プログラム207a、特定プログラム207b、算出プログラム207cを有する。また、CPU201は、各プログラム207a~207cを読み出してRAM206に展開する。
【0084】
取得プログラム207aは、取得プロセス206aとして機能する。特定プログラム207bは、特定プロセス206bとして機能する。算出プログラム207cは、算出プロセス206cとして機能する。
【0085】
取得プロセス206aの処理は、取得部151の処理に対応する。特定プロセス206bの処理は、特定部152の処理に対応する。算出プロセス206cの処理は、算出部153の処理に対応する。
【0086】
なお、各プログラム207a~207cについては、必ずしも最初からハードディスク装置207に記憶させておかなくても良い。例えば、コンピュータ200に挿入されるフレキシブルディスク(FD)、CD-ROM、DVD、光磁気ディスク、ICカードなどの「可搬用の物理媒体」に各プログラムを記憶させておく。そして、コンピュータ200が各プログラム207a~207cを読み出して実行するようにしてもよい。