(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022079252
(43)【公開日】2022-05-26
(54)【発明の名称】物品緩衝装置
(51)【国際特許分類】
B65D 81/03 20060101AFI20220519BHJP
【FI】
B65D81/03
【審査請求】未請求
【請求項の数】6
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2020190335
(22)【出願日】2020-11-16
(71)【出願人】
【識別番号】593154609
【氏名又は名称】大比良工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002011
【氏名又は名称】特許業務法人井澤国際特許事務所
(74)【代理人】
【識別番号】100072039
【弁理士】
【氏名又は名称】井澤 洵
(74)【代理人】
【識別番号】100123722
【弁理士】
【氏名又は名称】井澤 幹
(74)【代理人】
【識別番号】100157738
【弁理士】
【氏名又は名称】茂木 康彦
(72)【発明者】
【氏名】大比良 明彦
【テーマコード(参考)】
3E066
【Fターム(参考)】
3E066AA33
3E066AA51
3E066CA01
3E066JA21
3E066KA02
(57)【要約】
【課題】
クッション性に優れ、簡単に商品である物品を梱包することができる物品緩衝装置を提供する。
【解決手段】
物品緩衝装置は、物品を出入り可能に開口する開口部を具備し、かつ気密性を有する袋状の本体部と、物品を出入り可能に開口する第2開口部を具備し、かつ気密性を有する袋状の第2本体部と、本体部は、当該本体部に空気を注入する空気孔と、を有し、本体部の内側に第2本体部を配置し、かつ開口部の内側に第2開口部を、気密性を保つように接続し、物品を、第2本体部の内側に配置し、空気孔から空気を流入させると、本体部と第2本体部との間に空気が流入することで物品を収納するというものである。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
物品を出入り可能に開口する開口部を具備し、かつ気密性を有する袋状の本体部と、
物品を出入り可能に開口する第2開口部を具備し、かつ気密性を有する袋状の第2本体部と、
前記本体部は、当該本体部に空気を注入する空気孔と、を有し、
前記本体部の内側に前記第2本体部を配置し、かつ前記開口部の内側に前記第2開口部を、気密性を保つように接続し、
前記物品を、前記第2本体部の内側に配置し、前記空気孔から空気を流入させると、前記本体部と前記第2本体部との間に空気が流入することで前記物品を収納する物品緩衝装置。
【請求項2】
前記本体部は、平面視矩形状を呈し、右側方および左側方に位置する右側部および左側部と、を有し、
前記第2本体部は、平面視矩形状を呈し、右側方および左側方に位置する第2右側部および第2左側部と、を有し、
前記右側部および左側部の内側に、前記第2右側部および第2左側部を、密閉するように接続する請求項1記載の物品緩衝装置。
【請求項3】
前記空気穴は、前記右側方および左側方のいずれか一方から突出する突出部に配置する請求項2記載の物品緩衝装置。
【請求項4】
前記本体部と、前記第2本体部と、はともに柔軟性を有する合成樹脂フィルムからなる請求項1から3のいずれかに記載の物品緩衝装置。
【請求項5】
前記空気穴に逆止弁を具備する請求項1から4のいずれかに記載の物品緩衝装置。
【請求項6】
前記開口部に、当該開口部を開閉するファスナーを配置した請求項1から5のいずれかに記載の物品緩衝装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、物品を収納するとともにその物品に対する衝撃を緩衝する物品緩衝装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
商品等の物品を配送する場合は、その物品が破損しないように箱に入れ、緩衝材を入れる。とくにいわゆる壊れ物の場合も同様である。この場合において緩衝材として小石状の発泡スチロールを詰める場合があるが、かさばるものであり保管が問題となるばかりでなく使用後の処理も問題となる。
【0003】
このような場合に、特開2017-159950号公報において、「容器本体と、蓋材と、1又はそれ以上の固体内容物と、この固体内容物を固定する固定用フィルムとから成り、容器本体が、底面と、この底面から立設して周囲を囲む側壁と、上面開口部を囲むフランジ部とを有しており、固体内容物が容器本体の底面上に配置されており、固定用フィルムが固体内容物を被覆して、その周囲で容器本体の底面に接着しており、蓋材が容器本体のフランジ部にシールされて上面開口部を閉鎖しており、固体内容物と蓋材との間に空隙を有することを特徴とする緩衝性包装体。」が開示されている。
【0004】
上述の発明は、いわゆるスキンパックと称され、固定用フィルムが固体内容物を被覆することで物品を固定し、さらに、蓋材を有することで、衝撃を緩衝するというものである。
【0005】
しかしながら、上述の発明においては、容器本体を組みたてて、その容器本体に商品を収納したのちに商品である個体内容物にそれを被覆する固定用フィルムを貼り付けなくてはならず、商品を梱包することについてはきわめて不便である。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本発明は前記の点に着目してなされたもので、その課題は、クッション性に優れ、簡単に商品である物品を梱包することができる物品緩衝装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
前記の課題を解決するために、第1観点の物品緩衝装置は、物品を出入り可能に開口する開口部を具備し、かつ気密性を有する袋状の本体部と、物品を出入り可能に開口する第2開口部を具備し、かつ気密性を有する袋状の第2本体部と、本体部は、当該本体部に空気を注入する空気孔と、を有し、本体部の内側に第2本体部を配置し、かつ開口部の内側に第2開口部を、気密性を保つように接続し、物品を、第2本体部の内側に配置し、空気孔から空気を流入させると、本体部と第2本体部との間に空気が流入することで物品を収納するというものである。
【0009】
また、第2観点の物品緩衝装置は、第1観点において、本体部は、平面視矩形状を呈し、右側方および左側方に位置する右側部および左側部と、を有し、第2本体部は、平面視矩形状を呈し、右側方および左側方に位置する第2右側部および第2左側部と、を有し、右側部および左側部の内側に、第2右側部および第2左側部を、密閉するように接続するというものである。
【0010】
また、第3観点の物品緩衝装置は、第2観点において、空気穴は、右側方および左側方のいずれか一方から突出する突出部に配置するというものである。
【0011】
また、第4観点の物品緩衝装置は、第1観点から第3観点において、本体部と、第2本体部と、はともに柔軟性を有する合成樹脂フィルムからなるというものである。
【0012】
また、第5観点の物品緩衝装置は、第1観点から第4観点において、空気穴に逆止弁を具備するというものである。
【0013】
また、第6観点の、第1観点から、第5観点において、開口部に、当該開口部を開閉するファスナーを配置したというものである。
【発明の効果】
【0014】
本発明は以上のように構成され、かつ、作用するものであるから、クッション性に優れ、簡単に商品である物品を梱包することができる物品緩衝装置を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【
図2】Aは、
図1のIIA-IIA線断面図である。Bは、
図1のIIB-IIB線断面図である。
【
図4】第1実施例の物品緩衝装置に物品を収納した状態の正面図である。
【
図5】Aは、
図4のVA-VA線断面図である。Bは、
図4のVB-VB線断面図である。
【
図7】Aは、
図6のVIIA-VIIA線断面図である。Bは、
図6のVIIB-VIIB線断面図である。
【発明を実施するための最良の形態】
【0016】
以下、図示の実施形態を参照して第1実施例の物品緩衝装置10について説明する。第1実施例の物品緩衝装置10は、袋状を呈する本体部20と、袋状を呈する第2本体部50とを有する。また、袋状を呈する本体部20は、物品Pを出入り可能に開口する開口部21を有するものである。本体部20は、合成樹脂製の気密性を有するフィルム素材からなることが好ましい。本体部20は、透明な塩化ビニルあるいは不透明な塩化ビニルを使用することができる。また、本体部20は、ポリウレタン、ポリエチレン、ポリオレフィンのフィルム類やシート類が好ましい。
【0017】
また、本体部20は正面視矩形状であり、上述の開口部21は上方に配置するとともに、その右側方および左側方に位置する右側部25および左側部26と下方に位置する底部27を有する。また、その開口部21を開閉自在に閉塞するファスナー30を有する。ファスナー30は凸凹状のファスナー部31とそのファスナー部31を開閉するために移動するスライダー32とを有するものであり、スライダー32が移動することによりファスナー部31が閉じ、気密性を担保するというものである。なお、
図1は、物品緩衝装置10の正面図であるが、その背面は、後述する空気孔部60を配置していない以外は、正面図と同様である。
【0018】
また、袋状を呈する本体部20の内部に袋状を呈する第2本体部50が配置されている。第2本体部50は、物品を出入り可能に開口する第2開口部51を有するものである。また、第2本体部50は、合成樹脂製の気密性を有するフィルム素材からなることが好ましい。第2本体部50は、透明な塩化ビニルあるいは不透明な塩化ビニルを使用することができる。また、第2本体部50は、ポリウレタン、ポリエチレン、ポリオレフィンのフィルム類やシート類が好ましい。
【0019】
また、第2本体部50は正面視矩形状であり、上述の第2開口部51は上部に配置するとともに、その右側方および左側方に位置する第2右側部55および第2左側部56と下方に位置する第2底部57を有する。
【0020】
また、上記の通り袋状を呈する第2本体部50は、袋状を呈する本体部20の内側に配置され、第2開口部51は、開口部21の内部であって、その開口部21から縦方向の長さ(開口部21から底部27までの長さ)の5分の1程度下方に配置する内方23付近に、気密性を有するように接続されている。また、本体部20における右側部25および左側部26と下方に位置する底部27の内部にそれぞれ第2本体部50における第2右側部55および第2左側部56と下方に位置する第2底部57が配置され、本体部20における右側部25および左側部26と、第2本体部50における第2右側部55および第2左側部56がそれぞれ、気密性を有するように接続される。もっとも、底部27と第2底部57は接続されない。
【0021】
また第1実施例の物品緩衝装置10は空気を注入するための空気孔部60を有する。空気孔部60は文字通り空気を注入するものであり、また空気の逆流を防止する公知の逆止弁を有するものである。空気孔部60は、本体部20に取り付けられており、その空気孔部60から流入した空気は、本体部20と、第2本体部50との間に流入する。
【0022】
上記構成の第1実施例の物品緩衝装置10の使用方法について説明する。物品緩衝装置10における開口部21に有するファスナー30を開け、商品である物品Pを入れる。開口部21から挿入された物品Pは、第2開口部51をへて、第2本体部50の内部に収納される。その後、空気孔部60から空気aを注入する。空気孔部60は逆止弁を有するので、注入された空気aは、空気孔60から空気aが流出することを防止する。
【0023】
空気孔部60から注入された空気aは、本体部20と、第2本体部50との間に流入する。これにより、その空気aが、接続されていない底部27と第2底部57の間を通過し、本体部20と、第2本体部50との間の全体にいきわたる。
【0024】
このように、流入した空気aによって、本体部20が膨らみつつ第2本体部50も膨らみ、その膨らんだ第2本体部50が、その内側に配置した物品Pを包み込む状態となる。また上記の通り、本体部20と、第2本体部50との間には空気aが充満しているので、物品Pは本体部20から浮いた状態となる。したがって、本体部20と、第2本体部50との間の空気aが、クッションとなることで、物品Pを収納することができ、さらにその物品Pに対する衝撃を吸収したり、また緩衝する緩衝装置とすることができる(
図5A、B参照)。
【0025】
その後ファスナー30を閉じれば、開口部21から物品Pが流出する恐れもなく、また更に、物品緩衝装置10の内部が押圧されることで、空気aの圧力が高まり、商品Pを固定する圧力が高まる。このようにして、物品緩衝装置10は、簡単に商品である物品Pを梱包することができる。また、上記の通り空気aを充てんすることにより、物品Pは第2本体部50に取り囲まれた状態となり、第1実施例の物品緩衝装置10の内部に固定されるとともに、その充てんした空気aが緩衝材として機能することにより、クッション性に優れ、物品Pの損傷を防止することができる。また、本体部20に店名あるいは商品の名称等を記載することで宣伝等をすることもできる。その後、空気孔部60から空気aを外部に流出させれば、商品Pを固定する固定力を喪失し、容易に、その商品Pをその物品緩衝装置10から取り出すことができる。
【0026】
次に、第2実施例の物品緩衝装置100について説明する。第2実施例の物品緩衝装置100も、物品Pを収納することができ、さらにその物品Pに対する衝撃を吸収したり、また、緩衝する緩衝装置である。
【0027】
第2実施例の物品緩衝装置100と第1実施例の物品緩衝装置10との相違は、空気孔部260が、本体部200において、正面右側方から突出する突出部228に配置されていることである(
図6参照)。また、第2本体部250も同様に第2突出部258を有することである。また、空気孔部260は、空気の逆流を防止する公知の逆止弁を有するものである。なお、突出部228は、図示しないが、正面左側方から突出することもできる。
【0028】
なお、本体部200および第2本体部250はともに合成樹脂製の気密性を有するフィルム素材からなることが好ましい。本体部200および第2本体部250は、透明な塩化ビニルあるいは不透明な塩化ビニルを使用することができる。また、本体部200および第2本体部250は、ポリウレタン、ポリエチレン、ポリオレフィンのフィルム類やシート類が好ましい。他の点は第1実施例の物品緩衝装置10と同様であるので同一の符号を付しその説明を省略する場合がある。したがって空気孔部260から注入された空気は、本体部200と、第2本体部250との間に流入するとその空気が、接続されていない底部27と第2底部57の間から、本体部200と、第2本体部250との間の全体にいきわたり、流入した空気によって、本体部200が膨らみつつ第2本体部250も膨らみ、その膨らんだ第2本体部250が、物品Pを包み込む状態は、第1実施例の物品緩衝装置10と同様であり、クッション性に優れるものである。なお、第2実施例の物品緩衝装置100において、物品Pは図示しない。なお、
図6は、物品緩衝装置100の正面図であるが、その背面は、後述する空気孔部260を配置していない以外は、正面図と同様である。
【0029】
なお、空気孔部260が、本体部200における正面視右方から突出する突出部228に配置されているために、その空気孔部260から空気を入れやすくすることができる。また、同様に、空気孔部260が、本体部200における正面視右方から突出する突出部228に配置されているために、第2実施例の物品緩衝装置100を積み重ねたときに、本体部200同士は積み重ねられ、空気孔部260を有する突出部228が折れ曲がることで、比較的その積み重ねが容易となる。また、また、本体部200の面積が増加することでさらに多くの店名あるいは商品の名称等を記載することで宣伝機能を増大させることができる。
【符号の説明】
【0030】
10 第1実施例の物品緩衝装置
20 本体部
21 開口部
23 内方
25 右側部
26 左側部
27 底部
30 ファスナー
50 第2本体部
51 第2開口部
55 第2右側部
56 第2左側部
57 第2底部
60 空気孔部
100 第2実施例の物品緩衝装置
200 本体部
250 第2本体部
260 空気孔部
a 空気
P 物品